JP2021032875A - 応力インピーダンスセンサ素子および応力インピーダンスセンサ - Google Patents
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一方、特許文献2(実施例1)には、応力検知体である磁歪ワイヤは、負磁歪のCo系アモルファスワイヤで、直径30μm、長さ20mmにて、励磁周波数20MHzで、1286の歪みゲージ率が得られている。これは半導体歪みゲージの6.5倍も高い値である。
非特許文献2(図2)によると、素子の長さ4mm、幅2mmとして、励磁周波数を15MHz、電流の強さ9.5mAの場合に、歪みゲージ率2000程度を得ることができると報告している。
SIセンサに匹敵する高感度歪みゲージセンサとして、非特許文献3(表1)によると、5mm角程度のスピンMEMSタイプのセンサは1000程度である。非特許文献4によると、磁歪材料をFeアモルファス合金に変更してMEMSタイプで歪みゲージ率5000を実現したとの最新の報告がなされている。
また、SIセンサの検出体は応力とともに外部磁界の影響を受ける。外部磁界が小さい場合には、その影響は無視できる。しかし、外部磁界が地磁気に比べて大きい場合には、SIセンサは外部磁界による影響は無視できなくなる。そこで、小型化と高い歪みゲージ率を両立する技術の開発とともに磁気シールドの技術開発も必要となる。
第1の課題は、応力インピーダンスセンサを構成する応力インピーダンスセンサの素子(以下、SI素子という。)の長さを5.5mm以下で、好ましくは素子の長さを1.4mm以下、アモルファス磁歪ワイヤ(以下、磁歪ワイヤという。)の長さが1mm以下、SI素子の幅が0.20mm以下で好ましくは0.1mm以下、厚みが0.25mm以下で好ましくは0.20mm以下と超小型化を目指すことである。
第2の課題は、感度的には微小な応力を検知するためにSIセンサの歪みゲージ率2000以上を目指している。と同時に高感度と小型化を同時に改善することである。
第3の課題は、簡単に被試験体に取り付けることができるフレキシブルタイプのSI素子を開発することである。
第4の課題は、SIセンサへの外部磁界の影響を解消する技術を開発することである。
その結果、図1に示すように、磁歪ワイヤの直径(ワイヤ径と表示)を30μmから10μmに変更すると、最適周波数は、20MHzから200MHzに増加して、最適周波数における歪みゲージ率は、3倍程度高い歪みゲージ率を得ることおよび周波数の平方根に比例して増加することが分かった。
SI素子に磁歪ワイヤの直径30μmで長さ20mmの場合のゲージ率は1000程度であるが、長さを2mmと短くするとゲージ率は100程度と激減した。他方、SI素子の磁歪ワイヤの直径10μmで長さ1mm、2mmおよび4mmとした場合、歪みゲージ率は1100程度、2300程度および4500程度となった。
フレキシブル基板上に、表面に応力検知体であるアモルファス磁歪ワイヤ(以下、磁歪ワイヤという。)と磁歪ワイヤの両端にある磁歪ワイヤ電極を備えた基板表面を被試験体の表面部に接着剤で固定して被試験体の表面応力を測定することができるSI素子である。
また、本素子は、磁歪ワイヤは基板表面上の溝に沿って基板とは絶縁状態で設置され、磁歪ワイヤ径は溝に埋設されていてもいいし、その一部が溝に埋設されず基板面上に凸部を形成していてもよい。さらに基板上の溝を線状のマークとしてマーク線に沿って磁歪ワイヤを整列させ、接着剤で固定してもよい。
所定の大きさのフレキシブル基板上に、表面側には縦と横に本素子のサイズを考慮して多数の素子の配線パターンを形成する。表面側にレジストを塗り、そこに磁歪ワイヤを整列させるためのガイド溝を形成し、キュア処理をして固化する。その後、溝に沿って磁歪ワイヤを整列させ、樹脂で固定する。樹脂は磁歪ワイヤを完全に覆って絶縁を確保する。最後に個片化して使用する。磁歪ワイヤは溝に埋設されてもいいし、その一部がはみ出してもいい。さらには、溝を単なる整列線として、磁歪ワイヤを基板面上に整列させてもよい。
