JP2018040956A - 波長変換シートの製造方法 - Google Patents

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建太朗 増井
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篤典 土居
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Abstract

【課題】高硬度の波長変換シートが得られる波長変換シートの製造方法を提供する。
【解決手段】縮合型シリコーン樹脂硬化物と、波長変換材料と、を含む波長変換シートの製造方法であって、縮合型シリコーン樹脂と、波長変換材料と、溶媒と、を含む波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物を調製する調製工程と、波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物を、シート状に成形して成形体を得る成形工程と、成形体を、0.97<E/D≦1.00の条件で室温から120℃まで昇温させた雰囲気内に放置して硬化させる第一の加熱工程と、第一の加熱工程の後に、成形体を、1.01<C/B<1.30の条件で120℃から150℃まで昇温させた雰囲気内に放置して硬化させる第二の加熱工程と、を含む、波長変換シートの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、波長変換シートの製造方法に関するものである。
半導体レーザー(LD、Laser Diode)は高電流密度域においても高い変換効率を維持でき、また発光部と励起部とを分離させることによってデバイスの小型化も可能であることから、照明装置としての用途が期待されている。
LDの発光スペクトルは、LDの形成材料である半導体材料に依存するため、その発光色は限られている。LDを用いて白色光を得る装置構成として、LD素子上に波長変換材料を配置し、発光波長を変換するものが知られている。
同様に、発光ダイオード(LED、Light Emitting Diode)の発光スペクトルも、LEDの形成材料である半導体材料に依存するため、その発光色は限られている。LEDを用いて白色光を得る装置構成として、LED素子の発光面に波長変換材料として蛍光体を含有させたシート(以下、「蛍光体シート」)を貼り付けた発光装置が知られている(例えば、特許文献1)。
特開2013−001792号公報
しかしながら、特許文献1の蛍光体シートは硬度が十分ではなかった。そこで、高硬度の波長変換シートが得られる波長変換シートの製造方法が望まれていた。
本発明の一態様はこのような事情に鑑みてなされたものであって、高硬度の波長変換シートが得られる波長変換シートの製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、縮合型シリコーン樹脂硬化物と、波長変換材料と、を含む波長変換シートの製造方法であって、縮合型シリコーン樹脂と、波長変換材料と、溶媒と、を含む波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物を調製する調製工程と、波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物を、シート状に成形して成形体を得る成形工程と、成形体を、0.97<E/D≦1.00の条件で室温から120℃まで昇温させた雰囲気内に放置して硬化させる第一の加熱工程と、第一の加熱工程の後に、成形体を、1.01<C/B<1.30の条件で120℃から150℃まで昇温させた雰囲気内に放置して硬化させる第二の加熱工程と、を含む、波長変換シートの製造方法が提供される。
[Bは、第一の加熱工程後の成形体における全ケイ素原子の合計の含有量に対するT3ケイ素原子の含有量を表す。Cは、第二の加熱工程後の成形体における全ケイ素原子の合計の含有量に対するT3ケイ素原子の含有量を表す。Dは、第一の加熱工程前の成形体における質量を表す。Eは、第一の加熱工程後の成形体における質量を表す。T3ケイ素原子は、他のケイ素原子と結合した酸素原子3個と結合しているケイ素原子を表す。]
本発明の一態様によれば、高硬度の波長変換シートが効率的に得られる波長変換シートの製造方法が提供される。
本実施形態の発光装置を示す模式図。 本実施形態の発光装置を示す模式図。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内であれば種々に変更して実施することができる。
<波長変換シートの製造方法>
本実施形態に係る波長変換シートの製造方法は、縮合型シリコーン樹脂硬化物と、波長変換材料と、を含む波長変換シートの製造方法である。
[縮合型シリコーン樹脂硬化物]
本実施形態の製造方法で得られる波長変換シートは、縮合型シリコーン樹脂硬化物を形成材料として含む。本実施形態の波長変換シートは縮合型シリコーン樹脂硬化物を含有することで、高温下に曝される場合においてもしわやクラック等の発生の少ない、耐熱性に優れた波長変換シートとすることができる。
本実施形態に係る波長変換シートの形成材料である縮合型シリコーン樹脂硬化物は、原料として縮合型シリコーン樹脂が用いられる。すなわち、「縮合型シリコーン樹脂硬化物」とは、縮合型シリコーン樹脂が縮合反応により重合または硬化して硬化物となり、流動性を失ったシリコーン樹脂である。
また、「縮合型シリコーン樹脂」とは、重合前または硬化前であり流動性を有するシリコーン樹脂であって、縮合反応により重合する性質を有するシリコーン樹脂である。
さらに、縮合型シリコーン樹脂とはケイ素原子に結合した水酸基と、別のケイ素原子に結合したアルコキシ基または水酸基とを、脱アルコールまたは脱水を伴って重縮合する樹脂である。付加型シリコーン樹脂とはヒドロシリル基と炭素間二重結合に付加反応することにより重合する樹脂である。また付加反応と重縮合反応が同時に起こることで重合する樹脂もあるが、ここでは付加型の一種として扱う。
本実施形態の縮合型シリコーン樹脂硬化物は、少なくとも下記式(A3)で表される繰返し単位を有することが好ましい。また、本実施形態の縮合型シリコーン樹脂硬化物は、下記式(A1)、下記式(A1’)および下記式(A2)で表される繰返し単位のうち、いずれか1種以上を任意の構造として更に含むことがより好ましい。
Figure 2018040956
[式(A1)、式(A1’)、式(A2)および式(A3)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を表す。また、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルコキシ基または水酸基を表す。ただし、複数あるR、Rはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
本明細書では、ケイ素原子の4つの結合のうち3つの結合において酸素原子と結合しているケイ素原子を含む繰返し単位を「T体」という。特に、3個の酸素原子のうち全ての酸素原子が他のケイ素原子と結合している場合、当該繰返し単位を「T3体」という。
また、3個の酸素原子のうち2個の酸素原子が他のケイ素原子と結合している場合、当該繰返し単位を「T2体」という。さらに、3個の酸素原子のうち1個の酸素原子が他のケイ素原子と結合している場合、当該繰返し単位を「T1体」という。つまり、「T体」というときには、「T1体」、「T2体」および「T3体」を示している。
また、本明細書では、ケイ素原子の4つの結合のうち2つの結合において酸素原子と結合しているケイ素原子を含む繰返し単位を「D体」という。さらに、ケイ素原子の4つの結合のうち1つの結合において酸素原子と結合しているケイ素原子を含む繰返し単位を「M体」という。
上記式(A3)で表される繰返し単位は、他のケイ素原子と結合した酸素原子3個およびRと結合しているケイ素原子を含んでいる。つまり、当該繰返し単位は、Rで表される官能基の種類によらず、すべてT3体である。
上記式(A2)で表される繰返し単位は、他のケイ素原子と結合した酸素原子2個、RおよびRと結合しているケイ素原子を含んでいる。上述したように、Rは炭素数1〜4のアルコキシ基または水酸基であるので、当該繰返し単位は、T2体である。
上記式(A1)で表される繰返し単位は、他のケイ素原子と結合した酸素原子1個、Rおよび2個のRと結合しているケイ素原子を含んでいる。上述したように、Rは炭素数1〜4のアルコキシ基または水酸基であるので、当該繰返し単位は、T1体である。
上記式(A1’)で表される繰返し単位は、Rおよび2個のRと結合しているケイ素原子を含み、当該ケイ素原子が他の繰返し単位中の酸素原子と結合している。上述したように、Rは炭素数1〜4のアルコキシ基または水酸基であるので、当該繰返し単位は、T1体である。
上記式(A1)および式(A1’)で表される繰返し単位は、オルガノポリシロキサン鎖の末端を構成している。また、上記式(A3)で表される繰返し単位は、は、1または2本のオルガノポリシロキサン鎖による分岐鎖構造を構成している。つまり、上記式(A3)で表される繰返し単位は、樹脂の網目構造や環構造の一部を形成している。
さらに、以下の説明においては、「T3体」に含まれるケイ素原子のことを「T3ケイ素原子」と称する。
同様に、「T2体」に含まれるケイ素原子のことを「T2ケイ素原子」と称する。
同様に、「T1体」に含まれるケイ素原子のことを「T1ケイ素原子」と称する。
「T1体」、「T2体」「T3体」の合計の含有量は、縮合型シリコーン樹脂硬化物の全繰返し単位の合計の含有量に対して、50モル%以上であることが好ましい。より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、特に好ましくは80モル%以上、殊更に好ましくは90モル%以上である。換言すると、T1ケイ素原子、T2ケイ素原子、およびT3ケイ素原子の合計の含有量は、全ケイ素原子の合計の含有量に対して、50モル%以上であることが好ましく、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、特にこのましくは80モル%以上、殊更に好ましくは90モル%以上である。
「D体」の含有量は、縮合型シリコーン樹脂硬化物の全繰返し単位の合計の含有量に対して、30モル%以下であることが好ましく、20モル%以下であることがより好ましい。また、「D体」の含有量は、縮合型シリコーン樹脂硬化物の全繰返し単位の合計の含有量に対して、10モル%以下であることがさらに好ましく、5モル%以下であることが特に好ましく、4モル%以下であることがとりわけ好ましい。
縮合型シリコーン樹脂硬化物において、「T3体」の含有量は、縮合型シリコーン樹脂硬化物の全繰返し単位の合計の含有量に対して、50モル%以上であることが好ましい。より好ましくは55モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上、特に好ましくは65モル%以上、殊更に好ましくは70モル%以上である。
換言すると、T3ケイ素原子の含有量は、全ケイ素原子の合計の含有量に対して、50モル%以上であることが好ましい。より好ましくは55モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上、特に好ましくは65モル%以上、殊更に好ましくは70モル%以上である。
本明細書において、縮合型シリコーン樹脂硬化物におけるT3ケイ素原子の含有量は固体29Si−NMR測定において求められる全ケイ素原子のシグナルの合計の面積で、T3ケイ素原子として帰属されるシグナルの面積を除することで求めることができる。
なお、T3ケイ素原子以外のケイ素原子の含有量についても同様に求めることができる。
が炭素数1〜10のアルキル基の場合、当該アルキル基としては、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状構造を有していてもよい。なかでも、Rで表されるアルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。
で表される炭素数1〜10のアルキル基は、当該アルキル基を構成する1または2以上の水素原子が、他の官能基で置換されていてもよい。アルキル基の置換基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基が挙げられ、フェニル基が好ましい。
で表される炭素数1〜10のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの無置換のアルキル基、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などのアラルキル基が挙げられる。なかでも、Rで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基またはブチル基が好ましく、メチル基、エチル基またはイソプロピル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
が炭素数1〜6のアリール基の場合、当該アリール基を構成する1または2以上の水素原子が、他の官能基で置換されていてもよい。アリール基の置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
で表される炭素数1〜6のアリール基としては、具体的には、フェニル基、ナフチル基等の無置換のアリール基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基等のアルキルフェニル基のようなアルキルアリール基等が挙げられる。なかでも、Rで表されるアリール基としては、フェニル基が好ましい。
