JP2021053714A - 周波数調整方法、mems構造体および慣性センサー - Google Patents

周波数調整方法、mems構造体および慣性センサー Download PDF

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Abstract

【課題】周波数調整が容易な周波数調整方法、MEMS構造体および慣性センサーを提供する。【解決手段】周波数調整方法は、支持部11と、前記支持部11に対して揺動軸Jまわりに揺動する可動体12と、前記支持部11と前記可動体12とを接続し、前記可動体12の平面視で前記揺動軸Jに直交する方向に並んで配置されている複数の梁部14、15を備える梁13と、を有するMEMS構造体1に対して、前記複数の梁部14、15の一部を切断することにより、前記MEMS構造体1の共振周波数を調整することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、周波数調整方法、MEMS構造体および慣性センサーに関する。
例えば、特許文献1に記載されているMEMS構造体としての光走査装置は、ミラー基板と、ミラー基板を支持しているフレームと、ミラー基板とフレームとを接続している一対の捩じり梁と、を有する。そして、一対の捩じり梁をねじり回転軸としてミラー基板を往復振動させることにより、ミラー基板で反射した光を走査する。このような構成の光走査装置では、ミラー基板および一対の捩じり梁から構成される振動系が目的の共振周波数を有するように、一対の捩じり梁の寸法が設定されている。
特開2003−172897号公報
ここで、例えば、振動系の共振周波数は、主に、ミラーの重量と捩じり梁の捩じり剛性とによって決まる。そのため、得られた振動系の共振周波数が目的の周波数からずれている場合には、例えば、捩じり梁を加工して、捩じり梁の捩じり剛性を変化させることにより、目的の周波数に調整することができる。しかしながら、特許文献1の光走査装置では、ミラー基板を左右1本の捩じり梁だけで支持しているため、切断、破壊等のおそれを考慮すると、捩じり梁への加工が困難である。つまり、特許文献1の光走査装置では、振動系の共振周波数を調整することが困難であるという問題があった。
本実施形態に記載の周波数調整方法は、支持部と、前記支持部に対して揺動軸まわりに揺動する可動体と、前記支持部と前記可動体とを接続し、前記可動体の平面視で前記揺動軸に直交する方向に並んで配置されている複数の梁部を備える梁と、を有するMEMS構造体に対して、
前記複数の梁部の一部を切断することにより、前記MEMS構造体の共振周波数を調整することを特徴とする。
第1実施形態に係るMEMS構造体を示す平面図である。 図1に示すMEMS構造体の周波数調整方法を説明するための平面図である。 図1に示すMEMS構造体の周波数調整方法を説明するための平面図である。 図1に示すMEMS構造体の周波数調整方法を説明するための平面図である。 第2実施形態に係るMEMS構造体を示す平面図である。 図5に示すMEMS構造体の変形例を示す平面図である。 第3実施形態に係るMEMS構造体を示す平面図である。 第4実施形態に係るMEMS構造体を示す平面図である。 第5実施形態に係るMEMS構造体を示す平面図である。 第6実施形態に係る慣性センサーを示す平面図である。 図10中のA−A線断面図である。 第7実施形態に係る光スキャナーを示す平面図である。 図12中のB−B線断面図である。
以下、本発明の周波数調整方法、MEMS構造体および慣性センサーを添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るMEMS構造体を示す平面図である。図2ないし図4は、それぞれ、図1に示すMEMS構造体の周波数調整方法を説明するための平面図である。以下では、説明の便宜上、互いに直交する3つの軸をX軸、Y軸およびZ軸とし、X軸に平行な方向を「X軸方向」、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」とも言う。また、各軸の矢印方向先端側を「プラス側」とも言い、反対側を「マイナス側」とも言う。また、Z軸方向プラス側を「上」とも言い、Z軸方向マイナス側を「下」とも言う。また、Z軸方向から見た平面視を単に「平面視」とも言う。
図1に示すMEMS構造体1は、例えば、シリコン基板をドライエッチング、特にボッシュ・プロセスによってパターニングすることにより形成されている。このようなMEMS構造体1は、板状である。また、MEMS構造体1は、枠状の支持部11と、支持部11の内側に位置し、支持部11に対して変位可能な可動体12と、支持部11と可動体12とを接続する梁13と、を有する。なお、これら各部は、互いにZ軸方向の長さである厚さがほぼ等しい。なお、「MEMS」は、Micro Electro Mechanical Systemsの略である。
