JP2021031353A - 窒化珪素質焼結体、ベアリングボール、およびベアリング - Google Patents

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Abstract

【課題】窒化珪素質焼結体のFe含有粒子を確保した上でFe含有粒子の脱粒を抑制し、窒化珪素質焼結体の高温強度の低下を抑制する。【解決手段】主成分として窒化珪素を含有する窒化珪素質焼結体は、β相型の窒化珪素粒子と、Ti、Zr、W、Mo、Ta、Nb、V、およびCrからなる特定元素群より選択される1種類以上の特定元素と、Feと、を含むFe含有粒子と、少なくとも1種類の希土類元素、Al、Si、およびOを含む粒界相と、を有し、窒化珪素質焼結体の断面を観察したときに、Fe含有粒子が占める面積は全体の5%以下であり、かつ、Fe含有粒子の最大粒径は5μm以下であり、Feを2000ppm以上7000ppm以下含有し、Fe含有粒子の粒径をRとし、Fe含有粒子中におけるFeと特定元素との含有率の合計に対するFeの含有率の割合をXとしたときに、0<R×X≦1.0×10-7(m)を満たす。【選択図】図4

Description

本発明は、窒化珪素質焼結体、ベアリングボール、およびベアリングに関する。
ベアリングボールに用いられる窒化珪素質焼結体が知られている(例えば、特許文献1参照)。窒化珪素質焼結体をベアリングボールとして用いたベアリング(窒化珪素質ベアリング)は、軸受鋼製ベアリングと比較して軽量である。また、窒化珪素質ベアリングは、高強度、耐熱性、耐摩耗性、絶縁性、および低熱膨張といった特性を有し、高速回転でのベアリングボールと金属との耐焼き付き性に優れる。そのため、窒化珪素質ベアリングは、工作機械用スピンドルモータ、ファンモータ、および風力発電用発電機等に広く採用されている。特許文献1には、Feを3000ppm程度含む窒化珪素球が記載されている。
特開2011−144109号公報
特許文献1に記載された窒化珪素質焼結体に含まれるFeは、原料粉末に含まれる不純物としてのFe粒子に由来している。不純物としてFeが原料粉末に3000ppm程度存在すると、Fe粒子の粒子径が大きいため、焼結後の窒化珪素質焼結体に含まれるFe含有粒子も大きくなる。この場合、Fe含有粒子が脱粒しやすいことから、当該窒化珪素質焼結体をベアリングボールとして用いた場合の寿命は劣る。
一方、原料粉末に含まれる不純物としてのFe粒子を減らすことで、焼結後に得られる窒化珪素質焼結体に含まれるFe含有粒子は小さくなる。これらの窒化珪素質焼結体をベアリングボールとして用いると、寿命特性が良好になる。ただし、この場合には、窒化珪素質焼結体のFe含有粒子が減ることにより、ベアリングボールの高温強度が低下するおそれがある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、窒化珪素質焼結体のFe含有粒子を確保した上でFe含有粒子の脱粒を抑制し、窒化珪素質焼結体の高温強度の低下を抑制することを目的とする。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現できる。
(1)本発明の一形態によれば、主成分として窒化珪素を含有する窒化珪素質焼結体が提供される。この窒化珪素質焼結体は、β相型の窒化珪素粒子と、Ti、Zr、W、Mo、Ta、Nb、V、およびCrからなる特定元素群より選択される1種類以上の特定元素と、Feと、を含むFe含有粒子と、少なくとも1種類の希土類元素、Al、Si、およびOを含む粒界相と、を有し、前記窒化珪素質焼結体の断面を観察したときに、前記Fe含有粒子が占める面積は全体の5%以下であり、かつ、前記Fe含有粒子の最大粒径は5μm以下であり、前記Feを2000ppm以上7000ppm以下含有し、前記Fe含有粒子の粒径をRとし、前記Fe含有粒子中における前記Feと前記特定元素との含有率の合計に対する前記Feの含有率の割合をXとしたときに、
