JP2016127709A - センサマグネット固定構造及びその固定構造を備えたモータ並びにそれを搭載した電動パワーステアリング装置及び車両 - Google Patents

センサマグネット固定構造及びその固定構造を備えたモータ並びにそれを搭載した電動パワーステアリング装置及び車両 Download PDF

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利昌 和田
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Abstract

【課題】少ない部品で組込み性良く、センサマグネットを回転軸に堅固に固定し、回り方向の緩みや抜けの生じないセンサマグネット固定構造を備えたモータ並びに電動パワーステアリング装置及び車両を提供する。
【解決手段】回転軸101に取付けられたセンサマグネット200の回転角度を、対向位置に配設された磁気検出素子181により検出する回転角度センサにおけるセンサマグネット固定構造であり、回転軸101の一端部に段差を有して固定用支柱が形成され、固定用支柱を包囲して段差にスプリング160が配置され、センサマグネット200の装着孔が固定用支柱に装着されてスプリング160を押圧し、固定用支柱及びセンサマグネット200に係合する押えプレート210が固定用支柱の先端部に取付けられ、ピン150により押えプレート210を押圧して固定用支柱の円筒穴に挿入して固定する構造であり、ピン150の頂部に凸部が形成されている。
【選択図】図11

Description

本発明は、制御基板を有するコントロールユニットをモータ(ブラシレスモータ)のモータシャフト(回転軸若しくはロータ回転軸)の出力側と反対側に装着した構成であり、モータシャフトの一端部に着磁されたセンサマグネットを装着し、そのセンサマグネットの回転角度を制御基板に設置した磁気検出素子により磁気的に検出する回転角度センサを構成し、センサマグネットと磁気検出素子の隙間を自動調整可能なセンサマグネット固定構造及びその固定構造を備えたモータ並びにそれを搭載した電動パワーステアリング装置及び車両に関する。
車両に搭載される電動パワーステアリング装置は、少なくとも操舵トルクに基づいて演算された電流指令値により、車両の操舵系にモータ(例えばブラシレス3相モータ)によるアシスト力を付与するものであり、ブリッジ回路で成るインバータによって駆動制御される。
モータを制御するモータ制御装置を搭載した装置として電動パワーステアリング装置(EPS)があり、電動パワーステアリング装置は、車両のステアリング機構にモータの回転力で操舵補助力(アシスト力)を付与するものであり、インバータから供給される電力で制御されるモータの駆動力を、ギア等の伝達機構により、ステアリングシャフト或いはラック軸に操舵補助力を付与する。
かかる従来の電動パワーステアリング装置は、操舵補助力のトルクを正確に発生させるため、モータ電流のフィードバック制御を行っている。フィードバック制御は、操舵補助指令値(電流指令値)とモータ電流検出値との差が小さくなるようにモータ印加電圧を調整するものであり、モータ印加電圧の調整は、一般的にPWM(パルス幅変調)制御のデューティの調整で行っており、モータとしては保守性などに優れたブラシレスモータが一般的に使用されている。
電動パワーステアリング装置の一般的な構成を図1に示して説明すると、ハンドル1のコラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)2は減速ギア3、ユニバーサルジョイント4a及び4b、ピニオンラック機構5、タイロッド6a,6bを経て、更にハブユニット7a,7bを介して操向車輪8L,8Rに連結されている。また、コラム軸2には、ハンドル1の操舵トルクを検出するトルクセンサ10及び操舵角θを検出する舵角センサ14が設けられており、ハンドル1の操舵力を補助するモータ20が減速ギア3を介してコラム軸2に連結されている。電動パワーステアリング装置を制御するコントロールユニット(ECU)30には、バッテリ13から電力が供給されると共に、イグニションキー11を経てイグニションキー信号が入力される。コントロールユニット30は、トルクセンサ10で検出された操舵トルクTsと車速センサ12で検出された車速Vsとに基づいてアシスト(操舵補助)指令の電流指令値の演算を行い、電流指令値に補償等を施した電圧制御指令値Vrefによって、EPS用モータ20に供給する電流を制御する。
