JP2021040469A - 電子式過負荷リレー及び電磁開閉器 - Google Patents

電子式過負荷リレー及び電磁開閉器 Download PDF

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智史 山崎
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悟志 町田
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Abstract

【課題】小型化を図りながら交流と直流の双方に対応可能な電子式過負荷リレーを得ること。【解決手段】電子式過負荷リレーは、電磁接触器と負荷との間、又は配線用遮断器と電磁接触器との間に設けられ導電性の金属材で構成されるバスバーと、前記バスバーの一端から他端に至るまでの途中に配置され前記バスバーに流れる電流の値を検出するためのシャント抵抗である抵抗部と、を備える。この構成により、交流及び直流の双方の電流検出が可能であり、かつ、広い電流範囲に対応可能な電子式過負荷リレーが得られる。【選択図】図2

Description

本発明は、過負荷保護等の目的で使用される電子式過負荷リレー及び電子式過負荷リレーを備えた電磁開閉器に関するものである。
電子式過負荷リレーは、モータ等の負荷に流れる電流を検出するためのCT(Current Transformer)を備える(例えば特許文献1)。この種の電子式過負荷リレーは、例えば、負荷に電流が流れると、CTで検出される電流が演算部に入力されて、入力された電流が演算部で異常電流判定値と比較される。そして、入力した電流の値が異常電流判定値を超えると、演算部は、過電流等の異常が発生したと判定して、トリップ信号を出力することで、電磁接触器の制御回路を操作し、接点を開路する。これにより、過電流が発生した場合でも負荷を焼損から守ること(保護すること)ができる。
特許第4738530号公報
しかしながら、従来の電子式過負荷リレーは、電流検出部にCTが用いられるため、電流検出部が物理的に大型化すると共に交流のみ対応している。従って、電子式過負荷リレーの小型化を図りながら交流と直流の双方に対応させる上での改善の余地がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、小型化を図りながら交流と直流の双方に対応可能な電子式過負荷リレーを得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明に係る電子式過負荷リレーは、電磁接触器と負荷との間、又は配線用遮断器と前記電磁接触器との間に設けられ導電性の金属材で構成されるバスバーと、前記バスバーの一端から他端に至るまでの途中に配置され前記バスバーに流れる電流の値を検出するためのシャント抵抗である抵抗部と、を備える。
本発明によれば、小型化を図りながら交流と直流の双方に対応できるという効果を奏する。
本発明の実施の形態に係る電子式過負荷リレーを備えた電磁開閉器の外観図 図1に示すシャント一体形バスバーの拡大図 電磁開閉器の回路構成図 図1に示す電磁開閉器の比較例の回路構成図 シャント一体形バスバーの第1変形例を示す図 シャント一体形バスバーの第2変形例を示す図 シャント一体形バスバーの第3変形例を示す図 シャント一体形バスバーの第4変形例を示す図 分電盤の内部構成例を示す図 電磁開閉器の変形例の外観図 コイル端子を有する電磁接触器の第1構成例を示す図 コイル端子を有する電磁接触器の第2構成例を示す図
以下に、本発明の実施の形態に係る電子式過負荷リレー及び電磁開閉器を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。なお、各形態において、平行、直角、水平、垂直、上下、左右などの方向には、本発明の効果を損なわない程度のずれが許容される。また、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は、それぞれ、X軸に平行な方向、Y軸に平行な方向、Z軸に平行な方向を表す。X軸方向とY軸方向とZ軸方向は、互いに直交する。XY平面、YZ平面、ZX平面は、それぞれ、X軸方向及びY軸方向に平行な仮想平面、Y軸方向及びZ軸方向に平行な仮想平面、Z軸方向及びX軸方向に平行な仮想平面を表す。図1以降において、X軸方向のうち、矢印で示す方向はプラスX軸方向とし、当該方向とは逆の方向はマイナスX軸方向とする。Y軸方向のうち、矢印で示す方向はプラスY軸方向とし、当該方向とは逆の方向はマイナスY軸方向とする。Z軸方向のうち、矢印で示す方向はプラスZ軸方向とし、当該方向とは逆の方向はマイナスZ軸方向とする。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。また、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
