JP2021025146A - セルロースナノファイバー成形体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】強度の高いセルロースナノファイバー成形体を実現する製造方法を提供する。【解決手段】セルロースナノファイバー成形体の製造方法は、セルロースナノファイバーを含有する板状の第一前駆体11を加温容器30の表面に担持する担持工程、加温容器30に担持された第一前駆体11を赤外線で加温して板状の第二前駆体12を得る予備成形工程、及び、第二前駆体12を金型で加圧しながら加熱して成形する成形工程、を含む。【選択図】図5

Description

本発明は、セルロースナノファイバー成形体の製造方法に関する。
セルロースナノファイバーは、通常、水分散状態のパルプ等を微細化することにより得られる。従って、セルロースナノファイバーのスラリ(水分散液)からセルロースナノファイバーの成形体を得ようとする場合、スラリを脱水して成形する必要がある(例えば、特許文献1、2)。
特許文献1には、セルロースナノファイバー成形体の製造方法が記載されている。この方法では、メッシュ状部材を介してセルロースナノファイバーを含むスラリを脱水する工程を備え、当該脱水工程において、当該スラリに対する加圧力を段階的又は連続的に高める。セルロースナノファイバーのスラリを機械的な加圧により脱水する場合、水と共にCNFが流出してしまう場合があるが、上記方法によれば、セルロースナノファイバーの流出を抑制しつつ、効率的な脱水を行うことができる。
特許文献2には、セルロースナノファイバーの成形方法及びその成形方法によって得られるCNF成形体が記載されている。この方法では、セラミック(セラミックス)や樹脂等の素材の多孔質体と、一方が開放された矩形のステンレス枠とを重ねた型枠にセルロースナノファイバー含有スラリを入れて、別の多孔質体をそのセルロースナノファイバー含有スラリの上に置く。その際、セルロースナノファイバー含有スラリをメッシュやメンブレンで包むことによって型枠と多孔質体との隙間からのリークや多孔質体の目詰まりを抑制できる。
特開2018−059236号公報 特開2016−094683号公報
セルロースナノファイバーは、お互いの物理的な絡み合いや水素結合により強固に結合させることで強度の高い成形体を形成可能な素材である。しかし、特許文献1、2に記載された方法では、十分な強度のセルロースナノファイバー成形体を得られない場合があった。
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、強度の高いセルロースナノファイバー成形体を実現する製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係るセルロースナノファイバー成形体の製造方法の特徴は、セルロースナノファイバーを含有する板状の第一前駆体を加温容器に担持する担持工程、前記加温容器に担持された前記を赤外線で加温して板状の第二前駆体を得る予備成形工程、及び前記第二前駆体を金型で加圧しながら加熱して成形する成形工程、を含む点にある。
上記方法によれば、担持工程においては、加温容器に板状(厚みのある膜状)の第一前駆体を担持することで、加温する際に第一前駆体の形状を保つことができる。なお、上記構成において、第二前駆体は成形工程によって得られるセルロースナノファイバー(以下ではCNFと記載する場合がある)の成形体(以下では単に成形体と記載する)の前駆体である。また、第一前駆体は第二前駆体の前駆体である。
上記方法によれば、予備成形工程において、加温容器に担持した第一前駆体の加温は赤外線(特に、遠赤外線)の照射により行われる。赤外線が第一前駆体に照射されることで、CNFの分子に赤外領域のエネルギーが与えられ、化学結合(特にヒドロキシ基)の振動が生じる。この振動により、例えばCNFの分子の側鎖同士が近接するなどして、CNFの分子間の水素結合が促進される。すなわち、第一前駆体を赤外線で加温することで、水素結合が促進された第二前駆体を得ることができる。その結果、成形体の強度(例えば、引張弾性率や曲げ弾性率)が向上する。なお、予備成形工程においては、加温は水素結合の促進を目的しており、必ずしも乾燥を進行させなくてもよい。
本発明に係るセルロースナノファイバー成形体の製造方法の更なる特徴は、前記加温容器はセラミックスで形成されており、前記予備成形工程は、前記加温容器が放射する赤外線により前記第一前駆体を加温する点にある。
上記方法によれば、加温容器はセラミックスで形成されている。例えばセラミックス製の加温容器を電熱ヒータなどで加熱すれば、セラミックスから赤外線(特に、遠赤外線)が放射され、当該放射された赤外線が第一前駆体に照射される。すなわち、セラミックス製の加温容器を用いることで、第一前駆体の担持と赤外線による加温とを実現できる。
