JP2021046650A - 合成繊維用処理剤及び合成繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、紡糸工程において発生する毛羽を低減させ、さらには紡糸工程で発生する糸揺れを低減しうる合成繊維用処理剤及び合成繊維を提供することを課題としている。【解決手段】上記式(1)に示される有機スルホン酸化合物を含むことを特徴とする合成繊維用処理剤。【選択図】なし

Description

本発明は、紡糸により捲きあがった糸品質の向上、紡糸工程における糸揺れを抑制しうる合成繊維用処理剤及びかかる処理剤が付着している合成繊維に関する。
一般に、合成繊維の紡糸工程において、摩擦を低減し、糸切れ等の繊維の損傷を防止する観点から、合成繊維のフィラメント糸条の表面に合成繊維用処理剤を付着する処理が行われることがある。糸条には、ローラーとの擦過や、糸がローラー上で揺れることによる糸と糸の擦過によって、毛羽が生じる。また、ローラー上での著しい糸揺れ現象は、毛羽、糸切れ程の大きな問題とはならない場合でも、延伸斑等の潜在的問題により後加工時に染色斑等が発生する可能性がある。そのため、これらの現象は処理剤の性能を改善することで、生産される糸品質をも改善することができる。
従来、特許文献1〜3に開示される合成繊維用処理剤が知られている。特許文献1は、硬化ヒマシ油誘導体を1〜50%含有する合成繊維用処理剤について開示している。特許文献2は、チオジプロピオン酸エステル、2級アルキルスルホン酸化合物、リン酸エステルを特定の割合で含有する合成繊維用処理剤について開示している。特許文献3は、含硫黄化合物とゲルベアルコールのエステル化物を含有した合成繊維用処理剤について開示している。
特開2006−307352号公報 特開平08−120564号公報 特許第6530129号公報
ところが、これら従来の合成繊維用処理剤では、紡糸中に発生する毛羽を抑制することに対して十分対応できていなかった。また、ローラー上を高速で通過する際に生じる糸揺れに十分に対応できていなかった。
本発明が解決しようとする課題は、紡糸工程において発生する毛羽を低減させ、さらには紡糸工程で発生する糸揺れを低減しうる合成繊維用処理剤及び合成繊維を提供する処にある。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、紡糸工程において発生する毛羽を低減させ、紡糸工程における糸揺れを抑制するためには、特定の化学構造を有する有機スルホン酸化合物が大きく関与していることを見出し、上記課題を解決するに至ったものである。
本発明は、具体的には次の事項を要旨とする。
1.下記の式(1)に示される有機スルホン酸化合物を含むことを特徴とする合成繊維用処理剤。
Figure 2021046650

(式(1)中において、
:スルホ基(−SO)を少なくとも1つ有する炭素数5〜23の炭化水素基。
:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。
但し、分子中にMが2以上ある場合は、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
2.前記式(1)のRが、炭素数が9〜19である、1.に記載の合成繊維用処理剤。
3.平滑剤、ノニオン界面活性剤及び前記有機スルホン酸化合物を含む合成繊維用処理剤であって、前記平滑剤、前記ノニオン界面活性剤及び前記有機スルホン酸化合物の含有割合の合計を100質量%とすると、前記有機スルホン酸化合物を0.01〜10質量%の割合で含有する、1.又は2.に記載の合成繊維用処理剤。
4.さらに、リン酸エステル化合物を含有する合成繊維用処理剤であって、前記リン酸エステル化合物が下記の式(2)に示されるリン酸エステルQ1と、下記の式(3)に示されるリン酸エステルQ2及び下記の式(4)に示されるリン酸エステルQ3から選ばれる少なくとも1つ以上とを含み、アルカリ過中和前処理された前記合成繊維用処理剤のP核NMR測定において、前記リン酸エステルQ1、前記リン酸エステルQ2、前記リン酸エステルQ3、リン酸及びその塩に帰属されるP核NMR積分比率の合計を100%としたとき、前記リン酸エステルQ1に帰属されるP核NMR積分比率が15%以上である、1.〜3.のいずれか一項に記載の合成繊維用処理剤。
Figure 2021046650

(式(2)中において、
:炭素数4〜24のアルキル基、又は炭素数4〜24のアルケニル基。
:炭素数4〜24のアルキル基、又は炭素数4〜24のアルケニル基。
:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。)
Figure 2021046650

(式(3)中において、
:炭素数4〜24のアルキル基、又は炭素数4〜24のアルケニル基。
:炭素数4〜24のアルキル基、又は炭素数4〜24のアルケニル基。
:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。
:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。)
Figure 2021046650

(式(4)中において、
:炭素数4〜24のアルキル基、又は炭素数4〜24のアルケニル基。
:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。
:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。)
5.前記リン酸エステル化合物が前記リン酸エステルQ1と前記リン酸エステルQ2とを含み、前記リン酸エステルQ1、前記リン酸エステルQ2、前記リン酸エステルQ3、前記リン酸及びその塩に帰属されるP核NMR積分比率の合計を100%としたとき、前記リン酸エステルQ2に帰属されるP核NMR積分比率が5〜50%である、4.に記載の合成繊維用処理剤。
6.前記平滑剤に、分岐鎖を有するエステル化合物を含有する3.〜5.のいずれか一項に記載の合成繊維用処理剤。
7.さらに、下記の式(5)に示されるアルケンスルホン酸化合物を含む、1.〜6.のいずれか一項に記載の合成繊維用処理剤。
Figure 2021046650

(式(5)中において、
:炭素数3〜21の炭化水素基。
:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。)
8.前記有機スルホン酸化合物及び前記アルケンスルホン酸化合物の含有割合の合計を100質量部とすると、前記有機スルホン酸化合物を0.5〜30質量部及び前記アルケンスルホン酸化合物を70〜99.5質量部の割合で含む、7.に記載の合成繊維用処理剤。
9.前記平滑剤、前記ノニオン界面活性剤及びイオン界面活性剤を含有する合成繊維用処理剤であって、前記イオン界面活性剤が前記有機スルホン酸化合物、前記リン酸エステル化合物、及び前記アルケンスルホン酸化合物を含み、前記平滑剤、前記ノニオン界面活性剤、及び前記イオン界面活性剤の含有割合の合計を100質量%とすると、前記有機スルホン酸化合物を0.01〜10質量%の割合で含有する、7.又は8.に記載の合成繊維用処理剤。
10.1.〜9.のいずれか一項に記載の合成繊維用処理剤が付着していることを特徴とする合成繊維。
本発明によると、紡糸工程において発生する毛羽を低減させ、また紡糸工程での糸揺れの抑制を可能とする。
本発明は、上記式(1)に示される有機スルホン酸化合物を含有する合成繊維用処理剤や、この合成繊維用処理剤が付着した合成繊維に関する。
以下、本発明について詳細に説明する。
<式(1)に示される有機スルホン酸化合物>
本発明の合成繊維用処理剤は、下記式(1)に示される有機スルホン酸化合物を必須成分として含有するものである。
Figure 2021046650