図1は本発明の実施の形態に係る電子式過負荷リレーを備えた電磁開閉器の外観図である。図1に示すように電磁開閉器100は、電源側に設けられる不図示の配線用回路遮断器との保護協調を図るために設けられる電磁接触器10と、電磁接触器10に直列接続される電子式過負荷リレー20とを備える。
電子式過負荷リレー20は、過負荷状態が継続することによる負荷の焼損などを防止する目的で設置される。負荷は、例えばモータなどであるが、交流電力又は直流電力で駆動するものであればよい。
電子式過負荷リレー20は、機械式接点を利用した一般的なサーマルリレー(熱動式過負荷リレー)と同様に、電磁接触器10と組み合わせて利用される。なお、一般的なサーマルリレーは、バイメタルとヒートエレメントが内蔵された過負荷リレーであり、熱によって動作するため「熱動式過負荷リレー」とも呼ばれている。黄銅とアンバーのように2枚の膨張率が違う金属を張り合わせたバイメタルを使用することで、温度の上昇によって黄銅が伸縮し、湾曲することを利用している。バイメタルに設けられるヒートエレメント(巻線)に過電流が流れてバイメタルが変形することで、サーマルリレーがトリップ動作し、電磁接触器10の接点が開路し、電源から負荷への電流供給が遮断される。このような機械式接点を利用したサーマルリレーに対して、本実施の形態に係る電子式過負荷リレー20は半導体スイッチ及びリレー、また有接点スイッチ及びリレーを利用した過負荷リレーである「電子式サーマルリレー」や、単に「過負荷リレー」と称されることもある。
電子式過負荷リレー20の最も標準的な保護すべき要素として、過負荷がある。過負荷の原因は、例えば、負荷が重くなった場合、短絡事故によって規定よりも過大な電流が流れた場合、など多岐に渡る。このような過負荷状態のまま負荷を運転し続けると、負荷が高温となり焼損事故となるため、直ちに回路(主回路)を遮断しなければならない。
一方、負荷が例えば三相モータの場合、運転開始時に発生する大きな始動電流を考慮しなければならない。特にトップランナー基準適合モータ(IE3モータ)は、従来のIE1モータ、IE2モータに比べて大きな始動電流が数秒間に渡って流れるため、この始動電流でモータが損傷することはないにも拘わらず、過負荷要素が働いてしまうと、モータの運転を開始できない。
これに対応するため、電子式過負荷リレー20の動作時間は、この始動電流の発生時間まで動作しないように設定される。動作時間の設定は、始動時の保護と同様に一定時間は過負荷を許容する設定と、始動時以外は瞬時に遮断する設定があるが、対象とする負荷に応じて選択することが望まれる。
なお、電子式過負荷リレー20は、一般的な過負荷リレーと同様の機能、例えば、負荷に過電流が流れると内部接点機構がトリップ動作を行うトリップ機能、トリップ動作後に手動で定常状態に復帰する手動復帰(手動リセット)機能、所定時間を経ると自動で定常状態に復帰する自動復帰(自動リセット)機能などを備える。また電子式過負荷リレー20は、自動リセットと手動リセットとの切替えが可能である。これらの機能は、本発明の本質的部分ではないため、詳細な説明は省略する。
次に本実施の形態の特徴部分であるシャント一体形バスバー30の構造について図2を参照して説明する。
図2は図1に示すシャント一体形バスバーの拡大図である。図2には、図1に示す3つのシャント一体形バスバー30の内、1つのシャント一体形バスバー30が示されるが、残りの2つのシャント一体形バスバー30は、図2に示すシャント一体形バスバー30と同様に構成されている。
シャント一体形バスバー30は、シャント抵抗である抵抗部40がバスバー基材300と一体化された導電性部材である。
バスバー基材300は、Cu、Cu−Zn系などの高導電性の金属材料で構成される大容量の電流を導電するための板状の導電性部材である。
