JP2021160131A - 積層吸音材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】低周波数領域及び中周波数領域、好ましくはさらに高周波数領域において優れた吸音性を有する積層吸音材の提供。【解決手段】繊維層と、多孔質層とを含む積層吸音材であって、繊維層は平均流量細孔径が1.0〜60μm、通気度が30〜220cc/cm2・sであり、多孔質層は発泡樹脂、不織布及び織布からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる層であって、厚みが3〜60mm、密度が繊維層よりも低く、かつ3〜150kg/m3であり、繊維層が音の入射側となるように配置され、繊維層と多孔質層とが、通気性を阻害しないように溶融部分接着、接着剤による部分接着、縫合、ステープラー、クリップ、外枠による固定、枠組みによる固定、エッジ部分の溶着、及びエッジ部分の両面テープによる貼り合わせからなる群から選ばれる少なくとも1種により固定され、積層吸音材の通気度が30〜220cc/cm2・sである、積層吸音材。【選択図】図1

Description

本発明は、2種類以上の層が積層されてなる、積層構造の吸音材に関する。
吸音材とは音を吸収する機能を有する製品であって、建築分野や自動車分野において多用されている。吸音材を構成する材料として、不織布を用いることが知られている。例えば、特許文献1には、吸音性を有する多層物品として、支持体層と、支持体層上に積層されるサブミクロン繊維層とを含み、サブミクロン繊維層は、中央繊維直径が1μm未満かつ平均繊維直径が0.5〜0.7μmの範囲であり、溶融フィルムフィブリル化法や電界紡糸法によって形成されることが開示されている。
特許文献1の実施例においては、坪量(目付)100g/m、直径約18μmのポリプロピレンスパンボンド不織布を支持体層とし、その上に、目付14〜50g/m、平均繊維直径約0.56μmのサブミクロンポリプロピレン繊維を積層した積層物品が開示されている。スパンボンド不織布層とサブミクロンポリプロピレン繊維との一体化については、もつれと熱接着の両者によってスパンボンドウェブ層に本質的に結合される点が記載されている。また別の実施例では、目付62g/mのポリエステルのカード処理ウェブの上に、目付6〜32g/m、平均繊維直径0.60μmの電界紡糸ポリカプロラクトン繊維を積層させた多層物品が開示されている。しかしながら、両層の一体化については記載されていない。
また、吸音材に発泡体を用いることも知られている。例えば、特許文献2には、音響快適性(音の反射成分の減少及び最適化)及び熱快適性を向上させる積層構造体であって、支持層として特定範囲の開放多孔率を有する有機ポリマー発泡体を備え、表面層として特定の通気抵抗を有するガラス布帛を備え、支持層と表面層との間に非連続の接着層を備えるものが開示されている。有機ポリマー発泡体としては、ポリウレタン、特にポリエステルウレタン、ネオプレン(登録商標)、シリコーンやメラミンを基礎材料とするものが挙げられており、その密度は好ましくは10〜120kg/mであること、厚みは好ましくは1.5〜2.5mmであることが開示されている。支持層(a)と表面層(b)との一体化のために、単位面積当たりの質量が17〜60g/mの非連続性の接着剤層を用いることが記載されている。しかしながら、この方法では、得られる吸音材が高重量となってしまう問題がある。
特開2014−15042号公報 特表2014−529524号公報
上述のとおり、吸音材として様々な構成の積層体が検討されており、繊維径や通気度(密度)の異なる複数の層を組み合わせることが行われてきた。しかしながら、複数の層を一体化させて得られる積層体の通気度の低下と重量の増加の問題が残されたままになっていた。
この状況に鑑み、本発明は、複数の層を一体化させて得られる積層体の通気度の低下と重量の増加が少なく、低周波数領域及び中周波数領域、好ましくはさらに高周波数領域において優れた吸音性を有する吸音材を提供することを課題とする。
発明者らは上述の課題を解決するために検討を重ねた。その結果、繊維層と多孔質層とを含む積層吸音材において、複数の層を特定の方法で一体化させた積層吸音材とすることによって、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、以下の構成を有する。
[1]少なくとも繊維層と、多孔質層とを含む積層吸音材であって、前記繊維層は、平均流量細孔径が1.0〜60μm、フラジール形法による通気度が30〜220cc/cm・sであり、前記多孔質層は、発泡樹脂、不織布及び織布からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる層であって、厚みが3〜60mm、密度が繊維層よりも低く、かつ3〜150kg/mであり、前記繊維層が音の入射側となるように配置され、前記繊維層と前記多孔質層とが、通気性を阻害しないように溶融部分接着、接着剤による部分接着、縫合、ステープラー、クリップ、外枠による固定、枠組みによる固定、エッジ部分の溶着、及びエッジ部分の両面テープによる貼り合わせからなる群から選ばれる少なくとも1種により固定されていて、フラジール形法による通気度が30〜220cc/cm・sである、積層吸音材。
