JP2021043388A - 吸遮音材 - Google Patents
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Abstract
【課題】低周波数領域から高周波数領域において優れた吸遮音性を有する吸遮音材を提供することを課題とする。【解決手段】繊維層と、多孔質層と、弾性体層とを含む吸遮音材であって、前記繊維層は、平均流量細孔径が1.0〜60μmであり、フラジール形法による通気度が30〜220cc/cm2・sであり、前記多孔質層は、連通孔を有する発泡体、不織布、及び織布からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる層であって、厚みが3〜40mmであり、密度が繊維層よりも低く、かつ3〜150kg/m3であり、前記弾性体層は、独立発泡体、及びゴムシートからなる群から選ばれる少なくとも1種からなる層であり、前記繊維層が、前記多孔質層及び前記弾性体層よりも、音の入射側となるように配置されている、吸遮音材による。【選択図】図1
Description
本発明は、3種類以上の層が積層されてなる、積層構造の吸遮音材に関する。
音を吸収する機能を有する吸音材は、建築分野や自動車分野において多用されている。吸音材には様々な材料が用いられており、そのうちの一つとして不織布を用いることが知られている。例えば特許文献1には、吸音性を有する多層物品として、支持体層と、支持体層上に積層されるサブミクロン繊維層とを含み、サブミクロン繊維層は、中央繊維直径が1μm未満かつ平均繊維直径が0.5〜0.7μmの範囲であり、溶融フィルムフィブリル化法や電界紡糸法によって形成されることが開示されている。特許文献1の実施例においては、坪量(目付)100g/m2、直径約18μmのポリプロピレンスパンボンド不織布を支持体層とし、その上に、目付14〜50g/m2、平均繊維直径約0.56μmのサブミクロンポリプロピレン繊維を積層した積層物品が開示されている。また別の実施例では、目付62g/m2のポリエステルのカード処理ウェブの上に、目付6〜32g/m2、平均繊維直径0.60μmの電界紡糸ポリカプロラクトン繊維を積層させた多層物品が開示されている。実施例で作製された多層物品は、音響吸収特性が測定され、支持体のみの音響吸収特性よりも優れた音響吸収特性を備えることが示されている。
また、吸音材に発泡体を用いることも知られている。例えば特許文献2には、音響快適性(音の反射成分の減少及び最適化)及び熱快適性を向上させる積層構造体であって、支持層として特定範囲の開放多孔率を有する有機ポリマー発泡体を備え、表面層として特定の通気抵抗を有するガラス布帛を備え、支持層と表面層との間に非連続の接着層を備えるものが開示されている。有機ポリマー発泡体としては、ポリウレタン(特にポリエステルウレタン)、ネオプレン(登録商標)、シリコーンやメラミンを基礎材料とするものが挙げられており、その密度は好ましくは10〜120kg/m3であること、厚みは好ましくは1.5〜2.5mmであることが開示されている。
特許文献3には、建設用機械や自動車のエンジンルーム等に使用される、遮音性、吸音性に優れた吸遮音材が開示されている。特許文献3には、ウレタンフォームと樹脂層との積層型の吸遮音材の通気性に着目し、両者の通気性を所定の条件で制御することにより、低温施工性および低〜中周波数域での吸音性と遮音性に優れた吸遮音材が得られたことが開示されている。特許文献3の吸遮音材は具体的には、連続通気性を有するウレタンフォームの表面に、ウレタンフォームの1/2〜1/50の通気性を有する樹脂層、或いは、開孔部のある樹脂フィルムを積層するものである。
上述のとおり、吸音材や吸遮音材としてさまざまな構成の積層体が検討されており、繊維径や通気度(密度)の異なる複数の層を組み合わせることも知られている。一方で、特に自動車用の吸遮音材においては、より優れた吸音特性を有する吸音材、特に、1000Hz以下の低周波数領域及び1600〜2500Hzの中周波数領域、さらに5000〜10000Hzの高周波数領域において優れた吸遮音性能を示し、省スペース性に優れた吸遮音材が求められている。この状況に鑑み、本発明は、低周波数領域から高周波数領域において優れた吸音性を有し、かつ外部からの騒音を低減、遮断することができる吸遮音材を提供することを課題とする。
発明者らは上述の課題を解決するために検討を重ねた。その結果、吸遮音材において、特定範囲の平均流量細孔径及び特定範囲の通気度を有する緻密な繊維層と、一定の厚みと密度とを有し、連通孔を有する発泡体、不織布、及び織布からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる疎な多孔質層と、弾性を有し、独立発泡体及びゴムシートからなる群から選ばれる少なくとも1種からなる弾性体層とを組み合わせて、かつ、それらの層を特定の順番に配置することによって、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、以下の構成を有する。
[1] 繊維層と、多孔質層と、弾性体層と、を含む吸遮音材であって、前記繊維層は、平均流量細孔径が1.0〜60μmであり、フラジール形法による通気度が30〜220cc/cm2・sであり、前記多孔質層は、連通孔を有する発泡体、不織布、及び織布からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる層であって、厚みが3〜40mmであり、密度が繊維層よりも低く、かつ3〜150kg/m3であり、前記弾性体層は、独立発泡体、及びゴムシートからなる群から選ばれる少なくとも1種からなる層であり、前記繊維層が、前記多孔質層及び前記弾性体層よりも音の入射側に配置されている、吸遮音材。
[2] 前記多孔質層が、前記弾性体層よりも音の入射側に配置されている、[1]に記載の吸遮音材。
[3] 前記繊維層、前記多孔質層、及び前記弾性体層がそれぞれ1層含まれる、[1]又は[2]に記載の吸遮音材。
[4] 前記繊維層が、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン6,6、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリスルフォン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、及びポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む繊維からなる、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の吸遮音材。
[5] 前記多孔質層が、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ガラス繊維、及び天然繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維、又は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ガラス、及び天然物からなる群から選ばれる2種以上が複合化された複合繊維を含み、不織布又は織布からなる層である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の吸遮音材。
[6] 400〜12500Hzの周波数における垂直入射吸音率測定法による平均吸音率が0.6以上であり、400〜12500Hzの周波数における垂直入射吸音率測定法による平均透過損失が、吸遮音材から繊維層を除去した場合の前記平均透過損失と比較して0.4以上向上する、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の吸遮音材。
[1] 繊維層と、多孔質層と、弾性体層と、を含む吸遮音材であって、前記繊維層は、平均流量細孔径が1.0〜60μmであり、フラジール形法による通気度が30〜220cc/cm2・sであり、前記多孔質層は、連通孔を有する発泡体、不織布、及び織布からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる層であって、厚みが3〜40mmであり、密度が繊維層よりも低く、かつ3〜150kg/m3であり、前記弾性体層は、独立発泡体、及びゴムシートからなる群から選ばれる少なくとも1種からなる層であり、前記繊維層が、前記多孔質層及び前記弾性体層よりも音の入射側に配置されている、吸遮音材。
[2] 前記多孔質層が、前記弾性体層よりも音の入射側に配置されている、[1]に記載の吸遮音材。
[3] 前記繊維層、前記多孔質層、及び前記弾性体層がそれぞれ1層含まれる、[1]又は[2]に記載の吸遮音材。
