JP2021038284A - コーティング液、防曇膜、積層体、及び積層体の製造方法 - Google Patents

コーティング液、防曇膜、積層体、及び積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】防曇性、耐水垂れ性及び防汚性に優れた防曇膜を形成することが可能なコーティング液及びその応用を提供する。【解決手段】ベタイン型フッ素化合物と、無機粒子と、バインダーとを含むコーティング液及びその応用。【選択図】なし

Description

本開示は、コーティング液、防曇膜、積層体、及び積層体の製造方法に関する。
屋内又は屋外に設置されて長期間にわたって使用される装置、建材等は、様々な環境に曝されるため、埃、塵、砂利等の堆積、風雨時の雨水などによって、予定されている機能及び性能が損なわれる場合がある。上記のような問題を解決するため、種々のコーティング技術が検討されている。
例えば、特許文献1には、多孔質無機金属酸化物と、部分的もしくは完全な加水分解及び縮合によって形成されるシラン又はシロキサンオリゴマーと、を含むコーティング組成物が記載されている。また、特許文献2には、コロイダルシリカ、界面活性剤及び溶剤を含有する下地処理剤が記載されている。さらに、特許文献3には、シロキサンバインダーと、シリカ粒子と、を含有する親水性膜が記載されている。
特許第4510794号公報 国際公開第99/063011号 特開2016−164265号公報
特許文献1〜3に記載されているように、シリカを含むコーティング液を用いて、基材表面に、親水性(防曇性)を有する膜を形成する方法は知られている。しかしながら、親水性の膜は親油性の特性を有するため、人に起因する汚れ(汗、指紋等)、部材から揮発される可塑剤等が付着しやすいといった問題があった。
本開示はこのような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の実施形態が解決しようとする課題は、防曇性、耐水垂れ性及び防汚性に優れた防曇膜を形成することが可能なコーティング液を提供することにある。また、本発明の他の実施形態が解決しようとする課題は、防曇性、耐水垂れ性及び防汚性に優れた防曇膜、防曇膜を有する積層体、及び積層体の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するための具体的手段は以下の態様を含む。
<1>ベタイン型フッ素化合物と、無機粒子と、バインダーとを含むコーティング液。
<2>ベタイン型フッ素化合物は、下記式(1)で表される化合物である<1>に記載のコーティング液。

式(1)中、Rf及びRfは、それぞれ独立に、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキル基である。Rfは、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキレン基である。Rは、2価の有機基である連結基である。Xは、カルボベタイン型、スルホベタイン型、アミンオキシド型及びホスホベタイン型からなる群より選択されるいずれかの構造を有する基である。
<3>無機粒子は、シリカ粒子又はアルミナ粒子である、<1>又は<2>に記載のコーティング液。
<4>無機粒子の平均一次粒子径は100nm以下である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載のコーティング液。
<5>バインダーは、下記式(2)で表される化合物、及び下記式(2)で表される化合物の縮合物からなる群より選択される少なくとも1種のシロキサン化合物を含む、<1>〜<4>のいずれか1つに記載のコーティング液。

式(2)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜6の1価の有機基を表し、nは、1〜20の整数を表す。
<6>バインダーの含有量に対する無機粒子の含有量の比率は、質量基準で0.9〜3.5である<1>〜<5>のいずれか1つに記載のコーティング液。
<7>ベタイン型フッ素化合物の含有量に対する無機粒子の含有量の比率は、質量基準で1.5〜18である<1>〜<6>のいずれか1つに記載のコーティング液。
<8><1>〜<7>のいずれか1つに記載のコーティング液の硬化物である防曇膜。
<9>基材上に、<1>〜<7>のいずれか1つに記載のコーティング液を塗布する工程と、塗布されたコーティング液を乾燥する工程と、を含む積層体の製造方法。
<10>基材と、基材の少なくとも一方の面に設けられた<8>に記載の防曇膜と、を有する積層体。
<11>基材は、ポリメチルメタクリレート基材又はポリカーボネート基材である、<10>に記載の積層体。
本開示によれば、防曇性、耐水垂れ性及び防汚性に優れた防曇膜を形成することが可能なコーティング液を提供することができる。また、防曇性、耐水垂れ性及び防汚性に優れた防曇膜、防曇膜を有する積層体、及び積層体の製造方法を提供することができる。
以下、本開示のコーティング液、防曇膜及び積層体について詳細に説明する。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本明細書において、「工程」という語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
<コーティング液>
本開示のコーティング液は、ベタイン型フッ素化合物と、無機粒子と、バインダーとを含む。本開示のコーティング液は、無機粒子とバインダーと共にベタイン型フッ素化合物を含むため、防曇性、耐水垂れ性及び防汚性に優れた防曇膜を形成することができる。
従来、シリカを含むコーティング液を基材に塗布することにより、親水性を有する膜を形成する方法が知られている。しかし、一般的に、親水性の膜は親油性の特性を有する。そのため、例えば、自動車ランプの表面にコーティング液を塗布して親水性の膜を形成した場合、自動車ランプの組み立て中に、人に起因する汚れ(汗、指紋等)が付着しやすい。また、自動車ランプの組み立て後には、実使用時において、構成部材から揮発される可塑剤等が付着しやすい。すなわち、過剰な汚染環境下では、親水性が低下するといった問題があった。
これに対して、本開示のコーティング液は、無機粒子及びバインダーと共にベタイン型フッ素化合物を含むため、無機粒子とベタイン型フッ素化合物とが分子レベルで局所的なイオン結合を形成し得ると考えられる。本開示では、無機粒子の表面をベタイン型フッ素化合物が取り囲むことによって、無機粒子の表面に親水撥油性が付与され、防曇性及び耐水垂れ性を維持しつつ、防汚性が飛躍的に向上したと考えられる。