[2]前記多孔質層が、ポリエチレンフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、及びガラス繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維、又は、2種以上が複合化された複合繊維からなる不織布又は織布からなる層であり、前記繊維層が、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン6,6、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリスルフォン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、及びポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維を含む、前記[1]に記載の積層吸音材。
[3]前記[1]または[2]に記載の積層吸音材であって、ランダム入射吸音率測定法による500〜1000Hzの周波数における吸音率が、当該積層吸音材に含まれる多孔質層のみである場合の吸音率と比較して、改善幅が0.03以上である、積層吸音材。
[4]請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層吸音材であって、ランダム入射吸音率測定法による1600〜2500Hzの周波数における吸音率が、当該積層吸音材に含まれる多孔質層のみである場合の吸音率と比較して、改善幅が0.03以上である、積層吸音材。
[5]前記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の積層吸音材であって、ランダム入射吸音率測定法による5000〜10000Hzの周波数における吸音率が、当該積層吸音材に含まれる多孔質層のみである場合の吸音率と比較して、改善幅が0.03以上である、積層吸音材。
上述の構成を有する本発明によれば、積層吸音材中に特定の構成の繊維層及び多孔質層を有し、これらを、通気性を阻害しない溶融部分接着、接着剤による部分接着、縫合、ステープラー、クリップ、外枠による固定、枠組みによる固定、エッジ部分の溶着、及びエッジ部分の両面テープによる貼り合わせからなる群から選ばれる少なくとも1種により固定することで、少ない層数で高い吸音性を実現することと、吸音材として積層体の通気度の低下と重量の増加が少なくすることができる。上述の構成を有する本発明によれば、低周波数領域及び中周波数領域、好ましくはさらに高周波数領域における吸音特性に優れた吸音材が得られる。本発明の積層吸音材は、吸音特性のピークが従来の吸音材よりも低い領域にあり、2000Hz以下の領域、特に1000Hz以下の領域における吸音性能に優れる。建築分野では、生活騒音の多くは200〜500Hz程度といわれており、また自動車分野では、ロードノイズでは100〜500Hz程度、また、加速時やトランスミッション変動時の騒音は100〜2000Hz程度、車両走行時の風切り音は800〜2000Hz程度といわれている。本発明の積層吸音材は、このような騒音対策に有用である。また、本発明の積層吸音材は、軽量であるため、部材の軽量化と省スペース化が可能であり、この点は特に自動車分野向けの吸音材として有用である。
本発明の実施例1、比較例1及び参考例1の吸音特性を示すグラフである。 本発明の実施例3、比較例2及び参考例3の吸音特性を示すグラフである。 本発明の実施例4、比較例3及び参考例4の吸音特性を示すグラフである。 本発明の実施例6、比較例4及び参考例6の吸音特性を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。
(積層吸音材の構造)
本発明の積層吸音材は、少なくとも繊維層と、多孔質層とを含む積層吸音材であって、前記繊維層は、平均流量細孔径が1.0〜60μm、フラジール形法による通気度が30〜220cc/cm・sであり、前記多孔質層は、発泡樹脂、不織布及び織布からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる層であって、厚みが3〜40mm、密度が繊維層よりも低く、かつ3〜150kg/mであり、前記繊維層が音の入射側となるように配置され、前記繊維層と前記多孔質層とが、通気性を阻害しない溶融部分接着、接着剤による部分接着、縫合、ステープラー、クリップ、外枠による固定、枠組みによる固定、エッジ部分の溶着、及びエッジ部分の両面テープによる貼り合わせからなる群から選ばれる少なくとも1種により固定されていて、積層吸音材が通気度30〜220cc/cm・sである。
積層吸音材において、繊維層は少なくとも1層含まれ、具体的には、1〜2層とすることができる。繊維層は、1つの繊維集合体でもよいし、1つの繊維層の中に複数の繊維集合体が重ねられた形態であってもよい。また、積層吸音材において、少なくとも1層の繊維層が、音の入射側となるように配置される。
積層吸音材に含まれる繊維層及び多孔質層は、それぞれ1種類ずつでもよいが、異なる2種以上の繊維層又は多孔質層が含まれていてもよい。また、本発明の効果を損なわない限り、繊維層及び多孔質層以外の構成が含まれていてもよく、例えば、本発明に規定する範囲外のさらなる繊維層(1層でも2層以上でもよい)、印刷層、発泡体、箔、メッシュ、織布が含まれていてもよい。また、各層間を連結するための接着剤層、クリップ、縫合糸等を含んでいてもよい。
本発明の積層吸音材は、繊維層が音の入射側、多孔質層が音の透過側に配置される2層の積層体であるか、第一の繊維層と第二の繊維層との間に多孔質層が挟まれる3層の積層体であるか、第一の繊維層/第一の多孔質層/第二の繊維層/第二の多孔質層の順に積層される4層の積層体である。2層の繊維層を含む場合、第一の繊維層と第二の繊維層は互いに同じ密度を有していてもよいし、異なっていてもよい。異なる場合、音の透過側に位置する第二の繊維層は、第一繊維層よりも高い密度であることが好ましい。2層の多孔質層を含む場合、第一の多孔質層と第二の多孔質層の密度は互いに同じであってもよいし、異なってもよい。異なる場合、音の透過側に位置する第二の多孔質層は、第一の多孔質層よりも高い密度であることが好ましい。
