JP2021054063A - 短繊維入りゴム条の作製方法、及びその作製装置 - Google Patents

短繊維入りゴム条の作製方法、及びその作製装置 Download PDF

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Abstract

【課題】製造品質を確保しつつ、製造上の手間を抑制し、効率的に、短繊維が長手方向に配向した、比較的幅広で薄肉な未加硫の短繊維入りゴム帯から、短繊維が長手方向に配向した、比較的幅狭で厚肉な未加硫のゴム条を作製する。【解決手段】作製装置100では、繰り出し部から繰り出された、ゴム帯10(短繊維2が長手方向に配向)に対して、ゴム帯10の移動経路上で、移動方向に向かうにつれて、ゴム帯10の幅が狭く、且つ、ゴム帯10の厚みが大きくなるように、移動方向に沿って配置された、滑り軸受付ローラ11A〜11Jが、ゴム帯10の左右の位置で接触する。そして、滑り軸受付ローラ11A〜11Jは、ゴム帯10の移動方向に向かうにつれて、ゴム帯10の左右の位置でゴム帯10に接触する部分の左右方向の間隔を狭めつつ、移動方向に沿ってゴム帯10の右側面を、漸次、断面渦巻状に巻き込むくせ付け加工を行う。【選択図】図7

Description

本発明は、短繊維入りゴム条の作製方法及びその作製装置に関するものである。
摩擦伝動面となる両側面(ベルト側面)が、露出したゴム層(主に圧縮ゴム層)であるローエッジVベルトにおいて、比較的高馬力伝達用のもの(特に、自動二輪車、農業機械、スノーモービル等のベルト式無段変速装置に用いられる変速ベルトと呼ばれるもの)は、短繊維が配合されたゴム組成物で圧縮ゴム層(内周側)及び伸張ゴム層(外周側)を形成させ、短繊維がベルト幅方向に配向するように形成させ、さらに、圧縮ゴム層に厚みをもたせて、ベルト側面の単位面積当たりにかかる側圧を小さくすることで耐側圧性を確保したうえで、小径のVプーリに対応できるようにベルトの下面(内周側)にコグ部を設けることでベルトの屈曲性を改善した、所謂、ローエッジコグドVベルト(図1)が好適に用いられている。
ローエッジコグドVベルト(以下、「コグ付きVベルト」と略す)の製造方法としては、特許文献1に記載の下記方法(下記工程(1)〜(3))が従来から代表的なものとして知られている。
(1)予備成形工程
予め、下布と未加硫ゴムシート(圧縮ゴム層)とをプレス成形してコグ形状に型付けすることで、後の成形部材となる、コグ山部とコグ谷部を長手方向に沿って交互に有する、未加硫のコグ付きのゴム成形体(以下、「コグパッド」と呼ぶ。)を作製する(図2(a)参照)。以下、予備成形工程で為されるコグパッドの作製方法を「A法」(特許文献1に記載の「プリフォーム法」に相当。)と呼ぶ。なお、当該方法(A法)で得られたコグパッド(図2(b)参照)は、プレス成形(温度60〜100℃程度で加圧)で半加硫状態のコグ形状に型付けされる故、コグ部を比較的正確な形状に形成することができる。
(2)成形工程
次に、このコグパッドを成形工程に供することで未加硫ベルトスリーブ(ベルト成形体)を得る。
(3)加硫工程以降
そして、未加硫ベルトスリーブを加硫缶に移して加硫し、脱型した加硫ベルトスリーブを所定幅に切断することでコグ付きVベルトに仕上げる。
近時、コグ付きVベルトにあっては、大型農業機械(大型コンバインなど)向け等、高馬力伝達用ベルトの需要拡大に伴い、ベルト側面の耐側圧性を更に高めた仕様のラインアップが増える傾向にある。この場合、ベルトの設計方針としては、耐側圧性を更に高めるために、圧縮ゴム層を更に高剛性(硬質且つ高配向)なものとし、尚且つ、ベルト側面(摩擦伝動面)の面積を更に増加させるべく、圧縮ゴム層に更に厚みをもたせつつ、コグ部を更に大型化する(特には、コグ高さを更に拡大、例えば、従来最大10mm→最大17mm)、ことを検討することになる。
しかしながら、この場合、ベルトの予備成形工程(上述のA法でコグパッドを得る工程)において、深さが拡大した凹溝を有する平金型が設置された平プレス上で、ゴムの流動性が更に悪化した未加硫のゴム組成物(以下、単に、「硬質ゴム」と呼ぶ場合あり)をプレス成形(加熱加圧操作)する関係上、ベルトの製造品質及び製造コストの両面に問題(例えば、下記(a)、(b))を生じさせることがあった。
(a)コグ高さが増した分、平金型の凹溝の内部への硬質ゴムの充填時の流動が不均一になり、コグ山部において、短繊維の配向が乱れるとともに、ゴム密度が不足傾向となり、ベルト走行時、コグ山部にクラック(内部剥離)や、コグ山部の心線下での界面剥離(心線下剥離)が生じることがあった。
また、平金型の凹溝間の凸条部に硬質ゴムが通常より厚めの層をなして加硫後のコグ谷部にも通常より厚めの層が残る傾向となり、ベルトの屈曲性が不足傾向となり、ベルト走行時、コグ谷部にクラックが生じることがあった。
(b)加硫工程のみならず、予備成形工程でのコグパッドの作製時に、別途、プレス成形を要し、ベルトの製造に加熱工程を2回要する分、ベルトの製造コストが嵩む問題を有していた。
そこで、耐側圧性を著しく向上せしめたコグ付きVベルトを製造する際に、上述の予備成形工程(コグパッド作製工程)(A法)に起因する上述の問題((a)、(b))を一挙に解消し得る、コグパッドの作製方法(以下、「B法」と呼ぶ。)が、特許文献2(特には5-6カラム目の第1、2工程、及び第3図)に開示されている。
このB法は、図3に示すように、コグ付きVベルトの予備成形工程において、螺旋状に形成した凹溝と、この凹溝に対して直角方向に形成した刃物溝とを有する円筒状モールドを用いて、コグ付きVベルトの成形に供するコグパッド(コグ付きゴム成形体)をプレス成形(加熱加圧操作)不要に得る方法である。具体的には、下記(1)〜(2)の手順によりコグパッドを得る。
(1)短繊維を含む未加硫ゴムを用いて、当該短繊維を長手方向に配向させ、且つ、コグ溝(凹溝)の断面(圧縮ゴム層の充填部分)に見合う、幅(例えば、幅2〜20mm程度)、厚み(例えば、厚さ2〜20mm程度)に成形した、比較的幅狭で厚肉な未加硫のゴム条を、円筒状モールドの凹溝に巻回嵌入し(図3参照)、その上に、補強布(下布)(伸縮性有り、ゴム付き)を無端状に巻付ける(図4参照)。
(2)円筒状モールドの凹溝に巻回嵌入されたゴム条の上に補強布(下布)が巻き付けられた状態で、刃物溝に沿って切断することで、コグパッド(コグ付きゴム成形体)を得る(図5参照)。
その後、コグパッドの下布側が、加硫成形用のモールドの外周面に接するように、取り付けて、加硫成形し(図6参照)、得られた加硫ベルト成形体を所定幅に切断し、コグ付きVベルトを得る。
特許第4648012号公報 特公昭63−24179号公報
ところで、従来から未加硫ゴム中に短繊維を一定方向へ配向させる方法としては、圧延によるものが代表的である。上記改良されたコグパッドの作製法(B法)等で必要となる、「短繊維が長手方向に配向した、比較的幅狭で厚肉な未加硫のゴム条」(以下、「短繊維入りゴム条」と略する場合あり。)においても、圧延操作(下記(1))を経て得られる。
(短繊維入りゴム条の作製方法(従来))
(1)圧延操作
バンバリーミキサー等で混練りすることで得られた短繊維入り未加硫ゴムをカレンダーやローラーヘッド押出機等の圧延装置に備わる1対のロールに通すことにより、圧延されたゴムシート中の短繊維がシートの圧延方向(薄く引き伸ばされる方向、長手方向)に配向した、圧延ゴムシート(短繊維入りゴムシート)を得る。この際、必要に応じて、フィルム等に沿わせてボビンに巻き取る。
(2)裁断
この圧延ゴムシート(短繊維入りゴムシート)をスリッタ等に通し、幅狭(例えば、幅2〜20mm程度)に裁断して、所定の幅(幅狭)、厚み(厚肉)の四角断面を有し、短繊維が長手方向に配向した、複数の短繊維入りゴム条を得る。この短繊維入りゴム条は、一旦、ボビンに巻き取られた後、コグ付きVベルトの予備成形工程(B法によるコグパッドの作製工程)等へ供給される。
しかし、上記圧延操作(上記(1))で得られる圧延ゴムシートは、薄く(例えば1mm以下の厚みに)出さなければ、短繊維を圧延方向に充分に配向させることができない。仮に、シート厚の狙いを厚め(例えば厚さ2mm以上)に設定すると、1対のロールの間隙をゴムが通過する際のせん断力が、表面層(シート表面から深さ0.5mm程度までの層)には作用するが、表面層よりも中寄りの中間層には作用し難くなり、この中間層に含まれる短繊維は圧延方向に充分に配向されなくなる。
そのため、比較的厚肉(例えば厚さ2〜20mm程度)な上記短繊維入りゴム条を作製するためには、実際の対応として、圧延装置とは別に設置された積層(プライアップ)装置を用いて、上記圧延操作(上記(1))で得た、短繊維が長手(圧延)方向に配向した比較的薄肉(例えば厚さ1mm)のゴムシート(ゴム帯)を、所定の厚み(例えば厚さ17mm)に達するまで重ね合わせていく積層操作を行なわなくてはならなかった。つまり、短繊維入りゴム条を作製する場合の、従来慣用な工程の流れは、圧延操作→積層操作→裁断(幅狭)となる。