[ベタイン型フッ素化合物]
本開示のコーティング液は、ベタイン型フッ素化合物を含む。本開示のコーティング液に含まれるベタイン型フッ素化合物は、1分子内にアニオン構造とカチオン構造とを有するフッ素化合物であれば特に限定されない。本開示のコーティング液は、親水撥油性の機能を発揮するベタイン型フッ素化合物を含むため、防汚性に優れる防曇膜を形成することができる。
本開示のコーティング液は、1種のベタイン型フッ素化合物を含有していてもよく、2種以上のベタイン型フッ素化合物を含有していてもよい。
本開示で用いられるベタイン型フッ素化合物は、カルボベタイン型、スルホベタイン型、アミンオキシドベタイン型及びホスホベタイン型のいずれであってもよい。ベタイン型フッ素化合物としては、下記式(1)で表される化合物が好ましく挙げられる。
式(1)中、Rf及びRfは、それぞれ独立に、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキル基である。Rfは、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキレン基である。
パーフルオロアルキル基とは、アルキル基の水素原子が全てフッ素置換された基をいう。パーフルオロアルキレン基とは、アルキレン基の水素原子が全てフッ素置換された基をいう。パーフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基、ノナフルオロイソブチル基、ウンデカフルオロ−n−ペンチル基、及びトリデカフルオロ−n−へキシル基が挙げられる。
式(1)中、Rは、2価の有機基である。Rは、直鎖状であっても分岐状であってもよい。また、Rは、分子鎖中にエーテル結合、エステル結合、アミド結合及びウレタン結合から選択される1種以上の結合を含んでいてもよい。2価の有機基は、炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基又は炭素数7〜30のアラルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜20のアルキレン基であることがさらに好ましい、炭素数2〜8のアルキレン基であることが特に好ましい。
Rがアルキレン基である場合、アルキレン基は直鎖構造であっても分岐構造であっても環状構造であってもよい。アルキレン基としては、例えば、−CH−、−C−、−C(CH−CH−、−CHC(CHCH−、−C12−、−C(C)C−、−C1836−、1,4−trans−シクロヘキシレン基、−C−OCO−NH−C−、−C−OCO−C−、−C−O−、−C−O−C10−O−、−C−NH−COO−、−C−O−CH−CH(OH)−CH−OCO−、−CH−CH(OH)−CH−、−C−OCO−、−C−O−C10−、−CH−O−C(C11)−、−C−NH−COO−C−、−C−CONH−C−、−C−OCONH−C12−、−CH−OCONHC1020−、−CHCH(OH)CH−、及び−CONH−C−が挙げられる。
アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、−C−CO−C−、−C−S−、及びナフチレン基が挙げられる。
アラルキレン基としては、例えば、−C−C−、−C−C−C−、−CH−C−C−C−、−C−OCO−C−、及び−C−O−C−C−S−を挙げることができる。
式(1)中、Xは、カルボベタイン型、スルホベタイン型、アミンオキシド型及びホスホベタイン型からなる群より選択されるいずれかの構造を有する基である。Xは、末端に、カルボベタイン型の「−N(CHCO 」、スルホベタイン型の「−N(CHSO 」、アミンオキシド型の「−N」又はホスホベタイン型の「−OPO (CH10」を有することが好ましい。nは1〜5 の整数である。R、R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。
式(1)で表されるカルボベタイン型の化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
式(1)で表されるスルホベタイン型の化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
式(1)で表されるアミンオキシド型の化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
式(1)で表されるホスホベタイン型の化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
ベタイン型フッ素化合物は、市販品を用いてもよく、例えば、エフロンティアA0111(三菱マテリアル電子化成社製)が挙げられる。
ベタイン型フッ素化合物に含まれるフッ素原子数は、ベタイン型フッ素化合物の全原子数に対して10at%(原子%)〜80at%であることが好ましく、より好ましくは20at%〜60at%である。フッ素原子数が10at%以上であると、親水撥油性の機能がより発揮され、防汚性により優れた防曇膜を形成することができる。また、フッ素原子数が80at%以下であると、コーティング液中に、ベタイン型フッ素化合物が溶解しやすく、ベタイン型フッ素化合物の含有量を高めることが可能となる。これにより、親水撥油性の機能がより発揮され、防汚性により優れた防曇膜を形成することができる。なお、各ベタイン型フッ素化合物のフッ素原子数は、19F−NMR(フッ素19核磁気共鳴)を用いて化合物の構造を解析し、フッ素の原子数を、化合物全体の原子数で除することにより算出することができる。
コーティング液におけるベタイン型フッ素化合物の含有量は、コーティング液の固形分量に対して1質量%〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは3質量%〜20質量%である。ベタイン型フッ素化合物の含有量が1質量%以上であると、防曇性及び透明性により優れた防曇膜を形成することができる。ベタイン型フッ素化合物の含有量が30質量%以下であると、耐水垂れ性及び防汚性により優れた防曇膜を形成することができる。
[無機粒子]