上記式(A1)、上記式(A1’)、上記式(A2)及び上記式(A3)において、Rはアルキル基が好ましく、なかでも耐熱性の観点から、メチル基が好ましい。
が炭素数1〜4のアルコキシ基の場合、当該アルコキシ基としては、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状構造を有していてもよい。なかでも、Rで表されるアルコキシ基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基が好ましく、直鎖状のアルコキシ基がより好ましい。
で表される炭素数1〜4のアルコキシ基としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられ、波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物の安定性と硬化性をバランスよく両立させる観点から、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基が好ましい。
上述した通り、Rはメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基または水酸基であることが好ましい。
本発明の一態様の縮合型シリコーン樹脂硬化物は、上記式(A1)、上記式(A1’)、上記式(A2)及び上記式(A3)で表される繰返し単位中のRがメチル基であり、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルコキシ基又は水酸基であることが好ましい。
なお、本実施形態の波長変換シートの形成材料である縮合型シリコーン樹脂硬化物は、本発明の効果を損なわない範囲において、下記式(C1)、下記式(C1’)、下記式(C2)、下記式(C3)および下記式(C4)で表される繰返し単位を有していてもよい。
Figure 2018040956
[ただし、式(C1)、式(C1’)、式(C2)、式(C3)および式(C4)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルコキシ基または水酸基を表す。ただし、複数あるRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
本明細書では、ケイ素原子の4つの結合の全てにおいて酸素原子と結合しているケイ素原子を含む繰返し単位を「Q体」という。
このうち、4個の酸素原子のうち1個の酸素原子が他のケイ素原子と結合している場合、当該繰返し単位を「Q1体」という。上記式(C1),(C1’)に含まれるケイ素原子は「Q1体」である。
また、4個の酸素原子のうち2個の酸素原子が他のケイ素原子と結合している場合、当該繰返し単位を「Q2体」という。上記式(C2)に含まれるケイ素原子は「Q2体」である。
また、4個の酸素原子のうち3個の酸素原子が他のケイ素原子と結合している場合、当該繰返し単位を「Q3体」という。上記式(C3)に含まれるケイ素原子は「Q3体」である。
また、4個の酸素原子のうち全ての酸素原子が他のケイ素原子と結合している場合、当該繰返し単位を「Q4体」という。上記式(C4)に含まれるケイ素原子は「Q4体」である。
上記「Q体」には、「Q1体」、「Q2体」、「Q3体」および「Q4体」を含む。
縮合型シリコーン樹脂硬化物と波長変換材料との合計量に対する縮合型シリコーン樹脂硬化物の含有量は、5質量%以上80質量%以下である。縮合型シリコーン樹脂硬化物の含有量として、好ましくは10〜70質量%である。
縮合型シリコーン樹脂硬化物の含有量は、縮合型シリコーン樹脂及び波長変換材料、その他の原料の仕込み量から計算される値や元素分析により算出することができる。
縮合型シリコーン樹脂硬化物と波長変換材料との合計量に対する波長変換材料の含有量は、20質量%以上95質量%以下である。上記波長変換材料の含有量は、30質量%以上90質量%以下であることが好ましい。
詳しくは後述するが、波長変換シートの製造では、縮合型シリコーン樹脂と、波長変換材料と、溶媒と、を含む波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物を用いる。
[縮合型シリコーン樹脂]
本実施形態の縮合型シリコーン樹脂は、少なくとも下記式(A3)で表される繰返し単位を有することが好ましい。また、本実施形態の縮合型シリコーン樹脂は、下記式(A1)、下記式(A1’)又は下記式(A2)で表される繰返し単位のうち、いずれか1種以上を任意の構造として更に含むことが好ましい。
Figure 2018040956
[式(A1)、式(A1’)、式(A2)および式(A3)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を表す。また、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルコキシ基または水酸基を表す。ただし、複数あるR、Rはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
本態様の波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物を構成する縮合型シリコーン樹脂は、上記式(A1)、上記式(A1’)、上記式(A2)及び上記式(A3)で表される繰返し単位の全てを含んでいることが好ましい。
本明細書において、本態様の波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物を構成する縮合型シリコーン樹脂が、後述するオリゴマー成分を含んでいる場合、「本態様の波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物を構成する縮合型シリコーン樹脂の全繰返し単位」には、上記のオリゴマー成分が含む繰返し単位を含めるものとする。
上述したように、本態様の波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物を構成する縮合型シリコーン樹脂において、上記式(A1)、上記式(A1’)及び上記式(A2)で表される繰返し単位の存在は任意である。すなわち、本態様の波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物を構成する縮合型シリコーン樹脂は、上記式(A1)、上記式(A1’)又は上記式(A2)で表される繰返し単位のうち、いずれか1種以上又は全部を含んでいてもよい。
縮合型シリコーン樹脂の全繰返し単位のうち、上記式(A1)、上記式(A1’)、上記式(A2)及び上記式(A3)で表される繰返し単位の合計の含有量は50モル%以上であることが好ましい。より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、殊更に好ましくは80モル%以上、さらに殊更に好ましくは90モル%以上である。
換言すると、「T1体」、「T2体」「T3体」の合計の含有量は、縮合型シリコーン樹脂の全繰返し単位の合計の含有量に対して、50モル%以上であることが好ましい。より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、特に好ましくは80モル%以上、殊更に好ましくは90モル%以上である。さらに換言すると、T1ケイ素原子、T2ケイ素原子、およびT3ケイ素原子の合計の含有量は、全ケイ素原子の合計の含有量に対して、50モル%以上であることが好ましい。より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、特に好ましくは80モル%以上、殊更に好ましくは90モル%以上である。
「D体」の含有量は、縮合型シリコーン樹脂の全繰返し単位の合計の含有量に対して、30モル%以下であることが好ましく、20モル%以下であることがより好ましい。また、「D体」の含有量は、縮合型シリコーン樹脂の全繰返し単位の合計の含有量に対して、10モル%以下であることがさらに好ましく、5モル%以下であることが特に好ましく、4モル%以下であることがとりわけ好ましい。
縮合型シリコーン樹脂において、「T3体」の含有量は、縮合型シリコーン樹脂の全繰返し単位の合計の含有量に対して、50モル%以上であることが好ましい。換言すると、T3ケイ素原子の含有量は、縮合型シリコーン樹脂の全ケイ素原子の合計の含有量に対して、50モル%以上であることが好ましい。
また、本態様の波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物を構成する縮合型シリコーン樹脂の全繰返し単位のうち、上記式(A3)で表される繰返し単位の含有量は55モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましく、65モル%以上であることが更に好ましく、70モル%以上であることが特に好ましい。
すなわち、本態様の波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物を構成する縮合型シリコーン樹脂において、「T3体」の含有量は、55モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましく、65モル%以上であることが更に好ましく、70モル%以上であることが特に好ましい。換言すると、T3ケイ素原子の含有量は、縮合型シリコーン樹脂の全ケイ素原子のうち、55モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましく、65モル%以上であることが更に好ましく、70モル%以上であることが特に好ましい。
実施例で後述するように、「T体」の含有量及び「T3体」の含有量が上記の範囲であると、波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物の硬化物が十分な耐熱性を示し、また耐熱試験後にも高い光透過率を維持することができる傾向にある。すなわち、波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物の硬化物を形成材料とする波長変換シートの耐クラック性が高くなり、変色しにくくなる傾向にある。
本明細書において、縮合型シリコーン樹脂におけるT3ケイ素原子の含有量は29Si−NMR測定において求められる全ケイ素原子のシグナルの合計の面積で、T3ケイ素原子として帰属されるシグナルの面積を除することで求めることができる。
なお、T3ケイ素原子以外のケイ素原子の含有量についても同様に求めることができる。
上記式(A1)、上記式(A1’)、上記式(A2)及び上記式(A3)において、Rが炭素数1〜10のアルキル基の場合、当該アルキル基としては、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状構造を有していてもよい。なかでも、Rで表されるアルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。
で表される炭素数1〜10のアルキル基は、当該アルキル基を構成する1または2以上の水素原子が、他の官能基で置換されていてもよい。アルキル基の置換基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基が挙げられ、フェニル基が好ましい。
で表される炭素数1〜10のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの無置換のアルキル基、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などのアラルキル基が挙げられる。なかでも、Rで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基またはブチル基が好ましく、メチル基、エチル基またはイソプロピル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
が炭素数1〜6のアリール基の場合、当該アリール基を構成する1または2以上の水素原子が、他の官能基で置換されていてもよい。アリール基の置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
で表される炭素数1〜6のアリール基としては、具体的には、フェニル基、ナフチル基等の無置換のアリール基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基等のアルキルフェニル基のようなアルキルアリール基等が挙げられる。なかでも、Rで表されるアリール基としては、フェニル基が好ましい。
上記式(A1)、上記式(A1’)、上記式(A2)及び上記式(A3)において、Rはアルキル基が好ましく、なかでも耐熱性の観点から、メチル基が好ましい。
が炭素数1〜4のアルコキシ基の場合、当該アルコキシ基としては、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状構造を有していてもよい。なかでも、Rで表されるアルコキシ基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基が好ましく、直鎖状のアルコキシ基がより好ましい。
で表される炭素数1〜4のアルコキシ基としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられ、波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物の安定性と硬化性をバランスよく両立させる観点から、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基がより好ましい。
