JP2021037865A - 台車、階段昇降装置及び搬送方法 - Google Patents

台車、階段昇降装置及び搬送方法 Download PDF

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Abstract

【課題】階段を用いて効率的に荷物を搬送することができる台車、搬送装置及び搬送方法を提供する。【解決手段】台車10は、荷物を収容する収容部11、走行用車輪15a〜15d及び積載用車輪17a〜17dを備える。積載用車輪17a〜17dは、走行用車輪15a〜15dより小さく中心側に設けられる。搬送装置20は、移動機構21、荷台部30及び水平軸A1に対して両方向に回転可能なスロープ部35を備える。荷台部30には、1対の積載用ガイドレール33,34が設けられ、スロープ部35には、スロープガイドレール38,39が設けられる。スロープ部35を荷台部30と直線的に配置して、積載用車輪17a〜17dを、スロープガイドレール38,39の上及び積載用ガイドレール33,34の上に走行させて、台車10を搬送装置20の荷台部30に載置する。台車10を固定した後、搬送装置20の移動機構21を駆動させて階段を昇降させる。【選択図】図8

Description

本発明は、階段において荷物を搬送する台車、階段昇降装置及び搬送方法に関する。
リニューアル工事等においては、工事用のエレベータを設置せずに、既存のエレベータを用いて資機材を搬送することがある。この場合、既存のエレベータは、工事関係者と建物使用者とで共同使用することになるため、エレベータの待ち時間による作業ロスや搬出入の物量によっては、階段を使用しての手運びとなることがある。
また、搬送対象物を搬送する搬送装置が知られている(例えば、特許文献1〜4参照。)。特許文献1には、搬送物を載せた状態で階段を昇降する階段昇降装置が記載されている。特許文献2には、台車に運搬された搬送物をクレーンで吊り下げるメッシュパレットが記載されている。特許文献3には、車椅子を搭載する載置台を備え、階段を昇降する車椅子用階段昇降機が記載されている。特許文献4には、階段昇降時に、階段昇降装置の重心位置を階段の上部側に移動させる走行装置が記載されている。
特開2018−188095号公報 実用新案登録第3029507号公報 特開平4−154493号公報 特開平8−239065号公報
資材や廃材の搬出入のために平地における運搬作業においては、車輪付きのかご台車等が用いられることが多い。このため、階段を使用して搬送物を昇降する場合には、階段の近傍まで、台車で搬送した後、台車に載置した荷物を、搬送装置に積み替えていた。このため、搬送作業や搬送効率が悪かった。
上記課題を解決する台車は、荷物を収容する収容部と、前記収容部の底面に取り付けられた1対の走行用車輪と、前記1対の走行用車輪の間に取り付けられた1対の積載用車輪とを備え、前記積載用車輪の最下位置が、前記走行用車輪の最下位置よりも高い位置に取り付けられている。これにより、走行用車輪の内側にある積載用車輪を用いて階段昇降装置に載せることができ、走行用車輪を用いる場合よりも階段昇降装置の幅を狭くすることができる。
上記課題を解決する階段昇降装置は、台車を載置する荷台部と、前記荷台部の下方に配置され、階段に接触して前記階段を昇降する昇降機構とを備えた階段昇降装置であって、前記荷台部は、載置される前記台車の1対の積載用車輪を走行させる1対の積載用ガイドレールを備え、前記荷台部の一端部には、水平軸に対して両方向に回転可能にスロープ部が設けられ、前記スロープ部には、前記一端部において前記積載用ガイドレールに続くスロープガイドレールが設けられている。これにより、荷物を台車に載せたままの状態で、スロープ部を用いて台車を荷台部に載置し、階段の昇降時にはスロープ部を跳ね上げて収容できる。
上記階段昇降装置において、前記スロープ部には、前記スロープガイドレールの端部を、前記積載用車輪の高さに応じた高さにする端部支持部が設けられていることが好ましい。これにより、台車の着地状態から、積載用車輪をスロープガイドレールに速やかに載せることができる。
上記階段昇降装置において、前記積載用ガイドレールには、前記荷台部の他端部に、前記台車の積載用車輪の受止機構が設けられていることが好ましい。これにより、台車を荷台部に固定できる。
