JP2021048925A - 縫製システム - Google Patents
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Abstract
Description
裁断装置によりシート材料から裁断処理されたパーツを取り上げて縫製用のテンプレートに搬送する搬送装置と、
前記テンプレートを保持して前記パーツに対して縫製を行うミシンとを備え、
前記搬送装置は、縫製を終えた前記パーツを前記テンプレートから取り上げて規定の搬出先への搬出をも行うことを特徴とする。
前記裁断装置から裁断データの一部又は全部を取得し、当該裁断データに基づく前記パーツを特定する情報を前記搬送装置に送る中継端末を備え、
前記搬送装置は、同一平面上に点在する複数のピックアップヘッドを有するピックアップ装置を有し、前記パーツを特定する情報により、複数の前記ピックアップヘッドの中から一部を選択して前記パーツの取り上げを行うことを特徴とする。
前記ピックアップ装置は、
前記ピックアップヘッドを支持する第一フレーム及び第二フレームと、
第一フレームと第二フレームの間隔を調整可能な伸縮機構とを備え、
前記パーツを特定する情報に対応して、第一フレームと第二フレームの間隔を調整することを特徴とする。
複数の前記ピックアップヘッドに、吸引力を生じさせる空気流量を検出する流量センサを設け、
前記搬送装置は、前記流量センサの検出流量から前記テンプレートに対する前記パーツの搬送不良の有無を判定することを特徴とする。
前記テンプレートは、縫製パターンを特定する情報を記憶する記憶部を備えており、
前記搬送装置は、前記テンプレートに対する前記パーツの搬送不良と判定した場合に前記テンプレートの前記記憶部に搬送不良の判定結果を記録する判定結果記録部を備えることを特徴とする。
前記テンプレートに前記パーツが配置される作業位置と前記ミシンに前記テンプレートを供給する供給位置と前記テンプレートから前記パーツを搬出する搬出位置とを有し、これらのいずれかに複数の前記テンプレートを移送する移送機構を備えることを特徴とする。
前記テンプレートは、下板と、当該下板に対して起伏回動可能に支持されている押さえ板とを備え、
前記移送機構は、前記作業位置から前記供給位置に移送される際に、前記起伏状態の前記押さえ板に当接して倒す伏臥バーを備えることを特徴とする。
前記搬送装置は、前記パーツの表裏を反転させる反転装置を備えることを特徴とする。
以下、本発明の実施の形態である縫製システム100について図面に基づいて説明する。図1は縫製システム100の全体構成を示す斜視図、図2は平面図である。
縫製システム100は、裁断装置20により裁断処理されたシート材料Sから縫製が行われるパーツPを取り上げて縫製用のテンプレート70に搬送する搬送装置30と、テンプレート70を保持してパーツPに対して縫製を行うミシン60と、上記各構成の連携を図る中継端末80(図1では図示略)とを備えている。
裁断装置20、搬送装置30及びミシン60は、水平方向に一列に並んで配置されており、当該並び方向をY軸方向、水平且つY軸方向に直交する方向をX軸方向、鉛直上下方向をZ軸方向とする。
また、本実施形態の縫製システム100では、各種のサイズごとにペアとなるパーツP同士を縫い合わせて新たなパーツを形成する場合を例示するが、これに限らず、裁断後に被縫製物の縫製を行うあらゆる種類の縫製作業を行うことが可能である。
裁断装置20は、裁断が行われるシート材料Sを載置する裁断ステージ21と、裁断処理が行われたシート材料SからパーツPを取り上げる作業が行われる作業ステージ22と、裁断を行うメスを搭載した裁断ヘッド23と、裁断ヘッド23をX−Y平面に沿って任意に移動させる移動機構24と、裁断装置20の各部を制御する制御部25(図10参照)とを備えている。
そして、裁断ステージ21の上面と作業ステージ22の上面とは、ベルトコンベア機構の搬送ベルトで構成されており、いずれも、上面に載置されたシート材料SをY軸方向に沿って搬送することができる。これにより、裁断ステージ21の上面のベルトと作業ステージ22の上面のベルトとを同じ速度で駆動させることにより、裁断ステージ21の上面に載置されたシート材料Sを裁断ステージ21から作業ステージ22に受け渡すように搬送することが可能である。
