JP2021046070A - 乗物用シート - Google Patents
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Abstract
Description
シートバック6は、図1〜図3を参照して、乗員の背凭れとなる正面視で概ね矩形の部材であり、シートパッド6Pと、シートカバー6Sと、バックパネル10と、一対の別体パネル20,30を有している(図3では、便宜上、シートバックの主要な構成のみを図示している)。このシートバック6では、バックパネル10の着座側となる前側に、乗員を弾性的に支持するシートパッド6Pが配設され、さらにシートパッド6Pの着座面を含む外面がシートカバー6Sで被覆されている。そしてシートバック6の後部にはバックパネル10が配設され、このバックパネル10によって、図2に示すようにシートバック6の後部形状が構成されている。そして本実施例では、後部側の意匠選択の自由度を確保する観点等から、バックパネル10の後面10bに後述する一対の別体パネル20,30を配設する。この種の構成では、所望の意匠性を確保するため、バックパネル10の後面10bの適所(後述の段差部11)に各別体パネル20,30を位置決めして配設することが望ましい。そこで本実施例では、後述する複数のクサビ部材40によって、各別体パネル20,30を、バックパネル10の適所に位置決めして、意匠性良く配設することとした。以下、各構成について詳述する。
シートパッド6Pは、図1及び図3を参照して、シート外形をなす正面視で概ね矩形の部材であり、後述するバックパネル10の前面10a側に配設されている。このシートパッド6Pは、乗員を弾性的に支持可能な素材で形成されており、例えばポリウレタンフォーム(密度:10kg/m3〜60kg/m3)などの発泡樹脂で形成できる。そしてシートパッド6Pの下部は、乗員の上半身を支持すべき部分であり、適度な左右の幅寸法を有している。またシートパッド6Pの上部は、乗員頭部を支持すべき相対的に幅狭な部分であり、正面視で概ね矩形のヘッドレスト部8Pが設けられている。またシートカバー6Sは、シートの意正面を構成する面材であり、布帛(織物,編物,不織布)や皮革(天然皮革,合成皮革)で形成できる。このシートカバー6Sは、複数の表皮ピースを袋状に縫合することで形成されており、シートパッド6P(8P)の着座面となる前面から周側面にかけての部分を被覆している。
図1〜図4に示すバックパネル10は、シートバック6の後部外形をなす正面視で概ね矩形の板状部材である。このバックパネル10は、シートパッド6Pに倣った形状を有しており、正面視で下部側が幅広であって上部側が幅狭となっている。またバックパネル10の後面10bは、専らシートバック6の後部外形をなす部分であり、図3に示すように外方(図3では右側)に向かうにつれて前側に緩やかに湾曲したシェル形状を有している。またバックパネル10の外周縁は、前側に向けて屈曲してフランジ部10cを形成しており、このフランジ部10cが、シートパッド6Pの周側面の後方又は外方に配置されている。なおバックパネル10の素材は、適度な剛性を備える限り特に限定しないが、典型的にはソリッドな樹脂(繊維強化プラスチックを含む)や金属などで形成できる。そしてバックパネル10には、後述する別体パネル用の構成として、図4〜図6を参照して、段差部11と、複数の孔部15A,15Bと、複数の締結部16〜19が設けられている。
図4〜図6に示す段差部11は、バックパネル10のその他の後面10b部分に比して厚み方向である後方に一段突出している部位であり、バックパネル10の左右方向中央に設けられている。この段差部11は、バックパネル10の上端側から下方に向けて概ね直線的に延びており、下端側では左右の幅寸法が大きくなるように末広がり状となっている。そして段差部11は、バックパネル10を部分的に屈曲させることで形成でき、図5の横断面視において概ね横コ字をなすように、後板部12と右板部13と左板部14とから構成されている。後板部12は、段差部11の中で最も後方に位置する部分であり、適度な左右の幅寸法をもって上下方向に延長している。また右板部13は、段差部11の右縁から前方に屈曲する立壁状の部位であり、バックパネル10の右側の後面部分につながっている。また左板部14は、段差部11の左縁から前方に屈曲した立壁状の部位であり、バックパネル10の左側の後面部分につながっている。そしてバックパネル10の前面10a側では、段差部11をなすバックパネル10部分が後方に凹んだ凹み箇所11Xとなっており、この凹み箇所11Xは、後板部12の内面12aと右板部13の内面13aと左板部14の内面14aで構成されている。そして本実施例では、凹み箇所11Xが、本発明の段差部側のバックパネル部分に相当し、その右板部13の内面13aと左板部14の内面14aに、後述するクサビ部材40がそれぞれ係止されることとなる。
