JP2021038770A - 摩擦締結装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造を複雑化することなく、引きずり抵抗を低減することができる摩擦締結装置を提供する。【解決手段】本発明は、湿式の摩擦締結装置(10)であって、外側動力伝達部材(12)と、内側動力伝達部材(14)と、複数の大径摩擦プレート(16)と、小径摩擦プレート(18)と、各摩擦プレートを移動させて締結状態にするピストン(20)と、外側動力伝達部材の端面に取り付けられるカバー部材(22)と、ピストンから最も離れた端部大径摩擦プレートの位置を規制するプレート押さえ部材(32)と、を有し、端部大径摩擦プレートの外周部には、延設部(17a)が設けられると共に、外側動力伝達部材には軸線方向に延びるプレート押さえ通路が形成され、プレート押さえ部材は、カバー部材に取り付けられ、外側動力伝達部材のピストン側の端部からプレート押さえ通路の内を延びて端部大径摩擦プレートの延設部を押さえることを特徴としている。【選択図】図4

Description

本発明は、摩擦締結装置に関し、特に、外側動力伝達部材と内側動力伝達部材の間の締結、非締結を切り替える湿式の摩擦締結装置に関する。
特開2003−13996号公報(特許文献1)には、摩擦係合装置が記載されている。この摩擦係合装置は、内周面に外側係合溝を備える大径筒体と、外周面に内側係合溝を備える小径筒体と、を備えている。さらに、大径筒体には、外側係合溝に係合する外側係合部を備えた複数の大径摩擦プレートが装着され、小径筒体には、内側係合溝に係合する内側係合部を備えた複数の小径摩擦プレートが装着されている。摩擦係合装置を係合(締結)させる際には、各大径摩擦プレート及び各小径摩擦プレートが互いに押しつけられ、これらの間に働く摩擦力により、大径筒体と小径筒体が締結される。
さらに、外側係合部又は内側係合部には、係合部を挟み込むコ字形状の保持部、および保持部の両端にそれぞれ設けられた板ばね部を備えた複数のばねクリップが装着されている。このばねクリップを装着することにより、摩擦係合装置の解放(非締結)状態において、積極的に各大径摩擦プレートと小径摩擦プレートの間隔が広げられ、引きずり抵抗が低減される。
特開2003−13996号公報
特許文献1記載の摩擦係合装置においては、ばねクリップを装着することで、ばねクリップのばね力により、各大径摩擦プレートと小径摩擦プレートの間隔を広げて引きずり抵抗を低減している。しかしながら、特許文献1記載の摩擦係合装置では、各摩擦プレートの間隔を広げるためにばねクリップを設けているため、部品点数が増加して構造が複雑化すると共に、組み立て工数の増加を招き、摩擦係合装置(摩擦締結装置)が高コストになるという問題がある。また、特別にばねクリップを設けることにより、摩擦締結装置の重量が増加するという問題もある。
従って、本発明は、構造を複雑化することなく、引きずり抵抗を低減することができる摩擦締結装置を提供することを目的としている。
上述した課題を解決するために、本発明は、外側動力伝達部材と内側動力伝達部材の間の締結、非締結を切り替える湿式の摩擦締結装置であって、筒状に形成された外側動力伝達部材と、この外側動力伝達部材の内側に、外側動力伝達部材に対して回転可能に配置された内側動力伝達部材と、外側動力伝達部材の内側に、外側動力伝達部材の軸線方向に摺動可能に配置されると共に、外周縁が外側動力伝達部材の内周面と係合して、外側動力伝達部材に対する回転が阻止されている複数の大径摩擦プレートと、内側動力伝達部材の外周に、内側動力伝達部材の軸線方向に摺動可能に配置されると共に、内周縁が内側動力伝達部材の外周面と係合して、内側動力伝達部材に対する回転が阻止されており、複数の大径摩擦プレートの各々の間に配置された小径摩擦プレートと、外側動力伝達部材の軸線方向に移動可能に配置され、大径摩擦プレート及び小径摩擦プレートを軸線方向に移動させて、外側動力伝達部材と内側動力伝達部材を締結状態にするピストンと、このピストンを覆うように、外側動力伝達部材の一方の端面に取り付けられるカバー部材と、複数の大径摩擦プレートのうち、ピストンから最も離れた位置に配置された端部大径摩擦プレートを所定の位置に規制するプレート押さえ部材と、を有し、端部大径摩擦プレートの外周部には、延設部が設けられると共に、外側動力伝達部材には、プレート押さえ部材を通すための軸線方向に延びるプレート押さえ通路が形成され、プレート押さえ部材は、カバー部材又は外側動力伝達部材に取り付けられ、又は、カバー部材と一体に形成されると共に、外側動力伝達部材のピストン側の端部からプレート押さえ通路の中を軸線方向に延びて端部大径摩擦プレートの延設部を押さえることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、外周縁が外側動力伝達部材と係合した大径摩擦プレートと、内周縁が内側動力伝達部材と係合した小径摩擦プレートが交互に配置されており、締結状態にする場合には、ピストンが各大径摩擦プレート及び小径摩擦プレートを軸線方向に移動させる。これにより、各大径摩擦プレートと小径摩擦プレートの間に働く摩擦力により、大径摩擦プレートと係合している外側動力伝達部材と、小径摩擦プレートと係合している内側動力伝達部材が締結される。また、大径摩擦プレートのうちのピストンから最も離れた位置に配置された端部大径摩擦プレートの外周部には、延設部が設けられており、この延設部は、プレート押さえ通路の中を軸線方向に延びるプレート押さえ部材により押さえられ、端部大径摩擦プレートの位置が所定の位置に規制される。
このように構成された本発明によれば、プレート押さえ部材により端部大径摩擦プレートの位置が所定の位置に規制されている。このため、ピストンを移動させ、摩擦締結装置を非締結状態としたとき、各大径摩擦プレートと小径摩擦プレートの間を流れる潤滑油の圧力により、各摩擦プレートの間隔が概ね等間隔に広がり、摩擦プレート間の引き摺りによる抵抗を低減することができる。
本発明において、好ましくは、端部大径摩擦プレートに設けられた延設部は、他の大径摩擦プレートの外周よりも半径方向外方に突出するように形成されている。
このように構成された本発明によれば、端部大径摩擦プレートの延設部が、他の大径摩擦プレートの外周よりも半径方向外方に突出するように形成されているので、カバー部材の側から軸線方向に延びるプレート押さえ部材によって、大径摩擦プレートを越えて、容易に端部大径摩擦プレートの延設部を押さえることができる。
本発明において、好ましくは、外側動力伝達部材と大径摩擦プレートは、外側動力伝達部材の内周面に設けられたスプライン溝と、大径摩擦プレートの外周に設けられたスプライン歯により係合するように構成され、端部大径摩擦プレート以外の大径摩擦プレートは、一部のスプライン歯が欠かれており、スプライン歯を欠くことにより空いたスプライン溝の中が、プレート押さえ通路として利用され、プレート押さえ部材は、端部大径摩擦プレートの欠かれていないスプライン歯を延設部として押さえる。
このように構成された本発明によれば、端部大径摩擦プレート以外の大径摩擦プレートの一部のスプライン歯を欠くだけで、端部大径摩擦プレートのスプライン歯を延設部として利用することができる。また、外側動力伝達部材のスプライン溝を、プレート押さえ部材を通すプレート押さえ通路として利用することができる。このため、既存の大径摩擦プレートに僅かな変更を加えるだけで、本発明を構成することが可能になる。