移動機構24は、裁断ヘッド23をX軸方向に沿って移動可能に支持するレール241と、レール241上の裁断ヘッド23のX軸方向の移動駆動源となる図示しないX軸モーターと、裁断ヘッド23のY軸方向の移動駆動源となる図示しないY軸モーターとを備えている。
Y軸モーターは、裁断ステージ21に内蔵された、例えば、ボールネジ機構やベルト機構等の直動動作機構を介してレール241にY軸方向に沿った移動動作を付与する。
また、裁断装置20の制御部25は、通信ケーブルを介して中継端末80に接続されており、取得した裁断データに含まれるシート材料Sに対して形成すべき複数のパーツPの配置、サイズ、形状、向き等を含むパーツ情報(パーツを特定する情報)を中継端末80に送信する。
また、前述した裁断ステージ21と作業ステージ22のそれぞれのベルトコンベア機構の駆動源となるモーターは、いずれもエンコーダーによりその動作量が検出され、制御部25に入力している。
ミシン60は、いわゆる電子サイクル縫いミシンであり、縫い針の上下動により縫製を行う本体部61と、前述したテンプレート70を保持してX−Y平面に沿って任意に移動位置決めする移動機構62と、作業台63と、ミシン60を制御するコントローラ64(図10参照)とを備えている。
本体部61は、縫い針の上下動機構と、釜機構等の周知のミシンが有する構成と同一である。
作業台63は、上面がX−Y平面に沿って水平となっており、上面においてパーツPの縫製作業が行われる。
X軸モーターは、例えば、ボールネジ機構やベルト機構等の直動動作機構を介して保持部及びテンプレート70にX軸方向に沿った移動動作を付与する。
Y軸モーターは、例えば、ボールネジ機構やベルト機構等の直動動作機構を介して保持部及びテンプレート70にY軸方向に沿った移動動作を付与する。
保持部は、エアシリンダーやソレノイド等のアクチュエーターにより進退可能な連結ピンをテンプレート70に設けられた連結孔に挿抜して、テンプレート70の着脱を可能とする。
また、作業台63の角部には、後述するテンプレート70のICタグ73に対してデータの読み取り及び書き込みを行う記録部としてのタグリーダーライター65(図9参照)が設けられている。
シート材料Sは、前述したように、CADデータに基づく裁断制御情報に従って裁断が行われる。図3は、裁断が行われたシート材料Sの平面図である。
ここでは、複数のパーツP1〜P12が一枚のシート材料Sから切り出される場合を例示する。
パーツP1とP2とは対をなしており、これらは互いに貼り合わせる縫製が行われる。また、パーツP3とP4と、パーツP5とP6についても同様である。
また、パーツP7〜P12は、パーツP1〜P6と同様の関係にあり、なおかつ、パーツP1〜P6はLサイズ(大型サイズ)、パーツP7〜P12はSサイズ(小型サイズ)にサイズ設定されている。
各パーツP1〜P12は、シート材料Sに対する配置が全てCADデータによって定められている。
テンプレート70は、被縫製物であるパーツPが載置される下板71と、当該下板71に対して起伏回動可能に支持されている押さえ板72とを備えており、押さえ板72が倒れて下板71と平行になると、パーツPを挟持して保持する構造となっている。また、パーツPの保持状態において、下板71と押さえ板72の双方には、重合する配置で縫製パターンに応じた開口部711〜713(721〜723)が形成されており、縫製の際に針落ち位置の近傍を押さえることができるようになっている。
なお、このように、テンプレート70は、縫製パターンデータに個別に対応して設計されているので、図4に示すように、当該テンプレート70が対応する縫製パターンデータを特定するための識別IDやパターンデータナンバー等を示すデータ(縫製パターンを特定する情報)が記憶されたRFID(radio frequency identifier)のような記憶部としてのICタグ73が装備されている。
搬送装置30は、裁断装置20からパーツPを取り上げるピックアップ装置40と、パーツPの表裏を反転する反転装置35と、各テンプレート70を移送する移送機構50と、搬送装置30の各構成を制御するコントローラ31とを備えている。
ピックアップ装置40は、Y軸方向について、裁断装置20と移送機構50との間に配置されている。
