JP2021054916A - 水性塗料と陶磁器類と絵付け方法 - Google Patents

水性塗料と陶磁器類と絵付け方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明では、色ムラや塗りムラが抑制されるとともに、描画対象物への定着性に優れた水性塗料と陶磁器類と絵付け方法を提供する。【解決手段】この課題は、着色基材と、リグニン含有量が20〜40質量%、保水度が150〜300%セルロースナノファイバーとが含有され、B型粘度が200〜600cpsであることを特徴とする水性塗料によって解決される。また、表面の主成分がケイ酸及びケイ酸化合物である素地に、この水性塗料が描画された陶磁器又はガラス器によって解決される。【選択図】図1

Description

本発明は、水性塗料と陶磁器類と絵付け方法に関するものである。
従来、陶磁器類(例えば、陶磁器、ガラス器、琺瑯等)製の和洋食器、装飾品等の製造は、次記の工程により製造される。下絵付け工程の一例としては、素地成形工程、乾燥および焼成工程を経る第1焼成工程(素焼き)、こののち、第1絵付け工程、施釉して乾燥する第1施釉工程を経て、第2焼成工程(本焼き)を実施する。上絵付けの場合には、こののち、描画する第2絵付け工程と、低温(800〜900℃)で焼成する第3焼成工程を経て製品が製造される。もちろん、陶磁器類がガラス器である場合は、第1焼成工程及び第2焼成工程を省略してもよい。上記工程で製造される陶磁器類の製造には熟練を要し、特に、絵付け作業は困難を伴うことがある。
陶磁器類への絵付けに関する従来の手法に、上絵付用水性塗料の定着物を使用して絵付けする手法(特許文献1)や水溶性樹脂を含む水性塗料を使用して絵付けする手法(特許文献2)がある。
引用文献1は、釉薬層が形成された素地成形体表面に定着物を付与することでこの定着物の上に水性塗料が好適に着色され、所定の品質の絵付けを可能とする手法である。しかしながら、素地成形体表面にこの定着物が凹凸を有して付与されると、水性塗料による着色の工程で、水性塗料が凹部に流れ、色の濃淡が発生する。そうすると、塗りムラを有した製品となり、審美性に欠けたものとなる。
同文献には、油性塗料を使用すると記載されており、水性塗料の使用を明示したものではない。また、水性塗料を使用する場合には、釉薬層(ガラス層)が水性塗料をはじいてしまう問題が生じる。
引用文献2は、従来、釉薬上に水性塗料(例えば、無機顔料)を施した場合、顔料の薄膜の形成方法が難しく、厚みのコントロールが困難である点を指摘し、この点を解決するため、所定の樹脂を顔料に含有させた水性塗料を用いることを提案している。この提案により筆のすべりが滑らかになり、水性塗料の厚みをコントロールし易くなるとしている。しかしながら、この樹脂は、水性塗料に長時間分散された状態が維持され難いものであるため、絵付け作業にかける時間によっては、色ムラが発生したり、水性塗料濃度の不均一化に伴う水性塗料の定着性低下が起こりうるおそれがある。
同文献は、釉薬を施釉した後、焼成前に図柄を描くものであり、ガラス化した釉薬層に描画するものではない、このため、施釉後は下地の図柄が見えず、図柄の重ね描きは困難である。
特開2014−15372号公報 特開2004−345882号公報
このように、陶磁器類への絵付け作業は困難性を伴うものではあるが、水性塗料を改良することで、より容易な絵付けが可能になるものと、発明者等は認識している。したがって、本発明が解決しようとする主たる課題は、色ムラや塗りムラを抑制でき、密着性に優れる水性塗料とこれを備えた陶磁器類と絵付け方法を提供することにある。
前記課題を解決するための態様を次記に示す。
(第1の態様)
着色基材と、
リグニン含有量が20〜40質量%、保水度が150〜300%であるセルロースナノファイバーとが含有され、
B型粘度が200〜600cpsである、
ことを特徴とする水性塗料。
上記課題を解決するために種々試験を行った中で、本発明者等は、まず、水性塗料の粘性に着目した。従来の水性塗料を素地であるガラス面や釉薬層に上絵付けしようとすると、水性塗料をはじくことや、水性塗料の伸びが悪く、色ムラや塗りムラが生じていた。
本態様の水性塗料は、リグニン含有量が20〜40質量%、保水度が150〜300%のセルロースナノファイバーが着色基材に含有され、B型粘度が200〜600cpsであるため、密着性が良いものとなっている。この理由は定かではないがおそらく次のように推測される。この水性塗料を筆で素地面に描画すると、リグニンを含有し、保水度やB型粘度が低いセルロースナノファイバーは素地への密着性が高く、筆の伸びも良いため、陶磁器、ガラス器又は琺瑯に色ムラや塗りムラが抑制された絵付けが可能となる水性塗料となる。
着色基材には、親水性を有するもの、疎水性を有するもの等がある。また、着色基材が2種類以上混合された塗料を用いることもある。セルロースナノファイバーは親水基、例えば、水素基や水酸基を有し、リグニンは疎水基を有するので、親水性の着色基材であっても、疎水性の着色基材であっても、着色基材とセルロースナノファイバーとが親和的に結合されたものとなる。
(第2の態様)
前記セルロースナノファイバーが2〜4質量%含有する、
第1の態様に記載の水性塗料。
セルロースナノファイバーの含有率をこの範囲にすると、水性塗料中にセルロースナノファイバーが適度に分散され、描画時の水性塗料の伸びが良い。
(第3の態様)
前記着色基材1質量部に対して、前記セルロースナノファイバーが0.02〜0.04質量部含まれる、
第1の態様に記載の水性塗料。
着色基材に対してセルロースナノファイバーが適量含まれているので、セルロースナノファイバーが着色基材に適度に分散されたものとなる。セルロースナノファイバーの含有により水性塗料の水滴化が抑制され、着色基材の密着性が維持されて、色ムラや塗りムラが発生し難いという効果を有する。
(第4の態様)
表面の主成分がケイ酸及びケイ酸化合物である素地に、
第1の態様〜第3の態様のいずれか1つに記載の水性塗料が描画された陶磁器類。
ケイ酸及びケイ酸化合物である素地に、密着性に優れる水性塗料を描画するので色ムラや塗りムラが抑制された陶磁器類となる。
