JP2021027318A - 光電変換素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】2000ルクス以下の低照度下で光電変換特性を向上させることができる光電変換素子を提供すること。【解決手段】光電変換セルを備え、光電変換セルが、電極基板と、電極基板に対向する対向基板と、電極基板に設けられる酸化物半導体層と、電極基板及び対向基板の間に設けられる電解質とを備え、電解質が、レドックスとして、一価銅錯体及び二価銅錯体を含み、下記式で表される二価銅錯体の濃度比率Rが2.0%以上3.8%以下であり、酸化物半導体層の厚さが2.1μm以上4.7μm以下であり、電極基板と対向基板との間の距離の最小値が4μm以上7μm以下である光電変換素子用電解質。R=100×C2/(C1+C2)(上記式中、C1は一価銅錯体の濃度(M)を表し、C2は二価銅錯体の濃度(M)を表す。)【選択図】なし
Description
本発明は、光電変換素子に関する。
近年、色素増感太陽電池などの色素を用いた光電変換素子の電解質に含まれるレドックス(酸化還元対)として、一価銅錯体である[Cu(dmp)2]+と二価銅錯体である[Cu(dmp)2]2+の組合せを利用することが提案されている(例えば下記特許文献1参照)。なお、「dmp」は「2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリン」を表す。以下、本明細書において、「2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリン」については「dmp」と略称する。
しかし、上記特許文献1記載の電解質を用いた光電変換素子は以下に示す課題を有していた。
すなわち、上記特許文献1記載の電解質を用いた光電変換素子は、2000ルクス以下の低照度下で使用される場合、光電変換特性の向上の点で改善の余地を有していた。
そのため、2000ルクス以下の低照度下で光電変換特性を向上させることができる光電変換素子が求められていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、2000ルクス以下の低照度下で光電変換特性を向上させることができる光電変換素子を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題が生じる原因について検討した。まず、特許文献1には、一価銅錯体のモル体積濃度と二価銅錯体のモル体積濃度の合計モル体積濃度に占める二価銅錯体のモル体積濃度比が0.05〜0.8であることが開示されている(段落0051)。しかし、電解質が、2000ルクス以下の低照度下で光電変換素子の電解質として使用される場合、1sun下での使用を目的とした光電変換素子用の電解質とは異なり、二価銅錯体の濃度比が大きいと、酸化物半導体層からの電子を受け取る二価銅錯体が増え、逆電子移動が起こりやすくなり、開放電圧が低くなりやすいのではないかと本発明者は考えた。また、酸化物半導体層の厚さや電極基板と対向基板との間の距離の最小値も、光電変換特性の向上に寄与し得ることに本発明者は気付いた。そこで、本発明者は、さらに鋭意研究を重ねた結果、一価銅錯体のモル体積濃度と二価銅錯体のモル体積濃度の合計モル体積濃度に占める二価銅錯体の濃度比率を特定の値とし、酸化物半導体層の厚さ及び電極基板と対向基板との間の距離の最小値を特定の範囲とすることで上記課題を解決し得ることを見出した。
即ち本発明は、光電変換セルを備え、前記光電変換セルが、電極基板と、前記電極基板に対向する対向基板と、前記電極基板に設けられる酸化物半導体層と、前記電極基板及び前記対向基板の間に設けられる電解質とを備え、前記電解質が、レドックスとして、一価銅錯体及び二価銅錯体を含み、下記式で表される二価銅錯体の濃度比率Rが2.0%以上3.8%以下であり、前記酸化物半導体層の厚さが2.1μm以上4.7μm以下であり、前記電極基板と前記対向基板との間の距離の最小値が4μm以上7μm以下である光電変換素子用電解質である。
R=100×C2/(C1+C2)
(上記式中、C1は前記電解質中の前記一価銅錯体の濃度(M)を表し、C2は前記電解質中の前記二価銅錯体の濃度(M)を表す。)
R=100×C2/(C1+C2)
(上記式中、C1は前記電解質中の前記一価銅錯体の濃度(M)を表し、C2は前記電解質中の前記二価銅錯体の濃度(M)を表す。)
この光電変換素子によれば、レドックスに含まれる一価銅錯体及び二価銅錯体に占める二価銅錯体の濃度比率Rが十分に小さくなる。このため、2000ルクス以下の低照度の光が照射されると、電解質中において酸化物半導体層からの電子の受け取り手を少なくすることで、酸化物半導体層からの逆電子移動を抑制することができる。その結果、本発明の光電変換素子は、2000ルクス以下の低照度下で高い開放電圧を示すことが可能となる。また、本発明の光電変換素子は、酸化物半導体層の厚さを2.1μm以上4.7μm以下とし、電極基板と対向基板との間の距離の最小値を4μm以上7μm以下とすることで、2000ルクス以下の低照度下で、開放電圧を高くしつつ短絡電流の低下を抑えることもできる。従って、本発明の光電変換素子によれば、光電変換特性を向上させることができる。
