JP2021037657A - 自動車内装用部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、良好な外観を有し、かつ、外観の劣化が殆どなく、突き当て構造にした際にきしみ音を発生しないばかりではなく、製造が容易かつ安価な自動車内装用部品を提供する。【解決手段】本発明は、ポリブチレンテレフタレートを主として含む部分(a)、ポリ塩化ビニルを含む部分(b)、及び、皮革から成る部分(c)を備え、ここで、部分(b)が、部分(a)の少なくとも一部分に密着して備えられ、かつ、部分(c)が、部分(a)又は部分(b)の少なくとも一部分上に備えられた構造を有する、自動車内装用部品である。【選択図】図1

Description

本発明は、自動車内装用部品に関し、更に詳しくは、シフトノブ、表皮巻き部品、ドアグリップ、アシストグリップ、ピラーグリップ、ドアパネル、インパネ、メーターフード、ステアリング部品等に使用される自動車内装用部品に関する。
従来、自動車内装用部品、例えば、自動車シフトノブ等としては、ポリアミド(PA)/アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS)の一層成形品、又は、ポリアセタール(POM)若しくはポリアミド基材上に、触感向上の目的のために、ポリ塩化ビニル(PVC)、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)若しくはオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)の軟質材をアウター成形した二層成形品が殆どであった。
しかしながら、上記のPA/ABS、及び、アウター成形されたTPS、TPOは、例えば、ウレタン系接着剤との接着性が悪く、これらの表面に皮革を接着する場合(三層構造体)には適しているとは言えなかった。また、アウター成形されたPVCは、ウレタン系接着剤との接着性は良好ではあるものの、POM又はPA基材との密着性が悪く、表面のPVCがズレたり、剥がれたりするという問題が生じていた。このような、ズレ、剥がれをなくすためには、POM及びPA基材に、リブ、アンカー等の複雑な構造が必要となり、金型が高価なものとなってしまう。更に、軟質PVCは、それ自体では強度が小さいことから、薄い表皮にすると、接触している皮革の経年収縮、又は、PVC表皮の耐久劣化により、PVCが破れたり、剥がれたりして、製品の信頼性が低下するという問題もあった。また、表面に皮革を貼り合わせる工程においても、皮革の貼付け時に、PVCと基材とが、アンカー部分において外れたり、ズレたりして、外観に凸部が発生して品質が低下するという問題もあった。
一方、ポリブチレンテレフタレート共重合体組成物と、塩化ビニル樹脂を主成分とする樹脂材料とが、二重成形法又は二色成形法によって成形されて成る複合成形品が知られている(特許文献1)。該発明の解決課題は、得られる成形品の一部を透明にし得る成形法を提供することにあり、塩化ビニル樹脂の透明性を利用した成形品を提供するものである。
特開平9−136336号公報
本発明は、良好な外観を有し、かつ、外観の劣化が殆どなく、突き当て構造にした際にきしみ音を発生しないばかりではなく、製造が容易かつ安価な自動車内装用部品を提供するものである。
上記のように、従来の自動車内装用部品、例えば、自動車シフトノブでは、基材としてのPA/ABS、又は、アウター成形されたTPS、TPOと皮革との接着性が悪いことから、使用により表面の皮革が剥離することが多い。PVCによりアウター成形すれば、皮革との接着性は改善されるが、PVCは、基材である、POM及びPAとの密着性が悪く、基材にアンカー、リブ等の複雑な構造を必要とするためコスト高となる。
そこで、本発明者は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)とPVCとの相性が良いこと、即ち、密着性に優れていることに着目し、上記基材として、PBTを用いることを思いついた。しかし、PBTは比重が大きく、耐熱水性、耐クリープ性、難燃性、成形性の点で、POM及びPAと比較して劣ると認識されており、例えば、自動車シフトノブの基材として、PBTを使用した実績はなかった。本発明者は、これらPBTが劣るとされていた上記性質について種々調査検討したところ、耐熱水性に関しては、十分乾燥した後に成形すれば何ら問題はなく、その他の性質に関しても、POM及びPAと大差がないことが分かった。また、比重が大きいことに起因する重量増加については、PBTとPVCとの優れた密着性を考慮すれば、PVCの層厚を極限まで薄くすることができ、それにより、全体重量を低減し得る。
更に、本発明者が検討したところ、基材、PVC及び皮革の三層構造を備える自動車内装用部品、例えば、自動車シフトノブにおいて、基材としてPBTを使用すれば、PBTとPVCとの優れた密着性により、従来の基材であるPOM及びPAを使用した際に必要であったアンカー、リブ等の複雑な構造を簡素化することができる。また、そればかりではなく、表面の皮革同士を突合せ構造にすると、従来の基材で生じていた、皮革同士の突き当て部におけるPVCのクラックの発生を防止し得、かつ、三層構造体の端部に生じていた皮革表面の凹凸等による外観品質劣化等をも防止し得ることを見出した。