また、裏面側は、素子の数だけの出力電極を取り付け、表面の磁歪ワイヤ電極とビアホールで連結する。裏面側の出力電極から外部の電子回路と接続することもできる。
ガラス被覆付きワイヤは、被試験体に固定した時、絶縁確保が確実で短絡する恐れがない。しかし、電極端子部はワイヤの上面側のガラスを除去し、そこに金属蒸着膜でワイヤ表面にワイヤ端子を形成すると同時に電極端子と連結することが必要である。
ガラス被覆されていない裸体のアモルファス磁歪ワイヤも適用できるが、絶縁性を確保するために、樹脂コーティングまたはフレキシブル基板に取り付けた後で樹脂コーティングする必要がある。
より優れた磁気シールドを実現するためには、磁歪ワイヤを四角環および四角環に類似の楕円環に加えて上下左右から取り囲む包袋状にすることも可能であるが、経済性を考慮した場合、四角環の磁性薄膜が最適である。
SIセンサは、応力の負荷状態を計測する被試験体とそれに張り付けられた磁歪ワイヤと磁歪ワイヤに高周波電流またはパルス電流を通電する発振回路部と被試験体に負荷された応力に依存して変化する磁歪ワイヤのインピーダンスを検知する信号処理回路部とを備え、上記の新知見を基に、応力検知部である磁歪ワイヤは、直径18μ以下、長さを5mm以下として、しかも磁性ワイヤに通電する高周波電流またはパルス電流の周波数100〜500MHz、電流の強さは50mA以上とすることによって、歪量に比例した出力電圧を出力することが可能で、2000以上のゲージ率を確保できる。
しかし、200MHzと高い周波数を使用するので、消費電力を考慮して、図3の電子回路に示すように、パルス電流を使用した方が好ましい。
本素子と上記電子回路を組み合わせたSIセンサは、2000以上の歪みゲージ率を有する。
また、好ましくは、アモルファス基板に形成されている溝に配置され、絶縁性樹脂により被覆されている。
また、SI素子は柔軟性を有するフレキシブル基板から構成されているので、被試験体の表面の形状にかかわらず接着剤で容易に固定できる。さらに、応力検知体である磁歪ワイヤはSI素子の表面に配置されているので直接被試験体に接触して被試験体の歪みを直接磁歪ワイヤの歪みに変換することができる。
<アモルファス磁歪ワイヤ>
微小な応力を検知するために可能な限り磁歪ワイヤの直径(断面積S)は小さいほど歪みゲージ率が高くなることから、5〜18μmとする。磁歪ワイヤの長さ(L)は、0.05〜5mmとして素子の小型化を図る。
アスペクト比L/Sは、図1から大きいほど歪みゲージ率は大きくなるので、具体的な用途に応じて磁歪ワイヤの直径と長さを決めることである。
材質は、Co系アモルファス磁歪ワイヤ、Fe系アモルファス磁歪ワイヤでもよい。
また、アモルファス磁歪ワイヤは直径5〜18μmのガラス被覆付きまたは樹脂コーティングされた、あるいは裸体のアモルファス磁歪ワイヤが適用できる。
基板に絶縁性能がない場合若しくは不十分な場合には、磁歪ワイヤを溝に配置する前に基板の溝に絶縁材料を塗布・蒸着等により絶縁性を確保することが必要である。
また、基板の表面に絶縁性を有するレジスト層を設け、基板と一体化しているレジスト層に溝を設けて磁歪ワイヤを配置してもよい。
溝内に磁歪ワイヤを配置した後、溝を樹脂で埋めると共に磁歪ワイヤの周囲も樹脂で被覆される。
なお、配線経路は全て絶縁されている。
SI素子の構造の例を図4に示す。
図4に示すSI素子1は、基板11上に設けられている溝12に磁歪ワイヤ13が配置され、磁歪ワイヤ13の両端の磁歪ワイヤ端子14から接続配線15を経由して磁歪ワイヤ電極161、162へと接続されている。図5は、図4のA1−A2線の断面図である。
このSI素子1は、基板11の上にレジスト層11Rを設けている基板で、レジスト層11Rに溝12が設置されている。
