JP2021031657A - シリコーン樹脂組成物の製造方法、シリコーン樹脂組成物及びシリコーン樹脂硬化物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】シリコーン樹脂組成物の製造方法、シリコーン樹脂組成物及びシリコーン樹脂硬化物の製造方法の提供。【解決手段】シリコーン樹脂を含むシリコーン樹脂組成物の製造方法であって、前記シリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂組成物の全量100質量%に対し、水分量が0.25質量%以下であり、100℃未満の温度で水分を減圧留去する工程を有する、シリコーン樹脂組成物の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、シリコーン樹脂組成物の製造方法、シリコーン樹脂組成物及びシリコーン樹脂硬化物の製造方法に関する。
半導体発光装置は、例えば、基板上に素子を設置する工程と、硬化前の封止材を、素子を覆うように基板上にポッティングする工程と、ポッティングされた硬化前の型封止材を硬化させる工程とからなる素子の封止を含む方法により製造される。
この工程に用いられる封止材として利用される材料として、例えば、特許文献1には、マトリックス樹脂と蛍光体等を含む蛍光体組成物の製造方法が記載されている。
この工程に用いられる封止材として利用される材料として、例えば、特許文献1には、マトリックス樹脂と蛍光体等を含む蛍光体組成物の製造方法が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載のような従来の封止材料は、長時間保管すると、封止材料である樹脂組成物の粘性が高まり、前記ポッティング工程が容易に行えないという課題があった。また、長期間保管した後の樹脂組成物を硬化させた場合、得られた硬化物の硬度が低下するという課題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、長期間保管しても粘性が高まることなく、デバイス製造時のポッティングが容易であり、さらに製造された硬化物の硬度も低下しないシリコーン樹脂組成物の製造方法、シリコーン樹脂組成物及びシリコーン樹脂硬化物の製造方法を提供することを課題とする。
本発明は下記の[1]〜[6]を包含する。
[1]シリコーン樹脂を含むシリコーン樹脂組成物の製造方法であって、前記シリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂組成物の全量100質量%に対し、水分量が0.25質量%以下であり、100℃未満の温度で水分を減圧留去する工程を有する、シリコーン樹脂組成物の製造方法。
[2]前記シリコーン樹脂が縮合型シリコーン樹脂である、[1]に記載のシリコーン樹脂組成物の製造方法。
[3]前記縮合型シリコーン樹脂は、少なくとも下記式(A3)で表される構造単位を含む、[2]に記載のシリコーン樹脂組成物の製造方法。
[ただし、式(A3)中、R1は炭素数1以上10以下のアルキル基または炭素数6以上10以下のアリール基を表す。]
[4]前記縮合型シリコーン樹脂は、下記式(A1)、式(A1’)、又は式(A2)で表される構造単位のうち、1種以上を含む、[2]又は[3]に記載のシリコーン樹脂組成物の製造方法。
[ただし、式(A1)、式(A1’)、及び式(A2)中、R1はそれぞれ独立して炭素数1以上10以下のアルキル基または炭素数6以上10以下のアリール基を表す。また、R2はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルコキシ基または水酸基を表す。]
[5]シリコーン樹脂組成物の全量100質量%に対し、水分量が0.25質量%以下であるシリコーン樹脂組成物。
[6][5]に記載のシリコーン樹脂組成物を硬化させる工程を有する、シリコーン樹脂硬化物の製造方法。
[1]シリコーン樹脂を含むシリコーン樹脂組成物の製造方法であって、前記シリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂組成物の全量100質量%に対し、水分量が0.25質量%以下であり、100℃未満の温度で水分を減圧留去する工程を有する、シリコーン樹脂組成物の製造方法。
[2]前記シリコーン樹脂が縮合型シリコーン樹脂である、[1]に記載のシリコーン樹脂組成物の製造方法。
[3]前記縮合型シリコーン樹脂は、少なくとも下記式(A3)で表される構造単位を含む、[2]に記載のシリコーン樹脂組成物の製造方法。
[4]前記縮合型シリコーン樹脂は、下記式(A1)、式(A1’)、又は式(A2)で表される構造単位のうち、1種以上を含む、[2]又は[3]に記載のシリコーン樹脂組成物の製造方法。
[5]シリコーン樹脂組成物の全量100質量%に対し、水分量が0.25質量%以下であるシリコーン樹脂組成物。
[6][5]に記載のシリコーン樹脂組成物を硬化させる工程を有する、シリコーン樹脂硬化物の製造方法。
本発明によれば、長期間保管しても粘性が高まることなく、デバイス製造時のポッティングが容易であり、さらに製造された硬化物の硬度も低下しないシリコーン樹脂組成物の製造方法、シリコーン樹脂組成物及びシリコーン樹脂硬化物の製造方法を提供することができる。
<シリコーン樹脂組成物の製造方法>
本実施形態は、シリコーン樹脂を含むシリコーン樹脂組成物の製造方法である。
本実施形態のシリコーン樹脂組成物の製造方法は、100℃未満の温度で水分を減圧留去する工程を有する。
本実施形態により製造されるシリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂組成物の全量100質量%に対する水分量が0.25質量%以下である。
本実施形態は、シリコーン樹脂を含むシリコーン樹脂組成物の製造方法である。
本実施形態のシリコーン樹脂組成物の製造方法は、100℃未満の温度で水分を減圧留去する工程を有する。
本実施形態により製造されるシリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂組成物の全量100質量%に対する水分量が0.25質量%以下である。
従来、封止剤等に用いられる樹脂組成物は保存安定性が悪く、1か月程度保存した後にはゲル化してしまい、ポッティング操作が困難となることがあった。
樹脂組成物中に水分が存在し、水分量の多い樹脂組成物は、樹脂組成物を硬化して得られた硬化物の硬度(例えば、ショア硬度)が低下するという問題があった。水分は、シリコーン樹脂組成物の製造時等において、大気中に水蒸気として存在する水分が混入することにより含まれ得る。
樹脂組成物中に水分が存在し、水分量の多い樹脂組成物は、樹脂組成物を硬化して得られた硬化物の硬度(例えば、ショア硬度)が低下するという問題があった。水分は、シリコーン樹脂組成物の製造時等において、大気中に水蒸気として存在する水分が混入することにより含まれ得る。
本発明のシリコーン樹脂組成物の製造方法によれば、シリコーン樹脂組成物の全量100質量%に対し水分量が0.25質量%以下となるまで減圧留去する。このため、本発明の製造方法により得られるシリコーン樹脂組成物は長期間保存後も粘度増加が抑えられ、ポッティング操作に容易に用いることができる。さらに、本発明の製造方法により得られたシリコーン樹脂組成物を硬化させた硬化物は、水分が多い樹脂組成物を用いた場合に比較して硬度を向上させることができる。
本実施形態のシリコーン樹脂組成物の製造方法の工程について説明する。本実施形態のシリコーン樹脂組成物の製造方法は減圧留去工程を備える。本実施形態においては、任意の混合工程と、必須の減圧留去工程とをこの順で備えることが好ましい。
[混合工程]
本実施形態のシリコーン樹脂組成物の製造方法は、まず、使用する樹脂成分等の各材料を有機溶媒に溶解又は分散することによって混合することが好ましい。
使用する樹脂成分等の混合方法は特に限定されるものではなく、2種類以上の高分子を混合する際に行われる公知の方法のいずれを用いてもよい。例えば、後述するシリコーン樹脂A、オリゴマーB、オリゴマーC、および、必要に応じてその他の成分のそれぞれを有機溶媒に溶解させた後、得られた溶液を混合してもよい。
本実施形態のシリコーン樹脂組成物の製造方法は、まず、使用する樹脂成分等の各材料を有機溶媒に溶解又は分散することによって混合することが好ましい。
使用する樹脂成分等の混合方法は特に限定されるものではなく、2種類以上の高分子を混合する際に行われる公知の方法のいずれを用いてもよい。例えば、後述するシリコーン樹脂A、オリゴマーB、オリゴマーC、および、必要に応じてその他の成分のそれぞれを有機溶媒に溶解させた後、得られた溶液を混合してもよい。
シリコーン樹脂をより均一に混合させることができ、かつ、調製されたシリコーン樹脂組成物の安定性を向上させることができるため、シリコーン樹脂を揮発性および溶解性が高い有機溶媒に溶解させた後、当該有機溶媒を別の溶媒に置換することが好ましい。
[留去工程]
本工程は、前記混合工程により得られた混合物の水分を減圧留去する工程である。具体的には、得られた混合物を100℃未満の温度で、シリコーン樹脂組成物の全量100質量%に対し、水分量が0.25質量%以下となるまで、減圧留去する。
本工程は、前記混合工程により得られた混合物の水分を減圧留去する工程である。具体的には、得られた混合物を100℃未満の温度で、シリコーン樹脂組成物の全量100質量%に対し、水分量が0.25質量%以下となるまで、減圧留去する。
本実施形態において、水分を減圧留去する方法は特に限定されず、下記の減圧条件を実施できる公知の装置や方法を適宜使用できる。なかでも本実施形態においてはエバポレーター等の装置やセパラブルフラスコを用いた減圧容器によって減圧留去することが好ましい。
脱水反応時の温度と減圧条件は相関関係にあり、装置の形態や攪拌状態によっても変わるが、それぞれ共沸により溶媒が著しく留去しない範囲でバランスをとりながら調整すればよい。
脱水反応時の温度と減圧条件は相関関係にあり、装置の形態や攪拌状態によっても変わるが、それぞれ共沸により溶媒が著しく留去しない範囲でバランスをとりながら調整すればよい。