バスバー基材300には、例えば、2つの挿入孔30a、30bと抵抗部40とが形成される。挿入孔30a、30bは、ネジが挿入されるZ軸方向に貫通する穴である。当該ネジは、シャント一体形バスバー30を電子式過負荷リレー20に固定するための締結部材である。
挿入孔30aは、バスバー基材300のプラスX軸方向の第1端部31寄りの部分に形成される。挿入孔30bは、バスバー基材300のマイナスX軸方向の第2端部32寄りの部分に形成される。
抵抗部40は、Cu−Mn−Ni系、Cu−Ni系、Ni−Cr系等の抵抗材料で構成される抵抗器である。本実施の形態では、抵抗部40の材料の一例としてマンガニン(Manganin:登録商標)が利用される。マンガニンは、例えば、銅(86%)、マンガン(12%)、ニッケル(2%)からなる抵抗材料であり、非磁性で比抵抗力が高く、バスバー基材300を構成するCu等の金属材料に比べて、抵抗の温度係数が小さい。
抵抗部40は、例えば、バスバー基材300のX軸方向における中心部に設けられる。バスバー基材300の中心部は、バスバー基材300全体の内、バスバー基材300をX軸方向に対して2等分する位置の領域に等しい。なお、抵抗部40の位置は、バスバー基材300の中心部に限定されず、当該中心部よりも挿入孔30a寄りの領域、又は、当該中心部よりも挿入孔30b寄りの領域でもよい。
抵抗部40には、抵抗部40を跨ぐように、2つの導電性のワイヤ51、52が電気的に接続される。ワイヤ51、52のそれぞれの一端は、例えば、抵抗部40のプラスX軸方向側とマイナスX軸方向側の両端部付近に接続される。両端部は、例えば、抵抗部40とバスバー基材300との接合部を示す、あるいは、バスバー基材300全体の内、抵抗部40の近傍部分を示す。ワイヤ51、52のそれぞれの他端は、プリント基板50に設けられる検出部に接続される。検出部の詳細については後述する。
なお、抵抗部40は、電流を検出可能な程度の低い抵抗値の抵抗器であるため、電流検出の精度、安定度などに影響を及ぼさないように考慮が必要である。例えば、抵抗部40から離れた位置、例えば挿入孔30a、30b付近にワイヤ51、52が接続されると、バスバー基材300が有する抵抗分による電圧降下も検出されるため、大きな電流検出誤差を生じ得る。また、バスバー基材300の抵抗温度係数が大きい場合、僅かな温度変化でバスバー基材300の抵抗値が変化するため、バスバー基材300の抵抗値の変化分による電流検出誤差も生じ得る。そのため、ワイヤ51、52は、抵抗部40とバスバー基材300との接合部に接続され、又はバスバー基材300全体の内、抵抗部40の近傍部分に接続されることが望ましい。なお、本実施の形態では抵抗部40にワイヤ51、52が電気的に接続されているが、抵抗部40に検出部を電気的に接続できる手段であればこれに限定されず、例えば導電性のピン、銅バー、半田付け、コネクタなどを用いてよい。
次に、シャント一体形バスバー30の製造方法の一例について説明する。シャント一体形バスバー30を製造するには、例えばマンガニンを含む板状の抵抗合金の両側に、銅で構成される板状の導電性部材を付き合わせて溶接することで、接合面が形成される。溶接された板状の複合部材を、短冊状に整形加工することで、図2に示す縦長のシャント一体形バスバー30が得られる。
なお、シャント一体形バスバー30の製造方法はこれに限定されず、例えば抵抗率が低い銅、アルミニウムなどで構成されるベース基板に、泊状の抵抗合金を抵抗材料としてエッチングすることでもよい。また、例えば銅とニッケルの合金の如き微小な電気抵抗を有する材料から構成されたチップ状の抵抗体と、当該抵抗体よりも低い抵抗率の銅合金の如き材料から構成されるバスバー基材300とを接続して、その境界部と圧着して接合することでシャント一体形バスバー30を製造してもよい。
次に本発明の実施の形態に係る電磁開閉器100の動作を、図3を利用して説明する。
図3は電磁開閉器の回路構成図である。図3には、電子式過負荷リレーを備えた電磁開閉器100の概略構成が示される。
電磁開閉器100を構成する電磁接触器10及び電子式過負荷リレー20は、電源200及び負荷400の間の電路(R、S、Tの3相)に直列に接続されている。
電磁接触器10は、例えば、筐体と、筐体の内部に設けられる固定鉄心と、固定鉄心に対向して配置された可動鉄心と、固定鉄心の主脚の外周に配置されたコイルとを備える。コイルを励磁して可動鉄心が固定鉄心に吸引されると、可動接点及び固定接触子の固定接点の閉極動作が行なわれる。
