以下、本実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。図2は、本実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示す図である。
図1に示すように、画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、給紙トレイユニット51a〜51cから送出された用紙Sに二次転写することにより、画像を形成する。
また、画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
図2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60および制御部100を備える。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103等を備える。CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロック等の動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
制御部100は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部100は、例えば、外部の装置から送信された画像データ(入力画像データ)を受信し、この画像データに基づいて用紙Sに画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
また、本実施の形態では、制御部100は、本発明の「強制排出部」に対応し、後述する現像装置412におけるトナーリフレッシュ動作に関する種々の制御を行う。かかるトナーリフレッシュ動作に関する制御部100の制御内容については後述する。
図1に示すように、画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることが可能となる。
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
図2に示すように、操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
本実施の形態では、操作表示部20は、制御部100の制御の下、後述する現像装置412におけるトナーリフレッシュ動作に関する種々の表示を行う。例えば、操作表示部20は、用紙S上に印刷(出力)された画像(トナー像)の品質に満足できないユーザーが、トナーリフレッシュ動作に関する追加調整、および種々の設定を行うためのインターフェースとしての役割を担っており、かかる構成については後述する。
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
図1に示すように、画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備える。
感光体ドラム413は、例えばドラム状の金属基体の外周面に、有機光導電体を含有させた樹脂よりなる感光層が形成された有機感光体よりなる。
制御部100は、感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413を一定の周速度で回転させる。
帯電装置414は、例えば帯電チャージャーであり、コロナ放電を発生させることにより、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。その結果、感光体ドラム413の表面のうちレーザー光が照射された画像領域には、背景領域との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
現像装置412は、二成分逆転方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分の現像剤を付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
現像装置412には、例えば帯電装置414の帯電極性と同極性の直流現像バイアス、または交流電圧に帯電装置414の帯電極性と同極性の直流電圧が重畳された現像バイアスが印加される。その結果、露光装置411によって形成された静電潜像にトナーを付着させる反転現像が行われる。現像装置412および制御部100は、本発明の「現像装置」に対応する。なお、現像装置412の詳細については後述する。
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に当接され、弾性体よりなる平板状のドラムクリーニングブレード等を有し、中間転写ベルト421に転写されずに感光体ドラム413の表面に残留するトナーを除去する。
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
中間転写ベルト421は、無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
中間転写ベルト421は、導電性および弾性を有するベルトであり、表面に高抵抗層を有する。中間転写ベルト421は、制御部100からの制御信号によって回転駆動される。
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側、つまり一次転写ローラー422と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
その後、用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙Sの裏面側、つまり二次転写ローラー424と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙Sに静電的に転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