上述した通り、Rはメトキシ基であることが好ましいが、メトキシ基以外にも水酸基であることが好ましい。
本発明の一態様の縮合型シリコーン樹脂は、上記式(A1)、上記式(A1’)、上記式(A2)及び上記式(A3)で表される繰返し単位中のRがメチル基であり、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルコキシ基又は水酸基であることが好ましい。
なお、本実施形態の縮合型シリコーン樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲において、下記式(C1)、下記式(C1’)、下記式(C2)、下記式(C3)および下記式(C4)で表される繰返し単位を有していてもよい。
Figure 2018040956
[ただし、式(C1)、式(C1’)、式(C2)、式(C3)および式(C4)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルコキシ基または水酸基を表す。ただし、複数あるRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
また、縮合型シリコーン樹脂の重量平均分子量は、例えば1500〜15000あることが好ましく、例えば2000〜10000であることがより好ましく、例えば2000〜8000であることが更に好ましい。重量平均分子量が上記の範囲にあることで、縮合型シリコーン樹脂の溶媒に対する溶解性が向上し、波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物を使用する際のハンドリング性、塗布性が向上する。
本明細書における重量平均分子量は、一般的にゲルパーメーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を用いることができる。具体的には、シリコーン樹脂を可溶性の溶媒に溶かした後、細孔(ポア)が数多く存在する充てん剤を用いたカラム内に移動相溶液と共に通液し、カラム内で分子量の大小によって分離させ、それを示差屈折率計やUV計、粘度計、光散乱検出器等を検出器として用いて検出する。実際にはGPC専用装置が広く市販されており、標準ポリスチレン換算によって測定することが一般的である。本明細書における重量平均分子量は、この標準ポリスチレン換算によって測定されたものである。
(シリコーン樹脂A)
上述した縮合型シリコーン樹脂は、主剤となるシリコーン樹脂(以下、「シリコーン樹脂A」という場合がある。)に、場合により後述する改質用シリコーン樹脂を混合することにより得ることができる。
本実施形態のシリコーン樹脂Aは、少なくとも下記式(A3)で表される繰返し単位を有することが好ましい。また、本実施形態のシリコーン樹脂Aは、下記式(A1)、下記式(A1’)又は下記式(A2)で表される繰返し単位のうち、いずれか1種以上を任意の構造として更に含むことが好ましい。
Figure 2018040956
[式(A1)、式(A1’)、式(A2)および式(A3)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を表す。また、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルコキシ基または水酸基を表す。ただし、複数あるR、Rはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
上述したように、本態様のシリコーン樹脂Aにおいて、上記式(A1)、上記式(A1’)及び上記式(A2)で表される繰返し単位の存在は任意である。すなわち、本態様のシリコーン樹脂Aは、上記式(A1)、上記式(A1’)又は上記式(A2)で表される繰返し単位のうち、いずれか1種以上又は全部を含んでいてもよい。
シリコーン樹脂Aにおいて「T1体」、「T2体」「T3体」の合計の含有量は、シリコーン樹脂Aの全繰返し単位の合計の含有量に対して、70モル%以上である。
また、シリコーン樹脂Aにおいて「T3体」の含有量は、シリコーン樹脂Aの含有量に対して、60モル%以上90モル%以下である。
また、シリコーン樹脂Aは、重量平均分子量が1500以上8000以下である樹脂である。
「T1体」、「T2体」「T3体」の合計の含有量は、シリコーン樹脂Aの全繰返し単位の合計の含有量に対して、80モル%以上が好ましく、90モル%以上が更に好ましく、95モル%以上が特に好ましい。
「T3体」の含有量は、シリコーン樹脂Aの全繰返し単位の合計の含有量に対して、65%以上90%以下が好ましく、70%以上85%以下がより好ましい。
実施例で後述するように、「T体」の含有量及び「T3体」の含有量が上記の範囲であると、波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物の硬化物が十分な耐熱性を示し、また耐熱試験後にも高い光透過率を維持することができる傾向にある。すなわち、波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物の硬化物を形成材料とする波長変換シートの耐クラック性が高くなり、変色しにくくなる傾向にある。
本明細書において、シリコーン樹脂AにおけるT3ケイ素原子の含有量は29Si−NMR測定において求められる全ケイ素原子のシグナルの合計の面積で、T3ケイ素原子として帰属されるシグナルの面積を除することで求めることができる。
なお、T3ケイ素原子以外のケイ素原子の含有量についても同様に求めることができる。
上記式(A1)、上記式(A1’)、上記式(A2)及び上記式(A3)において、Rが炭素数1〜10のアルキル基の場合、当該アルキル基としては、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状構造を有していてもよい。なかでも、Rで表されるアルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。
で表される炭素数1〜10のアルキル基は、当該アルキル基を構成する1または2以上の水素原子が、他の官能基で置換されていてもよい。アルキル基の置換基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基が挙げられ、フェニル基が好ましい。
で表される炭素数1〜10のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの無置換のアルキル基、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などのアラルキル基が挙げられる。なかでも、Rで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基またはブチル基が好ましく、メチル基、エチル基またはイソプロピル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
が炭素数1〜6のアリール基の場合、当該アリール基を構成する1または2以上の水素原子が、他の官能基で置換されていてもよい。アリール基の置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
で表される炭素数1〜6のアリール基としては、具体的には、フェニル基、ナフチル基等の無置換のアリール基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基等のアルキルフェニル基のようなアルキルアリール基等が挙げられる。なかでも、Rで表されるアリール基としては、フェニル基が好ましい。
上記式(A1)、上記式(A1’)、上記式(A2)及び上記式(A3)において、Rはアルキル基が好ましく、なかでも耐熱性の観点から、メチル基が好ましい。
が炭素数1〜4のアルコキシ基の場合、当該アルコキシ基としては、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状構造を有していてもよい。なかでも、Rで表されるアルコキシ基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基が好ましく、直鎖状のアルコキシ基がより好ましい。
で表される炭素数1〜4のアルコキシ基としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられ、波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物の安定性と硬化性をバランスよく両立させる観点から、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基がより好ましい。
上述した通り、Rはメトキシ基であることが好ましいが、メトキシ基以外にも水酸基であることが好ましい。
本発明の一態様のシリコーン樹脂Aは、上記式(A1)、上記式(A1’)、上記式(A2)及び上記式(A3)で表される繰返し単位中のRがメチル基であり、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルコキシ基又は水酸基であることが好ましい。
シリコーン樹脂Aの重量平均分子量は、1500以上7000以下が好ましく、2000以上5000以下がより好ましい。シリコーン樹脂Aとしては市販のシリコーンレジンを用いることができる。
シリコーン樹脂Aは、シロキサン結合を生じ得る官能基を有する有機ケイ素化合物を出発原料として合成することができる。「シロキサン結合を生じ得る官能基」としては、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を挙げることができる。例えば、上記式(A3)で表される繰り返し単位に対応する有機ケイ素化合物としては、オルガノトリハロシランやオルガノトリアルコキシシラン等を出発原料とすることができる。シリコーン樹脂は、このような出発原料を各繰り返し単位の存在比に対応した比で、塩酸等の酸又は水酸化ナトリウム等の塩基存在下で、加水分解縮合法で反応させることにより合成することができる。かかる出発原料を選択することにより、T3ケイ素原子の存在比を調整することができる。
シリコーン樹脂Aは、シラノール基(Si−OH)を有することが好ましい。具体的には、シリコーン樹脂Aに含まれる全ケイ素原子のうち、シラノール基を有するケイ素原子が1〜30モル%であることが好ましく、5〜27モル%であることがより好ましく、10〜25モル%であることが更に好ましい。シラノール基を有するケイ素原子の含有量が上記の範囲にあることで、波長変換材料の表面と水素結合を形成し、波長変換材料の混合性が良好になる。また、波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物の硬化時の反応が進行しやすく、耐熱性の高い波長変換シートを得ることができる。
また、シリコーン樹脂Aに含まれる全ケイ素原子のうち、アルコキシ基を有するケイ素原子が、0モル%超20モル%以下であることが好ましく、0モル%超10モル%以下であることがより好ましく、1〜10モル%であることが更に好ましい。アルコキシ基を有するケイ素原子の含有量が上記の範囲にあることで、波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物の保存安定性が良好な状態で流動性が適切な範囲となり、ハンドリング性が向上する。
(改質用シリコーン)
本実施形態の縮合型シリコーン樹脂は、上述したシリコーン樹脂Aの他に、以下の改質用シリコーン(オリゴマー成分)を含んでいてもよい。改質用シリコーンを加えることにより、例えば、波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物の硬化物に柔軟性と耐クラック性を付与することができる。
《オリゴマーB》
具体的には、改質用シリコーンとして、下記式(B1)、下記式(B1’)、下記式(B2)及び下記式(B3)で表される繰返し単位を含むオリゴマーを用いることができる。
Figure 2018040956
[式(B1)、式(B1’)、式(B2)及び式(B3)中、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表し、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜4のアルコキシ基又は水酸基を表す。ただし、複数あるR、Rはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
上記(B1)、上記式(B1’)、上記式(B2)及び上記式(B3)で表される繰返し単位を含むオリゴマーの重量平均分子量は、1000〜10000であることが好ましく、2000〜8000であることがより好ましく、3000〜6000であることがさらに好ましい。
以下の説明においては、上記(B1)、上記式(B1’)、上記式(B2)及び上記式(B3)で表される繰返し単位を含み、上記重量平均分子量である改質用シリコーンを、「オリゴマーB」と称することがある。
オリゴマーBの構造については、特に制限はされないが、(a)T2体を含有しているオリゴマー、(b)D体を含有しているオリゴマー、が好ましい。特に、(a)(b)を同時に満たす、すなわち(c)T2体とD体とを含有しているオリゴマーが好ましい。
(a)T2体を含有しているオリゴマー
「(a)T2体を含有しているオリゴマー」としては、上記(B2)で表される繰返し単位のうち、Rが炭素数1〜4のアルコキシ基又は水酸基である繰り返し単位の含有量、すなわちT2体の含有量が30〜60モル%であるものが好ましく、40〜55モル%であるものがより好ましい。