また、梁13は、可動体12をY軸方向プラス側から支持するように、可動体12と支持部11とを接続している梁部としての複数の第1梁部14と、可動体12を第1梁部14と反対側すなわちY軸方向マイナス側から支持するように、可動体12と支持部11とを接続している梁部としての複数の第2梁部15と、を有する。つまり、可動体12は、第1梁部14および第2梁部15によってY軸方向両側から両持ち支持されている。そして、可動体12は、梁13をY軸まわりに捩じれ変形させながら、梁13により形成される揺動軸Jまわりに回動可能である。なお、Z軸方向からの平面視で、複数の第1梁部14および複数の第2梁部15は、可動体12の中心Oを通りX軸方向に延びる仮想直線Lxに対して対称的に配置されている。
複数の第1梁部14は、それぞれ、Y軸方向に延在する直線状をなし、X軸方向に間隔を空けて並んで配置されている。また、複数の第1梁部14には、揺動軸Jを構成するための1本の基本梁部141と、MEMS構造体1の共振周波数を調整するための6本の調整梁部142と、が含まれている。基本梁部141は、揺動軸J上に位置している。また、6本の調整梁部142のうちの3本が揺動軸Jに対してX軸方向プラス側に配置され、残りの3本が揺動軸Jに対してX軸方向マイナス側に配置されている。また、これら6本の調整梁部142は、Z軸方向からの平面視で、揺動軸Jに対して対称的に配置されている。また、6本の調整梁部142は、X軸方向の長さである幅W12が互いに等しく、さらには、基本梁部141のX軸方向の長さである幅W11よりも小さい。つまり、幅W11>W12である。なお、幅W11としては、特に限定されないが、例えば、1.5≦W11/W12≦3.0程度とすることができる。
また、複数の第2梁部15は、それぞれ、Y軸方向に延在する直線状をなし、X軸方向に間隔を空けて並んで配置されている。また、複数の第2梁部15には、揺動軸Jを構成するための1本の基本梁部151と、MEMS構造体1の共振周波数を調整するための6本の調整梁部152と、が含まれている。基本梁部151は、揺動軸Jと一致している。また、6本の調整梁部152のうちの3本が揺動軸Jに対してX軸方向プラス側に配置され、残りの3本が揺動軸Jに対してX軸方向マイナス側に配置されている。また、これら6本の調整梁部152は、Z軸方向からの平面視で、揺動軸Jに対して対称的に配置されている。また、6本の調整梁部152は、X軸方向の長さである幅W22が互いに等しく、さらには、基本梁部151のX軸方向の長さである幅W21よりも小さい。つまり、幅W21>W22である。なお、幅W21としては、特に限定されないが、例えば、1.5≦W21/W22≦3.0程度とすることができる。前述したように、複数の第1梁部14および複数の第2梁部15は、仮想直線Lxに対して対称であるため、W11=W21であり、W12=W22である。
なお、調整梁部142の数としては、6本に限定されず、少なくとも1本以上であればよい。調整梁部152についても同様である。また、各第1梁部14の形状としては、Y軸方向に延在する直線状に限定されず、その途中で、屈曲、湾曲している形状であってもよいし、Y軸に対して傾斜した方向に延在する形状であってもよい。また、少なくとも1つの第1梁部14は、他の第1梁部14と形状が異なっていてもよい。各第2梁部15の形状についても同様である。
以上、MEMS構造体1の構成について説明した。次に、MEMS構造体1の共振周波数を調整する方法について説明する。なお、MEMS構造体1の共振周波数とは、可動体12および梁13からなる振動系の共振周波数とも言える。MEMS構造体1の周波数調整は、複数の第1、第2梁部14、15の少なくとも1つを切断して行う。第1、第2梁部14、15の切断方法としては、特に限定されないが、例えば、レーザー光を照射して切断する方法を用いることができる。MEMS構造体1の共振周波数は、梁13の捩じりばね定数と可動体12の重量とに依存する。そのため、第1、第2梁部14、15の少なくとも1つを切断し、梁13の捩じりばね定数を変化させることにより、MEMS構造体1の共振周波数を調整することができる。以下、詳細に説明する。