加えて、基材の溝部に両側から2枚の別々の皮革を挿入して、両者の皮革を固定した、いわゆる木目込み構造にあっては、木目込み作業の際、ヘラを使用して該溝部に2枚の別々の皮革を押し込むことから、ヘラの先端が十分に溝部に侵入して皮革を十分に押し込む必要がある。とりわけ、皮革は、動物、例えば、牛の皮膚から製造されるものである故、製品として得られる皮革の厚さには一定のバラツキが生ずる。溝部に挿入する皮革の端部は厚さを調整すべくスキ加工されるが、なお一定バラツキを避けることはできない。従って、これら複数の要素を考慮して、迅速かつ確実に木目込み構造を完成するためには、溝幅をある程度大きくとる必要があることから、皮革の挿入を完了した後に木目込み構造の皮革と皮革との間に隙間が生じて見た目が悪くなることがあるという問題があった。かと言って、溝幅を小さくすると、皮革の厚さのバラツキが厚い方向に偏ると、それにより、ヘラの先端が十分に溝部に挿入できないことから、木目込み構造の上部において皮革が盛り上がるなど、木目込み不良が多発するという問題があった。そこで、本発明者が検討したところ、木目込み構造の溝内部壁面を、PBT基材、PVC及び皮革の三層構造とすれば、溝幅を小さくしても、木目込み作業に際して、PVC層の柔軟性、即ち、スプリングバック効果により、皮革の厚さのバラツキを効果的に吸収することができて、2枚の別々の皮革をスムーズに挿入することができ、かつ、PBT基材とPVCとの優れた密着性により、PVCが剥がれることがないことを見出し、これにより、木目込み構造の外観を非常に良好にすることができることが分かった。
また、基材上に皮革を備えた部品、例えば、表皮巻き部品同士を突き当てて組み立てると、皮革同士の接触部分で比較的大きなきしみ音が発生することが認められていた。該きしみ音とは、例えば、走行中、自動車の車内で発生するキシキシと言う音のことであり、運転者等に少なからず不快感を与えるものであった。従来、このきしみ音を低減するために、突き当て部にシリコーンオイル、グリース等を塗布していた。本発明者は、如何にすれば、このきしみ音を効果的に低減し得るかについて検討したところ、PBT基材、PVC及び皮革の三層構造の応用、例えば、PBT基材からPVC製の突起物(いわゆるダボ)を設けて、該突起物が皮革を貫通して、もう一方の部品の皮革表面に突き当たるように構成した構造を採用すれば、上記のきしみ音を効果的に低減し得ることを見出した。更に、本発明者は、上記のような、PBT基材から立ち上がるPVC製の突起物を設けておけば、該突起物が接触する相手方の素材が、皮革以外の物質、例えば、PBT、POM、PA等の樹脂であっても、また、セラミックス、金属等であっても、このきしみ音を効果的に低減し得ることをも見出した。加えて、該突起物が接触する相手方の素材及び形状に応じて、該突起物の接触面の形状及び大きさを種々変化させれば、更に、効果的であることも見出した。
上記のように本発明者は、自動車内装用部品として、従来品に代えて、PBT基材、PVC及び皮革の三層構造を採用すれば、従来の多くの問題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
(1)ポリブチレンテレフタレートを主として含む部分(a)、ポリ塩化ビニルを含む部分(b)、及び、皮革から成る部分(c)を備え、ここで、部分(b)が、部分(a)の少なくとも一部分に密着して備えられ、かつ、部分(c)が、部分(a)又は部分(b)の少なくとも一部分上に備えられた構造を有する、自動車内装用部品である。
好ましい態様として、
(2)部分(a)、部分(b)及び部分(c)が、部分(a)を基材として、その上に、部分(b)及び部分(c)を順次備える層状構造を構成する、上記(1)記載の自動車内装用部品、
(3)上記層状構造が、部分(a)の端部に存在する、上記(2)記載の自動車内装用部品、
(4)部分(c)が、2枚以上の皮革を突き合わせて備えられている、上記(2)又は(3)記載の自動車内装用部品、
(5)部分(b)が、その一部分に突起物を備え、かつ、部分(c)が、部分(b)上であって、かつ、該突起物の周囲の全体又は一部を取り巻いて備えられた構造を構成する、上記(2)〜(4)のいずれか一つに記載の自動車内装用部品、
(6)上記基材が、板状又は塊状である、上記(2)〜(5)のいずれか一つに記載の自動車内装用部品、
(7)上記基材が、基材表面から基材内部に向って溝を有し、かつ、該溝の対向する2つの面の一方又は両方の面上に、部分(b)及び部分(c)を順次備える層状構造を有する、上記(2)〜(6)のいずれか一つに記載の自動車内装用部品、
(8)部分(b)の厚さが、0.5〜4.0mmである、上記(1)〜(7)のいずれか一つに記載の自動車内装用部品、
(9)部分(b)の厚さが、0.5〜3.0mmである、上記(1)〜(7)のいずれか一つに記載の自動車内装用部品、