オリゴマーBは、T2体の含有量および重量平均分子量が上述の範囲であると、シリコーン樹脂Aとの溶解性を確保しながら、熱硬化時に良好な硬化反応性を示す。
(b)D体を含有しているオリゴマー
「(b)D体を含有しているオリゴマー」としては、上記式(B1)、上記式(B1’)、上記式(B2)及び上記式(B3)で表される繰返し単位を含むシリコーン樹脂において、平均組成式が下記式(I)で表されるシリコーン樹脂が好ましい。
(RSi(OR(4−n―m)/2 …(I)
[ここで、式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表し、Rは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は水素原子を表し、nは1<n<2を満たす実数を表し、mは0<m<1を満たす実数を表す。]
このように表されるオリゴマーBは、上述した「T体」及び「D体」を含む。
上記の平均組成式において、Rはメチル基が好ましく、Rはメチル基又は水素原子が好ましい。また、nは1<n≦1.5を満たす実数であり、且つmは0.5≦m<1を満たす実数であることが好ましい。さらに好ましくは、1.1≦n≦1.4、0.55≦m≦0.75である。上記式(I)で表されるオリゴマーBのn,mがこの範囲であると、シリコーン樹脂Aとの相溶性が良好になる。
ここで、オリゴマーBに含まれる全繰り返し単位のうち、上記式(B1),(B1’)であって、2つのRのうち一方が炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基、他方が炭素数1〜4のアルコキシ基又は水酸基であるものは、「D1体」である。
また、オリゴマーBに含まれる全繰り返し単位のうち、上記式(B2)であって、Rが炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であるものは、「D2体」である。
オリゴマーBにおいては、オリゴマーBに含まれる全繰り返し単位のうち、上述したようなD体(D1体およびD2体)は5〜80モル%であることが好ましく、10〜70モル%であることが更に好ましく、15〜50モル%であることが特に好ましい。
(c)T2体とD体とを含有しているオリゴマー
「(c)T2体とD体とを含有しているオリゴマー」は、上記(a)T2体を含有しているオリゴマーと、(b)D体を含有しているオリゴマーと、の要件を満たすものである。
ここで、オリゴマーBに含まれる全繰り返し単位のうち、上記式(B1),(B1’)であって、2つのRが炭素数1〜4のアルコキシ基又は水酸基であるものは、「T1体」である。
また、オリゴマーBに含まれる全繰り返し単位のうち、上記式(B2)であって、Rが炭素数1〜4のアルコキシ基又は水酸基であるものは、「T1体」である。
(c)T2体とD体とを含有しているオリゴマーは、オリゴマーBに含まれる全繰り返し単位のうち、上述したようなT体(T1体、T2体および上記式(B3)で表される「T3体」)と、D体とのモル比(T体:D体)が60:40〜90:10であることが好ましく、75:25〜85:15であることがより好ましい。T体:D体のモル比が上記の範囲にあることで、シリコーン樹脂AとオリゴマーBとの相溶性が良好になる傾向にある。
オリゴマーBは、シリコーン樹脂を構成する上述した各繰り返し単位に対応し、シロキサン結合を生じ得る官能基を有する有機ケイ素化合物を出発原料として合成することができる。「シロキサン結合を生じ得る官能基」としては、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を挙げることができる。例えば、上記式(B3)で表される繰り返し単位に対応する有機ケイ素化合物としては、オルガノトリハロシランやオルガノトリアルコキシシラン等を出発原料とすることができる。上記式(B2)で表される繰返し単位に対応する有機ケイ素化合物としてはオルガノジハロシランやオルガノジアルコキシシラン等を出発原料とすることができる。
また、GPC法により測定したオリゴマーBの分子量分布において、ピークは単一であっても、複数存在していてもよい。例えば、重量平均分子量7500以上の領域に存在するピークの面積の総和が全体の20%以上の大きさであり、重量平均分子量1000以下の領域に存在するピークの面積の総和が30%以上であってもよい。
オリゴマーBは、このような出発原料を各繰り返し単位の存在比に対応した比で、塩酸等の酸又は水酸化ナトリウム等の塩基存在下で、加水分解縮合法で反応させることにより合成することができる。かかる出発原料を選択することにより、T体ケイ素原子とD体ケイ素原子の存在量を調整することができる。
《オリゴマーC》
その他の改質用シリコーンとしては、例えば、上記式(A1)、上記式(A1’)、上記式(A2)又は上記式(A3)で表される繰返し単位を含むシリコーン樹脂であって、上記式(A1)、上記式(A1’)、上記式(A2)及び上記式(A3)で表される繰返し単位の合計の含有量に対する、上記式(A3)で表される繰返し単位の含有量の割合が0〜30モル%であり、重量平均分子量が1500未満であるシリコーン樹脂(以下、「オリゴマーC」という場合がある。)を用いてもよい。を用いてもよい。オリゴマーCは、上記式(A1)、上記式(A1’)、上記式(A2)又は上記式(A3)で表される繰返し単位のうち、いずれか1種以上又は全部を含んでいてもよい。
以下の説明においては、このようなシリコーン樹脂を「オリゴマーC」と称することがある。
すなわち、オリゴマーCは、T1ケイ素原子とT2ケイ素原子とT3ケイ素原子との合計含有量に対する、T3ケイ素原子の含有量の割合が0〜30モル%であり、重量平均分子量が1500未満であるシリコーン樹脂である。T1ケイ素原子とT2ケイ素原子とT3ケイ素原子との合計含有量に対する、T3ケイ素原子の含有量の割合は、好ましくは0〜25モル%である。
オリゴマーCは、水素原子と結合したケイ素原子(ヒドロシリル基)、およびアルケニル基と結合したケイ素原子を実質的に有しないことが好ましい。オリゴマーCが、アルケニル基と結合したケイ素原子又はヒドロシリル基を有すると、本実施形態の波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物の硬化物(波長変換シート)の耐熱性が低くなる傾向がある。
オリゴマーCは、下記式(1)で表されるオルガノポリシロキサン構造を有するオリゴマーであることが好ましい。
Figure 2018040956
式(1)中、R及びRは、上記式(A1)、上記式(A1’)、上記式(A2)及び上記式(A3)におけるものと同じ意味を表し、複数存在するR及びRは、それぞれ同種の基であってもよく、互いに異なる基であってもよい。また、p、q、r、a、及びbは、[a×q]/[(p+b×q)+a×q+(r+q)]=0〜0.3となる任意の0以上の数を表す。
オリゴマーCにおいて、R及びRとしては、上述したものと同様の基が挙げられる。オリゴマーCとしては、特に、式(1)で表されるオルガノポリシロキサン構造を有する樹脂であって、Rとしてメチル基、エチル基、及びフェニル基からなる群より選択される1種以上を有しており、Rとして、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、及び水酸基からなる群より選択される1種以上を有しているものが好ましく、Rとしてメチル基及びエチル基からなる群より選択される1種以上を有しており、Rとしてメトキシ基、エトキシ基、及びイソプロポキシ基からなる群より選択される1種以上を有しているものがより好ましい。特に、耐熱性の観点から、Rはメチル基であることが好ましい。
式(1)で表されるオリゴマーCの各繰り返し単位の存在比は、T1ケイ素原子、T2ケイ素原子及びT3ケイ素原子の存在比で表すことができる。つまり、理論上、T1ケイ素原子:T2ケイ素原子:T3ケイ素原子=[r+q]:[p+b×q]:[a×q]である。すなわち、オリゴマーC中の各ケイ素原子の存在比は、p、q、r、a、及びbの数値を適宜調整することによって調整することができる。例えば、aとqの少なくとも一方が0の場合、当該オリゴマーCにはT3ケイ素原子が存在せず、直鎖状又は環状分子のみが含まれる。一方で、rとqの両方が0の場合、当該オリゴマーCはT2ケイ素原子のみが存在し、環状分子のみが含まれる。
式(1)中、T2ケイ素原子の数をxとし、T3ケイ素原子の数をyとし、T1ケイ素原子の数をzとした場合、式(1)中の繰り返し単位T3ケイ素原子の存在比は、[y/(x+y+z)]で表される。
上述したように、式(1)中、p、q、r、a、及びbは、[a×q]/[(p+b×q)+a×q+(r+q)]=0〜0.3となる任意の0以上の正数を表す。
ここで、[a×q]/[(p+b×q)+a×q+(r+q)]は、式(1)中の繰り返し単位T3ケイ素原子の存在比[y/(x+y+z)]に等しい。つまり、式(1)中のp、q、r、a、及びbは、T3ケイ素原子の存在比が0〜0.3の範囲内となるように、適宜調整される。
すなわち、本実施形態に係る縮合型シリコーン樹脂が含むオリゴマーCは、好ましくは上記式(1)で表されるオルガノポリシロキサン構造を有するシリコーン樹脂であって、T1ケイ素原子とT2ケイ素原子とT3ケイ素原子の合計含有量に対するT3ケイ素原子の含有量[y/(x+y+z)]が0〜0.3であり、且つ、重量平均分子量が1500未満である。T3ケイ素原子の存在比が上記範囲内であれば、T2ケイ素原子の存在比[x/(x+y+z)]及びT1ケイ素原子の存在比[z/(x+y+z)]については特に限定されない。オリゴマーCとしては、[y/(x+y+z)]が0〜0.25の範囲内であるものが好ましく、0.05〜0.2の範囲内であるものがより好ましい。
オリゴマーCは、T3ケイ素原子の存在比が比較的低いため、分岐鎖構造が少なく、直鎖状や環状の分子を多く含む。オリゴマーCとしては、環状分子のみを含むものであってもよいが、直鎖状の分子を多く含むものが好ましい。例えば、オリゴマーCとしては、上記T1ケイ素原子の存在比[z/(x+y+z)]が0〜0.80の範囲内であるものが好ましく、0.30〜0.80の範囲内であるものがより好ましく、0.35〜0.75の範囲内であるものが更に好ましく、0.35〜0.55の範囲内であるものが特に好ましい。
GPC法により測定されるオリゴマーCの重量平均分子量は1500未満である。オリゴマーCの重量平均分子量が大きすぎる場合には、本実施形態の波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物の硬化物(波長変換シート)の耐クラック性が不充分となる場合がある。GPCで測定されるオリゴマーCの重量平均分子量は、例えば1000未満であってもよい。
オリゴマーC1の分子中のT1ケイ素原子、T2ケイ素原子及びT3ケイ素原子の数は、式(1)で表されるオルガノポリシロキサン構造を有する樹脂が、所望の分子量となるように適宜調整される。本発明の一態様においては、オリゴマーC1分子中のT1ケイ素原子の数とT2ケイ素原子の数とT3ケイ素原子の数との和は、2以上であることが好ましい。
オリゴマーCは、オリゴマーCを構成する上述した各繰り返し単位に対応し、シロキサン結合を生じ得る官能基を有する有機ケイ素化合物を出発原料として合成することができる。「シロキサン結合を生じ得る官能基」は、上述したものと同じ意味を表す。例えば、上記式(A3)で表される繰り返し単位に対応する有機ケイ素化合物としては、オルガノトリハロシランやオルガノトリアルコキシシラン等を出発原料とすることができる。シリコーン樹脂は、このような出発原料を各繰り返し単位の存在比に対応した比で加水分解縮合法で反応させることにより合成することができる。
オリゴマーCの合成時には、出発原料に、上述した式(A1)、式(A1’)で表される繰返し単位に対応する有機ケイ素化合物を混合することとなる。これらの有機ケイ素化合物は、出発原料が加水分解縮合反応して重合する際に、重合反応の末端に結合し重合反応を停止させる。
本実施形態の縮合型シリコーン樹脂は、シリコーン樹脂Aに加えて、上述したオリゴマーB又はオリゴマーCを含むことが好ましく、シリコーン樹脂A、オリゴマーB及びオリゴマーCを含むことがより好ましい。
本態様の波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂A及び溶媒、及び波長変換材料を必須成分として含有する。シリコーン樹脂Aに加えて、上述したオリゴマーB又はオリゴマーCを含んでいてもよい。または、シリコーン樹脂A、オリゴマーB及びオリゴマーCのすべてを含んでいてもよい。
改質用シリコーンの他の例としては、例えば、上記式(A1)及び上記式(A2)で表される繰返し単位[上記式(A1)及び上記式(A2)中、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表し、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルコキシ基又は水酸基を表す。]を含むシリコーン樹脂が挙げられる。すなわち、シリコーン樹脂は、上述した「D体」を含んでいてもよい。
[溶媒]
本実施形態で用いる縮合型シリコーン樹脂は、T3体の含有量が高いため、ハンドリング性を向上させる目的で溶媒が添加されることがある。縮合型シリコーン樹脂と溶媒とを含み波長変換材料を含んでいない組成物を、「縮合型シリコーン樹脂組成物」と称する。
本実施形態で用いられる溶媒としては、シリコーン樹脂(シリコーン樹脂A)およびオリゴマー(オリゴマーBおよびオリゴマーC)を溶解させることができる限り特に限定されない。シリコーン樹脂とオリゴマーとをより均一に混合させることができ、かつ、縮合型シリコーン樹脂組成物や波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物の安定性を向上させる観点から、沸点の異なる2種類以上の溶媒(例えば、溶媒P及び溶媒Q)を用いることが好ましい。