本開示のコーティング液は、無機粒子を含む。本開示では、コーティング液に無機粒子を含有させることにより、形成される防曇膜の表面を親水性とし、防曇性及び耐水垂れ性を向上させることができる。また、無機粒子はベタイン型フッ素化合物と組み合わせても凝集することないため、ヘイズを低く抑えることができ、透明性に優れる。
本開示のコーティング液は、1種の無機粒子を含有していてもよく、2種以上の無機粒子を含有していてもよい。無機粒子を2種以上含む場合、サイズ及び形状の少なくとも一方が互いに異なっていてもよい。
無機粒子としては、無機酸化物粒子が好ましく、金属酸化物粒子がより好ましい。ここで、金属酸化物粒子における金属には、B、Si、Ge、As、Sb、Te等の半金属も含まれる。
金属酸化物粒子としては、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、Ce、Gd、Tb、Dy、Yb、Lu、Ti、Zr、Hf、Nb、Mo、W、Zn、B、Al、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Te等の原子を含む酸化物粒子が好ましい。また、耐傷性向上の観点からモース硬度が6以上の金属酸化物粒子であることが好ましい。モース硬度が6以上の金属酸化物粒子としては、例えば、シリカ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子及びアルミナ粒子が挙げられ、シリカ粒子及びアルミナ粒子が好ましい。
シリカ粒子としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。シリカ粒子としては、例えば、ヒュームドシリカ及びコロイダルシリカが挙げられる。
ヒュームドシリカは、ケイ素原子を含む化合物を気相中で酸素及び水素と反応させることによって得ることができる。原料となるケイ素化合物としては、例えば、ハロゲン化ケイ素(例えば、塩化ケイ素)が挙げられる。
コロイダルシリカは、原料化合物を加水分解及び縮合するゾルゲル法により合成することができる。コロイダルシリカの原料化合物としては、例えば、アルコキシケイ素(例えば、テトラエトキシシラン)、及びハロゲン化シラン化合物(例えば、ジフェニルジクロロシラン)が挙げられる。
無機粒子は、上市されている市販品を用いてもよい。
シリカ粒子の市販品としては、例えば、エボニック社のAEROSIL(登録商標)シリーズ、日産化学工業社のスノーテックス(登録商標)シリーズ(例えば、スノーテックスOXS、スノーテックスO−33、及びスノーテックスOL)、ナルコ社のNalco(登録商標)シリーズ(例えば、Nalco8699)、及び、扶桑化学工業社のクォートロンPLシリーズ(例えば、PL−1)が挙げられる。
アルミナ粒子の市販品としては、例えば、川研ファインケミカル社のアルミナゾルシリーズ(例えば、アルミゾルF−3000)、及び、多木化学社のバイラールシリーズ(例えば、AL−7)が挙げられる。
無機粒子の形状としては、球状、板状、針状、数珠状、又はこれらの2種類以上が合体した形状が挙げられる。なお、球状とは、真球状のほか、回転楕円体、卵形等の形状である場合も含む。また、無機粒子は、耐傷性向上の観点から、平均アスペクト比が大きい形状を有していることが好ましい。具体的には、無機粒子のアスペクト比としては、5〜3000が好ましく、30〜1000がより好ましい。
無機粒子の平均一次粒子径は、透明性向上の観点から、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましく、20nm以下であることが特に好ましい。また、無機粒子の平均一次粒子径は、良好な防曇性を維持する観点から、2nm以上であることが好ましく、8nm以上であることがより好ましい。無機酸化物粒子の平均一次粒子径は、透明性及び防曇性の両立の観点から、8nm〜20nmであることが好ましい。
無機粒子の平均一次粒子径は、以下の方法によって測定される、円相当径の算術平均値である。透過型電子顕微鏡を用いて得られた観察像から選択された300個のシリカの一次粒子の投影面積を測定する。得られた投影面積から、各無機粒子の円相当径を求める。各無機粒子の円相当径の算術平均値を求め、得られた値を無機粒子の平均一次粒子径とする。
コーティング液における無機粒子の含有量は、コーティング液の固形分量に対して20質量%〜70質量%であることが好ましく、30質量%〜65質量%であることがより好ましく、40質量%〜60質量%であることが特に好ましい。無機粒子の含有量が20質量%以上であると、防曇性及び耐水垂れ性により優れた防曇膜を形成することができる。無機粒子の含有量が70質量%以下であると、透明性により優れた防曇膜を形成することができる。
バインダーの含有量に対する無機粒子の含有量の比率は、質量基準で0.9〜3.5であることが好ましい。比率が0.9以上であると、防曇性及び透明性により優れた防曇膜を形成することができる。比率が3.5以下であると、耐水垂れ性により優れた防曇膜を形成することができる。
ベタイン型フッ素化合物の含有量に対する無機粒子の含有量の比率は、質量基準で1.5〜18であることが好ましい。比率が1.5以上であると、防曇性及び透明性により優れた防曇膜を形成することができる。比率が18以下であると、防汚性により優れた防曇膜を形成することができる。
[バインダー]
本開示のコーティング液は、バインダーを含む。本開示のコーティング液に含まれるバインダーは、無機粒子同士を結着させる機能を有する化合物であれば特に限定されない。バインダーとしては、例えば、ポリりん酸及びシロキサン化合物が挙げられ、シロキサン化合物であることが好ましい。具体的に、バインダーは、下記式(2)で表される化合物、及び下記式(2)で表される化合物の縮合物からなる群より選択される少なくとも1種のシロキサン化合物を含むことが好ましい。コーティング液にバインダーとしてシロキサン化合物が含まれていると、防曇性及び防汚性により優れた防曇膜を形成することができる。
式(2)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜6の1価の有機基を表し、nは、1〜20の整数を表す。
本開示において、「式(2)で表される化合物の縮合物」とは、式(2)で表される化合物中のSi−OR、Si−OR、Si−OR、及びSi−ORの少なくとも1つにおいて、シロキサン結合(Si−O−Si)が形成された構造を有する化合物を意味する。式(2)で表される化合物の縮合物は、例えば、2分子以上の式(2)で表される化合物が、互いに縮合又は加水分解縮合することによって形成され得る。加水分解縮合について、式(2)中のRがメチル基(−CH)である場合を例に以下説明する。加水分解縮合の一例においては、Si−OCHの加水分解によってSi−OHが形成され、次いで、Si−OHの脱水縮合によってSi−O−Siが形成される。