0<R×X≦1.0×10-7(m)
を満たす。
この構成によれば、窒化珪素質焼結体に含まれるFe含有粒子は、窒化珪素質焼結体の断面を観察したときに、断面全体の面積に対して5%以下の割合を占める。さらに、断面に存在するFe含有粒子の最大粒径は、5μm以下である。そのため、断面には、5μmの粒径を超える粗大なFe含有粒子が存在しない。これにより、Fe含有粒子が脱粒しにくく、窒化珪素質焼結体をベアリングボールとして用いた場合には、転がり寿命が改善して、良好な寿命特性を得ることができる。また、窒化珪素質焼結体中のFeは、2000ppm以上7000ppm以下である。すなわち、窒化珪素質焼結体は、一定以上のFeを含むため、高温強度の低下を抑制できる。また、本構成によれば、Fe含有粒子の粒径Rと、含有率の割合Xとの積は、0よりも大きく1.0×10-7mよりも小さい。そのため、Feの含有率の割合が例えば大きい値であっても、断面における粒子の最大粒径の粗大化を抑制できる。これにより、窒化珪素質焼結体のFe含有粒子を確保した上でFe含有粒子の脱粒を抑制し、窒化珪素質焼結体の高温強度の低下を抑制できる。
(2)上記態様の窒化珪素質焼結体において、前記断面に含まれる前記窒化珪素粒子の最大径は、10μm以下であり、前記断面に含まれる前記窒化珪素粒子のアスペクト比は、10以下であってもよい。
この構成によれば、観察される断面において、アスペクト比が10を超える針状の窒化珪素粒子が含まれず、かつ、針状の窒化珪素粒子の最大径が10μm以下である。この状態は、窒化珪素粒子が過度には発達していない状態を表している。これにより、発達し過ぎた窒化珪素粒子に伴って増加するポアの数を抑制でき、例えばベアリングボールとして窒化珪素質焼結体を用いた場合の転がり寿命が良好になる。
(3)上記態様の窒化珪素質焼結体において、前記断面において、前記粒界相が占める面積は全体の15%以下であってもよい。
この構成によれば、窒化珪素粒子よりも脆弱な粒界相が全体に占める割合が15%以下に抑制されるため、例えばベアリングボールとして窒化珪素質焼結体を用いた場合の転がり寿命が良好になる。
(4)本発明の他の一形態によれば、上記記載の窒化珪素質焼結体によって形成されたベアリングボールを備える。
(5)本発明の他の一形態によれば、上記記載のベアリングボールと、該ベアリングボールを挟持する内輪及び外輪と、を備える。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、窒化珪素質焼結体、摺動部材、耐摩耗性部材、ベアリングボール、ベアリング、およびこれらを備える部品、および窒化珪素質焼結体の製造方法等の形態で実現することができる。
本発明の実施形態としての窒化珪素質焼結体の断面における画像処理後の断面画像の一例である。 本発明の実施形態としての窒化珪素質焼結体の断面における画像処理後の断面画像の一例である。 本発明の実施形態としての窒化珪素質焼結体の製造方法のフローチャートの一例である。 実施例1〜24および比較例1〜4の各サンプルについての試験結果を示す一覧表である。 窒化珪素質焼結体をベアリングボールとして用いたベアリングの概略正面図である。
<実施形態>
図1および図2は、本発明の実施形態としての窒化珪素質焼結体10の断面における画像処理後の断面画像IM1,IM2の一例である。本実施形態の窒化珪素質焼結体10は、β相型の窒化珪素粒子1と、W(タングステン)などの1種類以上の特定元素およびFe(鉄)を含むFe含有粒子2と、少なくとも1種類の希土類元素、Al(アルミニウム)、Si(珪素)、およびO(酸素)を含む粒界相3と、を有する。Fe含有粒子2に含まれる特定元素は、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、W、Mo(モリブデン)、Ta(タンタル)、Nb(ニオブ)、V(バナジウム)、およびCr(クロム)からなる特定元素群から任意に選択される元素である。窒化珪素質焼結体10が含有しているFeの割合は、2000ppm以上7000ppm以下である。