ベルトクリーニング装置426は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。
定着部60は、用紙Sの定着面、つまりトナー像が形成されている面側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの裏面つまり定着面の反対の面側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、および加熱源等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを挟持して搬送する定着ニップが形成される。
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。
上側定着部60Aは、定着面側部材である無端状の定着ベルト61、加熱ローラー62および定着ローラー63を有する。定着ベルト61は、加熱ローラー62と定着ローラー63とによって張架されている。
下側定着部60Bは、裏面側支持部材である加圧ローラー64を有する。加圧ローラー64は、定着ベルト61との間で用紙Sを挟持して搬送する定着ニップを形成している。
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類毎に収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53aを含む複数の搬送スクリュー対を有する。レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部は、用紙Sの傾きおよび片寄りを補正する。
給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。画像形成部40においては、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
次に、図3を参照して、現像装置412の構成について説明する。本実施の形態では、現像装置412として2成分現像方式を採用している。
現像装置412は、トナーと磁性キャリアーとを含む現像剤を用いて、感光体ドラム413上に形成された静電潜像を現像することにより、感光体ドラム413上にトナー像を形成する。現像装置412は、現像ローラー210、供給ローラー220、搬送ガイド部230、攪拌スクリュー240および供給スクリュー250を備える。
攪拌スクリュー240および供給スクリュー250は、螺旋形状のスクリュー部材であり、後述する現像槽内の現像剤を撹拌しながら搬送する搬送部材としての役割を有する。
攪拌スクリュー240および供給スクリュー250は、各々の現像剤供給室260および270に収納されている。ここで、供給スクリュー250が収納される現像剤供給室270は、現像剤を現像ローラー210に供給する役割を担う。また、主として現像剤供給室260および上記の現像剤供給室270は、本発明の「現像部」に対応する。以下は、説明の便宜のため、現像剤供給室260,270を総称して「現像槽」と呼ぶ。
攪拌スクリュー240および供給スクリュー250は、かかる現像槽内の現像剤を攪拌しながら供給ローラー220へ搬送する。現像剤供給室270および現像剤供給室260の間には、現像剤をこれら現像槽間で循環的に搬送するための連通経路が形成されている。
供給ローラー220は、回転可能な供給スリーブと、供給スリーブの内部に配置された供給マグネットロールとを備え、供給スクリュー250に対向して配置されている。供給マグネットロール内には、磁界を発生させる複数(例えば5つ)の磁極が配置されている。この磁極が発生する磁界によって、現像剤は、供給スリーブの外周面に担持され、供給スリーブが図中反時計回りに回転することにより、搬送ガイド部230まで搬送される。より具体的には、供給マグネットロール内の磁極は、現像剤を捕まえる役割を担うキャッチ極(例えばN極)と、現像剤を供給ローラー220上から剥離させて現像ローラー210に引き渡すリリース極(例えばS極)から構成され、通常は供給スクリュー250および現像剤供給室270に近い位置にキャッチ極が配置される。
搬送ガイド部230は、現像ローラー210と供給ローラー220との間に架設され、供給ローラー220から搬送された現像剤を現像ローラー210に供給する。搬送ガイド部230の鉛直上方の面は、平坦面であって、かつ、供給ローラー220から現像ローラー210へ向けて降り斜面をなしている。搬送ガイド部230における供給ローラー220側の端部と供給ローラー220との間には所定の間隙(例えば、0.75mm)が形成されている。
現像ローラー210は、回転可能な現像スリーブ211と、現像スリーブ211の内部に配置された現像マグネットロール212とを備える。現像ローラー210は、感光体ドラム413に近接して配置され、感光体ドラム413に近接する現像領域280へ現像剤を搬送する。現像スリーブ211は、図3中の反時計方向に回転する。現像マグネットロール212内には、磁界を発生させる複数の磁極が配置されている。搬送ガイド部230における現像ローラー210側の端部と現像スリーブ211との間には所定の間隙(例えば、0.50mm)が形成されている。
現像スリーブ211の近傍には、規制ブレード290が配置されている。規制ブレード290の端部は、現像スリーブ211の回転方向において、搬送ガイド部230との近接部よりも下流であって、かつ、現像領域280よりも上流に位置している。規制ブレード290は、規制ホルダ300により支持されている。