(式(1)中において、
:スルホ基(−SO)を少なくとも1つ有する炭素数5〜23の炭化水素基。
:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。
但し、分子中にMが2以上ある場合は、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
本発明における有機スルホン酸化合物は、式(1)中のRで示される炭化水素基は、分岐鎖を有していてもよく、スルホ基の位置に制限はない。炭化水素基には、二重結合を有していても良く、トランス体でもシス体でも良い。また、炭化水素基にはヒドロキシ基を有していても良い。
本発明において、上記式(1)中のRの炭素数が9〜19である有機スルホン酸化合物が好ましく、炭素数11〜18がさらに好ましく、炭素数12〜17が特に好ましい。
本発明における式(1)に示される有機スルホン酸化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明における合成繊維用処理剤において、平滑剤、ノニオン界面活性剤及び前記有機スルホン酸化合物を含む場合は、前記平滑剤、前記ノニオン界面活性剤及び前記有機スルホン酸化合物の含有割合の合計を100質量%とすると、前記有機スルホン酸化合物を0.01〜10質量%の割合で含有することが好ましく、0.05〜5質量%の割合で含有することがより好ましく、0.05〜3質量%の割合で含有することがさらに好ましい。
<平滑剤>
本発明における合成繊維用処理剤に使用する平滑剤としては、(1)オクチルステアラート、ラウリルパルミタート、オレイルオレアート、オレイルエルシナート等のモノエステル化合物、(2)ジオレイルアジパート、1,4−ブタンジオレアート、ジラウリルセバテート、ジオレイルフマラート等のジエステル化合物、(3)ラウリルメルカプトプロピオナート、オクチルメルカプトプロピオナート、ジラウリルチオジプロピオナート、ジオレイルチオジプロピオナート等の含硫黄エステル化合物、(4)パラフィン、オレフィン、ナフテン等から成る鉱物油が挙げられる。中でも分子中に分岐構造を有するエステル化合物を含むものが好ましい。分子中に分岐構造を有するエステル化合物としては、例えば(5)イソブチルステアラート、2−エチルヘキシルオレイン酸エステル、2−エチルヘキシルエルシン酸エステル、イソステアリルオレアート、イソテトラコシルエルシナート等の分岐モノエステル化合物、(6)ジイソラウリルセバテート、ジイソステアリルアジパート、ジイソテトラコシルアジパート、ジ−2−エチルヘキシルマレイン酸エステル、ネオペンチルグリコールジオレイン酸エステル、2−エチルヘキシルアジパート等の分岐ジエステル、(7)グリセリントリオレアート、グリセリントリラウラート、トリメチロールプロパントリオレアート、トリメチロールプロパン大豆脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールテトラオクタノアート等の多価アルコールエステル、(8)トリオクチルトリメリタート、クエン酸トリエチル等の多価カルボン酸エステル、(9)大豆油、ヤシ油、ひまし油、パーム油、ナタネ油等の天然油脂、(10)2−エチルヘキシルメルカプトプロピオナート、イソラウリルメルカプトプロピオナート、ジイソラウリルチオジプロピオナート、ジイソステアリルチオジプロピオナート、ジイソパルミチルジチオプロピオナート、トリメチロールプロパントリスメルカプトプロピオナート等の含硫黄分岐エステルが挙げられる。なかでも、2−エチルヘキシルアジパート、イソステアリルオレアート、ナタネ油、トリメチロールプロパントリオレアート、ジイソステアリルチオジプロピオナート、ジイソラウリルチオジプロピオナートがより好ましい。これらの平滑剤成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<ノニオン界面活性剤>
本発明における合成繊維用処理剤に使用するノニオン界面活性剤としては、特に制限はなく、例えば(1)有機酸、有機アルコール、有機アミン、及び有機アミドから選ばれる少なくとも一種に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した化合物、例えばポリオキシエチレンラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリン酸エステルメチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシプロピレンラウリルエーテルメチルエーテル、ポリオキシブチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンラウロアミドエーテル等のエーテル型ノニオン界面活性剤、(2)ソルビタンモノオレアート、ソルビタントリオレアート、グリセリンモノラウラート等の多価アルコール部分エステル型ノニオン界面活性剤、(3)ポリエチレングリコールジオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリオキシブチレンソルビタントリオレアート、ポリオキシプロピレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンプロピレン硬化ひまし油トリオレアート、ポリオキシエチレン硬化ひまし油トリラウラート、ひまし油のエチレンオキサイド(以下、EOという)付加物及び硬化ひまし油のEO付加物から選ばれる少なくとも1種の化合物と、モノカルボン酸及びジカルボン酸とを縮合させたエーテルエステル化合物等のポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤、(4)ジエタノールアミンモノラウロアミド等のアルキルアミド型ノニオン界面活性剤等が挙げられる。これらのノニオン界面活性剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明では、化合物名の末端にEOおよびPOと記載したものは、それぞれエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの付加物を意味し、後に続く数字はその付加モル数を示す。
<リン酸エステル>
本発明における合成繊維用処理剤は、下記式(2)で示すリン酸エステルQ1と、下記式(3)で示すリン酸エステルQ2及び下記式(4)で示すリン酸エステルQ3から選ばれる少なくとも1つ以上とを含んでいてもよい。
Figure 2021046650

(式(2)中において、
:炭素数4〜24のアルキル基、又は炭素数4〜24のアルケニル基。
:炭素数4〜24のアルキル基、又は炭素数4〜24のアルケニル基。
:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。)
Figure 2021046650

(式(3)中において、
:炭素数4〜24のアルキル基、又は炭素数4〜24のアルケニル基。
:炭素数4〜24のアルキル基、又は炭素数4〜24のアルケニル基。
:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。
:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。)
Figure 2021046650

(式(4)中において、
:炭素数4〜24のアルキル基、又は炭素数4〜24のアルケニル基。
:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。
:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。)
ここで、アルカリ過中和前処理された前記合成繊維用処理剤のP核NMR測定において、上記リン酸エステルQ1、リン酸エステルQ2、リン酸エステルQ3、リン酸及びその塩に帰属されるP核NMR積分比率の合計を100%としたとき、前記リン酸エステルQ1に帰属されるP核NMR積分比率が15%以上であることが好ましく、17%以上であることがより好ましく、20%以上であることがさらに好ましい。また、同様に、前記リン酸エステルQ2に帰属されるP核NMR積分比率が5〜50%であることが好ましく、6〜45%であることがより好ましく、7〜40%であることがさらに好ましい。さらに、前記リン酸エステルQ1に帰属されるP核NMR積分比率が15〜80%であり、かつ、前記リン酸エステルQ2に帰属されるP核NMR積分比率が5〜50%であることがより好ましく、前記リン酸エステルQ1に帰属されるP核NMR積分比率が17〜70%であり、かつ、前記リン酸エステルQ2に帰属されるP核NMR積分比率が6〜45%であることがより好ましく、前記リン酸エステルQ1に帰属されるP核NMR積分比率が20〜60%であり、かつ、前記リン酸エステルQ2に帰属されるP核NMR積分比率が7〜40%であることがより好ましい。
本発明における「アルカリ過中和前処理」とは、合成繊維用処理剤に対して過剰量のアルカリ(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ラウリルアミン)を添加する前処理を意味する。31P−NMRの測定において、この「アルカリ過中和前処理」を行うことで、リン酸エステルQ1、リン酸エステルQ2、リン酸エステルQ3、リン酸及びその塩に帰属されるピークを明瞭に分けることができ、下記数式(1)〜数式(4)による各化合物に帰属されるP核積分比率の計算が可能となる。本発明における31P−NMRの測定では、観測ピークが分かれる程度のアルカリを合成繊維用処理剤に加えるアルカリ過中和処理を行った。
前記リン酸エステルQ1に帰属されるP核NMR積分比率は下記の数式(1)で、前記リン酸エステルQ2に帰属されるP核NMR積分比率は下記の数式(2)で、前記リン酸エステルQ3に帰属されるP核NMR積分比率は下記の数式(3)で、前記リン酸及びその塩に帰属されるP核NMR積分比率は下記の数式(4)に示される。
Figure 2021046650
(数式(1)において、
Q1_P%:リン酸エステルQ1に帰属されるP核NMR積分比率、
Q1_P:リン酸エステルQ1に帰属されるP核NMR積分値、
Q2_P:リン酸エステルQ2に帰属されるP核NMR積分値、
Q3_P:リン酸エステルQ3に帰属されるP核NMR積分値、
リン酸_P:リン酸及びその塩に帰属されるP核NMR積分値。)
Figure 2021046650
(数式(2)において、
Q2_P%:リン酸エステルQ2に帰属されるP核NMR積分比率、
Q1_P:リン酸エステルQ1に帰属されるP核NMR積分値、
Q2_P:リン酸エステルQ2に帰属されるP核NMR積分値、
Q3_P:リン酸エステルQ3に帰属されるP核NMR積分値、
リン酸_P:リン酸及びその塩に帰属されるP核NMR積分値。)
Figure 2021046650
(数式(3)において、
Q3_P%:リン酸エステルQ3に帰属されるP核NMR積分比率、
Q1_P:リン酸エステルQ1に帰属されるP核NMR積分値、
Q2_P:リン酸エステルQ2に帰属されるP核NMR積分値、
Q3_P:リン酸エステルQ3に帰属されるP核NMR積分値、
リン酸_P:リン酸及びその塩に帰属されるP核NMR積分値。)
Figure 2021046650
(数式(4)において、
リン酸_P%:リン酸及びその塩に帰属されるP核NMR積分比率、
Q1_P:リン酸エステルQ1に帰属されるP核NMR積分値、
Q2_P:リン酸エステルQ2に帰属されるP核NMR積分値、
Q3_P:リン酸エステルQ3に帰属されるP核NMR積分値、
リン酸_P:リン酸及びその塩に帰属されるP核NMR積分値。)
上記式(2)〜(4)に示されるリン酸エステルQ1〜Q3の、式(2)〜(4)中のR、R、R、R、Rとしては、例えば、ブタノールから水酸基を除いた残基、ヘキサノールから水酸基を除いた残基、ヘプタノールから水酸基を除いた残基、オクタノールから水酸基を除いた残基、ノナノールから水酸基を除いた残基、デカノールから水酸基を除いた残基、ラウリルアルコールから水酸基を除いた残基、ミリスチルアルコールから水酸基を除いた残基、パルミチルアルコールから水酸基を除いた残基、オレイルアルコールから水酸基を除いた残基、ステアリルアルコールから水酸基を除いた残基、エイコサノールから水酸基を除いた残基、テトラコサノールから水酸基を除いた残基、2−エチルヘキサノールから水酸基を除いた残基、2−デシル−1−テトラデカノールから水酸基を除いた残基、イソセチルアルコールから水酸基を除いた残基、2−ブチル−1−オクタノールから水酸基を除いた残基等が挙げられる。なかでも、2−エチルヘキサノール、オレイルアルコール、2−デシル−1−テトラデカノール、イソセチルアルコール、2−ブチル−1−オクタノールから水酸基を除いた残基が好ましい。
上記式(2)〜(4)に示されるリン酸エステルQ1〜Q3におけるリン酸エステルに対する対イオンは、特に制限はないが、例えば、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、有機アミン、ホスホニウム等が挙げられる。なかでも、ジブチルエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンオクチルアミノエーテル、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
これらリン酸エステルは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明における合成繊維用処理剤は、下記式(5)で示すアルケンスルホン酸化合物を含んでいることが好ましい。
Figure 2021046650