上述したように、第1、第2梁部14、15は、揺動軸Jを構成するための基本梁部141、151と、MEMS構造体1の共振周波数を調整するための複数の調整梁部142、152と、を含んでいる。MEMS構造体1の周波数調整においては、基本梁部141、151を切断の対象とせず、調整梁部142、152だけを切断の対象とする。つまり、MEMS構造体1の周波数調整が終了した状態では、少なくとも、基本梁部141、151によって可動体12と支持部11とが接続されている。このように、調整梁部142、152よりも幅太の基本梁部141、151を切断しないことにより、MEMS構造体1の周波数調整後においても、梁13の機械的強度を十分に高く保つことができる。なお、支持部11から可動体12へ配線を引き回す必要がある場合は、切断対象とならない基本梁部141、151上に配線を引き回すことが好ましい。これにより、配線が切断されるおそれがなくなる。
調整梁部142、152を切断すると梁13の捩じりばね定数が小さくなり、それに応じて、MEMS構造体1の共振周波数が低くなる。つまり、この周波数調整方法では、MEMS構造体1の共振周波数を低くすることにより、目標の周波数に調整する。そのため、MEMS構造体1は、目標の周波数よりも若干高くなるように、ただし、調整可能範囲を超えない限りで設計・製造されることが好ましい。これにより、周波数調整前のMEMS構造体1の共振周波数が目標の周波数よりも低いといった不具合を抑制することができると共に、調整梁部142、152を切断することによりMEMS構造体1の共振周波数を目標の周波数に調整することが容易となる。
また、調整梁部142を切断する際、切断によって揺動軸JがX軸方向にずれないように、揺動軸Jに対して対称な一対の調整梁部142を互いに切断することが好ましい。同様に、調整梁部152を切断する際、切断によって揺動軸JがX軸方向にずれないように、揺動軸Jに対して対称な一対の調整梁部152を互いに切断することが好ましい。また、切断されていない第1梁部14から構成される集合梁部の捩じりばね定数と、切断されていない第2梁部15から構成される集合梁部の捩じりばね定数と、が異なると、可動体12の揺動軸Jまわりの揺動が不安定となるおそれがあるため、これら集合梁部の捩じりばね定数が等しくなるように、仮想直線Lxに対して対称に調整梁部142、152を切断することが好ましい。
すなわち、6本の調整梁部142のうち、揺動軸Jに対して対称で、最も揺動軸Jに近位な一対の調整梁部142を「一対の調整梁部142a」とし、揺動軸Jに対して対称で、次に揺動軸Jに近位な一対の調整梁部142を「一対の調整梁部142b」とし、揺動軸Jに対して対称で、最も揺動軸Jから遠位な一対の調整梁部142を「一対の調整梁部142c」とし、6本の調整梁部152のうち、揺動軸Jに対して対称で、最も揺動軸Jに近位な一対の調整梁部152を「一対の調整梁部152a」とし、揺動軸Jに対して対称で、次に揺動軸Jに近位な一対の調整梁部152を「一対の調整梁部152b」とし、揺動軸Jに対して対称で、最も揺動軸Jから遠位な一対の調整梁部152を「一対の調整梁部152c」としたとき、調整梁部142、152の切断は、a)図2に示すように、各調整梁部142a、152aを切断する、b)図3に示すように、各調整梁部142b、152bを切断する、c)図4に示すように、各調整梁部142c、152cを切断する、あるいは、a)〜c)の2つまたは3つの組み合わせから選択される。
また、調整梁部142、152のうちのどの調整梁部142、152を切断するかによって、MEMS構造体1の共振周波数の低下量が異なる。揺動軸Jから遠位な調整梁部142、152を切断するほど梁13の捩じればね定数の低下量が大きいいため、MEMS構造体1の共振周波数の低下量が大きく、揺動軸Jから近位な調整梁部142、152を切断するほど梁13の捩じればね定数の低下量が小さいため、MEMS構造体1の共振周波数の低下量が小さい。そのため、図4に示すように、揺動軸Jから遠位な各調整梁部142c、152cを切断することにより、MEMS構造体1の共振周波数を粗調することができ、図2に示すように、揺動軸Jから近位な各調整梁部142a、152aを切断することにより、MEMS構造体1の共振周波数を微調することができる。
また、調整梁部142、152の切断は、切断する調整梁部142、152の長手方向の中央部で行うことが好ましい。図2〜図4では、それぞれ、長手方向の中央部で調整梁部142、152を切断しており、両端部が残存している。具体的には、切断された調整梁部142、152の一方の端部P1が支持部11に接続された状態で残存し、他方の端部P2が可動体12に接続された状態で残存している。このように、長手方向の中央部で調整梁部142、152を切断することにより、切断に用いるレーザー光が支持部11に照射されて支持部11がダメージを受けることにより、MEMS構造体1の機械的強度が低下したり、レーザー光が可動体12に照射されて可動体12がダメージを受けることにより、MEMS構造体1の機能を発揮できなくなったり、MEMS構造体1の共振周波数が変化してしまったり、可動体12の振動バランスが崩れてしまったりするのを効果的に抑制することができる。
