JP2021052649A - 麺類用小麦粉 - Google Patents

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Abstract

【課題】麺類に適度な硬さと弾力を付与しつつも、つるみとしなやかさを付与できる麺類用小麦粉の提供。【解決手段】たん白質含量が12〜16質量%であり、体積基準の粒子径累積分布において10〜30μmの粒子径を有する粒子の割合が全体の25%以上である麺類用小麦粉。小麦粉が、軟質小麦由来の小麦粉を含む、該麺類用小麦粉。二粒系小麦由来の小麦粉を含む、該麺類用小麦粉。体積基準の粒子径頻度分布において粒子径の最頻値が10〜50μmの範囲に存在する、該麺類用小麦粉。【選択図】なし

Description

本発明は、適度な硬さや弾力とともに、つるみとしなやかさを有する麺類を製造するための小麦粉に関する。また、本発明は、麺類用小麦粉を含有する麺類用穀粉組成物、麺類用小麦粉を用いた麺類、および、その製造方法に関する。
麺類において、麺類の弾力が低下するという課題が存在する。一般に麺類は、調理後の茹で伸びに加えて、加熱調理後チルド保管した際の麺類の水分移行やでん粉の老化などによって食感が軟化することがある。
従来、麺類の食感を改善するために、小麦たん白など、麺類に硬さや弾力を付与するための材料を配合することがある。しかし、食感に硬さや弾力を付与するための材料を配合した場合、一般に、麺のつるみやしなやかさが失われる傾向がある。一方、つるみやしなやかさを麺類に付与するために加工澱粉などが用いられるが、食感が軟らかくなりやすい。
例えば、特許文献1には、特定の粒度分布を有する小麦粉を配合し、低カロリー化を図るべく高歩留りで茹で上げることが提案されている。具体的には、粒度分布において粒径60〜100μmの範囲に最大頻度を有するとともに、粒径が20〜150μmの粒子が80質量%以上であり、粗蛋白含量14〜19質量%である小麦粉を、茹で麺類用穀粉組成物中に20〜80質量%含有させることが、特許文献1に記載されている。
また、特許文献2には、特定の粒径を有する強力系小麦粉を配合することによって、二次加工適性に優れた小麦粉製品が得られることが記載されている。具体的には、原料を強力系小麦とし、粒径が50〜160μmの大きさの粒が70質量%以上であり、粒径が50〜110μmの大きさの粒が55質量%以上である小麦粉を用いることが、特許文献2に記載されている。
さらに、特許文献3には、蛋白含量が15〜18%である高蛋白小麦粉を使用することによって、単に熱湯を注ぐのみで喫食できる生中華麺または半生中華麺類を製造することが提案されている。具体的には、主原料として小麦粉蛋白含量15〜18%の高蛋白小麦粉を使用し、これに対し澱粉配合比10〜60重量%、卵白粉末0.3〜2重量%の配合比で添加混合して常法により製麺することを特徴とする生中華麺または半生中華麺の製造方法が、特許文献3に記載されている。
特開2010−193851号公報 特開2007−014224号公報 特開平11−28067号公報
上述したように、従来、麺類の食感を硬く、弾力を有するものにすることと、麺類につるみやしなやかさを付与することとは、両立することが技術的に困難であった。
このような状況に鑑み、本発明の目的は、麺類に適度な硬さと弾力を付与しつつも、つるみとしなやかさを麺類に付与できるような技術を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決できるような小麦粉について鋭意検討したところ、たん白質含量が12〜16質量%であり、特定の粒度分布を有する小麦粉を配合することによって優れた麺類が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
これに限定されるものではないが、本発明は、下記の発明を包含する。
