各図においてZ軸方向は、正の側を上側とし、負の側を下側とする上下方向である。各図に適宜示す中心軸J1の軸方向は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行である。以下の説明においては、中心軸J1の軸方向と平行な方向を単に「軸方向Z」と呼ぶ。また、各図に適宜示すX軸方向およびY軸方向は、軸方向Zと直交する水平方向であり、互いに直交する方向である。以下の説明においては、X軸方向と平行な方向を「第1方向X」と呼び、Y軸方向と平行な方向を「第2方向Y」と呼ぶ。
また、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。本実施形態において、下側は、軸方向一方側に相当する。なお、上下方向、水平方向、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
<第1実施形態>
図1に示す本実施形態の電動アクチュエータ10は、車両に取り付けられる。より詳細には、電動アクチュエータ10は、車両の運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載される。図1に示すように、電動アクチュエータ10は、ケース11と、ベアリングホルダ100と、中心軸J1の軸方向Zに延びるモータシャフト21を有するモータ20と、制御部70と、コネクタ部80と、減速機構30と、出力部40と、配線部材90と、回転検出装置60と、第1ベアリング51と、第2ベアリング52と、第3ベアリング53と、ブッシュ54と、を備える。第1ベアリング51、第2ベアリング52および第3ベアリング53は、例えば、ボールベアリングである。
ケース11は、モータ20および減速機構30を収容する。ケース11は、モータ20を収容するモータケース12と、減速機構30を収容する減速機構ケース13と、を有する。モータケース12は、ケース筒部12aと、壁部12bと、制御基板収容部12fと、上蓋部12cと、端子保持部12dと、第1配線保持部14と、を有する。モータケース12の各部は、後述する金属部材110を除いて樹脂製である。
ケース筒部12aは、中心軸J1を中心として軸方向Zに延びる円筒状である。ケース筒部12aは、軸方向Zの両側に開口する。ケース筒部12aは、下側に開口する第1開口部12gを有する。すなわち、モータケース12は、第1開口部12gを有する。ケース筒部12aは、モータ20の径方向外側を囲む。
壁部12bは、ケース筒部12aの内周面から径方向内側に拡がる円環状である。壁部12bは、モータ20の後述するステータ23の上側を覆う。壁部12bは、壁部12bを軸方向Zに貫通する貫通孔12hを有する。本実施形態において貫通孔12hは、中心軸J1を中心とする円形状である。貫通孔12hの内径は、後述するホルダ筒部101の外径よりも大きい。壁部12bは、樹脂製の壁部本体12iと、金属製の金属部材110と、を有する。壁部本体12iは、ケース筒部12aの内周面から径方向内側に拡がる円環状の部分である。
金属部材110は、円環状であり、内周面に雌ネジ部を有する。金属部材110は、例えば、ナットである。金属部材110は、壁部本体12iに埋め込まれる。より詳細には、金属部材110は、壁部本体12iのうち径方向内縁部に埋め込まれる。金属部材110は、貫通孔12hの径方向内側面よりも径方向外側に離れた位置に位置する。金属部材110の上側の面は、壁部本体12iの上側の面よりも上側に位置する。金属部材110の上側の面は、軸方向Zと直交する平坦な面である。図示は省略するが、本実施形態において金属部材110は、複数設けられる。複数の金属部材110は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。金属部材110は、例えば、3つ設けられる。
制御基板収容部12fは、後述する制御基板71を収容する部分である。制御基板収容部12fは、ケース筒部12aの上側部分の径方向内側に構成される。制御基板収容部12fの底面は、壁部12bの上面である。制御基板収容部12fは、上側に開口する。上蓋部12cは、制御基板収容部12fの上端開口を塞ぐ板状の蓋である。端子保持部12dは、ケース筒部12aから径方向外側に突出する。端子保持部12dは、径方向外側に開口する円筒状である。端子保持部12dは、後述する端子81を保持する。
第1配線保持部14は、ケース筒部12aから径方向外側に突出する。図1では、第1配線保持部14は、ケース筒部12aから第1方向Xの負の側に突出する。第1配線保持部14は、軸方向Zに延びる。第1配線保持部14の上端部の軸方向位置は、壁部12bの軸方向位置とほぼ同じである。第1配線保持部14の周方向位置は、例えば、コネクタ部80の周方向位置と異なる。
減速機構ケース13は、モータケース12の下側に位置する。減速機構ケース13は、減速機構ケース本体13iと、円筒部材16と、を有する。減速機構ケース本体13iは、樹脂製である。減速機構ケース本体13iは、底壁部13aと、筒部13bと、突出筒部13cと、張出部13dと、第2配線保持部15と、を有する。底壁部13aは、中心軸J1を中心とする円環状である。底壁部13aは、減速機構30の下側を覆う。
筒部13bは、底壁部13aの径方向外縁部から上側に突出する円筒状である。筒部13bは、上側に開口する。筒部13bの上端部は、ケース筒部12aの下端部に接触して固定される。突出筒部13cは、底壁部13aの径方向内縁部から下側に突出する円筒状である。突出筒部13cは、軸方向両側に開口する。張出部13dは、突出筒部13cのうち下側寄りの部分の内周面から径方向内側に突出する。張出部13dは、板面が軸方向Zを向く円環板状である。
第2配線保持部15は、筒部13bから径方向外側に突出する。図1では、第2配線保持部15は、筒部13bから第1方向Xの負の側、すなわち第1配線保持部14が突出する側と同じ側に突出する。第2配線保持部15は、第1配線保持部14の下側に配置される。第2配線保持部15は、例えば、中空で上側に開口する箱状である。第2配線保持部15の内部は、筒部13bの内部と繋がる。第2配線保持部15は、底壁部15aと、側壁部15bと、を有する。底壁部15aは、底壁部13aから径方向外側に延びる。図1では、底壁部15aは、底壁部13aから第1方向Xの負の側に延びる。側壁部15bは、底壁部15aの外縁部から上側に延びる。本実施形態においては、底壁部13aと底壁部15aとによって減速機構ケース本体13iの底部13jが構成される。
