<波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物の製造方法>
≪第1実施形態≫
本発明の波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物の製造方法の第1実施形態は、縮合型シリコーン樹脂と波長変換材料とを混合する第1工程と、前記第1工程の後に、硬化促進剤を添加し、混合する第2工程と、を有することを特徴とする。
波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物を製造する際、前記特許文献1に記載の方法のように、マトリックス樹脂と硬化触媒を混合した後、蛍光色素等の波長変換材料を添加すると、マトリックス樹脂と硬化触媒との反応が進行した状態で波長変換材料を添加することとなる。このため波長変換材料を添加した際にダマが発生しやすくなり、塗布時のかすれ発生の一因となる。
本発明は、第1工程で縮合型シリコーン樹脂と波長変換材料とを混合させ、その後の第2工程で硬化促進剤を添加する。本発明の製造方法によれば、マトリックス樹脂と硬化触媒との反応が進行する前に波長変換材料を添加するため、ダマ、ゲル状粒子が発生しにくく波長変換材料が均一に分散した波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物を得ることができる。このため、塗布時にかすれ等が発生しにくく、塗布性を良好なものとすることができる。
ここで、ダマとは、目視で観察できる蛍光体の偏析した100μm以上の大きさの粒子を指す。また、ゲル状粒子とは、目視で観察できる、シリコーン組成物の偏析した100μm以上の大きさの粒子を指す。
以下、各工程について説明する。
[第1工程]
縮合型シリコーン樹脂と波長変換材料とを混合する方法としては、特に限定されず、蛍光体等の波長変換材料の結晶構造に損傷を与えず、波長変換材料を均一に分散することが可能な方法であれば特に制限はない。例えば、縮合型シリコーン樹脂と後述する波長変換材料とを有機溶媒に溶解又は分散することによって混合することができる。
例えば、ホモミキサー、高速ディスパー、ホモジナイザー、3本ロール、2本ロール、ニーダー、ボールミル、自公転型攪拌機等、従来の方法を用いることができる。本発明においては、分散にあたり発熱の少ないものや混合機由来の金属摩耗粒子の混入の少ないものが好ましい。
本工程においては、上記方法を1種のみ行ってもよく、2種以上を組み合わせて行ってもよい。
第1工程においては、縮合型シリコーン樹脂と波長変換材料とを、上記の方法で混合及び分散させることが好ましい。
[第2工程]
前記第1工程の後、硬化促進剤を添加し、混合する。硬化促進剤を混合する方法としては、特に限定されず、前記第1工程で記載した方法を用いることができる。
第2工程においては、硬化促進剤を上記の方法で混合及び分散させることが好ましい。
第1工程の終了後、波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物の粘度は、例えば、温度25℃で測定した粘度が1000mPa・s以上1000000mPa・s以下であることが好ましい。
波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物の粘度が上記の範囲であると、第2工程での硬化促進剤の均一な混合性を担保しながら波長変換材料の沈降を抑制し、スクリーン印刷性を良好なものとすることができる。またスクリーン印刷後の塗膜の蛍光体と縮合型シリコーン組成物の分散状態を制御しやすくなり、基板との密着性も高まる。
≪第2実施形態≫
本発明の波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物の製造方法の第2実施形態は、縮合型シリコーン樹脂と波長変換材料とを混合する第1工程と、30分間以上72時間以下静置する第1A工程と、硬化促進剤を添加し、混合する第2工程と、をこの順で有することを特徴とする。
本実施形態においては、第1工程の後であって、第2工程の前に、静置する第1A工程を経ることで、波長変換材料の表面状態が縮合型シリコーン樹脂と相互作用しやすい状態となり、第二工程を経た後の分散液の均質性を向上させることができる。これにより、第2工程で硬化促進剤を添加した後のダマの発生を低減することができる。
本実施形態において、第1工程及び第2工程に関する説明は前記第1実施形態における説明と同様である。
[第1A工程]
本工程は、第1工程で得られた縮合型シリコーン樹脂と波長変換材料との分散液を30分間以上72時間以下静置させる工程である。静置時間は、30分以上24時間以下が好ましく、1時間以上20時間以下がより好ましく、5時間以上20時間以下がより好ましい。72時間よりも静置時間が長い場合には、粒子表面同士の結合が生じる場合があり、ダマとなる場合がある。
静置する際の温度は5℃〜50℃であることが好ましく、15℃〜35℃であることがさらに好ましい。この温度範囲にあることによって、上記範囲の時間で蛍光体表面と樹脂との相互作用を適切に制御することができる。
前記本発明の第1実施形態及び第2実施形態において、シリカ粒子を添加する工程を含まないことが好ましい。蛍光体等の波長変換材料を含む樹脂組成物は、一般的に蛍光体の沈降を抑制するため、シリカ粒子等の沈降防止剤を含有している。しかしながら、シリカ粒子を含有すると、縮合型シリコーン樹脂の光透過性が低下し、結果として光出力が低下してしまう。
本発明においては、まず縮合型シリコーン樹脂と波長変換材料とを混合し、その後、硬化促進剤を添加することにより、波長変換材料が均一に分散し、シリカ粒子等の沈降防止剤を添加しなくても、分散性を保持することができる。
本発明においては、シリカ粒子をまったく含まないことが好ましいが、光透過性に影響を与えない範囲で微量に含有していてもよい。
具体的には、シリカ粒子を含有する縮合型シリコーン樹脂組成物の硬化物の光透過性の低下の度合いが、シリカ粒子を含有しない縮合型シリコーン樹脂組成物の硬化物の光透過性に対して、10%以下であることを意味し、5%以下であることが好ましい。本実施形態の波長変換材料含有シリコーン樹脂組成物において、シリカ粒子の含有量は、1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。
本発明によって製造される、波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物の一例は、25℃における粘度が1000mPa・s以上500000mPa・s以下の液状であってもよい。
以下、本発明に用いる各材料について説明する。
(縮合型シリコーン樹脂)
本実施形態に用いる縮合型シリコーン樹脂について説明する。
本明細書において縮合型シリコーン樹脂とは、ケイ素原子に結合した水酸基と、別のケイ素原子に結合したアルコキシ基または水酸基とを、脱アルコールまたは脱水を伴って重縮合する樹脂である。付加型シリコーン樹脂とはヒドロシリル基と炭素間二重結合に付加反応することにより重合する樹脂である。また付加反応と重縮合反応が同時に起こることで重合する樹脂もあるが、ここでは付加型の一種として扱う。
本実施形態に用いる縮合型シリコーン樹脂は、少なくとも下記式(A3)で表される構造単位を含むことが好ましい。また、式(A1)、式(A1’)または式(A2)で表される構造単位のうち、1種以上を有することが好ましい。本実施形態に用いる縮合型シリコーン樹脂は、式(A1)、式(A1’)および式(A2)で表される構造単位の全てを有していることが好ましい。
[式(A1)、式(A1’)、式(A2)または式(A3)中、R
1は、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を表す。R
2は、炭素数1〜4のアルコキシ基または水酸基を表す。複数あるR
1およびR
2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
本明細書では、3個の酸素原子と結合しているケイ素原子を含む構造単位を「T体」という。
また、当該3個の酸素原子の全てが他のケイ素原子と結合しているケイ素原子を含む構造単位を「T3体」という。
また、当該3個の酸素原子のうち2個の酸素原子が他のケイ素原子と結合しているケイ素原子を含む構造単位を「T2体」という。
また、当該3個の酸素原子のうち1個の酸素原子が他のケイ素原子と結合しているケイ素原子を含む構造単位を「T1体」という。
つまり、「T体」は、「T1体」、「T2体」および「T3体」を意味する。
本明細書では、2個の酸素原子と結合しているケイ素原子を含む構造単位を「D体」という。1個の酸素原子と結合しているケイ素原子を含む構造単位を「M体」という。
式(A3)で表される構造単位は、他のケイ素原子と結合した3個の酸素原子およびR1と結合しているケイ素原子を含んでいる。R1は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基であるため、式(A3)で表される構造単位はT3体である。
式(A2)で表される構造単位は、他のケイ素原子と結合した2個の酸素原子、R1およびR2と結合しているケイ素原子を含んでいる。R2は炭素数1〜4のアルコキシ基または水酸基であるため、式(A2)で表される構造単位はT2体である。
式(A1)で表される構造単位は、他のケイ素原子と結合した1個の酸素原子、R1および2個のR2と結合しているケイ素原子を含んでいる。R1は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基であり、R2は炭素数1〜4のアルコキシ基または水酸基であるため、式(A1)で表される構造単位はT1体である。
式(A1’)で表される構造単位は、R1および2個のR2と結合しているケイ素原子を含み、当該ケイ素原子は、他の構造単位中のケイ素原子と結合している酸素原子と結合している。R1は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基であり、R2は炭素数1〜4のアルコキシ基または水酸基であるため、式(A1’)で表される構造単位はT1体である。
式(A1)で表される構造単位および式(A1’)で表される構造単位は、縮合型シリコーン樹脂に含まれるオルガノポリシロキサン鎖の末端を構成している。また、式(A3)で表される構造単位は、縮合型シリコーン樹脂に含まれるオルガノポリシロキサン鎖の分岐鎖構造を構成している。すなわち、式(A3)で表される構造単位は、縮合型シリコーン樹脂における網目構造や環構造の一部を形成している。
