JP2021045839A - アシスト装置 - Google Patents

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和義 大坪
Kazuyoshi Otsubo
和義 大坪
太田 浩充
Hiromitsu Ota
浩充 太田
智樹 新井
Tomoki Arai
智樹 新井
孔孝 吉見
Yoshitaka Yoshimi
孔孝 吉見
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Abstract

【課題】軽量であり装着感が良く、更に、アシスト力が一時的に抜けるのを防ぐことが可能となるアシスト装置を提供する。【解決手段】アシスト装置10は、利用者の肩部に装着される第一装着具11と、利用者の左右の脚部それぞれに装着される第二装着具12と、前記第一装着具11と前記第二装着具12とにわたって利用者の背面側に沿って設けられるベルト体13と、前記第一装着具11に設けられ前記ベルト体13の一部の巻き取り及び送り出しを可能とするアクチュエータ14とを備える。アクチュエータ14は、モータ33と、モータ33の回転力に基づいてベルト体13を巻き取るための駆動プーリ35と、モータ33の出力軸と駆動プーリ35との間に設けられている弾性部材(渦巻ばね40)とを有する。【選択図】 図5

Description

本開示の発明は、アシスト装置に関する。
利用者(人)の身体に装着され、その利用者の作業を補助するアシスト装置が様々提案されている。アシスト装置によれば、利用者は、例えば重量物を持ち上げる場合であっても、小さな力(小さな負担)で作業を行うことが可能となる。このようなアシスト装置は、例えば、特許文献1に開示されている。
特開2018−199205号公報
特許文献1に開示されているアシスト装置は、利用者に装着する金属製等のフレームを有する。そのフレームに搭載されているアクチュエータの出力が、リンク機構を通じて、利用者の上半身と下半身とに伝達される。これにより、例えば重量物を持ち上げる動作が補助される。
利用者が補助を要する動作としては、重量物を持ち上げる等の負荷が大きい動作の他に、例えば、病人又は高齢者等の人に対して日常生活行動の援助(介助)を行う動作がある。利用者が負荷の大きい作業を行う場合、特許文献1に開示されているような高出力のアシスト装置が効果的である。
しかし、利用者が、病人又は高齢者等の人に対する援助を行う場合、高出力のアシスト装置は過剰性能となる場合がある。また、高出力のアシスト装置では、リンク機構及び金属製等のフレームのような剛体部材が多く用いられていて、高出力を得るために、重厚な構成となっている。そのため、アシスト装置の重量が重くなり、剛体部材によって利用者の動きが制限される。
そこで、本発明の発明者は、軽量であり装着感の良いアシスト装置を既に提案している(例えば、特願2019−043462)。そのアシスト装置は、利用者の肩部に装着される第一装着具と、利用者の左右の脚部に装着される第二装着具と、第一装着具と第二装着具とにわたって利用者の背面側に沿って設けられるベルト体と、アクチュエータとを備える。アクチュエータは、第一装着具に設けられていて、前記ベルト体の一部の巻き取り及び送り出しを可能とする。
アクチュエータがベルト体の一部を巻き取ることで、ベルト体に張力が作用する。この張力がアシスト力となって利用者に作用する。これにより、利用者が例えば前記のとおり人に対する援助を行う際に、負担が軽減される。
本発明の発明者は、ベルト体を備えるアシスト装置について、更なる検討を行った結果、次の課題が挙げられた。特に利用者の動作が速い場合、アクチュエータが機能するよりも先に利用者が動く。このため、アシスト力の発生が遅れ、利用者の動作開始初期にアシスト力が抜ける可能性があることが、課題として挙げられた。
そこで、本開示の目的は、軽量であり装着感が良く、更に、アシスト力が一時的に抜けるのを防ぐことが可能となるアシスト装置を提供することにある。
本開示のアシスト装置は、利用者の肩部及び胸部の少なくとも一方に装着される第一装着具と、前記利用者の左右の脚部それぞれ又は腰部に装着される第二装着具と、前記第一装着具と前記第二装着具とにわたって前記利用者の背面側に沿って設けられるベルト体と、前記第一装着具又は前記第二装着具に設けられ前記ベルト体の一部の巻き取り及び送り出しを可能とするアクチュエータと、を備え、前記アクチュエータは、モータと、前記モータの回転力に基づいて前記ベルト体を巻き取るための駆動プーリと、前記モータの出力軸と前記駆動プーリとの間に設けられている弾性部材と、を有する。
前記構成を備えるアシスト装置によれば、ベルト体が第一装着具と第二装着具とにわたって利用者の背面側に沿って設けられる。モータの回転力が弾性部材を介して駆動プーリに伝えられ、駆動プーリが回転することで、ベルト体が巻き取られる。これにより、ベルト体に張力が作用し、その張力により利用者の作業を補助するアシスト力が生まれ、利用者の身体の負担が軽減される。しかも、モータにより弾性部材を予め弾性変形させておくことができる。これにより、モータよりも利用者が先に動いたとしても、弾性部材の弾性復元力によってアシスト力が一時的に抜けるのを防ぐことが可能となる。
そして、ベルト体は、軽量であり、また、姿勢を変えても身体に沿うことができ、利用者の動作に追従する。よって、装着感の良いアシスト装置が得られる。
また、好ましくは、前記アクチュエータは、前記モータの回転を減速して前記駆動プーリに動力を伝達する減速機部を更に有し、前記弾性部材は、前記モータの前記出力軸と、前記減速機部の入力軸との間に設けられている。
この場合、弾性部材の弾性係数を小さくしてもよい。つまり、弾性係数の小さい弾性部材であっても、ベルト体には減速機部により大きな巻き取りトルクを発生させることが可能となる。
また、好ましくは、前記アシスト装置は、前記モータの動作制御を実行する制御部と、前記利用者の姿勢を検出するための姿勢検出器と、を更に備え、前記制御部は、前記利用者の第一の姿勢を前記姿勢検出器が検出すると、前記ベルト体を巻き取る方向に前記モータを回転させて前記弾性部材を弾性変形させ、前記弾性部材が弾性変形している状態で、前記第一の姿勢からの姿勢変化を前記姿勢検出器が検出すると、前記ベルト体を巻き取る方向に前記モータを更に動作させる。