減圧条件は、水分をより留去できる観点から、真空度が10hPa以上50hPa以下の範囲で減圧することが好ましく、20hPa以上45hPa以下とすることがより好ましく、25hPa以上40hPa以下とすることがさらに好ましく、27hPa以上37hPa以下とすることが特に好ましく、30hPa以上35hPa以下が殊更好ましい。
留去時の温度は、100℃未満の温度であって、シリコーン樹脂組成物中の高分子化合物が反応しない温度であれば特に限定されない。本実施形態においては、95℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、85℃以下が特に好ましい。留去工程を100℃以上の温度で行うと、シリコーン樹脂組成物中の高分子化合物がゲル化してしまい、好ましくない。また、水分をより留去しやすい観点から、留去時の温度は50℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましい。
以下、本実施形態に用いる各材料について説明する。
(シリコーン樹脂)
本実施形態のシリコーン樹脂組成物に含まれるシリコーン樹脂は、1種単独でもよいし、2種以上であってもよい。本実施形態においてシリコーン樹脂は、縮合型シリコーン樹脂を含むことが好ましい。本明細書において、縮合型シリコーン樹脂とは、ケイ素原子に結合した水酸基と、別のケイ素原子に結合したアルコキシ基または水酸基とを、脱アルコールまたは脱水を伴って重縮合する樹脂である。
本実施形態のシリコーン樹脂組成物に含まれるシリコーン樹脂は、1種単独でもよいし、2種以上であってもよい。本実施形態においてシリコーン樹脂は、縮合型シリコーン樹脂を含むことが好ましい。本明細書において、縮合型シリコーン樹脂とは、ケイ素原子に結合した水酸基と、別のケイ素原子に結合したアルコキシ基または水酸基とを、脱アルコールまたは脱水を伴って重縮合する樹脂である。
本実施形態で用いる縮合型シリコーン樹脂は、少なくとも下記式(A3)で表される構造単位を含むことが好ましい。また、式(A1)、式(A1’)、または式(A2)で表される構造単位のうち、1種以上を有することが好ましい。本実施形態に用いる縮合型シリコーン樹脂は、式(A1)、式(A1’)および式(A2)で表される構造単位の全てを有していることが好ましい。
本明細書では、ケイ素原子の4つの結合のうち3つの結合において酸素原子と結合しているケイ素元素を含む構造単位を「T体」という。特に、3個の酸素原子のうち全ての酸素原子が他のケイ素原子と結合している場合、当該構造単位を「T3体」という。また、3個の酸素原子のうち2個の酸素原子が他のケイ素原子と結合している場合、当該構造単位を「T2体」という。さらに、3個の酸素原子のうち1個の酸素原子が他のケイ素原子と結合している場合、当該構造単位を「T1体」という。つまり、「T体」というときには、「T1体」、「T2体」および「T3体」を示している。
また、本明細書では、ケイ素原子の4つの結合のうち2つの結合において酸素原子と結合しているケイ素原子を含む構造単位を「D体」という。さらに、ケイ素原子の4つの結合のうち1つの結合において酸素原子と結合しているケイ素原子を含む構造単位を「M体」という。
上記式(A3)で表される構造単位は、他のケイ素原子と結合した酸素原子3個およびR1と結合しているケイ素原子を含んでいる。R1は炭素数1以上10以下のアルキル基または炭素数6以上10以下のアリール基であるため、当該構造単位は、T3体である。
上記式(A2)で表される構造単位は、他のケイ素原子と結合した酸素原子2個、R1およびR2と結合しているケイ素原子を含んでいる。R2は炭素数1以上4以下のアルコキシ基または水酸基であるため、当該構造単位は、T2体である。
上記式(A1)で表される構造単位は、他のケイ素原子と結合した酸素原子1個、R1および2個のR2と結合しているケイ素原子を含んでいる。R1は炭素数1以上10以下のアルキル基または炭素数6以上10以下のアリール基であり、R2は炭素数1以上4以下のアルコキシ基または水酸基であるため、当該構造単位は、T1体である。
上記式(A1’)で表される構造単位は、R1および2個のR2と結合しているケイ素原子を含み、当該ケイ素原子が他の構造単位中の酸素原子と結合している。R1は炭素数1以上10以下のアルキル基または炭素数6以上10以下のアリール基であり、R2は炭素数1以上4以下のアルコキシ基または水酸基であるため、当該構造単位は、T1体である。
上記式(A1)および式(A1’)で表される構造単位は、縮合型シリコーン樹脂に含まれるオルガノポリシロキサン鎖の末端を構成している。また、上記式(A3)で表される繰返し単位は、は、1または2本のオルガノポリシロキサン鎖による分岐鎖構造を構成している。つまり、上記式(A3)で表される構造単位は、樹脂の網目構造や環構造の一部を形成している。
さらに、以下の説明においては、「T3体」に含まれるケイ素原子のことを「T3ケイ素原子」と称する。
同様に、「T2体」に含まれるケイ素原子のことを「T2ケイ素原子」と称する。
同様に、「T1体」に含まれるケイ素原子のことを「T1ケイ素原子」と称する。
同様に、「T2体」に含まれるケイ素原子のことを「T2ケイ素原子」と称する。
同様に、「T1体」に含まれるケイ素原子のことを「T1ケイ素原子」と称する。
本実施形態のシリコーン樹脂組成物に含まれるシリコーン樹脂において、T体の含有量(すなわち、「T1体」、「T2体」「T3体」の合計の含有量)は、シリコーン樹脂の全構造単位の合計の含有量に対して、50モル%以上であることが好ましい。換言すると、T1ケイ素原子、T2ケイ素原子、およびT3ケイ素原子の合計の含有量は、全ケイ素原子の合計の含有量に対して、50モル%以上であることが好ましい。さらに、T1ケイ素原子、T2ケイ素原子、およびT3ケイ素原子の合計の含有量は、全ケイ素原子の合計の含有量に対して、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、よりさらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。
本明細書において、本実施形態のシリコーン樹脂組成物に含まれるシリコーン樹脂が、後述するオリゴマー成分を含んでいる場合、「本実施形態のシリコーン樹脂組成物に含まれるシリコーン樹脂に含まれる全構造単位」には、オリゴマー成分に含まれる構造単位を含めるものとする。
本実施形態のシリコーン樹脂組成物に含まれるシリコーン樹脂において、上記式(A3)で表される構造単位の含有量は、シリコーン樹脂に含まれる全構造単位の合計含有量に対して、55モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましく、65モル%以上であることが更に好ましく、70モル%以上であることが特に好ましい。
すなわち、本実施形態のシリコーン樹脂組成物に含まれるシリコーン樹脂において、T3体の含有量は、シリコーン樹脂に含まれる全構造単位の合計含有量に対して、55モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましく、65モル%以上であることが更に好ましく、70モル%以上であることが特に好ましい。換言すると、シリコーン樹脂に含まれるT3ケイ素原子の含有量は、シリコーン樹脂に含まれる全ケイ素原子の合計含有量に対して、55モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましく、65モル%以上であることが更に好ましく、70モル%以上であることが特に好ましい。
「T3体」の含有量は、「T1体」、「T2体」「T3体」の合計の含有量に対して、55モル%以上であることが好ましい。換言すると、T3ケイ素原子の含有量は、T1ケイ素原子、T2ケイ素原子、およびT3ケイ素原子の合計の含有量に対して、55モル%以上であることが好ましい。さらに、T3ケイ素原子の含有量は、T1ケイ素原子、T2ケイ素原子、およびT3ケイ素原子の合計の含有量に対して、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上である。
本実施形態のシリコーン樹脂組成物に含まれるシリコーン樹脂において、T体の含有量およびT3体の含有量が、上記の範囲内であれば、シリコーン樹脂組成物の硬化物が十分な耐熱性を示すとともに、高い硬度を示す。
本明細書において、T3ケイ素原子の含有量は29Si−NMR測定において求められる全ケイ素原子のシグナルの合計の面積から、T3ケイ素原子として帰属されるシグナルの面積を除することで求めることができる。なお、T3ケイ素原子以外のケイ素原子の含有量についても同様に求めることができる。
「D体」の含有量は、シリコーン樹脂の全構造単位の合計の含有量に対して、30モル%以下であることが好ましく、20モル%以下であることがより好ましい。また、「D体」の含有量は、シリコーン樹脂の全構造単位の合計の含有量に対して、10モル%以下であることがさらに好ましく、5モル%以下であることがよりさらに好ましく、4モル%以下であることが殊更に好ましい。
R1が炭素数1以上10以下のアルキル基の場合、当該アルキル基としては、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状構造を有していてもよい。なかでも、R1で表されるアルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。
R1で表される炭素数1以上10以下のアルキル基は、当該アルキル基を構成する1または2以上の水素原子が、他の官能基で置換されていてもよい。アルキル基の置換基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基が挙げられ、フェニル基が好ましい。