現像ローラー210の一部、供給ローラー220、搬送ガイド部230、攪拌スクリュー240、供給スクリュー250および規制ブレード290は、現像ケーシング(310,320)の中に収納されている。現像ケーシングは、上部ケーシング310と、下部ケーシング320とからなる。下部ケーシング320は、現像剤供給室270および現像剤供給室260を形成する。現像剤供給室270と現像剤供給室260とは、隔壁330により仕切られている。上部ケーシング310の内部天井部には、規制ブレード290を支持する規制ホルダ300が固定されている。
現像剤供給室260は、現像剤の搬送方向の上流側での図示しない補給口と接続されている。現像剤供給室260には、図示しない現像剤供給部から、トナーとキャリアーとを含有する現像剤が、補給口を通じて供給される。攪拌スクリュー240は、回転することにより現像剤供給室260へ供給されたトナーとキャリアーとを混合攪拌し摩擦帯電する。攪拌スクリュー240は、摩擦帯電した現像剤を現像剤供給室270へ搬送する。供給スクリュー250は、回転することにより、攪拌スクリュー240から搬送された現像剤を供給ローラー220へ搬送する。
供給ローラー220の供給マグネットロールが発生する磁界によって、供給スリーブの外周面上にキャリアーの磁気ブラシが発生して、磁気ブラシに担持されたトナーを含む現像剤の層が供給スリーブの外周面上に形成される。供給スリーブは、図3に示すように、反時計方向に回転することによって、現像剤を磁界によって当該供給スリーブの外周面に担持しながら、搬送ガイド部230まで搬送する。
搬送ガイド部230上の現像剤は、現像ローラー210まで導かれる。現像マグネットロール212が発生する磁界によって、現像スリーブ211の外周面上に磁気ブラシが発生して、現像剤の層が現像スリーブ211の外周面上に形成される。そして、現像スリーブ211は、図中反時計方向に回転することにより、現像剤を磁界によって現像スリーブ211の外周面に担持しながら、感光体ドラム413に最も接近する現像領域280まで搬送する。その途中で、規制ブレード290が現像剤の層の厚さを規制することにより、一定量の現像剤が現像領域280へ搬送される。現像領域280において、現像剤の層は感光体ドラム413の表面に接触する。現像領域280において、トナーは、現像スリーブ211から感光体ドラム413の表面に形成された静電潜像へ静電的に移行する。このようにして、現像装置412は、感光体ドラム413上の静電潜像をトナーによって顕像化する。
ところで、上述のような現像装置412を用いた画像形成装置1では、現像剤ひいてはトナーが現像剤供給室270および現像剤供給室260内で長時間攪拌されると、トナーが劣化して転写性が低下し、ひいては画質が劣化する問題がある。
一般には、印刷枚数が進む(増加する)と、トナー表面の外添剤の脱離や埋没が発生する、あるいは帯電量が低下する等によるトナーの劣化が発生し、かかるトナーの劣化に応じて転写性が悪化していく。かかる印刷枚数増加に伴う転写性の悪化傾向は、特に、エンボス紙のように表面(印刷面)の凹凸が大きい用紙(以下、便宜のため「凹凸紙」と称する)ではその影響が大きく、トナーの劣化状態と画質との間に強い相関関係が認められる。
かかる問題に対して、例えば、劣化したトナーを現像機から排出し、新しいトナーを供給するトナーリフレッシュ(トナーの入れ替え)の動作を行なった場合に、一般には、転写性が向上し、出力画像の画質が回復する。
その一方、画質に対するユーザーの意向ないし要求は、印刷物(出力内容)の種類やユーザーの嗜好などにより、例えば以下のように種々の要求が有り得る。
(1)常にある所定の画質レベルを維持したい場合。
(2)現在の出力画質に満足できず更に改善したい場合。
(3)出力内容(印刷画像や用紙Sの種類等)によって画質を切り替えたい場合。
上記のうち、ユーザーの上記(1)の要求は、従来技術によるトナーリフレッシュ制御を用いることで、トナーの劣化状態をあるレベルに維持することができることから、従来技術の範囲で対応できる。
これに対し、上記(2)や(3)の要求は、従来技術によるトナーリフレッシュ制御では十分に対応できない問題があった。
また、上記(1)〜(3)は例示的なものであり、実際には、画質に対するユーザーの意向ないし要求は、個々のユーザーによっても出力内容によっても様々である。
例えば、エンボス紙のように表面に凹凸のある用紙に画像を出力する場合、以下のような問題がある。一般に、エンボス紙は、製品(銘柄)ごとに表面の特徴的な風合い(凹凸のパターン)を持っていることから、かかる用紙上に印刷する際にユーザーの求める品質(転写性)にバラツキが発生しやすい。
具体的には、あるユーザーは、エンボス紙の凹部にまできっちりと画像を載せることを望み、他のユーザーは、エンボス紙の表面の風合いを強調するために、凹部と凸部とで多少濃淡をつける(例えば凹部に画像を載せない)ことを望む、などである。
かかる側面からも、従来技術によるトナーリフレッシュ制御では、ユーザーの様々な意向に広く対応することは困難であった。
かかる実情に鑑みて、本実施の形態の画像形成装置1では、現像装置412によって以下のようなトナーリフレッシュ動作を行うようにする。
本実施の形態の現像装置412では、現像槽(現像部としての現像剤供給室260,270)内のトナー劣化状態に応じて、現像槽内のトナーを強制的に排出させ、現像槽内に補給用のトナーを補給する第1の強制排出動作、または、現像槽内のトナーを強制的に所定量排出させ、現像槽内に補給用のトナーを補給する第2の強制排出動作を、ユーザーの選択に応じて実行する。
上記のうちの「第1の強制排出動作」は、基本的には、一般的なトナーリフレッシュ動作と同様である。概して、第1の強制排出動作は、現像槽内のトナーが予め定められた劣化度(第1の劣化状態)となるように、現像槽内のトナーを強制的に排出させ、現像槽内に補給用のトナーを補給する動作である。以下、説明の便宜のため、この動作を行う制御部100の状態(動作モード)を「第1のトナーリフレッシュモード」、「通常リフレッシュ」などと称する。