本明細書では、T3体に含まれるケイ素原子のことを「T3ケイ素原子」と称する。また、T2体に含まれるケイ素原子のことを「T2ケイ素原子」と称する。また、T1体に含まれるケイ素原子のことを「T1ケイ素原子」と称する。
「T1体」、「T2体」「T3体」の合計の含有量は、縮合型シリコーン樹脂の全構造単位の合計の含有量に対して、50モル%以上であることが好ましい。換言すると、T1ケイ素原子、T2ケイ素原子、およびT3ケイ素原子の合計の含有量は、全ケイ素原子の合計の含有量に対して、50モル%以上であることが好ましい。さらに、T1ケイ素原子、T2ケイ素原子、およびT3ケイ素原子の合計の含有量は、全ケイ素原子の合計の含有量に対して、60モル%以上であることがより好ましく、70モル%以上であることがさらに好ましく、80モル%以上であることがよりさらに好ましく、90モル%以上であることが殊更に好ましい。
「D体」の含有量は、縮合型シリコーン樹脂の全構造単位の合計の含有量に対して、30モル%以下であることが好ましく、20モル%以下であることがより好ましい。また、「D体」の含有量は、縮合型シリコーン樹脂の全構造単位の合計の含有量に対して、10モル%以下であることがさらに好ましく、5モル%以下であることがよりさらに好ましく、4モル%以下であることが殊更に好ましい。
「T3体」の含有量は、「T1体」、「T2体」「T3体」の合計の含有量に対して、50モル%以上であることが好ましい。換言すると、T3ケイ素原子の含有量は、縮合型シリコーン樹脂の全構造単位の合計の含有量に対して、50モル%以上であることが好ましい。さらに、T3ケイ素原子の含有量は、T1ケイ素原子、T2ケイ素原子、およびT3ケイ素原子の合計の含有量に対して、60モル%以上であることがより好ましく、70モル%以上であることがさらに好ましい。
本明細書において、T3ケイ素原子の含有量は29Si−NMR測定において求められる全ケイ素原子のシグナルの合計の面積で、T3ケイ素原子として帰属されるシグナルの面積を除することで求めることができる。なお、T3ケイ素原子以外のケイ素原子の含有量についても同様に求めることができる。
R1が炭素数1〜10のアルキル基の場合、当該アルキル基としては、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状構造を有していてもよい。なかでも、R1で表されるアルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。
R1で表される炭素数1〜10のアルキル基は、当該アルキル基を構成する1または2以上の水素原子が、他の官能基で置換されていてもよい。アルキル基の置換基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基が挙げられ、フェニル基が好ましい。
R1で表される炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の無置換のアルキル基、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基またはn−ブチル基が好ましく、メチル基、エチル基またはイソプロピル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
R1で表される炭素数6〜10のアリール基は、当該アリール基を構成する1個以上の水素原子が、他の官能基で置換されていてもよい。アリール基の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。
R1で表される炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等の無置換のアリール基;メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基等のアルキルアリール基が挙げられる。これらの中でも、フェニル基が好ましい。
上記式(A1)で表される構造単位、上記式(A1’)で表される構造単位および上記式(A2)で表される構造単位において、R2は、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基または水酸基であることが好ましい。
R2で表される炭素数1〜4のアルコキシ基は、直鎖状のアルコキシ基であってもよく、分岐鎖状のアルコキシ基であってもよく、環状構造を有するアルコキシ基であってもよい。これらの中でも、直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基が好ましく、直鎖状のアルコキシ基がより好ましい。
R2で表される炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基またはtert−ブトキシ基が挙げられ、メトキシ基、エトキシ基またはイソプロポキシ基が好ましい。
本実施形態に用いる縮合型シリコーン樹脂は、上記式(A1)で表される構造単位、上記式(A1’)で表される構造単位、上記式(A2)で表される構造単位又は上記式(A3)で表される構造単位におけるR1がメチル基であり、R2が炭素数1〜3のアルコキシ基または水酸基であることが好ましい。
なお、本実施形態に用いる縮合型シリコーン樹脂は、発明の効果を損なわない範囲において、下記式(C1)、式(C1’)、式(C2)、式(C3)または式(C4)で表される構造単位を有していてもよい。
[式(C1)、式(C1’)、式(C2)、式(C3)または式(C4)中、R
7は、炭素数1〜4のアルコキシ基または水酸基を表す。複数あるR
7は、同一であっても異なっていてもよい。]
本明細書では、4個の酸素原子と結合しているケイ素原子を含む構造単位を「Q体」という。
また、当該4個の酸素原子のうち1個の酸素原子が他のケイ素原子と結合しているケイ素原子を含む構造単位を「Q1体」という。式(C1)で表される構造単位および式(C1’)で表される構造単位はQ1体である。
また、当該4個の酸素原子のうち2個の酸素原子が他のケイ素原子と結合しているケイ素原子を含む構造単位を「Q2体」という。式(C2)で表される構造単位はQ2体である。
また、当該4個の酸素原子のうち3個の酸素原子が他のケイ素原子と結合しているケイ素原子を含む構造単位を「Q3体」という。式(C3)で表される構造単位はQ3体である。
また、当該4個の酸素原子の全てが他のケイ素原子と結合しているケイ素原子を含む構造単位を「Q4体」という。式(C4)で表される構造単位は「Q4体」である。
つまり、Q体は、Q1体、Q2体、Q3体およびQ4体を意味する。
《シリコーン樹脂A》
本実施形態の縮合型シリコーン樹脂組成物に含まれる縮合型シリコーン樹脂は、主剤となるシリコーン樹脂(以下、「シリコーン樹脂A」と称する。)と、後述するオリゴマー成分とが混合されたものであることが好ましい。
シリコーン樹脂Aは、上記式(A3)で表される構造単位を含む。また、シリコーン樹脂Aは、上記式(A1)で表される構造単位、上記式(A1’)で表される構造単位および上記式(A2)で表される構造単位からなる群から選ばれる1種以上の構造単位をさらに含むことが好ましい。
シリコーン樹脂Aにおいて、T1体、T2体およびT3体の合計含有量は、通常、シリコーン樹脂Aの全構造単位の合計含有量に対して、70モル%以上である。
シリコーン樹脂Aにおいて、T3体の含有量は、通常、シリコーン樹脂Aの全構造単位の合計含有量に対して、60モル%以上90モル%以下である。
シリコーン樹脂Aのポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常、1500以上8000以下である。
シリコーン樹脂Aにおいて、T1体、T2体およびT3体の合計含有量は、シリコーン樹脂Aの全構造単位の合計含有量に対して、80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることがさらに好ましい。
シリコーン樹脂Aにおいて、T3体の含有量は、シリコーン樹脂Aの全構造単位の合計含有量に対して、65%以上90%以下であることが好ましく、70%以上85%以下であることがより好ましい。
シリコーン樹脂Aのポリスチレン換算の重量平均分子量は、1500以上7000以下であることが好ましく、2000以上5000以下であることがより好ましい。シリコーン樹脂Aのポリスチレン換算の重量平均分子量がこの範囲内であれば、後述する蛍光体との混合性が良好となる。
シリコーン樹脂Aとしては、市販のシリコーンレジンを用いることができる。
シリコーン樹脂Aは、シラノール基(Si−OH)を有することが好ましい。シリコーン樹脂Aにおいて、シラノール基を有するケイ素原子は、シリコーン樹脂Aに含まれる全ケイ素原子に対して、1〜30モル%であることが好ましく、5〜27モル%であることがより好ましく、10〜25モル%であることが更に好ましい。シリコーン樹脂Aにおいて、シラノール基を有するケイ素原子の含有量が上記の範囲内であれば、後述する波長変換材料と混合した際、シリコーン樹脂Aと波長変換材料の表面とに水素結合が形成されるため、波長変換材料との混合性が良好になる。また、本実施形態の波長変換材料含有縮合型シリコーン樹脂組成物の硬化反応が進行しやすいため、耐熱性の高い波長変換シートを得ることができる。
また、シリコーン樹脂Aにおいて、アルコキシ基を有するケイ素原子は、シリコーン樹脂Aに含まれる全ケイ素原子に対して、0モル%超20モル%以下であることが好ましく、0モル%超10モル%以下であることがより好ましく、1モル%以上10モル%以下であることが更に好ましい。シリコーン樹脂Aにおいて、アルコキシ基を有するケイ素原子の含有量が上記の範囲内であれば、縮合型シリコーン樹脂組成物の保存安定性が良好であり、かつ、流動性が適切な範囲内となり、当該縮合型シリコーン樹脂組成物のハンドリング性が向上する。
シリコーン樹脂Aは、シロキサン結合を生じ得る官能基を有する有機ケイ素化合物を出発原料として合成することができる。ここで、「シロキサン結合を生じ得る官能基」としては、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を挙げることができる。上記式(A3)で表される構造単位に対応する有機ケイ素化合物としては、例えば、オルガノトリハロシラン、オルガノトリアルコキシシラン等が挙げられる。シリコーン樹脂Aは、出発原料である有機ケイ素化合物を、各構造単位の存在比率に対応した比率で、塩酸等の酸または水酸化ナトリウム等の塩基の存在下で、加水分解縮合法で反応させることにより合成することができる。出発原料である有機ケイ素化合物を適宜選択することにより、シリコーン樹脂Aに含まれるT3ケイ素原子の存在比率を調整することができる。
