JP2021054789A - 低感水性歯科用プライマー - Google Patents

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勇生 門林
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啓史 八穴
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Abstract

【課題】歯牙修復物の表面を改質する為の歯科用プライマーの提供。【解決手段】歯牙修復物の表面を改質する為の歯科用プライマーであって、(a)有機溶媒、(b)シランカップリング剤、(c)酸無水物及び/または弱酸性化合物、及び、(d)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーを含む歯科用プライマー。【選択図】なし

Description

本発明は、歯牙修復物の表面を改質する為の歯科用プライマーに関する。
近年、CADCAM技術を用いた切削加工により無機焼成体から作製された歯牙修復物を口腔内に装着する歯冠修復技法が多用されている。
無機焼成体は、ブロックやディスク形状の成形物で供給され、それをCADCAM技術により切削加工してクラウンやインレイ、オンレイなどの歯牙修復物が作製される。切削された歯牙修復物は、口腔内の欠損歯牙に接着することで、口腔機能を回復させる。
また、口腔内を修復した歯牙修復物が破損した場合に、新たに歯牙修復物を作製して再修復を行う、または破折した面に接着材を用いてコンポジットなどで補修を行うこともできる。
この補修を行う場合においては、歯牙修復物が破折した面にコンポジットレジンを接着させることが必要となるため、歯牙修復物が破折した面を改質する歯科用プライマーが求められていた。
特開2015−168672号公報及び特開2014−55115号公報には、リン酸系モノマーを用いた歯科用プライマーが紹介されているが、棚寿命が短く、また、このような従来の歯科用プライマーで改質された歯牙修復物では、接着耐久性に問題があり、長期の接着には耐えることが難しかった。
特開2015−168672号公報 特開2014−55115号公報
従来から無機焼成体を切削加工して作製された歯牙修復物は、その表面をシランカップリング剤を含む歯科用プライマーで表面改質を行い、セメントや接着材を用いて口腔内の修復する部位に接着させていた。しかし、シランカップリング剤を含むプライマーは、シランカップリング剤を活性化して効率良く歯牙修復物の表面を改質するために、使用前に酸性水溶液と混和する必要があった。これはシランカップリング剤が酸性成分との共存下においては安定な状態で存在することができず、保存安定性や棚寿命安定性が悪くなり、その結果歯牙修復物の接着性能が低下する状況にあるためである。そのためにシランカップリング剤と酸性成分は、それぞれ別々の包装形態に含んでおく必要があった。また酸性成分を含んでいない状態であってもシランカップリング剤を含む歯科用プライマーは、経時的に歯牙修復物の接着性能が低下する等の保存安定性や棚寿命安定性に問題があった。また、歯科用プライマーを適用する際には防湿が重要であり、防湿しにくい症例においては、水分の影響により接着不良を起こすリスクが懸念される。そこで吸水した被接着体上や水分が過剰にある状態でも十分な硬化性を発揮し、さらに優れた保存安定性や棚寿命安定性を有し、且つ使用前に酸性成分と混和することがない操作性に優れた歯牙修復物の表面を改質することができる歯科用プライマーが求められていた。
本発明の歯科用プライマーは、歯牙修復物の表面を改質する為の歯科用プライマーであって、(a)有機溶媒、(b)シランカップリング剤、(c)酸無水物及び/または弱酸性化合物、及び、(d)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーを含むことを特徴とする歯科用プライマーである。
本明細書において「弱酸性化合物」とは、pH2以上の酸性化合物を指すものである。
本発明の歯科用プライマーは、(d)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーを、0.1〜20重量%の範囲で含むことが好ましい。
本発明の歯科用プライマーは、(d)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーが、下記式(1)で示されることが好ましい。
Figure 2021054789
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、互いに同じでも異なってもよい。R2は、炭素数2〜6のアルキル基であり、互いに同じでも異なってもよい。)
本発明の歯科用プライマーは、(d)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーが、下記式(2)で示されることが好ましい。
Figure 2021054789
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、互いに同じでも異なってもよい。)
本発明の歯科用プライマーは、式(2)におけるRが全て水素原子であることが好ましい。
本発明の歯科用プライマーは、2官能以下の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーを含まないことが好ましい。
本発明の歯科用プライマーは、成分(c)が、カルボン酸、硫酸、硝酸、リン酸の酸無水物を含むことが好ましい。
本発明の歯科用プライマーは、成分(c)としてカルボン酸の酸無水物のみを含むことが好ましい。。
本発明の歯科用プライマーは、(d)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマー以外のモノマーを含まないことが好ましい。
本発明の歯科用プライマーは、水を含まないことが好ましい。
本発明の歯科用プライマーは、強酸性化合物を含まないことが好ましい。本明細書において「強酸性化合物」とは、pH2未満の酸性化合物を指すものである。
本発明はまた、本発明の歯科用プライマーと接着材のセットを提供する。この場合、接着材はモノマー、及び重合触媒を含むことが好ましい。接着材が充填材を含むことが好ましい。接着材が充填材を含む場合は一般的にはレジンセメントという。
本発明はまた、本発明の歯科用プライマーと歯牙修復材とのセットを提供する。歯牙修復材はモノマー、重合触媒、及び充填材を含むことが好ましい。
本発明のセットは、モノマー、重合触媒及び/または充填剤が、接着材にのみ、または歯牙修復材にのみ含まれることが好ましい。
また、本発明の歯科用プライマーは重合触媒を含まないことが好ましい。本発明の歯科用プライマーにおいては、接着体や被接着体の表面を改質することが重要であるためである。
