JP6718001B1 - 麺類の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】小麦ふすまや全粒粉等の穀物外皮を含む原料を配合しても、食感の低下を抑制することができ、食感及び風味に優れた麺類が得られる麺類の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明の麺類の製造方法は、穀粉類を含む粉体原料に加水し、麺生地を調製するにあたり、予め加水画分にα化澱粉類及び穀物外皮を配合することを特徴とする。記加水画分に配合するα化澱粉類及び穀物外皮は、それらの合計量が、前記麺生地の調製に用いる穀粉類の総量100質量部に対して0.3〜20質量部であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、麺類の製造方法に関する。
風味を向上させる等の目的で、製麺の原料に、小麦ふすまや全粒粉を配合することが知られている。
例えば、特許文献1には、蒸煮処理小麦ふすまを含有する麺生地を圧延して麺帯を得、該麺帯を麺線に切り出し、得られた麺線を切断することを含む小麦ふすま含有麺類の製造方法が記載されており、麺生地中の蒸煮処理小麦ふすまの含有量を、乾燥質量換算で7〜47質量%とすることが記載されている。
また特許文献2には、製麺するにあたり、ふすま抽出物を用いることを特徴とする、麺類の製造方法が記載されている。
特開2017−29145号公報 特開2003−304824号公報
製麺の原料に小麦ふすまや全粒粉を配合する場合、例えば、小麦ふすまの場合は、麺生地の調製に用いる穀粉類原料(穀物由来の粉体原料)の総量中に0.08〜0.5質量%程度配合され、全粒粉の場合は、同穀粉類原料(穀物由来の粉体原料)の総量中に0.5〜3質量%程度配合される。
しかしながら、小麦ふすまや全粒粉等を配合する場合、上記のような比較的配合量が少量であっても、穀物外皮に由来する食物繊維やミネラル等の成分が、グルテンの形成性に悪影響を及ぼし、麺類の食感や製麺性を低下する原因となる場合がある。
特許文献1には、引用文献1の技術によれば、製麺の作業性に優れ、且つ、良好な弾力を有する麺類を得ることができる旨が記載されている。しかしながら、引用文献1の技術は、熱処理した小麦ふすまを配合することで、食感、製麺性に優れた麺を得る技術であり、α化処理された穀粉類を、粉体原料に添加する加水画分に配合して添加することについて何ら記載されていない。
他方、特許文献2の技術は、風味改善を目的として、ふすま抽出物を用いる技術であり、引用文献2にも、α化処理された穀粉類を、粉体原料に添加する加水画分に配合して添加することについて何ら記載されていない。
したがって、本発明の目的は、小麦ふすまや全粒粉等の穀物外皮を含む原料を配合しても、食感の低下を抑制することができ、食感及び風味に優れた麺類が得られる麺類の製造方法を提供することにある。
本発明は、麺類の製造方法であって、穀粉類を含む粉体原料に加水し、麺生地を調製するにあたり、予め加水画分にα化澱粉類及び穀物外皮を配合する、麺類の製造方法を提供するものである。
本発明の麺類の製造方法によれば、小麦ふすまや全粒粉等の穀物外皮を含む原料を配合しても、食感の低下を抑制することができ、食感及び風味に優れた麺類が得られる。