本実施形態に用いる縮合型シリコーン樹脂組成物に含まれるシリコーン樹脂Aの含有量は、縮合型シリコーン樹脂組成物に含まれる全シリコーン樹脂の合計含有量に対して、60質量%〜100質量%であることが好ましく、70〜95質量%であることがより好ましい。
[改質用シリコーン]
縮合型シリコーン樹脂は、上述したシリコーン樹脂Aの他に、以下の改質用シリコーンを含んでいてもよい。改質用シリコーンを加えることにより、例えば、シリコーン樹脂組成物の硬化物に柔軟性と耐クラック性を付与することができる。
改質用シリコーンとしては、例えば下記のオリゴマー成分(オリゴマーB、オリゴマーC)が挙げられる。
《オリゴマーB(第1のオリゴマー)》
オリゴマー成分としては、下記式(B1)、式(B1’)、式(B2)または式(B3)で表される構造単位を含むオリゴマーが挙げられる。
[式(B1)、式(B1’)、式(B2)または式(B3)中、R
3は、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を表す。R
4は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜4のアルコキシ基または水酸基を表す。
複数あるR
3およびR
4は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
式(B1)、式(B1’)、式(B2)又は式(B3)で表される構造単位を含むオリゴマーのポリスチレン換算の重量平均分子量は、1000〜10000であることが好ましく、2000〜8000であることがより好ましく、3000〜6000であることが更に好ましい。オリゴマーのポリスチレン換算の重量平均分子量がこの範囲内であれば、シリコーン樹脂Aや後述するオリゴマーCとの混合性が良好となる。
以下の説明においては、式(B1)、式(B1’)、式(B2)又は式(B3)で表される構造単位を含み、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1000〜10000であるオリゴマー成分を、「オリゴマーB」と称する。
オリゴマーBは、(a)T2体を含むオリゴマーまたは(b)D体を含むオリゴマーが好ましく、(a)および(b)を満たすオリゴマー、すなわち(c)T2体およびD体を含むオリゴマーがより好ましい。本実施形態に用いる縮合型シリコーン樹脂組成物に(c)を満たすオリゴマーが含まれる場合、しわやクラックの無い蛍光体シートを作製しやすい。
(a)T2体を含むオリゴマー
(a)T2体を含むオリゴマーとしては、式(B2)で表される構造単位であって、R4が炭素数1〜4のアルコキシ基または水酸基である構造単位の含有量、すなわちT2体の含有量が30〜60モル%であるものが好ましく、40〜55モル%であるものがより好ましい。
オリゴマーBが(a)T2体を含むオリゴマーである場合、T2体の含有量が上述の範囲内であれば、本実施形態に用いる縮合型シリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂AおよびオリゴマーBの溶解性を確保しながら、熱硬化時に良好な硬化反応性を示す。
(b)D体を含むオリゴマー
(b)D体を含むオリゴマーとしては、式(B1)、式(B1’)、式(B2)または式(B3)で表される構造単位を含むシリコーン樹脂であって、平均組成式が下記式(I)で表されるシリコーン樹脂が好ましい。
(R5)nSi(OR6)mO(4−n―m)/2 …(I)
[式(I)中、R5は、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を表す。R6は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または水素原子を表す。nは1<n<2を満たす実数を表す。mは0<m<1を満たす実数を表す。]
平均組成式が上記式(I)で表されるオリゴマーBは、上述した「T体」および「D体」を含む。
式(I)において、R5はメチル基が好ましく、R6はメチル基または水素原子が好ましい。nは1<n≦1.5を満たす実数であり、且つ、mは0.5≦m<1を満たす実数であることが好ましく、nは1.1≦n≦1.4を満たす実数であり、且つ、mは0.55≦m≦0.75を満たす実数であることがより好ましい。式(I)におけるnおよびmがこれらの範囲内であれば、オリゴマーBとシリコーン樹脂Aとの相溶性が良好になる。
オリゴマーBに含まれる全構造単位のうち、式(B1)で表される構造単位および式(B1’)で表される構造単位であって、2つのR4のうち一方が炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基であり、他方が炭素数1〜4のアルコキシ基または水酸基である構造単位は、「D1体」である。
オリゴマーBに含まれる全構造単位のうち、式(B2)で表される構造単位であって、R4が炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基である構造単位は、「D2体」である。
オリゴマーBが(b)D体を含むオリゴマーである場合、オリゴマーBに含まれる全構造単位のうち、D1体およびD2体の合計含有量は、5〜80モル%であることが好ましく、10〜70モル%であることがより好ましく、15〜50モル%であることがさらに好ましい。
(c)T2体およびD体を含むオリゴマー
(c)T2体およびD体を含むオリゴマーは、(a)T2体を含むオリゴマーと、(b)D体を含むオリゴマーの双方の要件を満たすものである。
オリゴマーBに含まれる全構造単位のうち、式(B1)で表される構造単位および式(B1’)で表される構造単位であって、2つのR4が炭素数1〜4のアルコキシ基または水酸基である構造単位は、T1体である。
オリゴマーBに含まれる全構造単位のうち、式(B2)で表される構造単位であって、R4が炭素数1〜4のアルコキシ基または水酸基である構造単位は、T2体である。
オリゴマーBに含まれる全構造単位のうち、式(B3)で表される構造単位は、T3体である。
オリゴマーBが(c)T2体およびD体を含むオリゴマーである場合、オリゴマーBに含まれる全構造単位のうち、T1体、T2体およびT3体の合計含有量と、D体の含有量とのモル比(T体:D体)は、60:40〜90:10であることが好ましく、75:25〜85:15であることがより好ましい。T体:D体のモル比が上記の範囲内であれば、シリコーン樹脂AとオリゴマーBとの相溶性が良好になる。
オリゴマーBは、縮合型シリコーン樹脂を構成する上述した各構造単位に対応し、シロキサン結合を生じ得る官能基を有する有機ケイ素化合物を出発原料として合成することができる。ここで、「シロキサン結合を生じ得る官能基」としては、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基を挙げることができる。
上記式(B3)で表される構造単位に対応する有機ケイ素化合物としては、例えば、オルガノトリハロシラン、オルガノトリアルコキシシラン等が挙げられる。上記式(B2)で表される構造単位に対応する有機ケイ素化合物としては、例えば、オルガノジハロシラン、オルガノジアルコキシシラン等が挙げられる。
オリゴマーBは、出発原料である有機ケイ素化合物を、各構造単位の存在比率に対応した比率で、塩酸等の酸または水酸化ナトリウム等の塩基の存在下で、加水分解縮合法で反応させることにより合成することができる。出発原料である有機ケイ素化合物を適宜選択することにより、オリゴマーBに含まれるT体のケイ素原子とD体のケイ素原子の存在比率を調整することができる。
本実施形態に用いる縮合型シリコーン樹脂組成物に含まれるオリゴマーBの含有量は、縮合型シリコーン樹脂組成物に含まれる全シリコーン樹脂の合計含有量に対して、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.2〜15質量%であることがより好ましく、0.5〜10質量%であることがさらに好ましい。
また、本実施形態に用いる縮合型シリコーン樹脂組成物に含まれるオリゴマーBの含有量は、縮合型シリコーン樹脂組成物に含まれるシリコーン樹脂Aの含有量に対して、0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましく、5〜12質量%であることが特に好ましい。
GPC法により測定したオリゴマーBの分子量分布において、ピークは単一であっても、複数存在していてもよい。オリゴマーBの分子量分布において、ポリスチレン換算の重量平均分子量7500以上の領域に存在するピークの面積の総和が、全ピークの面積の総和に対して、20%以上の大きさであり、ポリスチレン換算の重量平均分子量1000以下の領域に存在するピークの面積の総和が、全ピークの面積の総和に対して、30%以上であってもよい。
《オリゴマーC(第2のオリゴマー)》
オリゴマー成分の他の例としては、例えば、上記式(A1)、式(A1’)、式(A2)または式(A3)で表される構造単位を含むシリコーン樹脂であって、上記式(A3)で表される構造単位の含有量が、上記式(A1)で表される構造単位、上記式(A1’)で表される構造単位、上記式(A2)で表される構造単位および上記式(A3)で表される構造単位の合計含有量に対して、0〜30モル%であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1500未満であるシリコーン樹脂が挙げられる。
以下の説明においては、このようなシリコーン樹脂を、「オリゴマーC」と称する。
オリゴマーCは、上記式(A1)で表される構造単位、上記式(A1’)で表される構造単位、上記式(A2)で表される構造単位および上記式(A3)で表される構造単位のうち、1種以上の構造単位を含むシリコーン樹脂であり、4種全ての構造単位を含むシリコーン樹脂であってもよい。
オリゴマーCは、T1ケイ素原子、T2ケイ素原子およびT3ケイ素原子の合計含有量に対する、T3ケイ素原子の含有量の割合が0〜30モル%であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1500未満であるシリコーン樹脂である。T1ケイ素原子、T2ケイ素原子およびT3ケイ素原子の合計含有量に対する、T3ケイ素原子の含有量の割合は、0〜25モル%であることが好ましい。
オリゴマーCは、アルケニル基およびヒドロシリル基を実質的に有しないことが好ましい。すなわち、オリゴマーCは、上記式(A1)で表される構造単位、上記式(A1’)で表される構造単位、上記式(A2)で表される構造単位および上記式(A3)で表される構造単位におけるR2として、アルケニル基および水素原子を有しないことが好ましい。オリゴマーCが、アルケニル基またはヒドロシリル基を有すると、縮合型シリコーン樹脂組成物の硬化物の耐熱性が低くなる。