本発明の歯科用プライマーは、無機焼成体から切削加工された歯牙修復物の表面を改質する為の歯科用プライマーであって、(a)有機溶媒、(b)シランカップリング剤、(c)酸無水物及び/または弱酸性化合物、及び、(d)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーのみからなることが好ましい。
本発明の歯科用プライマーは、歯牙修復物の表面を改質でき、本発明の歯科用プライマーで改質された歯牙修復物は、モノマーを含んだ接着材を介して、コンポジットレジンと接着することができる。特に本発明の歯科用プライマーで改質された歯牙修復物は、吸水した被接着体上や、水分が過剰にある状態でも十分な硬化性を発揮し、接着耐久性に優れ、口腔内環境下でも接着を長期間維持することができる。更に本発明の歯科用プライマーでは、棚寿命を延ばすことができた。
近年、CADCAM技術が歯科分野に導入され、無機焼成体であるブロックやディスクから切削加工により歯牙修復物を作製し、それを口腔内に適用する修復技法が臨床で応用されてきている。これらの歯牙修復物の表面は、従来から用いられているシランカップリング剤を含む歯科用プライマーでは十分に改質することができず、歯科用接着レジンセメントと組み合わせても十分な歯牙修復物の接着性が得られなかった。しかし、本発明の歯科用プライマーを用いることで吸水した被接着体上や、水分が過剰にある状態でも十分な硬化性を発揮し、歯牙修復物の接着性が向上し、接着耐久性も向上した。
具体的には本発明の歯科用プライマーを無機焼成体から切削加工された歯牙修復物の内面に塗布後、接着性レジンセメントの術式に合わせて接着作業を進めることで、吸水した被接着体上や、水分が過剰にある状態でも十分な硬化性を発揮し、接着耐久性に優れた接着が可能となった。
また、同じ歯牙修復物である硬化したコンポジットレジンの歯牙修復物の切削面は、コンポジットレジン中の無機フィラーが表面に露出していることから、無機焼成体からなる歯牙修復物と同様の扱いで、無機焼成体からなる歯牙修復物における効果を得ることができる。具体的には、本発明の歯科用プライマーをコンポジットレジンの切削面に塗布後、接着材やコンポジットレジンの術式に合わせて補修作業を進めることで、吸水した被接着体上や、水分が過剰にある状態でも十分な硬化性を発揮し、接着耐久性に優れた接着が可能となる。
これらの接着効果ばかりでなく、本発明の歯科用プライマーは長期の棚寿命期間を有し、接着安定性にも優れている。本発明の歯科用プライマーは、陶材においても同様の効果を有する。
本発明の歯科用プライマーは、歯科用ディスクや歯科用ブロック等の無機焼成体からCAD/CAM技術を用いて切削加工された歯牙修復物の表面を改質する歯科用プライマーである。無機焼成体の材質は特に制限はないが、具体的にはシリカ、アルミナ、ジルコニアを主成分とする組成物が挙げられる。また無機焼成体から切削加工により作製された歯牙修復物は、顔料などを含んでも良い。
本発明の歯科用プライマーは、接着面に無機フィラーが露出しているコンポジットレジンにも用いることができる。
本発明の歯科用プライマーは、築盛により製作された歯牙修復物にも用いることができる。この歯牙修復物は無機粉末を築盛後、焼成して得られ、一般に陶材と呼ばれている。
本発明の歯科用プライマーに用いられる(a)有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、及びこれらの無水物、並びに、アセトン、メチルエチルケトンが用いられ、好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、アセトンの無水物を用いることができる。より好ましくは、無水エタノール、アセトンである。さらに好ましくは無水エタノールである。有機溶媒の配合量は好ましくは70-99重量%、より好ましくは80-98重量%である。
本発明の歯科用プライマーに用いられる(b)シランカップリング剤は特に限定するものではないが、具体的にはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどが好適に用いられ、特に好ましくは、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンが用いられる。シランカップリング剤の配合量は0.1-15重量%より好ましくは1-8重量%である。
本発明の歯科用プライマーに用いられる(c)酸無水物及び/または弱酸性化合物のうち、弱酸性化合物は、pH2以上の弱酸性化合物であれば良いが、カルボン酸系の化合物が好ましく、カルボン酸系の化合物のみであることがより好ましい。カルボン酸系の化合物としては、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、マレイン酸、イタコン酸、アコニット酸が好ましい。特にクエン酸、マレイン酸、イタコン酸の無水物が好ましい。弱酸性化合物は酸無水物であることが更に好ましい。
本発明の歯科用プライマーに用いられる(c)酸無水物及び/または弱酸性化合物のうち、酸無水物は、カルボン酸のような有機酸の酸無水物のみでなく、硫酸、硝酸、リン酸といった無機酸の酸無水物も用いることができる。具体的な無機酸の酸無水物は硫酸の無水物として二硫酸(ピロ硫酸)、スルホン酸の無水物としてトリフルオロメタンスルホン酸無水物、硝酸の無水物として五酸化二窒素、リン酸の無水物としてピロリン酸(二リン酸)や五酸化二リン(十酸化四リン)、亜リン酸の無水物として三酸化二リンを用いることができる。
pH2以上の酸無水物であることが好ましく、酸無水物でもカルボン酸系の化合物が好ましく、カルボン酸系の化合物のみであることがより好ましい。カルボン酸系の化合物としては、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、マレイン酸、イタコン酸、アコニット酸の化合物が好ましい。特にクエン酸、マレイン酸、イタコン酸の無水物が好ましい。酸無水物はカルボン酸、硫酸、硝酸、リン酸の酸無水物を含むことが好ましい。
(c)酸無水物及び/または弱酸性化合物の配合量は、0.1-5重量%、より好ましくは0.1-2重量%である。
本発明の歯科用プライマーに用いられる(d)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマー(成分(d))は、分子内に3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーであれば何等制限なく用いることができる。成分(d)の配合量は、0.1〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜15重量%であり、最も好ましくは2〜10重量%である。
成分(d)を具体的に例示すると、下記式(1)及び下記式(3)で示されるものがある。
Figure 2021054789
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、互いに同じでも異なってもよい。R2は、炭素数2〜6のアルキル基であり、互いに同じでも異なってもよい。)