これに対し、「第2の強制排出動作」は、基本的には、現像槽内のトナーが上記の第1の劣化状態とは異なる劣化度(第2の劣化状態)となることを目指すものであり、現像槽内のトナーを強制的に所定量(固定量)排出させ、現像槽内に補給用のトナーを補給する動作である。以下、説明の便宜のため、この動作を行う制御部100の状態(動作モード)を「第2のトナーリフレッシュモード」、「固定量リフレッシュ」などと称する。
本実施の形態では、上記の第1の強制排出動作(第1リフレッシュ)と、第2の強制排出動作(第2リフレッシュ)とを、ユーザーの選択によって任意に選択ないし組み合わせて実行できるようにする。
言い換えると、本実施の形態において、強制排出部としての制御部100は、ユーザーの選択に応じて、一般的なトナーリフレッシュ動作(第1の強制排出動作)の制御を実行する第1の強制排出動作と、固定量のトナーリフレッシュ動作(第2の強制排出動作)とを、切り替える制御を行う。
本実施の形態では、「ユーザーの選択」は、操作表示部20の操作部22における所定のキー(ハードウェアスイッチ)を押圧する、または操作表示部20の表示部21に表示されるアイコン(ソフトウェアスイッチ)を選択する構成とする。すなわち、操作表示部20の操作を通じて、第1の強制排出動作あるいは第2の強制排出動作のいずれを行うかをユーザーが指定し、制御部100は、当該指定されたいずれかの強制排出動作を実行する。
かかる構成によれば、一般的なトナーリフレッシュ動作(第1の強制排出動作)により上述した(1)の要求に対応でき、固定量のトナーリフレッシュ動作(第2の強制排出動作)を付加的または代替的に用いることにより、(1)以外の種々の要求にも対応することができる。
本実施の形態において、制御部100は、トナーの劣化状態として、例えば、現像槽内で攪拌されていた時間と、現像槽内のトナーの入れ替わった量と、から、現像槽内のトナーの劣化状態を求めることができる。制御部100は、かかる現像槽内のトナーの劣化状態に応じて、トナーの入れ換え量、すなわち現像槽からのトナーの排出量および現像槽へのトナーの供給量(補給量)を決定する。
より好ましくは、制御部100は、上述のように求めた現像槽内のトナーの劣化状態から、現像および転写可能なトナーを推定し、中間転写ベルト421(像担持体かつ中間転写体)上のトナー劣化状態を求める。かかる処理により、転写性に直接影響するトナー劣化状態を精度良く把握することができる。
なお、これらは公知の技術で実現できるため、詳述を省略する。
上記のような構成を備える本実施の形態によれば、目標とする品質の画像を出力するのに必要なトナーの入れ換え量の、より正確な値を決定することができる。また、トナー劣化状態を精度良く把握することで、画像品質を保ちつつ、現像槽に入れ換えがなされるトナーの量を最小限に抑制して、コストを抑制することができる。
他の例として、直接転写方式の画像形成装置の場合、トナー像が記録媒体(用紙S)に印刷される直前の像担持体は感光体ドラムとなることから、感光体ドラム上におけるトナーの劣化度合いを推定する構成とすればよい。
一具体例では、強制排出部としての制御部100は、固定量でのリフレッシュ動作(第2の強制排出動作)の実行後におけるトナーの劣化状態に応じて、通常リフレッシュ動作(第1の強制排出動作)を実行する。
この場合、制御部100は、固定量でのリフレッシュ動作(第2の強制排出動作)の実行後に、トナーの劣化状態の目標値を設定(すなわちメモリーに記憶)し、当該設定(記憶)した目標値の値を維持するように、通常リフレッシュ動作(第1の強制排出動作)を実行する。
あるいは他の例として、固定量リフレッシュ動作(第2の強制排出動作)の実行後に、かかる動作に基づく出力画像に満足したユーザーが、当該トナーの劣化状態を目標値として設定する入力操作を行える構成としてもよい。この場合、制御部100は、ユーザーの当該入力操作に基づいて、第2の強制排出動作の実行後のトナーの劣化状態を目標値として設定(メモリー等に記憶)し、当該設定(記憶)した目標値の値を維持するように、トナーリフレッシュの制御を行う。
一具体例では、制御部100は、通常リフレッシュ動作(第1の強制排出動作)を、印刷ジョブの開始時および実行時(印刷ジョブの実行中)に実行する。かかる処理については図4の説明で後述する。あるいは図5で後述するように、制御部100は、通常リフレッシュ動作(第1の強制排出動作)を、例えば操作表示部20を通じての入力操作によりユーザーに指定されたタイミングで実行する構成としてもよい。
なお、印刷ジョブの開始時等に、ユーザーの指定を待たずに通常リフレッシュ動作を行う(以下、「自動制御」という)か、あるいはユーザーの指示(操作入力)に応じて通常リフレッシュ動作を行う(以下、「手動制御」という)かは、画像形成装置1の設定入力画面等を通じて選択できるようにしてもよい。
他の観点からは、制御部100(強制排出部)は、通常リフレッシュ動作(第1の強制排出動作)を、印刷ジョブの開始時(または実行中)に実行する自動制御と、ユーザーに指定されたタイミングで実行する手動制御と、のいずれを行うかを決定し、決定結果に従った制御を行う。
本実施の形態では、画像形成処理の実行の開始時に、上述した自動制御での通常リフレッシュ動作を行うか、あるいは手動制御での通常リフレッシュ動作を行うかを、印刷に使用される用紙Sの種類によって選択する(制御部100が切り替える)構成とする。
一具体例では、制御部100は、画像が形成される用紙S(記録媒体)の種類が所定の種類である場合、印刷ジョブの開始時(または実行中)あるいはユーザーに指定されたタイミングで第1の強制排出動作を実行する一方、用紙Sの種類が所定の種類でない場合にはユーザーに指定されたタイミングで(のみ)第1の強制排出動作を実行する。
ここで、用紙Sの「所定の種類」は、図示しない設定画面を通じてユーザーが任意に設定することができるが、本実施の形態では、初期設定として少なくともエンボス紙などの凹凸紙を含む。
