(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る水情報収集システムを前記図1ないし図9に基づいて説明する。本実施形態においては、水供給装置としていわゆるビルトインタイプの整水器を用いる例について説明する。
前記各図において本実施形態に係る水情報収集システム1は、原水を処理して得られる処理水を供給する水供給装置10と、この水供給装置10に対しネットワーク100を介してデータ送受信可能とされ、水供給装置10での水供給に係る各種情報を記録し格納する管理サーバ90とを備える構成である。
前記水供給装置10は、水道に接続された所定の管路50を通じて原水としての水道水を導入し、使用者の操作に基づいて、原水に対し所定の処理を施して得られる処理水を供給するものであり、いわゆるビルトインタイプとして本体部10aと水栓部10bとの分離構造とされる。
詳細には、水供給装置10は、管路50を介して水道に接続されて、水道から送給される原水としての水道水の装置側への通水と止水とを切り替える給水側切替弁11と、通過する原水から不純物を除去して浄化するフィルタを内蔵し、交換可能に設けられる一又は複数の浄水カートリッジ12と、この浄水カートリッジ12を通過して浄化された水の流量を測定する前記流量計測手段としての流量センサ13と、浄水カートリッジ12を通過した水の電解を行う電解槽16と、使用に供する処理水を流す吐水流路17aと、使用に供さない水を排出する排出流路17bと、吐出する処理水の情報や装置各部の作動状態、浄水カートリッジの交換時期等の表示を行う表示部18と、本装置の起動、停止や各種処理水の生成等を指示する複数のスイッチを有して使用者の操作入力を受付ける操作部19と、電気的に接続された各部を制御する制御部20と、管理サーバ90とのネットワーク100を通じた通信を行う通信手段25とを備える構成である。
この水供給装置10のうち、通水により流入した原水に対する処理とそれにより得られる処理水の供給に係る、給水側切替弁11、浄水カートリッジ12、流量センサ13、電解槽16、吐水流路17a、及び排出流路17bの各機構の構成については、処理水として、電解により得られるアルカリ水と酸性水、及び、浄水カートリッジ12で浄化されるのみで電解されない浄水を、それぞれ吐水供給可能な公知のイオン整水器と同様のものであり、詳細な説明を省略する。
前記制御部20は、水供給装置10各部に対し、操作部19の操作や、あらかじめ記録設定された処理水の状態、また流量センサ13等から得た情報や、外部の管理サーバ90から受け取った各種情報に基づいて、給水側切替弁11の切替、電解槽16の各電極への電圧印加をそれぞれ行わせて、適切に処理水を生成、供給するための制御を行うものである。
この制御部20における、使用者による操作部19のスイッチ操作に基づいて選択される水の生成モード、例えば、アルカリ水を供給するアルカリ水生成モードや、酸性水を供給する酸性水生成モード等に応じて、給水側切替弁11の切替状態や、電解槽16の各電極への電圧印加状態をそれぞれ制御し、通水に伴って処理水の生成が行われるようにする仕組みについては、公知のイオン整水器と同様のものであり、詳細な説明を省略する。
一方、制御部20は、前記流量計測手段としての流量センサ13での計測により得られる浄水カートリッジ12への通水量と通水時間を少なくとも含む水使用情報を、使用者による一回の水使用(吐水開始から止水まで)ごとに、通信手段25で管理サーバ90宛に送信する制御を実行する。
詳細には、制御部20は、操作部19への使用者の操作により水供給装置10から処理水が供給され、実際に水供給装置10が使用されると、使用者による一回の水使用としての認定を開始し、水供給に係る情報として、流量センサ13で検出した流量と経過時間をカウントしていく。そして、使用者の操作で処理水の供給が停止され、水供給装置使用が終了すると、制御部20は、一回の水使用における総通水量とその通水時間、水供給装置10を特定する情報や供給した処理水の種類等を含む、水供給装置10の水使用情報を、通信手段25により管理サーバ90へ送信する制御を実行する。
こうして水供給装置10からは、使用者による一回の水使用ごとに水使用情報が管理サーバ90に送信され、管理サーバ90でこの水使用情報に基づいて、浄水カートリッジ12が適切な使用状態にあるか否かの判断に用いられる仕組みである。
そして、管理サーバ90で浄水カートリッジ12が適切な使用状態にない(不適切な使用状態である)と判断されて、管理サーバ90から水供給に係る規制情報が送信され、これを水供給装置10が受信する状況では、制御部20は、処理水の供給が制限なく行える通常状態から、水の供給に所定の制限を加える非常状態に、水供給装置10を移行させると共に、浄水カートリッジ12が不適切な使用状態であることを報知手段としての表示部18に表示させる制御を行うこととなる。
非常状態としての水供給装置10における水供給の制限は、具体的には、制御部20が水供給装置10と原水供給用の管路50との間の給水側切替弁11を切替え、水供給装置10側への通水路を閉止して原水の給水を停止させ、水供給装置で原水から処理水を得てこれを供給することができない状態にするようにして行われる。
この他、非常状態での水供給の制限としては、図9に示すように、制御部20が所定の切替弁15を切替えて、原水が浄水カートリッジ12や電解槽16を通らずにバイパス通水路17cへ迂回して、原水のままで吐出されるようにしたり、制御部20が電解槽16への通電を行わないことで電解槽での水の電解を実行せず、電解を経た処理水を供給できないようにすることもできる。
また、別の水供給制限状態として、水供給装置の所定の弁の制御で、水供給装置へ流入する原水の量を少なくして、水供給装置から吐水供給される処理水の量を絞り込むようにし、水供給装置から処理水を供給できるものの、あたかも水供給装置の通水路が詰まったような使用感を使用者に与えるようにすることもできる。
こうした制限と、報知手段(表示部18)による報知とが合わさることにより、浄水カートリッジが使用限界に達するなどして不適切な使用状態にあることを、使用者に強く印象付け、新しい浄水カートリッジへの交換を促すことができる。
また、制御部20は、水供給装置10における浄水カートリッジ12が交換されたか否かや、交換された浄水カートリッジ12が新品か一度使用されたものか、浄水カートリッジ12が純正品か否か、をセンサやスイッチ等の検出手段を用いて判別できる公知の機能を有しており、こうした交換されたか否かや新品か否か等の浄水カートリッジ12についての判別結果を、水使用情報の一部として管理サーバ90に送信することもできる。これにより、管理サーバ90は、浄水カートリッジ12がその使用限界を超えても交換されずに継続使用されている状態や、浄水カートリッジ12の交換が行われたものの、新品でないものや純正品でないものに交換された状態を、浄水カートリッジの不適切な使用状態としてもれなく判別することができる。
さらに、制御部20は、水供給装置10が非常状態にある場合に、使用者により浄水カートリッジ購入の手続がなされるなどして、管理サーバ90から規制解除情報が送信され、この規制解除情報を通信手段25で受け取ると、水供給装置10を少なくとも所定期間(例えば、2週間程度)は前記非常状態から前記通常状態に復帰させるよう制御を行い、非常状態としての水供給の制限のために状態を変更した各部を元の状態に戻す。
この時、水供給装置10が通常状態にある間に、使用者が、水供給装置10の浄水カートリッジを、購入し納品された新品の浄水カートリッジと交換すると、この交換が検出され、制御部20により通常状態への復帰が確定とされて、水供給装置10において水供給に制限のない通常状態が維持される。一方、使用者が浄水カートリッジの交換を行わない場合は、上記所定期間が過ぎると、制御部20が水供給装置10を再度通常状態から非常状態に移行させて水供給に制限が加えられることとなる。
前記通信手段25は、有線又は無線でLANやIP通信網と接続し、これらを介してネットワーク100に接続された管理サーバ90と通信し、各種情報をやり取りする機能を有するものである。通信手段25をLANに接続する場合、その通信は、有線接続によるものの他、例えばIEEE 802.11シリーズやIEEE 802.15シリーズの規格方式等による無線通信として行うことができる。
