JP2021054910A - 希土類アルミン酸塩蛍光体の製造方法、希土類アルミン酸塩蛍光体及び発光装置 - Google Patents

希土類アルミン酸塩蛍光体の製造方法、希土類アルミン酸塩蛍光体及び発光装置 Download PDF

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Abstract

【課題】発光強度が高い希土類アルミン酸塩蛍光体を提供する。
【解決手段】希土類元素Lnを含む化合物を、1000℃以上1600℃以下で第一熱処理する工程と、第一熱処理により得られた結晶子径が1500Å以上であるLnを含む酸化物と、Ceを含む化合物と、Alを含む化合物と、必要に応じてGaを含む化合物と、を原料として、得られる希土類アルミン酸塩蛍光体の化学組成におけるLnとCeの合計のモル比が3となり、AlとGaの合計のモル比が0.95以上1.05以下の変数kと5の積となり、Ceのモル比が0.005以上0.050以下の変数nと3の積となり、Gaのモル比が0以上0.6以下の変数mと変数kと5の積となるように原料を調製し、全体量に対してアルカリ土類金属元素を含む化合物をフラックスとして2.5質量%以上7.5質量%以下含む、混合物を得る工程と、混合物を1400℃以上1800℃以下で第二熱処理して、焼成物を得る工程と、を含む、希土類アルミン酸塩蛍光体の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、希土類アルミン酸塩蛍光体の製造方法、希土類アルミン酸塩蛍光体及び発光装置に関する。
発光ダイオード(Light Emitting Device、以下、「LED」ともいう。)若しくはレーザーダイオード(Laser Diode、以下、「LD」ともいう。)の発光素子と蛍光体を含む発光装置は、車載用や室内照明用の発光装置、液晶表示装置のバックライト光源、イルミネーション、プロジェクター用の光源装置などの広範囲の分野で利用されている。発光装置に用いられる蛍光体として、例えば、イットリウムを含むイットリウムアルミニウムガーネット系蛍光体(以下、「YAG系蛍光体」ともいう。)や、ルテチウムを含むルテチウムアルミニウムガーネット系蛍光体(以下、「LuAG系蛍光体」ともいう。)のような希土類アルミン酸塩蛍光体が知られている。
例えば、特許文献1に開示された発光装置には、Ceで賦活され、黄色から緑色に発光する希土類アルミン酸塩蛍光体が用いられている。
特開2015−138168号公報
本開示は、より発光強度が高い希土類アルミン酸塩蛍光体が得られる製造方法、希土類アルミン酸塩蛍光体及び発光装置を提供することを目的とする。
本開示は、以下の態様を包含する。
第一の態様は、Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも一種の希土類元素Lnを含む化合物を、1000℃以上1600℃以下の範囲内の温度で第一熱処理する工程と、
前記第一熱処理により得られた結晶子径が1500Å以上である希土類元素Lnを含む酸化物と、Ceを含む化合物と、Alを含む化合物と、必要に応じてGaを含む化合物と、を原料として、得られる希土類アルミ酸塩蛍光体の化学組成における前記希土類元素LnとCeの合計のモル比が3となり、AlとGaの合計のモル比が0.95以上1.05以下の変数kと5の積となり、Ceのモル比が0.005以上0.050以下の変数nと3の積となり、Gaのモル比が0以上0.6以下の変数mと前記変数kと5の積となるように、前記原料を調製し、前記原料の全体量に対してBa、Sr、Ca、Mg及びMnからなる群から選択される少なくとも一種の元素を含む化合物をフラックスとして2.5質量%以上7.5質量%以下含む、混合物を得る工程と、
前記混合物を1400℃以上1800℃以下の範囲内の温度で第二熱処理して、焼成物を得る工程と、を含む、希土類アルミン酸塩蛍光体の製造方法である。
第二の態様は、Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも一種の希土類元素Lnと、Ceと、Alと、Oと、必要に応じてGaを含み、化学組成1モルにおける前記希土類元素LnとCeの合計のモル比が3であり、Ceのモル比が0.005以上0.050以下の変数nと3の積であり、AlとGaの合計のモル比が0.95以上1.05以下の変数kと5の積であり、Gaのモル比が0以上0.6以下の変数mと5と前記変数kの積であり、Oのモル比が12である化学組成を有し、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定した体積基準の粒度分布における累積50%粒径Dm2が23μm以上50μm以下の範囲内であり、フィッシャーサブシーブサイザー法で測定した平均粒径Dbに対する前記累積50%粒径Dm2の粒径比Dm2/Dbが1.2以下である、希土類アルミン酸塩蛍光体である。
第三の態様は、前記希土類アルミン酸塩蛍光体と、380nm以上485nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する発光素子とを備える、発光装置である。
本発明の一態様によれば、発光強度が高い希土類アルミン酸塩蛍光体が得られる製造方法、希土類アルミン酸塩蛍光体及び発光装置を提供することができる。
以下、本発明に係る希土類アルミン酸塩蛍光体の製造方法、希土類アルミン酸塩蛍光体及び発光装置の実施形態に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は、以下の希土類アルミン酸塩蛍光体の製造方法、希土類アルミン酸塩蛍光体及び発光装置に限定されない。なお、色名と色度座標との関係、光の波長範囲と単色光の色名との関係等は、JIS Z8110に従う。
希土類アルミン酸塩蛍光体の製造方法
希土類アルミン酸塩蛍光体の製造方法は、Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも一種の希土類元素Lnを含む化合物を、1000℃以上1600℃以下の範囲内の温度で第一熱処理する工程と、前記第一熱処理により得られた結晶子径が1500Å以上である希土類元素Lnを含む酸化物と、Ceを含む化合物と、Alを含む化合物と、必要に応じてGaを含む化合物と、を原料として、得られる希土類アルミ酸塩蛍光体の化学組成における前記希土類元素LnとCeの合計のモル比が3となり、AlとGaの合計のモル比が0.95以上1.05以下の変数kと5の積となり、Ceのモル比が0.005以上0.050以下の変数nと3の積となり、Gaのモル比が0以上0.6以下の変数mと前記変数kと5の積となるように、前記原料を調製し、前記原料の全体量に対してBa、Sr、Ca、Mg及びMnからなる群から選択される少なくとも一種の元素を含む化合物をフラックスとして2.5質量%以上7.5質量%以下含む混合物を得る工程と、前記混合物を1400℃以上1800℃以下の範囲内の温度で第二熱処理して、焼成物を得る工程と、を含む。
希土類元素Lnを含む酸化物
Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも一種の希土類元素Lnを含む化合物は、1000℃以上1600℃以下の範囲内で第一熱処理によって、希土類元素Lnを含む酸化物が得られる化合物であることが好ましい。希土類元素Lnを含む化合物としては、希土類元素Lnを含む酸化物又は金属塩が挙げられる。希土類元素Lnを含む酸化物として、具体的には、Y、La、Lu、Gd、又は、Tbが挙げられる。希土類元素Lnを含む金属塩としては、シュウ酸塩、炭酸塩、塩化物、硝酸塩又は硫酸塩が挙げられる。希土類元素Lnを含む金属塩として、具体的には、YCl、Y(C、Y(CO、Y(NO、Y(SO、LaCl、La(C、La(CO、La(NO、La(SO、LuCl、Lu(C、Lu(NO、Lu(SO、GdCl、又はTbClが挙げられる。希土類元素Lnを含む化合物は、1000℃以上1600℃以下の範囲内で第一熱処理によって酸化物を得るために、第一熱処理を行う前の希土類元素Lnを含む化合物も、酸化物であることが好ましい。希土類元素Lnは、好ましくはY、Lu及びTbからなる群から選択される少なくとも一種を含み、より好ましくはY及びLuから選択される少なくとも一種を含み、さらに好ましくはYを含む。希土類元素Lnが、Yを含む場合には、黄色を含む発光スペクトルを有する希土類アルミン酸塩蛍光体を得ることができる。
