JP2018136023A - 両面伝動ベルト及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】より高度な屈曲性が必要とされる用途に適した両面伝達用の両面伝動ベルトを提供する。【解決手段】断面が偏平な六角形状であり、両側面に、連続的な外周側伝動面7と連続的な内周側伝動面8が形成されたベルト基部2と、前記ベルト基部2の外周面に所定間隔で設けられ、前記連続的な外周側伝動面7に続く断続的な伝動面11を形成する外周側突起部3と、前記ベルト基部3の内周面に所定間隔で設けられ、前記連続的な内周側伝動面8に続く断続的な伝動面12を形成する内周側突起部4と、を備え、前記ベルト基部2は、前記外周側突起部3及び前記内周側突起部4のいずれも設けられていない屈曲容易部位9を有している。【選択図】図1

Description

本発明は、内周側のV側面と、外周側のV側面とを備えた両面伝達用の両面伝動ベルト及びその製造方法に関する。
スペースの問題等により両面駆動、多軸駆動が必要とされる用途に、この両面伝動ベルトが用いられる。両面駆動、多軸駆動に使われる両面伝動ベルトは、Vベルト2本を背面で合わせた形状であり、ダブルVベルト又は六角ベルトとも称される。
この六角ベルトは、Vベルト2本を背面で合わせた形状であるため、厚みがある。厚みがあるため、屈曲性が問題となる。そこで、内外周側のそれぞれのVベルトのベルト周方向に、U字状の切れ込みであるコグ部を設け、屈曲性を高めることが知られている。
例えば、特許文献1には、両面伝達用ローエッジVベルトにおいて、ベルト本体の内周側に長さ方向に沿って一定ピッチで下コグを形成し、ベルト本体の内周側を内側補強布で被覆し、ベルト本体の外周側に長さ方向に沿って一定ピッチで上コグを形成し、ベルト本体の外周側を外側補強布で被覆し、下コグと上コグとの間に接着ゴム層を配置するものが知られている。ここで、ローエッジVベルトとは、摩擦伝動面が露出したゴム層であるものを指す。
また、特許文献2には、互いに異なる伝動特性を必要とする部分を有する機器において、少ない本数で多軸伝動を可能にするベルトで、下コグ付の内周側部分と、上コグ付の外周側部分とを備えた両面伝達用の伝動用ベルトが知られている。内周側部分の摩擦伝動面と外周側部分の摩擦伝動面とは互いに異なる摩擦係数を有している。例えば内周側部分をラップドVベルトとし、外周側部分をローエッジVベルトとすることにより、摩擦係数が互いに異なるものにする。ここで、ラップドVベルトとは、摩擦伝動面(V字状側面)が外被布で覆われたものを指す。
WO2013−069244号公報 特開2016−200231号公報
しかしながら、特許文献1〜2の両面伝達用の伝動ベルトは、コグ部が設けられているものの、摩擦伝動面からみると、依然として厚みのある寸法になっている。そのため、装置のコンパクトに伴う小プーリ径化や、軸間距離の短縮に伴い、屈曲疲労、屈曲発熱に起因する圧縮ゴムのクラック(亀裂)や心線剥離が早期に発生する恐れがあるという問題点があった。
そのため、本発明は、より高度な屈曲性が必要とされる用途に適した両面伝達用の両面伝動ベルト及びその製造方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の両面伝動ベルトは、断面が偏平な六角形状であり、両側面に、連続的な外周側伝動面と連続的な内周側伝動面が形成されたベルト基部と、
前記ベルト基部の外周面に所定間隔で設けられ、前記連続的な外周側伝動面に続く断続的な伝動面を形成する外周側突起部と、
前記ベルト基部の内周面に所定間隔で設けられ、前記連続的な内周側伝動面に続く断続的な伝動面を形成する内周側突起部と、を備え、
前記ベルト基部は、前記外周側突起部及び前記内周側突起部のいずれも設けられていない屈曲容易部位を有していることを特徴とする。
前記屈曲容易部位の長さは、前記外周側突起部及び前記内周側突起部のいずれか大きい方の幅寸法の0.5〜14倍が適当である。この数値は、必要な屈曲性確保すると共に、必要な伝達性能を得るという観点から選択される。特に、伝動面は、必要最小限の伝達特性が得られる程度の面積が確保できれば良い。
前記ベルト基部の偏平の程度は、ベルト基部幅W/ベルト基部厚みT1が、4〜7が適当である。必要な屈曲性の観点から選択される。