本発明の麺類の製造方法は、穀粉類を含む粉体原料に加水し、麺生地を調製する工程を具備する。本発明において麺生地の調製及びその麺生地を用いた麺類の製造は、いずれも穀粉類を含む粉体原料を用いて製造される。穀粉類は、穀物由来の粉体である。穀物は、好ましくはイネ科植物の種子である。イネ科植物の例としては、小麦類、米類、大麦類、トウモロコシ類、モロコシ類、ヒエ類、アワ類、キビ類、オーツ麦類(カラス麦類)及びライ麦類等が挙げられる。穀粉類としては、穀粉、澱粉及び穀物由来の蛋白質が挙げられる。本発明において調製する麺生地及びそれを用いて製造する麺類は、穀粉類として、穀粉及び澱粉のうちの少なくとも一方を含むことが好ましく、少なくとも穀粉を含んでいることが好ましい。前記穀粉としては、例えば小麦粉、米粉、大麦粉、モチ大麦粉、そば粉、大豆粉、コーンフラワー、オーツ麦、ライ麦粉や、小麦全粒粉等、穀物の全粒粉等が挙げられる。小麦粉としては、麺類の製造に一般に使用されるものを特に制限なく使用することができ、例えば、強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉などが挙げられる。これらの穀粉は、いずれか1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記澱粉としては、麺類の製造に一般に使用される澱粉を特に制限なく使用することができ、例えば、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米澱粉などの未加工澱粉、及び前記の各未加工澱粉に、エーテル化、エステル化、アセチル化、架橋処理、酸化処理等の処理を施した加工澱粉が挙げられる。これらの澱粉は、いずれか1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。澱粉は、好ましくはタピオカを由来とする澱粉である。また澱粉は、好ましくは加工澱粉である。
前記穀物由来の蛋白としては、穀物を供給源とするグルテンを用いることができ、その製法や形態(生グルテンであるか、粉末状であるかなど)は問わない。グルテンの供給源である穀物としては、例えば、小麦、大麦、ライ麦等が挙げられる。好ましくは、小麦由来のグルテンである小麦グルテンである。小麦グルテンの好ましい供給源としては、パンコムギ、デュラムコムギ、クラブコムギ、スペルトコムギ、エンマコムギ(以上、イネ科コムギ属);タルホコムギ、クサビコムギ(以上、イネ科エギロプス属)が挙げられる。これらの穀物由来の蛋白は、いずれか1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の麺類の製造方法においては、穀粉類を含む粉体原料に加水するにあたり、予め加水する水にα化澱粉類及び穀物外皮を配合しておき、水を主体とし、α化澱粉類及び穀物外皮を含む加水画分を、穀粉類を含む粉体原料に添加する。
加水する対象の粉体原料、すなわち加水画分を添加する対象の粉体原料は、前記穀粉として、穀物の胚乳部分を主成分とする穀粉を含むことが好ましい。穀物の胚乳部分を主成分とする穀粉は、穀物が小麦である場合、強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉等の小麦粉や小麦全粒粉である。穀物が小麦以外の場合も同様のものを用いることができる。
加水対象の粉体原料が、小麦粉や小麦全粒粉等の、穀物の胚乳部分を主成分とする穀粉を含んでいると、加水によりグルテンを生じるため、別途グルテン等を添加しなくても、弾力のある食感の良好な麺類が得られやすくなる。
加水対象の粉体原料又は調製する麺生地は、穀物の胚乳部分を主成分とする穀粉を、麺生地の調製に用いる穀物類の総量100質量部に対して、30質量部以上含んでいることが好ましく、50質量部以上含んでいることがより好ましい。