(10)部分(b)の厚さが、0.5〜2.5mmである、上記(1)〜(7)のいずれか一つに記載の自動車内装用部品、
(11)部分(a)、部分(b)及び部分(c)が、部分(a)を基材として、部分(b)が、部分(a)から突起物として備えられ、かつ、部分(c)が、部分(a)上であって、かつ、該突起物の周囲の全体又は一部を取り巻いて備えられた構造を構成する、上記(1)記載の自動車内装用部品、
(12)上記突起物の底部が、部分(a)の内部に存在する構造である、上記(11)記載の自動車内装用部品、
(13)上記突起物が、略円柱状乃至略円錐状、又は、多角柱状乃至多角錐状である、上記(11)又は(12)記載の自動車内装用部品、
(14)上記突起物の頂部接触面が、円形、楕円形、長円形又は多角形である、上記(11)〜(13)のいずれか一つに記載の自動車内装用部品、
(15)上記突起物の長さ(基材の表面から突起物の頂部までの距離)が、0.5〜10.0mmである、上記(11)〜(14)のいずれか一つに記載の自動車内装用部品、
(16)上記突起物の長さ(基材の表面から突起物の頂部までの距離)が、0.6〜2.0mmである、上記(11)〜(14)のいずれか一つに記載の自動車内装用部品、
(17)上記突起物の長さ(基材の表面から突起物の頂部までの距離)が、1.0〜1.5mmである、上記(11)〜(14)のいずれか一つに記載の自動車内装用部品、
(18)上記の部分(a)と部分(b)とから成る部分が二色成形品である、上記(1)〜(17)のいずれか一つに記載の自動車内装用部品、
(19)ポリ塩化ビニルが、軟質ポリ塩化ビニルである、上記(1)〜(18)のいずれか一つに記載の自動車内装用部品、
(20)ポリ塩化ビニルの硬度(ショアA)が、A50〜100である、上記(1)〜(19)のいずれか一つに記載の自動車内装用部品、
(21)ポリ塩化ビニルの硬度(ショアA)が、A70〜90である、上記(1)〜(19)のいずれか一つに記載の自動車内装用部品、
(22)部分(c)と部分(a)又は部分(b)との間に、接着剤層(d)を備える、上記(1)〜(21)のいずれか一つに記載の自動車内装用部品、
(23)自動車シフトノブ用の、上記(1)〜(22)のいずれか一つに記載の自動車内装用部品
を挙げることができる。
本発明の自動車内装用部品によれば、表面の皮革同士を突合せる構造にしたとき、従来の三層構造体において使用されていた基材で生じていた、皮革同士の突き当て部におけるPVCのクラックの発生を防止し得、かつ、従来の三層構造体の端部に生じていた皮革表面の凹凸等による外観品質劣化等をも防止し得る。更には、いわゆる、木目込み作業が容易になり、かつ、木目込み不良を効果的に防止することができて、木目込み構造の外観を非常の良好にし得る。加えて、基材上に皮革を備えた部品、例えば、表皮巻き部品同士を突き当てて組み立てた場合に発生する、大きなきしみ音を効果的に低減し得る。また、本発明の自動車内装用部品は、基材としてのポリブチレンテレフタレート(PBT)と、ポリ塩化ビニル(PVC)との密着性が優れている故に、従来の基材、例えば、ポリアセタール(POM)及びポリアミド(PA)に施していたアンカー、リブ等の複雑な構造を簡素化し得ることから安価に製造することができる。
図1は、本発明の自動車内装用部品が有する層状構造を模式的に示した図である。 図2は、自動車シフトノブの一実施態様の概略斜視図(I)及び該自動車シフトノブの鉛直方向の断面の概略図(II)である。 図3は、本発明の自動車内装用部品が有する層状構造の他の実施態様(木目込み構造)を示した断面図である。 図4は、本発明の自動車内装用部品が有する構造の他の実施態様を示した概略図である。 図5は、図4に示した構造を、突起物の頂部方向から見た概略図である。 図6は、基材としてポリアミド6を使用して図1の構造物を作製した際の所定時間経過後の層状構造を模式的に示した図である。 図7は、ヘラを使用して皮革を溝に挿入する方法(木目込み方法)を模式的に示した図である。 図8は、比較例4において作製した木目込み構造の概略図である。 図9は、比較例5において木目込み作業におけるヘラの位置及び完了後の木目込み部を模式的に示した図である。 図10は、比較例6において作製した構造の概略図である。
本発明の自動車内装用部品は、ポリブチレンテレフタレートを主として含む部分(a)、ポリ塩化ビニルを含む部分(b)、及び、皮革から成る部分(c)を備え、ここで、部分(b)が、部分(a)の少なくとも一部分に密着して備えられ、かつ、部分(c)が、部分(a)又は部分(b)の少なくとも一部分上に備えられた構造を有する。また、部分(c)は、部分(a)又は部分(b)の少なくとも一部分上に備えられていればよく、部分(c)が、部分(a)の少なくとも一部分上に備えられ、同時に部分(b)の少なくとも一部分上に備えられているもの、及び、部分(c)が、部分(b)の少なくとも一部分上に備えられ、同時に部分(a)の少なくとも一部分上に備えられているものをも含むものである。