R1で表される炭素数1以上10以下のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの無置換のアルキル基、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などのアラルキル基が挙げられる。なかでも、R1で表されるアルキル基としては、硬化物の耐熱性や硬度を高くしやすい観点から、メチル基、エチル基、プロピル基、またはブチル基が好ましく、メチル基、エチル基またはイソプロピル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
R1が炭素数6以上10以下のアリール基の場合、当該アリール基を構成する1または2以上の水素原子が、他の官能基で置換されていてもよい。アリール基の置換基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の炭素数1以上10以下のアルキル基が挙げられる。
R1で表される炭素数6以上10以下のアリール基としては、具体的には、フェニル基、ナフチル基等の無置換のアリール基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基等のアルキルフェニル基のようなアルキルアリール基等が挙げられる。なかでも、R1で表されるアリール基としては、フェニル基が好ましい。
上記式(A1)で表される構造単位、上記式(A1’)で表される構造単位および上記式(A2)で表される構造単位において、加水分解が生じやすく、脱水縮合による樹脂のネットワークを形成し、硬度を高めやすい観点から、R2は、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基または水酸基であることが好ましい。
R2が炭素数1以上4以下のアルコキシ基の場合、当該アルコキシ基としては、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状構造を有していてもよい。なかでも、R2で表されるアルコキシ基としては、硬化物の耐光性を高めやすい観点から、直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基が好ましく、直鎖状のアルコキシ基がより好ましい。
R2で表される炭素数1以上4以下のアルコキシ基としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられ、本実施形態のシリコーン樹脂組成物の経時変化に対する安定性と硬化性とをバランスよく両立させる観点からは、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基がより好ましい。
本実施形態のシリコーン樹脂組成物に含まれるシリコーン樹脂は、実質的に縮合型シリコーン樹脂からなることが好ましい。付加型シリコーン樹脂とは、ヒドロシリル基と炭素間二重結合とを付加反応させることにより重合する樹脂である。また、付加反応と重縮合反応とが同時に起こることにより重合する樹脂もあるが、本明細書では付加型の一種として扱う。
ここで、「実質的に縮合型シリコーン樹脂からなる」とは、シリコーン樹脂組成物に含まれるシリコーン樹脂が、縮合型シリコーン樹脂のみからなる形態と、シリコーン樹脂組成物の硬化物の耐熱性を低下させない程度の他のシリコーン樹脂を含む形態とを意味する。
ここで、「硬化物の耐熱性を低下させない程度」とは、耐熱性の低下の度合いが実用上問題のない程度であることを意味する。具体的には、他のシリコーン樹脂の含有量が、シリコーン樹脂組成物に含まれるシリコーン樹脂の合計含有量に対して、1質量%以下であることを意味し、0.1質量%以下であることが好ましい。
本実施形態のシリコーン樹脂組成物に含まれるシリコーン樹脂が、実質的に縮合型シリコーン樹脂からなる樹脂であると、シリコーン樹脂組成物の硬化物が光学特性の安定性に優れる。
本実施形態に用いるシリコーン樹脂は、上記式(A1)で表される構造単位、上記式(A1’)で表される構造単位、上記式(A2)で表される構造単位および上記式(A3)で表される構造単位におけるR1がメチル基であり、R2が炭素数1〜3のアルコキシ基または水酸基であることが好ましい。
また、本実施形態のシリコーン樹脂組成物に含まれるシリコーン樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、1500以上15000以下であることが好ましく、2000以上10000以下であることがより好ましく、2000以上8000以下であることが更に好ましく、2500以上6000以下であることが特に好ましい。シリコーン樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量が上記の範囲内であれば、硬化性、溶媒に対する溶解性に優れるため、シリコーン樹脂組成物を使用する際のハンドリング性、塗布性が向上する。
シリコーン樹脂の重量平均分子量は、一般的に、ゲルパーメーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を用いることができる。具体的には、シリコーン樹脂を可溶性の溶媒に溶かした後、得られた溶液を細孔(ポア)が数多く存在する充てん剤を用いたカラム内に移動相溶媒と共に通液し、カラム内で分子量の大小によって分離させ、分離された分子量成分の含有量を示差屈折率計やUV計、粘度計、光散乱検出器等を検出器として用いて検出する。GPC専用装置は広く市販されており、重量平均分子量は、標準ポリスチレン換算によって測定することが一般的である。本明細書における重量平均分子量は、この標準ポリスチレン換算によって測定されたものである。
なお、本実施形態に用いる縮合型シリコーン樹脂は、発明の効果を損なわない範囲において、下記式(C1)、式(C1’)、式(C2)、式(C3)または式(C4)で表される構造単位をさらに有していてもよい。
本明細書では、4個の酸素原子と結合しているケイ素原子を含む構造単位を「Q体」という。
また、当該4個の酸素原子のうち1個の酸素原子が他のケイ素原子と結合しているケイ素原子を含む構造単位を「Q1体」という。式(C1)で表される構造単位および式(C1’)で表される構造単位はQ1体である。
また、当該4個の酸素原子のうち2個の酸素原子が他のケイ素原子と結合しているケイ素原子を含む構造単位を「Q2体」という。式(C2)で表される構造単位はQ2体である。
また、当該4個の酸素原子のうち3個の酸素原子が他のケイ素原子と結合しているケイ素原子を含む構造単位を「Q3体」という。式(C3)で表される構造単位はQ3体である。
また、当該4個の酸素原子の全てが他のケイ素原子と結合しているケイ素原子を含む構造単位を「Q4体」という。式(C4)で表される構造単位は「Q4体」である。
また、当該4個の酸素原子のうち1個の酸素原子が他のケイ素原子と結合しているケイ素原子を含む構造単位を「Q1体」という。式(C1)で表される構造単位および式(C1’)で表される構造単位はQ1体である。
また、当該4個の酸素原子のうち2個の酸素原子が他のケイ素原子と結合しているケイ素原子を含む構造単位を「Q2体」という。式(C2)で表される構造単位はQ2体である。
また、当該4個の酸素原子のうち3個の酸素原子が他のケイ素原子と結合しているケイ素原子を含む構造単位を「Q3体」という。式(C3)で表される構造単位はQ3体である。
また、当該4個の酸素原子の全てが他のケイ素原子と結合しているケイ素原子を含む構造単位を「Q4体」という。式(C4)で表される構造単位は「Q4体」である。
つまり、Q体は、Q1体、Q2体、Q3体およびQ4体を意味する。
《シリコーン樹脂A》
本実施形態のシリコーン樹脂組成物に含まれるシリコーン樹脂は、主剤となるシリコーン樹脂(以下、「シリコーン樹脂A」と称する。)と、後述するオリゴマー成分とが混合されたものであることが好ましい。
本実施形態のシリコーン樹脂組成物に含まれるシリコーン樹脂は、主剤となるシリコーン樹脂(以下、「シリコーン樹脂A」と称する。)と、後述するオリゴマー成分とが混合されたものであることが好ましい。
シリコーン樹脂Aは、上記式(A3)で表される構造単位を含む。また、シリコーン樹脂Aは、上記式(A1)で表される構造単位、上記式(A1’)で表される構造単位および上記式(A2)で表される構造単位からなる群から選ばれる1種以上の構造単位をさらに含むことが好ましい。
シリコーン樹脂Aにおいて、T1体、T2体およびT3体の合計含有量は、通常、シリコーン樹脂Aの全構造単位の合計含有量に対して、70モル%以上である。
シリコーン樹脂Aにおいて、T3体の含有量は、通常、シリコーン樹脂Aの全構造単位の合計含有量に対して、60モル%以上90モル%以下である。
シリコーン樹脂Aのポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常、1500以上8000以下である。
シリコーン樹脂Aにおいて、T3体の含有量は、通常、シリコーン樹脂Aの全構造単位の合計含有量に対して、60モル%以上90モル%以下である。
シリコーン樹脂Aのポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常、1500以上8000以下である。
シリコーン樹脂Aにおいて、T1体、T2体およびT3体の合計含有量は、シリコーン樹脂Aの全構造単位の合計含有量に対して、80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることがさらに好ましい。
シリコーン樹脂Aにおいて、T3体の含有量は、シリコーン樹脂Aの全構造単位の合計含有量に対して、65%以上90%以下であることが好ましく、70%以上85%以下であることがより好ましい。
シリコーン樹脂Aのポリスチレン換算の重量平均分子量は、1500以上7000以下であることが好ましく、2000以上5000以下であることがより好ましい。シリコーン樹脂Aのポリスチレン換算の重量平均分子量がこの範囲内であれば、後述する蛍光体との混合性が良好となる。
シリコーン樹脂Aとしては、市販のシリコーンレジンを用いることができる。
シリコーン樹脂Aは、シラノール基(Si−OH)を有することが好ましい。シリコーン樹脂Aにおいて、シラノール基を有するケイ素原子は、シリコーン樹脂Aに含まれる全ケイ素原子に対して、1モル%以上30モル%以下であることが好ましく、5モル%以上27モル%以下であることがより好ましく、10モル%以上25モル%以下であることが更に好ましい。