電子式過負荷リレー20は、抵抗部40、プリント基板50などを備える。
プリント基板50は、例えば検出部1、演算部4、電源部2、動作電流調整部3、電磁石部5、a接点6及びb接点7などを備える。なお、プリント基板50の構成要素は一例であり、本実施の形態に係る電子式過負荷リレー20の構成はこれに限定されるものではない。
検出部1は、ワイヤ51、52を介して、抵抗部40の両端電圧(抵抗部40に流れる電流の値に応じた電位差)を検出する。演算部4は、検出部1で検出した電位差に基づき、過電流が発生したと判定すると、電源部2にトリップ信号4aを入力する。
電源部2は、例えば、抵抗部40に流れる電流を入力することで電荷を蓄えるトリップ用コンデンサを有し、トリップ信号4aを入力したとき、トリップ用コンデンサに蓄えられた電荷を放電する。これにより、電磁石部5を駆動して接点機構をトリップ動作させる。
トリップ動作によって、例えば常開接点(a接点6)を駆動することで、トリップ動作したことをユーザに報知するための不図示の表示灯が点灯し、更に、常閉接点(b接点7)を駆動することで、主回路に設けられる電磁接触器10のコイルの励磁を解いて主回路を開路させる。主回路の開路により、負荷400の焼損等を防ぐことができる。
なお、演算部4は、例えば動作電流調整部3に設けられる可変抵抗値を変化させることにより、過電流を検出するための判定値(判定用電圧設定値)を変更するように構成してもよい。これにより、様々な定格(整定電流)の負荷に対応させることができる。
トリップ動作後に所定時間が経過すると、演算部4は、電源部2にリセット信号を入力することで、電源部2のリセット用コンデンサの放電によって電磁石部5を駆動して接点機構がリセット動作を行う。
なお、電子式過負荷リレー20が外部電源式の過負荷リレーである場合、トリップ後に電磁接触器10によって主回路が遮断されても、主回路とは別に設けられた電源用配線から電力が供給される。そのため、定常状態の保持又はトリップ状態の保持、もしくは、定常状態及びトリップ状態両方の保持を電磁石の吸引力により行うことが可能である。
また、電子式過負荷リレー20が自己給電式の過負荷リレーである場合、トリップ後に電磁接触器10によって主回路が遮断されると、電力が供給されなくなるため、定常状態の保持又はトリップ状態の保持に用いることができるのは、コンデンサ等に蓄えられた僅かな電力のみとなる。そのため、永久磁石による吸引力、又は機械的機構を用いて、保持状態を維持するように構成してもよいし、例えば特開2006−332001号公報に開示される技術のように永久磁石を利用することなく自動リセット動作と定常状態の保持とを行なうように構成してもよい。
なお、過電流の大きさと過電流開始から接点動作までの時間とのあるべき関係はJISC8201−4−1等に示されている。JISC8201−4−1では、例えば、整定電流の600%の電流を通じ、2〜30秒で動作すること、整定電流を通じ、温度が一定となった後、整定電流の200%の電流を通じ4分以内に動作すること、整定電流を通じても動作せず、温度が一定となった後、整定電流の125%の電流を通じて2時間以内に動作すること、などが定められている。
次にCTを利用した比較例の構成について図4を参照して説明する。
図4は図1に示す電磁開閉器の比較例の回路構成図である。比較例に係る電磁開閉器100Aは、シャント一体形バスバー30の代わりに、CT70を備える。CT70は、バスバー基材300に設けられる。
バスバー基材300(1次側)に交流電流が流れると、CT70の磁気コア内に発生した磁束を打ち消すようにCT70の2次側巻線に巻数比に応じた交流電流が流れる。この電流が不図示のシャント抵抗に流れて、当該シャント抵抗の両端に発生する電圧に基づき、演算部4は過電流判定を行う。
比較例に係る電磁開閉器100Aは、磁気コアなどを有するCT70を用いて過電流を検出する構成のため、電流検出部が物理的に大型化する。またCT70では直流電流を検出できないため、例えば直流電力を入力する負荷400が利用される場合、直流検出用の電流検出部を準備する必要がある。直流電力を入力する負荷400は、例えば、直流電力を入力して交流電力に変換してモータを駆動するインバータなどである。
これに対して本実施の形態に係る電磁開閉器100は、シャント一体形バスバー30を用いるため、電流検出部が小型化され、電子式過負荷リレー20のサイズを小さくすることができる。従って、電磁開閉器100は、電子式過負荷リレー20のサイズに制約されることなく、例えば、小型の配電盤などにも設置することができる。
