JP2008299073A - 吸音材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フィルム、好ましくは目付が7〜180g/m2のフィルムとメルトブローン不織布、好ましくは目付が30〜500g/m2、好ましくは密度が0.010〜0.04g/cm3の範囲のメルトブローン不織布が接着剤により接合されてなる、吸音材の総重量(総目付)当たりの吸音率積分値が1.5を超えるという、軽量、且つ低周波数領域の吸音性に優れることを特徴とする吸音材を提供するものである。
【選択図】 図1
Description
特に、自動車等の輸送手段は、より軽量で且つ吸音性能に優れる吸音材が求められることから、吸音材に他の層を積層して用いること、例えば、メルトブローン不織布とニードルパンチ不織布を積層した積層体を音源側にメルトブローン不織布を設置する方法(特許文献1参照)、非通気性の樹脂発泡体又は樹脂フィルムからなる共振層と熱可塑性フェルトからなる吸音層を積層してなる防音材(特許文献2参照)、あるいは通気性の樹脂発泡体又は樹脂フィルムからなる共振層と熱可塑性フェルトからなる吸音層を積層してなる防音材(特許文献3参照)等、種々の方法が提案されている。
本発明の吸音材を構成するフィルムは、熱可塑性樹脂からなるフィルムであり、好ましくは目付が7〜180g/m2、より好ましくは10〜140g/m2の範囲にある。目付が上記範囲にあるフィルムは、メルトブローン不織布と接合して吸音材とした場合に、軽量で且つ十分な吸音性能を有する。
本発明に係るフィルムは、好ましくは、厚さが10〜200μm、より好ましくは15〜150μmの範囲にある。厚さが上記範囲にあるフィルムは、メルトブローン不織布と接合して吸音材とした場合に、軽量で且つ十分な吸音性能を有する。
本発明に係るフィルムは、非通気性のフィルムであっても、通気性を有する、即ち、微孔を有するフィルムであってもよい。
本発明に係るフィルムは、後述の接着剤との接合力を改良するために、その表面を、例えば、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、アンダーコート処理等で表面活性化処理を行っておいてもよい。
本発明に係るフィルムは、種々公知のフィルム成形方法により製造し得る。本発明に係るフィルムは、一方向あるいは二方向に延伸されていてもよい。また、通気性を有するフィルムは、例えば、無機あるいは有機の充填材を添加した熱可塑性樹脂組成物を用いて得られるフィルムを延伸することにより得られる。
本発明の吸音材を構成するメルトブローン不織布は、熱可塑性樹脂を用いて公知のメルトブローン不織布の製造方法で得られる、通常、繊維径が0.5〜10μmの範囲にあるスパンボンド不織布に比べて細い繊維径を有する不織布である。
本発明に係るメルトブローン不織布は、好ましくは、目付が30〜500g/m2、より好ましくは50〜350g/m2、特に好ましくは60〜300g/m2の範囲にある。目付が上記範囲にあるメルトブローン不織布は、前記フィルムと接合して吸音材とした場合に、軽量で且つ十分な吸音性能を有する。
本発明に係るメルトブローン不織布は、好ましくは、厚さが2〜35mm、より好ましくは3.5〜25mmの範囲にある。厚さが上記範囲にあるメルトブローン不織布は、前記フィルムと接合して吸音材とした場合に、軽量で且つ十分な吸音性能を有する。
本発明に係るメルトブローン不織布は、好ましくは、密度が0.010〜0.04g/cm3、より好ましくは0.010〜0.03g/cm3の範囲にある。密度が上記範囲にあるメルトブローン不織布は、前記フィルムと接合して吸音材とした場合に、軽量で且つ十分な吸音性能を有する。
本発明に係るメルトブローン不織布の素材となる熱可塑性樹脂は、前記フィルムの素材と同じ、種々公知の熱可塑性樹脂を使用し得る。
本発明に係るメルトブローン不織布の素材となる熱可塑性樹脂としては、耐熱性、軽量性の面から、ポリオレフィン、特にプロピレン系重合体が好ましい。