[1] たん白質含量が12〜16質量%であり、体積基準の粒子径累積分布において10〜30μmの粒子径を有する粒子の割合が全体の25%以上である麺類用小麦粉。
[2] 前記小麦粉が、軟質小麦由来の小麦粉を含む、[1]に記載の麺類用小麦粉。
[3] 前記小麦粉が、二粒系小麦由来の小麦粉を含む、[1]または[2]に記載の麺類用小麦粉。
[4] 体積基準の粒子径頻度分布において粒子径の最頻値が10〜50μmの範囲に存在する、[1]〜[3]のいずれかに記載の麺類用小麦粉。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の小麦粉を、組成物100質量部あたり2質量部以上含有する麺類用穀粉組成物。
[6] [1]〜[4]のいずれかに記載の麺類用小麦粉または[5]に記載の麺類用穀粉組成物を原料とする麺類。
[7] 前記麺類が、冷蔵麺類または冷凍麺類である、[6]に記載の麺類。
[8] [1]〜[4]のいずれかに記載の麺類用小麦粉または[5]に記載の麺類用穀粉組成物を原料として製麺することを含む、麺類の製造方法。
本発明によれば、麺類に硬さと弾力を付与しつつ、つるみとしなやかさをも付与することができる。また、本発明に係る麺類用小麦粉によれば、麺類の色調や風味に大きな影響を与えず、また、茹で溶けが生じにくいため、茹で麺用や調理麺用として特に優れたものである。
本発明の麺類用小麦粉によれば、小麦グルテンなどを添加せずとも良好な製麺性、および麺類への硬さと弾力の付与を実現できる。
一つの態様において本発明は、たん白質含量が12〜16質量%であり、体積基準の粒子径累積分布において10〜30μmの粒子径を有する粒子の割合が全体の25%以上である麺類用小麦粉である。別の態様において本発明は、たん白質含量が12〜16質量%であり、体積基準の粒子径累積分布において10〜30μmの粒子径を有する粒子の割合が全体の25%以上である麺類用小麦粉を含有する麺類用穀粉組成物である。本発明に係る麺類用小麦粉および麺類用穀粉組成物は、麺類を製造するために用いられ、好ましい態様において粉体の形態である。
本発明においては、たん白質含量が12〜16質量%であり、体積基準の粒子径累積分布において10〜30μmの粒子径を有する粒子の割合が全体の25%以上である小麦粉を使用する。このような小麦粉を配合することによって、適度な硬さと弾力を有しつつ、つるみとしなやかさも備えた麺類を製造することが可能になる。
本発明において、小麦粉のたん白質含量が12〜16質量%であるが、好ましい態様において、たん白質含量は13〜15.5質量%であり、14〜15質量%としてもよい。たん白質含量がこのような範囲であると、適度な硬さと弾力を有しつつ、つるみとしなやかさも備えた麺類を製造することができる。
本発明に係る麺類用小麦粉は、体積基準の粒子径累積分布において、10〜30μmの粒子径を有する粒子の割合が全体の25%以上を構成する。10〜30μmの粒子径を有する粒子の割合が全体の30%以上を構成することがより好ましく、10〜30μmの粒子径を有する粒子の割合が全体の35%以上を構成することがさらに好ましい。このような小麦粉を麺類に配合することによって、適度な硬さと弾力を有しつつ、つるみとしなやかさも備えた麺類を製造することができる。なお、体積基準の粒子径累積分布において、10〜30μmの粒子径を有する粒子の割合について、上限は特にないが、例えば、90%以下、70%以下、50%以下とすることができる。
本発明に係る麺類用小麦粉は、好ましい態様において、体積基準の粒子径頻度分布において、最頻径(頻度分布が最大となる粒子径)が10μm以上50μm以下の範囲に存在する。本発明において、麺類用小麦粉の最頻径は15μm以上48μm以下がより好ましく、17μm以上45μm以下がさらに好ましく、19μm以上40μm以下がよりさらに好ましい。このような小麦粉を麺類に配合することによって、さらに適度な硬さと弾力を有しつつ、つるみとしなやかさも備えた麺類を製造することができる。