式(2)で表される化合物の縮合物の構造としては、制限されず、例えば、ランダム型、直線型、ラダー型、かご型等が挙げられる。
式(2)中、R、R、R、及びRで表される水素原子は、原料として添加された化合物に含まれる水素原子であってもよく、加水分解によって導入された水素原子であってもよい。すなわち、式(2)中、R、R、R、及びRの少なくとも1つが水素原子である場合、式(2)中のSi−OHの少なくとも1つは、原料として添加された化合物に含まれるSi−OHであってもよく、加水分解によって形成されたSi−OHであってもよい。
式(2)中、R、R、R、及びRで表される炭素数1〜6の1価の有機基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、環状であってもよい。1価の有機基としては、例えば、アルキル基、及びアルケニル基が挙げられ、アルキル基であることが好ましい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、及びシクロヘキシル基が挙げられる。
式(2)中、R、R、R、及びRで表される炭素数1〜6の1価の有機基は、加水分解性の観点から、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
式(2)中、nは、1〜20の整数を表し、3〜12であることが好ましく、5〜12であることがより好ましい。nが20以下であると、コーティング液の粘度が高くなり過ぎず、均一性の高い防曇膜を形成することができる。また、nが1以上であると、式(2)で表される化合物の反応性を制御し易く、親水性に優れた防曇膜を形成することができる。
下記表1に、式(2)で表される化合物の具体例を示す。ただし、本開示における式(2)で表される化合物は、表1に記載の化合物に限定されるものではない。
式(2)で表される化合物は、市販品であってもよい。式(2)で表される化合物は、例えば、三菱ケミカル社製のMKC(登録商標)シリケート(例えば、MS51、MS56)として入手可能である。
式(2)で表される化合物の重量平均分子量(Mw)は、300〜1500であることが好ましく、500〜1200であることがより好ましい。重量平均分子量(Mw)は、以下の方法によって測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定できる。GPCによる重量平均分子量の測定は、測定装置として、HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー社製)を用い、カラムとして、TSKgel、及びSuperHM−H(東ソー社製、6.0mmID×15cm)をそれぞれ1本用い、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用いて測定できる。また、測定条件としては、試料濃度を0.5質量%、流速を0.6mL/min、サンプル注入量を10μL、測定温度を40℃とする。検出器としては、示差屈折計(RI)検出器を用いることができる。検量線は、東ソー社製「polystyrene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、及び「F−700」の10サンプルから作製されたものを用いることができる。
本開示のコーティング液は、1種のシロキサン化合物を含んでいてもよく、2種以上のシロキサン化合物を含んでいてもよい。
コーティング液におけるバインダーの含有量は、コーティング液の固形分量に対して5質量%〜40質量%であることが好ましく、10質量%〜35質量%であることがより好ましく、15質量%〜30質量%であることが特に好ましい。
本開示のコーティング液は、ベタイン型フッ素化合物、無機粒子及びバインダー以外に、他の成分を含有していてもよい。
[溶剤]
本開示のコーティング液は、溶剤をさらに含むことが好ましい。溶剤として、沸点120℃以上の高沸点溶剤と、高沸点溶剤以外の溶剤とを組み合わせて用いることが好ましい。
本開示のコーティング液に沸点120℃以上の高沸点溶剤を含有させると、コーティング液を塗布した際の塗布膜のレベリング性が向上し、ヘイズが低く、表面の平滑性が高い防曇膜が得られる。
高沸点溶剤の沸点は、塗布膜のレベリング性をより高め、ヘイズのより低い防曇膜が得られる点から、140℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましい。なお、コーティング液による塗布膜の乾燥不良を抑制する点からは、高沸点溶剤の沸点の上限は、230℃が好ましい。
高沸点溶剤としては、例えば、1,3−ブタンジオール(207℃)、1,4−ブタンジオール(228℃)、ベンジルアルコール(205℃)、テルピオネール(217℃)等のアルコール系溶剤;
エチレングリコール(197℃)、ジエチレングリコール(244℃)、トリエチレングリコール(287℃)、プロピレングリコール(187℃)、ジプロピレングリコール(230℃)等のグリコール系溶剤;
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(194℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(202℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(231℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(249℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(121℃)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(170℃)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(150℃)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(174℃)、ジエチレングリコールモノへキシルエーテル(261℃以上)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート(160℃)、メチルセロソルブ(エチレングリコールモノメチルエーテル、125℃)、エチルセロソルブ(エチレングリコールモノエチルエーテル、135℃)、ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル、171℃)、エチレングリコール−モノ−tert−ブチルエーテル(153℃)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(243℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(188℃)等のグリコールエーテル系溶剤;