[4] 前記繊維層が、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン6,6、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリスルフォン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、及びポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む繊維からなる、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の吸遮音材。
[5] 前記多孔質層が、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ガラス繊維、及び天然繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維、又は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ガラス、及び天然物からなる群から選ばれる2種以上が複合化された複合繊維を含み、不織布又は織布からなる層である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の吸遮音材。
[6] 400〜12500Hzの周波数における垂直入射吸音率測定法による平均吸音率が0.6以上であり、400〜12500Hzの周波数における垂直入射吸音率測定法による平均透過損失が、吸遮音材から繊維層を除去した場合の前記平均透過損失と比較して0.4以上向上する、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の吸遮音材。
上述の構成を有する本発明によれば、吸遮音材中に特定の構成の繊維層、多孔質層及び弾性体層を有することで、少ない層数で高い吸遮音性を実現することが可能であり、吸遮音材として厚みの削減ができる。また、上述の構成を有する本発明によれば、低周波数領域から高周波数領域における吸音特性に優れ、さらに音響透過損失を低減できる吸遮音材が得られる。本発明の吸遮音材は、吸音特性のピークが従来の吸遮音材よりも低い領域にあり、2000Hz以下の領域、特に1000Hz以下の領域における吸音性能に優れる。建築分野では、生活騒音の多くは200〜500Hz程度といわれており、また自動車分野では、ロードノイズでは100〜500Hz程度、また、加速時やトランスミッション変動時の騒音は100〜2000Hz程度、車両走行時の風切り音は800〜2000Hz程度といわれている。本発明の吸遮音材は、このような騒音対策に有用である。また、本発明の吸遮音材は、多孔質材料やガラス繊維等からなる吸遮音材と比較して軽量であるため、部材の軽量化と省スペース化が可能であり、この点は特に自動車分野向けの吸遮音材として有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(吸遮音材の構造)
本発明の吸遮音材は、繊維層と、多孔質層と、弾性体層とを含む吸遮音材である。
前記繊維層は、平均流量細孔径が1.0〜60μmであり、フラジール形法による通気度が30〜220cc/cm2・sであり、前記多孔質層は、連通孔を有する発泡体、不織布、及び織布からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる層であって、厚みが3〜40mmであり、密度が前記繊維層よりも低く、かつ3〜150kg/m3であり、前記繊維層は、前記多孔質層及び前記弾性体層よりも音の入射側に配置されている、吸遮音材である。
(吸遮音材の構造)
本発明の吸遮音材は、繊維層と、多孔質層と、弾性体層とを含む吸遮音材である。
前記繊維層は、平均流量細孔径が1.0〜60μmであり、フラジール形法による通気度が30〜220cc/cm2・sであり、前記多孔質層は、連通孔を有する発泡体、不織布、及び織布からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる層であって、厚みが3〜40mmであり、密度が前記繊維層よりも低く、かつ3〜150kg/m3であり、前記繊維層は、前記多孔質層及び前記弾性体層よりも音の入射側に配置されている、吸遮音材である。
本発明の吸遮音材において、繊維層は、少なくとも1層含まれる。具体的には、繊維層は、1〜5層とすることができるが、吸遮音材の厚みを低減する観点からは1〜3層であることが好ましく、1層であることがより好ましい。繊維層が複数含まれる場合、例えば、繊維層が2層からなるときに、2層の繊維層を区別するために、第一の繊維層、第二の繊維層ということがある。多孔質層および弾性体層についても同様に、吸遮音材中にそれぞれ少なくとも1層含まれ、1〜5層とすることができ、1〜3層であることが好ましく、1層であることがより好ましい。また同じく、多孔質層や弾性体層が複数含まれる場合、それらを区別するために、第一の多孔質層、第二の多孔質層等ということがある。
吸遮音材に含まれる繊維層、多孔質層、及び弾性体層は、それぞれ1種類ずつでもよいが、異なる2種以上が含まれていてもよい。また、本発明の効果を損なわない限り、繊維層、多孔質層及び弾性体層以外の構成が含まれていてもよい。例えば、本発明に規定する範囲外のさらなる層(1層でも2層以上でもよい。例えば保護層など)、印刷層、発泡体、箔、メッシュ、織布等が含まれていてもよい。また、各層間を連結するための接着剤層、クリップ、縫合糸等を含んでいてもよい。
本発明の吸遮音材は、繊維層が、多孔質層及び弾性体層よりも音の入射側となるように配置される。言い換えると、繊維層、多孔質層、及び弾性体層のうち、音の入射側の最外層には繊維層が配置される。また、多孔質層は、弾性体層よりも音の入射側に配置されることが好ましい。すなわち、音の入射側から順に、繊維層、多孔質層、弾性体層の順に配置されることが好ましい。なお、前述のとおり、本発明の吸遮音材には、これら3種類の層のほかにさらなる層を含んでいてもよい。さらなる層を含む場合、当該層は、繊維層、多孔質層、及び弾性体層の外側に位置していてもよく、繊維層、多孔質層ないし弾性体層の間に存在していてもよい。
繊維層が複数含まれる場合、本発明の効果を得られる限りにおいて、例えば2層の繊維層を含む場合には、第一の繊維層/第二の繊維層/多孔質層/弾性体層というようにすべての繊維層が多孔質層及び弾性体層よりも入射側に配置されてもよいし、第一の繊維層/多孔質層/第二の繊維層/弾性体層、あるいは、第一の繊維層/多孔質層/弾性体層/第二の繊維層というように、一部の繊維層が多孔質層ないし弾性体層よりも音の透過側に存在してもよい。すなわち、少なくとも1層の繊維層が、多孔質層及び弾性体層よりも音の入射側に配置されていればよい。
多孔質層についても同様であり、少なくとも1層の多孔質層が少なくとも1層の弾性体層よりも音の入射側に配置されていればよい。例えば2層の多孔質層を含む場合には、繊維層/第一の多孔質層/第二の多孔質層/弾性体層、第一の繊維層/第一の多孔質層/第二の繊維層/第二の多孔質層/弾性体層というようにすべての多孔質層が弾性体層よりも入射側に配置されてもよいし、繊維層/第一の多孔質層/弾性体層/第二の多孔質層というように、一部の多孔質層が弾性体層よりも音の透過側に存在してもよい。
弾性体層については、複数の弾性体層を含む場合、すべての弾性体層が、すべての繊維層及びすべての多孔質層よりも、音の透過側に配置されていることが好ましい。
吸遮音材の各層の層間は、物理的及び/又は化学的に接着されていてもよいし、接着されていなくてもよい。吸遮音材の複数の層間のうちの一部が接着され、一部は接着されていない形態であってもよい。接着は、例えば、繊維層の形成工程において、又は後工程として加熱を行い、繊維層を構成する繊維の一部を融解し、繊維層を多孔質層に融着させることによって繊維層と多孔質層とを接着してもよい。また、多孔質層ないし繊維層の表面に接着剤を付与し、さらに多孔質層ないし繊維層を重層することによって、層間を接着することも好ましい。多孔質層と弾性体層との接着についても、これらと同様に行うことができる。
吸遮音材の厚みは、本発明の効果が得られる限り特に制限されないが、例えば、3〜50mmとすることができ、3〜40mmとすることが好ましく、省スペース性の観点から3〜35mmとすることがより好ましい。