本発明において、小麦粉の体積基準の粒子径分布は、レーザー回折式の粒度分布測定装置を用いて測定することができる。具体的には、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、フラウンホーファー回折によって体積基準の粒子径分布(累積分布または頻度分布)を得る。
小麦粉の体積基準の粒子径分布や最頻径については、小麦の粉砕条件および分級条件を調整することによって変更することが可能である。小麦の粉砕には、例えば、衝撃式粉砕機、気流式粉砕機、ロール式粉砕機などの粉砕機を用いることができる。例えば、ロール粉砕の場合にはロールミルなど、気流粉砕の場合にはジェットミルなど、衝撃式粉砕の場合には、ハンマーミル、ピンミル、ターボミルなどが挙げられる。また、複数の粉砕方法を組み合わせた粉砕機(サイクロンミル、相対流粉砕機など)を用いることもできる。これらの粉砕機を単独で用いてもよいし、複数組み合わせて用いてもよい。粉砕した小麦粉は、篩や空気分級によって分級し、微細化された画分を回収することで粒度構成を所望の範囲にまで調整することや、分級機能を備えた粉砕機で粉砕することにより、本実施形態の麺類用小麦粉を得ることができる。また、本実施形態の麺類用小麦粉は、複数の異なる目開きの篩を用いて、粗い目開きの篩から順次かけていき、各篩上に残った画分および全ての篩を通過した画分の配合割合を調整することによって、所望の粒度構成に調整することができる。
本発明において小麦粉の灰分は特に限定されず、製造する麺類の特性を踏まえて選択すればよい。好ましい態様において、本発明に係る小麦粉の灰分は0.90%以下であり、より好ましくは0.85%以下、さらに好ましくは0.80%以下であり、0.70%以下としてもよい。
小麦粉は一般的な方法で製造することができるが、例えば、常法にしたがって精選した小麦粒を、加水・調質(テンパリング)した後、必要に応じて、ブレーキング工程、グレーディング工程、ピュリフィケーション工程などを行い、粉砕機を用いて粒度構成を調整することができる。
本発明に係る麺類用小麦粉について、原料となる小麦の産地や品種などは特に限定されず、例えば、硬質小麦であっても軟質小麦であってもよく、普通系小麦であっても二粒系小麦であってもよい。本発明においては、1種の小麦から小麦粉を製造することもできるし、2種以上の小麦を組み合わせて小麦粉を製造することもできる。また、製造した小麦粉を組み合わせて本発明の小麦粉を製造することもできる。本発明においては全粒粉を用いてもよい。小麦は種子の硬さ(硬軟質性)に基づいて、硬質小麦と軟質小麦に分類される。硬質小麦は高たん白質で種子がアメ色に見える硝子質のものが多く、一方、軟質小麦はたん白質が低めで種子が白っぽく見える粉状質のものが多い。種子の硬軟質性は、ピュロインドリン−aとピュロインドリン−bという2種のたん白質の遺伝子の変異によって決定され、野生型が軟質で、これらの遺伝子に変異が起きると硬質になる。好ましい態様において本発明に係る麺類用小麦粉は、軟質小麦由来の小麦粉を含んでなる。軟質小麦の例としては、ウエスタンホワイト、きたほなみ、さとのそら、農林61号、あやひかり、チクゴイズミなどが挙げられる。硬質小麦よりも軟質小麦の方が、粒子が脆く、細かくなりやすいため、本発明に係る麺類用小麦粉を容易に得ることができる。本発明に係る麺類用小麦粉を軟質小麦由来の小麦粉とすることで、麺類に適度な硬さと弾力を付与するとともに、つるみとしなやかさも付与することができて好適である。