(式(5)中において、
:炭素数3〜21の炭化水素基。
:水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。)
上記式(5)中の炭化水素は分岐鎖であってもよく、上記式(5)に示されるアルケンスルホン酸化合物は、シス−トランス異性体を有するが、シス体であっても、トランス体であってもよい。また、炭素数7〜17の炭化水素基であることが好ましい。
上記式(5)に示されるアルケンスルホン酸化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記式(1)に示される有機スルホン酸化合物及び前記式(5)に示されるアルケンスルホン酸化合物の含有割合の合計を100質量部とすると、前記有機スルホン酸化合物を0.5〜30質量部及び前記アルケンスルホン酸化合物を70〜99.5質量部の割合で含むことが好ましく、前記有機スルホン酸化合物を1〜30質量部及び前記アルケンスルホン酸化合物を70〜99質量部の割合で含むことが好ましく、前記有機スルホン酸化合物を1.5〜30質量部及び前記アルケンスルホン酸化合物を70〜98.5質量部の割合で含むことが好ましい。
本発明における合成繊維用処理剤は、さらにその他のイオン界面活性剤を含んでいてもよく、具体的には、例えば、(1)酢酸カリウム、オクタン酸カリウム塩、オレイン酸カリウム塩、オレイン酸ナトリウム塩、アルケニルコハク酸カリウム塩等のカルボン酸石鹸型イオン界面活性剤、(2)2級アルカンスルホン酸ナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩等のスルホン酸エステル型イオン界面活性剤、(3)ポリオキシエチレンラウリル硫酸エステルナトリウム塩、ヘキサデシル硫酸カリウム塩、牛脂硫化油、ひまし油硫化油等の硫酸エステル型イオン界面活性剤等が挙げられる。これらの成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明における合成繊維用処理剤が、前記平滑剤、前記ノニオン界面活性剤、及びイオン界面活性剤を含有し、前記イオン界面活性剤が前記有機スルホン酸化合物、前記リン酸エステル化合物、及び前記アルケンスルホン酸化合物を含有する場合において、前記平滑剤、前記ノニオン界面活性剤、及び前記イオン界面活性剤の含有割合の合計を100質量%とすると、前記式(1)に示される有機スルホン酸化合物を0.01〜10質量%の割合で含有することが好ましく、0.05〜5質量%の割合で含有することがより好ましく、0.05〜3質量%の割合で含有することがさらに好ましい。前記式(1)に示される有機スルホン酸化合物を、かかる配合量範囲において含有することにより、本発明の効果をより向上させることができ、紡糸時における毛羽を低減でき、紡糸工程における糸揺れを抑制しうる。
<その他の成分>
本発明の合成繊維用処理剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、処理剤の品質保持のための安定化剤や制電剤、つなぎ剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の通常合成繊維の処理剤に用いられる成分をさらに配合してもよい。
<合成繊維>
本発明の合成繊維は、本発明の合成繊維用処理剤が付着している合成繊維である。本発明の合成繊維用処理剤を付着させる合成繊維としては、特に制限はないが、例えば(1)ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレンテレフタラート、ポリ乳酸エステル等のポリエステル系繊維、(2)ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系繊維、(3)ポリアクリル、モダアクリル等のポリアクリル系繊維、(4)ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維等が挙げられる。製造する合成繊維の繊度としては、特に制限はないが、好ましくは150デシテックス以上であり、さらに好ましくは500デシテックス以上であり、特に好ましいのは1000デシテックス以上である。また、製造する合成繊維の強度としては、特に制限はないが、好ましくは5.0cN/dtex以上であり、さらに好ましくは6.0cN/dtex以上、特に好ましくは7.0cN/dtex以上である。
本発明の合成繊維用処理剤(溶媒を含まない)を合成繊維に付着させる割合は、特に制限はないが、本発明の合成繊維用処理剤を合成繊維に対し0.1〜3質量%(希釈剤と水を含まない)の割合となるよう付着させることが好ましい。かかる構成により、本発明の効果をより向上させる。
また、本発明の合成繊維用処理剤を付着させる方法は、特に制限はなく、例えばローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法、浸漬給油法、スプレー給油法等の公知の方法を採用することができる。
本発明における合成繊維用処理剤は、前記式(1)に示される有機スルホン酸化合物を必須成分として含有することにより、紡糸工程において発生する毛羽の低減、さらには紡糸工程で発生する糸揺れを低減しうる。それにより、本実施形態の合成繊維は、優れた工程通過性を発揮することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の技術範囲はこれらにより限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
<試験区分1(式(1)、(5)に示されるスルホン酸化合物)>
・スルホン酸化合物(S1−1、及びS2−1)の合成
1−テトラデセンに三酸化硫黄を加え、50℃以下でスルホン化した。これに、過剰量の水酸化ナトリウム水溶液を加えて1時間撹拌した後、オートクレーブ中で150℃、1時間加熱した。これに、石油エーテルおよびエタノールを加えて撹拌・静置した後、油相を取り除くことで油溶性の不純物を抽出除去した。残った水相を蒸発乾固させた。これをクロマトグラフィーで対イオンが水素であるS1−1、S2−1をそれぞれ分取した。次いで、これらのpHが9となるよう、それぞれに水酸化ナトリウムを加えよく撹拌したのち、蒸発乾固させることでS1−1、S2−1を得た。
今回の実施例及び比較例において使用した、前記式(1)に示される有機スルホン酸化合物(S1−1〜S1−5)の内容を表1に、上記式(5)に示されるアルケンスルホン酸化合物(S2−1〜S2−5)の内容を表2に示した。
Figure 2021046650
Figure 2021046650
<試験区分2(リン酸エステル化合物)>
・リン酸エステル化合物(P−1)の合成
4つ口フラスコ内で撹拌下の2−エチルヘキサノールに五酸化二燐を仕込み、70±5℃で3時間反応させた。次いで、中和剤としてジブチルエタノールアミンを仕込み、50℃で1時間撹拌した。(P−2〜P−5)は、表3の原料を使用し、P−1と同様の方法で合成した。尚、P−2及びP−5の中和では、水酸化ナトリウム水溶液にリン酸化物を仕込み、撹拌することで中和を行った。
・リン酸エステル化合物(rP−1)の合成
4つ口フラスコ内で撹拌下のオレイルアルコールに五酸化二燐とポリリン酸を仕込み、60±5℃で3時間反応させた。次いで、中和剤の水酸化カリウム水溶液に、これを仕込み、50℃で1時間撹拌した。
Figure 2021046650
<試験区分3(合成繊維用処理剤の調製)>
・合成繊維用処理剤(実施例1)の調製
平滑剤としてジオレイルアジパート(A−1)を20部、オレイルオレアート(A−2)を35部、ジイソステアリルチオジプロピオナート(bSA−1)を5部、ノニオン界面活性剤としてポリエチレングリコール(分子量600)とオレイン酸2モルとのエステル化物(B−4)を10部、ソルビタンモノオレアート(B−5)を8部、ひまし油−EO8(B−8)を10部、ひまし油−EO20 1モルとオレイン酸3モルのエステル化物(B−11)を8部、イオン界面活性剤として、前記式(1)に示される有機スルホン酸化合物の(S1−1)を0.30部、リン酸エステル化合物の(P−1)を2.6部、前記式(5)に示されるアルケンスルホン酸化合物の(S2−1)を1.0部、その他成分のオレイン酸カリウム塩(D−1)0.1部を均一混合し、実施例1の合成繊維用処理剤を調製した。
・合成繊維用処理剤(実施例2〜11及び比較例1〜3)の調製
実施例1の合成繊維用処理剤の調製と同様に、実施例2〜11及び比較例1〜3の合成繊維用処理剤を調製し、実施例1〜11の組成を表4に、比較例1〜3の組成を表5に示した。
但し、実施例2は、表4の原料以外に酸化防止剤として1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンを処理剤100部に対し0.8部の割合で添加した。
調製した合成繊維用処理剤0.10gにラウリルアミン0.15gを入れてよく撹拌した。溶媒を重クロロホルムとして、これの31P−NMRを測定した。尚、リン酸エステル化合物のP核積分比率は、31P−NMR(VARIAN社製の商品名MERCURY plus NMR Spectrometor System、300MHz)に供した測定値を用いて、前記数式(1)〜数式(4)から算出し、下記表4、5に示した。
Figure 2021046650
Figure 2021046650
表4、5において、
A−1:ジオレイルアジパート
A−2:オレイルオレアート
A−3:1,4−ブタンジオレアート
A−4:鉱物油(レッドウッド秒120)
bA−1:ジ(2−エチルヘキシル)アジパート
bA−2:イソステアリルオレアート
bA−3:ナタネ油
bA−4:トリメチロールプロパントリオレアート
SA−1:ジオレイルチオジプロピオナート
bSA−1:ジイソステアリルチオジプロピオナート
bSA−2:ジイソドデシルチオジプロピオナート
B−1:ヤシ脂肪酸−EO12
B−2:オレイルアルコール−EO15
B−3:イソステアリルアルコール−EO8PO10
B−4:ポリエチレングリコール(分子量600)とオレイン酸2モルとのエステル化物
B−5:ソルビタンモノオレアート
B−6:ラウリルアミン−EO6
B−7:ジエタノールアミンオレイン酸アミド
B−8:ひまし油−EO8
B−9:硬化ひまし油−EO12
B−10:硬化ひまし油−EO10PO15
B−11:ひまし油−EO20 1モルとオレイン酸3モルのエステル化物
B−12:硬化ひまし油−EO25 1モルとラウリン酸2モルのエステル化物
B−13:硬化ひまし油−EO15とアジピン酸とステアリン酸の重縮合物(分子量6000)
D−1:オレイン酸カリウム塩
D−2:オクチル酸ナトリウム塩
SD−1:2級アルキルスルホン酸ナトリウム塩(炭素数14−18)
SD−2:ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩
<試験区分4(合成繊維用処理剤の評価)>
・毛羽の評価