Figure 2021054789
(式中、R1は水素原子またはメチル基を表す。mは2〜4の整数を表す。nは2〜4の整数を表す。kは0または1を表す。複数のR1、mは互いに同じであっても異なってもよい。)
より具体的な成分(d)としては、下記式(2)及び(4)〜(8)で示されるものがある。
Figure 2021054789
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、互いに同じでも異なってもよい。)
Figure 2021054789
Figure 2021054789
Figure 2021054789
Figure 2021054789
Figure 2021054789
(式中、Rは水素原子である。)
成分(d)は、これらの中でも、4官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有する化合物であることが好ましく、上記式(1)で示される化合物であることがより好ましく、上記式(2)で示される化合物であることが最も好ましい。4官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有することにより、硬化性、特に水の存在下における硬化性をより向上させることができる。
本発明の歯科用プライマーは、(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーとして、2官能以下の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーを含まないことが好ましく、3官能以下の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーを含まないことがより好ましく、式(1)で示されず、かつ、(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーを含まないことが最も好ましい。
本発明の歯科用プライマーには、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ブチル化ヒドロキシトルエンなど酸化防止剤を適宜配合してもよい。またコロイダルシリカ、グリセリン、ポリエチレングリコール等の粘度調節剤を配合してゲル状にて使用してもよい。また、本発明の歯科用プライマーは水を含まないことが好ましい。本発明の歯科用プライマーは他のモノマーを含まないことが好ましい。
本発明の歯科用プライマーとセットで用いられる接着材は、モノマー、及び重合触媒を含み、本発明の歯科用プライマーとセットで用いられるレジンセメントは、モノマー、及び重合触媒及び充填材を含むことが好ましい。本発明の歯科用プライマーと接着材またはレジンセメントのセットで用いられるコンポジットレジンはモノマー、及び重合触媒、充填材を含む。
モノマーは、重合性基を持ったモノマーであれば特に限定されない。具体的には一般に歯科材料に用いられる公知の単官能性及び/または多官能性のモノマーを使用することができる。好ましいモノマーとしては、アクリロイル基及び/またはメタクリロイル基を有するモノマーである。次に具体的なモノマーの名称を説明する。
(メタ)アクリル酸基含有モノマーの例としては、
単官能性モノマー(未架橋性モノマー):メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のシラン化合物類;2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等の窒素含有化合物等、
芳香族系二官能性モノマー(架橋性モノマー):2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン等、
脂肪族系二官能性モノマー(架橋性モノマー):2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等、
三官能性モノマー(架橋性モノマー):トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等、
四官能性モノマー(架橋性モノマー):ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ウレタン系重合性モノマーの例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレートのような水酸基を有するモノマーとメチルシクロヘキサンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルメチルベンゼン、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートのようなジイソシアネート化合物との付加物から誘導される二官能性または三官能性以上のウレタン結合を有するジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
モノマーは、目的に応じて、上記(メタ)アクリレート系モノマー以外のモノマー、例えば分子内に少なくとも1個以上の重合性基を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーを用いてもよい。(メタ)アクリレート系モノマー以外のモノマーは、酸性基やフルオロ基等の置換基を同一分子内に有していてもよい。本発明において、モノマーは、単一成分であってもよいし、複数のモノマーからなるモノマーの混合物であってもよい。また、モノマーの粘性が室温で極めて高い場合、または固体である場合は、当該モノマーを低粘度のモノマーと組み合わせ、モノマーの混合物として使用するのが好ましい。前記の組み合わせにおいて、モノマーは、2種類または3種類以上を用いてもよい。
モノマーは、単官能性モノマーのみを含んでいてもよく、多官能性モノマーをさらに含んでいてもよい。好ましいモノマーは、二官能性モノマーの芳香族化合物及び二官能性モノマーの脂肪族化合物を含む。より好ましくは、2,2−ビス(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン(Bis−GMA)及びトリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)を含む。
モノマーは、モノマーの一部をリン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基等の酸基を分子内に含有したモノマーを含んでよい。モノマーは、硫黄原子を分子内に含有したモノマーを含んでよい。
これらのリン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基等の酸基を分子内に含有若しくは硫黄原子を分子内に含有したモノマーはモノマー100重量%中、0.5〜20重量%配合することが好ましい。