図1に示される断面画像IM1は、球状の窒化珪素質焼結体10を切断し、切断面を鏡面研磨した後にSEM(Scanning Electron Microscope)で5000倍にて観察した場合の画像である。ただし、窒化珪素質焼結体10の構造を明確にするための画像処理がなされている。断面画像IM1は、窒化珪素質焼結体10が有するβ相型の窒化珪素粒子1について観察する場合の画像である。図2に示される断面画像IM2は、窒化珪素質焼結体10を切断し、切断面を鏡面研磨した後にSEMで観察した場合の画像である。ただし、窒化珪素質焼結体10の構造を明確にするための画像処理がなされている。窒化珪素質焼結体10が有するFe含有粒子2と、粒界相3とについて観察する場合の画像である。
図1の断面画像IM1の大部分は、大小様々な窒化珪素粒子1によって占められている。断面画像IM1における窒化珪素粒子1以外の部分は、Fe含有粒子2、粒界相3、および空洞(ポア:pore)である。図1に示されるように、複数の窒化珪素粒子1の内の1つである窒化珪素粒子1Aは、長径LAa,短径LAbを有する針状の粒子である。本実施形態では、各窒化珪素粒子1の長径Laの最大値が10μm以下になるように、窒化珪素質焼結体10が製造されている。また、各窒化珪素粒子1において長径Laを短径Lbで除したアスペクト比の最大値が10以下になるように、窒化珪素質焼結体10が製造されている。本実施形態では、得られた断面画像IM1,IM2が画像処理ソフト(例えば、winroof)で解析されることにより、複数の窒化珪素粒子1の内の最大長径および最大のアスペクトが計測されている。製造方法については後述する。
図2の断面画像IM2は、白抜きで表されたFe含有粒子2の内の最大粒径を有する最大のFe含有粒子2Aと、グレーで表された粒界相3と、最も濃い黒色で表された窒化珪素粒子1とを含んでいる。本実施形態では、観察断面において、Fe含有粒子2が占める面積が断面全体の5%以下、かつ、Fe含有粒子2の最大粒径が5μm以下になるように、窒化珪素質焼結体10が製造されている。また、粒界相3が占める面積は、断面全体の15%以下である。
窒化珪素質焼結体10では、観察断面においてFe含有粒子2の内の最も大きいFe含有粒子2Aの粒径をRとする。この場合に、Fe含有粒子2中におけるFeと特定元素Aとの含有率の合計に対するFeの含有率の割合をXとしたときに、割合Xは、下記式(1)のように表される。
X=QFe/(QFe+QA)・・・(1)
Fe:Fe含有粒子2中のFeのwt%
A:Fe含有粒子2中の特定元素Aのwt%
また、本実施形態の窒化珪素質焼結体10では、粒径Rと割合Xとの積について下記式(2)が成立している。
0<R×X≦1.0×10-7(m)・・・(2)
なお、本実施形態では、窒化珪素質焼結体10を切断し、鏡面研磨した後にSEMにて任意の9箇所を5000倍にて画像を取得し、それぞれから最も大きいFe含有粒子2を選び、選ばれた9つのFe含有粒子2に対してEDS(Energy dispersive X-ray spectrometry)測定により、Feの含有率および特定元素Aの含有率を計測している。計測された各含有率から割合Xが算出される。また、粒径Rは、画像処理ソフトで解析されることにより計測される、各9つの断面画像に含まれる9つの最大の粒径の平均値である。