第一熱処理
希土類元素Lnを含む化合物は、1000℃以上1600℃以下の範囲内で第一熱処理を行うことによって、結晶子径が1500Å以上である希土類元素Lnを含む酸化物が得られる。希土類元素Lnを含む化合物に、1000℃以上1600℃以下の範囲の第一熱処理を行うことにより、得られる希土類元素Lnを含む酸化物の結晶子径が1500Å以上と大きくなり、粒径も大きくなり、結晶構造が安定化すると推測される。希土類元素Lnを含む化合物を1000℃以上1600℃以下の範囲内で第一熱処理して得られた結晶子径1500Å以上の希土類元素Lnを含む酸化物を原料として用いて、希土類アルミン酸塩蛍光体を形成すると、メカニズムは明らかではないが、粒径が大きい希土類アルミン酸塩蛍光体が得られる。第一熱処理した希土類元素Lnを含む酸化物を、他の原料と共に混合した混合物を第二熱処理して、希土類アルミン酸塩蛍光体を形成すると、安定した結晶構造の希土類元素Lnを含む酸化物が他の原料と反応しやすくなって得られる希土類アルミン酸塩蛍光体の結晶構造も安定するため、希土類アルミン酸塩蛍光体の粒径が大きくなると推測される。希土類アルミン酸塩蛍光体の化学組成にGaを含む場合には、Gaが、1000℃以上の高温で飛散し易く、特に1000℃以上の還元雰囲気で飛散し易いため、所望の化学組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体を得難く、得られる希土類アルミン酸塩蛍光体の粒径も小さくなる傾向があった。希土類アルミン酸塩蛍光体に含まれるGaの量が多くなるほど、所望の化学組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体がより得難くなり、得られる希土類アルミン酸塩蛍光体の粒径もより小さくなる傾向が顕著であった。1000℃以上1600℃以下の範囲内で第一熱処理して得られた希土類元素Lnを含む酸化物を原料として用いて得られる希土類アルミン酸塩蛍光体は、Gaを化学組成に含む場合であっても、大きい粒径の希土類アルミン酸塩蛍光体を得ることができる。
希土類元素Lnを含む化合物を第一熱処理する温度は、1000℃以上1600℃以下の範囲内であり、好ましくは1200℃以上1500℃以下の範囲内である。希土類元素Lnを含む化合物を第一熱処理する温度が1000℃以上1600℃以下の範囲内であれば、結晶構造が安定し、結晶子径が1500Å以上である、希土類元素Lnを含む酸化物が得られる。
希土類元素Lnを含む化合物を第一熱処理する時間は、得られる酸化物の結晶構造を安定化させるために、第一熱処理の温度に達してから4時間以上保持することが好ましい。第一熱処理は、3℃/分以上7℃/分以下の範囲内で昇温し、第一熱処理の温度まで到達した後、第一熱処理の温度に到達してから、第一熱処理の温度で、好ましくは4時間以上20時間未満加熱することが好ましい。
希土類元素Lnを含む化合物を第一熱処理する雰囲気は、アルゴン、ヘリウム、窒素等の不活性ガスを含む不活性ガス雰囲気であってもよく、大気中等の酸性雰囲気であってもよい。希土類元素Lnを含む化合物が酸化物であり、不活性ガス雰囲気中で第一熱処理する場合には、不活性ガス雰囲気中に酸素を含有してもよく、不活性ガス雰囲気中の酸素の濃度は、10体積%以下であってもよい。第一熱処理する雰囲気圧力は、加圧することなく、大気圧下で希土類元素Lnを含む化合物を第一熱処理することができる。
第一熱処理して得られる希土類元素Lnを含む化合物の結晶子径は1500Å以上であり、好ましくは1500Å以上3500Å以下の範囲内であり、より好ましくは2000Å以上3500Å以下の範囲内であり、さらに好ましくは2500Å以上3500Å以下の範囲内である。第一熱処理して得られる希土類元素Lnを含む酸化物の結晶子径が1500Å以上であれば、安定した結晶構造の希土類元素Lnを含む酸化物を原料として用いて、大きい粒径の希土類アルミン酸塩蛍光体を得ることができる。結晶子径は、単結晶とみなせる集まりの大きさを表す。結晶子径の数値が大きいほど、結晶性が良い。希土類元素Lnを含む化合物を1000℃以上1600℃以下の範囲内で第一熱処理して得られる希土類元素Lnを含む酸化物は、結晶子径が1500Å以上と大きく、結晶構造が安定しているため、希土類アルミン酸塩蛍光体の原料として用いた場合には、結晶構造が安定した希土類アルミン酸塩蛍光体が得られると推測される。原料として用いる希土類元素Lnを含む酸化物の結晶子径が大きすぎると、反応性が低下し、粒径の大きい蛍光体を得難くなる場合がある。
結晶子径は、以下のように測定した値をいう。
X線回折装置を用いて試料のXRDパターンを測定する。
標準試料を用いることなく物理的な普遍定数から定量分析を行うことが可能なファンダメンタル・パラメータ(Fundamental Parameter)法を用いた解析ソフトウェアを使用して回折ピーク形状を計算し、ICDD(International Center for Diffraction Data、国際回折データセンター)のデーターベースを用いて結晶構造モデルのXRD(X−ray Diffraction)パターンをシミュレートする。
試料を測定して得られたXRDパターンと、結晶構造モデルから得られるXRDパターンとをフィッティングし、残差が最小となるように最小二乗法で最適化するリートベルト(Rietveld)法を使用して得られた数値から試料の結晶子径を測定する。希土類元素Lnを含む酸化物が、酸化イットリウムである場合には、酸化イットリウムのデータは、ICDDカードNo.ICDDカードNo.01−089−05592を用いることができる。必要があれば、YAl12単相のデータは、ICDDカードNo.01−071−0255用いることができる。
第一熱処理して得られた希土類元素Lnを含む酸化物は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定した体積基準の粒度分布における累積50%粒径Dm1が、好ましくは6.5μm以上であり、より好ましくは7.5μm以上であり、さらに好ましくは8.5μm以上であり、30μm以下であってもよい。第一熱処理して得られた希土類元素Lnを含む酸化物の粒径Dm1が6.5μm以上であれば、結晶構造が安定化している希土類元素Lnを含む酸化物を原料として用いることにより、粒径の大きな希土類アルミン酸塩蛍光体が得られる。第一熱処理して得られる希土類元素Lnを含む酸化物は、第一熱処理していない希土類元素Lnを含む酸化物よりも小さくなる場合があるが、累積50%粒径Dm1が6.5μm以上であり、結晶子径が1500Å以上であれば、原料として用いる希土類元素Lnを含む酸化物の結晶構造が安定化し、粒径の大きい希土類アルミン酸塩蛍光体が得られる。レーザー回折散乱式粒度分布測定法による体積基準の粒度分布における累積50%粒径Dm1及びDm2は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(MASTER SIZER(マスターサイザー)3000、MALVERN社製)を用いて測定することができる。