円筒部材16は、軸方向Zに延びる円筒状である。より詳細には、円筒部材16は、中心軸J1を中心とし、軸方向両側に開口する多段の円筒状である。円筒部材16は、金属製である。本実施形態において円筒部材16は、板金製である。そのため、金属板をプレス加工することにより円筒部材16を作ることができ、円筒部材16の製造コストを低減できる。本実施形態において円筒部材16は、非磁性材である。
円筒部材16は、減速機構ケース本体13iに埋め込まれる。円筒部材16は、大径筒部16aと、円環部16bと、小径筒部16cと、を有する。大径筒部16aは、円筒部材16の上側部分である。大径筒部16aは、筒部13bに埋め込まれる。大径筒部16aの内周面のうち上側の端部は、減速機構ケース13の内部に露出する。図2に示すように、大径筒部16aは、内周面に、径方向外側に窪む位置決め凹部16dを有する。なお、図2においては、減速機構ケース本体13iの図示を省略する。
図1に示すように、円環部16bは、大径筒部16aの下側の端部から径方向内側に延びる円環状の部分である。本実施形態において円環部16bは、中心軸J1を中心とする円環板状である。円環部16bは、底壁部13aに配置される。本実施形態において円環部16bは、底壁部13aの上側の面に位置する。円環部16bの径方向外縁部は、筒部13bに埋め込まれる。円環部16bの上面のうち径方向内側寄りの部分は、減速機構ケース13の内部に露出する。円環部16bの上面は、軸方向Zと直交する平坦な面である。
小径筒部16cは、円筒部材16の下側部分である。小径筒部16cは、円環部16bの径方向内縁部から下側に延びる。小径筒部16cの外径および内径は、大径筒部16aの外径および内径よりも小さい。小径筒部16cは、突出筒部13cの径方向内側に嵌め合わされる。小径筒部16cの内部には、軸方向Zに延びる円筒状のブッシュ54が配置される。ブッシュ54は、小径筒部16cに嵌め合わされて、突出筒部13c内に固定される。ブッシュ54は、上端部に径方向外側に突出するブッシュフランジ部54aを有する。ブッシュフランジ部54aは円環部16bの上面に接触する。これにより、ブッシュ54が小径筒部16cの内部から下側に抜けることが抑制される。
減速機構ケース13は、上側に開口する第2開口部13hを有する。本実施形態において第2開口部13hは、筒部13bの上側の開口と第2配線保持部15の上側の開口とによって構成される。モータケース12と減速機構ケース13とは、第1開口部12gと第2開口部13hとが軸方向Zに対向した状態で互いに固定される。モータケース12と減速機構ケース13とが互いに固定された状態において、第1開口部12gの内部と第2開口部13hの内部とは、互いに繋がる。
本実施形態においてモータケース12および減速機構ケース13は、例えば、それぞれインサート成形によって作られる。モータケース12は、金属部材110と配線部材90のうち後述する第1配線部材91とをインサート部材としたインサート成形によって作られる。減速機構ケース13は、円筒部材16と配線部材90のうち後述する第2配線部材92とをインサート部材としたインサート成形によって作られる。
ベアリングホルダ100は、モータケース12に固定される。ベアリングホルダ100は、金属製である。本実施形態においてベアリングホルダ100は、板金製である。そのため、金属板をプレス加工することによりベアリングホルダ100を作ることができ、ベアリングホルダ100の製造コストを低減できる。ベアリングホルダ100は、筒状のホルダ筒部101と、ホルダフランジ部102と、を有する。本実施形態においてホルダ筒部101は、中心軸J1を中心とする円筒状である。ホルダ筒部101は、径方向内側に第1ベアリング51を保持する。ホルダ筒部101は、貫通孔12hに挿入される。ホルダ筒部101は、制御基板収容部12fの内部から貫通孔12hを介して壁部12bよりも下側に突出する。
ホルダ筒部101の外径は、貫通孔12hの内径よりも小さい。そのため、ホルダ筒部101の径方向外側面のうち周方向の少なくとも一部は、貫通孔12hの径方向内側面から径方向内側に離れた位置に位置する。図1に示す例では、ホルダ筒部101の径方向外側面は、全周に亘って貫通孔12hの径方向内側面から径方向内側に離れた位置に位置する。
本実施形態においてホルダ筒部101は、外側筒部101aと、内側筒部101bと、を有する。外側筒部101aは、ホルダフランジ部102の径方向内縁部から下側に延びる円筒状である。外側筒部101aの径方向外側面は、ホルダ筒部101の径方向外側面である。内側筒部101bは、外側筒部101aの径方向内側において外側筒部101aの下側の端部から上側に延びる円筒状である。内側筒部101bの径方向外側面は、外側筒部101aの径方向内側面と接触する。このように、2つの筒部を径方向に重ねてホルダ筒部101を構成することで、ホルダ筒部101の強度を向上できる。内側筒部101bの径方向内側には、第1ベアリング51が保持される。内側筒部101bの上側の端部は、第1ベアリング51よりも上側に位置する。内側筒部101bの上側の端部は、外側筒部101aの上側の端部よりも僅かに下側に位置する。
ホルダフランジ部102は、ホルダ筒部101から径方向外側に延びる。本実施形態においてホルダフランジ部102は、ホルダ筒部101の上側の端部から径方向外側に延びる。ホルダフランジ部102は、中心軸J1を中心とする円環板状である。ホルダフランジ部102は、壁部12bの上側に位置する。ホルダフランジ部102は、壁部12bに固定される。これにより、ベアリングホルダ100がモータケース12に固定される。
本実施形態においてホルダフランジ部102は、壁部12bに軸方向Zに締め込まれる複数のネジ部材によって壁部12bに固定される。本実施形態においてホルダフランジ部102を固定するネジ部材は、壁部12bのうち金属部材110の雌ネジ部に締め込まれる。図示は省略するが、ホルダフランジ部102を固定するネジ部材は、例えば、3つ設けられる。