ジエチレングリコールジメチルエーテル(162℃)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(176℃)、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル(179℃)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(216℃)等のエーテル系溶剤;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(145℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(217℃)、酢酸エチル(154℃)、乳酸エチル(154℃)、酢酸3−メトキシブチル(172℃)等のエステル系溶剤;
ジアセトンアルコール(169℃)、シクロヘキサノン(156℃)、シクロペンタノン(131℃)等のケトン系溶剤が挙げられる。なお、括弧内の数値は沸点を示す。
高沸点溶剤は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
高沸点溶剤の含有量は、コーティング液の全質量に対して、15質量%〜60質量%が好ましく、20質量%〜50質量%がより好ましく、20質量%〜40量%がさらに好ましい。
高沸点溶剤以外の溶剤としては、水及び沸点が120℃未満の有機溶剤が挙げられる。
バインダーとしてシロキサン化合物を用いる場合、水は、シロキサン化合物の加水分解反応に寄与する。水としては、不純物がより少ないという観点から、イオン交換水、純水、蒸留水等が好ましい。
水の含有量は、コーティング液の全質量に対して、5質量%〜60質量%であることが好ましく、10質量%〜55質量%であることがより好ましく、10質量%〜35質量%であることがさらに好ましい。
沸点が120℃未満の有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、tert−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール系溶剤;
ジプロピレングリコールメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;
イソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶剤;
アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤;
等が挙げられる。
沸点が120℃未満の有機溶剤としては、表面エネルギーが低く、コーティング液の塗れ広がり性を高められる観点から、アルコール系溶剤が好ましい。
沸点が120℃未満の有機溶剤は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
沸点が120℃未満の有機溶剤の含有量は、コーティング液の全質量に対して、15質量%〜60質量%が好ましく、20質量%〜50質量%がより好ましく、20質量%〜40量%が更に好ましい。
〔酸基を有する樹脂〕
本開示のコーティング液は、酸基を有する樹脂をさらに含むことが好ましい。
酸基を有する樹脂における酸基としては、無機粒子に対し吸着性能を有する酸基であれば特に限定されず、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、及びリン酸基が挙げられる。
酸基を有する樹脂の酸価は、無機粒子に対する吸着性能の発現、無機粒子の分散性向上、無機粒子間の空隙サイズの均一化等の観点から、180mgKOH/g以下であることが好ましく、100mgKOH/g以下であることがより好ましい。
なお、酸価の下限値は特に限定されないが、3mgKOH/gとすることが好ましい。
酸基を有する樹脂の酸価は、指示薬の滴定により測定することができ、具体的には、JIS K 0070に記載の方法に従い、酸基を有する樹脂の固形分1g中の酸成分を中和する水酸化カリウムのmg数を測定して算出することができる。
また、酸基を有する樹脂の重量平均分子量(Mw)は、シリカ粒子に対する吸着性能の発現、シリカ粒子の分散性向上、シリカ粒子間の空隙サイズの均一化等の観点から、1000〜200000であり、より好ましくは1000〜50000であり、更に好ましくは5000〜30000である。
酸基を有する樹脂は市販品としても入手可能である。
本開示のコーティング液に使用しうる酸基を有する樹脂の市販品としては、例えば、ビックケミー社のDISPERBYK(登録商標)−2015(酸基:カルボキシ基、酸価:10mgKOH/g)、DISPERBYK(登録商標)−2010(酸基:カルボキシ基、酸価:20mgKOH/g)、DISPERBYK(登録商標)−194((酸基:カルボキシ基、酸価:70mgKOH/g)、東亞合成(株)のアロン(登録商標)A−6012(酸基:スルホン酸基、重量平均分子量:10000)、アロン(登録商標)A−6001(酸基:カルボキシ基、pH:7〜9(水溶液濃度)、重量平均分子量:8000)、アロン(登録商標)SD−10(酸基:カルボキシ基、pH:2〜5(水溶液濃度)、重量平均分子量:10000)、エボニック社のTEGO(登録商標)Dispers651(酸基:リン酸基、酸価:30mgKOH/g)、エボニック社のEUDRAGIT(登録商標)L100(酸基:カルボキシ基、メタクリル酸とメタクリル酸メチルの共重合体、重量平均分子量:125000)、EUDRAGIT(登録商標)S100(酸基:カルボキシ基、メタクリル酸とメタクリル酸メチルの共重合体、重量平均分子量:125000)等が挙げられる。