ポリエチレンテレフタラートのチップを常法により乾燥した後、エクストルーダーを用いて溶融紡糸し、口金から吐出して冷却固化した後の走行糸条に、前記処理剤を、計量ポンプを用いたガイド給油法にて付着させた。合成繊維用処理剤の付着量が0.6質量%(希釈剤、水を含まない)となるように給油した。その後、ガイドで集束させた後に、250℃のホットローラーを通過する工程を経て、全延伸倍率5.5倍となるように延伸し、1100デシテックス192フィラメントの延伸糸を10kg捲きチーズとして得た。その紡糸工程において、糸をチーズとして巻き取る前に、毛羽計数装置(東レエンジニアリング社製)にて1時間当たりの毛羽数を測定し、次の基準で評価した。結果を表6に示す。
・毛羽の評価基準
◎◎:測定された毛羽数が0個
◎○:測定された毛羽数が1個
○○:測定された毛羽数が2個
○ :測定された毛羽数が3個以上5個未満
× :測定された毛羽数が5個以上
・糸揺れの評価
毛羽の評価を行った紡糸工程において、同時にローラー上での糸揺れを観測し、次のように評価した。結果を表6に示す。
・糸揺れの評価基準
◎◎:糸の揺れ幅が3mm未満のもの
◎○:糸の揺れ幅が3mm以上5mm未満のもの
○○:糸の揺れ幅が5mm以上7mm未満のもの
○ :糸の揺れ幅が7mm以上9mm未満のもの
× :糸の揺れ幅が9mm以上のもの
Figure 2021046650
表6の結果からも明らかなように、各実施例の合成繊維用処理剤は、毛羽の評価、糸揺れの評価がいずれも良好であった。本発明によれば、紡糸工程において発生する毛羽を低減させ、さらには紡糸工程で発生する糸揺れを低減しうる効果が生じる。
本発明の合成繊維用処理剤や、この合成繊維用処理剤が付着した合成繊維は、紡糸工程における毛羽の発生を低減させ、さらには紡糸工程で発生する糸揺れの低減を可能とすることができ、非常に有用である。
本発明は、紡糸により捲きあがった糸品質の向上、紡糸工程における糸揺れを抑制しうる合成繊維用処理剤及びかかる処理剤が付着している合成繊維に関する。
一般に、合成繊維の紡糸工程において、摩擦を低減し、糸切れ等の繊維の損傷を防止する観点から、合成繊維のフィラメント糸条の表面に合成繊維用処理剤を付着する処理が行われることがある。糸条には、ローラーとの擦過や、糸がローラー上で揺れることによる糸と糸の擦過によって、毛羽が生じる。また、ローラー上での著しい糸揺れ現象は、毛羽、糸切れ程の大きな問題とはならない場合でも、延伸斑等の潜在的問題により後加工時に染色斑等が発生する可能性がある。そのため、これらの現象は処理剤の性能を改善することで、生産される糸品質をも改善することができる。
従来、特許文献1〜3に開示される合成繊維用処理剤が知られている。特許文献1は、硬化ヒマシ油誘導体を1〜50%含有する合成繊維用処理剤について開示している。特許文献2は、チオジプロピオン酸エステル、2級アルキルスルホン酸化合物、リン酸エステルを特定の割合で含有する合成繊維用処理剤について開示している。特許文献3は、含硫黄化合物とゲルベアルコールのエステル化物を含有した合成繊維用処理剤について開示している。
特開2006−307352号公報 特開平08−120564号公報 特許第6530129号公報
ところが、これら従来の合成繊維用処理剤では、紡糸中に発生する毛羽を抑制することに対して十分対応できていなかった。また、ローラー上を高速で通過する際に生じる糸揺れに十分に対応できていなかった。
本発明が解決しようとする課題は、紡糸工程において発生する毛羽を低減させ、さらには紡糸工程で発生する糸揺れを低減しうる合成繊維用処理剤及び合成繊維を提供する処にある。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、紡糸工程において発生する毛羽を低減させ、紡糸工程における糸揺れを抑制するためには、特定の化学構造を有する有機スルホン酸化合物が大きく関与していることを見出し、上記課題を解決するに至ったものである。
本発明は、具体的には次の事項を要旨とする。
1.下記の式(1)に示される有機スルホン酸化合物を含むことを特徴とする合成繊維用処理剤。
Figure 2021046650
(式(1)中において、
:スルホ基(−SO)を少なくとも1つ有する炭素数5〜23の炭化水素基。
:水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。
但し、分子中にMが2以上ある場合は、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
2.前記式(1)のRが、炭素数が9〜19である、1.に記載の合成繊維用処理剤。
3.平滑剤、ノニオン界面活性剤及び前記有機スルホン酸化合物を含む合成繊維用処理剤であって、前記平滑剤、前記ノニオン界面活性剤及び前記有機スルホン酸化合物の含有割合の合計を100質量%とすると、前記有機スルホン酸化合物を0.01〜10質量%の割合で含有する、1.又は2.に記載の合成繊維用処理剤。
4.さらに、リン酸エステル化合物を含有する合成繊維用処理剤であって、前記リン酸エステル化合物が下記の式(2)に示されるリン酸エステルQ1と、下記の式(3)に示されるリン酸エステルQ2及び下記の式(4)に示されるリン酸エステルQ3から選ばれる少なくとも1つ以上とを含み、アルカリ過中和前処理された前記合成繊維用処理剤のP核NMR測定において、前記リン酸エステルQ1、前記リン酸エステルQ2、前記リン酸エステルQ3、リン酸及びその塩に帰属されるP核NMR積分比率の合計を100%としたとき、前記リン酸エステルQ1に帰属されるP核NMR積分比率が15%以上である、3.に記載の合成繊維用処理剤。
Figure 2021046650
(式(2)中において、
:炭素数4〜24のアルキル基、又は炭素数4〜24のアルケニル基。
:炭素数4〜24のアルキル基、又は炭素数4〜24のアルケニル基。
:水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。)
Figure 2021046650
(式(3)中において、
:炭素数4〜24のアルキル基、又は炭素数4〜24のアルケニル基。
:炭素数4〜24のアルキル基、又は炭素数4〜24のアルケニル基。
:水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。
:水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。)
Figure 2021046650
(式(4)中において、
:炭素数4〜24のアルキル基、又は炭素数4〜24のアルケニル基。
:水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。
:水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。)
5.前記リン酸エステル化合物が前記リン酸エステルQ1と前記リン酸エステルQ2とを含み、前記リン酸エステルQ1、前記リン酸エステルQ2、前記リン酸エステルQ3、前記リン酸及びその塩に帰属されるP核NMR積分比率の合計を100%としたとき、前記リン酸エステルQ2に帰属されるP核NMR積分比率が5〜50%である、4.に記載の合成繊維用処理剤。
6.前記平滑剤に、分岐鎖を有するエステル化合物を含有する4.又は5.に記載の合成繊維用処理剤。
7.さらに、下記の式(5)に示されるアルケンスルホン酸化合物を含む、.〜6.のいずれか一項に記載の合成繊維用処理剤。
Figure 2021046650
(式(5)中において、
:炭素数3〜21の炭化水素基。
:水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。)
8.前記有機スルホン酸化合物及び前記アルケンスルホン酸化合物の含有割合の合計を100質量部とすると、前記有機スルホン酸化合物を0.5〜30質量部及び前記アルケンスルホン酸化合物を70〜99.5質量部の割合で含む、7.に記載の合成繊維用処理剤。
9.前記平滑剤、前記ノニオン界面活性剤及びイオン界面活性剤を含有する合成繊維用処理剤であって、前記イオン界面活性剤が前記有機スルホン酸化合物、前記リン酸エステル化合物、及び前記アルケンスルホン酸化合物を含み、前記平滑剤、前記ノニオン界面活性剤、及び前記イオン界面活性剤の含有割合の合計を100質量%とすると、前記有機スルホン酸化合物を0.01〜10質量%の割合で含有する、7.又は8.に記載の合成繊維用処理剤。
10.1.〜9.のいずれか一項に記載の合成繊維用処理剤が付着していることを特徴とする合成繊維。
本発明によると、紡糸工程において発生する毛羽を低減させ、また紡糸工程での糸揺れの抑制を可能とする。
本発明は、上記式(1)に示される有機スルホン酸化合物を含有する合成繊維用処理剤や、この合成繊維用処理剤が付着した合成繊維に関する。
以下、本発明について詳細に説明する。
<式(1)に示される有機スルホン酸化合物>
本発明の合成繊維用処理剤は、下記式(1)に示される有機スルホン酸化合物を必須成分として含有するものである。
Figure 2021046650
(式(1)中において、
:スルホ基(−SO)を少なくとも1つ有する炭素数5〜23の炭化水素基。
:水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。
但し、分子中にMが2以上ある場合は、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
本発明における有機スルホン酸化合物は、式(1)中のRで示される炭化水素基は、分岐鎖を有していてもよく、スルホ基の位置に制限はない。炭化水素基には、二重結合を有していても良く、トランス体でもシス体でも良い。また、炭化水素基にはヒドロキシ基を有していても良い。
本発明において、上記式(1)中のRの炭素数が9〜19である有機スルホン酸化合物が好ましく、炭素数11〜18がさらに好ましく、炭素数12〜17が特に好ましい。
本発明における式(1)に示される有機スルホン酸化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明における合成繊維用処理剤において、平滑剤、ノニオン界面活性剤及び前記有機スルホン酸化合物を含む場合は、前記平滑剤、前記ノニオン界面活性剤及び前記有機スルホン酸化合物の含有割合の合計を100質量%とすると、前記有機スルホン酸化合物を0.01〜10質量%の割合で含有することが好ましく、0.05〜5質量%の割合で含有することがより好ましく、0.05〜3質量%の割合で含有することがさらに好ましい。
<平滑剤>