好ましい態様において本発明に係る麺類用小麦粉は、二粒系小麦由来の小麦粉を含んでなり、例えば、デュラム小麦由来の小麦粉(以下デュラム小麦粉ともいう)を含んでなる。本発明に係る麺類用小麦粉を二粒系小麦由来の小麦粉とすることで、麺類に適度な硬さと弾力を付与するとともに、つるみとしなやかさも付与することができて好適である。本発明の好ましい態様において、軟質の二粒系小麦を用いることができる。例えば、「ソフトデュラム」と称されるデュラム小麦があげられる。ソフトデュラムは、「Transfer of Soft Kernel Texture from Triticumaestivum to Durum Wheat, Triticum turgidum ssp. Durum (CROP SCIENCE, VOL. 51 (2011))」に基づいて得ることができる。
本発明の麺類用穀粉組成物は、上述した麺類用小麦粉を、麺類用穀粉組成物100質量部あたり2質量部以上含有させる。好ましい態様において、上記麺類用小麦粉は、麺類用穀粉組成物100質量部あたり3〜80質量部であり、より好ましくは4〜50質量部、さらに好ましくは5〜30質量部である。このような範囲とすることで、食感がより良好な麺類を製造することができる。
本発明に係る麺類用穀粉組成物は、上記の小麦粉に加えて、穀粉類、澱粉類などを含んでいてよい。目的の麺類の種類に応じて適宜に選択される。例えば、小麦粉(強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉)、デュラムセモリナ、デュラム小麦粉、米粉、そば粉、大麦粉、ライ麦粉、オーツ麦粉、トウモロコシ粉、ひえ粉、あわ粉、大豆粉、およびホワイトソルガム粉などから選ばれる1種または2種以上の穀粉類を使用することができる。また、小麦のふすまを含んでもよい。澱粉類としては、例えば、小麦澱粉、大麦澱粉、ライ麦澱粉、エンバク澱粉などの麦類澱粉、トウモロコシ澱粉、米澱粉、豆類澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、ヒシ澱粉、クリ澱粉、サゴ澱粉、ナガイモ澱粉、レンコン澱粉、クワイ澱粉、ワラビ澱粉、ユリネ澱粉、およびアミロメイズ澱粉から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。これらの澱粉に物理的、化学的な加工を単独または複数組合せて施した加工澱粉を用いてもよい。
本発明の麺類用穀粉組成物は、副原料をさらに含んでいてよい。本発明で用いられる副原料としては、例えば、大豆たん白質、小麦たん白質、卵黄粉、卵白粉、全卵粉、脱脂粉乳などのたん白質素材;動植物油脂、粉末油脂などの油脂類;かんすい、食物繊維、膨張剤、増粘剤、乳化剤、食塩、糖類、甘味料、香辛料、調味料、ビタミン類、ミネラル類、色素、香料などが挙げられる。本発明では、目的とする麺の種類に応じて、これら副原料を単独または組み合わせて用いることができる。
本発明に係る麺類用穀粉組成物は、そのたん白質含量を、0を超えて15%質量以下とすることが好ましい。たん白質含量が多すぎると、麺の弾力性が強くなりすぎたり、食感が硬く、ぼそつきやすくなったりするためである。
好ましい態様において、麺類用穀粉組成物のたん白質含量は3〜15質量%であり、より好ましくは4〜14質量%、さらに好ましくは5〜13質量%、よりさらに好ましくは6〜12質量%である。たん白質含量を3〜15質量%程度にすることによって、製麺時のべたつきが特に抑制され、生地がまとまりやすくなる。
麺類
本発明に係る麺類とは、中華麺やスパゲッティ、マカロニなどのパスタ類に用いられる麺線や麺帯はもちろん、餃子やしゅうまいなどに用いられる麺皮を包含する概念である。また、本発明の麺類の種類に特に制限はなく、例えば、中華麺、焼きそば、うどん、そば、冷麺、およびパスタ類などの麺線や麺帯はもちろん、餃子やしゅうまい、ワンタン、ラビオリなどに用いられる麺皮が挙げられる。本発明に係る麺類として、例えば、パスタ(スパゲッティ、スパゲッティーニ、カッペリーニ、タリアテッレ、フェットチーネ、リングイーネ、パッパルデッレ、ラザニア、ラビオリなど)、うどん、そば、そうめん、ひやむぎ、冷麺などが挙げられる。本発明の麺類は良好な硬さと弾力を有し、つるみやしなやかさにも優れる。