本発明に係るセルロースナノファイバー成形体の製造方法の更なる特徴は、前記加温容器は、水蒸気の通過を許容する孔が多数形成された多孔質体であり、前記予備成形工程は、前記第一前駆体に含まれる水分が蒸発した水蒸気を、前記加温容器の前記孔を介して外部へ逃がす点にある。
上記方法によれば、加温容器は孔が多数形成された多孔質体からなる。予備成形工程においては、第一前駆体が加温されるため、第一前駆体から水分が蒸発するが、加温容器を多孔質体とすることで、第一前駆体における加温容器との対向面から蒸発した水分(水蒸気)を、加温容器の孔を透過させて外部に逃がすことができる。これにより、蒸発した水分が第一前駆体の表面で凝縮したり、加温容器と第一前駆体との境界面に水蒸気が滞留したりするなどして、成形体の品質不良の原因となることを防止できる。
本発明に係るセルロースナノファイバー成形体の製造方法の更なる特徴は、前記担持工程は、前記第一前駆体と前記加温容器との間にセロファンを介在させて担持する点にある。
上記方法によれば、セロファンは水蒸気を透過するため、予備成形工程における加温中に第一前駆体から生じた水蒸気を外部に逃がすことができる。また、上記構成によれば、第一前駆体をセロファンで保持しつつ金型へ移し替えることができる。なお、上記方法によれば、加温容器が多孔質体である場合、第一前駆体が加温容器の孔に流入することを防止して、多孔質体としての加温容器の目詰まりを防止できる。
本発明に係るセルロースナノファイバー成形体の製造方法の更なる特徴は、前記金型は、第一金型と、前記第一金型に相対する第二金型とを含み、前記第二前駆体は、前記第一金型と前記第二金型との間に載置されて加圧され、前記第二金型における前記第二前駆体に接する表面が、網状部材で被覆されている点にある。
上記方法によれば、金型内(第一金型と第二金型との間)に仕込まれた第二前駆体の形状を保ち、所望の形状の成形体を得ることができる。すなわち、網状部材の網目の摩擦力により第二前駆体が保持されて、第二前駆体の一部が移動する(崩れる)ことを防ぎ、これにより第二前駆体の一部が薄くなったり破れたりすることを防止することができる。その結果、所望の形状の成形体を得ることができるのである。
本発明に係るセルロースナノファイバー成形体の製造方法の更なる特徴は、前記担持工程の前に、セルロースナノファイバー含有スラリをマイクロ波加熱により濃縮して前記第一前駆体を得る濃縮工程をさらに含み、前記濃縮工程は、有底筒状の濃縮容器に前記セルロースナノファイバー含有スラリを投入する投入工程と、前記濃縮容器中の前記セルロースナノファイバー含有スラリの表面における中央部分を蓋部材で覆う被覆工程と、を含む点にある。
上記方法によれば、第一前駆体よりも含水率の高いセルロースナノファイバー含有スラリをマイクロ波加熱することでスラリ中の水分を蒸発させて濃縮し、第一前駆体を得ることができる。セルロースナノファイバー含有スラリの濃縮は、有底筒状の濃縮容器にセルロースナノファイバー含有スラリを投入し、濃縮容器内に貯留(投入)されたセルロースナノファイバー含有スラリにマイクロ波加熱装置などでマイクロ波を照射する(マイクロ波加熱)ことで行う。伝熱による加熱の場合には、スラリの内部に比べて伝熱容器壁面近傍のスラリが相対的に加熱されやすい。そのため、伝熱による加熱により乾燥速度を高めようとすれば、加熱容器近傍のスラリが過剰な速度で乾燥して局所的な過乾燥が生じてしまい、CNFが水素結合で強化される前に紙状の構造を形成して成形体の強度が低下してしまう不具合が生じることがある。しかし、マイクロ波加熱によれば、容器中でスラリ全体を加熱することができるため、局所的な過乾燥を生じさせることなく、乾燥の速度を早くして、濃縮に要する時間を短縮する(生産効率を向上させる)ことができる。
上記方法によれば、マイクロ波加熱する際、セルロースナノファイバー含有スラリの表面における中央部分は蓋部材で覆われる。これにより、マイクロ波加熱装置などでマイクロ波の照射を受けやすく、貯留されたセルロースナノファイバー含有スラリにおける濃縮容器の側壁近傍部分(貯留されたセルロースナノファイバー含有スラリの外周部分)よりも相対的に乾燥が進行しやすくなる中央部分の過剰な速度での乾燥の進行を防ぎ、中央部分と外周部分との乾燥速度を均質化することができる。これにより、中央部分が過剰な速度で乾燥して局所的な過乾燥が生じて、CNFが水素結合で強化される前に紙状の構造を形成して成形体の強度が低下してしまう不具合を防止できる。
本発明に係るセルロースナノファイバー成形体の製造方法の更なる特徴は、前記予備成形工程は、前記加温容器の表面温度を50℃以上120℃以下に保ち、前記第二前駆体中の前記セルロースナノファイバー同士の水素結合を促進するエージング工程を含む点にある。