なお、A法でのコグパッド作製に供する、比較的幅広で未加硫の短繊維入りゴムシート(特許文献1の符号6)を作製する場合の工程の流れも同様に、圧延操作→積層操作→裁断(幅広)となる。
このため、比較的厚肉(例えば、厚さ2〜20mm程度)のコグパッドを作製する場合(A法でもB法でも)、圧延操作後、積層操作が必要となる分、手間がかかり、製造工程上、効率的ではなく、ベルト等最終製品の製造コストが嵩むといった問題を有していた。特に、最終製品が、前述のコグ部が大型(例えばコグ高さ17mm)のコグ付きVベルトである場合は、圧延ゴムシートの積層操作が十数回に及ぶことになり、この問題が顕著であった。
そこで、本発明は、製造品質を確保しつつ、製造上の手間を抑制し、製造工程上、効率的に、短繊維が長手方向に配向した、比較的幅広で薄肉な未加硫の短繊維入りゴム帯から、短繊維が長手方向に配向した、比較的幅狭で厚肉な未加硫のゴム条を作製することができる、短繊維入りゴム条の作製方法、及びその作製装置を提供することを目的とする。
本発明は、例えば、コグ付きVベルトの予備成形工程において、ベルトの製造品質、製造コスト上、好適な方法(前述のB法)で、コグパッド(コグ付きゴム成形体)を作製する場合等に必要となる、短繊維が長手方向に配向した、比較的幅狭で厚肉な未加硫の短繊維入りゴム条(特許文献2の「コグゴム条」に相当)の作製方法(装置)に関するものである。
そして、上記の課題を解決するために、圧延操作で得た、短繊維が長手(圧延)方向に配向した、薄肉(例えば厚さ1mm)で未加硫の短繊維入りゴムシート(ゴム帯)が有する、「未加硫状態であっても、シート長手(圧延)方向には、剛直で(伸ばされにくく、曲げにくく)、長手(圧延)方向に対して直角方向のシート幅方向には、柔軟な(しなやかで、曲げやすい)特性」に着目し、この未加硫の短繊維入りゴム帯の特性を利用できないか、との発想から本発明を完成させた。
具体的には、本発明は、短繊維を含むゴム組成物を混練りした後、圧延することで得られた、前記短繊維が長手方向に配向した未加硫のゴム帯に対して、前記ゴム帯の移動経路上で、前記ゴム帯の移動方向に向かうにつれて、前記ゴム帯の幅が狭く、且つ、前記ゴム帯の厚みが大きくなるように、前記ゴム帯の移動方向に沿って、前記ゴム帯の左右の位置で前記ゴム帯に接触し、前記ゴム帯の移動方向に向かうにつれて、前記ゴム帯の左右の位置で前記ゴム帯に接触する部分の左右方向の間隔を狭めつつ、前記移動方向に沿って前記ゴム帯の前記少なくとも一方の側面寄りの部分を、漸次、断面渦巻状に巻き込むくせ付け加工を行い、前記ゴム帯を、前記短繊維が長手方向に配向した、前記ゴム帯よりも幅狭で且つ厚肉な未加硫のゴム条に連続的に仕上げることを特徴とする、短繊維入りゴム条の作製方法である。
短繊維が圧延(長手)方向に配向した、未加硫の短繊維入りゴム帯は、「未加硫状態であっても、長手(圧延)方向には、剛直で(伸ばされにくく、曲げにくく)、幅方向には、柔軟な(しなやかで、曲げやすい)特性」を有している。
このため、上記くせ付け加工によれば、当該ゴム帯に対して、ゴム帯の移動経路上で、ゴム帯の移動方向(長手方向)に沿ってゴム帯の少なくとも一方の側面寄りの部分を、漸次、断面渦巻状に巻き込む力を作用させ易くなる。
これにより、ゴム条の作製時の巻き込みエアを反移動方向(後方)に逃がしつつ、ゴム帯を漸次、幅方向の断面視で渦巻状に巻き込むことが容易となる。
また、ゴム条の作製時に、積層不要であり、積層操作を伴う従来の作製方法に比べて、手間を省くことができる。
また、ゴム帯の移動経路上で、且つ、当該くせ付け加工無しの場合と移動速度略同等(例えば1m/分程度)に、ゴム帯から、短繊維を長手方向に配向させたまま、ゴム帯よりも幅狭で、且つ、厚肉な未加硫のゴム条(比較的幅狭で厚肉な未加硫の短繊維入りゴム条)に連続的に仕上げることが容易となる。
従って、上記によれば、製造品質を確保しつつ、製造上の手間を抑制し、製造工程上、効率的に(くせ付け加工費不要に)、短繊維が長手方向に配向した、比較的幅広で薄肉な未加硫の短繊維入りゴム帯から、短繊維が長手方向に配向した、比較的幅狭で厚肉な未加硫の短繊維入りゴム条を作製することができる。
また、本発明は、上記短繊維入りゴム条の作製方法において、前記ゴム帯が、単層であることを特徴としている。
ゴム帯が積層されたものであれば、積層方法によっては、層間に空隙が含まれる虞があり、加硫後の製品が動的な用途に使用されると、層間剥離する懸念が残るが、上記方法によれば、この品質上の懸念を払拭でき、製造品質を確実に確保することができる。
また、ゴム帯は、積層されたものではないため、積層操作が不要な分、作製上の手間を確実に抑制することができる。
また、本発明は、上記短繊維入りゴム条の作製方法において、前記くせ付け加工は、前記ゴム帯の移動方向に沿って前記ゴム帯の一方の側面寄りの部分を、漸次、断面渦巻状に巻き込むことを特徴としている。
上記方法によれば、ゴム帯を巻き込む力がゴム帯の幅方向一方向から(幅方向一方から他方に)作用するため、ゴム帯を無理なく確実に一巻きの断面渦巻状のゴム条に形成することができる。
このため、ゴム帯の移動方向に沿ってゴム帯の双方の側面寄りの部分をそれぞれ、漸次、断面渦巻状に巻き込み、ゴム帯を巻き込む力がゴム帯の左右方向両側から(幅方向一方から他方、及び幅方向他方から一方に)作用することで、左右方向両側に一巻きずつ断面渦巻状に形成する(計二巻き)場合に比べて、ゴム条をより厚肉な断面形状に無理なく確実に形成することができる。そのため、製造品質をより確実に確保できる。
また、本発明は、上記短繊維入りゴム条の作製方法の前記くせ付け加工において、前記ゴム帯は、前記移動方向への移動に伴い、前記ゴム帯の左右の位置で、従動可能に接触されることを特徴としている。
上記方法によれば、くせ付け加工において、ゴム帯が、ゴム帯の移動方向に沿って、従動不能に接触される場合(例えばガイド板の類を摺接)と比べ、当該接触部分の接触抵抗を低減することができる。
そのため、ゴム帯の移動方向に沿ってゴム帯を巻き込む力が不用意に変化し、未加硫のゴム条を狙いの断面形状に成形できなくなることや、未加硫のゴム条が長手方向に(移動方向に沿って)不用意に伸びてしまうことを抑制することができ、製造品質をより確実に確保することができる。
また、本発明は、上記短繊維入りゴム条の作製方法において、前記ゴム帯が従動可能に接触されるのは、前記ゴム帯の前記移動方向に沿って間隔をあけて配置された、複数の回転可能なロール体であることを特徴としている。
上記方法によれば、ゴム帯の移動に伴い従動可能な接触部分が、移動方向に沿って間隔をあけずに延在し、ゴム帯の移動に伴い従動可能な無端状帯体(例えば、平ベルト等)の外周部分である場合と比べ、各ロール体が独立して配置されるため、装置設計の自由度が高く、くせ付けの調整もやり易いといえる。そのため、製造品質をより確実に確保できる。
また、本発明は、上記短繊維入りゴム条の作製方法の前記くせ付け加工において、前記ゴム帯に対して、前記ゴム帯の左右の位置で、前記ゴム帯の前記移動方向に沿って間隔をあけて配置された、複数の回転可能なロール体を、前記ゴム帯の前記移動方向への移動に伴い、従動可能に前記ゴム帯に接触させ、前記ゴム帯の前記移動方向に沿って、前記ゴム帯の双方の側面寄りの部分をそれぞれ、漸次、断面渦巻状に巻き込み、
前記ゴム帯の左右の位置で前記ゴム帯に接触する部分の位置は、前記移動方向において、互い違いになっていることを特徴としている。
ゴム帯を巻き込む力が左右方向両側から(幅方向一方から他方、及び幅方向他方から一方に)作用する態様でゴム帯の双方の側面寄りの部分をそれぞれ巻き込みながらくせ付け加工を行う場合、上記方法によれば、ゴム帯の左右の位置でゴム帯に接触する部分の位置が、移動方向において、横並びになっている場合と比べて、ゴム帯の左右方向両側から作用するゴム帯を巻き込む力が横並びにぶつかり合うことを避けることができる分、ゴム条をより厚肉な断面形状に無理なく確実に形成させることができる。その分、製造品質をより確実に確保できる。
また、くせ付け加工が、ゴム帯の移動方向に沿ってゴム帯の双方の側面寄りの部分をそれぞれ、漸次、断面渦巻状に巻き込むことで行われるため、くせ付け加工がゴム帯の移動方向に沿ってゴム帯の一方の側面寄りの部分を、漸次、断面渦巻状に巻き込むことで行われる場合と比べて、ゴム帯の単位移動距離当たりの総巻き込み量を増やすことができる分(つまり、くせ付け加工の効率が上がる分)、ゴム帯の移動方向に沿ったくせ付け加工部分の長さを短縮でき、装置コストを抑制できる。