本発明の自動車内装用部品が有する構造の一実施態様として、好ましくは、部分(a)、部分(b)及び部分(c)が、部分(a)を基材として、その上に、部分(b)及び部分(c)を順次備える層状構造を挙げることができる。上記基材、即ち、部分(a)は、好ましくは板状又は塊状であることができる。ここで、板状とは、板状であれば平板であっても屈曲又は湾曲していても構わない。また、塊状としては、例えば、略球形の形状乃至様々な形状のものを挙げることができる。図1には、本発明の自動車内装用部品が有する層状構造を模式的に示した。図1の(I)は、部分(a)(1)、部分(b)(2,2’)及び部分(c)(3,3’)から構成される三層構造であって、部分(a)から成る基材(1)の凹部(4)の表面(側面)をも皮革(3,3’)により被覆されている構造を示し、図1の(II)は、同じく、部分(a)(1)、部分(b)(2)及び部分(c)(3,3’)から構成される三層構造であって、2枚の皮革(3,3’)が対向する方向から突き当てられている突合せ構造を示している。図1においては、上記の突合せ構造は一つ示されているが、もちろん、部分(a)(1)上には3枚以上の皮革が付き合わされて、複数の突合せ構造を備えることもできる。本発明の自動車内装用部品は、好ましくは、自動車シフトノブであることから、その場合、部分(a)から成る基材は、自動車シフトノブに適合し得る形状であれば特に制限はない。図2には、自動車シフトノブの一実施態様の概略斜視図(I)及び該自動車シフトノブの鉛直方向の断面の概略図(II)を示した。図2から、自動車シフトノブ(5)のおおよその形状、並びに、自動車シフトノブが有する、部分(a)(1)、部分(b)(2)及び部分(c)(3)から成る層状構造の概略を理解することができる。また、図3には、上記の部分(a)(1)、部分(b)(2,2’)及び部分(c)(3,3’)から成る層状構造の他の実施態様を示した。該層状構造は、部分(a)から成る基材(1)に設けられている溝(6)に両側から2枚の別々の皮革(3,3’)を挿入して、両者の皮革(3,3’)を固定した、いわゆる木目込み構造である。図3から分かるように、該層状構造は、部分(a)から成る基材(1)が、その表面から基材内部に向って溝(6)を有し、かつ、溝(6)の対向する2つの面(7,7’)上に、部分(b)(2,2’)及び部分(c)(3,3’)を順次備えるものである。図3に示した構造においては、溝(6)の対向する2つの面(7,7’)の両方上に部分(b)を備えているが、部分(b)を2つの面(7,7’)のいずれか一方にのみ備えていても構わない。ここで、溝(6)の長さ方向に対して垂直に切断した断面(図3の溝部の形状)は、略四角形である。溝(6)はその長さ方向に向かって通常直線状であるが、もちろん、曲線状であってもかまわない。また、部分(b)、即ち、ポリ塩化ビニルを含む部分は、部分(a)、ポリブチレンテレフタレートを主として含む部分と比較して、部分(c)、即ち、皮革からなる部分に対する接着性が優れることから、部分(b)は、部分(a)(1)の上部表面上に存在することもできる。
本発明の自動車内装用部品が有する構造の他の実施態様として、好ましくは、部分(a)、部分(b)及び部分(c)が、部分(a)を基材として、部分(b)が、部分(a)から突起物として備えられ、かつ、部分(c)が、部分(a)上であって、かつ、該突起物の周囲の全体又は一部を取り巻いて備えられた構造を挙げることができる。図4には、該構造の一実施態様の概略図を示した。このように部分(b)(2)から成る突起物(8)は、その底部が部分(a)から成る基材(1)の内部に存在する構造が好ましい。もちろん、その底部が、部分(a)から成る基材(1)の表面に存在する構造であることもできる。また、突起物(8)の形状は特に限定されるものではないが、好ましくは、多角柱状乃至多角錐状、又は、略円柱状乃至略円錐状である。より好ましくは、円柱状、楕円柱状又は四角柱状、例えば、直方体である。例えば、円柱状である場合には、その頂部が、該円柱と略同一の直径を有する半球及び球欠であるものが挙げられる。突起物(8)の頂部接触面は、好ましくは、円形、楕円形、長円形、又は、四角形等の多角形である。また、突起物(8)の寸法は特に限定されるものではなく、該構造を備える自動車内装用部品の種類、寸法等により異なるが、その長さ(基材(1)の表面から突起物(8)の頂部までの距離)が、好ましくは0.5〜10.0mm、より好ましくは、0.6〜2.0mm、更に好ましくは、1.0〜1.5mmであり、長さ方向に垂直な断面の最大径は特に限定されるものではないが、好ましくは1.0〜3.0mmである。また、基材(1)には突起物(8)を複数備えることもできる。図5は、該構造を、突起物(8)の頂部方向から見た概略図である。図5の(I)は、部分(c)、即ち、皮革(3)が突起物(8)の周囲の全体を取り巻いて備えられている構造の一例であり、図5の(II)は、部分(c)、即ち、皮革(3)が突起物(8)の周囲の一部を取り巻いて備えられている構造の一例を示している。また、上記のように、突起物(8)の形状及び寸法は特に限定されるものではなく、該構造を備える自動車内装用部品の種類、寸法等に依存し、場合によっては、図4に示したような小さな面で、組み合わされる部品と接触するものではなく、突起物(8)の頂部面が、組み合わされる部品の面の大部分と接触する程度の大きな面を有することもできる。また、そのような接触面は、直線又は曲線状の細長い面であることもできる。図4及び5では、部分(b)が、部分(a)から突起物として備えられている態様を示したが、もちろん、図1(II)に示した三層構造において、部分(b)自体に突起物を有するもの、即ち、部分(b)の一部が突起している構造も挙げられる。該構造は、部分(a)、部分(b)及び部分(c)が、部分(a)を基材として、その上に、部分(b)及び部分(c)を順次備える層状構造を構成する構造に含まれる。
