JP2021049906A - 軌道遷移支援装置、軌道遷移支援方法、および軌道遷移支援プログラム - Google Patents
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Abstract
Description
このような宇宙空間における衛星およびスペースデブリといった宇宙物体の急激な増加に伴い、宇宙交通管制(STM)では、宇宙物体の衝突を回避するための国際的なルール作りの必要性が高まっている。
しかしながら、特許文献1には、このような衝突リスクを回避するための方策については記載されていない。
宇宙物体の軌道の予報値が設定された軌道予報情報から、前記衛星コンステレーションを構成する複数の衛星の各々の軌道の予報値を収集し、前記遷移衛星の軌道遷移の支援に用いる支援情報を生成する支援情報生成部と、
前記支援情報を表示機器に表示する支援情報表示部とを備えた。
以下の実施の形態に係る軌道遷移支援システムの前提となる衛星コンステレーションの例について説明する。
図1は、全球に亘り通信サービスを実現する衛星コンステレーション20を示している。
同一軌道面を同一高度で飛行している複数の衛星の各衛星では、地上に対する通信サービス範囲が後続衛星の通信サービス範囲とオーバーラップしている。よって、このような複数の衛星によれば、地上の特定地点に対して、同一軌道面上の複数の衛星が時分割的に交互に交代しながら通信サービスを提供することができる。また、隣接軌道面を設けることにより、隣接軌道間の地上に対する通信サービスを面的に網羅することが可能となる。同様に、地球の周りに多数の軌道面を概ね均等配置すれば、全球に亘り地上に対する通信サービスが可能となる。
図2は、地球観測サービスを実現する衛星コンステレーション20を示している。図2の衛星コンステレーション20は、光学センサあるいは合成開口レーダといった電波センサである地球観測装置を具備した衛星が同一軌道面を同一高度で飛行する。このように、地上の撮像範囲が時間遅れで後続衛星がオーバーラップする衛星群300では、地上の特定地点に対して軌道上複数の衛星が時分割的に交互に交代しながら地上画像を撮像することにより地球観測サービスを提供する。
図3の衛星コンステレーション20では、複数の軌道面の各軌道面21の軌道傾斜角が約90度であり、かつ、複数の軌道面の各軌道面21が互いに異なる面に存在する。
図4の衛星コンステレーション20では、複数の軌道面の各軌道面21の軌道傾斜角が約90度ではなく、かつ、複数の軌道面の各軌道面21が互いに異なる面に存在する。
このように、宇宙空間におけるデブリ増加、および、メガコンステレーションを始めとする衛星数の急激な増加に伴い、宇宙交通管制(STM)の必要性が高まっている。
衛星コンステレーション形成システム600は、コンピュータを備える。図5では、1つのコンピュータの構成を示しているが、実際には、衛星コンステレーション20を構成する複数の衛星の各衛星30、および、衛星30と通信する地上設備700の各々にコンピュータが備えられる。そして、複数の衛星の各衛星30、および、衛星30と通信する地上設備700の各々に備えられたコンピュータが連携して、衛星コンステレーション形成システム600の機能を実現する。以下において、衛星コンステレーション形成システム600の機能を実現するコンピュータの構成の一例について説明する。
衛星コンステレーション形成部11は、衛星30と通信しながら衛星コンステレーション20の形成を制御する。
衛星30は、衛星制御装置31と衛星通信装置32と推進装置33と姿勢制御装置34と電源装置35とを備える。その他、各種の機能を実現する構成要素を備えるが、図6では、衛星制御装置31と衛星通信装置32と推進装置33と姿勢制御装置34と電源装置35について説明する。衛星30は、宇宙物体60の一例である。
衛星通信装置32は、地上設備700と通信する装置である。具体的には、衛星通信装置32は、自衛星に関する各種データを地上設備700へ送信する。また、衛星通信装置32は、地上設備700から送信される各種コマンドを受信する。
推進装置33は、衛星30に推進力を与える装置であり、衛星30の速度を変化させる。具体的には、推進装置33は、アポジキックモーターまたは化学推進装置、または電気推進装置である。アポジキックモーター(AKM:Apogee Kick Motor)は、人工衛星の軌道投入に使われる上段の推進装置のことであり、アポジモーター(固体ロケットモーター使用時)、またはアポジエンジン(液体エンジン使用時)とも呼ばれている。