ただし、切断箇所としては、長手方向の中央部に限定されない。前述したように、MEMS構造体1の共振周波数は、梁13の捩じりばね定数と可動体12の重量とに依存する。可動体12に接続される端部P2は、可動体12の錘として機能するため、切断箇所を中央部からずらすことにより各端部P2の大きさを調整し、可動体12の重量を変更することによっても、MEMS構造体1の共振周波数を調整することができる。端部P2を利用して可動体12の重量を調整する方法によれば、より微細な周波数調整を行うことができる。なお、この場合は、可動体12の重心Gが中心Oからずれないように、各端部P2の長さを等しく揃えることが好ましい。逆を言えば、重心Gが中心Oからずれている場合には、複数の端部P2のうちの少なくとも1つの端部P2の長さを他と異ならせることによって、重心Gを中心Oに近づけることができる。
以上、MEMS構造体1によれば、調整梁部142、152を切断することにより、MEMS構造体1の共振周波数の調整を容易に行うことができることを説明した。このようなMEMS構造体1は、さらに別の効果を発揮することもできる。MEMS構造体1によれば、切断する調整梁部142、152を選択することにより、元々同じ形状のものから異なる共振周波数を有する種々のMEMS構造体1が得られる。そのため、MEMS構造体1を用いれば、異なる共振周波数毎に寸法等を設計し、それに合うエッチングマスクを準備する必要がなくなるため、その製造コストを大幅に削減することができる。
以上、MEMS構造体1の周波数調整方法について説明した。このような周波数調整方法は、前述したように、支持部11と、支持部11に対して揺動軸Jまわりに揺動する可動体12と、支持部11と可動体12とを接続し、可動体12の平面視で揺動軸Jに直交する方向であるX軸方向に並んで配置されている複数の第1、第2梁部14、15を備える梁13と、を有するMEMS構造体1に対して、複数の第1、第2梁部14、15の一部を切断することにより、MEMS構造体1の共振周波数を調整する。このような方法によれば、第1、第2梁部14、15を切断するだけでMEMS構造体1の共振周波数を調整することができ、MEMS構造体1の周波数調整が容易となる。また、どの第1、第2梁部14、15を切断するかを選択することにより、元々同じ形状のMEMS構造体1から異なる共振周波数を有するMEMS構造体1を得ることもできる。そのため、異なる共振周波数毎に寸法等を設計し、それに合うエッチングマスクを準備する必要がなくなるため、その製造コストを大幅に削減することができる。
また、前述したように、複数の第1、第2梁部14、15を切断する前では、MEMS構造体1の共振周波数が目標の周波数よりも高い。これにより、MEMS構造体1の共振周波数が初めから目標の周波数よりも低いといった不具合を解消できると共に、第1、第2梁部14、15を切断することによりMEMS構造体1の共振周波数を目標の周波数に調整することが容易となる。
また、前述したように、複数の第1、第2梁部14、15には、切断によりMEMS構造体1の共振周波数を調整する複数の調整梁部142、152が含まれ、複数の調整梁部142、152のうち、揺動軸Jに対して対称な一対の調整梁部142、152を互いに切断することが好ましい。これにより、切断によって揺動軸JがX軸方向にずれないようにすることができる。
また、前述したように、複数の第1、第2梁部14、15には、切断によりMEMS構造体1の共振周波数を調整する複数の調整梁部142、152が含まれ、複数の調整梁部142、152のうち、揺動軸Jから最も遠位の調整梁部142c、152cを切断する。これにより、MEMS構造体1の共振周波数を粗調することができる。
また、前述したように、複数の第1、第2梁部14、15には、切断によりMEMS構造体1の共振周波数を調整する複数の調整梁部142、152が含まれ、複数の調整梁部142、152のうち、揺動軸Jから最も近位の調整梁部142a、152aを切断する。これにより、MEMS構造体1の共振周波数を微調することができる。
また、前述したように、複数の第1梁部14には、揺動軸Jを構成するための基本梁部141と、基本梁部141よりも揺動軸Jから遠位に配置され、基本梁部141よりも揺動軸Jに直交するX軸方向の長さが短い、すなわち、幅W12が小さい調整梁部142と、が含まれ、複数の第2梁部15には、揺動軸Jを構成するための基本梁部151と、基本梁部151よりも揺動軸Jから遠位に配置され、基本梁部151よりも揺動軸Jに直交するX軸方向の長さが短い、すなわち、幅W22が小さい調整梁部152と、が含まれている。そして、基本梁部141、151を切断せず、調整梁部142、152を切断することにより、MEMS構造体1の共振周波数を調整する。これにより、切断後も梁13の機械的強度を十分に保つことができる。