なお、舵角センサ14は必須のものではなく、配設されていなくても良く、また、モータ20に連結されたレゾルバ等の回転位置センサから操舵角を取得することも可能である。
コントロールユニット30には、車両の各種情報を授受するCAN(Controller Area Network)40が接続されており、車速VsはCAN40から受信することも可能である。また、コントロールユニット30には、CAN40以外の通信、アナログ/ディジタル信号、電波等を授受する非CAN41も接続可能であり、コントロールユニット30は電子部品等を装着された制御基板を有している。
コントロールユニット30は主としてCPU(MCU、MPU等も含む)で構成されるが、そのCPU内部においてプログラムで実行される一般的な機能を示すと図2のようになる。
図2を参照してコントロールユニット30の機能及び動作を説明すると、トルクセンサ10で検出された操舵トルクTs及び車速センサ12で検出された(若しくはCAN50からの)車速Vsは、電流指令値Iref1を演算する電流指令値演算部31に入力される。電流指令値演算部31は、入力された操舵トルクTs及び車速Vsに基づいてアシストマップ等を用いて、モータ20に供給する電流の制御目標値である電流指令値Iref1を演算する。電流指令値Iref1は加算部32Aを経て電流制限部33に入力され、最大電流を制限された電流指令値Irefmが減算部32Bに入力され、フィードバックされているモータ電流値Imとの偏差I(Irefm−Im)が演算され、その偏差Iが操舵動作の特性改善のためのPI制御部35に入力される。PI制御部35で特性改善された電圧制御指令値VrefがPWM制御部36に入力され、更に駆動部としてのインバータ37を介してモータ20がPWM駆動される。モータ20の電流値Imはモータ電流検出器38で検出され、減算部32Bにフィードバックされる。インバータ37は駆動素子としてFETが用いられ、FETのブリッジ回路で構成されている。
加算部32Aには補償信号生成部34からの補償信号CMが加算されており、補償信号CMの加算によって操舵システム系の特性補償を行い、収れん性や慣性特性等を改善するようになっている。補償信号生成部34は、セルフアライニングトルク(SAT)34−3と慣性34−2を加算部34−4で加算し、その加算結果に更に収れん性34−1を加算部34−5で加算し、加算部34−5の加算結果を補償信号CMとしている。
このような電動パワーステアリング装置で使用されるモータは、高出力化、小型化、低騒音化の要求より、通常ブラシレスモータが採用される。このブラシレスモータの駆動制御には、ロータの位置検出センサが必要になるが、そのロータの位置検出センサとしてレゾルバを用いる場合、レゾルバのロータに対するステータの回転方向の位置を高精度に調整する必要がある。
このため、組付け性も考慮して、出力側におけるモータケースの外側にレゾルバを配置して、外部からレゾルバステータの位置調整を可能としたもの(例えば特許第3881351号公報(特許文献1))や、モータケース内にレゾルバを収納し、モータケース内部のレゾルバステータを外部から回転させる構造のもの(例えば特開2006−320189号公報(特許文献2))などが提案されている。
しかしながら、モータシャフトが突出した出力側にレゾルバを設けた場合には、例えばモータケースの出力側にあるフランジが大型化し、形状も複雑化し、部品点数も増加してしまう。また、モータケース内部にレゾルバを収納する構造の場合には、モータケース内部のレゾルバステータを外部から回転させなければならないため、構造の複雑化及び部品点数の増加を招く。このため、いずれの場合も高コスト化、組付性及び搭載性の悪化が避けられない。しかも、内部にレゾルバを配置する後者の場合には、レゾルバがモータのコイルからの熱の影響を受け易くなるなどの不具合が生じる。
かかる問題を解決したブラシレスモータ(角度センサ)として、特開2009−177968号公報(特許文献3)に示されるものがある。即ち、特許文献3のブラシレスモータ(角度センサ)は、図3に示すようにロータのモータシャフト(ロータ回転軸)101がブラシレスモータ本体100に軸受を介して収容された構造であって、モータケース内にはステータも収容されている。モータケースの前方側は、ロータの回転力をモータシャフト101により出力する出力側であり、当該モータケースの背面側の壁部には、モータシャフト101が貫通し、当該モータシャフト101がモータケースの外側まで突出しており、モータシャフト101の突出部分には角度センサとしてレゾルバ110が同軸に連結されている。
