JP2021049782A - 繊維複合体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、芯材の発泡体の気泡の形状を規定した繊維複合体が提案されている(特許文献3、4参照)
特許文献2の複合体は、表皮材中の強化繊維の強度を規定しており、室温環境下では、強度が高いが、100℃等の高温環境下における剛性がよい繊維複合体を得ることは難しい。
特許文献3の繊維複合体は、発泡体の芯材全体の気泡の形状(アスペクト比)を規定することで耐衝撃性を付与することができるが、アスペクト比を小さくすると、繊維複合体の重量が大きくなり、軽量化の点で不十分であり、アスペクト比を大きくすると、100℃環境下においては、発泡体表面と繊維及び樹脂を含む表皮材との界面で破壊が生じやすく、耐衝撃性が悪い。
特許文献4の繊維複合体は、さらに、発泡体コア層と表層の気泡の平均アスペクト比を規定することで、耐衝撃性が改善できるが、やはり、100℃環境下においては、発泡体と繊維及び樹脂を含む表皮材との界面での破壊に関しては不十分である。
(1)
コア層と該コア層の片面または両面に形成されてなる表面層とを有する、発泡樹脂を含む芯材、及び前記表面層の少なくとも一部に、繊維及び樹脂を含む表皮材が積層された繊維複合体であり、
前記表面層が、厚み方向に、前記表皮材と前記表面層との界面から、該界面から250μmの位置までであり、
前記表面層と前記表皮材とが積層している部分において、前記表面層の気泡の平均アスペクト比が0.05以上0.45未満であり、前記コア層の気泡の平均アスペクト比が0.55以上1.00未満である、
ことを特徴とする、繊維複合体。
前記発泡樹脂が予備発泡粒子を含む、(1)に記載の繊維複合体。
前記発泡樹脂がポリアミド系樹脂またはポリフェニレンエーテル系樹脂である、(1)または(2)に記載の繊維複合体。
本実施形態の繊維複合体は、コア層と該コア層の片面または両面に形成されてなる表面層とを有する、発泡樹脂を含む芯材、及び前記表面層の少なくとも一部に、繊維及び樹脂を含む表皮材が積層された繊維複合体であり、前記表面層と前記表皮材とが積層している部分において、前記表面層の気泡の平均アスペクト比が0.05以上0.45未満であり、前記コア層の気泡の平均アスペクト比が0.55以上1.00未満である。
本実施形態の繊維複合体は、発泡樹脂を含む芯材の少なくとも一方の表面の少なくとも一部に、繊維及び樹脂を含む表皮材が配置された複合体であることが好ましい。上記表皮材は、上記表面層上に積層され、芯材の両表面に設けられていてもよいし、片面に設けられていてもよい。上記表皮材は、芯材の表面の一部に設けられていてもよいし、全面に設けられていてもよい。
図1の繊維複合体1は、コア層7の両面の全面に表面層5及び表面層6が形成された芯材2と、表面層5及び表面層6の全面に表皮材3及び表皮材4が積層された繊維複合体1である。なお、芯材におけるコア層、表面層とは、異なる方法で作製したコア層と表面層とを積層してもよいし、後述の実施例に記載のように、圧縮工程等を経て1つの発泡体を含む積層体から形成してもよい。
表面層は、コア層7の両面に形成されている必要はなく、芯材において表皮材が積層一体化されている面側に少なくとも形成されていればよい。したがって、芯材2の表面層5側のみに表皮材3が積層一体化されている場合には、コア層7の一方の面に表面層5が形成され、コア層7の他方の面には表面層がなくてもよい。コア層7の一方の面に表面層5が設けられた場合では、コア層7の他方の面側(図1の下面側)の構造は、特に制限されず、発泡した層であっても非発泡の層であってもよいが、発泡した層であることが好ましい。コア層7の下面に形成されている層が発泡した層である場合、該層は、コア層7又は表面層5と同様の構成(例えば、気泡の平均アスペクト比や平均長径、見掛け密度等)を有していてもよい。
本実施形態の繊維複合体における上記芯材は、発泡樹脂を含む。芯材には、目的や用途に応じて、発泡樹脂以外の部材が含まれていてもよい。ただし、発泡樹脂の特性が得られやすい観点から、芯材は発泡樹脂のみからなることが好ましい。また、芯材は、発泡樹脂を含む発泡体であることが好ましく、樹脂成分が発泡樹脂のみからなる発泡体であることがより好ましい。
上記発泡樹脂は、耐熱性が高い樹脂が好ましく、より好ましくはポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂等を主成分とする発泡樹脂であり、特に好ましくはポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂である。なお、発泡樹脂は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。ここで、「主成分とする」とは、発泡樹脂全量(100質量%)に対して、50質量%以上含むことをいい、60質量%以上としてもよく、100質量%としてもよい。
なお、ポリエステル系樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
なお、ポリアミド系樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ポリアミド共重合体としては、例えば、ナイロン6/66、ナイロン66/6、ナイロン66/610、ナイロン66/612、ナイロン66/6T(Tは、テレフタル酸成分を表す)、ナイロン66/6I(Iは、イソフタル酸成分を表す)、ナイロン6T/6I等が挙げられる。中でも、脂肪族ポリアミドが好ましく、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66、ナイロン66/6等がより好ましい。
上記反応性の置換基は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、反応性の置換基を有する化合物や重合体等は、1分子中に複数種の官能基を有していてもよい。
なお、反応性の置換基のポリアミド系樹脂への導入量は、架橋により樹脂にゲル化等が生じない程度とするのがよい。
この場合、末端封止剤を添加する時期としては、原料仕込み時、重合開始時、重合中後期、又は重合終了時が挙げられる。