すなわち、制御部100は、用紙Sが凹凸紙である場合、印刷ジョブの開始時(または実行中)あるいはユーザーに指定されたタイミングで通常リフレッシュ動作を実行し、用紙Sが凹凸紙以外のもの(例えば光沢紙や通常紙)である場合、ユーザーに指定されたタイミングでのみ、通常リフレッシュ動作を実行する。
また、凹凸紙に対するユーザーの様々な品質要求に対応するために、制御部100は、用紙Sが凹凸紙であって通常リフレッシュ動作(第1の強制排出動作)を実行する場合、当該凹凸紙の種類(ここでは表面の凹凸の粗さ)に応じて、現像装置412におけるトナーの交換量(排出および補給量)を変更する。
これは、凹凸紙には様々な種類があり、例えばエンボス紙は製品の銘柄が異なると表面の凹凸の粗さも異なることから、同一画像を同一の画質で出力するには、銘柄毎にトナーの交換量(排出および補給量)を変更する必要があり得ることを考慮したものである。
加えて、凹凸紙に対するユーザーの品質要求は様々であることを考慮する必要がある。具体的には、あるユーザーはエンボス紙の凹部にまできっちりと画像を載せることを望み、他のユーザーは、エンボス紙の表面の風合いを強調するために、凹部と凸部とで多少濃淡をつける(例えば凹部に画像を載せない)ことを望む、といった具合である。
一具体例では、予め、用紙Sの表面の凹凸の粗さの値と、対応するトナー排出量とをテーブル化してメモリー(記憶部72等)に記憶しておく。そして、制御部100は、凹凸紙に画像形成処理を実行する場合に、ユーザー設定情報の用紙プロファイルから用紙Sの種類を特定するとともに、上記のテーブルを参照して、対応するトナー排出量となるように通常リフレッシュ動作(第1の強制排出動作)を実行する。
このような構成および処理とすることで、凹凸紙の種類(銘柄等)が異なる場合でも一定の画像品質を保つことができる。
本実施の形態では、制御部100は、通常リフレッシュ動作(第1の強制排出動作)を実行する場合、現像槽内のトナーの劣化状態がユーザーに指定された第1の劣化状態となるように、現像装置412におけるトナー交換量(排出および補給量)を制御する。
一具体例では、制御部100は、上述したテーブル(すなわち凹凸紙の種類とトナー排出量とが対応付けられたテーブル)におけるトナー排出量の値を、ユーザーが求める画像品質に応じて補正するとよい。例えば、図示しない通常リフレッシュ動作のユーザー設定画面を通じて、凹凸紙の出力画像の画質をユーザーが選択できるようにする。そして、制御部100は、ユーザーによって転写性を重視する設定が選択された場合、上記トナー排出量を増やすように補正し、一方、ユーザーによって用紙の風合いを重視する設定が選択された場合、上記トナー排出量を減らすように補正する。
このような構成および処理とすることで、凹凸紙に対する印刷時に、ユーザーが求める画像品質に対応した画像を出力することができる。
同様に、本実施の形態では、制御部100は、固定リフレッシュ動作(第2の強制排出動作)を実行する場合、ユーザーにより指定された排出量で現像槽内のトナーを強制的に排出させるように、現像装置412におけるトナー交換量(排出および補給量)を制御する。
一具体例では、例えば図示しないユーザー設定画面を通じて、固定リフレッシュ動作時におけるトナーの交換量(重量または容量)の数値をユーザーが予め入力できるようにする。そして、制御部100は、ユーザーによって後述する固定リフレッシュ動作を行う旨を指示するボタンが押された場合、予め入力された値(重量または容量)で現像槽内のトナーを強制的に排出させるように、現像装置412におけるトナー交換量(排出および補給量)を制御する。
上記のような構成とすることで、凹凸紙に対する印刷時に、ユーザーが求める画像品質に対応した画像を出力することができ、さらには、ユーザーの様々な意向や要求品質の変化等にも柔軟に対応する(すなわち出力する画質レベルを切り替える)ことができる。
以下、上述した種々の処理について、フローチャートを参照してより詳しく説明する。
まず、通常リフレッシュ動作(第1の強制排出動作)における自動制御の処理内容を、図4のフローチャートを参照して説明する。図4に示すフローチャートは、印刷ジョブの実行の際に制御部100が通常リフレッシュ動作(第1の強制排出動作)の必要性の有無を自動で判定し、該判定結果に応じた処理を実行するものである。
制御部100は、印刷ジョブの実行開始に伴って、上述のように画像形成装置1の各部を動作させて用紙Sに画像を形成する処理を行うとともに、ステップS10において、トナーの劣化状態が、予め定められた基準値よりも劣化しているか否かを判定する。
一具体例では、制御部100は、スクリューの駆動時間に基づいてトナーの劣化状態を算出する。また、制御部100は、現像器内のトナーの劣化を示すトナー年齢およびトナー年齢分布を計算し、次いで中間転写ベルト421に乗ったトナーの劣化度合い(トナー平均年齢など)を推定し、推定された平均年齢が、予め定められた基準値(ここでは基準年齢)よりも上(劣化している)か、下(劣化していない)かを判定する。
そして、制御部100は、中間転写ベルト421上のトナーの劣化状態が基準値よりも劣化していると判定した場合(ステップS10、YES)、トナーリフレッシュ動作が必要であると判断し、ステップS20に移行する。
一方、制御部100は、トナーの劣化状態が基準値よりも劣化していないと判定した場合(ステップS10、NO)、トナーリフレッシュ動作は不要であると判断し、ステップS40に処理をスキップする。
ステップS20において、制御部100は、トナーのリフレッシュ量(交換量)、すなわち現像槽外に排出すべき古いトナーおよび現像槽内に供給すべき新しいトナーの量(重量または容量)を計算する。
一具体例では、制御部100は、トナーリフレッシュ量を紙種情報に応じて適宜補正(増加または減少)するように計算する。例えば、制御部100は、エンボス紙などの凹凸のある用紙Sに印刷している場合、通常紙の場合よりも交換量を増加させるように、トナーリフレッシュ量を算出する。かかる処理により、後の画像形成時において、凹凸紙における凹の部分に対するトナーの転写性が改善される。