カルボン酸基を分子内に含有したモノマーとしては、カルボン酸基含有モノマー:(メタ)アクリル酸、1,4−ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルピロメリット酸、6−(メタ)アクリロイルオキシナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸、N−(メタ)アクリロイル−p−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸及びその無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリット酸及びその無水物、2−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンマレエート、11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、p−ビニル安息香酸等;リン酸基を分子内に含有したモノマーとしては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンフォスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンフォスフェート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンフォスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンフォスフェート等;スルホン酸基を分子内に含有したモノマーとしては、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシベンゼンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸等;硫黄原子を分子内に含有したモノマーとしては、トリアジンチオール基を有する(メタ)アクリレート、メルカプト基を有する(メタ)アクリレート、ポリスルフィド基を有する(メタ)アクリレート、チオリン酸基を有する(メタ)アクリレート、ジスルフィド環式基を有する(メタ)アクリレート、メルカプトジアチアゾール基を有する(メタ)アクリレート、チオウラシル基を有する(メタ)アクリレート、チイラン基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらモノマーは、単独でまたは2種以上を混合して使用してもよい。
充填材は特に限定されず、公知のフィラー、例えば無機フィラー及び/または有機フィラー及び/または有機−無機複合フィラー等が何等制限なく用いることができる。これらのフィラーの形状は球状、塊状、針状、板状、破砕状、鱗片状等の任意の粒子形状でよく特に限定されない。より安定性を得るためにには、フィラーは球状であることが好ましい。フィラーの球状を示す円形度は、0.7〜1.0の範囲であり、より好ましくは0.9〜1.0の範囲、さらに好ましくは0.95〜1.00の範囲にある。
円形度の算出方法は光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡(以下、SEMという)の撮影像を画像解析装置で処理することにより求めることができる。画像処理するサンプル数はフィラー50個以上とし、フィラーの面積とフィラーの周囲長から算出する。算出する計算式は円形度e=(4・π・S)/(L)であり、画像処理で得られたフィラーの面積S、及びフィラーの周囲長Lから算出する。
無機フィラーとして具体的に例示すれば、石英、無定形シリカ、アルミニウムシリケート、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、種々のガラス類(溶融法によるガラス、ゾルーゲル法による合成ガラス、気相反応により生成したガラスなどを含む)、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、クレー、雲母、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、チッ化ケイ素、チッ化アルミニウム、チッ化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、ゼオライト等が挙げられる。これらの中でもナトリウム、ストロンチウム、バリウム、ランタン等の重金属及び/またはフッ素を含むアルミノシリケートガラス、ボロシリケート、アルミノボレート、ボロアルミノシリケートガラス等が好ましい。これら無機フィラーの平均粒径は特に制限はないが、0.1〜10μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜5μmの範囲である。
また、気相法により生成したアエロジルまたはゾル−ゲル反応等の溶液中から生成したシリカ−ジルコニア酸化物粒子等の超微粒子無機フィラーも用いることができる。また、それらの超微粒子を凝集させた凝集性無機フィラー等を用いても何等問題はない。ここで、凝集性無機フィラーが混練時に解砕され平均粒径が1nm〜300nmとなる場合は超微粒子無機フィラーに分類され、平均粒径が1nm〜300nmに解砕されない場合は無機フィラーに分類される。
超微粒子無機フィラーは、限定するものではないが、コロイダルシリカ(商品名:アエロジルR972、アエロジル200、アエロジル380、アエロジル50、日本アエロジル社製、5〜50nm)が好ましい。
また、有機フィラーとしては重合性基を有する単量体を重合することによって得ることができ、その種類は特に限定されない。有機フィラーを具体的に例示すると、ポリメチルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、ジビニルベンゼン等の不飽和芳香族類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の不飽和エステル類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;ブタジエン、イソプレン等の重合性基を有する単量体を単独でまたは複数で(共)重合させたものが挙げられる。特に好ましくは、歯科分野で既に公知である前述の重合性基を有する単量体を重合させたものである。有機フィラーの製造方法においても特に制限はなく、重合性基を有する単量体の乳化重合、懸濁重合及び分散重合等のいずれの方法でもよく、また、予め生成した重合体バルクを粉砕する方法でも行なう事ができる。
また、有機重合体中に無機粒子を含有した有機−無機複合フィラーを用いることもできる。有機重合体中に含有させる無機粒子としては、特に制限はなく公知のものが使用でき、例えば前述した無機フィラー等が挙げられる。有機−無機複合フィラーの製造方法においても、特に制限はなく、いずれの方法を採用することもできる。例えば、無機粒子の表面を有機物でのマイクロカプセル化やグラフト化する方法及び無機粒子の表面に重合性官能基や重合性開始基を導入後ラジカル重合させる方法、予め生成した無機粒子を含む重合体バルクを粉砕する方法等が挙げられる。
有機フィラーまたは有機−無機複合フィラーの平均粒径は0.1〜100μmの範囲が好ましい。より好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは2〜30μmである。これらの無機、有機及び有機−無機複合フィラーはそれぞれ単独で、または数種を組み合わせて用いることもできる。
無機、有機及び有機−無機複合フィラー等のフィラーは公知の方法により、その粒子表面を表面処理して用いることができる。例えば界面活性剤、脂肪酸、有機酸、無機酸、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、ポリシロキサン等による表面処理が挙げられる。これらの表面処理法はレジン成分とフィラー表面の濡れ性を向上させ、複合材料に優れた諸特性を付与する点で好ましく、その要求特性に応じて適宜表面処理を選択することができる。また、それらフィラーを多機能化する目的でフィラー表面を特殊な表面処理剤及び/または特殊な表面処理法により表面処理を行っても何等制限はない。
充填剤の配合量は、モノマー100重量部に対して、0〜20重量部配合することが好ましい。
重合触媒は、公知のラジカル発生剤を用いることができる。重合触媒は、使用直前に混合することにより重合を開始させる化学重合開始剤と、光照射により重合を開始させる光重合開始剤とに大別される。
重合触媒の中でも化学重合開始剤としては、有機過酸化物/アミン化合物、有機過酸化物/アミン化合物/スルフィン酸塩、または有機過酸化物/アミン化合物/ボレート化合物からなるレドックス型の重合開始剤系、酸素や水と反応して重合を開始する有機金属型の重合開始剤系等が挙げられる。
上記有機過酸化物の例としては、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエード等が挙げられる、これに限定されるものではない。また、上記有機過酸化物を単独または数種を組み合わせて用いることもできる。