ピックアップ装置40は、土台となるベース41と、ベース41にZ軸回りに回動可能に支持された第一アーム42と、第一アーム42によりZ軸回りに回動可能に支持された第二アーム43と、第二アーム43によりZ軸方向に沿って昇降可能且つZ軸回りに回動可能に支持された先端ツール44とを備えるスカラ型ロボットの構造を有している。なお、ピックアップ装置40は、スカラ型に限定されず、多関節型やXYZ直動型等の他の形態のロボットであっても良い。
図示のように先端ツール44は、フレーム441と、フレーム441から下方に向けて設けられた複数のピックアップヘッド442とを備えている。
フレーム441は、平面視でX軸方向について対称に形成された第一フレーム441aとダ第二フレーム441bにそれぞれ四つずつのピックアップヘッド442が支持され、X軸方向中央に二つのピックアップヘッド442が支持されている。なお、これらの合計十個のピックアップヘッド442は、フレーム441の図形上の重心位置を中心にZ軸回りに旋回移動させることができる。なお、上記説明及び図6の記載では、説明の便宜上、X軸方向を基準として先端ツール44の各構成の配置を説明したが、Z軸回りに旋回した場合にはこの限りでない。
また、各ピックアップヘッド442には、流量センサ445が設けられており各ピックアップヘッド442における吸気流量を個別に検出することができる。各流量センサ445の検出信号はコントローラ31に入力される。
十個あるピックアップヘッド442の内、いずれのピックアップヘッド442が、パーツ形状に応じて吸着可能な位置にあるかの判断は、コントローラ31が中継端末80から取得するパーツ情報に含まれるパーツPの形状及びサイズから、各ピックアップヘッド442の配置と照合して判断する構成としても良いし、予め各パーツP1〜P12ごとに使用すべきピックアップヘッド442を定めた対応テーブルデータを保有し、これを参照して決定する構成としてもよい。
また、第一フレーム441aと第二フレーム441bとの間にエアシリンダー446,447(或いはモーター等)の駆動源を設け、第一フレーム441aと第二フレーム441bの間隔を段階的に又は任意に調整可能な伸縮機構を設け、フレーム441をパーツ情報に含まれるパーツPの形状及びサイズに合わせて最適な大きさに変更できる構成としても良い。
図8は反転装置35の平面図である。
反転装置35は、Y軸方向について、裁断装置20と移送機構50との間であって、X軸方向についてピックアップ装置40の隣に配置されている。
前述したように、複数のパーツP1〜P12は、いずれも対となって重ねられた状態で互いの縫着が行われる。一方、シート材料Sは、表面と裏面とが決まっており、最終的な完成品の状態では、裏面が目に触れる位置に現れないように縫製を行う必要がある。
このため、対となるパーツPは、互いに裏面が対向するように貼り合わせ縫製を行う必要がある。
従って、対の一方のパーツP2,P4,P6,P8,P10,P12については、裁断装置20からテンプレート70まで搬送する際に、その途中で反転装置35を経由して、シート材料Sの表裏を反転させている。
第一の吸着板36と第二の吸着板37とは、同じサイズの矩形であり、X軸回りに回動可能なヒンジ39によって連結されている。
第一の吸着板36の各吸引口362は、電磁弁を介して吸引源となるポンプやイジェクターに接続されており、全吸引口362は、一括的に、吸引状態と吸引停止状態とを切り替えることができる。
第二の吸着板37の各吸引口372も、電磁弁を介して吸引源となるポンプやイジェクターに接続されており、全吸引口372も、一括的に、吸引状態と吸引停止状態とを切り替えることができる。
第一の吸着板36の電磁弁と第二の吸着板37の電磁弁は、コントローラ31によりそれぞれ個別に制御される。
そして、回動モーター38により第一の吸着板36を回動させて反転状態にした後、第一の吸着板36の吸引口362を吸引停止状態、第二の吸着板37の吸引口372を吸引状態とする。さらに、第一の吸着板36を回動させて待機状態に戻すことにより、第二の吸着板37の吸着面に表裏が反転されたパーツPが吸着保持された状態となる。この状態で、第二の吸着板37の電磁弁を吸引停止状態に切り替えて反転されたパーツPをピックアップ装置40にピックアップさせる。
図9は移送機構50の平面図である。
移送機構50は、ピックアップ装置40がテンプレート70にパーツPを配置する作業位置D1と、ミシン60にテンプレート70を供給する供給位置D2と、縫製完了後にミシン60から戻される返却位置D3と、テンプレート70からパーツPを搬出する搬出位置D4とに順番にテンプレート70を移送する。