また、前記外周側突起部及び前記内周側突起部は、形状及び大きさが同じであって、千鳥状に交互に配置されるか、又は、内外周で一致して配置されるものが好ましい。
この構成によると、ベルト基部がストレートな屈曲容易部位を有することにより、屈曲性に優れる。また、ベルト基部が偏平であるため、厚みを小さくできるので柔軟性に優れ、小プーリ・多軸の走行条件にも耐え得る。さらに、ベルト基部が偏平であるため、放熱性に優れ、走行によるベルト温度の上昇を抑えることができ、ベルトの熱劣化を防ぐことができる。
なお、本発明において、前記外周側突起部及び前記内周側突起部は、ベルト基部の幅方向に配向された高強度繊維束を有する高強度繊維シートを含んだ成形体であるものが好ましい。
この構成によると、ベルト基部が屈曲容易部位を備えるため、耐側圧性が劣るが、その分を、前記外周側突起部及び前記内周側突起部のベルト幅方向に配向された高強度繊維束で補強することができる。すなわち、ベルト基部の幅方向に配向された高強度繊維束を有する高強度繊維シートを含んだ成形体であるため、耐側圧性に優れる。そのため、高い伝動能力を得るために高張力で用いられても、屈曲変形が少なくなり、大きなせん断応力が生じない。その結果、せん断応力による界面剥離も生じにくい。また、高強度繊維シートを含んだ突起部であるため、耐摩耗性に優れる。そのため、ベルトの痩せ細りによる張力の低下を防止することができる。
本発明の両面伝動ベルトは、断面が偏平な六角形状であり、両側面に、連続的な外周側伝動面と連続的な内周側伝動面が形成されたベルト基部と、
前記ベルト基部の外周面に所定間隔で設けられ、前記連続的な外周側伝動面に続く断続的な伝動面を形成する外周側突起部と、
前記ベルト基部の内周面に所定間隔で設けられ、前記連続的な内周側伝動面に続く断続的な伝動面を形成する内周側突起部と、を備え、
前記ベルト基部は、前記外周側突起部及び前記内周側突起部のいずれも設けられていない屈曲容易部位を有し、
前記外周側突起部及び前記内周側突起部は、ベルト基部の幅方向に配向された高強度繊維束を有する高強度繊維シートを含んだ成形体である、両面伝動ベルトの製造方法であって、
未加硫の平ベルトの内外周面に、接着処理を施した高強度繊維シートをグルグル巻きにして並べた未加硫品とする工程と、
前記未加硫品を型付プレス盤で挟み、一体加硫と型付けを同時に行い加硫成形品とする工程と、
前記加硫成形品の幅方向で直角カットし、更にバイアスカットする工程と、を含むことを特徴とする。
この構成によると、内外周突起部と屈曲容易部位とを区別して確実に成形できる。また、内外周突起部の幅方向に高強度繊維束を確実に配設できる。
本製法発明において、前記高強度繊維シートは、一方向シートであるものが好ましい。
この構成によると、前記高強度繊維シートをグルグル巻きにするときの作業性に優れる。
本発明の両面伝動ベルトの斜視図である。 両面伝動ベルトの正面図である。 両面伝動ベルトの側面図である。 変形例の両面伝動ベルトの側面図である。 両面伝動ベルトの製造手順を説明するための概念図である。 両面伝動ベルトの製造手順を説明するための概念図である。 両面伝動ベルトの製造手順を説明するための概念図である。 変形例の両面伝動ベルトの斜視図である。 変形例の両面伝動ベルトの斜視図である。 実施例に係る両面伝動ベルトの斜視図である。 比較例に係る両面伝動ベルトの斜視図である。 評価に用いた2モータ多軸リバースベンド走行試験装置を示すレイアウト図である。
次に、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態の両面伝動ベルト1は、例えば、スペースの問題などにより両面駆動、多軸伝動を必要とされる繊維機械やもみすり機等の農業機械の用途で使用される。また、本発明の両面伝動ベルトは、物流センター等で用いられている、ローラ式搬送装置におけるローラ駆動用途でも使われる。
両面伝動ベルト1は、環状であって、少なくとも2つのプーリ(駆動プーリと従動プーリ)に巻き掛けられて使用される。以下の説明において、ベルト周方向、ベルト幅方向、ベルト厚み方向とは、図1に示す方向のことである。ベルト外周側、ベルト内周側とは、図1のベルト基部2の上側、下側を指す。