この構成によれば、利用者の第一の姿勢が検出されるとモータは弾性部材を弾性変形させる。その状態で、突然、利用者が動作を開始しても、弾性部材の弾性復元力により、ベルト体に張力を生じさせることができる。モータの回転力が弾性部材を介して駆動プーリに伝達され、駆動プーリによりベルト体が巻き取られる。これにより、ベルト体に張力を付与し、アシスト力を利用者に作用させることができる。
更に、このアシスト装置において、好ましくは、前記制御部は、前記利用者が初期の姿勢から前記第一の姿勢に変化する間は、前記出力軸を前記ベルト体の送り出し方向に回転可能の状態とする、又は、前記ベルト体を送り出す方向に前記モータを回転させる。
この場合、利用者が初期の姿勢から第一の姿勢へと変化した際に、その動きに応じて、ベルト体は送り出される。つまり、利用者は、初期の姿勢から第一の姿勢となるまでの間に、ベルト体によって、その動作が阻害されない。
また、本開示の他のアシスト装置は、利用者の肩部及び胸部の少なくとも一方に装着される第一装着具と、前記利用者の左右の脚部それぞれ又は腰部に装着される第二装着具と、前記第一装着具と前記第二装着具とにわたって前記利用者の背面側に沿って設けられるベルト体と、前記第一装着具又は前記第二装着具に設けられ前記ベルト体の一部の巻き取り及び送り出しを可能とするアクチュエータと、を備え、前記ベルト体は、少なくとも一部に、前記アクチュエータの動作によって弾性変形する弾性部を有する。
前記構成を備えるアシスト装置によれば、ベルト体が第一装着具と第二装着具とにわたって利用者の背面側に沿って設けられる。アクチュエータがベルト体を巻き取ることで、ベルト体に張力が作用する。その張力により利用者の作業を補助するアシスト力が生まれ、利用者の身体の負担が軽減される。そして、アクチュエータによりベルト体の弾性部を予め弾性変形させておくことができる。これにより、アクチュエータよりも利用者が先に動いたとしても、弾性部の弾性復元力によってアシスト力が一時的に抜けるのを防ぐことが可能となる。ベルト体は、軽量であり、また、姿勢を変えても身体に沿うことができ、利用者の動作に追従する。よって、装着感の良いアシスト装置が得られる。
本開示のアシスト装置によれば、軽量であり装着感が良く、更に、アシスト力が一時的に抜けるのを防ぐことが可能となる。
アシスト装置の一例を示す背面図である。 利用者の身体に取り付けられたアシスト装置の背面図である。 利用者の身体に取り付けられたアシスト装置の側面図である。 アシスト装置が装着された利用者が前傾姿勢となった状態を示す説明図である。 コントロールボックス及びベルト体の説明図である。 渦巻ばね及びその周囲の説明図である。 アシスト装置を装着した利用者が姿勢を変化させる場合の説明図である。 第二の発明に係るアシスト装置を示す背面図である。 第二の発明に係るアシスト装置の変形例を示す背面図である。 他の形態のアシスト装置を示す側面図である。
〔アシスト装置10の全体構成〕
図1は、アシスト装置の一例を示す背面図である。図2は、利用者の身体に取り付けられたアシスト装置の背面図である。図3は、利用者の身体に取り付けられたアシスト装置の側面図である。図4は、アシスト装置が装着された利用者が前傾姿勢(前屈姿勢)となった状態を示す説明図である。図1に示すアシスト装置10は、利用者(人)の身体の一部である左右の肩部BSに装着される一つの第一装着具11と、その利用者の身体の他部である左右の脚部BLに装着される二つの第二装着具12とを備える。第一装着具11は、利用者の肩部BS及び胸部BBの少なくとも一方に装着されればよく、また、図示する形態以外であってもよい。本開示では、第二装着具12は、脚部BLの内の膝部BNに装着される。第二装着具12も、図示する形態以外であってもよい。
本開示のアシスト装置10において、左右は、アシスト装置10を装着した直立姿勢にある利用者にとっての左右であり、前後は、その利用者にとっての前後であり、上下はその利用者にとっての上下である。上が利用者の頭側であり、下が利用者の足側である。
アシスト装置10は、第一装着具11、及び左右の第二装着具12の他に、ベルト体13、アクチュエータ14、制御部15、バッテリ37、及び、センサ38を備える。
第一装着具11は、利用者の肩部BSに装着される。一方の第二装着具12は、利用者の左の膝部BNに装着される。他方の第二装着具12は、利用者の右の膝部BNに装着される。左側の第二装着具12と右側の第二装着具12とは左右対称であるが、構成は同じである。第一装着具11と二つの第二装着具12とは、利用者の関節である腰部BWを挟んで離れる二箇所、つまり肩部BS及び脚部BLに装着される。
第一装着具11は、柔軟性を有する布地等によって構成されている。第一装着具11は、利用者の背中に装着される背本体部21と、背本体部21と繋がる肩ベルト22及び腋ベルト23とを有する。肩ベルト22及び腋ベルト23により、背本体部21が利用者に背負われた状態となる。腋ベルト23は背本体部21と肩ベルト22とを繋いでいて、その長さが調整可能である。腋ベルト23の長さ調整により、背本体部21が利用者の背中に密着した状態となる。第一装着具11は肩部BSに対して前後、左右、及び上下方向に移動不能となって装着される。第一装着具11には、例えば、肩部BSに掛ける部分として、硬質の部材が含まれていてもよい。
第二装着具12は、柔軟性を有する布地等によって構成されている。第二装着具12は、利用者の膝部BNの後面側に装着される膝本体部24と、膝本体部24から延びて設けられている膝ベルト25とを有する。膝ベルト25は、膝部BNの上下位置それぞれにおいて膝部BNを周回し、その先端側が膝本体部24に固定される。膝ベルト25は、ベルトとバックル、又は、面ファスナー等の係止部材により、膝部BNに対する巻き付き長さの調整が可能である。この調整により、膝本体部24が膝部BNの後面側に密着した状態となる。第二装着具12は膝部BNに対して前後、左右、及び上下方向に移動不能となって装着される。