本開示のコーティング液は、酸基を有する樹脂を1種のみ含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
コーティング液における酸基を有する樹脂の含有量は、無機粒子に対して、20質量%〜60質量%であることが好ましく、25質量%〜50質量%であることが好ましく、30質量%〜45質量%であることがさらに好ましい。
(その他の添加剤)
本開示のコーティング液は、必要に応じて、さらにその他の添加剤を含有してもよい。
その他の添加剤としては、例えば、コーティング液により形成される防曇膜の膜性向上、基材との密着性向上等を目的として用いられる密着助剤、汚染物質の付着防止効果を向上させるための帯電防止剤、光による劣化を防止する紫外線吸収剤、熱による劣化を防止する酸化防止剤等が挙げられる。
[コーティング液の調製方法]
本開示のコーティング液の調製方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。バインダーとして式(2)で表される化合物を用いる場合、まず、式(2)で表される化合物と水とを接触させることによって、式(2)で表される化合物の加水分解物を含む混合液を調製する。その後、得られた混合液に無機粒子、ベタイン型フッ素化合物、及び必要に応じて他の成分を添加する方法が挙げられる。加水分解物は、例えば、式(2)で表される化合物の反応性基(すなわち、−OR、−OR、−OR、及び−ORをいう。)の少なくとも1つが加水分解によってヒドロキシ基に変換されることで形成される。
式(2)で表される化合物の加水分解反応は、室温(25℃)でも進行するが、反応促進のために、式(2)で表される化合物と水との混合液を調製した後、得られた混合液を30℃〜50℃に加温してもよい。
反応時間は、十分に加水分解反応を進行させるという観点からは、加温状態で1時間〜36時間反応させることが好ましい。
本開示のコーティング液の調製方法としては、特開2016−164265号公報の段落0086〜段落0110に記載の方法を適宜適用することもできる。これらの記載は、参照により本明細書に取り込まれる。
<防曇膜>
本開示の一実施形態において、防曇膜は、上記コーティング液の硬化物である。防曇膜は、上記コーティング液の硬化物であるため、防曇性、耐水垂れ性及び防汚性に優れる。コーティング液は、上記「コーティング液」の項において説明したとおりであり、好ましい範囲も同様である。
防曇膜の厚さは、特に限定されず、用途、要求特性等に応じて適宜設定できる。防曇膜の厚さは、防曇性、及び耐傷性の観点から、20nm〜1000nmであることが好ましく、50nm〜800nmであることがより好ましく、100nm〜600nmであることが特に好ましい。
防曇膜の厚さは、以下の方法によって測定する。
防曇膜の厚さ方向の断面観察像において、無作為に選択した10箇所で測定される防曇膜の厚さの算術平均値を求め、得られる値を防曇膜の厚さとする。防曇膜の厚さ方向の断面観察像は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて得ることができる。
<積層体の製造方法>
本開示の積層体の製造方法は、基材上に、上記コーティング液を塗布する工程と、上記塗布されたコーティング液を乾燥する工程と、を含む。これにより、基材上にコーティング液の硬化物である防曇膜が形成される。
基材としては、例えば、ガラス、樹脂材料(プラスチックス材料)、金属、セラミックス等が挙げられる。
基材は、光、及び熱に対する耐久性に優れる点で、ポリメチルメタクリレート(PMMA)基材又はポリカーボネート基材であることが好ましい。
基材の厚さは、特に限定されず、用途等に応じて適宜設定できる。基材の厚さは、例えば、0.05mm〜10mmとすることができる。
本開示の積層体の製造方法において用いられるコーティング液は、上記「コーティング液」の項において説明したとおりであり、好ましい範囲も同様である。
コーティング液を塗布する方法としては、制限されず、例えば、スプレー塗布、刷毛塗布、ローラー塗布、バー塗布、ディップ塗布(浸漬塗布ともいう。)等が挙げられる。
コーティング液の塗布量は、制限されず、コーティング液中の固形分濃度、防曇膜の厚さの設計値等に応じて適宜設定できる。コーティング液の塗布量は、塗布精度の観点から、0.1mL/m〜1000mL/mであることが好ましく、0.5mL/m〜500mL/mであることがより好ましく、1mL/m〜200mL/mであることが特に好ましい。
塗布されたコーティング液を乾燥する方法としては、制限されず、例えば、加熱装置を用いる方法が挙げられる。加熱装置としては、制限されず、公知の加熱装置を適用できる。加熱装置としては、例えば、オーブン、電気炉等が挙げられる。
乾燥温度は、特に限定されず、例えば、20℃〜150℃の範囲で適宜設定できる。
乾燥時間は、特に限定されず、例えば、1分間〜60分間の範囲で適宜設定できる。
コーティング液の塗布及び乾燥方法としては、特開2016−164265号公報の段落0111〜段落0116に記載の方法を適宜適用することもできる。これらの記載は、参照により本明細書に取り込まれる。
<積層体>
本開示の積層体は、基材と、基材の少なくとも一方の面に設けられた防曇膜とを有する。本開示の積層体は、上記防曇膜を有するため、防曇性、耐水垂れ性及び防汚性に優れる。
本開示の積層体は、基材を有する。本開示の積層体における基材は、上記「防曇膜」の項において説明したとおりであり、好ましい範囲も同様である。
本開示の積層体は、防曇膜を有する。防曇膜は、上記「防曇膜」の項において説明したとおりであり、好ましい範囲も同様である。
<用途>
本開示のコーティング液、防曇膜、及び積層体の用途は、特に限定されない。本開示のいくつかの実施形態は、例えば、車両灯具(例えば、ヘッドランプ、テールランプ、ウィンカーランプ)の保護材として好適に用いられる。また、本開示のいくつかの実施形態は、例えば、監視カメラ、建材、標識、メガネ、ゴーグル等の部材として用いることができる。本開示のいくつかの実施形態によれば、例えば上記用途において、防曇性、耐水垂れ性及び防汚性に優れる。
以下、本開示を実施例によりさらに具体的に説明するが、本開示はその主旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
<加水分解液の調製>