両面伝動ベルト1は、ベルト基部2と、外周側突起部3と、内周側突起部4とを備えている。
ベルト基部2は、ゴム層5の厚み方向中央線上に芯体6を設けて成形されている。この芯体6は、心線を周方向に螺旋状に巻いて形成され、抗張力体を構成する。
ベルト基部2は、ベルト周方向に直交する断面の形状が偏平な六角形状である。その両側面には、逆V字状であって、連続的な外周側伝動面7,7と、V字状であって、連続的な内周側伝動面8,8と、が形成されている。連続的な外周側伝動面7,7は、図示されないプーリのV溝に挟持され、接触による摩擦力で動力が伝達される。連続的な内周側伝動面8,8は、図示されない他のプーリのV溝に挟持され、接触による摩擦力で動力が伝達される。
ベルト基部2のベルト幅方向の最大長さWは、例えば13〜22mmである。ベルト基部2のベルト厚さT1は、例えば2〜5mmである。W/T1で示される偏平度合いは、4〜7程度が好ましい。
ベルト基部2は、外周側突起部3及び内周側突起部4のいずれも設けられていない屈曲容易部9を有する。この屈曲容易部位9は、偏平なベルト基部2だけで構成された部位であり、高い屈曲性を備える。また、偏平なベルト基部2であるので、放熱性にも優れる。屈曲容易部位9の長さLは、外周側突起部3及び内周側突起部4のいずれか大きい方の幅寸法W1の0.5〜14倍程度が好ましい。
ベルト基部2を構成するゴム層は、例えば、芯体6が埋設された第1ゴム層の内外を第2ゴム層及び第3ゴム層で挟んで構成される。これら第1〜第3ゴム層は、ゴム組成物を含んで構成される。第1ゴム層を構成するゴム組成物は、第2,第3ゴム層を構成するゴム組成物に比べて、芯体6に対する接着性が高い。第2ゴム層を構成するゴム組成物と、第3ゴム層を構成するゴム組成物は、同じであっても異なっていてもよい。
ゴム組成物のゴム成分としては、加硫又は架橋可能なゴムが用いられる。具体的には、例えば、ジエン系ゴム(天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、水素化ニトリルゴム等)、エチレン−α−オレフィンエラストマー、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素化ゴム等が挙げられる。これらのゴム成分は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ゴム組成物には、必要に応じて、加硫剤又は架橋剤、共架橋剤、加硫助剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、金属酸化物(酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化鉄、酸化銅、酸化チタン、酸化アルミニウム等)、増強剤(カーボンブラック、含水シリカ等の酸化ケイ素等)、短繊維、充填剤(クレー、炭酸カルシウム、タルク、マイカ等)、軟化剤(パラフィンオイル、ナフテン系オイル等のオイル類等)、加工剤又は加工助剤(ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、ワックス、パラフィン等)、老化防止剤(酸化防止剤、熱老化防止剤、屈曲亀裂防止剤、オゾン劣化防止剤等)、着色剤、粘着付与剤、可塑剤、カップリング剤(シランカップリング剤等)、安定剤(紫外線吸収剤、熱安定剤等)、難燃剤、帯電防止剤等を配合してよい。なお、金属酸化物は架橋剤として配合してもよい。
第2ゴム層および第3ゴム層を構成するゴム組成物は、短繊維を含んでいてもよい。第1ゴム層を構成するゴム組成物は、短繊維を含まない。
芯体6を構成する心線は、ベルト周方向に延びており、ベルト幅方向に一定の間隔を開けて埋設されている。心線は、マルチフィラメント糸を使用した撚りコード(諸撚り、片撚り、ランク撚り等)からなる。心線の材質は、例えば、アラミド繊維等の合成繊維、または、炭素繊維等の無機繊維である。心線は、接着ゴム層7との接着性を高める目的で、RFL液等による接着処理が施されていてもよい。
図3に示すように、外周側突起部3は、ベルト基部2の外周側に、所定ピッチPで設けられている。内周側突起部4は、ベルト基部2の内周側に、外周側突起部3とP/2だけベルト周方向に離れて、外周側突起部3の丁度真ん中にあたる位置に、所定ピッチPで設けられている。