本発明に係る接着剤は、前記フィルムとメルトブローン不織布を接合し得る接着剤である限り、種々公知の接着剤を使用し得る。
かかる接着剤としては、具体的には、アクリル系樹脂接着剤、オレフィン系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、エチレン・酢酸ビニル樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、塩化ビニル樹脂系接着剤、クロロプレンゴム系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、スチレン・ブタジエン系接着剤、ポリアミド樹脂系接着剤、シリコーン系接着剤等を例示できる。接着剤は、溶剤系、エマルジョン系あるいはホットメルト系のいずれの形態であってもよい。
本発明の吸音材は、前記フィルムと前記メルトブローン不織布を前記接着剤により接合されてなる積層体からなる。
本発明の吸音材の目付は、吸音材を用いる用途により適宜決め得るが、好ましくは40〜650g/m2、より好ましくは80〜350g/m2の範囲にある。目付が上記範囲にある吸音材は、軽量で且つ十分な吸音性能を有する。
本発明の吸音材の厚さは、吸音材を用いる用途により適宜決め得るが、好ましくは2〜35mm、より好ましくは3.5〜25mmの範囲にある。厚さが上記範囲にある吸音材は、軽量で且つ十分な吸音性能を有する。
本発明の吸音材は、後述の測定方法で測定した周波数が1000〜2000Hzの範囲の吸音率積分値が180以上、好ましくは200〜750と大きく、且つ、1000〜2000Hzの範囲の吸音率積分値/吸音材の総目付の値が1.5以上、好ましくは1.7以上、特に2.0〜2.7である。
本発明の吸音材における、フィルムとメルトブローン不織布との接着強度は、通常、0.001N/5cm以上あれば良い。
本発明の吸音材を用いる際には、音源、即ち、騒音が発生する側にフィルム面を設置して用いる必要がある。音源に対してフィルム面を設置することにより、音源から発生する音を吸音することが可能となる。
本発明の吸音材は、前記フィルムと前記メルトブローン不織布を、前記接着剤を用いて接合することにより製造し得る。
接着剤を用いて接合する方法は、種々公知の方法を採用し得る。具体的には、例えば、フィルムのメルトブローン不織布との接合面に、例えば、エアーナイフコーター、ダイレクトグラビアコーター、グラビアオフセット、アークグラビアコーター、グラビアリバースおよびジェットノズル方式等のグラビアコーター、トップフィードリバースコーター、ボトムフィードリバースコーターおよびノズルフィードリバースコーター等のリバースロールコーター、5本ロールコーター、リップコーター、バーコーター、バーリバースコーター、ダイコーター、ドットガン、コールドグルーガン等種々公知の塗工機を用いて、前記接着剤を塗布した後、メルトブローン不織布と接合する方法、フィルムのメルトブローン不織布との接合面に、ポリウレタン系樹脂等のアンカー剤等を用いて、別途成形して得られたメルトブローン不織布をラミネートする方法等を例示できるが、これらの方法に限定されるものではない。
実施例及び比較例における物性値等は、以下の方法により測定した。
<吸音率>
吸音材から29mmφの円形の試験片を採取し、垂直入射吸音率測定装置〔ブリュエル&ケアー社製TYPE4206〕を用い、ASTM E 1050に準拠し、周波数1000〜6400Hzにおける試験片のフィルム側から平面音波が垂直に入射するときの垂直入射吸音率を測定した。得られた1000〜6400Hzの吸音率カーブから、1000Hz及び2000Hzの吸音率を求めた。
<吸音率積分値>
得られた1000〜6400Hzの吸音率カーブから、1000〜2000Hzにおいて、吸音率(縦軸)と周波数(横軸)で囲まれる面積(長方形)を2Hzおきに算出し〔例えば、1000Hzにおける吸音率が0.01とした場合、1000〜1002Hzの面積は0.01×(1002−1000)〕、それを1000〜2000Hzの範囲内で繰り返して全面積の和を積算することで1000〜2000Hzにおける吸音率の積分値を算出した。