第一熱処理して得られる希土類元素Lnを含む酸化物のBET比表面積は、0.5m/g以上2.1m/g以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.6m/g以上2.0m/g以下の範囲内であり、さらに好ましくは0.7m/g以上1.8m/g以下の範囲内であり、特に好ましくは0.7m/g以上1.5m/g以下の範囲内である。第一熱処理して得られる希土類元素Lnを含む酸化物のBET比表面積が0.5m/g以上2.1m/g以下の範囲内であれば、安定した結晶構造を有する希土類元素Lnを含む酸化物が他の原料である粉体と接触しやすくなり、反応性が良くなり、粒径の大きい蛍光体を得ることができる。BET比表面積は、BET法により例えば自動比表面積測定装置を用いて測定することができる。
第一熱処理して得られる希土類元素Lnを含む酸化物以外の原料
第一熱処理して得られる希土類元素Lnを含む酸化物以外の希土類アルミン酸塩蛍光体の原料は、Ceを含む化合物、Alを含む化合物、及び必要に応じてGaを含む化合物を用いることができる。これらの化合物と、第一熱処理して得られる希土類元素Lnを含む酸化物を原料として準備し、各原料に含まれる希土類元素Ln、Ce、Al、及び必要に応じてGaが特定の範囲のモル比となるように各原料を混合する。
Ceを含む化合物、Alを含む化合物及び必要に応じて使用されるGaを含む化合物は、酸化物、金属塩が挙げられる。金属塩としては、例えば、シュウ酸塩、炭酸塩、塩化物、硝酸塩又は硫酸塩が挙げられる。原料として用いる化合物は、水和物の形態であってもよい。目的の化学組成の希土類アルミン酸塩蛍光体を得るために、Ceを含む化合物、Alを含む化合物及び必要に応じて使用されるGaを含む化合物は、酸化物を用いることが好ましい。酸化物としては、具体的には、CeO、Al、Ga、Scが挙げられる。金属塩としては、具体的には、CeCl、Ce(SO、AlCl、Al(NO、Al(SO、GaCl、Ga(NOが挙げられる。
混合物
混合物は、仕込み組成として、得られる希土類アルミン酸塩蛍光体の化学組成における希土類元素LnとCeの合計のモル比が3であり、AlとGaの合計のモル比が0.95以上1.05以下の変数kと5の積となり、Ceのモル比が0.005以上0.050以下の変数nと3の積となり、Gaのモル比が0以上0.6以下の変数mと変数kと5の積となるように各原料を調製して混合する。変数nは、好ましくは0.008以上0.045以下の範囲内の数値であり、より好ましくは0.009以上0.040以下の範囲内の数値である。
得られる希土類アルミン酸塩蛍光体の化学組成において、Gaは含まれていなくてもよいが、第一熱処理した希土類元素Lnを含む酸化物を原料として使用すると、後述する熱処理を行った場合に飛散し易いGaを含む場合であっても、粒径の大きい希土類アルミン酸塩蛍光体が得られる。希土類アルミン酸塩蛍光体の化学組成において、Gaを含む場合には、仕込み組成として、変数mが0.05以上0.6以下であることが好ましい。混合物には、Gaを含む化合物が含まれていなくてもよい。
混合物は、仕込み組成で、下記式(I)に表されるように、各原料が混合されていることが好ましい。
(Ln1−nCe(Al1−mGa5k12 (I)
式(I)中、Lnは、Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも一種の希土類元素であり、k、m、nは、それぞれ0.95≦k≦1.05、0≦m≦0.6、0.005≦n≦0.050を満たす数である。式(I)中、mは、好ましくは0.05≦m≦0.6、より好ましくは0.1≦m≦0.5、さらに好ましくは0.2≦m≦0.4を満たす数である。混合物は、仕込み組成が前記式(I)で表されるように、各原料が混合されていることによって、所望の発光ピーク波長を有し、粒径の大きな希土類アルミン酸塩蛍光体を得ることができる。
フラックス
混合物は、原料の全体量に対してBa、Sr、Ca、Mg及びMnからなる群から選択される少なくとも一種の元素を含む化合物をフラックスとして2.5質量%以上7.5質量%以下含む。原料は、具体的には、第一熱処理により得られた結晶子径が1500Å以上である希土類元素Lnを含む酸化物、Ceを含む化合物、Alを含む化合物及び必要に応じてGaを含む化合物をいい、フラックスは原料に含まない。混合物に原料とともにフラックスが含まれると、原料同士の反応がより促進され、固相反応がより均一に進行しやすい。これは、混合物を第二熱処理して焼成物を得る温度が、フラックスとして用いる化合物の液相の生成温度とほぼ同じであるか、前記生成温度よりも高い温度であるため、反応が促進されると考えられる。Ba、Sr、Ca、Mg及びMnからなる群から選択される少なくとも一種の元素を含む化合物をフラックスとして、原料の全体量に対して2.5質量%以上7.5質量%以下の範囲であるフラックスが混合物に含まれていると、第一熱処理した希土類元素Lnを含む酸化物と他の原料との反応が均一に進行し、粒径の大きな希土類アルミン酸塩蛍光体を得ることができる。混合物に含まれるフラックスの量が多すぎると、固相反応の進行にばらつきがでる場合があり、却って得られる希土類アルミン酸塩蛍光体の粒径が小さくなる場合がある。
フラックスとして用いるBa、Sr、Ca、Mg及びMnからなる群から選択される少なくとも一種の元素を含む化合物は、ハロゲン化物であることが好ましい。フラックスとして用いる化合物は、ハロゲン化物の中でも、好ましくはフッ化物及び/又は塩化物であり、より好ましくはフッ化物である。フラックスとして用いる化合物は、さらに好ましくはBaFである。フラックスとしてBaFを用いることにより、希土類アルミン酸塩蛍光体のガーネット結晶構造が安定して、ガーネット結晶構造の化学組成に成りやすいからである。原料の全体量を100質量%とした場合に、フラックスとしての化合物の含有量は、原料の全体量100質量%に対して、2.5質量%以上7.5質量%以下の範囲内であり、より好ましくは3質量%以上7質量%以下の範囲内である。混合物中のフラックスの含有量が前記範囲であると、第一熱処理した希土類元素Lnを含む酸化物と他の原料の反応がより促進され、固相反応がよりさらに均一に進行して、Gaを含場合であっても、得られる希土類アルミン酸塩蛍光体の結晶構造が安定化して、目的の化学組成を有し、粒径が大きく、発光強度の高い希土類アルミン酸塩蛍光体を得ることができる。
混合物は、目的の仕込み組成となるように各原料を秤量し、前記原料の全体量に対するフラックスの量が前記範囲内になるようにフラックスとしての化合物を秤量して、原料を調製した後、例えばボールミル、振動ミル、ハンマーミル、ロールミル、ジェットミル等の乾式粉砕機を用いて粉砕混合してもよく、乳鉢と乳棒等を用いて粉砕混合してもよく、例えばリボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、V型ブレンダー等の混合機を用いて混合してもよく、乾式粉砕機と混合機の両方を用いて粉砕混合してもよい。また、混合は、乾式混合でもよく、溶媒等を加えて湿式混合してもよい。混合は、乾式混合することが好ましい。湿式よりも乾式の方が工程時間を短縮でき、生産性の向上に繋がるからである。
第二熱処理
混合物は、黒鉛等の炭素材質、窒化ホウ素(BN)、酸化アルミニウム(アルミナ)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)の材質の坩堝、ボートに配置して第二熱処理を行うことができる。第二熱処理は、例えば、電気炉、ガス炉等を使用することができる。
混合物を第二熱処理する温度は、得られる焼成物の結晶構造が安定し、粒径の大きな焼成物を得るために、1400℃以上1800℃以下の範囲内であり、好ましくは1450℃以上1700℃以下の範囲内であり、より好ましくは1450℃以上1650度以下の範囲内である。
第二熱処理時間は、昇温速度、第二熱処理雰囲気等によって異なり、第二熱処理温度に達してから、第二熱処理温度における保持時間が、好ましくは1時間以上、より好ましくは3時間以上、さらに好ましくは5時間以上であり、好ましくは20時間以内、より好ましくは18時間以内、さらに好ましくは15時間以内である。第二熱処理時間は、第二熱処理温度に達してから第二熱処理温度における保持時間が、好ましくは5時間以上20時間以内であり、より好ましくは8時間以上15時間以内である。