上記アミン化合物の例としては、アミン基がアリール基に結合した第二級または第三級アミンが挙げられ、具体的には、p−N,N’−ジメチル−トルイジン、N,N’−ジメチルアニリン、N’−β−ヒドロキシエチル−アニリン、N,N’−ジ(β−ヒドロキシエチル)−アニリン、p−N,N’−ジ(β−ヒドロキシエチル)−トルイジン、N−メチル−アニリン、p−N−メチル−トルイジン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、上記アミン化合物を単独または数種を組み合わせて用いることもできる。
上記スルフィン酸塩類の例としては、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム等が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、上記スルフィン酸塩類を単独または数種を組み合わせて用いることもできる。
上記ボレート化合物の例としては、トリアルキルフェニルホウ素及びトリアルキル(p−フロロフェニル)ホウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基、n−ドデシル基等)のナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩などが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、上記ボレート化合物を単独または数種を組み合わせて用いることもできる。
また、上記有機金属型の重合開始剤の例としては、トリフェニルボラン、トリブチルボラン、トリブチルボラン部分酸化物等の有機ホウ素化合物類等が挙げられる、これに限定されるものではない。また、上記有機金属型の重合開始剤を単独または数種を組み合わせて用いることもできる。
重合触媒の中でも光重合開始剤は、光増感剤単独で用いてもよく、また光増感剤と光重合促進剤とを併用してもよい。上記光増感剤の例としては、ベンジル、カンファーキノン、α−ナフチル、アセトナフセン、p,p’−ジメトキシベンジル、p,p’−ジクロロベンジルアセチル、ペンタンジオン、1,2−フェナントレンキノン、1,4−フェナントレンキノン、3,4−フェナントレンキノン、9,10−フェナントレンキノン、ナフトキノン等のα−ジケトン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−メトキシチオキサントン、2−ヒドロキシチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;ベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類;2−ベンジル―ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル―ジエチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−プロパノン−1等のα−アミノアセトフェノン類;ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジル(2−メトキシエチルケタール)等のケタール類;ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1−ピロリル)フェニル]−チタン、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(ペンタンフルオロフェニル)−チタン、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ジシロキシフェニル)−チタン等のチタノセン類等が挙げられる。
上記光重合促進剤の例としては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジ−n−ブチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、p−N,N−ジメチル−トルイジン、m−N,N−ジメチル−トルイジン、p−N,N−ジエチル−トルイジン、p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、m−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッド、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッドエチルエステル、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッドアミノエステル、N,N−ジメチルアンスラニリックアシッドメチルエステル、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、p−N,N−ジヒドロキシエチル−トルイジン、p−ジメチルアミノフェニルアルコール、p−ジメチルアミノスチレン、N,N−ジメチル−3,5−キシリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチル−α−ナフチルアミン、N,N−ジメチル−β−ナフチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2,2’−(n−ブチルイミノ)ジエタノール等の第三級アミン類;N−フェニルグリシン等の第二級アミン類;5−ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類;ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジバーサテート、ジオクチルスズビス(メルカプト酢酸イソオクチルエステル)塩、テトラメチル−1,3−ジアセトキシジスタノキサン等のスズ化合物類;ラウリルアルデヒド、テレフタルアルデヒド等のアルデヒド化合物類;ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾオキサゾール、1−デカンチオール、チオサリチル酸等の含イオウ化合物等が挙げられる。
これらの重合触媒は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。また、これらの重合触媒は、重合形態や重合触媒の種類に限定されず、組み合わせて用いることもできる。重合触媒の配合量は、使用用途に応じて適宜選択することができる。一般には、重合触媒の配合量は、モノマーに対して0.1〜10重量部の範囲から選択される。
好ましい光重合開始剤は、α−ジケトンと第三級アミンとの組合せであり、さらに好ましくはカンファーキノンとp−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル等のアミノ基がベンゼン環に直結した芳香族アミンまたはN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等の分子内に二重結合を有する脂肪族アミン等との組合せである。
以下、実施例により本発明をより詳細に、且つ具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[試料の調製]
下記の成分を用いて表1記載の配合により通法に従い歯科用プライマー:P1〜P8、接着材:B、及びレジンセメント:RCを調製した。
(歯科用プライマー:P1〜P8)
・有機溶媒:無水エタノール、アセトン
・シランカップリング剤:γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメエキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン
・酸無水物及び/または弱酸性化合物:無水クエン酸、無水マレイン酸、ピロリン酸
・強酸性化合物:リン酸
・(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマー:FAM−401(富士フイルム株式会社製)、FAM−201(富士フイルム株式会社製)