上記光電変換素子において、前記電解質中の前記一価銅錯体の濃度C1と前記二価銅錯体の濃度C2の合計濃度が0.102M以上0.104M以下であることが好ましい。
この場合、本発明の光電変換素子は、電解質中の合計濃度Cが0.102M以上0.104M以下でない場合に比べて、光電変換特性をより向上させることができる。
本発明によれば、2000ルクス以下の低照度下で光電変換特性を向上させることができる光電変換素子が提供される。
以下、本発明の実施形態について図1を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の光電変換素子の一実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、光電変換素子100は光電変換セル60を備えている。光電変換セル60は、電極基板10と、電極基板10に対向する対向基板20と、電極基板10に設けられる酸化物半導体層30と、酸化物半導体層30に吸着される色素と、電極基板10及び対向基板20の間に設けられる電解質40とを備えている。電解質40は、電極基板10と対向基板20とを連結する封止部50によって包囲されている。電解質40は、レドックスとして、一価銅錯体及び二価銅錯体を含んでおり、電解質40においては、下記式で表される二価銅錯体の濃度比率Rが2.0%以上3.8%以下となっている。
R=100×C2/(C1+C2)
(上記式中、C1は一価銅錯体の濃度(M)を表し、C2は二価銅錯体の濃度(M)を表す。)
R=100×C2/(C1+C2)
(上記式中、C1は一価銅錯体の濃度(M)を表し、C2は二価銅錯体の濃度(M)を表す。)
また、光電変換素子100においては、酸化物半導体層30の厚さが2.1μm以上4.7μm以下となっており、電極基板10と対向基板20との間の距離の最小値が4μm以上7μm以下となっている。
この光電変換素子100によれば、電解質40において、レドックスに含まれる一価銅錯体及び二価銅錯体に占める二価銅錯体の濃度比率Rが十分に小さくなっている。このため、光電変換素子100に2000ルクス以下の低照度の光が照射されると、電解質40中において酸化物半導体層30からの電子の受け取り手が少なくなることで、酸化物半導体層30からの逆電子移動が抑制される。その結果、光電変換素子100は、2000ルクス以下の低照度下で使用される場合に0.9V以上の高い開放電圧を示すことが可能となる。また、光電変換素子100は、酸化物半導体層30の厚さを2.1μm以上4.7μm以下とし、電極基板10と対向基板20との間の距離の最小値を4μm以上7μm以下とすることで、2000ルクス以下の低照度下で、開放電圧を高くしつつ短絡電流の低下を抑えることもできる。従って、光電変換素子100によれば、光電変換特性を向上させることができる。
次に、電極基板10、対向基板20、酸化物半導体層30、電解質40、封止部50及び色素について詳細に説明する。
<電極基板>
図1に示すように、電極基板10は、透明基板11と、透明基板11の上に設けられる透明導電層12とを備えている。
図1に示すように、電極基板10は、透明基板11と、透明基板11の上に設けられる透明導電層12とを備えている。
透明基板11を構成する材料は、透明な材料であればよく、このような透明な材料としては、例えばホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、白板ガラス、石英ガラスなどのガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、及び、ポリエーテルスルフォン(PES)などの絶縁材料が挙げられる。透明基板11の厚さは、光電変換素子100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば50μm〜40mmの範囲にすればよい。
透明導電層12を構成する材料としては、例えばスズ添加酸化インジウム(ITO)、酸化スズ(SnO2)、及び、フッ素添加酸化スズ(FTO)などの導電性金属酸化物が挙げられる。透明導電層12は、単層でも、異なる導電性金属酸化物で構成される複数の層の積層体で構成されてもよい。透明導電層12が単層で構成される場合、透明導電層12は、高い耐熱性及び耐薬品性を有することから、FTOで構成されることが好ましい。透明導電層12の厚さは例えば0.01〜2μmの範囲にすればよい。
<対向基板>
図1に示すように、対向基板20は、導電性基板21と、導電性基板21のうち電極基板10側に設けられて電解質40の還元に寄与する導電性の触媒層22とを備える。
図1に示すように、対向基板20は、導電性基板21と、導電性基板21のうち電極基板10側に設けられて電解質40の還元に寄与する導電性の触媒層22とを備える。
導電性基板21は、例えばチタン、ニッケル、白金、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ステンレス等の耐食性の金属材料などの金属基板で構成される。また、導電性基板21は、基板と電極を分けて、上述した透明基板11に電極としてITO、FTO等の導電性酸化物からなる透明導電層を形成した積層体で構成されてもよい。但し、導電性基板21は、50μm以下の厚さを有する金属基板で構成されることが好ましい。この場合、対向基板20が可撓性を有することが可能となり、電解質40を減圧下で封止する際に対向基板20と電極基板10とが互いに近接しやすくなり、電極基板10と対向基板20との間の距離の最小値(極間距離)を小さくしやすくすることができる。