上記方法によれば、予備成形工程における第一前駆体の温度を50℃以上120℃以下に保つことができる。これにより、水素結合が進行する前に第一前駆体が乾燥してしまうことを防いてCNF分子の移動やその側鎖の振動や移動を許容しつつ、CNF分子同士の水素結合を促進することができる。なお、予備成形工程においても濃縮工程と同様に、過剰な速度で乾燥が進行すると、第一前駆体中のCNFが紙状の構造を形成して成形体の強度が低下してしまう不具合が生じる場合がある。
濃縮工程を説明するための濃縮容器内部の模式断面図 濃縮工程の終了時の状態を説明するための濃縮容器内部の模式断面図 安定化工程を説明するための濃縮容器内部の模式断面図 担持工程を説明するための加熱容器内部の模式断面図 予備成形工程を説明するための模式図 剥離工程の説明図 成形工程における金型による成形を説明するための模式断面図 成形工程におけるプレス機による金型の圧縮状態を説明するための模式図 成形品の平面図 成形品の形状を説明するための模式断面図
〔製造方法の概要〕
本実施形態のセルロースナノファイバー成形体の製造方法は、セルロースナノファイバー含有スラリをマイクロ波加熱により濃縮して第一前駆体を得る濃縮工程、セルロースナノファイバーを含有する板状の第一前駆体を加温容器の表面に担持する担持工程、加温容器に担持された第一前駆体を赤外線で加温して板状の第二前駆体を得る予備成形工程、及び、第二前駆体を金型で加圧しながら加熱して成形する成形工程を、この順に実行することで、強度(例えば、引張弾性率や曲げ弾性率)の高いセルロースナノファイバー成形体を実現する。
本実施形態におけるセルロースナノファイバー(以下ではCNFと記載する場合がある)とは、微細なセルロース繊維のことをいい、例えば、繊維幅(繊維の直径、以下では繊維径と称する)が1nm以上150nm以下、繊維長は、3nm以上300μm未満のものである。CNFの平均の繊維長は、例えば電子顕微鏡(SEM)による画像解析によって計測することができる。CNFの平均の繊維径は、上記繊維長と同様に、電子顕微鏡による画像解析によって計測することができる。CNFは、例えば、パルプ(パルプ繊維)等の植物原料を解繊して得られるものを用いることができる。
本実施形態におけるセルロースナノファイバー含有スラリ(CNF含有スラリ)における、CNFの含有量は、0.5質量%以上10%未満とするのが良く、特に2質量%以上6質量%未満とするのが好ましい。
以下では、図面を参照しつつ、セルロースナノファイバー成形体(以下では単に成形体と記載する)の製造方法について、具体例を挙げつつ説明する。
〔濃縮工程〕
濃縮工程では、図1に示すように、CNF含有スラリ(例えば、CNFを3重量%含有する水分散体、以下では、単にスラリ10と記載する)にマイクロ波W(例えば、周波数2.45GHz)を照射して加熱し、スラリ10を濃縮して第一前駆体11(図2参照)を得る。濃縮工程では、後述するように、投入工程、被覆工程、MW照射工程、及び安定化工程が行われる。
濃縮工程では、有底筒状の濃縮容器20と、透水性膜材41,42と、板状の蓋部材25とを用いる。
濃縮容器20は、例えば円筒状の筒部21と、筒部21と別部材の底板22とを含む。底板22は、多孔性のセラミックスで形成された板である。底板22は、その多孔性により、水蒸気がその板面を透過することを許容する。筒部21は、本実施形態では底板22と同様に多孔性のセラミックスで形成された筒である。筒部21の筒の直径は例えば5cmである。
透水性膜材41,42は、水や水蒸気の透過を許容する膜材料である。本実施形態の透水性膜材41,42は、セルロースを基材とした薄膜(セルロースで形成されたフィルム、いわゆるセロファン)である。透水性膜材41,42の厚みは、セロファンの場合、例えば、約30μm(300g/m)である。
蓋部材25は、筒部21の内径よりもやや小さい直径(例えば80%)で、その材質が例えばポリイミド製の板(例えば、厚み1.5mm)である。蓋部材25の板面は、水蒸気の透過を許容しない。
濃縮工程では、図1に示すように、底板22を覆うように透水性膜材41を敷き、次に、筒部21をその透水性膜材41上に載置する。この載置の際、本実施形態では、筒部21の底面の全周と底板22の上面との間に透水性膜材41を挟み込んでいる。
次に、濃縮容器20(透水性膜材41上に)に、所定量(例えば、15g)を計量したスラリ10を流し込むなどして投入する(投入工程の一例)。スラリ10は、濃縮容器20内で透水性膜材41上に展延し、厚みのある膜状(例えば、厚みが3mmから5mm)になる。なお、スラリ10のCNFの含有量は、例えば3質量%である。
スラリ10を透水性膜材41上に展延後、さらに、スラリ10の表面を蓋部材25で覆う。このように覆う際、蓋部材25は、スラリ10の上面(表面)における中央部分、すなわち、筒部21の全内周と離間する位置に配置する(以上、被覆工程の一例)。