外周側突起部3と内周側突起部4の形状は同じであり、周方向断面でみると台形状(V字状)である。突起部3,4の台形状の幅W1は、例えば4〜20mmである。また、突起部3,4の台形状の高さT2は、例えば4〜6mmである。
図2に示すように、外周側突起部3は、その両側面に、ベルト基部2の外周側伝動面7,7に続く伝動面11,11が形成されている。この伝動面11,11は、ベルト周方向に所定ピッチP毎に断続的に現れる。内周側突起部4は、その両側面に、ベルト基部2の内周側伝動面8,8に続く伝動面12,12が形成されている。この伝動面12,12は、ベルト周方向に所定ピッチP毎に断続的に現れる。
ベルト基部2に突起部3,4が設けられた状態をベルト周方向正面からみると、所謂六角ベルトの形状となっている。両面伝動ベルト1の全体としてみると、その厚みTは、例えば10〜17mmである。一方、ベルト基部2のベルト幅方向の最大長さWは、前述したように、例えば13〜22mmである。
この外周側突起部3の伝動面11,11及び内周側突起部4の伝動面12,12は、ベルト周方向に、断続的に現れるため、通常の六角ベルトに比べ、伝動面の面積は減少する。しかし、必要最小限の伝達性能が確保できれば良い。
この外周側突起部3及び内周側突起部4は、必要な伝動面の面積を確保するためだけではなく、偏平な六角形状であるベルト基部2のベルト幅方向の耐側圧性を補強するために設けられる。そのため、ベルト基部2の幅方向に配向された高強度繊維束を有する高強度繊維シートを含んだ成形体であるものが好ましい。
図1に示されるように、外周側突起部3の両伝動面11,11及び内周側突起部4の両伝動面12,12には、高強度繊維束の端15が露出している。
ここで用いる高強度繊維シートは、例えば特公昭57−52221号公報や特開平10−102364に記載があるように、コンクリート構造物の補修・補強などに利用される繊維シートである。これは、硬い素材を使った高強度な繊維シートに位置付けられる。
この高強度繊維シートには、高強度繊維束を一方向(経方向又は緯方向)に編んだり、高強度繊維束をバインダなどで結合させて配列した1方向シートと、高強度繊維束が2方向(経方向及び緯方向)に交差して織られたり、又は編まれた2方向シートとがあり、いずれも使用可能である。
高強度繊維束は、例えば、アラミド繊維、カーボン繊維、又はこれらの併用で構成されている。これらの高強度繊維束を用いた高強度繊維シートは、以下のパラメータを有するものが好適に使用される。(一方向シートの場合)
高強度繊維シートの目付量は、アラミド繊維で構成される場合、230〜830g/m2であり、カーボン繊維で構成される場合、200〜450g/m2である。
高強度繊維シートの引張強度は、アラミド繊維で構成される場合、2060N/mm2以上であり、カーボン繊維で構成される場合、2900N/mm2以上である。
高強度繊維シートの厚みは、アラミド繊維で構成される場合、0.16〜0.60mmであり、カーボン繊維で構成される場合、0.11〜0.35mmである。(二方向シートの場合)
高強度繊維シートの目付量は、アラミド繊維で構成される場合、90〜870g/m2であり、カーボン繊維で構成される場合、200〜300g/m2である。
高強度繊維シートの引張強度は、アラミド繊維で構成される場合、2060N/mm2以上であり、カーボン繊維で構成される場合、2900N/mm2以上である。
高強度繊維シートの厚みは、アラミド繊維で構成される場合、0.03〜0.24mmであり、カーボン繊維で構成される場合、0.05〜0.09mmである。
突起部3,4での繊維の配向は、高強度繊維シートの高強度繊維束の配向方向が、ベルト幅方向となるように配設される。そのため、突起部3,4は、高強度繊維シートをぐるぐるに巻き付けて加硫成形で所定形状にした成形体として、ベルト基部2に一体成形される。
突起部3,4に用いるに際しては、高強度繊維束の配向が必要なのはベルト幅方向で、長手方向への配向は必須ではない。1方向シートでも2方向シートでも、高強度繊維束をベルト幅方向へ配向できれば、どちらでも構わない。但し、ぐるぐる巻き物状にする作業性を考慮すると、1方向シートの方が巻きやすいという点で有利である。