積層吸音材の各層の間(繊維層と多孔質層の間)は、通気性を阻害しない溶融部分接着、接着剤による部分接着、縫合、ステープラー、クリップ、外枠による固定、枠組みによる固定、エッジ部分の溶着、及びエッジ部分の両面テープによる貼り合わせからなる群から選ばれる少なくとも1種により固定される通気性を阻害しない溶融部分接着は、例えば、繊維層の形成工程において、又は後工程として加熱を行い、繊維層を構成する繊維の一部を融解し、繊維層を多孔質層に融着させることによって繊維層と多孔質層とを接着することができる。具体的には、加熱したフラットロールやエンボスロールによる熱圧着、循環熱風もしくは輻射熱による熱接着等を採用することができる。フラットロールやエンボスロールによる熱圧着の場合、繊維層が溶融してフィルム化したり、エンボス点周辺部分に破れが発生したりする等のダメージを受ける恐れがあることから、循環熱風もしくは輻射熱による熱処理が好ましい。環熱風もしくは輻射熱による熱処理で一体化した場合には、繊維層へのダメージが少なく、かつ十分な層間剥離強度で一体化できる。接着剤による部分接着としては、例えば、多孔質層及び/または繊維層の表面にホットメルト剤や化学接着剤を部分的に付与し、重層することによって、層間を接着することができる。ホットメルト剤や化学接着剤による接着の場合には、該成分によって繊維層の繊維間空隙が埋められ、性能低下を生じてしまうことがあるため、ホットメルト材を霧状に噴霧し、多孔質層/繊維層を点接着することにより積層吸音材の通気度を確保することが好ましい。
積層吸音材の厚みは、本発明の効果が得られる限り特に制限されないが、例えば、3〜50mmとすることができ、3〜40mmとすることが好ましく、省スペース性の観点から3〜30mmとすることがより好ましい。なお、積層吸音材の厚みとは、典型的には繊維層及び多孔質層の厚みの合計のことを意味し、カートリッジや蓋等の外装体が取り付けられている場合、その部分の厚みは含まないものとする。
積層吸音材の通気度は、30〜220cc/cm・sであり、好ましくは、45〜220cc/cm・sである。通気度が30cc/cm・s以上であれば、吸音材の表面で音が反射することによる吸音率の低下がなく、また、通気度が220cc/cm・s以下であれば、吸音材内部での迷路度が低下し、吸音材内部での消失するエネルギーの低下がない。また、繊維層の密度が多孔質層の密度よりも高いこと、言い換えると、相対的に密度が低い層(多孔質層)が、密度の高い層(繊維層)よりも音の透過側に位置する、あるいは、繊維層に挟まれる構造となっていることが好ましい。従来、吸音性能とともに遮音性能を期待されていた吸音材では、密度が高いほど音が通過しにくく、すなわち遮音性に有効であると考えられていたが、本発明の積層吸音材は、高い通気性を有することによって音の反射を低減し、さらに吸音性に優れた多孔質層を採用することによって高い吸音性が得られる。通気度の調整は、例えば、繊維層を構成する繊維を細径とすることによって、密度が高く、通気性が低い繊維層を得ることができる。また、エンボス加工や熱加圧等の方法によっても、通気性を調整することができる。なお、通気度の測定は公知の方法によることができ、本発明においては、フラジール形法で測定する。
積層吸音材は、多孔質層が繊維層の下流側(音の透過側)に位置するか、もしくは、多孔質層が繊維層によって挟まれた積層構造となっている。多孔質層が繊維層に挟まれた形態であるとき、繊維層と繊維層との間の距離(多孔質層の厚み、層間距離とも称する)は、3〜40mmであることが好ましい。層間距離が3mm以上であれば、低周波数領域の吸音性能が良好となり、層間距離が40mm以下であれば、吸音材としての厚みが大きくなり過ぎることがなく、省スペース性に優れた吸音材が得られる。本発明の吸音材は、典型的には、薄い繊維層と繊維層の間に、厚みのある多孔質層を挟み込む構造を有することが好ましく、多孔質層の厚みが、積層吸音材の厚みの大部分を占めることが好ましい。
(各層の構成:繊維層)
本発明の積層吸音材に含まれる繊維層は、平均繊維径が30nm〜30μmである繊維からなる層である。好ましくは、平均繊維径が50nm〜30μmである繊維からなる層である。平均繊維径が30nm〜30μmであるとは、平均繊維径がこの数値範囲内であることを意味する。繊維径が30nm〜30μmの範囲であれば、高い吸音性が得られるため好ましい。繊維径の測定は、公知の方法によることができる。例えば、繊維層表面の拡大写真から測定ないし算出することによって得られる値であり、詳細な測定方法は実施例に詳述される。
本発明の積層吸音材に含まれる繊維層は、1層の繊維層が一つの繊維集合体からなっていてもよく、また、1層の繊維層中に複数の繊維集合体を含み、繊維集合体の層が重ね合わされたものが1層の繊維層を形成していてもよい。なお、本明細書において、繊維集合体とは、一つの連続体となった繊維集合体のことを意味している。繊維層の目付けは、0.01〜500g/mであることが好ましく、0.1〜200g/mであればより好ましい。目付けが0.1g/m以上であれば、繊維層と多孔質層との密度差による流れ抵抗の制御が良好となり、500g/m未満であれば、吸音材として生産性に優れる。吸音材としての厚みを低減する観点から繊維層の厚みは薄い方が好ましく、具体的には、2.9mm未満が好ましく、より好ましくは2.0mm未満、さらに好ましくは1.5mm未満、特に好ましくは1mm未満である。