オリゴマーCは、下記式(2)で表されるオルガノポリシロキサン構造を有するオリゴマーであることが好ましい。
[式(2)中、R
1およびR
2は、前記と同じ意味を表す。複数あるR
1およびR
2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。p
2、q
2、r
2、a
2およびb
2は、[a
2×q
2]/[(p
2+b
2×q
2)+a
2×q
2+(r
2+q
2)]=0〜0.3となる任意の0以上の数を表す。]
式(2)で表されるオルガノポリシロキサン構造において、R1がメチル基、エチル基およびフェニル基からなる群より選択される1種以上の基であり、R2がメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基および水酸基からなる群より選択される1種以上の基であることが好ましく、R1がメチル基およびエチル基からなる群より選択される1種以上の基であり、R2がメトキシ基、エトキシ基およびイソプロポキシ基からなる群より選択される1種以上の基であることがより好ましい。特に、縮合型シリコーン樹脂組成物の硬化物の耐熱性の観点から、R1はメチル基であることが好ましい。
式(2)で表されるオルガノポリシロキサン構造を有するオリゴマーCの各構造単位の存在比率は、T1ケイ素原子、T2ケイ素原子およびT3ケイ素原子の存在比率で表すことができる。すなわち、T1ケイ素原子:T2ケイ素原子:T3ケイ素原子=[r2+q2]:[p2+b2×q2]:[a2×q2]である。オリゴマーC中の各ケイ素原子の存在比率は、p2、q2、r2、a2およびb2の数値を適宜調整することによって調整することができる。例えば、a2とq2の少なくとも一方が0の場合、オリゴマーC中にはT3ケイ素原子が存在せず、直鎖状または環状の分子のみが含まれる。一方、r2とq2の両方が0の場合、オリゴマーC中にはT2ケイ素原子のみが存在し、環状の分子のみが含まれる。
式(2)で表されるオルガノポリシロキサン構造において、T2ケイ素原子の数をx2とし、T3ケイ素原子の数をy2とし、T1ケイ素原子の数をz2とした場合、式(2)で表されるオルガノポリシロキサン構造中のT3ケイ素原子の存在比率は、[y2/(x2+y2+z2)]で表される。
[a2×q2]/[(p2+b2×q2)+a2×q2+(r2+q2)]は、式(2)で表されるオルガノポリシロキサン構造中のT3ケイ素原子の存在比率:[y2/(x2+y2+z2)]に等しい。すなわち、式(2)中のp2、q2、r2、a2およびb2は、T3ケイ素原子の存在比率が0〜0.3の範囲内となるように適宜調整される。
本実施形態に用いる縮合型シリコーン樹脂組成物が含んでいてもよいオリゴマーCは、式(2)で表されるオルガノポリシロキサン構造を有するシリコーン樹脂であって、T1ケイ素原子、T2ケイ素原子およびT3ケイ素原子の合計含有量に対する、T3ケイ素原子の含有量の割合:[y2/(x2+y2+z2)]が0〜0.3であり、且つ、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1500未満であるオリゴマーが好ましい。T3ケイ素原子の存在比率がこの範囲内であれば、T2ケイ素原子の存在比:[x2/(x2+y2+z2)]およびT1ケイ素原子の存在比:[z2/(x2+y2+z2)]は特に限定されない。オリゴマーCとしては、[y2/(x2+y2+z2)]が0〜0.25の範囲内であるものが好ましく、0.05〜0.2の範囲内であるものがより好ましい。
オリゴマーCは、T3ケイ素原子の存在比率が比較的低いため、分岐鎖構造が少なく、直鎖状や環状の分子を多く含む。オリゴマーCとしては、環状の分子のみを含むものであってもよいが、直鎖状の分子を多く含むものが好ましい。オリゴマーCとしては、例えば、T1ケイ素原子の存在比率:[z2/(x2+y2+z2)]が0〜0.80の範囲内であるものが好ましく、0.30〜0.80の範囲内であるものがより好ましく、0.35〜0.75の範囲内であるものが更に好ましく、0.35〜0.55の範囲内であるものが特に好ましい。
本実施形態に用いる縮合型シリコーン樹脂組成物に含まれるオリゴマーCの含有量は、シリコーン樹脂組成物に含まれる全シリコーン樹脂の合計含有量に対して、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.2〜15質量%であることがより好ましく、0.5〜10質量%であることがさらに好ましい。
また、本実施形態に用いる縮合型シリコーン樹脂組成物に含まれるオリゴマーCの含有量は、縮合型シリコーン樹脂組成物に含まれるシリコーン樹脂Aの含有量に対して、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.3〜10質量%であることがより好ましく、0.5〜5質量%が特に好ましい。
GPC法により測定されるオリゴマーCのポリスチレン換算の重量平均分子量は1500未満である。オリゴマーCのポリスチレン換算の重量平均分子量が大きすぎる場合、縮合型シリコーン樹脂組成物の硬化物の耐クラック性が不充分となる場合がある。オリゴマーCのポリスチレン換算の重量平均分子量は、1000未満であってもよい。
オリゴマーCの1分子中のT1ケイ素原子、T2ケイ素原子およびT3ケイ素原子の数は、式(2)で表されるオルガノポリシロキサン構造を有する樹脂が、所望の分子量となるように適宜調整される。一実施形態においては、オリゴマーC1分子中のT1ケイ素原子の数とT2ケイ素原子の数とT3ケイ素原子の数との和は、2以上であることが好ましい。
オリゴマーCは、オリゴマーCを構成する上述した各構造単位に対応し、シロキサン結合を生じ得る官能基を有する有機ケイ素化合物を出発原料として合成することができる。ここで、「シロキサン結合を生じ得る官能基」は、上述したものと同じ意味を表す。上記式(A3)で表される構造単位に対応する有機ケイ素化合物としては、例えば、オルガノトリハロシラン、オルガノトリアルコキシシラン等が挙げられる。オリゴマーCは、このような出発原料である有機ケイ素化合物を各構造単位の存在比率に対応した比率で、加水分解縮合法で反応させることにより合成することができる。
オリゴマーCの合成時には、出発原料として、上記式(A1)で表される構造単位に対応する有機ケイ素化合物と、上記式(A1’)で表される構造単位に対応する有機ケイ素化合物とを混合することとなる。これらの有機ケイ素化合物は、有機ケイ素化合物が加水分解縮合反応して重合する際に、重合反応の末端に結合して重合反応を停止させる。
本実施形態に用いる縮合型シリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂Aと、オリゴマーBまたはオリゴマーCとを含むことが好ましく、シリコーン樹脂Aと、オリゴマーBと、オリゴマーCとを含むことがより好ましい。
[溶媒]
本実施形態に用いる縮合型シリコーン樹脂は、T3体の含有量が高いため、良好な塗布性を発現するためには溶媒を含有する縮合型シリコーン樹脂組成物とすることが好ましい。溶媒は、シリコーン樹脂を溶解させることができる限り特に限定されない。溶媒としては、例えば、沸点がそれぞれ異なる2種以上の溶媒(例えば、溶媒P及び溶媒Q)を使用することができる。
本明細書において、「縮合型シリコーン樹脂組成物」とは、縮合型シリコーン樹脂組成物と溶媒とを含む組成物を意味する。
本明細書において、「波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物」とは、縮合型シリコーン樹脂又は縮合型シリコーン樹脂組成物と、波長変換材料とを含む組成物を意味する。
溶媒Pとしては、沸点が100℃未満の有機溶媒が好ましい。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール等のアルコール系溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン等の炭化水素系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等の酢酸エステル系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒が好ましい。
なかでも、溶媒Pとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール等のアルコール系溶媒がより好ましい。
溶媒Qとしては、沸点が100℃以上の有機溶媒が好ましい。具体的には、グリコールエーテル溶媒、またはグリコールエステル溶媒などが好ましい。
グリコールエーテル溶媒の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノベンジルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。
グリコールエステル溶媒の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノヘキシルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルヘキシルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールモノベンジルエーテルアセテートなどが挙げられる。
なかでも、溶媒Qとしては、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートがより好ましい。
《混合比》
本実施形態に用いるシリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂を必須成分とし、オリゴマー、溶媒や、後述する硬化触媒、フィラー、その他の成分を含有し得る。
シリコーン樹脂とオリゴマー成分の比率(質量比)としては、シリコーン樹脂100質量部に対し、オリゴマー成分が0.1〜80質量部であることが好ましく、1〜50質量部であることがより好ましく、1〜30質量部であることがさらに好ましく、1〜20質量部であることがよりさらに好ましく、5〜15である質量部であることがことさらに好ましい。
また、上述したシリコーン樹脂A、オリゴマーB、Cを用いる場合には、シリコーン樹脂の混合比は、シリコーン樹脂A:オリゴマーB:オリゴマーC=100:0.2〜15:0.2〜15(質量比)が好ましく、シリコーン樹脂A:オリゴマーB:オリゴマーC=100:1〜10:1〜10(質量比)がより好ましい。