また、前述したように、MEMS構造体1は、支持部11と、支持部11に対して揺動軸Jまわりに揺動する可動体12と、支持部11と可動体12とを接続し、可動体12の平面視で揺動軸Jに直交する方向であるX軸方向に並んで配置されている複数の第1、第2梁部14、15を備える梁13と、を有する。そして、複数の第1、第2梁部14、15は、切断によりMEMS構造体1の共振周波数を調整する複数の調整梁部142、152を含んでいる。このような構成によれば、調整梁部142、152を切断するだけでMEMS構造体1の共振周波数を調整することができ、MEMS構造体1の周波数調整が容易となる。また、どの調整梁部142、152を切断するかを選択することにより、元々同じ形状のMEMS構造体1から異なる共振周波数を有するMEMS構造体1を得ることもできる。そのため、異なる共振周波数毎に寸法等を設計し、それに合うエッチングマスクを準備する必要がなくなるため、その製造コストを大幅に削減することができる。
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態に係るMEMS構造体を示す平面図である。図6は、図5に示すMEMS構造体の変形例を示す平面図である。
本実施形態は、梁13の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図5および図6において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図5に示すMEMS構造体1では、Z軸方向からの平面視で、第1梁部14は、X軸方向に隣り合って配置され、揺動軸Jに対して対称な一対の基本梁部141と、これらの両側に配置されている6本の調整梁部142と、を有する。同様に、第2梁部15は、X軸方向に隣り合って配置され、揺動軸Jに対して対称な一対の基本梁部151と、これらの両側に配置されている6本の調整梁部152と、を有する。このような構成によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
なお、本実施形態では、Z軸方向からの平面視で、第1梁部14において一対の基本梁部141が6本の調整梁部142の内側に位置し、第2梁部15において一対の基本梁部151が6本の調整梁部152の内側に位置しているが、これに限定されず、例えば、図6に示すように、第1梁部14において一対の基本梁部141の内側に6本の調整梁部142が位置し、第2梁部15において一対の基本梁部151の内側に6本の調整梁部152が位置していてもよい。
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態に係るMEMS構造体を示す平面図である。
本実施形態は、梁13の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図7において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図7に示すMEMS構造体1では、複数の第1梁部14から基本梁部141が省略されており、6本の調整梁部142だけが含まれている。そのため、各第1梁部14の幅W12は、互いに等しい。同様に、複数の第2梁部15から基本梁部151が省略されており、6本の調整梁部152だけが含まれている。そのため、各第2梁部15の幅W22は、互いに等しい。
このような構成のMEMS構造体1では、調整梁部142、152の全てを切断してしまうと、可動体12が支持部11から切り離されてしまうため、周波数調整のための切断は、a)各調整梁部142a、152aを切断する、b)各調整梁部142b、152bを切断する、c)各調整梁部142c、152cを切断する、あるいは、a)〜c)の2つの組み合わせから選択される。このような構成によれば、前述した第1実施形態のような切断対象とならない基本梁部141、151が含まれないため、MEMS構造体1の周波数調整可能範囲が広くなる。
以上のように、本実施形態のMEMS構造体1では、複数の第1梁部14は、揺動軸Jに直交する方向の長さである幅W12が等しい。また、複数の第2梁部15は、揺動軸Jに直交する方向の長さである幅W22が等しい。このような構成によれば、前述した第1実施形態のような切断対象とならない基本梁部141、151が含まれないため、MEMS構造体1の周波数調整可能範囲が広くなる。
このような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第4実施形態>