<総目付当たりの吸音率積分値>
前記方法で得た1000〜2000Hzにおける吸音率の積分値を吸音材(試験片)の総目付けで割り、1000〜2000Hzにおける吸音率積分値/総目付けを算出した。
吸音材から、幅5cm×長さ20cmの試験片を採取し、フィルムとメルトブローン不織布等の端部を剥がした後、定速伸張型引張試験機(株式会社東洋精機製作所製、ストログラフV1C)を用いて、引張速度200mm/分でフィルムとメルトブローン不織布とを剥離して、単位幅当たり(5cm)の接着強度を求めた。
不織布を(株)日立製作所製電子顕微鏡「S−3500N」を用いて、倍率1000倍の写真を撮影し、任意に繊維100本を選び、その繊維の幅(直径)を測定し、得られた測定結果の平均を平均繊維径とした。
〔ポリプロピレン製メルトブローン不織布〕
プロピレン単独重合体〔MFR400(ASTM D1238に準拠し温度230℃、荷重2.16kgで測定):900g/10分〕を用い、押出し口金径0.2mmφノズルを有するメルトブローン不織布製造装置を用い、300℃で押出し、ノズルの両側から吹き出す加熱エアー(300℃、350Nm3/m/時)で細化・固化することにより、その繊維径を平均約2.75μmのフィラメントにし、このフィラメントをノズルからの距離20cmで捕集して、目付:80g/m2、厚さ:6mm、平均繊維径:2.75μm及び密度:0.013g/cm3のポリプロピレン製メルトブローン不織布を作製した。
ついで、ポリプロピレン製メルトブローン不織布と無延伸ポリプロピレンフィルム〔東セロ(株) 品目 RXC−21 #70 目付:61g/m2、厚さ:0.07mm〕とをクロロプレン系接着剤(輸入元:高分子商事株式会社)を用いて接着剤塗布面積:0.5%で貼りあわせて吸音材を作製した。得られた吸音材を前記記載の方法で評価した。結果を表1に示す。
実施例1で用いた無延伸ポリプロピレンフィルムに替えて、無延伸ポリプロピレンフィルム〔東セロ(株) 品目 S #30 目付:26g/m2、厚さ:30μm〕、及び実施例1で用いたポリプロピレン製メルトブローン不織布に替えて、表1に示すポリプロピレン製メルトブローン不織布を用いる以外は実施例1と同様に行い吸音材を作製した。得られた吸音材を前記記載の方法で評価した。結果を表1に示す。
実施例2で用いたポリプロピレン製メルトブローン不織布に替えて、表1に示すポリプロピレン製メルトブローン不織布を用いる以外は実施例2と同様に行い吸音材を作製した。得られた吸音材を前記記載の方法で評価した。結果を表1に示す。
また、図1に吸音材の1000〜6400Hzの吸音率カーブを示す。
ポリプロピレン製メルトブローン不織布と無延伸ポリプロピレンフィルムとの接着を、クロロプレン系接着剤の塗布面積を80%とする以外は実施例3と同様に行い吸音材を作製した。得られた吸音材を前記記載の方法で評価した。結果を表1に示す。
また、図1に吸音材の1000〜6400Hzの吸音率カーブを示す。
実施例2で用いたポリプロピレン製メルトブローン不織布に替えて、表1に示すポリプロピレン製メルトブローン不織布を用いる以外は実施例2と同様に行い吸音材を作製した。得られた吸音材を前記記載の方法で評価した。結果を表1に示す。
また、図1に吸音材の1000〜6400Hzの吸音率カーブを示す。
実施例2で用いたポリプロピレン製メルトブローン不織布に替えて、表1に示すポリプロピレン製メルトブローン不織布を用いる以外は実施例2と同様に行い吸音材を作製した。得られた吸音材を前記記載の方法で評価した。結果を表1に示す。
実施例1で用いたポリプロピレン製メルトブローン不織布に替えて、表1に示すポリプロピレン製メルトブローン不織布を用いる以外は実施例1と同様に行い吸音材を作製した。得られた吸音材を前記記載の方法で評価した。結果を表1に示す。
実施例1で用いたポリプロピレン製メルトブローン不織布に替えて、表1に示すポリプロピレン製メルトブローン不織布を用いる以外は実施例1と同様に行い吸音材を作製した。得られた吸音材を前記記載の方法で評価した。結果を表1に示す。
