JP2021038835A - 金属シール - Google Patents
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そして、装着圧縮状態(使用状態)では、図10(B)に示すように、相互に接近する第1平面P1 と第2平面P2 から押圧力F61,F62によって、中間基部63の重心点G63を中心に「回転弾性変形」を生じ、その「回転弾性変形」に伴う弾発的反発力により、第1凸部66は第1平面P1 に圧接し、かつ、第2凸部67は第2平面P2 に圧接して、流体の密封作用を行うものであった。
言い換えると、図10(A)に示した断面形状をそのまま基本形状として、中間基部63における、第1平面P1 に対応する第1長辺部71の外方端71Aに、補助小突起64を付設し、さらに、中間基部63における、第2平面P2 に対応する第2長辺部72の内方端72Aに、補助小突起65を付設した。
第1平面と第2平面の間に介装した金属シールを、この2平面の相互締付けによって、塑性変形領域内における十分な変形を起こすには、締付けボルトへの負荷が急増し、かつ、シール圧縮量に対する締付力(反力)が急激増加することも予想される。
このようなボルトの負荷の急増や、シール圧縮量に対する反力の急激増加を、抑制して、実用性のある金属シールを提供することを、本発明の他の目的とする。
また、装着未圧縮状態から、上記第1平面と第2平面の相対的接近に伴って、回転モーメントを受けて、上記第1凸部と第1副凸部が上記第1平面に当接した横断面2点接触状態と、上記第2凸部と第2副凸部が上記第2平面に当接した横断面2点接触状態と、から成る4点接触状態に至るまでは、上記中間基部を中心に回転弾性変形を生ずるように構成され、上記4点接触状態から、さらに上記第1平面と第2平面からの押圧力を受けて、上記第1凸部と第1副凸部と第2凸部と第2副凸部、及び、その近傍部位の塑性変形を生ずるように構成した。
また、上記4点接触状態において、上記第1副凸部が上記第1平面に接することで描かれる第1副凸部接触円が、上記第2凸部・上記第2副凸部が上記第2平面に接することで描かれる第2凸部接触円・第2副凸部接触円によって形成された帯状円形リングの内部に、存在している。
また、上記4点接触状態の横断面において、上記第2副凸部の先端の上記第2平面への接触点から、上記第2平面に対して90°を成すように立てた垂線に完全一致して乃至その近傍に、上記第1凸部の外周側稜線の延長線と、上記第1副凸部の内周側稜線の延長線との、交点が、存在するように、構成されている。
また、上記4点接触状態の横断面において、上記第1副凸部の先端の上記第1平面への接触点から、上記第1平面に対して90°を成すように立てた垂線に完全一致して乃至その近傍に、上記第2凸部の内周側稜線の延長線と、上記第2副凸部の外周側稜線の延長線との、交点が、存在するように、構成されている。
図1(A)と図2及び図3(A)に示すように、本発明に係る金属シールSは、相互に平行な第1平面P1 と第2平面P2 の間に介装して使用され、全体が、円形や長円形や多角形等の環状である。そして、平行な上記2平面P1 ,P2 間を密封するものである。
例えば、(図示省略したが)シール凹溝内に装着されて、シール凹溝の底面と、蓋部材の下面とに、圧接して密封作用をなす。
また、第1凸部11は、切欠き15の存在しない(矩形状中間基部3の)直角状角部3Cにおける第1長辺部31側に連設されている。このようにして、第1凸部11は矩形状中間基部3の第1長辺部31の内径側の端部に配設されている。
また、(図2に示すように)第1凸部11の内周側稜線11Bは、中間基部3の内周側短辺3Bの延長線上に存在する。
また、(図2に示すように)第2凸部12の外周側稜線12Cは、中間基部3の外周側短辺3Bの延長線上に存在する。
また、図1(B)と図4と図5に示した本発明の他の実施形態に於ては、横断面が台形の第1副凸部21・第2副凸部22が、第1長辺部31・第2長辺部32に、各々配設されている。
即ち、図2に示す金属シールSの自由状態における断面に於て、切欠き15が形成される以前の第1長辺部31の長さ寸法───つまり、図2の金属シールSの横断面の幅寸法───をWo とすると共に、第1副凸部21の三角頂点21Pと、外径側短辺3Bとの(幅方向の)寸法をW21とすれば、次の数式〔数1〕を満たす場合を言う。
〔数1〕0.15・W0 ≦W21≦0.40・W0
〔数2〕0.15・W0 ≦W22≦0.40・W0