第二熱処理雰囲気は、還元性雰囲気であることが好ましい。第二熱処理は、窒素、水素、還元性のある化合物、及びアンモニアの少なくとも一種を含む還元性雰囲気で行うことができる。還元力の高い雰囲気中において、混合物は反応性がよくなり、加圧することなく大気圧下で焼成して焼成物を得ることができる、また、還元力の高い雰囲気中で混合物を第二熱処理により焼成することによって、4価のCe(Ce4+)が3価のCe(Ce3+)に還元されて、焼成物中で発光に寄与する3価のCeが占める割合が増大した焼成物を得ることができる。得られた焼成物は、希土類アルミン酸塩蛍光体であり、焼成物をそのまま希土類アルミン酸塩蛍光体として用いることもでき、後述する分散処理及び/又は酸洗浄を施して、希土類アルミン酸塩蛍光体として用いることもできる。還元雰囲気で第二熱処理を行う場合であって、得られる希土類アルミン酸塩蛍光体の化学組成中にGaを含む場合には、Gaを含む化合物中のGaが飛散し易く、粒径の大きな希土類アルミン酸塩蛍光体を得難い場合がある。第一熱処理した結晶子径が1500Å以上の希土類元素Lnを含む酸化物を用いると、1400℃以上1800℃以下の範囲内の比較的低い温度で第二熱処理を行っても、結晶成長が促進し、Gaも飛散し難いため、結晶構造が安定し、目的とする化学組成を有し、粒径が大きく、発光強度の高い希土類アルミン酸塩蛍光体が得られる。
分散処理
得られた焼成物は、湿式分散し、湿式ふるい、及び沈降分級を含む分散処理工程を行なうことが好ましい。得られた焼成物は、具体的には、湿式分散し、湿式ふるいにより粗大粒子を除去した後、沈降分級を行なって微小粒子を除去することが好ましい。沈降分級は2回以上行なってもよく、沈降分級の回数は、生産性を向上する観点から20回以下であることが好ましい。分散処理によって、得られた焼成物の粒径を揃えることができる。湿式分散に用いる水性媒体としては水を用いることができる。湿式分散には、アルミナボールやジルコニアボール等の分散媒を用いてもよい。また、湿式分散する時間は、生産性を考慮して、好ましくは4時間以上50時間以内であり、さらに好ましくは5時間以上40時間以内である。
酸洗浄処理
得られた焼成物は、酸洗浄処理を行うことが好ましい。焼成物は、分散処理後、酸洗浄処理を行うことがより好ましい。焼成物は酸洗浄処理によって、焼成物の表面に付着している不純物が除去される。酸洗浄には、入手しやすく安価であるため、塩酸水溶液を用いることが好ましい。塩酸水溶液中に含まれる塩酸の濃度は、表面の不純物を除去し、焼成物の結晶構造に影響を与えない濃度であることが好ましく、好ましくは1質量%以上20質量%以下の範囲内であり、より好ましくは5質量%以上18質量%以下の範囲内である。
上述の製造方法によって得られる焼成物は、希土類アルミン酸塩蛍光体であり、得られる希土類アルミン酸塩蛍光体は、下記式(I)で表される化学組成を有することが好ましい。
(Ln1−nCe(Al1−mGa5k12 (I)
(式(I)中、Lnは、Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも一種の希土類元素であり、k、m、nは、それぞれ0.95≦k≦1.05、0≦m≦0.6、0.005≦n≦0.050を満たす数である。式(I)中、mは、より好ましくは0.05≦m≦0.6を満たす数である。化学組成中にGaを含む場合であっても、所望の化学組成を有し、所望の発光ピーク波長を有し、粒径の大きな希土類アルミン酸塩蛍光体を得ることができる。
希土類アルミン酸塩蛍光体
希土類アルミン酸塩蛍光体は、Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも一種の希土類元素Lnと、Ceと、Alと、Oと、必要に応じてGaを含み、化学組成1モルにおける前記希土類元素LnとCeの合計のモル比が3であり、Ceのモル比が0.005以上0.050以下の変数nと3の積であり、AlとGaの合計のモル比が0.95以上1.05以下の変数kと5の積であり、Gaのモル比が0以上0.6以下の変数mと前記変数kと5の積であり、Oのモル比が12である化学組成を有し、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定した体積基準の粒度分布における累積50%粒径Dm2が23μm以上50μm以下の範囲内であり、フィッシャーサブシーブサイザー法で測定した平均粒径Dbに対する累積50%粒径Dm2の粒径比Dm2/Dbが1.20以下である。希土類アルミン酸塩蛍光体は、前述の希土類アルミン酸塩蛍光体の製造方法によって製造されることが好ましく、1000℃以上1600℃以下の範囲内の温度で第一熱処理された結晶子径1500Åの希土類元素Lnを含む酸化物を原料として用いて製造されたものであることが好ましい。
希土類アルミン酸塩蛍光体は、前記式(I)で表される化学組成を有することが好ましい。希土類アルミン酸塩蛍光体中のCeは、賦活元素であり、希土類アルミン酸塩蛍光体の化学組成1モルにおけるCeのモル比は、変数nと3の積で表される。希土類アルミン酸塩蛍光体が所望発光ピーク波長と発光強度を得るために、変数nは、0.005以上0.050以下の範囲内(0.005≦n≦0.050)であり、より好ましくは0.008以上0.045以下の範囲内(0.008≦n≦0.045)であり、さらに好ましくは0.009以上0.040以下の範囲内(0.009≦n≦0.040)の数値である。
希土類アルミン酸塩蛍光体の化学組成において、希土類元素Lnは、Al及び必要に応じてGaとともに、ガーネット構造の結晶構造を構成する元素である。希土類元素Lnは、好ましくはY、Lu及びTbからなる群から選択される少なくとも一種を含み、より好ましくはY及びLuから選択される少なくとも一種を含む。希土類アルミン酸塩蛍光体の化学組成において、希土類元素LnがYを含むことにより、黄色を含む発光スペクトルを得ることができる。
希土類アルミン酸塩蛍光体の化学組成において、必要に応じて含まれるGaは、Alとともにガーネット構造の結晶骨格を形成する。希土類アルミン酸塩蛍光体の化学組成において、Gaは、0以上0.6以下の変数mと、0.95以上1.05以下の変数kと、5との積で表される。希土類アルミン酸塩蛍光体の結晶構造の安定性と所望の発光スペクトルを得るために、変数mは、0以上0.6以下の範囲内(0≦m≦0.6)であり、0.02以上0.6以下の範囲内(0.02≦m≦0.6)であり、0.05以上0.6以下の範囲内(0.05≦m≦0.6)であり、0.1以上0.5以下の範囲内(0.1≦m≦0.5)であり、0.2以上0.4以下の範囲内(0.2≦m≦0.4)であってもよい。
前記希土類アルミン酸塩蛍光体の化学組成において、変数kは、AlとGaの合計のモル比5の係数であり、希土類アルミン酸塩蛍光体の化学組成において、AlとGaの合計のモル比は、5に満たない場合や5を超える場合がある。変数kは、結晶構造の安定性の観点から、好ましくは0.95以上1.05以下の範囲内(0.95≦k≦1.05)であり、より好ましくは0.98以上1.02以下の範囲内(0.98≦k≦1.02)であり、よりさらに好ましくは0.99以上1.01以下の範囲内(0.99≦k≦1.01)の数値である。