溶媒Pとしては、沸点が100℃未満の有機溶媒が好ましい。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール等のアルコール系溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン等の炭化水素系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等の酢酸エステル系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒が好ましい。
なかでも、溶媒Pとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール等のアルコール系溶媒がより好ましい。
溶媒Qとしては、沸点が100℃以上の有機溶媒が好ましい。具体的には、グリコールエーテル溶媒、またはグリコールエステル溶媒などが好ましい。
グリコールエーテル溶媒の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノベンジルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。
グリコールエステル溶媒の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノヘキシルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルヘキシルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールモノベンジルエーテルアセテートなどが挙げられる。
なかでも、溶媒Qとしては、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートがより好ましい。
縮合型シリコーン樹脂組成物の粘度は、25℃において100〜500000mPa・sであってもよい。
本実施形態の波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物において、溶媒の含有量は10〜40質量%であることが好ましい。溶媒の含有量が上記の範囲であると、波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物の粘度を良好な塗布性を発現する範囲に調整しやすくなる。本態様の波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物は、25℃において粘度が1000〜500000mPa・sの液状であるため、波長変換材料の沈降を抑制しやすく、塗布性が良好である。
このため、例えばスクリーン印刷等により基板上に塗布することが容易である。また加熱時に溶媒及び気泡を除去しやすいため、結果として高耐熱性の波長変換シートを得ることができる。波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物の粘度は、例えば、コーンプレート式のE型粘度計でコーンプレートが流体から受ける抵抗(粘性抵抗)を回転トルクで検出する方法により測定することができる。
本態様の波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物の25℃における粘度は、8000〜100000mPa・sであることが好ましく、10000〜80000mPa・sであることがさらに好ましい。粘度がこの範囲にあることで、塗布性が良好となる。
[波長変換材料]
本実施形態の波長変換材料としては、その組成や種類について特に制限されないが、例えば、蛍光体、量子ドットなどが挙げられる。蛍光体としては、波長570nmから700nmの範囲で蛍光を発する赤色蛍光体、490nmから570nmの範囲で蛍光を発する緑色蛍光体、420nmから480nmの範囲で蛍光を発する青色蛍光体などが挙げられる。
これらの蛍光体は、1種類のみを単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
(赤色蛍光体)
赤色蛍光体としては、例えば、赤色破断面を有する破断粒子から構成され、赤色領域の発光を行なう(Mg,Ca,Sr,Ba)Si:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類シリコンナイトライド系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ球形状を有する成長粒子から構成され、赤色領域の発光を行なう(Y,La,Gd,Lu)S:Euで表わされるユウロピウム付活希土類オキシカルコゲナイド系蛍光体等が挙げられる。
さらに、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、W、およびMoよりなる群から選ばれる少なくも1種の元素を含有する酸窒化物または酸硫化物もしくはその両方を含有する蛍光体であって、Al元素の一部または全てがGa元素で置換されたアルファサイアロン構造をもつ酸窒化物を含有する蛍光体も、本実施形態において用いることができる。なお、これらは酸窒化物または酸硫化物もしくはその両方を含有する蛍光体である。
また、そのほか、赤色蛍光体としては、(La,Y)S:Eu等のEu付活酸硫化物蛍光体、Y(V,P)O:Eu、Y:Eu等のEu付活酸化物蛍光体、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO:Eu,Mn、(Ba,Mg)SiO:Eu,Mn等のEu,Mn付活珪酸塩蛍光体、(Ca,Sr)S:Eu等のEu付活硫化物蛍光体、YAlO:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、LiY(SiO:Eu、Ca(SiO:Eu、(Sr,Ba,Ca)SiO:Eu、SrBaSiO:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、(Y,Gd)Al12:Ce、(Tb,Gd)Al12:Ce等のCe付活アルミン酸塩蛍光体、(Ca,Sr,Ba)Si:Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)SiN:Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)AlSiN:Eu等のEu付活窒化物蛍光体、(Mg,Ca,Sr,Ba)AlSiN:Ce等のCe付活窒化物蛍光体、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POCl:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロリン酸塩蛍光体、(BaMg)Si:Eu,Mn、(Ba,Sr,Ca,Mg)(Zn,Mg)Si:Eu,Mn等のEu,Mn付活珪酸塩蛍光体、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn等のMn付活ゲルマン酸塩蛍光体、Eu付活αサイアロン等のEu付活酸窒化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La):Eu,Bi等のEu,Bi付活酸化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)S:Eu,Bi等のEu,Bi付活酸硫化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)VO:Eu,Bi等のEu,Bi付活バナジン酸塩蛍光体、SrY:Eu,Ce等のEu,Ce付活硫化物蛍光体、CaLa:Ce等のCe付活硫化物蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgP:Eu,Mn、(Sr,Ca,Ba,Mg,Zn):Eu,Mn等のEu,Mn付活リン酸塩蛍光体、(Y,Lu)WO:Eu,Mo等のEu,Mo付活タングステン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)Si:Eu,Ce(ただし、x、y、zは、1以上の整数)等のEu,Ce付活窒化物蛍光体、(Ca,Sr,Ba,Mg)10(PO(F,Cl,Br,OH):Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロリン酸塩蛍光体、((Y,Lu,Gd,Tb)1−xScCe(Ca,Mg)1−r(Mg,Zn)2+rSiz−qGe12+δ等のCe付活珪酸塩蛍光体等を用いることも可能である。
赤色蛍光体としては、β−ジケトネート、β−ジケトン、芳香族カルボン酸、または、ブレンステッド酸等のアニオンを配位子とする希土類元素イオン錯体からなる赤色有機蛍光体、ペリレン系顔料(例えば、ジベンゾ{[f,f’]−4,4’,7,7’−テトラフェニル}ジインデノ[1,2,3−cd:1’,2’,3’−lm]ペリレン)、アントラキノン系顔料、レーキ系顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、フタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、インダンスロン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料を用いることも可能である。
また、赤色蛍光体のうち、ピーク波長が580nm以上、好ましくは590nm以上、また、620nm以下、好ましくは610nm以下の範囲内にあるものは、橙色蛍光体として好適に用いることができる。このような橙色蛍光体の例としては、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Sr,Mg)PO:Sn2+、SrCaAlSiN:Eu等が挙げられる。
(黄色蛍光体)
黄色蛍光体としては、例えば、各種の酸化物系、窒化物系、酸窒化物系、硫化物系、酸硫化物系等の蛍光体が挙げられる。特に、RE12:Ce(ここで、REは、Y,Tb,Gd,Lu,Smの少なくとも1種類の元素を表し、Mは、Al,Ga,Scの少なくとも1種類の元素を表す。)やM 12:Ce(ここで、Mは2価の金属元素、Mは3価の金属元素、Mは4価の金属元素)等で表されるガーネット構造を有するガーネット系蛍光体、AE:Eu(ここで、AEは、Ba,Sr,Ca,Mg,Znの少なくとも1種類の元素を表し、Mは、Si,Geの少なくとも1種類の元素を表す。)等で表されるオルソシリケート系蛍光体、これらの系の蛍光体の構成元素の酸素の一部を窒素で置換した酸窒化物系蛍光体、AEAlSiN:Ce(ここで、AEは、Ba,Sr,Ca,Mg,Znの少なくとも1種類の元素を表す。)等のCaAlSiN構造を有する窒化物系蛍光体等のCeで付活した蛍光体等が挙げられる。
また、そのほか、黄色蛍光体としては、CaGa:Eu(Ca,Sr)Ga:Eu、(Ca,Sr)(Ga,Al):Eu等の硫化物系蛍光体、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu等のSiAlON構造を有する酸窒化物系蛍光体等のEuで付活した蛍光体を用いることも可能である。
(緑色蛍光体)
緑色蛍光体としては、例えば、破断面を有する破断粒子から構成され、緑色領域の発光を行なう(Mg,Ca,Sr,Ba)Si:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類シリコンオキシナイトライド系蛍光体、破断面を有する破断粒子から構成され、緑色領域の発光を行なう(Ba,Ca,Sr,Mg)SiO:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類シリケート系蛍光体等が挙げられる。
また、そのほか、緑色蛍光体としては、SrAl1425:Eu、(Ba,Sr,Ca)Al:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(Sr,Ba)AlSi:Eu、(Ba,Mg)SiO:Eu、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO:Eu、(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn)Si:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、YSiO:Ce,Tb等のCe,Tb付活珪酸塩蛍光体、Sr−Sr:Eu等のEu付活硼酸リン酸塩蛍光体、SrSi−2SrCl:Eu等のEu付活ハロ珪酸塩蛍光体、ZnSiO:Mn等のMn付活珪酸塩蛍光体、CeMgAl1119:Tb、YAl12:Tb等のTb付活アルミン酸塩蛍光体、Ca(SiO:Tb、LaGaSiO14:Tb等のTb付活珪酸塩蛍光体、(Sr,Ba,Ca)Ga:Eu,Tb,Sm等のEu,Tb,Sm付活チオガレート蛍光体、Y(Al,Ga)12:Ce、(Y,Ga,Tb,La,Sm,Pr,Lu)(Al,Ga)12:Ce等のCe付活アルミン酸塩蛍光体、CaScSi12:Ce、Ca(Sc,Mg,Na,Li)Si12:Ce等のCe付活珪酸塩蛍光体、CaSc:Ce等のCe付活酸化物蛍光体、SrSi:Eu、(Sr,Ba,Ca)Si:Eu、Eu付活βサイアロン、Eu付活αサイアロン等のEu付活酸窒化物蛍光体、BaMgAl1017:Eu,Mn等のEu,Mn付活アルミン酸塩蛍光体、SrAl:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(La,Gd,Y)S:Tb等のTb付活酸硫化物蛍光体、LaPO:Ce,Tb等のCe,Tb付活リン酸塩蛍光体、ZnS:Cu,Al、ZnS:Cu,Au,Al等の硫化物蛍光体、(Y,Ga,Lu,Sc,La)BO:Ce,Tb、NaGd:Ce,Tb、(Ba,Sr)(Ca,Mg,Zn)B:K,Ce,Tb等のCe,Tb付活硼酸塩蛍光体、CaMg(SiOCl:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロ珪酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga,In):Eu等のEu付活チオアルミネート蛍光体やチオガレート蛍光体、(Ca,Sr)(Mg,Zn)(SiOCl:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロ珪酸塩蛍光体等を用いることも可能である。