また、ブラシレスモータの背面側(レゾルバ110の外側)にはコントロールユニット(ECU)120が配設され、レゾルバ110の駆動信号及び角度検出信号の授受をハーネス111及びコネクタ112を介して、内臓の制御基板121との間で行うようになっている。
特許第3881351号公報 特開2006−320189号公報 特開2009−177968号公報 特開2013−7731号公報 特開2010−35411号公報
このように従来の構成では、ブラシレスモータの回転角度センサとしてレゾルバが使用されている。そのため、レゾルバとコントロールユニットを電気的に接続するために、ハーネスやコネクタなどの接続部品が必要になっている。また、従来の構成では、機能継続のために多重系を構成する場合、レゾルバを2つ直列に並べる必要があるため、センサに必要なサイズが2倍になってしまい、大型化する問題がある。更に、多重系を構成するために複数のレゾルバを使用した場合、それぞれのレゾルバで交流磁場を発生させるため、レゾルバ間に磁気的な干渉が発生し、検出精度が悪化してしまうなどの問題が生じる。
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、センサとコントロールユニットを電気的に接続するための機構を別途配設する必要がなく、寸法及びコストを抑えることが可能であり、多重系を構成した場合でもセンサ間の磁気的な干渉などが発生せず、ロバスト性良く、回転角度を正確に検出することが可能な回転角度センサにおけるセンサマグネット固定構造及びそれを備えたモータ並びにそれを搭載した電動パワーステアリング装置及び車両を提供することにある。
特に本発明では、少ない部品で組込み性良く、センサマグネットをモータシャフト(回転軸)に装着し、回り方向の緩みや抜けの生じないセンサマグネット固定構造であり、センサマグネットと磁気検出素子の隙間を自動調整可能な構造のセンサマグネット固定構造を提供することを目的とし、それを備えたモータ並びにそれを搭載した電動パワーステアリング装置及び車両を提供することを目的とする。
本発明は、回転軸に取付けられたセンサマグネットの回転角度を、対向位置に配設された磁気検出素子により検出する回転角度センサにおけるセンサマグネット固定構造に関し、本発明の上記目的は、前記回転軸の一端部に段差を有して固定用支柱が形成され、前記固定用支柱を包囲して前記段差にスプリングが配置され、前記センサマグネットの装着孔が前記固定用支柱に装着されて前記スプリングを押圧し、前記固定用支柱及び前記センサマグネットに係合する押えプレートが前記固定用支柱の先端部に取付けられ、ピンにより前記押えプレートを押圧して前記固定用支柱の円筒穴に挿入して固定する構造であり、前記ピンの頂部に凸部が形成されていることにより達成される。
また、本発明は、ステータ及びロータがモータケースに収容されており、モータシャフトの出力側とは反対側の一端部に装着されたセンサマグネットを備え、制御基板を有するコントロールユニットをモータ本体の背面側に装着できる構造であり、前記センサマグネットに対向するように配設された前記制御基板に磁気検出素子が設置されたモータに関し、本発明の上記目的は、前記モータシャフトへの前記センサマグネットの装着構造を上記構造とし、距離を自動調整可能とすることにより達成される。
本発明のセンサマグネット固定構造によれば、モータシャフト(回転軸)の一端部にセンサマグネット固定用の段差(円筒状の固定用支柱)を設け、円環状のスプリングを介してモータシャフト(回転軸)にセンサマグネットを取り付けると共に、上方から円環状の押えプレートを固定用支柱に取付け、更に上方からピンの挿入により固定している。そのため、センサマグネットが抜けることはなく、センサマグネットの回り及びモータシャフトに対する回り(緩み)を防止できる。また、ピンの上面に凸部を設けて制御基板(センサ基板)に接触させ、押圧する構造になっているので、スプリングのバネ作用によって、センサマグネットと磁気検出素子の隙間を自動調整可能である。更に、固定用支柱とは押えプレートを用いて、凹形状の溝と凸状の突起部との凹凸係合で装着しているので、軸回りの緩みも生じない。