また、加水対象の粉体原料や麺生地が澱粉(加工澱粉でも良い)を含んでいると、得られる麺類に、もちもちとした食感が得られ易くなったり、得られる麺類の老化耐性が向上したりする等の利点がある一方、麺生地中に占める穀粉の割合が減少して、穀粉由来の風味が減少する傾向がある。そのため、加水対象の粉体原料や麺生地中に、小麦ふすまや小麦全粒粉等の穀物外皮を含む穀粉を配合して風味を向上させる要請が高くなるが、前述のとおり、小麦ふすまや全粒粉等の穀物外皮由来の粉体を含む穀粉の配合量を高めると、穀物外皮に由来する食物繊維やミネラル等の成分がグルテンの形成性に影響して、麺類の食感や製麺性を低下させる恐れが高くなる。これに対して、本発明によれば、加水対象の粉体原料や調製する麺生地に澱粉を比較的高い比率で配合した場合、例えば、加水対象の前記粉体原料又は調製する麺生地が、麺生地の調製に用いる穀粉類の総量100に対して5質量部以上の澱粉(加工澱粉でも良い)を含んでいる場合等であっても、グルテンの形成性に対する影響を抑制でき、食感及び風味に優れた麺類を効率的に製造することができる。食感の向上又は老化耐性の向上の観点から、加水対象の粉体原料又は調製する麺生地は、麺生地の調製に用いる穀粉類の総量100質量部に対して5質量部以上の澱粉を含むことが好ましく、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上、なお好ましくは30質量部以上である。麺生地の調製に用いる澱粉は、加水対象の粉体原料に全量を含ませても良いし、加水画分に全量を含ませても良いし、加水対象の粉体原料と加水画分とに任意の比率で含ませても良い。
本発明の麺類の製造方法によれば、α化澱粉類及び穀物外皮を、それらを配合した配合した加水画分として、穀粉類を含む粉体原料に添加することにより、麺生地及びそれを用いて製造した麺類に穀物外皮を配合することに伴う食感の低下を抑制することができ、風味及び食感に優れた麺類が得られる。
穀物外皮の配合に伴う食感の悪化が抑制される理由は、加水画分中に、α化澱粉類及び穀物外皮を配合することによって、穀物外皮の一部がα化澱粉に覆われた状態となること等によって、穀物外皮中の食物繊維やミネラル、一部の蛋白質等が、グルテン又はグルテンを形成する成分と接触することが抑制され、それによって、グルテンの形成性への悪影響が抑制されると推定される。
「α化澱粉類」とは、前記澱粉又は前記穀粉に対してα化処理を施したものを指す。加水画分に配合するα化澱粉類は、α化処理を施した穀粉(以下「α化穀粉」という)及びα化処理を施したα化澱粉(以下「α化澱粉」という)の何れか一方のみであっても良く、α化穀粉及びα化澱粉の両方であっても良い。α化澱粉類の全部又は一部として加水画分に配合するα化穀粉は、外皮除去穀粉にα化処理を施したものであっても良いし、全粒粉にα化処理を施したものに含まれる外皮由来部分以外の部分であっても良い。外皮除去穀粉とは、穀物粒の胚乳部分又は胚乳部分及び胚芽部分から得られる粉体であってα化処理が施されているものであり、例えば、穀物が小麦の場合、強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉等の小麦粉である。穀物が、大麦、米等の小麦以外の穀物の場合は、当該穀物の穀物粒の外皮部分を含まない大麦粉や米粉等の、小麦粉に相当する穀粉である。
他方、「穀物外皮」とは、穀物粒の外皮部分から得られる粉体であり、例えば、小麦ふすま、大麦ふすま、オーツ麦ふすま、ライ麦ふすま、米糠、トウモロコシの種皮、大豆皮等が挙げられる。穀物外皮は、小麦ふすまを用いることが好ましい。小麦ふすまは、外皮由来のアントシアニン、タンニンなど数種の有効成分を元に、得られる麺類の風味を一層向上させることができる。α化澱粉類及び穀物外皮は、同種類の穀物由来のものであっても良く、異なる穀物由来のものであっても良い。