化学推進装置は、一液性ないし二液性燃料を用いたスラスタである。電気推進装置としては、イオンエンジンまたはホールスラスタである。アポジキックモーターは軌道遷移に用いる装置の名称であり、化学推進装置の一種である場合もある。
姿勢制御装置34は、衛星30の姿勢と衛星30の角速度と視線方向(Line Of
Sight)といった姿勢要素を制御するための装置である。姿勢制御装置34は、各姿勢要素を所望の方向に変化させる。もしくは、姿勢制御装置34は、各姿勢要素を所望の方向に維持する。姿勢制御装置34は、姿勢センサとアクチュエータとコントローラとを備える。姿勢センサは、ジャイロスコープ、地球センサ、太陽センサ、スター・トラッカ、スラスタおよび磁気センサといった装置である。アクチュエータは、姿勢制御スラスタ、モーメンタムホイール、リアクションホイールおよびコントロール・モーメント・ジャイロといった装置である。コントローラは、姿勢センサの計測データまたは地上設備700からの各種コマンドにしたがって、アクチュエータを制御する。
電源装置35は、太陽電池、バッテリおよび電力制御装置といった機器を備え、衛星30に搭載される各機器に電力を供給する。
処理回路は、専用のハードウェアであってもよいし、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサであってもよい。
処理回路において、一部の機能が専用のハードウェアで実現されて、残りの機能がソフトウェアまたはファームウェアで実現されてもよい。つまり、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせで実現することができる。
専用のハードウェアは、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGAまたはこれらの組み合わせである。
ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略称である。FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。
地上設備700は、全ての軌道面の多数衛星をプログラム制御する。地上設備700は、地上装置の例である。地上装置は、地上アンテナ装置、地上アンテナ装置に接続された通信装置、あるいは電子計算機といった地上局と、地上局にネットワークで接続されたサーバあるいは端末としての地上設備から構成される。また、地上装置には航空機、自走車両、あるいは移動端末といった移動体に搭載された通信装置を含んでも良い。
解析予測部520は、衛星30の軌道を解析予測する。
軌道制御コマンド生成部510は、衛星30に送信する軌道制御コマンド55を生成する。
軌道制御コマンド生成部510および解析予測部520は、衛星コンステレーション形成部11の機能を実現する。すなわち、軌道制御コマンド生成部510および解析予測部520は、衛星コンステレーション形成部11の例である。
衛星30は、さらに、衛星コンステレーション20を形成する衛星コンステレーション形成部11bを備える。そして、複数の衛星の各衛星30の衛星コンステレーション形成部11bと、地上設備700の各々に備えられた衛星コンステレーション形成部11とが連携して、衛星コンステレーション形成システム600の機能を実現する。なお、衛星30の衛星コンステレーション形成部11bは、衛星制御装置31に備えられていてもよい。
軌道遷移支援装置100は、静止トランスファー軌道GTOに投入され、静止トランスファー軌道GTOにおける近地点から遠地点に至る途中に形成された衛星コンステレーション20の軌道高度を追い越す遷移衛星301の軌道遷移を支援する。
遷移衛星301は、静止軌道衛星あるいは準天頂軌道衛星といった衛星である。遷移衛星301は、ロケット打ち上げ後に静止トランスファー軌道GTOに投入された後、自衛星の具備する推進装置を動作させて所望の軌道に軌道遷移する。軌道遷移支援装置100は、遷移衛星301が軌道遷移する際、静止トランスファー軌道GTOの近地点から遠地点に至るまでの軌道高度に形成されたメガコンステレーション衛星群との衝突を回避して軌道遷移するための支援を実現する。
図9は、本実施の形態に係る軌道遷移支援装置100の構成図である。