また、緑色蛍光体としては、ピリジン−フタルイミド縮合誘導体、ベンゾオキサジノン系、キナゾリノン系、クマリン系、キノフタロン系、ナルタル酸イミド系等の蛍光色素、ヘキシルサリチレートを配位子として有するテルビウム錯体等の有機蛍光体を用いることも可能である。
(青色蛍光体)
青色蛍光体としては、規則的な結晶成長形状としてほぼ六角形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なうBaMgAl1017:Euで表わされるユウロピウム付活バリウムマグネシウムアルミネート系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ球形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なう(Ca,Sr,Ba)(POCl:Euで表わされるユウロピウム付活ハロリン酸カルシウム系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ立方体形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なう(Ca,Sr,Ba)Cl:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類クロロボレート系蛍光体、破断面を有する破断粒子から構成され、青緑色領域の発光を行なう(Sr,Ca,Ba)Al:Euまたは(Sr,Ca,Ba)Al4O25:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類アルミネート系蛍光体等が挙げられる。
また、そのほか、青色蛍光体としては、Sr:Sn等のSn付活リン酸塩蛍光体、SrAl1425:Eu、BaMgAl1017:Eu、BaAl13:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、SrGa:Ce、CaGa:Ce等のCe付活チオガレート蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu、BaMgAl1017:Eu,Tb,Sm等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu,Mn等のEu,Mn付活アルミン酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POCl:Eu、(Ba,Sr,Ca)(PO(Cl,F,Br,OH):Eu,Mn,Sb等のEu付活ハロリン酸塩蛍光体、BaAlSi:Eu、(Sr,Ba)MgSi:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、Sr:Eu等のEu付活リン酸塩蛍光体、ZnS:Ag、ZnS:Ag,Al等の硫化物蛍光体、YSiO:Ce等のCe付活珪酸塩蛍光体、CaWO等のタングステン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)BPO:Eu,Mn、(Sr,Ca)10(PO・nB:Eu、2SrO・0.84P・0.16B:Eu等のEu,Mn付活硼酸リン酸塩蛍光体、SrSi・2SrCl:Eu等のEu付活ハロ珪酸塩蛍光体等を用いることも可能である。
また、青色蛍光体としては、例えば、ナフタル酸イミド系、ベンゾオキサゾール系、スチリル系、クマリン系、ピラリゾン系、トリアゾール系化合物の蛍光色素、ツリウム錯体等の有機蛍光体等を用いることも可能である。
(量子ドット)
上述したように、波長変換材料として、量子ドットを使用することも可能である。使用できる量子ドットの種類としては、InAs系、CdE(E=S,Se,Te)系(CdSSe1−x/ZnS等)などが挙げられる。
波長変換材料は、波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物中で沈降しやすいため、予め用意したシリコーン樹脂組成物に波長変換材料を混合することが、波長変換材料の沈降をより抑制するためには有効である。
[その他の材料]
波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて種々の材料を含むことができる。例えば、波長変換材料の拡散や波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物の塗布性改善のために、無機粒子や接着助剤等の添加物を加えてもよい。また、塗布液の流動性を適切にするために、必要に応じて、さらに溶媒を加えてもよい。溶媒としては、特に限定されないが、例えば溶媒P及び溶媒Qとして上述した溶媒が挙げられる。そのほかにも、波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物中は、さらに、シランカップリング剤を含んでもよい。
(シランカップリング剤)
本実施形態で用いられるシランカップリング剤としては、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基及びイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも一つ以上を有するシランカップリング剤が好ましい。なかでも、シランカップリング剤としては、エポキシ基又はメルカプト基を含むカップリング剤が好ましい。
具体的には、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが好ましい。
波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物中にシランカップリング剤が含まれる場合、シランカップリング剤に含まれるケイ素原子も29Si−NMRのシグナルとして検出されるが、本実施形態においては、波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物のシグナル面積の計算時にシランカップリング剤のシグナルも含めるものとする。
波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物におけるシランカップリング剤の含有量は、縮合型シリコーン樹脂の含有量100質量部に対して、0.0001質量部以上1.0質量部以下であることが好ましく、0.001質量部以上0.1質量部以下であることがより好ましい。シランカップリング剤の含有量が上記範囲よりも高いと、シランカップリング剤自身が光を吸収することによって、得られる波長変換シートの透明性を低下させる場合がある。
(無機粒子)
本実施形態で用いられる無機粒子としては、ケイ素、チタン、ジルコニア、アルミニウム、鉄、亜鉛などの酸化物、カーボンブラック、チタン酸バリウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウムなどが好ましい。なかでも、無機粒子としては、ケイ素、チタン、ジルコニア、アルミニウム等の酸化物がより好ましい。
無機粒子の形状としては、略球状、板状、柱状、針状、ウィスカー状、繊維状が挙げられ、これらのいずれでもよい。より均一な樹脂組成物が得られることから、無機粒子の形状は略球状であることが好ましい。
無機粒子は、1種類のみであってもよく、2種類以上であってもよいが、粒子の大きさについては2種類以上の粒径の無機粒子を含むことが好ましい。具体的には、一次粒子の平均粒子径が100nm以上500nm以下である無機粒子と、同じく一次粒子の平均粒子径が100nm未満である無機粒子の少なくとも2種類を含むことがより好ましい。一次粒子の平均粒径が異なる2種類以上の無機粒子を含むことにより、光の散乱による波長変換材料の励起効率がより向上し、かつ、波長変換材料の沈降抑制に効果を発揮することができる。
ここで一次粒子の平均粒子径は、電子顕微鏡等により直接粒子を観察する画像イメージング法等により求めることができる。具体的には、まず、測定対象となる無機粒子を任意の溶媒に、超音波等を照射して充分に分散させた液をスライドガラス等に滴下乾燥させたものを用意する。また、接着テープの接着面に直接無機粒子を振りかける等により付着させたものを用意してもよい。次に、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)等により直接粒子を観察し、その形状から寸法を割り出すことによって一次粒子の平均粒子径が得られる。
無機粒子の合計の含有量は、縮合型シリコーン樹脂硬化物100質量部に対して、0.01質量部以上100質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上50質量部以下であることがより好ましい。
無機粒子は、波長変換シート中でより光を散乱させて波長変換材料を効果的に励起させると共に、製造段階において、波長変換材料がシリコーン樹脂を含む組成物中で沈降することを抑制できる場合がある。
(その他の添加剤)
波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて上述の材料以外の添加剤などを含んでもよい。添加剤の具体例としては、分散剤、レベリング剤、消泡剤などが挙げられる。
[調製工程S1]
波長変換シートの製造方法は、調製工程S1と、成形工程S2と、第一の加熱工程S3と、第二の加熱工程S4と、を含む。ここでは調製工程S1について説明し、成形工程S2以降の工程については後で説明する。
本実施形態の調製工程S1は、縮合型シリコーン樹脂と、波長変換材料と、溶媒と、必要に応じて添加される上述したその他の材料と、を含む波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物を調製する。
(波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物)
本実施形態の波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂A、波長変換材料、溶媒、及び必要に応じてオリゴマーB、オリゴマーC、その他の成分を混合することにより得られる。本実施形態の波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂A、オリゴマーB及びオリゴマーCを含むことが好ましい。ここで、シリコーン樹脂Aに対して、シリコーン樹脂Aよりも少量のオリゴマーB及びオリゴマーCを混合することが好ましい。特に、シリコーン樹脂A、オリゴマーB及びオリゴマーCを、シリコーン樹脂A:オリゴマーB:オリゴマーC=100:0.1〜20:0.1〜20(質量比)とすることにより、良好な塗布性と高い耐熱性とを兼ね備える硬化物を形成する波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物を得ることができる。
縮合型シリコーン樹脂の混合比は、シリコーン樹脂A:オリゴマーB:オリゴマーC=100:0.2〜15:0.2〜15(質量比)が好ましく、シリコーン樹脂A:オリゴマーB:オリゴマーC=100:1〜10:1〜10(質量比)がより好ましい。
(混合)
まず、縮合型シリコーン樹脂(シリコーン樹脂A、オリゴマーB及びオリゴマーC)を調製する。
シリコーン樹脂A、オリゴマーB及びオリゴマーCの混合方法は特に限定されるものではなく、2種類以上の高分子を混合する際に通常行われる公知の方法のいずれを用いてもよい。例えば、シリコーン樹脂A並びに必要に応じて、オリゴマーB、オリゴマーC及びその他の成分を有機溶媒に溶解することで混合することができる。
好ましくは、より均一に混合させることができ、かつその後の樹脂溶液の安定性を向上させられることから、シリコーン樹脂を一旦揮発性及び溶解性が高い有機溶媒中で溶解した後、別の溶媒に置換することが好ましい。具体的には、まず、揮発性の高い有機溶媒(以下、「有機溶媒P」という場合がある。)中にシリコーン樹脂Aを投入し、有機溶媒Pの沸点付近の温度まで加熱し攪拌させることによってシリコーン樹脂Aを溶解させる。
続いて、必要に応じて、オリゴマーB、オリゴマーC、その他の成分を投入して同様にして混合溶解させる。その後、各成分を溶解した溶液に、有機溶媒Pよりも揮発性が低い溶媒(以下、溶媒Q)を投入し、有機溶媒Pの濃度が1%以下になるまで加熱蒸留することによって、有機溶媒Pから溶媒Qへの溶媒置換を行うことができる。その際、より効率的に溶媒置換を行う手段として、容器内を減圧にした状態で加熱することも可能である。
このようにして合成した縮合型シリコーン樹脂組成物(縮合型シリコーン樹脂+溶媒)は、合成の際に使用した残存溶媒や未反応のまま残った水等を同伴して除去することができる。このため、このような処理は縮合型シリコーン樹脂組成物の安定性の向上に有効である。