上記本発明の自動車内装用部品においては、部分(a)と部分(b)とは、2色成形により一体化された2色成形品であることが好ましい。これにより、部分(a)と部分(b)との界面に接着剤を用いることなく、部分(a)と部分(b)との密着性を高めることができる。2色成形法としては、従来公知の方法を使用することができる。例えば、ポリブチレンテレフタレートを主として含む材料を、射出成型用金型又は押出成形用金型で一次成形品を成形し、次いで、金型キャビティーを拡大し、又は、一次成形品を二次成形用の金型に移して、二次成形するためのキャビティーを形成した後、ポリ塩化ビニルを主として含む材料を射出して二次成形して、2色成形品を製造することができる。また、部分(c)を、部分(a)又は部分(b)の少なくとも一部分上に備えるに際しては、接着剤を使用して接着することが好ましい。該接着剤としては、好ましくは、ウレタン系接着剤が使用される。該ウレタン系接着剤としては、例えば、ノガワケミカル株式会社製ダイアボンド(商標)、日立化成株式会社製ハイボン(商標)、ノーテープ工業株式会社製等が挙げられる。
本発明において、ポリ塩化ビニルを含む部分(b)に使用するポリ塩化ビニルは、好ましくは、軟質ポリ塩化ビニルである。該軟質ポリ塩化ビニルの硬度(ショアA)は、JIS K 6253に準拠して、好ましくはA50〜100、より好ましくはA70〜90である。該軟質ポリ塩化ビニルとしては、市販品を使用することができ、例えば、信越ポリマー株式会社製TK(商標)、信越ポリマー株式会社製GR(商標)、東ソー株式会社製リューロン(商標)、株式会社カネカ製カネビニール(商標)、三菱ケミカル株式会社製サンプレーン及びサンフロスト(いずれも商標)、リケンテクノス株式会社製フローマスター(商標)等を挙げることができる。部分(b)に使用するポリ塩化ビニルとしては、塩化ビニル単独重合体であってもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で、他のモノマー、例えば、酢酸ビニル等を含む共重合体であってもよい。また、軟質ポリ塩化ビニルに含まれる可塑剤に加えて、例えば、安定剤、滑材、充填剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤等の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で含めることもできる。ここで、ポリ塩化ビニルを含む部分(b)とは、塩化ビニル単独重合体及び/又は塩化ビニル共重合体を含むもの、軟質ポリ塩化ビニルのように、これらの重合体又は共重合体に可塑剤を含むもの、また、更に、上記添加剤を含むものを言い、塩化ビニルの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上であり、上限は、好ましくは80質量%程度、より好ましくは60質量%程度である。ポリ塩化ビニルを含む部分(b)を層状で設けるに際しては、該層の厚さは、下限が、好ましくは0.5mmであり、より好ましくは1mmであり、更に好ましくは1.5mmであり、上限が、好ましくは4mmであり、より好ましくは3mmであり、更に好ましくは2.5mmであり、通常2.0mm程度の厚さが使用される。上記下限未満では、作業中及び使用中に部分(b)が破損するなどの問題が生じるおそれがある。また、ポリ塩化ビニルを含む部分(b)の層が厚すぎると、塩化ビニルの耐久強度及び物性に委ねられるところが大きくなるため、二枚の革の突合せ部に耐久応力が掛かると、ポリ塩化ビニルを含む部分(b)のダレる距離が長いことから、口開きや割れを生じ易くなる。本発明においては、部分(a)と部分(b)とが、好ましくは2色成形により一体化された2色成形品であることから、両者が良好に密着しており、これらの口開きや割れを抑える強度・耐久性を持つ。