上記ポリフェニレンエーテル系樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記他の樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記スチレン誘導体としては、特に限定されないが、例えば、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ジフェニルエチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。
スチレン又はスチレン誘導体の単独重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、ポリクロロスチレン等が挙げられる。
スチレン及び/又はスチレン誘導体を主成分とする共重合体としては、例えば、スチレン−α−オレフィン共重合体;スチレン−ブタジエン共重合体;スチレン−アクリロニトリル共重合体;スチレン−マレイン酸共重合体;スチレン−無水マレイン酸共重合体;スチレン−マレイミド共重合体;スチレン−N−フェニルマレイミド共重合体;スチレン−N−アルキルマレイミド共重合体;スチレン−N−アルキル置換フェニルマレイミド共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;スチレン−メタクリル酸共重合体;スチレン−メチルアクリレート共重合体;スチレン−メチルメタクリレート共重合体;スチレン−n−アルキルアクリレート共重合体;スチレン−n−アルキルメタクリレート共重合体;エチルビニルベンゼン−ジビニルベンゼン共重合体;ABS、ブタジエン−アクリロニトリル−α−メチルベンゼン共重合体等の三元共重合体;スチレングラフトポリエチレン、スチレングラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体、(スチレン−アクリル酸)グラフトポリエチレン、スチレングラフトポリアミド等のグラフト共重合体;等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、ポリスチレン系樹脂には、必要に応じて、ブタジエン等のゴム成分を添加して使用してもよい。ゴム成分の含有量は、ポリスチレン系樹脂100質量%に対して、1.0〜20質量%であることが好ましく、例えば、6質量%としてよい。
脂肪族ジオール類としては、例えば2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、1,14−テトラデカンジオール、オクタエチレングリコール、1,16−ヘキサデカンジオール、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}メタン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}エタン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−1−フェニルエタン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル}プロパン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ビフェニル}プロパン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル}プロパン、2,2−ビス{3−t−ブチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}ブタン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−4−メチルペンタン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}オクタン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}デカン、2,2−ビス{3−ブロモ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{3,5−ジメチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{3−シクロヘキシル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、1,1−ビス{3−シクロヘキシル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}ジフェニルメタン、9,9−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル}フルオレン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロペンタン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ジフェニルエ−テル、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル、1,3−ビス[2−{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロピル]ベンゼン、1,4−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、1,3−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、4,8−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,3−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−5,7−ジメチルアダマンタン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール(イソソルビド)、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−マンニトール(イソマンニド)、1,4:3,6−ジアンヒドロ−L−イジトール(イソイディッド)等が挙げられる。