シリコーン樹脂A、オリゴマーB及びオリゴマーCの混合方法は特に限定されるものではなく、2種類以上の高分子を混合する際に通常行われる公知の方法のいずれを用いてもよい。例えば、シリコーン樹脂A並びに必要に応じて、オリゴマーB、オリゴマーC及びその他の成分を有機溶媒に溶解することで混合することができる。
好ましくは、より均一に混合させることができ、かつその後の樹脂溶液の安定性を向上させられることから、シリコーン樹脂を一旦揮発性及び溶解性が高い有機溶媒中で溶解した後、別の溶媒に置換することが好ましい。具体的には、まず、揮発性の高い有機溶媒(以下、「溶媒P」という場合がある。)中にシリコーン樹脂Aを投入し、溶媒Pの沸点付近の温度まで加熱し攪拌させることによってシリコーン樹脂Aを溶解させる。
続いて、必要に応じて、オリゴマーB、オリゴマーC、その他の成分を投入して同様にして混合溶解させる。その後、各成分を溶解した溶液に、溶媒Pよりも揮発性が低い溶媒(以下、溶媒Q)を投入し、溶媒Pの濃度が1%以下になるまで加熱蒸留することによって、溶媒Pから溶媒Qへの溶媒置換を行うことができる。その際、より効率的に溶媒置換を行う手段として、容器内を減圧にした状態で加熱することも可能である。
このような処理を行うことにより、シリコーン樹脂A、オリゴマーB、オリゴマーC、その他の成分を合成した際に使用した残存溶媒や未反応のまま残った水等を同伴して除去することができる。このため、このような処理はシリコーン樹脂組成物の安定性の向上に有効である。
[波長変換材料]
波長変換材料は、特に制限されないが、例えば、蛍光体、量子ドット等が挙げられる。
蛍光体としては、波長570nmから700nmの範囲で蛍光を発する赤色蛍光体、530nmから620nmの範囲で蛍光を発する黄色蛍光体、490nmから570nmの範囲で蛍光を発する緑色蛍光体、420nmから480nmの範囲で蛍光を発する青色蛍光体等が挙げられる。これらの蛍光体は、1種類のみを単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
《赤色蛍光体》
赤色蛍光体としては、例えば、赤色破断面を有する破断粒子から構成され、赤色領域の発光を行なう(Mg,Ca,Sr,Ba)2Si5N8:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類シリコンナイトライド系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ球形状を有する成長粒子から構成され、赤色領域の発光を行なう(Y,La,Gd,Lu)2O2S:Euで表わされるユウロピウム付活希土類オキシカルコゲナイド系蛍光体等が挙げられる。
さらに、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、W、およびMoよりなる群から選ばれる少なくも1種の元素を含有する酸窒化物または酸硫化物もしくはその両方を含有する蛍光体であって、Al元素の一部または全てがGa元素で置換されたアルファサイアロン構造をもつ酸窒化物を含有する蛍光体も、本実施形態において用いることができる。なお、これらは酸窒化物または酸硫化物もしくはその両方を含有する蛍光体である。
また、そのほか、赤色蛍光体としては、(La,Y)2O2S:Eu等のEu付活酸硫化物蛍光体、Y(V,P)O4:Eu、Y2O3:Eu等のEu付活酸化物蛍光体、(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:Eu,Mn、(Ba,Mg)2SiO4:Eu,Mn等のEu,Mn付活珪酸塩蛍光体、(Ca,Sr)S:Eu等のEu付活硫化物蛍光体、YAlO3:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、LiY9(SiO4)6O2:Eu、Ca2Y8(SiO4)6O2:Eu、(Sr,Ba,Ca)3SiO5:Eu、Sr2BaSiO5:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、(Y,Gd)3Al5O12:Ce、(Tb,Gd)3Al5O12:Ce等のCe付活アルミン酸塩蛍光体、(Ca,Sr,Ba)2Si5N8:Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)SiN2:Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)AlSiN3:Eu等のEu付活窒化物蛍光体、(Mg,Ca,Sr,Ba)AlSiN3:Ce等のCe付活窒化物蛍光体、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロリン酸塩蛍光体、(Ba3Mg)Si2O8:Eu,Mn、(Ba,Sr,Ca,Mg)3(Zn,Mg)Si2O8:Eu,Mn等のEu,Mn付活珪酸塩蛍光体、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn等のMn付活ゲルマン酸塩蛍光体、Eu付活αサイアロン等のEu付活酸窒化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)2O3:Eu,Bi等のEu,Bi付活酸化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)2O2S:Eu,Bi等のEu,Bi付活酸硫化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)VO4:Eu,Bi等のEu,Bi付活バナジン酸塩蛍光体、SrY2S4:Eu,Ce等のEu,Ce付活硫化物蛍光体、CaLa2S4:Ce等のCe付活硫化物蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgP2O7:Eu,Mn、(Sr,Ca,Ba,Mg,Zn)2P2O7:Eu,Mn等のEu,Mn付活リン酸塩蛍光体、(Y,Lu)2WO6:Eu,Mo等のEu,Mo付活タングステン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)xSiyNz:Eu,Ce(ただし、x、y、zは、1以上の整数)等のEu,Ce付活窒化物蛍光体、(Ca,Sr,Ba,Mg)10(PO4)6(F,Cl,Br,OH):Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロリン酸塩蛍光体、((Y,Lu,Gd,Tb)1−xScxCey)2(Ca,Mg)1−r(Mg,Zn)2+rSiz−qGeqO12+δ等のCe付活珪酸塩蛍光体等を用いることも可能である。
赤色蛍光体としては、β−ジケトネート、β−ジケトン、芳香族カルボン酸、または、ブレンステッド酸等のアニオンを配位子とする希土類元素イオン錯体からなる赤色有機蛍光体、ペリレン系顔料(例えば、ジベンゾ{[f,f’]−4,4’,7,7’−テトラフェニル}ジインデノ[1,2,3−cd:1’,2’,3’−lm]ペリレン)、アントラキノン系顔料、レーキ系顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、フタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、インダンスロン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料を用いることも可能である。
また、赤色蛍光体のうち、ピーク波長が580nm以上、好ましくは590nm以上、また、620nm以下、好ましくは610nm以下の範囲内にあるものは、橙色蛍光体として好適に用いることができる。このような橙色蛍光体の例としては、(Sr,Ba)3SiO5:Eu、(Sr,Mg)3PO4)2:Sn2+、SrCaAlSiN3:Eu等が挙げられる。
《黄色蛍光体》
黄色蛍光体としては、例えば、各種の酸化物系、窒化物系、酸窒化物系、硫化物系、酸硫化物系等の蛍光体が挙げられる。特に、RE3M5O12:Ce(ここで、REは、Y,Tb,Gd,Lu,Smの少なくとも1種類の元素を表し、Mは、Al,Ga,Scの少なくとも1種類の元素を表す。)やM2 3M3 2M4 3O12:Ce(ここで、M2は2価の金属元素、M3は3価の金属元素、M4は4価の金属元素)等で表されるガーネット構造を有するガーネット系蛍光体、AE2M5O4:Eu(ここで、AEは、Ba,Sr,Ca,Mg,Znの少なくとも1種類の元素を表し、M5は、Si,Geの少なくとも1種類の元素を表す。)等で表されるオルソシリケート系蛍光体、これらの系の蛍光体の構成元素の酸素の一部を窒素で置換した酸窒化物系蛍光体、AEAlSiN3:Ce(ここで、AEは、Ba,Sr,Ca,Mg,Znの少なくとも1種類の元素を表す。)等のCaAlSiN3構造を有する窒化物系蛍光体等のCeで付活した蛍光体等が挙げられる。
また、そのほか、黄色蛍光体としては、CaGa2S4:Eu(Ca,Sr)Ga2S4:Eu、(Ca,Sr)(Ga,Al)2S4:Eu等の硫化物系蛍光体、Cax(Si,Al)12(O,N)16:Eu等のSiAlON構造を有する酸窒化物系蛍光体等のEuで付活した蛍光体を用いることも可能である。
《緑色蛍光体》
緑色蛍光体としては、例えば、破断面を有する破断粒子から構成され、緑色領域の発光を行なう(Mg,Ca,Sr,Ba)Si2O2N2:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類シリコンオキシナイトライド系蛍光体、破断面を有する破断粒子から構成され、緑色領域の発光を行なう(Ba,Ca,Sr,Mg)2SiO4:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類シリケート系蛍光体等が挙げられる。