その後、蓋部材25でスラリ10の表面を覆った状態で、濃縮容器20ごと例えば工業用の電子レンジ(マイクロ波加熱装置、図示せず)の槽内に投入するなどして、マイクロ波Wをスラリ10に照射してスラリ10を加熱する(以下ではMW照射工程と称する)。このマイクロ波加熱により、スラリ10から水分が蒸発し、濃縮されて第一前駆体11(図2参照)を得る。なお、図1、2は、本実施形態の説明ため、寸法やその比率はデフォルメして図示しており、スラリ10、第一前駆体11、及び透水性膜材41等の厚みなどは、実際の寸法や比率に対して厚肉に描かれている。後述する図3以降の図面についても同様である。
スラリ10の上面中央部分を蓋部材25で覆うことで、中央部分と外周部分との乾燥速度を均質化することができる。スラリ10の中央部分は電子レンジ内でマイクロ波Wの照射を受けやすく、濃縮容器20の側壁近傍部分よりも相対的に乾燥が進行しやすいので、蓋部材25で覆うことにより、中央部分の過剰な速度での乾燥の進行(局所的な過乾燥)や、これに伴うひび割れなどの乾燥不良を防ぐことができる。また、局所的な過乾燥の防止により、CNFが水素結合で強化される前に紙状の構造を形成して成形体の強度が低下してしまう不具合を防止することもできる。
スラリ10から蒸発した水分(水蒸気)の一部は、スラリ10の上面における蓋部材25で覆われていない部分から外部へ漏出する。スラリ10から蒸発した水分の他の一部は、透水性膜材41を透過し、さらに多孔性のセラミックスの板である底板22を透過して外部へ漏出する。透水性膜材41をスラリ10と底板22との間に介在させることで、スラリ10から蒸発した水分が底板22を透過して外部へ漏出する際に、CNFが底板22の孔に侵入して目詰まりすることを防止できる。
MW照射工程では、スラリ10が含有する水分のおよそ半分を蒸発させる。MW照射工程は、例えばスラリ10について15gあたり、200Wの出力で、合計4分から8分程度行うのが好ましく、本実施形態では6分間マイクロ波Wを照射する場合を例示して説明する。マイクロ波Wの照射により、例えば、約7.5gの第一前駆体11(図2参照)が得られる。200Wを超える出力でマイクロ波Wを照射する場合は、その出力におよそ反比例させて照射時間を短縮するとよい。過剰に長時間マイクロ波Wを照射(加熱)すると、CNFが水素結合で強化される前に第一前駆体11の内部で紙状の構造を形成して成形品13(セルロースナノファイバー成形体の一例、図8参照)の強度が低下してしまう不具合が生じることがある。マイクロ波Wの照射時間は、スラリ10に対して第一前駆体11(図2参照)の質量が45%から55%となる程度に調整すると良い。
MW照射工程では、濃縮容器20内においてスラリ10を所定の時間間隔で上下反転させてもよい。例えば、まず、2分間マイクロ波Wを照射し、スラリ10を反転させる。更に2分間マイクロ波Wを照射し、反転させる。再度1分間マイクロ波Wを照射し、反転させる。最後に1分間マイクロ波Wを照射し、MW照射工程を終了して第一前駆体11(図2参照)を得る。第一前駆体11は、その外周の外形が筒部21の筒の内周側の形状に沿う、柔らかいゲル状で板状(円板状)の形状に成形される。
上記MW照射工程の後、第一前駆体11を一定時間(例えば5分間)放置(以下では安定化工程と称する)するとよい。安定化工程により、第一前駆体11を放置することで、第一前駆体11中における各部(例えば、上下面間や、中央付近と外周付近)の水分量のバラつきが低減して均質化する。
安定化工程では、図3に示すように、第一前駆体11を透水性膜材42で覆い、第一前駆体11を二枚の透水性膜材41,42で包んだ状態にする。これにより、第一前駆体11から水分が蒸発しにくくなって、安定化工程における第一前駆体11の水分量のバラつきがより一層均質化する。
安定化工程では、図3に示すように、濃縮容器20に容器蓋29で蓋をするとよい。容器蓋29で濃縮容器20の内部と外部とを遮断して空気の入れ替わりを阻害し、濃縮容器20の内部に放置された第一前駆体11の乾燥の進行を一時的に停止させることで、安定化工程における第一前駆体11の水分量のバラつきがより一層均質化する。本実施形態では、容器蓋29として多孔性のセラミックスの板を用いている。容器蓋29として多孔性のセラミックスの板を用いることで、濃縮容器20の内部の湿度を高めつつも、容器蓋29や濃縮容器20の内側面に結露したり、結露水が第一前駆体11に戻って第一前駆体11の水分量のバラつきを生じさせたりする不具合を防止できる。
〔担持工程〕