繊維層の通気度は、30〜220cc/cm・sであり、40〜220cc/cm・sが好ましい。通気度が30cc/cm・s以上であれば音源から発生した音を吸音材料内部に導入できるため効率よく吸音でき、220cc/cm・s以下であれば、内部の多孔質層との音波の流れを調節できるため好ましいと考えられている。また、繊維層の平均流量細孔径は1.0〜100μmとすることができ、1.0〜60μmであればより好ましい。平均流量細孔径が1.0μmであれば反射波を抑え、音を吸音材内部に取り入れることができ、100μm以下であれば、密度により制御した繊維層と多孔質層において、吸音材内部に音波を閉じこめることにより、吸音材内部で効率よく消失させることができるため好ましいと考えられている。
繊維層を構成する繊維集合体は、好ましくは不織布であり、前記の範囲の繊維径及び目付を有している限り特に制限されないが、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、電界紡糸法によって形成される不織布等であることが好ましい。メルトブローン不織布によれば、細径の繊維を基材等の他の部材上に効率よく積層させることができる。メルトブローン不織布の詳細は製造方法に詳述する。
繊維層を構成する樹脂としては、発明の効果を得られる限り特に制限されないが、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン、ポリ乳酸、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル類、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン1,2等のナイロン(アミド樹脂)類、ポリフェニレンスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリスルフォン、液晶ポリマー類、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂が例示できる。ポリエチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等を挙げることができ、ポリプロピレン樹脂としては、プロピレンの単独重合体や、プロピレンと他の単量体、エチレンやブテン等が重合した共重合ポリプロピレン等を挙げることができる。繊維集合体は、前記の樹脂の1種を含むことが好ましく、2種類以上を含んでいてもよい。
また繊維層は、繊維の断面形状が扁平である扁平糸を用いたスパンボンド不織布であることも好ましい。具体的には、例えば、扁平糸として、繊度が0.01〜20dtexである、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の扁平糸を用いたスパンボンド不織布を作製して用いてもよいし、市販品を用いることもできる。市販品を用いる場合、例えば、エルタス FLAT、エルタス エンボス(商品名、旭化成社製)を好ましく用いることができる。扁平糸を用いたスパンボンド不織布は、低目付けで厚みが薄く高密度であるため、本発明の積層吸音材に好ましく用いることができると考えられている。
また、前記の繊維には、樹脂以外の各種の添加剤を含んでもよい。樹脂に添加されうる添加剤としては、例えば、充填剤、安定化剤、可塑剤、粘着剤、接着促進剤(例えば、シラン及びチタン酸塩)、シリカ、ガラス、粘土、タルク、顔料、着色剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、抗菌剤、界面活性剤、難燃剤、及びフッ化ポリマーが挙げられる。前記添加物のうち1つ以上を用いて、得られる繊維及び層の重量及び/又はコストを軽減してもよく、粘度を調整してもよく、又は繊維の熱的特性を変性してもよく、あるいは電気特性、光学特性、密度に関する特性、液体バリアもしくは粘着性に関する特性を包含する、添加物の特性に由来する様々な物理特性活性を付与してもよい。
(各層の構成:多孔質層)
本発明の積層吸音材における多孔質層は、吸音性を有するとともに、繊維層を支持して吸音材全体の形状を保持する機能を有している。多孔質層は、1層の多孔質層からなってもよく、又は、複数の多孔質層が重ねられてなる形態であってもよい。多孔質層は、フラジール形法による密度が繊維層よりも低く、発泡樹脂、不織布及び織布からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる層であって、厚みが3〜40mm、密度が3〜50kg/mであることを特徴とする。
多孔質層を構成する部材が不織布又は織布である場合、当該不織布又は織布は、ポリエチレンフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維及びガラス繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維、又は、2種以上が複合化された複合繊維からなることが好ましい。
多孔質層を構成する部材が発泡樹脂である場合、特に、ウレタン発泡樹脂又はメラミン発泡樹脂からなる層であることが好ましい。積層吸音材に含まれる部材は1種であってもよく、2種以上の部材を含むことも好ましい。これらは、通気性を有していることが特に好ましいことから、通気性が低い場合には、開孔を有することが好ましい。発泡樹脂は、連続気泡(連通孔)を有する発泡樹脂であることが好ましい。