下記各成分を混合し、混合物を得た。
・エタノール:46質量部
・テトラメトキシシランの部分加水分解オリゴマー(製品名「MKC(登録商標)シリケートMS51」、三菱ケミカル社製):54質量部
上記混合物に、イオン交換水100質量部を徐々に加え、最後に、酢酸(濃度100%)を6質量部添加し、室温(25℃、以下同様)で24時間以上撹拌した。
得られた混合物において、テトラメトキシシランの部分加水分解オリゴマーは完全に加水分解されており、シロキサン加水分解物を含む加水分解液が得られた。
<コーティング液の調製>
以下の成分を混合することで、コーティング液を調製した。得られたコーティング液を実施例1のコーティング液1とした。
・上記加水分解液:100質量部(固形分濃度27質量%)
・コロイダルシリカの水分散液(製品名「スノーテックス(登録商標)O−33」、日産化学社製、固形分濃度33質量%、平均一次粒子径10nm〜15nm):150質量部
・アクリルコポリマーの水溶液(製品名「DISPERBYK(登録商標)−2015」、ビックケミー社製、固形分濃度40質量%):63質量部
・イオン交換水:296質量部
・エタノール:817質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル:744質量部
・ベタイン型フッ素化合物1:ベタイン型含窒素フッ素化合物(製品名「エフロンティア(登録商標)A0111」、固形分濃度1質量%):480質量部
<防曇膜の形成及び積層体の製造>
得られたコーティング液1を、基材であるポリカーボネート基板(旭硝子(株)、カーボグラスC−110、厚さ:0.5mm)の片方の面上に、スプレーガン(アネスト岩田(株)、W−101−101G)により塗装し、30℃で1分間静置した後、120℃で20分間乾燥し、基材上に乾燥後の膜厚が300nmの防曇膜を形成した。これにより、基材上に防曇膜が形成された積層体を得た。
〔実施例2〜7、9〜18、及び比較例1〜3〕
コーティング液に含まれる無機粒子、バインダー及びベタイン型フッ素化合物の合計固形分量に対する各成分(無機粒子、バインダー及びベタイン型フッ素化合物)の含有量が表2に記載の値になるように、使用する成分の種類及び使用量を適宜変更して、加水分解液の調製及びコーティング液の調製を行ったこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2〜7、9〜18及び比較例1〜3のコーティング液を調製した。次に、コーティング液として、実施例2〜7、9〜18、及び比較例1〜3のコーティング液を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、基材と防曇膜とを有する積層体を製造した。
〔実施例8〕
コーティング液に含まれる無機粒子、バインダー及びベタイン型フッ素化合物の合計固形分量に対する各成分(無機粒子、バインダー及びベタイン型フッ素化合物)の含有量が表2に記載の値になるように、使用する成分の種類及び使用量を適宜変更して、加水分解液の調製及びコーティング液の調製を行ったこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例8のコーティング液8を調製した。
得られたコーティング液8を、基材であるポリメチルメタクリレート(PMMA)基板(クラレ(株)製、コモグラス、厚さ:1.0mm)の片方の面上に、スプレーガン(アネスト岩田(株)、W−101−101G)により塗装し、30℃で1分間静置した後、80℃で20分間乾燥し、基材上に乾燥後の膜厚が300nmの防曇膜を形成した。これにより、基材上に防曇膜が形成された積層体を得た。
実施例及び比較例の積層体について、防曇性、耐水垂れ性、防汚性及び透明性の評価を行った。評価方法は以下のとおりである。評価結果を表2に示す。
<防曇性>
40℃の湯浴を用意し、得られた積層体の防曇膜のあらかじめ定めた5cm×5cmの領域のみに温浴からの蒸気を当て、曇りが生じるまでの時間を測定した。評価基準は以下のとおりである。評価は、A及びBを合格とした。
A:1分30秒以上曇りがなく、かつ、透過像がぼけて見える揺らぎもない。
B:30秒以上1分30秒未満曇りがなく、かつ、透過像がぼけて見える揺らぎもない。
C:30秒未満で曇りが発生し、透過像が見えない。
<耐水垂れ性>
10cm×10cmの大きさのサンプルを用意し、防曇膜の表面に霧吹きで10mLの水をかけて強制的に水膜を形成した。その後、垂直に立てかけた状態で静置乾燥させた。この操作を10回繰り返した後、垂れ跡(すなわち、水垂れの痕跡)の有無を目視で観察した。評価基準は以下のとおりである。評価は、A及びBを合格とした。
A:垂れ跡がない
B:垂れ跡が僅かに見える
C:垂れ跡がはっきりと見える
<防汚性>
10cm×10cmの大きさのサンプルを用意し、防曇膜の表面に対し、n−ヘキサデカンを1μLずつ滴下した。室温(25±1℃)下、防曇膜の表面と液滴との接触部位で形成される角度(単位:度)を、自動接触角計(製品名「DM−901」、協和界面科学社製)を用いて測定した。角度が大きいほど、防汚性に優れる。評価基準は以下のとおりである。評価は、A及びBを合格とした。
A:80°以上
B:30°以上80°未満
C:30°未満
<透明性>
ヘイズメーター(型番:NDH 5000、日本電色工業(株)製)を用いて、積層体のヘイズ(Haze)を測定した。得られた測定値を、透明性を評価する指標とした。基材よる差異を除去するため、へイズは積層体での測定値から基材のみでの測定値を引くことにより算出した。測定は、積層体の基材面、すなわち積層体の親水撥油層が形成されている面とは反対側の面を光源に向けて行った。ヘイズが低いほど、透明性に優れる積層体であることを意味する。また、積層体が透明性に優れるということは、防曇膜が透明性に優れることを意味する。評価基準は以下のとおりである。評価は、A、B及びCを合格とした。
A:ヘイズが0.8%未満である。
B:ヘイズが0.8%以上1.2%未満である。
C:ヘイズが1.2%以上1.6%未満である。
D:ヘイズが1.6%以上2.0%未満である。
表2に記載した略語の詳細を以下に示す。
・ST−O33:コロイダルシリカの水分散液(製品名「スノーテックスO−33」、平均一次粒子径10nm〜15nm、固形分濃度33質量%)
・MS51:テトラメトキシシランの部分加水分解オリゴマー(製品名「MKC(登録商標)シリケートMS51」、三菱ケミカル社製)