また、本発明は、上記短繊維入りゴム条の作製方法において、前記ゴム帯の前記移動経路は、動力源に連結され、回転可能な円筒状モールドの外周面に向かう経路であり、
前記ゴム帯は、前記円筒状モールドが回転し、前記円筒状モールドの回転によって、前記外周面に引き寄せられることで移動することを特徴としている。
上記方法により得られた短繊維入りゴム条は、無端状の成形体の作製に好適に供することができる。例えば、好適な最終製品は伝動ベルトであり、この場合、特には、比較的大型のコグ部を有するコグ付きVベルトの予備成形工程で作製される、コグパッド(コグ付きゴム成形体)のコグ部を形成するための長尺のゴム部材(ゴム条)として供するのが最も好適である。
この場合、当該コグパッドの作製工程(コグ付きVベルトの予備成形工程)に備わる円筒状モールドの回転によって、円筒状モールドの外周面に向かうゴム帯の移動経路上で、当該ゴム帯が当該ゴム条に連続的に仕上げられる。そのため、くせ付け加工コストをほとんど不要にできるため、製造工程上、より効率的なものとなる。
ひいては、本方法によらずに予め、別工程で積層操作を経て短繊維入りゴム条を作製して、コグパッドを作製した場合と比べ、最終製品であるコグ付きVベルト(ローエッジコグドVベルト)の製造コストをより低減できる。
また、本発明は、短繊維を含むゴム組成物を混練りした後、圧延することで得られた、前記短繊維が長手方向に配向した未加硫のゴム帯に対して、前記ゴム帯の移動経路上で、前記ゴム帯の移動方向に向かうにつれて、前記ゴム帯の幅が狭く、且つ、前記ゴム帯の厚みが大きくなるように、前記ゴム帯の移動方向に沿って、前記ゴム帯の左右の位置で前記ゴム帯に接触し、前記ゴム帯の移動方向に向かうにつれて、前記ゴム帯の左右の位置で前記ゴム帯に接触する部分の左右方向の間隔を狭めつつ、前記移動方向に沿って前記ゴム帯の前記少なくとも一方の側面寄りの部分を、漸次、断面渦巻状に巻き込む、くせ付け手段を備え、
前記ゴム帯を、前記短繊維が長手方向に配向した、前記ゴム帯よりも幅狭で且つ厚肉な未加硫のゴム条に連続的に仕上げることを特徴とする、短繊維入りゴム条の作製装置である。
また、本発明は、上記短繊維入りゴム条の作製装置において、前記ゴム帯が、単層であることを特徴としている。
また、本発明は、上記短繊維入りゴム条の作製装置において、前記くせ付け手段が、前記ゴム帯の移動方向に沿って前記ゴム帯の一方の側面寄りの部分を、漸次、断面渦巻状に巻き込むことを特徴としている。
また、本発明は、上記短繊維入りゴム条の作製装置において、前記くせ付け手段が、前記ゴム帯の前記移動方向への移動に伴い、前記ゴム帯の左右の位置で、従動可能に接触することを特徴としている。
また、本発明は、上記短繊維入りゴム条の作製装置において、前記くせ付け手段が、前記ゴム帯の前記移動方向に沿って間隔をあけて配置された、複数の回転可能なロール体であることを特徴としている。
製造品質を確保しつつ、製造上の手間を抑制し、製造工程上、効率的に、短繊維が長手方向に配向した、比較的幅広で薄肉な未加硫の短繊維入りゴム帯から、短繊維が長手方向に配向した、比較的幅狭で厚肉な未加硫のゴム条を作製することができる、短繊維入りゴム条の作製方法、及びその作製装置を提供することができる。
コグ付きVベルトの代表例を示す一部斜視図である。 (a)従来技術(A法)の予備成形工程のプレス成形の説明図である。(b)従来技術(A法)の予備成形工程によって作製されたコグパッドの説明図である。 従来技術(B法)の予備成形工程によるコグパッドの作製方法の説明図である。 従来技術(B法)の予備成形工程によるコグパッドの作製方法の説明図である。 従来技術(B法)の予備成形工程によって得たコグパッドの説明図である。 従来技術(B法)の加硫成形工程の説明図である。 (a)実施形態1に係る、短繊維入りゴム条の作製装置及び作製方法の説明図である。(b)実施形態2に係る、短繊維入りゴム条の作製装置及び作製方法の説明図である。 (a)図7(a)のゴム条部分のB−B断面図である。(b)図7(b)のゴム条部分のD−D断面図である。(c)図7(a)のゴム帯からゴム条部分に係るC−C断面図である。 実施形態1、2(実施例)の、短繊維入りゴム条の作製方法を示すフロー図である。 (a)短繊維入りゴム条の作製位置(移動経路)を説明する概略図である。(b)円筒状モールドの説明図である。 (a)実施例(実施形態1)で得られたゴム条の斜視図(断面形態を含む)である。(b)比較例で得られたゴム条の斜視図(断面形態を含む)である。 比較例の、短繊維入りゴム条の作製方法を示すフロー図である。 実施例、及び、比較例の、短繊維入りゴム条を用いて製造した、コグ付きVベルトを示す部分側断面図である。 実施例に係る滑り軸受付ローラの組立図、及び、滑り軸受付ローラの断面図である。
(実施形態1)
実施形態1では、以下、図面に基づき、短繊維入りゴム条の作製装置100(以下、単に作製装置100と呼ぶ)及び作製方法について説明する。実施形態1の作製装置100は、短繊維2を含むゴム組成物を混練りした後、圧延することで得られた、短繊維2が長手方向に配向した未加硫のゴム帯10を、その一方の側面寄りの部分(右側)を、漸次、断面渦巻状(図8(a)参照)に巻き込み、未加硫のゴム条1に連続的に仕上げる(図7(a)参照)。
(作製装置100)
図7(a)に示すように、作製装置100には、ゴム帯10の左右の位置に配置された、円筒状の滑り軸受(ブッシュ)付ローラ11A〜11J(右側に6体、左側に4体)と、ゴム帯10を、背面側から及び底面側から押さえる補助ロール(背面ロール12A〜12C、底面ロール13A〜13C)と、滑り軸受付ローラ11A〜11J、及び、補助ロール(背面ロール12A〜12C、底面ロール13A〜13C)を、それぞれの軸部を介して支持するフレーム(不図示)とが、ゴム帯10の移動経路上に配置されている。
(滑り軸受付ローラ11A〜11J)
滑り軸受付ローラ11A〜11J(くせ付け手段に相当)は、ゴム帯10の左右の位置で、ゴム帯10の移動方向に沿って間隔をあけて、ゴム帯10の移動に伴い従動(つれまい)可能にゴム帯10に接触する、回転可能なロール体である。
滑り軸受付ローラ11G〜11Jは、無理なくゴム帯10の左側面部分に接触できるように、ゴム帯10の左側面に沿って直線状に配置されている。また、滑り軸受付ローラ11G〜11Jの軸は、ゴム帯10を下方に規制するために、右側にわずかに傾斜している。
滑り軸受付ローラ11A〜11Fは、図7(a)に示すように、無理なくゴム帯10の右側面部分を幅方向右側から幅方向左側に巻き込めるよう、幅方向右側において、移動方向に沿って間隔をあけて連続する3体1組を基本構成(1連)として、移動方向に沿って2連繋げた態様で配置されている。
滑り軸受付ローラ11Aは、ゴム帯10の右側の、移動方向に対して最も上流側に配置されている。また、軸受付ローラ11Aは、ゴム帯10の左右方向の端面位置を規制しつつ、ゴム帯10の右側面部分を立てる(起こす)ために、ゴム帯10の左側面と軸受付ローラ11Aの第1距離が、ゴム帯10の幅よりもわずかに短くなるように配置されており、軸受付ローラ11Aの軸は右側にわずかに傾斜している。
滑り軸受付ローラ11Bは、ゴム帯10の右側の、滑り軸受付ローラ11Aよりも下流側に配置されている。また、軸受付ローラ11Bは、ゴム帯10の左右方向の端面位置を規制しつつ、滑り軸受付ローラ11Aによって立てた右側部分を幅方向左側へ無理なく確実に巻き込み可能な巻き込み量を付与できるように、ゴム帯10の左側面と軸受付ローラ11Bの第2距離が、上記第1距離よりも短くなるように配置されており、軸受付ローラ11Bの軸は、垂直になるように配置されている。
滑り軸受付ローラ11Cは、ゴム帯10の右側の、滑り軸受付ローラ11Bよりも下流側に配置されている。また、軸受付ローラ11Cは、ゴム帯10の左右方向の端面位置を規制し、確実に巻き込みつつ、滑り軸受付ローラ11Bによって付与した巻き込み量に見合う巻き込み部分を、ゴム帯10の背面側に押し付け可能なように、ゴム帯10の左側面と滑り軸受付ローラ11Cの第3距離が、上記第2距離よりも短くなるように配置されており、軸受付ローラ11Cの軸は左側に傾斜している。
上記滑り軸受付ローラ11A〜11Cを1組の基本構成(1連)としている。この滑り軸受付ローラ11A〜11Cによって、断面渦巻状に得られるゴム条1の断面のおよそ渦巻1重分を作成する(くせ付け加工)。
滑り軸受付ローラ11D〜11Fは、滑り軸受付ローラ11A〜11Cと同様の構成をしており、1組の基本構成(1連)をなしている。なお、滑り軸受付ローラ11D〜11Fは、滑り軸受付ローラ11A〜11Cによって付与した、ゴム帯10の巻き込み部分を、更に巻き込めるように、滑り軸受付ローラ11A〜11Cよりも、幅方向左側に配置されている。