この他、通信手段25は、水供給装置10の使用者により用いられる所定の通信端末80と近距離通信を行い、この通信端末80を介して管理サーバ90との通信を行うようにすることもできる。この場合、通信手段25は、水供給装置10の所定距離以内に近付いた通信端末80との通信を可能にするものとされて、この通信端末80と通信可能な状態にある間、水供給装置の一回の水使用ごとに、水供給装置10の水使用情報を一旦通信端末80に向け送信して、管理サーバ90に送る一方、通信端末80を通じて、管理サーバ90から送信される規制情報等のデータを受信することとなる。こうした通信手段25と通信端末80との通信は、ISO/IEC 18092等の規格方式による近距離無線通信や、例えばIEEE 802.11シリーズやIEEE 802.15シリーズの規格方式等による無線通信として行われる。
前記管理サーバ90は、所定のネットワーク100に接続され、このネットワーク100を介して複数の水供給装置10での水供給に係る各種情報を取得し、得られた情報を水供給装置10ごとに記録し格納するサービスを実行可能なサーバとされる構成である。この管理サーバ90は、水供給装置10の使用者が用いる端末として、所定の通信端末80をあらかじめ登録して、この通信端末80ともネットワーク100を介して通信可能とされている。
また、管理サーバ90は、ネットワーク100を介して水供給装置10からの水使用情報を受信して、水供給装置ごとに水使用情報に基づいて水供給装置10の浄水カートリッジ12が適切な使用状態にあるか否かを判別し、適切な使用状態にないと認定すると、該当する水供給装置の水供給に係る規制情報をその水供給装置10に送信するサービスを実行可能とされる。
なお、本実施形態をはじめとする本願で使用する「サーバ」の語は、必ずしも単独の装置を意味するものでなく、複数の装置がネットワーク接続されて協動して、要求される一又は複数のサービスを一体として提供する装置群である場合も包含する。
この管理サーバ90での、水供給装置10の浄水カートリッジ12についての判断処理の具体例として、管理サーバ90は、水供給装置10ごとに水使用情報に基づいて浄水カートリッジ12の前回交換時からの積算通水量を取得して記録するようにされる。その上で、この積算通水量が浄水カートリッジ12の使用限界(製品寿命)に対応させてあらかじめ設定された通水量の所定上限値(例えば、8000リットル)に達していない状態を、管理サーバ90は、浄水カートリッジ12の適切な使用状態として取り扱うようにされる。そして、管理サーバ90は、浄水カートリッジ12が適切な使用状態にあるか否かの判別として、積算通水量が前記通水量の所定上限値を超えているか否かを判別する。積算通水量が前記所定上限値を超えている、すなわち、浄水カートリッジ12が適切な使用状態にない、と認定した場合、管理サーバ90は規制情報を水供給装置10に送信することとなる。
これに加えて、管理サーバ90は、水供給装置10からの水使用情報に基づいて、浄水カートリッジ12への単位時間あたりの通水量を取得し、この単位時間あたり通水量が、浄水カートリッジ12の使用限界に対応させてあらかじめ設定された単位時間あたり通水量の所定下限値に達していない(上回る)状態についても、浄水カートリッジ12の適切な使用状態として取り扱うようにされる。
管理サーバ90は、この単位時間あたり通水量が前記所定下限値を下回っているか否かを判別し、単位時間あたり通水量が前記所定下限値を下回る、すなわち、浄水カートリッジが適切な使用状態にない、と認定した場合も、前記同様、規制情報を水供給装置10に送信する。
このように、管理サーバ90は、浄水カートリッジ12の使用限界に達した状態の判別を、積算通水量の上限値到達と、浄水カートリッジ12への単位時間あたり通水量の下限値到達との二つの観点に基づいて実行している。
浄水カートリッジが捕集した不純物の詰まり等で劣化すると、浄水カートリッジに水が通りにくくなり、浄水カートリッジへの単位時間あたり通水量が徐々に低下する変化傾向が見られることに着目して、浄水カートリッジ12への単位時間あたり通水量の経時変化を計測し、浄水カートリッジ12の劣化度合いの判断に利用することで、積算通水量のみに基づく判断に比べて、原水の水質の差異を踏まえて浄水カートリッジ12が使用限界に至る状態を正しく見極めることができる。、
すなわち、積算通水量のみに基づいて予想した浄水カートリッジの使用限界に対し、原水の水質の良くない度合いが大きい場合に、浄水カートリッジの劣化の進行が予想より早まり、実際の浄水カートリッジの使用限界に早期に到達し、また、逆に原水の水質が極めて良好な場合に、浄水カートリッジの劣化の進行が予想より遅くなり、予想した使用限界に対し実際の浄水カートリッジの使用限界到達はかなり後になる、といった状況を避けることができ、浄水カートリッジの使用限界を正確に判別して規制情報を発し、使用者にカートリッジの交換を促せることとなる。
管理サーバ90からの規制情報に基づいて、水供給装置10がその水供給を制限することで、水供給装置10の本来交換すべき浄水カートリッジ12の交換を行わないままでは、使用を続けられないことを使用者に認識、納得させて、使用者に交換すべき浄水カートリッジ12の交換を促し、浄水カートリッジの過剰な継続使用を招かないようにして、浄水能力を失った浄水カートリッジの継続使用に伴う水質悪化による身体への悪影響を防ぎつつ、水供給装置の水が本来備える健康に繋がる効果を発揮可能な範囲で、有効に水供給装置を使用させることができる。
なお、管理サーバ90による、水供給装置10の浄水カートリッジ12が適切な使用状態にあるか否かの判別を、浄水カートリッジ12への通水量の情報(前回交換時からの積算通水量と、単位時間あたりの通水量)に基づいて行うようにしているが、これに加えて、浄水カートリッジの前回交換時からの使用期間の長さについても判断材料とするのが望ましい。これは、水供給装置10の使用頻度が少なく、浄水カートリッジ12への通水量が増えない場合でも、浄水カートリッジ12が長期にわたり水と接する状態におかれていれば、浄水カートリッジ12に劣化が生じると考えられることによる。
従って、管理サーバ90では、積算通水量が前記通水量の所定上限値を超えておらず、且つ浄水カートリッジ12への単位時間あたりの通水量が、前記単位時間あたり通水量の所定下限値に達していない状態であっても、浄水カートリッジ12の使用期間が、浄水カートリッジ12の使用限界に対応させてあらかじめ設定された使用時間の所定上限値を超えている場合には、浄水カートリッジ12が適切な使用状態にない、と認定して、規制情報を水供給装置10に送信し、水供給装置10での水供給が制限された不便な状態を使用者に意識させて、使用者の浄水カートリッジ交換を促すようにするのが望ましい。
この他、管理サーバ90は、水供給装置10ごとの水使用情報から得られる浄水カートリッジ12の前回交換時からの積算通水量が、浄水カートリッジ12の使用限界に対応する前記通水量の所定上限値の直前の、浄水カートリッジを交換すべき目安となる総通水量としてあらかじめ設定された所定値に達したと認定する、例えば、前回のカートリッジ交換からの前記総通水量が7500リットルに設定される場合に、積算通水量がこの総通水量(7500リットル)に達したと認定すると、浄水カートリッジの交換を促す交換促進情報を、ネットワーク100を通じて水供給装置10に送信するサービスも実行可能とされる。
こうして管理サーバ90からの浄水カートリッジに係る交換促進情報を受け取った水供給装置30は、浄水カートリッジの交換を促す報知を行う。この報知を行ったタイミングで、使用者が新しい浄水カートリッジを入手して、水供給装置10に装着されていた浄水カートリッジと交換すれば、浄水カートリッジの浄水機能が許容範囲を超えて低下する前に新しい浄水カートリッジとの交換が実現することとなる。仮に、使用者が、浄水カートリッジの交換を促す情報に基づく水供給装置からの報知に接しても、浄水カートリッジの交換を行わない場合には、浄水カートリッジ12の積算通水量が浄水カートリッジ12の使用限界に対応する通水量上限値を超える事態となって、管理サーバ90が浄水カートリッジ12を適切な使用状態にはないと認定し、規制情報を水供給装置10に送信する処理が行われる。