(第5の態様)
ガラス器用素地と、
前記ガラス器用素地を被覆する釉薬層とを備え、
前記釉薬層は、焼成された第1の態様〜第3の態様のいずれか1つに記載の水性塗料が釉薬で被覆されてなるものである、
ことを特徴とするガラス器。
(第6の態様)
釉薬で被覆された陶磁器用素地と、
前記陶磁器用素地を被覆する釉薬層とを備え、
前記釉薬層は、焼成された第1の態様〜第3の態様のいずれか1つに記載の水性塗料が釉薬で被覆されてなるものである、
ことを特徴とする陶磁器。
(第7の態様)
釉薬で被覆された琺瑯用素地と、
前記琺瑯用素地を被覆する釉薬層とを備え、
前記釉薬層は、焼成された第1の態様〜第3の態様のいずれか1つに記載の水性塗料が釉薬で被覆されてなるものである、
ことを特徴とする琺瑯。
釉薬で被覆された陶磁器用素地又は琺瑯用素地の表面は、ガラス質であり、この表面への水性塗料による描画は密着性に優れたものとなり、かつ、色ムラや塗りムラの発生が抑制される。
(第8の態様)
前記釉薬層が複数層で形成される、
第5の態様に記載のガラス器。
(第9の態様)
前記釉薬層が複数層で形成される、
第6の態様に記載の陶磁器。
(第10の態様)
前記釉薬層が複数層で形成される、
第7の態様に記載の琺瑯。
この態様の水性塗料は釉薬層に対して密着性が良好なので、釉薬層で被覆された陶磁器、ガラス器又は琺瑯の表面にさらにこの水性塗料を描画することができ、この描画された塗料が剥がれ落ちづらい。よって、描画と、描画を釉薬層で被覆する作業を複数回にわたり行うことができるので、釉薬層が複数層にわたり重なることで奥行きのある立体的な図柄を備えた陶磁器、ガラス器又は琺瑯となる。
(第11の態様)
第1の態様〜第3の態様のいずれか1つに記載の水性塗料を、表面の主成分がケイ酸及びケイ酸化合物である素地に描画して、乾燥させて、第1描画成形体を得る工程と、
前記第1描画成形体に釉薬をかけて、焼成して第1釉薬層成形体を得る工程と、
を有することを特徴とする絵付け方法。
この態様の水性塗料は伸びが良く、薄く描画し易い。また、この塗料は、表面の主成分がケイ素及びケイ酸化合物である素地に対しても、液だれし難く、密着性に富む。また、密着性に富むので、第1描画成形体に釉薬をかけても、描画された塗料がズレたり、剥がれたりしにくい。
(第12の態様)
前記第1釉薬層成形体に前記水性塗料を描画して乾燥させて、第2描画成形体を得る工程と、
前記第2描画成形体に釉薬をかけて、焼成して第2釉薬層成形体を得る工程と、
を有する、第11の態様に記載の絵付け方法。
第8〜第10の態様と同様の効果を奏する。
(第13の態様)
前記第2釉薬層成形体に前記水性塗料を描画して乾燥させて、第3描画成形体を得る工程と、
前記第3描画成形体に釉薬をかけて、焼成して第3釉薬層成形体を得る工程と、
を有する、第12の態様に記載の絵付け方法。
第8〜第10の態様と同様の効果を奏する。
本発明によると、色ムラや塗りムラが抑制されるとともに、描画対象物への定着性に優れた水性塗料と陶磁器類と絵付け方法となる。
一形態を例示する説明図である。 他形態を例示する説明図である。 製造フローの一形態を例示する図である。 製造フローの他形態を例示する図である。 実施例及び比較例の結果を示す図である。 比較例の結果を示す図である。
本発明を実施するための形態を次記に説明する。なお、本実施の形態は本発明の一例である。本発明の範囲は、本実施の形態の範囲に限定されない。
形態の一例に示す水性塗料は、着色基材と、リグニン含有量が20〜40質量%、保水度が150〜300%であるセルロースナノファイバーとが含有されている。
本水性塗料は、一例として次記のとおりに製造できるが、この製造手法に限るものではない。2〜4%セルロースナノファイバー溶液に着色基材を加え、掻き混ぜ、B型粘度が200〜600cpsになるように水を加えてメスアップしさらに濃度を均一にして製造する。
(着色基材)
陶器や磁器、ガラス器、琺瑯( 以下、陶磁器類とする。) に絵付けをする方法として、上絵付けと下絵付けがある。下絵付けとは、絵付を施釉前に行なうものであり、公知の手法で行うことができるが、一例に次記の手法で行うことができる。素焼された素地(例えば、器等)に水性塗料で絵柄を描画し、その後釉薬をかけ焼成する。素焼きされた素地は、一般に表面が粗いので、水性塗料による描画が良好になされる。下絵付けは、複数回焼成をしてもよいが、例えば二次焼成を行わない場合は、手間がかからず製造コストが安価である。一部の顔料は釉薬に溶け込むなど釉薬と反応する。この反応により、描画がにじんだりぼかしたりすることがある。意図的ににじませたりやぼかしたりすることもあるが、この反応を避ける場合は、釉薬と難反応性の顔料である、金属塩化物や硝酸化合物の水性塗料を着色基材に用いるとよい。
上絵付けは、公知の手法で行うことができるが、一例に次記の手法で行うことができる。まず、素焼きされた素地に釉薬をかけ、高温焼成した後、焼成で釉薬層が形成させる。この釉薬層が形成された素地を釉薬層成形体という。この釉薬成形体の表面に、筆等で水性塗料を使用して絵柄を描画する。次に描画された素地を低温焼成をするとよい。低温で焼成するので着色基材に用いるものとしては、着色顔料が好ましい。この顔料の色としては、公知の様々な色、例えば赤色、青色、黄色、その他の色や、金彩であってよい。
着色基材は、上記で示したように顔料等を含む。着色基材に含まれる着色材としては、上記のほかに、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ複合体に金属酸化物を固溶させたもの、又はこれらの複合化合物を固溶させたものを含めることができる。この金属酸化物としては、特に限定されないが、例えば、酸化コバルト、酸化鉄、酸化銅、酸化マンガン、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化スズ等を例示できる。また、着色基材には、ジルコニウム、ケイ素、プラセオジム、バナジウム、チタン、アンチモン、亜鉛、マンガン、コバルト、ニッケル、アルミニウム、銅、鉛、カドミウム又はその化合物、クロム又はその化合物(例えば、オキサイド・オブ・クロミウム、ビリジアン、コバルトターコイズ)やセラミック顔料を含めることができる。