ネジ部材によって固定されたホルダフランジ部102は、金属部材110の上側の面に接触する。より詳細には、ホルダフランジ部102の下側の面のうちネジ部材が貫通する貫通部の周縁部が、金属部材110の上側の面に接触する。ホルダフランジ部102は、壁部本体12iから上側に離れた位置に位置する。そのため、金属部材110によってホルダフランジ部102を精度よく軸方向Zに位置決めできる。また、ホルダフランジ部102が軸方向Zに対して傾くことを抑制できる。また、ホルダフランジ部102が壁部本体12iに直接的には接触しない。そのため、線膨張係数の違いによって樹脂製の壁部本体12iと金属製の金属部材110との間に熱変形量の差が生じた場合であっても、壁部本体12iに応力が加えられることを抑制できる。これにより、壁部本体12iが破損すること、および金属部材110が壁部本体12iから抜けること等を抑制できる。
モータ20は、モータシャフト21と、ロータ本体22と、ステータ23と、を有する。モータシャフト21は、中心軸J1を中心として回転可能である。モータシャフト21は、第1ベアリング51と第2ベアリング52とによって、中心軸J1回りに回転可能に支持される。第1ベアリング51は、ベアリングホルダ100に保持され、モータシャフト21のうちロータ本体22よりも上側の部分を回転可能に支持する。第2ベアリング52は、モータシャフト21のうちロータ本体22よりも下側の部分を減速機構ケース13に対して回転可能に支持する。
モータシャフト21の上端部は、貫通孔12hを通って壁部12bよりも上側に突出する。モータシャフト21は、中心軸J1に対して偏心した偏心軸J2を中心とする偏心軸部21aを有する。偏心軸部21aは、ロータ本体22よりも下側に位置する。偏心軸部21aには、第3ベアリング53の内輪が嵌め合わされて固定される。
ロータ本体22は、モータシャフト21に固定される。図示は省略するが、ロータ本体22は、モータシャフト21の外周面に固定される円筒状のロータコアと、ロータコアに固定されるマグネットと、を有する。ステータ23は、ロータ本体22と隙間を介して径方向に対向する。ステータ23は、ロータ本体22の径方向外側においてロータ本体22を囲む。ステータ23は、ロータ本体22の径方向外側を囲む環状のステータコア24と、ステータコア24に装着されるインシュレータ25と、インシュレータ25を介してステータコア24に装着される複数のコイル26と、を有する。ステータコア24は、ケース筒部12aの内周面に固定される。これにより、モータ20は、モータケース12に保持される。
制御部70は、制御基板71と、第2取付部材73と、第2マグネット74と、第2回転センサ72と、を有する。すなわち、電動アクチュエータ10は、制御基板71と、第2取付部材73と、第2マグネット74と、第2回転センサ72と、を備える。
制御基板71は、軸方向Zと直交する平面に拡がる板状である。制御基板71は、モータケース12に収容される。より詳細には、制御基板71は、制御基板収容部12f内に収容され、壁部12bから上側に離れて配置される。制御基板71は、モータ20と電気的に接続される基板である。制御基板71には、ステータ23のコイル26が電気的に接続される。制御基板71は、例えば、モータ20に供給される電流を制御する。すなわち、制御基板71には、例えば、インバータ回路が搭載される。
第2取付部材73は、中心軸J1を中心とする円環状である。第2取付部材73の内周面は、モータシャフト21の上端部に固定される。第2取付部材73は、第1ベアリング51およびベアリングホルダ100の上側に配置される。第2取付部材73は、例えば、非磁性材である。なお、第2取付部材73は、磁性材であってもよい。
第2マグネット74は、中心軸J1を中心とする円環状である。第2マグネット74は、第2取付部材73の径方向外縁部の上端面に固定される。第2マグネット74の第2取付部材73への固定方法は、特に限定されず、例えば、接着剤による接着である。第2取付部材73と第2マグネット74とは、モータシャフト21と共に回転する。第2マグネット74は、第1ベアリング51およびホルダ筒部101の上側に配置される。第2マグネット74は、周方向に沿って交互に配置されるN極とS極とを有する。
第2回転センサ72は、モータ20の回転を検出するセンサである。第2回転センサ72は、制御基板71の下面に取り付けられる。第2回転センサ72は、第2マグネット74と隙間を介して軸方向Zに対向する。第2回転センサ72は、第2マグネット74によって生じる磁界を検出する。第2回転センサ72は、例えばホール素子である。図示は省略するが、第2回転センサ72は、周方向に沿って複数、例えば3つ設けられる。第2回転センサ72は、モータシャフト21と共に回転する第2マグネット74によって生じる磁界の変化を検出することで、モータシャフト21の回転を検出することができる。
コネクタ部80は、ケース11外の電気的配線との接続が行われる部分である。コネクタ部80は、モータケース12に設けられる。コネクタ部80は、上述した端子保持部12dと、端子81と、を有する。端子81は、端子保持部12dに埋め込まれて保持される。端子81の一端は、制御基板71に固定される。端子81の他端は、端子保持部12dの内部を介してケース11の外部に露出する。本実施形態において端子81は、例えば、バスバーである。
コネクタ部80には、図示しない電気的配線を介して外部電源が接続される。より詳細には、端子保持部12dに外部電源が取り付けられ、外部電源が有する電気的配線が端子保持部12d内に突出した端子81の部分と電気的に接続される。これにより、端子81は、制御基板71と電気的配線とを電気的に接続する。したがって、本実施形態では、端子81および制御基板71を介して、外部電源からステータ23のコイル26に電源が供給される。
減速機構30は、モータシャフト21の下側の部分の径方向外側に配置される。減速機構30は、減速機構ケース13の内部に収容される。減速機構30は、底壁部13aおよび円環部16bとモータ20との軸方向Zの間に配置される。減速機構30は、外歯ギア31と、複数の突出部32と、内歯ギア33と、出力フランジ部42と、を有する。