上記構成の滑り軸受付ローラ11A〜11Jによれば、ゴム帯10の移動方向に向かうにつれて、ゴム帯10の左右の位置でゴム帯10に接触する部分の左右方向の間隔を狭めつつ、移動方向に沿ってゴム帯10の右側面部分を、漸次、断面渦巻状に巻き込む、くせ付け加工を行うことができる。これにより、ゴム帯10を、短繊維2が長手方向に配向した、ゴム帯10よりも幅狭で且つ厚肉な未加硫のゴム条1に連続的に仕上げることができる(図8(c)参照)。
実施形態1では、ゴム帯10の右側の、3体1組の滑り軸受付ローラを、移動方向に沿って2連繋げた構成をしている。しかし、滑り軸受付ローラを何体1組にするか、また、何組配置するかは、設計事項として自由に組み合わせることができる。また、狙いとするゴム条1を無理なく作製(くせ付け加工)できるよう、滑り軸受付ローラの配置位置(ゴム帯10の移動方向の間隔、左右方向の間隔)、滑り軸受付ローラの配置数は、作製対象とするゴム条1の仕様に従い、即ち、ゴム帯10の仕様(ゴム配合、厚み、幅)、及び、ゴム条1の狙いの断面(形状、寸法、渦巻数)との関係により、適宜、最適に決定される。例えば、ゴム条1の狙いの断面積が増す方向に変更されれば、ゴム帯10の幅寸法が大きくなることから、その分、滑り軸受付ローラの配置数が多くなる。
なお、例えば、図8(a)に示す、渦巻6重の断面渦巻状のゴム条1は、3体1組(1連)の滑り軸受付ローラを、6連繋げた態様にて作製している。
(補助ロール(背面ロール12A〜12C、底面ロール13A〜13C))
背面ロール12A〜12C、及び、底面ロール13A〜13Cは、ゴム帯10が移動方向にスムーズに移動でき、且つ、ゴム帯10のくせ付け加工が無理なく行えるように、ゴム帯10の背面側(上方)および底面側(下方)に、ゴム帯10の移動方向に沿って間隔をあけて配置されている。背面ロール12A〜12C、及び、底面ロール13A〜13Cは、ゴム帯10の移動に伴い従動(つれまい)可能にゴム帯10に接触する、回転可能なロール体である。また、背面ロール12A〜12Cは、ゴム帯10の背面にだけ接触できるように、下流に行くほど、その幅が狭くなっている(図7(a)参照)。
(ゴム帯10)
ゴム帯10を形成するゴム材料は、短繊維2を含む(配合した)ゴム組成物である。ゴム成分としては、加硫又は架橋可能なゴムを用いてよく、例えば、ジエン系ゴム(天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(ニトリルゴム)、水素化ニトリルゴム等)、エチレン−α−オレフィンエラストマー、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、のうちの1種又は2種以上を組み合わせたものを用いてよい。好ましいゴム成分は、エチレン−α−オレフィンエラストマー(エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)等)、及び、クロロプレンゴムである。特に好ましいゴム成分は、クロロプレンゴムである。クロロプレンゴムは、硫黄変性タイプ及び非硫黄変性タイプのいずれでもよい。
ゴム組成物に、添加剤を追加してもよい。添加剤としては、例えば、加硫剤又は架橋剤(又は架橋剤系)(硫黄系加硫剤等)、共架橋剤(ビスマレイミド類等)、加硫助剤又は加硫促進剤(チウラム系促進剤等)、加硫遅延剤、金属酸化物(酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化鉄、酸化銅、酸化チタン、酸化アルミニウム等)、増強剤(例えば、カーボンブラックや、含水シリカ等の酸化ケイ素)、充填剤(クレー、炭酸カルシウム、タルク、マイカ等)、軟化剤(例えば、パラフィンオイルや、ナフテン系オイル等のオイル類)、加工剤又は加工助剤(ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、ワックス、パラフィン、脂肪酸アマイド等)、老化防止剤(酸化防止剤、熱老化防止剤、屈曲き裂防止剤、オゾン劣化防止剤等)、着色剤、粘着付与剤、可塑剤、カップリング剤(シランカップリング剤等)、安定剤(紫外線吸収剤、熱安定剤等)、難燃剤、帯電防止剤、のうちの1種又は2種以上を組み合わせたものを用いてよい。なお、金属酸化物は架橋剤として作用してもよい。また、ゴム組成物は、接着性改善剤(レゾルシン−ホルムアルデヒド共縮合物、アミノ樹脂等)を含んでよい。
短繊維2としては、例えば、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等)、ポリアミド繊維(ポリアミド6繊維、ポリアミド66繊維、ポリアミド46繊維、アラミド繊維等)、ポリアルキレンアリレート系繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維等の、C2-4アルキレンC6-14アリレート系繊維)、ビニロン繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維等の合成繊維;綿、麻、羊毛等の天然繊維;炭素繊維等の無機繊維、のうちの1種又は2種以上を組み合わせたものを用いてよい。ゴム組成物中での分散性や接着性を向上させるため、短繊維に、慣用の接着処理(又は表面処理)を施してよく、例えば、レゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)液等で短繊維を処理してよい。
(短繊維入りゴム条の作製方法)
次に、実施形態1に係る、短繊維2入りゴム条1の作製方法について、図9のフローを参照して説明する。
まず、バンバリーミキサーによって、短繊維2を含むゴム材料を混練りし、短繊維2入りのゴム組成物を得る(混練:S1)。
次に、カレンダー加工によって、短繊維2入りのゴム組成物を、長手方向に配向された短繊維2入りの薄肉単層の圧延ゴムシートに加工する(圧延:S2)。
次に、圧延ゴムシートをスリッタによって、所定幅に裁断し、短繊維2入りゴム帯10(フィルム付き)を得て、巻き取る(裁断:S3)。本実施形態では、単層の、短繊維2入りゴム帯10を使用している。
そして、巻き取られた、短繊維2入りゴム帯10(未加硫)を、図10(a)(b)に示すように、ゴム帯10の繰り出し部から、回転機構(動力源:電気モータ等)に連結された、回転可能な円筒状モールドMの外周面の凹溝31へ向かう移動経路上に配置された、作製装置100によって、ゴム帯10に対して、上述したくせ付け加工を行い、一巻きの断面渦巻状のゴム条1を得る(くせ付け加工:S4)。なお、ゴム帯10は、回転機構により、円筒状モールドMが回転することによって、円筒状モールドMの外周面(凹溝31)に引き寄せられることで移動する。
具体的には、上記作製装置100では、ゴム帯10の繰り出し部から繰り出された、ゴム帯10(短繊維2が長手方向に配向)に対して、ゴム帯10の移動経路上で、移動方向に向かうにつれて、ゴム帯10の幅が狭く、且つ、ゴム帯10の厚みが大きくなるように、ゴム帯10の移動方向に沿って配置された、滑り軸受付ローラ11A〜11Jが、ゴム帯10の左右の位置で接触する。そして、滑り軸受付ローラ11A〜11Jは、ゴム帯10の移動方向に向かうにつれて、ゴム帯10の左右の位置でゴム帯10に接触する部分の左右方向の間隔を狭めつつ、移動方向に沿ってゴム帯10の右側面部分を、漸次、断面渦巻状に巻き込むくせ付け加工を行う。これにより、ゴム帯10を、短繊維2が長手方向に配向した、ゴム帯10よりも幅狭で且つ厚肉な未加硫のゴム条1に連続的に仕上げることができる(図8(c)参照)。
なお、短繊維2入りゴム帯10に付けられたフィルムは、作製装置100の手前で剥がされてフィルム回収部により回収される。
以上実施形態1に係る短繊維入りゴム条の作製方法、及び、短繊維入りゴム条の作製装置100を説明した。一般に、短繊維2が圧延(長手)方向に配向した、未加硫の短繊維2入りゴム帯10は、「未加硫状態であっても、長手(圧延)方向には、剛直で(伸ばされにくく、曲げにくく)、幅方向には、柔軟な(しなやかで、曲げやすい)特性」を有している。
このため、上記くせ付け加工によれば、ゴム帯10に対して、ゴム帯10の移動経路上に配置された作製装置100によって、ゴム帯10の移動方向(長手方向)に沿ってゴム帯10の右側面部分を、漸次、断面渦巻状に巻き込む力を作用させ易くなる。
これにより、ゴム条1の作製時の巻き込みエアを反移動方向(後方)に逃がしつつ、ゴム帯10を漸次、幅方向の断面視で渦巻状に巻き込むことが容易となる。
また、ゴム条1の作製時に、積層不要であり、積層操作を伴う従来の作製方法に比べて、手間を省くことができる。
また、ゴム帯10の移動経路上で、且つ、くせ付け加工無しの場合と移動速度略同等(例えば1m/分程度)に、ゴム帯10から、短繊維2を長手方向に配向させたまま、ゴム帯10よりも幅狭で、且つ、厚肉な未加硫のゴム条1(比較的幅狭で厚肉な未加硫の短繊維入りゴム条)に連続的に仕上げることが容易となる。