前記の発泡樹脂を構成する樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、メラミン系樹脂が例示できる。ポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、若しくは4−メチルペンテン−1等の単独重合体、及びこれらと他のα−オレフィン、即ち、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1あるいは4−メチルペンテン−1等のうちの1種以上とのランダム若しくはブロック共重合体あるいはこれらを組み合わせた共重合体、又はこれらの混合物を挙げることができる。
本発明の積層吸音材では、多孔質層は、繊維層の下流側(音の透過側)に位置するか、もしくは、繊維層と繊維層との間に位置する。また、繊維層と繊維層との間に位置するのに加えて、積層吸音材の最外面に位置する層として含まれてもよい。部材は、1層のみで多孔質層を構成してもよく、2層以上が連続して配置されて1層の多孔質層を構成していることも好ましい。部材を2層以上連続して配置することで、多孔質層の厚みによって層の層間距離を制御できるという利点がある。
多孔質層の密度は、3〜150kg/mであり、6〜120kg/mであることが好ましい。発泡樹脂層としては、連続気泡(連通孔)を有する発泡樹脂層が好ましく、例えばウレタン発泡樹脂、アクリル系発泡樹脂、メラミン発泡樹脂を挙げることができる。密度が3kg/m以上であれば、成型性がよく一般的に市販されているため入手しやすい点で好ましく、150kg/m以下であれば吸音材料として軽量となり、設置の際等に作業性が高いため好ましい。
本発明において、多孔質層は3mm以上の厚みを有することが好ましい。多孔質層の厚みの上限は特に制限されるものではないが、省スペース性の観点からは、3〜60mmであり、3〜40mmであることが好ましい。多孔質層が複数の部材から構成される場合、多孔質層を構成する部材1層あたりの厚みは、例えば、20μm〜60mmとすることができ、3〜60mmとすることが好ましい。部材の厚みが20μm以上であれば、皺の発生がなく取り扱いが容易で、生産性が良好であり、部材の厚みが60mm以下であれば、省スペース性を妨げる恐れがない。
多孔質層は、繊維層よりも密度が低く、厚みのある層であり、この構造によって音の反射を低減し、吸音性に寄与するものと考えられている。多孔質層の通気度は、例えば10cc/cm・s以上とすることができる。
多孔質層には、本発明の効果を妨げない範囲内で、各種の添加剤、例えば、着色剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、滑剤、抗菌剤、難燃剤、可塑剤、及び他の熱可塑性樹脂が添加されていてもよい。また、表面が各種の仕上げ剤で処理されていてもよく、これによって撥水性、制電性、表面平滑性、耐摩耗性等の機能が付与されていてもよい。
本発明の積層吸音材の通気度は、積層吸音材として積層吸音材の表面で反射を抑え、ノイズ音源を吸音材内部に取り込むため、1〜220cc/cm・sであることが好ましい。
(積層吸音材の吸音特性)
本発明の積層吸音材は、特に低周波数領域(500〜1000Hz以下の周波数領域)、中周波数領域(1600〜2500Hzの周波数領域)、好ましくはさらに高周波数領域(5000〜10000Hzの周波数領域)における吸音性が優れることを特徴としている。本発明の積層吸音材は、特に500〜1000Hz領域の吸音性に優れるという、従来の吸音材と異なる吸音特性を示すものである。特定の理論に拘束されるものではないが、本発明の積層吸音材は、繊維層と多孔質層の密度差を利用し音波の流れ抵抗を制御し、音波の透過と反射、及び干渉を利用する結果、厚みが薄く、かつ、低周波数領域及び中周波数領域及び高周波数領域の吸収性に優れるという性能が得られるものと考えられている。
吸音性の評価方法は、実施例に詳述される。
本発明の積層吸音材は、500〜1000Hzの周波数におけるランダム入射吸音率測定法による吸音率が、当該積層吸音材に含まれる多孔質層のみである場合の吸音率と比較して、0.03以上向上することが好ましい。また、本発明の積層吸音材は、1600〜2500Hzの周波数におけるランダム入射吸音率測定法による吸音率が、当該積層吸音材に含まれる多孔質層のみである場合の吸音率と比較して、0.03以上向上することが好ましい。さらに、本発明の積層吸音材は、5000〜10000Hzの周波数におけるランダム入射吸音率測定法による吸音率が、当該積層吸音材に含まれる多孔質層のみである場合の吸音率と比較して、0.03以上向上することが好ましい。
(積層吸音材の製造方法)
積層吸音材の製造方法は特に制限されないが、例えば、1層の多孔質層上に1層の繊維集合体を形成する繊維層を作成する工程、及び、複数の繊維層を所定の順番及び枚数で重ね合わせて一体化する工程、を含む製造方法によって得ることができる。なお、繊維層を重ね合わせる工程において、繊維層以外のさらなる層(例えばさらなる保護層)をさらに加えて積層することもできる。
多孔質層として用いる発泡樹脂、不織布及び/又は織布は、公知の方法で製造して用いてもよいし、市販品を選択して用いることもできる。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、以下の実施例は例示を目的としたものに過ぎない。本発明の範囲は、本実施例に限定されない。
実施例で用いた物性値の測定方法及び定義を以下に示す。
<平均繊維径>
株式会社日立ハイテクノロジーズ製の走査型電子顕微鏡SU8020を使用して、繊維を観察し、画像解析ソフトを用いて繊維50本の直径を測定した。繊維50本の繊維径の平均値を平均繊維径とした。