また、磁歪ワイヤ13を2本用いるSI素子1Aを図6に示す。磁歪ワイヤ13の長さを短くして2本用いることにより、SI素子1Aの小型化を図りながら、磁歪ワイヤ13の長い1本の場合と同じ感度が得られる。
応力検知体である磁歪ワイヤおよび磁歪ワイヤ電極を配置する基板は、応力の負荷状態を測定する被試験体に貼りつけられたアモルファス磁歪ワイヤが微小な応力を検知できるように柔軟性を有するフレキシブル基板からなる。
また、フレキシブル基板に磁歪ワイヤが配置されているので基板表面を被試験体の表面形状に応じて柔軟かつ容易に接着剤で固定できる。被試験体が平坦な面からなるのみでなく、円柱の丸みを帯びているR面には最適である。
磁歪ワイヤに生じたインピーダンスの変化量を磁歪ワイヤから、磁歪ワイヤの両端に形成した磁歪ワイヤ電極から直接配線(リード線)により外部の電子回路に伝えている。よって、2個の磁歪ワイヤ電極からなる。
また、図4および図5に例示するように、磁歪ワイヤの両端に磁歪ワイヤ端子を設け、必要に応じて接続配線を介して、磁歪ワイヤ電極を設けて磁歪ワイヤ電極からの配線により外部の電子回路に伝えてもよい。よって、2個の磁歪ワイヤ端子と2個の磁歪ワイヤ電極からなり、必要に応じて磁歪ワイヤ端子と磁歪ワイヤ電極とを接続する2個または3個の接続配線からなる。
ガラス被覆付きの磁歪ワイヤは、溝に配置したときや被試験体に固定したときなどに絶縁性の確保を確実にできるので短絡の恐れが無い。
フレキシブル基板の上に磁歪ワイヤを配置するための溝(ガイド溝)を形成し、その溝に磁歪ワイヤを配置し、樹脂により接着する。これにより、磁歪ワイヤは基板に確実に固定できる。
基板の上(基板表面)に溝形成ができる程度の絶縁性のレジスト層を設けて、そのレジスト層に溝を形成してもよい。レジスト被覆基板となり、広い意味での基板である。
溝の深さと磁歪ワイヤとの関係は、磁歪ワイヤの直径の上部が基板表面と同じか溝内に埋もれている場合、あるいは磁歪ワイヤの直径の一部が基板表面より凸部を形成してもよい。磁歪ワイヤの直径の一部が溝からはみ出して凸部を形成することにより、被試験体と磁歪ワイヤとの接触がより緊密にすることができる。
磁歪ワイヤの上部あるいは凸部は絶縁性樹脂を被覆する。基板表面を被試験体の表面部に接着剤で固定する際の絶縁性を確保するためである。
SI素子のサイズは、長さ0.6〜5.5mm、幅0.05〜0.25mm、厚み0.05〜0.25mmである。小型の素子が得られる。
好ましくは、長さ0.6〜1.2mm、幅0.05〜0.20mm、厚み0.05〜0.15mmである。これにより、これにより、カテーテル先端の直径0.3mmのワイヤにかかる応力を測定することができる。
磁歪ワイヤを取り囲む磁性薄膜の形状は、四角環形状あるいはリング状でその環の幅は20μm〜50μm、厚さ2μm〜20μm程度の磁性薄膜により取り囲まれており、磁気シールド機能を有する。磁性薄膜の材質は、パーマロイなどシールド機能を有するならば材質は問わない。より優れた磁気シールドを実現するためには、磁歪ワイヤを四角環に加えて上下左右から取り囲む包袋状にすることも可能であるが、経済性を考慮した場合、四角環磁性薄膜が最適である。
応力インピーダンスセンサ素子は、上記説明したSI素子を用いて、電子回路は、アモルファス磁歪ワイヤに周波数が100〜500MHzの高周波電流またはパルス電流を通電するパルス発振器と、高速電子スイッチ、ピークホールド回路および増幅器を備えている。電子回路は、アモルファス磁歪ワイヤのインピーダンス変化量に対応したパルス波形電圧のピーク電圧を高速電子スイッチにより0.2n秒以下の開閉時間で検波している。
電子回路は、パルス発振器、高速電子スイッチ、ピークホールド回路および増幅器からなる。
はじめに、パルス発振器から通電する高周波電流またはパルス電流の周波数は100〜500MHzである。磁性ワイヤを5〜18μmと細径化する場合には高周波とすることにより、歪みゲージ率を改善することができるからである。