本発明では、円環状のスプリングを介してモータシャフト(回転軸)にセンサマグネットを取り付けると共に、上方から円環状の押えプレートを固定用支柱に取付け、スプリングの弾性力によってピン上面の凸部を制御基板(若しくはコントロールユニット)に押し付けている。このため、スプリングの巻回数、弾性線材の径等によって、ピン上面の凸部と制御基板(若しくはコントロールユニット)との間の押しつけ力の調整ができ、各部品寸法のバラツキを含めた磁気センサとセンサマグネット間の寸法バラツキの影響を軽減することができる。
このようなセンサマグネット固定構造を有する回転角度センサを備えたモータによれば、センサマグネットとコントロールユニットの磁気検出素子を電気的に接続するための機構を別途構成する必要がなく、検出精度を向上することができ、絶対角で回転角度を検出できると共に、寸法及びコストを抑えることができる。
電動パワーステアリング装置の概要を示す構成図である。 電動パワーステアリング装置のコントロールユニット(ECU)の構成例を示すブロック図である。 従来の角度センサ付きブラシレスモータの構造例を示す断面図である。 本発明のセンサマグネット固定構造を有するブラシレスモータの構造例を示す断面図である。 角度センサの原理を説明するための構造図である。 センサマグネットの一例を示す平面図である。 従来のセンサマグネットの固定構造例を示す分解斜視図である。 従来のセンサマグネットの固定構造例を示す斜視図である。 本発明に適用できるセンサマグネットの構造例を示す斜視図である。 本発明に係るセンサマグネット固定構造例を示す斜視図である。 本発明に係るセンサマグネット固定構造例を示す側面図である。 本発明に係るセンサマグネット固定構造例の一部(シャフト側)を示す分解斜視図である。 本発明に係るセンサマグネット固定構造例の一部(制御基板側)を示す分解斜視図である。 本発明のセンサマグネット固定構造に使用する取付けプレートの一例を示す斜視図である。 本発明に係るセンサマグネット固定構造の断面図である。 本発明の効果を説明するための模式的機構図である。 図16(B)の一部詳細図である。 本発明に係る係合部材の他の構造例を示す断面図である。 本発明に係る結合部材の他の構造例を示す断面図である。 本発明で使用するピンの他の構造例を示す断面図である。
本発明は、制御基板を有するコントロールユニットがモータシャフト(ロータ回転軸、回転軸)の一端部に配設され、モータシャフトの一端部に、着磁(N極、S極)されたセンサマグネットが、少ない部品で組込み性良く装着されると共に、センサマグネットに対向する制御基板位置に、磁気抵抗効果素子(MR,AMR,GMR等)、磁気インピーダンス素子、ホール素子などの磁気検出素子が設置され、磁気検出素子によりセンサマグネットを介してモータシャフトの回転角度を絶対角で検出するようになっている回転角度センサにおけるセンサマグネット固定構造及びそれを備えたモータ(ブラシレスモータ)並びにそのモータを搭載した電動パワーステアリング装置及び車両である。ピン上面に凸部を形成し、スプリングのバネ作用によって、センサマグネットと磁気検出素子の隙間を自動調整可能とし、角度検出の自由度を高める構造となっている。
本発明のセンサマグネット固定構造は、モータシャフト(回転軸)の一端部にセンサマグネット固定用の円筒状支柱(段差)を設け、固定用支柱にスプリングを介してセンサマグネットを取り付けると共に、円環状の押えプレートを固定用支柱の先端部に配設し、ピンを差し込んで固定している。そのため、センサマグネットがモータシャフトから抜けることはなく、センサマグネットの回り(緩み)及びモータシャフトに対する回り(緩み)を防止できる。また、固定用支柱とセンサマグネットとは、凹部形状の溝と突起部との凹凸係合で装着しているので、軸回りの緩みも生じない堅固な固定構造である。
コントロールユニットの制御基板(センサ基板)に磁気検出素子を設置することにより、回転角度センサとコントロールユニットを電気的に接続するための機構が別に必要なくなるため、従来構造に比べ寸法及びコストを抑えることができ、特にブラシレスモータとして電動パワーステアリング装置への適用に適している。
本発明では、スプリングの巻回数、弾性線材の径等によって、ピン上面の凸部と制御基板(若しくはコントロールユニット)との間の押しつけ力の自動調整ができるので、各部品のバラツキをセンサ周りの寸法バラツキのみに軽減することができる。