担持工程では、図4に示すように、第一前駆体11を加温容器30に移し替える。加温容器30は、例えば高さの低い円筒状の胴部31の一端が閉じられた底部32になる有底筒状(皿状)の容器である。加温容器30は、多孔性のセラミックス(例えば、アルミナセラミックス、多孔質体の一例)で形成されている。加温容器30は、その多孔性により、胴部や底面からの水蒸気の透過を許容する。加温容器30の胴部31の直径は例えば4.9cmである。
担持工程では、濃縮容器20から第一前駆体11を取出し、第一前駆体11を加温容器30の筒の内側領域における底部32上に敷く(担持の一例)。濃縮容器20から第一前駆体11を取出す際は、透水性膜材41,42で第一前駆体11が包まれたまま、透水性膜材41,42ごと取り出す。そして、透水性膜材41もしくは透水性膜材42の何れか一方が底部32に接する位置関係で、透水性膜材41,42ごと、第一前駆体11を底部32上に敷く。この際、第一前駆体11及び透水性膜材41,42は、しわが寄らないようにしつつ底部32上に敷くとよい。なお、図4では、透水性膜材41が底部32に接している場合を図示している。
第一前駆体11を底部32上に敷いた後、第一前駆体11上に、錘部材35を載置する。なお、錘部材35は、ステンレスなどの金属製の重量物であり、例えば直径が加温容器30の内径よりもやや小さい(例えば80%)の円柱状の部材である。図4では、透水性膜材42上に錘部材35を載置した場合を図示している。錘部材35を第一前駆体11上に載置することで、第一前駆体11を底部32に押し付けて、第一前駆体11にしわがよることを防止できる。
〔予備成形工程〕
予備成形工程では、図5に示すように、加温容器30中で第一前駆体11に所定時間、遠赤外線I(赤外線の一例)を照射してCNF同士の水素結合を促進させて、第二前駆体12を得るIR照射工程(エージング工程の一例)と、第二前駆体12から透水性膜材41,42を剥離する剥離工程とを行う。
IR照射工程は、セラミックス製の加温容器30の底部32を、例えば電熱コイルなどの発熱体を有する加熱装置39で加熱することで、加温容器30(底部32)から遠赤外線Iを放射させ、この遠赤外線Iを第一前駆体11に照射することで行う。
IR照射工程では、遠赤外線Iを第一前駆体11に照射することで、CNFの分子に赤外領域のエネルギーを与え、化学結合(特にヒドロキシ基)に振動を生じさせる。この振動により、例えばCNFの分子の側鎖同士が近接するなどして、CNFの分子間の水素結合が促進される。すなわち、第一前駆体11を遠赤外線Iで加温することで、水素結合が促進された第二前駆体12を得ることができる。その結果、後述する成形品13(図8参照)の強度が向上する。
加温容器30の加熱は、加熱装置39の伝熱面39a上に加温容器30を載置してから加熱装置39の電熱コイルなどに通電開始してもよいし、あらかじめ通電等して余熱された加熱装置39の伝熱面39a上に加温容器30を載置してもよい。本実施形態では、あらかじめ通電等して約100度に余熱された加熱装置39の伝熱面39a上に、上述の担持工程終了後(図4参照)の加温容器30を載置して加温容器30の加熱を開始する場合を例示して説明する。
第一前駆体11への遠赤外線Iの照射(加熱装置39による加温容器30の加熱)は、例えば加熱装置39の伝熱面39aと伝熱可能に接触している加温容器底部32の受熱面32a(加温容器の表面の一例)の温度(表面温度の一例)を50℃以上120℃以下程度に設定して行うのが好ましい。本実施形態では100℃に設定する場合を例示して説明する。受熱面32aの温度が120℃よりも高いと、CNFが水素結合で強化される前に、底部32からの伝熱で第一前駆体11が加熱されて乾燥し、内部で紙状の構造を形成して成形品13の強度が低下してしまう不具合が生じることがある。受熱面32aの温度が50℃よりも低いと、加温容器30から放射される遠赤外線Iが微弱になり、CNF同士の水素結合を十分に促進できない場合がある。
IR照射工程では、必ずしも第一前駆体11の乾燥を進行させる必要はなく、第一前駆体11の温度を所定範囲(加温容器底部32の受熱面32aの温度よりもやや低い温度、例えば45℃から115℃)に保つことで、遠赤外線Iの照射によるCNFの化学結合の振動を促進して水素結合の促進を促すことができればよい。すなわち、受熱面32aの温度が50℃よりも低いとCNFの分子運動の低下に伴いCNFの化学結合の振動が抑制されるため水素結合が促進されず、好ましくない。また、受熱面32aの温度が120℃よりも高くなると、第一前駆体11中の水分減少により水素結合が進む前に乾燥し、紙状物質となるため、好ましくない。
第一前駆体11への遠赤外線Iの照射時間(加熱装置39による加温容器30の加熱時間)は、5分から15分とするのが好ましい。本実施形態では10分間照射する場合を例示して説明する。照射時間は、加温容器底部32の受熱面32aの温度が高い場合に短くしてもよく、受熱面32aの温度が低い場合は長くすると良い。例えば、受熱面32a温度が120℃の場合は照射時間を6分とする。例えば、受熱面32aの温度が50℃の場合は照射時間を15分とする。