本発明において、好ましくは、端部大径摩擦プレートの外周部には延設部が複数設けられ、これらの延設部がプレート押さえ部材によって夫々押さえられる。
このように構成された本発明によれば、複数の延設部がプレート押さえ部材によって夫々押さえられるので、端部大径摩擦プレートを所定の位置に確実に規制することができる。
本発明において、好ましくは、複数の大径摩擦プレートのうちの、ピストンの最も近くに配置された大径摩擦プレートは、ピストンの移動と共に軸線方向に移動されるように、ピストンに固定されている。
このように構成された本発明によれば、ピストンの最も近くに配置された大径摩擦プレートがピストンに固定されているので、摩擦締結装置を非締結状態とするためにピストンを移動させたとき、隣接した大径摩擦プレートも共に移動される。これにより、各摩擦プレートは速やかに概ね等間隔に広がり、摩擦プレート間の引き摺りによる抵抗を早期に低減することができる。
本発明において、好ましくは、ピストンは、大径摩擦プレート及び小径摩擦プレートが配置された後で、外側動力伝達部材の中に組み付けられるように構成されている。
本発明においては、ピストン側の端部から軸線方向に延びるプレート押さえ部材によって端部大径摩擦プレートの延設部が押さえられるので、外側動力伝達部材の中に、大径摩擦プレート及び小径摩擦プレートが配置された後で、ピストン及びカバー部材を取り付けるタイプの摩擦締結装置にも適用することができる。
本発明において、好ましくは、摩擦締結装置は、外側動力伝達部材内で回転する内側動力伝達部材に制動力を付与するブレーキ装置として使用される。
本発明の摩擦締結装置は、外側動力伝達部材に、容易にプレート押さえ通路を形成することができるブレーキ装置に、好適に適用することができる。
本発明の摩擦締結装置によれば、構造を複雑化することなく、引きずり抵抗を低減することができる。
本発明の実施形態による摩擦締結装置を内蔵したトランスミッション(自動変速機)の斜視図である。 本発明の実施形態による摩擦締結装置の断面図である。 本発明の実施形態による摩擦締結装置の分解斜視図である。 本発明の実施形態による摩擦締結装置を、延設部の部分で切断して示す断面図である。 本発明の実施形態による摩擦締結装置を、連結部材が挿入されたスプライン溝に沿って切断した断面図である。 本実施形態の摩擦締結装置の締結状態と非締結状態を示す断面図である。 従来の湿式の摩擦締結装置における、ハブの回転数に対する、面間距離、面間圧力、及び引き摺りトルクの関係を示すグラフの一例である。 従来の湿式の摩擦締結装置における、非締結状態の大径摩擦プレート及び小径摩擦プレートの分布を模式的に示す図である。 本発明の実施形態の摩擦締結装置における、非締結状態の大径摩擦プレート及び小径摩擦プレートの分布を模式的に示す図である。 大径摩擦プレートと小径摩擦プレートの間の面間距離と、これらの摩擦プレートの間の圧力の関係を示すシミュレーション結果の一例である。 本発明の実施形態による摩擦締結装置において、ハブの回転数に対する、面間距離、面間圧力、及び引き摺りトルクの関係をシミュレーションにより求めたグラフの一例である。
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による摩擦締結装置を説明する。
図1は、本発明の実施形態による摩擦締結装置を内蔵したトランスミッション(自動変速機)の斜視図である。
図1に示すように、トランスミッション1は自動車に搭載されており、エンジンやモータなどの駆動源Eと、車輪Wとの間に介在して、駆動源Eから出力される回転動力を加速や減速して車輪に出力するように構成されている。図1に示す例では、トランスミッション1は、多段式自動変速機(いわゆるAT)であるが、本発明の実施形態による湿式の摩擦締結装置は、トランスミッション1以外の装置に組み込むこともでき、或いは単体で使用することもできる。
本実施形態においては、トランスミッション1は、筐体2、出力軸4(回転軸)、変速装置6、断続装置8等を備えている。
筐体2は、トランスミッション1の外郭を構成しており、断続装置8および変速装置6を収容するとともに出力軸4を回転可能に支持している。
断続装置8(いわゆるトルクコンバータ)は、駆動源Eに連結されており、駆動源Eが出力する回転動力を必要に応じてトランスミッション1に入力するように構成されている。
変速装置6は、出力軸4の周囲に配置されており、断続装置8と出力軸4の間に介在して、断続装置8から入力された回転動力の回転数を切り替えて出力軸4に伝達するように構成されている。トランスミッション1の出力軸4から出力される回転動力は車輪Wに伝達される。変速装置6には、出力する回転数を切り替えるために、複数の遊星歯車機構と、これらの遊星歯車機構を切り替えるための、クラッチ装置及び/又はブレーキ装置が組み込まれている。トランスミッション1は、これらクラッチ装置又はブレーキ装置の作動状態を変更することにより、前進や後退、回転速度の切り替えを実行するように構成されている。
本発明の実施形態による摩擦締結装置10は、変速装置6において、ブレーキ装置として使用されている。クラッチとブレーキとは、機能的には異なるが構造的にはほぼ同じであり、本明細書においては、摩擦締結装置10がブレーキ装置として使用された場合について説明する。図1には、変速装置6に備えられている摩擦締結装置10の部分が拡大して示されている。
次に、図2乃至図5を参照して、本発明の実施形態による摩擦締結装置の構成を説明する。
図2は、本発明の実施形態による摩擦締結装置の断面図である。図3は、本発明の実施形態による摩擦締結装置の分解斜視図である。図4は、本発明の実施形態による摩擦締結装置を、延設部の部分で切断して示す断面図である。
図2及び図3に示すように、摩擦締結装置10は、外側動力伝達部材であるケース12と、内側動力伝達部材であるハブ14と、ケース12の内周に係合するように配置された複数の大径摩擦プレート16a〜16eと、ハブ14の外周に係合するように配置された複数の小径摩擦プレート18a〜18dと、を有する。さらに、図2に示すように、摩擦締結装置10は、ケース12の内側に、ケース12の軸線A方向(図3)に移動可能に配置されたピストン20と、このピストン20を覆うように、ケース12のピストン20側の端面に取り付けられたカバー部材22と、を有する。
なお、本実施形態においては、外側動力伝達部材であるケース12が筐体2に対して固定されており、摩擦締結装置10はブレーキ装置として機能するが、外側動力伝達部材を回転可能なドラムで構成することにより、摩擦締結装置10はクラッチ装置として機能する。また、本明細書において、大径摩擦プレート16a〜16eを総称して、単に「大径摩擦プレート」と呼ぶ場合があり、小径摩擦プレート18a〜18dを総称して、単に「小径摩擦プレート」と呼ぶ場合がある。さらに、大径摩擦プレートと小径摩擦プレートを総称して、単に「摩擦プレート」と呼ぶ場合がある。