次のステップS30において、制御部100は、前ステップで算出されたリフレッシュ量で、古いトナーを排出するとともに、新しいトナーを供給するトナーリフレッシュの制御を実行する。
なお、古いトナーの排出動作につき、制御部100は、用紙S外のいわゆる紙間の領域(この例では中間転写ベルト421上)に排出するように、現像装置412等の各部を制御する。
続くステップS40において、制御部100は、印刷ジョブが終了したか否かを判定する。そして、制御部100は、未だ印刷ジョブが終了していないと判定した場合(ステップS40、NO)、ステップS10に戻り、上述したステップS10〜ステップS40の処理を繰り返す。
かくして、制御部100は、適宜、上述したトナーリフレッシュの動作を行いながら、用紙S上にトナー像を印刷する画像形成処理を続行する。かかる画像形成処理により、入力画像に基づくトナー像が感光体ドラム413上に現像され、かかるトナー像が中間転写ベルト421に一次転写された後、用紙S上に二次転写(出力)される。
ここで、ステップS30によるトナーリフレッシュ動作が行われた後の画像形成処理では、より多くの新鮮なトナーが現像槽内に収容されていることから、感光体ドラム413の現像性能ひいては画質が向上する。かくして、トナー像が出力された用紙Sは、定着部60で定着工程が施された後、機外に排出される。
一方、制御部100は、印刷ジョブが終了したと判定した場合(ステップS50、YES)、一連の処理を終了する。
このような処理および第1の強制排出動作を行うことにより、例えば多数の用紙にベタ画像を印刷するような印刷ジョブを実行するような場合であっても、各々の用紙Sに印刷される画像の品質を一定に維持することができる。
次に、第1のトナーリフレッシュモードにおける手動制御の処理内容を、図5のフローチャートを参照して説明する。なお、図4で説明した処理と同等の処理については、適宜その説明を省略する。
制御部100は、印刷ジョブの実行開始に伴って、画像形成装置1の各部を動作させて用紙Sに画像を形成する処理を行うとともに、第1のトナーリフレッシュの開始を指示するための操作表示部20の所定のボタンがONになった(ユーザーにより押された)か否かを判定する(ステップS50)。以下、説明の便宜のため、かかる所定のボタンを「第1のトナーリフレッシュ開始ボタン」と称する。
ここで、制御部100は、第1のトナーリフレッシュ開始ボタンが所定時間経過してもONになっていない(OFFである)と判定した場合(ステップS50、NO)、第1のトナーリフレッシュの制御を実行せずに、ステップS90に処理をスキップする。
一方、制御部100は、所定時間内に第1のトナーリフレッシュ開始ボタンがONになったと判定した場合(ステップS50、YES)、ステップS60に移行する。ここで、ステップS60は図4のフローチャートのステップS10と同様であり、ステップS70,S80およびS90は、図4のステップS20,S30およびS40と同様である。かくして、制御部100は、図4のフローチャートで説明したステップS10〜ステップS40と同様の処理を実行し、ステップS90に移行する。
ステップS90において、制御部100は、印刷ジョブが終了したか否かを判定する。ここで、制御部100は、印刷ジョブが終了したと判定した場合(ステップS50、YES)、上述と同様、一連の処理を終了する。
一方、制御部100は、未だ印刷ジョブが終了していないと判定した場合(ステップS90、NO)、トナー劣化の有無に関するステップS60の判定に戻り、ステップS60〜ステップS90の処理を繰り返す。
かくして、図5に示す手動制御のフローによれば、トナー劣化の如何を問わず、ユーザーによって第1のトナーリフレッシュ開始ボタンが押されるまでは第1のトナーリフレッシュの動作が行われない。
他の側面から言うと、ユーザーは、用紙S(例えば凹凸紙)上に出力された画像の品質に満足している間は第1のトナーリフレッシュ開始ボタンを押す必要がなく、この間はトナー交換の動作が実行されずに印刷が継続されることから、印刷の生産性を確保することができる。
一方、ユーザーは、用紙S上に出力された画像(例えば光沢紙に対する写真画像)の品質が不十分であると感じた場合に第1のトナーリフレッシュ開始ボタンを押すことで、第1の強制排出動作が実行された後に画像形成が再開される。したがって、かかる手動制御の構成によれば、画像の品質を回復させる、あるいは、基準とされる画質に対してより良い画質の出力画像を得ることができる。
次に、第2のトナーリフレッシュモード(手動制御)の処理内容を、図6のフローチャートを参照して説明する。
印刷ジョブの実行開始の際のステップS110において、制御部100は、第2のトナーリフレッシュの開始を指示するための操作表示部20の所定のスイッチがONである(ユーザーにより押された)か否かを判定する。以下、説明の便宜のため、かかる所定のスイッチを「第2のトナーリフレッシュ開始ボタン」と称する。
ここで、制御部100は、第2のトナーリフレッシュ開始ボタンがONになっていない(OFFである)と判定した場合(ステップS110、NO)、第2のトナーリフレッシュの制御を実行せずに、ステップS130に処理をスキップして、印刷ジョブの最初の用紙Sに画像を出力する制御を行う。
一方、制御部100は、第2のトナーリフレッシュ開始ボタンがONであると判定した場合(ステップS110、YES)、ステップS120に移行する。
ステップS120において、制御部100は、第2のトナーリフレッシュの動作、例えば予め定められた固定量(または予めユーザーによって指定された容量または重量)のトナー交換を行う動作を実行し、この後、上述したステップS130の画像形成の処理を実行する。