繊維層及び多孔質層の積層部の通気度は、所望の吸遮音性能が得られる限り特に制限されるものではないが、30〜500cc/cm2・sとすることができ、30〜220cc/cm2・sであることが好ましく、45〜220cc/cm2・sであることがより好ましい。通気度が30cc/cm2・s以上であれば、吸遮音材の表面で音が反射することによる吸音率の低下がなく、また、通気度が500cc/cm2・s以下であれば、吸遮音材内部での迷路度が低下し、吸遮音材内部での消失するエネルギーの低下がない。また、繊維層の密度が多孔質層の密度よりも高いこと、言い換えると、相対的に密度が低い層(多孔質層)が、密度の高い層(繊維層)よりも音の透過側に位置する、あるいは、繊維層に挟まれる構造となっていることが好ましい。従来、吸音性能とともに遮音性能を期待されていた吸遮音材では、密度が高いほど音が通過しにくく、すなわち遮音性に有効であると考えられていたが、本発明の吸遮音材は、高い通気性を有する繊維層を用いることによって音の反射を低減し、さらに繊維層よりも密度が低い多孔質層を用いることによって高い吸音性が得られる。通気度の調整は、例えば、繊維層を構成する繊維を細径とすることによって、密度が高く、通気性が低い繊維層を得ることができる。また、エンボス加工や熱加圧等の方法によっても、通気性を調整することができる。なお、通気度の測定は公知の方法によることができ、例えば、フラジール形法で測定できる。
(各層の構成:繊維層)
本発明の吸遮音材に含まれる繊維層を構成する繊維の繊維径は、本発明の効果を有する限り特に制限されないが、例えば、平均繊維径が30nm〜30μmである繊維からなる層を用いることができる。好ましくは、平均繊維径が50nm〜30μmである繊維からなる層である。平均繊維径が30nm〜30μmの範囲であれば、高い吸音性が得られるため好ましい。繊維径の測定は、公知の方法によることができる。例えば、繊維層表面の拡大写真から測定ないし算出することによって得られる値である。繊維径の詳細な測定方法は実施例に詳述される。
本発明の吸遮音材に含まれる繊維層を構成する繊維の繊維径は、本発明の効果を有する限り特に制限されないが、例えば、平均繊維径が30nm〜30μmである繊維からなる層を用いることができる。好ましくは、平均繊維径が50nm〜30μmである繊維からなる層である。平均繊維径が30nm〜30μmの範囲であれば、高い吸音性が得られるため好ましい。繊維径の測定は、公知の方法によることができる。例えば、繊維層表面の拡大写真から測定ないし算出することによって得られる値である。繊維径の詳細な測定方法は実施例に詳述される。
本発明の吸遮音材に含まれる繊維層としては、1層の繊維層が、一つの繊維集合体から構成されていてもよく、また、1層の繊維層が、複数の繊維集合体を重ね合わせることで構成されていてもよい。なお、本明細書において、繊維集合体とは、一つの連続体となった繊維集合体のことを意味している。繊維層の目付けは、0.01〜500g/m2であることが好ましく、0.1〜200g/m2であればより好ましい。目付けが0.01g/m2以上であれば、繊維層と多孔質層との密度差による流れ抵抗の制御が良好となり、500g/m2未満であれば、吸遮音材として生産性に優れる。吸遮音材の厚みを低減する観点から繊維層の厚みは薄い方が好ましい。繊維層の厚みは、具体的には、1.0mm未満が好ましく、より好ましくは0.5mm未満であり、さらに好ましくは0.2mm未満であり、特に好ましくは0.15mm未満である。
繊維層のフラジール形法による通気度は、30〜220cc/cm2・sであり、40〜220cc/cm2・sであることが好ましい。通気度が30cc/cm2・s以上であれば音源から発生した音を吸遮音材内に導入できるため効率よく吸音でき、220cc/cm2・s以下であれば、吸遮音材内の多孔質層との音波の流れを調節できるため好ましい。また、繊維層の平均流量細孔径は1.0〜60μmであり、1.0〜50μmであることが好ましい。平均流量細孔径が1.0μm以上であれば、入射する音が繊維層で反射することを抑え、音を吸遮音材内に取り入れることができる。60μm以下であれば、吸遮音材内に取り入れた音を吸遮音材の内部に閉じこめることにより、吸遮音材の内部で効率よく消失させることができるため好ましい。
繊維層は、好ましくは織布又は不織布であり、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、電界紡糸法によって形成される不織布等であることが好ましい。メルトブローン不織布によれば、細径の繊維を基材等の他の部材上に効率よく積層させることができる。不織布を電界紡糸法によって形成するときには、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、他の不織布、例えば、電解紡糸法の保護層として使用される不織布を使用することができる。
繊維層を構成する樹脂としては、発明の効果を得られる限り特に制限されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン、ポリ乳酸、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル類、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン1,2等のナイロン(アミド樹脂)類、ポリフェニレンスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリスルフォン、液晶ポリマー類、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンが例示できる。ポリエチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等を挙げることができ、ポリプロピレン樹脂としては、プロピレンの単独重合体や、プロピレンと他の単量体、エチレンやブテン等が重合した共重合ポリプロピレン等を挙げることができる。繊維集合体は、前記の樹脂の少なくとも1種を含むことが好ましく、2種類以上を含んでいてもよい。
また繊維層は、繊維の断面形状が扁平である扁平糸を用いたスパンボンド不織布であることも好ましい。具体的には例えば、扁平糸として、繊度が0.01〜20dtexである、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の扁平糸を用いたスパンボンド不織布を作製して用いてもよいし、市販品を用いることもできる。市販品を用いる場合、例えば、エルタス FLAT、エルタス エンボス(商品名、旭化成社製)等を好ましく用いることができる。扁平糸を用いたスパンボンド不織布は、低目付けで厚みが薄く高密度であるため、本発明の吸遮音材に好ましく用いることができる。
また、前記繊維には、樹脂以外の各種の添加剤を含んでもよい。樹脂に添加されうる添加剤としては、例えば、充填剤、安定化剤、可塑剤、粘着剤、接着促進剤(例えば、シラン及びチタン酸塩)、シリカ、ガラス、粘土、タルク、顔料、着色剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、抗菌剤、界面活性剤、難燃剤、及びフッ化ポリマーが挙げられる。前記添加物を用いて、得られる繊維及び繊維層の重量及び/又はコストを軽減してもよい。また、前記添加物を用いて、繊維製造時の樹脂の粘度を調整してもよい。また、前記添加物を用いて、得られる繊維の熱的特性を変性してもよく、あるいは電気特性、光学特性、密度に関する特性、液体バリアもしくは粘着性に関する特性を包含する、添加物の特性に由来する様々な物理特性活性を付与してもよい。
(各層の構成:多孔質層)
本発明の吸遮音材において、多孔質層は、少なくとも1層含まれている。本発明の吸遮音材における多孔質層は、吸音性を有するとともに、繊維層を支持して吸遮音材全体の形状を保持する機能を有している。多孔質層は、1層の多孔質層からなってもよく、又は、複数の多孔質層が重ねられて構成されていてもよい。多孔質層は、連通孔を有する発泡体、不織布及び織布からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる層であって、厚みが3〜40mmであり、密度が繊維層よりも低く、かつ3〜150kg/m3である。
本発明の吸遮音材において、多孔質層は、少なくとも1層含まれている。本発明の吸遮音材における多孔質層は、吸音性を有するとともに、繊維層を支持して吸遮音材全体の形状を保持する機能を有している。多孔質層は、1層の多孔質層からなってもよく、又は、複数の多孔質層が重ねられて構成されていてもよい。多孔質層は、連通孔を有する発泡体、不織布及び織布からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる層であって、厚みが3〜40mmであり、密度が繊維層よりも低く、かつ3〜150kg/m3である。