図4に示した金属シールSを、装着未圧縮状態から、第1平面P1 と第2平面P2 の相対的接近に伴って、押圧力を受けて、第1副凸部21及び第2副凸部22が、各々、第1平面P1 ・第2平面P2 に当接して、図5に示す4点接触状態に至るが、その状態下で、図5で明らかな如く、横断面台形の第1副凸部21・第2副凸部22の台形上辺は微小傾斜角度βをもって(第1・第2)平面P1 ,P2 に接触する。
これに対し、本願発明は、図2,図4にて説明した横断面形状であって、装着未圧縮状態から、第1平面P1 と第2平面P2 の相対的接近に伴って、押圧力を受けて、まず、図2から図3のように、あるいは、図4から図5に示すように、回転弾性変形を生ずるが、さらに、引続いて、図7に示す如く、第1凸部11と第1副凸部21と第2凸部12と第2副凸部22、及び、(断面における)その近傍部位が、塑性変形を生ずるように、構成されている。
第1凸部11と第1副凸部21が第1平面P1 に当接した横断面2点接触状態となると同時に、第2凸部12と第2副凸部22が第2平面P2 に当接した横断面2点接触状態とから成る4点接触状態(図3,図5参照)となる。このように4点接触状態に至るまでは、上記中間基部3(の重心点O3 )を中心に回転弾性変形を生ずるように構成されている。
このような作動(構成)は、従来の図12(A)(B)と同様であると言える。
図3(B)は、4点接触状態における同図(A)の要部のみを、抽出して示した縮小平面図である。
図3(B)に於て、R11は、図3(A)に示した第1凸部11が第1平面P1 に接する点を、上面から見て描いた第1凸部接触円である。
R21は、第1副凸部21が第1平面P1 に接する点を、上面から見て描いた第1副凸部接触円である。
さらに、R22は、図3(A)に示した第2副凸部22が第2平面P2 に接する点を、上面から見て描いた第2副凸部接触円である。
図3(B)に示したこのような特徴点は、後述する(従来例の場合を示す)図11(B)及び図12(C)と、対比することで、独自の作用・効果を発揮することが、明らかになるであろう。なお、図5に示した他の実施形態の4点接触状態にあっても、図3(B)(C)で説明したと同様の技術的構成となり、かつ、同じ作用効果が得られる。
図3(C)に於て、R12は、図3(A)に示した第2凸部12が第2平面P2 に接する点を、底面から見て描いた第2凸部接触円である。
R21は、第1副凸部21が第1平面P1 に接する点を、底面から見て描いた第1副凸部接触円である。
さらに、R22は、図3(A)に示した第2副凸部22が第2平面P2 に接する点を、底面から見て描いた第2副凸部接触円である。
図3(C)に示したこのような特徴点は、後述する(従来例の場合を示す)図11(C)及び図12(D)と、対比することで、独自の作用・効果を発揮することが、明らかとなるであろう。
即ち、図3(A)に示した4点接触状態の横断面において、第2副凸部22の先端(頂点22P)の第2平面P2 への接触点から、第2平面P2 に対して90°を成すように立てた垂線T1 を、(仮に)想定する。
そして、図3(A)に於て、第1凸部11の外周側稜線11Cの延長線Y11と、第1副凸部21の内周側稜線21Eの延長線Y21との交点をOYとすると、この交点OYは、前記垂線T1 に一致して、垂線T1 上に存在する。
図3(A)に於ては、両延長線Y11,Y21の交点OYから第2平面P2 に下した垂線と、前記垂線T1 とが、一致し、同図中のεは、零であることを記載している。
言い換えると、第2平面P2 に対して90°を成すように立てた上記垂線T1 の近傍に、交点OYが存在しておれば十分である。
図3(A)に於ては、交点Oxから第1平面P1 に直交する垂線と、前記垂線T2 とが、一致し、同図中のεは、零であることを記載している。
第1凸部11・第2凸部12の外周・内周の稜線の成す角度をθとすれば、25°≦θ≦35°のように設定する。また、第1副凸部21・第2副凸部22の外周・内周の稜線の成す角度をθ’とすれば、50°≦θ’≦110°のように設定する。
矩形状の中間基部3の幅寸法と高さ寸法を、各々、W0 ,H0 とすれば、第1凸部11・第2凸部12の高さ寸法H11,H12は、次のように設定する。
〔数3〕0.25・H0 ≦H11≦0.5・H0
〔数4〕0.25・H0 ≦H12≦0.5・H0
また、第1凸部11・第2凸部12の基底部13,14の各々寸法を、W110 ,W120 とすれば、次のように設定する。
〔数5〕0.20・W0 ≦W110 ≦0.35・W0