シリコーン樹脂Aにおいて、シラノール基を有するケイ素原子の含有量が上記の範囲内であれば、後述する波長変換材料と混合した際、シリコーン樹脂Aと波長変換材料の表面とに水素結合が形成される。このため、波長変換材料との混合性が良好になる。また、本実施形態のシリコーン樹脂組成物の硬化反応が進行しやすいため、耐熱性の高い波長変換シートを得ることができる。
また、シリコーン樹脂Aにおいて、アルコキシ基を有するケイ素原子は、シリコーン樹脂Aに含まれる全ケイ素原子に対して、0モル%超20モル%以下であることが好ましく、0モル%超10モル%以下であることがより好ましく、1モル%以上10モル%以下であることが更に好ましい。シリコーン樹脂Aにおいて、アルコキシ基を有するケイ素原子の含有量が上記の範囲内であれば、本実施形態のシリコーン樹脂組成物の保存安定性が良好であり、かつ、流動性が適切な範囲内となり、当該シリコーン樹脂組成物のハンドリング性が向上する。
シリコーン樹脂Aは、シロキサン結合を生じ得る官能基を有する有機ケイ素化合物を出発原料として合成することができる。ここで、「シロキサン結合を生じ得る官能基」としては、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を挙げることができる。上記式(A3)で表される構造単位に対応する有機ケイ素化合物としては、例えば、オルガノトリハロシラン、オルガノトリアルコキシシラン等が挙げられる。
シリコーン樹脂Aは、出発原料である有機ケイ素化合物を、各構造単位の存在比率に対応した比率で、塩酸等の酸または水酸化ナトリウム等の塩基の存在下で、加水分解縮合法で反応させることにより合成することができる。出発原料である有機ケイ素化合物を適宜選択することにより、シリコーン樹脂Aに含まれるT3ケイ素原子の存在比率を調整することができる。
本実施形態のシリコーン樹脂組成物に含まれるシリコーン樹脂Aの含有量は、シリコーン樹脂組成物に含まれる全シリコーン樹脂の合計含有量に対して、60質量%以上100質量%以下であることが好ましく、70質量%以上95質量%以下であることがより好ましい。
(オリゴマー成分)
本実施形態のシリコーン樹脂組成物に含まれるシリコーン樹脂は、シリコーン樹脂Aの他に、オリゴマー成分を含んでいてもよい。シリコーン樹脂にオリゴマー成分が含まれることにより、本実施形態のシリコーン樹脂組成物の硬化物は、柔軟性および耐クラック性に優れたものとなる。
本実施形態のシリコーン樹脂組成物に含まれるシリコーン樹脂は、シリコーン樹脂Aの他に、オリゴマー成分を含んでいてもよい。シリコーン樹脂にオリゴマー成分が含まれることにより、本実施形態のシリコーン樹脂組成物の硬化物は、柔軟性および耐クラック性に優れたものとなる。
《オリゴマーB(第1のオリゴマー)》
オリゴマー成分としては、下記式(B1)、式(B1’)、式(B2)または式(B3)で表される構造単位を含むオリゴマーが挙げられる。
オリゴマー成分としては、下記式(B1)、式(B1’)、式(B2)または式(B3)で表される構造単位を含むオリゴマーが挙げられる。
式(B1)、式(B1’)、式(B2)および式(B3)で表される構造単位を含むオリゴマーのポリスチレン換算の重量平均分子量は、1000以上10000以下であることが好ましく、2000以上8000以下であることがより好ましく、3000以上6000以下であることが更に好ましい。オリゴマーのポリスチレン換算の重量平均分子量がこの範囲内であれば、シリコーン樹脂Aや後述するオリゴマーCとの混合性が良好となる。
以下の説明においては、式(B1)、式(B1’)、式(B2)および式(B3)で表される構造単位を含み、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1000以上10000以下であるオリゴマー成分を、「オリゴマーB」と称する。
オリゴマーBは、(a)T2体を含むオリゴマーまたは(b)D体を含むオリゴマーが好ましく、(a)および(b)を満たすオリゴマー、すなわち(c)T2体およびD体を含むオリゴマーがより好ましい。本実施形態のシリコーン樹脂組成物に(c)を満たすオリゴマーが含まれる場合、しわやクラックの無い蛍光体シートを作製しやすい。
(a)T2体を含むオリゴマー
(a)T2体を含むオリゴマーとしては、式(B2)で表される構造単位であって、R4が炭素数1以上4以下のアルコキシ基または水酸基である構造単位の含有量、すなわちT2体の含有量が30モル%以上60モル%以下であるものが好ましく、40モル%以上55モル%以下であるものがより好ましい。
(a)T2体を含むオリゴマーとしては、式(B2)で表される構造単位であって、R4が炭素数1以上4以下のアルコキシ基または水酸基である構造単位の含有量、すなわちT2体の含有量が30モル%以上60モル%以下であるものが好ましく、40モル%以上55モル%以下であるものがより好ましい。
オリゴマーBが(a)T2体を含むオリゴマーである場合、T2体の含有量が上述の範囲内であれば、本実施形態のシリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂AおよびオリゴマーBの溶解性を確保しながら、熱硬化時に良好な硬化反応性を示す。
(b)D体を含むオリゴマー
(b)D体を含むオリゴマーとしては、式(B1)、式(B1’)、式(B2)または式(B3)で表される構造単位を含むシリコーン樹脂であって、平均組成式が下記式(I)で表されるシリコーン樹脂が好ましい。
(R5)nSi(OR6)mO(4−n―m)/2 …(I)
[式(I)中、R5は、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を表す。R6は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または水素原子を表す。nは1<n<2を満たす実数を表す。mは0<m<1を満たす実数を表す。]
(b)D体を含むオリゴマーとしては、式(B1)、式(B1’)、式(B2)または式(B3)で表される構造単位を含むシリコーン樹脂であって、平均組成式が下記式(I)で表されるシリコーン樹脂が好ましい。
(R5)nSi(OR6)mO(4−n―m)/2 …(I)
[式(I)中、R5は、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を表す。R6は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または水素原子を表す。nは1<n<2を満たす実数を表す。mは0<m<1を満たす実数を表す。]
平均組成式が上記式(I)で表されるオリゴマーBは、上述した「T体」および「D体」を含む。
式(I)において、R5はメチル基が好ましく、R6はメチル基または水素原子が好ましい。nは1<n≦1.5を満たす実数であり、且つ、mは0.5≦m<1を満たす実数であることが好ましく、nは1.1≦n≦1.4を満たす実数であり、且つ、mは0.55≦m≦0.75を満たす実数であることがより好ましい。式(I)におけるnおよびmがこれらの範囲内であれば、オリゴマーBとシリコーン樹脂Aとの相溶性が良好になる。
オリゴマーBに含まれる全構造単位のうち、式(B1)で表される構造単位および式(B1’)で表される構造単位であって、2つのR4のうち一方が炭素数1以上10以下のアルキル基または炭素数6以上10以下のアリール基であり、他方が炭素数1以上4以下のアルコキシ基または水酸基である構造単位は、「D1体」である。
オリゴマーBに含まれる全構造単位のうち、式(B2)で表される構造単位であって、R4が炭素数1以上10以下のアルキル基または炭素数6以上10以下のアリール基である構造単位は、「D2体」である。
オリゴマーBが(b)D体を含むオリゴマーである場合、オリゴマーBに含まれる全構造単位のうち、D1体およびD2体の合計含有量は、5モル%以上80モル%以下であることが好ましく、10モル%以上70モル%以下であることがより好ましく、15モル%以上50モル%以下であることがさらに好ましい。
(c)T2体およびD体を含むオリゴマー
(c)T2体およびD体を含むオリゴマーは、(a)T2体を含むオリゴマーと、(b)D体を含むオリゴマーの双方の要件を満たすものである。
(c)T2体およびD体を含むオリゴマーは、(a)T2体を含むオリゴマーと、(b)D体を含むオリゴマーの双方の要件を満たすものである。
オリゴマーBに含まれる全構造単位のうち、式(B1)で表される構造単位および式(B1’)で表される構造単位であって、2つのR4が炭素数1以上4以下のアルコキシ基または水酸基である構造単位は、T1体である。
オリゴマーBに含まれる全構造単位のうち、式(B2)で表される構造単位であって、R4が炭素数1〜4のアルコキシ基または水酸基である構造単位は、T2体である。
オリゴマーBに含まれる全構造単位のうち、式(B3)で表される構造単位は、T3体である。
オリゴマーBが(c)T2体およびD体を含むオリゴマーである場合、オリゴマーBに含まれる全構造単位のうち、T1体、T2体およびT3体の合計含有量と、D体の含有量とのモル比(T体:D体)は、60:40〜90:10であることが好ましく、75:25〜85:15であることがより好ましい。T体:D体のモル比が上記の範囲内であれば、シリコーン樹脂AとオリゴマーBとの相溶性が良好になる。
オリゴマーBは、シリコーン樹脂を構成する上述した各構造単位に対応し、シロキサン結合を生じ得る官能基を有する有機ケイ素化合物を出発原料として合成することができる。ここで、「シロキサン結合を生じ得る官能基」としては、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を挙げることができる。
上記式(B3)で表される構造単位に対応する有機ケイ素化合物としては、例えば、オルガノトリハロシラン、オルガノトリアルコキシシラン等が挙げられる。上記式(B2)で表される構造単位に対応する有機ケイ素化合物としては、例えば、オルガノジハロシラン、オルガノジアルコキシシラン等が挙げられる。