ベルト体13は、第一装着具11と第二装着具12とを結ぶようにして、利用者の背面側に沿って設けられている。ベルト体13は、上半身側に設けられている第一ベルト16と、下半身に設けられている第二ベルト17と、第一ベルト16と第二ベルト17とを連結している連結部材18とを有する。第一ベルト16及び第二ベルト17それぞれは、長尺であり、可撓性を有する。連結部材18は、金属製であり、「平カン」と称される矩形の環状体により構成されている。
第一ベルト16及び第二ベルト17それぞれは、布製又は革製の帯状の部材であり、身体の形状に沿って湾曲可能である。なお、第一ベルト16及び第二ベルト17それぞれは、紐状のベルト(ワイヤーのような部材)であってもよい。本開示の第一の発明に係るアシスト装置10では、第一ベルト16及び第二ベルト17それぞれは、非伸縮性の部材である、つまり、その長手方向に伸縮し難い特性又は伸縮しない特性を有する。
本開示のアシスト装置10は、コントロールボックス30を備える。コントロールボックス30は、第一装着具11の背本体部21に設けられている。図5は、コントロールボックス30及びベルト体13の説明図である。コントロールボックス30は、板状であるベース31と、ベース31を覆うカバー32とを有する。コントロールボックス30の内部構造を説明するために、図5ではカバー32が仮想線(二点鎖線)で示されている。ベース31が、第一装着具11の背本体部21であってもよい。
ベース31とカバー32との間に形成される空間に、アクチュエータ14、制御部15、バッテリ37、及びセンサ38等が設けられている。カバー32には、開口(切り欠き)32aが形成されていて、この開口32aを第一ベルト16が通過している。
アクチュエータ14は、コントロールボックス30内に設けられている。つまり、アクチュエータ14は第一装着具11に設けられている。アクチュエータ14はベルト体13の一部の巻き取り及び送り出しを可能とする。そのために、アクチュエータ14は、モータ33、減速機部34、及び駆動プーリ35を有する。モータ33は、ブラシレスDCモータである。モータ33は、制御部15から出力される駆動信号に基づいて、所定のトルク、所定の回転数で回転することができる。モータ33は、制御部15から出力される駆動信号に基づいて、正逆回転可能である。
モータ33の回転角度、回転速度、又は回転数等の回転に関するパラメータは、モータ33に取り付けられている回転検出器36によって検出される。本開示の回転検出器36は、ロータリエンコーダであるが、ホールセンサ又はレゾルバであってもよい。回転検出器36の検出結果は、制御部15に入力される。制御部15は、前記検出結果に基づいてモータ33の動作を制御することで、アシスト装置10は適切なアシスト力を生じさせることができる。
減速機部34は、複数の歯車により構成されていて、モータ33の回転数を減速して、減速機部34の出力軸34aを回転させる。出力軸34aに駆動プーリ35が連結されていて、これらは一体回転する。駆動プーリ35には、第一ベルト16の一端部16a側が取り付けられている。
アクチュエータ14は更に弾性部材を有する。弾性部材は、渦巻ばね40である。渦巻ばね40は、モータ33の出力軸33aと駆動プーリ35との間に設けられている。なお、前記弾性部材は、渦巻ばね40以外であってもよく、例えば、トーションバーのような弾性部材であってもよい。更に具体的に説明する。図6は、渦巻ばね40及びその周囲の説明図である。
モータ33の出力軸33aに、渦巻ばね40の中心側となる一端部40aが固定されている。減速機部34は、渦巻ばね40を取り付けるための入力軸41を有する。入力軸41は、渦巻ばね40の外周側となる他端部40bが固定されている円板部41aと、その円板部41aの中心に設けられている中心軸部41bとを有する。中心軸部41bが、減速機部34の歯車の一つ(歯車34b)と一体回転する。
このように、渦巻ばね40は、モータ33の出力軸33aと、減速機部34の入力軸41との間に設けられている。モータ33が回転すると、モータ33の回転力によって、渦巻ばね40は、弾性変形し、更に、モータ33の回転中心線C回りに回転し、渦巻ばね40が減速機部34の歯車34bを回転させる。この結果、駆動プーリ35が回転する。
図5において、モータ33の正回転により、駆動プーリ35が一方向に回転すると、第一ベルト16が駆動プーリ35に巻き取られる。モータ33の逆回転により、駆動プーリ35が他方向に回転すると、駆動プーリ35から第一ベルト16が送り出される。
このように、アクチュエータ14は、ベルト体13を巻き取り可能である駆動プーリ35、及び、駆動プーリ35にベルト体13の巻き取り動作をさせるためのモータ33を有する。第一ベルト16が、アクチュエータ14により巻き取り及び送り出しされる。
制御部15は、マイクロコンピュータを含む制御ユニットにより構成されている。制御部15は、アクチュエータ14(モータ33)の動作を制御する。前記センサ38として、加速度センサが設けられている。センサ38の信号は制御部15に入力される。制御部15はセンサ38からの信号に基づいて利用者の姿勢を推定することが可能となる。バッテリ37は、制御部15、モータ33、回転検出器36、及びセンサ38に電力を供給する。センサ38は、コントロールボックス30の外部に設けられていてもよい。
〔ベルト体13について〕
ベルト体13は、前記のとおり、第一ベルト16と第二ベルト17と連結部材18とを有する。第一ベルト16の一端部16a側が、駆動プーリ35に巻かれて固定されている。第一ベルト16の他端部16b側が、連結部材18に固定されている。駆動プーリ35に第一ベルト16が巻き取られると、連結部材18は引き上げられる。連結部材18が強制的に引き下げられると、駆動プーリ35から第一ベルト16が巻き出される(引き出される)。駆動プーリ35における第一ベルト16の巻き取り量又は巻き出し量(引き出し量)と、モータ33の出力軸33aの回転量との間には相関がある。ベルト体13の巻き取り又は巻き出しに伴うモータ33の回転に関するパラメータが、回転検出器36によって検出される。