希土類アルミン酸塩蛍光体は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定した体積基準の粒度分布における累積50%粒径Dm2が、23μm以上50μm以下の範囲内であり、好ましくは23μm以上45μm以下の範囲内であり、より好ましくは24μm以上40μm以下の範囲内である。希土類アルミン酸塩蛍光体は、累積50%粒径Dm2が23μm以上であり、粒径が大きいため、発光強度が高くなる。また、希土類アルミン酸塩蛍光体の累積50%粒径Dm2が50μm以下であれば、発光装置を製造する際の取り扱い性が良好となる。レーザー回折散乱式粒度分布測定法は、粒子に照射したレーザー光の散乱光を利用して、一次粒子及び二次粒子を区別することなく、粒度分布を測定する方法である。二次粒子は、一次粒子が凝集した粒子をいう。
希土類アルミン酸塩蛍光体は、フィッシャーサブシーブサイザーズ(Fisher sub−sieve sizer)法(以下、「FSSS法」ともいう。)によって測定される平均粒径Dbが、好ましくは23μm以上50μm以下の範囲内であり、より好ましくは23μm以上45μm以下の範囲内であり、さらに好ましくは24μm以上40μm以下の範囲内である。希土類アルミン酸塩蛍光体は、FSSS法によって測定される平均粒径Dbが23μm以上であり、粒径が大きいため、発光強度が高くなる。また、希土類アルミン酸塩蛍光体のFSSS法により測定した平均粒径Dbが50μm以下であれば、発光装置を製造する際の取り扱い性が良好となる。FSSS法は、空気透過法により粒子の粒径を求める方法の一種であり、空気の流通抵抗を利用して粒子の比表面積を測定し、粒径を求める方法である。
希土類アルミン酸塩蛍光体の平均粒径Dbに対する累積50%粒径Dm2の粒径比Dm2/Dbは、1.20以下であり、好ましくは1.19以下であり、より好ましくは1.18以下であり、さらに好ましくは1.17以下であり、特に好ましくは1.16以下である。平均粒径Dbに対する累積50%粒径Dm2の粒径比Dm2/Dbが1の値に近いほど、一次粒子が凝集した二次粒子が少なく、一次粒子が多いことを表す。一次粒子は、希土類アルミン酸塩蛍光体の結晶が成長して形成される粒子であり、粒径比Dm2/Dbが1に近いほど、安定した結晶構造を有する粒子を多く含み、累積50%粒径Dm2が23μm以上であり、粒径比Dm2/Dbが1.20以下であれば、より発光強度を高くすることができる。
希土類アルミン酸塩蛍光体の平均円相当径Deは、23μm以上50μm以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは24μm以上45μm以下の範囲内であり、さらに好ましくは25μm以上40μm以下の範囲内である。希土類アルミン酸塩蛍光体の円相当径は、蛍光体の凝集状態及び形状によっても変化する。蛍光体が一次粒子であり、蛍光体の形状が球形に近い形状である場合には、平均円相当径Deが上記の範囲内であると、希土類アルミン酸塩蛍光体は粒径が大きく、発光装置に用いた場合に発光強度を高くすることができ、製造工程における取り扱い性が良い。
希土類アルミン酸塩蛍光体の平均円相当径Deは、以下のように測定した値をいう。走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、以下、「SEM」ともいう。)を用いて得られた希土類アルミン酸塩蛍光体のSEM画像を、画像解析ソフトウェア(例えば、ImageJ)を用いて、画像解析を行い、ピクセル数が1以下の蛍光体粒子を除き、SEM画像で個々の蛍光体粒子の外形が確認できる20個以上の蛍光体粒子について2値化処理を行う。2値化処理した20個以上のサンプルについて、2値化処理した粒子形状を円と仮定し、その円の面積と等しい正円の直径を円相当径とした。測定したサンプルのうち、円相当径の大きいものから20個選択し、20個のサンプルの円相当径の算術平均値を平均円相当径Deとした。「ImageJ」は、アメリカ国立衛生研究所が開発したオープンソースでパブリックドメインの画像解析処理ソフトウェアである。
希土類アルミン酸塩蛍光体の平均粒子面積Apは、265μm以上800μm以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは300μm以上750μm以下の範囲内であり、さらに好ましくは400μm以上700μm以下の範囲内である。希土類アルミン酸塩蛍光体の平均粒子面積Apは、蛍光体の凝集状態及び形状によっても変化する。蛍光体が一次粒子であり、蛍光体の形状が球形に近い形状である場合には、平均粒子面積Apが265μm以上800μm以下の範囲内であると、希土類アルミン酸塩蛍光体は粒径が大きく、製造工程における取り扱い性が良い。希土類アルミン酸塩蛍光体は、発光装置に用いた場合の発光強度及び取り扱い性の点から、平均円相当径Deが23μm以上50μm以下の範囲内であって、かつ平均粒子面積Apが265μm以上800μm以下の範囲内であることが好ましい。
希土類アルミン酸塩蛍光体の平均粒子面積Apは、以下のように測定した値をいう。希土類アルミン酸塩蛍光体のSEM画像を、画像解析ソフトウェア(例えば、ImageJ)を用いて、画像解析を行う。希土類アルミン酸塩蛍光体のSEM画像の画像解析により、ピクセル数が1以下の蛍光体粒子を除き、SEM画像で個々の蛍光体粒子の外形が確認できる20個以上の蛍光体粒子について2値化処理を行う。2値化処理した20個以上のサンプルについて、2値化処理した粒子形状を構成するピクセル数と倍率の積を蛍光体粒子の粒子面積とした。測定したサンプルのうち、粒子面積の大きいものから20個選択し、20個のサンプルの粒子面積の算術平均値を平均粒子面積Apとした。
発光装置
希土類アルミン酸塩蛍光体は、発光素子と組み合わせることによって、発光素子から発せられた光を変換し、発光素子からの光と希土類アルミン酸塩蛍光体で波長変換された混色光を発する発光装置を構成することが可能となる。発光素子の発光ピーク波長は、350nm以上500nm以下の範囲内であってもよく、380nm以上485nm以下の範囲内であり、390nm以上480nm以下の範囲内であることが好ましい。発光素子として、例えば、窒化物系半導体(InAlGa1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を用いた半導体発光素子を用いることができる。励起光源として半導体発光素子を用いることによって、高効率で入力に対する出力のリニアリティが高く、機械的衝撃にも強い安定した発光装置を得ることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
酸化イットリウム(Y)の第一熱処理
第一熱処理を施さない酸化イットリウム1と、1000℃で第一熱処理を施した酸化イットリウム2と、1300℃で第一熱処理を施した酸化イットリウム3と、1400℃で第一熱処理を施した酸化イットリウム4と、1500℃で第一熱処理を施した酸化イットリウム5を準備した。第一熱処理は、酸化イットリウム(Y)をアルミナ坩堝に入れ、大気中、各第一熱処理温度まで3℃/分から7℃/分の昇温速度で昇温し、第一熱処理温度に達した後、第一熱処理の温度で4時間保持して加熱し、加熱後に室温まで降温し、第一熱処理した各酸化イットリウムを得た。第一熱処理前後の酸化イットリウムの結晶子径、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定した体積基準の粒度分布における累積50%粒径Dm1、BET比表面積を後述する方法で測定した。結果を以下の表1に示す。
結晶子径
第一熱処理前の酸化イットリウムと、各温度で第一熱処理した後の酸化イットリウムについて、X線回折装置(製品名:Ultima IV、株式会社リガク製)を用いてXRD測定(X−ray Diffrraction、CuKα、管電圧:40kV、管電流:20mA、走査範囲10°以上70°以下の範囲内(10°≦2θ≦70°)、線源:CuKα、走査軸:2θ/θ、測定方法:FT、係数単位:Counts、ステップ幅:0.02°、係数時間20°/分)を行った。ファンダメンタル・パラメータ法を用いた解析ソフトウェアPDXL(株式会社リガク製)を用いて測定データを読み込み、ICDDのデーターベースを用いて結晶構造モデルのXRDパターンをシミュレートし、測定して得られたXRDパターンと、結晶構造モデルから得られるXRDパターンとをフィッティングし、残差が最小となるように最小二乗法で最適化するリートベルト(Rietveld)法を使用して得られた数値から試料の結晶子径を求めた。酸化イットリウムのデータは、ICDDカードNo.ICDDカードNo.01−089−05592を用い、必要があれば、YAl12単相のデータは、ICDDカードNo.01−071−0255を用いた。
レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積50%粒径(Dm1、Dm2)
第一熱処理前の酸化イットリウムと、各温度で第一熱処理後の酸化イットリウムと、実施例及び比較例の各希土類アルミン酸塩蛍光体について、レーザー回折式粒度分布測定装置(製品名:MASTER SIZER3000、MALVERN社製)を用いて、体積基準の粒度分布における小径側からの累積50%粒径Dm1及び後述する累積50%粒径Dm2を測定した。
BET比表面積
焼成前及び焼成後の酸化セリウムについて、自動比表面積測定装置(製品名:Macsorb、株式会社マウンテック製)を用いて、BET法によりBET比表面積を測定した。
Figure 2021054910
表1に示すように、酸化イットリウムは、1000℃以上1600℃以下の範囲内で第一熱処理することによって、結晶子径が1500Å以上であり、体積基準の粒度分布における累積50%粒径Dm1が6.5μm以上、BET比表面積が2.1m/g以下である酸化イットリウムを得ることができた。
実施例1
原料の準備
第一熱処理によって得られた結晶子径が3286Åの酸化イットリウム4(Y)と、酸化セリウム(CeO)と、酸化アルミニウム(Al)と、酸化ガリウム(Ga)と、を原料として使用し、各原料を以下の表2に示す仕込み組成となるように秤量した。具体的には、Y:Ce:Al:Ga=2.960:0.04:2.55:2.60となるように秤量して、原料を調製した。原料の全体量100質量%に対して、フラックスとしてフッ化バリウム(BaF)を3.0質量%添加し、各原料をボールミルで混合して、混合物を得た。
第二熱処理
得られた混合物をアルミナ坩堝に入れ、還元性雰囲気において、1465℃で10時間第二熱処理して焼成物を得た。
分散処理工程
得られた焼成物と、分散媒であるアルミナボールと、純水とを容器に入れ、回転させながら15時間分散させた。その後湿式ふるいにより、粗大粒子を除去した。次いで、沈降分級を行なって微小粒子を除去した。
酸洗浄処理
沈降分級により得られた焼成物を塩酸の濃度が17質量%の塩酸水溶液で酸洗浄し、その後水洗いして、分離乾燥し、酸洗浄処理後の焼成物を実施例1の希土類アルミン酸塩蛍光体として得た。
実施例2
Y:Ce:Al:Ga=2.950:0.05:3.15:2.00となるように秤量して、原料を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、希土類アルミン酸塩蛍光体を得た。
実施例3
Y:Ce:Al:Ga=2.942:0.058:3.35:1.80となるように秤量して、原料を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、希土類アルミン酸塩蛍光体を得た。
実施例4
Y:Ce:Al:Ga=2.955:0.045:3.5:1.50となるように秤量して、原料を調製し、フラックスとしてフッ化バリウム(BaF)を4.0質量%添加して混合物を得たこと以外は、実施例1と同様にして、希土類アルミン酸塩蛍光体を得た。
実施例5
Y:Ce:Al:Ga=2.955:0.045:3.5:1.50となるように秤量して、原料を調製し、原料の全体量100質量%に対して、フラックスとしてフッ化バリウム(BaF)を5.0質量%添加して混合物を得たこと以外は、実施例1と同様にして、希土類アルミン酸塩蛍光体を得た。
実施例6
Y:Ce:Al:Ga=2.955:0.045:3.5:1.50となるように秤量して、原料を調製し、原料の全体量100質量%に対して、フラックスとしてフッ化バリウム(BaF)を6.0質量%添加して混合物を得たこと以外は、実施例1と同様にして、希土類アルミン酸塩蛍光体を得た。
実施例7
Y:Ce:Al:Ga=2.955:0.045:3.5:1.50となるように秤量して、原料を調製し、原料の全体量100質量%に対して、フラックスとしてフッ化バリウム(BaF)を7.0質量%添加して混合物を得たこと以外は、実施例1と同様にして、希土類アルミン酸塩蛍光体を得た。
実施例8
Y:Ce:Al:Ga=2.955:0.045:4.05:1.13となるように秤量して、原料を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、希土類アルミン酸塩蛍光体を得た。
実施例9
Y:Ce:Al:Ga=2.955:0.045:4.05:1.13となるように秤量して、原料を調製し、原料の全体量100質量%に対して、フラックスとしてフッ化バリウム(BaF)を4.0質量%添加して混合物を得たこと以外は、実施例1と同様にして、希土類アルミン酸塩蛍光体を得た。
実施例10
Y:Ce:Al:Ga=2.955:0.045:4.05:1.13となるように秤量して、原料を調製し、原料の全体量100質量%に対して、フラックスとしてフッ化バリウム(BaF)を5.0質量%添加して混合物を得たこと以外は、実施例1と同様にして、希土類アルミン酸塩蛍光体を得た。
実施例11
Y:Ce:Al:Ga=2.955:0.045:4.05:1.13となるように秤量して、原料を調製し、原料の全体量100質量%に対して、フラックスとしてフッ化バリウム(BaF)を6.0質量%添加して混合物を得たこと以外は、実施例1と同様にして、希土類アルミン酸塩蛍光体を得た。
実施例12
第一熱処理によって得られた結晶子径が1530Åの酸化イットリウム2(Y)を使用したことと、Y:Ce:Al:Ga=2.942:0.058:3.35:1.80となるように秤量して、原料を調製し、原料の全体量100質量%に対して、フラックスとしてフッ化バリウム(BaF)を4.0質量%添加した混合物を得たこと以外は実施例1と同様にして希土類アルミン酸塩蛍光体を得た。
実施例13
第一熱処理によって得られた結晶子径が2635Åの酸化イットリウム3(Y)を使用したことと、Y:Ce:Al:Ga=2.942:0.058:3.35:1.80となるように秤量して、原料を調製したことと、原料の全体量100質量%に対して、フラックスとしてフッ化バリウム(BaF)を4.0質量%添加して混合物を得たこと以外は実施例1と同様にして希土類アルミン酸塩蛍光体を得た。
実施例14
Y:Ce:Al:Ga=2.942:0.058:3.35:1.80となるように秤量して、原料を調製したことと、原料の全体量100質量%に対して、フラックスとしてフッ化バリウム(BaF)を4.0質量%添加して混合物を得たこと以外は実施例1と同様にして希土類アルミン酸塩蛍光体を得た。
実施例15
第一熱処理によって得られた結晶子径が2928Åの酸化イットリウム5(Y)を使用したことと、Y:Ce:Al:Ga=2.942:0.058:3.35:1.80となるように秤量して、原料を調製したことと、原料の全体量100質量%に対して、フラックスとしてフッ化バリウム(BaF)を4.0質量%添加して混合物を得たこと以外は実施例1と同様にして希土類アルミン酸塩蛍光体を得た。
比較例1
第一熱処理していない、結晶子径が1488Åの酸化イットリウム1(Y)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして希土類アルミン酸塩蛍光体を得た。
比較例2
Y:Ce:Al:Ga=2.95:0.05:3.15:2.00となるように秤量して、原料を調製したこと以外は比較例1と同様にして希土類アルミン酸塩蛍光体を得た。