セラミック顔料は、耐熱性、対候性、耐薬品性に優れ、主に酸化物や複合酸化物、ケイ酸塩等からなるものがある。しかしながら、これらに限られるものではない。セラミック顔料としては、スピネル系の固溶体やアンチモンスズグレーやジルコングレー、プラセオジム黄、バナジウムスズ黄(Sn−V系及びSn−Ti−V系等がある)、バナジウムジルコニウム黄、ピーコック、ビクトリアグリーン、クロムグリーン(Al−Cr系)、紺青、海碧、Co−Zn−Si系、Co−Si系、バナジウムジルコニウム青、クロムスズライラック、ライラック、クロムスズピンク、陶試紅、サーモンピンク、クロムアルミナピンク、ファイアーレッドを例示することができる。
本形態による着色基材の平均粒子径は、例えば、5μm〜60μm、好ましくは、5μm〜40μmとするとよい。60μmを超えると、水性塗料を薄く塗りたい場合に対応できない。また、5μm未満だと、水性塗料中における顔料の分散性が不十分となる場合があり、塗りムラの原因となる。
なお、素地の、特に表面の主成分がケイ酸やケイ酸化合物(例えば、ガラスその他の固溶体)である場合は、上記、釉薬層成形体の製造を省略して、この素地に筆等で水性塗料を使用して絵柄を描画するものとしてもよい。そして、描画された素地を低温焼成する。
(増粘剤)
陶磁器類に描画する水性塗料は、所定の粘性を備えるものとしてもよい。粘性を備えることにより、水性塗料が意図せずにじんだり、垂れたりすることを抑制できる。水性塗料を所定の粘性とするには、増粘剤を水性塗料に含ませるとよい。増粘剤として公知のものを適宜用いることができるが、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)やキサンタンガム、グアーガム、ペクチン、カラギナンを用いることができる。着色基材やセルロースナノファイバーの種類にもよるが、増粘剤が水性塗料に20〜30質量%含まれている形態が好ましい。しかしながら、増粘剤は必ずしも水性塗料に含めなくてもよい。
(陶磁器類)
陶磁器類の素地には、陶磁器又は琺瑯の製造に用いられる素地、ガラス器の製造に用いられる素地が含まれる。陶磁器又は琺瑯は、公知の陶磁器や琺瑯を含めることができる。そして、例えば、粘土、珪石、長石、及びこれらの混合物の少なくともいずれか1つを主な組成とするものを焼成したものを陶磁器用素地又は琺瑯用素地とすることができる。また、ガラス器は、公知のガラスを含めることができる。そして、例えば、ケイ酸、ケイ酸化合物、ホウ酸、ホウ酸化合物、リン酸、リン酸化合物、チタン酸、チタン酸化合物、テルル、テルル化合物、アルミナ、アルミナ化合物、及びこれらの混合物のうち少なくともいずれか1つを主な組成とするものをガラス器用素地とすることができる。
また、表面の主成分がケイ素及びケイ酸化合物である素地には、陶磁器用素地又は琺瑯用素地が施釉されて乾燥し焼成されたもの、ガラス器用素地が施釉されて乾燥し焼成されたもの、ガラス器用素地そのもの、ガラス器用素地の表面に寒天層を有するもの、を含めることができる。
(セルロースナノファイバー)
セルロースナノファイバーは、セルロース繊維の水素結合点を増やし、もって成形体の強度を向上する役割を有する。セルロースナノファイバーは、原料パルプを解繊(微細化)することで得ることができる。セルロースナノファイバーは化学処理、機械処理等公知の処理手法で製造することができる。その中でもリグニン含有量が20〜40質量%、保水度が150〜300%のセルロースナノファイバーが所望の保水度、B型粘度等を備え、好適である。
セルロースナノファイバーの原料パルプとしては、例えば、広葉樹、針葉樹等を原料とする木材パルプ、ワラ・バガス・綿・麻・じん皮繊維等を原料とする非木材パルプ、回収古紙、損紙等を原料とする古紙パルプ(DIP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができるが、陶磁器やガラス器に塗布する塗料のセルロースナノファイバーについてはリグニンを含有し、保水度が相対的に低くなる原料パルプがよい。なお、以上の各種原料は、例えば、セルロース系パウダーなどと言われる粉砕物の状態等であってもよい。
ただし、不純物の混入を可及的に避けるために、木材パルプを使用するのが好ましい。木材パルプとしては、例えば、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ等(DP)等の化学パルプ、機械パルプ(TMP)の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
機械パルプを原料とするセルロースナノファイバーが含有された水性塗料を素地に描画すると、この水性塗料は伸びがよく、かすれにくく、また色ムラや塗りムラが発生しづらいことを発明者等は知見している。発明者等は、機械パルプ以外のパルプ(例えば、広葉樹クラフトパルプや針葉樹クラフトパルプ、竹)についても解繊してセルロースナノファイバーを得て、このセルロースナノファイバーが含有された水性塗料を素地に描画して陶磁器等を製造した。しかしながら、機械パルプ由来のセルロースナノファイバーが含有された水性塗料が、他のパルプ由来のセルロースナノファイバーが含有された水性塗料よりも伸びがよく、色ムラや塗りムラの発生が抑制されることを併せて知見した。
機械パルプとしては、例えば、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、晒サーモメカニカルパルプ(BTMP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。機械パルプはリグニン含有量が20質量%以上とされている。ここで、リグニン含有量とは、パルプの固形物量に占めるリグニンの質量%をいう。