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図4は本発明に係るブラシレスモータの構造を図3に対応させて示しており、ブラシレスモータ本体100のモータシャフト101の出力側とは反対側の一端部にセンサマグネット200が装着されている。ブラシレスモータ本体100の背面側には、制御基板121を有するコントロールユニット120が装着できるようになっていると共に、センサマグネット200に対向する制御基板121に、磁気抵抗効果素子(MR,AMR,GMR等)、磁気インピーダンス素子、ホール素子などの磁気検出素子122が設置されている。磁気検出素子122は非接触でセンサマグネット200の回転角度を検出できるので、磁気検出素子122とセンサマグネット200との間の配線は不要である。
センサマグネット200の回転角度を磁気検出素子202により検出できる原理は、図5に示すようにモータシャフト101に対して垂直にAD方向に着磁されることによって磁束線は発生するので、磁束線内に磁気検出素子202を配置することにより、磁束線量の変化に基づいてモータシャフト101ないしセンサマグネット200の回転角度を検出することができる。なお、磁気検出素子122は、磁束線量が強い領域で大きな検出信号を出力する。
センサマグネット200の平面図は例えば図6に示すようになっており、円盤部材の上半分がN極、下半分がS極の2極で構成されている。N極及びS極の磁石そのもので構成しても、円盤部材に磁石を配設(埋め込み等)して構成しても良い。センサマグネット200の平面形状は円形でなくても良く、矩形等であっても良い。
このような構造で、ブラシレスモータが駆動されるとモータシャフト101が回転し、モータシャフト101の一端部に装着されているセンサマグネット200も連動して回転する。センサマグネット200の回転は磁気的に磁気検出素子122で検出することができ、これにより回転角度を絶対値で検出することができる。
このように、回転するモータシャフトにセンサマグネット200を装着する構造では、従来ナール加工や位置決め用の環状溝などの特別な前加工を必要としていたが、前加工を必要とせず、しかも少ない部品で組込み性良く装着されることが要請されている。
モータ構造は異なるが、従来のセンサマグネット固定構造例として、例えば特開2013−7731号公報(特許文献4)に示されるモータ50では、図7に示すようにモータシャフト51の基端部分に固定されたホルダ52は非磁性金属で形成され、モータシャフト51が固定される装着部としての円筒部52−1と、円筒部52−1の基端端部から径方向外側に延出形成された円板部52−2と、円板部52−2の外周に形成された1対の固定部52−3とから構成されている。円筒部52−1及び円板部52−2の中央部には、軸方向に貫通する圧入孔52−4が形成されている。各固定部52−3の径方向内側には、円板状のセンサマグネット53が配置され、センサマグネット53の中心部には貫通孔53Aが形成されている。センサマグネット53は、固定部52−3の内周面にセンサマグネット53の外周面を内嵌させると共に、端面が円板部52−2と当接するように配置されて固定される。そして、ホルダ52及びセンサマグネット53は、ホルダ52の圧入孔52−4内にモータシャフト51が圧入されることにより、モータシャフト51に対して一体回転可能に固定される。その後、強磁性体で成るケース部材54及び55が外方より装着されて固定される。
しかしながら、このセンサマグネット固定構造では、部品点数が多く、ホルダ52の形状が複雑であり、ケース部材64,55にてセンサマグネット53を収納していると共に、接着剤を使用して固定する問題がある。
また、特開2010−35411号公報(特許文献5)で開示されているセンサマグネットホルダ60は、図8に示すような構造となっている。即ち、センサマグネットホルダ60は、円筒部と、その一端側を大径にしたフランジ部65、他端側のマグネット後端係止部62と、4個の板状のスナップフィット63とを一体に形成すし、フランジ部65を含む円筒部内径側にモータシャフト64の圧入部を形成する。板状のスナップフィット63は、その先端部外径側にマグネット前端係止部63Aを形成し、スナップフィット63のそれぞれを4辺の平坦内周面を有するセンサマグネット61の平坦面61Aに当接させ、マグネット後端係止部62とマグネット前端係止部63Aとの間にセンサマグネット61を係止するようにしている。