オリゴマーBは、出発原料である有機ケイ素化合物を、各構造単位の存在比率に対応した比率で、塩酸等の酸または水酸化ナトリウム等の塩基の存在下で、加水分解縮合法で反応させることにより合成することができる。出発原料である有機ケイ素化合物を適宜選択することにより、オリゴマーBに含まれるT体のケイ素原子とD体のケイ素原子の存在比率を調整することができる。
本実施形態のシリコーン樹脂組成物に含まれるオリゴマーBの含有量は、シリコーン樹脂組成物に含まれる全シリコーン樹脂の合計含有量に対して、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。
また、本実施形態のシリコーン樹脂組成物に含まれるオリゴマーBの含有量は、本実施形態のシリコーン樹脂組成物に含まれるシリコーン樹脂Aの含有量に対して、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、1質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上12質量%以下であることがさらに好ましい。
GPC法により測定したオリゴマーBの分子量分布において、ピークは単一であっても、複数存在していてもよい。オリゴマーBの分子量分布において、ポリスチレン換算の重量平均分子量7500以上の領域に存在するピークの面積の総和が、全ピークの面積の総和に対して、20%以上の大きさであり、ポリスチレン換算の重量平均分子量1000以下の領域に存在するピークの面積の総和が、全ピークの面積の総和に対して、30%以上であってもよい。
《オリゴマーC(第2のオリゴマー)》
オリゴマー成分の他の例としては、例えば、上記式(A1)、式(A1’)、式(A2)または式(A3)で表される構造単位を含むシリコーン樹脂であって、上記式(A3)で表される構造単位の含有量が、上記式(A1)で表される構造単位、上記式(A1’)で表される構造単位、上記式(A2)で表される構造単位および上記式(A3)で表される構造単位の合計含有量に対して、0〜30モル%であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1500未満であるシリコーン樹脂が挙げられる。
以下の説明においては、このようなシリコーン樹脂を、「オリゴマーC」と称する。
オリゴマー成分の他の例としては、例えば、上記式(A1)、式(A1’)、式(A2)または式(A3)で表される構造単位を含むシリコーン樹脂であって、上記式(A3)で表される構造単位の含有量が、上記式(A1)で表される構造単位、上記式(A1’)で表される構造単位、上記式(A2)で表される構造単位および上記式(A3)で表される構造単位の合計含有量に対して、0〜30モル%であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1500未満であるシリコーン樹脂が挙げられる。
以下の説明においては、このようなシリコーン樹脂を、「オリゴマーC」と称する。
オリゴマーCは、上記式(A1)で表される構造単位、上記式(A1’)で表される構造単位、上記式(A2)で表される構造単位および上記式(A3)で表される構造単位のうち、1種以上の構造単位を含むシリコーン樹脂であり、4種全ての構造単位を含むシリコーン樹脂であってもよい。
オリゴマーCは、T1ケイ素原子、T2ケイ素原子およびT3ケイ素原子の合計含有量に対する、T3ケイ素原子の含有量の割合が0モル%以上30モル%以下であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1500未満であるシリコーン樹脂である。T1ケイ素原子、T2ケイ素原子およびT3ケイ素原子の合計含有量に対する、T3ケイ素原子の含有量の割合は、0モル%以上25モル%以下であることが好ましい。
オリゴマーCは、アルケニル基およびヒドロシリル基を実質的に有しないことが好ましい。すなわち、オリゴマーCは、上記式(A1)で表される構造単位、上記式(A1’)で表される構造単位、上記式(A2)で表される構造単位および上記式(A3)で表される構造単位におけるR2として、アルケニル基および水素原子を有しないことが好ましい。オリゴマーCが、アルケニル基またはヒドロシリル基を有すると、本実施形態のシリコーン樹脂組成物の硬化物の耐熱性が低くなる。
オリゴマーCは、下記式(2)で表されるオルガノポリシロキサン構造を有するオリゴマーであることが好ましい。
式(2)で表されるオルガノポリシロキサン構造において、R1がメチル基、エチル基およびフェニル基からなる群より選択される1種以上の基であり、R2がメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基および水酸基からなる群より選択される1種以上の基であることが好ましく、R1がメチル基およびエチル基からなる群より選択される1種以上の基であり、R2がメトキシ基、エトキシ基およびイソプロポキシ基からなる群より選択される1種以上の基であることがより好ましい。特に、本実施形態のシリコーン樹脂組成物の硬化物が高い硬度を有しやすい観点から、R1はメチル基であることが好ましい。
式(2)で表されるオリゴマーCの各構造単位の存在比は、T1ケイ素原子、T2ケイ素原子およびT3ケイ素原子の存在比で表すことができる。つまり、理論上、T1ケイ素原子:T2ケイ素原子:T3ケイ素原子=[r2+q2]:[p2+b2×q2]:[a2×q2]である。すなわち、オリゴマー中の各ケイ素原子の存在比は、p2、q2、r2、a2、およびb2の数値を適宜調整することによって調整できる。例えば、a2とq2の少なくとも一方が0の場合、当該オリゴマーにはT3ケイ素原子が存在せず、直鎖状又は環状分子のみが含まれる。一方で、r2とq2の両方が0の場合、当該オリゴマーはT2ケイ素原子のみが存在し、環状分子のみが含まれる。
また、式(2)中、T2ケイ素原子の数をx2とし、T3ケイ素原子の数をy2とし、T1ケイ素原子の数をz2とした場合、式(2)中のT3ケイ素原子の存在比は、[y2/(x2+y2+z2)]で表される。
式(2)中、p2、q2、r2、a2、およびb2は、[a2×q2]/[(p2+b2×q2)+a2×q2+(r2+q2)]=0〜0.3となる任意の0以上の数を表す。ここで、[a2×q2]/[(p2+b2×q2)+a2×q2+(r2+q2)]は、式(2)中のT3ケイ素原子の存在比[y2/(x2+y2+z2)]に等しい。つまり、式(2)中のp2、q2、r2、a2、およびb2は、T3ケイ素原子の存在比が0〜0.3の範囲内となるように、適宜調整される。
すなわち、式(2)で表されるオリゴマーは、T1ケイ素原子とT2ケイ素原子とT3ケイ素原子の合計含有量に対するT3ケイ素原子の含有量[y2/(x2+y2+z2)]が0〜0.3であり、かつ、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1500未満である。T3ケイ素原子の存在比が上記範囲内であれば、T2ケイ素原子の存在比[x2/(x2+y2+z2)]およびT1ケイ素原子の存在比[z2/(x2+y2+z2)]については特に限定されない。オリゴマーCとしては、[y2/(x2+y2+z2)]が0〜0.25の範囲内であるものが好ましく、0.05〜0.2の範囲内であるものがより好ましい。
オリゴマーは、T3ケイ素原子の存在比が比較的低いため、分岐鎖構造が少なく、直鎖状や環状の分子を多く含む。オリゴマーとしては、環状分子のみを含む樹脂であってもよいが、直鎖状の分子を多く含む樹脂であるほうが好ましい。オリゴマーCとしては、例えば、T1ケイ素原子の存在比率:[z2/(x2+y2+z2)]が0以上0.80以下の範囲内であるものが好ましく、0.30以上0.80以下の範囲内であるものがより好ましく、0.35以上0.75以下の範囲内であるものが更に好ましく、0.35以上0.55以下の範囲内であるものが特に好ましい。
本実施形態のシリコーン樹脂組成物に含まれるオリゴマーCの含有量は、シリコーン樹脂組成物に含まれる全シリコーン樹脂の合計含有量に対して、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。
また、本実施形態のシリコーン樹脂組成物に含まれるオリゴマーCの含有量は、本実施形態のシリコーン樹脂組成物に含まれるシリコーン樹脂Aの含有量に対して、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であることがさらに好ましい。
GPC法により測定されるオリゴマーCのポリスチレン換算の重量平均分子量は1500未満であることが好ましい。オリゴマーの重量平均分子量は、200以上1500未満がより好ましく、250以上1000以下がさらに好ましい。オリゴマーCのポリスチレン換算の重量平均分子量が大きすぎる場合、本実施形態のシリコーン樹脂組成物の硬化物の硬度が不充分となる場合がある。
オリゴマーCの1分子中のT1ケイ素原子、T2ケイ素原子およびT3ケイ素原子の数は、式(2)で表されるオルガノポリシロキサン構造を有する樹脂が、所望の分子量となるように適宜調整される。一実施形態においては、オリゴマーC1分子中のT1ケイ素原子の数とT2ケイ素原子の数とT3ケイ素原子の数との和は、2以上であることが好ましい。
オリゴマーCは、オリゴマーCを構成する上述した各構造単位に対応し、シロキサン結合を生じ得る官能基を有する有機ケイ素化合物を出発原料として合成することができる。ここで、「シロキサン結合を生じ得る官能基」は、上述したものと同じ意味を表す。上記式(A3)で表される構造単位に対応する有機ケイ素化合物としては、例えば、オルガノトリハロシラン、オルガノトリアルコキシシラン等が挙げられる。オリゴマーCは、このような出発原料である有機ケイ素化合物を各構造単位の存在比率に対応した比率で、加水分解縮合法で反応させることにより合成することができる。
オリゴマーCの合成時には、出発原料として、上記式(A1)で表される構造単位に対応する有機ケイ素化合物と、上記式(A1’)で表される構造単位に対応する有機ケイ素化合物とを混合することとなる。これらの有機ケイ素化合物は、有機ケイ素化合物が加水分解縮合反応して重合する際に、重合反応の末端に結合して重合反応を停止させる。