また、作業位置D1と供給位置D2とがY軸方向に隣接し、返却位置D3と搬出位置D4とがY軸方向に隣接している。
なお、作業位置D1と搬出位置D4とは、前述したピックアップ装置40の可動領域R内に位置している。
連結ピンは、テンプレート70の下板71に形成された図示しない受け穴に挿入可能であり、エアシリンダーやソレノイド等のアクチュエーターにより出没動作が行われる。
牽引機構は、ボールネジ機構やベルト機構により連結ピンにY軸方向の牽引動作を付与する。
また、第一移送部52のライン上に正しくテンプレート70が移送されたか否かを監視するセンサー513を設けて、センサー513がテンプレート70の移送完了を検知した後に、テンプレート70の位置決め穴に対して、位置決めピン514を挿入することで移送されたテンプレート70を正確に位置決めしている。
なお、テンプレート70の供給位置D2から返却位置D3への移送は、ミシン60の移動機構62によって行われる。
また、第三移送部54にも、そのライン上に正しくテンプレート70が移送されたか否かを監視するセンサー515を設けて、センサー515がテンプレート70の移送完了を検知した後に、テンプレート70の位置決め穴に対して、位置決めピン516を挿入することで移送されたテンプレート70を正確に位置決めしている。
移送機構50の載置台51における搬出位置D4には、下板71に設けられた図示しない貫通孔を通じて保持状態の押さえ板72を押し上げて起伏回動させる押し上げバー512が設けられている。
この押し上げバー512は、モーター、エアシリンダー、ソレノイド等のアクチュエーターにより載置台51の載置面から出没可能であり、第二移送部53によって返却位置D3から搬出位置D4に移送されたテンプレート70に対して速やかに押さえ板72を押し上げる動作を行う。
なお、押し上げバー512は、テンプレート70のX軸方向両端部にそれぞれ設けられている。
この伏臥バー511は、押さえ板72が押さえ状態である場合のテンプレート70の厚さよりも幾分高位置であって、Y軸方向について前述した押し上げバー512よりも幾分ミシン60側に設けられている。
この伏臥バー511は、図5に示すように、作業位置D1において押さえ板72が起伏状態(開いた状態)のテンプレート70が供給位置D2に移送される際に、押さえ板72が伏臥バー511によって押し倒され、パーツPの保持状態にすることができる。
なお、テンプレート70が搬出位置D4から返却位置D3に移送される際には、テンプレート70の押さえ板72は閉じた状態にあるので、伏臥バー511と干渉せずに通過する。
また、伏臥バー511は、搬出位置D4において、押さえ板72が押し上げバー512によって押し上げられたときに、当該押さえ板72が伏臥バー511に寄りかかるようミシン60側に傾斜した状態となるように配置されている。これにより、押さえ板72は、起伏状態を維持することができる。
なお、搬出位置D4の隣の待機位置には、運搬用自律走行体101ではなく、作業者が運ぶスタッカ装置を配置しても良い。
図10は、縫製システム100の各構成の各種データ、各種指令の流れを示す構成図である。
中継端末80は、パーソナルコンピューター等の情報処理端末で構成され、裁断装置20の制御部25及び搬送装置30のコントローラ31とデータ通信可能な状態で接続されている。具体的には、これらと通信ケーブルで有線接続されているが、これらは無線通信により通信接続されていても良い。
また、中継端末80は、ネットワーク回線を通じて、外部の縫製作業における生産管理情報を管理する生産管理サーバ300と接続されている。
中継端末80が行う処理を含めて、縫製時の縫製システム100全体の処理の流れを説明する。
まず、CADシステム200から裁断装置20の制御部25には、裁断を実行する裁断データが入力される。
そして、裁断装置20の制御部25は、裁断データから裁断制御情報を生成すると共に、裁断データに含まれるシート材料Sに対して形成すべき複数のパーツPの配置、サイズ、形状、向き等を含むパーツ情報(パーツを特定する情報)を中継端末80に送信する。
また、制御部25は、裁断装置20の裁断実行中、裁断完了、待機中等の動作状況を示す稼働情報を周期的に中継端末80に送信する。
そして、裁断装置20の制御部25は、裁断動作の開始の許可が得られた場合に、裁断制御情報に従ってシート材料Sの裁断動作を実行する。