α化澱粉類及び穀物外皮は、両者を混合物として加水画分に配合しても良く、またそれぞれ別に用意したものを加水画分に配合しても良い。またα化澱粉類及び穀物外皮は、澱粉類と穀物外皮との混合物に対してα化処理を施したものであることが好ましい。澱粉類と穀物外皮との混合物に対してα化処理を施したものには、穀物外皮を分離していない全粒粉に対してα化処理を施したもの(以下「α化全粒粉」ともいう)と、別々に製造した澱粉類と穀物外皮とを混合して得た混合物に対してα化処理を施したものとが含まれる。「澱粉類と穀物外皮との混合物」における「澱粉類」は、穀粉(好ましくは外皮除去穀粉)のみであっても良く、澱粉のみであっても良く、穀粉と澱粉との組み合わせであっても良い。澱粉類と穀物外皮の混合物に対してα化処理を施したものに代えて、穀物粒の胚乳部分から得られる小麦粉等の穀粉や澱粉にα化処理を施して得られるα化澱粉類と、α化処理を施していない穀物外皮とを、同時又は任意の順序で、それぞれ独立に加水画分に配合しても良いし、混合物として加水画分に配合することもできる。
加水画分に配合するα化澱粉類及び穀物外皮は、澱粉類と穀物外皮との混合物に対してα化処理を施したものであることが好ましい。澱粉類と穀物外皮との混合物と把握される全粒粉にα化処理を施す場合を含めて、澱粉類と穀物外皮との混合状態においてα化処理を施すことにより、生じたα化澱粉と穀物外皮と接触度合いが高まるため、穀物外皮中の食物繊維やミネラル等によるグルテン形成性への影響を一層効果的に抑制することができ、得られる麺類が、食感及び風味に一層優れたものとなる。
穀物外皮は、穀粉類の一部として、加水対象の粉体原料にも含まれていても良い。
α化澱粉類又はα化全粒粉は、麺生地の調製に用いる穀粉類の1種又は複数種類を、加水画分に配合する第1画分と加水対象の被加水画分に含める第2画分とに区分し、第1画分に区分されたものにα化処理を施したものであっても良い。
本発明においては、調製する麺生地に配合する全粒粉又は穀物外皮の全部を、α化全粒粉として又はα化澱粉類とともに、加水画分に混合しても良い。また、調製する麺生地に配合する全粒粉又は穀物外皮の一部を、α化全粒粉として又はα化澱粉類とともに、加水画分に混合しても良い。後者の場合も、加水画分に配合した分量に応じた食感の改善効果が得られる。
α化処理は、水分の存在下に加熱処理を施すことで、穀粉中の澱粉をα化(糊化)させる処理であり、各種公知の方法を特に制限なく採用することができる。α化処理としては、処理対象の水分を維持しながら、又は処理対象に水分を加えながら、処理対象を加熱する方法が挙げられる。処理対象に加える水分としては、水、水蒸気を用いることができる。α化処理における加熱方法は特に制限されず、例えば、蒸煮する方法や、処理対象を高湿度雰囲気下において加熱する方法が挙げられる。湿熱処理の実施装置は特に制限されず、例えば、オートクレーブ、スチームオーブン、一軸又は二軸型エクストルーダーが挙げられる。
加水画分に配合するα化澱粉類は、α化度(糊化度)が70%以上であることが、グルテンの形成性の低下を抑制する効果を向上させる観点から好ましい。以下、グルテンの形成性の低下を抑制する効果を、グルテン形成能の低下抑制効果ともいう。
また、α化澱粉類及び穀物外皮の混合物としてα化全粒粉を加水画分に配合する場合のα化全粒粉も、そのα化度が70%以上であることが、同様の観点から好ましい。
グルテン形成能の低下抑制効果の観点から、α化澱粉類のα化度、及びα化全粒粉のα化度は、いずれも、より好ましくは70%以上100%以下、さらに好ましくは80%以上100%以下である。
ここでいう「α化度」は、BAP法によるα化度である。BAP法は、β−アミラーゼ・プルラナーゼ法とも呼ばれる周知のα化度の測定方法であり、澱粉化学28(4),235〜240(1981)に記載されている。
α化度が70%以上のα化澱粉類やα化全粒粉は、小麦粉や小麦全粒粉等を、例えば、穀粉100質量部と、水5〜60質量部、好ましくは10〜55質量部とを、エクストルーダー等の装置で、加圧加熱処理することによって調製することができる(例えば、特開2009−17802号公報参照)が、その製法はこれに限定されるものではない。