前記のとおり、連結部材18は、矩形の環状体により構成されている。その環状体の一辺側(上辺側)の軸部27aが第一取り付け部27であり、第一取り付け部27に第一ベルト16の端部16bが取り付けられている。本開示では、第一ベルト16が第一取り付け部27に対して取り外し不能となっているが、バックル等によって取り外し可能となっていてもよい。
連結部材18を構成する前記矩形の環状体の他辺側(下辺側)が、第二ベルト17を取り付けるための第二取り付け部28である。このように、連結部材18は、第一ベルト16を取り付けるための第一取り付け部27と、第二ベルト17を取り付けるための第二取り付け部28とを有する。
第二取り付け部28は、第二ベルト17を、その途中(途中部17c)で折り返した状態で支持している。本開示の第二取り付け部28は、第一取り付け部27と一体である軸部28aと、軸部28aに回転自在となって支持されている回転プーリ29とを有する。回転プーリ29に、第二ベルト17が、その途中で折り返された状態で掛けられている。この構成により、第二取り付け部28に、第二ベルト17は固定されておらず、第二ベルト17を、折り返した状態であるが、その長手方向の両方向(図5の矢印X方向)に移動自在として支持する構成が得られる。
図2において、第二ベルト17は、第二装着具12に取り付けられている。具体的に説明すると、第二ベルト17は一本の帯状部材により構成されている。第二ベルト17の一端部17a側が、左の第二装着具12に取り付けられている。第二ベルト17の他端部17d側が、右の第二装着具12に取り付けられている。前記のとおり、第二ベルト17の途中部17cが、連結部材18に掛けられている。
前記のような第二ベルト17の構成によれば、その第二ベルト17は、連結部材18から左の第二装着具12までの左第二ベルト部19と、連結部材18から右の第二装着具12までの右第二ベルト部20とを有する。前記のとおり(図5参照)、第二ベルト17は、第二取り付け部28(回転プーリ29)に掛けられていて、固定されていないことから、左第二ベルト部19の長さと右第二ベルト部20の長さとは、自由に変更可能となる。ただし、左第二ベルト部19の長さと右第二ベルト部20の長さとの合計は一定である。この構成により、利用者の例えば歩行が第二ベルト17によって制限されず、利用者は楽に歩行できる。
第二ベルト17は、更に、左第二ベルト部19と右第二ベルト部20とを連結する繋ぎ部材39を有する。繋ぎ部材39は、第二ベルト17の折り返し部(途中部17c)と二つの第二装着具12との固定部(一端部17a,他端部17d)との間の中間位置において、左第二ベルト部19と右第二ベルト部20とを連結している。前記折り返し部は、連結部材18において第二ベルト17が折り返されている部分である。前記固定部は、二つの第二装着具12それぞれに第二ベルト17が固定されている部分である。
例えば利用者が直立姿勢から図4に示すように前屈姿勢となるように姿勢を変更した場合に、繋ぎ部材39によれば、左第二ベルト部19と右第二ベルト部20との左右の間隔が広がってしまうのを防止することが可能となる。つまり、左第二ベルト部19と右第二ベルト部20とが利用者の脚部BLにおける背面側に沿わないようになるのを防止することが可能となる。
〔センサ38及び制御部15について〕
図5において、前記のとおり、センサ38は、加速度センサにより構成されている。制御部15は、各種の演算処理を実行可能である。センサ38からの信号を制御部15が演算処理することで、利用者の動作及び姿勢を検出することができる。センサ38は、利用者の姿勢に応じた信号を出力する構成を有し、利用者の姿勢を検出するための姿勢検出器として機能する。例えば、利用者の上半身の姿勢が前傾姿勢にあるのか直立姿勢にあるのかの状態を検出したり、しゃがんだ状態となったことを検出したりできる。
また、モータ33による駆動プーリ35でのベルト体13の巻き取り量(巻き取り長さ)及び送り出し量(送り出し長さ)及びモータ33の発生トルクと、利用者の姿勢とには相関がある。このため、前記回転検出器36が検出するモータ33の回転角と、その際のモータ33の発生トルクに基づいて、制御部15は利用者の姿勢を推定することができる。回転検出器36が、利用者の姿勢を検出するための姿勢検出器として機能する。
本開示では、モータ33の発生トルクによって渦巻ばね40の変位量が変化する。このため、渦巻ばね40の変位を考慮して、利用者の姿勢が推定される。この推定のため、渦巻ばね40(ばね定数k)の変位を考慮したベルト体13の巻き取り長さ(送り出し長さ)Lbは、次式のとおりとなる。
Figure 2021045839
前記の式において、
rp:駆動プーリ35の半径
θp:駆動プーリ35の回転角
θm:モータ33の回転角
θs:渦巻ばね40の変位角
n:減速比
Lb:ベルト体13の巻き取り長さ(送り出し長さ)
Im:モータ33の電流
Ct:モータ33のトルク定数
k:ばね定数
t:ベルト体13(第一ベルト16)の厚み
である。
制御部15は、センサ38及び回転検出器36の一方又は双方からの信号を処理し、その処理の結果、つまり、利用者の姿勢に応じて、アクチュエータ14(モータ33)へ駆動信号を出力する。駆動信号に基づいて、アクチュエータ14(モータ33)は動作し、ベルト体13の巻き取り及び送り出し、並びに、その一時停止等が行われる。
アシスト装置10が利用者に装着された状態で、制御部15の制御により、常時、モータ33は、アシスト力を発生させる場合と比べて弱い力でベルト体13を巻き取る方向に動作していて(トルクを発生させていて)、ベルト体13に弱い張力を生じさせている。これにより、ベルト体13が緩まない。
利用者が姿勢を変化させると、例えば、直立姿勢から前傾姿勢になると、ベルト体13にはその姿勢の変化に起因して張力が生じる。そこで、この場合、前傾姿勢となるように姿勢変化を開始すると、アクチュエータ14の動力によらず、ベルト体13の張力によりモータ33を強制的に回転させて(モータ33は空転して)、ベルト体13は巻き出される。又は、前傾姿勢となるように姿勢変化を開始すると、アクチュエータ14は動作して、つまり、モータ33を回転駆動して、ベルト体13を送り出す。
反対に、利用者が前傾姿勢から直立姿勢になると、ベルト体13はその姿勢の変化に起因して緩もうとする。そこで、この場合、直立姿勢となるように姿勢変化を開始すると、ベルト体13に作用する張力を維持するために、アクチュエータ14は動作して、つまり、モータ33を回転駆動して、ベルト体13を巻き取る。