この管理サーバ90から水供給装置10への浄水カートリッジの交換を促す交換促進情報の送信は、前記積算通水量が浄水カートリッジを交換すべき目安となる総通水量に達した場合に限らず、浄水カートリッジ12への単位時間あたりの通水量が、浄水カートリッジ12を交換すべき目安となる単位時間あたりの下限通水量を下回ったり、浄水カートリッジ12の前回交換時からの使用期間が、浄水カートリッジ12を交換すべき目安となる上限使用時間を超えた場合にも、前記同様に行われ、水供給装置10での水供給が制限される状況に陥る前に、使用者に浄水カートリッジ交換を促せる仕組みである。
このような管理サーバ90からの交換促進情報に基づいて、水供給装置10が浄水カートリッジを交換すべき旨を報知することで、浄水カートリッジを交換すべき時期が到来したことを使用者に認識させて、使用者に浄水カートリッジの交換を促し、浄水カートリッジが使用限界を超えて継続使用される状況に陥りにくくなり、水供給装置の処理水が備える健康に繋がる効果を問題なく発揮可能な状態を保ちながら、水供給装置を使用することができる。
なお、管理サーバ90は、浄水カートリッジ12が適切な使用状態にないと判断して、水供給装置10に規制情報を送信する場合や、浄水カートリッジ12が交換すべき目安となる所定状態に達したと判断して、水供給装置10に交換促進情報を送信する場合に、その水供給装置10の使用者が用いる端末としてあらかじめ登録された通信端末80に対しても、必要に応じ通信状態を確立した上で、ネットワーク100を介して規制情報や交換促進情報に対応する情報をメール送信やプッシュ通知等の手法でそれぞれ送信する機能を有している。
この管理サーバ90から情報を送信される通信端末80は、表示デバイス81及び入力デバイス82を備え、IP通信網と接続して通信するための無線通信手段83を有する携帯電話やいわゆるスマートフォン、PDA(携帯情報端末)などの公知の装置であり、このうち、端末上でアプリケーションプログラムを実行可能であり、且つ、データを保持可能な記憶手段85とを有するものである。この通信端末80は、タッチパネル式の表示デバイス81を有して、表示デバイスが入力デバイス82を兼ねる構成である。
この通信端末80は、必要に応じて、IP通信網への接続用の無線通信手段83とは別の、水供給装置10の通信手段25と直接無線通信で通信する通信接続手段84を備えて、使用者が通信端末80を水供給装置10の通信手段25に近付け、待機状態にあった前記通信接続手段84が通信手段25からの電波を捕捉する、もしくは、待機状態にあった通信手段25が通信接続手段84からの電波を捕捉して、通信接続手段84と通信手段25との間で通信状態が確立すると、プログラムを自動的に起動、実行させることにより、又は、使用者の操作でプログラムを起動、実行させられることにより、この通信端末80を通じて管理サーバ90と水供給装置10との間の通信が行えるようにする構成とすることもできる。
管理サーバ90は、規制情報を水供給装置10に送信して水供給装置10を非常状態に移行させる場合、その水供給装置10の使用者の端末として登録された通信端末80にも、所定の情報を送信して、浄水カートリッジ12が使用限界を超えているなど不適切な使用状態にあり、水供給に制限が加えられることと、新しい浄水カートリッジを所定の購入用サイト又はアプリ内購入プロセスで購入でき、且つ購入して交換した場合には、水供給装置における水供給の制限が解除されること(必要に応じて、購入手続成立のみでも制限が所定期間解除される旨も合わせて示される)とをそれぞれ示す所定の報知を、使用者の通信端末80に実行させる。前記報知として、例えば、通信端末80の表示デバイス画面による案内表示や、音声出力による案内がなされることで、水供給装置10による報知のみの場合より、使用者に的確に情報を伝えられ、使用者に対し強力に浄水カートリッジの購入を促すことができる。
また、管理サーバ90は、水供給装置10が水の供給について非常状態にある場合において、使用者の前記通信端末80に情報を送信して、使用者による浄水カートリッジ購入に係る入力用のユーザインターフェースを提供させ(例えば、購入用サイトや購入用アプリ内での浄水カートリッジ購入に係る入力用コンテンツ画面表示を行わせる)、実際に使用者が浄水カートリッジ購入の手続を行えるようにする。この状態で、通信端末80に対し使用者により浄水カートリッジ購入の入力がなされると、それを受けた通信端末80から、浄水カートリッジ購入の手続がされた旨の情報が管理サーバ90に対し送信される。
管理サーバ90は、通信端末80から使用者により浄水カートリッジ購入の手続がなされたとの情報を受け取ると、該当する使用者についてあらかじめ登録された情報を参照する。ここで、使用者が浄水カートリッジ購入に係る決済を不可とする条件に該当する者であった場合には、管理サーバ90は決済を不成立とし、管理サーバ90から通信端末80に別の購入方法での浄水カートリッジ入手を使用者に対し案内させる所定の情報を送信する。この場合、水供給装置10は非常状態のまま維持されることとなる。一方、使用者が浄水カートリッジ購入に係る決済を不可とする条件に該当しない者である場合には、使用者の購入手続に対する決済処理を実行して決済を成立させ、浄水カートリッジの納品処理、例えば、カートリッジの販売業者又は配送業者に、浄水カートリッジの在庫のある拠点から登録された使用者の居所まで、決済済みの浄水カートリッジを配送可能とするための指示情報を送信する処理、を進めると共に、対応する水供給装置10に管理サーバ90から規制解除情報を送信する。
この規制解除情報を水供給装置10が受け取ると、水供給装置10は非常状態から通常状態に所定期間復帰し、最終的に使用者が水供給装置10の浄水カートリッジを納品された新品の浄水カートリッジと交換すると通常状態が継続することとなる。
なお、管理サーバ90が非常状態にある水供給装置10に前記規制解除情報を送信するのは、使用者が通信端末80で浄水カートリッジの購入手続を行い、管理サーバ90でそれに対する決済が成立した場合に限られるものではなく、管理サーバ90の管理者の指示操作により、任意のタイミングで管理サーバ90から所定の水供給装置10に規制解除情報を送信させることもできる。例えば、カートリッジ販売事業者など、浄水カートリッジの販売に係る管理サーバ90を含む購入用システムに関与して、管理サーバ90の取り扱い権限を与えられた管理者が、非常状態にある水供給装置の使用者からの電話やメール等での連絡を受けて、管理サーバ90を操作して該当の水供給装置10宛の規制解除情報送信を実行させて、水供給装置10を非常状態から通常状態に復帰させることができる。これにより、例えば水供給装置の正規の使用者が、浄水カートリッジを通信端末80による購入ではない別の購入方法で正規に入手しているにもかかわらず、使用者の水供給装置が浄水カートリッジ交換の遅れ等で通常状態から非常状態に移行したような場合でも、水供給装置の使用者がそうした状況を管理者に連絡すれば、管理サーバ90から水供給装置10に規制解除情報を送信して、水供給装置10を通常状態に復帰させられ、カートリッジ入手方法によって水供給装置の動作に差異が生じる事態を防ぎ、浄水カートリッジを既に購入している使用者が、水供給装置の通常状態への復帰を図るために、さらに通信端末80で新たな別の浄水カートリッジを購入するような、場合によって使用者にさらに負担を強いる状況を回避できる。
さらに、管理サーバ90は、浄水カートリッジ12の使用限界になる前での交換を促す交換促進情報を水供給装置10に送信する場合に、使用者の前記通信端末80にもネットワーク100を通じて所定の情報を送信して、浄水カートリッジ12が交換すべき状態に至っていることと、交換のための新しい浄水カートリッジを所定の購入用サイト又はアプリ内購入プロセスで購入できること(必要に応じて、購入手続成立で使用者に特典が付与される旨も合わせて示される)とをそれぞれ示す所定の報知を、使用者の通信端末80に実行させる。前記報知として、例えば、通信端末80の表示デバイス画面による案内表示やがなされることで、水供給装置10による報知のみの場合より、使用者に的確に情報を伝えられ、使用者に対し強力に浄水カートリッジの購入を促すことができる。
そして、管理サーバ90は、使用者の前記通信端末80に引き続き情報を送信して、使用者による浄水カートリッジ購入に係る入力用のユーザインターフェースを提供させ(例えば、浄水カートリッジ購入に係る入力用コンテンツ画面表示を行わせる)、実際に使用者が浄水カートリッジ購入の手続を行えるようにする。この状態で、通信端末80に対し使用者により浄水カートリッジ購入の入力がなされると、それを受けた通信端末80から、浄水カートリッジ購入の手続がされた旨の情報が管理サーバ90に対し送信される。