一具体例では、制御部100は、画像形成の処理(ステップS130)に伴って、ユーザー宛てのメッセージを操作表示部20に表示する処理を行う。この例では、制御部100は、第2のトナーリフレッシュの動作後の印刷結果(画質)が不満足である場合には、所定時間内に第2のトナーリフレッシュ開始ボタンを再び押すように、ユーザーに促す表示を行う。
ステップS140において、制御部100は、操作表示部20の操作入力信号を監視して、所定時間経過後も第2のトナーリフレッシュ開始ボタンがOFFのままか否かにより、第2のトナーリフレッシュの動作後の画質に対してユーザーが満足したか否かを判定する。
そして、制御部100は、所定時間内に第2のトナーリフレッシュ開始ボタンがONになりユーザーが画質に不満であると判定した場合(ステップS140、NO)、ステップS120に移行し、上述した固定量でのトナー交換の動作(ステップS120)および画像形成(ステップS130)の処理を実行する。この後、制御部100は、ステップS140でYESと判定する(すなわちユーザーが満足したと判断する)までは、上述したステップS120〜ステップS130〜ステップS140のループを繰り返す。
かくして、制御部100は、第2のトナーリフレッシュ開始ボタンが所定時間経過してもONになっていない(OFFである)と判定した場合(ステップS140、YES)、当該出力画像の画質にユーザーが満足したと判断し、その後はトナーリフレッシュの制御を実行せずに、残りの用紙Sに画像を印刷する制御を行う(ステップS150)。この後、制御部100は、印刷ジョブが終了するまで用紙Sへの画像出力を継続的に行い(ステップS160でNOおよびステップS150)、印刷ジョブが終了した場合(ステップS160、YES)、一連の処理を終了する。
かくして、図6に示すフローは、例えば凹凸紙などの微細な画質調整が要求されるような用紙Sを使用する場合や、より高い画質が求められるような場合に好適である。すなわち、図6に示すフローでは、より微細な調整あるいは高い画質を要求するユーザーが第2のトナーリフレッシュ開始ボタンを繰り返し押して試し刷りを行うことで、ユーザーが所望する画像品質に近付けることができる。
また、本実施の形態では、第2のトナーリフレッシュを行う場合に、トナー交換量を予めユーザーが設定できることから、ユーザーが求める種々の画像品質を実現することができる。一例では、凹凸紙に対する印刷を行う場合に、第2のトナーリフレッシュでのトナー交換量を「ゼロ」に設定し、ステップS30Aにおいて現像槽内のトナーの劣化を促進するように、上述した各スクリュー240,250を一定時間駆動してトナーを攪拌する動作を行う。この場合、制御部100は、トナーを現像ローラー210等に供給しないように現像槽内でトナーを循環させる動作を行う。
このような動作により、第2のトナーリフレッシュ動作を行う毎に、現像性能ひいては転写性が低下してゆくことから、結果として凹凸紙の風合いを活かした画像品質を実現することができる。すなわち、エンボス紙の表面の凹凸の風合いを好むユーザーは、用紙Sの凹部には敢えてトナーが到達しないように印刷することもできる。
さらには、図6に示すフローによれば、当該試し刷りの画質に満足した場合に、トナー交換の動作なしに残りの用紙Sに対する印刷が連続的に行われるので、残りの用紙Sに対する印刷の生産性を確保することができる。
次に、上述した固定リフレッシュ動作および第1のトナーリフレッシュ動作を併用した場合の処理の概要を、図7のフローチャートを参照して説明する。なお、上述した処理と同等の処理については、同一のステップ番号を付して、適宜その説明を省略する。
上述した図6のフローと比較して分かるように、図7に示すフローチャートの前段部分(ステップS110〜ステップS140)は図6のフローと同一である。すなわち、制御部100は、ユーザーが出力画像の画質に満足すると判断するまでは、固定量のトナーリフレッシュ動作を繰り返す。
一方、制御部100は、ステップS140において、第2のトナーリフレッシュ開始ボタンが所定時間経過してもONになっていない(OFFである)と判定した場合(ステップS140、YES)、当該出力画像の画質にユーザーが満足したと判断し、ステップS170に移行する。
ステップS170において、制御部100は、当該画像を出力した時点でのトナーの劣化状態(例えば、感光体ドラム413上に現像されるトナーの平均年齢の分布)を、基準値として記憶する。
続くステップS180において、制御部100は、図4で説明した自動制御による第1のトナーリフレッシュ動作(ステップS10〜ステップS40)を実行して残りの用紙Sに画像を形成するように、現像装置412および画像形成装置1の各部を制御する。
このような制御を行うことにより、印刷ジョブにおける残りの用紙Sが数千枚〜数万枚など多数ある場合でも、ユーザーが望む画質を維持した出力画像出力が、当該残りの用紙Sの各々に対して得ることができる。
他の観点からは、図7に示す処理内容によれば、図4で説明した自動制御による第1のトナーリフレッシュ動作(ステップS10〜ステップS40)とは、以下の点で異なる処理となる。すなわち、図7に示す処理内容によれば、ステップS170の処理によって、第1のリフレッシュ動作におけるトナー劣化状態の目標値ひいては画像品質の目標値が補正され、当該補正された画像品質を維持するように印刷ジョブにおける複数の用紙Sに対する画像形成が実行される(ステップS180)。
したがって、図7に示す処理内容によれば、印刷ジョブを構成する複数の用紙Sの殆どに対して、第1のトナーリフレッシュモードが適用される一方で、上述のように、例えば凹凸紙への印刷では、敢えて画質を低下させて凹凸の風合いを活かすように出力することもできる。
上記のようにトナーリフレッシュに関する多様な動作を実行する本実施の形態によれば、個々のユーザーの意向や要求に対応した出力画像の画質を実現することができる。
(実施例および比較例)