しかしながら、特許文献5の固定構造では、部品点数が多く、センサマグネット61自体に、スナップフィット63に係合する平坦面61Aを作成する必要があり、固定工程が煩雑でコストアップになる問題がある。
従って、本発明に係るセンサマグネット固定構造は、少ない部品で組込み性良く、しかも緩みなくセンサマグネットをモータシャフト若しくは回転軸に装着する構造を提案する。
本発明に適用できるセンサマグネットは図6に示すような、軸に垂直な2極着磁構造に限られるものではなく、図9(A)〜(C)に示す構造でも良い。即ち、図9(A)のセンサマグネット200Aは軸方向に2段構造であり、軸方向に着磁されており、図9(B)のセンサマグネット200Bは水平方向(軸と垂直方向)に着磁された構造になっている。また、図9(C)は4極の構造例である。
図10〜図15は、本発明に係るセンサマグネット固定構造の実施形態を示しており、図10はセンサマグネット200が、回転軸としてのモータシャフト101の一端部に装着された外観を示す斜視図であり、図11は制御基板を配置した場合の側面構造図であり、図12はそのシャフト側の一部分解斜視図、図13は制御基板側の一部分解斜視図である。また、図14は本発明に使用する取付けプレート210の一例を示す斜視図であり、図15はセンサマグネット固定構造の断面を示している。
図10及び図11に示すように、センサマグネット200はモータシャフト101の一端部に、段差101Aに円環状のスプリング160を介して装着され、円環状の弾性部材で成る押えプレート210を介して押し込み型のピン150によって上方より押えられて固定されている。押えプレート210はピン150によって押圧され、センサマグネット200は軸方向にも、周方向にも堅く結合される。
図12に示すように、センサマグネット200を装着するモータシャフト101の一端部には、モータシャフト101の径よりも小さい径で、かつ頂部から離間した段差101Aを持って突出するように、固定用支柱130が設けられており、固定用支柱130の軸中心には、ピン150の円柱状の押し込み係合部151が嵌合される円筒穴130Aが設けられている。また、固定用支柱130には、頂部から離れた周方向に沿って1条の凹部形状の押え溝131が設けられていると共に、表面の軸方向に沿って1条の凹部形状の回り止め溝132が設けられている。
スプリング160は、鋼材等の弾性線材が螺旋状に巻回された構造となっており、固定用支柱130の外径に係合する内径サイズとなっている。巻回数は任意であり、組込み設定時に、制御基板(センサ基板)の位置、スペーサにより位置決め調整できる。
また、センサマグネット200の軸方向中心部には、断面円形の貫通した装着孔201が設けられており、装着孔201の内径は固定用支柱130に摺動可能に装着できる寸法となっている。装着孔201の表面には断面中心方向に向かって突起した、1条の係合用突起202が軸に沿って設けられており、係合用突起202は固定用支柱130の回り止め溝132と係合する寸法となっている。
更に押えプレート210は図12及び図14に示すように円環状の形状であり、弾性を有する材料で作製され、下方に屈曲したマグネット回り止め片212が設けられている。弾性材で成っているため、マグネット回り止め片212はスプリング的な作用を有する。
本例では、マグネット回り止め片212を各1枚としているが、枚数は任意である。また、マグネット回り止め片212にテーパを付けたり、段差を付けることも可能であり、このような構造ではガタ(隙間)調整を行うことができる。
ピン150は、円盤状の蓋部152と、蓋部152の中心下方に垂設された円柱状の押し込み係合部151とで構成され、蓋部152の上面中央部には半球状の穴153が設けられており、穴153に係合する球体170が自在に載置されている。ピン150の押し込み係合部151は、固定用支柱130の係合孔130Aに嵌合するサイズとなっている。
また、図13に示すように、円盤状の制御基板(センサ基板)180の底面側に磁気検出素子181A及び181Bが取り付けられており、中央部にはスペーサ182の支柱182Aと係合する係合穴180Aが設けられている。スペーサ182は、制御基板(センサ基板)180の係合穴180Aに押し込まれて装着され、ペーサ182の底面はピン150の穴に配設された球体170と点接触するようになっている。スペーサ182の円盤状の制御基板(センサ基板)180への取付け手法は、固定式でもネジ式でも良い。