IR照射工程では、加温容器30からの伝熱と遠赤外線Iの照射とにより第一前駆体11が加熱され、第一前駆体11に含まれる水分が蒸発する。第一前駆体11から蒸発した水分の一部は、透水性膜材42を透過して外部に放出される。第一前駆体11から蒸発した水分の他の一部は、透水性膜材41を透過し、さらに多孔性のセラミックス製の加温容器30を透過して外部に放出される。
IR照射工程では、加温容器30内において第一前駆体11を所定の時間間隔で上下反転させてもよい。本実施形態では、5分間加熱して第一前駆体11を反転させ、更に5分間加熱して第二前駆体12を得る場合を例示して説明する。第二前駆体12は、第一前駆体11とは異なり、ある程度の剛性のある板状(円板状)の形状に成形される。
IR照射工程を終えた後、図6に示すように透水性膜材41,42ごと第二前駆体12を加温容器30から取り出して、透水性膜材41,42を第二前駆体12から剥離し、第二前駆体12を単離する(剥離工程)。
〔成形工程〕
成形工程では、図7に示すように、金型50で第二前駆体12を挟み込み、図8に示すようにプレス機60で圧縮(プレス)しつつ加熱することで成形品13を得る。
金型50は、図7に示すように、一対の上型51(第一金型の一例)と下型52(第二金型の一例)とを含む。金型50は、上型51と下型52との間に第二前駆体12を挟み込み、プレス機60により圧縮されることで第二前駆体12を変形させて成形する。
プレス機60による圧縮時の上型51と下型52との間の圧力(以下、単にプレス圧力と記載する)は、例えば1MPaから20MPaの圧力に設定される。プレス圧力は、典型的には、3MPaから8MPaである。プレス圧力を適切な範囲(1MPaから20MPaの範囲)で増減させることで、成形品13の密度を増減させることができる。例えば、成形品13の密度を増大させたい場合は、プレス圧力を大きくし、成形品13の密度を低下させたい場合は、プレス圧力を低下させる。
上型51は、例えば下面に、凹部51aと、凹部51aの外周を環状に囲う凸部51bとを形成されている。また、下型52は、上面に、凹部51aに嵌り込む凸部52aと、凸部51bが嵌り込む凹部52bとが形成されている。下型52の上面(第二前駆体12に接する表面)は、当該上面に沿う形状に形成された金網55(網状部材)で覆われている。第二前駆体12は、上型51の凹部51aや凸部51b、下型52の凸部52aや凹部52bの形状に沿う形に成形されて成形品13になる。
第二前駆体12を成形する際、金型50は、プレス機60から供給される熱で第二前駆体12を加熱しながら成形する。第二前駆体12の成形時に加熱することで、第二前駆体12を十分に乾燥させつつ第二前駆体12が破れるなどの成形不良を防止できると共に、成形品13の強度(特に、引張弾性率)を増大させることができる。
金型50の成形時の温度は、例えば100℃から150℃に設定される。金型50の成形時の温度を適切な範囲(100℃から150℃の範囲)で増減させることで、成形品13の引張弾性率や曲げ弾性率を増減する調整を行える。成形品13の引張弾性率を増大させたい場合は、金型50の成形時の温度を高めに設定し、成形品13の引張弾性率を低下させたい場合は、金型50の成形時の温度を低めに設定する。
第二前駆体12を成形する際、金型50における上型51の温度と下型52の温度とを同じにしてもよいし、互いに違えてもよい。また、成形中に金型50の温度を変更してもよい。
金網55は、例えば金属細線を織り込んで形成した網目状の部材である。金網55は、平織、あや織などの通常の編み方で編まれた金網でよく、例えば100メッシュから200メッシュのものを用いるとよい。なお、金網55の規格は、JIS G 3555に基づいて説明している。
金網55は、下型52に対する第二前駆体12の滑り止めである。下型52と第二前駆体12との間に金網55が介在することで、上型51と下型52との間に挟み込まれた第二前駆体12の各部分が金網55との間の摩擦力により、上型51と下型52との挟み込みにより第二前駆体12が変形する際の破れ(以下では単に破れ現象と記載する)を防止する。なお、破れ現象は、上型51と下型52との挟み込みに伴い、第二前駆体12の一部について局所的な変形や移動(偏り)が生じることにより生じる。
プレス機60は、金型50を圧縮する装置である。プレス機60は、金型50などが乗せ置かれる台部66、台部66との間に金型50などを挟み込む天板65、台部66に対して天板65を近接離間させる油圧シリンダ(図示せず)などを内蔵した柱部69を備えている。プレス機60は、金型50を圧縮する際のスペーサ61,62、シースヒータなどの発熱体を有するヒータブロック63,64と共に用いる。以下では、単にプレス機60と記載した場合は、スペーサ61,62およびヒータブロック63,64を含む。