また、電子式過負荷リレー20が小型化される分、配電盤内のメンテナンススペースが広がり、保守作業性が向上し、配線の誤りなどを防止することもできる。
また電子式過負荷リレー20は、交流と直流の双方に対応するため、交流に対応する電子式過負荷リレーと、直流に対応する電子式過負荷リレーとを個別に製造する場合に比べて、仕様が同一の電子式過負荷リレー20の生産量を増やすことができる。従って、電子式過負荷リレー20の大量生産によるコストの低減を図ることができる。
また、シャント一体形バスバー30の構造は、CT70に比べて簡素化されるため、シャント一体形バスバー30の製造公差の管理が容易化される。その結果、電流検出部の歩留まりが向上すると共に、製造コストをより一層低減できる。
なお本実施の形態に係るシャント一体形バスバー30は、以下のように構成してもよい。図2に示す構成と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、異なる部分について述べる。
図5はシャント一体形バスバーの第1変形例を示す図である。第1変形例のシャント一体形バスバー30−1は、バスバー基材300Aと抵抗部40を備える。
バスバー基材300Aは、2つのクランク部材をつなぎ合わせた導電性部材である。具体的には、バスバー基材300Aは、仮想線VL1に対して線対称に配置されるクランク形状の導電性部材である第1クランク導体301及び第2クランク導体302を有する。仮想線VL1は、Z軸方向と平行であり、かつ、バスバー基材300AのX軸方向における中心部を通る仮想的な線である。バスバー基材300Aの中心部は、バスバー基材300A全体の内、バスバー基材300AをX軸方向に対して2等分する位置の領域に等しい。
バスバー基材300Aの中心部には抵抗部40が設けられる。抵抗部40は、仮想線VL1に対して線対称に配置される第1クランク導体301及び第2クランク導体302に挟まれるように設けられる。抵抗部40は、第1クランク導体301及び第2クランク導体302により略U字形状に形成されるU字導体部303の底部303aに設けられる。
U字導体部303は、電子式過負荷リレー20を構成する筐体の内部に配置され、当該筐体の内部に嵌合する導電性部材である。嵌合するとは、例えば、当該筐体の内部に形成される位置決め用の溝に導電性部材が嵌合して当該導電性部材が位置決めされる状態や、当該筐体の内部に形成される位置決め用の突起に導電性部材が嵌合して当該導電性部材が位置決めされる状態などを表す。
当該導電性部材が位置決めされることで、電子式過負荷リレー20の端子にバスバー基材300Aをネジ60でねじ留めする際、ネジ60の締め付けによる第1クランク導体301と抵抗部40との接合面への影響、又は第2クランク導体302と抵抗部40との接合面への影響を軽減できる。
ネジ60の締め付けトルクにより、バスバー基材300Aの端部に回転モーメントが作用すると、抵抗部40とバスバー基材300Aとの溶接部分(接合部分)に応力が加わる。これによって溶接部分に変形や割れが生じたり、溶接部分の抵抗値が僅かに変化することで、電流検出の精度が損なわれる可能性がある。シャント一体形バスバー30−1によれば、2つのクランク形状の導電性部材を組み合わせることで、略U字形状の導体部分(U字導体部303)が形成される。このU字導体部303が、電子式過負荷リレー20の筐体内部に接する(嵌合する)ことで、回転モーメントが作用しても、電子式過負荷リレー20の筐体内部に接して位置決めされる。そのため、ネジ60を強く締め付けても、筐体内部でのU字導体部303の動きが規制される。これにより、抵抗部40に接続されるバスバー基材300Aの位置ずれが抑制される。従って、上記の効果に加えて、抵抗部40とバスバー基材300Aとの溶接部分への影響が軽減され、電流の検出精度の低下を抑制できる。
また、シャント一体形バスバー30−1を用いることで、ねじ留めをラフに行っても電流の検出精度の低下を抑制できるため、電流検出部の歩留まりがより一層向上すると共に、製造コストをより一層低減できる。
図6はシャント一体形バスバーの第2変形例を示す図である。図5に示すシャント一体形バスバー30−1との違いは、抵抗部40の位置である。シャント一体形バスバー30−2では、U字導体部303全体の内、U字導体部303の開口部303b側の先端部303c付近に抵抗部40が設けられている。