本実施形態のシリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂Aと、オリゴマーBまたはオリゴマーCとを含むことが好ましく、シリコーン樹脂Aと、オリゴマーBと、オリゴマーCとを含むことがより好ましい。
このようなオリゴマーは、工業的に市販されているものを使用してもよいし、オリゴマーを構成する各構造単位に対応し、シロキサン結合を生じ得る官能基を有する有機ケイ素化合物を出発原料として合成してもよい。「シロキサン結合を生じ得る官能基」としては、上記と同様である。
[溶媒]
本実施形態で用いられる溶媒としては、シリコーン樹脂およびオリゴマーを溶解させることができる限り特に限定されない。シリコーン樹脂とオリゴマーとをより均一に混合させることができ、かつ、組成物の安定性を向上させる観点から、沸点の異なる2種類以上の溶媒を用いることが好ましい。
本実施形態で用いられる溶媒としては、シリコーン樹脂およびオリゴマーを溶解させることができる限り特に限定されない。シリコーン樹脂とオリゴマーとをより均一に混合させることができ、かつ、組成物の安定性を向上させる観点から、沸点の異なる2種類以上の溶媒を用いることが好ましい。
具体的には、まず、沸点が低い方の溶媒(以下、溶媒P)中にシリコーン樹脂を投入し、溶媒Pの沸点付近の温度まで加熱し攪拌させることによって溶解させる。次いで、オリゴマーを投入し、同様にして混合溶解させる。その後、溶媒Pよりも沸点が高い溶媒(以下、溶媒Q)を投入し、溶媒Pの濃度が1質量%以下になるまで加熱することによって、溶媒Pから溶媒Qへの溶媒置換を行うことができる。シリコーン樹脂組成物の安定性をより高める観点から、シリコーン樹脂組成物の全量100質量%に対する溶媒Pの濃度は、好ましくは1質量%未満、より好ましくは0.55質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.45質量%以下となるように加熱する。その際、より効率的に溶媒置換を行う手段として、容器内を減圧にした状態で加熱することもできる。
このような処理を行うことにより、シリコーン樹脂やオリゴマーに含まれる他の溶媒や水などが溶媒置換を行うことで同伴して除去することが出来、組成物の安定性に有効である。
溶媒Pとしては、沸点が100℃未満の有機溶媒が好ましい。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール等のアルコール系溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン等の炭化水素系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等の酢酸エステル系溶媒;ジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒が好ましい。
なかでも、溶媒Pとしては、シリコーン樹脂の溶解性や水を留去しやすい観点から、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール等のアルコール系溶媒がより好ましい。
溶媒Qとしては、沸点が100℃以上の有機溶媒が好ましい。具体的には、グリコールエーテル溶媒、またはグリコールエステル溶媒などが好ましい。
グリコールエーテル溶媒の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノベンジルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。
グリコールエステル溶媒の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノヘキシルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルヘキシルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールモノベンジルエーテルアセテートなどが挙げられる。
なかでも、溶媒Qとしては、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートがより好ましい。
本実施形態のシリコーン樹脂組成物において、溶媒の含有量は、シリコーン樹脂組成物に含まれる全成分の合計含有量に対して、通常、5質量%以上60質量%以下であり、10質量%以上40質量%以下であることが好ましく、15質量%以上35質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態のシリコーン樹脂組成物は、25℃において、粘度が100mPa・s以上50000mPa・s以下の液状組成物であることが好ましい。このような液状組成物は、塗布性が良好となる。
また、本実施形態のシリコーン樹脂組成物が後述する波長変換材料をさらに含む場合でも、上記の粘度の液状組成物であると塗布性を調整しやすい。シリコーン樹脂組成物の粘度は、例えば、コーンプレート式のE型粘度計により、コーンプレートが流体から受ける抵抗(粘性抵抗)を回転トルクで検出する方法により測定することができる。
<縮合型シリコーン樹脂組成物>
本発明のシリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂組成物の全量100質量%に対し、水分量が0.25質量%以下である。水分量は0.20質量%以下が好ましく、0.18質量%以下がより好ましく、0.17質量%以下が特に好ましい。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂組成物の全量100質量%に対し、水分量が0.25質量%以下である。水分量は0.20質量%以下が好ましく、0.18質量%以下がより好ましく、0.17質量%以下が特に好ましい。
本実施形態のシリコーン樹脂組成物は、水分量が0.25質量%以下と少ないため、長期間保存後も粘度増加が抑えられ、ポッティング操作に容易に用いることができる。さらに、本実施形態のシリコーン樹脂組成物を硬化させた硬化物は、水分が多い場合に比較して硬度を向上させることができる。
前記水分量の下限値は特に限定されない。減圧留去工程でのシリコーン樹脂組成物の変質防止や、加水分解を促進し、硬化物の硬度を向上させやすい観点からは、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上がさらに好ましく、0.10質量%以上が特に好ましい。
本実施形態のシリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂Aと、溶媒と、必要に応じてオリゴマーB、オリゴマーCまたはその他の成分とを混合することにより得られる。本実施形態のシリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂Aと、溶媒と、オリゴマーBと、オリゴマーCとを含むことが好ましい。
ここで、シリコーン樹脂Aに対して、シリコーン樹脂Aよりも少量のオリゴマーBとシリコーン樹脂Aよりも少量のオリゴマーCとを混合することが好ましい。本実施形態のシリコーン樹脂組成物において、シリコーン樹脂A、オリゴマーBおよびオリゴマーCの混合比は、塗布性および硬化後の硬化物が高い硬度を有しやすい観点から、シリコーン樹脂A:オリゴマーB:オリゴマーC=100:0.1〜20:0.1〜20(質量比)であることが好ましい。
本実施形態のシリコーン樹脂組成物において、シリコーン樹脂の混合比は、シリコーン樹脂A:オリゴマーB:オリゴマーC=100:0.2〜15:0.2〜15(質量比)であることがより好ましく、シリコーン樹脂A:オリゴマーB:オリゴマーC=100:1〜10:1〜10(質量比)であることがさらにより好ましい。
(その他の成分)
本実施形態のシリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂および溶媒の他に、硬化用触媒、シランカップリング剤、無機粒子、分散剤、レベリング剤、消泡剤等のその他の成分を含んでいてもよい。
本実施形態のシリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂および溶媒の他に、硬化用触媒、シランカップリング剤、無機粒子、分散剤、レベリング剤、消泡剤等のその他の成分を含んでいてもよい。
[硬化促進剤]
本実施形態で用いてもよい硬化促進剤(以下、「硬化用触媒」と記載することがある。)としては、シリコーン樹脂とオリゴマーとの架橋反応を促進し得るものであれば特に制限はない。シリコーン樹脂およびオリゴマーにおける官能基(上記R2)が、アルコキシ基や水酸基である場合は、加水分解縮合反応を促進するため、硬化用触媒として、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、蟻酸、酢酸、蓚酸、クエン酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、コハク酸等の有機酸を用いることができる。
本実施形態で用いてもよい硬化促進剤(以下、「硬化用触媒」と記載することがある。)としては、シリコーン樹脂とオリゴマーとの架橋反応を促進し得るものであれば特に制限はない。シリコーン樹脂およびオリゴマーにおける官能基(上記R2)が、アルコキシ基や水酸基である場合は、加水分解縮合反応を促進するため、硬化用触媒として、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、蟻酸、酢酸、蓚酸、クエン酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、コハク酸等の有機酸を用いることができる。
本実施形態においてはリン酸系触媒が好ましい。具体的には、リン酸、亜リン酸、リン酸エステル、亜リン酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、透明性が高く、末端ケイ素含有率が0.1質量%未満である硬化物が得られ易い観点から、リン酸が好ましい。