〔数6〕0.20・W0 ≦W120 ≦0.35・W0
また、第1・第2副凸部21,22の高さ寸法を、各々、H21,H22とすれば、次のように設定する。
〔数7〕0.10・H0 ≦H21≦0.25・H0
〔数8〕0.10・H0 ≦H22≦0.25・H0
図9について説明すれば、点線のグラフ線は、図6(B)に示した比較例に関する特性を示す。点P31は、第1平面P1 と第2平面P2 に対して第1凸部66 と第2凸部67が軽く接触した圧縮開始点を示す。(断面姿勢は、図10(A)が該当している。)
ΔGbは、上記点P31から点P32に至るまでに、2平面P1 ,P2 の間隔寸法Hpを減少させるための移動量であり、かなり大きいことが判る。さらに、その移動量ΔGb中に、回転弾性変形のために反力ΔFを必要としている。
ΔGaは、上記点P36から点P37に至るまでに、2平面P1 ,P2 の間隔寸法Hpを減少させるための移動量であり、比較例の対応する前記移動量ΔGbよりも十分小さいことが判る。さらに、本発明実施品の移動量ΔGa中に、回転弾性変形のために、ほとんど反力を必要としない。
即ち、実線で示した本発明の実施品のグラフ線は、点P37から点P38までは、緩やかな勾配をもって、反力Fが少しずつ増加する。
しかも、点P38を越えても、グラフ線は緩やかな勾配のままで、(あるいはさらに緩やかな勾配となりつつ)、反力Fがゆるりと増加し続けている。
図9のグラフ図は、以上述べたように、本発明(の実施品)を比較例(従来例)と比べて多くの利点のあることを示しているが、その実線と破線で示した差異が生じた理由につき、以下、追加説明と分析を行う。
図3(A)に示した4点e,f,g,hの平面接触状態において、図3(B)の平面図に示したように、第2副凸部22が第2平面P2 に接することで描かれた第2副凸部接触円R22が、上記4点接触状態において、上記第2副凸部22が上記第2平面P2 に接することで描かれる第2副凸部接触円R22が、上記第1凸部11・上記第1副凸部21が上記第1平面P1 に接することで描かれる第1凸部接触円R11・第1副凸部接触円R21によって形成された帯状円形リングR100 の内部に、存在している。
この図11(B)から、以下のことが判る。つまり、第1凸部66・第1角部68が第1平面P1 に接することで描かれる第1凸部接触円Ra・第1角部接触円Rbによって形成された帯状円形リングR'100の内部に、第2角部69が第2平面P2 に接することで描かれる第2角部接触円Rcが、存在しておらず、この第2角部接触円Rcは、上記帯状円形リングR'100の内周縁よりも、ラジアル内方向に、外れている。
次に、図11(C)は図3(C)と対比すべき底面図である。
但し、図12に於けるb点,c点は、小さな三角形の補助小突起64,65の頂点とする。それ以外は、図11(A)と同様であるので、重複説明を省略する。
図3又は図5に於て、本発明では、上記4点接触状態の横断面において、上記第2副凸部22の先端の上記第2平面P2 への接触点から、上記第2平面P2 に対して90°を成すように立てた垂線T1 に完全一致して乃至その近傍に、上記第1凸部11の外周側稜線11Cの延長線Y11と、上記第1副凸部21の内周側稜線21Eの延長線Y21との、交点OYが、存在するように、構成されている。しかも、上記4点接触状態の横断面において、上記第1副凸部21の先端の上記第1平面P1 への接触点から、上記第1平面P1 に対して90°を成すように立てた垂線T2 に完全一致して乃至その近傍に、上記第2凸部12の内周側稜線12Bの延長線Y12と、上記第2副凸部22の外周側稜線22Eの延長線Y22との、交点Oxが、存在するように、構成されている。
平面P2 からの)締付力は、交点OYに向かって伝達されつつ左右稜線11C,21E(の内部)に沿うように分岐して、第1凸部11の頂部11A、及び、第1副凸部21へ、伝達される。
これを、比較例を示した図8と比べれば、判るように、図8の左下の波形による締付力は、左上の波形による締付力と、真向対立する。従って、図8では、図9の破線グラフ線の如く、急な勾配線が描かれたものと、考えられる。
本発明の実施例では、前述の如く、巧妙に左右稜線11C,21E(の内部)に沿うように、第2副凸部22の大きな締付力が2つに分岐してゆくため、(柔軟性を残して)図9に実線で示した緩やかな勾配となり、反力Fの急激な増加が生じない。
これを、比較例を示した図8と比べれば、判るように、図8の右下の波形による締付力は、右上の波形による締付力と、真向対立する。従って、図8では、図9の破線グラフ線の如く、急な勾配線が描かれたものと、考えられる。