図3は、窒化珪素質焼結体10の製造方法のフローチャートの一例である。図3に示されるように、この製造方法のフローチャート(以下、単に「製造フロー」とも言う)では、初めに、窒化珪素質焼結体10の材料が準備される(ステップS1)。窒化珪素質焼結体10の材料は、窒化珪素粉末と、希土類元素を含む焼結助剤と、Wの酸化物と、を含んでいる。窒化珪素粉末として、α化率が70%以上、平均粒径が3μm以下、不純物のFe含有量が20ppmである高純度な粉末が用いられた。焼結助剤は、希土類酸化物または希土類水酸化物と、アルミニウム源としての酸化アルミニウムとである。Wの酸化物は、製造フローにおける焼結性向上および色むら防止を行う。なお、他の実施形態では、Wの酸化物の代わりに、Wの窒化物、Wのケイ化物、およびWの炭化物が用いられてもよい。ステップS1では、上記の材料が、それぞれ所定量に秤量されて、エタノールと共にボールミルに投入される。
ステップS1の処理後に、ボールミルに投入された材料に、所定の添加量の硝酸鉄溶液が加えられて、これら材料は、所定時間(例えば20時間)、粉砕混合される(ステップS2)。硝酸鉄溶液は、ボールミル内の材料にFeを含有させるためのFeイオン溶液である。本実施形態では、製造された窒化珪素質焼結体10に含まれるFe含有量が3000ppmになる量の硝酸鉄溶液が加えられる。ステップS2の処理によって得られたスラリーを湯煎乾燥させて粉末を得る。得られた粉末を篩に通して造粒粉末とする。造粒粉末は、金型プレスによりφ10mmボール形状および50mm×10mmの任意の厚さを有する平板状に仮成形された後、CIP(Cold Isostatic Pressing)にて本成形される(ステップS3)。成形圧力は、例えば150MPaである。
本成形後の成形体は、高温下で焼成される(ステップS4)。焼成時の成形体は、炉内で室温から摂氏1400度(℃)まで真空(1Pa以下)にて昇温された後、2時間保持される。その後、炉内の雰囲気は、窒素などの非酸化性ガスを用いて0.3〜0.9MPaになるように加圧された後、昇温される。成形体は、昇温後の温度は1650〜1900℃内の任意の温度を保ったままで、4時間保持され、製造フローが終了する。
図3の製造フローにより得られたボール形状の窒化珪素質焼結体10に対して、図1,2で示される断面画像IM1,IM2の観察が行われる。平板状の窒化珪素質焼結体10は、鏡面に研磨加工された後、寿命試験のサンプルとして用いられる。本実施形態の寿命試験の条件は、サンプルの上に軸受用の玉3個(軸受鋼SUJ2製、φ9.525mm)と保持器とを組み合わせた状態で、500kgfの加重を加えて、油中で軸受用の各玉を1000rpmで回転させる。本実施形態の評価基準として、300時間試験経過後のサンプルに剥離がない場合を合格(○)とし、300時間試験経過後のサンプルに剥離がある場合に不合格(×)とした。
図4は、実施例1〜24および比較例1〜4の各サンプルについての試験結果を示す一覧表である。図4には、各サンプルを構成するFe含有粒子2の各パラメータ、窒化珪素粒子1の各パラメータ、および粒界相3の各パラメータが示されている。例えば、図4に示されたパラメータとして、Fe含有粒子2が断面全体に占める面積比(%)、粒界相3が含む希土類元素の種類、窒化珪素質焼結体10の製造時にFeの添加量を調整するFe添加方法、窒化珪素(Si34)の質量パーセント(wt%)、焼結助剤としての希土類および酸化アルミニウム(Al23)のwt%、焼結性向上等のために添加されるWなどの酸化物などのその他の種類およびwt%、製造フローで粉砕混合する調合時間、および製造フローでの焼成における焼成条件が示されている。これらのパラメータの中で、比較例1のFe添加方法における「粉末」とは、イオン溶液の代わりにFe粉末を用いたことを示している。また、比較例4のFe添加方法における「原料不純物」とは、材料である窒化珪素粉末に含まれる不純物としてのFe含有量を多く含んだ材料を用いたことを示している。比較例4では、材料である窒化珪素粉末は、不純物として12000ppmのFeを含んでいる。