また、硬化用触媒として酸性化合物だけではなく、アルカリ性の化合物を用いることも可能である。具体的には、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム等を用いることができる。
硬化用触媒は、所定の濃度で添加するために、水、有機溶媒、または本組成物に馴染みやすいシリコーン系モノマーやアルコキシシランオリゴマーなどにより希釈した状態で本組成物に添加することができる。
硬化用触媒の含有量は、硬化反応時の加熱温度、反応時間、触媒の種類等を考慮して、適宜調整することができる。本実施形態のシリコーン樹脂組成物の全量100質量%に対する、硬化用触媒の含有量は0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
硬化促進剤は、シリコーン樹脂組成物へ事前に添加されていてもよいし、シリコーン樹脂組成物の硬化反応を行う直前に、シリコーン樹脂へ添加されていてもよい。
[シランカップリング剤]
本実施形態のシリコーン樹脂組成物は、任意の成分としてシランカップリング剤を含有していてもよい。
本実施形態で用いられるシランカップリング剤としては、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基及びイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも一つ以上を有するシランカップリング剤が好ましい。なかでも、シランカップリング剤としては、エポキシ基又はメルカプト基を含むカップリング剤が好ましい。
本実施形態のシリコーン樹脂組成物は、任意の成分としてシランカップリング剤を含有していてもよい。
本実施形態で用いられるシランカップリング剤としては、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基及びイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも一つ以上を有するシランカップリング剤が好ましい。なかでも、シランカップリング剤としては、エポキシ基又はメルカプト基を含むカップリング剤が好ましい。
具体的には、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが好ましい。
シリコーン樹脂組成物中にシランカップリング剤が含まれる場合、シランカップリング剤に含まれるケイ素原子も29Si−NMRのシグナルとして検出されるが、本実施形態においては、組成物のシグナル面積の計算時にシランカップリング剤のシグナルも含めるものとする。
シリコーン樹脂組成物におけるシランカップリング剤の含有量は、シリコーン樹脂およびオリゴマーの合計の含有量100質量%に対して、0.0001質量%以上1.0質量%以下であることが好ましく、0.001質量%以上0.1質量%以下であることがより好ましい。シランカップリング剤の含有量が上記範囲よりも高いと、シランカップリング剤自身が光を吸収することによって、得られる硬化物の透明性を低下させる場合がある。
[無機粒子]
本実施形態のシリコーン樹脂組成物は、任意の成分として無機粒子を含有していてもよい。
無機粒子の材料は特に制限されず、例えば、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、鉄、亜鉛等の酸化物、カーボンブラック、チタン酸バリウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム等が好ましい材料として挙げられる。これらの中でも、硬化物の光透過性を高める観点から、ケイ素の酸化物、チタンの酸化物、及びアルミニウムの酸化物よりが好ましい。さらに、UV光への吸収率が低いという観点からケイ素、アルミニウムの酸化物が好ましい。
本実施形態のシリコーン樹脂組成物は、任意の成分として無機粒子を含有していてもよい。
無機粒子の材料は特に制限されず、例えば、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、鉄、亜鉛等の酸化物、カーボンブラック、チタン酸バリウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム等が好ましい材料として挙げられる。これらの中でも、硬化物の光透過性を高める観点から、ケイ素の酸化物、チタンの酸化物、及びアルミニウムの酸化物よりが好ましい。さらに、UV光への吸収率が低いという観点からケイ素、アルミニウムの酸化物が好ましい。
[波長変換材料]
本実施形態のシリコーン樹脂組成物は、無機粒子として波長変換材料を含有していてもよい。波長変換材料の組成や種類について特に制限されないが、例えば、蛍光体が挙げられる。蛍光体としては、波長570nmから700nmの範囲で蛍光を発する赤色蛍光体、490nmから570nmの範囲で蛍光を発する緑色蛍光体、420nmから480nmの範囲で蛍光を発する青色蛍光体などが挙げられる。
本実施形態のシリコーン樹脂組成物は、無機粒子として波長変換材料を含有していてもよい。波長変換材料の組成や種類について特に制限されないが、例えば、蛍光体が挙げられる。蛍光体としては、波長570nmから700nmの範囲で蛍光を発する赤色蛍光体、490nmから570nmの範囲で蛍光を発する緑色蛍光体、420nmから480nmの範囲で蛍光を発する青色蛍光体などが挙げられる。
波長変換材料を用いる場合、その含有量は、特に限定されず、所望の性能によって適宜調製すればよい。また、これらの蛍光体は1種類のみを単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
[その他の添加剤]
本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて上述の材料以外の添加剤などを含有させてもよい。添加剤の具体例としては、分散剤、レベリング剤、消泡剤などが挙げられる。
本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて上述の材料以外の添加剤などを含有させてもよい。添加剤の具体例としては、分散剤、レベリング剤、消泡剤などが挙げられる。
<シリコーン樹脂硬化物の製造方法>
本発明は、前記本発明のシリコーン樹脂組成物を硬化させる工程を有する、シリコーン樹脂硬化物の製造方法を提供する。
本発明は、前記本発明のシリコーン樹脂組成物を硬化させる工程を有する、シリコーン樹脂硬化物の製造方法を提供する。
硬化条件は特に限定されず、硬化温度は80℃以上180℃以下であることが好ましく、125℃以上160℃以下であることがより好ましい。また、硬化時間は1時間以上70時間以下であることが好ましく、3時間以上60時間以下であることがより好ましい。
本実施形態の製造方法により得られたシリコーン樹脂硬化物は、光透過性に優れるため、LEDの蛍光体シートのマトリックス材や、UV−LED、フォトダイオード、CCD、CMOS等の封止材として有用であり、特にUV−LED用封止材として有用である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[水分量測定方法]
下記実施例および比較例で得られたシリコーン樹脂組成物の水分量は、カールフィッシャー水分測定装置(三菱化学CA−200型)を用い、定電流分極電位差法により検出した。
また、大気中の水分を吸湿しないように、乾燥窒素雰囲気中で測定を実施した。
下記実施例および比較例で得られたシリコーン樹脂組成物の水分量は、カールフィッシャー水分測定装置(三菱化学CA−200型)を用い、定電流分極電位差法により検出した。
また、大気中の水分を吸湿しないように、乾燥窒素雰囲気中で測定を実施した。
[ショア硬度測定方法]
下記実施例および比較例で得られたシリコーン樹脂硬化物の硬度は、タイプDデュロメータ(株式会社テクロック製、GS―720G型)を用いて測定した。
また、再現性の高いデータ取得のため、自動測定スタンド(株式会社テクロック製、GS―610型)にタイプDデュロメータを取りつけ、測定を実施した。
下記実施例および比較例で得られたシリコーン樹脂硬化物の硬度は、タイプDデュロメータ(株式会社テクロック製、GS―720G型)を用いて測定した。
また、再現性の高いデータ取得のため、自動測定スタンド(株式会社テクロック製、GS―610型)にタイプDデュロメータを取りつけ、測定を実施した。
[粘度の測定]
シリコーン樹脂組成物の粘度は、E型粘度計を用いて測定した。
シリコーン樹脂組成物の粘度は、E型粘度計を用いて測定した。
まず、循環式恒温装置をE型粘度計(型式「LVDV−II+pro CP」または「HBDV−II+Pro」または「DV2TLVCJ0」 BROOKFIELD社)のカップに接続し、水温を25.0±0.5℃に調整した。
次に、シリコーン樹脂組成物(試料)をピペットを用いて約0.6mL量り取り、E型粘度計のカップに加えた。コーンとしては「スピンドルCPE−40」(シアレーと7.50N、コーン角度0.8°、コーン半径24mm)または「スピンドルCPE−52」を使用した(シアレート2.00N、コーン角度3°、コーン半径12mm)。
次に、E型粘度計のローターを回転させ、シリコーン樹脂組成物を1.5rpmで5分間保持した後、シリコーン樹脂組成物の測定値を粘度として読みとった。
[ゲルパーメーションクロマトグラフィー(GPC)測定]
試料(シリコーン樹脂)を溶離液に溶解させた後、ポアサイズ0.45μmのメンブランフィルターでろ過することにより、測定溶液を調製した。得られた測定溶液について、下記条件で標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を測定した。
試料(シリコーン樹脂)を溶離液に溶解させた後、ポアサイズ0.45μmのメンブランフィルターでろ過することにより、測定溶液を調製した。得られた測定溶液について、下記条件で標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を測定した。
装置名 :東ソー社製HLC−8220 GPC