この場合も、水供給装置10が非常状態にある場合に通信端末80で使用者が浄水カートリッジ購入の手続を行えるようにした際と同様に、管理サーバ90が、該当する使用者についての登録情報を参照する。使用者が浄水カートリッジ購入に係る決済を不可とする条件の該当者であった場合には、管理サーバ90は決済を不成立とし、管理サーバ90から通信端末80に別の購入方法での浄水カートリッジ入手を使用者に対し案内させる所定の情報を送信する。一方、使用者が浄水カートリッジ購入に係る決済を不可とする条件に該当しない者である場合には、管理サーバ90は使用者の購入手続に対する決済処理を実行して決済を成立させ、浄水カートリッジの納品処理を進める。
この他、管理サーバ90が、規制情報や交換促進情報を水供給装置10に送信するのに合わせて、使用者の通信端末80に、新しい浄水カートリッジを通信端末80を介して購入できることを示す報知を実行させる際に、購入に合わせて所定の特典が付与されることを同時に報知して、浄水カートリッジの購入をより一層促すようにしても良い。
特典は、例えばポイントとして付与され、浄水カートリッジ購入の際における浄水カートリッジの種類や購入数に対応するポイント数(特典データ)が算出され、これが管理サーバ90で使用者ごとに積算されて特典情報として記録格納される。
こうしたポイントは電子商取引で一般的に取り扱われるものと同様、使用者の求めにより所定の価値との交換が可能とされ、管理サーバ90の運営者(管理者)がポイント交換可サイトも運営している場合は、使用者はそのサイトでポイントを直接交換して使用するか、他の電子商取引サイトで利用可能な別のポイントに交換する形で使用する。使用者がポイントを使用すると、その旨の情報が管理サーバ90に送られ、使用者が使用した分のポイントは特典情報から減算される。
そして、管理サーバ90は、使用者が通信端末80やコンピュータ等の他の端末を介して特典の付与状況を確認可能とするために、記録された特典情報を、ネットワーク100を通じて使用者に閲覧可能とするサービスを提供することが望ましい。例えば、使用者が管理サーバ90の提供するウェブ上のサイトに通信端末80やコンピュータ等の他の端末を用いてアクセスすると、管理サーバ90は、ウェブ画面に表示される画像情報や、コンピュータや通信端末のスピーカを通じて出力される音声情報として、特典情報を使用者側のコンピュータや通信端末に送信するようにすれば、使用者はこれらコンピュータや通信端末を介して特典情報を閲覧できる。
なお、付与される特典は、ポイントの他に、限定的な利益の提供(浄水カートリッジ購入価格の割引など)であってもよい。この場合、提供される利益内容は、報知のタイミング(交換促進情報送信時か、規制情報送信時か)や、対象となる使用者によって内容を調整することができ、例えば、購入時期がより早いほど、総購入回数が多い使用者ほど、より有利な内容とすることが挙げられる。
次に、本実施形態に係る水情報収集システムにおける水供給装置からの情報収集と情報に基づく水供給装置の管理について説明する。前提として、水供給装置10は、原水としての水道水を通水可能として設置配設され、また、浄水カートリッジ12も浄水能力を発揮できる状態で正しく装着され、電源投入状態とされると問題なく作動して、使用者に選択された所定の処理水を供給可能な状態にあるものとする。
また、水供給装置10と情報をやり取りする管理サーバ90には、水供給装置10とこれを使用する使用者があらかじめ登録され、また、水供給装置10におけるその時点までの積算通水量の情報や、その時点までの使用者の特典情報が記録されているものとする。
まず、使用者が使用する所定の水供給装置10に対し、電源をON状態とする操作を行うと、水供給装置10は水供給可能な通常状態で起動する。
水供給装置10は、起動後、使用者による所定の処理水の給水実行を指示する操作を待つ状態となる。この水供給装置10に対し、使用者が、水供給装置10の操作部19から処理水供給の実行を操作すると、水供給装置10の制御部20による制御により、必要に応じて処理水供給開始前の捨て水等の準備動作が自動実行された後、使用者が操作指示した種類の処理水(アルカリ水、酸性水、又は浄水)を水供給装置10が吐水供給する。こうして水供給装置10が処理水の供給を行う間、浄水カートリッジ12への通水量が流量センサ13で検出される。
使用者の操作で処理水の供給が停止され、水供給装置10の使用が終了すると、制御部20は、この一回の水使用における総通水量と、通水時間、水供給装置10を特定する情報や供給する処理水の種類等を含む、水供給装置10の水使用情報を、通信手段25により管理サーバ90へ送信する(図5参照)。
管理サーバ90は、水供給装置10から送信された水使用情報をネットワーク100を介して受け取ると、水使用情報から水供給装置10を特定し、その水供給装置10の浄水カートリッジ12が適切な使用状態にあるか、交換すべき状態に達したか、を判断するために、水供給装置ごとに、水使用情報に含まれる浄水カートリッジ12への通水量に基づいて、浄水カートリッジの前回交換時からの積算通水量を取得して記録する。また、管理サーバ90は、浄水カートリッジ12への通水量と、通水時間から、浄水カートリッジ12への単位時間あたりの通水量を取得し、さらに、通水時間に基づいて、浄水カートリッジ12の前回交換時からの使用期間を取得して記録する。使用者の水供給装置での新たな水使用により更新されるこれら積算通水量、単位時間あたりの通水量、及び使用期間の値と、適切な使用状態に対応するものとしてあらかじめ設定された所定値や、交換すべき目安としてあらかじめ設定された所定値とが比較されることとなる。
そして、管理サーバ90は、浄水カートリッジ12の前回交換時からの積算通水量が、浄水カートリッジを交換すべき目安となる総通水量に達したか否か、浄水カートリッジ12への単位時間あたりの通水量が、浄水カートリッジ12を交換すべき目安となる単位時間あたりの下限通水量を下回ったか否か、及び、浄水カートリッジ12の前回交換時からの使用期間が、浄水カートリッジ12を交換すべき目安となる上限使用時間に達したか否か、をそれぞれ判別して、浄水カートリッジが交換すべき状態にあるかを確認することとなる。
水供給装置10の浄水カートリッジ12を交換してからしばらくの間は、浄水カートリッジ12の原水を浄化する機能が維持されるため、上記の各条件に該当せず、水供給装置10は通常状態にそのまま維持されて、使用者の操作に対応した水供給の実行を継続する。
一方、水供給装置10の浄水カートリッジ12が劣化する程度にその使用期間が長くなり、浄水カートリッジ12の前回交換時からの積算通水量が、浄水カートリッジを交換すべき目安となる総通水量に達するか、浄水カートリッジ12への単位時間あたりの通水量が、浄水カートリッジ12を交換すべき目安となる単位時間あたりの下限通水量を下回るか、あるいは、浄水カートリッジ12の前回交換時からの使用期間が、浄水カートリッジ12を交換すべき目安となる上限使用時間に達すると、管理サーバ90は、浄水カートリッジの交換を促す交換促進情報を、ネットワーク100を通じて水供給装置10に送信する(図6参照)。
水供給装置10は、管理サーバ90からの交換促進情報を通信手段25を通じて受け取ると、浄水カートリッジの交換を促す報知を表示部18により行う。この時、水供給装置10の使用者の通信端末80にも、管理サーバ90から情報が送信されて、通信端末80においても、浄水カートリッジ12が交換すべき状態に至っていることと、交換のための新しい浄水カートリッジを購入できることとをそれぞれ示す報知が実行される(図6参照)。
こうした水供給装置10や通信端末80による報知に対応して、使用者が新しい浄水カートリッジを入手して、水供給装置10に装着されていた浄水カートリッジと交換した場合、この交換が水供給装置10で検出され、水供給装置10から交換実行の情報が管理サーバ90に送られる。この情報を受け取った管理サーバ90は、水供給装置10での浄水カートリッジ12の交換を認定し、水供給装置10ごとに記録していた前回交換時からの積算通水量や使用期間を0にし、この浄水カートリッジの交換機会を新たな前回の浄水カートリッジ交換として積算通水量や使用期間の記録を再開する。