得られる麺類の食感及び風味、特に食感を向上させる観点から、加水画分に配合するα化澱粉類及び穀物外皮は、それらの合計量が、麺生地の調製に用いる穀物類の総量100質量部に対して、0.3〜20質量部であることが好ましく、0.5〜15質量部であることがより好ましく、0.5〜10質量部であることがさらに好ましい。
麺生地の調製に用いる穀物類の総量は、麺生地の調製に用いる、穀物由来の穀粉、穀物由来の澱粉、及び穀物由来の蛋白(グルテン等)の合計量であり、加水画分に配合するα化澱粉類や穀物外皮等の穀粉の量も合計した総量である。
加水画分に対するα化澱粉及び穀物外皮の質量比(前者:後者)は、50:50〜98:2であることが好ましく、55:45〜97:3であることがより好ましい。前記の質量比が98:2以下であると、グルテン形成能の低下抑制効果が一層確実に発現され、50:50以上であると、穀物外皮による風味の向上効果が一層確実に得られ、食感及び風味に優れた麺類が得られる。
α化澱粉類との接触面積を増大させ、グルテン形成能の低下抑制効果を向上させて食感を向上させる観点、及び風味を向上させる観点から、穀物外皮の平均粒径は、250μm以下であることが好ましく、より好ましくは200μm以下、さらに好ましくは150μm以下、なお好ましくは100μm以下である。
α化澱粉類との接触面積を増大させ、グルテン形成能の低下抑制効果を向上させて食感を向上させる観点、及び風味を向上させる観点から、α化全粒粉製造に用いる全粒粉の平均粒径は200μm以下であることが好ましく、より好ましくは10〜150μm、さらに好ましくは15〜130μm、より好ましくは20〜100μmである。
穀物外皮やα化全粒粉製造に用いる全粒粉等の粉体の平均粒径は、下記の測定方法により測定される。
〔平均粒径の測定方法〕
平均粒径は、測定対象の穀物外皮の粒径分布を測定することにより測定可能であり、この粒径分布は、例えば特開2012−254052に記載されるマイクロトラック法、すなわち日機装株式会社製「マイクロトラック粒径分布測定装置9200FRA」を用いて乾式で測定することができる。マイクロトラック法は粒度の頻度からその分布を測定するが、粒径の頻度とは、粒径分布を解析し、計算した「検出頻度割合」である(日機装株式会社製の上記装置9200FRAに添付された資料「マイクロトラック粒度分析計測定結果の見方」参照)。
また穀物外皮は、熱処理されたものであってもよい。えぐみの抑制の観点から、熱処理小麦ふすま等の熱処理された穀物外皮を用いることが好ましい。ここでいう熱処理は、乾熱処理又は湿熱処理である。乾熱処理は、処理対象を水分無添加の条件で加熱する処理であり、処理対象中の水分を積極的に蒸発させる処理である。乾熱処理は、例えば、オーブンでの加熱、焙焼窯での加熱、乾燥器を用いる加熱、熱風を吹き付ける熱風乾燥、高温低湿度環境での放置などによって実施することができる。α化全粒粉は、穀物外皮に由来する部分についても湿熱処理されているため、熱処理された穀物外皮を含んでいるといえる。
α化澱粉類及び穀物外皮を加水画分に配合する際には、食感低下の抑制効果を最大限に発揮させる観点から、加水画分に配合したのち、十分に水和、吸水させることが好ましい。具体的には、α化澱粉類及び穀物外皮を加水画分に配合してから、残りの粉体原料に合わせるまでに、30秒以上経過させることが好ましい。また、水和、吸水を促進させる観点から、α化澱粉類及び穀物外皮を配合した加水画分を混合させることが好ましい。
また製麺における加水量は、麺類の製造に使用する粉体原料の総量100質量部に対して、25〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは30〜50質量部である。