上記階段昇降装置において、前記スロープ部には、前記荷台部に載置した前記台車に前記スロープ部を立て掛けるように回転させた状態で、前記台車を係止するロック機構が設けられていることが好ましい。これにより、スロープ部を用いて、載置した台車を固定することができる。
上記階段昇降装置において、前記荷台部には、前記荷台部の載置面に対する角度を変更可能な荷台ハンドル部が設けられていることが好ましい。これにより、階段において、階段昇降装置が傾斜した場合にも、ハンドル操作を容易に行なうことができる。
上記課題を解決する搬送方法は、荷物を収容した台車を、階段昇降装置の荷台部に載置して、階段を昇降するための搬送方法であって、前記台車は、荷物を収容する収容部と、前記収容部の底面に取り付けられた1対の走行用車輪と、前記1対の走行用車輪の間に取り付けられ、前記走行用車輪の最下位置よりも高い位置に最下位置が設けられている1対の積載用車輪とを備え、前記階段昇降装置は、載置される前記台車の前記1対の積載用車輪を走行させる1対の積載用ガイドレールが設けられている荷台部と、前記荷台部の下方に配置され、階段に接触して前記階段を昇降する昇降機構と、前記積載用ガイドレールに続くスロープガイドレールが設けられ、水平軸に対して両方向に回転可能に前記荷台部の一端部に設けられたスロープ部とを備え、前記スロープ部の端部を着地させるように倒した上で、前記台車の積載用車輪を、前記スロープガイドレールの上及び前記積載用ガイドレールの上を走行させて、前記台車を前記荷台部に載置し、前記台車を固定した後、前記昇降機構を駆動して、前記階段を昇降させる。これにより、搬送装置の荷台部に台車を効率的に載せて、荷物を台車に載せた状態のまま階段で搬送することができる。
本発明によれば、階段を用いて、台車に載せた荷物を効率的に搬送することができる。
実施形態における台車の説明図であって、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は正面図、(d)は底面図、(e)は要部の拡大斜視図。 実施形態における搬送装置の説明図であって、(a)は前方斜めから見た斜視図、(b)は側面図。 実施形態における搬送装置の上面図。 実施形態における搬送装置の重心調整機構を説明する概略構成図であって、(a)は可動台の要部の説明図、(b)は可動台を取り外した要部の説明図。 実施形態における操作ボックスの正面図。 実施形態において積載用スロープを跳ね上げた状態の搬送装置を後方斜めから見た斜視図。 実施形態における搬送装置の要部の拡大正面図。 実施形態における搬送方法の搬送装置への台車の積載作業を説明する説明図であって、(a)は台車を積載する前、(b)は台車を積載させている途中の状態、(c)は台車を載置した状態、(d)はスロープ部を跳ね上げて台車を固定した状態を示す。 実施形態における階段昇降作業を説明する説明図。 実施形態における階段昇降時の搬送装置の状態を説明する説明図であって、(a)は階段途中、(b)は階段の最上段に到着した状態を示す。
以下、図1〜図10を用いて、台車、階段昇降装置及び搬送方法を具体化した一実施形態を説明する。本実施形態の台車は、主に修繕や改修等のリニューアル工事を行なう工事現場において、資機材等の荷物を搬送する。
(台車10の構成)
図1(a)〜(d)は、本実施形態の台車10の斜視図、側面図、前方から見た正面図、底面図である。図1(e)は、台車10の右前方の上端部の要部の拡大斜視図である。
図1(a)に示すように、台車10は、幅が約700mm、前後の長さが約800mmである。この台車10は、上面開口部を備えた箱形状(略直方体形状)の収容部11と、収容部11の上面開口部を覆う板状の蓋部材12と、台車ハンドル部14とを備える。収容部11及び蓋部材12は、鉄のメッシュ(格子)部材を用いて構成される。蓋部材12は、収容部11の側面の上部に設けたヒンジ10Hを介して、両方向に回転可能に収容部11に取り付けられる。
また、ヒンジ10Hと対向する部分(側面の上部)の収容部11には、蓋部材12を固定するロック機構10Rが設けられる。
図1(e)に示すように、収容部11のロック機構10R側の角の上面には、高さ数cmのゴム部材13が設けられている。これにより、収容部11の上面と蓋部材12との間に空間を空けた状態で、蓋部材12をロック機構10Rによってロックすることができる。
図1(b)に示すように、台車ハンドル部14は、台車10の後方の上部に設けられる。この台車ハンドル部14は、作業者によって把持されて、台車10を押して移動させるために用いられる。