<吸音率測定1>
各繊維層と多孔質層より直径15mmのサンプルを採取し、各条件での積層をした後、吸音率測定装置「日本音響エンジニアリング社製WinZacMTX」を用いASTM E 1050に準拠し、周波数400〜10000Hzにおける試験片(試料)の表面に音波が全ての方向から等確率で入射するランダム入射吸音率を測定した。
<低周波数領域の吸音性>
得られたサンプルの吸音3分の1オクターブバンドで吸音率の測定を実施し、繊維層のないサンプルと比較評価することにより、改善幅を評価した。各サンプルのランダム入射吸音率を1/3オクターブバンドで測定し、差を算出することに評価を行った。500〜1000Hzの周波数領域の吸音性能の改善幅を示し、数値が高ければ、吸音性の改善幅が高いと判断される。すべての測定点(具体的には、500Hz、630Hz、800Hz、1000Hz)において値が0.03以上の場合、低周波数領域の吸音性の改善が良好(○)と評価し、0.03未満の測定点がある場合、吸音性の改善を不良(×)と評価した。
<中周波数領域の吸音性>
低周波数領域で評価した周波数域を1600〜2500Hzとし、改善幅の算出を、1600Hz、2000Hz、2500Hzで行うこと以外は、低周波数領域の吸音性と同様に評価した。
<高周波数領域の吸音性>
低周波数領域で評価した周波数域を5000〜10000Hzとし、改善幅の算出を、5000Hz、6300Hz、8000Hz、10000Hzで行うこと以外は、低周波数領域の吸音性と同様に評価した。
<通気度>
通気度測定は、株式会社東洋精機製作所製 織布通気度試験機(フラジール形法)にてJIS L1913に準拠し測定した。
<厚み>
通気度測定は、株式会社東洋精機製作所製DIGI THICKNESS TESTERにてJIS K6767に準拠し、35mmの3.5g/cm圧力で測定した。
<平均流量細孔径>
POROUS MATERIAL社製Capillary FlowPorometer(CFP−1200−A)を使用して、平均流量細孔径を測定(JIS K 3832:精密ろ過膜エレメント及びモジュールのバブルポイント試験方法)した。
<保護層の準備>
保護層として、市販のポリエチレンテレフタレート製カード法スルーエア不織布(目付け18g/m、厚み60μm)を準備した。
<繊維層の準備>
繊維層A
Arkema製のポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(以下、「PVDF」と略記する。)であるKynar(商品名)3120を、N,N−ジメチルアセトアミドとアセトンの共溶媒(60/40(w/w))に15質量%の濃度で溶解し、電界紡糸溶液を調製し、導電助剤として0.01質量%を添加した。保護層の上に前記PVDF−HFP溶液を電界紡糸して、保護層とPVDF−HFP極細繊維との2層からなる繊維積層体を作製した。電界紡糸の条件は、24Gニードルを使用し、単孔溶液供給量は3.0mL/h、印加電圧は35.5kV、紡糸距離は17.5cmとした。
繊維積層体におけるPVDF極細繊維については、その層の目付けは0.4g/mであり、平均繊維径は80nmであり、融解温度は168℃であった。これを繊維層Aとした。平均流量細孔径を評価したところ2.5μm、フラジール形法による通気度は32cc/cm・sであった。
[多孔質層の準備]
多孔質層α、β、γ(ウレタン発泡フォーム)
市販されているウレタン発泡樹脂材料として、イノアック社製カームフレックス F−2(密度25kg/m)、厚み10mmを多孔質層α、厚み20mmを多孔質層β、厚み5mmを多孔質層γとした。フラジール形法による通気度はそれぞれ、多孔質層αが90cc/cm・s、多孔質層βが70cc/cm・s、多孔質層γが35cc/cm・sであった。
[多孔質層D、E、F](ニードルフェルト)
市販のフェルト材料である、日東サプライ社製ニードルフェルト(密度80kg/m、厚み10mm)を多孔質層Dとした。多孔質層Dを2枚重ね合わせ厚み20mm、としたものを多孔質層Eとした。多孔質層αを3枚重ね合わせ厚み30mm、としたものを多孔質層Fとした。
フラジール形法による通気度はそれぞれ、多孔質層Dが42cc/cm・s、多孔質層Eが22cc/cm・s、多孔質層Fが19.5cc/cm・sであった。
[実施例1]
多孔質層DにReka Hot Melt Glue Gun(TR80LCD)にて、設定温度160℃スプレーエア圧3.5barにて、モレスコ社製合成ゴム系接着剤TN−530Zを2g/mで塗布し接着層Bを形成した。繊維層A/接着層B/多孔質層αとなるように接着し、15mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。低周波数領域、中周波数領域及び高周波数領域吸音率を測定した。繊維層Aおよび接着層Bの存在しないサンプル(参考例1)を対照として、その吸音率との差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、低周波数領域で0.050以上、中周波数領域で0.182以上となり良好であった。更に高周波数領域での吸音率について、同様にその吸音率との差分をとり、改善幅を算出したところ、0.033以上となり、良好であった。
[実施例2]
実施例1と同様に接着層Bを多孔質層Eに形成し、第一繊維層に繊維層A、多孔質層Eを使用し、繊維層A/接着層B/多孔質層Eとなるように接着し、15mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。低周波数領域、中周波数領域及び高周波数領域の吸音率を測定した。繊維層Aおよび接着層Bの存在しないサンプル(参考例2)を対照として、その吸音率との差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、低周波数領域で0.143以上、中周波数領域で0.101以上、高周波数領域で0.030以上となり良好であった。