本発明の目的を損なわない範囲において、麺生地の原料に、前述した穀粉、澱粉類、穀物由来の蛋白、α化澱粉類及び穀物外皮以外の原料を配合してもよい。例えば、小麦グルテン、大豆蛋白質、卵黄粉、卵白粉、全卵粉、脱脂粉乳等の蛋白質素材;動植物油脂、粉末油脂等の油脂類;かんすい;焼成カルシウム;食物繊維;増粘多糖類;乳化剤;食塩;糖類;調味料;ビタミン類;ミネラル類;色素;香料;デキストリン;アルコール;保存剤;酵素剤、膨張剤、難消化性澱粉、難消化性デキストリン、pH調整剤などを、加水画分を添加する粉体原料又は加水画分に、適宜配合することもできる。
α化澱粉類及び穀物外皮加水画分として添加した後の工程は、公知の方法により行うことができる。例えば、加水後、公知のミキサーにより混合して麺生地とした後、製麺により麺線とされる。麺線への製麺は、各種公知の方法を採用でき、例えば、麺生地を圧延して麺帯を得、その麺帯を細幅に切断して麺線とする。押出成形法により麺線とすることもできる。麺線とする麺帯や麺線の寸法は、特に限定されないが、例えば、麺帯及び麺線の厚さは1.0〜10mmとすることが好ましく、麺線の幅は、例えば1.0〜12mmとすることが好ましい。斯くして得られた麺線(生麺類)に対して、さらに常法に従って、乾燥、調理、凍結、冷蔵、及びそれらの組み合わせなどの処理を施してもよい。
本発明により製造される麺類としては、麺線類、麺皮類等のあらゆる形状のものを含み得るが、例えば、うどん、素麺、冷麦、中華麺、パスタ(ショートパスタ、ロングパスタ、平打ちパスタ等を含む)、餃子、焼売、ワンタンの皮などが挙げられる。麺線類としてはうどんが、麺皮類としては餃子の皮が好ましい。また、本発明により製造される麺類の種類としては、生麺、調理麺(茹で麺、蒸し麺等)、冷凍麺、冷蔵麺又はチルド麺、ノンフライ即席麺、フライ即席麺、乾麺などが挙げられ、特に限定されない。
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。
〔α化全粒粉の製造〕
小麦全粒粉(日清製粉(株)製、平均粒径60μm)100質量部に30〜40質量部の水を添加し、エクストルーダーにて加圧加熱処理してα化小麦全粒粉(α化度:85%以上)を調製した。このα化小麦全粒粉は、α化澱粉類と穀物外皮との混合物に相当するものであり、表1及び表2中の「α化全粒粉」である。
〔対照例1,2及び比較例1〜4,6〕
表1又は表2に示す組成の原料粉(穀粉類を含む粉体原料)に、水(食塩含む)を添加し、ミキシングして麺生地を調整した。得られた麺生地を製麺ロールを用いて圧延・複合して麺帯を作成し、切り刃(♯10角)で切り出して麺厚3mmの麺線を製造した。
〔比較例5及び実施例1〜8〕
表1又は表2に示す組成の原料粉(穀粉類を含む粉体原料)に、予め表1又は表2の加水画分に示す穀粉と食塩を水に混合(配合)したもの(配合してから原料粉に添加するまで30秒以上経過したもの)を添加し、ミキシングして麺生地を調整した。得られた麺生地を製麺ロールを用いて圧延・複合して麺帯を作成し、切り刃(♯10角)で切り出して麺厚3mmの麺線を製造した。
〔評価〕
得られた麺線(麺類)を、歩留まりが170%程度となるように熱湯で茹で、水洗冷却した。得られた調理済み麺の食感及び風味を、それぞれ、下記の評価基準で評価した。評価は、訓練された10名のパネラーによって行い、10名の評点の平均点を表1,2に示した。なお食感、風味の基準とする対照例については、比較例1〜5および実施例1〜5は対照例1、比較例6および実施例6〜8は対照例2とした。
〔食感(粘弾性)の評価基準)
5点:対照例より優れた粘弾性を有し、非常に良好である
4点:対照例と同等の粘弾性を有し、良好である
3点:対照例よりやや劣るが、問題ない
2点:対照例より劣り、やや不良である。
1点:対照例より著しく劣り、不良である
〔風味(小麦感)の評価基準)
5点:対照例より小麦の風味に優れる
4点:対照例よりやや小麦の風味に優れる
3点:対照例と同等の小麦の風味である
2点:対照例よりやや小麦の風味に劣る。