しかし、100MHz〜500MHzの高周波を使用するので、消費電力を考慮するとパルス電流を使用した方が好ましい。
電子回路(図3)はパルス発振器、アモルファス磁歪ワイヤを使った素子、高速電子スイッチ、ピークホールド回路、および増幅器からなる。磁歪ワイヤのインピーダンス変化量に対応したパルス波形電圧のピーク電圧を、高速電子スイッチを検波して、その電圧をピークホールド回路でホールドし、増幅器で出力電圧として求める。サンプルホールドにあたってはパルス信号波形のピーク値を高速スイッチで開閉時間をできるだけ短くして、好ましくは0.2n秒以下として、ピーク電圧を検波することが好ましい。
本SIセンサのSI素子は、柔軟性を有するフレキシブル基板に配置されているので、被試験体の表面に接着剤で容易に固定できる。また、応力検知体である磁歪ワイヤはSI素子の表面に配置されているので直接被試験体に接触して被試験体の歪を磁性ワイヤの歪に変換することができる。
磁歪ワイヤに生じたインピーダンスの変化は、磁歪ワイヤ電極を通じて外部の電子回路で測定することができる。
以上の構成を持つ本SIセンサは、磁性ワイヤの歪量に比例した出力電圧を出力することが可能となり、小型で、かつゲージ率が2000以上の高性能なセンサである。さらに従来のSIセンサの欠点であった外部磁界の影響を取り除いた信頼性の高いセンサである。
[実施例1]
実施例1は、応力インピーダンスセンサ素子について、図7〜9により説明する。
図7は平面図を、図8は図7のB1−B2線における断面図を、図9は図7のC1−C2線の断面図をそれぞれ示す。
レジスト層11Rには幅20μm、深さ8μmの溝12が形成されて直径10μm、長さ4.6mmの磁歪ワイヤ13が配置されている。磁歪ワイヤ13は溝12に樹脂17により固定されるとともに絶縁されている。
磁歪ワイヤ13の両端にはそれぞれ磁歪ワイヤ端子14が配置され、それぞれ接続配線15を介して基板11の一端部(図7の右側端部)にある磁歪ワイヤ出力電極161、磁歪ワイヤGND電極にそれぞれ接続されている。
ここで、SI素子1Bのパーマロイ11P、磁歪ワイヤ端子14、接続配線15、および磁歪ワイヤ電極(161、162)などは樹脂で絶縁されている。
次に外部磁界を0から300Gと変えて試験を行った。その結果、応力に対応した出力を得ることができた。磁界の影響は1%以下と無視できるレベルであった。また歪みゲージ率は5200が得られた。
実施例2の応力インピーダンスセンサは、実施例1で使用したSI素子と以下の電子回路とを組み合わせたものである。
パルス電流の周波数は200MHz、電流の強さは100mAのパルス電流を、高速電子スイッチ22でパルス周期は1MHzに制御した。サンプルホールドにあたっては、パルス信号波形のピーク値を高速スイッチ24で開閉時間を0.1n秒として、ピーク電圧を検波することにした。
ピークホールドされた電圧は増幅器27で増幅処理されて出力電圧として出力される。その出力電圧は被試験体にかけられた応力に比例する。
実施例3は、カテーテル先端の0.3mm径のワイヤにかかる応力を図ることを目標とした応力インピーダンスセンサに関するもので、直径0.3mmの被試験体にSI素子を接着剤で張り付けて応力を測定した。応力検知体である磁性ワイヤは、長さ1.8mm、直径10μmと非常に小さく、SI素子の一層の小型化を可能にした。SI素子のサイズは、素子の長さが2.0mm、幅が0.12mm、厚みが0.15mmである。電極のサイズは0.04mm×0.04mmとした。
磁性ワイヤの直径を10μmとしたので、パルス周波数は200MHz、電流の強さは80mAとした。小型化したにもかかわらず、歪みゲージ率は2050が得られている。
11:フレキシブル基板(基板)、11R:レジスト層、11P:パーマロイ、12:溝、13:磁歪ワイヤ、14:磁歪ワイヤ端子、15:接続配線、161:磁歪ワイヤ出力電極、162:磁歪ワイヤGND電極、17:樹脂(絶縁性樹脂)