また、本発明に係る麺類は、調理前の麺類と調理済の麺類の両方を包含する概念である。調理済の麺類を調製する場合は、麺帯や麺線などの未調理の麺類(生麺)を、湯の中で茹でるなどして調理すればよい。麺類の調理方法は特に制限されないが、茹でて調理することはもちろん、油ちょうや蒸し、電子レンジなどによって調理してもよく、喫食可能になるまで麺類をα化すればよい。また、麺類の形態に特に制限はなく、例えば、生麺、半乾燥麺、乾麺、茹で麺、蒸し麺、冷蔵麺(チルド麺)、冷凍麺、即席麺、調理麺、ロングライフ麺(LL麺)などであってもよい。茹でまたは蒸し処理された後、冷蔵または冷凍で保存および/または流通される冷蔵麺または冷凍麺であるのが好ましく、冷蔵麺がより好ましい。また、本発明に係る麺類には、流通や保管、喫食などの態様に応じて、ほぐれ剤などを付着させることができる。
一般に、麺類に硬さを付与するため小麦たん白などを配合することがあるが、麺のつるみやしなやかさが失われる傾向がある。一方、つるみやしなやかさを麺類に付与するために加工澱粉などが用いられるが、食感が軟らかくなりやすい。しかし、本発明に係る麺類用穀粉組成物によれば、麺類に適度な硬さを付与しつつも、つるみやしなやかさを有する麺類を得ることができる。
本発明に係る麺類は、上述した麺類用小麦粉または麺類用穀粉組成物から製造される。本発明において、麺生地は、通常の麺生地の調製方法に準じて調製することができる。例えば、麺類用小麦粉または麺類用穀粉組成物に、水、塩などを配合して混練し、麺生地を調製することができる。また、中華麺の麺生地を調製する場合には、さらに、かん水などを配合してもよい。
麺類用小麦粉を含む麺類用穀粉組成物と水との混合比は、麺類の種類にもよるが、通常は、麺類用穀粉組成物100質量部に対し、水25〜50質量部とすることが好ましく、水28〜45質量部とすることがより好ましい。当該質量比において、麺類用小麦粉を含む麺類用穀粉組成物に含まれる水分は「水」ではなく「麺類用穀粉組成物」を構成するものとする。
本発明に係る麺類は、圧延製麺、ロール式製麺、押出式製麺などの公知の製麺方法によって製造することができる。本発明の一つの態様において、麺生地は、圧延され、所望の厚さの麺帯とされる。当該圧延は、麺生地を圧延ロールに通すことで行われる。次いで、製麺機などを用いて麺帯を切り出して麺線とし、この麺線を所望の長さに切断することにより生麺を得ることができる。また、型抜き機などを用いて麺帯から麺皮を得ることができる。
本発明の一つの態様において、麺生地を引き伸ばしたり撚ったりして麺線を得てもよく、また、麺生地を穴などから押し出して麺類を製造してもよい。一般に、スパゲッティやマカロニなどの麺類は、麺生地を押し出して製造することが多い。また本発明においては、機械を用いて製麺してもよく、機械を用いずに手延べや手打ちによって製麺してもよい。
例えば、上記生麺を茹でることによって茹で麺が得られ、蒸煮することによって蒸し麺が得られ、調湿乾燥法などにより乾燥すれば乾麺が得られる。また、例えば、蒸煮または茹で処理を行った後、フライ用バスケットあるいは乾燥用バスケットに一食ずつ成形充填し、フライあるいは高温熱風乾燥処理すれば即席乾麺が得られる。
1つの観点から、本発明は、上記した麺類用小麦粉または麺類用穀粉組成物を用いる、麺類の製造方法である。さらに本発明は、上記した麺類用小麦粉または麺類用穀粉組成物を用いることによる、麺類の食感を向上させる方法と理解することもできる。本発明によれば、適度な硬さを有するとともに、つるみやしなやかさにも優れた麺類を得ることができる。
以下、具体的な実験に基づいて本発明をより詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な例を示したものであり、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、本明細書において、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