本発明における合成繊維用処理剤に使用する平滑剤としては、(1)オクチルステアラート、ラウリルパルミタート、オレイルオレアート、オレイルエルシナート等のモノエステル化合物、(2)ジオレイルアジパート、1,4−ブタンジオレアート、ジラウリルセバテート、ジオレイルフマラート等のジエステル化合物、(3)ラウリルメルカプトプロピオナート、オクチルメルカプトプロピオナート、ジラウリルチオジプロピオナート、ジオレイルチオジプロピオナート等の含硫黄エステル化合物、(4)パラフィン、オレフィン、ナフテン等から成る鉱物油が挙げられる。中でも分子中に分岐構造を有するエステル化合物を含むものが好ましい。分子中に分岐構造を有するエステル化合物としては、例えば(5)イソブチルステアラート、2−エチルヘキシルオレイン酸エステル、2−エチルヘキシルエルシン酸エステル、イソステアリルオレアート、イソテトラコシルエルシナート等の分岐モノエステル化合物、(6)ジイソラウリルセバテート、ジイソステアリルアジパート、ジイソテトラコシルアジパート、ジ−2−エチルヘキシルマレイン酸エステル、ネオペンチルグリコールジオレイン酸エステル、2−エチルヘキシルアジパート等の分岐ジエステル、(7)グリセリントリオレアート、グリセリントリラウラート、トリメチロールプロパントリオレアート、トリメチロールプロパン大豆脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールテトラオクタノアート等の多価アルコールエステル、(8)トリオクチルトリメリタート、クエン酸トリエチル等の多価カルボン酸エステル、(9)大豆油、ヤシ油、ひまし油、パーム油、ナタネ油等の天然油脂、(10)2−エチルヘキシルメルカプトプロピオナート、イソラウリルメルカプトプロピオナート、ジイソラウリルチオジプロピオナート、ジイソステアリルチオジプロピオナート、ジイソパルミチルジチオプロピオナート、トリメチロールプロパントリスメルカプトプロピオナート等の含硫黄分岐エステルが挙げられる。なかでも、2−エチルヘキシルアジパート、イソステアリルオレアート、ナタネ油、トリメチロールプロパントリオレアート、ジイソステアリルチオジプロピオナート、ジイソラウリルチオジプロピオナートがより好ましい。これらの平滑剤成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
<ノニオン界面活性剤>
本発明における合成繊維用処理剤に使用するノニオン界面活性剤としては、特に制限はなく、例えば(1)有機酸、有機アルコール、有機アミン、及び有機アミドから選ばれる少なくとも一種に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した化合物、例えばポリオキシエチレンラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリン酸エステルメチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシプロピレンラウリルエーテルメチルエーテル、ポリオキシブチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンラウロアミドエーテル等のエーテル型ノニオン界面活性剤、(2)ソルビタンモノオレアート、ソルビタントリオレアート、グリセリンモノラウラート等の多価アルコール部分エステル型ノニオン界面活性剤、(3)ポリエチレングリコールジオレアート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリオキシブチレンソルビタントリオレアート、ポリオキシプロピレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンプロピレン硬化ひまし油トリオレアート、ポリオキシエチレン硬化ひまし油トリラウラート、ひまし油のエチレンオキサイド(以下、EOという)付加物及び硬化ひまし油のEO付加物から選ばれる少なくとも1種の化合物と、モノカルボン酸及びジカルボン酸とを縮合させたエーテルエステル化合物等のポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤、(4)ジエタノールアミンモノラウロアミド等のアルキルアミド型ノニオン界面活性剤等が挙げられる。これらのノニオン界面活性剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明では、化合物名の末端にEOおよびPOと記載したものは、それぞれエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの付加物を意味し、後に続く数字はその付加モル数を示す。
<リン酸エステル>
本発明における合成繊維用処理剤は、下記式(2)で示すリン酸エステルQ1と、下記式(3)で示すリン酸エステルQ2及び下記式(4)で示すリン酸エステルQ3から選ばれる少なくとも1つ以上とを含んでいてもよい。
Figure 2021046650
(式(2)中において、
:炭素数4〜24のアルキル基、又は炭素数4〜24のアルケニル基。
:炭素数4〜24のアルキル基、又は炭素数4〜24のアルケニル基。
:水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。)
Figure 2021046650
(式(3)中において、
:炭素数4〜24のアルキル基、又は炭素数4〜24のアルケニル基。
:炭素数4〜24のアルキル基、又は炭素数4〜24のアルケニル基。
:水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。
:水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。)
Figure 2021046650
(式(4)中において、
:炭素数4〜24のアルキル基、又は炭素数4〜24のアルケニル基。
:水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。
:水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。)
ここで、アルカリ過中和前処理された前記合成繊維用処理剤のP核NMR測定において、上記リン酸エステルQ1、リン酸エステルQ2、リン酸エステルQ3、リン酸及びその塩に帰属されるP核NMR積分比率の合計を100%としたとき、前記リン酸エステルQ1に帰属されるP核NMR積分比率が15%以上であることが好ましく、17%以上であることがより好ましく、20%以上であることがさらに好ましい。また、同様に、前記リン酸エステルQ2に帰属されるP核NMR積分比率が5〜50%であることが好ましく、6〜45%であることがより好ましく、7〜40%であることがさらに好ましい。さらに、前記リン酸エステルQ1に帰属されるP核NMR積分比率が15〜80%であり、かつ、前記リン酸エステルQ2に帰属されるP核NMR積分比率が5〜50%であることがより好ましく、前記リン酸エステルQ1に帰属されるP核NMR積分比率が17〜70%であり、かつ、前記リン酸エステルQ2に帰属されるP核NMR積分比率が6〜45%であることがより好ましく、前記リン酸エステルQ1に帰属されるP核NMR積分比率が20〜60%であり、かつ、前記リン酸エステルQ2に帰属されるP核NMR積分比率が7〜40%であることがより好ましい。
本発明における「アルカリ過中和前処理」とは、合成繊維用処理剤に対して過剰量のアルカリ(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ラウリルアミン)を添加する前処理を意味する。31P−NMRの測定において、この「アルカリ過中和前処理」を行うことで、リン酸エステルQ1、リン酸エステルQ2、リン酸エステルQ3、リン酸及びその塩に帰属されるピークを明瞭に分けることができ、下記数式(1)〜数式(4)による各化合物に帰属されるP核積分比率の計算が可能となる。本発明における31P−NMRの測定では、観測ピークが分かれる程度のアルカリを合成繊維用処理剤に加えるアルカリ過中和処理を行った。
前記リン酸エステルQ1に帰属されるP核NMR積分比率は下記の数式(1)で、前記リン酸エステルQ2に帰属されるP核NMR積分比率は下記の数式(2)で、前記リン酸エステルQ3に帰属されるP核NMR積分比率は下記の数式(3)で、前記リン酸及びその塩に帰属されるP核NMR積分比率は下記の数式(4)に示される。
Figure 2021046650
(数式(1)において、
Q1_P%:リン酸エステルQ1に帰属されるP核NMR積分比率、
Q1_P:リン酸エステルQ1に帰属されるP核NMR積分値、
Q2_P:リン酸エステルQ2に帰属されるP核NMR積分値、
Q3_P:リン酸エステルQ3に帰属されるP核NMR積分値、
リン酸_P:リン酸及びその塩に帰属されるP核NMR積分値。)
Figure 2021046650
(数式(2)において、
Q2_P%:リン酸エステルQ2に帰属されるP核NMR積分比率、
Q1_P:リン酸エステルQ1に帰属されるP核NMR積分値、
Q2_P:リン酸エステルQ2に帰属されるP核NMR積分値、
Q3_P:リン酸エステルQ3に帰属されるP核NMR積分値、
リン酸_P:リン酸及びその塩に帰属されるP核NMR積分値。)
Figure 2021046650
(数式(3)において、
Q3_P%:リン酸エステルQ3に帰属されるP核NMR積分比率、
Q1_P:リン酸エステルQ1に帰属されるP核NMR積分値、
Q2_P:リン酸エステルQ2に帰属されるP核NMR積分値、
Q3_P:リン酸エステルQ3に帰属されるP核NMR積分値、
リン酸_P:リン酸及びその塩に帰属されるP核NMR積分値。)
Figure 2021046650
(数式(4)において、
リン酸_P%:リン酸及びその塩に帰属されるP核NMR積分比率、
Q1_P:リン酸エステルQ1に帰属されるP核NMR積分値、
Q2_P:リン酸エステルQ2に帰属されるP核NMR積分値、
Q3_P:リン酸エステルQ3に帰属されるP核NMR積分値、
リン酸_P:リン酸及びその塩に帰属されるP核NMR積分値。)
上記式(2)〜(4)に示されるリン酸エステルQ1〜Q3の、式(2)〜(4)中のR、R、R、R、Rとしては、例えば、ブタノールから水酸基を除いた残基、ヘキサノールから水酸基を除いた残基、ヘプタノールから水酸基を除いた残基、オクタノールから水酸基を除いた残基、ノナノールから水酸基を除いた残基、デカノールから水酸基を除いた残基、ラウリルアルコールから水酸基を除いた残基、ミリスチルアルコールから水酸基を除いた残基、パルミチルアルコールから水酸基を除いた残基、オレイルアルコールから水酸基を除いた残基、ステアリルアルコールから水酸基を除いた残基、エイコサノールから水酸基を除いた残基、テトラコサノールから水酸基を除いた残基、2−エチルヘキサノールから水酸基を除いた残基、2−デシル−1−テトラデカノールから水酸基を除いた残基、イソセチルアルコールから水酸基を除いた残基、2−ブチル−1−オクタノールから水酸基を除いた残基等が挙げられる。なかでも、2−エチルヘキサノール、オレイルアルコール、2−デシル−1−テトラデカノール、イソセチルアルコール、2−ブチル−1−オクタノールから水酸基を除いた残基が好ましい。