また、ポリブチレンテレフタレートを主として含む部分(a)に使用するポリブチレンテレフタレートとしては、特に制限はない。テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとの重縮合物のほか、本発明の効果を損なわない範囲で、更に、第3成分、例えば、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ジデカン二酸等のジカルボン酸、及び、これらのアルキル、アルコキシ又はハロゲン置換体、その他を導入した共重合体であってもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、充填剤、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏、ガラス粉末、粘土鉱物類、シリカ、プラスチック充填剤等の他、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤、潤滑剤、可塑剤等の添加剤を含むこともできる。市販品としては、例えば、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製NOVADURAN(商標)、東洋紡株式会社製バイロペット及びプラナック(いずれも商標)、東レ株式会社製トレコン(商標)等を挙げることができる。ここで、ポリブチレンテレフタレートを主として含む部分(a)とは、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとの重縮合物及び/又は上記の共重合体を含むもの、更には、上記の充填剤及び/又は添加剤を含むものであり、これらの重縮合物及び又は共重合体を50質量%以上、好ましくは70質量%以上含むものを言う。
皮革から成る部分(c)に使用する皮革としては、通常、準備工程、なめし工程、再なめし・染色・加脂及び乾燥工程、仕上げ工程の4工程を経て製皮された牛皮革が好ましく使用される。該皮革の厚さは、好ましくは0.6〜1.3mmである。
以下、実施例において本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
物質
実施例及び比較例において使用した各物質は下記の通りである。
<ポリブチレンテレフタレートを主として含む部分(a)>
東洋紡株式会社製バイロペット(商標)EMC(強化材15質量%含有)
<ポリ塩化ビニルを含む部分(b)>
三菱ケミカル株式会社製サンプレーン(商標)(硬度:A80)
<皮革から成る部分(c)>
皮革としては、ミドリオートレザー株式会社製牛皮革を使用した。該皮革の厚さは、0.6〜1.3mmであった。
<比較物質>
ポリアミド6:東レ株式会社製アミラン(商標)CM1011G(強化材15質量%含有)
(実施例1)
本発明の自動車内装用部品が有する層状構造として、図1の(I)に示す構造(端部に層状構造を有する構造)及び図1の(II)に示す構造(皮革同士の突合せ構造)を作製した。まず、部分(a)及び部分(b)から成る部分を、上記のポリブチレンテレフタレート及びポリ塩化ビニルを使用して、2色成形により作製した。ここで、図1の(I)及び(II)共に、基材(1)、即ち、最下層が部分(a)であり、部分(a)の上部に部分(b)の層(2)が密着していた。部分(a)及び部分(b)層の厚さは、夫々、30.0mm及び2.0mmであり、(I)における凹部(4)の幅及び深さは、夫々、10.0mm及び20.0mmであった。次いで、該2色成形品の部分(b)の層(2)の上に、ウレタン接着剤[ノガワケミカル株式会社製ダイアボンド(商標)]を使用して皮革(3)を接着して、図1に示す構造を作製した。ここで、(I)の構造体においては、皮革(3,3’)は、凹部(4)の側面側においても上記接着剤を使用して接着された。また、皮革(3,3’)は、約1.0mmの厚さのものを使用した。
(比較例1)
部分(a)として、上記のポリブチレンテレフタレートに代えて、上記のポリアミド6を使用して成形したこと以外は、実施例1と同一にして図1の(I)及び(II)に示す構造を作製した。
上記の両者の構造を作製した後、両者の状態を目視にて観察した。その結果、図1の(I)に示す構造については、実施例1の構造は、1週間経過後においても図1に示すものと同じであり変化は認められなかった。一方、比較例1のように、ポリブチレンテレフタレートに代えてポリアミド6を使用した場合には、作成直後において、既に、図6の(I)に見られるように、三層構造の端部においてポリ塩化ビニルの層(2,2’)が剥がれたり、形状変化を起こしたりして、外観が不良になった。また、図1の(II)に示す構造については、作成直後においては、実施例1及び比較例1の構造に大きな相違はなく、いずれも、図1の(II)に示すものと同じであり変化は認められなかった。しかし、両者の構造物に、キセノンランプで1,000時間照射する、又は、80℃(ドライ)で8時間、次いで、80℃(相対湿度90%)で8時間のサイクルを12サイクル実施すると、いずれの耐久試験においても、実施例1の構造は図1の(II)に示すものと同じであり変化は認められなかったが、比較例1のように、ポリブチレンテレフタレートに代えてポリアミド6を使用した場合には、いずれの耐久試験においても、図6の(II)に見られるように、二枚の皮革(3,3’)が対向する方向から突き当てられている突き当て部分(9)において、ポリ塩化ビニルの層(2)にクラックが生じた。自動車の車内は上記耐久試験と同様の環境におかれることが多々あることから、比較例1の構造であっては、使用中に不具合が発生するであろうことは明らかである。また、比較例1の構造において、部分(b)層の厚さを、例えば、4.0mmと2倍の厚さにすれば、(I)の構造においては作成直後において、また、(II)の構造においては、上記耐久試験の条件では、図1に示すものとほぼ同様であり大きな変化は認められなかった。しかし、更なる時間の経過により、また、耐久試験の更なる繰り返しにより、図6に示すように変化することは明らかである。