従って、上記によれば、製造品質を確保しつつ、製造上の手間を抑制し、製造工程上、効率的に(くせ付け加工費不要に)、短繊維2が長手方向に配向した、比較的幅広で薄肉な未加硫の短繊維入りゴム帯10から、短繊維2が長手方向に配向した、比較的幅狭で厚肉な未加硫の短繊維入りゴム条1を作製することができる。
上記実施形態1では、単層の、短繊維2入りゴム帯10を使用している。ゴム帯10が積層されたものであれば、積層方法によっては、層間に空隙が含まれる虞があり、加硫後の製品が動的な用途に使用されると、層間剥離する懸念が残るが、ゴム帯10が単層であれば、この品質上の懸念を払拭でき、製造品質を確実に確保することができる。
また、ゴム帯10は、積層されたものではないため、積層操作が不要な分、作製上の手間を確実に抑制することができる。
上記実施形態1によれば、ゴム帯10を巻き込む力がゴム帯10の幅方向右側から(幅方向右側から左側に)作用するため、ゴム帯10を無理なく確実に一巻きの断面渦巻状のゴム条1に形成することができる。
このため、後述する実施形態2のように、ゴム帯10の移動方向に沿ってゴム帯10の左右の側面寄りの部分をそれぞれ、漸次、断面渦巻状に巻き込み、ゴム帯10を巻き込む力がゴム帯10の左右方向両側から(幅方向右側から左方、及び、幅方向左側から右側に)作用することで、左右方向両側に一巻きずつ断面渦巻状に形成する(計二巻き)場合に比べて、ゴム条1をより厚肉な断面形状に無理なく確実に形成することができる。そのため、製造品質をより確実に確保できる。
上記実施形態1では、滑り軸受付ローラ11A〜11Jが、ゴム帯10の左右の位置で、ゴム帯10の移動方向に沿って間隔をあけて、ゴム帯10の移動に伴い従動可能にゴム帯10に接触する、回転可能なロール体である。これにより、くせ付け加工において、ゴム帯10が、ゴム帯10の移動方向に沿って、従動不能に接触される場合(例えばガイド板の類を摺接)と比べ、接触部分の接触抵抗を低減することができる。
そのため、ゴム帯10の移動方向に沿ってゴム帯10を巻き込む力が不用意に変化し、未加硫のゴム条1を狙いの断面形状に成形できなくなることや、未加硫のゴム条1が長手方向に(移動方向に沿って)不用意に伸びてしまうことを抑制することができ、製造品質をより確実に確保することができる。
また、滑り軸受付ローラ11A〜11Jが、回転可能なロール体であることから、ゴム帯10の移動に伴い従動可能な接触部分が、移動方向に沿って間隔をあけずに延在し、ゴム帯10の移動に伴い従動可能な無端状帯体(例えば、平ベルト等)の外周部分である場合と比べ、作製装置100の設計の自由度が高く、くせ付けの調整もやり易いといえる。そのため、製造品質をより確実に確保できる。
また、実施形態1により得られた短繊維入りゴム条1は、無端状の成形体の作製に好適に供することができる。例えば、好適な最終製品は伝動ベルトであり、この場合、特には、比較的大型のコグ部を有するコグ付きVベルトの予備成形工程で作製される、コグパッド(コグ付きゴム成形体)のコグ部を形成するための長尺のゴム部材(ゴム条)として供するのが最も好適である。
この場合、コグパッドの作製工程(コグ付きVベルトの予備成形工程)に備わる円筒状モールドMの回転によって、円筒状モールドMの外周面の凹溝31に向かうゴム帯10の移動経路上で、ゴム帯10がゴム条1に連続的に仕上げられる。そのため、くせ付け加工コストをほとんど不要にできるため、製造工程上、より効率的なものとなる。
ひいては、本方法によらずに予め、別工程で積層操作を経て短繊維入りゴム条を作製して、コグパッドを作製した場合と比べ、最終製品であるコグ付きVベルト(ローエッジコグドVベルト)の製造コストをより低減できる。
(実施形態2)
次に、実施形態2の、短繊維入りゴム条の作製装置200及び作製方法について説明する。実施形態2の作製装置200は、短繊維2を含むゴム組成物を混練りした後、圧延することで得られた、短繊維2が長手方向に配向した未加硫のゴム帯10を、双方の側面寄りの部分(左右両側面)をそれぞれ、漸次、断面渦巻状(図8(b)参照)に巻き込み、未加硫のゴム条201に連続的に仕上げる(図7(b)参照)。
(作製装置200)
図7(b)に示すように、作製装置200には、ゴム帯10の左右の位置に配置された、円筒状の滑り軸受(ブッシュ)付ローラ211A〜211L(右側に6体、左側に6体)と、ゴム帯10を、背面側から及び底面側から押さえる補助ロール(背面ロール212A、底面ロール213A)と、滑り軸受付ローラ211A〜211L、及び、補助ロール(背面ロール212A、底面ロール213A)を、それぞれの軸部を介して支持するフレーム(不図示)とが、ゴム帯10の移動経路上に配置されている。
(滑り軸受付ローラ211A〜211L)
滑り軸受付ローラ211A〜211Lは、ゴム帯10の左右の位置で、ゴム帯10の移動方向に沿って間隔をあけて、ゴム帯10の移動に伴い従動(つれまい)可能にゴム帯10に接触する、回転可能なロール体である。
滑り軸受付ローラ211A〜211Fは、上記実施形態1の滑り軸受付ローラ11A〜11Fと同様の構成で、無理なくゴム帯10の右側面部分を幅方向右側から幅方向左側に巻き込めるよう、幅方向右側において、移動方向に沿って間隔をあけて連続する3体1組を基本構成(1連)として、移動方向に沿って2連繋げた態様で配置されている。
滑り軸受付ローラ211G〜211Lは、無理なくゴム帯10の左側面部分を幅方向左側から幅方向右側に巻き込めるよう、幅方向左側において、移動方向に沿って間隔をあけて連続する3体1組を基本構成(1連)として、移動方向に沿って2連繋げた態様で配置されている。
滑り軸受付ローラ211Gは、ゴム帯10の左側の、移動方向に対して最も上流側に配置されている。また、軸受付ローラ211Gは、ゴム帯10の左右方向の端面位置を規制しつつ、ゴム帯10の左側面部分を立てる(起こす)ために、ゴム帯10の右側面と軸受付ローラ211Gとの第4距離が、ゴム帯10の幅よりもわずかに短くなるように配置されており、軸受付ローラ211Gの軸は左側にわずかに傾斜している。
滑り軸受付ローラ211Hは、ゴム帯10の左側の、滑り軸受付ローラ211Gよりも下流側に配置されている。また、軸受付ローラ211Hは、ゴム帯10の左右方向の端面位置を規制しつつ、滑り軸受付ローラ211Gによって立てた左側部分を幅方向右側へ無理なく確実に巻き込み可能な巻き込み量を付与できるように、ゴム帯10の右側面と軸受付ローラ211Hとの第5距離が、上記第4距離よりも短くなるように配置されており、軸受付ローラ211Hの軸は、垂直になるように配置されている。
滑り軸受付ローラ211Iは、ゴム帯10の左側の、滑り軸受付ローラ211Hよりも下流側に配置されている。また、軸受付ローラ211Iは、ゴム帯10の左右方向の端面位置を規制し、確実に巻き込みつつ、滑り軸受付ローラ211Hによって付与した巻き込み量に見合う巻き込み部分を、ゴム帯10背面側に押し付け可能なように、ゴム帯10の右側面と滑り軸受付ローラ211Iとの第6距離が、上記第5距離よりも短くなるように配置されており、軸受付ローラ211Iの軸は右側に傾斜している。
滑り軸受付ローラ211J〜211Lは、滑り軸受付ローラ211G〜211Iと同様の構成をしており、1組の基本構成(1連)をなしている。なお、滑り軸受付ローラ211J〜211Lは、滑り軸受付ローラ211G〜211Iによって付与した、ゴム帯10の巻き込み部分を、更に巻き込めるように、滑り軸受付ローラ211G〜211Iよりも、幅方向右側に配置されている。
ここで、実施形態2では、ゴム帯10の幅方向右側に配置された、滑り軸受付ローラ211A〜211Fと、ゴム帯10の幅方向左側に配置された、滑り軸受付ローラ211G〜211Lとは、図7(b)に示すように、ゴム帯10の左右の位置でゴム帯10に接触する部分の位置は、移動方向において、互い違いに配置されている。
作製装置200によれば、ゴム帯10に対して、ゴム帯10の左右の位置で、ゴム帯10の移動方向に沿って間隔をあけて配置された、滑り軸受付ローラ211A〜211Lを、移動方向への移動に伴い、従動可能にゴム帯10に接触させ、ゴム帯10の移動方向に沿って、ゴム帯10の両側面をそれぞれ、漸次、断面渦巻状に巻き込む、くせ付け加工を行うことができる(図8(b)参照)。
(補助ロール(背面ロール212A、底面ロール213A))
背面ロール212A、及び、底面ロール213Aは、ゴム帯10が移動方向にスムーズに移動でき、且つ、ゴム帯10のくせ付け加工が無理なく行えるように、ゴム帯10の背面側(上方)および底面側(下方)に配置されている。
(短繊維入りゴム条の作製方法)