外歯ギア31は、偏心軸部21aの偏心軸J2を中心として、軸方向Zと直交する平面に拡がる略円環板状である。図2に示すように、外歯ギア31の径方向外側面には、歯車部が設けられる。外歯ギア31は、偏心軸部21aに第3ベアリング53を介して連結される。これにより、減速機構30は、モータシャフト21の下側の部分に連結される。外歯ギア31は、第3ベアリング53の外輪に径方向外側から嵌め合わされる。これにより、第3ベアリング53はモータシャフト21と外歯ギア31とを、偏心軸J2回りに相対的に回転可能に連結する。
図1に示すように、複数の突出部32は、外歯ギア31から出力フランジ部42に向かって軸方向Zに突出する。突出部32は、下側に突出する円柱状である。図2に示すように、複数の突出部32は、周方向に沿って配置される。より詳細には、複数の突出部32は、偏心軸J2を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。
内歯ギア33は、外歯ギア31の径方向外側を囲んで固定され、外歯ギア31と噛み合う。内歯ギア33は、中心軸J1を中心とする円環状である。図1に示すように、内歯ギア33は、円筒部材16の上側の端部の径方向内側に位置する。内歯ギア33は、金属製の円筒部材16の内周面に固定される。そのため、減速機構ケース本体13iを樹脂製としつつ、内歯ギア33を減速機構ケース13に強固に固定できる。これにより、内歯ギア33が減速機構ケース13に対して移動することを抑制でき、内歯ギア33の位置がずれることを抑制できる。本実施形態において内歯ギア33は、大径筒部16aの内周面に圧入によって固定される。このように、減速機構30は、円筒部材16の内周面に固定され、減速機構ケース13に保持される。図2に示すように、内歯ギア33の内周面には、歯車部が設けられる。内歯ギア33の歯車部は、外歯ギア31の歯車部と噛み合う。より詳細には、内歯ギア33の歯車部は、外歯ギア31の歯車部と一部において噛み合う。
内歯ギア33は、径方向外側に突出する位置決め凸部33aを有する。位置決め凸部33aは、大径筒部16aに設けられた位置決め凹部16dに嵌め合わされる。これにより、位置決め凸部33aが位置決め凹部16dに引っ掛かり、内歯ギア33が円筒部材16に対して周方向に相対回転することを抑制できる。
出力フランジ部42は、出力部40の一部である。出力フランジ部42は、外歯ギア31の下側に位置する。出力フランジ部42は、中心軸J1を中心として径方向に拡がる円環板状である。出力フランジ部42は、後述する出力シャフト41の上側の端部から径方向外側に拡がる。図1に示すように、出力フランジ部42は、ブッシュフランジ部54aに上側から接触する。
出力フランジ部42は、複数の穴部42aを有する。本実施形態において複数の穴部42aは、出力フランジ部42を軸方向Zに貫通する。図2に示すように、穴部42aの軸方向Zに沿って視た形状は、円形状である。穴部42aの内径は、突出部32の外径よりも大きい。複数の穴部42aのそれぞれには、外歯ギア31に設けられた複数の突出部32がそれぞれ挿入される。突出部32の外周面は、穴部42aの内周面と内接する。穴部42aの内周面は、突出部32を介して、外歯ギア31を中心軸J1回りに揺動可能に支持する。言い換えれば、複数の突出部32は、穴部42aの内側面を介して、外歯ギア31を中心軸J1回りに揺動可能に支持する。
出力部40は、電動アクチュエータ10の駆動力を出力する部分である。図1に示すように、出力部40は、減速機構ケース13に収容される。出力部40は、出力シャフト41と、出力フランジ部42と、を有する。すなわち、電動アクチュエータ10は、出力シャフト41と、出力フランジ部42と、を備える。本実施形態において出力部40は、単一の部材である。出力シャフト41の材料、および出力フランジ部42の材料は、磁性体である。出力シャフト41の材料、および出力フランジ部42の材料は、例えば、鉄である。
出力シャフト41は、モータシャフト21の下側においてモータシャフト21の軸方向Zに延びる。出力シャフト41は、大径部41aと、小径部41bと、を有する。大径部41aは、出力フランジ部42の内縁から下側に延びる円筒状である。大径部41aは、下側に底部を有し上側に開口する円筒状である。これにより、大径部41aは、下側に窪む収容凹部43を有する。すなわち、出力シャフト41は、収容凹部43を有する。収容凹部43の内部は、円筒状の大径部41aの内部である。大径部41aは、中心軸J1を中心とする。
大径部41aは、ブッシュ54の径方向内側に嵌め合わされる。これにより、出力シャフト41は、ブッシュ54を介して円筒部材16に回転可能に支持される。上述したように円筒部材16には、減速機構30が固定される。そのため、金属製の円筒部材16によって、減速機構30と出力シャフト41とを共に支持することができる。これにより、減速機構30と出力シャフト41とを軸精度よく配置することができる。
大径部41aの内部、すなわち収容凹部43の内部には、第2ベアリング52が収容される。第2ベアリング52の外輪は、大径部41aの内部に嵌め合わされる。これにより、第2ベアリング52は、モータシャフト21と出力シャフト41とを互いに相対回転可能に連結する。大径部41aの内部、すなわち収容凹部43の内部には、モータシャフト21の下側の端部が収容される。モータシャフト21の下端面は、大径部41aの底部の上面と隙間を介して対向する。
小径部41bは、大径部41aの下側に繋がる。小径部41bは、大径部41aの底部から下側に延びる。本実施形態において小径部41bは、中心軸J1を中心とする円柱状である。小径部41bの外径は、大径部41aの外径および内径よりも小さい。小径部41bは、張出部13dの径方向内側を介して、突出筒部13cよりも下側に突出する。小径部41bの下端部には、電動アクチュエータ10の駆動力が出力される他の部材が取り付けられる。
図3に示すように、小径部41bは、第1小径部41cと、第2小径部41dと、を有する。第1小径部41cは、大径部41aの底部に繋がる部分である。第1小径部41cは、小径部41bの上側の端部である。図4に示すように、第1小径部41cの外周面には、径方向外側に突出する凸部41hが設けられる。すなわち、出力シャフト41の外周面には、凸部41hが設けられる。