上記式(2)〜(4)に示されるリン酸エステルQ1〜Q3におけるリン酸エステルに対する対イオンは、特に制限はないが、例えば、水素、アルカリ金属、アンモニウム、有機アミン、ホスホニウム等が挙げられる。なかでも、ジブチルエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンオクチルアミノエーテル、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
これらリン酸エステルは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明における合成繊維用処理剤は、下記式(5)で示すアルケンスルホン酸化合物を含んでいることが好ましい。
Figure 2021046650
(式(5)中において、
:炭素数3〜21の炭化水素基。
:水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。)
上記式(5)中の炭化水素は分岐鎖であってもよく、上記式(5)に示されるアルケンスルホン酸化合物は、シス−トランス異性体を有するが、シス体であっても、トランス体であってもよい。また、炭素数7〜17の炭化水素基であることが好ましい。
上記式(5)に示されるアルケンスルホン酸化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記式(1)に示される有機スルホン酸化合物及び前記式(5)に示されるアルケンスルホン酸化合物の含有割合の合計を100質量部とすると、前記有機スルホン酸化合物を0.5〜30質量部及び前記アルケンスルホン酸化合物を70〜99.5質量部の割合で含むことが好ましく、前記有機スルホン酸化合物を1〜30質量部及び前記アルケンスルホン酸化合物を70〜99質量部の割合で含むことが好ましく、前記有機スルホン酸化合物を1.5〜30質量部及び前記アルケンスルホン酸化合物を70〜98.5質量部の割合で含むことが好ましい。
本発明における合成繊維用処理剤は、さらにその他のイオン界面活性剤を含んでいてもよく、具体的には、例えば、(1)酢酸カリウム、オクタン酸カリウム塩、オレイン酸カリウム塩、オレイン酸ナトリウム塩、アルケニルコハク酸カリウム塩等のカルボン酸石鹸型イオン界面活性剤、(2)2級アルカンスルホン酸ナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩等のスルホン酸エステル型イオン界面活性剤、(3)ポリオキシエチレンラウリル硫酸エステルナトリウム塩、ヘキサデシル硫酸カリウム塩、牛脂硫化油、ひまし油硫化油等の硫酸エステル型イオン界面活性剤等が挙げられる。これらの成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明における合成繊維用処理剤が、前記平滑剤、前記ノニオン界面活性剤、及びイオン界面活性剤を含有し、前記イオン界面活性剤が前記有機スルホン酸化合物、前記リン酸エステル化合物、及び前記アルケンスルホン酸化合物を含有する場合において、前記平滑剤、前記ノニオン界面活性剤、及び前記イオン界面活性剤の含有割合の合計を100質量%とすると、前記式(1)に示される有機スルホン酸化合物を0.01〜10質量%の割合で含有することが好ましく、0.05〜5質量%の割合で含有することがより好ましく、0.05〜3質量%の割合で含有することがさらに好ましい。前記式(1)に示される有機スルホン酸化合物を、かかる配合量範囲において含有することにより、本発明の効果をより向上させることができ、紡糸時における毛羽を低減でき、紡糸工程における糸揺れを抑制しうる。
<その他の成分>
本発明の合成繊維用処理剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、処理剤の品質保持のための安定化剤や制電剤、つなぎ剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の通常合成繊維の処理剤に用いられる成分をさらに配合してもよい。
<合成繊維>
本発明の合成繊維は、本発明の合成繊維用処理剤が付着している合成繊維である。本発明の合成繊維用処理剤を付着させる合成繊維としては、特に制限はないが、例えば(1)ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレンテレフタラート、ポリ乳酸エステル等のポリエステル系繊維、(2)ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系繊維、(3)ポリアクリル、モダアクリル等のポリアクリル系繊維、(4)ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維等が挙げられる。製造する合成繊維の繊度としては、特に制限はないが、好ましくは150デシテックス以上であり、さらに好ましくは500デシテックス以上であり、特に好ましいのは1000デシテックス以上である。また、製造する合成繊維の強度としては、特に制限はないが、好ましくは5.0cN/dtex以上であり、さらに好ましくは6.0cN/dtex以上、特に好ましくは7.0cN/dtex以上である。
本発明の合成繊維用処理剤(溶媒を含まない)を合成繊維に付着させる割合は、特に制限はないが、本発明の合成繊維用処理剤を合成繊維に対し0.1〜3質量%(希釈剤と水を含まない)の割合となるよう付着させることが好ましい。かかる構成により、本発明の効果をより向上させる。
また、本発明の合成繊維用処理剤を付着させる方法は、特に制限はなく、例えばローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法、浸漬給油法、スプレー給油法等の公知の方法を採用することができる。
本発明における合成繊維用処理剤は、前記式(1)に示される有機スルホン酸化合物を必須成分として含有することにより、紡糸工程において発生する毛羽の低減、さらには紡糸工程で発生する糸揺れを低減しうる。それにより、本実施形態の合成繊維は、優れた工程通過性を発揮することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の技術範囲はこれらにより限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
<試験区分1(式(1)、(5)に示されるスルホン酸化合物)>
・スルホン酸化合物(S1−1、及びS2−1)の合成
1−テトラデセンに三酸化硫黄を加え、50℃以下でスルホン化した。これに、過剰量の水酸化ナトリウム水溶液を加えて1時間撹拌した後、オートクレーブ中で150℃、1時間加熱した。これに、石油エーテルおよびエタノールを加えて撹拌・静置した後、油相を取り除くことで油溶性の不純物を抽出除去した。残った水相を蒸発乾固させた。これをクロマトグラフィーで対イオンが水素であるS1−1、S2−1をそれぞれ分取した。次いで、これらのpHが9となるよう、それぞれに水酸化ナトリウムを加えよく撹拌したのち、蒸発乾固させることでS1−1、S2−1を得た。
今回の実施例及び比較例において使用した、前記式(1)に示される有機スルホン酸化合物(S1−1〜S1−5)の内容を表1に、上記式(5)に示されるアルケンスルホン酸化合物(S2−1〜S2−5)の内容を表2に示した。
Figure 2021046650
Figure 2021046650
<試験区分2(リン酸エステル化合物)>
・リン酸エステル化合物(P−1)の合成
4つ口フラスコ内で撹拌下の2−エチルヘキサノールに五酸化二燐を仕込み、70±5℃で3時間反応させた。次いで、中和剤としてジブチルエタノールアミンを仕込み、50℃で1時間撹拌した。(P−2〜P−5)は、表3の原料を使用し、P−1と同様の方法で合成した。尚、P−2及びP−5の中和では、水酸化ナトリウム水溶液にリン酸化物を仕込み、撹拌することで中和を行った。
・リン酸エステル化合物(rP−1)の合成
4つ口フラスコ内で撹拌下のオレイルアルコールに五酸化二燐とポリリン酸を仕込み、60±5℃で3時間反応させた。次いで、中和剤の水酸化カリウム水溶液に、これを仕込み、50℃で1時間撹拌した。
Figure 2021046650
<試験区分3(合成繊維用処理剤の調製)>
・合成繊維用処理剤(実施例1)の調製
平滑剤としてジオレイルアジパート(A−1)を20部、オレイルオレアート(A−2)を35部、ジイソステアリルチオジプロピオナート(bSA−1)を5部、ノニオン界面活性剤としてポリエチレングリコール(分子量600)とオレイン酸2モルとのエステル化物(B−4)を10部、ソルビタンモノオレアート(B−5)を8部、ひまし油−EO8(B−8)を10部、ひまし油−EO20 1モルとオレイン酸3モルのエステル化物(B−11)を8部、イオン界面活性剤として、前記式(1)に示される有機スルホン酸化合物の(S1−1)を0.30部、リン酸エステル化合物の(P−1)を2.6部、前記式(5)に示されるアルケンスルホン酸化合物の(S2−1)を1.0部、その他成分のオレイン酸カリウム塩(D−1)0.1部を均一混合し、実施例1の合成繊維用処理剤を調製した。
・合成繊維用処理剤(実施例2〜11及び比較例1〜3)の調製
実施例1の合成繊維用処理剤の調製と同様に、実施例2〜11及び比較例1〜3の合成繊維用処理剤を調製し、実施例1〜11の組成を表4に、比較例1〜3の組成を表5に示した。
但し、実施例2は、表4の原料以外に酸化防止剤として1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンを処理剤100部に対し0.8部の割合で添加した。
調製した合成繊維用処理剤0.10gにラウリルアミン0.15gを入れてよく撹拌した。溶媒を重クロロホルムとして、これの31P−NMRを測定した。尚、リン酸エステル化合物のP核積分比率は、31P−NMR(VARIAN社製の商品名MERCURY plus NMR Spectrometor System、300MHz)に供した測定値を用いて、前記数式(1)〜数式(4)から算出し、下記表4、5に示した。
Figure 2021046650
Figure 2021046650
表4、5において、
A−1:ジオレイルアジパート
A−2:オレイルオレアート
A−3:1,4−ブタンジオレアート
A−4:鉱物油(レッドウッド秒120)
bA−1:ジ(2−エチルヘキシル)アジパート
bA−2:イソステアリルオレアート
bA−3:ナタネ油
bA−4:トリメチロールプロパントリオレアート
SA−1:ジオレイルチオジプロピオナート
bSA−1:ジイソステアリルチオジプロピオナート
bSA−2:ジイソドデシルチオジプロピオナート
B−1:ヤシ脂肪酸−EO12
B−2:オレイルアルコール−EO15
B−3:イソステアリルアルコール−EO8PO10
B−4:ポリエチレングリコール(分子量600)とオレイン酸2モルとのエステル化