またバックパネル10には、図4〜図6に示すように、複数の右側孔部15Aと複数の左側孔部15Bとが概ね左右対称に設けられている(各図では、便宜上、各右側孔部に共通の符号15Aを付し、各左側孔部に共通の符号15Bを付す)。これら複数の孔部15A,15Bは、バックパネル10の後面10bを厚み方向(前後方向)に貫通する貫通孔であり、後述する各別体パネル20,30の対応する差込凸部を差込むことができる。そして複数の右側孔部15Aは、段差部11の右板部13の右側に隣接して設けられた孔部であり、形成位置が異なる以外は概ね同一の基本構成を有している。これら各右側孔部15Aは、それぞれ正面視で上下に長尺な長孔状に形成されているとともに、上下に適宜の間隔をあけて配置されている。また複数の左側孔部15Bは、段差部11の左板部14の左側に隣接して設けられた孔部であり、形成位置が異なる以外は概ね同一の基本構成を有している。そして各左側孔部15Bも、各右側孔部15Aと同様に上下に長尺な長孔状に形成されているとともに、上下に適宜の間隔をあけて配置されている。
図2及び図6に示すバックパネル10の後面10bには、左右一対の別体パネル(右側別体パネル20、左側別体パネル30)が配設されている。これら右側別体パネル20と左側別体パネル30は、左右対称形となっている以外は概ね同一の基本構成を有しているため、以下に、右側別体パネル20を一例にその詳細を説明する。この右側別体パネル20は、正面視で概ね三角形状をなす板状部材であり、段差部11の右側のバックパネル10部分に配設される。そして図3、図6及び図7を参照して、右側別体パネル20の左縁部21(詳細後述)は、左側の外縁をなす直線状の縁部分であり、段差部11に沿うように上下方向に延長している。また右側別体パネル20の右縁部22は、右側の外縁をなす傾斜状の縁部分であり、上部側から下方に向かうにつれて次第に右側に向けて張り出している。そして右側別体パネル20は、バックパネル10の右側に倣った外形形状を有しており、左縁部21から右縁部22に向かうにつれて次第に前方に緩やかに湾曲している。さらに右側別体パネル20では、その右縁部22の下側部分23が、バックパネル10の右側のフランジ部10cを回り込めるように折り返し状に湾曲している。
そして図3及び図7に示す右側別体パネル20の左縁部21は、本発明の別体パネルの縁に相当し、段差部11の右側に沿うように配置できる。この左縁部21は、バックパネル10側である前側に屈曲して上下方向に延長しており、段差部11の右板部13に押し当て可能な状態で配置しておくことができる。そして左縁部21の屈曲した前端には、後述する複数の差込凸部25が一体的に設けられており、各差込凸部25は、対応する右側孔部15Aに差込可能なように上下に適宜の間隔をあけて配置されている(各図では、便宜上、各差込凸部に共通の符号25を付す)。ここで各差込凸部25は、形成位置が異なる以外は概ね同一の基本構成を有しているため、以下に一つの差込凸部25を一例にその詳細を説明する。
図3、図7及び図8を参照して、差込凸部25は、側面視で概ね矩形の板状部位であり、対応する右側孔部15Aに差し込み可能な外形寸法を有している。この差込凸部25の前後の突出寸法T1は、対応する右側孔部15Aに差し込まれた状態で、バックパネル10の前面10a側から突出可能な寸法に設定されている。そして差込凸部25の前後方向中央には相対的に薄肉とされた薄肉部25aが設けられ、この薄肉部25aには、上下に長尺な長孔状の挿通孔25Hが設けられている。この挿通孔25Hは、差込凸部25を厚み方向である左右方向に貫通する長孔であり、後述するクサビ部材40を左右方向から挿通可能である。そして挿通孔25Hは、差込凸部25が対応する右側孔部15Aに差し込まれた状態において、バックパネル10の前面10a側から露出した状態で配置される。
ここで図2及び図7に示す右側別体パネル20の素材は特に限定しないが、適度な剛性と可撓性を備えたソリッドな樹脂を素材に用いることができる。そして本実施例の右側別体パネル20は、意匠性の観点から光透過性を備えた透明又は半透明の樹脂を使用しており、この種の樹脂として、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂を例示できる。さらに図3及び図13を参照して、右側別体パネル20の左側には、左縁部21に沿うように隠し部位24が上下に延設されている。この隠し部位24は、右側別体パネル20のその他の部分に比して光透過性に劣る部位であり、目視においてほぼ不透明と認識されることが望ましい。この種の隠し部位24の形成手法は特に限定しないが、着色層を設けたり着色剤を樹脂材料に混合したりする手法、光非透過性の別部材をインサートする手法、透明度を低下させる加工(擦り加工等)を別途施す手法を例示できる。そして隠し部位24は、適度な左右の幅寸法をもって上下に連続的に形成されており、設置状態の右側別体パネル20を後方から見た際に、各差込凸部25と各右側孔部15Aとを覆い隠すように配置される。