ヒータブロック63,64の温度は、図示しない温調機等により所定の値に維持される。また、柱部69による天板65の押し付け力、すなわちプレス圧力も、図示しない調節器等により所定の値に維持される。
図8には、第二前駆体12を挟み込んだ金型50をプレス機60で圧縮しながらヒータブロック63,64で加熱している状態を図示している。具体的には、台部66から順に、スペーサ62、ヒータブロック64、金型50、ヒータブロック63、スペーサ61、及び天板65の順に積み上げた状態で、天板65を柱部69の油圧シリンダにより、台部66に向けて押し付けている。なお、金型50は、上型51と下型52との間に第二前駆体12を挟み込んだ状態でヒータブロック64とヒータブロック63との間に配置している。
プレス機60による成形条件(金型50の温度、プレス圧力)は、所望の成形品13の形状や物性に合わせて適宜変更される。本実施形態では例えば、プレス機60による金型50の圧縮(第二前駆体12のプレス成形)は、例えば、二段階の工程に分けて、それぞれ条件を違えて行う。以下では本実施形態での一例を説明する。
第一段階の工程(以下、第一工程と記載する)では、上型51と伝熱可能に接触しているヒータブロック63の温度を100℃、下型52と伝熱可能に接触しているヒータブロック64の温度を150℃に設定する。プレス圧力は、5分間かけて徐々に(例えば、比例的に)、所定値(例えば、所定値として8MPa)まで高めていく。
第一工程を終了すると、引き続き第二段階の工程(以下、第二工程と記載する)を行う。第二工程では、ヒータブロック63の温度を150℃に設定変更する。ヒータブロック64の温度、およびプレス圧力は第一工程の設定を維持する。ヒータブロック63の温度が140℃を超えると、二分間経過後に第二工程を終了して成形品13を得る。第二工程の終了時は、ヒータブロック63,64の加熱を停止し、天板65のプレス圧力を開放する。その後、金型50をプレス機60から取出して所望の形状に成形された、薄板状の成形品13を回収する(図8、9参照)。
成形品13には、凹部51a,52aの形状が転写された第一転写部13aと、凸部51b,52bの形状が転写された第二転写部13bとが形成されている。成形品13は、このように所望の形状に形成されると共に、従来の方法では得られない、高い強度(例えば、1.0×10の10乗Pa)を有するセルロース薄板(例えば、厚み200μm)になる。
成形品13は、例えばスピーカの振動板などの音響機器やその他の構造部品に利用できる。成形品13は内部損失が大きく、音響機器(特にスピーカ)の高音質化を実現できる。スピーカの振動板以外の構造部品の一例は、家電製品や車載製品である。特に、軽量化と強度とを要求される車載製品の構造部品として好適である。
以上のようにして、セルロースナノファイバー成形体の製造方法は、強度の高いセルロースナノファイバー成形体を実現することができる。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、加温容器30は、多孔性である場合を例示したが、加温容器30が多孔性であることは必須ではない。
(2)上記実施形態では、加温容器30は、セラミックスで形成される場合を例示して説明した。しかし、加温容器30はセラミックスで形成される場合に限られず、加温容器30は赤外線(特に、遠赤外線)をより多く放射する材料で形成されていればよい。例えば、加温容器30はカーボンで形成されていてもよい。
(3)上記実施形態では、加温容器30から遠赤外線Iを放射させ、この遠赤外線Iを第一前駆体11に照射する場合を説明した。しかし、第一前駆体11は遠赤外線を照射されれば足り、加温容器30から放射される遠赤外線Iを照射される場合に限られない。例えば、カーボンヒータなどの遠赤外線の放射源を別に用意して、加温容器30に担持されて形状を保持された第一前駆体11に対して当該放射源から放射した遠赤外線を照射してもよい。
(4)上記実施形態では、濃縮工程において、底板22を覆うように透水性膜材41を敷き、透水性膜材41上にスラリ10を展延させた状態でマイクロ波Wをスラリ10に照射してスラリ10を加熱する場合を説明したが、透水性膜材41は必須ではない。
(5)上記実施形態では、濃縮工程において、蓋部材25でスラリ10の表面を覆った状態で、マイクロ波Wをスラリ10に照射してスラリ10を加熱する場合を説明したが、蓋部材25は必須ではない。
(6)上記実施形態では、下型52の上面が金網55で覆われている場合を例示して説明した。しかし、金網55は、下型52の上面を覆う場合に限られない。上型51の下面を金網55で覆う場合もある。この場合は、金網55は、上型51に対する第二前駆体12の滑り止めになり、破れ現象を防止できる。