続いて、調製した縮合型シリコーン樹脂組成物と、波長変換材料と、必要に応じて追加する溶媒とを混合し、波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物を得る。波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物の調製は、これらの材料を均一に混合できる限り特に限定されず、公知の撹拌・混練機を用いて行うことができる。公知の撹拌・混練機としては、例えばホモジナイザー、自公転型攪拌機、3本ローラー、ボールミル、遊星式ボールミル、ビーズミル等が挙げられる。混合分散後又は混合分散の過程において、必要に応じて、真空又は減圧条件下で脱泡してもよい。また必要に応じて上述した無機粒子、接着剤、溶媒、シランカップリング剤を添加してもよい。
(硬化用触媒)
本実施形態の波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物はさらに硬化用触媒を含んでいてもよい。本実施形態で用いられる硬化用触媒としては、シリコーン樹脂(シリコーン樹脂A)、またはシリコーン樹脂とオリゴマー(オリゴマーBまたはオリゴマーC)との架橋反応を促進し得るものであれば特に制限はない。例えば、縮合型シリコーン樹脂(シリコーン樹脂A、オリゴマーB、オリゴマーC)が、ケイ素原子に結合するアルコキシ基又は水酸基を有する場合は、加水分解縮合反応を促進するため、硬化用触媒として、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸等の無機酸、蟻酸、酢酸、蓚酸、クエン酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、コハク酸等の有機酸を用いることができる。
また、硬化用触媒として酸性化合物だけではなく、アルカリ性の化合物を用いることも可能である。具体的には、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム等を用いることができる。
また、硬化用触媒として有機金属化合物触媒を用いることもできる。有機金属化合物触媒としては、アルミニウム、ジルコニウム、スズ、チタン、亜鉛を含むもの等が挙げられる。
具体的には、アルミニウムを含有する有機金属化合物触媒の例としては、アルミニウムトリアセチルアセテート、アルミニウムトリイソプロポキシド等が挙げられる。
ジルコニウムを含有する有機金属化合物触媒の例としては、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシジアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド、ジルコニウムアシレート、ジルコニウムトリブトキシステアレート等が挙げられる。
スズを含有する有機金属化合物触媒の例としては、テトラブチルスズ、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキサイド、テトラオクチルスズ、ジオクチルスズジクロライド、ジオクチルスズオキサイド、テトラメチルスズ、ジブチルスズラウレート、ジオクチルスズラウレート、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ、ビス(ネオデカノエート)スズ、ジ−n−ブチルビス(エチルへキシルマレート)スズ、ジ−ノルマルブチルビス(2,4−ペンタンジオネート)スズ、ジ−ノルマルブチルブトキシクロロスズ、ジ−ノルマルブチルジアセトキシスズ、ジ−ノルマルブチルジラウリル酸スズ、ジメチルジネオデカノエートスズ等が挙げられる。
チタンを含有する有機金属化合物触媒の例としては、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラノルマルブトキシド、プチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート、チタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテート等が挙げられる。
亜鉛を含有する有機金属化合物触媒の例としては、亜鉛トリアセチルアセトネート等が挙げられる。
なかでも、硬化用触媒としては硬化物の可視光領域から紫外領域までの透明性を高める観点から、燐酸エステル及び燐酸が好ましく、燐酸が特に好ましい。
硬化用触媒は、所定の濃度で添加するために、水、有機溶媒、または波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物に馴染みやすいシリコーン系モノマーやアルコキシシランオリゴマーなどにより希釈した状態で波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物に添加することができる。
硬化用触媒の含有量は、硬化反応時の加熱温度、反応時間、触媒の種類等を考慮して、適宜調整することができる。波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物100質量部に対する、硬化用触媒の含有量は0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.01質量部以上5質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以上1質量部以下であることが特に好ましい。
なお、硬化用触媒を用いる場合は、波長変換材料を添加する前に添加されてもよいし、波長変換材料を添加した後に添加されてもよい。
[成形工程S2]
成形工程S2では、波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物を支持基材上にシート状に成形して、支持基材上に成形体を得る。この支持基材は、成形体が得られた後に剥離してもよいし、剥離しなくてもよい。成形方法は、波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物をシート状に成形できる限り特に制限されず、公知の塗布装置を用いて行うことができる。公知の塗布装置としては、例えばリバースロールコーター、ブレードコーター、スリットダイコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、リバースロールコーター、ブレードコーター、キスコーター、ナチュラルロールコーター、エアーナイフコーター、ロールブレードコーター、バリバーロールブレードコーター、トゥーストリームコーター、ロッドコーター、ワイヤーバーコーター、アプリケーター、ディップコーター、カーテンコーター、スピンコーター、ナイフコーター等が挙げられる。なかでも、得られる波長変換シートの膜厚が均一になりやすいことから、アプリケーター、スリットダイコーターで波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物を塗布することが好ましい。
支持基材としては、波長変換シートの用途により適宜選択すればよいが、例えば公知の金属、フィルム、ガラス、セラミック、紙等を使用することができる。具体的には、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、サファイア等の透明な無機酸化物ガラス;アルミニウム(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、銅、鉄等の金属板や箔;セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、アラミド等のプラスチックのフィルム;上記プラスチックがラミネートされた紙;又は上記プラスチックによりコーティングされた紙;上記金属がラミネートまたは蒸着された紙;上記金属がラミネート又は蒸着されたプラスチックフイルム等が挙げられる。上記の中でも、無機酸化物ガラス又は金属板が好ましい。
支持基材の厚みは特に制限はないが、30μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましい。支持基材の厚みが30μm以上であると、波長変換シートの形状を保護するのに十分な強度を有する。また、支持基材の厚みは経済性の観点から、5000μm以下が好ましく、3000μm以下がより好ましい。
また、別の塗布法としては、スクリーン印刷、グラビア印刷、平版印刷等の印刷法等が挙げられる。なかでも、作業性向上の観点からスクリーン印刷であることが好ましい。
波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物をスクリーン印刷法により基材の表面に塗布する方法について以下に説明する。まず、基材の表面を所要パターンの開口部を有するマスクで覆い、スキージ部に波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物を投入する。次いで、スキージを移動させて波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物を加圧しながらマスク上を移動させることにより、当該マスクの開口部に波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物を充填する(充填工程)。充填工程後、マスクを取り外す。このようにして、基材の表面に波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物のパターンを形成させることができる。
なお、基材の表面に波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物のパターンを形成する例を示したが、基材の表面にベタ状に波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物を形成してもよい。
[第一の加熱工程S3]
第一の加熱工程S3および後述する第二の加熱工程S4では、得られた成形体を加熱硬化させて波長変換シートを得る。成形体の加熱は、自然対流式オーブン、送風式オーブン、真空オーブン、イナートオーブン、ホットプレート、熱プレス機、赤外線ヒーター等の機器を用いて行われる。なかでも、生産性が高いという観点から、送風式オーブンを用いることが好ましい。
第一の加熱工程S3では、得られた成形体を0.97<E/D≦1.00の条件で室温から120℃まで昇温させた雰囲気内に放置して硬化させる。
ただし、Dは、第一の加熱工程S3前の成形体における質量を表す。Eは、第一の加熱工程S3後の成形体における質量を表す。
本実施形態において、好ましくは0.975≦E/D≦1.00、より好ましくは0.980≦E/D≦1.00である。E/Dの値がこの範囲にあることで、波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物が所望の流動性を有した状態で120℃の温度に到達することができる。
[第二の加熱工程S4]
第二の加熱工程S4では、第一の加熱工程S3の後に、成形体を1.01<C/B≦1.30の条件で120℃から150℃まで昇温させた雰囲気内に放置して硬化させる。成形体の加熱は、第一の加熱工程S3と同様の機器を用いて行われる。
ただし、Bは第一の加熱工程S3後の成形体における全ケイ素原子の合計の含有量に対する、T3ケイ素原子の含有量を表す。Cは、第二の加熱工程S4後の成形体における全ケイ素原子の合計の含有量に対する、T3ケイ素原子の含有量を表す。
本実施形態において、好ましくは1.01<C/B≦1.20、より好ましくは1.03≦C/B≦1.10である。C/Bの値がこの範囲にあることで、高温での縮合反応が適切なスピードで進行し、硬化物の硬度に十分に高くなる。C/Bの値が1.30より大きすぎると、硬化物にクラックが入ることがある。
なお、本明細書で「硬度が高い」とは、タイプDのデュロメータ(ゴム・プラスチック硬度計)によって1mm/秒の下降スピードで測定した硬度(ショアD硬度)が高いことを意味する。
このようにして、本実施形態の波長変換シートを得ることができる。
従来、シリコーン樹脂とオリゴマーとの縮合反応は、反応温度を徐々に上げながら段階的に行われることがあった。この方法では、反応温度が低温であるときに、波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物の分子運動性が低い状態で硬化が開始すると推測される。一方、反応温度が高温になった際には、既に硬化が進んでいるので、本来高いはずの分子運動性が抑制されると推測される。そのため、従来の方法では緻密な網目構造を形成する事が困難であった。また、従来の方法では硬化時間が長くなり、生産性が低くなるという問題もあった。
これに対し、本実施形態の製造方法では、反応温度が120℃以上であるときに、波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物の分子運動性が高い状態で硬化が開始すると推測される。よって、従来の方法に比べて反応点の分子運動性が高く、より緻密な網目構造を形成することができる。結果として、本実施形態の製造方法では高い硬度の硬化物を得ることができる。また、本実施形態の製造方法では硬化時間を短縮することができ、生産性を向上させることができる。
<波長変換シート>
波長変換シートの最終的な厚み(膜厚)は、波長変換シートを安定的に製造できることから10μm以上であることが好ましい。また、波長変換シートの光学特性や耐熱性を高める観点から1mm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることがさらに好ましい。波長変換シートの厚みが1mm以下であることで、縮合型シリコーン樹脂硬化物による光吸収や光散乱を低減することができる。
波長変換シートの膜厚は、例えば、波長変換シートの複数箇所における膜厚を、マイクロメーターを用いて測定し、その平均値を算出することにより求めることができる。複数箇所とは、例えば、波長変換シートの形状が4角形の場合、波長変換シートの中心部1箇所と、波長変換シートの隅部4箇所の合計5箇所等が挙げられる。