図3に示すように、ケース12は円筒状の部材であり、その中心軸線Aに沿って出力軸4(図3には図示せず)が貫通している。さらに、ケース12の内部には、中心軸線Aに沿ってハブ14が回転可能に配置されている。即ち、ケース12とハブ14は同心円上に配置されており、ハブ14は、ケース12に対して中心軸線Aを中心に回転可能に支持されている。また、ケース12の内周面には、ケース12の軸線A方向に延びるスプライン溝12aが、円周方向に間隔を空けて並べて形成されている。
ハブ14は、ケース12の内部に配置された、ケース12よりも小径の円筒状の部材であり、ハブ14の内部に出力軸4(図3には図示せず)が貫通している。摩擦締結装置10の非締結状態においては、ハブ14のケース12に対する回転が許容される一方、摩擦締結装置10の締結状態においては、ハブ14に制動力が付与され、ハブ14の回転が停止される。また、ハブ14の外周面には、軸線A方向に延びるスプライン溝14aが、円周方向に間隔を空けて複数形成されている。
図2に示すように、ケース12の内周面とハブ14の外周面は、径方向に互いに対向しており、これらの間に、プレート収容室として、環状の空間が形成される。トランスミッション1の作動時には、このプレート収容室に、潤滑装置24から一定の流量で潤滑油(ATF:Automatic Transmission Fluid)が循環供給されるようになっている。即ち、貯油槽や油圧ポンプ等(図示せず)により構成された潤滑装置24は、ハブ14の内部に形成された油導入路24a、油導入路24aとハブ14の外周を連通させるように設けられた給油孔14bを介してプレート収容室内にATFを流入させる。プレート収容室内に流入したATFは、プレート収容室とケース12の外周を連通させるように設けられた排油孔12bから流出し、ケース12から流出したATFは筐体2の内部に形成された返油路24bを通じて潤滑装置24に戻される。即ち、摩擦締結装置10は、潤滑油が循環供給される湿式の摩擦締結装置である。
図3に示すように、大径摩擦プレート16a〜16eは、概ねドーナツ型の金属板であり、ケース12の内部に軸線A方向に並べて配置されている。また、大径摩擦プレート16a〜16e各々の外周縁には、複数のスプライン歯17が、円周方向に間隔を空けて複数形成されている。各大径摩擦プレートの外周縁に形成されたスプライン歯17は、ケース12の内周面に形成されたスプライン溝12aの中に夫々受け入れられ、各大径摩擦プレートの外周縁とケース12の内周面が係合する。これにより、大径摩擦プレート16a〜16e各々は、ケース12の内側に、軸線A方向に摺動可能に配置されると共に、外周縁がケース12の内周面と係合して、ケース12に対する回転が阻止される。
また、図2に示すように、ケース12内周の、カバー部材22とは反対側の端部の内周面には、周方向に延びるリング溝12cが形成されている。このリング溝12cには、弾性を有する円弧形状のスナップリング13が嵌入されている。リング溝12cにスナップリング13を嵌入することにより、ピストン20及びカバー部材22から最も離れた位置に配置された端部大径摩擦プレートである大径摩擦プレート16eの、ピストン20から遠ざかる方向(図2における左方向)の移動が阻止される。
一方、小径摩擦プレート18a〜18dは、概ねドーナツ型の金属板であり、ハブ14の外周に、軸線A方向に並べて配置されている。また、4枚の小径摩擦プレート18a〜18dは、5枚の大径摩擦プレート16a〜16eの各々の間に夫々配置されている。即ち、大径摩擦プレートと小径摩擦プレートは、ケース12内で軸線A方向に交互に並べて配置されており、これらの摩擦プレートの両端には、大径摩擦プレート16aと、大径摩擦プレート16eが夫々位置している。なお、本実施形態においては、小径摩擦プレート18a〜18dは、大径摩擦プレート16a〜16eよりも直径が小さく、肉薄に形成されている。また、本実施形態においては、端部大径摩擦プレートである大径摩擦プレート16eは、他の大径摩擦プレートよりも厚く形成されている。
また、小径摩擦プレート18a〜18d各々の内周縁には、複数のスプライン歯19が、円周方向に間隔を空けて複数形成されている。各小径摩擦プレートの内周縁に形成されたスプライン歯19は、ハブ14の外周面に形成されたスプライン溝14aの中に夫々受け入れられ、各小径摩擦プレートの内周縁とハブ14の外周面が係合する。これにより、小径摩擦プレート18a〜18d各々は、ハブ14の外周に、軸線A方向に摺動可能に配置されると共に、内周縁がハブ14の外周面と係合して、ハブ14に対する回転が阻止される。
図2に示すように(図3には図示省略)、ピストン20は、ケース12の内側に、ケース12の軸線A方向に移動可能に配置された部材である。ピストン20を軸線A方向に摺動させることにより、大径摩擦プレート16a〜16e及び小径摩擦プレート18a〜18dが軸線A方向に移動され、ケース12とハブ14の締結状態、非締結状態を切り替えることができる。
即ち、ピストン20は、円筒状に形成された本体部20aと、本体部20aの一端から半径方向外方に延びる張出部20bと、この張出部の外周に設けられた円筒部20cと、この円筒部20cの先端に設けられ、各摩擦プレートを移動させるための押付部20dと、を有する。また、ケース12の一方の端面(ピストン20側の端面)には、ピストン20を覆うようにカバー部材22が取り付けられている。
ピストン20の本体部20aは円筒状の部分であり、ハブ14の内側に、ケース12及びハブ14と同心円上に配置されると共に、ケース12の軸線Aに沿って摺動可能に支持されている。
また、ピストン20の張出部20bは、本体部20aの一端から半径方向外方に延びるように形成された円板状の部分であり、ハブ14の端面を越えてプレート収容室内に延びている。
さらに、ピストン20の円筒部20cは、張出部20bの外周に設けられた円筒面からなる部分であり、張出部20bから大径摩擦プレート16aに向けて(カバー部材22から離れる方向に)延びている。
また、ピストン20の押付部20dは、円筒部20cの先端に設けられたフランジ状の部分であり、円筒部20cの外周に設けられ、大径摩擦プレートと平行に延びている。摩擦締結装置10を締結させる際は、ピストン20がカバー部材22から離れる方向に(図2における左方向に)移動され、これにより、押付部20dが大径摩擦プレート16aを押圧して、各摩擦プレートをカバー部材22から離れる方向に移動させる。また、後述するように、最もピストン20に近い位置に配置されている大径摩擦プレート16aは、押付部20dの先端に取り付けられており、ピストン20の移動と共に軸線A方向に、カバー部材22に近づく方向に移動される。
また、ピストン20の本体部20aの内部には隔壁部20eが設けられており、この隔壁部20eにより本体部20aの内側がカバー部材22の側と、その反対側に仕切られている。さらに、本体部20aの内側にはスプリング26が配置されており、このスプリング26が隔壁部20eを押圧することにより、ピストン20はカバー部材22に向けて付勢されている。摩擦締結装置10を締結させるために、ピストン20をカバー部材22から離間する方向に移動させる際には、スプリング26の付勢力に抗してピストン20が移動される。