軌道遷移支援装置100は、管理事業装置40と通信する。軌道遷移支援装置100は、地上設備に搭載されていてもよい。また、軌道遷移支援装置100は、衛星コンステレーション形成システム600に搭載されていてもよい。あるいは、軌道遷移支援装置100は、管理事業装置40の少なくともいずれかに搭載されていてもよい。
管理事業装置40には、メガコンステレーション事業装置41、LEOコンステレーション事業装置42、衛星事業装置43、軌道遷移事業装置44、デブリ回収事業装置45、ロケット打ち上げ事業装置46、およびSSA事業装置47といった装置が含まれる。LEOが、Low Earth Orbitの略語である。
LEOコンステレーション事業装置42は、低軌道コンステレーション、すなわちLEOコンステレーション事業を行うLEOコンステレーション事業者のコンピュータである。
衛星事業装置43は、1機から数機の衛星を扱う衛星事業者のコンピュータである。
軌道遷移事業装置44は、衛星の軌道遷移支援を行う軌道遷移事業者のコンピュータである。
デブリ回収事業装置45は、デブリを回収する事業を行うデブリ回収事業者のコンピュータである。
ロケット打ち上げ事業装置46は、ロケット打ち上げ事業を行うロケット打ち上げ事業者のコンピュータである。
SSA事業装置47は、SSA事業、すなわち、宇宙状況監視事業を行うSSA事業者のコンピュータである。
なお、管理事業装置40から軌道遷移支援装置100に提供される情報については、後で詳しく説明する。
プロセッサ910は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ910の具体例は、CPU(Central Processing
Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
補助記憶装置922は、データを保管する記憶装置である。補助記憶装置922の具体例は、HDDである。また、補助記憶装置922は、SD(登録商標)メモリカード、CF、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVDといった可搬の記憶媒体であってもよい。なお、HDDは、Hard Disk Driveの略語である。SD(登録商標)は、Secure Digitalの略語である。CFは、CompactFlash(登録商標)の略語である。DVDは、Digital Versatile Diskの略語である。
出力インタフェース940は、ディスプレイといった表示機器941のケーブルが接続されるポートである。出力インタフェース940は、具体的には、USB端子またはHDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)端子である。ディスプレイは、具体的には、LCD(Liquid Crystal Display)である。
軌道遷移支援プログラムは、上記の各部の「部」を「処理」、「手順」あるいは「工程」に読み替えた各処理、各手順あるいは各工程を、コンピュータに実行させる。また、軌道遷移支援方法は、軌道遷移支援装置100が軌道遷移支援プログラムを実行することにより行われる方法である。
軌道遷移支援プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に格納されて提供されてもよい。また、各プログラムは、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
具体的に、メガコンステレーション事業者は、軌道高度340km近傍に異なる3つの軌道高度で衛星コンステレーション群の構築を計画している。衛星コンステレーション群は、各々が約2500機で構成され、合計7500機の衛星から構成される。
静止軌道衛星あるいは準天頂軌道衛星といった遷移衛星301を打ち上げる場合、まず、遷移衛星301はロケットにより静止トランスファー軌道GTOと呼ばれる軌道に投入される。その後に、ロケットと遷移衛星301は分離される。遷移衛星301は、推進装置を動作させ、目的の静止軌道位置に軌道遷移する。軌道遷移は赤道上空楕円軌道であり、例えば化学推進による推進装置では、遠地点(アポジ)で推進装置を動作させ、近地点高度を上昇させ、目的の軌道に到達するまでこの動作を繰り返す。電気推進による軌道遷移では、進行方向に電気推進装置を噴射し続けて増速し、所望の速度に達すると静止軌道ないし準天頂軌道に投入が完了する。