例えば電子式過負荷リレー20のX軸方向の幅が制約される場合、U字導体部303の底部303aのX軸方向の幅が狭くなる。そのため、当該の底部303aに抵抗部40を設けると、製造時にバスバー基材300Aをクランク状に折り曲げる際、抵抗部40とバスバー基材300Aとの接合部分に割れが生じ得る可能性がある。
抵抗部40をU字導体部303の先端部303c付近に設けることで、U字導体部303の底部303a以外の部分に抵抗部40を設けることができる。これにより、図5に示すシャント一体形バスバー30−1と同様の効果を得ることができると共に、シャント一体形バスバー30−2の設計条件に自由度を持たせることができる。
図7はシャント一体形バスバーの第3変形例を示す図である。図5に示すシャント一体形バスバー30−1との違いは、シャント一体形バスバー30−3では、1つの第1クランク導体301を有するバスバー基材300Bが用いられることと、バスバー基材300Bの全体の内、2つの折り曲げ部(クランク形状を成す第1折り曲げ部305及び第2折り曲げ部306)の間を除いた部分に抵抗部40が設けられていることである。
2つの折り曲げ部の間を除いた部分は、例えば、第2折り曲げ部306からバスバー基材300BのマイナスX軸方向の第2端部32までの間の領域に設けられる板状導体部304に等しい。抵抗部40は、例えば板状導体部304の中間部に設けられている。なお、2つの折り曲げ部の間を除いた部分は、第1折り曲げ部305からバスバー基材300BのプラスX軸方向の第1端部31までの間の領域に設けられる板状導体部でもよい。
第2折り曲げ部306と板状導体部304は、前述したU字導体部303と同様に、電子式過負荷リレー20を構成する筐体の内部に配置され、例えば、当該筐体の内部に形成される位置決め用の溝に嵌合し、あるいは、当該筐体の内部に形成される位置決め用の突起に接する。
これにより、電子式過負荷リレー20の端子にバスバー基材300Bをネジ60でねじ留めする際、ネジ60の締め付けによる板状導体部304と抵抗部40との接合面への影響を軽減できる。
また、シャント一体形バスバー30−3は、前述したシャント一体形バスバー30−1に比べて、構造が簡素化されるため、折り曲げの加工時間が短縮され、更にシャント一体形バスバー30−3の製造公差の管理がより一層容易化される。その結果、電流検出部の歩留まりが更に向上すると共に、製造コストをより一層低減できる。
図8はシャント一体形バスバーの第4変形例を示す図である。図7に示すシャント一体形バスバー30−3との違いは、抵抗部40の位置である。シャント一体形バスバー30−4では、第1折り曲げ部305と第2折り曲げ部306との間の領域に抵抗部40が設けられている。第1折り曲げ部305と第2折り曲げ部306との間の領域は、電子式過負荷リレー20の奥行き方向に延伸する板状導体部307に等しい。
例えば電子式過負荷リレー20のX軸方向の幅が制約される場合、一方の挿入孔30aから他方の挿入孔30bに向かう方向に伸びる、板状導体部304のX軸方向の幅が狭くなり得る。従って、板状導体部304に抵抗部40を形成するスペースを確保できない可能性がある。
シャント一体形バスバー30−4によれば、板状導体部304に抵抗部40を形成するスペースを確保できない場合でも、第1クランク導体301全体の内、Z軸方向に延伸する部分、すなわち電子式過負荷リレー20の奥行き方向に延伸する板状導体部307に抵抗部40を設けることができる。そのため、図7のシャント一体形バスバー30−3と同様の効果を得ることができると共に、シャント一体形バスバー30−4の設計条件に自由度を持たせることができる。
以上に説明したように、本実施の形態に係る電子式過負荷リレーは、電磁接触器と負荷との間に設けられ導電性の金属材で構成されるバスバーと、バスバーの一端から他端に至るまでの途中に配置されバスバーに流れる電流の値を検出するためのシャント抵抗である抵抗部と、を備える。この構成により、交流及び直流の双方の電流検出が可能であり、かつ、広い電流範囲に対応可能な電子式過負荷リレーが得られる。またシャント抵抗はバスバーに接合されるため、電流検出部の小形化を図りながら製造コストの大幅な低減が可能である。また、サーマルリレーとして実現するため従来の別置ユニットとは異なり制御盤の小形化にも寄与する。