描画時における水性塗料の伸び、焼成の観点からは、原料パルプとしてリグニンを含有するパルプを使用するのが好ましく、機械パルプを使用するのがより好ましく、着色基材を色鮮やかさが発揮されるためには晒機械パルプを使用するのがさらに好ましく、BTMPを使用するのが特に好ましい。描画するときの水性塗料の伸びがよいと、塗りムラや色ムラや塗りムラが抑制され、焼成後の成形体表面に小さな膨れなどが抑制され、審美的に優れたものとなる。
機械パルプは他のパルプと比較してリグニン含有量が多く好ましい。また、機械パルプを原料とするセルロースナノファイバーは他のパルプを原料とするセルロースナノファイバーよりも平均繊維径が相対的に大きいため、機械パルプを原料とするセルロースナノファイバーの保水度やB型粘度が低く、このセルロースナノファイバーが含有された塗料の伸びがよい。よって、一般的に、焼成後に描画表面にできやすい小さな膨れが、できにくく滑らかな表面となる。
セルロースナノファイバーの解繊に先立っては、化学的手法によって前処理することもできる。化学的手法による前処理としては、例えば、酸による多糖の加水分解(酸処理)、酵素による多糖の加水分解(酵素処理)、アルカリによる多糖の膨潤(アルカリ処理)、酸化剤による多糖の酸化(酸化処理)、還元剤による多糖の還元(還元処理)、TEMPO触媒による酸化(酸化処理)、リン酸エステル化(化学的処理)等を例示することができる。
解繊に先立って酵素処理や酸処理、酸化処理を施すと、保水度を比較的低くでき、かつ均質性を高くすることができる。この点、セルロースナノファイバーの保水度が高過ぎると、水性塗料がよく伸びにくくなる。これはおそらく、水性塗料が水分を多く含むため、水分子相互の水素結合により水分子が凝集して液滴化しやすくなることによるものと推測される。
原料パルプを酵素処理や酸処理、酸化処理すると、パルプが持つヘミセルロースやセルロースの非晶領域が分解され、結果、微細化処理のエネルギーを低減することができ、セルロース繊維の均一性や分散性を向上することができる。セルロース繊維の分散性は、例えば、成形体の均質性向上に資する。ただし、前処理は、セルロースナノファイバーのアスペクト比を低下させるため、過度の前処理は避けるのが好ましい。
原料パルプの解繊は、例えば、ビーター、高圧ホモジナイザー、高圧均質化装置等のホモジナイザー、グラインダー、摩砕機等の石臼式摩擦機、単軸混練機、多軸混練機、ニーダーリファイナー、ジェットミル等を使用して原料パルプを叩解することによって行うことができる。ただし、リファイナーやジェットミルを使用して行うのが好ましい。
原料パルプの解繊について、機械パルプは化学パルプよりも解繊しにくく、機械パルプの中でもリグニンの含有量が多いパルプほど解繊しにくいことを発明者等は知見している。
原料パルプの解繊は、得られるセルロースナノファイバーの平均繊維径、平均繊維長、保水度、擬似粒度分布のピーク値、水性塗料のB型粘度が、以下に示すような所望の値又は評価となるように行うのが好ましい。
セルロースナノファイバーの平均繊維径(平均繊維幅。単繊維の直径平均。)は、好ましくは20〜80nm、より好ましくは30〜70nm、特に好ましくは50〜70nmである。セルロースナノファイバーの平均繊維径が20nmを下回ると、セルロースナノファイバーの保水度が大きくなり過ぎ、水性塗料の伸びが悪化するおそれがある。
他方、セルロースナノファイバーの平均繊維径が80nmを上回ると、水素結合点の増加効果が得られないおそれがある。
特に、機械パルプから得られるセルロースナノファイバーの平均繊維径は30〜80nm、より好ましくは40〜70nm、さらに好ましくは50〜70nmとすると、適度な保水度を有し好適である。
セルロースナノファイバーの平均繊維径は、例えば、原料パルプの選定、前処理、解繊等によって調整することができる。
セルロースナノファイバーの平均繊維径の測定方法は、次のとおりである。
まず、固形分濃度0.01〜0.1質量%のセルロースナノファイバーの水分散液100mlをテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターでろ過し、エタノール100mlで1回、t−ブタノール20mlで3回溶媒置換する。次に、凍結乾燥し、オスミウムコーティングして試料とする。この試料について、構成する繊維の幅に応じて3,000倍〜30,000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡SEM画像による観察を行う。具体的には、観察画像に二本の対角線を引き、対角線の交点を通過する直線を任意に三本引く。さらに、この三本の直線と交錯する合計100本の繊維の幅を目視で計測する。そして、計測値の中位径を平均繊維径とする。
機械パルプから得られるセルロースナノファイバーの平均繊維長(単繊維の長さ)は、好ましくは200〜1300μm、より好ましくは200〜1000μm、特に好ましくは200〜800μmである。セルロースナノファイバーの平均繊維長が200μmを下回ると、水性塗料中においてセルロースナノファイバーが均一に分散しづらくなるおそれがある。分散性の低下は、色ムラや塗りムラを発生させる原因となる。
他方、セルロースナノファイバーの平均繊維長が1300μmを上回ると、繊維相互が絡み易くなり、繊維と着色基材との付着度合が比較的小さいと推測され、結果、中間成形体や製品における水性塗料の色ムラや塗りムラが発生しやすくなる。
セルロースナノファイバーの平均繊維長は、例えば、原料パルプの選定、前処理、解繊等によって調整することができる。
セルロースナノファイバーの平均繊維長の測定方法は、平均繊維径の場合と同様にして、各繊維の長さを目視で計測する。計測値の中位長を平均繊維長とする。
セルロースナノファイバーの保水度は、例えば150%以上とするとよく、好ましくは200%、より好ましくは220%、さらに好ましくは250%である。セルロースナノファイバーの保水度が150%を下回ると、セルロースナノファイバーの分散性が悪化し、ひいてはセルロースナノファイバーに付着する着色基材の分散性も悪化するおそれがある。
他方、セルロースナノファイバーの保水度が250%を上回ると、セルロースナノファイバー自体の保水力が高くなり、水分子相互による液滴化が生じ、素地又は釉薬層において水性塗料による薄膜形成がしづらくなる。