裁断装置20は、裁断ステージ21において、移動機構24を制御して、裁断ヘッド23により裁断データに定められたパターンで裁断を実行する。そして、裁断ステージ21と作業ステージ22のベルトコンベア機構の協働により、裁断処理されたシート材料Sを作業ステージ22上の所定の位置まで搬送する。
また、中継端末80は、裁断装置20から取得した稼働情報に応じて搬送装置50に対して、搬送動作の開始の許可又は停止の指令を通知する。例えば、裁断装置20からの稼働情報が裁断処理の完了(シート材料Sの作業ステージ22までの搬送完了)を示す内容である場合には、搬送装置50に対して搬送動作の開始の許可の指令を通知する。
また、中継端末80は、裁断装置20から取得したパーツ情報から作業ステージ22の所定位置にあるシート材料Sの切断処理によって展開された各パーツPの配置、サイズ、形状、向き等の情報から、各パーツPのピックアップ装置40の座標系内の配置を算出する。また、各パーツPの重心位置等も算出する。そして、これらのピックアップ座標とパーツ情報を搬送装置30のコントローラ31に送信する。
パーツP1〜P12ごとに、使用されるピックアップヘッド442が選出され、電磁弁444を通じて、選出されたピックアップヘッド442のみが吸引状態となる。
そして、選出された複数のピックアップヘッド442をつないだ図形の重心位置を求め、その重心がピックアップするパーツPの重心位置と一致するように先端ツール44が位置決めされて、ピックアップが行われる。
反転装置35では、第一の吸着板36の吸着面361の吸引口362のみが予め吸引状態となっており、搬送されたパーツPが先端ツール44を離れて吸着される。
そして、コントローラ31の制御に従って、反転装置35は、回動モーター38により第一の吸着板36を反転状態に回動させて、第一の吸着板36の吸引口362を吸引停止状態、第二の吸着板37の吸引口372を吸引状態とする。
さらに、第一の吸着板36を回動させて待機状態に戻すことにより、第二の吸着板37の吸着面に表裏が反転されたパーツPが吸着保持された状態となる。この状態で、第二の吸着板37の電磁弁を吸引停止状態に切り替える。
このとき、パーツPは、ピックアップ装置40の座標系内の配置が移動し、向きも反転するが、反転装置35の第一の吸着板36の回動軸位置が既知であるため、当該回動軸を基準に対称となる位置及び形状を演算により求めることができる。
従って、求められた位置及び反転したパーツPの形状に基づいて、改めて、ピックアップヘッド442の選出及び先端ツール44の位置決めを行い、再度、パーツPのピックアップを行う。
そして、パーツPは、移送装置50の作業位置D1で待機するテンプレート70に搬送される。
ピックアップヘッド442が適正にパーツPを吸着している場合には、検出流量は一定の低下が生じるが、パーツPが吸着されていない場合には選出ピックアップヘッド442の全ての検出流量は低下しない状態となる。また、パーツPが適正な向きを向いていない場合には、選出ピックアップヘッド442の一部について検出流量は低下しない状態となる。
従って、コントローラ31は、ピックアップ装置40のピックアップ中にこれらの搬送不良の判定を周期的に実行し、搬送不良と判定した場合には、中継端末80に搬送エラーを通知する。また、タグリーダーライター55により、作業位置D1で待機しているテンプレート70のICタグ73に対して、搬送不良の発生を記録する。
従って、ピックアップ装置40によるパーツPのセット作業を開始する際には、まず、作業位置D1にLサイズのテンプレート70が配置されているか否かを、タグリーダーライター55によるテンプレート70のICタグ73の読み取りにより判定する。
また、LサイズのパーツP1〜P6が全てセットされてパーツP7〜P12のセット作業を開始する際には、作業位置D1にSサイズに対応するテンプレート70が配置されているか否かを判定する。
また、一致しない場合には、第一移送部52、ミシン60、第二移送部53及び第三移送部54を作動させて、作業位置D1にあるテンプレート70を縫製せずに搬出位置D4まで移送する。
また、搬出位置D4にあった次のテンプレート70を作業位置D1に移送して、適正なテンプレート70を作業位置D1に配置する制御を実行する。