[実施例3]
実施例1と同様に接着層Bを多孔質層Fに形成し、第一繊維層に繊維層A、多孔質層Eを使用し、繊維層A/接着層B/多孔質層Fとなるように接着し、15mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。低周波数領域、中周波数領域及び高周波数領域の吸音率を測定した。繊維層Aおよび接着層Bの存在しないサンプル(参考例3)を対照として、その吸音率との差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、低周波数領域で0.124以上、中周波数領域で0.030以上、高周波数領域で0.030以上となり良好であった。
[実施例4]
実施例1と同様に接着層Bを多孔質層αに形成し、第一繊維層に繊維層A、多孔質層αを使用し、繊維層A/接着層B/多孔質層αとなるように接着し、15mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。低周波数領域、中周波数領域及び高周波数領域の吸音率を測定した。繊維層Aおよび接着層Bの存在しないサンプル(参考例4)を対照として、その吸音率との差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、低周波数領域で0.051以上、中周波数領域で0.407以上、高周波数領域で0.034以上となり良好であった。
[実施例5]
実施例1と同様に接着層Bを多孔質層βに形成し、第一繊維層に繊維層A、多孔質層βを使用し、繊維層A/接着層B/多孔質層βとなるように接着し、15mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。低周波数領域、中周波数領域及び高周波数領域の吸音率を測定した。繊維層Aおよび接着層Bの存在しないサンプル(参考例5)を対照として、その吸音率との差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、低周波数領域で0.152以上、中周波数領域で0.252以上、高周波数領域で0.030以上となり良好であった。
[実施例6]
実施例1と同様に接着層Bを多孔質層γに形成し、第一繊維層に繊維層A、多孔質層γを使用し、繊維層A/接着層B/多孔質層γとなるように接着し、15mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。低周波数領域、中周波数領域及び高周波数領域の吸音率を測定した。繊維層Aおよび接着層Bの存在しないサンプル(参考例6)を対照として、その吸音率との差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、低周波数領域で0.219以上、中周波数領域で0.033以上、高周波数領域で0.031以上となり良好であった。
[比較例1]
多孔質層DにReka Hot Melt Glue Gun(TR80LCD)にて、設定温度160℃スプレーエア圧3.5barにて、モレスコ社製合成ゴム系接着剤TN−530Zを20g/mで塗布し接着剤層Cを形成した。繊維層A/接着層C/多孔質層Dとなるように接着し、15mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。低周波数領域、中周波数領域及び高周波数領域吸音率を測定した。繊維層Aおよび接着層Cの存在しないサンプル(参考例1)を対照として、その吸音率との差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、低周波数領域で0.144以上であり、中周波数領域で0.340以上となり良好であった。更に高周波数領域での吸音率について、同様にその吸音率との差分をとり、改善幅を算出したところ、改善効果がえられず、不良であった。これは、積層吸音材料として通気度が低くなったため、接着層で音波が反射され、吸音効果が得られなかったと考えられる。
[比較例2]
比較例1と同様に接着層Cを多孔質層Fに形成し、第一繊維層に繊維層A、多孔質層Fを使用し、繊維層A/接着層C/多孔質層Fとなるように接着し、15mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。低周波数領域、中周波数領域及び高周波数領域の吸音率を測定した。繊維層Aおよび接着層Cの存在しないサンプル(参考例3)を対照として、その吸音率との差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、低周波数領域で0.212以上であり、中周波数領域、高周波数領域で改善効果が得られず、不良であった。
[比較例3]
比較例1と同様に接着層Cを多孔質層αに形成し、第一繊維層に繊維層A、多孔質層αを使用し、繊維層A/接着層C/多孔質層αとなるように接着し、15mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。低周波数領域、中周波数領域及び高周波数領域の吸音率を測定した。繊維層Aおよび接着層Cの存在しないサンプル(参考例4)を対照として、その吸音率との差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、低周波数領域で0.107以上、中周波数領域で0.514以上であり、高周波数領域で改善効果が得られず、不良であった。