高強度繊維シートは、接着処理を施して用いられる。このとき、高強度繊維シートは、単体で用いてもよく、公知のRFL液、含浸樹脂などの樹脂成分(バインダ)を適宜選択して、接着処理を施した状態で用いてもよい。高強度繊維シートを突起部3,4に用いる際には、この単体または接着処理したシートに、ゴム組成物を含む接着成分を付着させる接着処理(例えばゴム糊での浸漬処理、シート状ゴムの積層)をしてゴム付き繊維シートとして用いてもよい。
以上の接着処理は、高強度繊維シートを含む突起部3,4の成形性を高めるとともに、ベルト基部2への突起部3,4の接着性を高める。
ここで、RFL液は、レゾルシンとホルマリンとの初期縮合物をラテックスに混合したものであり、ここで使用するラテックスとしてはスチレン・ブタジエン・ピリジン三元共重合体、水素化ニトリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロルヒドリンなどのラテックスである。
また、含浸樹脂処理に用いる樹脂溶液は、例えば、イソシアネート溶液またはエポキシ溶液である。含浸樹脂処理の後、RFL液処理を用いた接着処理を行ってもよい。
また、ゴム糊を用いた接着処理は、未加硫のゴム組成物を溶剤に溶かしてゴム糊状にしたものを高強度繊維シートの表面に塗布した後、溶剤を蒸発させて高強度繊維シートの表面に未加硫ゴム組成物の膜を形成するものである。RFL液を用いた接着処理の後、ゴム糊処理を行ってもよい。
ここで、上述した接着処理に用いられるゴム組成物は、ベルト基部2に用いられるゴム組成物と同様であるものが好ましい。
上述した実施形態の両面伝動ベルト1は、以下の効果を奏する。
高い伝動能力を得るために高張力で用いられても、耐側圧性が優れるので座屈変形が小さく、大きなせん断応力が生じない。その結果、せん断応力による界面剥離も生じ難い。
高強度繊維シートを巻き込んだ突起部3,4は材質の効果により耐磨耗性に優れ、ベルトの痩せ細りによる張力の低下を防止することが可能である。
高強度繊維シートを巻き込んだ突起部3,4が等間隔で取り付けられピッチ間に屈曲容易部位9を設けているために屈曲性が良く、厚みのある六角ベルトと比較しても屈曲性に優れた構成になっている。
ベルト基部2の構造は、生産工法上、心線のラインが乱れにくく走行安定性に優れる。また、厚みが小さいので柔軟性に優れ、小プーリ・多軸の走行条件にも十分に耐え得る。
ベルト基部2は、屈曲性が良好であることに加え放熱面積が広い形状である。そのため、走行によるベルト温度の上昇を抑えることが出来、ベルトの熱劣化を防ぐことが可能である。
次に、両面伝動ベルト1の製造手順について図5乃至図7を用いて説明する。
まず、図5に示すように、未加硫の平ベルト21と、接着処理を施した高強度繊維シートをグルグル巻きしたゴム付繊維シート22とを成形する。
未加硫の平ベルト21は、芯体が埋設された第1ゴム層の内外を第2ゴム層及び第3ゴム層で挟んで成形される。
ゴム付繊維シート22は、前述した接着処理によりゴム成分や樹脂成分などの接着成分22aを付着させた高強度繊維シート22bをぐるぐるに巻き付け、高強度繊維束を長手方向に配向させたものである。
つぎに、未加硫の平ベルト21の上下面に、所定間隔で、ゴム付繊維シート22を並べた未加硫品23とする。
つぎに、図6に示すように、V溝24aを有する上プレス盤24と、V溝25aを有する上プレス盤25との間に、未加硫品23を配設する。
プレス盤24,25による加圧・加熱により、突起部の型付けと、ベルト基部2と突起部3,4の一体加硫とを行って加硫成形品26とする。
つぎに、図7に示すように、ベルト幅方向のカット断面において、まず、ベルトの所定幅に直角カット27,27する。つぎに、六角形状になるように、内外周側で別々にバイアスカット28,28する。
以上の製法によると、内外周突起部3,4と屈曲容易部位9とを区別して確実に成形できる。また、内外周突起部3,4の幅方向に高強度繊維束を確実に配設できる。さらに、高強度繊維シートとして、一方向シートを用いる場合、グルグル巻きの作業性に優れることが判る。
つぎに、本実施形態の変形例について説明する。