セルロースナノファイバーの保水度は、例えば、原料パルプの選定、前処理、解繊等によって調整することができる。
セルロースナノファイバーの保水度は、JAPAN TAPPI No.26(2000)に準拠して測定した値である。
セルロースナノファイバーの擬似粒度分布曲線におけるピーク値は、1つのピークであるのが好ましい。1つのピークである場合、同一のパルプから解繊されたセルロースナノファイバーは、繊維長及び繊維径の均一性が高く、水性塗料中におけるセルロースナノファイバーの分散性が優れたものとなる。
セルロースナノファイバーのピーク値は、ISO−13320(2009)に準拠して測定した値である。セルロースナノファイバーは、水分散状態でレーザー回折法により測定される擬似粒度分布曲線において単一のピークを有することが好ましい。このように、一つのピークを有するセルロースナノファイバーは、十分な微細化が進行しており、セルロースナノファイバーとしての良好な物性を発揮することができ、得られる水性塗料による描画が均一化され好ましい。なお、上記単一のピークとなるセルロースナノファイバーの粒径の擬似粒度分布の中位径が例えば5μm〜60μmである形態も好ましい。セルロースナノファイバーが上記サイズであることで、セルロースナノファイバーが水性塗料に適度に分散され、水性塗料による均質な描画を行うことができる。「擬似粒度分布曲線」とは、粒度分布測定装置( 例えば堀場製作所の粒度分布測定装置「LA−960S」)を用いて測定される体積基準粒度分布を示す曲線を意味する。
セルロースナノファイバーの粒径における最頻値、及び擬似粒度分布の中位径は、例えば、原料パルプの選定、前処理、解繊等によって調整することができる。
解繊して得られたセルロースナノファイバーは、必要により、着色基材と混合するのに先立って水系媒体中に分散して分散液としておくことができる。水系媒体は、全量が水であるのが特に好ましい(水溶液)。ただし、水系媒体は、一部が水と相溶性を有する他の液体であってもよい。他の液体としては、例えば、炭素数3以下の低級アルコール類等を使用することができる。
セルロースナノファイバーが2〜4質量%、好ましくは3〜4質量%含有する水性塗料の形態は好ましい。4質量%を超えると、水性塗料におけるセルロースナノファイバーの分散性が悪くなる。また、2質量%未満だと、色ムラや塗りムラの抑制効果や、塗布対象物への密着効果が奏し難いものとなる。
また、セルロースナノファイバーに含まれるリグニン含有量は、20〜40質量%、より好ましくは30〜40質量%、さらに好ましくは30〜35質量%である形態は好ましい。リグニン含有量が40質量%を超えると、リグニンが有する疎水性の性質により、塗料が親水成分と疎水成分に分離しやすくなり、色ムラや塗りムラの原因となるおそれがある。また、リグニン含有量が20質量%未満だと、セルロースナノファイバーが三次元ネットワーク構造を維持し難くなると推測され、また、セルロースナノファイバーの保水度が大きくなり過ぎ、結果、水性塗料の伸びが悪くなる。
セルロースナノファイバーと着色基材が含まれた塗料では、セルロースナノファイバーに着色基材が付着されているものと推測される。そのため、セルロースナノファイバーが適度に水性塗料中に分散していることで、着色基材も分散性に優れたものとなる。例えば、着色基材1質量部に対してセルロースナノファイバーが0.02〜0.04質量部、より好ましくは0.03〜0.04質量部含まれている形態を例示できる。この範囲を超えると、着色基材に対してセルロースナノファイバー量が多すぎて、塗料全体における着色基材の分散性が不十分である。また、この範囲未満だと、塗料全体において着色基材の分散性が良くなく、塗料の色ムラの原因となる。
セルロースナノファイバーはその主な化学組成が有機物であり、僅かに無機物も含まれる。焼成する工程でセルロースナノファイバーの有機分は消失する。また、CMCは有機物であり、焼成する工程で消失する。
水性塗料のB型粘度は、例えば、200〜600cps、より好ましくは300〜600cps、特に好ましくは400〜600cpsである形態は好ましい。B型粘度が600cpsを超えると、塗料を描画する際、塗料の伸びが悪くなる。また、200cps未満だと、描画された箇所から塗料が流れたり、液だれすることになる。
(リグニン)
リグニンは、リグニンをセルロースナノファイバーに別途添加し、混合することで所望の含有量にすることも、セルロースナノファイバーの原料パルプやパルプとしてリグニン含有パルプを使用することで上記含有量にすることも、これら両者によることもできる。ただし、セルロースナノファイバーの原料パルプやパルプとしてリグニン含有パルプを使用する方が好ましい。リグニン含有パルプを使用すると、セルロースナノファイバーの吸水性が低下し、塗料が必要以上に水っぽくならなくてよい。しかも、リグニン含有パルプにおいてはセルロースナノファイバー自体とリグニンとが化学結合及び/または物理的吸着を介して繋がっているため、セルロースナノファイバーを塗料に含めた場合に所望の分散性が得られる。さらには、リグニンを別途添加する場合に比べて、工程数を減らせることからコストを抑えることができる。
リグニンを別途添加する場合、例えば、クラフトリグニン、サルファイトリグニン、ソーダリグニン、Klasonリグニン、酸可溶性リグニン、ミルドウッドリグニン等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。ただし、元々植物繊維に存在しているリグニンと形態や化学構造等がもっとも近いと言われるミルドウッドリグニンを使用するのが好ましい。
リグニンの含有量は、リグニン含有率試験方法(JAPAN TAPPI No.61(2000))に準拠して行うことで測定した値である。なお、カッパー価試験方法(JIS P 8211(2011))に準拠した方法でもリグニン含有量を測定することができる。
なお、リグニンは熱可塑性を有することが知られており(例えば、特開2012−236811号公報参照。)、融点(当該文献では融点160〜174℃とされている。)以上の温度で成形加工すると、溶融したリグニンが塗料全体に行き渡ることで均質化し、増粘剤の均質化にも寄与し、全体としての塗料の密着性が向上するものと考えられる。