原材料
下記の実験では、以下の小麦粉を使用した。
Figure 2021052649
また、小麦粉以外の原料は、下記を使用した。
・加工澱粉(「SF−2800」エーテル化リン酸架橋澱粉、昭和産業)
・粉末グルテン(「スーパーグル75H」、日本コロイド、たん白質含量:75%)
・乾燥卵白(「乾燥卵白MタイプNo.5」、キューピータマゴ)
・酒精(「メイオールW65n、MCフードスペシャリティーズ)
・粉末かんすい(「かんすい青」、オリエンタル酵母)
・食塩(「並塩」、日本海水)
実験1:麺類の製造と評価(冷やし中華)
横型ピンミキサーを用いて、表3に示す麺類用穀粉組成物100質量部、塩1質量部、かんすい1質量部、水43質量部の割合で混合した後、15分間ミキシングし、生地を作製した。作製した生地を、ロール式製麺機にて圧延してから切り出し(切刃:角20番)、麺線の厚みが1.5mmの生麺(中華麺)を製造した。
製造した生麺を沸騰水中で茹で増重率が180%になるよう茹で、冷水で冷却、水切りした後、ほぐし剤を噴霧し、調理済み冷やし中華麺を製造した。製造した冷やし中華麺を冷蔵で24時間保存した後、スープをかけて官能評価に供した。
下記の評価項目について、10人の専門パネルによって5段階で官能評価を行った。具体的には、対照(コントロール)を3点として、下記の基準に基づいて評価し、評点の平均値を算出した。数値が大きい程、良好である。
Figure 2021052649
表3に示した結果から明らかなように、本発明の麺類用小麦粉G〜Lを用いた試験1−5〜1−10において、優れた麺類を製造することができた。体積基準の粒子径頻度累積分布において10〜30μmの粒子径を有する粒子の割合が全体の17.7%の麺類用小麦粉Dを用いた試験1−2、たん白質含量が11.0質量%の麺類用小麦粉Eを用いた試験1−3、およびたん白質含量が16.3質量%の麺類用小麦粉Fを用いた試験1−4は、弾力と外観は対照区とほぼ同等で、しなやかさとつるみの評価が劣っていた。
Figure 2021052649
実験2:麺類の製造と評価(生中華麺)
横型ピンミキサーを用いて、表5に示す麺類用穀粉組成物100質量部、塩1質量部、かんすい1質量部、酒精1質量部、水43質量部の割合で混合した後、15分間ミキシングし、生地を作製した。作製した生地を、ロール式製麺機にて圧延してから切り出し(切り刃:角20番)、麺線の厚みが1.5mmの生麺(中華麺)を製造した。
製造した生麺を沸騰水中で2分30秒間茹で、官能評価に供した。評価基準は実験1と同様であるが、「味・風味」および「色」については、下記の基準に基づいて評価した。
Figure 2021052649
表5から明らかなように、本発明の麺類用小麦粉を用いた試験2−4〜2−9において、優れた麺類を製造することができた。粉末グルテンを添加した試験2−2は、弾力と外観は良好であったが、しなやなさとつるみの評価は悪く、味・風味、色も対照より劣る結果であった。乾燥卵白を添加した試験2−3は、しなやかさの評価が悪く、味・風味がやや劣る結果であった。
Figure 2021052649
実験3:麺類の製造と評価(レンジラーメン)
横型ピンミキサーを用いて、表6に示す麺類用穀粉組成物100質量部、塩1質量部、かんすい1質量部、水35質量部の割合で混合した後、15分間ミキシングし、生地を作製した。作製した生地を、ロール式製麺機にて圧延してから切り出し(切り刃:角20番)、麺線の厚みが1.5mmの生麺(中華麺)を製造した。
製造した生麺を沸騰水中で茹で増重率が160%になるよう茹で、冷水で冷却、水切りし、調理済の中華麺を製造した。調理済の中華麺をゼラチンで固めたスープ上に静置し、冷蔵で24時間保存した後、電子レンジを用いて500Wで5分間加熱し、官能評価に供した。評価基準は実験2と同様である。