導電性基板21の厚さは、光電変換素子100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば5μm〜4mmとすればよい。
触媒層22としては、金属の触媒成分及び非金属の触媒成分が挙げられる。金属の触媒成分としては、例えば白金、金、銀、パラジウム及びロジウムなどが挙げられる。非金属の触媒成分としては、例えば、カーボンや導電性高分子などの炭素原子を含有する炭素原子含有材料、チタン酸化物、チタン複合酸化物などが挙げられる。中でも、非金属の触媒成分が炭素原子含有材料であることが好ましい。この場合、非金属の触媒成分が炭素原子含有材料でない場合に比べて、より高い発電性能が得られる。なお、導電性基板21が非金属の触媒成分を含む場合には、第2電極基板20は必ずしも触媒層22を有していなくてもよい。この場合、導電性基板21が触媒層22を兼ねることになる。
極間距離は、4μm以上7μm以下である。この場合、極間距離が4μm未満である場合に比べて、短絡電流値をより増加させることができ、光電変換特性をより向上させることができる。また、極間距離が7μmを超える場合に比べて、開放電圧Vocの低下をより抑制することができ、光電変換特性をより向上させることができる。
ここで、極間距離が4μm以上7μm以下となるのは、電極基板10と対向基板20との間の少なくとも一部であればよく、電極基板10と対向基板20との間の一部のみにおいて極間距離が4μm以上7μm以下であってもよく、電極基板10と対向基板20との間の全部において極間距離が4μm以上7μm以下であってもよい。
なお、極間距離が7μm以下である場合に開放電圧Vocがより高くなる理由については明らかにはなっていないが、本発明者は以下の理由によるものと推測している。
すなわち、例えばレドックスに含まれる一価銅錯体である[Cu(dmp)2]TFSIでは分子の半径が5Å程の大きさとなる。この半径は、例えばヨウ素レドックス中のヨウ化物イオン(I−)のイオン半径である2.2Åに比べて十分に大きい。このため、一価銅錯体などのレドックスの電荷移動速度は一般的には小さいことが推定される。また、銅錯体の濃度は、ヨウ素レドックスよりも低くなる傾向がある。このように電荷移動速度が小さくなり銅錯体の濃度が低いと、極間距離が大きくなる場合に、銅錯体は、途中で失活する可能性が高まるおそれがある。その点、電荷移動速度が小さくなり銅錯体の濃度が低くても、極間距離が7μm以下にまで小さくなれば、銅錯体が途中で失活しにくくなると考えられる。従って、光電変換素子100の開放電圧Vocがより高くなるのではないかと本発明者は推測する。
極間距離は、6μm以下であることがより好ましい。この場合、極間距離が6μmを超える場合に比べて、光電変換素子100の開放電圧Vocをより一層高くすることができ、光電変換特性をより一層向上させることができる。
但し、極間距離は、5μm以上であることが好ましい。この場合、極間距離が5μm未満である場合に比べて、短絡電流値をより一層増加させることができ、光電変換素子100の光電変換特性をより一層向上させることができる。
<酸化物半導体層>
酸化物半導体層30は、酸化物半導体粒子で構成されている。酸化物半導体粒子は、例えば酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO3)、酸化ニオブ(Nb2O5)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化スズ(SnO2)、酸化インジウム(In2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化タリウム(Ta2O5)、酸化ランタン(La2O3)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ホルミウム(Ho2O3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化セリウム(CeO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)又はこれらの2種以上で構成される。
酸化物半導体層30は、酸化物半導体粒子で構成されている。酸化物半導体粒子は、例えば酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO3)、酸化ニオブ(Nb2O5)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化スズ(SnO2)、酸化インジウム(In2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化タリウム(Ta2O5)、酸化ランタン(La2O3)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ホルミウム(Ho2O3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化セリウム(CeO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)又はこれらの2種以上で構成される。