図1(d)に示すように、収容部11の底面には、2対(4つ)の走行用車輪15a,15b,15c,15dが設けられる。これら走行用車輪15a〜15dは、同じ大きさであって、収容部11の中心軸C1に対して左右対称に間隔L1をおいて配置される。
更に、収容部11の底面には、2対(4つ)の積載用車輪17a,17b,17c,17dが設けられる。積載用車輪17a〜17dは、走行用車輪15a〜15dに対して中心軸C1側に設けられ、走行用車輪15a〜15dより小さく同じ大きさである。各対の積載用車輪17a〜17dは、中心軸C1に対して左右対称で、間隔L2をおいて配置される。間隔L2は間隔L1より小さい。
図1(c)に示すように、積載用車輪17a〜17dの最下位置は、床面(着地面)から高さH1の位置になるキャスターが用いられる。すなわち、各積載用車輪17a〜17dは、走行用車輪15a〜15dの着地位置(最下位置)よりも高くなる。
(搬送装置20の構成)
次に、図2〜図7を用いて、階段昇降装置としての搬送装置20の構成について説明する。本実施形態では、操作側を「前方」、その反対側を「後方」と呼ぶ。搬送装置20は、台車10の対となる走行用車輪15a〜15dの間隔L1よりも狭い幅を有する。具体的には、搬送装置20は、幅が350mm程度、後述する荷台ハンドル部40の高さが1200mm程度である。後述するように、搬送装置20の可動台31はスライド可能である。搬送装置20の長さは、可動台31がスライドしていない状態で約1300mm、スライドした状態で約1600mmである。
図2(a)、(b)、図3は、搬送装置20の前方側から見た斜視図、側面図及び上面図である。図4、図5は、搬送装置20の要部を説明する説明図、図6及び図7は、搬送装置20の後方側から見た斜視図、要部の正面図である。
図2に示すように、搬送装置20は、移動機構21、重心調整機構25、バッテリー載置部27、バッテリー28、制御ボックス29、荷台部30、スロープ部35、荷台ハンドル部40、操作ボックス45を備える。移動機構21の上に、重心調整機構25を介して荷台部30が配置される。荷台部30には、スロープ部35及び荷台ハンドル部40が取り付けられる。また、荷台ハンドル部40には、操作ボックス45が取り付けられる。バッテリー28はバッテリー載置部27の上に載置され、バッテリー載置部27は、移動機構21に固定される。
移動機構21は、株式会社サンワ製の商品名「DU101R」のクローラ機構及び車輪走行機構を、階段昇降機構として備える。クローラ機構は、離間した1対(2つ)のクローラベルト22bと、クローラベルト22bを駆動する駆動モータ及びプーリー等とを備え、階段の昇降時に、階段に接触して搬送装置20を移動させる。本実施形態では、クローラベルト22bは、前方が高くなるように、前方の2つのプーリーと、後方の1つのプーリーに巻回される。
また、車輪走行機構は、複数の車輪23を備える。車輪23の最下位置は、クローラベルト22bの最下位置よりも下側に位置し、平地走行時に車輪23が平地に接触して搬送装置20を移動させる。
更に、図7に示すように、搬送装置20の荷台部30には、旋回用キャスター24が設けられている。この旋回用キャスター24は、中心軸C2近傍に配置されており、車輪23に対応する位置に設けられる。旋回用キャスター24の最下位置は、通常は、クローラベルト22b及び車輪23より高い位置にある。踏板24aを踏み込むことにより、旋回用キャスター24が降下して着地し、クローラベルト22b及び車輪23の一部を浮かせる。再度、踏板24aを踏み込むことにより、旋回用キャスター24の最下位置が、クローラベルト22b及び車輪23よりも高くなる。
図2に示すように、移動機構21の上方には、フレームを介して、重心調整機構25が設けられる。重心調整機構25の上には、可動台31が前後にスライド可能に配置される。可動台31は、クローラベルト22bの上面に沿って前方側が高くなるように傾斜して設けられる。
図2(a)に示すように、可動台31は、略直方体形状の上面部と、この上面部の両側部から下方にそれぞれ延びる2つの側板部31sとを備える。更に、可動台31は、前方側の端部において下方に延びる前板部31fを備える。この前板部31fの前面には、ベルト係止部30aが設けられる。
可動台31の上面部には、1対(2つ)の積載用ガイドレール33,34が離間して配置される。各積載用ガイドレール33,34は、上が開口した断面がコの字形状の部材で形成される。