[比較例4]
比較例1と同様に接着層Cを多孔質層γに形成し、第一繊維層に繊維層A、多孔質層αを使用し、繊維層A/接着層C/多孔質層γとなるように接着し、15mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。低周波数領域、中周波数領域及び高周波数領域の吸音率を測定した。繊維層Aおよび接着層Cの存在しないサンプル(参考例6)を対照として、その吸音率との差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、低周波数領域で0.221以上であり、中周波数領域、高周波数領域では改善効果が得られず、不良であった。
[比較例5]
多孔質層Dにニチバン製両面テープ(品番NW−50)を貼り付け、接着層を形成した。第一繊維層に繊維層A、多孔質層Dを使用し、繊維層A/NW−50/多孔質層Dとなるように接着し、15mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。低周波数領域、中周波数領域及び高周波数領域の吸音率を測定した。繊維層AおよびNW−50の存在しないサンプル(参考例1)を対照として、その吸音率との差分をとり、改善幅を算出した。改善幅は、低周波数領域で0.263以上、中周波数領域で0.137であるものの、高周波数領域で改善効果が得られず、不良であった。
表1に、実施例1〜6の層構成および物性を、表2に、比較例1〜5の層構成および物性を、表3に、参考例1〜6の層構成および物性をまとめた。
また、表4に、実施例1〜6のランダム入射吸音率を、表5に、比較例1〜5のランダム入射吸音率を、表6に、参考例1〜6のランダム入射吸音率をまとめた。
また、表7に、実施例1〜6のランダム入射吸音率の改善幅を、表8に、比較例1〜5のランダム入射吸音率の改善幅をまとめた。
Figure 2021160131
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本発明の積層吸音材は、低周波数領域から高周波数領域までの広範囲での吸音性に特に優れるため、低周波数領域から高周波数領域の騒音が問題になる分野における吸音材として利用されうる。具体的には住宅の天井、壁、床等に用いられる吸音材、高速道路や鉄道路線等の防音壁、家電製品の防音材、鉄道や自動車等の車両の各部に配置される吸音材等として用いられうる。

Claims (5)

  1. 少なくとも繊維層と、多孔質層とを含む積層吸音材であって、
    前記繊維層は、平均流量細孔径が1.0〜60μm、フラジール形法による通気度が30〜220cc/cm・sであり、
    前記多孔質層は、発泡樹脂、不織布及び織布からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる層であって、厚みが3〜60mm、密度が繊維層よりも低く、かつ3〜150kg/mであり、
    前記繊維層が音の入射側となるように配置され、
    前記繊維層と前記多孔質層とが、通気性を阻害しないように溶融部分接着、接着剤による部分接着、縫合、ステープラー、クリップ、外枠による固定、枠組みによる固定、エッジ部分の溶着、及びエッジ部分の両面テープによる貼り合わせからなる群から選ばれる少なくとも1種により固定されていて、
    フラジール形法による前記積層吸音材の通気度が30〜220cc/cm・sである、積層吸音材。
  2. 前記多孔質層が、ポリエチレンフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、及びガラス繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維、又は、2種以上が複合化された複合繊維からなる不織布又は織布からなる層であり、
    前記繊維層が、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン6,6、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリスルフォン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、及びポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維を含む、請求項1に記載の積層吸音材。
  3. 請求項1または2に記載の積層吸音材であって、ランダム入射吸音率測定法による500〜1000Hzの周波数における吸音率が、当該積層吸音材に含まれる多孔質層のみである場合の吸音率と比較して、改善幅が0.03以上である、積層吸音材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層吸音材であって、ランダム入射吸音率測定法による1600〜2500Hzの周波数における吸音率が、当該積層吸音材に含まれる多孔質層のみである場合の吸音率と比較して、改善幅が0.03以上である、積層吸音材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層吸音材であって、ランダム入射吸音率測定法による5000〜10000Hzの周波数における吸音率が、当該積層吸音材に含まれる多孔質層のみである場合の吸音率と比較して、改善幅が0.03以上である、積層吸音材。
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