酸化物半導体層30の厚さは、2.1μm以上4.7μm以下である。
ここで、酸化物半導体層30の厚さは、4μm以下であることが好ましい。この場合、酸化物半導体層30の厚さが4μmを超える場合に比べて、光電変換素子100の開放電圧Vocをより高くすることができる。
但し、酸化物半導体層30の厚さは3μm以上であることが好ましい。この場合、酸化物半導体層30の厚さが3μm未満である場合に比べて、短絡電流値をより増加させることができ、光電変換素子100の光電変換特性をより向上させることができる。
<電解質>
電解質40は、レドックスとして、一価銅錯体及び二価銅錯体を含んでいる。
電解質40は、レドックスとして、一価銅錯体及び二価銅錯体を含んでいる。
一価銅錯体は、一価銅と、一価銅に配位結合する配位子とを含む。
一価銅錯体の配位子は、1個の一価銅に対して4個の窒素原子にて4つの配位結合を形成している。配位子は、例えば1個の一価銅に対して2分子で4つの配位結合を形成しているが、1分子で3つの配位結合を形成し、もう1分子が1つの配位結合を形成していてもよい。配位子は、1個の一価銅に対して2分子で4つの配位結合を形成している場合、1分子中に2個のピリジン環を有していることが好ましい。このような配位子としては、例えばdmp、6,6’−ジメチル−2,2’−ビピリジン(以下、「dmby」と呼ぶ)、4,4’,6,6’−テトラメチル−2,2’−ビピリジン(以下、「tmby」と呼ぶ)が挙げられる。なお、dmp、dmby及びtmbyは、一価銅1個に対して2分子で配位結合を形成する化合物であり、1分子で一価銅1個に対して2つの窒素原子にて2つの配位結合を形成する。このため、dmp、dmby及びtmbyは、2分子で一価銅1個に対して4つの窒素原子にて4つの配位結合を形成する。
二価銅錯体は、二価銅と、二価銅に配位結合する配位子とを含む。二価銅錯体の配位子も、一価銅錯体の配位子と同様の配位子を用いることができる。二価銅錯体の配位子は、一価銅錯体の配位子と同一であっても異なっていてもよい。
一価銅錯体及び二価銅錯体のカウンターアニオンとしては、例えば(CF3SO3)2N−(TFSI)、PF6 −、BF4 −、BPh4 −などが挙げられる。中でも、カウンターアニオンとしては、(CF3SO3)2N−が好ましい。この場合、光電変換素子100において、比較的高い光電変換効率が得られる。
電解質40においては、下記式で表される二価銅錯体の濃度比率Rが2.0%以上3.8%以下となっている。
R=100×C2/(C1+C2)
(上記式中、C1は一価銅錯体の濃度(M)を表し、C2は二価銅錯体の濃度(M)を表す。)
R=100×C2/(C1+C2)
(上記式中、C1は一価銅錯体の濃度(M)を表し、C2は二価銅錯体の濃度(M)を表す。)
この場合、光電変換素子100が2000ルクス以下の低照度下で使用される場合、光電変換素子100が0.9V以上の開放電圧を示すことが可能となる。
またRは3%以上であることが好ましい。この場合、Rが3%未満である場合に比べて、光電変換素子100においてより高い開放電圧が得られる。
電解質40中の一価銅錯体の濃度C1と二価銅錯体の濃度C2の合計濃度Cは特に制限されるものではないが、0.102M以上0.104M以下であることが好ましい。この場合、電解質40中の合計濃度Cが0.102M以上0.104M以下でない場合に比べて、光電変換素子100の光電変換特性をより向上させることが可能となる。
電解質40は、有機溶媒、イオン液体又はこれらの混合物をさらに含む。
有機溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、プロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、バレロニトリル、ピバロニトリルなどを用いることができる。
イオン液体としては、例えばピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等の既知の非ハロゲン化物塩であって、室温付近で溶融状態にある常温溶融塩が用いられる。このような常温溶融塩としては、例えば、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−エチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、又は、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレートが好適に用いられる。
電解質40はさらに添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、4−tert−ブチルピリジン、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、グアニジウムチオシアネートなどが挙げられる。