次に、実施形態2に係る、短繊維2入りゴム条201の作製方法について説明する(図9参照)。なお、実施形態2では、実施形態1と異なるくせ付け加工(S4)について説明する。
S3の裁断工程により巻き取られた、短繊維2入りゴム帯10(未加硫)を、図10(a)(b)に示すように、ゴム帯10の繰り出し部から、円筒状モールドMの外周面の凹溝31へ向かう移動経路上に配置された、作製装置200によって、ゴム帯10に対して、実施形態2のくせ付け加工を行い、二巻きの断面渦巻状のゴム条201を得る。
具体的には、上記作製装置200では、ゴム帯10の繰り出し部から繰り出された、ゴム帯10(短繊維2が長手方向に配向)に対して、ゴム帯10の移動経路上で、移動方向に向かうにつれて、ゴム帯10の幅が狭く、且つ、ゴム帯10の厚みが大きくなるように、ゴム帯10の移動方向に沿って配置された、滑り軸受付ローラ211A〜211Lが、ゴム帯10の左右の位置で接触する。そして、滑り軸受付ローラ211A〜211Lを従動可能にゴム帯10に接触させ、移動方向に沿って、ゴム帯10の両側面部分をそれぞれ、漸次、断面渦巻状に巻き込むくせ付け加工を行う(図8(b)参照)。これにより、ゴム帯10を、短繊維2が長手方向に配向した、ゴム帯10よりも幅狭で且つ厚肉な未加硫のゴム条201に連続的に仕上げることができる。
以上実施形態2に係る短繊維入りゴム条の作製方法、及び、短繊維入りゴム条の作製装置200を説明した。実施形態2のように、ゴム帯10を巻き込む力が左右方向両側から(幅方向右側から左側に一巻、及び、幅方向左側から右側に一巻)作用する態様でゴム帯10の双方の側面寄りの部分をそれぞれ巻き込みながらくせ付け加工を行う場合(計二巻)、図7(b)に示すように、ゴム帯10の左右の位置でゴム帯10に接触する部分の位置が、移動方向において、互い違いに配置されている場合、ゴム帯10の左右の位置でゴム帯10に接触する部分の位置が、移動方向において、横並びになっている場合(互い違いになっていない場合)と比べて、ゴム帯10の左右方向両側から作用するゴム帯を巻き込む力が横並びにぶつかり合うことを避けることができる分、ゴム条1をより厚肉な断面形状に無理なく確実に形成させることができる。その分、製造品質をより確実に確保できる。
また、くせ付け加工が、ゴム帯10の移動方向に沿ってゴム帯10の双方の側面寄りの部分をそれぞれ、漸次、断面渦巻状に巻き込むことで行われるため、くせ付け加工がゴム帯10の移動方向に沿ってゴム帯10の一方の側面寄りの部分を、漸次、断面渦巻状に巻き込むことで行われる場合(実施形態1の場合)と比べて、ゴム帯10の単位移動距離当たりの総巻き込み量を増やすことができる分(つまり、くせ付け加工の効率が上がる分)、ゴム帯10の移動方向に沿ったくせ付け加工部分の長さを短縮でき、作製装置200のコストを抑制することができる。
(その他の実施形態)
(1)実施形態1では、単層の、短繊維2入りゴム帯10を使用しているが、短繊維入りゴム条1を作製するために供されるゴム帯10は、複数の層に形成(積層)されていてもよい。
(2)実施形態1及び実施形態2では、回転可能なロール体である、滑り軸受付ローラを使用しているが、代わりに、ガイド板の類を摺接することにより、くせ付け加工は、ゴム帯10に対して、移動方向に沿って、従動不能に接触させることで行われてもよい。
(3)実施形態1及び実施形態2では、回転可能なロール体である、滑り軸受付ローラを使用しているが、ゴム帯10の移動に伴い従動可能な接触部分が、移動方向に沿って間隔をあけずに延在し、ゴム帯10の移動に伴い従動可能な無端状帯体(平ベルト等)の外周部分であってもよい。
(4)実施形態2において、ゴム帯10の左右の位置でゴム帯10に接触する部分の位置が、移動方向において、横並びになっていてもよい(互い違いでなくてもよい)。
(5)短繊維入りゴム条1を作製する際に移動するゴム帯10の移動経路は、回転可能な円筒状モールドMの外周面に向かう経路でなくてもよい。また、短繊維入りゴム条1は、円筒状モールドMが回転し、円筒状モールドMの回転によって、ゴム帯10が円筒状モールドMの外周面の凹溝31に引き寄せられて移動することで作製されるものでなくてもよい。例えば、別途、作製装置100により、ゴム帯10をゴム条1に成形し、成形したゴム条1を繰り出し部にセットし、繰り出し部から円筒状モールドMの外周面に移動させてもよい。また、短繊維入りゴム条1は、無端状の成形体の作製用に限定されるものではない。
次に、本発明の方法(作製装置100)で得られた短繊維入りゴム条を用いて作製したコグ付きVベルトを実施例とし、積層操作を伴う従来慣用な方法(圧延→積層→裁断)で得られた短繊維入りゴム条を用いて作製したコグ付きベルトを比較例として、比較評価を行った。
実施例は、最終製品を比較的大型のコグ部(例えばコグ高さ17mm)を有するコグ付きVベルトとし、その予備成形工程で作製される、前述のB法(ベルトの製造品質、製造コスト上、好適な方法)によるコグパッド(コグ付きゴム成形体)のコグ部を形成するための長尺のゴム条として、上記実施形態1の方法(作製装置100)で短繊維入りゴム条を作製した。一方、比較例は、短繊維が長手(圧延)方向に配向した比較的薄肉(例えば厚さ1mm)のゴムシート(ゴム帯)を、所定の厚み(例えば厚さ17mm)に達するまで重ね合わせていく積層操作により短繊維入りゴム条を作製した。
(評価項目)
1)短繊維入りゴム条の配向性(品質)
2)コグ付きVベルトの動的評価(耐久性、耐クラック)
3)短繊維入りゴム条の作製に係る加工コスト
(コグ付きVベルトの作製)
〈1.ゴム条(供試体)〉
ゴム条のゴム材料は実施例、比較例で共通である。具体的には、表1の配合によるゴム材料をバンバリーミキサーで混練りすることで得られた、短繊維入りのゴム組成物である。表1は、実施例、及び、比較例に係る、短繊維入りゴム条を用いて製造された、コグ付きVベルトの圧縮ゴム層及び伸張ゴム層を形成するゴム組成物の配合説明である。
Figure 2021054063
・短繊維:アラミド短繊維(詳細には、帝人製 コーネックス短繊維、平均繊維長3mm、平均繊維径14μmである)
・ナフテン系オイル:DIC(株)製「RS700」
・カーボンブラック:東海カーボン(株)製「シースト3」
・老化防止剤:精工化学(株)製「ノンフレックスOD3」
・ゴム条の物性
未加硫ゴムの最低ムーニー粘度(Vm)(測定条件125℃,JIS K6300−1:2013に準拠):約60
加硫ゴムの硬さ(デュロメータA硬さ)(JIS K6253:2012に準拠):約92
短繊維の配向性(TB比):約2.8(厚さ1mmで圧延した場合)
狙いの断面:コグ山部分の断面形状(略台形形状:下幅18mm×上幅11mm×高さ(厚さ)17mm)、及び、断面積(約245mm2)、に見合う(と略同じ)断面を有するゴム条とした。
(作製方法:実施例 図9のフロー参照)
実施例では、耐側圧性確保のため、圧縮ゴム層に厚みをもたせたコグ付きVベルトの仕様(コグ高さ17mmで、従来よりも大型のコグ部を有する仕様)に対し、無理なく確実に厚肉に形成可能と思われる上記実施形態1の方法(作製装置100)(図7(a))でゴム条を作製した。
具体的には、バンバリーミキサーによって、短繊維を含むゴム材料を混練りして得た、短繊維入りのゴム組成物(S1)を、短繊維入りの薄肉単層の圧延ゴムシート(厚さ約1mm(短繊維が圧延方向に充分に配向可能な厚み))に加工した(S2)。
次に、圧延ゴムシートをスリッタによって、所定幅に裁断し(厚さ約1mm×裁断幅約245mm:コグ山部分の断面積(約245mm2)相当)、短繊維入りゴム帯(フィルム付き)を得て、巻き取った(S3)。
そして、巻き取られた、短繊維入りゴム帯(未加硫)を、図10(a)(b)に示すように、ゴム帯の繰り出し部から、円筒状モールドMの外周面の凹溝31へ向かう移動経路上に配置された、作製装置100によって、ゴム帯に対して、くせ付け加工を行い、コグ山部分の断面形状、断面積に見合う、狙いの断面(特には厚さ17mm)に合致する、長尺の短繊維入りの一巻きの断面渦巻状のゴム条を得た(S4)。
ここで、実施例に係る作製装置100では、滑り軸受付ローラの構成を、3体1組(1連)の滑り軸受付ローラを6連繋げた態様にしてゴム条を作製した(即ち、ゴム帯の右側に、滑り軸受付ローラを18体、ゴム帯の左側に滑り軸受付ローラを12体配置した構成)。
この結果、渦巻6重の断面渦巻状のゴム条(図11(a)参照)を得た。
なお、作製装置で使用した滑り軸受付ローラ(軸部を除く部分)は、市販品(ミスミ社製、型式FRTA8−3−30)を流用した。