カラム:TSKgel SuperHM−H×2+SuperH2500×1(内径6.0mm×150mm×3本)
溶離液:トルエン
流量:0.6mL/分
検出器:RI検出器(ポラリティー:−)
カラム温度:40℃
注入量:40μL
分子量標準:標準ポリスチレン
カラム:TSKgel SuperHM−H×2+SuperH2500×1(内径6.0mm×150mm×3本)
溶離液:トルエン
流量:0.6mL/分
検出器:RI検出器(ポラリティー:−)
カラム温度:40℃
注入量:40μL
分子量標準:標準ポリスチレン
[溶液NMR測定]
以下の実施例で用いたオルガノポリシロキサンを主鎖とするシリコーン樹脂およびオリゴマー成分の構造単位の存在比率は、下記条件で測定された1H−NMR法、29Si−NMR法のいずれかの測定結果に基づいて算出した値である。
以下の実施例で用いたオルガノポリシロキサンを主鎖とするシリコーン樹脂およびオリゴマー成分の構造単位の存在比率は、下記条件で測定された1H−NMR法、29Si−NMR法のいずれかの測定結果に基づいて算出した値である。
<1H−NMR測定条件>
装置名 :JEOL RESONANCE社製 ECA−500
観測核 :1H
観測周波数 :500.16MHz
測定温度 :室温
測定溶媒 :DMSO−d6
パルス幅 :6.60μsec(45°)
パルス繰り返し時間 :7.0秒
積算回数 :16回
試料濃度(試料/測定溶媒):300mg/0.6mL
装置名 :JEOL RESONANCE社製 ECA−500
観測核 :1H
観測周波数 :500.16MHz
測定温度 :室温
測定溶媒 :DMSO−d6
パルス幅 :6.60μsec(45°)
パルス繰り返し時間 :7.0秒
積算回数 :16回
試料濃度(試料/測定溶媒):300mg/0.6mL
<29Si−NMR測定条件>
装置名 :Agilent社製 400−MR
観測核 :29Si
観測周波数 :79.42MHz
測定温度 :室温
測定溶媒 :CDCl3
パルス幅 :8.40μsec(45°)
パルス繰り返し時間 :15.0秒
積算回数 :4000回
試料濃度(試料/測定溶媒):300mg/0.6mL
装置名 :Agilent社製 400−MR
観測核 :29Si
観測周波数 :79.42MHz
測定温度 :室温
測定溶媒 :CDCl3
パルス幅 :8.40μsec(45°)
パルス繰り返し時間 :15.0秒
積算回数 :4000回
試料濃度(試料/測定溶媒):300mg/0.6mL
<シリコーン樹脂成分>
上記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサン構造を有する樹脂1(ポリスチレン換算の重量平均分子量:Mw=3500)を用いた。樹脂1の各構造単位の存在比率を、表1に示す。
上記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサン構造を有する樹脂1(ポリスチレン換算の重量平均分子量:Mw=3500)を用いた。樹脂1の各構造単位の存在比率を、表1に示す。
また、オリゴマー成分として、樹脂2(ポリスチレン換算の重量平均分子量:Mw<1000)及び樹脂3(ポリスチレン換算の重量平均分子量:MW=3400)を用いた。樹脂2の各構造単位の存在比率を、表2に示す。
樹脂3は、下記表3に示される構造単位から構成される樹脂を95質量%以上含んでいた。また、樹脂3は、ポリスチレン換算の重量平均分子量7500以上の領域に存在するピークの面積の総和が、全ピークの面積の総和に対して、20%以上の大きさであり、ポリスチレン換算の重量平均分子量1000以下の領域に存在するピークの面積の総和が、全ピークの面積の総和に対して、30%以上であった。
≪実施例1≫
オイルバス内に設置したセパラブルフラスコ内に、789.60gの上記樹脂1と、溶媒として314.40gのイソプロピルアルコールと、酢酸プロピルを96.00gとを混合し、80℃で1時間攪拌することにより、樹脂1を溶媒に溶解させた。
得られた溶液に、8.47gの上記樹脂2と、75.08gの上記樹脂3とを加え、溶媒中に樹脂を溶解させた混合物を得た。
オイルバス内に設置したセパラブルフラスコ内に、789.60gの上記樹脂1と、溶媒として314.40gのイソプロピルアルコールと、酢酸プロピルを96.00gとを混合し、80℃で1時間攪拌することにより、樹脂1を溶媒に溶解させた。
得られた溶液に、8.47gの上記樹脂2と、75.08gの上記樹脂3とを加え、溶媒中に樹脂を溶解させた混合物を得た。
その後、得られた混合物に、酢酸2−ブトキシエチル274.49g及び3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤)0.22gを加えた後、撹拌機、温度計、還流冷却管を取り付けた4つ口のセパラブルフラスコをロータリーポンプに接続し、温度が80℃、真空度が30hPaの条件で、3時間、シリコーン樹脂組成物の全量100質量%に対し、水分量が0.1質量%以下となるまで留去し、実施例1の縮合型シリコーン樹脂組成物を得た。
加熱装置としてはオイルバスを用いた。シリコーン樹脂成分/酢酸2−ブトキシエチル=75/25、水分量0.07質量%の縮合型シリコーン樹脂組成物であった。また、イソプロピルアルコールが0.4質量%含まれていた。
≪実施例2≫
真空度が35hPaの条件で1時間留去した以外は実施例1と同様の方法により、縮合型シリコーン樹脂組成物を得た。シリコーン樹脂成分/酢酸2−ブトキシエチル=75/25、シリコーン樹脂組成物の全量100質量%に対し、水分量が0.16質量%の縮合型シリコーン樹脂組成物であった。また、イソプロピルアルコールが0.4質量%含まれていた。
真空度が35hPaの条件で1時間留去した以外は実施例1と同様の方法により、縮合型シリコーン樹脂組成物を得た。シリコーン樹脂成分/酢酸2−ブトキシエチル=75/25、シリコーン樹脂組成物の全量100質量%に対し、水分量が0.16質量%の縮合型シリコーン樹脂組成物であった。また、イソプロピルアルコールが0.4質量%含まれていた。
≪比較例1≫
真空度が40hPaの条件で30分間留去した以外は実施例1と同様の方法により、縮合型シリコーン樹脂組成物を得た。シリコーン樹脂成分/酢酸2−ブトキシエチル=75/25、シリコーン樹脂組成物の全量100質量%に対し、水分量が0.26質量%の縮合型シリコーン樹脂組成物であった。また、イソプロピルアルコールが0.6質量%含まれていた。
真空度が40hPaの条件で30分間留去した以外は実施例1と同様の方法により、縮合型シリコーン樹脂組成物を得た。シリコーン樹脂成分/酢酸2−ブトキシエチル=75/25、シリコーン樹脂組成物の全量100質量%に対し、水分量が0.26質量%の縮合型シリコーン樹脂組成物であった。また、イソプロピルアルコールが0.6質量%含まれていた。
[評価]
≪粘度評価≫
実施例1、2、比較例1の縮合型シリコーン樹脂組成物を、容器に入れて蓋をした状態(密閉系)で、25℃で1か月間保管し、保管前後での粘度の変化を測定した。
その結果、いずれも粘度変化率は10%未満であった。
≪粘度評価≫
実施例1、2、比較例1の縮合型シリコーン樹脂組成物を、容器に入れて蓋をした状態(密閉系)で、25℃で1か月間保管し、保管前後での粘度の変化を測定した。
その結果、いずれも粘度変化率は10%未満であった。
≪ショア硬度評価≫
厚さ1.5mmになるように液量を調整し、実施例1、2又は比較例1の縮合型シリコーン樹脂組成物を用いて硬化物を製造した。
実施例1、2又は比較例1の縮合型シリコーン樹脂組成物の全量100質量%に対し、リン酸15%を含む硬化用触媒を2質量%添加し、充分に攪拌混合して縮合型シリコーン樹脂組成物を得た。
厚さ1.5mmになるように液量を調整し、実施例1、2又は比較例1の縮合型シリコーン樹脂組成物を用いて硬化物を製造した。
実施例1、2又は比較例1の縮合型シリコーン樹脂組成物の全量100質量%に対し、リン酸15%を含む硬化用触媒を2質量%添加し、充分に攪拌混合して縮合型シリコーン樹脂組成物を得た。
その後アルミニウム製カップ内に得られた混合物を約5g投入し、150℃のオーブン中に5時間放置することで、縮合型シリコーン樹脂組成物の硬化物を得た。
得られた縮合型シリコーン樹脂硬化物をアルミニウム製カップから取り出し、ショア硬度を測定した。
得られた縮合型シリコーン樹脂硬化物をアルミニウム製カップから取り出し、ショア硬度を測定した。
その結果、実施例1の縮合型シリコーン樹脂組成物を用いた硬化物はショア硬度が73、実施例2の縮合型シリコーン樹脂組成物を用いた硬化物はショア硬度が74であった。一方、比較例1の縮合型シリコーン樹脂組成物を用いた硬化物はショア硬度が69であった。
上記結果に示した通り、本発明を適用した実施例1および2の縮合型シリコーン樹脂組成物は、長期間保管しても粘性が高まることがなかった。
また、本発明を適用した実施例1、2の縮合型シリコーン樹脂組成物を用いて製造した硬化物は硬度が高かったが、本発明を適用しない比較例1の縮合型シリコーン樹脂組成物を用いて製造した硬化物は硬度が低かった。
また、本発明を適用した実施例1、2の縮合型シリコーン樹脂組成物を用いて製造した硬化物は硬度が高かったが、本発明を適用しない比較例1の縮合型シリコーン樹脂組成物を用いて製造した硬化物は硬度が低かった。
Claims (6)
- シリコーン樹脂を含むシリコーン樹脂組成物の製造方法であって、
前記シリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂組成物の全量100質量%に対し、水分量が0.25質量%以下であり、
100℃未満の温度で水分を減圧留去する工程を有する、シリコーン樹脂組成物の製造方法。 - 前記シリコーン樹脂が縮合型シリコーン樹脂である、請求項1に記載のシリコーン樹脂組成物の製造方法。
- シリコーン樹脂組成物の全量100質量%に対し、水分量が0.25質量%以下であるシリコーン樹脂組成物。
- 請求項5に記載のシリコーン樹脂組成物を硬化させる工程を有する、シリコーン樹脂硬化物の製造方法。
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