図2(b)に示すように、積載用ガイドレール33,34は、可動台31の傾斜に応じて、前方側が高くなるように傾斜している。
図3に示すように、積載用ガイドレール33,34は、台車10の積載用車輪17a〜17dの間隔L2で配置される。
各積載用ガイドレール33,34の前方側の他端部33a,34aは、端に向かって幅が広がった形状を有している。
また、図6に示すように、他端部33a,34aは、受止機構として機能し、下方に折れて低くなるように傾斜している。これにより、台車10の前側の積載用車輪17a,17bが他端部33a,34aのそれぞれに至ると、他端部33a,34aの傾斜に積載用車輪17a,17bが係止する。
図4を用いて、重心調整機構25を説明する。図4(a)は、可動台31の重心調整機構25の要部の説明図、図4(b)は、図4(a)の可動台31を取り外した要部の説明図である。
重心調整機構25は、1対(2つ)のスライドレール、油圧シリンダ25s及び駆動モータ25mを備える。
スライドレールは、断面がコの字形状のアウター部25rと、このアウター部25rの凹部に嵌合して摺動するインナー部31rとを備える。各アウター部25rの後方端部は、制御ボックス29の両側に取り付けられている。アウター部25rの前方側は、連結部材25fにより連結されている。制御ボックス29及び連結部材25fは、フレームを介して移動機構21に固定される。
各インナー部31rは、可動台31の側板部31sの内側に取り付けられる。
油圧シリンダ25sは、可動台31のほぼ中央の裏面に配置される。油圧シリンダ25sのロッドは、可動台31の前板部31fの後方面に取り付けられる。そして、この油圧シリンダ25sは、下方に配置された駆動モータ25mによって駆動されて、ロッドを伸縮させる。ロッドを伸長させた場合には、アウター部25r及び制御ボックス29に対して前方に可動台31を移動させる。また、伸長したロッドを縮めた場合には、アウター部25r及び制御ボックス29に対して後方に可動台31を移動させる。
荷台部30の可動台31の中央は開口されており、この開口を覆う荷台蓋部32が着脱可能に設けられる。荷台蓋部32に対応する位置には、バッテリー載置部27が配置される。このバッテリー載置部27は、フレームを介して移動機構21に固定される。バッテリー載置部27は、積載するバッテリー28の位置を決める位置決め部材27aを備える。バッテリー28は、荷台蓋部32を取り外して交換される。なお、バッテリー28は、ベルトによって固定され、制御ボックス29に電源を供給する。
図2(b)に示すように、荷台部30の後方側の一端部30bには、スロープ部35が、水平軸A1を中心として、両方向に回転可能に設けられている。
図6に示すように、スロープ部35は、本体部、端部支持部36及びストッパー37を備える。
図3に示すように、スロープ部35の本体部には、1対のスロープガイドレール38,39が設けられている。
スロープガイドレール38,39は、可動台31の積載用ガイドレール33,34に、それぞれ一直線で続くように、間隔L2で離間して設けられる。スロープガイドレール38,39には、上が開口した断面がコの字形状の部材で形成される。スロープガイドレール38,39の後方側の端部は、端部の横幅が徐々に広がっている。
図6に示すように、スロープ部35の本体部の裏面には、ベルト係止部35aと端部支持部36とを備える。ベルト係止部35aは、固定のために、台車10に掛け回すベルトの端部を係止する。端部支持部36はクッション部36aを備える。この端部支持部36は、スロープ部35を床面に倒した場合に、スロープガイドレール38,39の端部の高さを着地面よりも高くする。本実施形態の端部支持部36は、図2(b)に示すように、スロープガイドレール38,39の積載面の高さを、台車10の積載用車輪17a〜17dの高さH1と同じにする。
図2(a)に示すように、スロープ部35の本体部の中央には、長方形状のストッパー37を備える。このストッパー37は、本体部の開口部に嵌るように取り付けられる。ストッパー37は、スロープ部35の開口部の前方側に設けたヒンジによって、スロープ部35の本体部に、両方向に回転可能に取り付けられる。ストッパー37は、ロック機構として機能し、回転して、搬送装置20に積載された台車10を係止することによって、台車10の回転動作を抑制する。
一方、荷台部30の前方側には、荷台ハンドル部40を備える。荷台ハンドル部40は、逆Uの字形状に成形されたパイプ部材で構成され、離間した1対のスタンド部と、スタンド部の上端部を接続するグリップ部とを備える。