これらの中で芳香族ビスフェノール類が好ましく、中でも、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−スルホニルジフェノール、2,2’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼンおよび1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼンが好ましい。殊に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−スルホニルジフェノールおよび9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンが好ましい。中でも、強度に優れ、良好な耐久性を有する2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが最も好適である。また、これらは単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。さらにポリカーボネート樹脂は、分岐化剤を上記のジヒドロキシ化合物と併用して分岐化ポリカーボネート樹脂としてもよい。
上記芯材はコア層と、このコア層の片面または両面に形成されてなる表面層とを含んでいる。
上記コア層の気泡の平均スペクト比は、上記表面層と上記表皮材とが積層している部分の、該表面層と接するコア層(表皮材の厚み方向下側のコア層)の気泡の平均アスペクト比であってもよい。
なお、本明細書において平均アスペクト比とは、後述の実施例に記載の方法で測定される値をいう。本明細書における平均アスペクト比とは、平均アスペクト比が特定範囲を満たす、30個の気泡が少なくとも1組存在していることが好ましく、少なくとも2組存在することがより好ましく、特定範囲を満たさない30個の気泡が存在しないことが更に好ましい。
なお、本明細書において気泡の平均長径は、後述の実施例に記載の方法で測定される値をいう。本明細書における平均長径とは、平均長径が特定範囲を満たす、30個の気泡が少なくとも1組存在していることが好ましく、少なくとも2組存在することがより好ましく、特定範囲を満たさない30個の気泡が存在しないことが更に好ましい。
なお、本明細書において、見掛け密度とは、芯材からコア層又は表面層のみを切り出し、コア層又は表面層について測定した体積及び重量から求められる、後述の実施例に記載の方法で測定される値をいう。
上述したコア層の厚み方向における片面もしくは両面に表面層が形成される。そして、表面層のうち、表皮材が積層一体化されている最表面は、表皮材との接合箇所であってよい。このようにコア層と表皮材との間に表面層を介在し、その表面層の発泡のアスペクト比を状態を適切にすることにより、表面層と表皮材との密着性を強化し、高温環境下での表面層と表皮材との積層構造の破壊を低減することができる。
なお、表面層上に表皮材がない部分においても、表皮層は、芯材の厚み方向に、表面層の表面から250μmの位置まで、又は表面層の表面から芯材の全厚みに対して14〜16%の長さの位置までとしてよい。
また、表面層の見かけ密度はコア層の見かけ密度より小さいほうが、衝撃が強く、表面層での破壊が抑制されるため好ましい。
本実施形態の繊維複合体に用いられる繊維及び樹脂を含む表皮材は、例えば、強化繊維に強化用合成樹脂を含浸させてなる繊維強化プラスチック層形成材からなる層を後述の圧縮工程で加熱しながら圧縮して形成されるものであることが好ましい。
熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、マレイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、マレイミド樹脂とシアン酸エステル樹脂とを予備重合した樹脂、等が挙げられ、耐熱性、衝撃吸収性又は耐薬品性に優れていることから、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂には、硬化剤、硬化促進剤等の添加剤が含有されていてもよい。
熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、アミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、サルファイド系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられ、発泡体との接着性又は繊維強化プラスチック層を構成している強化繊維同士の接着性に優れていることから、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂が好ましい。
ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。ジオールは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
ジイソシアネートとしては、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネートが挙げられる。ジイソシアネートは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
(発泡体の製造方法)
本実施形態の芯材に含まれる発泡体の製造方法としては、公知の製造方法を用いることができる。具体的には、(1)発泡性を備える樹脂粒子を型内に充填し、水蒸気等で加熱し、樹脂粒子を発泡させると同時に樹脂粒子同士を熱融着させることによって、発泡成形品(発泡体)を製造する方法(型内発泡成形法)、(2)合成樹脂を押出機に供給して化学発泡剤又は物理発泡剤等の発泡剤の存在下にて溶融混練し押出機から押出発泡させて発泡体を製造する方法(押出発泡法)、(3)合成樹脂及び化学発泡剤を押出機に供給して化学発泡剤の分解温度未満にて溶融混練し押出機から発泡性樹脂成形体を製造し、この発泡性樹脂成形体を発泡させて発泡体を製造する方法等が挙げられる。中でも、上記型内発泡成形法は、製品形状を自由に設定しやすく、高発泡倍率の発泡成形品を得やすい等の利点がある。