さらに、隔壁部20eのカバー部材22側は、カバー部材22に向けて開口した凹部となっている。一方、カバー部材22の中央部には、ピストン20の凹部に向けて突出した凸部22aが形成されており、この凸部22aがピストン20の凹部の中に挿入されている。また、カバー部材22の凸部22aの外周面と、ピストン20の凹部の内周面の間には、シール部材28が配置され、ピストン20とカバー部材22の間がシールされている。この構成により、ピストン20の凹部の内側の空間を油圧室30として機能させることができる。摩擦締結装置10を締結させる際には、油圧ポンプ(図示せず)から油圧室30内に油が供給され、これにより油圧室30内の圧力が高くなり、ピストン20がスプリング26の付勢力に抗して、軸線A方向に、カバー部材22から離間する方向に移動される。また、摩擦締結装置10を非締結状態にする際には、油圧ポンプ(図示せず)により油圧室30から油が排出され、スプリング26の付勢力によって、ピストン20がカバー部材22に向けて移動される。
次に、大径摩擦プレートのうちのピストン20から最も離れた位置に配置された端部大径摩擦プレートである大径摩擦プレート16eの固定構造を、図4を新たに参照して説明する。
上記のように、ピストン20から最も離れた位置に配置された大径摩擦プレート16eは、そのピストン20から離れる方向の移動(図2における左方向の移動)が、ケース12の内周に取り付けられたスナップリング13(図2)により阻止されている。さらに、大径摩擦プレート16eのピストン20に近づく方向の移動(図2における右方向の移動)も、以下に説明する構造により阻止されている。このため、大径摩擦プレート16eは、ケース12に対する回転及び軸方向の移動が阻止されている。
図3に示すように、ケース12内に配置された大径摩擦プレート16a〜16eの外周には、複数のスプライン歯17が夫々形成されており、これらのスプライン歯17が、ケース12の内周に形成された、対応するスプライン溝12aの中に受け入れられることにより、各大径摩擦プレートの回転が阻止されている。ここで、各大径摩擦プレートのうち、大径摩擦プレート16a〜16dの外周に設けられているスプライン歯17のうち、一部は短く形成された短スプライン歯17bとして形成されている。即ち、大径摩擦プレート16a〜16dに夫々設けられたスプライン歯17のうち、ケース12の内周面に設けられた特定のスプライン溝12dに受け入れられるべきスプライン歯は、何れも短く形成された短スプライン歯17bとして形成されている。
これに対して、ピストン20から最も離れた位置に配置された大径摩擦プレート16eでは、スプライン溝12dに受け入れられるスプライン歯17aも他のスプライン歯17と同じ長さに形成されている。この大径摩擦プレート16eの長く形成されたスプライン歯17aは、延設部として機能し、大径摩擦プレート16eを軸線方向に固定するために利用される。このように、大径摩擦プレート16eに設けられた延設部であるスプライン歯17aは、他の大径摩擦プレートの外周よりも半径方向外方に突出するように形成されている。
即ち、ケース12の内周面に形成された複数のスプライン溝12aのうちの、特定のスプライン溝12dが受け入れる、大径摩擦プレート16a〜16dに形成された短スプライン歯17bは短く、大径摩擦プレート16eに形成されたスプライン歯17aは長くされている。このため、スプライン溝12dの底面と、短く形成された短スプライン歯17bの先端との間には空間ができる。このスプライン溝12dの中の空間は、ケース12のピストン20側の端面から、ピストン20から最も離れた位置に配置された大径摩擦プレート16eの延設部であるスプライン歯17aまで、ケース12の軸線方向に延びるプレート押さえ通路として機能する。
図4は、本実施形態の摩擦締結装置10を、プレート押さえ通路であるスプライン溝12dに沿って切断した断面図である。
図4に示すように、大径摩擦プレート16a〜16dに形成された短スプライン歯17bは、ケース12の内周面に設けられたスプライン溝12dの底面まで延びておらず、各短スプライン歯17bの先端と、スプライン溝12dの底面との間にプレート押さえ通路が形成される。このスプライン溝12d内のプレート押さえ通路は、ケース12のカバー部材22側(図4の右側)の端面から、大径摩擦プレート16eの延設部であるスプライン歯17aまで延びている。
さらに、スプライン溝12d内のプレート押さえ通路には、棒状の部材であるプレート押さえ部材32が挿入されている。このプレート押さえ部材32の基端部は直角に折り曲げられており、この折曲部分がビス32aにより、カバー部材22の端面に固定されている。プレート押さえ部材32は、プレート押さえ通路の中を、ケース12のカバー部材22側の端面から、大径摩擦プレート16eのスプライン歯17aまで延びている。また、プレート押さえ部材32の先端は、大径摩擦プレート16eのスプライン歯17aに当接し、大径摩擦プレート16eの軸線方向の移動を規制している。即ち、大径摩擦プレートのうちの最もピストン20から離れた位置に配置されている大径摩擦プレート16eは、そのピストン20とは反対側の面がスナップリング13によって押さえられ、ピストン20側の面がプレート押さえ部材32の先端で押さえられている。従って、大径摩擦プレート16eは、スナップリング13とプレート押さえ部材32の先端の間に挟まれることにより、ケース12内における軸線方向の位置が固定されている。
なお、図3においては、図面を簡略化するため、各大径摩擦プレートは7枚のスプライン歯を有し、これらのスプライン歯がケース12の7本のスプライン溝に受け入れられているが、より多くのスプライン歯、スプライン溝を設けることができる。また、図3に示す例では、7本のスプライン溝のうちの1本のスプライン溝12dがプレート押さえ通路として利用されているが、複数のスプライン溝をプレート押さえ通路として利用することができる。即ち、プレート押さえ通路、プレート押さえ部材32、及び大径摩擦プレート16eの延設部(スプライン歯17a)を夫々複数設けておき、複数のプレート押さえ部材32により大径摩擦プレート16eの移動を規制することができる。好ましくは、3本以上のプレート押さえ部材32を設け、3箇所以上の延設部で大径摩擦プレート16eの移動を規制する。これにより、大径摩擦プレート16eを、ケース12の軸線に対して垂直に維持することができる。
また、図3及び図4に示す例では、スプライン溝12dに受け入れられる短スプライン歯17bは、他のスプライン歯17よりも短く形成されているが、スプライン溝12dに対応する位置には、スプライン歯を設けなくても良い。或いは、スプライン溝12dに受け入れられるスプライン歯を他のスプライン歯17と同じ長さに形成しておき、大径摩擦プレート16eの延設部であるスプライン歯17aを他のスプライン歯17よりも長く形成することもできる。この場合には、プレート押さえ通路として利用されるスプライン溝12dを他のスプライン溝12aよりも深く形成しておく。また、本実施形態においては、スプライン溝の一部がプレート押さえ通路として利用されているが、スプライン溝とは別にプレート押さえ通路を形成しておき、このプレート押さえ通路にプレート押さえ部材32を挿入することにより、大径摩擦プレート16eの移動を規制することもできる。
さらに、本実施形態においては、プレート押さえ部材32は、ビス32aでカバー部材22に取り付けられているが、プレート押さえ部材をカバー部材22と一体に形成することもできる。また、プレート押さえ部材32は、ケース12の端面に取り付けることもできる。