(塗料)
塗料には、例えば、着色基材、セルロースナノファイバーのほか、珪石粉(SiO2粉末)を加えることができる。そして、水にこれらの混合物が実質均一に分散されて水性塗料となる。
(釉薬)
釉薬は、ガラス質であり、公知の組成を含むが、例えば、灰(媒熔原料)、粘土(接着材)、長石(接着材・媒熔原料・ガラス原料)、けい石(ガラス原料)を含んでよい。灰は、酸化カルシウム等の石灰質を主成分とするものであり、高温で溶けてガラス化したり、媒熔原料として他の成分も溶けやすくして、釉薬の流動性を高める機能がある。さらに、含まれる発色成分(銅や鉄分等)が含まれていると発色効果が奏される。
釉薬の化学成分は、ケイ酸及びケイ酸化合物、アルミナ及びアルミナ化合物、酸化カリウム及び酸化カリウム化合物、酸化カリウム及び酸化カリウム化合物、酸化ナトリウム及び酸化ナトリウム化合物、酸化鉄及び酸化鉄化合物等であり、その他カドミウム及びカドミウム化合物や鉛及び鉛化合物等が含有されていてもよい。また、換言するとケイ酸及びケイ酸化合物は、焼成された釉薬の主成分であり、釉薬の種類にもよるが、この釉薬のうちのおよそ45〜80%を占める。
釉薬は、例えば、次記の組成とすることができるが、これに限られるものではない。福島長石35.4wt%、石灰石18.6wt%、朝鮮カオリン17wt%、けい石29wt%に同量の水を加えてボールミルで攪拌した後、ふるいを通して脱鉄し、水を加えて比重を調製したものを釉薬Aとする。さらに、この釉薬A297gに対して3gのCMCを加えて溶解させたものを釉薬Bとする。
(陶磁器及び琺瑯製造)
素地が陶磁器の基となる素地(以下、陶磁器用素地11ともいう。)である場合、陶磁器用素地11に釉薬をかけて(すなわち、施釉して)、室温〜105℃で乾燥させ(製造工程S11)、1200〜1300℃で焼成することで、表面がガラス質の釉薬層21で覆われた素地(釉薬層素地ともいう。)を得る(製造工程S12)。これにより、陶磁器用素地11は、その表面の主成分がケイ酸及びケイ酸化合物で覆われたものとなる。焼成条件は、例えば、950℃まで9時間30分かけて昇温させ、続いて、1250℃まで5時間かけて昇温させる。1250℃を30分間維持し、その後、自然冷却する。
素地が琺瑯の基となる素地(以下、琺瑯用素地ともいう。)である場合、琺瑯用素地に釉薬をかけて(すなわち、施釉して)、室温〜105℃で乾燥させ(製造工程S11)、1200〜1300℃で焼成することで、表面がガラス質の釉薬層21で覆われた素地(釉薬層素地ともいう。)を得る(製造工程S12)。これにより、琺瑯用素地は、その表面の主成分がケイ酸及びケイ酸化合物で覆われたものとなる。焼成条件は、例えば、950℃まで9時間30分かけて昇温させ、続いて、1250℃まで5時間かけて昇温させる。1250℃を30分間維持し、その後、自然冷却する。
施釉は、素地表面全体に行ってもよいし、一部におこなってもよい。貫入を生じることもあるが、素地表面全体を覆う形態が好ましい。水分は釉薬層に滲入し難い。また、水などに釉薬を分散させたものを素地にかける場合も施釉に含まれる(ここで、陶磁器又は琺瑯の製造において、素地とは「陶磁器用素地11又は琺瑯用素地」をいうこともできる。)。
<単層>
得られた釉薬層素地に、水性塗料で第1図柄30aを描画し、例えば、60〜105℃で1時間乾燥して第1描画成形体を得る(製造工程S13)。
第1描画成形体を施釉(浸漬)し、図柄に施釉をかけて、例えば、再度60〜105℃で1時間乾燥させ(製造工程S21)、1220℃で焼成することで、焼成された水性塗料が釉薬で被覆されて、釉薬層20aが形成される。すなわち、釉薬層20aは焼成された水性塗料が釉薬で被覆されてなるものであり、釉薬層20aで第1描画成形体が被覆されて、第1釉薬層成形体が形成される(製造工程S22)。焼成条件は、例えば、950℃まで9時間30分かけて昇温させ、続いて、1220℃まで5時間かけて昇温させる。1220℃を30分間維持し、その後、自然冷却する。この第1釉薬層成形体を最終製造製品とすることもできるが、第1釉薬層成形体に、さらに釉薬層を1層以上重ねた、複数層からなる陶磁器又は琺瑯を製造することができる。この製造手法を次記に示す。
従来、第1釉薬層成形体の表面、すなわち釉薬層の表面は非常に滑らかであり、この表面に水性塗料で描画したとしても、表面が水性塗料をはじき、水性塗料が同表面に定着しづらいものであった。しかしながら、セルロースナノファイバーが含有された塗料は、同表面に定着し易いので、同表面からはじかれにくく、かつ、乾燥後には、親水性となるため、釉薬(水に分散)が容易に塗布できる。よって、この塗料の描画とそれに続く釉薬層による被覆を行うことが可能となる。
釉薬層の表面に描く方法としては、上絵付けが知られているが、図柄表面に釉薬層が形成できないため、耐久性に劣り、食洗器の繰り返し洗浄などで容易に退色してしまうことが知られている。
<複数層>
前述の第1釉薬層成形体に水性塗料で第2図柄30bを描画し、例えば、60〜105℃で1時間乾燥して第2描画成形体を得る(製造工程S23)。
得られた第2描画成形体を施釉し、例えば、60〜105℃で1時間乾燥させ(製造工程S24)、焼成することで、焼成された水性塗料が釉薬で被覆されて、釉薬層20bが形成される。すなわち、釉薬層20bは焼成された水性塗料が釉薬で被覆されてなるものであり、釉薬層20bで第2描画成形体が被覆されて、第2釉薬層成形体が形成される(製造工程S25)。焼成条件は、例えば、製造工程S22の焼成条件と同様としてよい。
第2釉薬層成形体に水性塗料で第3図柄30cを描画し、例えば、60〜105℃で1時間乾燥して第3描画成形体を得る(製造工程S26)。
得られた第3描画成形体を施釉し、第3図柄30cに施釉をかけて、例えば、室温〜105℃で1時間乾燥させ(製造工程S27)、1220℃で焼成することで、焼成された水性塗料が釉薬で被覆されて、釉薬層20cが形成される。すなわち、釉薬層20cは、焼成された水性塗料が釉薬で被覆されてなるものであり、釉薬層20cで第3描画成形体が被覆されて、第3釉薬層成形体が形成される(製造工程S28)。焼成条件は、例えば、製造工程S22の焼成条件と同様としてよい。