なお、本明細書において、予備発泡粒子とは、最終段階の発泡を行っていない発泡性を備えた樹脂粒子(ビーズ等)を指す。
樹脂に発泡剤を含浸させる方法としては、水等の懸濁系で水性媒体を用いて行う方法(懸濁含浸法)、重炭酸ナトリウム等の熱分解型発泡剤を用いる方法(発泡剤分解法)、ガスを臨界圧力以上の雰囲気とし液相状態にして、樹脂に接触させる方法(液相含浸法)、ガスを臨界圧力未満の雰囲気とし気相状態にして、樹脂に接触させる方法(気相含浸法)等が挙げられる。発泡剤を含有させる方法としては、特に気相含浸法が好ましい。
ガスとし得る化合物の例としては、二酸化炭素、窒素、酸素、水素、アルゴン、ヘリウム、ネオン等の無機化合物;トリクロロフルオロメタン(R11)、ジクロロジフルオロメタン(R12)、クロロジフルオロメタン(R22)、テトラクロロジフルオロエタン(R112)、ジクロロフルオロエタン(R141b)、クロロジフルオロエタン(R142b)、ジフルオロエタン(R152a)、HFC−245fa、HFC−236ea、HFC−245ca、HFC−225ca等のフルオロカーボン;HFO−1234y、HFO−1234ze(E)等のハイドロフルオロオレフィン;プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン等の飽和炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類;塩化メチル、塩化エチル等の塩素化炭化水素類;メタノール、エタノール等のアルコール類;等が挙げられる。
これらの空気やガスとし得る化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記発泡樹脂は、予備発泡粒子を、予熱工程と融着工程において、二段階で加熱して得ることが好ましい。
この方法によれば、一段階目に、予備発泡粒子の熱融着温度以下の水蒸気で予備発泡粒子を予備的に加熱することによって、予備発泡粒子の集合体全体における温度分布をより均一にすることができる。そして、この一段階目の予備的な加熱により、二段階目に、熱融着温度以上の水蒸気で予備発泡粒子を加熱した際に、予備発泡粒子における発泡がより均一なものとなり、予備発泡粒子を発泡体に成形しやすくなる。
また、この方法によれば、得られる発泡樹脂において、樹脂の結晶子サイズがより大きくなり、また、結晶化度がより高くなり、ひいては、耐熱性に優れた芯材を得ることができる。
なお、本明細書において、熱融着温度とは、予備発泡粒子を飽和水蒸気内において加熱し、予備発泡粒子同士が融着する温度を指す。熱融着温度の測定方法は下記に記載の通りである。なお、本明細書において熱融着温度は、後述の実施例に記載の方法で測定される値をいう。
一段階目の加熱時間は、2秒以上であることが望ましく、3秒以上であることが更に望ましく、20秒以下であることが望ましく、15秒以下であることが更に望ましい。
二段階目の加熱時間は、10秒以上であることが望ましく、15秒以上であることが更に望ましく、60秒以下であることが望ましく、45秒以下であることが更に望ましい。
なお、独立気泡率S(%)は、下記式(3)で表される式により算出される。
S(%)={(Vx−W/ρ)/(Va−W/ρ)}×100 ・・・(3)
式中、Vxは、発泡体の真の体積(cm3)であり、Vaは、発泡体の見かけの体積(cm3)であり、Wは、発泡体の重量(g)であり、ρは、発泡体の基材樹脂の密度(g/cm3)である。
独立気泡率は、繊維複合体から表皮材を切り取って測定することが可能である。
なお、寸法変化率は、JIS K6767の寸法安定性評価・B法に準拠して、測定した値をいう。
なお、融着率の測定方法は、実施例に記載の通りである。
本実施形態の繊維複合体の製造方法としては、公知の熱成形方法を用いることができ、例えば、真空成形法、圧空成形法、圧縮成形法等が挙げられる。真空成形法及び圧空成形法を応用した熱成形方法として、例えば、ストレート成形法、ドレープ成形法、プラグアシスト成形法、プラグアシスト・リバースドロー成形法、エアスリップ成形法、スナップバック成形法、リバースドロー成形法、プラグアシスト・エアスリップ成形法、マッチモールド成形法、及び、これらの成形法を組み合わせた熱成形方法が挙げられる。
上記圧縮工程は、上記発泡体の圧縮変形率が30〜65%となるように圧縮することが好ましい。なお、積層体の加熱温度とは、積層体の繊維強化プラスチック層形成材の表面温度をいう。この加熱温度は、強化用合成樹脂のガラス転移温度より20℃低い温度以上でかつガラス転移温度より60℃高い温度以下であると、硬化時間内で十分な硬化が得られるため、密着性が向上し、100℃の高温環境下において、剛性が保たれて好ましい。さらに加熱温度は、芯材に含まれる発泡樹脂の熱融着温度とも関係し、熱融着温度より40℃低い温度以上熱融着温度より20℃高い温度以下であることが好ましく、この条件だと、芯材の気泡の平均アスペクト比及び気泡の形状を適度に保ち、積層体の界面の密着性が非常に高くなり、100℃の高温環境下において、剛性が保たれて好ましい。芯材に含まれる発泡樹脂の熱融着温度より20℃より高い温度より高温で圧縮を行うと、芯材が溶融してしまい、芯材の気泡が破裂、消失して好ましくない。より好ましくは芯材に含まれる発泡樹脂の熱融着温度より30℃低い温度以上、芯材に含まれる発泡樹脂の熱融着温度より10℃高い温度以下である。
また、押圧は0.2〜1MPaが好ましく、より好ましくは0.2〜0.7MPaである。押圧がこの範囲にある場合、繊維複合体の表面外観がよく、芯材中の各層の気泡の平均アスペクト比も適切な範囲にある。圧縮変形率は押圧方向の厚みの変化を示す。押圧方向5mmの発泡体を3mmに変形した場合、この圧縮変形率は40%となる。圧縮変形率は、30〜65%であることが好ましく、軽量化を維持したまま、気泡の平均アスペクト比を適切にすることが可能となる。圧縮変形率は好ましくは40%以上であり、さらに好ましくは45%より大きく、また、60%以下であることが好ましい。本発明実態では、圧縮工程の前に、積層体を、圧力をかけない条件で、予備加熱工程を実施することが好ましい。このような予備加熱工程を実施することによって、芯材の繊維強化プラスチック層形成材が積層されている面における表面部を適度に軟化させることが可能となる。