本実施形態の製造方法で得られる波長変換シートは、LED、太陽電池、半導体レーザー、フォトダイオード、CCD、CMOS等の用途に用いることができる。
以上のような方法の波長変換シートの製造方法によれば、高硬度の波長変換シートが得られる。
<発光装置>
図1は、本態様の波長変換シートを備えた発光装置の構造を示す断面図である。
図1に示すように、発光装置1000は、基板110、半導体レーザー素子(光源)120、導光部130、波長変換シート140、反射鏡150を備えている。波長変換シート140は、上述した構成のものを用いることができる。
半導体レーザー素子120は、基板110上に設定されている。
導光部130は、内部に半導体レーザー素子120から射出されたレーザー光Laが入射され、内部でレーザー光Laを導光する。導光部130の一端には半導体レーザー素子120が光学的に接続され、他端には波長変換シート140が光学的に接続されている。導光部130は、一端側から他端側に向けて幅が漸減する錘状を呈しており、半導体レーザー素子120から射出されたレーザー光Laが波長変換シート140に集束する構成となっている。
反射鏡150は、波長変換シート140の周囲に配置された椀状の部材であり、波長変換シート140に面する曲面が光反射面となっている。反射鏡150は、波長変換シート140から射出される光を装置前方(レーザー光Laの照射方向)に偏向する。
波長変換シート140に照射されたレーザー光Laは、波長変換シート140が含有する波長変換材料により白色光Lbに変換され、発光装置1000から出力される。
図1に示した発光装置1000は、半導体レーザー素子120を1つのみ有することとしたが、これに限らない。図2は、発光装置の変形例を示す断面図である。図2及び以下の説明において、図1で説明した構成と同じ構成については、図1と共通する符号を付している。
図2に示す発光装置1100は、複数の基板110、複数の半導体レーザー素子(光源)120、複数の光ファイバー180、導光部130、波長変換シート140、反射鏡150、透明支持体190を備えている。
光ファイバー180は、内部に半導体レーザー素子120から射出されたレーザー光Laが入射され、内部でレーザー光Laを導光する。複数の光ファイバー180の一端にはそれぞれ半導体レーザー素子120が光学的に接続されている。また、複数の光ファイバー180は他端側で束ねられており、一束にまとめられた状態で他端において導光部130に光学的に接続されている。
導光部130は、内部に半導体レーザー素子120から射出されたレーザー光Laが入射され、内部でレーザー光Laを導光した後、装置前方に向けて射出する。導光部130は、装置前方に射出するレーザー光Laを集光する機能を有していてもよい。
波長変換シート140は、透明支持体190に支持された状態で、導光部130と離間し導光部130に対向して配置されている。透明支持体190は、反射鏡150の開口部分を覆うようにして装置前方に設けられている。透明支持体190は、装置使用中に発生する熱により劣化しない透明材料を形成材料とする部材であり、例えばガラス板を用いることができる。
波長変換シート140に照射されたレーザー光Laは、波長変換シート140が含有する波長変換材料により白色光Lbに変換され、発光装置1100から出力される。
発光装置1000、1100においては、上述したように光源(半導体レーザー素子120)及び発光部(波長変換シート140)が分離されている。これにより、発光装置の小型化や、デザイン性を向上させることが容易になる。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<ゲルパーメーションクロマトグラフィー(GPC)測定>
試料を溶離液にて溶解後、ポアサイズ0.45μmのメンブランフィルターでろ過したものを測定溶液とした。続いて、次の測定条件で標準ポリスチレン換算によって重量平均分子量を測定した。
カラム:TSKgel SuperHM−H×2+SuperH2500×1(内径6.0mm×150mm×3本)
溶離液:トルエン
流量:0.6mL/分
検出器:RI検出器(ポラリティー:−)
カラム温度:40℃
注入量:40μL
分子量標準:標準ポリスチレン
<製造例1>
[調製工程]
まず、オイルバス内に設置したフラスコ内に、789.6gのシリコーン樹脂A(重量平均分子量3500)と、96.0gの酢酸プロピルと、314.40gのイソプロピルアルコールと、を投入し、液温が80℃になるまで昇温攪拌して樹脂を充分に溶解させた。次いで、8.47gのオリゴマーC(重量平均分子量<1000)と、75.08gのオリゴマーB(重量平均分子量3400)と、を投入し、1時間以上攪拌し溶解させた。
さらに、得られた混合物に、274.49gの酢酸2−ブトキシエチルと、0.223gのシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランと、を加えた。その後、混合物をエバポレーターにセットし、当該混合物の温度が85℃、圧力が2.0kPaの条件に放置し、当該混合物中の酢酸プロピルおよびイソプロピルアルコールの合計濃度が1質量%以下になるまで、酢酸プロピルおよびイソプロピルアルコールを留去した。このようにして、製造例1の縮合型シリコーン樹脂組成物を得た。
上記調製工程で使用したシリコーン樹脂A(表1)、オリゴマーC(表2)およびオリゴマーB(表3)の各繰返し単位の存在比率を以下に示した。オリゴマーBは、表3に示す繰返し単位および存在比率で構成される樹脂を95%以上含んでいた。また、オリゴマーBは、重量平均分子量7500以上の領域に存在するピークの面積の総和が全体の20%以上の大きさであり、重量平均分子量1000以下の領域に存在するピークの面積の総和が30%以上であった。
[ゲルパーメーションクロマトグラフィー(GPC)測定]
試料(シリコーン樹脂A、オリゴマーBまたはオリゴマーC)を溶離液にて溶解後、ポアサイズ0.45μmのメンブランフィルターでろ過したものを測定溶液とした。続いて、次の測定条件で標準ポリスチレン換算によって重量平均分子量を測定した。
カラム:TSKgel SuperHM−H×2+SuperH2500×1(内径6.0mm×150mm×3本)
溶離液:トルエン
流量:0.6mL/分
検出器:RI検出器(ポラリティー:−)
カラム温度:40℃
注入量:40μL
分子量標準:標準ポリスチレン
[溶液NMR測定]
なお、下記実施例で用いたシリコーン樹脂A、オリゴマーBおよびオリゴマーCの置換基の種類と存在比を測定するための手段としては、H−NMR法、29Si−NMR法を用いた。
H−NMR測定条件>
装置名 :JEOL RESONANCE社製 ECA−500
観測核 :
観測周波数 :500.16MHz
測定温度 :室温
測定溶媒 :DMSO−d
パルス幅 :6.60μ秒(45°)
パルス繰り返し時間:7.0秒
積算回数 :16回
試料濃度(試料/測定溶媒):300mg/0.6mL
29Si−NMR測定条件>
装置名 :Agilent社製 400−MR
観測核 :29Si
観測周波数 :79.42MHz
測定温度 :室温
測定溶媒 :CDCl
パルス幅 :8.40μ秒(45°)
パルス繰り返し時間:15.0秒
積算回数 :4000回
試料濃度(試料/測定溶媒):300mg/0.6mL
Figure 2018040956
Figure 2018040956
Figure 2018040956
上記調製工程で調製した縮合型シリコーン樹脂組成物に対して、波長変換材料と、硬化用触媒と、を添加し、十分に撹拌混合して波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物を得た。波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物の配合比率は下記の表4の通りである。
Figure 2018040956
なお、波長変換材料、硬化用触媒として以下の材料を用いた。
波長変換材料:YAG:Ce(株式会社東京化学研究所製、平均粒径13.6μm)
硬化用触媒溶液(硬化用触媒):リン酸を15質量%含有する硬化用触媒溶液
[成形工程]
直径4cmのアルミカップに3.6gの波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物を充てんした。
<固体29Si−NMRを用いたT3体量B、Cの算出>
以下の加熱工程で得られる硬化物(成形体)について下記測定条件で測定し、全ケイ素原子の合計の含有量に対するT3ケイ素原子の含有量(以下、「T3体量」と称する。)であるB、Cの値を算出した。こうして得られたB、Cを用いて算出されるC/Bを、表5では「T3体量比率」と示す。また、第一の加熱工程後の成形体におけるT3体量(B)を測定する際には、真空オーブン中で、25℃にて100hPa以下の圧力に減圧し、48時間保管することで乾燥させたサンプルについてNMR測定を実施した。
[測定条件]
装置名 :Bruker社製 AVANCE300
観測核 :29Si
観測周波数 :59.6MHz
測定温度 :室温
測定法 :DDMAS法
基準物質 :ヘキサメチルシクロトリシロキサン
(−9.66ppmに設定、TSM0ppm設定に相当)
MAS条件 :3.5kHz
パルス幅 :π/6(1.4μ秒)
待ち時間 :20.0秒
積算回数 :4096回
試料量 :290mg
<実施例1>
[加熱工程]
製造例1で得られた成形体を、温度を110℃に調整したオーブンに入れ8℃/分で昇温し、120℃とした。(第一の加熱工程)。その後、さらに120℃から150℃まで8℃/分の速度でオーブン内温度を昇温し、150℃で5時間放置することによりさらに硬化させた(第二の加熱工程)。このとき、第一の加熱工程におけるE/Dの値は0.99であった。また、第二の加熱工程におけるC/Bの値は1.05であった。なお、A〜Eは上記と同様の意味である。このようにして、直径4cm、厚み1.5mmである実施例1の波長変換シートを得た。
<比較例1>
[加熱工程]
製造例1で得られた成形体を、オーブン中で、室温(25℃)から120℃まで4℃/分の速度で昇温することにより硬化させた(第一の加熱工程)。その後、120℃から150℃まで4℃/分の速度で昇温し、150℃で5時間放置することによりさらに硬化させた(第二の加熱工程)。このとき、第一の加熱工程におけるE/Dの値は0.97であった。また、第二の加熱工程におけるC/Bの値は1.01であった。なお、A〜Eは上記と同様の意味である。このようにして、直径4cm、厚み1.5mmである比較例1の波長変換シートを得た。
<評価(ショアD硬度)>
実施例および比較例の硬化物について、以下のようにしてショアD硬度を測定した。
測定装置として、株式会社テクロック製のデュロメータ(ゴム・プラスチック硬度計)用自動低圧荷重器GS−610にデュロメータGS−720G(タイプD)を装着したものを採用した。この装置を用いて、上記硬化物について1mm/秒の下降スピードでショアD硬度を測定した。測定は5箇所で実施し、平均値を算出した。
なお、ショアD硬度が70以上であるものを良好(○)とし、ショアD硬度が70未満であるものを不良(×)とした。実施例および比較例のショアD硬度の結果を表5に示す。
Figure 2018040956
実施例1では、T3体量比率(C/B)が1.01<C/B≦1.30の範囲内であるとともに、質量比率(E/D)が0.97<E/D≦1.00の範囲内であった。実施例1の硬化物においては、クラックは確認されず、ショアD硬度が70以上であり硬度が高いことが示された。
一方、比較例1では、T3体量比率(C/B)が1.01であり、質量比率(E/D)が0.97であった。比較例1の硬化物においては、ショアD硬度が70未満であり硬度が低いことが示された。
以上の結果より、本発明が有用であることが確かめられた。
1000,1100…発光装置、110…基板、120…半導体レーザー素子(光源)、130…導光部、140…波長変換シート、150…反射鏡、180…光ファイバー、La…レーザー光、Lb…白色光

Claims (1)

  1. 縮合型シリコーン樹脂硬化物と、波長変換材料と、を含む波長変換シートの製造方法であって、
    縮合型シリコーン樹脂と、波長変換材料と、溶媒と、を含む波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物を調製する調製工程と、
    前記波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物を、シート状に成形して成形体を得る成形工程と、
    前記成形体を、0.97<E/D≦1.00の条件で室温から120℃まで昇温させた雰囲気内に放置して硬化させる第一の加熱工程と、
    前記第一の加熱工程の後に、前記成形体を、1.01<C/B≦1.30の条件で120℃から150℃まで昇温させた雰囲気内に放置して硬化させる第二の加熱工程と、を含む、波長変換シートの製造方法。
    [ただし、
    前記Bは、前記第一の加熱工程後の前記成形体における全ケイ素原子の合計の含有量に対するT3ケイ素原子の含有量を表す。
    前記Cは、前記第二の加熱工程後の前記成形体における全ケイ素原子の合計の含有量に対するT3ケイ素原子の含有量を表す。
    前記Dは、前記第一の加熱工程前の前記成形体における質量を表す。
    前記Eは、前記第一の加熱工程後の前記成形体における質量を表す。
    前記T3ケイ素原子は、他のケイ素原子と結合した酸素原子3個と結合しているケイ素原子を表す。]
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