図8は、第4実施形態に係るMEMS構造体を示す平面図である。
本実施形態は、梁13の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図8において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図8に示すMEMS構造体1では、隣り合う一対の第1梁部14の離間距離Dが、揺動軸Jから遠ざかるほど小さくなっている。同様に、隣り合う一対の第2梁部15の離間距離についても同様である。このような構成により、離間距離Dが等しい前述した第1実施形態と比較して、各調整梁部142a、152aを切断した場合の共振周波数低下量Δf1と、各調整梁部142b、152bを切断した場合の共振周波数低下量Δf2と、各調整梁部142c、152cを切断した場合の共振周波数低下量Δf3と、の差がそれぞれ小さくなる。さらに、共振周波数低下量Δf1、Δf2、Δf3がよりリニア(線形)な関係となる。そのため、MEMS構造体1の共振周波数をより精度よく目標の周波数に調整することができる。
以上のように、本実施形態のMEMS構造体1では、隣り合う一対の第1梁部14の離間距離Dは、揺動軸Jから遠ざかるほど小さい。一対の第2梁部15の離間距離についても同様である。これにより、各調整梁部142a、152aを切断した場合の共振周波数低下量Δf1と、各調整梁部142b、152bを切断した場合の共振周波数低下量Δf2と、各調整梁部142c、152cを切断した場合の共振周波数低下量Δf3と、の差がそれぞれ小さくなる。そのため、MEMS構造体1の共振周波数をより精度よく目標の周波数に調整することができる。
このような第4実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第5実施形態>
図9は、第5実施形態に係るMEMS構造体を示す平面図である。
本実施形態は、梁13の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図9において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
図9に示すMEMS構造体1では、調整梁部142の幅W12が、揺動軸Jから遠ざかるほど小さくなっている。調整梁部152についても同様である。このような構成とすることにより、幅W12、W22が等しい前述した第1実施形態と比較して、各調整梁部142a、152aを切断した場合の共振周波数低下量Δf1と、各調整梁部142b、152bを切断した場合の共振周波数低下量Δf2と、各調整梁部142c、152cを切断した場合の共振周波数低下量Δf3と、の差がそれぞれ小さくなる。さらに、共振周波数低下量Δf1、Δf2、Δf3がよりリニア(線形)な関係となる。そのため、MEMS構造体1の共振周波数をより精度よく目標の周波数に調整することができる。
このような第5実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第6実施形態>
図10は、第6実施形態に係る慣性センサーを示す平面図である。図11は、図10中のA−A線断面図である。
図10および図11に示す慣性センサー10は、Z軸方向の加速度Azを検出することのできる加速度センサーである。慣性センサー10は、基板2と、基板2の上側に設けられているMEMS構造体1と、MEMS構造体1を覆い、基板2の上面に接合されている蓋5と、を有する。
基板2は、上面に開口する凹部21を有する。また、凹部21は、Z軸方向からの平面視で、MEMS構造体1が備える可動体12および梁13を内包するように形成されている。また、基板2には電極4が設けられている。電極4は、凹部21の底面に配置されている第1検出電極41および第2検出電極42を有する。また、基板2は、上面に開口する溝部を有し、溝部には配線45、46、47が設けられている。配線45は、MEMS構造体1と電気的に接続され、配線46は、第1検出電極41と電気的に接続され、配線47は、第2検出電極42と電気的に接続されている。また、各配線45、46、47の一端部は、蓋5外に露出し、外部装置との電気的な接続を行う電極パッドとして機能する。
このような基板2の構成材料としては、例えば、Na等の可動イオンであるアルカリ金属イオンを含むガラス材料、例えば、パイレックスガラス、テンパックスガラス(いずれも登録商標)のような硼珪酸ガラスを用いることができる。ただし、基板2の構成材料としては、特に限定されず、例えば、シリコン、セラミックス等を用いてもよい。