滑り軸受付ローラは、軸孔が形成された胴体部(円筒状)、及び、滑り軸受部(フランジ付きブッシュ)(胴体部の左右端部に固定:ブッシュ部分は軸孔に圧入、フランジ部分は左右端面に着座)で構成されている(図14の滑り軸受付ローラの断面図参照)。胴体部の材質は、アルミ合金(表面はアルマイト処理)である。胴体の寸法は、外径8mm×内径3.2mm×長さ30mmである。滑り軸受部は、軸部に対する摺動面となるブッシュ部分(筒状摺動部分)の内面(内径3mm)が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を主成分とする合成樹脂で被覆された複層系(基材は鋼帯)のメタル軸受になっている。この摺動面は、自己潤滑性の摺動特性を有し、基材(鋼帯)よりも低摩擦係数の表面特性を有する。そして、図14の組立図に示すように、滑り軸受付ローラが、円柱状の軸部(外径3mm)に挿入された状態で、軸部の一方端にスナップリングが嵌め込まれることにより、滑り軸受付ローラの軸方向の移動が規制されている。これにより、滑り軸受付ローラ(胴体部のブッシュ部分の内面)は、軸部に対して回転可能(摺動回転)となっている。
(作製方法:比較例 図12のフロー参照)
比較例では、ゴム条の狙いの断面、及び、混練(S11)、圧延(S12)の内容は、実施例のS1及びS2と共通である。そして、比較例では、積層操作を伴う従来慣用な方法(圧延→積層→裁断)で、ゴム条を作製した。
具体的には、S12で得た、単層(厚さ1mm)の圧延ゴムシート(ゴム帯)を、プライアップ装置で、積層し、所定の厚み(厚さ17mm)に達するまで重ねあわせていく積層操作(計16回)を行った(S13)。これにより、厚肉の短繊維入りゴム帯(フィルム付き)を得た。
次に、スリッタで、厚肉の短繊維入りゴム帯を、所定幅、所定の断面形状(台形状)に裁断し、長尺の短繊維入りゴム条を得た(図11(b))(S14)。
〈2.コグパッド(コグ付きゴム成形体)(実施例、比較例で共通)〉
コグ付きVベルトの予備成形工程において、公知(特許文献2)の方法(前述のB法)で、実施例のゴム条及び比較例のゴム条を用いて、コグパッド(コグ付きゴム成形体)(図5参照:特許文献2の第6図に相当)を作製した。
(コグパットの作製方法)
(1)ゴム条の巻回嵌入
円筒状モールドM(外周面)の凹溝31(面長方向所定ピッチPで螺旋状に形成された溝)内に、長尺のゴム条を螺旋状に巻回嵌入した(図10(b)参照)。
この際、実施例については、円筒状モールドMの外周面に向かう、ゴム帯の移動経路上で、ゴム帯をくせ付け加工して連続的に得た長尺のゴム条を円筒状モールドMの凹溝31へ供することができた(図10(a))。なお、実施例では、くせ付け加工を行わない比較例の場合と同様、約1m/分の移動速度でゴム条の作製(くせ付け加工)、ならびに、得られたゴム条の円筒状モールドMへの巻回が可能であった。
(2)補強布(下布)の巻付け
ゴム条が巻回された円筒状モールドMの上に、内面側に接着ゴム層が糊引きされた補強布(下布)を巻き付け、圧着した(図4参照)。この際、補強布(下布)の捲縮糸を合撚した緯糸方向がゴム条(凹溝31)の延在方向に対して直角になるように、無端状に巻付けた。また、補強布(下布)の両端部は刃物溝に沿って巻き付けた。なお、ゴム条との密着性が不足する際は、ばらけ防止のため、ゴム糊をゴム条の外周面に塗布、乾燥させてから巻付けてもよい。
補強布(下布)には、6.6ナイロンからなる210デニールの経糸と、140デニールの6.6ナイロン糸とウーリー加工した140デニールの6.6ナイロン捲縮糸を撚り合わせた緯糸とで綾織組織に製織し、製織後、サーキュラーで帆布を水中にて振動を与えて捲縮糸を収縮処理し、さらに、接着ゴム層の糊引きを含む接着処理を施した伸縮性帆布を用いた。
(3)切開
刃物で、刃物溝に沿って、補強布(下布)及びゴム条を切断し、切開することで、コグパッド(コグ付きゴム成形体)を得た(図5参照)。
〈3.未加硫ベルトスリーブ(ベルト成形体)(実施例、比較例で共通)〉
コグ付きVベルトの成形工程において、公知の方法で、上記コグパッドを用いて、未加硫ベルトスリーブ(ベルト成形体)(図6参照:特許文献2の第7図に相当)を作製した。
(未加硫ベルトスリーブの作製方法)
(4)コグパッドの巻付け
加硫成形用のモールド(外周面)に、コグパッドの補強布(下布)側を内側にして、外側のコグ(ゴム条)部分をモールド溝(加硫成形用のモールドの面長方向)に順次嵌入し、コグパッドを無端状に巻付けた(図6参照)。これにより、コグ(ゴム条)部分を形成するゴム組成物に含まれる短繊維の配向方向(シート圧延方向)が、加硫成形用のモールドの面長方向(周方向に対して直角方向)に一致することになる。
(5)圧縮ゴム層の巻付け
加硫成形用のモールドの外周面に巻き付けた、コグパッドの上に、短繊維の配向方向(シート圧延方向)がモールドの面長方向(周方向に対して直角方向)となるように、コグ谷部及びコグ底部(ともに厚さ5mm)のボリュームに見合う、平シート状の圧縮ゴム層(積層シート)(配合は表1)を巻き付けた。
(6)下部接着ゴム層の巻付け
圧縮ゴム層(積層シート)の上に、下部接着ゴム層(配合は表2)を巻き付けた(不図示)。表2は、実施例、及び、比較例に係る、短繊維入りゴム条を用いて製造された、コグ付きVベルトの接着ゴム層(下部及び上部)を形成するゴム組成物の配合説明である。
Figure 2021054063
(7)心線の巻付け
下部接着ゴム層の上に、心線を一定張力下で螺旋状に巻き付けた。心線としては、1000デニールのポリエチレンテレフタレート(PET)繊維を2×3の撚り構成で、上撚り係数3.0、下撚り係数3.0で諸撚りしたトータルデニール6,000のコードに、接着処理を施したものを使用した。
(8)上部接着ゴム層の巻付け
心線の上に、上部接着ゴム層(配合は表2)を巻き付けた(不図示)。
(9)伸張ゴム層の巻付け
上部接着ゴム層の上に、平シート状の伸張ゴム層(積層シート)(配合は表1)を巻き付けた。配合、ならびに短繊維の配向方向は、圧縮ゴム層と同じである。
(10)補強布(上布)の巻付け
伸張ゴム層の上に、補強布(上布)を巻き付け、圧着することで、未加硫ベルトスリーブ(ベルト成形体)を得た。補強布(上布)としては、綿の紡績糸を使用した平織帆布にRFL液で浸漬処理を施し、さらに当該帆布を150℃で2分間熱処理した後、ゴム組成物をすり込むフリクション加工を行うことで形成された、ゴム付帆布を使用した。
〈4.加硫ベルトスリーブ、コグ付きVベルト(実施例、比較例で共通)〉
コグ付きVベルトの加硫工程において、公知の方法で、上記未加硫ベルトスリーブを用いて、加硫ベルトスリーブ(不図示)を作製し、その後、仕上げ工程を経て、コグ付きVベルトを得た。
(加硫ベルトスリーブの作製方法)
(11)加硫
加硫缶で、未加硫ベルトスリーブ(ベルト成形体)を加硫し、加硫ベルトスリーブを得た。この際、円筒状の加硫ジャケットを被せて、温度160℃で25分間加硫を行った。
(12)脱型、幅カット
加硫ベルトスリーブを加硫成形用のモールドから抜き取り後、得られた加硫ベルトスリーブを回転させながら、2枚のカッターによって所定の幅(上幅)に輪状に切断し、複数本のコグ付きVベルトを得た。
得られた、コグ付きVベルトの側断面図を図13に示す。その寸法は、外周長1565mm、上幅45mm、ベルト厚み27mm、コグ高さ17mmであった。
(評価)
1)短繊維入りゴム条の配向性
得られた短繊維入りゴム条(実施例、比較例)の短繊維配向性の評価を行った。
(評価方法)
(1)実施例、及び、比較例のゴム条を3枚(各々の断面:厚さ1mm×幅10mm)にスライスして外層(短辺側)、中央層、内層(長辺側)の3層に区分した。
(2)ブランク(参考例)として、実施例、及び、比較例のゴム条を作製する際の圧延工程で得られた薄肉単層(厚さ1mm)の圧延ゴムシートを幅10mmに裁断した。
(3)これらの各シートを厚さ1mmの金属製平板(中敷き)に加工した短冊状(幅10mm)のくり抜き枠内(キャビティ)に静置させ、平プレスで加硫した。
(4)これらの各シートの長手方向と幅方向のそれぞれの引張強度(TB)をJISK6251:2017に準じて測定し、引張破断強度比(TB比)(シート長手方向/シート幅方向)を求めた。
(評価基準)
シート長手方向の引張強度がシート幅方向の引張強度に比べて大きい程、即ちTB比が大きいほど、短繊維のシート長手方向(圧延方向、ならびに、実施例でゴム条を作製する際の、ゴム帯の移動方向)への配向性が良好であることを示している。
従って、短繊維が圧延(長手)方向に充分に配向していると認められるブランク(参考例)の水準(TB比)と略同等であれば、短繊維のシート長手方向への配向性が良好であると評価した。
(評価結果:TB比)
実施例:外層2.7、中央層2.8、内層2.7
比較例:外層2.8、中央層2.8、内層2.8
ブランク(参考例):2.8
2)コグ付きVベルトの動的評価(耐久性、耐クラック)
実施例、及び、比較例のゴム条を各々用いて作製した、上述のコグ付きVベルトについて、実機フィールド耐久走行試験を行い、動的評価(耐久性、耐クラック)を行った。