荷台ハンドル部40の各スタンド部の下端部は、荷台部30の前方に傾斜可能に取り付けられる。本実施形態では、荷台部30の載置面(可動台31の上面)に対して垂直な位置から約20度まで傾斜する。更に、荷台ハンドル部40の各スタンド部の後方には、取付板40aが取り付けられている。各取付板40aの下部と可動台31とは、バネ41で連結される。このバネ41により、荷台ハンドル部40のスタンド部は、力が加わらない場合には、傾斜位置から元の垂直な位置に戻る。
荷台ハンドル部40のグリップ部には、稼働ボタン42が配置される。この稼働ボタン42は、制御ボックス29に接続され、搬送装置20のクローラ機構を可動させる場合に押下される。
また、荷台ハンドル部40の1対のスタンド部に掛け渡された取付棒43には、操作ボックス45が取り付けられている。
図5に示すように、操作ボックス45には、電源投入操作部45k、バッテリー容量表示45d、非常停止ボタン45b、走行方向スイッチS1、重心移動スイッチS2、速度可変スイッチS3が設けられている。走行方向スイッチS1は、搬送装置20の移動方向(階段の上昇又は下降)を選択する操作部である。重心移動スイッチS2は、重心の移動方向(前方側又は後方側)を選択する操作部である。速度可変スイッチS3は、搬送装置20の移動速度を選択する操作部である。
(搬送方法)
次に、図8〜図10を用いて、上述した台車10及び搬送装置20の使用方法(搬送方法)について説明する。ここでは、台車10に積載した資機材を、搬送装置20に積載し、この搬送装置20で階段を昇降し、目的階に到着した後、台車10を搬送装置20から降ろす場合について説明する。本実施形態では、搬送装置20が昇降する階段は、折り返し階段であって、階段の幅及び階段の入口の寸法は、約900mm以上であり、階段の踊り場の寸法は、約1200mm以上×約1800mm以上である。また、この階段は、18度から35度の傾斜を有する。
<搬送装置20への台車10の積載作業>
まず、搬送装置20への台車10の積載作業について説明する。
作業場において台車10に荷物を積み込む。荷物としては、例えば、資機材や解体材、搬入車両からの荷物等がある。具体的には、台車10の収容部11に、荷物を収容した後、蓋部材12を閉じて、ロック機構10Rによって固定する。
搬送装置20は、階段の傍に待機させておく。
台車10を搬送装置20の傍まで移動させ、搬送装置20と台車10とが直線になるように配置する。搬送装置20のクローラベルト22bの前方側にキャンバー板を挟み込むことにより、車輪23の一部を浮かせて、クローラベルト22bの後方側を着地させる。電源を入れない場合、クローラベルト22bは回転せず、搬送装置20は固定状態になる。
次に、図8(a)に示すように、搬送装置20のスロープ部35を床面側に倒す。この場合、スロープ部35のスロープガイドレール38,39の端部の載置面は、積載用車輪17a〜17dの高さH1とほぼ同じ位置に配置される。
そして、台車ハンドル部14を把持して台車10を押すことにより、積載用車輪17a〜17dをスロープ部35のスロープガイドレール38,39に載せる。この場合、台車10の走行用車輪15a〜15dは、搬送装置20よりも間隔が広いため、走行用車輪15a〜15dが搬送装置20の外側に位置した状態で、台車10は荷台部30に載る。
図8(b)に示すように、積載用ガイドレール33,34に従って、台車10を押し登らせる。
そして、図8(c)に示すように、前方の積載用車輪17a,17bが、他端部33a,34aに至ると落ち込んで、台車10は固定状態になる。
次に、図8(d)に示すように、スロープ部35の端部支持部36を把持して、端部支持部36を持ち上げるように、スロープ部35を、水平軸A1を中心にして回転させる。そして、スロープ部35を台車10に立て掛ける。更に、スロープ部35のストッパー37を回転させて、先端を台車10に引っ掛ける。
次に、ベルトB1を、スロープ部35のベルト係止部35a及び荷台部30のベルト係止部30aに引っ掛けて、ベルトB1の長さを調整して台車10を固定する。この場合、搬送装置20の重心位置C3は、移動機構21のほぼ中央の上方に位置する。
<階段昇降作業>
次に、搬送装置20によって、階段を昇降する作業について説明する。ここでは、上昇する場合を説明する。