さらに電解質40は、SiO2、TiO2、カーボンナノチューブなどのナノ粒子をさらに含んでもよい。この場合、電解質40は、ナノ粒子の混練によりゲル様となって、擬固体電解質であるナノコンポジットゲル電解質となる。また、電解質40は、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド誘導体、アミノ酸誘導体などの有機系ゲル化剤を用いてゲル化した電解質であってもよい。
<封止部>
封止部50を構成する材料は、特に限定されるものではないが、封止部50を構成する材料としては、例えば変性ポリオレフィン樹脂、ビニルアルコール重合体などの熱可塑性樹脂、及び、紫外線硬化樹脂などの樹脂が挙げられる。変性ポリオレフィン樹脂としては、例えばアイオノマー、無水マレイン酸変性ポリオレフィン、エチレン−ビニル酢酸無水物共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体およびエチレン−ビニルアルコール共重合体などが挙げられる。これらの樹脂は単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。中でも、封止部50を構成する材料としては、無水マレイン酸変性ポリオレフィンが好ましい。この場合、電極基板10及び対向基板20に対して、より高い接着強度が得られる。
封止部50を構成する材料は、特に限定されるものではないが、封止部50を構成する材料としては、例えば変性ポリオレフィン樹脂、ビニルアルコール重合体などの熱可塑性樹脂、及び、紫外線硬化樹脂などの樹脂が挙げられる。変性ポリオレフィン樹脂としては、例えばアイオノマー、無水マレイン酸変性ポリオレフィン、エチレン−ビニル酢酸無水物共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体およびエチレン−ビニルアルコール共重合体などが挙げられる。これらの樹脂は単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。中でも、封止部50を構成する材料としては、無水マレイン酸変性ポリオレフィンが好ましい。この場合、電極基板10及び対向基板20に対して、より高い接着強度が得られる。
封止部50の厚さは特に制限されるものではないが、100μm以下であることが好ましい。
この場合、封止部50の厚さが100μmを超える場合に比べて、電極基板10と対向基板20との間の距離の最小値(極間距離)をより小さくすることができ、光電変換素子100の開放電圧Vocをより小さくすることができる。
封止部50の厚さは70μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが特に好ましい。
また、封止部50の厚さは20μm以上であることが好ましい。この場合、封止部50の厚さが20μm未満である場合に比べて、電極基板10と対向基板20との間の距離の最小値(極間距離)をより大きくすることができ、光電変換素子100の光電変換特性をより向上させることができる。
<色素>
色素としては、例えばビピリジン構造、ターピリジン構造などを含む配位子を有するルテニウム錯体、ポルフィリン、エオシン、ローダニン、メロシアニン、D−π−A型の有機色素(トリアリールアミン、チオフェン環及びシアノカルボン酸基などを有する有機色素)などの有機色素などの光増感色素や、ハロゲン化鉛系ペロブスカイト結晶などの有機−無機複合色素などが挙げられる。ハロゲン化鉛系ペロブスカイトとしては、例えばCH3NH3PbX3(X=Cl、Br、I)が用いられる。ここで、色素として光増感色素を用いる場合には、光電変換素子100は色素増感光電変換素子となり、光電変換セル60は色素増感光電変換セルとなる。
色素としては、例えばビピリジン構造、ターピリジン構造などを含む配位子を有するルテニウム錯体、ポルフィリン、エオシン、ローダニン、メロシアニン、D−π−A型の有機色素(トリアリールアミン、チオフェン環及びシアノカルボン酸基などを有する有機色素)などの有機色素などの光増感色素や、ハロゲン化鉛系ペロブスカイト結晶などの有機−無機複合色素などが挙げられる。ハロゲン化鉛系ペロブスカイトとしては、例えばCH3NH3PbX3(X=Cl、Br、I)が用いられる。ここで、色素として光増感色素を用いる場合には、光電変換素子100は色素増感光電変換素子となり、光電変換セル60は色素増感光電変換セルとなる。
上記色素の中でも、D−π−A型の有機色素(トリアリールアミン、チオフェン環及びシアノカルボン酸基などを有する有機色素)が好ましく、その一例としてD35色素やY123色素が好適である。この場合、光電変換素子100の光電変換特性をより向上させることができる。
次に、上述した光電変換素子100の製造方法の一例について説明する。
まず1つの透明基板11の上に、透明導電層12を形成してなる電極基板10を用意する。
透明導電層12の形成方法としては、スパッタリング法、蒸着法、スプレー熱分解法及びCVD法などが用いられる。
次に、透明導電層12の上に酸化物半導体層30を形成する。酸化物半導体層30は、酸化物半導体粒子を含む多孔質酸化物半導体層形成用ペーストを印刷した後、焼成して形成する。
酸化物半導体層形成用ペーストは、上述した酸化物半導体粒子のほか、ポリエチレングリコールなどの樹脂及び、テルピネオールなどの溶媒を含む。