これに対し、使用者が、水供給装置10や通信端末80による報知に接しても、浄水カートリッジ12の交換を行わない場合には、水供給装置10の浄水カートリッジ12がそれほど時間をおかずに、使用限界に達する事態となって、管理サーバ90が浄水カートリッジ12を適切な使用状態にはないと認定することとなる。
詳細には、管理サーバ90が、水供給装置10の浄水カートリッジ12の前回交換時からの積算通水量が浄水カートリッジ12の使用限界に対応させてあらかじめ設定された通水量の所定上限値(例えば、8000リットル)を超えているか否かを判別し、積算通水量が前記所定上限値を超えるに至った、すなわち、浄水カートリッジ12が適切な使用状態にない、と認定した場合、管理サーバ90は規制情報を水供給装置10に送信する(図7参照)。
ここで、積算通水量が前記通水量の所定上限値を超えていない状況であっても、管理サーバ90は、浄水カートリッジ12への単位時間あたりの通水量が、浄水カートリッジ12の使用限界に対応させてあらかじめ設定された単位時間あたり通水量の所定下限値を下回っているか否かを判別しており、単位時間あたり通水量が前記所定下限値を下回るに至った場合には、前記同様、浄水カートリッジ12が不適切な使用状態にあるとして規制情報を水供給装置10に送信する。
さらに、浄水カートリッジ12への単位時間あたりの通水量が、前記単位時間あたり通水量の前記所定下限値に達していない状況であっても、管理サーバ90は、浄水カートリッジの前回交換時からの使用期間が、浄水カートリッジ12の使用限界に対応させてあらかじめ設定された使用時間の所定上限値を超えているか否かを判別しており、使用期間が前記所定上限値を超えている場合には、前記同様、浄水カートリッジ12が不適切な使用状態にあるとして、規制情報を水供給装置10に送信する(図7参照)。
水供給装置10が、管理サーバ90からの規制情報を通信手段25を通じて受け取ると、制御部20による制御で、水供給装置10は、処理水の供給が制限なく行える通常状態から、水の供給に所定の制限を加える非常状態に移行する。
非常状態としての水供給装置10における水供給の制限は、例えば、水供給装置10と原水供給用の管路50との間の給水側切替弁11が切替えられ、水供給装置10側への通水路を閉止して原水の給水を停止させ、水供給装置で原水から処理水を得てこれを供給することができないようにして行われる。
この他、水供給装置10は、浄水カートリッジ12が不適切な使用状態である旨の報知を表示部18により行う。この時、水供給装置10の使用者の通信端末80にも、管理サーバ90から情報が送信されて、通信端末80においても、浄水カートリッジ12が使用限界を超えているなど不適切な使用状態にあり、水供給に制限が加えられることと、新しい浄水カートリッジを通信端末80を通じて購入でき、且つ購入して交換した場合には、水供給装置における水供給の制限が解除されることとをそれぞれ示す報知が実行される(図7参照)。
水供給装置10での水供給が制限された不便な状態を使用者が認識することで、水供給装置10や通信端末80による報知に応じて、使用者が浄水カートリッジの交換を決意するに至り、浄水カートリッジ購入の手続を行える状態にある通信端末80に対し、使用者により浄水カートリッジ購入の入力がなされると、通信端末80から、浄水カートリッジ購入の手続がされた旨の情報が管理サーバ90に対し送信される(図8参照)。
管理サーバ90は、通信端末80から使用者により浄水カートリッジ購入の手続がなされたとの情報を受け取ると、その使用者についてあらかじめ登録された情報を参照する。ここで、使用者が浄水カートリッジ購入に係る決済を不可とする条件に該当する者であった場合には、管理サーバ90は決済を不成立とし、水供給装置10は非常状態のまま維持され、管理サーバ90は通信端末80に別の購入方法での浄水カートリッジの入手案内を実行させる情報を送信する。
一方、使用者が浄水カートリッジ購入に係る決済を不可とする条件に該当しない者である場合、管理サーバ90は使用者の購入手続に対する決済処理を実行して決済を成立させ、浄水カートリッジの納品処理を進めると共に、水供給装置10に規制解除情報を送信する(図8参照)。
水供給装置10は、管理サーバ90からの規制解除情報を受け取ると、制御部20による制御により、非常状態としての水供給の制限のために状態を変更した各部が元の状態に戻され、非常状態から通常状態に所定期間(例えば、2週間程度)復帰するようにされる。
水供給装置10が通常状態にある所定期間の間に、使用者が、水供給装置10の浄水カートリッジを、購入し納品された新品の浄水カートリッジと交換すると、この交換が検出され、水供給装置10において水供給に制限のない通常状態が維持される。一方、使用者が浄水カートリッジの交換を行わない場合、上記所定期間が過ぎると、水供給装置10は再度通常状態から非常状態に移行し、使用者が新品の浄水カートリッジへの交換を行うまで水供給に制限が加えられる。
使用者が水供給装置10の浄水カートリッジを新しい浄水カートリッジに交換し、その交換の事実が水供給装置10で検出されると、仮に水供給装置10が非常状態の場合にはあらためて通常状態に復帰した上で、水供給装置10から交換実行の情報が管理サーバ90に送られる。この情報を受け取った管理サーバ90は、水供給装置10での浄水カートリッジ12の交換を認定し、水供給装置10ごとに記録していた前回交換時からの積算通水量や使用期間を0にし、この浄水カートリッジの交換機会を新たな前回の浄水カートリッジ交換として積算通水量や使用期間の記録を再開する。
なお、水供給装置10の使用にあたり、特に処理水としてアルカリ水や酸性水を供給するために水供給装置10で電解を行う場合に、一般的には、浄水カートリッジ12の浄化機能は変化のないものとして電解に係る諸条件を設定し、電解制御を行うようにしているが、この他、積算通水量や単位時間あたりの通水量の変化から、浄水カートリッジ12のおおよその劣化度合いとそれに基づいて変化する浄水カートリッジ通過後の水質を推測できることから、積算通水量や単位時間あたりの通水量の変化に係る情報を管理サーバ90から受け取るか水供給装置自体で取得し、こうした情報を用いて水供給装置での電解制御を行い、浄水カートリッジ通過後の水質に適応した電解を実行する構成とすることもできる。その場合、浄水カートリッジへの通水量に基づく積算通水量等の情報以外に、気温や湿度の情報、使用者の生体情報、使用者の運動履歴情報、又は、使用者の食事内容に係る情報等を収集、取得し、これらの情報に基づいて電解状態をさらに調整制御するようにしてもかまわない。
さらに、こうして収集された気温や湿度等の各種情報に基づいて、通信端末80において処理水の飲用量についての使用者に対するアドバイス情報発信を行うこともできる。その場合に、水供給装置10や管理サーバ90で取得した通水量に係る情報や処理水の種類ごとの使用割合の情報等を通信端末80に送信して、実際の処理水の飲用量を踏まえたアドバイス情報を通信端末80から発信するようにしてもよい。
このように、本実施形態に係る水情報収集システムは、使用者による水供給装置10の使用に際し、処理水使用ごとに水供給装置10で取得される浄水カートリッジ12への通水量等の水使用情報を管理サーバ90で収集記録し、管理サーバ90で水供給装置10ごとにこの単位時間あたりの通水量の経時変化を監視するようにして、例えば通水量の減少をフィルタの詰まり等による浄水カートリッジ12の劣化によるものと見なして、浄水カートリッジ12の劣化を通水量の時間経過に伴って減少する変化に対応すると仮定し、この単位時間あたりの通水量の経時変化に基づいて、浄水カートリッジ12の劣化度合いを推定し、浄水カートリッジ12の使用限界やそれに基づく交換時期の判断等を実行することから、水供給装置10において浄水カートリッジ12が交換すべき時期を、実際に浄水カートリッジ12において水が通過しにくくなった状態、すなわち、浄水カートリッジが劣化したと考えられる状態、に基づいて管理サーバ90で判断処理でき、水供給装置10における原水の水質の影響により早まったり遅れたりするカートリッジの使用限界への到達時期を正しく推定して、カートリッジの最適なタイミングでの交換を実現でき、継続的な浄水能力を確保でき、且つ、浄水機能を有するカートリッジを早めに交換して無駄にしてしまうこともなくなり、水供給装置を効率よく運用できる。