図3に示すように、第2小径部41dは、第1小径部41cの下側に繋がる。第2小径部41dは、第1小径部41cから下側に延びる。第2小径部41dは、張出部13dの径方向内側を介して、突出筒部13cよりも下側に突出する。第2小径部41dの下側の端部は、小径部41bの下側の端部である。第2小径部41dの外径は、第1小径部41cの外径よりも小さい。第1小径部41cと第2小径部41dとの軸方向Zの間には、段差部が設けられる。
第2小径部41dは、外周面に雄ネジ部41eを有する。本実施形態において雄ネジ部41eは、第2小径部41dの外周面の一部のみに設けられる。雄ネジ部41eは、第2小径部41dの外周面のうち上側の端部に設けられる。雄ネジ部41eは、張出部13dよりも上側に位置する。
大径部41aと小径部41bとの軸方向Zの間には、段差部41fが設けられる。段差部41fは、下側を向く段差面41gを有する。すなわち、本実施形態において出力シャフト41の外周面には、下側を向く段差面41gを有する段差部41fが設けられる。段差面41gは、大径部41aの下側の面であり、下側から視て小径部41bを囲む円環状の面である。段差面41gは、例えば、軸方向Zと直交する平坦な面である。
モータシャフト21が中心軸J1回りに回転されると、偏心軸部21aは、中心軸J1を中心として周方向に公転する。偏心軸部21aの公転は第3ベアリング53を介して外歯ギア31に伝達され、外歯ギア31は、穴部42aの内周面と突出部32の外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。これにより、外歯ギア31の歯車部と内歯ギア33の歯車部とが噛み合う位置が、周方向に変化する。したがって、内歯ギア33に、外歯ギア31を介してモータシャフト21の回転力が伝達される。
ここで、本実施形態では、内歯ギア33は固定されているため回転しない。そのため、内歯ギア33に伝達される回転力の反力によって、外歯ギア31が偏心軸J2回りに回転する。このとき外歯ギア31の回転する向きは、モータシャフト21の回転する向きと反対向きとなる。外歯ギア31の偏心軸J2回りの回転は、穴部42aと突出部32とを介して、出力フランジ部42に伝達される。これにより、出力シャフト41が中心軸J1回りに回転する。このようにして、出力シャフト41には、減速機構30を介してモータシャフト21の回転が伝達される。出力シャフト41の回転は、減速機構30によって、モータシャフト21の回転に対して減速される。
図1に示す配線部材90は、後述する磁気センサ61に電気的に接続される。本実施形態において配線部材90は、回転検出装置60の磁気センサ61と制御部70の制御基板71とを繋ぐための部材である。本実施形態において配線部材90は、細長で板状のバスバーである。図示は省略するが、本実施形態において配線部材90は、3つ設けられる。各配線部材90のそれぞれは、第1配線部材91と、第2配線部材92と、が接続されて構成される。
第1配線部材91は、第2配線保持部15の内部から制御基板収容部12fの内部まで延びる。第1配線部材91の一部は、第1配線保持部14、ケース筒部12aおよび壁部本体12iに埋め込まれる。これにより、第1配線部材91は、モータケース12に保持される。
第1配線部材91の下端部91aは、第1配線保持部14から下側に突出し、第2配線保持部15の内部に位置する。第1配線部材91の上端部91bは、壁部本体12iから上側に突出して制御基板71に接続される。これにより、第1配線部材91は、制御基板71に電気的に接続され、コネクタ部80を介してケース11外の電気的配線と電気的に接続される。
第2配線部材92の一部は、減速機構ケース13に埋め込まれる。これにより、第2配線部材92は、減速機構ケース13に保持される。本実施形態において第2配線部材92は、上端部92aを除いて減速機構ケース13に埋め込まれる。第2配線部材92の上端部92aは、底壁部15aから上側に突出する。第2配線部材92の上端部92aは、第1配線部材91の下端部91aと接続される。
第2配線部材92のうち上端部92aを除く部分は、底壁部15a、底壁部13a、突出筒部13c、および張出部13dに跨って埋め込まれる。第2配線部材92の下端部92bは、張出部13dに埋め込まれる。
回転検出装置60は、出力部40の回転を検出する。図3に示すように、回転検出装置60は、センサマグネット63と、磁気センサ61と、抜け止め部材67と、を有する。すなわち、電動アクチュエータ10は、センサマグネット63と、磁気センサ61と、抜け止め部材67と、を備える。
センサマグネット63は、出力シャフト41に取り付けられる。センサマグネット63は、出力シャフト41を囲む環状である。図4に示すように、センサマグネット63は、例えば、中心軸J1を中心とする円環状である。本実施形態においてセンサマグネット63は、第1小径部41cに嵌め合わされる。すなわち、センサマグネット63は、小径部41bを囲む。センサマグネット63は、例えば、第1小径部41cに隙間嵌めされる。センサマグネット63の内周面と第1小径部41cの外周面とは、接触する。すなわち、センサマグネット63の内周面は、出力シャフト41の外周面に接触する。
なお、本明細書において「センサマグネットの内周面が、出力シャフトの外周面に接触する」とは、センサマグネットの内周面の少なくとも一部が、出力シャフトの外周面に接触すればよい。すなわち、図4では、センサマグネット63の内周面と第1小径部41cの外周面とが周方向の一周全体に亘って接触した状態を示しているが、これに限られない。センサマグネット63の内周面と第1小径部41cの外周面とは、周方向の一部において接触し、周方向の他の一部において僅かな隙間を介して対向してもよい。センサマグネット63が出力シャフト41に対して隙間嵌めされる場合には、センサマグネット63の内周面と出力シャフト41の外周面とは、周方向の一部において僅かな隙間を介して対向する。
上述したように本実施形態において出力シャフト41の材料は磁性体であるため、出力シャフト41のうちセンサマグネット63に囲まれた部分、すなわち第1小径部41cの材料も、磁性体である。そのため、センサマグネット63は、磁力により第1小径部41cの外周面に吸着されている。