例えば、高度340km近傍の衛星コンステレーションとして、軌道面40面、かつ、60機/面の2400機から成るメガコンステレーションを想定する。このとき、同一軌道面の衛星が赤道上空を通過してから、後続衛星が赤道上空を通過するまでのインターバルは約90秒である。また、衛星が赤道上空を通過してから、隣接軌道の別衛星が赤道上空を通過するまでのインターバルは18分程度である。
軌道高度340km近傍の異なる軌道高度に合計3高度の衛星コンステレーションが構成された場合、異なる軌道高度の軌道面は同期せずに回転するので、地球上の特定地点からみた軌道面同士の通過インターバルは多様に変化する。
ロケットは発射タイミングを管理できるので、この間隙を正確に回避することが可能である。しかし、軌道遷移途中の衛星が、意図的にこの間隙をぬって軌道高度を追い越すのは極めて厳しい条件である。
また、ロケットが上空に打ち上げられた場合、340km近傍の密集高度をほぼ法線方向に近い角度で一瞬で通過することが可能である。しかし、静止トランスファー軌道の楕円では円周率が近いため、340km高度を追い越すための軌道交差角も浅く、通過時間も長くかかるため、衝突リスクがはるかに高い。
このため、密集高度を通過するために軌道遷移支援装置が必要となる。
図13は、本実施の形態に係る軌道予報情報51の例を示す図である。
軌道遷移支援装置100は、宇宙物体60の軌道の予報値が設定された軌道予報情報51を記憶部130に記憶する。軌道遷移支援装置100は、例えば、複数の宇宙物体60を管理する管理事業者により利用される管理事業装置40から、複数の宇宙物体60の各々の軌道の予報値を取得し、軌道予報情報51として記憶してもよい。あるいは、軌道遷移支援装置100は、複数の宇宙物体60の各々の軌道の予報値が設定された軌道予報情報51を管理事業者から取得し、記憶部130に記憶してもよい。
管理事業者は、衛星コンステレーション、各種の衛星、ロケット、およびデブリといった宇宙を飛行する宇宙物体60を管理する事業者である。また、上述したように、各管理事業者により利用される管理事業装置40は、メガコンステレーション事業装置41、LEOコンステレーション事業装置42、衛星事業装置43、軌道遷移事業装置44、デブリ回収事業装置45、ロケット打ち上げ事業装置46、およびSSA事業装置47といったコンピュータである。
予報軌道要素513は、複数の宇宙物体の各々の軌道を特定する軌道要素である。予報軌道要素513は、複数の宇宙物体の各々の軌道について予報されている軌道要素である。図11では、予報軌道要素513として、ケプラー軌道6要素が設定されている。
このように、軌道予報情報51には、元期と軌道要素、あるいは、時刻と位置座標を含む宇宙物体の軌道情報が具備され、宇宙物体60の近未来の予報値が明示的に示されている。
ステップS101において、支援情報生成部110は、軌道予報情報51から、衛星コンステレーションを構成する複数の衛星の各々の軌道の予報値を収集し、遷移衛星301の軌道遷移の支援に用いる支援情報111を生成する。上述したように、遷移衛星301は、具体的には、静止トランスファー軌道GTOに投入された静止軌道衛星あるいは準天頂軌道衛星である。
ステップS102において、支援情報表示部120は、支援情報111を表示機器941に表示する。
支援情報生成部110は、支援情報111として、複数の衛星の各々の軌道高度と、複数の衛星の各々が赤道上空を横切る時刻である赤道上空通過時刻とを生成する。具体的には、支援情報生成部110は、軌道予報情報51に基づいて、複数の衛星の各々の軌道高度と赤道上空通過時刻とを算出する。
支援情報表示部120は、複数の衛星の各々の軌道高度と赤道上空通過時刻とを表示機器941に表示する。
図15に示すように、支援情報表示部120は、衛星コンステレーションの各衛星の衛星IDと、軌道高度と、赤道上空通過時刻とを表形式で表示機器941に表示する。また、支援情報表示部120は、距離予測誤差および時刻予測誤差といった予測誤差を表示してもよい。
支援情報生成部110は、支援情報111として、複数の衛星の各々の赤道上空通過時刻と、同一軌道を飛行する後続衛星あるいは隣接軌道を飛行する別衛星の赤道上空通過時刻とのインターバルを生成する。具体的には、支援情報生成部110は、軌道予報情報51に基づいて、複数の衛星の各々の赤道上空通過時刻と、同一軌道を飛行する後続衛星あるいは隣接軌道を飛行する別衛星の赤道上空通過時刻とのインターバルを算出する。
支援情報表示部120は、複数の衛星の各々の赤道上空通過時刻と、同一軌道を飛行する後続衛星あるいは隣接軌道を飛行する別衛星の赤道上空通過時刻とのインターバルを表示機器941に表示する。