多孔質層を構成する部材が不織布又は織布である場合、当該不織布又は織布は、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維及びガラス繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維、又は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ガラス、及び天然物からなる群から選ばれる2種以上が複合化された複合繊維からなることが好ましい。
多孔質層を構成する部材が連通孔(連続気泡)を有する発泡体である場合、ウレタン発泡樹脂、アクリル系発泡樹脂又はメラミン発泡樹脂からなる発泡体であることが好ましい。吸遮音材に含まれる多孔質層は1種であってもよく、2種以上を含むことも好ましい。多孔質層は、通気性を有していることが必要であることから、多孔質層の通気性が低い場合には、多孔質層を開孔することが好ましい。開孔については、突き刺し加工、熱加工、圧空エアー加工、レーザー加工、打ち抜き加工、又はミシン目加工などの既存の加工方法で穿孔することができる。
連通孔を有する発泡体は、樹脂に泡を発生させることにより形成させることができる。発泡体を構成する樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、メラミン系樹脂が例示できる。ポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、若しくは4−メチルペンテン−1等の単独重合体、及びこれらと他のα−オレフィン、即ち、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1あるいは4−メチルペンテン−1などのうちの1種以上とのランダム若しくはブロック共重合体あるいはこれらを組み合わせた共重合体のことであり、又はこれらの混合物などを挙げることができる。
多孔質層の密度は、3〜150kg/m3であり、6〜145kg/m3であることが好ましく、6〜100kg/m3であることがより好ましい。多孔質層の密度は、3kg/m3以上であれば、成型性がよく、さらに一般的に市販されているため入手しやすい点で好ましく、150kg/m3以下であれば、吸遮音材が軽量となり、設置の際等に作業性が高いため好ましい。
多孔質層の厚みは、3〜40mmであり、3〜30mmであることが好ましい。多孔質層は、複数の部材から構成することもできる。多孔質層の厚みが3mm以上であれば、皺の発生がなく取り扱いが容易で、生産性が良好であり、部材の厚みが40mm以下であれば、省スペース性を妨げる恐れがない。
多孔質層は、繊維層よりも密度が低く、厚みのある層であり、この構造によって音の反射を低減し、吸音性に寄与するものと考えられている。多孔質層の通気度は、例えば10cc/cm2・s以上とすることができる。
多孔質層には、本発明の効果を妨げない範囲内で、各種の添加剤、例えば、着色剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、滑剤、抗菌剤、難燃剤、可塑剤、及び他の熱可塑性樹脂等が添加されていてもよい。また、表面が各種の仕上げ剤で処理されていてもよく、これによって撥水性、制電性、表面平滑性、耐摩耗性などの機能が付与されていてもよい。
(各層の構成:弾性体層)
弾性体層は、実質的に通気性を有さないことが好ましく、独立発泡体、及びゴムシートからなる群から選ばれる少なくとも1種からなる層である。具体的には、弾性体層は、吸遮音材の厚みを低減する観点から、1〜2層であることが好ましい。
弾性体層は、実質的に通気性を有さないことが好ましく、独立発泡体、及びゴムシートからなる群から選ばれる少なくとも1種からなる層である。具体的には、弾性体層は、吸遮音材の厚みを低減する観点から、1〜2層であることが好ましい。
弾性体層が独立発泡体である場合、独立発泡体を構成する樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、メラミン系樹脂が例示できる。ポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、若しくは4−メチルペンテン−1等の単独重合体、及びこれらと他のα−オレフィン、即ち、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1あるいは4−メチルペンテン−1などのうちの1種以上とのランダム若しくはブロック共重合体あるいはこれらを組み合わせた共重合体のことであり、又はこれらの混合物などを挙げることができる。弾性体層がゴムシートである場合、ゴムシートとしては例えば、天然ゴム、多硫化ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロブレンゴム(CR)、アクリロニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ウレタンゴム(PUR)、シリコーンゴム(Si)、フッ素ゴム(FKM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、エチレン・酢酸ビニルゴム(EVA)等からなるシートを用いることができる。
本発明において、弾性体層は1mm以上の厚みを有することが好ましい。弾性体層の厚みの上限は特に制限されるものではないが、省スペース性の観点からは1〜10mmであることが好ましく、1〜7mmであることがより好ましい。弾性体層が複数の部材から構成される場合、弾性体層を構成する部材1層あたりの厚みは、例えば、50μm〜5mmとすることができ、1mm〜5mmとすることが好ましくい。
弾性体層には、本発明の効果を妨げない範囲内で、各種の添加剤、例えば、着色剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、滑剤、抗菌剤、難燃剤、可塑剤、及び他の熱可塑性樹脂等が添加されていてもよい。また、表面が各種の仕上げ剤で処理されていてもよく、これによって撥水性、制電性、表面平滑性、耐摩耗性などの機能が付与されていてもよい。
(吸遮音材の吸遮音特性)
本発明の吸遮音材は、特に低周波数領域から高周波数領域(400〜125000Hzの周波数領域)における吸遮音性に優れることを特徴としている。本発明の吸遮音材は、特に吸音性と遮音性を両立することができる点で特に優れるという、従来の吸遮音材と異なる吸遮音特性を示す。従来の吸音材は音を表面で反射させることなく、内部に音を取り込み消失させるものであり、遮音材は音を表面で反射させ透過を防ぐことで効率を上げることから、吸音材と遮音材とは相反する性質が求められるため、これらの特徴を両立させることが困難であった。特定の理論に拘束されるものではないが、本発明の吸遮音材は、音の入射側において、繊維層と多孔質層の密度差をつけて音波の流れ抵抗を制御し、音波の透過と反射、及び干渉を利用することで、音の減衰効果が得られ、また、透過側に気密性の高い弾性体を設置する結果、厚みが薄く、かつ、低周波数領域から高周波数領域の吸収性に優れるという性能が得られるものと考えられている。
吸音性の評価方法は、実施例に詳述される。
本発明の吸遮音材は、特に低周波数領域から高周波数領域(400〜125000Hzの周波数領域)における吸遮音性に優れることを特徴としている。本発明の吸遮音材は、特に吸音性と遮音性を両立することができる点で特に優れるという、従来の吸遮音材と異なる吸遮音特性を示す。従来の吸音材は音を表面で反射させることなく、内部に音を取り込み消失させるものであり、遮音材は音を表面で反射させ透過を防ぐことで効率を上げることから、吸音材と遮音材とは相反する性質が求められるため、これらの特徴を両立させることが困難であった。特定の理論に拘束されるものではないが、本発明の吸遮音材は、音の入射側において、繊維層と多孔質層の密度差をつけて音波の流れ抵抗を制御し、音波の透過と反射、及び干渉を利用することで、音の減衰効果が得られ、また、透過側に気密性の高い弾性体を設置する結果、厚みが薄く、かつ、低周波数領域から高周波数領域の吸収性に優れるという性能が得られるものと考えられている。
吸音性の評価方法は、実施例に詳述される。
また、本明細書において、遮音性は音響透過損失によって評価される。本発明の吸遮音材は、400〜12500Hzの周波数における音響透過損失の平均(平均透過損失)が、当該吸遮音材から繊維層を除去した場合の平均透過損失よりも大きく向上する。言い換えると、繊維層の有無によって平均透過損失が大きく異なるということであり、本発明の吸遮音材は、前述の特定の繊維層が音の入射側に配置されるという構成によって、薄く、目付の小さな繊維層であってもその繊維層の存在が吸遮音性に大きく寄与することを見出したものである。繊維層の有無によって、平均透過損失は、0.4以上向上することが好ましく、0.5以上向上することがより好ましい。
遮音性の評価方法は、実施例に詳述される。
遮音性の評価方法は、実施例に詳述される。