図9に示すように、電源投入処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、操作ボックス45の電源投入操作部45kにより電源を投入する。
次に、クローラ機構の設定処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、操作ボックス45の走行方向スイッチS1を「上昇」に設定し、速度可変スイッチS3で速度を設定する。
そして、荷台ハンドル部40のグリップ部に設けた稼働ボタン42を押下する(ステップS1−3)。稼働ボタン42が押下されている間は、クローラ機構が作動して、クローラベルト22bが階段に接触しながら、搬送装置20は階段を登り始める。
なお、この場合、図8(d)に示すように、搬送装置20の荷台部30は後方に位置している。
搬送装置20が階段を登り始めると、搬送装置20の可動台31の傾斜が大きくなる。この場合、操作ボックス45の重心移動スイッチS2を押下して(ステップS1−4)、荷台部30を前方に移動させる。
図10(a)に示すように、搬送装置20の前方への荷台部30の移動に伴い、搬送装置20の重心位置C3も前方に移動する。ここでは、荷台ハンドル部40を引いて支持するため、荷台ハンドル部40を前方に傾斜させる。
図10(b)に示すように、階段を登り切る直前に、重心移動スイッチS2のボタンを押下して、荷台部30を後方に移動させながら、稼働ボタン42を押下してクローラを動作させる。
そして、階段の踊り場で搬送装置20を旋回する場合には、踏板24aを踏み込むことにより、旋回用キャスター24を降下させて着地させる(ステップS1−5)。この場合、クローラベルト22b及び車輪23の一部が浮き上がる。そして、荷台ハンドル部40を把持して、搬送装置20を旋回させて、次の階段に対して搬送装置20の前方(荷台ハンドル部40側)を向ける。
<搬送装置20から台車10の降ろし作業>
次に、搬送装置20から台車10を降ろす作業について説明する。この作業は、階段における搬送後に行なわれる。
まず、キャンバー板を用いることにより、車輪23の一部を浮かせて、クローラベルト22bの後方側を着地させて、搬送装置20を固定する。
次に、ベルト係止部30a,35aからベルトB1を取り外し、ストッパー37を台車10から外すことにより、搬送装置20における台車10の固定を解除する。
次に、台車10に立て掛けられていたスロープ部35を回転させて、端部支持部36を床面に着地させる。
そして、搬送装置20の荷台部30から台車10を降ろす。具体的には、台車ハンドル部14を把持して、台車10を後方に引っ張り、積載用車輪17a,17bを、積載用ガイドレール33,34の他端部33a,34aから引き出し、後方に移動させる。この場合、積載用車輪17a〜17dは、積載用ガイドレール33,34及びスロープ部35のスロープガイドレール38,39に沿って移動する。積載用車輪17a〜17dがスロープガイドレール38,39の端部に至った場合には、台車10の走行用車輪15a〜15dが着地する。更に、台車10を後方に引いて、搬送装置20から降ろす。そして、台車10を目的地に移動させ、ロック機構10Rの解除、蓋部材12の開放により、台車10の収容部11から荷物を取り出す。
本実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の台車10は、走行用車輪15a〜15dの中心軸C1側に、走行用車輪15a〜15dよりも小さい2対の積載用車輪17a〜17dを備える。そして、台車10の積載に用いる積載用車輪17a〜17dの幅に応じた間隔L2で、搬送装置20のレール(33,34,38,39)を配置する。これにより、搬送装置20の幅を台車10よりも小さくすることが可能である。従って、狭い階段であっても、搬送装置20を用いて台車10を搬送することができる。更に、台車10の積載用車輪17a〜17dの最下位置が、台車10の走行用車輪15a〜15dの最下位置よりも高い位置にあり、スロープ部35のスロープガイドレール38,39の端部の高さH1が、台車10の積載用車輪17a〜17dの高さと同じに配置される。これにより、傾斜するレール(33,34,38,39)の勾配を緩くしても、スロープガイドレール38,39を短くすることができるので、台車10の積載用車輪17a〜17dを、積載用ガイドレール33,34に容易に載せることができる。
(2)本実施形態の台車10は、収容部11の上面にゴム部材13を設ける。これにより、収容部11と蓋部材12との間に、隙間を空けた状態で蓋部材12をロックすることができるので、指挟みを抑制することができる。