また、蓋5は、下面に開口する凹部51を有する。蓋5は、凹部51内にMEMS構造体1を収納して基板2の上面に接合されている。そして、蓋5および基板2によって、その内側に、MEMS構造体1を収納する収納空間Sが形成されている。収納空間Sは、気密空間であり、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが封入され、使用温度、例えば、−40℃〜120℃程度で、ほぼ大気圧となっている。ただし、収納空間Sの雰囲気は、特に限定されず、例えば、減圧状態であってもよいし、加圧状態であってもよい。
このような蓋5の構成材料としては、例えば、シリコンを用いることができる。ただし、蓋5の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ガラス材料、セラミックス等を用いてもよい。また、基板2と蓋5との接合方法としては、特に限定されず、基板2や蓋5の材料によって適宜選択すればよく、例えば、陽極接合、プラズマ照射によって活性化させた接合面同士を接合させる活性化接合、ガラスフリット等の接合材による接合、基板2の上面および蓋5の下面に成膜した金属膜同士を接合する拡散接合等を用いることができる。本実施形態では、蓋5の下面の全周にわたって形成されている接合部材59を介して接合されている。接合部材59としては、例えば、低融点ガラスであるガラスフリット材を用いることができる。
MEMS構造体1は、例えば、リン(P)、ボロン(B)、砒素(As)等の不純物がドープされている導電性のシリコン基板をドライエッチング、特に、ボッシュ・プロセスによってパターニングすることにより形成されている。このようなMEMS構造体1は、基板2の上面に陽極接合されている枠状の支持部11と、支持部11の内側に位置し、支持部11に対して変位可能な可動体12と、支持部11と可動体12とを接続する梁13と、を有する。なお、本実施形態では、各調整梁部142c、152cを切断することにより、MEMS構造体1の共振周波数が調整されている。
可動体12は、Z軸方向からの平面視で、X軸方向を長手とする長手形状である。また、可動体12は、Z軸方向からの平面視で、揺動軸Jを間に挟んで配置されている第1可動部121および第2可動部122を有する。第1可動部121は、揺動軸Jに対してX軸方向プラス側に位置し、第2可動部122は、揺動軸Jに対してX軸方向マイナス側に位置する。第1可動部121は、第2可動部122よりもX軸方向に長く、加速度Azが加わったときの揺動軸Jまわりの回転モーメントが第2可動部122のそれよりも大きい。そのため、慣性センサー10に加速度Azが作用すると、可動体12が揺動軸Jまわりに梁13を捩り変形させつつシーソー揺動する。なお、シーソー揺動とは、第1可動部121がZ軸方向プラス側に変位すると、第2可動部122がZ軸方向マイナス側に変位し、反対に、第1可動部121がZ軸方向マイナス側に変位すると、第2可動部122がZ軸方向プラス側に変位するように揺動することを意味する。
第1検出電極41は、第1可動部121と対向して配置され、第2検出電極42は、第2可動部122と対向して配置されている。慣性センサー10の駆動時には、配線45を介してMEMS構造体1に駆動電圧が印加され、配線46、47を介して第1、第2検出電極41、42がチャージアンプに接続される。これにより、第1可動部121と第1検出電極41との間に静電容量Caが形成され、第2可動部122と第2検出電極42との間に静電容量Cbが形成される。慣性センサー10に加速度Azが加わって、可動体12がシーソー揺動すると、第1可動部121と第1検出電極41とのギャップおよび第2可動部122と第2検出電極42とのギャップが互いに逆相で変化し、これに応じて静電容量Ca、Cbが互いに逆相で変化する。そのため、これら静電容量Ca、Cbの変化に基づいて、加速度Azを検出することができる。
このように、慣性センサー10は、MEMS構造体1と、可動体12と対向している検出電極としての第1、第2検出電極41、42と、を有する。これにより、前述したMEMS構造体1の周波数調整方法を適用することができるため、所望の検出特性を有する慣性センサー10が得られる。
このような第6実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
<第7実施形態>
図12は、第7実施形態に係る光スキャナーを示す平面図である。図13は、図12中のB−B線断面図である。
図12および図13に示す光スキャナー100は、例えば、レーザー光等の光を反射して走査する機能を有する。光スキャナー100は、基板6と、基板6の上側に設けられているMEMS構造体1と、を有する。
基板6は、上面に開口する凹部61を有する。また、凹部61は、Z軸方向からの平面視で、MEMS構造体1が備える可動体12および梁13を内包するように形成されている。また、凹部61の底面には、MEMS構造体1が備える可動体12と対向するコイル7が設けられている。