B−5:ソルビタンモノオレアート
B−6:ラウリルアミン−EO6
B−7:ジエタノールアミンオレイン酸アミド
B−8:ひまし油−EO8
B−9:硬化ひまし油−EO12
B−10:硬化ひまし油−EO10PO15
B−11:ひまし油−EO20 1モルとオレイン酸3モルのエステル化物
B−12:硬化ひまし油−EO25 1モルとラウリン酸2モルのエステル化物
B−13:硬化ひまし油−EO15とアジピン酸とステアリン酸の重縮合物(分子量6000)
D−1:オレイン酸カリウム塩
D−2:オクチル酸ナトリウム塩
SD−1:2級アルキルスルホン酸ナトリウム塩(炭素数14−18)
SD−2:ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩
<試験区分4(合成繊維用処理剤の評価)>
・毛羽の評価
ポリエチレンテレフタラートのチップを常法により乾燥した後、エクストルーダーを用いて溶融紡糸し、口金から吐出して冷却固化した後の走行糸条に、前記処理剤を、計量ポンプを用いたガイド給油法にて付着させた。合成繊維用処理剤の付着量が0.6質量%(希釈剤、水を含まない)となるように給油した。その後、ガイドで集束させた後に、250℃のホットローラーを通過する工程を経て、全延伸倍率5.5倍となるように延伸し、1100デシテックス192フィラメントの延伸糸を10kg捲きチーズとして得た。その紡糸工程において、糸をチーズとして巻き取る前に、毛羽計数装置(東レエンジニアリング社製)にて1時間当たりの毛羽数を測定し、次の基準で評価した。結果を表6に示す。
・毛羽の評価基準
◎◎:測定された毛羽数が0個
◎○:測定された毛羽数が1個
○○:測定された毛羽数が2個
○ :測定された毛羽数が3個以上5個未満
× :測定された毛羽数が5個以上
・糸揺れの評価
毛羽の評価を行った紡糸工程において、同時にローラー上での糸揺れを観測し、次のように評価した。結果を表6に示す。
・糸揺れの評価基準
◎◎:糸の揺れ幅が3mm未満のもの
◎○:糸の揺れ幅が3mm以上5mm未満のもの
○○:糸の揺れ幅が5mm以上7mm未満のもの
○ :糸の揺れ幅が7mm以上9mm未満のもの
× :糸の揺れ幅が9mm以上のもの
Figure 2021046650
表6の結果からも明らかなように、各実施例の合成繊維用処理剤は、毛羽の評価、糸揺れの評価がいずれも良好であった。本発明によれば、紡糸工程において発生する毛羽を低減させ、さらには紡糸工程で発生する糸揺れを低減しうる効果が生じる。
本発明の合成繊維用処理剤や、この合成繊維用処理剤が付着した合成繊維は、紡糸工程における毛羽の発生を低減させ、さらには紡糸工程で発生する糸揺れの低減を可能とすることができ、非常に有用である。