(実施例2)
本発明の自動車内装用部品が有する層状構造として、図3に示す木目込み構造を作製した。まず、部分(a)及び部分(b)から成る部分を、上記のポリブチレンテレフタレート及びポリ塩化ビニルを使用して、2色成形により作製した。ここで、基材(1)が部分(a)であり、部分(a)の上に部分(b)の層(2,2’)が密着しており、層(2,2’)の間に溝(6)が形成されている。ここで、層(2,2’)の厚さは、いずれも2.0mmであった。溝(6)の幅(w)及び深さは、夫々、1.5mm及び3mmであった。皮革(3,3’)を溝(6)に挿入する方法は、図7に模式的に示されている通りであり、ヘラ(10)を使用して、皮革(3,3’)を溝(6)の中に押し込む。まず、皮革(3)を溝(6)の中にヘラ(10)を使用して押し込み、溝(6)の側面に接着する。次いで、他方の皮革(3’)を、ヘラ(10)を使用して押し込んで木目込み構造を作製する。使用した皮革は上記の通り、厚さ0.6〜1.3mmの範囲でバラツキがあり、溝(6)に挿入する皮革の端部をスキ加工して、皮革先端の厚さが約0.5mmになるように調整したものであるが、依然として厚さに一定のバラツキが存在していた。また、使用したヘラ(10)は、先端が楔形に尖った金属製のものであり、その厚さは先端部が0.2〜0.3mmであり、徐々に厚さを増し最大1.0mmであった。図7から分かるように、皮革(3’)を溝(6)に押し込む際、皮革(3’)は折れ曲がって二重になり、その厚さは2倍近くにもなる。また、既に、溝(6)内に挿入されている皮革(3)の厚さ及びヘラ(10)の厚さを加味すれば、溝(6)の幅(w)を優に超えるものとなる。しかし、ヘラ(10)により皮革(3,3’)を溝(6)の中に押し込む際、ポリ塩化ビニルから成る層(2,2’)が優れた柔軟性(スプリングバック性)を有していることから、ヘラ(10)の押圧力により、層(2,2’)が基材(1)側に縮んで皮革(3,3’)を溝(6)の中にスムーズかつ十分に押し込むことができた。そして、ヘラ(10)を溝(6)から引き抜くと、ポリ塩化ビニルから成る層(2,2’)の優れた柔軟性(スプリングバック性)により、層(2,2’)が元の状態に復元して、図3に示す木目込み構造を作成することができた。該実験を厚さにバラツキのある20枚の皮革について実施した(木目込み構造1個作製するにつき皮革2枚を使用するので実験数は10回である。)が、いずれも、図3に示す良好な木目込み構造を作成することができた。
(比較例2)
部分(a)として、ポリブチレンテレフタレートに代えて、上記のポリアミド6を使用して成形したこと以外、実施例2と同一にして図3に示す構造を作製して実施した。しかし、ヘラ(10)により皮革(3,3’)を溝(6)の中に押し込む際又はヘラ(10)を引き抜く際に、ポリ塩化ビニルから成る層(2,2’)が、基材(1)であるポリアミド6の層から剥がれたり、ズレたりして、図3に示す構造を作製することはできないものが多発した。また、何とか作製できたものでも、皮革(3,3’)が上部に盛り上がる等の状態となり外観が非常に悪いものがあった。
(比較例3)
層(2,2’)の厚さを、いずれも4.0mmとした以外は、比較例2と同一の条件で実施した。10枚の皮革について、いずれも、図3に示す木目込み構造を作成することができたが、時間の経過とともに層(2,2’)の溝(6)側の上部端にダレが生じて、外観が非常に悪いものとなった。
(比較例4)
ポリブチレンテレフタレート及びポリアミド6のみを使用して、実施例2と同一の溝幅(w=1.5mm)及び深さ(3.0mm)を有する構造体を作製した。即ち、図3の構造体において、(1)及び(2,2’)の部分が、全て、ポリブチレンテレフタレート又はポリアミド6のみから成る2種類の構造体である。これらの構造体において、実施例2と同様にして、ヘラ(10)により皮革(3,3’)を溝(6)の中に押し込んだところ、ヘラ(10)を溝(6)の中に十分に挿入することができず、いずれの樹脂においても、図8に示したような木目込み不良が多発した。
(比較例5)
溝幅(w)を2.0mmと広くした以外は、比較例4と同一にして構造体を作製した。このように、溝幅(w)を広くしたことにより、木目込み作業を問題なく実施することができた。図9には、木目込み作業におけるヘラ(10)の位置(I)と完了後の木目込み部(II)の概略図を示した。図9に示すように、完成した木目込み構造において、皮革(3)と皮革(3’)との間に大きな隙間が生じて、外観が悪いものとなった。
(実施例3)