・AKP−G008:酸化アルミニウム(製品名「AKP−G008」、住友化学社製、平均一次粒子径80nm)
・KE−P10:シリカ(製品名「シーホスター(登録商標)KE−P10」、平均一次粒子径0.12μm、日本触媒社製)
・ポリりん酸:和光純薬社製、固形分濃度84%
・ベタイン型フッ素化合物1:製品名「エフロンティア(登録商標)A0111」、固形分濃度1質量%)
・ベタイン型フッ素化合物2:下記に記載のカルボベタイン型の化合物
・ベタイン型フッ素化合物3:下記に記載のスルホベタイン型の化合物
・ベタイン型フッ素化合物4:下記に記載のスルホベタイン型の化合物
・ベタイン型フッ素化合物5:下記に記載のスルホベタイン型の化合物
・ベタイン型フッ素化合物6:下記に記載のアミンオキシド型の化合物
・ベタイン型フッ素化合物7:下記に記載のホスホベタイン型の化合物
・ベタイン型フッ素化合物8:パーフルオロアルケニルオキシアラルキルベタイン(製品名「アモーゲンK」、第一工業製薬社製)
なお、各ベタイン型フッ素化合物のフッ素原子数は、表2に記載のとおりである。フッ素原子数は、19F−NMR(フッ素19核磁気共鳴)を用いて化合物の構造を解析し、フッ素の原子数を、化合物全体の原子数で除することにより算出した。
表2に示すように、実施例1〜実施例18では、ベタイン型フッ素化合物と、無機粒子と、バインダーとを含むコーティング液を用いたため、防曇性、耐水垂れ性及び防汚性に優れた防曇膜を有する積層体が得られた。
特に、実施例1では、バインダーの含有量に対する無機粒子の含有量の比率が質量基準で0.9〜3.5であるため、実施例15と比較して、耐水垂れ性により優れた防曇膜を有する積層体が得られた。また、実施例1では、バインダーの含有量に対する無機粒子の含有量の比率が質量基準で0.9〜3.5であるため、実施例18と比較して、防曇性及び透明性により優れた防曇膜を有する積層体が得られた。
実施例1では、ベタイン型フッ素化合物の含有量に対する無機粒子の含有量の比率が質量基準で1.5〜18であるため、実施例16と比較して、防汚性により優れた防曇膜を有する積層体が得られた。また、実施例1では、ベタイン型フッ素化合物の含有量に対する無機粒子の含有量の比率が質量基準で1.5〜18であるため、実施例18と比較して、防曇性及び透明性により優れた防曇膜を有する積層体が得られた。
実施例1では、無機粒子の平均一次粒子径が100nm以下であるため、実施例10と比較して、透明性により優れた防曇膜を有する積層体が得られた。
実施例1では、バインダーがシロキサン化合物であるため、実施例11と比較して、防曇性及び耐水垂れ性により優れた防曇膜を有する積層体が得られた。
実施例1〜実施例7では、ベタイン型フッ素化合物が式(1)で表される化合物であるため、実施例12と比較して、防曇性により優れた防曇膜を有する積層体が得られた。
一方、比較例1では、コーティング液にベタイン型フッ素化合物が含まれていないため、形成された防曇膜は、防汚性に劣ることが分かった。
比較例2では、コーティング液にバインダーが含まれていないため、耐水垂れ性に劣ることが分かった。
比較例3では、コーティング液に無機粒子が含まれていないため、防曇性に劣ることが分かった。
以上より、本開示のコーティング液は、ベタイン型フッ素化合物と、無機粒子と、バインダーとを含むため、防曇性、耐水垂れ性及び防汚性に優れた防曇膜を形成することができる。また、本開示の防曇膜及び積層体は、防曇性、耐水垂れ性及び防汚性に優れる。

Claims (11)

  1. ベタイン型フッ素化合物と、無機粒子と、バインダーとを含むコーティング液。
  2. 前記ベタイン型フッ素化合物は、下記式(1)で表される化合物である請求項1に記載のコーティング液。

    式(1)中、Rf及びRfは、それぞれ独立に、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキル基である。Rfは、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキレン基である。Rは、2価の有機基である連結基である。Xは、カルボベタイン型、スルホベタイン型、アミンオキシド型及びホスホベタイン型からなる群より選択されるいずれかの構造を有する基である。
  3. 前記無機粒子は、シリカ粒子又はアルミナ粒子である、請求項1又は請求項2に記載のコーティング液。
  4. 前記無機粒子の平均一次粒子径は100nm以下である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のコーティング液。
  5. 前記バインダーは、下記式(2)で表される化合物、及び下記式(2)で表される化合物の縮合物からなる群より選択される少なくとも1種のシロキサン化合物を含む、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のコーティング液。

    式(2)中、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜6の1価の有機基を表し、nは、1〜20の整数を表す。
  6. 前記バインダーの含有量に対する前記無機粒子の含有量の比率は、質量基準で0.9〜3.5である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のコーティング液。
  7. 前記ベタイン型フッ素化合物の含有量に対する前記無機粒子の含有量の比率は、質量基準で1.5〜18である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のコーティング液。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のコーティング液の硬化物である防曇膜。
  9. 基材上に、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のコーティング液を塗布する工程と、
    塗布されたコーティング液を乾燥する工程と、
    を含む積層体の製造方法。
  10. 基材と、前記基材の少なくとも一方の面に設けられた請求項8に記載の防曇膜と、を有する積層体。
  11. 前記基材は、ポリメチルメタクリレート基材又はポリカーボネート基材である、請求項10に記載の積層体。
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