(吸遮音材の製造方法)
吸遮音材の製造方法は特に制限されないが、例えば、1層の弾性体層に1層の多孔質体を積層し、更に弾性体層と多孔質層の積層体の多孔質層上に1層の繊維集合体を形成する繊維層を作成する工程、及び、複数の繊維層を所定の順番及び枚数で重ね合わせて一体化する工程、を含む製造方法によって得ることができる。なお、繊維層を重ね合わせる工程において、繊維層以外のさらなる層(例えば保護層)をさらに加えて積層することもできる。
吸遮音材の製造方法は特に制限されないが、例えば、1層の弾性体層に1層の多孔質体を積層し、更に弾性体層と多孔質層の積層体の多孔質層上に1層の繊維集合体を形成する繊維層を作成する工程、及び、複数の繊維層を所定の順番及び枚数で重ね合わせて一体化する工程、を含む製造方法によって得ることができる。なお、繊維層を重ね合わせる工程において、繊維層以外のさらなる層(例えば保護層)をさらに加えて積層することもできる。
弾性体層として用いる独立発泡体、ゴムシート、多孔質層として用いる連通孔を有する発泡体、不織布及び/又は織布は、公知の方法で製造して用いてもよいし、市販品を選択して用いることもできる。
前記によって得られた、繊維層/多孔質層/弾性体層の3層からなる積層体を、重ね合わせて一体化する方法は、特に限定されず、接着を行わず重ね合わせるだけでもよく、また、各種の接着方法、例えば、加熱したフラットロールやエンボスロールによる熱圧着による接着方法、ホットメルト剤や化学接着剤による接着方法、循環熱風もしくは輻射熱による熱接着による接着方法などを採用することもできる。繊維層の物性低下を抑制するという観点では、なかでも循環熱風もしくは輻射熱による熱接着方法が好ましい。フラットロールやエンボスロールによる熱圧着の場合、繊維層が溶融してフィルム化したり、エンボス点周辺部分に破れが発生したりする等のダメージを受け、吸音特性が低下する等の性能低下を生じるだけでなく、安定的な製造が困難となる可能性がある。また、ホットメルト剤や化学接着剤による接着の場合には、ホットメルト剤や化学接着剤によって繊維層の繊維間空隙が埋められ、性能低下を生じやすい場合がある。一方で、循環熱風もしくは輻射熱による熱処理で一体化した場合には、繊維層へのダメージが少なく、かつ十分な層間剥離強度で一体化できるので好ましい。循環熱風もしくは輻射熱による熱接着によって一体化する場合には、特に限定されるものではないが、熱融着性複合繊維からなる不織布及び発泡体を使用することが好ましい。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、以下の実施例は例示を目的としたものに過ぎない。本発明の範囲は、本実施例に限定されない。
実施例で用いた物性値の測定方法及び定義を以下に示す。
<平均繊維径>
株式会社日立ハイテクノロジーズ製の走査型電子顕微鏡SU8020を使用して、繊維を観察し、画像解析ソフトを用いて繊維50本の直径を測定した。繊維50本の繊維径の平均値を平均繊維径とした。
株式会社日立ハイテクノロジーズ製の走査型電子顕微鏡SU8020を使用して、繊維を観察し、画像解析ソフトを用いて繊維50本の直径を測定した。繊維50本の繊維径の平均値を平均繊維径とした。
<吸音率、音響透過損失測定>
垂直入射吸音率測定装置「日本音響エンジニアリング社製WinZacMTX」を用い、ASTM E 1050に準拠して、周波数400〜12500Hzにおいて、試験片に平面音波が垂直に入射するときの垂直入射吸音率と音響透過損失を測定した。
<吸音性>
各サンプルの吸音率を3分の1オクターブバンドで測定し、平均吸音率を算出した。この平均吸音率の値が0.6以上の場合、良好(○)と評価し、0.6未満の場合、吸音性を不良(×)と評価した。
垂直入射吸音率測定装置「日本音響エンジニアリング社製WinZacMTX」を用い、ASTM E 1050に準拠して、周波数400〜12500Hzにおいて、試験片に平面音波が垂直に入射するときの垂直入射吸音率と音響透過損失を測定した。
<吸音性>
各サンプルの吸音率を3分の1オクターブバンドで測定し、平均吸音率を算出した。この平均吸音率の値が0.6以上の場合、良好(○)と評価し、0.6未満の場合、吸音性を不良(×)と評価した。
<音響透過損失>
各サンプルの音響透過損失を1/3オクターブバンドで測定し、平均音響透過損失を算出した。
繊維層/多孔質層/弾性体層が積層された吸遮音材に対して、当該吸遮音材から繊維層を除いた(すなわち、多孔質層と弾性体層のみである)サンプルを対照として比較評価することにより、平均音響透過損失の差を算出し、これを改善幅とした。当該改善幅は、400〜12500Hzの周波数領域の音響透過損失性能を示し、数値が高ければ、音響透過損失の改善が良好と判断される。改善幅の値が0.4以上の場合、音響透過損失の改善が良好(○)と評価し、改善幅が0.4未満の場合、音響透過損失の改善が不良(×)と評価した。
各サンプルの音響透過損失を1/3オクターブバンドで測定し、平均音響透過損失を算出した。
繊維層/多孔質層/弾性体層が積層された吸遮音材に対して、当該吸遮音材から繊維層を除いた(すなわち、多孔質層と弾性体層のみである)サンプルを対照として比較評価することにより、平均音響透過損失の差を算出し、これを改善幅とした。当該改善幅は、400〜12500Hzの周波数領域の音響透過損失性能を示し、数値が高ければ、音響透過損失の改善が良好と判断される。改善幅の値が0.4以上の場合、音響透過損失の改善が良好(○)と評価し、改善幅が0.4未満の場合、音響透過損失の改善が不良(×)と評価した。
<通気度>
通気度測定は、株式会社東洋精機製作所製 織布通気度試験機(フラジール形法)にてJIS L1913に準拠し測定した。
通気度測定は、株式会社東洋精機製作所製 織布通気度試験機(フラジール形法)にてJIS L1913に準拠し測定した。
<厚み>
通気度測定は、株式会社東洋精機製作所製DIGI THICKNESS TESTERにてJIS K6767に準拠し、35mmの3.5gf/cm2圧力で測定した。
通気度測定は、株式会社東洋精機製作所製DIGI THICKNESS TESTERにてJIS K6767に準拠し、35mmの3.5gf/cm2圧力で測定した。
<保護層の準備>
保護層として、市販のポリエチレンテレフタレート製カード法スルーエア不織布(目付け18g/m2、厚み60μm)を準備した。
保護層として、市販のポリエチレンテレフタレート製カード法スルーエア不織布(目付け18g/m2、厚み60μm)を準備した。
<繊維層の準備>
繊維層A、B
Arkema製のポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(以下、「PVDF−HFP」と略記する。)であるKynar(商品名)3120を、N,N−ジメチルアセトアミドとアセトンの共溶媒(60/40(w/w))に15質量%の濃度で溶解し、電界紡糸溶液を調製し、導電助剤として0.01質量%を添加した。保護層の上に前記PVDF−HFP溶液を電界紡糸して、PVDF−HFP極細繊維からなる繊維層Aを作製した。電界紡糸の条件は、24Gニードルを使用し、単孔溶液供給量は3.0mL/h、印加電圧は35kV、紡糸距離は17.5cmとした。
繊維層Aの目付けは0.2g/m2であり、平均繊維径は80nmであり、融解温度は168℃であった。平均流量細孔径は8μmであり、フラジール形法による通気度は47cc/cm2・sであった。
また、PVDF−HFP極細繊維の目付けが3.0g/m2となるように調節し、繊維層Bを作製した。得られたPVDF−HFP極細繊維の平均繊維径は80nmであり、融解温度は168℃であった。平均流量細孔径は0.7μmであり、フラジール形法による通気度は0.7cc/cm2・sであった。
繊維層A、B
Arkema製のポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(以下、「PVDF−HFP」と略記する。)であるKynar(商品名)3120を、N,N−ジメチルアセトアミドとアセトンの共溶媒(60/40(w/w))に15質量%の濃度で溶解し、電界紡糸溶液を調製し、導電助剤として0.01質量%を添加した。保護層の上に前記PVDF−HFP溶液を電界紡糸して、PVDF−HFP極細繊維からなる繊維層Aを作製した。電界紡糸の条件は、24Gニードルを使用し、単孔溶液供給量は3.0mL/h、印加電圧は35kV、紡糸距離は17.5cmとした。
繊維層Aの目付けは0.2g/m2であり、平均繊維径は80nmであり、融解温度は168℃であった。平均流量細孔径は8μmであり、フラジール形法による通気度は47cc/cm2・sであった。