1A:SI素子(磁歪ワイヤ2本)
31:基板、32:溝、33:磁歪ワイヤ、34:磁歪ワイヤ端子、35:接続配線、36(361、362):磁歪ワイヤ電極
1B:SI素子(磁性被膜あり)
31:基板、31R:レジスト層、31P:パーマロイ、32:溝、33:磁歪ワイヤ、34:磁歪ワイヤ端子、35:接続配線、36(361、362):磁歪ワイヤ電極、
37:樹脂
2:電子回路
21:パルス発振器、22:電子スイッチ、23:SI素子、24:高速電子スイッチ、
25:コンデンサ、26:ピークホールド回路、27:増幅器
2A:電子回路
21:パルス発振器、22(22A、22B、22C、22D):電子スイッチ、23(23A、23B、23C、23D):SI素子、24(24A、24B、24C、24D):高速電子スイッチ、25(25A、25B、25C、25D):コンデンサ、26(26A、26B、26C、26D):ピークホールド回路、27(27A、27B、27C、27D):増幅器、28(28A、28B、28C、28D):電子スイッチ
11:フレキシブル基板(基板)、11R:レジスト層、11P:パーマロイ、12:溝、13:磁歪ワイヤ、14:磁歪ワイヤ端子、15:接続配線、161:磁歪ワイヤ出力電極、162:磁歪ワイヤGND電極、17:樹脂(絶縁性樹脂)
1A:SI素子(磁歪ワイヤ2本)
31:基板、32:溝、33:磁歪ワイヤ、34:磁歪ワイヤ端子、35:接続配線、36(361、362):磁歪ワイヤ電極
1B:SI素子(磁性被膜あり)
31:基板、31R:レジスト層、31P:パーマロイ、32:溝、33:磁歪ワイヤ、34:磁歪ワイヤ端子、35:接続配線、36(361、362):磁歪ワイヤ電極、
37:樹脂
2:電子回路
21:パルス発振器、22:電子スイッチ、23:SI素子、24:高速電子スイッチ、
25:コンデンサ、26:ピークホールド回路、27:増幅器
非特許文献2(図2)によると、素子の長さ4mm、幅2mmとして、励磁周波数を15MHz、電流の強さ9.5mAの場合に、歪みゲージ率2000程度を得ることができると報告している。
SIセンサに匹敵する高感度歪みゲージセンサとして、非特許文献3(表1)によると、5mm角程度のスピンMEMSタイプのセンサは1000程度である。非特許文献4によると、磁歪材料をFeアモルファス合金に変更してMEMSタイプで歪みゲージ率5000を実現したとの最新の報告がなされている。
SIセンサは、応力の負荷状態を計測する被試験体とそれに張り付けられた磁歪ワイヤと磁歪ワイヤに高周波電流またはパルス電流を通電する発振回路部と被試験体に負荷された応力に依存して変化する磁歪ワイヤのインピーダンスを検知する信号処理回路部とを備え、上記の新知見を基に、応力検知部である磁歪ワイヤは、直径18μ以下、長さを5mm以下として、しかも磁歪ワイヤに通電する高周波電流またはパルス電流の周波数100〜500MHz、電流の強さは50mA以上とすることによって、歪量に比例した出力電圧を出力することが可能で、2000以上のゲージ率を確保できる。
また、好ましくは、アモルファス基板に形成されている溝に配置され、絶縁性樹脂により被覆されている。
SI素子のサイズは、長さ0.6〜5.5mm、幅0.05〜0.25mm、厚み0.05〜0.25mmである。小型の素子が得られる。
好ましくは、長さ0.6〜1.2mm、幅0.05〜0.20mm、厚み0.05〜0.15mmである。これにより、カテーテル先端の直径0.3mmのワイヤにかかる応力を測定することができる。
本SIセンサのSI素子は、柔軟性を有するフレキシブル基板に配置されているので、被試験体の表面に接着剤で容易に固定できる。また、応力検知体である磁歪ワイヤはSI素子の表面に配置されているので直接被試験体に接触して被試験体の歪を磁歪ワイヤの歪に変換することができる。