このように、利用者の姿勢変更により、ベルト体13の巻き取り又は送り出しがされる。この巻き取り又は送り出しでは、能動的に又は受動的にモータ33が所定の回転角について回転する。この際の回転角が、回転検出器36によって検出される。このように、利用者の姿勢変更によるベルト体13の巻き取り又は送り出しの際のアクチュエータ14(モータ33)の動作量が、回転検出器36によって検出される。
そして、制御部15が、利用者の姿勢変更によるベルト体13の巻き取り又は送り出しの際のアクチュエータ14の動作量(モータ33の回転角)と、渦巻ばね40の変位角と、を取得し、これら動作量と変位角とに基づいて、利用者にアシスト力を付与するためにアクチュエータ14の動作の制御を行う。
〔アシスト装置10によるアシスト力について〕
図7は、前記アシスト装置10を装着した利用者が姿勢を変化させる場合の説明図である。この姿勢の変化に対して、アシスト装置10は、利用者にアシスト力を付与することができる。
アクチュエータ14のモータ33によって第一ベルト16が駆動プーリ35に巻き取られると、連結部材18は第二ベルト17をアクチュエータ14側、つまり、上側に引き上げる。第二ベルト17は、その両端部17a,17dが左右の第二装着具12に取り付けられている。第二装着具12は膝部BNに固定されている。このため、第一ベルト16が駆動プーリ35に巻き取られると、第一ベルト16及び第二ベルト17に張力が作用する。この張力が、利用者に対するアシスト力(補助力)として作用する。
利用者が直立姿勢から前傾姿勢となる場合について説明する。前傾姿勢となるように姿勢変化を開始すると、アクチュエータ14はベルト体13を送り出す。又は、アクチュエータ14の動力によらず、ベルト体13は巻き出される。これにより、利用者は無理なく、前傾姿勢となることができる。鉛直線に対する利用者の上半身の前傾角度がθになり、利用者がその前傾角度θで停止すると、ベルト体13の送り出し(巻き出し)が停止される。なお、姿勢変化の開始及び終了は、回転検出器36から検出されるモータ33の回転角と、渦巻ばね40の変位角との和に基づいて検出可能である。又はセンサ38によって検出可能である。
利用者が前傾姿勢から直立姿勢になる方向に姿勢変化を開始すると、アクチュエータ14はベルト体13を巻き取る。これにより、ベルト体13には張力が生じる。この張力により、第一装着具11には、後方へ向かう作用力F1が生じる。つまり、前傾姿勢の利用者の上半身を起き上がらせる方向の作用力F1が生じる。また、これと同時に、第二ベルト17は、その張力により、利用者の左臀部及び右臀部を前方に押し出す作用力F2が生じる。これにより、利用者は前傾姿勢から直立姿勢に楽に復帰することが可能となる。
また、図4に示すように、利用者が、上半身を前傾させ、膝部を曲げた屈曲姿勢(屈んだ姿勢)となる場合にも、アシスト装置10は、利用者にアシスト力を付与することができる。利用者が、屈曲姿勢から、直立姿勢となる場合、例えば、物や被介助者の身体の一部を持ち上げる場合、アクチュエータ14はベルト体13を巻き取る。これにより、ベルト体13には張力が生じる。
この張力により、第一装着具11には、後方へ向かう作用力F1が生じる。つまり、前傾姿勢の利用者の上半身を起き上がらせる方向の作用力F1が生じる。また、これと同時に、第二ベルト17は、その張力により、利用者の左臀部及び右臀部を前方に押し出す作用力F2が生じる。更に、第二装着具12には、後方への作用力F3が生じる。前記のような作用力F1,F2,F3により、利用者の前屈姿勢における背筋及び大腿四頭筋等の筋力負荷を軽減して、荷物の持ち上げ動作を補助することができる。
前記のようなアシスト力が発生する際の、アクチュエータ14が有する渦巻ばね40の機能について説明する。利用者が直立姿勢(図7の左側に示す姿勢)から前傾姿勢(図7の右側に示す姿勢)となって、その後、前傾姿勢から直立姿勢に戻る場合を例として説明する。
利用者が前傾姿勢となるために姿勢変化を開始したとする。回転検出器36又はセンサ38によってその姿勢変化が検出される。しかし、制御部15は、前記のとおり、モータ33を、アシスト力を発生させる場合と比べて弱い力(トルク)でベルト体13を巻き取る方向に動作させていて、ベルト体13に弱い張力を生じさせつつ、それ以上の力(トルク)でモータ33を駆動しない。このため、モータ33はベルト体13の送り出し方向に回転可能の状態にあり、姿勢変化にあわせて、ベルト体13は駆動プーリ35から巻き出される。駆動プーリ35の回転に伴って、減速機部34の各歯車、渦巻ばね40、及びモータ33の出力軸33aも回転する。よって、直立姿勢から前傾姿勢となる動作の間に、利用者は前傾となる動作に抗する大きな力をベルト体13から受けない。
または、利用者が前傾姿勢となるために姿勢変化を開始すると、制御部15は、ベルト体13の送り出し方向にモータ33を低速で回転させてもよい。この回転に伴って、渦巻ばね40及び駆動プーリ35はベルト体13の送り出し方向に回転する。これにより、直立姿勢から前傾姿勢となる動作の間に、利用者は前傾となる動作に抗する反力をベルト体13から受けない。
その後、図7の右側に示すように、第一の前傾姿勢になると、制御部15は、モータ33を回転させる。これにより、渦巻ばね40を弾性変形させる。利用者が第一の前傾姿勢となったことは回転検出器36又はセンサ38によって検出される。この際のモータ33の回転方向は、ベルト体13を巻き取るための方向である。ただし、モータ33の回転力は、渦巻ばね40を弾性的に変形させる力に費やされ、渦巻ばね40は弾性変形するが、減速機部34及び駆動プーリ35は回転しない。制御部15は、モータ33を所定の回転角について回転させると停止する。この状態で、渦巻ばね40は弾性変形した状態で維持される。