なお、本発明は、図示の実施例に限定されず設計変更自由であって、例えば、第1・第2副凸部21,22は、半円形や半楕円形等とすることもできる。
11 第1凸部
11A 円弧状頂部
11C 外周側稜線
12 第2凸部
12A 円弧状頂部
12B 内周側稜線
13 基底部
14 基底部
21 第1副凸部
21E 内周側稜線
22 第2副凸部
22E 外周側稜線
31 第1長辺部
32 第2長辺部
Ox 交点
OY 交点
P1 第1平面
P2 第2平面
R11 第1凸部接触円
R12 第2凸部接触円
R21 第1副凸部接触円
R22 第2副凸部接触円
R100 帯状円形リング
R200 帯状円形リング
S 金属シール
T1 垂線
T2 垂線
W11 幅寸法
W12 幅寸法
Y11 延長線
Y12 延長線
Y21 延長線
Y22 延長線
Claims (6)
- 相互に平行な第1平面(P1 )と第2平面(P2 )の間に介装される全体が環状であって、横断面形状が略矩形の中間基部(3)と、上記第1平面(P1 )に当接する内径寄りの第1凸部(11)と、上記第2平面(P2 )に当接する外径寄りの第2凸部(12)と、を備えた金属シールに於て、
上記第1凸部(11)及び第2凸部(12)は、各々、先端に円弧状頂部(11A)(12A)を有すると共に上記中間基部(3)に連設される基底部(13)(14)に向かって幅寸法(W11)(W12)がしだいに増加する横断面形状であり、
しかも、上記中間基部(3)における、上記第1平面(P1 )・第2平面(P2 )に対応する第1長辺部(31)・第2長辺部(32)の各中間位置には、第1副凸部(21)・第2副凸部(22)が、配設されていることを特徴とする金属シール。 - 装着未圧縮状態から、上記第1平面(P1 )と第2平面(P2 )の相対的接近に伴って、回転モーメントを受けて、上記第1凸部(11)と第1副凸部(21)が上記第1平面(P1 )に当接した横断面2点接触状態と、上記第2凸部(12)と第2副凸部(22)が上記第2平面(P2 )に当接した横断面2点接触状態と、から成る4点接触状態に至るまでは、上記中間基部(3)を中心に回転弾性変形を生ずるように構成され、
上記4点接触状態から、さらに上記第1平面(P1 )と第2平面(P2 )からの押圧力を受けて、上記第1凸部(11)と第1副凸部(21)と第2凸部(12)と第2副凸部(22)、及び、その近傍部位の塑性変形を生ずるように構成した請求項1記載の金属シール。 - 上記4点接触状態において、
上記第2副凸部(22)が上記第2平面(P2 )に接することで描かれる第2副凸部接触円(R22)が、
上記第1凸部(11)・上記第1副凸部(21)が上記第1平面(P1 )に接することで描かれる第1凸部接触円(R11)・第1副凸部接触円(R21)によって形成された帯状円形リング(R100 )の内部に、
存在している請求項2記載の金属シール。 - 上記4点接触状態において、
上記第1副凸部(21)が上記第1平面(P1 )に接することで描かれる第1副凸部接触円(R21)が、
上記第2凸部(12)・上記第2副凸部(22)が上記第2平面(P2 )に接することで描かれる第2凸部接触円(R12)・第2副凸部接触円(R22)によって形成された帯状円形リング(R200 )の内部に、
存在している請求項2記載の金属シール。 - 上記4点接触状態の横断面において、
上記第2副凸部(22)の先端の上記第2平面(P2 )への接触点から、上記第2平面(P2 )に対して90°を成すように立てた垂線(T1 )に完全一致して乃至その近傍に、
上記第1凸部(11)の外周側稜線(11C)の延長線(Y11)と、上記第1副凸部(21)の内周側稜線(21E)の延長線(Y21)との、交点(OY)が、存在するように、構成されている請求項2,3又は4記載の金属シール。 - 上記4点接触状態の横断面において、
上記第1副凸部(21)の先端の上記第1平面(P1 )への接触点から、上記第1平面(P1 )に対して90°を成すように立てた垂線(T2 )に完全一致して乃至その近傍に、
上記第2凸部(12)の内周側稜線(12B)の延長線(Y12)と、上記第2副凸部(22)の外周側稜線(22E)の延長線(Y22)との、交点(Ox)が、存在するように、構成されている請求項2,3又は4記載の金属シール。
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