なお、電流検出部にシャント抵抗を搭載した機器としてモニタリングリレーが知られている。モニタリングリレーは、プリント基板上にシャント抵抗を実装した構造のため、電流の対応レンジが数Aから10A程度と狭い。
これに対して、本実施の形態によれば、バスバータイプのシャント抵抗で電流検出部を構成することにより、対応レンジを数十〜数百Aとすることができる。
また、サーマルリレーは、コンタクタと組み合わせて使用するため製品形態は両者が一体となる構造が求められるが、モニタリングリレーは別置ユニットの形態しかない。
これに対して、本実施の形態によれば、バスバー一体のシャント抵抗で電流検出部を構成することにより、コンタクタと一体となる構造をよりコンパクトに実現することができる。
また従来のCTを用いた電子式サーマルリレーは、規格要求をもちろん満足する仕様で設計及び製造がなされているが、基本的には直入れによるモータ適用に対する保護機能しか具備していない。そのため一般的な負荷や平均的な始動電流のIE3モータには対応できるが、始動電流が高いIE3モータや特殊な負荷に対応するには、より高度な機能を有する高コストな別置ユニット(例:モニタリングリレー)を使用する必要があった。ただし、このユニットでは電流の対応レンジが数A〜10A程度と狭く、また別置のため制御盤の小形化には向いていなかった。
本実施の形態によれば、一般的に使用されるサーマルリレーというカテゴリの製品で、直流負荷や特殊な交流負荷(電流変動幅が広い負荷)への対応を提供可能とし、制御盤の小形化へも貢献できる。
また、これまでは、制御盤内の直流部上位の直流ブレーカや、保護した後に再使用不可な直流ヒューズにより保護をしていたが、本実施の形態によれば、再使用可能且つ直流ブレーカより下位の分岐回路それぞれについて直流負荷の監視、計測、及び保護が可能となり、直流回路の安全設計に最適である。
また、これまでは、IE3モータの始動電流が、従来のIE1モータより大きくなったことに対して、定格通りのサーマルリレーを選定すると誤動作しやすいことから、通常よりも大きな定格電流のサーマルリレーを選定するといった回避策を講じて運用しているケースがあり、最適な保護特性で運用しているとは言い難い。本実施の形態によれば、メーカごとに始動電流やその特性にばらつきのあるIE3モータヘの対応や、そのようなIE3モータをベースとした特殊モータ(更に高い始動電流)、また独自の負荷パターンを持つような制御系等でも負荷にあった設定が可能になることから、有益である。
更に、本実施の形態では、対応できる電流レンジが数十A〜数百Aとすることができ、更にコンタクト一体の構造になるサーマルリレーに本実施の形態の構造を具備することで製品の小形化を図ることができ、これにより制御盤の小形化を実現できる。
なお、本実施の形態に係るシャント一体形バスバーは、不図示の配線用遮断器と電磁接触器10との間に設けてもよい。図9及び図10を参照して詳細に説明する。図9は分電盤の内部構成例を示す図である。図10は電磁開閉器の変形例の外観図である。
図9に示す分電盤600は、配線用遮断器81、電磁開閉器100Bなどを備える。
配線用遮断器81は、配線80を介して、電源200に接続される。配線用遮断器81の二次側(負荷側)には、配線82が接続される。配線82にはシャント一体形バスバー30の一端が接続される。シャント一体形バスバー30は、電磁開閉器100Bの電子式過負荷リレー20に設けられる。電磁開閉器100Bは、電磁接触器10と電子式過負荷リレー20とを備え、電子式過負荷リレー20は、電磁接触器10の電源200側、すなわち図9の配線用遮断器81と電磁接触器10との間に設けられる。配線用遮断器81は、配線82及びシャント一体形バスバー30を介して、電磁開閉器100Bの電子式過負荷リレー20と電気的に接続される。シャント一体形バスバー30の他端は電磁接触器10に接続される。
なお、分電盤600にはシャント一体形バスバー30が用いられているが、シャント一体形バスバー30の代わりに、前述したシャント一体形バスバー30−1、シャント一体形バスバー30−2、シャント一体形バスバー30−3、又はシャント一体形バスバー30−4を用いてもよい。
シャント一体形バスバー30を備えた電子式過負荷リレー20を電磁接触器10の電源200側に設けることによるメリットは、以下の通りである。
第1のメリットは、配線用遮断器61がONのときには電子式過負荷リレー20に電圧が印加され、配線用遮断器61がOFFのときには電子式過負荷リレー20に電圧が印加されないため、電子式過負荷リレー20が電圧値を検出することにより、配線用遮断器61の状態、すなわち配線用遮断器61がONであるかOFFであるかを監視できることである。