磁歪ワイヤに生じたインピーダンスの変化は、磁歪ワイヤ電極を通じて外部の電子回路で測定することができる。
以上の構成を持つ本SIセンサは、磁性ワイヤの歪量に比例した出力電圧を出力することが可能となり、小型で、かつ歪みゲージ率が2000以上の高性能なセンサである。さらに従来のSIセンサの欠点であった外部磁界の影響を取り除いた信頼性の高いセンサである。
実施例3は、カテーテル先端の0.3mm径のワイヤにかかる応力を図ることを目標とした応力インピーダンスセンサに関するもので、直径0.3mmの被試験体にSI素子を接着剤で張り付けて応力を測定した。応力検知体である磁歪ワイヤは、長さ1.8mm、直径10μmと非常に小さく、SI素子の一層の小型化を可能にした。SI素子のサイズは、素子の長さが2.0mm、幅が0.12mm、厚みが0.15mmである。電極のサイズは0.04mm×0.04mmとした。
磁歪ワイヤの直径を10μmとしたので、パルス周波数は200MHz、電流の強さは80mAとした。小型化したにもかかわらず、歪みゲージ率は2050が得られている。
Claims (8)
- フレキシブル基板と、前記フレキシブル基板に配置されたアモルファス磁歪ワイヤと、2個のアモルファス磁歪ワイヤ電極とからなる応力インピーダンスセンサ素子において、
前記フレキシブル基板は、長さ0.6〜5.5mmからなり、
前記アモルファス磁歪ワイヤは、直径が5〜18μm、長さが0.5〜5.0mmからなることを特徴とする応力インピーダンスセンサ素子。 - 応力インピーダンスセンサ素子と電子回路とからなる応力インピーダンスセンサにおいて、
前記応力インピーダンスセンサ素子は、長さ0.6〜5.5mmからなるフレキシブル基板、前記フレキシブル基板に形成されている溝に配置された直径が5〜18μmにて長さが0.5〜5.0mmからなりかつ絶縁性樹脂で被覆されているアモルファス磁歪ワイヤおよび2個のアモルファス磁歪ワイヤ電極を備えてなり、
前記電子回路は、前記アモルファス磁歪ワイヤに周波数が100〜500MHzの高周波電流またはパルス電流を通電するパルス発振器と、高速電子スイッチ、ピークホールド回路および増幅器を備えていることを特徴とする応力インピーダンスセンサ。 - 請求項2において、
前記アモルファス磁歪ワイヤは、前記基板に形成されている溝に配置され、絶縁性樹脂で被覆されていることを特徴とする応力インピーダンスセンサ。 - 請求項2または3において、
前記アモルファス磁歪ワイヤは、前記アモルファス磁歪ワイヤの直径の一部が前記溝に埋設されずに基板表面上に凸部に形成していることを特徴とする応力インピーダンスセンサ。 - 請求項2〜4のいずれか一項において。
前記アモルファス磁歪ワイヤは、直径5〜18μmのガラス被覆付きのアモルファス磁歪ワイヤからなり、前記アモルファス磁歪ワイヤの両端は前記アモルファス磁歪ワイヤの上面の前記ガラス被覆を除去して金属蒸着膜でアモルファス磁歪ワイヤ端子を形成し、前記アモルファス磁歪ワイヤ端子と前記アモルファス磁歪ワイヤ電極とを接続することを特徴とする応力インピーダンスセンサ。 - 請求項2〜5のいずれか一項において、
前記アモルファス磁歪ワイヤは、四角環あるいは楕円環の磁性薄膜により取り囲まれていることを特徴とする応力インピーダンスセンサ。 - 請求項2〜6のいずれか一項において、
前記応力インピーダンスセンサ素子は、長さ0.6〜5.5mm、幅0.05〜0.25mm、
厚み0.05〜0.25mmであることを特徴とする応力インピーダンセンサ。 - 請求項2〜7のいずれか一項において、
前記電子回路は、前記アモルファス磁歪ワイヤのインピーダンス変化量に対応したパルス波形電圧のピーク電圧を前記高速電子スイッチにより0.2n秒以下の開閉時間で検波することを特徴とする応力インピーダンスセンサ。
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