図4において、内外周突起部3,4が、ベルト厚み方向に一致するように配設されている両面伝動ベルト101が示される。伝達面の面積は、図3の両面伝動ベルト1と変わらないが、屈曲容易部位109の長さが、図3のものより長くなって、屈曲性がより優れる。
このように、内外突起部3,4の形状及び大きさが同じであって、千鳥状に交互に配置されるか、又は、内外周で一致して配置されるものは、屈曲容易部位9,109が周期的に現れ、安定走行という点で有利である。
しかしながら、内外周で、求められる伝達特性が変わる場合など、内外突起部3,4の形状及び大きさが異なるものであっても良い。さらに、内外突起部3,4の配設ピッチが異なるものであってもよい。例えば、外周側突起部3が、内周側突起部4の二分の一のピッチで配設されたものであってもよい。必要な屈曲容易部位が周期的に出現するものであれば、内外突起部3,4の配置は、伝達性能を充足する限り、自在である。
図8において、内外突起部303,304の周方向断面の形状が、四角形となった両面伝動ベルト301を示す。
図9において、内外突起部403,404の周方向断面の形状が、半円形となった両面伝動ベルト401を示す。
図5乃至図7の製法によると、内外突起部の形状は、図1のV字状に限らず、多様な形状とすることができる。
さらに、内外突起部の外周に、高強度繊維シートとは別の外被布を設けてもよい。図5乃至図7の製法によると、両面伝動ベルトの内外周には、容易に外被布を設けることができ、内外突起部又は/及びベルト基部内外周面を補強することができる。
以上、発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
以下に示す実施例1〜3及び比較列のような両面伝動ベルトを形成し、評価試験に供した。
実施例1〜3の両面伝動ベルトは、ベルト形式がBB形に準拠したものであり、図10に示す寸法で形成されている。とくに、外周側突起部3と内周側突起部4との間には、L=20mmの屈曲容易部9が設けられている。
実施例1〜3のベルト基部2は、ゴム層5の厚み方向中央線上に芯体6を埋設して形成される。
ベルト基部2を構成する接着ゴム層は、下記表1に示すゴム組成物Bで構成されている。
芯体6を構成する心線には、平均線径1.985mmのポリエステル繊維の撚りコードを用いる。
Figure 2018136023

外周側突起部3と内周側突起部4には、下記表2に示すアラミド繊維シート1(一方向シート)を用いたものを実施例1とし、下記表2に示すアラミド繊維シート2(一方向シート)を用いたものを実施例2とし、下記表2に示すカーボン繊維シート1(一方向シート)を用いたものを実施例3とした。
なお、これら高強度繊維シートの繊維束の配列方向は、ベルト基部2の長手方向に対して直交する方向に配列されている。
Figure 2018136023

外周側突起部3と内周側突起部4を構成する高強度繊維シートは、ソーキングおよび液状ゴムの塗布という接着処理を施して形成される。
上記ソーキングは、前記表1に示す「ゴム組成物C」100質量部、「トルエン」1100質量部でゴム糊を調整したソーキング用液状ゴムを用いる。このゴム糊を入れた浸漬槽の中に布を通し、2本のロール間に通して過剰なゴム糊を除き、ゴム糊を繊維内部に浸透させる。このソーキングの処理回数は、表裏の2回である。
上記液状ゴムの塗布は、前記表1に示す「ゴム組成物C」100質量部、「トルエン」400質量部でゴム糊を調整した液状ゴムを用い、ソーキング処理後のシートに、未加硫ゴム組成物の膜を形成した。この液状ゴムを塗布後、溶剤を蒸発させ布帛の表面に未加硫ゴムの膜を形成する。液状ゴムの塗布面と回数は片側1回である。
比較例の両面伝動ベルトは、ベルト形式がBB形に準拠したものであり、図11に示す形状・寸法で形成されている。
ゴム層51は、心線53を接着ゴム層52に埋設して形成され、このゴム層51の両面に伸張ゴム層55と圧縮ゴム層56とが形成される。さらに、外周に外被布57が形成される。
これら伸張ゴム層55と圧縮ゴム層56は、前記表1のゴム組成物Aで構成される。このゴム層51を構成する接着ゴム層52は、前記表1のゴム組成物Bで構成される。
前記心線53には、平均線径1.985mmのポリエステル繊維の撚りコードが用いられる。
なお、比較例のゴム層51の形状・寸法は、実施例1〜3のベルト基部2と同じ形状・寸法を有している。