また、PVDF−HFP極細繊維の目付けが3.0g/m2となるように調節し、繊維層Bを作製した。得られたPVDF−HFP極細繊維の平均繊維径は80nmであり、融解温度は168℃であった。平均流量細孔径は0.7μmであり、フラジール形法による通気度は0.7cc/cm2・sであった。
繊維層D(スパンボンド不織布)
市販されている不織布材料である、旭化成製ELTAS(登録商標)FLAT EH5025(厚み0.11mm)を繊維層Dとした。繊維層Dは、扁平糸を使用したスパンボンド不織布であり、繊維径は、楕円の長軸径が40μmであり、短軸径が5μmである繊維である。また、繊維層Dは、平均流量細孔径が41μmであり、フラジール形法による通気度は138cc/cm2・sであった。
市販されている不織布材料である、旭化成製ELTAS(登録商標)FLAT EH5025(厚み0.11mm)を繊維層Dとした。繊維層Dは、扁平糸を使用したスパンボンド不織布であり、繊維径は、楕円の長軸径が40μmであり、短軸径が5μmである繊維である。また、繊維層Dは、平均流量細孔径が41μmであり、フラジール形法による通気度は138cc/cm2・sであった。
繊維層E(メルトブローン不織布)
市販されている不織布材料である、タピルス株式会社製P010SW−00X(厚み0.13mm)を繊維層Eとした。繊維層Eの繊維径は、2.7μmであった。また、繊維層Eは、平均流量細孔径が30μmであり、フラジール形法による通気度は130cc/cm2・sであった。
市販されている不織布材料である、タピルス株式会社製P010SW−00X(厚み0.13mm)を繊維層Eとした。繊維層Eの繊維径は、2.7μmであった。また、繊維層Eは、平均流量細孔径が30μmであり、フラジール形法による通気度は130cc/cm2・sであった。
<多孔質層の準備>
多孔質層α(ウレタン発泡フォーム)
市販の発泡ウレタンシートであるイノアック社製カームフレックス(登録商標)F−2(密度25kg/m3、厚み25mm)を多孔質層αとした。多孔質層αのフラジール形法による通気度は、50cc/cm2・sであった。
多孔質層α(ウレタン発泡フォーム)
市販の発泡ウレタンシートであるイノアック社製カームフレックス(登録商標)F−2(密度25kg/m3、厚み25mm)を多孔質層αとした。多孔質層αのフラジール形法による通気度は、50cc/cm2・sであった。
市販のフェルト材料である日東サプライ社製ニードルフェルト(密度80kg/m3、厚み10mm)を多孔質層βとした。
多孔質層βを3枚重ね合わせ、東洋精機製Mini Test Press機にて4MPa60℃で10分加熱圧縮し、厚み25mmとしたものを多孔質層γとした。多孔質層γの密度は、96kg/m3であった。
フラジール形法による通気度はそれぞれ、多孔質層βが22cc/cm2・s、多孔質層γが18cc/cm2・sであった。
多孔質層βを3枚重ね合わせ、東洋精機製Mini Test Press機にて4MPa60℃で10分加熱圧縮し、厚み25mmとしたものを多孔質層γとした。多孔質層γの密度は、96kg/m3であった。
フラジール形法による通気度はそれぞれ、多孔質層βが22cc/cm2・s、多孔質層γが18cc/cm2・sであった。
<弾性体層の準備>
弾性体層δ(ゴムシート)
市販の黒天然ゴムシートであるWAKI SANGYO社製 GS−11(厚み3mm)を弾性体層δとした。
弾性体層δ(ゴムシート)
市販の黒天然ゴムシートであるWAKI SANGYO社製 GS−11(厚み3mm)を弾性体層δとした。
弾性体層ε(ポロンスポンジ)
市販のポロンスポンジ(独立発泡体)であるWAKI SANGYO社製 PON−04(厚み5mm)を弾性体層εとした。
市販のポロンスポンジ(独立発泡体)であるWAKI SANGYO社製 PON−04(厚み5mm)を弾性体層εとした。
[実施例1]
保護層上に形成された繊維層Aと多孔質層αと弾性体層δを使用し、保護層/繊維層A/多孔質層α/弾性体層δとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸遮音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.78であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、45.4であった。繊維層のない参考例1(多孔質層α/弾性体層δ)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、1.4となり良好であった。
保護層上に形成された繊維層Aと多孔質層αと弾性体層δを使用し、保護層/繊維層A/多孔質層α/弾性体層δとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸遮音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.78であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、45.4であった。繊維層のない参考例1(多孔質層α/弾性体層δ)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、1.4となり良好であった。
[実施例2]
繊維層Eと多孔質層αと弾性体層δを使用し、繊維層E/多孔質層α/弾性体層δとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸遮音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.76であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、44.7であった。繊維層のない参考例1(多孔質層α/弾性体層δ)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、0.7となり良好であった。
繊維層Eと多孔質層αと弾性体層δを使用し、繊維層E/多孔質層α/弾性体層δとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸遮音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.76であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、44.7であった。繊維層のない参考例1(多孔質層α/弾性体層δ)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、0.7となり良好であった。
[実施例3]
保護層上に形成された繊維層Aと多孔質層γと弾性体層εを使用し、保護層/繊維層A/多孔質層γ/弾性体層εとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸遮音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.84であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、45.4であった。繊維層のない参考例2(多孔質層α/弾性体層ε)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、1.1となり良好であった。
保護層上に形成された繊維層Aと多孔質層γと弾性体層εを使用し、保護層/繊維層A/多孔質層γ/弾性体層εとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸遮音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.84であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、45.4であった。繊維層のない参考例2(多孔質層α/弾性体層ε)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、1.1となり良好であった。
[実施例4]
保護層上に形成された繊維層Aと多孔質層γと弾性体層δを使用し、保護層/繊維層A/多孔質層γ/弾性体層δとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.83であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、55.1であった。繊維層のない参考例3(多孔質層α/弾性体層δ)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、4.1となり良好であった。