以上の一連の工程により製造された第2釉薬層成形体又は第3釉薬層成形体を、製品としての陶磁器10又は琺瑯とすることができる。このようにして製造された陶磁器又は琺瑯では、素地表面の外方に向けて、第1図柄30a、第2図柄30b、第3図柄30cが釉薬層をそれぞれ介して備わる。よって、奥行きを有する図柄を備えた陶磁器又は琺瑯を楽しむことができる。
また、前述の工程では、釉薬層が3層重なる陶磁器又は琺瑯の製造手法を説明したが、図柄と釉薬層はそれぞれ3層に限らず、それぞれ4層以上重ねてもよい。そうすることで、釉薬層が複数層で形成される陶磁器又は琺瑯となる。
(ガラス器製造)
<単層>
素地がガラス器の基となる素地(以下、ガラス器用素地41ともいう。)である場合、ガラス器用素地41に釉薬をかけて(すなわち、施釉して)、60〜105℃で乾燥させ、焼成することで、表面がガラス質の釉薬層21で覆われた素地(釉薬層素地ともいう。)を得る。しかしながら、素地がガラス器用素地41である場合は、この手順を省略できる。すなわち、ガラス器用素地41に直接、水性塗料で図柄を描画してもよい。ガラス器用素地41は、その主成分がケイ酸及びケイ酸化合物であり、ガラス器用素地41の表面の主成分もケイ酸及びケイ酸化合物であることは言うまでもない。
なお、ガラス器用素地41の表面に例えば、0.1〜3.0%寒天水溶液を塗布して60〜105℃で1時間乾燥させ、寒天層を形成させて、寒天層で被覆されたガラス器素地を形成してもよい。この場合は、この寒天層上に水性塗料で描画することができる。寒天層とセルロースナノファイバーとの密着性は優れるので、水性塗料の描画が容易である。
釉薬層素地又はガラス器用素地41に、水性塗料で第1図柄30aを描画し、例えば、60〜105℃で1時間乾燥して第1描画成形体を得る(製造工程S33)。
第1描画成形体を施釉(浸漬)し、図柄に施釉をかけて、例えば、再度60〜105℃で1時間乾燥させ(製造工程S41)、580〜780℃で焼成することで、焼成された水性塗料が釉薬で被覆されて、第1描画成形体の表面に釉薬層20aが形成される。すなわち、釉薬層20aは焼成された水性塗料が釉薬で被覆されてなるものであり、釉薬層20aで第1描画成形体が被覆されて、第1釉薬層成形体が形成される(製造工程S42)。焼成条件は、例えば、550℃まで5時間30分かけて昇温させ、続いて、780℃まで5時間かけて昇温させる。780℃を30分間維持し、その後、自然冷却する。この第1釉薬層成形体を最終製造製品とすることもできるが、第1釉薬層成形体に、さらに釉薬層を1層以上重ねた、複数層からなるガラス器を製造することができる。この製造手法を次記に示す。
<複数層>
前述の第1釉薬層成形体に水性塗料で第2図柄30bを描画し、例えば、60〜105℃で1時間乾燥して第2描画成形体を得る(製造工程S43)。
得られた第2描画成形体を施釉し、第2図柄30bに施釉をかけて、例えば、60〜105℃で1時間乾燥させ(製造工程S44)、1200〜1300℃で焼成することで、焼成された水性塗料が釉薬で被覆されて、釉薬層20bが形成される。すなわち、釉薬層20bは焼成された水性塗料が釉薬で被覆されてなるものであり、釉薬層20bで第2描画成形体が被覆されて、第2釉薬層成形体が形成される(製造工程S45)。焼成条件は、例えば、製造工程S22の焼成条件と同様としてよい。
第2釉薬層成形体に水性塗料で第3図柄30cを描画し、例えば、60〜105℃で1時間乾燥して第3描画成形体を得る(製造工程S46)。
得られた第3描画成形体を施釉し、第3図柄30cに施釉をかけて、例えば、60〜105℃で1時間乾燥させ(製造工程S47)、580〜780℃で焼成することで、焼成された水性塗料が釉薬で被覆されて、釉薬層20cが形成される。すなわち、釉薬層20cは、焼成された水性塗料が釉薬で被覆されてなるものであり、釉薬層20cで第3描画成形体が被覆されて、第3釉薬層成形体が形成される(製造工程S48)。焼成条件は、例えば、製造工程S22の焼成条件と同様としてよい。
以上の一連の工程により製造された第2釉薬層成形体又は第3釉薬層成形体を、製品としてのガラス器40とすることができる。
このようにして製造されたガラス器では、素地表面の外方に向けて、第1図柄30a、第2図柄30b、第3図柄30cが釉薬層をそれぞれ介して備わる。よって、奥行きを有する図柄を備えたガラス器を楽しむことができる。
また、前述の工程では、釉薬層が3層重なるガラス器の製造手法を説明したが、図柄と釉薬層はそれぞれ3層に限らず、それぞれ4層以上重ねてもよい。そうすることで、釉薬層が複数層で形成されるガラス器となる。
また、この水性塗料を使用することで、既存の陶磁器類にさらに図柄を描画したい場合も、前述の手順で後付けで図柄を追加することができる。
(塗料の処方)
<実施例1>
顔料(日陶顔料工業(株)グリーンM−142)0.30g、セルロースナノファイバー(機械パルプ漂白品)0.93g(質量比2%水分散液)、を混合して塗料を製造し、これを実施例1とした。セルロースナノファイバーについては、ナイヤガラビーター又はシングルディスクリファイナーで微細繊維の割合が80%以上まで機械パルプ漂白品を叩解処理して処理物を得て、その処理物を高圧ホモジナイザーで10〜20回循環させて微細化処理して、平均繊維幅50nm、保水度243%、リグニン含有率30.9%、B型粘度590cpsのセルロースナノファイバーを得た。
<比較例1〜3>
上記、実施例1について、セルロースナノファイバー(機械パルプ漂白品)を、広葉樹化学パルプ漂白セルロースナノファイバー、針葉樹化学パルプ漂白セルロースナノファイバー、TEMPO酸化セルロースナノファイバーに置き換え、他は同一条件で同じ割合で混合して塗料を製造して、それぞれ比較例1〜3とした。広葉樹化学パルプ漂白セルロースナノファイバーは平均繊維幅31nm、保水度が355%、リグニン含有量が1.8%、B型粘度が2,700cpsである。TEMPO酸化セルロースナノファイバーは、平均繊維幅が3〜4nm、B型粘度が10,000以上で、保水度については上記の方法で測定できなかった。