作業ステージ22のシート材料Sには、LサイズのパーツP1〜P6とSサイズのパーツP7〜P12とが形成されているので、先行するテンプレート70にLサイズのパーツP1〜P6がセットされた場合には、当該LサイズのパーツP1〜P6に対してミシン60による縫製が行われている間に、作業位置D1に移送されたSサイズのテンプレート70に対しても、ピックアップ装置40がパーツP7〜P12をセットする動作を継続して実行する。
これに対して、中継端末80は、搬送装置30から取得した稼働情報により、搬送装置30の稼働状況を生産管理サーバ300に送信する。生産管理サーバ300では、搬送装置30の稼働情報に基づいて進行状況を記録する。
なお、テンプレート70の供給位置D2の到達は、搬送装置30のコントローラ31とミシン60のコントローラ64とを接続する通信ケーブルを介してコントローラ31から通知を受信することにより認識する構成としても良いし、ミシン60のタグリーダーライター65がテンプレート70のICタグ73を検出することにより認識する構成としても良い。また、ミシン60が供給位置D2のテンプレート70を検出する専用のセンサを有する構成としても良い。
これにより、縫製すべき縫製パターンデータを特定し、コントローラ64は、本体部61及び移動機構62を制御して、縫製パターンに従って各パーツPの縫い合わせ縫製を実行する。そして、テンプレート70の全てのパーツPに対する縫製が完了すると、テンプレート70を返却位置D3に移動させて、保持部におけるテンプレート70の保持状態を解除する。
これに対して、中継端末80は、搬送装置30から取得したミシン60の稼働情報により、ミシン60の稼働状況を生産管理サーバ300に送信する。生産管理サーバ300では、ミシン60の稼働情報に基づいて進行状況を記録する。
なお、テンプレート70の返却位置D3の到達は、搬送装置30のコントローラ31とミシン60のコントローラ64とを接続する通信ケーブルを介してコントローラ64から通知を受信することにより認識する構成としても良いし、移送機構50が返却位置D3のテンプレート70を検出する専用のセンサを有する構成としても良い。
また、運搬用自律走行体101の可動領域R内の待機位置についても、予め、位置情報を保有しているので、コントローラ31は、ピックアップ装置40を制御して、テンプレート70の各パーツPを運搬用自律走行体101の上部載置面に載置して、搬出動作を実行する。
これに対して、中継端末80は、搬送装置30の稼働情報から取得した現在の動作状況と照合して、作業位置D1に他のテンプレート70が存在しているか判定し、判定結果に応じて、搬出位置D4から作業位置D1への移送動作の許可又は停止の指令を通知する。
そして、コントローラ31は、テンプレート70の搬出位置D4から作業位置D1への移送動作の許可が得られた場合に、当該移送動作を実行する。
上述のように、縫製システム100では、裁断装置20によりシート材料Sから裁断処理されたパーツPを取り上げて縫製用のテンプレート70に搬送する搬送装置30と、テンプレート70を保持してパーツPに対して縫製を行うミシン60とを備えている。
そして、搬送装置30は、縫製を終えたパーツPをテンプレート70から取り上げて規定の搬出位置である運搬用自律走行体101の上部載置面への搬出をも実行する構成としている。
このため、縫製システム100では、裁断装置20からのパーツPの搬入、縫製、搬出までの多くの作業工程を自律的に行うことができ、作業者の作業負担を飛躍的に軽減することが可能となる。
このため、ピックアップ装置40では、不要なピックアップヘッド442を作動させることなく効率的なピックアップ動作を行うことが可能となる。
このため、ピックアップ動作の過程で搬送不良の発生を検出することができ、検査の工程を省略することができ、効率的且つ迅速な縫製を実現することが可能となる。
このため、テンプレート70から直接的に搬送不良の発生を取得することができるため、搬送不良の検出時とテンプレート70に対する縫製の実行の開始時とに時間的に乖離がある場合であっても、搬送不良のパーツPが含まれているテンプレート70をより確実に特定することができ、搬送不良による不良品の混入を抑制することができ、信頼性の高い縫製を実現することが可能となる。
このため、複数のテンプレート70を各位置D1〜D4のいずれかに配置することで、それぞれのテンプレート70に対して異なる作業を実行することができ、より効率的な縫製作業を実現することが可能となる。