(接着材:B)
・モノマー:2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(2HEMA)、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート(2HPA)、2,2−ビス(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン(Bis−GMA)、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリット酸の無水物(4MABT)
・重合触媒(光重合開始剤):カンファーキノンとp−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル

(レジンセメント:RC)
・モノマー:2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(2HEMA)、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート(2HPA)、2,2−ビス(4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン(Bis−GMA)、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリット酸の無水物(4MABT)
・重合触媒(化学重合触媒):過酸化ベンゾイル (BPO)とp−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル
・フィラー:シラン処理ガラス(平均粒径:3μm)、アエロジル(R972)
[二ケイ酸リチウム系ガラスセラミックス]
(被接着体及び接着体の調製)
CAD/CAMシステムまたはプレスシステムを用いて二ケイ酸リチウム系ガラスセラミックス(株式会社松風社製)から成型し、指示通りに焼成して、水洗後1週間水中保存した後に、二ケイ酸リチウム系ガラスセラミックス被接着体及び二ケイ酸リチウム系ガラスセラミックス接着体とした。二ケイ酸リチウム系ガラスセラミックス被接着体(大)の形状及び寸法は円柱形状で直径2cm厚さ1cmとした。二ケイ酸リチウム系ガラスセラミックス接着体(小)の形状及び寸法は円柱形状で直径0.5cm厚さ1cmとした。
(接着試験体の作製)
二ケイ酸リチウム系ガラスセラミックス被接着体(大)及び二ケイ酸リチウム系ガラスセラミックス接着体(小)にアルミナ(50μm)のサンドブラスト処理(0.2MPa,1秒間)後に、接着材Bを二ケイ酸リチウム系ガラスセラミックス接着体(小)に塗布後、それを二ケイ酸リチウム系ガラスセラミックス被接着体(大)に圧接→余剰接着材の除去→15分間放置して硬化させ接着試験体を作製した。(試験体数N=5)