(塗布試験)
タイルに前述の塗料(実施例1、比較例1〜3)をそれぞれ塗布して塗布物を得た。これら塗布物を105℃で1時間乾燥させ、950℃で9時間30分、1220℃で4時間30分かけて昇温した。その後、常温まで自然冷却した。そして、冷却された塗布物について、塗りムラや色ムラがあるかを目視で確認した。結果を表1及び図5、6に示す。
Figure 2021054916
実施例1では塗りムラや色ムラがなく良好な結果が得られた。これを「〇」と評価した。比較例1〜3では、塗りムラや色ムラが発生し良好な結果が得られなかった。これを「×」と評価した。
図5はガラス面で覆われた素地に実施例1、比較例2を描画したものを示す図である。図5(a)の星型描画41は実施例1を塗布したものであり、これを焼成したものが図5(b)の星型描画42である。図5(c)の星型描画41は実施例1を塗布したものであり、これを焼成したものが図5(d)の星型描画42である。図5(a)及び(b)には塗りムラ、色ムラが見られなかった。図5(c)には塗りムラ51が、図5(d)には色ムラ52が見られた。
図6はガラス面で覆われた素地に比較例1及び3を描画したものを示す図である。図6(a)の星型描画41は比較例1を塗布したものであり、これを焼成したものが図6(b)の星型描画42である。図6(c)の星型描画41は比較例3を塗布したものであり、これを焼成したものが図6(d)の星型描画42である。図6(a)には塗りムラ51が見られた、(b)には色ムラ52が見られた。図6(d)には色ムラ52が見られた。
本発明は、上記の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
セルロースナノファイバーの形態は、粉末、ペースト、スラリー等のどのような形態でも適用可能であり、セルロースナノファイバーを分散させる媒体は、水に限らず、有機溶媒その他の流動体を適宜適用可能である。
(その他)
・遠心分離機は、HITATHI冷却遠心分離機CR22Nを使用した。
・顔料その他の平均粒子径はJIS Z 8825:2013に準拠して測定した値である。
・室温とは、一般的な家屋内の温度をいうが、例えば、1〜30℃、より好ましくは15〜25℃をいう。
・セルロースナノファイバーの分散液(又は水分散液)のB型粘度(固形分濃度1%)は、JIS−Z8803(2011)の「液体の粘度測定方法」に準拠して測定した値である。B型粘度は分散液を攪拌したときの抵抗トルクであり、高いほど攪拌に必要なエネルギーが多くなることを意味する。
本発明は、水性塗料と陶磁器類と絵付け方法として利用可能である。
10 陶磁器
11 陶磁器用素地
20a 釉薬層
20b 釉薬層
20c 釉薬層
21 釉薬層
30a 第1図柄
30b 第2図柄
30c 第3図柄
40 ガラス器
41 ガラス器用素地

Claims (13)

  1. 着色基材と、
    リグニン含有量が20〜40質量%、保水度が150〜300%であるセルロースナノファイバーとが含有され、
    B型粘度が200〜600cpsである、
    ことを特徴とする水性塗料。
  2. 前記セルロースナノファイバーが2〜4質量%含有する、
    請求項1に記載の水性塗料。
  3. 前記着色基材1質量部に対して、前記セルロースナノファイバーが0.02〜0.04質量部含まれる、
    請求項1に記載の水性塗料。
  4. 表面の主成分がケイ酸及びケイ酸化合物である素地に、
    請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水性塗料が描画された陶磁器類。
  5. ガラス器用素地と、
    前記ガラス器用素地を被覆する釉薬層とを備え、
    前記釉薬層は、焼成された請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水性塗料が釉薬で被覆されてなるものである、
    ことを特徴とするガラス器。
  6. 釉薬で被覆された陶磁器用素地と、
    前記陶磁器用素地を被覆する釉薬層とを備え、
    前記釉薬層は、焼成された請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水性塗料が釉薬で被覆されてなるものである、
    ことを特徴とする陶磁器。
  7. 釉薬で被覆された琺瑯用素地と、
    前記琺瑯用素地を被覆する釉薬層とを備え、
    前記釉薬層は、焼成された請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水性塗料が釉薬で被覆されてなるものである、
    ことを特徴とする琺瑯。
  8. 前記釉薬層が複数層で形成される、
    請求項5に記載のガラス器。
  9. 前記釉薬層が複数層で形成される、
    請求項6に記載の陶磁器。
  10. 前記釉薬層が複数層で形成される、
    請求項7に記載の琺瑯。
  11. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水性塗料を、表面の主成分がケイ酸及びケイ酸化合物である素地に描画して、乾燥させて、第1描画成形体を得る工程と、
    前記第1描画成形体に釉薬をかけて、焼成して第1釉薬層成形体を得る工程と、
    を有することを特徴とする絵付け方法。
  12. 前記第1釉薬層成形体に前記水性塗料を描画して乾燥させて、第2描画成形体を得る工程と、
    前記第2描画成形体に釉薬をかけて、焼成して第2釉薬層成形体を得る工程と、
    を有する、請求項11に記載の絵付け方法。
  13. 前記第2釉薬層成形体に前記水性塗料を描画して乾燥させて、第3描画成形体を得る工程と、
    前記第3描画成形体に釉薬をかけて、焼成して第3釉薬層成形体を得る工程と、
    を有する、請求項12に記載の絵付け方法。
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