本発明の自動車内装用部品が有する構造として、図4に示す構造を作製した。まず、部分(a)及び部分(b)から成る部分を、上記のポリブチレンテレフタレート及びポリ塩化ビニルを使用して、2色成形により作製した。ここで、基材(1)が部分(a)であり、部分(a)の上部に、部分(b)から成る突起物(8)が、その底部が基材(1)の内部に存在する状態で密着している。図4に示す構造において、基材(1)の寸法は、水平部分の厚さ(t)及び垂直部分の厚さ(t)が、夫々、20mm及び15mmであり、水平部分の長さ(L)及び垂直部分の長さ(L)が、夫々、150mm及び100mmであり、奥行きは、いずれも80mmであった。また、突起物(8)は、基材(1)の垂直部分の上部から40mm(L)及び奥行80mmのほぼ中央部分(手前から40mm付近)に設けられていた。突起物(8)は略円柱状の形状であり、その頂部は該円柱の直径と同一の径を有する球欠であった。ここで、円柱の直径は2.0mmであり、長さ(基材(1)の表面から突起物(8)の頂部までの距離)は1.5mmであり、かつ、突起物(8)の底部は、基材(1)の表面から約1.0mm基材(1)内部に存在していた。また、図5の(I)に示されているように、部分(c)、即ち、皮革(3)は、該突起物(8)の周囲の全体を取り巻いて備えられており、基材(1)のほぼ全面に、ウレタン接着剤[ノガワケミカル株式会社製ダイアボンド(商標)]を使用して備えられていた。皮革(3)は、約1.0mmの厚さのものを使用した。
一方、上記構造物と組み合わされる構造物は、基材(1’)として、上記のポリアミド6を使用し、その上に皮革(3’)を備えたものである。基材(1’)の寸法は、基材(1)と同一であった。また、皮革(3’)は、同様に約1.0mmの厚さのものを使用した。該二つの構造物を図4に示すように、両手で把持して組み合わせた。次いで、このようにして組み合わせた構造物を皮革(3)と皮革(3’)とを両手で押圧しながら、図4の矢印(11)の方向に両者の構造物を往復移動したところ、キシミ音は多少生じたがやっと聞き取れる程度のものであり、かつ、発生する頻度もかなり少なく問題になるほどのものではなかった。両者の構造物を把持した手で押圧力及び往復移動の距離を種々変化させてみたが、結果は同様であった。
(比較例6)
図10に示すように、部分(a)の上部に部分(b)から成る突起物(8)を設けずに、皮革(3)を貼り付けたこと以外は、実施例3と同一にして実施した。その結果、皮革(3,3’)同士が接触してかなり大きなキシミ音がかなりの頻度で発生した。そこで、接触している2枚の皮革(3,3’)の間にシリコーンオイルを塗布して、同一の試験を実施したところ、このきしみ音を実施例3の程度にまで低減することができた。但し、シリコーンオイルの塗布作業にはかなりの時間を要するばかりではなく、時間の経過に伴ってきしみ音が大きくなるという欠点が認められた。
以上の実施例及び比較例から、本発明の自動車内装用部品が有する構造は、非常に良好な特性を有することが分かった
本発明の自動車内装用部品は、良好な外観を有し、かつ、外観の劣化が殆どなく、突き当て構造にした際にきしみ音を発生しないばかりではなく、製造が容易かつ安価であることから、今後、大いに、自動車内装用部品、例えば、シフトノブ、表皮巻き部品、ドアグリップ、アシストグリップ、ピラーグリップ、ドアパネル、インパネ、メーターフード、ステアリング部品等に使用されることが期待される。
a ポリブチレンテレフタレートを主として含む部分
b ポリ塩化ビニルを含む部分
c 皮革から成る部分
1,1’ 部分(a)(基材)
2,2’ 部分(b)
3,3’ 部分(c)(皮革)
4 凹部
5 自動車シフトノブ
6 溝
7 溝面
8 突起物
9 突き当て部分
10 ヘラ
11 移動方向

Claims (6)

  1. ポリブチレンテレフタレートを主として含む部分(a)、ポリ塩化ビニルを含む部分(b)、及び、皮革から成る部分(c)を備え、ここで、部分(b)が、部分(a)の少なくとも一部分に密着して備えられ、かつ、部分(c)が、部分(a)又は部分(b)の少なくとも一部分上に備えられた構造を有する、自動車内装用部品。
  2. 部分(a)、部分(b)及び部分(c)が、部分(a)を基材として、その上に、部分(b)及び部分(c)を順次備える層状構造を構成する、請求項1記載の自動車内装用部品。
  3. 上記基材が、基材表面から基材内部に向って溝を有し、かつ、該溝の対向する2つの面の一方又は両方の面上に、部分(b)及び部分(c)を順次備える層状構造を有する、請求項2記載の自動車内装用部品。
  4. 部分(a)、部分(b)及び部分(c)が、部分(a)を基材として、部分(b)が、部分(a)から突起物として備えられ、かつ、部分(c)が、部分(a)上であって、かつ、該突起物の周囲の全体又は一部を取り巻いて備えられた構造を構成する、請求項1記載の自動車内装用部品。
  5. 上記の部分(a)と部分(b)とから成る部分が二色成形品である、請求項1〜4のいずれか一つに記載の自動車内装用部品。
  6. 自動車シフトノブ用の、請求項1〜5のいずれか一つに記載の自動車内装用部品。
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