得られた芯材について、重量W(kg)を測定し、その後、水没法により、芯材の見かけの体積Va(m3)を測定した。そして、その重量Wを見かけの体積Vaで除した値W/Va(kg/m3)を、芯材の密度とした。
前述の(A)において見かけの体積Vaを測定した芯材について、その真の体積(Vx)を空気比較式比重計(ベックマン(株)社製)を用いて測定した。そして、式(3)に従って、独立気泡率S(%)を算出した。
S(%)={(Vx−W/ρ)/(Va−W/ρ)}×100 ・・・(3)
式中、Vxは、芯材の真の体積(cm3)であり、Vaは、芯材の見かけの体積(cm3)であり、Wは、芯材の重量(g)であり、ρは、芯材の基材樹脂の密度(g/cm3)である。
縦:300mm、横:300mm、厚み:20mmの板状の芯材の表面にカッターナイフを用いて縦に2等分するように5mmの深さの切り込み線を入れ、この線に沿って芯材を分割した。この分割面に現れた予備発泡粒子に関して、予備発泡粒子が粒子内で破断している(予備発泡粒子が分割面により破壊されている)ものの数(a)と、予備発泡粒子同士の界面に沿って破断している(予備発泡粒子同士の界面が分割面になっている)ものの数(b)とを測定し、下記式(4)に従って融着率(%)を算出した。
融着率(%)={a/(a+b)}×100・・・(4)
得られた発泡樹脂の予備発泡粒子を、気泡内部の圧力が大気圧であり、炭化水素等の発泡剤を含んでいない状態にした。この予備発泡粒子10gを金属メッシュの容器に予備発泡粒子同士が接触するように入れ、次いで、所定温度の飽和蒸気で30秒間加熱した。そして、加熱後に予備発泡粒子同士が全体で80%以上融着していた温度のうちの最低の温度(℃)を、予備発泡粒子の熱融着温度(℃)とした。
繊維複合体をその厚み方向に切断し、走査型電子顕微鏡を用いて切断面を200倍で撮影した。なお、実施例の切断面の模式図(図1)を用いて説明をする。得られた切断面の撮影像において、表皮材3、表皮材4、芯材2からなる繊維複合体の厚み方向(芯材2と表皮材との界面に対して直交する方向)に、表皮材3と芯材2との界面から、該界面から250μmの位置までの部分を表面層5、表面層6とした。また、芯材2において、表面層5、最表面6を除いた残余部分をコア層7とした。
次に、コア層7、表面層4、及び表面層5にそれぞれ含まれている30個の気泡について、気泡断面の外側輪郭線上において相互の距離が最大となる任意の2点を選び、この2点間の距離である「気泡の長径」、この気泡の長径に対して直交する直線と気泡断面の外側輪郭線とが交わる任意の2点のうち相互の距離が最大となる任意の2点を選び、この2点間の距離である「気泡の短径」を測定した。
そして、気泡の短径を気泡の長径で除することにより得た各気泡のアスペクト比の相加平均値を各層の平均アスペクト比とした。
また、各気泡の長径の相加平均値を各層の平均長径とした。
なお、上記切断面において、芯材2表面において断面が露出している気泡が存在している場合、このような気泡はアスペクト比の測定対象から除外した。例えば、芯材から未発泡の表皮を切断除去した場合等は、芯材表面に断面が露出している気泡が存在している可能性がある。また、コア層7と、表面層5又は表面層6との界面上に跨がって存在している気泡もアスペクト比の測定対象から除外した。
なお、上側とは表皮材と一体化する際に縦型プレス機に横置きサンプルを設置した時に上側の面を示し、下側は下側の面を示す。
結果を表1に示す。
実施例及び比較例で得られた繊維複合体の芯材のコア層、表面層それぞれを立方体形状で切出し、重量W(kg)を測定した後、ノギスにてシート状の繊維複合体の3辺を測定し、その体積V(m3)を計算した。そして、体積Vに対する重量Wの割合(W/V)(kg/m3)を見かけ密度とした。
結果を表1に示す。
JIS K7221に準拠し、実施例及び比較例で得られた繊維複合体の曲げ強度(MPa)を求めた。具体的には、得られたサンプルから、縦100mm×横15mm×厚み(得られたサンプル厚み)のサイズで試験片を10本切り出した。標準状態として、温度23℃、相対湿度50%に制御した室内に24時間静置して状態調整した試験片を、AUTOGRAPH AG−5000D(島津製作所製)での測定に5本供し、JISに規定する計算式から、曲げ強度(23℃雰囲気下)(MPa)を算出し、平均を求めた。また、標準状態として、温度23℃、相対湿度50%に制御した室内に24時間静置し、その後、恒温槽内にて100℃に1時間静置して状態調整した試験片を、100℃恒温槽内にて、AUTOGRAPH AG−5000D(島津製作所製)での測定に5本供し、JISに規定する計算式から曲げ強度(100℃雰囲気下)(MPa)を算出し、平均を求めた。
結果を表1に示す。
(5−1)表面平滑性
実施例及び比較例で得られた繊維複合体を(4)曲げ強度の測定と同様にして、標準状態として、温度23℃、相対湿度50%に制御した室内に24時間静置し、その後、恒温槽内にて100℃に1時間静置して状態調整した繊維複合体の表面を目視にて観察し、表皮材と芯材との接着状態を以下のように評価した。
結果を表1に示す。
◎(優れる):5本の試験片何れも、表面平滑性、表皮材と芯材との接着性ともに良好。
○(良好):表面平滑性は、実用上問題ないが、5本の試験片の何れかに、表皮材と芯材との間に一部浮(ウキ)が観られた。
×(劣る):5本の試験片の何れかに、表面のうねり(大きな凹凸)が生じ、表面平滑性がよくない。又は、5本の試験片の何れかに、表皮材と芯材との間に浮(ウキ)が観られ、実用上問題がある。
実施例及び比較例で得られた繊維複合体の表面を目視にて観察し、表層の状態を以下のように評価した。
結果を表1に示す。
○(良好):表皮材の樹脂が十分硬化し、繊維複合体の表面に、樹脂不足や凹凸がない。
×(劣る):表皮材の樹脂が芯材側へ入り込み、繊維複合体の表面に、樹脂不足により繊維の露出や凹凸形状ができている。発泡樹脂の収縮が生じ、表面に凹凸形状ができている。
実施例及び比較例で得られた繊維複合体の厚み(mm)を、ノギスを用いて測定した。また、上側表面層に積層している表皮材及び下側表面層に積層している表皮材の合計厚み(mm)を、ノギスを用いて測定した。
結果を表1に示す。