なお、前記実施形態においては、水供給装置10を水情報収集システム1の一部として、水供給装置10から水使用情報を管理サーバ90に送信し、管理サーバ90で水使用情報に基づいて浄水カートリッジ12への単位時間あたりの通水量を取得し、管理サーバ90でこの単位時間あたり通水量とあらかじめ設定された限度値とを比較して、浄水カートリッジ12が適切な使用状態にあるか否かを判別する構成としているが、これに限られるものではなく、水供給装置自体が、水使用情報に基づいて、前記単位時間あたりの通水量を取得し、これをあらかじめ設定された限度値と比較して、浄水カートリッジが適切な使用状態にあるか否かを判別する構成とすることもできる。
この場合、水供給装置が、管理サーバとの間で情報をやり取りするシステムの構築を必要とせずに、浄水カートリッジが適切な使用状態になく浄水カートリッジを新品に交換すべき状況を認定して、水供給装置から使用者に対し浄水カートリッジの購入、交換を促すことが可能となる。
また、前記実施形態に係る水情報収集システムにおいて、水供給装置10の通信手段25は、特に制約等なく管理サーバ90との通信が行える構成としているが、この他、水供給装置の通信手段が、いわゆるSIMカード、すなわち、加入者識別情報が記録された記録媒体、による通信管理下にあるものとされる構成とすることもできる。
この場合、記録媒体の加入者識別情報は水供給装置の使用者に対応付けられ、記録媒体の加入者識別情報が有効である間、通信手段は通信可能とされる。そして、使用者が浄水カートリッジを購入するごとに、浄水カートリッジの使用限界に達するまでの使用可能期間に相当する期間分、前記記録媒体の加入者識別情報の有効期間を延長するようにする、言い替えると、浄水カートリッジの購入費用に加入者識別情報の浄水カートリッジの使用可能期間に見合う有効期間延長料を上乗せする、ことで、水供給装置と管理サーバとの通信を浄水カートリッジの交換ごとに対応させて管理することができる。
記録媒体の加入者識別情報の有効期間がきれ、且つ浄水カートリッジの使用限界に達した状態に至ると、水供給装置と管理サーバとの通信も行われなくなる。この記録媒体の加入者識別情報が有効でない場合に、水供給装置が、通常状態から非常状態に移行すると共に、浄水カートリッジが不適切な使用状態であることを使用者に示す所定の報知を実行するようにすることで、水処理装置の浄水カートリッジが使用限界を超えて不適切な使用状態となった際、処理水の供給に制限を加えると共にその旨を使用者に対し報知するといった必要な処理は確実に実行しつつ、水供給装置における通信を適切に管理して不要な通信の発生を防ぐ状態となり、通信費用の負担を抑えられると共に管理サーバの通信量を低減して通信処理の効率を高められる。
さらに、加入者識別情報が記録された記録媒体(SIMカード)が浄水カートリッジと一体化される構成とすることもでき、浄水カートリッジ交換と共に記録媒体も交換され、使用者が浄水カートリッジを購入するごとに、新たな加入者識別情報の有効期間が開始することとなり、通信に係る契約や管理を単純化でき、水供給装置の通信機能の取り扱いに係る使用者の負担を抑えられる。この場合、浄水カートリッジに通信手段自体やその電源となる電池、流量センサをさらに組み込む構成とすることもでき、電解機能を有しないことで電源不要とされた浄水機能のみの水供給装置の浄水カートリッジとして、こうした浄水カートリッジを適用すれば、電源を有しない水供給装置に通信機能を付与して、管理システムに組み込むことができ、水供給装置側の構成によらず、水供給装置における浄水カートリッジの購入や交換を効率よく促すことができる。
また、前記実施形態に係る水情報収集システムにおいては、水供給装置10における交換された浄水カートリッジ12が新品か一度使用されたものかの判別を、センサやスイッチ等の検出手段を用いる公知の手法で行う構成としているが、これに限らず、交換された浄水カートリッジが十分な浄水能力を有する新品かそうでないかを、浄水カートリッジへの単位時間あたり通水量に基づいて判別する構成とすることもできる。
この場合、新品の浄水カートリッジを用いた場合の、単位時間あたりの通水量をあらかじめ取得して基準値として管理サーバ90に記録した上で、交換された浄水カートリッジについて一回の使用における浄水カートリッジへの通水量を測定し、これを水使用情報の一部として受け取った管理サーバ90が、浄水カートリッジへの単位時間あたりの通水量を取得して基準値と比較することで、劣化により単位時間あたりの通水量が新品の基準値より小さくなる、新品でない浄水カートリッジが交換品として装着されたことを正しく判別でき、浄水カートリッジの不適切な使用状態を確実に判断できると共に、浄水カートリッジの交換に際し、特別な検出用のセンサ等を用いずに新品の浄水カートリッジであるか否かを検出でき、水供給装置のコストを抑えられる。
また、前記実施形態に係る水情報収集システムにおいて、浄水カートリッジを交換すべき時期に、使用者が浄水カートリッジを入手するにあたっては、管理サーバ90からの情報に基づいて、使用者の通信端末80が使用者に新しい浄水カートリッジの購入を促す報知を実行し、さらに使用者の浄水カートリッジ購入に係る入力用のユーザインターフェースを提供するのに応じて、使用者が通信端末80に浄水カートリッジ購入を指示する入力を行うと、通信端末80から浄水カートリッジ購入手続の情報が管理サーバ90に伝えられ、浄水カートリッジの購入に係る処理が進行し、使用者が決済の条件を満たせば浄水カートリッジが使用者に納品される、という手順を要しているが、この他、所定の水供給装置の浄水カートリッジを交換すべき時期に至ったら、浄水カートリッジの購入処理を自動的に進行させ、水供給装置の使用者の下に浄水カートリッジが配送、納品されるようにして、浄水カートリッジを交換すべき時期ごとに、使用者に通信端末80等へ浄水カートリッジ購入を指示する入力操作を要求しない、いわゆる自動購入の仕組みを採用する構成とすることもできる。
具体的には、管理サーバ90は、あらかじめ購入契約を結んでいる使用者の水供給装置10について、水供給装置10ごとの水使用情報から得られる浄水カートリッジ12の前回交換時からの積算通水量が、浄水カートリッジ12を交換すべき目安となる総通水量としてあらかじめ設定された所定値(例えば、7500リットル)に達したと認定すると、水供給装置に対応する浄水カートリッジを必要数発注し、発注分の使用者の浄水カートリッジ購入に係る決済を成立させ、カートリッジ販売事業者又は配送業者に、浄水カートリッジの在庫のある拠点から使用者の居所まで決済済みの浄水カートリッジを配送可能とするための指示情報を送るまでの、一連の処理(自動購入処理)を自動実行する。決済され購入済みとなった浄水カートリッジは、管理サーバ90からの指示情報に基づいてカートリッジ販売事業者又は配送業者により使用者宛に配送され、納品される。
なお、こうした自動購入の処理を浄水カートリッジの使用状態によって適用する場合と適用しない場合とを切り替えるようにすることもできる。例えば、管理サーバ90は、水供給装置10の浄水カートリッジ12について、浄水カートリッジ12を交換すべき目安となる平均的使用期間(例えば、1年)を基準としてその前後の所定期間を含んで設定される自動購入期間を定義し、水供給装置10における浄水カートリッジ12の前回交換時からの使用期間が、前記自動購入期間の範囲にあると認定し、且つ、浄水カートリッジ12の前回交換時からの積算通水量が、浄水カートリッジ12を交換すべき目安となる総通水量としてあらかじめ設定された所定値(例えば、7500リットル)に達したと認定すると(図10中、A点参照)、前記同様、水供給装置の使用者の浄水カートリッジ購入に係る一連の自動購入処理を実行する。
一方、水供給装置10における浄水カートリッジ12の前回交換時からの使用期間が、前記自動購入期間の範囲に至る前に、積算通水量が浄水カートリッジ12を交換すべき目安となる前記総通水量の所定値に達したと認定した場合(図10中、一点鎖線のケース)や、浄水カートリッジ12の前回交換時からの使用期間が、前記自動購入期間の範囲を超えてもなお、積算通水量が浄水カートリッジ12を交換すべき目安となる前記総通水量の所定値を下回ると認定した場合(図10中、破線のケース)には、管理サーバ90は自動購入処理を行わない。前者の場合には積算通水量が前記総通水量の所定値に達した時点(図10中、B点参照)で、後者の場合には浄水カートリッジの前回交換時からの使用期間が前記自動購入期間の範囲を超えた時点(図10中、C点参照)で、それぞれ交換促進情報を使用者の通信端末80に送信して、通信端末80から浄水カートリッジ購入の手続が行えるようにし、使用者の購入の指示を待って、管理サーバ90が浄水カートリッジの購入に係る処理を進行させる。