図16に示すように、衛星コンステレーション20の衛星30の赤道上空通過時刻112と、次に衛星30が赤道上空を横切る時刻までのインターバル113とを図に重畳して表示してもよい。
図16では、衛星30aが赤道上空を横切る時刻ta、次に衛星30bが赤道上空を横切る時刻tb、次に衛星30cが赤道上空を横切る時刻tc、および次に衛星30dが赤道上空を横切る時刻tdが図に重畳されている。さらに、taからtbまでのインターバルI1、tbからtcまでのインターバルI2、およびtcからtdまでのインターバルI3が図に重畳されている。
なお、衛星30の赤道上空通過時刻112と、次に衛星30が赤道上空を横切る時刻までのインターバル113とを表形式で表示してもよい。
支援情報生成部110は、支援情報111として、複数の衛星の各々の速度ベクトルを赤道面に投影した成分を分析し、赤道上空円軌道に投影した赤道通過タイミングと円周方向速度ベクトルを生成する。衛星の赤道通過タイミングとは、衛星の赤道上空通過時刻112である。具体的には、支援情報生成部110は、軌道予報情報51に基づいて、複数の衛星の各々について、赤道上空円軌道に投影した赤道通過タイミングと円周方向速度ベクトルを算出する。
支援情報表示部120は、複数の衛星の各々について、赤道上空円軌道に投影した赤道通過タイミングと円周方向速度ベクトルを表示機器941に表示する。
図17において、上段は、衛星コンステレーション20において、例えば、衛星30a,30b,30c,30dが赤道上空を通過するイメージである。
支援情報生成部110は、支援情報111として、衛星コンステレーションが構築されている軌道高度を、遷移衛星301が通過する衛星通過タイミングTを生成する。具体的には、支援情報生成部110は、軌道予報情報51に基づいて、衛星コンステレーションが構築されている軌道高度において、遷移衛星301が通過する衛星通過タイミングTを算出する。
支援情報表示部120は、衛星コンステレーションが構築されている軌道高度において、遷移衛星301が通過する衛星通過タイミングTを表示機器941に表示する。
軌道遷移支援装置100は、予め、遷移衛星301の最適遷移軌道を軌道遷移計画軌道として取得しておく。支援情報生成部110は、メガコンステレーションが形成される軌道高度を跨ぐタイミングとして適切であり、しかも十分な長さのインターバルが確保できる衛星通過タイミングTを分析する。支援情報生成部110は、メガコンステレーションの構成衛星の軌道予報情報51に基づき、任意の衛星が赤道上空を横切る時刻と、後続衛星あるいは隣接軌道の別衛星が赤道を横切る時刻とのインターバルの中で、最も適切な衛星通過タイミングを算出する。
支援情報表示部120は、遷移衛星301が特定高度を通過するのに適切な衛星通過タイミングTを表示する。
図18では、遷移衛星301が、メガコンステレーションの軌道高度である特定高度を通過する最適な衛星通過タイミングTの候補が表示される。なお、図18に示すように、特定高度に対し、最適な衛星通過タイミングTの候補を1つ表示してもよいし、衛星通過タイミングTの候補を複数表示してもよい。
本実施の形態に係る軌道遷移支援装置100によれば、遷移衛星が衛星コンステレーションの軌道高度を追い越す際に有用な支援情報を表示するので、衝突を回避して安全な軌道遷移を支援することができる。
衛星コンステレーション20の軌道高度を遷移衛星301が追い越す手法として、衛星コンステレーション20の構成衛星が赤道上空を通過してから、後続衛星が通過するまでの間隙を縫う軌道位置とタイミングで追い越しを実施することが有効である。
本実施の形態に係る軌道遷移支援装置100によれば、衛星コンステレーションの構成衛星が赤道上空を横切る赤道通過タイミングと円周方向速度ベクトルを表示するので、遷移軌道に最適な衛星通過タイミングと軌道高度通過に要する時間とを分析できる。よって、衝突を回避して安全に軌道高度を通過可能であることを確認してから軌道遷移することが可能となる。
本実施の形態では、具体例として、赤道上空軌道の静止軌道衛星に対する支援情報を用いて説明した。例えば、遷移衛星が準天頂軌道衛星の場合は以下の通りである。
支援情報生成部は、軌道予報情報に基づいて、複数の衛星の各々の軌道高度と、準天頂軌道面通過時刻とを支援情報として算出する。準天頂軌道面通過時刻は、複数の衛星の各々が準天頂軌道衛星の軌道遷移途中の軌道面を横切る時刻である。そして、支援情報表示部は、複数の衛星の各々の軌道高度と準天頂軌道面通過時刻とを表示機器に表示する。