図4に示されるように、実施例1と実施例2とでは、製造フローにおける調合時間のみが異なる。実施例3,4では、実施例1に対して焼成条件が異なっている。その結果、実施例1〜4では、Fe含有粒子2、窒化珪素粒子1、および粒界相3の各パラメータが異なっている。一方で、実施例1〜4の各パラメータでは、Feの含有率が3000ppm(2000ppm以上7000ppm以下)であり、Fe含有粒子2が占める面積比が5%以下であり、Fe含有粒子2の最大の粒径Rが5μm以下であり、粒径Rと割合Xとの積が1.0×10-7以下である。そのため、実施例1〜4の寿命試験結果は、いずれも合格である。
一方で、比較例1では、実施例1と比較して、Fe添加方法が異なり、かつ、調合時間が短い。その結果、比較例1では、粒径Rが5.5μm(>5.0μm)であり、粒径Rと割合Xとの積が1.1×10-7(>1.0×10-7)であり、窒化珪素粒子1の長径が12μm(>10μm)である。比較例2では、焼成条件の焼成温度が実施例1よりも短い。その結果、比較例2では、粒径Rが5.7μm(>5.0μm)であり、粒径Rと割合Xとの積が1.71×10-7(>1.0×10-7)である。比較例3では、実施例1と比較して、材料である窒化珪素粉末のwt%が実施例1よりも小さくなると共にその他のWO3のwt%が大きくなり、かつ、調合時間が短い。その結果、比較例3では、Fe含有粒子2の面積比が5.8%(>5%))である。そのため、比較例1〜3の寿命試験結果は、いずれも不合格である。
実施例5,6では、窒化珪素質焼結体10に含まれる希土類元素が、実施例1のLa23と異なる。実施例5に含まれる希土類元素はYであり、実施例6に含まれる希土類元素はYbである。実施例7〜13では、窒化珪素質焼結体10に含まれる特定元素Aが、実施例1のWと異なる。実施例7〜13の窒化珪素質焼結体10に含まれる特定元素Aのそれぞれは、Ti,Zr,Mo,Ta,Nb,V,Crである。実施例14,15では、実施例1と比較して、材料の窒化珪素粉末のwt%が第1実施例よりも小さい。その代わり、実施例14では、希土類元素の酸化物、Al23、およびその他のwt%が増えている。また、実施例15では、Al23およびその他のwt%が増えている。その結果、窒化珪素質焼結体10中における窒化珪素粒子1のアスペクト比が実施例1よりも小さくなっている。その結果、実施例5〜15の各パラメータでは、Feの含有率が3000ppm(2000ppm以上7000ppm以下)であり、Fe含有粒子2が占める面積比が5%以下であり、Fe含有粒子2の最大の粒径Rが5μm以下であり、粒径Rと割合Xとの積が1.0×10-7以下である。そのため、実施例5〜15の寿命試験結果は、いずれも合格である。
比較例4では、実施例1と比較して、Fe添加方法が異なる。その結果、窒化珪素質焼結体10に含まれるFeの含有量が12000ppm(>7000ppm)であり、寿命試験結果が不合格である。
実施例18〜22では、実施例1と比較して、Fe含有率およびFe添加方法が同じで、製造フローにおける材料の組成、調合時間、および焼成条件の少なくとも1つが異なっている。実施例18では、実施例1と比較して、Si34のwt%が減り、その他のwt%が増えている。実施例19では、実施例1と比較して、調合時間が10hと短くなっている。実施例20では、実施例1と比較して、Si34のwt%が増え、Al23のwt%が減り、焼成条件の焼成温度が1900℃と高くなっている。実施例21では、実施例1と比較して、調合時間が15hと短く、焼成条件の焼成温度が1900℃と高くなっている。実施例22の材料では、Si34のwt%が減り、希土類元素の酸化物のwt%が増え、その他のwt%が増えている。その結果、実施例18〜22の各パラメータでは、Feの含有率が2000ppm以上7000ppm以下であり、Fe含有粒子2が占める面積比が5%以下であり、Fe含有粒子2の最大の粒径Rが5μm以下であり、粒径Rと割合Xとの積が1.0×10-7以下である。そのため、実施例18〜22の寿命試験結果は、いずれも合格である。