引張弾性率が250GPaの炭素繊維と、硬化した後のガラス転移温度が90℃であるエポキシ樹脂とで構成される、繊維目付が200g/m2、炭素繊維含有量が60質量%のクロスプリプレグ(商品名「TR3110」、三菱レイヨン社製)を作製し、表皮材として表裏各1枚用意した。
次に、芯材としてのポリアミド系樹脂発泡体を下記の方法で用意した。
ポリアミド系樹脂としてのナイロン6(商品名:UBEナイロン 1022B、宇部興産(株)製)100質量部、核剤としてのタルク0.8質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(Irganox1098、BASF製)0.3質量部を、単軸押出機にて加熱条件下で溶融混練し、その後ストランド状に押出し、冷水槽で水冷し、カッティングを行い、ペレット形状の基材樹脂を作製した。
これに、特開2011−105879号公報の実施例に記載の方法に準じて、基材樹脂に発泡剤としての炭酸ガスを含有させた。そして、炭酸ガスを含めた基材樹脂を加熱することによって、発泡を生じさせて、密度:300kg/m3の予備発泡粒子を得た。
得られた予備発泡粒子をオートクレーブ中に封入し、オートクレーブ内の圧力が0.5MPaとなるまで、圧縮空気を1時間かけて導入し、その後、圧力を0.5MPaに24時間保持することによって、予備発泡粒子に加圧処理を施した。
加圧処理した予備発泡粒子を、型内発泡成形機に取り付けた、型内成形の金型のキャビティ寸法は、縦:300mm、横:300mm、高さ:3mmである。金型を型締めした後、予備発泡粒子を充填し、その後、キャビティ内に135℃の飽和水蒸気を10秒間供給し(一段階目の加熱)、さらに、キャビティ内に144℃の飽和水蒸気を30秒間供給して(二段階目の加熱)、予備発泡粒子を発泡させ、且つ熱融着させることによって、密度:200kg/m3の予備発泡粒子を成形した。
金型のキャビティ内に冷却水を供給することによって、得られた成形体を冷却し、その後、型開きを行い、芯材としてのポリアミド系樹脂発泡体を取り出した。
得られた発泡体を芯材として用い、芯材の上下両面に表皮材を1枚ずつ積層し、次いで、この積層体を、圧力をかけずに、140℃で3分間保持した後、面圧0.5MPaで加圧しながら、20分間保持することによって、表皮材と芯材とを同時成形して繊維複合体を得た。繊維複合体は、標準状態及び100℃の高温環境下のいずれにおいても、良好な曲げ弾性率を備え、良好な外観を有していた。
なお、実施例1で得られた繊維複合体は、芯材の表面層の全面に表皮材が積層された繊維複合体である。
実施例1の詳細を表1に示す。
実施例1と同様に密度:200kg/m3の予備発泡粒子を得た後、得られた予備発泡粒子をオートクレーブ中に封入し、オートクレーブ内の圧力が0.5MPaとなるまで、圧縮空気を1時間かけて導入し、その後、圧力を0.5MPaに24時間保持する、という加圧処理を実施し、その後に、230℃で加熱することによって、更に発泡を生じさせて、密度:120kg/m3とした点以外は、実施例1と同様にして製造及び評価を行った。実施例2の詳細を表1に示す。
実施例2と同様に、密度:120kg/m3の予備発泡粒子を得た後、得られた予備発泡粒子をオートクレーブ中に封入し、オートクレーブ内の圧力が0.5MPaとなるまで、圧縮空気を1時間かけて導入し、その後、圧力を0.5MPaに24時間保持する、という加圧処理を実施し、その後に、230℃で加熱することによって、更に発泡を生じさせて、密度:40kg/m3とした点以外は、実施例1と同様にして製造及び評価を行った。
実施例3の詳細を表1に示す。
実施例1において、特開2011−105879号公報の実施例に記載の方法に基づき、得られたミニペレットの基材樹脂を10℃の圧力釜に入れて発泡剤として炭酸ガスを3MPaの加圧化で3時間吸収させて発泡粒子を得た。この得られた発泡粒子を再発泡処理することなく、実施例1と同様の型内発泡成形機で加熱することで密度:500kg/m3の芯材を得た。この芯材を用いて、実施例1と同様にして製造及び評価を行った。
実施例4の詳細を表1に示す。
芯材としてのポリアミド系樹脂発泡体を下記の方法で用意した以外は、実施例1と同様にして製造及び評価を行った。
ポリアミド系樹脂としてナイロン666(ナイロン66/6)(商品名:Novamid 2430A、(株)DSM製)100質量部、核剤としてのタルク0.8質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(Irganox1098、BASF製)0.3質量部を、押出機にて加熱条件下で溶融混練し、その後ストランド状に押出し、冷水槽で水冷し、カッティングを行い、ペレット形状の基材樹脂を作製した。
これに、特開2011−105879号公報の実施例に記載の方法に準じて、基材樹脂に発泡剤としての炭酸ガスを含有させた。そして、炭酸ガスを含めた基材樹脂を加熱することによって、発泡を生じさせて、密度:200kg/m3の予備発泡粒子を得た。
得られた予備発泡粒子をオートクレーブ中に封入し、オートクレーブ内の圧力が0.4MPaとなるまで、圧縮空気を1時間かけて導入し、その後、圧力を0.4MPaに24時間保持することによって、予備発泡粒子に加圧処理を施した。
加圧処理した予備発泡粒子を、型内成形金型のキャビティ(キャビティ寸法は、縦:300mm、横:300mm、高さ:3mm)内に充填し、その後、型締めした。そして、この金型を型内発泡成形機に取り付けた。
その後、キャビティ内に130℃の飽和水蒸気を40秒間供給し、予備発泡粒子を発泡させ、且つ熱融着させることによって、予備発泡粒子を成形した。
金型のキャビティ内に冷却水を供給することによって、得られた成形体を冷却し、その後、型開きを行い、芯材としてのポリアミド系樹脂発泡体を取り出した。
得られた発泡体を芯材として用い、芯材の上下両面に実施例1で用いた表皮材を1枚ずつ積層し、次いで、この積層体を、圧力をかけずに、130℃で5分間保持した後、130℃、面圧0.5MPaで加圧しながら、20分間保持することによって、表皮材と芯材とを同時成形して繊維複合体を得た。繊維複合体は、標準状態及び100℃の高温環境下のいずれにおいても、良好な曲げ弾性率を備え、良好な外観を有していた。
なお、実施例5で得られた繊維複合体は、芯材の表面層の全面に表皮材が積層された繊維複合体である。