(評価項目)
以下に示す欠陥の有無
a.コグ山部の内部クラック(剥離を含む)
b.コグ底部の心線下剥離
c.コグ谷部の内部クラック(剥離を含む)
(評価方法)
(1)実機フィールド耐久走行試験では、実機(大型コンバイン)のベルト式無段変速装置に実施例及び比較例に係る各コグ付きVベルトを取り付け、実使用し、総走行時間が200時間(1シーズンに相当)に達するまで実施した。
(2)実機フィールド耐久走行試験終了後のコグ付きVベルトの側面の状態を目視観察することにより、欠陥の有無を調べた。
(評価基準)
上記欠陥が全く認められない場合、耐久性に関し、良好と評価した。
上記いずれかの欠陥が1箇所でも認められた場合、耐久性に関し、不良と評価した。
(評価結果)
実施例、比較例ともに、上記欠陥が全く無く、耐久性に関し、良好であった。
3)短繊維入りゴム条の作製に係る加工コスト
実施例の短繊維入りゴム条の作製に係る加工コストを、工程フロー(図9、図12)から優劣を分析した。
(評価方法)
当該加工コストの評価は、比較例の方法と対比し、実施例の方法の優劣を予測した。
(評価結果)
圧延:実施例、及び、比較例ともに、薄肉単層の圧延ゴムシートを作製する故、加工コストは同じであり、実施例、比較例ともに、優劣に差異はない。
積層:比較例は、十数回に及ぶ積層操作が必要であったのに対し、実施例は、積層不要な分、比較例と比べ、積層にかかる加工コストを顕著に低減できた。
裁断:実施例、及び、比較例ともにスリッタ等で裁断が必要であるが、比較例は、厚肉なシート(積層シート)を幅狭に裁断する必要があるが、実施例は、薄肉なシート(単層シート)を幅広に裁断してよい分、比較例と比べ、裁断にかかる加工コストを顕著に低減できた。
くせ付け加工:比較例は当該加工が不要であり、実施例は当該加工が必要である。
しかし、実施例は、最終製品の製造工程における、ゴム帯の移動経路上(例えば、円筒状モールドMの回転によって、円筒状モールドMの外周面に向かう、ゴム帯の移動経路上)で、比較例の場合と同様の移動速度(例えば、約1m/分)で連続的に行うことができた。
したがって、実施例は、比較例と同様、当該くせ付け加工コストを実質的に不要と評価できる。
(総合結果)
以上より、実施例は、比較例と比べ、短繊維入りゴム条の作製に係る加工コストを顕著に低減できた。
(得られた効果)
・短繊維入りゴム条の配向性について(品質)
実施例の配向性は、短繊維が圧延(長手)方向に充分に配向していると認められるブランク(参考例)の水準と略同等であり、ゴム条を作製する際に、ゴム帯の長手(移動)方向に沿って短繊維が配向した状態のものが、実施例の方法(装置)で得られたゴム条においても、間違いなくゴム条の長手(移動)方向に沿って短繊維が配向していることがわかった。
・コグ付きVベルトの動的評価(耐久性、耐クラック)
実施例の方法(作製装置100)で得られたゴム条を用いて作製したコグ付きVベルトの動的評価の結果は、従来慣用な方法で得たゴム条を用いて作製した製品と同様に、全く問題のない結果となった。
従って、本発明の方法(作製装置100)によれば、製造品質を確保しつつ、短繊維が長手方向に配向した、比較的幅広で薄肉な未加硫の短繊維入りゴム帯から、短繊維が長手方向に配向した、比較的幅狭で厚肉な未加硫のゴム条を作製できることが伺えた。
また、特には、比較的大型のコグ部を有するコグ付きVベルトの予備成形工程で作製される、前述のB法によるコグパッド(コグ付きゴム成形体)のコグ部を形成するための長尺のゴム部材(ゴム条)として、本発明の方法(作製装置100)により製造品質を確保しつつ得られた短繊維入りのゴム条を好適に提供できることが伺えた。
・短繊維入りゴム条の作製に係る加工コスト
実施例は、比較例と比べ、当該短繊維入りゴム条の作製に係る加工コストを顕著に低減できることがわかった。
従って、本発明の方法(作製装置100)によれば、製造上の手間を抑制し、製造工程上、効率的に当該短繊維入りゴム条を作製できることが伺えた。
1 ゴム条
2 短繊維
10 ゴム帯
11A〜11J 滑り軸受付ローラ
12A〜12C 背面ロール
13A〜13C 底面ロール
100 作製装置
M 円筒状モールド

Claims (12)

  1. 短繊維を含むゴム組成物を混練りした後、圧延することで得られた、前記短繊維が長手方向に配向した未加硫のゴム帯に対して、前記ゴム帯の移動経路上で、前記ゴム帯の移動方向に向かうにつれて、前記ゴム帯の幅が狭く、且つ、前記ゴム帯の厚みが大きくなるように、前記ゴム帯の移動方向に沿って、前記ゴム帯の左右の位置で前記ゴム帯に接触し、前記ゴム帯の移動方向に向かうにつれて、前記ゴム帯の左右の位置で前記ゴム帯に接触する部分の左右方向の間隔を狭めつつ、前記移動方向に沿って前記ゴム帯の前記少なくとも一方の側面寄りの部分を、漸次、断面渦巻状に巻き込むくせ付け加工を行い、前記ゴム帯を、前記短繊維が長手方向に配向した、前記ゴム帯よりも幅狭で且つ厚肉な未加硫のゴム条に連続的に仕上げることを特徴とする、短繊維入りゴム条の作製方法。
  2. 前記ゴム帯は、単層であることを特徴とする、請求項1に記載の短繊維入りゴム条の作製方法。
  3. 前記くせ付け加工は、前記ゴム帯の移動方向に沿って前記ゴム帯の一方の側面寄りの部分を、漸次、断面渦巻状に巻き込むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の短繊維入りゴム条の作製方法。
  4. 前記くせ付け加工において、前記ゴム帯は、前記移動方向への移動に伴い、前記ゴム帯の左右の位置で、従動可能に接触されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の短繊維入りゴム条の作製方法。
  5. 前記ゴム帯が従動可能に接触されるのは、前記ゴム帯の前記移動方向に沿って間隔をあけて配置された、複数の回転可能なロール体であることを特徴とする、請求項4に記載の短繊維入りゴム条の作製方法。
  6. 前記くせ付け加工において、前記ゴム帯に対して、前記ゴム帯の左右の位置で、前記ゴム帯の前記移動方向に沿って間隔をあけて配置された、複数の回転可能なロール体を、前記ゴム帯の前記移動方向への移動に伴い、従動可能に前記ゴム帯に接触させ、前記ゴム帯の前記移動方向に沿って、前記ゴム帯の双方の側面寄りの部分をそれぞれ、漸次、断面渦巻状に巻き込み、
    前記ゴム帯の左右の位置で前記ゴム帯に接触する部分の位置は、前記移動方向において、互い違いになっていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の短繊維入りゴム条の作製方法。
  7. 前記ゴム帯の前記移動経路は、動力源に連結され、回転可能な円筒状モールドの外周面に向かう経路であり、
    前記ゴム帯は、前記円筒状モールドが回転し、前記円筒状モールドの回転によって、前記外周面に引き寄せられることで移動することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の短繊維入りゴム条の作製方法。
  8. 短繊維を含むゴム組成物を混練りした後、圧延することで得られた、前記短繊維が長手方向に配向した未加硫のゴム帯に対して、前記ゴム帯の移動経路上で、前記ゴム帯の移動方向に向かうにつれて、前記ゴム帯の幅が狭く、且つ、前記ゴム帯の厚みが大きくなるように、前記ゴム帯の移動方向に沿って、前記ゴム帯の左右の位置で前記ゴム帯に接触し、前記ゴム帯の移動方向に向かうにつれて、前記ゴム帯の左右の位置で前記ゴム帯に接触する部分の左右方向の間隔を狭めつつ、前記移動方向に沿って前記ゴム帯の前記少なくとも一方の側面寄りの部分を、漸次、断面渦巻状に巻き込む、くせ付け手段を備え、
    前記ゴム帯を、前記短繊維が長手方向に配向した、前記ゴム帯よりも幅狭で且つ厚肉な未加硫のゴム条に連続的に仕上げることを特徴とする、短繊維入りゴム条の作製装置。
  9. 前記ゴム帯は、単層であることを特徴とする、請求項8に記載の短繊維入りゴム条の作製装置。
  10. 前記くせ付け手段は、前記ゴム帯の移動方向に沿って前記ゴム帯の一方の側面寄りの部分を、漸次、断面渦巻状に巻き込むことを特徴とする、請求項8又は9に記載の短繊維入りゴム条の作製装置。
  11. 前記くせ付け手段は、前記ゴム帯の前記移動方向への移動に伴い、前記ゴム帯の左右の位置で、従動可能に接触することを特徴とする、請求項8〜10のいずれかに記載の短繊維入りゴム条の作製装置。
  12. 前記くせ付け手段は、前記ゴム帯の前記移動方向に沿って間隔をあけて配置された、複数の回転可能なロール体であることを特徴とする、請求項11に記載の短繊維入りゴム条の作製装置。
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