図3に示すように、センサマグネット63は、収容凹部43の下側に位置する。すなわち、センサマグネット63は、収容凹部43よりも下側において出力シャフト41を囲む環状である。センサマグネット63は、段差面41gの下側に対向して配置される。すなわち、センサマグネット63は、段差面41gの下側において出力シャフト41を囲む環状である。そのため、段差面41gによってセンサマグネット63が上側に移動することを抑制でき、センサマグネット63が軸方向Zにずれることを抑制できる。センサマグネット63は、段差面41gに接触する。そのため、段差面41gによって、センサマグネット63を軸方向Zに位置決めできる。
センサマグネット63は、例えば、ブッシュ54の下端部の径方向内側に位置する。センサマグネット63の外径は、大径部41aの外径よりも小さい。センサマグネット63の外径は、例えば、大径部41aの内径、すなわち収容凹部43の内径とほぼ同じである。センサマグネット63の軸方向Zの寸法は、第1小径部41cの軸方向Zの寸法とほぼ同じである。
図4に示すように、センサマグネット63の内周面には、凹部63aが設けられる。凹部63aには、凸部41hが挿入される。そのため、凸部41hが凹部63aに周方向に引っ掛かり、センサマグネット63が出力シャフト41に対して周方向に相対回転することを抑制できる。これにより、磁気センサ61の検出精度が低下することを抑制できる。凹部63aには、凸部41hが嵌め合わされる。
本実施形態においてセンサマグネット63は、周方向に沿って2つの磁極63N,63Sが配置される2極のマグネットである。磁極63Nは、N極の磁極である。磁極63Sは、S極の磁極である。
図3に示す磁気センサ61は、センサマグネット63の磁界を検出可能なセンサである。磁気センサ61は、例えばホール素子である。磁気センサ61は、出力シャフト41と共に回転するセンサマグネット63によって生じる磁界の変化を検出することで、出力シャフト41の回転を検出することができる。本実施形態において磁気センサ61は、張出部13dの上側の面に配置される。磁気センサ61は、センサマグネット63の下側に位置する。
磁気センサ61は、張出部13dの上側の面に配置される磁気センサ本体61aと、磁気センサ本体61aから下側に突出するセンサ端子61bと、を有する。センサ端子61bは、例えば、張出部13dに埋め込まれ、第2配線部材92の下端部92bと接続される。これにより、磁気センサ61は、配線部材90の一端部と接続される。
抜け止め部材67は、出力シャフト41に取り付けられる。抜け止め部材67は、センサマグネット63の下側に対向して配置され、段差面41gとの間でセンサマグネット63を軸方向Zに挟む。そのため、センサマグネット63を接着剤で固定することなく、センサマグネット63が出力シャフト41に対して軸方向Zに移動することを抑制できる。これにより、経年劣化等により接着剤が剥がれることがないため、センサマグネット63が出力シャフト41に対して軸方向Zにずれることを好適に抑制できる。したがって、磁気センサ61によるセンサマグネット63の磁界の検出精度が低下することを抑制できる。
本実施形態において抜け止め部材67は、センサマグネット63に接触する。そのため、抜け止め部材67によってセンサマグネット63を軸方向Zに位置決めできる。ここで、上述したように本実施形態においてセンサマグネット63は、段差面41gに接触する。そのため、抜け止め部材67と段差面41gとの両方に接触した状態でセンサマグネット63を軸方向Zに挟むことができる。したがって、センサマグネット63が出力シャフト41に対して軸方向Zにずれることをより抑制できる。
本実施形態において抜け止め部材67は、出力シャフト41を囲む環状である。抜け止め部材67は、小径部41bの第2小径部41dを囲む。抜け止め部材67は、内周面に雌ネジ部67aを有する。雌ネジ部67aは、雄ネジ部41eと噛み合う。これにより、抜け止め部材67は、第2小径部41dの外周面にネジで取り付けられる。すなわち、本実施形態において抜け止め部材67は、出力シャフト41の外周面にネジで取り付けられるナットである。そのため、抜け止め部材67を中心軸J1回りに回転させつつ下側から上側に向かって締め込むことで、抜け止め部材67によって、センサマグネット63を段差面41gに押し付けることができる。これにより、センサマグネット63が出力シャフト41に対して軸方向Zにずれることをより抑制できる。
抜け止め部材67の一部は、センサマグネット63と磁気センサ61との軸方向Zの間に位置する。抜け止め部材67の一部は、磁気センサ本体61aの上側に隙間を介して対向する。本実施形態において抜け止め部材67の材料は、非磁性体である。そのため、抜け止め部材67がセンサマグネット63の磁界に影響を与えることを抑制できる。これにより、抜け止め部材67を設けても、磁気センサ61の検出精度が低下することを抑制できる。非磁性体は、例えば、ステンレス、アルミニウム、樹脂等である。抜け止め部材67は、例えば、樹脂製のナットである。
例えば、センサマグネットが収容凹部43の径方向外側において出力シャフト41に取り付けられる場合、環状のセンサマグネットの径方向内側には、収容凹部43内の空間が位置する。そのため、センサマグネットの径方向内側に磁束が流れにくくなり、センサマグネットの磁界が乱れやすい。これにより、磁気センサ61によってセンサマグネットの磁界の変化を精度よく検出しにくくなり、磁気センサ61の検出精度が低下する虞があった。
これに対して、本実施形態によれば、センサマグネット63は、収容凹部43よりも下側において出力シャフト41を囲む環状である。そのため、センサマグネット63の径方向内側に空間が設けられることを抑制できる。これにより、センサマグネット63の径方向内側に磁束が流れにくくなることを抑制でき、センサマグネット63の磁界が乱れることを抑制できる。したがって、磁気センサ61の検出精度が低下することを抑制できる。
また、本実施形態によれば、出力シャフト41のうちセンサマグネット63に囲まれた部分の材料は、磁性体である。そのため、センサマグネット63の径方向内側に位置する出力シャフト41の部分に磁束が流れやすい。これにより、センサマグネット63の磁界が乱れることをより抑制できる。したがって、磁気センサ61の検出精度が低下することをより抑制できる。