このような各部品の構造において、先ずスプリング160をモータシャフト101の固定用支柱130に通し、段差101A上に装着する。その後、センサマグネット200をモータシャフト101に装着するが、センサマグネット200の装着孔201を固定用支柱130に挿入して装着すると共に、センサマグネット200の係合用突起202を固定用支柱130の押え溝131に係合させ、センサマグネット200の底面がスプリング160の上面と接触する位置まで押し込む。その後、センサマグネット200の上面から突出している固定用支柱130に、押えプレート210を挿入して装着する。その際、図15に示すように、押えプレート210のマグネット回り止め片212が固定用支柱130の押え溝131に係合させて装着する。
押えプレート210を装着して後、ピン150の押し込み係合部151を押えプレート210を介して、固定用支柱130の円筒穴130Aに嵌合させて固定する。これにより、図15に示すように、センサマグネット200がモータシャフト101の一端部に摺動可能に装着される。また、ピン150の穴153に球体170を押し込んで装着し、ピン150上に凸部を形成する。
このような構造で、図11及び図13に示すように磁気検出素子181A及び181Bを備えた制御基板(センサ基板)180を球体170に接触して配置する。球体170はピン150上で自在であり、スプリング160のバネ作用でセンサマグネット200全体が上下動可能であり、センサマグネット200の上面と制御基板(センサ基板)180の底面との距離SP1、或いはセンサマグネット200の上面と磁気検出素子181A,181Bの底面との距離SP2を自動調整することができる。
図16は本発明の効果を説明するための模式的な機構図であり、図16(A)はセンサマグネット200をモータシャフト101に圧入等で固定した場合であり、図16(B)は本発明のように、センサマグネット200をモータシャフト101に摺動可能に装着した場合の機構である。モータシャフト101は両端で軸受BRG1及びBRG2で回転可能に支持されている。軸受BRG1及びBRG2並びに制御基板(センサ基板)180は固定部に固定されている。図16(B)の詳細は図17である。
図16(A)のように、センサマグネット200がモータシャフト101に固定されている場合、軸受BRG1及びBRG2の内側間距離SP10、軸受BRG1及びBRG2の外側間距離SP11、制御基板180側の軸受BRG2と制御基板180の上面との距離SP12、制御基板180の上面と固定部との距離SP13など各部品の寸法バラツキを含め、磁気検出素子(181A,181B)とセンサマグネット200との間に寸法バラツキが影響してしまう。これに対し、図16(B)及び図17のように、センサマグネット200がモータシャフト101に摺動可能に装着されている場合、スプリング160の弾性作用によって隙間が自動調整されるので、センサ周りの寸法のバラツキ(SP1、SP2)のみで構成できる。
この結果、センサ仕様、センサマグネットにより部品の共通化が可能になると共に、マグネットセンサの磁界により最適化位置にセンサを配置することができる。また、位置や距離調整は、組込み前及び組込み後でも部品構成により可能である。
なお、上述では制御基板(センサ基板)180は円盤形状となっているが、矩形その他の形状であっても良い。
ピン150の上面の凸部の形成は図18(A)に示すような長形状の球体170でも良く、図18(B)に示すようにピン150の上面に直接形成した球状形態154でも良い。
また、スライド時の案内として隙間を少なくした場合にスライドできるように、モータシャフト101と組込み部品に空気穴を設定しても良い。図19はその構造例を示しており、ピン150とモータシャフト101に連結された空気穴101Bが設けられている。ピン150の押し込み係合部は、図20に示すようにスナップフィット形式の係合部155であっても良い。
上述ではセンサマグネットの装着孔の軸中心に向かって突起した1条の係合用突起部を設け、モータシャフトの固定用支柱に、軸方向に沿った1条の回り止め溝を設けてセンサマグネットとモータシャフトを軸回転しないように係合させているが、逆にセンサマグネットの装着孔の外方に向かって1条の凹部溝を設け、モータシャフトの固定用支柱に1条の突起部を設けてセンサマグネットとモータシャフトが軸回転しないように係合させても良く、また、突起部及び凹部溝の条数は1条でなくても良く、任意の数で対応可能である。