利用者が第一の前傾姿勢から直立姿勢に復帰する動作を開始する。この動作が回転検出器36又はセンサ38によって検出される。その検出によって、制御部15は、ベルト体13を巻き取る方向にモータ33を回転させ、アシスト力を発生させるために、ベルト体13の巻き取りを開始する。しかし、回転検出器36又はセンサ38による姿勢変化の検出からモータ33の回転開始、及びベルト体13の巻き取りの開始までは、利用者の動作開始に対して、僅かではあるが時間的遅延が生じる。このため、利用者の動作の開始直後から、遅れてモータ33は回転を開始するおそれがある。
そこで、本開示の場合、渦巻ばね40が予め弾性変形されている。このため、利用者の動作の開始直後、まずは、渦巻ばね40の弾性復元力によって、ベルト体13に張力を作用させ、次に、モータ33の駆動力によってベルト体13を巻き取る。
以上の動作によって、ベルト体13を通じて利用者に作用させるアシスト力が、一時的に抜けるのを防ぐことができる。
このように、制御部15は、利用者の第一の前傾姿勢(第一の姿勢)を回転検出器36又はセンサ38が検出すると、ベルト体13を巻き取る方向にモータ33を回転させて渦巻ばね40を弾性変形させる(以上が、準備動作)。更に、前記の例では、利用者が第一の前傾姿勢を維持していて、その場合、制御部15は、モータ33の回転を停止して、渦巻ばね40を弾性変形させた状態に維持することができる(以上が、維持動作)。そして、渦巻ばね40が弾性変形している状態で、第一の前傾姿勢から直立姿勢となる方向への姿勢変化を、回転検出器36又はセンサ38が検出すると、アシスト力を発生させるために、ベルト体13を巻き取る方向にモータ33を更に動作させる(以上が、アシスト動作)。
このように、利用者の第一の前傾姿勢が検出されるとモータ33は渦巻ばね40を弾性変形させる。その状態で、突然、利用者が直立姿勢に戻る方向に動作を開始しても、渦巻ばね40の弾性復元力により、ベルト体13に張力を生じさせることができる。その直後、モータ33の回転力が渦巻ばね40を介して駆動プーリ35に伝達され、ベルト体13に張力を付与し、アシスト力を利用者に作用させることができる。
また、前記の例では、制御部15は、利用者が初期の直立姿勢から第一の前傾姿勢に変化する間は、モータ33のトルクによってベルト体13に弱い張力を生じさせているが、モータ33の出力軸33aをベルト体13の送り出し方向に回転可能の状態としている、又は、ベルト体13を送り出す方向にモータ33を回転させている。
このため、利用者が初期の直立姿勢から第一の前傾姿勢へと変化した際に、その動きに応じて、ベルト体13は送り出される。つまり、利用者は、初期の直立姿勢から第一の前傾姿勢となるまでの間に、ベルト体13によって、その動作が阻害されない。
また、モータ33と駆動プーリ35との間の動力伝達経路の途中に、弾性部材である渦巻ばね40が介在していることから、モータ33のコギングによる違和感を利用者に与え難くなる。
〔本開示の第一の発明に係るアシスト装置10について〕
以上のように、本開示のアシスト装置10は(図2参照)、利用者の肩部BSに装着される第一装着具11と、その利用者の左右の脚部BLそれぞれに装着される第二装着具12と、ベルト体13と、アクチュエータ14とを備える。ベルト体13は、第一装着具11と第二装着具12とにわたって利用者の背面側に沿って設けられる。アクチュエータ14は、第一装着具11に設けられていて、ベルト体13の一部の巻き取り及び送り出しを可能とするように構成されている。アクチュエータ14は(図5参照)、モータ33と、モータ33の回転力に基づいてベルト体13を巻き取るための駆動プーリ35と、モータ33の出力軸33aと駆動プーリ35との間に設けられている渦巻ばね40とを有する。
このアシスト装置10によれば、ベルト体13が第一装着具11と第二装着具12とにわたって利用者の背面側に沿って設けられる。モータ33の回転力が渦巻ばね40を介して駆動プーリ35に伝えられ、駆動プーリ35が回転することで、ベルト体13(第一ベルト16)が巻き取られる。これにより、ベルト体13に張力が作用し、その張力により利用者の作業を補助するアシスト力が生まれ、利用者の身体の負担が軽減される。
例えば、利用者(介助者)が、荷重(被介助者)を手で支えながら前傾姿勢から直立姿勢になる際(図7参照)、アクチュエータ14がベルト体13を巻き取ることで、そのベルト体13に張力が作用する。その張力により利用者が前傾姿勢から直立姿勢になりやすく、利用者の身体の負担が軽減される。つまり、アクチュエータ14によりベルト体13に作用する張力がアシスト力として発生する。
しかも、モータ33により渦巻ばね40を予め弾性変形させておくことができる。これにより、モータ33よりも利用者が先に動いたとしても、渦巻ばね40の弾性復元力によってアシスト力が一時的に抜けるのを防ぐことが可能となる。
本開示のアシスト装置10では、図6に示すように、アクチュエータ14は、モータ33の回転を減速して駆動プーリ35に動力を伝達する減速機部34を有する。渦巻ばね40は、モータ33の出力軸33aと、減速機部34の入力軸41との間に設けられている。この配置によれば、渦巻ばね40の弾性係数を小さくしてもよい。つまり、弾性係数の小さい渦巻ばね40であっても、ベルト体13には減速機部34により大きな巻き取りトルクを発生させることが可能となる。
以上のように説明した第一の発明では、第一ベルト16及び第二ベルト17それぞれは、非伸縮性の部材により構成されていて、アクチュエータ14(図6参照)のモータ33の出力軸33aと駆動プーリ35との間に弾性部材として渦巻ばね40が設けられている。モータ33によって渦巻ばね40を予め弾性変形させておくことで、アシスト力が一時的に抜けるのを防ぐことができる。第一の発明においても、次に説明する第二の発明においても、アクチュエータ14は、例えば利用者が直立姿勢から前傾姿勢となるように姿勢変更することによってベルト体13に張力が作用することで、ベルト体13を送り出し可能となっている。
〔第二の発明について〕
第二の発明について説明する。第二の発明では(図8参照)、ベルト体13は、その少なくとも一部に、アクチュエータ14の動作によって弾性変形する弾性部を有する。つまり、ベルト体13の少なくも一部は、伸縮性を有する部材により構成されている。この点で、第二の発明と第一の発明とは異なるが、その他の構成については同じであり、ここでは同じ構成についての説明を省略する。