また、そのほか、緑色蛍光体としては、Sr4Al14O25:Eu、(Ba,Sr,Ca)Al2O4:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(Sr,Ba)Al2Si2O8:Eu、(Ba,Mg)2SiO4:Eu、(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:Eu、(Ba,Sr,Ca)2(Mg,Zn)Si2O7:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、Y2SiO5:Ce,Tb等のCe,Tb付活珪酸塩蛍光体、Sr2P2O7−Sr2B2O5:Eu等のEu付活硼酸リン酸塩蛍光体、Sr2Si3O8−2SrCl2:Eu等のEu付活ハロ珪酸塩蛍光体、Zn2SiO4:Mn等のMn付活珪酸塩蛍光体、CeMgAl11O19:Tb、Y3Al5O12:Tb等のTb付活アルミン酸塩蛍光体、Ca2Y8(SiO4)6O2:Tb、La3Ga5SiO14:Tb等のTb付活珪酸塩蛍光体、(Sr,Ba,Ca)Ga2S4:Eu,Tb,Sm等のEu,Tb,Sm付活チオガレート蛍光体、Y3(Al,Ga)5O12:Ce、(Y,Ga,Tb,La,Sm,Pr,Lu)3(Al,Ga)5O12:Ce等のCe付活アルミン酸塩蛍光体、Ca3Sc2Si3O12:Ce、Ca3(Sc,Mg,Na,Li)2Si3O12:Ce等のCe付活珪酸塩蛍光体、CaSc2O4:Ce等のCe付活酸化物蛍光体、SrSi2O2N2:Eu、(Sr,Ba,Ca)Si2O2N2:Eu、Eu付活βサイアロン、Eu付活αサイアロン等のEu付活酸窒化物蛍光体、BaMgAl10O17:Eu,Mn等のEu,Mn付活アルミン酸塩蛍光体、SrAl2O4:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(La,Gd,Y)2O2S:Tb等のTb付活酸硫化物蛍光体、LaPO4:Ce,Tb等のCe,Tb付活リン酸塩蛍光体、ZnS:Cu,Al、ZnS:Cu,Au,Al等の硫化物蛍光体、(Y,Ga,Lu,Sc,La)BO3:Ce,Tb、Na2Gd2B2O7:Ce,Tb、(Ba,Sr)2(Ca,Mg,Zn)B2O6:K,Ce,Tb等のCe,Tb付活硼酸塩蛍光体、Ca8Mg(SiO4)4Cl2:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロ珪酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga,In)2S4:Eu等のEu付活チオアルミネート蛍光体やチオガレート蛍光体、(Ca,Sr)8(Mg,Zn)(SiO4)4Cl2:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロ珪酸塩蛍光体等を用いることも可能である。
また、緑色蛍光体としては、ピリジン−フタルイミド縮合誘導体、ベンゾオキサジノン系、キナゾリノン系、クマリン系、キノフタロン系、ナルタル酸イミド系等の蛍光色素、ヘキシルサリチレートを配位子として有するテルビウム錯体等の有機蛍光体を用いることも可能である。
《青色蛍光体》
青色蛍光体としては、規則的な結晶成長形状としてほぼ六角形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なうBaMgAl10O17:Euで表わされるユウロピウム付活バリウムマグネシウムアルミネート系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ球形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なう(Ca,Sr,Ba)5(PO4)3Cl:Euで表わされるユウロピウム付活ハロリン酸カルシウム系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ立方体形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なう(Ca,Sr,Ba)2B5O9Cl:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類クロロボレート系蛍光体、破断面を有する破断粒子から構成され、青緑色領域の発光を行なう(Sr,Ca,Ba)Al2O4:Euまたは(Sr,Ca,Ba)4Al14O25:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類アルミネート系蛍光体等が挙げられる。
また、そのほか、青色蛍光体としては、Sr2P2O7:Sn等のSn付活リン酸塩蛍光体、Sr4Al14O25:Eu、BaMgAl10O17:Eu、BaAl8O13:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、SrGa2S4:Ce、CaGa2S4:Ce等のCe付活チオガレート蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgAl10O17:Eu、BaMgAl10O17:Eu,Tb,Sm等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgAl10O17:Eu,Mn等のEu,Mn付活アルミン酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu、(Ba,Sr,Ca)5(PO4)3(Cl,F,Br,OH):Eu,Mn,Sb等のEu付活ハロリン酸塩蛍光体、BaAl2Si2O8:Eu、(Sr,Ba)3MgSi2O8:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、Sr2P2O7:Eu等のEu付活リン酸塩蛍光体、ZnS:Ag、ZnS:Ag,Al等の硫化物蛍光体、Y2SiO5:Ce等のCe付活珪酸塩蛍光体、CaWO4等のタングステン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)BPO5:Eu,Mn、(Sr,Ca)10(PO4)6・nB2O3:Eu、2SrO・0.84P2O5・0.16B2O3:Eu等のEu,Mn付活硼酸リン酸塩蛍光体、Sr2Si3O8・2SrCl2:Eu等のEu付活ハロ珪酸塩蛍光体等を用いることも可能である。
また、青色蛍光体としては、例えば、ナフタル酸イミド系、ベンゾオキサゾール系、スチリル系、クマリン系、ピラリゾン系、トリアゾール系化合物の蛍光色素、ツリウム錯体等の有機蛍光体等を用いることも可能である。
《量子ドット》
上述したように、波長変換材料として、量子ドットを使用することも可能である。使用できる量子ドットの種類としては、InAs系、CdE(E=S,Se,Te)系(CdSxSe1−x/ZnS等)等が挙げられる。
縮合型シリコーン樹脂組成物と波長変換材料との合計量に対する縮合型シリコーン樹脂組成物の含有量は、10質量%以上95質量%以下であることが好ましく、30質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、40質量%以上85質量%以下であることが更に好ましく、50質量%以上80質量%以下である事が特に好ましい。波長変換材料が上記の範囲内であるとスクリーン印刷時のハンドリング性が良好となる傾向にある。
[硬化促進剤]
本実施形態で用いられる硬化促進剤(以下、「硬化用触媒」と記載することがある。)としては、シリコーン樹脂とオリゴマーとの架橋反応を促進し得るものであれば特に制限はない。シリコーン樹脂およびオリゴマーにおける官能基(上記R2)が、アルコキシ基や水酸基である場合は、加水分解縮合反応を促進するため、硬化用触媒として、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、蟻酸、酢酸、蓚酸、クエン酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、コハク酸等の有機酸を用いることができる。
本実施形態においてはリン酸系触媒が好ましい。具体的には、リン酸、亜リン酸、リン酸エステル、亜リン酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、透明性が高く、末端ケイ素含有率が0.1質量%未満である硬化物が得られ易い観点から、リン酸が好ましい。
また、硬化用触媒として酸性化合物だけではなく、アルカリ性の化合物を用いることも可能である。具体的には、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム等を用いることができる。
また、硬化用触媒として有機金属化合物触媒を用いることもできる。有機金属化合物触媒としては、アルミニウム、ジルコニウム、スズ、チタン、亜鉛を含むもの等が挙げられる。
具体的には、アルミニウムを含有する有機金属化合物触媒の例としては、アルミニウムトリアセチルアセテート、アルミニウムトリイソプロポキシド等が挙げられる。
ジルコニウムを含有する有機金属化合物触媒の例としては、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシジアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド、ジルコニウムアシレート、ジルコニウムトリブトキシステアレート等が挙げられる。
スズを含有する有機金属化合物触媒の例としては、テトラブチルスズ、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキサイド、テトラオクチルスズ、ジオクチルスズジクロライド、ジオクチルスズオキサイド、テトラメチルスズ、ジブチルスズラウレート、ジオクチルスズラウレート、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ、ビス(ネオデカノエート)スズ、ジ−n−ブチルビス(エチルへキシルマレート)スズ、ジ−ノルマルブチルビス(2,4−ペンタンジオネート)スズ、ジ−ノルマルブチルブトキシクロロスズ、ジ−ノルマルブチルジアセトキシスズ、ジ−ノルマルブチルジラウリル酸スズ、ジメチルジネオデカノエートスズ等が挙げられる。
チタンを含有する有機金属化合物触媒の例としては、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラノルマルブトキシド、プチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート、チタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテート等が挙げられる。
亜鉛を含有する有機金属化合物触媒の例としては、亜鉛トリアセチルアセトネート等が挙げられる。
なかでも、硬化触媒としては紫外域までの透明性の観点から、リン酸エステル及びリン酸が好ましく、リン酸が特に好ましい。
硬化用触媒は、所定の濃度で添加するために、水、有機溶媒、または本組成物に馴染みやすいシリコーン系モノマーやアルコキシシランオリゴマーなどにより希釈した状態で本組成物に添加することができる。
硬化用触媒の含有量は、硬化反応時の加熱温度、反応時間、触媒の種類等を考慮して、適宜調整することができる。本組成物100質量部に対する、硬化用触媒の含有量は0.01質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.01質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