このため、搬送装置30が供給するパーツPとテンプレート70の不整合を回避することができ、作業者の作業負担を飛躍的に軽減すると共に、縫製不良を回避して信頼性の高い縫製を実現することが可能となる。
上記移送機構50は、作業位置D1と、ミシン60にテンプレート70を供給する供給位置D2と、縫製完了後にミシン60から戻される返却位置D3と、テンプレート70からパーツPを搬出する搬出位置D4を有する構成としたが、供給位置D2と返却位置D3とを共通化することで返却位置D3を省略することが可能である。
また、テンプレート70の配置する位置をより多く増やしても良い。その場合には、良い多くのテンプレート70を使用することが可能となる。
21 裁断ステージ
22 作業ステージ
25 制御部
30 搬送装置
31 コントローラ
35 反転装置
40 ピックアップ装置
44 先端ツール
442 ピックアップヘッド
445 流量センサ
50 移送機構
511 伏臥バー
512 押し上げバー
52 第一移送部
53 第二移送部
54 第三移送部
55 タグリーダーライター(判定結果記録部)
60 ミシン
64 コントローラ
65 タグリーダーライター(記録部)
70 テンプレート
71 下板
72 押さえ板
73 ICタグ(記憶部)
80 中継端末
100 縫製システム
200 CADシステム
300 生産管理サーバ
D1 作業位置
D2 供給位置
D3 返却位置
D4 搬出位置
P パーツ
P1〜P12 パーツ
R 可動領域
S シート材料
Claims (8)
- 裁断装置によりシート材料から裁断処理されたパーツを取り上げて縫製用のテンプレートに搬送する搬送装置と、
前記テンプレートを保持して前記パーツに対して縫製を行うミシンとを備え、
前記搬送装置は、縫製を終えた前記パーツを前記テンプレートから取り上げて規定の搬出先への搬出をも行うことを特徴とする縫製システム。 - 前記裁断装置から裁断データの一部又は全部を取得し、当該裁断データに基づく前記パーツを特定する情報を前記搬送装置に送る中継端末を備え、
前記搬送装置は、同一平面上に点在する複数のピックアップヘッドを有するピックアップ装置を有し、前記パーツを特定する情報により、複数の前記ピックアップヘッドの中から一部を選択して前記パーツの取り上げを行うことを特徴とする請求項1に記載の縫製システム。 - 前記ピックアップ装置は、
前記ピックアップヘッドを支持する第一フレーム及び第二フレームと、
第一フレームと第二フレームの間隔を調整可能な伸縮機構とを備え、
前記パーツを特定する情報に対応して、第一フレームと第二フレームの間隔を調整することを特徴とする請求項2に記載の縫製システム。 - 複数の前記ピックアップヘッドに、吸引力を生じさせる空気流量を検出する流量センサを設け、
前記搬送装置は、前記流量センサの検出流量から前記テンプレートに対する前記パーツの搬送不良の有無を判定することを特徴とする請求項2又は3に記載の縫製システム。 - 前記テンプレートは、縫製パターンを特定する情報を記憶する記憶部を備えており、
前記搬送装置は、前記テンプレートに対する前記パーツの搬送不良と判定した場合に前記テンプレートの前記記憶部に搬送不良の判定結果を記録する判定結果記録部を備えることを特徴とする請求項4に記載の縫製システム。 - 前記テンプレートに前記パーツが配置される作業位置と前記ミシンに前記テンプレートを供給する供給位置と前記テンプレートから前記パーツを搬出する搬出位置とを有し、これらのいずれかに複数の前記テンプレートを移送する移送機構を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の縫製システム。
- 前記テンプレートは、下板と、当該下板に対して起伏回動可能に支持されている押さえ板とを備え、
前記移送機構は、前記作業位置から前記供給位置に移送される際に、前記起伏状態の前記押さえ板に当接して倒す伏臥バーを備えることを特徴とする請求項6に記載の縫製システム。 - 前記搬送装置は、前記パーツの表裏を反転させる反転装置を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の縫製システム。
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