1 ハンドル
2 コラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)
10 トルクセンサ
20、50 モータ
30、120 コントロールユニット(ECU)
51、64 モータシャフト
100 ブラシレスモ−タ本体
101 モータシャフト(回転軸、ロータ回転軸)
110 レゾルバ
111 ハーネス
112 コネクタ
121 制御基板
122,181A,181B 磁気検出素子
130 固定用支柱
130A 円筒穴
131 押え溝
132 回り止め溝
150 ピン
160 スプリング
170 球体
180 制御基板(センサ基板)
182 スペーサ
200 センサマグネット
201 装着孔
202 係合用突起
210 押えプレート
211 シャフト回り止め片

Claims (13)

  1. 回転軸に取付けられたセンサマグネットの回転角度を、対向位置に配設された磁気検出素子により検出する回転角度センサにおけるセンサマグネット固定構造であり、
    前記回転軸の一端部に段差を有して固定用支柱が形成され、前記固定用支柱を包囲して前記段差にスプリングが配置され、前記センサマグネットの装着孔が前記固定用支柱に装着されて前記スプリングを押圧し、前記固定用支柱及び前記センサマグネットに係合する押えプレートが前記固定用支柱の先端部に取付けられ、ピンにより前記押えプレートを押圧して前記固定用支柱の円筒穴に挿入して固定する構造であり、前記ピンの頂部に凸部が形成されているセンサマグネット固定構造。
  2. 前記固定用支柱の軸方向に沿って突起部又は凹部溝が形成され、前記センサマグネットの内径方向に突起し、軸方向に沿って凹部溝又は突起部が形成され、前記センサマグネットの凹部溝又は突起部が前記固定用支柱の突起部又は凹部溝に係合するようになっている請求項1に記載のセンサマグネット固定構造。
  3. 前記固定用支柱の先端部に周方向に沿った押え溝が形成され、前記押えプレートにマグネット回り止め片及びシャフト回り止め片が形成され、前記マグネット回り止め片が前記センサマグネットの凹部溝又は突起部に係合すると共に、前記シャフト回り止め片が前記固定用支柱の押え溝に係合するようになっている請求項1又は2に記載のセンサマグネット固定構造。
  4. 前記ピンの凸部が、前記ピンの上面の半球状穴に係合した球体で形成されている請求項1乃至3のいずれかに記載のセンサマグネット固定構造。
  5. 前記ピンの凸部が、前記ピンの上面に設けられた1又は2以上の半球状穴にそれぞれ係合した長形状球体で形成されている請求項1乃至3のいずれかに記載のセンサマグネット固定構造。
  6. 前記ピンの凸部が、前記ピンの上面に突起した1又は2以上の半球体で形成されている請求項1乃至3のいずれかに記載のセンサマグネット固定構造。
  7. 前記ピンの頂部に、制御基板若しくはセンサ基板が接触して配置されている請求項4乃至6のいずれかに記載のセンサマグネット固定構造。
  8. 前記ピンの頂部と前記制御基板若しくは前記センサ基板とがスペーサを介して接触している請求項7に記載のセンサマグネット固定構造。
  9. ステータ及びロータがモータケースに収容されており、モータシャフトの出力側とは反対側の一端部に装着されたセンサマグネットを備え、制御基板を有するコントロールユニットをモータ本体の背面側に装着できる構造であり、前記センサマグネットに対向するように配設された前記制御基板に磁気検出素子が設置されたモータであり、
    前記モータシャフトへの前記センサマグネットの装着構造を上記構造とし、距離を自動調整可能とした請求項1乃至8のいずれかに記載のセンサマグネット固定構造としているモータ。
  10. 前記磁気検出素子が1若しくは2以上の複数個設置されている請求項9に記載のモータ。
  11. 前記モータがブラシレスモータである請求項9又は10に記載のモータ。
  12. 請求項9乃至11のいずれかに記載のモータを搭載し、少なくとも操舵トルクに基づいて演算された電流指令値により、車両の操舵系にアシスト力を付与する電動パワーステアリング装置。
  13. 請求項12に記載の電動パワーステアリング装置を搭載している車両。
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