酸化物半導体層形成用ペーストの印刷方法としては、例えばスクリーン印刷法、ドクターブレード法、又は、バーコート法などを用いることができる。
焼成温度は酸化物半導体粒子の材質により異なるが、通常は350〜600℃であり、焼成時間も、酸化物半導体粒子の材質により異なるが、通常は1〜5時間である。
また、このとき、酸化物半導体層30は、厚さが2.1μm以上4.7μm以下となるように形成する。
次に、封止部形成体を準備する。封止部形成体は、例えば封止用樹脂フィルムを用意し、その封止用樹脂フィルムに1つの開口を形成することによって得ることができる。
そして、この封止部形成体を電極基板10の上に接着させる。このとき、封止部形成体は、酸化物半導体層30を包囲するように配置する。また、封止部形成体の電極基板10への接着は、例えば封止部形成体を加熱溶融させることによって行うことができる。
次に、電極基板10の酸化物半導体層30の表面に色素を吸着させる。このためには、例えば電極基板10を、色素を含有する溶液の中に浸漬させ、その色素を酸化物半導体層30に吸着させた後に上記溶液の溶媒成分で余分な色素を洗い流し、乾燥させればよい。
次に、電解質40を準備する。電解質40は、レドックスとして、一価銅錯体及び二価銅錯体を含み且つ下記式で表される二価銅錯体の濃度比率Rが2.0%以上3.8%以下となるように調製する。
R=100×C2/(C1+C2)
(上記式中、C1は一価銅錯体の濃度(M)を表し、C2は二価銅錯体の濃度(M)を表す。)
R=100×C2/(C1+C2)
(上記式中、C1は一価銅錯体の濃度(M)を表し、C2は二価銅錯体の濃度(M)を表す。)
電解質40は、例えば一価銅錯体塩及び二価銅錯体塩を有機溶媒又はイオン液体中に溶解させることによって得ることができる。ここで、一価銅錯体塩は一価銅錯体とカウンターアニオンとの塩であり、二価錯体塩は二価銅錯体とカウンターアニオンとの塩である。
次に、酸化物半導体層30の上に電解質40を配置する。電解質40は、例えば滴下法やスクリーン印刷法によって配置することが可能である。
こうして積層体が得られる。
次に、対向基板20を用意し、封止部形成体の開口を塞ぐように配置した後、封止部形成体と貼り合わせる。このとき、対向基板20にも予め封止部形成体を接着させておき、この封止部形成体を電極基板10側の封止部形成体と貼り合せてもよい。対向基板20の封止部形成体への貼合せは、大気圧下で行っても減圧下で行ってもよいが、減圧下で行うことが好ましい。
このとき、極間距離の最小値が4μm以上7μm以下となるように対向基板20を封止部形成体と貼り合わせる。
以上のようにして光電変換素子100が得られる。このとき、封止部形成体は封止部50となる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、光電変換素子が1つの光電変換セル60で構成されているが、光電変換素子は、光電変換セル60を複数備えていてもよい。
以下、本発明の内容を、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<光電変換素子用電解質の調製>
電解質を以下のようにして用意した。
<光電変換素子用電解質の調製>
電解質を以下のようにして用意した。
すなわち、一価銅錯体塩である[Cu(dmp)2]TFSI、二価銅錯体塩である[Cu(dmp)2]TFSI2、添加剤としてのLi(TFSI)及び4−tert−ブチルピリジンを3−メトキシプロピオニトリルに溶解させ、一価銅錯体塩である[Cu(dmp)2]TFSIが0.100M、二価銅錯体塩である[Cu(dmp)2]TFSI2が0.004M、Li(TFSI)が0.10M、tert−ブチルピリジンが0.60Mとなるように電解質を用意した。このとき、一価銅錯体(Cu(I)錯体)である[Cu(dmp)2]+の濃度C1は0.100M、二価銅錯体(Cu(II)錯体)である[Cu(dmp)2]2+の濃度C2は0.004M、これらの合計濃度Cは0.104Mであり、合計濃度Cに占めるCu(II)錯体の濃度比率Rは3.8%であった。
<光電変換素子の作製>
光電変換素子は以下のようにして作製した。
はじめに、電極基板として10cm×10cmの寸法を有するFTOガラス(製品名「TEC−7」、日本板硝子社製)を準備した。そして、この電極基板上にスクリーン印刷により、平均粒径18nmの酸化チタンナノ粒子を含有する酸化チタンナノ粒子ペーストを塗布して50mm×50mmの膜を作製し、150℃で10分間乾燥させた。こうして、第1基板を得た。その後、この第1基板をオーブンに入れて酸化チタンナノ粒子ペーストを500℃で2時間焼成した。こうして、FTO膜上に、表1に示す通りの厚さ4.7μmの吸収層からなる多孔質酸化チタン層を形成し、作用極を得た。
光電変換素子は以下のようにして作製した。
はじめに、電極基板として10cm×10cmの寸法を有するFTOガラス(製品名「TEC−7」、日本板硝子社製)を準備した。そして、この電極基板上にスクリーン印刷により、平均粒径18nmの酸化チタンナノ粒子を含有する酸化チタンナノ粒子ペーストを塗布して50mm×50mmの膜を作製し、150℃で10分間乾燥させた。こうして、第1基板を得た。その後、この第1基板をオーブンに入れて酸化チタンナノ粒子ペーストを500℃で2時間焼成した。こうして、FTO膜上に、表1に示す通りの厚さ4.7μmの吸収層からなる多孔質酸化チタン層を形成し、作用極を得た。