実施例5の詳細を表1に示す。
ポリエチレンテレフタレート(PET、三井化学社製 商品名「SA−135」)100重量部、ポリエチレンテレフタレートにタルクを含有させてなるマスターバッチ(ポリエチレンテレフタレート含有量:60重量%、タルク含有量:40重量%)1.8重量部及び無水ピロメリット酸0.2重量部を含むポリエチレンテレフタレート組成物を単軸押出機にて290℃の加熱条件下で溶融混練し、続いて、押出機の途中から、ノルマルブタンをポリエチレンテレフタレート100重量部に対して0.8重量部となるように溶融状態のポリエチレンテレフタレート組成物に圧入して、ポリエチレンテレフタレート中に均一に分散させた。
しかる後、押出機の前端部において、溶融状態のポリエチレンテレフタレート組成物を280℃に冷却した後、単軸押出機にて加熱条件下で溶融混練し、その後ストランド状に押出し、冷水槽で水冷し、カッティングを行い、ペレット形状の密度:400kg/m3の発泡粒子を得た。
得られた予備発泡粒子をオートクレーブ中に封入し、オートクレーブ内の圧力が0.5MPaとなるまで、圧縮空気を1時間かけて導入し、その後、圧力を0.5MPaに24時間保持することによって、予備発泡粒子に加圧処理を施した。
加圧処理した予備発泡粒子を、型内成形金型のキャビティ(キャビティ寸法は、縦:300mm、横:300mm、高さ:3mm)内に充填し、その後、型締めした。そして、この金型を型内発泡成形機に取り付けた。
その後、キャビティ内に135℃の飽和水蒸気を10秒間供給し(一段階目の加熱)、その後、キャビティ内に150℃の飽和水蒸気を30秒間供給して(二段階目の加熱)、予備発泡粒子を発泡させ、且つ熱融着させることによって、予備発泡粒子を成形した。
金型のキャビティ内に冷却水を供給することによって、得られた成形体を冷却し、その後、型開きを行い、芯材としてのPET系樹脂発泡体を取り出した。
得られた発泡体を芯材として用い、芯材の上下両面に表皮材を1枚ずつ積層し、次いで、この積層体を、圧力をかけずに、140℃で3分間保持した後、面圧0.4MPaで加圧しながら、20分間保持することによって、表皮材と芯材とを同時成形して繊維複合体を得た。繊維複合体は、標準状態及び100℃の高温環境下のいずれにおいても、良好な曲げ弾性率を備え、良好な外観を有していた。
なお、実施例6で得られた繊維複合体は、芯材の表面層の全面に表皮材が積層された繊維複合体である。
メタクリル酸メチル(MMA)70重量部、スチレン(ST)10重量部、無水マレイン酸(MAH)20重量部、発泡剤としてのnブタノール10重量部にタルク0.8重量部と、開始剤としてラウロイルパーオキザイド0.3重量を室温で、10分撹拌後、縦、横各500mm厚み10mmのガラス板の平面に、15mmのシリコーンゴムのOパッキンをガラス板の端部付近に置き、Oパッキン内に先のモノマー溶液を充填して、さらにその上にもう一枚同じガラス板を置いて、Oパッキン及びモノマー溶液をガラスで挟み込むようにして、ガラスの周辺に厚みが調整できるクリップ複数用いて厚みが12mmになるようクリップを均等に締め付けた。それを、60℃の温水バスに24時間浸漬した。その後取り出し、130℃のオーブンに1時間キュアして、その後室温まで冷却し、クリップ、ガラス板を取り外し、Oパッキンを切断削除して特殊アクリル系樹脂板を得た。この特殊アクリル系樹脂を粉砕機で粉砕し、分級して2mmの粉砕粒子を得た。この粉砕微粒子を150℃の防爆オーブンに60分入れて、粉砕微粒子中のn−ブタノールが揮発する際、軟化した粉砕微粒子に発泡を生じさせて、取り出し、密度:200kg/m3の予備発泡粒子を得た。
得られた予備発泡粒子をオートクレーブ中に封入し、オートクレーブ内の圧力が0.5MPaとなるまで、圧縮空気を1時間かけて導入し、その後、圧力を0.5MPaに24時間保持することによって、予備発泡粒子に加圧処理を施した。
加圧処理した予備発泡粒子を、型内成形金型のキャビティ(キャビティ寸法は、縦:300mm、横:300mm、高さ:3mm)内に充填し、その後、型締めした。そして、この金型を型内発泡成形機に取り付けた。
その後、キャビティ内に135℃の飽和水蒸気を10秒間供給し(一段階目の加熱)、その後、キャビティ内に150℃の飽和水蒸気を30秒間供給して(二段階目の加熱)、予備発泡粒子を発泡させ、且つ熱融着させることによって、予備発泡粒子を成形した。
金型のキャビティ内に冷却水を供給することによって、得られた成形体を冷却し、その後、型開きを行い、芯材としてのアクリル系樹脂発泡体を取り出した。
得られた発泡体を芯材として用い、芯材の上下両面に実施例1で用いた表皮材を1枚ずつ積層し、次いで、この積層体を、圧力をかけずに、120℃で3分間保持した後、面圧0.4MPaで加圧しながら、20分間保持することによって、表皮材と芯材とを同時成形して繊維複合体を得た。繊維複合体は、標準状態及び100℃の高温環境下のいずれにおいても、良好な曲げ弾性率を備え、良好な外観を有していた。
なお、実施例7で得られた繊維複合体は、芯材の表面層の全面に表皮材が積層された繊維複合体である。
ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)(旭化成株式会社製、S201A)を60質量%、非ハロゲン系難燃剤(ビスフェノールA−ビス(ジフェニルホスフェート)(BBP))を18質量%、ゴム濃度が6質量%の耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)を10質量%(基材樹脂中のゴム成分含有量は0.6質量%)、汎用ポリスチレン樹脂(PS)(PSジャパン株式会社製、GP685)を12質量%用い、これらを押出機にて加熱溶融混練の後に押し出し、芯材としての基材樹脂ペレットを作製した。特開平4−372630号公報の実施例1に記載の方法に準じ、基材樹脂ペレットを耐圧容器に収容し、容器内の気体を乾燥空気で置換した後、発泡剤として二酸化炭素(気体)を注入し、圧力3.2MPa、温度11℃の条件下で3時間かけて、基材樹脂ペレットに対して二酸化炭素を7質量%含浸させた。
その後、基材樹脂ペレットを予備発泡機内で攪拌羽を77rpmにて回転させながら、加圧水蒸気により発泡させて、発泡ビーズを得た。