図6に示す複数のクサビ部材40は、それぞれ対応する孔部15A(15B)に対する差込凸部25(35)の抜外れを阻止する部材である(図6等図では、便宜上、各クサビ部材に共通の符号40を付す)。これら各クサビ部材40は、概ね同一の基本構成を有しているため、以下に、バックパネル10の右側に配置される一つのクサビ部材40を一例にその詳細を説明する。このクサビ部材40は、図9及び図11を参照して、大まかな外形が基部42と挿通片部44とで形成されているとともに、差込凸部25用の第一係止部46と、段差部11用の第二係止部48とを有している。ここで基部42は、上下方向を向いた柱状の部位であり、上下方向における長さ寸法は概ね対応する孔部の寸法に一致している。また挿通片部44は、基部42の右面から突出するU字状の枠部位であり、対応する挿通孔25Hに挿通可能な外形寸法を有している。そしてクサビ部材40は、挿通片部44を右側に向けた状態で使用され、後述するようにバックパネル10の右側に配置される差込凸部25の抜け止めに用いられる。なお図6に示す左側のクサビ部材40は、左右逆向きで使用され、後述するようにバックパネル10の左側に配置される別の差込凸部35の抜け止めに用いられる。
図2及び図6を参照して、シートバック6の後部にバックパネル10を配設し、このバックパネル10によってシートバック6の後部外形を構成する。そして本実施例では、意匠選択の自由度を確保する観点から、バックパネル10の段差部11の右側に沿うように右側別体パネル20を配設し、段差部11の左側に沿うように左側別体パネル30を配設する。この種の構成では、所望の意匠性を確保する観点から、各別体パネル20,30をバックパネル10の適所に位置決めしておくことが望ましい。例えば上述の構成では、各別体パネル20,30を配設する際に、設計誤差による製品バラつき等の原因で、段差部11に対する位置が定まらず左右方向の位置ズレが生じる可能性がある。そして左右方向の位置ずれが生じた場合には、例えば図11を参照して、右側別体パネル20と段差部11との間(X)に過度の隙ができるなどして、シートバック6の後部における所望の意匠性が得られないおそれがある。
4 シートクッション
6 シートバック
6S シートカバー
6P シートパッド
8P ヘッドレスト部
10 バックパネル
10a バックパネルの前面
10b バックパネルの後面
10c フランジ部
11 段差部
12 後板部
13 右板部
14 左板部
11X 凹み箇所(本発明の段差部側のバックパネル部分)
12a 後板部の内面
13a 右板部の内面
14a 左板部の内面
15A 右側孔部
15B 左側孔部
16 右側の上側締結部
16a 締結板部
16b 差込孔部
17 左側の上側締結部
17a 別の締結板部
17b 別の差込孔部
18 右側の下側締結部
19 左側の下側締結部
20 右側別体パネル
21 右側別体パネルの左縁部(本発明の別体パネルの縁)
22 右側別体パネルの右縁部
23 右側別体パネルの右縁部の下側部分
24 右側別体パネルの隠し部位
25 差込凸部
25H 挿通孔
25a 薄肉部
26 上側締結部位
28 下側締結部位
30 左側別体パネル
31 左側別体パネルの右縁部(本発明の別体パネルの縁)
32 左側別体パネルの左縁部
33 左側別体パネルの左縁部の下側部分
34 別の隠し部位
35 別の差込凸部
37 別の上側締結部位
39 別の下側締結部位
40 クサビ部材
42 基部
44 挿通片部
46 第一係止部
46a 首部
46b 係止爪部
46x 係止爪部の左面
48 第二係止部
48x 第二係止部の右面
BM 締結具
Claims (4)
- 乗員の背凭れとなるシートバックが、後部外形をなすバックパネルと、前記バックパネルの後面に配設されている別体パネルとを備え、前記バックパネルの後面一部に、その他のバックパネル部分よりも厚み方向に突出している段差部が設けられ、前記別体パネルが、前記段差部に沿うように配設される乗物用シートにおいて、
前記バックパネルの後面には、厚み方向に貫通する孔部が設けられているとともに、前記別体パネルには、前記孔部に差込まれて前記バックパネルの前側に突出している差込凸部が設けられており、
前記バックパネルの前面側において、前記孔部に対する前記差込凸部の抜外れを阻止するクサビ部材が前記差込凸部に係止されているとともに、前記クサビ部材は、前記差込凸部を段差部側に押圧した状態で、前記段差部側のバックパネル部分に係止されている乗物用シート。 - 前記クサビ部材は、前記差込凸部に設けられた挿通孔にシート幅方向から挿通された状態で、前記挿通孔の周縁に係止されている請求項1に記載の乗物用シート。
- 前記別体パネルの縁は、シート幅方向から前記段差部に押し当て可能なようにバックパネル側に曲げられているとともに、前記別体パネルの縁の先端には、前記差込凸部が一体的に設けられている請求項1又は2に記載の乗物用シート。
- 前記別体パネルには、前記別体パネルの縁に沿うように隠し部位が設けられ、前記隠し部位は、前記別体パネルのその他の部分に比して光透過性に劣っている請求項3に記載の乗物用シート。
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