1点:対照例より小麦の風味に劣る
Figure 0006718001
Figure 0006718001
表1に示す結果を見ると、対照例1に用いた小麦粉(中力粉)の一部を全粒粉に代えた比較例1及び2、対照例1に用いた小麦粉(中力粉)の一部をα化全粒粉、又はα化小麦粉及び小麦ふすま(穀物外皮)に代えた比較例3及び4、並びに対照例1に用いた小麦粉(中力粉)の一部を全粒粉に代えるとともに加水画分に配合して添加した比較例5は、いずれも、対照例1に比して、風味が向上する一方、食感が大きく低下している。これに対して、対照例1の小麦粉(中力粉)の一部を、α化全粒粉に代えるとともに加水画分に配合して添加した実施例1、3〜5、及び対照例1の小麦粉(中力粉)の一部を、α化小麦粉及び小麦ふすま(穀物外皮)に代えて加水画分に配合して添加した実施例2は、いずれも、対照例1に比して、風味が向上するとともに食感も向上している。
このことから、本発明によれば、小麦ふすまや全粒粉等の穀物外皮を含む原料を配合しても、α化澱粉類及び穀物外皮、特にα化全粒粉の加水画分への添加により、グルテン形成への影響が改善されることによって、食感の低下が抑制され、食感及び風味に優れた麺類が得られることが判る。
表2は、加水対象の粉体原料及び調製する麺生地が、いずれも、麺生地の調製に用いる穀粉類の総量100質量部に対して5質量部以上(より具体的には30質量部以上)の澱粉を含む処方の例である。
表2に示す結果を見ると、対照例2に用いた小麦粉(中力粉)の一部を全粒粉に代えた比較例6は、対照例2に比して、風味が向上する一方、食感が大きく低下している。これに対して、対照例2の小麦粉(中力粉)の一部をα化全粒粉に代えるとともに加水画分に配合して添加した実施例6〜8は、いずれも、対照例2に比して、風味が向上するとともに食感も向上している。
このことから、加水対象の粉体原料又は調製する麺生地が澱粉を高配合で含む場合であっても、本発明によれば、小麦ふすまや全粒粉等の穀物外皮を含む原料を配合しても、グルテンの形成の低下及びそれによる食感の低下が抑制され、食感及び風味に優れた麺類が得られることが判る。

Claims (5)

  1. 麺類の製造方法であって、
    穀粉類を含む粉体原料に加水し、麺生地を調製するにあたり、
    予め水にα化澱粉類及び穀物外皮を配合して水を主体とする加水画分を調製しておき、該加水画分を前記粉体原料に添加し、
    前記加水画分を調製する際には、前記α化澱粉類及び穀物外皮として、α化小麦全粒粉、又はα化小麦粉と小麦ふすまを配合し、
    前記加水画分を調製する際に配合する前記α化澱粉類及び前記穀物外皮は、それらの合計量が、前記麺生地の調製に用いる穀粉類の総量100質量部に対して1〜10質量部であり、
    前記粉体原料は、前記穀粉類として小麦粉を含んでおり、
    前記加水画分は、前記麺生地の調製に用いる前記穀粉類の総量100質量部に対して25〜50質量部の水を含む、麺類の製造方法。
  2. 前記加水画分を調製する際に配合する前記α化澱粉類と前記穀物外皮の質量比が50:50〜98:2である、請求項1に記載の麺類の製造方法。
  3. 前記穀物外皮の平均粒径が250μm以下である、請求項1又は2に記載の麺類の製造方法。
  4. 前記α化澱粉類のBAP法によるα化度が70%以上であるか、前記α化澱粉類及び前記穀物外皮の混合物として用いるα化全粒粉のBAP法によるα化度が70%以上である、請求項1〜3の何れか1項に記載の麺類の製造方法。
  5. 加水対象の前記粉体原料又は調製する麺生地が、前記麺生地の調製に用いる前記穀粉類の総量100質量部に対して5質量部以上の澱粉を含んでいる、請求項1〜4の何れか1項に記載の麺類の製造方法。
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