[シランカップリング剤]
本実施形態では、任意の成分としてシランカップリング剤を含有させてもよい。
本実施形態で用いられるシランカップリング剤としては、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基及びイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも一つ以上を有するシランカップリング剤が好ましい。なかでも、シランカップリング剤としては、エポキシ基又はメルカプト基を含むカップリング剤が好ましい。
具体的には、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが好ましい。
組成物中にシランカップリング剤が含まれる場合、シランカップリング剤に含まれるケイ素原子も29Si−NMRのシグナルとして検出されるが、本実施形態においては、本組成物のシグナル面積の計算時にシランカップリング剤のシグナルも含めるものとする。
組成物におけるシランカップリング剤の含有量は、シリコーン樹脂およびオリゴマーの合計の含有量100質量部に対して、0.0001質量部以上1.0質量部以下であることが好ましく、0.001質量部以上0.1質量部以下であることがより好ましい。シランカップリング剤の含有量が上記範囲よりも高いと、シランカップリング剤自身が光を吸収することによって、得られる波長変換シートの透明性を低下させる場合がある。
縮合型シリコーン樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて無機粒子、シランカップリング剤などの添加剤を含むことができる。
[無機粒子]
無機粒子は、硬化物中でより光を散乱させて波長変換材料を効果的に励起させると共に、製造段階において、波長変換材料がシリコーン樹脂を含む組成物中で沈降することを抑制することができる。
本発明において、無機粒子は、縮合型シリコーン樹脂の光透過性を損なわない範囲で添加してもよく、添加しなくともよい。
無機粒子の具体例としては、チタン、ジルコニア、アルミニウム、鉄、亜鉛などの酸化物、カーボンブラック、チタン酸バリウム、炭酸カルシウムなどが好ましい。
[その他の添加剤]
本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて上述の材料以外の添加剤などを含有させてもよい。添加剤の具体例としては、分散剤、レベリング剤、消泡剤などが挙げられる。
<波長変換シートの製造方法>
本発明は、前記本発明の第1の態様の波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物の製造方法により製造された波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物を、基材上に塗布し硬化させる工程を有する、波長変換シートの製造方法を提供する。
以下、本実施形態に係る波長変換シートの製造方法の一例について説明するが、本実施形態は以下の態様に限定されない。
まず、前記本発明の第1の態様の波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物の製造方法により製造された波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物を支持基材上に塗布する。波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物の塗布は、公知の塗布装置を用いて行うことができる。公知の塗布装置としては、例えばリバースロールコーター、ブレードコーター、スリットダイコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、リバースロールコーター、ブレードコーター、キスコーター、ナチュラルロールコーター、エアーナイフコーター、ロールブレードコーター、バリバーロールブレードコーター、トゥーストリームコーター、ロッドコーター、ワイヤーバーコーター、アプリケーター、ディップコーター、カーテンコーター、スピンコーター、ナイフコーター等が挙げられる。なかでも、得られる波長変換シートの膜厚が均一になりやすいことから、スリットダイコーター、アプリケーターで波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物を塗布することが好ましい。
また、別の塗布法としては、スクリーン印刷、グラビア印刷、平版印刷等の印刷法等が挙げられる。なかでも、簡便性の観点から、スクリーン印刷で波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物を塗布することが好ましい。
前記波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物をスクリーン印刷法により基材の表面に塗布する方法について以下に説明する。まず、基材の表面を所要パターンの開口部を有するマスクで覆い、スキージ部に波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物を投入する。次いで、スキージを移動させて波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物を加圧しながらマスク上を移動させることにより、当該マスクの開口部に波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物を充填する(充填工程)。充填工程後、マスクを取り外す。このようにして、基材の表面に波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物のパターンを形成させることができる。
次に、支持基材上に形成された塗布膜を加熱硬化させて波長変換シートを得る。塗布膜の加熱は、自然対流式オーブン、送風式オーブン、真空オーブン、イナートオーブン、ホットプレート、熱プレス機、赤外線ヒーター等の機器を用いて行われる。なかでも、生産性が高いという観点から、送風式オーブンを用いることが好ましい。
塗布膜の加熱条件としては、例えば40℃〜250℃で、5分間〜100時間加熱する方法が挙げられる。加熱時間は、1〜30時間であることが好ましく、2〜10時間であることがより好ましく、3〜8時間であることが更に好ましい。この範囲にあることで、十分に溶媒を除去し、加熱時の着色を防ぐことができる。
例えば、支持基材上に塗布液を塗布後、250℃以下の温度の雰囲気内に放置することによって硬化させてもよく、例えば40℃〜200℃の温度の雰囲気内に放置することによって硬化させてもよい。また、硬化の際には、塗布液中に存在する溶媒や水を低減し、シリコーンレジンとシリコーンオリゴマーとの縮合反応速度を制御するために、例えば、40℃〜60℃で5分間〜30分間、次いで60℃〜100℃で10分間〜60分間、その後140℃〜200℃で30分間〜5時間というように、段階的に硬化させてもよい。
本発明の第1の態様により得られた波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物を用いて形成した波長変換シートは、スクリーン印刷性が良好であり、かすれが無い波長変換シートを得ることができる。
<波長変換シート>
上記<波長変換シートの製造方法>により得られた波長変換シートは、縮合型シリコーン樹脂の重合体と、縮合型シリコーン樹脂の重合体に分散し波長変換材料を形成材料とするフィラーと、を有する硬化物を形成材料としている。このような波長変換シートは、このような硬化物を形成材料とし、薄板状に成形されたものである。
本実施形態の波長変換シートは、LED、太陽電池、半導体レーザー、フォトダイオード、CCD、CMOS等における波長変換の用途に用いることができる。特に、本態様の波長変換シートは耐熱性に優れているため、高温下での使用が予想される半導体レーザーの発光部に好適に用いることができる。
波長変換シートの厚み(膜厚)は、波長変換シートを安定的に製造できることから10μm以上であることが好ましい。また、波長変換シートの光学特性や耐熱性を高める観点から1mm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることがさらに好ましい。波長変換シートの厚みが1mm以下であることで、シリコーン樹脂による光吸収や光散乱を低減することができる。
(膜厚)
波長変換シートの膜厚は、例えば、マイクロメーターを用いて波長変換シートの複数箇所における膜厚を測定し、その平均値を算出することにより求めることができる。複数箇所とは、例えば、波長変換シートの形状が四角形の場合、波長変換シートの中心部1箇所と、波長変換シートの隅部4箇所の合計5箇所等が挙げられる。
波長変換シートは、支持基材上に形成されていてもよく、支持基材が無くてもよい。支持基材としては特に制限が無く、公知の金属、フィルム、ガラス、セラミック、紙等を形成材料とする基材を使用することができる。
具体的には、支持基材の形成材料として、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、サファイア等の透明な無機酸化物ガラス;アルミニウム(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、銅、鉄等の金属板や箔;セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、アラミド等のプラスチックのフィルム;上記プラスチックがラミネートされた紙;又は上記プラスチックによりコーティングされた紙;上記金属がラミネートまたは蒸着された紙;上記金属がラミネート又は蒸着されたプラスチックフイルム等が挙げられる。中でも、無機酸化物ガラス又は金属板が好ましい。
支持基材の厚みは特に制限はないが、30μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましい。支持基材の厚みが30μm以上であると、波長変換シートの形状を保護するのに十分な強度を有する。また、支持基材の厚みは経済性の観点から、5000μm以下が好ましく、3000μm以下がより好ましい。
<発光装置>
図1は、本態様の波長変換シートを備えた発光装置の構造を示す断面図である。
図1に示すように、発光装置1000は、基板110、半導体レーザー素子(光源)120、導光部130、波長変換シート140、反射鏡150を備えている。波長変換シート140は、上述した構成のものを用いることができる。