実施例23,24では、実施例1と比較して、Si34のwt%が減り、希土類元素の酸化物およびAl23のwt%が増え、調合時間が短い。実施例23と実施例24とでは、調合時間が異なる。その結果、実施例23の各パラメータでは、Feの含有率が3000ppmであり、Fe含有粒子2が占める面積比が2.2%であり、Fe含有粒子2の最大の粒径Rが3.6μmであり、粒径Rと割合Xとの積が0.648×10-7である。一方で、窒化珪素粒子1の長径が10.5μm(>10μm)であり、粒界相3が切断面に占める面積(図4中の粒界相量)が15.5%(>15%)である。実施例24の各パラメータでは、Feの含有率が3000ppmであり、Fe含有粒子2が占める面積比が2.1%であり、Fe含有粒子2の最大の粒径Rが3.2μmであり、粒径Rと割合Xとの積が0.576×10-7である。また、窒化珪素粒子1の長径が9.7μm(<10μm)であり、かつ、窒化珪素粒子1のアスペクト比が6.1(<10)である。一方で、粒界相3が切断面に占める面積が15.4%(>15%)である。実施例23,24では、いずれもFeの含有率が2000ppm以上7000ppm以下であり、Fe含有粒子2が占める面積比が5%以下であり、Fe含有粒子2の最大の粒径Rが5μm以下であり、粒径Rと割合Xとの積が1.0×10-7である。そのため、実施例23,24の寿命試験結果は、いずれも合格である。
図5は、窒化珪素質焼結体10をベアリングボール21として用いたベアリング20の概略正面図である。図5に示されるように、ベアリング20は、外輪22と、内輪23と、外輪22と内輪23との間に配置される12個のベアリングボール21とを備えている。各ベアリングボール21は、本実施形態の窒化珪素質焼結体10により構成されている。そのため、ベアリングボール21は、良好な寿命特性を有し、かつ、高温強度の低下を抑制できる。
本実施例1〜24の窒化珪素質焼結体10は、β相型の窒化珪素粒子1と、特定元素AとFeとを含むFe含有粒子2と、希土類元素を含む粒界相3とを有している。さらに、図4に示されるように、観察断面におけるFe含有粒子2の最大の粒径Rが5μm以下である。すなわち、窒化珪素質焼結体10の断面には、5μmの粒径を超える粗大なFe含有粒子2が存在しない。これにより、Fe含有粒子2が脱粒しにくく、窒化珪素質焼結体10を例えばベアリングボール21として用いた場合には、転がり寿命が改善して、良好な寿命特性を得ることができる。また、窒化珪素質焼結体10に含まれるFeは、2000ppm以上7000ppm以下である。すなわち、窒化珪素質焼結体10は、一定以上のFeを含むため、高温強度の低下を抑制できる。さらに、式(2)で表されるように、Fe含有粒子2の最大の粒径Rと、割合Xとの積は、0よりも大きく1.0×10-7以下である。そのため、Feの含有率の割合が大きい値であっても断面におけるFe含有粒子2の最大の粒径Rの粗大化を抑制できる。これにより、窒化珪素質焼結体10のFe含有粒子2を確保した上でFe含有粒子2の脱粒を抑制し、窒化珪素質焼結体10の高温強度の低下を抑制できる。
また、本実施例1〜22,24の窒化珪素質焼結体10では、観察断面において、窒化珪素粒子1の最大の粒径Rは10μm以下であり、窒化珪素粒子1のアスペクト比は10以下である。この状態は、窒化珪素粒子1が過度な針状に発達していない状態を表している。これにより、発達し過ぎた窒化珪素粒子1に伴って増加するポアの数を抑制でき、ベアリングボール21として窒化珪素質焼結体10を用いた場合の転がり寿命が良好になる。
また、本実施例1〜22の窒化珪素質焼結体10の観察断面における粒界相3が占める面積は、観察断面全体の15%以下である。そのため、窒化珪素粒子1よりも脆弱な粒界相3が全体に占める割合が抑制されるため、ベアリングボール21として窒化珪素質焼結体10を用いた場合の転がり寿命が良好になる。