(7)上記実施形態では、下型52の上面が金網55で覆われている場合を例示して説明した。しかし、下型52の上面を金網55で覆うことに代えて、下型52の上面に凹凸(例えば多数の突起や、網目状の溝)を設けてもよい。また、下型52に加えて、もしくは下型52に代えて、上型51の下面に凹凸を設けてもよい。この場合、凹凸は、上型51や下型52に対する第二前駆体12の滑り止めになり、破れ現象を防止できる。
(8)上記実施形態では、濃縮容器20(透水性膜材41上に)に、所定量を計量したスラリ10を流し込むなどして投入し、スラリ10を透水性膜材41上に展延後、さらに、スラリ10の表面を蓋部材25で覆う場合を説明した。本実施形態では、スラリ10の表面を蓋部材25で覆う以前に、スラリ10を脱泡してもよい。例えば濃縮容器20ごと減圧容器や遠心分離装置に投入するなどしてスラリ10を脱泡できる。
(9)上記実施形態では、CNFを3重量%含有する水分散体であるスラリ10から成形品13を形成する場合を例示したが、スラリ10はCNFのみを含有する場合に限定されない。スラリ10は、CNFに加えて、他の添加剤を含有してもよく、これにより、当該添加剤により機能性を付与された成形品13を得ることもできる。
添加剤の一例としては、例えば、ガラス微小中空球(いわゆる、グラスバブルズ)、セルロース球体、カーボンナノチューブが挙げられる。ガラス微小中空球やセルロース球体を添加すれば、成形品13の軽量化を実現できる。カーボンナノチューブを添加すれば、成形品13の更なる強度アップや、導電性の付与を実現できる。
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明は、セルロースナノファイバー成形体の製造方法に適用できる。
10 :スラリ
11 :第一前駆体
12 :第二前駆体
13 :成形品(セルロースナノファイバー成形体)
20 :濃縮容器
25 :蓋部材
30 :加温容器
41 :透水性膜材(セロファン)
42 :透水性膜材
50 :金型
51 :上型(第一金型)
52 :下型(第二金型)
55 :金網(網状部材)
60 :プレス機
61 :スペーサ
62 :スペーサ
63 :ヒータブロック
64 :ヒータブロック
65 :天板
66 :台部
I :遠赤外線(赤外線)
W :マイクロ波

Claims (7)

  1. セルロースナノファイバーを含有する板状の第一前駆体を加温容器に担持する担持工程、
    前記加温容器に担持された前記第一前駆体を赤外線で加温して板状の第二前駆体を得る予備成形工程、及び
    前記第二前駆体を金型で加圧しながら加熱して成形する成形工程、を含むセルロースナノファイバー成形体の製造方法。
  2. 前記加温容器はセラミックスで形成されており、
    前記予備成形工程は、前記加温容器が放射する赤外線により前記第一前駆体を加温する請求項1に記載のセルロースナノファイバー成形体の製造方法。
  3. 前記加温容器は、水蒸気の通過を許容する孔が多数形成された多孔質体であり、
    前記予備成形工程は、前記第一前駆体に含まれる水分が蒸発した水蒸気を、前記加温容器の前記孔を介して外部へ逃がす請求項1又は2に記載のセルロースナノファイバー成形体の製造方法。
  4. 前記担持工程は、前記第一前駆体と前記加温容器との間にセロファンを介在させて担持する請求項1から3の何れか一項に記載のセルロースナノファイバー成形体の製造方法。
  5. 前記金型は、第一金型と、前記第一金型に相対する第二金型とを含み、
    前記第二前駆体は、前記第一金型と前記第二金型との間に載置されて加圧され、
    前記第二金型における前記第二前駆体に接する表面が、網状部材で被覆されている請求項1から4の何れか一項に記載のセルロースナノファイバー成形体の製造方法。
  6. 前記担持工程の前に、セルロースナノファイバー含有スラリをマイクロ波加熱により濃縮して前記第一前駆体を得る濃縮工程をさらに含み、
    前記濃縮工程は、
    有底筒状の濃縮容器に前記セルロースナノファイバー含有スラリを投入する投入工程と、
    前記濃縮容器中の前記セルロースナノファイバー含有スラリの表面における中央部分を蓋部材で覆う被覆工程と、を含む請求項1から5の何れか一項に記載のセルロースナノファイバー成形体の製造方法。
  7. 前記予備成形工程は、前記加温容器の表面温度を50℃以上120℃以下に保ち、前記第二前駆体中の前記セルロースナノファイバー同士の水素結合を促進するエージング工程を含む請求項1から6の何れか一項に記載のセルロースナノファイバー成形体の製造方法。
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