半導体レーザー素子120は、基板110上に設定されている。
導光部130は、内部に半導体レーザー素子120から射出されたレーザー光Laが入射され、内部でレーザー光Laを導光する。導光部130の一端には半導体レーザー素子120が光学的に接続され、他端には波長変換シート140が光学的に接続されている。
導光部130は、一端側から他端側に向けて幅が漸減する錘状を呈しており、半導体レーザー素子120から射出されたレーザー光Laが波長変換シート140に集束する構成となっている。
反射鏡150は、波長変換シート140の周囲に配置された椀状の部材であり、波長変換シート140に面する曲面が光反射面となっている。反射鏡150は、波長変換シート140から射出される光を装置前方(レーザー光Laの照射方向)に偏向する。
波長変換シート140に照射されたレーザー光Laは、波長変換シート140が含有する波長変換材料により白色光Lbに変換され、発光装置1000から出力される。
図1に示した発光装置1000は、半導体レーザー素子120を1つのみ有することとしたが、これに限らない。図2は、発光装置の変形例を示す断面図である。図2及び以下の説明において、図1で説明した構成と同じ構成については、図1と共通する符号を付している。
図2に示す発光装置1100は、複数の基板110、複数の半導体レーザー素子(光源)120、複数の光ファイバー180、導光部130、波長変換シート140、反射鏡150、透明支持体190を備えている。
光ファイバー180は、内部に半導体レーザー素子120から射出されたレーザー光Laが入射され、内部でレーザー光Laを導光する。複数の光ファイバー180の一端にはそれぞれ半導体レーザー素子120が光学的に接続されている。また、複数の光ファイバー180は他端側で束ねられており、一束にまとめられた状態で他端において導光部130に光学的に接続されている。
導光部130は、内部に半導体レーザー素子120から射出されたレーザー光Laが入射され、内部でレーザー光Laを導光した後、装置前方に向けて射出する。導光部130は、装置前方に射出するレーザー光Laを集光する機能を有していてもよい。
波長変換シート140は、透明支持体190に支持された状態で、導光部130と離間し導光部130に対向して配置されている。透明支持体190は、反射鏡150の開口部分を覆うようにして装置前方に設けられている。透明支持体190は、装置使用中に発生する熱により劣化しない透明材料を形成材料とする部材であり、例えばガラス板を用いることができる。
波長変換シート140に照射されたレーザー光Laは、波長変換シート140が含有する波長変換材料により白色光Lbに変換され、発光装置1100から出力される。
発光装置1000、1100においては、上述したように光源(半導体レーザー素子120)及び発光部(波長変換シート140)が分離されている。これにより、発光装置の小型化や、デザイン性を向上させることが容易になる。
以上のような構成の発光装置は、高硬度と高いクラック耐性と耐熱性とを兼ね備えた本実施形態の波長変換シートを備えるため、信頼性が高いものとなる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<縮合型シリコーン樹脂成分の調製>
≪製造例1≫
シリコーン樹脂として、樹脂1(重量平均分子量3500)を用いた。樹脂1の各構造単位の存在比率を下記表1に示す。各構造単位の存在比率は、下記測定条件による溶液29Si−NMRの測定結果に基づいて算出した。
[溶液NMR測定]
なお、下記実施例で用いたオルガノポリシロキサンを主鎖とする樹脂AやオリゴマーBの種類と存在比を測定するための手段としては、1H−NMR法、29Si−NMR法を用いた。
<1H−NMR測定条件>
装置名 :JEOL RESONANCE社製 ECA−500
観測核 :1H
観測周波数 :500.16MHz
測定温度 :室温
測定溶媒 :DMSO−d6
パルス幅 :6.60μsec(45°)
パルス繰り返し時間:7.0sec
積算回数 :16回
試料濃度(試料/測定溶媒):300mg/0.6ml
<29Si−NMR測定条件>
装置名 :Agilent社製 400−MR
観測核 :29Si
観測周波数 :79.42MHz
測定温度 :室温
測定溶媒 :CDCl3
パルス幅 :8.40μsec(45°)
パルス繰り返し時間:15.0sec
積算回数 :4000回
試料濃度(試料/測定溶媒):300mg/0.6ml
また、改質用シリコーンとして、樹脂2(重量平均分子量<1000)及び樹脂3(重量平均分子量3400)を用いた。樹脂2の各構造単位の存在比率を下記表2に示す。
各構造単位の存在比率は、上記測定条件による溶液NMRの測定結果に基づいて算出した。
また、樹脂3の各構造単位の存在比率を下記表3に示す。樹脂3は、樹脂全体のうち、95%以上が以下の構造単位であった。また、樹脂3は、GPCで測定される重量平均分子量7500以上の領域に存在するピークの面積の総和が全体の20%以上の大きさであり、重量平均分子量1000以下の領域に存在するピークの面積の総和が30%以上であった。各構造単位の存在比率は、上記測定条件による溶液NMRの測定結果に基づいて算出した。
[ゲルパーメーションクロマトグラフィー(GPC)測定]
試料を溶離液にて溶解後、ポアサイズ0.45μmのメンブランフィルターでろ過したものを測定溶液とした。続いて、次の測定条件で標準ポリスチレン換算によって重量平均分子量を測定した。
装置名:東ソー社製HLC−8220 GPC
カラム:TSKgel SuperHM−H×2+SuperH2500×1(内径6.0mm×150mm×3本)
溶離液:トルエン
流量:0.6mL/分
検出器:RI検出器(ポラリティー:−)
カラム温度:40℃
注入量:40μL
分子量標準:標準ポリスチレン
まず、オイルバス内に設置したフラスコ内に、樹脂1を789.60g、酢酸プロピルを96.00g及びイソプロピルアルコールを314.40g投入し、液温が80℃になるまで昇温攪拌して樹脂1を充分に溶解させた。次いで、樹脂2を8.47g及び樹脂3を75.08g投入し、1時間攪拌して溶解させた。
続いて、得られた混合物に、酢酸2−ブトキシエチル274.49gと、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.22gを加えた。その後、混合物をエバポレーターにセットし、当該混合物の温度が85℃、圧力が2.0kPaの条件で放置し、当該混合物中の酢酸プロピル及びイソプロピルアルコールの合計濃度が1質量%以下になるまで、酢酸プロピル及びイソプロピルアルコールを留去し、製造例1のシリコーン樹脂組成物を得た。
<波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物の製造>
≪実施例1≫
[第1工程]
製造例1で調製した縮合型シリコーン樹脂成分に、波長変換材料を縮合型シリコーン樹脂成分に対して等重量添加し、十分に撹拌混合した。
[第1A工程]
前記第1工程の後、25℃で15時間保管した。
[第2工程]
前記第1A工程の後、硬化促進剤を縮合型シリコーン樹脂成分に対して2重量%加えて混合し、波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物を製造した。
波長変換材料および硬化促進剤として以下の材料を用いた。
波長変換材料:Y3Al5O12:Ce(C23PSS、平均粒径5.8μm)(東京化学研究所社製)。
硬化用促進剤:リン酸を15重量%を含む硬化用触媒溶液。
<波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物の製造>
≪実施例2≫
[第1工程]
製造例1で調製した縮合型シリコーン樹脂成分に、波長変換材料を縮合型シリコーン樹脂成分に対して等重量添加し、十分に撹拌混合した。
[第1A工程]
前記第1工程の後、25℃で1時間保管した。
[第2工程]
前記第1A工程の後、硬化促進剤を縮合型シリコーン樹脂成分に対して2重量%加えて混合し、波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物を製造した。
波長変換材料および硬化促進剤として以下の材料を用いた。
波長変換材料:Y3Al5O12:Ce(C23PSS、平均粒径5.9μm)(東京化学研究所社製)。
硬化用促進剤:リン酸を15重量%を含む硬化用触媒溶液。
≪比較例1≫
[第1工程]
製造例1で調製した縮合型シリコーン樹脂成分に、縮合型シリコーン樹脂成分に対して2重量%の硬化用触媒溶液を添加し、十分に撹拌混合した。その後、15時間保管した。
[第2工程]
前記第1工程の後、波長変換材料を縮合型シリコーン樹脂成分に対して等重量添加し、十分に撹拌混合し、波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物を製造した。
<波長変換シートの製造>
実施例1、実施例2および比較例1の波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物を用いて、スクリーン印刷法により、アルミ製の基材の表面にシート状に成形し、波長変換シートを得た。
具体的には、以下の条件によりマスクの設置、スキージによる組成物の充填、およびマスクの取り外しを1回の成形工程として、所望の厚みに達するまで連続成形を10回行った。実施例1の波長変換シートの厚み(膜厚)は15μmであり、実施例2の波長変換シートの厚み(膜厚)は20μmであり、比較例1の波長変換シートの厚み(膜厚)は15μmであった。
スクリーン印刷の条件
印刷機 : ニューロング精密工業(株) LS−150
メッシュ: 枠サイズ/320mm角、スクリーン種/ステンレスST250−30−C57、スクリーン厚/56um、乳剤厚/5um、総膜厚/61um、スキージ角度/70度
[評価]
スクリーン印刷後、外観を目視で確認し、下記の評価項目に従って評価した。
αランク・・・ダマ、ゲル状粒子無。
βランク・・・ダマ、ゲル状粒子有。
その結果、実施例1と実施例2の波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物を用いてスクリーン印刷した場合はダマやゲル状粒子は無くαランクであり、比較例1の波長変換材料含有縮合型シリコーン組成物を用いてスクリーン印刷した場合はダマやゲル状粒子が観察され、βランクであった。
上記結果に示したとおり、本発明を適用した実施例1と実施例2は、ダマ、ゲル状粒子が無くスクリーン印刷をすることができた。これに対し、本発明を適用しない比較例1は、ダマ、ゲル状粒子が有り、スクリーン印刷性が良好ではなかった。