MEMS構造体1は、基板6の上面に陽極接合されている枠状の支持部11と、支持部11の内側に位置し、支持部11に対して変位可能な可動体12と、支持部11と可動体12とを接続する梁13と、を有する。なお、本実施形態では、各調整梁部142c、152cを切断することにより、MEMS構造体1の共振周波数が調整されている。また、可動体12の上面には、例えば、アルミニウム膜で構成されている光反射部16が配置されており、可動体12の下面には永久磁石9が設けられている。このような構成では、コイル7に交番電圧を印加すると、可動体12が揺動軸Jまわりに所定の周期で正・逆交互に揺動し、これにより、光反射部16で反射されたレーザー光が走査される。
このような第7実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
以上、本発明の周波数調整方法、MEMS構造体および慣性センサーを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、前述した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、MEMS構造体が適用される機器としては、慣性センサーや光スキャナーに限定されず、例えば、振動子、光スイッチ等であってもよい。
1…MEMS構造体、10…慣性センサー、100…光スキャナー、11…支持部、12…可動体、121…第1可動部、122…第2可動部、13…梁、14…第1梁部、141…基本梁部、142、142a、142b、142c…調整梁部、15…第2梁部、151…基本梁部、152、152a、152b、152c…調整梁部、16…光反射部、2…基板、21…凹部、4…電極、41…第1検出電極、42…第2検出電極、45、46、47…配線、5…蓋、51…凹部、59…接合部材、6…基板、61…凹部、7…コイル、9…永久磁石、Az…加速度、Ca、Cb…静電容量、D…離間距離、G…重心、J…揺動軸、Lx…仮想直線、O…中心、P1、P2…端部、S…収納空間、W11、W12、W21、W22…幅

Claims (9)

  1. 支持部と、前記支持部に対して揺動軸まわりに揺動する可動体と、前記支持部と前記可動体とを接続し、前記可動体の平面視で前記揺動軸に直交する方向に並んで配置されている複数の梁部を備える梁と、を有するMEMS構造体に対して、
    前記複数の梁部の一部を切断することにより、前記MEMS構造体の共振周波数を調整することを特徴とする周波数調整方法。
  2. 前記切断の前では、前記MEMS構造体の共振周波数が目標の周波数よりも高い請求項1に記載の周波数調整方法。
  3. 前記複数の梁部には、切断により前記MEMS構造体の共振周波数を調整する複数の調整梁部が含まれ、
    前記複数の調整梁部のうち、前記揺動軸に対して対称な一対の前記調整梁部を切断する請求項2に記載の周波数調整方法。
  4. 前記複数の梁部には、前記切断により前記MEMS構造体の共振周波数を調整する複数の調整梁部が含まれ、
    前記複数の調整梁部のうち、前記揺動軸から最も遠位または近位の前記調整梁部を切断する請求項2または3に記載の周波数調整方法。
  5. 前記複数の梁部は、前記揺動軸に直交する方向の長さが等しい請求項1ないし4のいずれか1項に記載の周波数調整方法。
  6. 隣り合う一対の前記梁部の離間距離は、前記揺動軸から遠ざかるほど小さい請求項1ないし5のいずれか1項に記載の周波数調整方法。
  7. 前記複数の梁部には、基本梁部と、前記基本梁部よりも前記揺動軸に直交する方向の長さが短い調整梁部と、が含まれ、
    前記基本梁部を切断せず、前記調整梁部を切断することにより、前記MEMS構造体の共振周波数を調整する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の周波数調整方法。
  8. 支持部と、
    前記支持部に対して揺動軸まわりに揺動する可動体と、
    前記支持部と前記可動体とを接続し、前記可動体の平面視で前記揺動軸に直交する方向に並んで配置されている複数の梁部を備える梁と、を有するMEMS構造体であって、
    前記複数の梁部は、切断により前記MEMS構造体の共振周波数を調整する調整梁部を含んでいることを特徴とするMEMS構造体。
  9. 請求項8に記載のMEMS構造体と、
    前記可動体と対向している検出電極と、を有することを特徴とする慣性センサー。
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