Claims (10)

  1. 下記の式(1)に示される有機スルホン酸化合物を含むことを特徴とする合成繊維用処理剤。
    Figure 2021046650

    (式(1)中において、
    :スルホ基(−SO)を少なくとも1つ有する炭素数5〜23の炭化水素基。
    :水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。
    但し、分子中にMが2以上ある場合は、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
  2. 前記式(1)のRが、炭素数が9〜19である、請求項1に記載の合成繊維用処理剤。
  3. 平滑剤、ノニオン界面活性剤及び前記有機スルホン酸化合物を含む合成繊維用処理剤であって、前記平滑剤、前記ノニオン界面活性剤及び前記有機スルホン酸化合物の含有割合の合計を100質量%とすると、前記有機スルホン酸化合物を0.01〜10質量%の割合で含有する、請求項1又は2に記載の合成繊維用処理剤。
  4. さらに、リン酸エステル化合物を含有する合成繊維用処理剤であって、前記リン酸エステル化合物が下記の式(2)に示されるリン酸エステルQ1と、下記の式(3)に示されるリン酸エステルQ2及び下記の式(4)に示されるリン酸エステルQ3から選ばれる少なくとも1つ以上とを含み、アルカリ過中和前処理された前記合成繊維用処理剤のP核NMR測定において、前記リン酸エステルQ1、前記リン酸エステルQ2、前記リン酸エステルQ3、リン酸及びその塩に帰属されるP核NMR積分比率の合計を100%としたとき、前記リン酸エステルQ1に帰属されるP核NMR積分比率が15%以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の合成繊維用処理剤。
    Figure 2021046650

    (式(2)中において、
    :炭素数4〜24のアルキル基、又は炭素数4〜24のアルケニル基。
    :炭素数4〜24のアルキル基、又は炭素数4〜24のアルケニル基。
    :水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウム、又は有機アミン塩。)
    Figure 2021046650

    (式(3)中において、
    :炭素数4〜24のアルキル基、又は炭素数4〜24のアルケニル基。
    :炭素数4〜24のアルキル基、又は炭素数4〜24のアルケニル基。
    :水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。
    :水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。)
    Figure 2021046650

    (式(4)中において、
    :炭素数4〜24のアルキル基、又は炭素数4〜24のアルケニル基。
    :水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。
    :水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。)
  5. 前記リン酸エステル化合物が前記リン酸エステルQ1と前記リン酸エステルQ2とを含み、前記リン酸エステルQ1、前記リン酸エステルQ2、前記リン酸エステルQ3、前記リン酸及びその塩に帰属されるP核NMR積分比率の合計を100%としたとき、前記リン酸エステルQ2に帰属されるP核NMR積分比率が5〜50%である、請求項4に記載の合成繊維用処理剤。
  6. 前記平滑剤に、分岐鎖を有するエステル化合物を含有する請求項3〜5のいずれか一項に記載の合成繊維用処理剤。
  7. さらに、下記の式(5)に示されるアルケンスルホン酸化合物を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の合成繊維用処理剤。
    Figure 2021046650

    (式(5)中において、
    :炭素数3〜21の炭化水素基。
    :水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウム又は有機アミン塩。)
  8. 前記有機スルホン酸化合物及び前記アルケンスルホン酸化合物の含有割合の合計を100質量部とすると、前記有機スルホン酸化合物を0.5〜30質量部及び前記アルケンスルホン酸化合物を70〜99.5質量部の割合で含む、請求項7に記載の合成繊維用処理剤。
  9. 前記平滑剤、前記ノニオン界面活性剤及びイオン界面活性剤を含有する合成繊維用処理剤であって、前記イオン界面活性剤が前記有機スルホン酸化合物、前記リン酸エステル化合物、及び前記アルケンスルホン酸化合物を含み、前記平滑剤、前記ノニオン界面活性剤、及び前記イオン界面活性剤の含有割合の合計を100質量%とすると、前記有機スルホン酸化合物を0.01〜10質量%の割合で含有する、請求項7又は8に記載の合成繊維用処理剤。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の合成繊維用処理剤が付着していることを特徴とする合成繊維。
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