保護層上に形成された繊維層Aと多孔質層γと弾性体層δを使用し、保護層/繊維層A/多孔質層γ/弾性体層δとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.83であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、55.1であった。繊維層のない参考例3(多孔質層α/弾性体層δ)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、4.1となり良好であった。
[実施例5]
繊維層Dと多孔質層γと弾性体層δを使用し、繊維層D/多孔質層γ/弾性体層δとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.83であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、51.7であった。繊維層のない参考例3(多孔質層α/弾性体層δ)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、0.7となり良好であった。
繊維層Dと多孔質層γと弾性体層δを使用し、繊維層D/多孔質層γ/弾性体層δとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.83であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、51.7であった。繊維層のない参考例3(多孔質層α/弾性体層δ)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、0.7となり良好であった。
[実施例6]
保護層上に形成された繊維層Aと多孔質層βと弾性体層δを使用し、保護層/繊維層A/多孔質層β/弾性体層δとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.63であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、51.1であった。繊維層のない参考例4(多孔質層β/弾性体層δ)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、4.4となり良好であった。
保護層上に形成された繊維層Aと多孔質層βと弾性体層δを使用し、保護層/繊維層A/多孔質層β/弾性体層δとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.63であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、51.1であった。繊維層のない参考例4(多孔質層β/弾性体層δ)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、4.4となり良好であった。
実施例1〜6及び参考例1〜4の構成を表1に、垂直入射吸音率を表2に、音響透過損失及び音響透過損失の改善幅を表3にまとめる。
[比較例1]
繊維層A,Bに含まれる保護層が吸遮音性に及ぼす影響を確認するために、保護層と多孔質層αと弾性体層δを使用し、保護層/多孔質層α/弾性体層δとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.68であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、44.2であった。繊維層のない参考例1(多孔質層α/弾性体層δ)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、0.2となり不良であった。
繊維層A,Bに含まれる保護層が吸遮音性に及ぼす影響を確認するために、保護層と多孔質層αと弾性体層δを使用し、保護層/多孔質層α/弾性体層δとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.68であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、44.2であった。繊維層のない参考例1(多孔質層α/弾性体層δ)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、0.2となり不良であった。
[比較例2]
保護層上に形成された繊維層Bと多孔質層βと弾性体層δを使用し、保護層/繊維層B/多孔質層β/弾性体層δとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.58であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、49.4であった。繊維層のない参考例1(多孔質層α/弾性体層δ)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、5.4となり良好であったものの、吸音率としては低く、吸音率物性と音響透過損失の両立ができなかった。
保護層上に形成された繊維層Bと多孔質層βと弾性体層δを使用し、保護層/繊維層B/多孔質層β/弾性体層δとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.58であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、49.4であった。繊維層のない参考例1(多孔質層α/弾性体層δ)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、5.4となり良好であったものの、吸音率としては低く、吸音率物性と音響透過損失の両立ができなかった。
[比較例3]
繊維層A,Bに含まれる保護層が吸遮音性に及ぼす影響を確認するために、保護層と多孔質層γと弾性体層εを使用し、保護層/多孔質層γ/弾性体層εとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.84であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、44.6であった。繊維層のない参考例2(多孔質層γ/弾性体層ε)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、0.3となり不良であった。吸音率としては高いものの、吸音率物性と音響透過損失の両立ができなかった。
繊維層A,Bに含まれる保護層が吸遮音性に及ぼす影響を確認するために、保護層と多孔質層γと弾性体層εを使用し、保護層/多孔質層γ/弾性体層εとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.84であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、44.6であった。繊維層のない参考例2(多孔質層γ/弾性体層ε)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、0.3となり不良であった。吸音率としては高いものの、吸音率物性と音響透過損失の両立ができなかった。
[比較例4]
保護層上に形成された繊維層Bと多孔質層γと弾性体層εを使用し、保護層/繊維層B/多孔質層γ/弾性体層εとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.56であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、46.0であった。繊維層のない参考例2(多孔質層γ/弾性体層ε)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、1.7となり良好であったものの、吸音率としては低く、吸音率物性と音響透過損失の両立ができなかった。
保護層上に形成された繊維層Bと多孔質層γと弾性体層εを使用し、保護層/繊維層B/多孔質層γ/弾性体層εとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.56であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、46.0であった。繊維層のない参考例2(多孔質層γ/弾性体層ε)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、1.7となり良好であったものの、吸音率としては低く、吸音率物性と音響透過損失の両立ができなかった。
[比較例5]