次に、大径摩擦プレートのうちのピストン20に最も近接した位置に配置されたピストン側大径摩擦プレートである大径摩擦プレート16aのピストンに対する固定構造を、図5を新たに参照して説明する。
上述したように、ピストン20に最も近接した位置に配置された大径摩擦プレート16aは、ピストン20に固定されており、ピストン20の移動と共に軸線方向に移動されるように構成されている。以下では、大径摩擦プレート16aのピストンに対する固定構造を説明する。
図3に示すように、ケース12に形成されたスプライン溝のうちの特定のスプライン溝12eは、他のスプライン溝よりも深く形成されており、このスプライン溝12eの中に、大径摩擦プレート16aをピストン20に固定するための連結部材34(図5)が挿入される。また、スプライン溝12eの中に受け入れられるスプライン歯のうち、大径摩擦プレート16b〜16eに形成された短スプライン歯17cは他のスプライン歯よりも短く形成されている。一方、ピストン20に最も近接した大径摩擦プレート16aについては、スプライン溝12eに受け入れられるスプライン歯も他のスプライン歯と同一の長さに形成されている。
図5は、本実施形態の摩擦締結装置10を、連結部材34が挿入されたスプライン溝12eに沿って切断した断面図である。
図5に示すように、スプライン溝12eは、他のスプライン溝よりも深く形成されているため、ピストン20に最も近接した大径摩擦プレート16aのスプライン歯17の先端と、スプライン溝12eの底面との間に隙間が形成される。この隙間に連結部材34が挿入され、大径摩擦プレート16aがピストン20に固定される。また、大径摩擦プレート16b〜16eに夫々形成されたスプライン歯は、短スプライン歯17cであるため、これらの短スプライン歯17cの先端と、スプライン溝12eの底面との間には、さらに大きな隙間が形成される。
具体的には、連結部材34は薄い金属板から形成されており、ピストン20の円筒部20cの周囲に巻かれるベルト状の環状部34aと、この環状部34aから大径摩擦プレート16aに向けて延びる係合部34bと、を有する。
環状部34aは、細長い金属薄板から構成され、ピストン20の円筒部20cの周囲に巻き付けられることにより、連結部材34をピストン20に固定するように構成されている。また、円筒部20cの先端には、フランジ状の押付部20dが設けられているため、円筒部20cの外周に巻き付けられた環状部34aが押付部20dと係合し、環状部34aが大径摩擦プレートの方にずれるのが防止される。
係合部34bは、細長い金属薄板からから構成され、環状部34aからピストン20の半径方向外方に延びた後、軸線A方向に折り曲げられ、大径摩擦プレート16aを越えてピストン20の反対側へ延びている。即ち、連結部材34の係合部34bは、大径摩擦プレート16aのスプライン歯17の先端と、スプライン溝12eの底面との間の隙間を通って、大径摩擦プレート16aを越えて延びている。さらに、係合部34bは、大径摩擦プレート16aを越えた後、半径方向内方に折り曲げられ、半径方向内方に向けて突出した凸部34cを形成して、軸線A方向に延びている。半径方向内方に折り曲げられることにより、係合部34bの凸部34cが、大径摩擦プレート16aの、ピストン20とは反対側の面と係合して、大径摩擦プレート16aをピストン20に固定している。また、大径摩擦プレート16aは、連結部材34の係合部34bと係合することにより、ピストン20の側に引きつけられ、大径摩擦プレート16aはピストン20の押付部20dと当接する。即ち、連結部材34は、大径摩擦プレート16aをピストン20に向けて付勢して、大径摩擦プレート16aをピストン20の押付部20dに当接させている。
また、連結部材34の係合部34bは、スプライン溝12eの中を軸線方向に延びているが、大径摩擦プレート16b〜16eの、スプライン溝12eに受け入れられるスプライン歯は、短スプライン歯17cとして短く形成されている。このため、摩擦締結装置10を締結させるため、ピストン20を(図5における左方向に)移動させた場合でも、大径摩擦プレート16aを越えて延びている係合部34bが、大径摩擦プレート16a以外の他の大径摩擦プレートと干渉することはない。
なお、図3に示す例では、7本のスプライン溝のうちの1本のスプライン溝12eに連結部材34の係合部34bが挿入されているが、連結部材34に複数の係合部34bを設けておき、複数のスプライン溝に係合部34bが挿入されるように本発明を構成するのが良い。好ましくは、3本以上の係合部34bを設け、3箇所以上でピストン側の大径摩擦プレート16aを、ピストン20に向けて付勢する。これにより、大径摩擦プレート16aを、ピストン20の押付部20dに確実に当接させることができる。
また、図3及び図5に示す例では、スプライン溝12eに受け入れられる短スプライン歯17cは、他のスプライン歯17よりも短く形成されているが、スプライン溝12eに対応する位置には、スプライン歯を設けなくても良い。さらに、図3及び図5に示す例では、大径摩擦プレート16aの、係合部34bを係合させるスプライン歯を通常の長さとし、大径摩擦プレート16b〜16eのスプライン歯を短く形成しているが、係合部34bを係合させるスプライン歯を長く形成しておき、大径摩擦プレート16b〜16eのスプライン歯を通常の長さで形成することもできる。さらに、本実施形態においては、大径摩擦プレート16aのスプライン歯に係合部34bを係合させているが、スプライン歯以外の部分に係合部34bを係合させるように本発明を構成することもできる。この場合には、ケース12及び大径摩擦プレート16b〜16eが係合部34bと干渉しないよう、これらの形状を適宜調整する必要がある。
次に、本実施形態による摩擦締結装置10の組み立て手順を説明する。
まず、ケース12内にハブ14が回転可能に配置された状態とする。次に、スナップリング13(図2)を縮径させた状態でケース12内に挿入し、スナップリング13がケース12のリング溝12cと整合した位置で、スナップリング13を拡径させる。これにより、スナップリング13がリング溝12cの中に嵌入される。次いで、端部大径摩擦プレートである大径摩擦プレート16eを、ケース12のカバー部材22側の端部から挿入する。大径摩擦プレート16eは、ケース12内周面の各スプライン溝12aとスプライン歯17が係合した状態で、カバー部材22側の端部から軸線A方向に摺動し、スナップリング13と当接する位置まで挿入される。
次に、小径摩擦プレート18aをケース12のカバー部材22側の端部から挿入する。小径摩擦プレート18aは、スプライン歯19とスプライン溝14a係合した状態で、カバー部材22側の端部からハブ14のスプライン溝14aに沿って軸線A方向に摺動し、大径摩擦プレート16eと当接する位置まで挿入される。以下、大径摩擦プレート及び小径摩擦プレートを交互にケース12内に挿入する。ピストン側の大径摩擦プレート16aをケース12内に配置した後、ピストン20をケース12内に組み付ける。