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
上記実施例1〜24は、窒化珪素質焼結体10の一例であり、Feの含有率が2000ppm以上7000ppm以下であり、窒化珪素質焼結体10の切断面においてFe含有粒子2が占める面積比が5%以下であり、Fe含有粒子2の最大の粒径Rが5μm以下であり、粒径Rと割合Xとの積が1.0×10-7である範囲で、種々変形可能である。例えば、窒化珪素質焼結体10が有する窒化珪素粒子1の断面における最大径が10μmを超えていてもよいし(例えば実施例23)、窒化珪素粒子1のアスペクト比が10を超えていてもよい。また、窒化珪素質焼結体10の粒界相3が断面において占める面積比は、実施例23,24のように、15%を超えていてもよい。
また、上記実施形態における窒化珪素質焼結体10の製造フローは、一例であり、これ以外の製造方法によって窒化珪素質焼結体10が製造されてもよい。例えば、窒化珪素質焼結体10のFe含有量を調整するために添加される硝酸鉄溶液の代わりに、比較例1および比較例4で用いられたFe粉末および不純物としてのFeを多く含む原料粉末が用いられてもよい。この場合であっても、製造された窒化珪素質焼結体10の各パラメータにおいて、Feの含有率が2000ppm以上7000ppm以下であり、Fe含有粒子2が占める面積比が5%以下であり、Fe含有粒子2の最大の粒径Rが5μm以下であり、粒径Rと割合Xとの積が1.0×10-7以下であればよい。すなわち、窒化珪素質焼結体10の各パラメータの条件を満たす範囲で、製造方法については種々変形可能である。
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
1,1A…窒化珪素粒子
2,2A…Fe含有粒子
3…粒界相
10…窒化珪素質焼結体
IM1,IM2…断面画像
20…ベアリング
21…ベアリングボール
22…外輪
23…内輪
A…特定元素
LAa,La…長径
LAb,Lb…短径
R…粒径
X…割合

Claims (5)

  1. 主成分として窒化珪素を含有する窒化珪素質焼結体であって、
    β相型の窒化珪素粒子と、
    Ti、Zr、W、Mo、Ta、Nb、V、およびCrからなる特定元素群より選択される1種類以上の特定元素と、Feと、を含むFe含有粒子と、
    少なくとも1種類の希土類元素、Al、Si、およびOを含む粒界相と、
    を有し、
    前記窒化珪素質焼結体の断面を観察したときに、前記Fe含有粒子が占める面積は全体の5%以下であり、かつ、前記Fe含有粒子の最大粒径は5μm以下であり、
    前記Feを2000ppm以上7000ppm以下含有し、
    前記Fe含有粒子の粒径をRとし、前記Fe含有粒子中における前記Feと前記特定元素との含有率の合計に対する前記Feの含有率の割合をXとしたときに、
    0<R×X≦1.0×10-7(m)
    を満たすことを特徴とする窒化珪素質焼結体。
  2. 請求項1に記載の窒化珪素質焼結体であって、
    前記断面に含まれる前記窒化珪素粒子の最大径は、10μm以下であり、
    前記断面に含まれる前記窒化珪素粒子のアスペクト比は、10以下であることを特徴とする窒化珪素質焼結体。
  3. 請求項1または請求項2に記載の窒化珪素質焼結体であって、
    前記断面において、前記粒界相が占める面積は全体の15%以下であることを特徴とする窒化珪素質焼結体。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の窒化珪素質焼結体によって形成されたベアリングボール。
  5. 請求項4に記載のベアリングボールと、該ベアリングボールを挟持する内輪及び外輪と、を備えるベアリング。
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