繊維層A,Bに含まれる保護層が吸遮音性に及ぼす影響を確認するために、保護層と多孔質層γと弾性体層δを使用し、保護層/多孔質層γ/弾性体層δとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.82であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、51.1であった。繊維層のない参考例3(多孔質層γ/弾性体層δ)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、0.1となり不良であった。吸音率としては高いものの、吸音率物性と音響透過損失の両立ができなかった。
繊維層A,Bに含まれる保護層が吸遮音性に及ぼす影響を確認するために、保護層と多孔質層γと弾性体層δを使用し、保護層/多孔質層γ/弾性体層δとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.82であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、51.1であった。繊維層のない参考例3(多孔質層γ/弾性体層δ)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、0.1となり不良であった。吸音率としては高いものの、吸音率物性と音響透過損失の両立ができなかった。
[比較例6]
保護層上に形成された繊維層Bと多孔質層γと弾性体層δを使用し、保護層/繊維層B/多孔質層γ/弾性体層δとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.59であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、57.5であった。繊維層のない参考例3(多孔質層γ/弾性体層δ)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、6.5となり良好であった。吸音率としては低く、吸音率物性と音響透過損失の両立ができなかった。
保護層上に形成された繊維層Bと多孔質層γと弾性体層δを使用し、保護層/繊維層B/多孔質層γ/弾性体層δとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.59であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、57.5であった。繊維層のない参考例3(多孔質層γ/弾性体層δ)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、6.5となり良好であった。吸音率としては低く、吸音率物性と音響透過損失の両立ができなかった。
[比較例7]
繊維層A,Bに含まれる保護層が吸遮音性に及ぼす影響を確認するために、保護層と多孔質層βと弾性体層δを使用し、保護層/多孔質層β/弾性体層δとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.52であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、46.8であった。繊維層のない参考例4(多孔質層β/弾性体層δ)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、0.1となり不良であった。
繊維層A,Bに含まれる保護層が吸遮音性に及ぼす影響を確認するために、保護層と多孔質層βと弾性体層δを使用し、保護層/多孔質層β/弾性体層δとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.52であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、46.8であった。繊維層のない参考例4(多孔質層β/弾性体層δ)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、0.1となり不良であった。
[比較例8]
保護層上に形成された繊維層Bと多孔質層βと弾性体層δを使用し、保護層/繊維層B/多孔質層β/弾性体層δとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.56であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、51.8であった。繊維層のない参考例4(多孔質層β/弾性体層δ)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、5.1となり良好であった。吸音率としては低く、吸音率物性と音響透過損失の両立ができなかった。
保護層上に形成された繊維層Bと多孔質層βと弾性体層δを使用し、保護層/繊維層B/多孔質層β/弾性体層δとなるように重ね合わせ、16.6mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。吸音率の平均値を算出したところ、0.56であった。音響透過損失の平均値を算出したところ、51.8であった。繊維層のない参考例4(多孔質層β/弾性体層δ)を対照として、その音響透過損失の平均値の差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、5.1となり良好であった。吸音率としては低く、吸音率物性と音響透過損失の両立ができなかった。
比較例1〜8の構成を表4に、垂直入射吸音率を表5に、音響透過損失及び音響透過損失の改善幅を表6にまとめる。
本発明の吸遮音材は、厚みを増加させることなく低周波数領域から高周波数領域の吸音性と音響透過損失が特に優れ、低周波数領域から高周波数領域の騒音が問題になる分野における吸遮音材として利用されうる。具体的には住宅の天井、壁、床、階段、シンク等や配管に用いられる吸遮音材、高速道路や鉄道路線等の防音壁、エアコン室外機、家電製品の防音材、鉄道や自動車等の車両の各部に配置される吸遮音材等として用いられうる。
Claims (6)
- 繊維層と、多孔質層と、弾性体層とを含む吸遮音材であって、
前記繊維層は、平均流量細孔径が1.0〜60μmであり、フラジール形法による通気度が30〜220cc/cm2・sであり、
前記多孔質層は、連通孔を有する発泡体、不織布、及び織布からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる層であって、厚みが3〜40mmであり、密度が繊維層よりも低く、かつ3〜150kg/m3であり、
前記弾性体層は、独立発泡体、及びゴムシートからなる群から選ばれる少なくとも1種からなる層であり、
前記繊維層が、前記多孔質層及び前記弾性体層よりも、音の入射側に配置されている、吸遮音材。 - 前記多孔質層が、前記弾性体層よりも音の入射側に配置されている、請求項1に記載の吸遮音材。
- 前記繊維層、前記多孔質層、及び前記弾性体層がそれぞれ1層含まれる、請求項1又は2に記載の吸遮音材。
- 前記繊維層が、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン6,6、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリスルフォン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、及びポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む繊維からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸遮音材。
- 前記多孔質層が、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ガラス繊維、及び天然繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維、又は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ガラス、及び天然物からなる群から選ばれる2種以上が複合化された複合繊維を含み、不織布又は織布からなる層である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸遮音材。
- 400〜12500Hzの周波数における垂直入射吸音率測定法による平均吸音率が0.6以上であり、400〜12500Hzの周波数における垂直入射吸音率測定法による平均透過損失が、吸遮音材から繊維層を除去した場合の前記平均透過損失と比較して0.4以上向上する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸遮音材。
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