この状態で、ピストン20の円筒部20cの周りに環状部34aが嵌め込まれるように、連結部材34(図5)を取り付ける。連結部材34をピストン20に取り付ける際、連結部材34の係合部34bは、弾性変形により半径方向外方に向けて押し広げられる。係合部34bが半径方向外方に押し広げられることにより、係合部34bの凸部34cが、大径摩擦プレート16aのスプライン歯17を乗り越える。連結部材34がピストン20の所定位置まで嵌め込まれた状態では、スプライン歯17を乗り越えた凸部34cが大径摩擦プレート16aと係合し、大径摩擦プレート16aが、連結部材34によってピストン20の押付部20dに押しつけられる。これにより、大径摩擦プレート16aがピストン20に取り付けられ、大径摩擦プレート16aは、ピストン20と共に軸線A方向に摺動される。
次に、プレート押さえ部材32(図4)を、ビス32aによりカバー部材22に固定する。さらに、カバー部材22に固定されたプレート押さえ部材32を、ピストン20側の端部からプレート押さえ通路として機能するスプライン溝12d(図3)に挿入しながら、カバー部材22をケース12に固定する。カバー部材22がケース12に固定された状態では、プレート押さえ部材32の先端が、大径摩擦プレート16eの延設部であるスプライン歯17aに当接し、大径摩擦プレート16eは、スナップリング13とプレート押さえ部材32の間に挟まれて固定される(図4)。これにより、大径摩擦プレート16eの軸線A方向の位置が規制される。
このように、本実施形態の摩擦締結装置10は、ケース12内に大径摩擦プレート16a〜16e、及び小径摩擦プレート18a〜18dを配置した後、ピストン20をケース12内に配置し、その後、カバー部材22をケース12に固定することにより組み立てられる。その際、ピストン20から最も離れた位置に配置された大径摩擦プレート16eは、ピストン20を配置した後で、ケース12のピストン20側から延びるプレート押さえ部材32によって押さえられる。このように、カバー部材22をケース12に取り付けることにより、カバー部材22及びピストン20から最も離れた大径摩擦プレート16eが固定される。
次に、図6乃至図11を参照して、本発明の実施形態による摩擦締結装置10の作用を説明する。
図6は、本実施形態の摩擦締結装置10の締結状態と非締結状態を示す断面図である。図7は、ハブの回転数に対する、面間距離、面間圧力、及びそれによって生じる引き摺りトルクの関係をシミュレーションにより求めたグラフの一例である。図8は、従来の湿式の摩擦締結装置における、非締結状態の大径摩擦プレート及び小径摩擦プレートの分布を模式的に示す図である。図9は、本実施形態の摩擦締結装置10における、非締結状態の大径摩擦プレート及び小径摩擦プレートの分布を模式的に示す図である。図10は、大径摩擦プレートと小径摩擦プレートの間の面間距離と、これらの摩擦プレートの間の圧力の関係を示すシミュレーション結果の一例である。図11は、本実施形態の摩擦締結装置10において、ハブ14の回転数に対する、面間距離、面間圧力、及びそれによって生じる引き摺りトルクの関係をシミュレーションにより求めたグラフの一例である。
本実施形態の摩擦締結装置10は、油圧制御により、ケース12とハブ14の間の締結状態と非締結状態が切り替えられる。具体的には、図6に示すように、大径摩擦プレート16a〜16eと小径摩擦プレート18a〜18dの各々が互いに密接する状態(締結状態)と、大径摩擦プレート16a〜16eと小径摩擦プレート18a〜18dの各々が分離可能になる状態(非締結状態)との間で、摩擦締結装置10が切り替えられる。
即ち、油圧室30(図2)に圧油が供給されると、図6の左側に示すように、ピストン20の押付部20dがカバー部材22から離間する方向に移動する。これにより、各大径摩擦プレート及び各小径摩擦プレートに押付力が加わって締結状態になる。締結状態では、大径摩擦プレート16eを含む各摩擦プレートは、スナップリング13に受け止められており、押付部20dは、最もカバー部材22から離間した位置に移動される。
一方、油圧室30から圧油が排出されると、図6の右側に示すように、スプリング26の弾性力でピストン20(押付部20d)がカバー部材22の方に移動される。これにより、各大径摩擦プレート及び各小径摩擦プレートに作用していた押付力が除かれ、非締結状態になる。非締結状態では、押付部20dは最もカバー部材22に近い位置まで移動されるので、大径摩擦プレート16aと大径摩擦プレート16eの間の間隔が最も広くなる。この状態では、大径摩擦プレート16aと16eの間に配置された各大径摩擦プレート及び各小径摩擦プレートは、大径摩擦プレート16aと16eの間でフリーな状態(軸線A方向にスライド自在な状態)となる。
この非締結状態では、各大径摩擦プレート及び各小径摩擦プレートには、押付力が作用せず、かつ、軸方向にスライド自在なため、各摩擦プレートが離れていれば、本来的には、これらの間に摩擦力は作用しない。しかしながら、本実施形態の摩擦締結装置10は湿式であるため、各摩擦プレートの間にATFが介在し、その流体摩擦によって摩擦抵抗が発生して、トルク損を招くおそれがある(引き摺り現象)。
即ち、非締結状態において、ハブ14が回転していると、各摩擦プレートの間のATFには遠心力が作用し、内側から外側に向けて径方向に、ATFの流れが促進される。通常、ATFは、プレート収容室に一定の流量で供給されており、ハブ14の回転数が高くなると遠心力による流速が高くなり、プレート収容室内に供給されるATFよりも、各摩擦プレートの間からプレート収容室外に排出されるATFの量が多くなる。そのような状態になると、互いに隣接している大径摩擦プレート及び小径摩擦プレートの各板面の間に、径方向の圧力差が形成されて、板面間に負圧が発生する。
図7は、ハブの回転数に対する、面間距離(大径、小径摩擦プレートの間の距離)、面間圧力(大径、小径摩擦プレートの間の圧力)、及びそれによって生じる引き摺りトルクの関係をシミュレーションにより求めたグラフの一例である。面間距離S0は、非締結状態において、大径摩擦プレートと小径摩擦プレートの各々が、移動可能範囲Lの中で均等に、即ち等間隔に配置された場合の適正面間距離を表している。
図7に示すように、回転数が低い領域では、ATFに働く遠心力が小さく、ATFの供給量が流出量よりも多くなるため、面間圧力も高くなり(正圧)、面間距離は、ほぼ適正面間距離S0となる。このため、摩擦抵抗も小さく、引き摺りトルクも僅かである。これに対して、回転数が高い領域では、ATFに働く遠心力が大きくなる。これにより、ATFの流出量が供給量を上回る状態となり、板面間に負圧が発生する。
非締結状態における大径摩擦プレート及び小径摩擦プレートの各々は、軸方向にフリーな状態となっているため、その負圧の作用によって互いに引き付けられ、圧力バランスにより面間圧力が0(ゼロ)になる一方で、面間距離は小さくなる。このため、従来の湿式の摩擦締結装置では、図8に示すように、高回転時においては、非締結状態の大径摩擦プレート及び小径摩擦プレートが移動可能範囲Lの中で偏って位置した状態となる。即ち、各大径摩擦プレート及び小径摩擦プレートが軸方向に移動可能な範囲に対して偏って位置し、各摩擦プレートの間隔が適正面間距離S0よりも小さい面間距離Sとなり、各摩擦プレートが密集してしまう。この結果、従来の湿式の摩擦締結装置では、板面間に存在するATFの流体摩擦により、引き摺りトルクが大きくなるという問題がある。
本願発明者らは、引き摺り現象の発生メカニズムに基づいて、極めて簡単な構成で引き摺り現象を効果的に抑制できることを見出した。本発明の実施形態による摩擦締結装置10は、この知見に基づいて開発されたものである。