次に、作用極の上に、バイネルからなり開口を有する厚さ35μmの封止部形成体を配置した。このとき、封止部形成体の開口に、多孔質酸化チタン層が配置されるようにした。そして、熱可塑性樹脂シートを減圧下、180℃で1分間加熱し溶融させて作用極に接着させた。
次に、光増感色素であり下記構造式で表されるD35((E)−3−(5−(4−(ビス(2’,4’−ジブトキシ−[1,1’−ビフェニル]−4−イル)アミノ)フェニル)チオフェン−2−イル)−2−シアノアクリル酸)を、アセトニトリルとtert−ブチルアルコールの1:1混合溶媒中に濃度0.1mMの濃度で溶かして色素溶液を作製した。そして、この色素溶液中に上記作用極を24時間浸漬させ、多孔質酸化チタン層に光増感色素を担持させた。
次に、上記のようにして調製した電解質を滴下法によって、作用極に多孔質酸化チタン層を覆うように塗布した。こうして積層体を得た。
一方、56mm×56mm×40μmの寸法のチタン箔を準備し、このチタン箔に白金をスパッタさせて対向基板を得た。
次に、対向基板の上に、バイネルからなり開口を有する厚さ35μmの封止部形成体を配置した。そして、封止部形成体を減圧下、180℃で1分間加熱し溶融させて対向基板に接着させた。
そして、対向基板に接着させた封止部形成体と、上記積層体の封止部形成体とを、互いに重なり合うように配置した後、封止部形成体を180℃の熱板で加圧しながら、減圧下(50hPa)で加熱溶融することによって貼り合わせた。
こうして光電変換素子を得た。このとき、封止部形成体は封止部となった。また、極間距離(電極基板と対向基板との間の最短距離)は表1に示す通り7μmであった。
(実施例2)
酸化チタン層の厚さ、極間距離(電極基板と対向基板との間の最短距離)を表1に示す通りとし、色素を光増感色素であるY123(3−(6−(4−(ビス(2’,4’−ジヘキシルオキシビフェニル−4−イル)アミノ)フェニル)−4,4−ジヘキシル−シクロペンタ−[2,1−b:3,4−b’ ]ジチオフェン−2−イル)−2−シアノアクリル酸)としたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。
酸化チタン層の厚さ、極間距離(電極基板と対向基板との間の最短距離)を表1に示す通りとし、色素を光増感色素であるY123(3−(6−(4−(ビス(2’,4’−ジヘキシルオキシビフェニル−4−イル)アミノ)フェニル)−4,4−ジヘキシル−シクロペンタ−[2,1−b:3,4−b’ ]ジチオフェン−2−イル)−2−シアノアクリル酸)としたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。
(実施例3〜4)
酸化チタン層の厚さ、極間距離(電極基板と対向基板との間の最短距離)表1に示す通りとしたこと以外は実施例2と同様にして光電変換素子を作製した。
酸化チタン層の厚さ、極間距離(電極基板と対向基板との間の最短距離)表1に示す通りとしたこと以外は実施例2と同様にして光電変換素子を作製した。
(実施例5)
実施例1の電解液において、二価銅錯体(Cu(II)錯体)である[Cu(dmp)2]2+の濃度C2のみを0.002Mとした電解液を用い、酸化チタン層の厚さ、極間距離(電極基板と対向基板との間の最短距離)を表1に示す通りとしたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。この際の銅錯体の合計濃度Cは0.102Mであり、合計濃度Cに占めるCu(II)錯体の濃度比率Rは2.0%であった。
実施例1の電解液において、二価銅錯体(Cu(II)錯体)である[Cu(dmp)2]2+の濃度C2のみを0.002Mとした電解液を用い、酸化チタン層の厚さ、極間距離(電極基板と対向基板との間の最短距離)を表1に示す通りとしたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。この際の銅錯体の合計濃度Cは0.102Mであり、合計濃度Cに占めるCu(II)錯体の濃度比率Rは2.0%であった。
(参考例1)
電解質として、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド(DMPImI)が0.60M、I2が0.010M、1−ブチルベンゾイミダゾールが0.10Mであるメトキシプロピオニトリル溶液からなるヨウ素系電解質を用い、酸化チタン層の厚さ、極間距離(電極基板と対向基板との間の最短距離)及び色素の種類をそれぞれ表1に示す通りにしたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。なお、参考例1は、電解質としてヨウ素系電解質を用い、色素としてルテニウム錯体色素を用いた光電変換素子において最高性能を示す例である。参考例1の光電変換素子では、酸化チタン層の厚さが13.2μmと大きいことが必要であり、この厚さより小さい光電変換素子では光電変換特性が低下することが確認されている。