ただし、このように自動購入処理を行わない、積算通水量が平均的使用より早く前記目安の総通水量に達する場合や、積算通水量の増加が平均的使用より遅く、使用期間が自動購入期間の範囲を超えても前記目安の総通水量に達しない場合であっても、最初に使用者に確認して、購入指示を受けて浄水カートリッジを配送する手順を進めてからの、以降のカートリッジ交換時期については、最初の確認段階で二回目の交換以降は自動購入に切替えるか否かの問合せを行い、これに対し使用者の自動購入の同意が得られれば、それぞれ最初の機会に交換促進情報が送信されたのと同じタイミングで、自動購入処理を実行するようにしてもよい。
(本発明の第2の実施形態)
前記第1の実施形態に係る水情報収集システムにおいて、浄水カートリッジ12の不適切な使用状態としての、浄水カートリッジ12が使用限界に達した状態を判断するための一手法として、水供給装置10からの水使用情報に基づいて、浄水カートリッジ12への単位時間あたりの通水量を取得し、この単位時間あたりの通水量の経時変化を計測して、浄水カートリッジ12の劣化度合いを判断する、より具体的には、浄水カートリッジ12への単位時間あたり通水量が、浄水カートリッジ12の使用限界に対応させてあらかじめ設定された単位時間あたり通水量の所定下限値を下回っているか否かを判別し、単位時間あたり通水量が前記所定下限値を下回る場合に、浄水カートリッジ12が使用限界を超えたと判断する構成としているが、これに限られるものではなく、浄水カートリッジへの単位時間あたりの通水量の経時変化における減少変化の進行速度、すなわち、単位時間あたりの通水量の時間経過に対する減少割合が大きい又は小さい状況から、浄水カートリッジの劣化の度合いを認定し、浄水カートリッジの使用限界の判断に用いる構成とすることもできる。
これは、原水の水質の良くない度合いが大きい場合に、浄水カートリッジの通水性劣化の進行、すなわち単位時間あたりの通水量の減少の進行が早く、浄水カートリッジの使用限界への到達も早くなり、また、逆に原水の水質が良好な場合に、浄水カートリッジの通水性劣化の進行、すなわち単位時間あたりの通水量の減少の進行が遅く、浄水カートリッジの使用限界への到達も遅くなる、といった性質に基づいて、浄水カートリッジの劣化の度合いを見積もり、浄水カートリッジの使用限界への到達時期を判断するものであり、原水の水質の差異を踏まえて、浄水カートリッジ12の使用限界に至る状態を正しく判断することができる。
また、浄水カートリッジ12の劣化度合いの判断にあたり、浄水カートリッジ12への単位時間あたりの通水量の経時変化における減少変化の進行速度に着目する中で、通水量の減少変化の進行速度が大の場合は、浄水カートリッジの劣化が早いことから、浄水カートリッジを通る原水の水質はよくないといえる。また、通水量の減少変化の進行速度が小の場合は、浄水カートリッジの劣化が遅いことから、浄水カートリッジを通る原水の水質は良好といえる。すなわち、単位時間あたりの通水量の経時変化における減少変化の進行速度から、原水の水質を推定できることがわかる。
ただし、ここでの原水の水質は、一つの水供給装置で、ある基準となる水質の原水を用いた場合の、単位時間あたりの通水量の経時変化における減少変化の進行速度に対し、別の原水を用いた場合の、単位時間あたりの通水量の経時変化における減少変化の進行速度を求めることで、この別の原水の水質が基準水質との相対的な水質として得られる、といった、相対的なものとなる。
しかしながら、複数の同種の水供給装置について、これら水供給装置ごとの浄水カートリッジへの単位時間あたりの通水量の経時変化における減少変化の進行速度については、計測状況の一致から基準の水質は同じと見なすことができ、進行速度の差異から水供給装置ごとの原水水質の差異を判断することができる。
これに基づいて、管理サーバ90が、所定地域内の各位置に設置されている複数の同種の水供給装置について、水供給装置ごとの浄水カートリッジへの単位時間あたりの通水量の経時変化における減少変化の進行速度を得て、これから水供給装置に導入される原水の水質を推定するようにすれば、各水供給装置ごとに推定した原水の水質の情報と、各水供給装置の設置位置の情報とに基づいて、所定地域内の各位置ごとに原水としての上水の水質を示す水質分布情報を取得することができる。
こうした水質分布情報から、例えば地域内の所定箇所に設置予定の水供給装置について、その位置から水質を推定し、その水質に基づく浄水カートリッジの劣化の度合いを推測して、浄水カートリッジの交換時期や交換頻度を判断できる。これにより、事前に浄水カートリッジの交換についての情報提供等のタイミングの最適化が計れ、使用者によるカートリッジ購入の確実性を高められる。
なお、所定地域内の各水供給装置の設置位置の情報は、あらかじめ管理サーバ90に水供給装置ごとに登録しておく他に、使用者の通信端末80、又は水供給装置10の通信手段25と、無線基地局(アクセスポイント)との通信に基づく位置計測手法を用いた位置情報取得や、GPSのような測位手段を用いての位置情報取得などに基づいて、随時管理サーバ90で位置情報を収集、記録するようにしてもよい。
また、所定地域内の各位置ごとの水質分布情報を取得するにあたっては、管理サーバ90が、この所定地域内で水供給装置に原水として送給される上水(水道水)についての水質に係る各種公開情報、例えば、上水供給元(水道事業者)の公表する水質検査データや、水質に影響を与える前記所定地域における現在時刻より前の所定期間における天気や降水量などのデータ、水道工事の場所や時間のデータ等を、ネットワーク100を介して収集して記録し、これら公開情報に基づいて、所定地域内の各位置ごとの水質のベースとなる基準水質を解析、設定したり、原水としての上水の水質の過渡的変化の影響を排除して、各水供給装置の設置位置における水質を推定し、前記所定地域の水質分布情報を取得する構成とすることもできる。
この場合、収集された上水の水質に係る公開情報から、各水供給装置の設置位置における原水としての上水の過渡的変化を含む水質の状態を把握できることで、各水供給装置の浄水カートリッジへの単位時間あたりの通水量の経時変化からわかる水質が、原水の水質の変化の影響を受けているか否かを判別でき、管理サーバ90で取得した水質が、浄水カートリッジにおける詰まり等の劣化の進行具合に正しく対応したものかを正確に検証することができる。これにより、単位時間あたりの通水量の経時変化の変化度合いから正しく水質を認定して、地域の水質分布を正確に取得でき、水質分布情報に基づく浄水カートリッジの交換時期等の予測をより正確に行うことができ、浄水カートリッジの交換等についての情報提供の信頼性をさらに向上させられる。
さらに、所定地域内の複数の水供給装置における浄水カートリッジへの単位時間あたりの通水量の既知の変化度合いに基づいて取得された上水の水質分布情報からは、所定地域内の各水供給装置における浄水カートリッジの劣化に与える水質の影響を踏まえた上で、以降の浄水カートリッジの劣化の進み具合を予想し、浄水カートリッジが使用限界に達して交換が必要となる時期を推定して、所定地域内での各水供給装置ごとの浄水カートリッジ交換時期の相互の関係性を把握して、交換に供される浄水カートリッジの需要の分散又は集中といった傾向を精度良く予測できる。
これにより、所定地域における浄水カートリッジの需要の傾向にあらかじめ対応させて導き出された供給計画に合わせて、浄水カートリッジを効率的に製造し、発注できることとなり、浄水カートリッジの供給に係るコスト低減が図れる。また、こうした浄水カートリッジの需要予測に係るデータは、浄水カートリッジの効率的な製造等が可能となることで有用であり、浄水カートリッジの製造業者や販売業者に対し有償提供して対価を得られることとなる。
(本発明の第3の実施形態)