また、本実施形態によれば、センサマグネット63の内周面は、出力シャフト41の外周面に接触する。そのため、センサマグネット63と出力シャフト41との間で磁束をより流しやすくできる。これにより、センサマグネット63の磁界が乱れることをより抑制でき、磁気センサ61の検出精度が低下することをより抑制できる。
また、本実施形態によれば、センサマグネット63は、小径部41bを囲む。そのため、センサマグネット63が囲む出力シャフト41の部分を比較的細くしやすい。これにより、センサマグネット63の磁束のうち出力シャフト41に流れる磁束を比較的少なくでき、磁気センサ61に流れる磁束を比較的多くできる。したがって、磁気センサ61によってセンサマグネット63の磁界の変化を検出しやすくでき、磁気センサ61の検出精度を向上できる。また、センサマグネット63の内径および外径を小さくできる。そのため、電動アクチュエータ10が大型化することを抑制できる。
また、本実施形態によれば、センサマグネット63は、周方向に沿って2つの磁極が配置される2極のマグネットである。そのため、周方向に沿って4極以上の磁極が配置されるマグネットに比べて、センサマグネット63の回転角度に対する磁気センサ61によって検出される磁界の変化が線形になる回転角度範囲を広くしやすい。これにより、出力シャフト41を1回転させない範囲内において、磁気センサ61によって検出される磁界の変化を線形にしやすく、磁気センサ61による検出精度を向上させやすい。特に本実施形態の電動アクチュエータ10のようにシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載される電動アクチュエータは、出力シャフト41が1回転しない範囲内で使用されやすい。そのため、電動アクチュエータ10が使用される出力シャフト41の回転角度範囲において、磁気センサ61によって検出される磁界の変化を線形にしやすく、磁気センサ61の検出精度を向上させやすい。
また、本実施形態によれば、貫通孔12hの内径は、ホルダ筒部101の外径よりも大きく、ホルダ筒部101の径方向外側面のうち周方向の少なくとも一部は、貫通孔12hの径方向内側面から径方向内側に離れた位置に位置する。そのため、ベアリングホルダ100が壁部12bに固定される前においては、貫通孔12hの径方向内側面とホルダ筒部101の径方向外側面との隙間分だけベアリングホルダ100を径方向に移動させることができる。これにより、モータケース12に対して第1ベアリング51の径方向の位置を調整することができる。したがって、例えば組み付け誤差等によってモータケース12に対する第2ベアリング52の径方向位置がずれた場合であっても、第1ベアリング51の径方向位置を第2ベアリング52の径方向位置に合わせることができ、第1ベアリング51と第2ベアリング52とを軸精度よく配置することができる。そのため、第1ベアリング51および第2ベアリング52に支持されるモータシャフト21が傾くことを抑制でき、モータシャフト21の軸精度を向上できる。これにより、電動アクチュエータ10から生じる騒音および振動が増大することを抑制できる。
なお、各図においては、ホルダ筒部101の中心と貫通孔12hの中心とが共に中心軸J1と一致し、ホルダ筒部101の径方向外側面の全周が貫通孔12hの径方向内側面から径方向内側に離れた構成を示しているが、これに限られない。ベアリングホルダ100の径方向位置の調整量によっては、貫通孔12hの中心は、中心軸J1と一致しない場合もあり得る。また、ホルダ筒部101の径方向外側面の一部が貫通孔12hの径方向内側面と接触することもあり得る。
また、本実施形態によれば、第2ベアリング52は、モータシャフト21と出力シャフト41とを互いに相対可能に連結する。そのため、第1ベアリング51と第2ベアリング52との軸精度を向上できることで、モータシャフト21と出力シャフト41との軸精度を向上させることができる。
また、第2ベアリング52によってモータシャフト21と出力シャフト41とが連結される場合、第2ベアリング52は、減速機構ケース13に対して出力シャフト41を介して間接的に支持される。そのため、第2ベアリング52が減速機構ケース13に対して直接的に支持される場合に比べて、第2ベアリング52の位置が不安定となりやすく、モータシャフト21の軸がぶれやすい。これに対して、本実施形態によれば、上述したようにモータシャフト21の軸精度を向上できるため、モータシャフト21の軸がぶれることを抑制できる。すなわち、第2ベアリング52によってモータシャフト21と出力シャフト41とが連結される場合に、本実施形態におけるモータシャフト21の軸精度を向上できる効果をより有用に得られる。
<第2実施形態>
図5に示すように、本実施形態の電動アクチュエータ210の出力シャフト241において、小径部241bの第2小径部241dは、第1実施形態の第2小径部41dと異なり、雄ネジ部41eを有しない。第2小径部241dは、溝部241iを有する。溝部241iは、第2小径部241dの上側の端部に設けられる。溝部241iは、第2小径部241dを囲む円環状である。
本実施形態において抜け止め部材267は、止め輪である。そのため、抜け止め部材267がナットである場合と異なり、抜け止め部材267を中心軸J1回りに回転させることなく、抜け止め部材267を出力シャフト241に取り付けることができる。したがって、抜け止め部材267を出力シャフト241に取り付けやすい。また、抜け止め部材267がナットである場合と異なり、ネジが緩むことがないため、抜け止め部材267が軸方向Zにずれることを抑制できる。本実施形態において抜け止め部材267は、例えば、C形止め輪である。なお、抜け止め部材267は、E形止め輪等であってもよい。抜け止め部材267は、例えば、ステンレス製である。
抜け止め部材267は、径方向内縁部が溝部241iに嵌め込まれて、第2小径部241dに取り付けられる。抜け止め部材267は、第2小径部241dから径方向外側に突出し、センサマグネット63を下側から支持する。抜け止め部材267の外径は、例えば、センサマグネット63の外径よりも小さい。なお、抜け止め部材267の外径は、センサマグネット63の外径と同じであってもよいし、センサマグネット63の外径より大きくてもよい。
<第3実施形態>