[陶材]
(被接着体及び接着体の調製)
「ヴィンテージ LD」(株式会社松風社製)を用いて指示通りに築盛及び焼成して、水洗後1週間水中保存した後に、陶材被接着体及び陶材接着体とした。陶材被接着体(大)の形状及び寸法は円柱形状で直径2cm厚さ1cmとした。陶材接着体(小)の形状及び寸法は円柱形状で直径0.5cm厚さ1cmとした。
(接着試験体の作製)
陶材被接着体(大)及び陶材接着体(小)にアルミナ(50μm)のサンドブラスト処理(0.2MPa,1秒間)後に、歯科用プライマー:P1〜P8のいずれかを塗布・乾燥した。その後、レジンセメント(RC)を混和して陶材接着体(小)に塗布後、それを陶材被接着体(大)に圧接→余剰セメントの除去→15分間放置して硬化させ接着試験体を作製した。(試験体数N=5)

[コンポジット]
(被接着体の調製)
CAD/CAMシステムを用いてレジンディスク材料「松風ディスクHC」(株式会社松風社製)から切削加工して、水洗後1週間水中保存した後に、コンポジットレジン被接着体とした。コンポジットレジン被接着体の形状及び寸法は円柱形状で直径2cm厚さ1cmとした。
(接着試験体の作製)
コンポジットレジン被接着体に歯科用プライマー:P1〜P8のいずれかを塗布・乾燥した。その後、接着材(B)を塗布して30秒間光照射(グリップライト2:松風社製)を行なった。直径0.5cmの冶具を用いて接着面を規定し、そこにコンポジットレジン(ライトフィル2:松風社製)を充填後に30秒間光照射(グリップライト2:松風社製)を行いコンポジットレジンを硬化させ、接着試験体を作製した。(試験体数N=5)