(3)本実施形態の台車10は、収容部11及び蓋部材12を、鉄格子の部材で構成する。これにより、台車10を軽くすることができる。
(4)本実施形態の搬送装置20は、荷台部30の一端部に設けられた両方向に回転可能なスロープ部35を備え、スロープ部35には、積載用ガイドレール33,34に続くスロープガイドレール38,39が設けられる。これにより、積載用ガイドレール33,34及びスロープガイドレール38,39を用いて、搬送装置20に台車10を容易に積載することができる。更に、スロープ部35を跳ね上げることにより、搬送装置20の障害にならず、円滑に階段を昇降させることができる。
(5)本実施形態の積載用ガイドレール33,34の他端部33a,34aは、先端(前方端部)側が低く構成される。これにより、他端部33a,34aで、積載用車輪17a,17bを係止することができる。
(6)本実施形態の搬送装置20のスロープ部35は、ストッパー37を備える。台車10を荷台部30に載置した後、ストッパー37を回転させて、この先端を台車10に接触させて、台車10を係止させる。これにより、簡単な構成で、台車10を固定することができる。
(7)本実施形態の搬送装置20は、荷台部30の載置面に対して垂直な状態から前方に倒れるように傾斜可能な荷台ハンドル部40を備える。これにより、傾斜時にも、操作性を向上させることができる。
(8)本実施形態の搬送装置20は、重心調整機構25を備える。これにより、階段を昇降する場合には、搬送装置20の重心位置C3を前方に移動させることにより、安定して搬送装置20を昇降することができる。
(9)本実施形態の搬送装置20は、旋回用キャスター24を備える。これにより、クローラベルト22b及び車輪23の一部を浮かせた状態で、搬送装置20を効率的に旋回させることができる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態においては、台車10は、走行用車輪15a〜15dよりも小さい積載用車輪17a〜17dを備える。台車10の積載用車輪17a〜17dの大きさは、これに限られない。例えば、走行用車輪15a〜15dと同じ大きさの車輪を用いて、その車輪の最下位置が走行用車輪15a〜15dの最下位置よりも高くなるように、台車10に取り付けてもよい。
・上記実施形態の台車10は、2対の走行用車輪15a〜15d及び積載用車輪17a〜17dを備える。走行用車輪15a〜15d及び積載用車輪17a〜17dは、それぞれ少なくとも1対の車輪を備えていれば2対の車輪に限定されず、例えば、1対の車輪を含む3輪で構成してもよい。
・上記実施形態においては、台車10は、鉄のメッシュ(格子)部材を用いて構成される収容部11及び蓋部材12を備える。台車10の荷物を収容する部分の材料や構成は、これに限定されない。例えば、木材等により収容部11を構成してもよいし、蓋部材12を後から収容部11に取り付ける構成としてもよい。
・上記実施形態においては、搬送装置20の階段昇降機構は、クローラ機構及び車輪走行機構を備える。階段昇降機構は、クローラ機構及び車輪走行機構を備える構成に限定されない。階段昇降機構であれば、例えば、クローラ機構のみを備えた階段昇降装置を用いてもよい。
・上記実施形態においては、スロープガイドレール38,39の端部が高さH1となるように、搬送装置20のスロープ部35に端部支持部36を設けた。この端部支持部36を省略してスロープガイドレール38,39を着地させてもよい。
・上記実施形態の搬送装置20は、積載用ガイドレール33,34の他端部33a,34aを折り曲げた受止機構を備える。更に、搬送装置20のスロープ部35は、回転させて台車10に接触して固定するストッパー37を備える。搬送装置20に積載した台車10の固定方法は、これらに限定されるものではない。例えば、積載用車輪17a〜17dを固定する車輪止めを突出させてもよい。また、跳ね上げたスロープ部35の固定機構を設けて、台車10を支持させてもよい。更に、スロープ部35を台車10に立て掛けた状態におけるスロープ部35の回転角度を、固定ピン等で固定することにより、台車10を固定してもよい。