図8に示す第二の発明に係るアシスト装置10では、第二ベルト体17が、その一部に前記弾性部として弾性ベルト部50を有する。第二ベルト体17のうち、弾性ベルト部50以外の部分は、第一の発明と同様に非伸縮性の部材(ベルト)により構成されている。図8に示す形態では、左第二ベルト部19及び右第二ベルト部20それぞれが弾性ベルト部50を有する。左の第二装着具12の連結部材18側に弾性ベルト部50が、左第二ベルト部19の一部として設けられている。右の第二装着具12の連結部材18側に弾性ベルト部50が、右第二ベルト部20の一部として設けられている。これにより、アクチュエータ14の駆動、すなわち、モータ33の回転により、ベルト体13を巻き取り可能であると共に、弾性ベルト部50を伸長させることができる。
弾性ベルト部50の更に連結部材18側に、バックルのような留め具45が設けられている。留め具45は第一部材と第二部材とを有し、これらが分離及び結合可能である。留め具45を分離状態とするにより、第二ベルト体17のうち弾性ベルト部50を除く部分を、第二装着具12と分離することが可能となる。
図9は、第二の発明に係るアシスト装置10の変形例を示す背面図である。前記弾性部(弾性ベルト部50)は、第一ベルト体16に設けられていてもよい。つまり、第一ベルト体16が、その一部に前記弾性部として弾性ベルト部50を有する。第一ベルト体16のうち、弾性ベルト部50以外の部分は、第一の発明と同様に非伸縮性の部材(ベルト)により構成されている。利用者にアシスト装置10が装着された状態で、駆動プーリ35に第一ベルト体16が最も巻き取られた状態であっても、弾性ベルト部50は、駆動プーリ35から連結部材18との間に位置するように、第一ベルト体16に設けられている。これにより、モータ33の回転により、ベルト体13を巻き取り可能であると共に、弾性ベルト部50を伸長させることができる。
図8及び図9それぞれに示す第二の発明によれば、モータ33によってベルト体16を巻き取り、弾性ベルト部50を予め弾性変形させておくことで、アシスト力が一時的に抜けるのを防ぐことができる。また、図8に示すように、第二ベルト体17が弾性ベルト部50有する場合、第二ベルト体17によって利用者は脚の動きが拘束され難く、歩行しやすくなる。第二の発明の場合、ベルト体13が前記弾性部として弾性ベルト部50を有していることから、アクチュエータ14は、第一の発明で説明した弾性部材(渦巻ばね40、図5参照)を有していなくてもよい。または、第二の発明に係るアシスト装置10においても、第一の発明のように弾性部材(渦巻ばね40)を有していてもよい。
第二の発明において、第一の発明に関する前記〔センサ38及び制御部15〕の項目で説明した方式と同様の制御が制御部15によって実行される。例えば、モータ33の発生トルクによって弾性部(弾性ベルト部50)の長さが変化する。このため、弾性部(弾性ベルト部50)の長さを考慮して、利用者の姿勢が推定される。また、第二の発明において、第一の発明に関する前記〔アシスト装置10によるアシスト力について〕の項目で説明した方式と同様の方式で、アシスト力を発生させることができる。
図8及び図9それぞれに示す第二の発明に係るアシスト装置10に関し、前記弾性部の機能を説明する。
直立姿勢(図7の左側)にある利用者が前傾姿勢となるために姿勢変化を開始したとする。回転検出器36又はセンサ38によってその姿勢変化が検出される。制御部15は、モータ33を、アシスト力を発生させる場合と比べて弱い力(トルク)でベルト体13を巻き取る方向に動作させていて、ベルト体13に弱い張力を生じさせつつ、それ以上の力(トルク)でモータ33を駆動しない。
利用者が前傾となる姿勢変化にあわせて、ベルト体13は駆動プーリ35から巻き出される。この際、駆動プーリ35の回転に伴って、減速機部34の各歯車、及びモータ33の出力軸33aも回転する。よって、直立姿勢から前傾姿勢となる動作の間に、利用者は前傾となる動作に抗する大きな力をベルト体13から受けない。
その後、図7の右側に示すように、第一の前傾姿勢になると、制御部15は、モータ33を回転させる。これにより、弾性ベルト部50をベルト体13(第二ベルト17)の長手方向に弾性変形させる。利用者が第一の前傾姿勢となったことは回転検出器36又はセンサ38によって検出される。この際のモータ33の回転方向は、ベルト体13を巻き取るための方向である。このモータ33の回転力は、弾性ベルト部50を弾性的に変形させる力に費やされる。この状態で、弾性ベルト部50は弾性変形した状態で維持される。
利用者が第一の前傾姿勢から直立姿勢に復帰する動作を開始する。この動作が回転検出器36又はセンサ38によって検出される。その検出によって、制御部15は、ベルト体13を巻き取る方向にモータ33を回転させ、アシスト力を発生させるために、ベルト体13の巻き取りを開始する。しかし、回転検出器36又はセンサ38による姿勢変化の検出からモータ33の回転開始、及びベルト体13の巻き取りの開始までは、利用者の動作開始に対して、僅かではあるが時間的遅延が生じる。このため、利用者の動作の開始直後から、遅れてモータ33は回転を開始するおそれがある。
そこで、本開示の場合、弾性ベルト部50が予め弾性変形されている。このため、利用者の動作の開始直後、まずは、弾性ベルト部50の弾性復元力によって、ベルト体13に張力を作用させ、次に、モータ33の駆動力によってベルト体13を巻き取る。
以上の動作によって、ベルト体13を通じて利用者に作用させるアシスト力が、一時的に抜けるのを防ぐことができる。
このように、制御部15は、利用者の第一の前傾姿勢(第一の姿勢)を回転検出器36又はセンサ38が検出すると、ベルト体13を巻き取る方向にモータ33を回転させて弾性ベルト部50を弾性変形させる(以上が、準備動作)。更に、前記の例では、利用者が第一の前傾姿勢を維持していて、その場合、制御部15は、モータ33の回転を停止して、弾性ベルト部50を弾性変形させた状態に維持することができる(以上が、維持動作)。そして、弾性ベルト部50が弾性変形している状態で、第一の前傾姿勢から直立姿勢となる方向への姿勢変化を、回転検出器36又はセンサ38が検出すると、アシスト力を発生させるために、ベルト体13を巻き取る方向にモータ33を更に動作させる(以上が、アシスト動作)。