従来の摩擦締結装置においては、非締結状態において、全ての大径摩擦プレート及び小径摩擦プレートが軸方向にフリーな状態であるため、負圧の作用で引き付けられて互いに近接し、摩擦プレートの間隔が適正面間距離S0よりも小さくなることにより、引き摺りトルクが大きくなるという問題が発生していた。これに対し、本発明の実施形態による摩擦締結装置10においては、ピストン20から最も離れた大径摩擦プレート16eがケース12に対して固定され、ピストン20に隣接する大径摩擦プレート16aがピストン20に固定されている。この構成を採用することにより、本実施形態の摩擦締結装置10では、大径摩擦プレート16aと大径摩擦プレート16eの間に配置された全ての摩擦プレートを、図9に示すように、移動可能範囲Lの中でほぼ等間隔に分布させることに成功している。
まず、図10は大径摩擦プレートと小径摩擦プレートの間の面間距離と、これらの摩擦プレートの間の圧力(面間圧力)の関係を示すシミュレーション結果の一例である。各大径摩擦プレートと小径摩擦プレートの間には、プレート収容室内に供給されたATFが流入すると共に、流入したATFは、ATFに働く遠心力により、摩擦プレートの間から流出する。ここで、摩擦プレートの面間距離が大きい場合には、摩擦プレートの間を流れるATFに作用する流路抵抗が小さく、摩擦プレート間のATFは遠心力により容易に排出される。これに対して、摩擦プレートの面間距離が小さい場合には、摩擦プレートの間を流れるATFに作用する流路抵抗が大きく、摩擦プレート間のATFは排出されにくくなる。この結果、図10に示すように、摩擦プレートの間の面間圧力は、摩擦プレートの面間距離が小さい場合には高く、面間距離が大きい場合には低くなる。
ここで、図6の左側に示す摩擦締結装置10の締結状態から、非締結状態に移行する際には、ピストン20が、図6における右方向に移動される。本実施形態の摩擦締結装置10においては、ピストン側に位置する大径摩擦プレート16aがピストン20に固定されているため、大径摩擦プレート16aもピストン20と共に右方向に移動される。これにより、密接していた大径摩擦プレート16aと小径摩擦プレート18aの間に隙間が生じる。このように隙間が生じると、図10のシミュレーション結果に示すように、大径摩擦プレート16aと小径摩擦プレート18aの間の面間圧力が低下する。これにより、大径摩擦プレート16aと小径摩擦プレート18aの間の面間圧力が、小径摩擦プレート18aと大径摩擦プレート16bの間の面間圧力よりも低くなる。この圧力差に基づいて、小径摩擦プレート18aは、図6における右方向に移動される。
小径摩擦プレート18aが右方向に移動されると、小径摩擦プレート18aと大径摩擦プレート16bの間に隙間ができる。この結果、小径摩擦プレート18aと大径摩擦プレート16bの間の面間圧力が、大径摩擦プレート16bと小径摩擦プレート18bの間の面間圧力よりも低くなる。これにより、大径摩擦プレート16bが図6における右方向に移動される。このような作用が繰り返されることにより、大径摩擦プレート16aと小径摩擦プレート18aの間にできた隙間が、各摩擦プレート間に伝播して、各摩擦プレート間に隙間が発生する。これにより、ピストン20に隣接した大径摩擦プレート16aがピストン20と共に移動されると、他の各摩擦プレートも、図6における左方向に順次移動される。
また、或る摩擦プレートの間の間隔が、隣接する摩擦プレートの間の間隔よりも狭い場合には、間隔の狭い摩擦プレート間の圧力の方が、間隔の広い摩擦プレート間の圧力よりも高くなる。このように圧力差が生じると、間隔の狭い摩擦プレートの間隔が押し広げられ、間隔の広い摩擦プレートの間隔が狭められることになり、各摩擦プレートの間の間隔が均等になるよう自動調整される。なお、ピストン20から最も離れた位置にある大径摩擦プレート16eの裏側(スナップリング13の側)には、比較的大きな空間があり、各摩擦プレート間の圧力とは異なる圧力が作用する。しかしながら、大径摩擦プレート16eはケース12に対して軸線A方向に固定されているため、大径摩擦プレート16eの両側の圧力差に基づいて大径摩擦プレート16eが軸線方向に移動されることはない。この結果、ピストン20が非締結位置まで移動された状態では、図9に示すように、移動可能範囲Lの中に大径摩擦プレート16a〜16e、小径摩擦プレート18a〜18dがほぼ等間隔で配置され、各摩擦プレートの間隔は適正面間距離S0となる。
図11は、本発明の実施形態の摩擦締結装置10において、ハブ14の回転数に対する、面間距離、面間圧力、及びそれによって生じる引き摺りトルクの関係をシミュレーションにより求めたグラフの一例である。なお、図11においては、本実施形態の摩擦締結装置10によるシミュレーション結果を実線で、従来の摩擦締結装置によるシミュレーション結果(図7)を想像線で示している。
図11に示すように、本実施形態の摩擦締結装置10においては、各摩擦プレート間の間隔が自動的にほぼ適正面間距離S0に調整される。このため、従来の摩擦締結装置のように回転数の高い領域で面間距離が小さくなくなることはなく、回転数の高い領域においても適正面間距離S0が維持される。また、回転数の高い領域においては、各摩擦プレート間のATFが遠心力により排出されるため、各摩擦プレート間の面間圧力は負圧となる。しかしながら、本実施形態の摩擦締結装置10においては、各摩擦プレート間に均等に負圧が作用するため、各摩擦プレートの間隔は、均等に維持される。このように、本実施形態の摩擦締結装置10においては、回転数の高い領域においても、各摩擦プレート間が適正面間距離S0に維持されるため、高回転領域においても引き摺りトルクが大幅に上昇することはなく、引き摺りトルクを低減することができる。
本発明の実施形態の摩擦締結装置10によれば、プレート押さえ部材32により端部大径摩擦プレート16eの位置が所定の位置に規制されている。このため、ピストン20を移動させ、摩擦締結装置10を非締結状態(図6の右側)としたとき、各大径摩擦プレートと小径摩擦プレートの間を流れる潤滑油であるATFの圧力により、各摩擦プレートの間隔が概ね等間隔に広がり、摩擦プレート間の引き摺りによる抵抗を低減することができる。
また、本実施形態の摩擦締結装置10によれば、端部大径摩擦プレート16eの延設部であるスプライン歯17aが、他の大径摩擦プレートの外周よりも半径方向外方に突出するように形成されているので、カバー部材22の側から軸線A方向に延びるプレート押さえ部材32によって、大径摩擦プレートを越えて、容易に端部大径摩擦プレート16eのスプライン歯17aを押さえることができる(図4)。
さらに、本実施形態の摩擦締結装置10によれば、端部大径摩擦プレート16e以外の大径摩擦プレートの一部のスプライン歯を欠いて、短スプライン歯17bとするだけで、端部大径摩擦プレート16eのスプライン歯17aを延設部として利用することができる(図3)。また、ケース12のスプライン溝12dを、プレート押さえ部材32を通すプレート押さえ通路として利用することができる。このため、既存の大径摩擦プレートに僅かな変更を加えるだけで、本発明を構成することが可能になる。