電解質として、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド(DMPImI)が0.60M、I2が0.010M、1−ブチルベンゾイミダゾールが0.10Mであるメトキシプロピオニトリル溶液からなるヨウ素系電解質を用い、酸化チタン層の厚さ、極間距離(電極基板と対向基板との間の最短距離)及び色素の種類をそれぞれ表1に示す通りにしたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。なお、参考例1は、電解質としてヨウ素系電解質を用い、色素としてルテニウム錯体色素を用いた光電変換素子において最高性能を示す例である。参考例1の光電変換素子では、酸化チタン層の厚さが13.2μmと大きいことが必要であり、この厚さより小さい光電変換素子では光電変換特性が低下することが確認されている。
(比較例1〜3)
酸化チタン層の厚さ、極間距離(電極基板と対向基板との間の最短距離)及び色素を表1に示す通りとしたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。
酸化チタン層の厚さ、極間距離(電極基板と対向基板との間の最短距離)及び色素を表1に示す通りとしたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。
(比較例4)
電解質として、参考例1と同一のヨウ素系電解質を用い、酸化チタン層の厚さ、極間距離(電極基板と対向基板との間の最短距離)及び色素の種類をそれぞれ表1に示す通りにしたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。
電解質として、参考例1と同一のヨウ素系電解質を用い、酸化チタン層の厚さ、極間距離(電極基板と対向基板との間の最短距離)及び色素の種類をそれぞれ表1に示す通りにしたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。
上記のようにして作製した実施例1〜5、参考例1及び比較例1〜4の光電変換素子について、白色LEDを用い、1000ルクス下で短絡電流密度Jsc(μA/cm2)、Voc(V)、FF、出力密度(μW/cm2)及び出力Pmax(μW)を測定した。結果を表1に示す。また、参考例1の出力密度を基準(100%)とする下記式で表される性能向上率(%)を算出した。結果を表1に示す。
性能向上率(%)=100×出力密度/参考例1の出力密度
性能向上率(%)=100×出力密度/参考例1の出力密度
表1に示すように、実施例1〜5の光電変換素子は、参考例1及び比較例4、並びに、比較例1〜3の光電変換素子に比べて、光電変換特性の指標となる出力が顕著に高い値を示していた。
なお、実施例1〜5ではいずれも開放電圧Vocが高い値(0.9V以上)を示しており、短絡電流値の低下も抑制されていた。これに対し、電解質として、ヨウ素系レドックスを用いた参考例1及び比較例4では開放電圧Vocが低い値を示していた。
また、酸化物半導体層の厚さが2.1〜4.7μmの範囲を外れるか又は極間距離が4〜7μmの範囲を外れる比較例1〜3では、短絡電流が顕著に低い値を示すか、又は開放電圧Vocが低い値を示していた。
なお、表1の結果より、すべての実施例において、ヨウ素系電解質を用い、最高性能を示すとされる参考例1の光電変換素子よりも性能向上率が大きくなっていることが分かった。従って、本発明の光電変換素子によれば、ヨウ素系電解質を用いた光電変換素子よりも光電変換特性を向上させることができることが確認された。
以上より、本発明の光電変換素子は、Cu(II)錯体の濃度比率Rを2.0%以上3.8%以下とし、酸化物半導体層の厚さを2.1μm以上4.7μm以下とし、極間距離を4μm以上7μm以下とすることで、2000ルクス以下の低照度下で光電変換特性を向上させることができることが確認された。
本発明の光電変換素子は、2000ルクス以下の低照度下で光電変換特性を向上させることができるため、2000ルクス以下の低照度下で発電を行い、各種装置の動作させるエナジーハーべスティング電源として有用である。
10…電極基板
20…対向基板
30…酸化物半導体層
40…電解質
60…光電変換セル
100…光電変換素子
20…対向基板
30…酸化物半導体層
40…電解質
60…光電変換セル
100…光電変換素子
Claims (2)
- 光電変換セルを備え、
前記光電変換セルが、
電極基板と、
前記電極基板に対向する対向基板と、
前記電極基板に設けられる酸化物半導体層と、
前記電極基板及び前記対向基板の間に設けられる電解質とを備え、
前記電解質が、レドックスとして、一価銅錯体及び二価銅錯体を含み、
下記式で表される二価銅錯体の濃度比率Rが2.0%以上3.8%以下であり、
前記酸化物半導体層の厚さが2.1μm以上4.7μm以下であり、
前記電極基板と前記対向基板との間の距離の最小値が4μm以上7μm以下である光電変換素子。
R=100×C2/(C1+C2)
(上記式中、C1は前記一価銅錯体の濃度(M)を表し、C2は前記二価銅錯体の濃度(M)を表す。) - 前記電解質中の前記一価銅錯体の濃度C1と前記二価銅錯体の濃度C2の合計濃度が0.102M以上0.104M以下である、請求項1に記載の光電変換素子。
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