以上のように、利用者の第一の前傾姿勢が検出されるとモータ33は弾性ベルト部50を弾性変形させる。その状態で、突然、利用者が直立姿勢に戻る方向に動作を開始しても、弾性ベルト部50の弾性復元力により、ベルト体13に張力を生じさせることができる。その直後、モータ33の回転力がベルト体13に張力を付与し、アシスト力を利用者に作用させることができる。
〔他のアシスト装置10〕
前記開示(第一の発明及び第二の発明)のアシスト装置10は、第二装着具12が利用者の脚部BLに装着されている。図10に示すように、第二装着具12は、利用者の腰部BWに装着されていてもよい。この場合、第二装着具12は、腰ベルト形であってもよく、パンツ形であってもよい。第二装着具12が腰部BWに装着される場合、アクチュエータ14は、第一装着具11に取り付けられていてもよいが、第二装着具12に取り付けられていてもよい。図10では、アクチュエータ14は、第一装着具11に取り付けられている。
図10に示すアシスト装置10の場合においても、ベルト体13は第一装着具11と第二装着具12とにわたって利用者の背面側に沿って設けられる。アクチュエータ14がベルト体13を巻き取ることで、ベルト体13に張力が作用する。その張力により利用者の作業を補助するアシスト力が生まれ、利用者の身体の負担が軽減される。
図10に示すアシスト装置10において、アクチュエータ14のモータ33の出力軸33aと駆動プーリ35との間に弾性部材(渦巻ばね40)が設けられている。または、図10に示すアシスト装置10において、ベルト体13が、その少なくとも一部に、アクチュエータ14の動作によって弾性変形する弾性部(弾性ベルト部50)を有する。
〔その他〕
利用者の腰痛の防止・予防のためには、第二装着具12は、脚部BLに装着されるのが好ましい。これは、第二装着具12が脚部BLに装着されることで、腰部BWにおける負担が軽減されるためである。
各形態のアシスト装置10において、ベルト体13は、軽量であり、また、利用者が姿勢を変えても身体に沿うことができ、利用者の動作に追従する。よって、装着感の良いアシスト装置10が得られる。
なお、前記の開示では、コントロールボックス30は、第一装着具11において、利用者の後面側(背面側)に設けられているが、利用者の前面側に設けられていてもよい。この場合、ベルト体13は利用者の肩部BSを経由して利用者の背面に沿って設けられる。
ベルト体13の線形形態は、図示した形態以外であってもよい。例えば、図示しないが、連結部材18の第一取り付け部27においても第二取り付け部28と同様に、回転プーリが設けられ、第一ベルト16が、その途中で折り返された状態で、前記回転プーリに掛けられていてもよい。この場合、第一ベルト16の(駆動プーリ35側と反対の)端部は、第一装着具11(ベース31)に取り付けられる。
または、図示しないが、第二装着具12に回転プーリが取り付けられていて、第二ベルト17が、その途中で折り返された状態で、前記回転プーリに掛けられていてもよい。この場合、第二ベルト17の両端部は、腰部BWに装着される装着具(第三の装着具)に取り付けられる。
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
10:アシスト装置 11:第一装着具 12:第二装着具
13:ベルト体 14:アクチュエータ 15:制御部
33:モータ 33a:出力軸 34:減速機部
34a:出力軸 35:駆動プーリ 36:回転検出器(姿勢検出器)
38:センサ(姿勢検出器) 40:渦巻ばね(弾性部材) 41:入力軸
50:弾性ベルト部(弾性部) BS:肩部 BB:胸部
BW:腰部 BL:脚部

Claims (5)

  1. 利用者の肩部及び胸部の少なくとも一方に装着される第一装着具と、
    前記利用者の左右の脚部それぞれ又は腰部に装着される第二装着具と、
    前記第一装着具と前記第二装着具とにわたって前記利用者の背面側に沿って設けられるベルト体と、
    前記第一装着具又は前記第二装着具に設けられ前記ベルト体の一部の巻き取り及び送り出しを可能とするアクチュエータと、
    を備え、
    前記アクチュエータは、モータと、前記モータの回転力に基づいて前記ベルト体を巻き取るための駆動プーリと、前記モータの出力軸と前記駆動プーリとの間に設けられている弾性部材と、を有する、アシスト装置。
  2. 前記アクチュエータは、前記モータの回転を減速して前記駆動プーリに動力を伝達する減速機部を更に有し、
    前記弾性部材は、前記モータの前記出力軸と、前記減速機部の入力軸との間に設けられている、請求項1に記載のアシスト装置。
  3. 前記モータの動作制御を実行する制御部と、前記利用者の姿勢を検出するための姿勢検出器と、を更に備え、
    前記制御部は、前記利用者の第一の姿勢を前記姿勢検出器が検出すると、前記ベルト体を巻き取る方向に前記モータを回転させて前記弾性部材を弾性変形させ、前記弾性部材が弾性変形している状態で、前記第一の姿勢からの姿勢変化を前記姿勢検出器が検出すると、前記ベルト体を巻き取る方向に前記モータを更に動作させる、請求項1又は2に記載のアシスト装置。
  4. 前記制御部は、前記利用者が初期の姿勢から前記第一の姿勢に変化する間は、前記ベルト体の送り出し方向に前記出力軸を回転可能の状態とする、又は、前記ベルト体を送り出す方向に前記モータを回転させる、請求項3に記載のアシスト装置。
  5. 利用者の肩部及び胸部の少なくとも一方に装着される第一装着具と、
    前記利用者の左右の脚部それぞれ又は腰部に装着される第二装着具と、
    前記第一装着具と前記第二装着具とにわたって前記利用者の背面側に沿って設けられるベルト体と、
    前記第一装着具又は前記第二装着具に設けられ前記ベルト体の一部の巻き取り及び送り出しを可能とするアクチュエータと、
    を備え、
    前記ベルト体は、少なくとも一部に、前記アクチュエータの動作によって弾性変形する弾性部を有する、アシスト装置。
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