図6に示すように、本実施形態において抜け止め部材367は、止め輪である。抜け止め部材367は、例えば、ステンレス製である。抜け止め部材367は、本体部367aと、爪部367bと、を有する。本体部367aは、中心軸J1を中心とする円環状である。本体部367aは、板面が軸方向Zを向く板状である。本体部367aは、出力シャフト341のうち小径部341bの第2小径部341dを囲む。本体部367aの内径は、第2小径部341dよりも大きい。本体部367aの内縁部は、第2小径部341dの外周面よりも径方向外側に離れて配置される。
爪部367bは、本体部367aの内縁部から径方向内側に向かって斜め下方に突出する。爪部367bは、板状である。爪部367bは、周方向に沿って複数設けられる。複数の爪部367bは、周方向の一周に亘って等間隔に配置される。爪部367bは、例えば、8つ設けられる。爪部367bは、第2小径部341dの外周面に上側から引っ掛かる。すなわち、爪部367bは、出力シャフト341の外周面に上側から引っ掛かる。これにより、抜け止め部材367が出力シャフト341に対して下側に移動することを抑制できる。したがって、出力シャフト341に溝部等を設けずに、抜け止め部材367を出力シャフト341に取り付けることができる。なお、本実施形態において第2小径部341dには、雄ネジ部も溝部も設けられていない。
<第4実施形態>
図7に示すように、本実施形態の出力シャフト441において、小径部441bの第2小径部441dは、第1実施形態の第2小径部41dと異なり、雄ネジ部41eを有しない。第2小径部441dは、外周面に溝部441jを有する。溝部441jは、第2小径部441dを囲む円環状である。
本実施形態の抜け止め部材467は、例えば、樹脂製である。抜け止め部材467は、本体部467aと、複数の爪部467cと、を有する。本体部467aは、中心軸J1を中心とする円筒状である。本体部467aは、第2小径部441dを囲み、第2小径部441dに嵌め合わされる。本体部467aの内周面は、第2小径部441dの外周面と接触する。本体部467aは、本体部467aの内周面から径方向外側に窪む穴部467bを有する。穴部467bは、径方向外側に底部を有する穴である。穴部467bは、上側に開口する。穴部467bは、周方向に沿って間隔を空けて複数設けられる。
複数の爪部467cは、それぞれ複数の穴部467bの内側面のうち下側に位置する面の径方向内端部から上側に延びる。爪部467cは、穴部467bの下側の面から上側に延びる延伸部467dと、延伸部467dの上側の端部から径方向内側に突出する爪部本体467eと、を有する。爪部本体467eは、溝部441jに挿入され、溝部441jの下側の面に上側から引っ掛かっている。これにより、爪部467cは、出力シャフト441の外周面に上側から引っ掛かっている。爪部本体467eの径方向内端部は、第2小径部441dの外周面よりも径方向内側に位置する。
抜け止め部材467を第2小径部441dの下側から嵌めると、爪部本体467eが第2小径部441dの外周面によって径方向外側に押されて、爪部467cが穴部467b内において径方向外側に弾性変形する。この状態で抜け止め部材467を第2小径部441dに対して上側に移動させていくと、爪部本体467eが溝部441jと対向する位置に到達した際に、爪部467cが径方向内側に復元変形して、爪部本体467eが溝部441jに挿入される。これにより、爪部本体467eが溝部441jに引っ掛かり、抜け止め部材467が第2小径部441dに対して下側に移動することを抑制できる。このようにして、本実施形態によれば、抜け止め部材467は、スナップフィットによって出力シャフト441に固定される。したがって、容易かつ強固に抜け止め部材467を出力シャフト441に取り付けることができる。
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成を採用することもできる。センサマグネットの構成は、出力シャフトの外周面に設けられた軸方向一方側(下側)を向く段差面の軸方向一方側において、出力シャフトを囲む環状であれば、特に限定されない。センサマグネットの内周面は、出力シャフトの外周面に接触しなくてもよい。センサマグネットは、出力シャフトに設けられた段差部の段差面に接触しなくてもよい。センサマグネットは、周方向に沿って4極以上の磁極を有するマグネットであってもよい。
センサマグネットが囲む出力シャフトの部分は、段差面よりも軸方向一方側(下側)であれば、どのような部分であってもよい。例えば、センサマグネットは、出力シャフトのうち収容凹部が設けられた部分を囲んでもよい。すなわち、センサマグネットは、上述した実施形態において大径部41aの径方向外側に取り付けられてもよい。この場合、段差面は、例えば、出力フランジ部42の下側の面であってもよい。センサマグネットが囲む出力シャフトの部分の材料は、非磁性体であってもよい。
センサマグネットの内周面には、凹部が設けられなくてもよい。出力シャフトの外周面には、凸部が設けられなくてもよい。また、出力シャフトの外周面に凹部が設けられ、センサマグネットの内周面に、凹部に挿入される凸部が設けられてもよい。
抜け止め部材の構成は、センサマグネットの軸方向一方側に対向して配置され、段差面との間でセンサマグネットを軸方向に挟むならば、特に限定されない。抜け止め部材は、センサマグネットに接触しなくてもよい。抜け止め部材の材料は、特に限定されない。抜け止め部材の材料は、磁性体であってもよい。
磁気センサの構成は、センサマグネットの磁界を検出できるならば、特に限定されない。磁気センサは、磁気抵抗素子であってもよい。磁気センサは、センサマグネットの磁界を検出できるならば、センサマグネットに対してどのような位置に配置されてもよい。
減速機構は、特に限定されない。上述した実施形態では、複数の突出部32は、外歯ギア31から出力フランジ部42に向かって軸方向Zに突出する構成としたが、これに限られない。複数の突出部は、出力フランジ部から外歯ギアに向かって軸方向Zに突出してもよい。この場合、外歯ギアが複数の穴部を有する。
また、上述した実施形態の電動アクチュエータの用途は限定されず、上述した実施形態の電動アクチュエータは、いかなる機器に搭載されてもよい。上述した実施形態の電動アクチュエータは、例えば、車両以外の機器に搭載されてもよい。また、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。