比較例3
Y:Ce:Al:Ga=2.942:0.058:3.35:1.80となるように原料を秤量して、原料を調製したこと以外は比較例1と同様にして希土類アルミン酸塩蛍光体を得た。
比較例4
原料の準備
第一熱処理をしていない、結晶子径が1488Åの酸化イットリウム1(Y)と、酸化セリウム(CeO)と、酸化アルミニウム(Al)と、酸化ガリウム(Ga)を原料とし、Y:Ce:Al:Ga=2.960:0.04:2.55:2.60となるように秤量して、原料を調製し、原料の全体量100質量%に対して、フラックスとしてフッ化バリウム(BaF)を3.0質量%添加し、各原料をボールミルで混合して、混合物を得た。
第二熱処理
得られた混合物をアルミナ坩堝に入れ、還元性雰囲気において、1600℃で10時間第二熱処理を行い、焼成物を得た。
分散処理
得られた焼成物と、分散媒であるアルミナボールと、純水とを容器に入れ、回転させながら15時間分散させた。その後乾式ふるいにより、粗大粒子を選択的に取り出し、比較例4の希土類アルミン酸塩蛍光体として得た。
比較例5
原料の準備
第一熱処理によって得られた結晶子径が3286Åの酸化イットリウム4(Y)と、酸化セリウム(CeO)と、酸化アルミニウム(Al)と、酸化ガリウム(Ga)を原料とし、Y:Ce:Al:Ga=2.942:0.058:3.35:1.8となるように秤量して、原料を調製し、混合物を得たことを以外は、実施例1と同様にして希土類アルミン酸塩蛍光体として得た。
比較例6
第一熱処理によって得られた結晶子径が3286Åの酸化イットリウム4(Y)と、酸化セリウム(CeO)と、酸化アルミニウム(Al)と、酸化ガリウム(Ga)を原料とし、Y:Ce:Al:Ga=2.942:0.058:3.35:1.80となるように秤量し、原料を調製し、原料の全体量100質量%に対して、フラックスとしてフッ化バリウム(BaF)を1.0質量%添加して、混合物を得たこと以外は実施例1と同様にして希土類アルミン酸塩蛍光体として得た。
比較例7
第一熱処理によって得られた結晶子径が3286Åの酸化イットリウム4(Y)を使用したことと、Y:Ce:Al:Ga=2.942:0.058:3.35:1.80となるように秤量して、原料を調製し、原料の全体量100質量%に対して、フラックスとしてフッ化バリウム(BaF)を2.0質量%添加して、混合物を得たこと以外は比較例1と同様にして希土類アルミン酸塩蛍光体を得た。
比較例8
第一熱処理によって得られた結晶子径が3286Åの酸化イットリウム4(Y)と、酸化セリウム(CeO)と、酸化アルミニウム(Al)と、酸化ガリウム(Ga)と、を原料として使用し、各原料を以下の表2に示す仕込み組成となるように秤量した。具体的には、Y:Ce:Al:Ga=2.960:0.040:2.55:2.60となるように秤量して、原料を調製し、原料の全体量100質量%に対して、フラックスとしてフッ化バリウム(BaF)を8.0質量%添加して、混合物を得たこと以外は実施例1と同様にして希土類アルミン酸塩蛍光体として得た。
比較例9
Y:Ce:Al:Ga=2.955:0.045:4.05:1.13となるように秤量して、原料を調製したこと以外は比較例1と同様にして希土類アルミン酸塩蛍光体を得た。
比較例10
Y:Ce:Al:Ga=2.942:0.058:3.35:1.8となるように秤量して、原料を調製し、原料の全体量100質量%に対して、フラックスとしてフッ化バリウム(BaF)を4.0質量%添加して、混合物を得たこと以外は比較例1と同様にして希土類アルミン酸塩蛍光体を得た。
実施例及び比較例の各希土類アルミン酸塩蛍光体について、以下の分析を行い、結果を表2に示す。
FSSS法による平均粒径(Db)
実施例及び比較例の希土類アルミン酸塩蛍光体について、Fisher Sub−Sieve Sizer Model 95(Fisher Scientific社製)を用いて、気温25℃、相対湿度70%の環境下において、1cm分の試料を計り取り、専用の管状容器にパッキングした後、一定圧力の乾燥空気を流し、差圧から比表面積を読み取り、FSSS法による平均粒径を算出した。
粒径比Dm2/Db
実施例及び比較例の希土類アルミン酸塩蛍光体について、FSSS法による平均粒径Dbに対するレーザー回折散乱式粒度分布測定法で測定した体積基準の粒度分布における累積50%粒径Dm2の粒径比Dm2/Dbを算出した。
組成分析
得られた蛍光体について、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES:Inductively Coupled Plasma−Atomic Emission Spectroscopy)(製品名:Optima8300、Perkin Elmer社製)により、希土類アルミン酸塩蛍光体を構成する各元素(Y、Lu、Ce、Al、Ga、O)の質量百分率(質量%)を測定し、各元素の質量百分率の値から各元素のモル比を算出した。表2に示したY、Ce、Al、Ga、Oのモル比は、YとCeの合計のモル比である3を基準として算出した値である。Ceのモル比を、YとCeの合計のモル比3で除した値を変数nとした。Gaのモル比をAlとGaの合計のモル比と5と変数kの積で除した値を変数mとした。5は変数kの係数であり、変数kと5の積は、AlとGaの合計のモル比である。
発光強度
実施例及び比較例の希土類アルミン酸塩蛍光体について、量子効率測定装置(製品名:QE−2000、大塚電子株式会社製)を用いて、励起波長450nmの光を各蛍光体に照射し、室温(25℃±5℃)における発光スペクトルを測定し、発光スペクトルが最大となる波長を発光ピーク波長(nm)とし、発光ピーク波長における発光強度を測定した。実施例1と比較例1、実施例2と比較例2、実施例3から7と比較例3から8、実施例8から11と比較例9、実施例12から15と比較例10について、相対発光強度を算出した。具体的には、比較例1の発光強度を100%として実施例1の相対発光強度を求めた。また、比較例2の発光強度を100%として、実施例2の相対発光強度を求めた。比較例3の発光強度を100%として、実施例3から7及び比較例4から8の相対発光強度を求めた。比較例9の発光強度を100%として実施例8から11の相対発光強度を求めた。また、比較例10の発光強度を100%として、実施例12から15の相対発光強度を求めた。
平均円相当径De
実施例及び比較例の希土類アルミン酸塩蛍光体について、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて、得られたSEM画像を画像解析ソフトウェア(製品名:ImageJ、アメリカ国立衛生研究所製)を用いて、画像解析を行った。ピクセル数が1以下の蛍光体粒子を除き、SEM画像で個々の蛍光体粒子の外形が確認できる20個以上の蛍光体粒子について2値化処理を行い、2値化処理した20個以上のサンプルについて、2値化処理した粒子形状を円と仮定し、その円の面積と等しい正円の直径を円相当径とした。測定したサンプルのうち、円相当径の大きいものから20個選択し、20個のサンプルの円相当径の算術平均値を平均円相当径Deとした。
平均粒子面積Ap
実施例及び比較例の希土類アルミン酸塩蛍光体について、走査型電子顕微鏡を用いて、得られたSEM画像を画像解析ソフトウェア(製品名:ImageJ、アメリカ国立衛生研究所製)を用いて、画像解析を行った。ピクセル数が1以下の蛍光体粒子を除き、SEM画像で個々の蛍光体粒子の外形が確認できる20個以上の蛍光体粒子について2値化処理を行い、2値化処理した20個以上のサンプルについて、2値化処理した粒子形状を構成するピクセル数と倍率の積を蛍光体粒子の粒子面積とした。測定したサンプルのうち、粒子面積の大きいものから20個選択し、20個のサンプルの粒子面積の算術平均値を平均粒子面積Apとした。
Figure 2021054910