軌道遷移支援装置100は、プロセッサ910に替えて電子回路を備える。
電子回路は、軌道遷移支援装置100の機能を実現する専用の電子回路である。
電子回路は、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、または、FPGAである。GAは、Gate Arrayの略語である。
軌道遷移支援装置100の機能は、1つの電子回路で実現されてもよいし、複数の電子回路に分散して実現されてもよい。
別の変形例として、軌道遷移支援装置100の一部の機能が電子回路で実現され、残りの機能がソフトウェアで実現されてもよい。
すなわち、実施の形態1では、実施の形態1の部分の自由な組み合わせ、あるいは任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態1において任意の構成要素の省略が可能である。
Claims (9)
- 静止トランスファー軌道に投入され、前記静止トランスファー軌道における近地点から遠地点に至る途中に形成された衛星コンステレーションの軌道高度を追い越す遷移衛星の軌道遷移を支援する軌道遷移支援装置において、
宇宙物体の軌道の予報値が設定された軌道予報情報から、前記衛星コンステレーションを構成する複数の衛星の各々の軌道の予報値を収集し、前記遷移衛星の軌道遷移の支援に用いる支援情報を生成する支援情報生成部と、
前記支援情報を表示機器に表示する支援情報表示部と
を備えた軌道遷移支援装置。 - 前記静止トランスファー軌道に投入された前記遷移衛星は、静止軌道衛星あるいは準天頂軌道衛星である請求項1に記載の軌道遷移支援装置。
- 前記支援情報生成部は、
前記複数の衛星の各々の軌道高度と、前記複数の衛星の各々が赤道上空を横切る時刻である赤道上空通過時刻とを前記支援情報として生成する請求項1または請求項2に記載の軌道遷移支援装置。 - 前記支援情報生成部は、
前記複数の衛星の各々の赤道上空通過時刻と、同一軌道を飛行する後続衛星あるいは隣接軌道を飛行する別衛星の赤道上空通過時刻とのインターバルを前記支援情報として生成する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の軌道遷移支援装置。 - 前記支援情報生成部は、
前記複数の衛星の各々の速度ベクトルを赤道面に投影した成分を分析し、赤道上空円軌道に投影した赤道通過タイミングと円周方向速度ベクトルを前記支援情報として生成する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の軌道遷移支援装置。 - 前記支援情報生成部は、
前記複数の衛星の各々の軌道高度と、前記複数の衛星の各々が準天頂軌道衛星の軌道遷移途中の軌道面を横切る時刻である準天頂軌道面通過時刻とを前記支援情報として生成する請求項1または請求項2に記載の軌道遷移支援装置。 - 前記支援情報生成部は、
前記衛星コンステレーションが構築されている軌道高度において、前記遷移衛星が通過する通過タイミングを前記支援情報として生成する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の軌道遷移支援装置。 - 静止トランスファー軌道に投入され、前記静止トランスファー軌道における近地点から遠地点に至る途中に形成された衛星コンステレーションの軌道高度を追い越す遷移衛星の軌道遷移を支援する軌道遷移支援装置の軌道遷移支援方法において、
支援情報生成部が、宇宙物体の軌道の予報値が設定された軌道予報情報から、前記衛星コンステレーションを構成する複数の衛星の各々の軌道の予報値を収集し、前記遷移衛星の軌道遷移の支援に用いる支援情報を生成し、
支援情報表示部が、前記支援情報を表示機器に表示する軌道遷移支援方法。 - 静止トランスファー軌道に投入され、前記静止トランスファー軌道における近地点から遠地点に至る途中に形成された衛星コンステレーションの軌道高度を追い越す遷移衛星の軌道遷移を支援する軌道遷移支援プログラムにおいて、
宇宙物体の軌道の予報値が設定された軌道予報情報から、前記衛星コンステレーションを構成する複数の衛星の各々の軌道の予報値を収集し、前記遷移衛星の軌道遷移の支援に用いる支援情報を生成する支援情報生成処理と、
前記支援情報を表示機器に表示する支援情報表示処理と
をコンピュータに実行させる軌道遷移支援プログラム。
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