この発泡ビーズを0.5MPaまで1時間かけて昇圧し、その後0.5MPaで8時間保持し、加圧処理を施した。
これを、水蒸気孔を有する型内成形金型内に充填し、加圧水蒸気で加熱して発泡ビーズ相互を膨張・融着させた後、冷却し、成形金型より取り出し、発泡ビーズ成形体(発泡体)を得た。
得られた発泡体を芯材に用い、実施例1で用いた表皮材を芯材の上下両面に1枚ずつ積層し、次いで、この積層体を、圧力をかけずに、130℃で3分間保持した後、面圧0.4MPaで加圧しながら、15分間保持することによって、表皮材と芯材とを同時成型して繊維複合体を得た。繊維複合体は、標準状態及び100℃の高温環境下のいずれにおいても、良好な曲げ弾性率を備え、良好な外観を有していた。
なお、実施例8で得られた繊維複合体は、芯材の表面層の全面に表皮材が積層された繊維複合体である。
合成樹脂発泡シートとして、表1に示す、熱融着温度、発泡樹脂密度、独立気泡率、融着率を有する一辺が30cmの平面で、且つ厚みが3mmの直方体形状のポリカーボネート樹脂(PC)発泡シートを用いたこと以外は実施例1と同様にして繊維複合体を得た。
合成樹脂発泡シートの製造方法としては、原料としては、次のようにして合成した、ポリカーボネート樹脂パウダーを原料とした。2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下「ビスフェノールA」と称する事がある)710部を溶解した(ビスフェノールA溶液)後、塩化メチレン2299部と48.5%水酸化ナトリウム水溶液112部を加えて、15〜25℃でホスゲン354部を約90分かけて吹き込みホスゲン化反応を行った。ホスゲン化終了後、11%濃度のp−tet−ブチルフェノールの塩化メチレン溶液148部と48.5%水酸化ナトリウム水溶液88部を加えて、攪拌を停止し、10分間静置分離後、攪拌を行い乳化させ5分後、ホモミキサー(特殊機化工業(株))で回転数1200rpm、パス回数35回で処理し高乳化ドープを得た。該高乳化ドープを重合槽(攪拌機付き)で、無攪拌条件下、温度35℃で3時間反応し重合を終了した。反応終了後、有機相を分離し、塩化メチレンで希釈して水洗した後塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで温水を張ったニーダーに投入して、攪拌しながら塩化メチレンを蒸発させ、ポリカーボネートのパウダーを得た。脱水後、熱風循環式乾燥機により120℃で12時間乾燥し、ポリカーボネート樹脂パウダーを得た。
このようにして得られたポリカーボネート樹脂パウダー(ガラス転移温度154℃)100重量部に対して高分子量アクリル系樹脂(三菱レイヨン社製、商品名「メタブレンP−530A」、重量平均分子量300万)1重量部及び気泡調整剤(ポリテトラフルオロエチレン粉末)0.1重量部を含んでいた。L/Dが40の50mmφTダイ2軸押し出し機の温度を280℃とし、原料をホッパーから投入し、バレルの真ん中で液化ノルマルブタンを1MPaの圧力で加圧注入し、Tダイ出口でポリカーボネート樹脂が発泡するとともに、ノルマルブタンを気化させた。出口からは上下からステンレスシームベルトで出てきた発泡樹脂を挟み込んで発泡シートを作製した。得られた発泡シートを芯材として用い、芯材の上下両面に実施例1で用いた表皮材を1枚ずつ積層し、次いで、この積層体を、圧力をかけずに、100℃で3分間保持した後、面圧0.5MPaで加圧しながら、15分間保持することによって、表皮材と芯材とを同時成形して繊維複合体を得た。繊維複合体は、標準状態及び100℃の高温環境下のいずれにおいても、良好な曲げ弾性率を備え、良好な外観を有していた。
なお、実施例9で得られた繊維複合体は、芯材の表面層の全面に表皮材が積層された繊維複合体である。
実施例1で得られた発泡体を芯材として用い、芯材の上下両面に実施例1で用いた表皮材を2枚ずつ積層し、次いで、この積層体を、90℃で3分間保持した後、面圧0.4MPaで加圧しながら、15分間保持することによって、表皮材と芯材とを同時成形して繊維複合体を得た。
実施例1で得られた発泡体を芯材として用い、芯材の上下両面に実施例1に用いた表皮材を2枚ずつ積層し、次いで、この積層体を、圧力をかけずに、165℃で3分間保持した後、面圧0.4MPaで加圧しながら、20分間保持することによって、表皮材と芯材とを同時成形して繊維複合体を得た。
実施例1で得られた発泡体を芯材として用い、芯材の上下両面に実施例1に用いた表皮材を2枚ずつ積層し、次いで、この積層体を、圧力をかけずに、110℃で3分間保持した後、面圧1.6MPaで加圧しながら、1分間保持した。その後圧力を開放し、80℃のオーブンで20分キュアすることによって、表皮材と芯材との繊維複合体を得た。
実施例と比較し、比較例1は、表面層の気泡のアスペクト比が高いために、室温での強度は問題ないが、100℃での曲げ強度が不十分であり良くない結果となった。また、比較例2は、表面層及びコア層の気泡のアスペクト比が低すぎ、芯材としての発泡材の機能を発揮しておらず、強度は出るが、成形品の厚みや表面状態が悪いため、外観上良くない。比較例3は、表層のアスペクト比が低すぎるため、表層とコア層との界面が弱く、100℃での曲げ強度が不十分であり良くない。また、外観も良くない。
2 芯材
3 表皮材
4 表皮材
5 表面層
6 表面層
7 コア層
Claims (3)
- コア層と該コア層の片面または両面に形成されてなる表面層とを有する、発泡樹脂を含む芯材、及び前記表面層の少なくとも一部に、繊維及び樹脂を含む表皮材が積層された繊維複合体であり、
前記表面層が、厚み方向に、前記表皮材と前記表面層との界面から、該界面から250μmの位置までであり、
前記表面層と前記表皮材とが積層している部分において、前記表面層の気泡の平均アスペクト比が0.05以上0.45未満であり、前記コア層の気泡の平均アスペクト比が0.55以上1.00未満である、
ことを特徴とする、繊維複合体。 - 前記発泡樹脂が予備発泡粒子を含む、請求項1に記載の繊維複合体。
- 前記発泡樹脂がポリアミド系樹脂またはポリフェニレンエーテル系樹脂である、請求項1又は2に記載の繊維複合体。
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