前記第1の実施形態に係る水情報収集システムにおいては、水供給装置10における水使用に伴う通水量に基づく、浄水カートリッジ12の劣化の認定にあたり、流量センサ13により浄水カートリッジ12への通水量のみ検出し、これを含む水使用情報に基づいて、管理サーバ90で浄水カートリッジ12への単位時間あたりの通水量や浄水カートリッジ12の前回交換時からの積算通水量を取得する構成としているが、これに限られるものではなく、図11に示すように、水供給装置に少なくとも浄水カートリッジが通水経路に含まれないバイパス通水路17cを設けると共に、浄水カートリッジ12を通過した水量と、バイパス通水路17cを通過した水量とを、それぞれ個別に流量センサ13で計測するようにし、これら各水量を水使用情報に含むようにして管理サーバ90に送信し、管理サーバ90では、浄水カートリッジへの単位時間あたりの通水量と、浄水カートリッジを通過しない場合であるバイパス通水路17cにおける単位時間あたりの通水量とをそれぞれ取得して比較し、浄水カートリッジ12への単位時間あたりの通水量の経時変化について、バイパス通水路17cにおける単位時間あたりの通水量の経時変化と同様にあらわれる変化分を除いた後の経時変化を計測して、単位時間あたりの通水量の減少度合いを取得して浄水カートリッジ12の劣化度合いを認定したり、原水の水質を推定する構成とすることもできる。
この場合、浄水カートリッジ12への通水量に基づく、浄水カートリッジ12への単位時間あたりの通水量に対し、バイパス通水路17cにおける通水量に基づく、バイパス通水路17cにおける単位時間あたりの通水量は、浄水カートリッジ12の影響を受けておらず、このバイパス通水路17cにおける単位時間あたりの通水量の経時変化は、浄水カートリッジによらない原水由来の通水量の経時変化がそのままあらわれるものとなる。
よって、浄水カートリッジを通過しない場合の単位時間あたりの通水量を取得し、原水の給水量の影響を受けて変化している浄水カートリッジへの単位時間あたりの通水量に対し、同様の影響を受けて変化している、浄水カートリッジを通過しない場合の単位時間あたりの通水量による補正を行って、浄水カートリッジへの単位時間あたりの通水量の経時変化から、バイパス通水路17cにおける単位時間あたりの通水量の経時変化と同様にあらわれる変化分を除いた後の経時変化は、浄水カートリッジ12における詰まり等の劣化の影響のみを正しく反映したものとなる。
このため、浄水カートリッジ12への単位時間あたりの通水量の経時変化における、浄水カートリッジの詰まり等の劣化で生じた変化分を正確に見極めることができ、浄水カートリッジ12の劣化状態を正しく認定してその交換時期を判断でき、カートリッジの交換をより適切なタイミングで促すことができ、使用者の安心感を高められると共に、水処理の信頼性を向上させられる。
図11に示す具体例では、浄水カートリッジ12が含まれる通水路への通水を行って、流量センサ13で浄水カートリッジ12への通水量を計測し、通水状態のまま、切替弁15を切替えて、浄水カートリッジが通水経路に含まれないバイパス通水路17cへの通水が行われるようにし、新たに流量センサ13でバイパス通水路17cへの通水量を計測する仕組みとされる。こうして通水しながら通水路を切替えることで、通水とその計測が連続し、通水に係る水圧等の諸条件の一致を担保できる。また、通水の可否切替えを自動制御される給水側切替弁11で行うと共に、浄水カートリッジ12が含まれる通水路と、浄水カートリッジが通水経路に含まれないバイパス通水路17cとの切替えを、水供給装置10の制御下にある切替弁15で行うことで、通水の安定が確保され、且つ、スムーズでむらのない通水路切替えが実現し、弁の手動操作による切替えの場合のような弁作動に起因する通水の変動の影響を回避できる。
なお、こうした通水路の切替えを伴って、浄水カートリッジ12への通水量とバイパス通水路17cへの通水量を連続して計測し、通水量に係る情報を収集する時期については、例えば酸性水供給時や、他の処理水供給時初期の飲用対象外として吐出水を廃棄させる捨て水の期間があてられる。これは、バイパス通水路17cを通って吐出される水は浄水されておらず飲用に適しないことから、上記の通水に係る計測を、飲用に供する処理水ではない水が吐出される際に合わせて実行する必要性によるものである。
この図11に示す具体例においては、浄水カートリッジ12が含まれる通水路と、浄水カートリッジが通水経路に含まれないバイパス通水路17cのそれぞれに流量センサ13を配置して、浄水カートリッジ12への通水量とバイパス通水路17cへの通水量を各流量センサで個別に計測するようにしているが、これに限られるものではなく、流量センサの配置を工夫して、前記各通水路の流量を一つの流量センサのみで計測するようにすることもできる。例えば、浄水カートリッジ12が含まれる通水路とバイパス通水路17cとが分岐する箇所(切替弁15)より上流側の、給水側切替弁11の直後の通水路に唯一の流量センサを設けるようにしてもよい。
また、水供給装置にバイパス通水路17cを設ける場合、水が浄水カートリッジ12を通過する場合と、水がバイパス通水路17cを通って浄水カートリッジ12を通過しない場合とを切替える切替弁15も設けることとなるが、この他、水供給装置における通水路を必要に応じてさらに設定し、新たな通水路に水が流れるようにする切替弁を適宜追加配設するようにしてもかまわない。
例えば、図12に示すように、水供給装置から外部の所定の配水対象に向かう分岐管路17dを設けると共に、この管路に主水路から水を通すようにする新たな切替弁14を分岐位置に設け、浄水カートリッジ12が不適切な使用状態となった場合の制御とは別に、管理サーバからの送信情報に基づく所定のタイミングでこの切替弁を制御して切替可能とする構成とすることもでき、使用者が管理サーバ90に対し通信端末等で指示を行うようにすれば、管理サーバ90からの指示情報で通水状態を切替えて、あらかじめ管路を接続した所定の配水対象(例えば、ペットの水飲み場や植物を植えた鉢等)に遠隔操作で給水を行うことができる。さらに、水供給装置において、浄水カートリッジが不適切な使用状態となった場合の制御とは別に、適宜必要となる所定の通水状態、例えば、捨て水等について、管理サーバからの送信情報に基づく所望のタイミングで各弁や電解槽等の制御を行って、通水状態を実現可能とする構成とすることもでき、前記同様に使用者が管理サーバに対し通信端末等で指示を行うようにすれば、管理サーバからの指示情報で通水状態を変化させられ、遠隔操作で所望の通水を行わせることができる。
(本発明の第4の実施形態)
前記第1の実施形態に係る水情報収集システムにおいて、管理サーバ90では、水供給装置10で得られた浄水カートリッジ12への通水量の検出結果と通水時間を利用して、浄水カートリッジ12への単位時間あたりの通水量を取得し、この通水量の経時変化をそのまま監視して浄水カートリッジ12の劣化度合いを認定する構成としているが、これに限られるものではなく、管理サーバ90で、浄水カートリッジ12への単位時間あたりの通水量の経時変化を継続的に監視して、通水量の周期的に繰返される変化の有無を判別して、周期的変化が存在する場合は、前記単位時間あたりの通水量の経時変化について、所定の繰返し周期で同様にあらわれる変化分を除いた後の経時変化を計測して、単位時間あたりの通水量の減少度合いを取得して浄水カートリッジの劣化度合いを認定したり、原水の水質を推定する構成とすることもできる。
この場合、浄水カートリッジ12への通水量に基づく、浄水カートリッジへの単位時間あたりの通水量は、原水として送給される上水の送給水量の経時変化の影響を受けるものの、上水の送給水量の変化は、例えば1日のうちで特定の時間帯に上水の大量使用に伴う影響があらわれたり、1週間のうち平日以外は企業等による水の使用が減少するのに伴う影響があらわれたり、夏場は水使用が多く冬場は少ないなどの季節的変動など、特定の変化が周期的に繰り返される傾向が強いことから、こうした上水の送給水量の周期的変化の影響を受けて、浄水カートリッジへの単位時間あたりの通水量の経時変化にも、通水量の周期的変化が生じることとなり、こうした通水量の経時変化において周期的にあらわれる同じ変化分に着目し、これを通水量の経時変化から除くようにすれば、浄水カートリッジにおける詰まり等の劣化の影響を正しく反映した通水量の経時変化を取得でき、浄水カートリッジの劣化状態を正しく認定して交換時期を判断でき、カートリッジの交換を適切なタイミングで促すことができ、使用者の安心感を高められると共に、水処理の信頼性を向上させられる。