第2のメリットは、電子式過負荷リレー20が電圧値を検出することにより、電源の相順状態を監視(電圧反相監視)できることである。なお、電子式過負荷リレー20が電磁接触器10の負荷側に接続されている場合、電圧反相監視ができない。
第3のメリットは、電子式過負荷リレー20が主回路から電源供給を受ける場合、電磁接触器10の状態(ON/OFF)に関わらず、電子式過負荷リレー20が稼働を継続できることである。なお、電子式過負荷リレー20が電磁接触器10の負荷側に接続されている場合、電磁接触器10がOFFになると、電子式過負荷リレー20は稼働を継続できなくなる。
第4のメリットは、電磁接触器10が電源側にコイル端子を有する構造の場合、電子式過負荷リレー20から当該コイル端子への接続が容易になることである。図11Aはコイル端子を有する電磁接触器の第1構成例を示す図である。図11Bはコイル端子を有する電磁接触器の第2構成例を示す図である。図11A及び図11Bに示すように電磁接触器10には、ON(閉路)又はOFF(開路)動作を制御する制御信号を入力するためのコイル端子83が設けられている。電磁接触器10にコイル端子83を設けることにより、電子式過負荷リレー20に電磁接触器10の制御機能を搭載している場合、接続が容易になる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 :検出部
2 :電源部
3 :動作電流調整部
4 :演算部
4a :トリップ信号
5 :電磁石部
6 :a接点
7 :b接点
10 :電磁接触器
20 :電子式過負荷リレー
30,30−1,30−2,30−3,30−4 :シャント一体形バスバー
30a,30b :挿入孔
31 :第1端部
32 :第2端部
40 :抵抗部
50 :プリント基板
51,52 :ワイヤ
60 :ネジ
70 :CT
80 :配線
81 :配線用遮断器
82 :配線
83 :コイル端子
100,100A,100B :電磁開閉器
200 :電源
300,300A,300B :バスバー基材
301 :第1クランク導体
302 :第2クランク導体
303 :U字導体部
303a :底部
303b :開口部
303c :先端部
304 :板状導体部
305,306 :曲げ部
307 :板状導体部
400 :負荷
VL1 :仮想線

Claims (9)

  1. 電磁接触器と負荷との間、又は配線用遮断器と前記電磁接触器との間に設けられ導電性の金属材で構成されるバスバーと、
    前記バスバーの一端から他端に至るまでの途中に配置され前記バスバーに流れる電流の値を検出するためのシャント抵抗である抵抗部と、
    を備える電子式過負荷リレー。
  2. 前記バスバーは、板状の導電性部材である請求項1に記載の電子式過負荷リレー。
  3. 前記バスバーは、電子式過負荷リレーを構成する筐体の内部に嵌合するU字形状の導電性部材を有する請求項1に記載の電子式過負荷リレー。
  4. 前記抵抗部は、前記U字形状の導電性部材の底部に設けられる請求項3に記載の電子式過負荷リレー。
  5. 前記抵抗部は、前記U字形状の導電性部材の開口部付近の先端部に設けられる請求項3に記載の電子式過負荷リレー。
  6. 前記バスバーは、電子式過負荷リレーを構成する筐体の内部に嵌合するクランク形状の導電性部材を有する請求項1に記載の電子式過負荷リレー。
  7. 前記クランク形状の導電性部材は、クランク形状を成す第1折り曲げ部及び第2折り曲げ部を有し、
    前記抵抗部は、前記バスバーの一端から前記第1折り曲げ部までの間の領域に設けられ、又は、前記バスバーの他端から前記第2折り曲げ部までの領域に設けられる請求項6に記載の電子式過負荷リレー。
  8. 前記クランク形状の導電性部材は、クランク形状を成す第1折り曲げ部及び第2折り曲げ部を有し、
    前記抵抗部は、前記第1折り曲げ部から前記第2折り曲げ部までの領域に設けられる請求項6に記載の電子式過負荷リレー。
  9. 請求項1から8の何れか一項に記載の電子式過負荷リレーと、
    前記バスバーが接続される電磁接触器と、
    を備えた電磁開閉器。
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