表6に示した結果から明らかなように、レンジラーメン(調理麺)においても、本発明の麺類用小麦粉を含むことにより、優れた麺類を製造することができた。
Figure 2021052649
実験4:麺類の製造と評価(レンジうどん)
横型ピンミキサーを用いて、表7に示す麺類用穀粉組成物100質量部、塩4質量部、水40質量部の割合で混合した後、15分間ミキシングし、生地を作製した。作製した生地を、ロール式製麺機にて圧延してから切り出し(切り刃:角10番)、麺線の厚みが3.0mmの生麺(うどん)を製造した。
製造した生麺を沸騰水中で茹で増重率が160%になるよう茹で、冷水で冷却、水切りし、調理済のうどんを製造した。調理済のうどんをゼラチンで固めたスープ上に静置し、冷蔵で24時間保存した後、電子レンジを用いて500Wで5分間加熱し、官能評価に供した。評価基準は実験2と同様である。
表7に示した結果から明らかなように、レンジうどん(調理麺)においても、本発明の麺類用小麦粉を含むことにより、優れた麺類を製造することができた。
Figure 2021052649
実験5:麺類の製造と評価(生うどん)
横型ピンミキサーを用いて、表8に示す麺類用穀粉組成物100質量部、塩4質量部、水35質量部の割合で混合した後、15分間ミキシングし、生地を作製した。作製した生地を、ロール式製麺機にて圧延してから切り出し(切り刃:角10番)、麺線の厚みが2.5mmの生麺(うどん)を製造した。
製造した生麺を沸騰水中で10分間茹で、官能評価に供した。評価基準は実験2と同様である。
表8に示した結果から明らかなように、生うどんにおいても本発明の麺類用小麦粉を含むことにより、優れた麺類を製造することができた。
Figure 2021052649
実験6:麺類の製造と評価(生パスタ)
横型ピンミキサーを用いて、表9に示す麺類用穀粉組成物100質量部、塩2質量部、水28質量部の割合で混合した後、15分間ミキシングし、生地を作製した。作製した生地を、押し出し製麺機を用いて真空条件下で押し出すことにより生麺(パスタ)を製造した(ダイス径:φ1.7mm)。
製造した生麺を沸騰水中で4分間茹でて、官能評価に供した。評価基準は実験2と同様である。
表9に示した結果から明らかなように、生パスタにおいても、本発明の麺類用小麦粉を用いることにより、優れた麺類を製造することができた。
Figure 2021052649

Claims (8)

  1. たん白質含量が12〜16質量%であり、体積基準の粒子径累積分布において10〜30μmの粒子径を有する粒子の割合が全体の25%以上である麺類用小麦粉。
  2. 前記小麦粉が、軟質小麦由来の小麦粉を含む、請求項1に記載の麺類用小麦粉。
  3. 前記小麦粉が、二粒系小麦由来の小麦粉を含む、請求項1または2に記載の麺類用小麦粉。
  4. 体積基準の粒子径頻度分布において粒子径の最頻値が10〜50μmの範囲に存在する、請求項1〜3のいずれかに記載の麺類用小麦粉。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の小麦粉を、組成物100質量部あたり2質量部以上含有する麺類用穀粉組成物。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の麺類用小麦粉または請求項5に記載の麺類用穀粉組成物を原料とする麺類。
  7. 前記麺類が冷蔵麺類または冷凍麺類である、請求項6に記載の麺類。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載の麺類用小麦粉または請求項5に記載の麺類用穀粉組成物を原料として製麺することを含む、麺類の製造方法。
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