[接着試験方法]
・初期接着試験:接着試験体を37℃水中に24時間浸漬後、接着試験を行った。
・耐久接着試験:接着試験体を37℃水中に24時間浸漬後、以下の条件でサーマルサイクル試験を施し、接着試験を行った。サーマルサイクルの条件は5℃と50℃をそれぞれ、1分間の浸漬を1万回繰り返しとした。
・棚寿命試験:歯科用プライマーを調製後、5ccずつを密閉容器に採取し、23℃の冷暗所に1年間保存後、前記初期接着試験及びサーマルサイクル試験を行った。
なお、接着試験は大気圧下、23℃の条件で実施した。

Figure 2021054789
Figure 2021054789

Figure 2021054789
本発明の歯科用プライマーを用いた実施例1−6(二ケイ酸リチウム系ガラスセラミックス同士のレジンセメント(RC)を用いた接着)、7−12(コンポジットレジン被接着体への接着剤(B)を用いたコンポジットレジン(CR)の接着)、13−18(陶材同士のレジンセメント(RC)を用いた接着)は、接着する材質及び方法は異なるものの、「棚寿命試験」の有無に関係なく初期接着試験及び耐久接着試験の両者において接着力が安定していることが認められた。
一方、成分(d)を含まない歯科用プライマーを用いた比較例1−6は接着する材質及び方法は異なるものの、「棚寿命試験なし」において初期接着試験及び耐久接着試験共に一定の接着力であることが認められた。しかし、「棚寿命試験あり」において接着試験片は作製できるものの、初期接着試験の段階で既に接着体が脱落していることが認められた。
本明細書において、発明の構成要素が単数もしくは複数のいずれか一方として説明された場合、または、単数もしくは複数のいずれとも限定されずに説明された場合であっても、文脈上別に解すべき場合を除き、当該構成要素は単数または複数のいずれであってもよい。
本発明を図面及び詳細な実施の形態を参照して説明したが、当業者であれば、本明細書において開示された事項に基づいて種々の変更または修正が可能であることが理解されるべきである。従って、本発明の実施形態の範囲には、いかなる変更または修正が含まれることが意図されている。
歯牙修復物の表面を改質する為の歯科用プライマーに関するものであり、産業上利用される発明である。

Claims (10)

  1. 歯牙修復物の表面を改質する為の歯科用プライマーであって、
    (a)有機溶媒、
    (b)シランカップリング剤、
    (c)酸無水物及び/または弱酸性化合物、及び、
    (d)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーを含む歯科用プライマー。
  2. (d)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーを、0.1〜20重量%の範囲で含む請求項1の歯科用プライマー。
  3. (d)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーが、下記式(1)で示される請求項1または2の歯科用プライマー。
    Figure 2021054789
    (式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、互いに同じでも異なってもよい。R2は、炭素数2〜6のアルキル基であり、互いに同じでも異なってもよい。)
  4. (d)3官能以上の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーが、下記式(2)で示される請求項3の歯科用プライマー。
    Figure 2021054789

    (式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、互いに同じでも異なってもよい。)
  5. 式(2)におけるRが全て水素原子である請求項4の歯科用プライマー。
  6. 2官能以下の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーを含まない請求項1〜5のいずれかの歯科用プライマー。
  7. 成分(c)が、カルボン酸、硫酸、硝酸、リン酸の酸無水物を含む請求項1〜6のいずれかの歯科用プライマー。
  8. 成分(c)としてカルボン酸の酸無水物のみを含む請求項1〜7のいずれかの歯科用プライマー。
  9. 2官能以下の(メタ)アクリルアミド基を含有するモノマーを含まない請求項1〜8のいずれかの歯科用プライマー。
  10. 水を含まない請求項1〜9のいずれかの歯科用プライマー。

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