前記外被布54には、綿の織布に接着処理を施したものを用いる。
この綿の織布は、平織りで形成される。その繊度は20番手の経糸と20番手の緯糸とで構成される。経糸と緯糸との糸密度は75本/50mm、目付は280g/m2である。
前記接着処理は、前記表1のゴム組成物Cによるフリクション処理によりなされる。このフリクション処理は、カレンダーロールを用い、互いに異なる表面速度で回転するロール間にゴム組成物と布帛とを同時に通過させて、布目の間にゴム組成物を擦り込む処理である。
[クラック耐久評価試験]
上述した実施例1〜3および比較例の両面伝動ベルトについて、図12に示す2モータ多軸リバースベンド走行試験装置を用いて、クラック耐久評価試験を行った。
この2モータ多軸リバースベンド走行試験値装置は、外径が100mmの駆動プーリDrと、外径が100mmの従動プーリDn1と、外径が100mmの従動プーリDn2と、外径が60mmのテンションプーリTnを有する。駆動プーリDrおよび従動プーリDn1,Dn2は、V溝を有するVプーリである。
テンションプーリTnがベルトに張力を付与するときの荷重は40kgとし、駆動プーリDrの負荷は4psとした。また、駆動プーリDrの回転数は、1800rpmとした。
試料には、前述したBB形105inchを用い、掛け本数は1本とした。
この試験装置を用い、実施例1〜3及び比較例の両面伝動ベルトを走行させた。
そして、1時間走行後及び24時間走行後のPOC伸び、1時間走行後及び24時間走行後のベルト温度、クラック発生時間、ベルト切断時間を計測した。その結果を下記表3に示す。
Figure 2018136023

なお、表3において、[1]は、試料1を示し、[2]は、試料2を示す。
表3に示す通り、実施例1〜3は、屈曲性に優れ、発熱し難く放熱性が良い構造であるために、比較例に比べてベルト温度が低い。この結果、ベルト切断に至るまでの時間が、実施例1〜3は、比較例に比べて倍以上に伸びており、長寿命化に大きく寄与することが判る。
実施例1〜3は、耐摩耗性・耐側圧性に優れた高強度繊維シートの効果で、プーリ内への落ち込みが小さくその結果、POC伸びが小さい。また、実施例1〜3で生じなかったクラックが、比較例では早い時間に生じている。実施例1〜3は、用いられる高強度繊維シートの多少の違いにも係わらず、変形(座屈変形)が小さく、せん断応力による界面剥離等の破損現象が発生し難いことを示している。
これらの相乗効果により、実施例1〜3は耐摩耗性、耐側圧性、耐座屈性に優れ、発熱も低いことから、比較例に比べて耐久性に優れたベルトであることが判る。
1 両面伝動ベルト
2 ベルト基部
3 外周側突起部
4 内周側突起部
7 外周側伝動面
8 内周側伝動面
9 屈曲容易部位

Claims (4)

  1. 断面が偏平な六角形状であり、両側面に、連続的な外周側伝動面と連続的な内周側伝動面が形成されたベルト基部と、
    前記ベルト基部の外周面に所定間隔で設けられ、前記連続的な外周側伝動面に続く断続的な伝動面を形成する外周側突起部と、
    前記ベルト基部の内周面に所定間隔で設けられ、前記連続的な内周側伝動面に続く断続的な伝動面を形成する内周側突起部と、を備え、
    前記ベルト基部は、前記外周側突起部及び前記内周側突起部のいずれも設けられていない屈曲容易部位を有していることを特徴とする両面伝動ベルト。
  2. 前記外周側突起部及び前記内周側突起部は、ベルト基部の幅方向に配向された高強度繊維束を有する高強度繊維シートを含んだ成形体である請求項1に記載の両面伝動ベルト。
  3. 請求項2記載の両面伝動ベルトの製造方法であって、
    未加硫の平ベルトの内外周面に、接着処理を施した高強度繊維シートをグルグル巻きにして並べた未加硫品とする工程と、
    前記未加硫品を型付プレス盤で挟み、一体加硫と型付けを同時に行い加硫成形品とする工程と、
    前記加硫成形品の幅方向で直角カットし、更にバイアスカットする工程と、を含むことを特徴とする両面伝動ベルトの製造方法。
  4. 前記高強度繊維シートは、一方向シートである請求項3に記載の両面伝動ベルトの製造方法。
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