また、本実施形態の摩擦締結装置10において、端部大径摩擦プレートの外周部に複数の延設部を設け、これらの延設部をプレート押さえ部材によって夫々押さえるように構成することで、端部大径摩擦プレート16eを所定の位置に確実に規制することができる。
さらに、本実施形態の摩擦締結装置10によれば、ピストン20の最も近くに配置された大径摩擦プレート16aがピストン20に固定されている(図5)ので、摩擦締結装置10を非締結状態とするためにピストン20を移動させたとき、隣接した大径摩擦プレート16aも共に移動される。これにより、各摩擦プレートは速やかに概ね等間隔に広がり、摩擦プレート間の引き摺りによる抵抗を早期に低減することができる。
また、本実施形態の摩擦締結装置10において、ピストン側の端部から軸線方向に延びるプレート押さえ部材32によって端部大径摩擦プレート16eのスプライン歯17a(延設部)が押さえられる。このため、本実施形態のように、ケース12の中に、大径摩擦プレート及び小径摩擦プレートが配置された後で、ピストン20及びカバー部材22を取り付けるタイプの摩擦締結装置10にも本発明を適用することができる。
さらに、本実施形態の摩擦締結装置10は、外側動力伝達部材であるケース12に、プレート押さえ通路を容易に形成することができるブレーキ装置に、好適に適用することができる。即ち、ブレーキ装置に使用されるケースは、一般的には、クラッチ装置に使用されるドラムよりも肉厚に形成されているので、プレート押さえ通路を容易に形成することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、本発明の摩擦締結装置をブレーキ装置に適用していたが、本発明をクラッチ装置に適用することもできる。また、上述した実施形態においては、スプライン溝の一部をプレート押さえ通路として利用していたが、スプライン溝とは別にプレート押さえ通路を設けることもできる。
さらに、上述した実施形態においては、ピストン側の大径摩擦プレート16aが、連結部材34によりピストン20に固定されていたが、溶接等、他の任意の手段で大径摩擦プレートをピストンに固定することもできる。また、上述した実施形態においては、大径摩擦プレートが5枚、小径摩擦プレートが4枚備えられていたが、摩擦プレートの枚数、スプライン歯、スプライン溝の数は、適宜変更することができる。また、スプライン歯、スプライン溝以外の手段により、外側動力伝達部材と大径摩擦プレート、内側動力伝達部材と小径摩擦プレートを夫々係合させることもできる。
1 トランスミッション
2 筐体
4 出力軸
6 変速装置
8 断続装置
10 摩擦締結装置
12 ケース(外側動力伝達部材)
12a スプライン溝
12b 排油孔
12c リング溝
12d スプライン溝(プレート押さえ通路)
13 スナップリング
14 ハブ(内側動力伝達部材)
14a スプライン溝
14b 給油孔
16a 大径摩擦プレート(ピストン側大径摩擦プレート)
16b〜16d 大径摩擦プレート
16e 大径摩擦プレート(端部大径摩擦プレート)
17 スプライン歯
17a スプライン歯(延設部)
17b 短スプライン歯
17c 短スプライン歯
18a〜18d 小径摩擦プレート
19 スプライン歯
20 ピストン
20a 本体部
20b 張出部
20c 円筒部
20d 押付部
20e 隔壁部
22 カバー部材
22a 凸部
24 潤滑装置
24a 油導入路
24b 返油路
26 スプリング
28 シール部材
30 油圧室
32 プレート押さえ部材
32a ビス
34 連結部材
34a 環状部
34b 係合部
34c 凸部

Claims (7)

  1. 外側動力伝達部材と内側動力伝達部材の間の締結、非締結を切り替える湿式の摩擦締結装置であって、
    筒状に形成された外側動力伝達部材と、
    この外側動力伝達部材の内側に、上記外側動力伝達部材に対して回転可能に配置された内側動力伝達部材と、
    上記外側動力伝達部材の内側に、上記外側動力伝達部材の軸線方向に摺動可能に配置されると共に、外周縁が上記外側動力伝達部材の内周面と係合して、上記外側動力伝達部材に対する回転が阻止されている複数の大径摩擦プレートと、
    上記内側動力伝達部材の外周に、上記内側動力伝達部材の軸線方向に摺動可能に配置されると共に、内周縁が上記内側動力伝達部材の外周面と係合して、上記内側動力伝達部材に対する回転が阻止されており、上記複数の大径摩擦プレートの各々の間に配置された小径摩擦プレートと、
    上記外側動力伝達部材の軸線方向に移動可能に配置され、上記大径摩擦プレート及び上記小径摩擦プレートを軸線方向に移動させて、上記外側動力伝達部材と上記内側動力伝達部材を締結状態にするピストンと、
    このピストンを覆うように、上記外側動力伝達部材の一方の端面に取り付けられるカバー部材と、
    上記複数の大径摩擦プレートのうち、上記ピストンから最も離れた位置に配置された端部大径摩擦プレートを所定の位置に規制するプレート押さえ部材と、
    を有し、
    上記端部大径摩擦プレートの外周部には、延設部が設けられると共に、上記外側動力伝達部材には、上記プレート押さえ部材を通すための軸線方向に延びるプレート押さえ通路が形成され、
    上記プレート押さえ部材は、上記カバー部材又は上記外側動力伝達部材に取り付けられ、又は、上記カバー部材と一体に形成されると共に、上記外側動力伝達部材のピストン側の端部から上記プレート押さえ通路の中を軸線方向に延びて上記端部大径摩擦プレートの延設部を押さえることを特徴とする摩擦締結装置。
  2. 上記端部大径摩擦プレートに設けられた上記延設部は、他の大径摩擦プレートの外周よりも半径方向外方に突出するように形成されている請求項1記載の摩擦締結装置。
  3. 上記外側動力伝達部材と上記大径摩擦プレートは、上記外側動力伝達部材の内周面に設けられたスプライン溝と、上記大径摩擦プレートの外周に設けられたスプライン歯により係合するように構成され、上記端部大径摩擦プレート以外の大径摩擦プレートは、一部のスプライン歯が欠かれており、スプライン歯を欠くことにより空いた上記スプライン溝の中が、上記プレート押さえ通路として利用され、上記プレート押さえ部材は、上記端部大径摩擦プレートの欠かれていないスプライン歯を上記延設部として押さえる請求項1又は2に記載の摩擦締結装置。
  4. 上記端部大径摩擦プレートの外周部には延設部が複数設けられ、これらの延設部が上記プレート押さえ部材によって夫々押さえられる請求項1乃至3の何れか1項に記載の摩擦締結装置。
  5. 上記複数の大径摩擦プレートのうちの、上記ピストンの最も近くに配置された大径摩擦プレートは、上記ピストンの移動と共に軸線方向に移動されるように、上記ピストンに固定されている請求項1乃至4の何れか1項に記載の摩擦締結装置。
  6. 上記ピストンは、上記大径摩擦プレート及び上記小径摩擦プレートが配置された後で、上記外側動力伝達部材の中に組み付けられるように構成されている請求項1乃至5の何れか1項に記載の摩擦締結装置。
  7. 上記摩擦締結装置は、上記外側動力伝達部材内で回転する上記内側動力伝達部材に制動力を付与するブレーキ装置として使用される請求項1乃至6の何れか1項に記載の摩擦締結装置。
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