A1…水平軸、B1…ベルト、C1,C2…中心軸、C3…重心位置、H1…高さ、L1,L2…間隔、S1…走行方向スイッチ、S2…重心移動スイッチ、S3…速度可変スイッチ、10…台車、10H…ヒンジ、10R…ロック機構、11…収容部、12…蓋部材、13…ゴム部材、14…台車ハンドル部、15a,15b,15c,15d…走行用車輪、17a,17b,17c,17d…積載用車輪、20…搬送装置、21…昇降機構としての移動機構、22b…クローラベルト、23…車輪、24…旋回用キャスター、24a…踏板、25…重心調整機構、25f…連結部材、25m…駆動モータ、25r…アウター部、25s…油圧シリンダ、27…バッテリー載置部、27a…位置決め部材、28…バッテリー、29…制御ボックス、30…荷台部、30a…ベルト係止部、30b…一端部、31…可動台、31f…前板部、31r…インナー部、31s…側板部、32…荷台蓋部、33,34…積載用ガイドレール、33a,34a…受止機構としての他端部、35…スロープ部、35a…ベルト係止部、36…端部支持部、36a…クッション部、37…ロック機構としてのストッパー、38,39…スロープガイドレール、40…荷台ハンドル部、40a…取付板、41…バネ、42…稼働ボタン、43…取付棒、45…操作ボックス、45b…非常停止ボタン、45d…バッテリー容量表示、45k…電源投入操作部。

Claims (7)

  1. 荷物を収容する収容部と、
    前記収容部の底面に取り付けられた1対の走行用車輪と、
    前記1対の走行用車輪の間に取り付けられた1対の積載用車輪とを備え、
    前記積載用車輪の最下位置が、前記走行用車輪の最下位置よりも高い位置に取り付けられていることを特徴とする台車。
  2. 台車を載置する荷台部と、
    前記荷台部の下方に配置され、階段に接触して前記階段を昇降する昇降機構とを備えた階段昇降装置であって、
    前記荷台部は、載置される前記台車の1対の積載用車輪を走行させる1対の積載用ガイドレールを備え、
    前記荷台部の一端部には、水平軸に対して両方向に回転可能にスロープ部が設けられ、
    前記スロープ部には、前記一端部において前記積載用ガイドレールに続くスロープガイドレールが設けられていることを特徴とする階段昇降装置。
  3. 前記スロープ部には、前記スロープガイドレールの端部を、前記積載用車輪の高さに応じた高さにする端部支持部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の階段昇降装置。
  4. 前記積載用ガイドレールには、前記荷台部の他端部に、前記台車の積載用車輪の受止機構が設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の階段昇降装置。
  5. 前記スロープ部には、前記荷台部に載置した前記台車に前記スロープ部を立て掛けるように回転させた状態で、前記台車を係止するロック機構が設けられていることを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の階段昇降装置。
  6. 前記荷台部には、前記荷台部の載置面に対する角度を変更可能な荷台ハンドル部が設けられていることを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載の階段昇降装置。
  7. 荷物を収容した台車を、階段昇降装置の荷台部に載置して、階段を昇降するための搬送方法であって、
    前記台車は、
    荷物を収容する収容部と、
    前記収容部の底面に取り付けられた1対の走行用車輪と、
    前記1対の走行用車輪の間に取り付けられ、前記走行用車輪の最下位置よりも高い位置に最下位置が設けられている1対の積載用車輪とを備え、
    前記階段昇降装置は、
    載置される前記台車の前記1対の積載用車輪を走行させる1対の積載用ガイドレールが設けられている荷台部と、
    前記荷台部の下方に配置され、階段に接触して前記階段を昇降する昇降機構と、
    前記積載用ガイドレールに続くスロープガイドレールが設けられ、水平軸に対して両方向に回転可能に前記荷台部の一端部に設けられたスロープ部とを備え、
    前記スロープ部の端部を着地させるように倒した上で、前記台車の積載用車輪を、前記スロープガイドレールの上及び前記積載用ガイドレールの上を走行させて、前記台車を前記荷台部に載置し、
    前記台車を固定した後、前記昇降機構を駆動して、前記階段を昇降させることを特徴とする搬送方法。
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