以下、上述した実施の形態の効果の検証のための実施例および比較例について説明する。本発明者らは、上述した画像形成装置1により、表面に凹凸のあるエンボス紙(凹凸紙)に対して、以下の3種類の画像を出力物A、出力物B、出力物Cとして印刷する実験を行った。
「出力物A」として、文字と図表が含まれる原稿画像を多数枚、今回の実験では用紙5000枚分印刷する。通常、このような原稿画像では、画像品質のレベルはさほど高くなくても満足できることから、画質の要求レベル(合格基準)を「中」とした。
「出力物B」として、低階調(モノクロ)の写真画像を用紙10枚分だけ印刷する。一般に、低階調写真画像では、上記のような原稿画像よりもずっと高いレベルの画質が要求される場合が多いことから、画質の要求レベル(合格基準)を「高」とした。
「出力物C」として、フルカラーの写真画像を用紙500枚分印刷する。フルカラーの写真画像の場合、要求される画像品質のレベルに幅があることから、画質の要求レベル(合格基準)を「中〜高」とした。
[実施例1]
実施例1では、出力物Aを、図4で上述した第1のトナーリフレッシュの自動制御設定により、用紙500枚分の印刷を行なった。
具体的には、用紙(凹凸紙)に印刷を行なう際、印刷開始時と印刷途中にトナーの劣化状態を検出し、基準値よりも劣化していた場合(ステップS10、YES)、排出すべきトナー量を算出し(ステップS20)、該算出された排出量/補給量のリフレッシュを自動的に行なった(ステップS30)。
この結果、実施例1では、印刷ジョブの途中でトナーが劣化してもリフレッシュ動作によって劣化状態から回復でき、5000枚という多数枚の印刷であっても良好な画質を維持することが出来た。
なお、用紙Sに溝の深い凹凸紙を用いた場合、印刷開始時には画像パッチとして帯長さが5m分のトナーの排出と当該排出量分のトナー補給を行なうことで、良好な画質が得られた。一方、同条件の印刷で、用紙Sに溝の浅い紙を用いる場合は、印刷開始時の画像パッチとして帯長さ2m分のトナーの入れ替え(リフレッシュ動作)で、良好な画質が得られた。
以下の実施例2〜5、および比較例1、2は、いずれも用紙Sに溝の深い凹凸紙を用いて試験した。
[実施例2]
実施例2では、印刷物B(低階調の写真画像)を、図6で上述した固定量リフレッシュ動作(第2の強制排出動作)の手動制御を用いて、用紙10枚の印刷を行なった。具体的には、最初に試し刷りとして、固定量のトナーリフレッシュ動作および用紙Sへの印刷を手動で複数回実施した(ステップS140のNO、ステップS120およびS130参照)。
この結果、徐々に画質が良好になり、3回目の固定量リフレッシュ動作の後の画像形成(ステップS130)で満足する画質レベルになったため、その状態で残りの用紙(9枚)に連続的に印刷を行なった。この場合、用紙10枚とも満足できる画質が得られた。
[実施例3]
実施例3では、印刷物C(フルカラー写真画像)の印刷を、図4で上述した第1のトナーリフレッシュの自動制御のフローに基づいて、用紙500枚の印刷を行なった。この場合、印刷ジョブの全体を通して満足できる画質が得られた。
[実施例4]
実施例4では、実施例3と同一の印刷物Cの印刷を、固定リフレッシュ動作を用いて実行した(図6参照)。具体的には、固定量での第2のトナーリフレッシュ動作を2回実施したところで十分満足できる画像品質になったため、その状態で残りの用紙S(499枚)への画像出力を行なった。この場合、印刷ジョブの後半で画質が若干低下気味になったが、500枚目のジョブ終了時まで満足する画質は維持出来た。
[実施例5]
実施例5では、実施例3,4と同一の印刷物Cの印刷を、固定リフレッシュ動作および通常リフレッシュ動作の順で連続的に実行した(図7参照)。具体的には、固定量の第2リフレッシュ動作を手動で2回実施したところで十分満足できる画質レベルになったため、そのトナー劣化状態を記憶部72に記憶させた後、記憶させたトナー劣化状態を維持するように第1リフレッシュ動作を行いながら残り499枚の用紙Sに画像を印刷した。この場合、ジョブ全体を通して非常に良好な画質が得られた。
[比較例1]
高画質を求められる出力物B(実施例2と同一の低階調写真画像)を、第1のリフレッシュ動作を用いて10枚の用紙(凹凸紙)に出力した。この場合、上述した実施例2の結果と異なり、いずれの出力画像も満足できる品質が得られなかった。これは、設定された基準値に対応する交換量だけしかトナー交換されず、古いトナーが多く残っていたため、凹凸の多い用紙では凹部へのトナーの転写が不十分だったものと考えられる。
[比較例2]
固定量の第2リフレッシュを実施して満足する画質レベルになったため、その状態で出力物Aを5000枚出力したが、トナーリフレッシュ動作を行わない場合、徐々に画像品質が低下し、ジョブの後半では満足する画像品質が得られなかった。
以上、詳細に説明したように、本実施の形態では、制御部100を、トナーの劣化状態に応じた量のトナーの排出および補給を行う第1の強制排出動作、または、トナーの劣化状態とは無関係に一定量(固定量)のトナーの排出および補給を行う第2の強制排出動作を、ユーザーの選択に応じて実行する強制排出部として機能させる。
かかる構成によれば、第1の強制排出動作で得られる画質以上のレベルが求められている場合、ユーザーにより第2の強制排出動作が選択されることで、より良い画質を実現することができる。また、出力物A、B、Cで例示したような印刷する画像の種類に応じたユーザーが求める画質(中、高などの別)により、第1の強制排出動作と第2の強制排出動作とを適宜使い分ける或いは第2の強制排出動作を追加的に使用することによって、画質レベルを切り替えることもできる。
したがって、本実施の形態によれば、個々のユーザーの意向や要求に対応した出力画像の画質を実現することができる。
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。