表2の実施例1から15に示すように、1000℃以上1600℃以下の範囲内で第一熱処理し、結晶子径1500Å以上の結晶子径を有する酸化イットリウムを原料として使用した希土類アルミン酸塩蛍光体は、累積50%粒径Dm2が23μm以上と、粒径が大きくなり、相対発光強度が高くなった。また、実施例1から15に示すように、1000℃以上1600℃以下の範囲内で第一熱処理し、結晶子径1500Å以上の結晶子径を有する酸化イットリウムを原料として使用した希土類アルミン酸塩蛍光体は、粒径比Dm2/Dbが1.2以下となり、一次粒子が多くなり、安定した結晶構造を有する粒子を多く含んでいた。実施例3に示すように、1000℃以上1600℃以下の範囲内で第一熱処理し、結晶子径1500Å以上の結晶子径を有する酸化イットリウムを原料として使用した希土類アルミン酸塩蛍光体は、平均円相当径Deも23μm以上に大きくなり、平均粒子面積Apも400μm以上に大きくなった。
比較例1から4、9及び10は、第一熱処理を施さない酸化イットリウムを原料として用いているため、比較例4を除き、累積50%粒径Dm2が23μm未満と小さくなり、相対発光強度が低くなった。比較例4は、累積50%粒径Dm2が23μmを超えて大きくなったが、粒径比Dm2/Dbが1.20を超えて大きくなり、一次粒子が凝集した二次粒子が多く、発光強度が低下した。
比較例5から7は、第一熱処理を施した酸化イットリウムを原料として使用した場合であっても、混合物に含まれるフラックスとしての化合物の量が、原料の全体量に対して2.5質量%未満であるため、結晶成長が促進されず、得られる希土類アルミン酸塩蛍光体の粒径比Dm2/Dbが1.2を超えて大きくなり、一次粒子が凝集した二次粒子が多く含まれ、相対発光強度が低下した。比較例8は、第一熱処理を施した酸化イットリウムを原料として使用した場合であっても、混合物に含まれるフラックスとしての化合物の量が、原料の全体量に対して7.5質量%を超えて多いため、固相反応の進行にばらつきがでて、却って得られる希土類アルミン酸塩蛍光体の累積50%粒径Dm2が23μm未満と小さくなった。
本発明の一態様に係る希土類アルミン酸塩蛍光体は、LEDやLDの発光素子と組み合わせて、車載用や一般照明用の発光装置、液晶表示装置のバックライト、プロジェクター用光源としての発光装置に利用することができる。

Claims (13)

  1. Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも一種の希土類元素Lnを含む化合物を、1000℃以上1600℃以下の範囲内の温度で第一熱処理する工程と、
    前記第一熱処理により得られた結晶子径が1500Å以上である希土類元素Lnを含む酸化物と、前記希土類元素Lnを含む酸化物と、Ceを含む化合物と、Alを含む化合物と、必要に応じてGaを含む化合物と、を原料として、得られる希土類アルミン酸塩蛍光体の化学組成における前記希土類元素LnとCeの合計のモル比が3となり、AlとGaの合計のモル比が0.95以上1.05以下の変数kと5の積となり、Ceのモル比が0.005以上0.050以下の変数nと3の積となり、Gaのモル比が0以上0.6以下の変数mと前記変数kと5の積となるように前記原料を調製し、前記原料の全体量に対してBa、Sr、Ca、Mg及びMnからなる群から選択される少なくとも一種の元素を含む化合物をフラックスとして2.5質量%以上7.5質量%以下含む、混合物を得る工程と、
    前記混合物を1400℃以上1800℃以下の範囲内の温度で第二熱処理して、焼成物を得る工程と、を含む、希土類アルミン酸塩蛍光体の製造方法。
  2. 前記第一熱処理の温度が、1200℃以上1500℃以下の範囲内である、請求項1に記載の希土類アルミン酸塩蛍光体の製造方法。
  3. 前記希土類元素Lnを含む酸化物の結晶子径が1500Å以上3500Å以下の範囲内である、請求項1又は2に記載の希土類アルミン酸塩蛍光体の製造方法。
  4. 前記希土類元素Lnを含む酸化物について、レーザー回折式粒度分布測定法により測定した体積基準の粒度分布における累積50%粒径Dm1が6.5μm以上である、請求項1から3のいずれか1項に記載の希土類アルミン酸塩蛍光体の製造方法。
  5. 前記希土類元素Lnを含む酸化物について、BET法により測定した比表面積が0.5m/g以上2.1m/g以下の範囲内である、請求項1から4のいずれか1項に記載の希土類アルミン酸塩蛍光体の製造方法。
  6. 前記希土類アルミン酸塩蛍光体の化学組成における前記希土類元素LnとCeの合計のモル比が3となり、AlとGaの合計のモル比が0.95以上1.05以下の変数kと5の積となり、Ceのモル比が0.005以上0.050以下の変数nと3の積となり、Gaのモル比が0.05以上0.6以下の変数mと前記変数kと5の積となるように、前記原料を調製した混合物を得ることを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の希土類アルミン酸塩蛍光体の製造方法。
  7. 得られる希土類アルミン酸塩蛍光体が、下記式(I)で表される化学組成を有する、請求項1から6のいずれか1項に記載の希土類アルミン酸塩蛍光体の製造方法。
    (Ln1−nCe(Al1−mGa5k12 (I)
    (式(I)中、Lnは、Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも一種の希土類元素であり、k、m、nは、それぞれ0.95≦k≦1.05、0≦m≦0.6、0.005≦n≦0.050を満たす数である。)
  8. 前記式(I)中、mは、0.05≦m≦0.6を満たす数である、請求項7に記載の希土類アルミン酸塩蛍光体の製造方法。
  9. Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群より選択される少なくとも一種の希土類元素Lnと、Ceと、Alと、Oと、必要に応じてGaを含み、化学組成1モルにおける前記希土類元素LnとCeの合計のモル比が3であり、Ceのモル比が0.005以上0.050以下の変数nと3の積であり、AlとGaの合計のモル比が0.95以上1.05以下の変数kと5の積であり、Gaのモル比が0以上0.6以下の変数mと前記変数kと5の積であり、Oのモル比が12である化学組成を有し、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定した体積基準の粒度分布における累積50%粒径Dm2が23μm以上50μm以下の範囲内であり、フィッシャーサブシーブサイザー法で測定した平均粒径Dbに対する前記累積50%粒径Dm2の粒径比Dm2/Dbが1.2以下である、希土類アルミン酸塩蛍光体。
  10. 前記化学組成におけるGaのモル比が、0.05以上0.6以下の変数mと前記変数kと5の積である、請求項9に記載の希土類アルミン酸塩蛍光体。
  11. 下記式(I)で表される化学組成を有する、請求項9に記載の希土類アルミン酸塩蛍光体。
    (Ln1−nCe(Al1−mGa5k12 (I)
    (式(I)中、Lnは、Y、La、Lu、Gd及びTbからなる群から選択される少なくとも一種の希土類元素であり、k、m、nは、それぞれ0.95≦k≦1.05、0≦m≦0.6、0.005≦n≦0.050を満たす数である。)
  12. 前記式(I)中、mは、0.05≦m≦0.6を満たす数である、請求項11に記載の希土類アルミン酸塩蛍光体。
  13. 請求項9から12のいずれか1項に記載の希土類アルミン酸塩蛍光体と、380nm以上485nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する発光素子とを備える発光装置。
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