実施例2で用いたポリプロピレン製メルトブローン不織布に替えて、表2に示すフェルト(ポリエステル製)を用いる以外は実施例2と同様に行い吸音材を作製した。得られた吸音材を前記記載の方法で評価した。結果を表2に示す。
また、図1に吸音材の1000〜6400Hzの吸音率カーブを示す。
表1に示すポリプロピレン製メルトブローン不織布と表2に示すポリプロピレン製スパンボンド不織布〔三井化学(株)製 商品名 タフネル PA−8082〕とを積層して吸音材を作製した。得られた吸音材を前記記載の方法で評価した。結果を表2に示す。
表2に示すポリプロピレン製メルトブローン不織布と表2に示すポリプロピレン製スパンボンド不織布〔三井化学(株)製 商品名 タフネル PA−8082〕とを積層して吸音材を作製した。得られた吸音材を前記記載の方法で評価した。結果を表2に示す。
表2に示すポリプロピレン製メルトブローン不織布を前記記載の方法で評価した。結果を表2に示す。
また、図1にポリプロピレン製メルトブローン不織布の1000〜6400Hzの吸音率カーブを示す。
ポリプロピレン製メルトブローン繊維とポリエステル短繊維との混合不織布〔住友スリーエム社製 商品名 シンサレート TAI−2047〕を前記記載の方法で評価した。結果を表2に示す。
表2に示すフェルト(ポリエステル製)を前記記載の方法で評価した。結果を表2に示す。
実施例2で用いた無延伸ポリプロピレンフィルムを前記記載の方法で評価した。結果を表2に示す。
また、図1に無延伸ポリプロピレンフィルムの1000〜6400Hzの吸音率カーブを示す。
特に、吸音率積分値を吸音材の総目付で割った値は、1.73〜2.63と高く、本発明の吸音材は比較的低周波数領域での吸音率に優ればかりでなく、特に、吸音材の総重量(総目付)当たりの吸音率積分値が1.5を超えるという、軽量、且つ低周波数領域の吸音性能に優れる特徴を有していることが分かる。
本発明の吸音材は、表1から明らかなように、フィルムの目付(厚さ)及びメルトブローン不織布の目付(厚さ)が増すとともに、より低周波領域の吸音率が増す。
また、表2に示すように、メルトブローン不織布とスパンボンド不織布を積層してなる吸音材(比較例2、3)は、1000Hzと2000Hzでの吸音率が0.08〜0.09及び0.18〜0.28並びに1000〜2000Hzにおける吸音率積分値が125〜171と本発明の吸音材に比べて、低周波領域での吸音性能に劣り、吸音材の総重量(総目付)当たりの吸音率積分値も0.31〜0.41と低い。
表2に、参考例2に市場で用いられている混合不織布及び参考例3にフェルトの吸音性を示すが、何れも本発明の吸音材に比べ、低周波領域での吸音性能が劣る。
図1から、本発明の吸音材は低周波領域の吸音性に優れることが分かる。また、メルトブローン不織布(参考例1)とフィルム(参考例4)を接着剤により接合することにより、低周波領域での吸音性能に優れる吸音材が得られることが分かる。
Claims (5)
- フィルムとメルトブローン不織布が接着剤により接合されてなることを特徴とする吸音材。
- フィルムが、目付7〜180g/m2の範囲にあるフィルムである請求項1記載の吸音材。
- メルトブローン不織布が、目付30〜500g/m2の範囲にあるメルトブローン不織布である請求項1記載の吸音材。
- メルトブローン不織布が、密度0.010〜0.04g/cm3の範囲にあるメルトブローン不織布である請求項1記載の吸音材。
- フィルムが音源側にある請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸音材。
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- 2007-05-31 JP JP2007145000A patent/JP2008299073A/ja active Pending
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