(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係る吸収性物品の包装体は、互いに直交する前後方向及び幅方向を有し、表面シート、裏面シート及び吸収コアを有する吸収性物品と、前記吸収性物品を個別に包装する包装シートと、を備える吸収性物品の包装体であって、前記包装体は、前記包装シートによって前記吸収性物品を個別に包装した包装状態において、平面視にて長方形であって、前記包装状態における前記包装体の長手方向の長さは、110mm以上130mm以下であって、前記包装状態における前記包装体の短手方向の長さは、70mm以上85mm以下である。出願人が鋭意研究した結果、使用者は、包装体の寸法によって当該包装体を生理用ナプキンとして認識したり、ポケットティッシュとして認識したりすることがわかった。より詳細には、長手方向の長さが110mm以上130mm以下であって、短手方向の長さが70mm以上85mm以下である包装体は、ポケットティッシュとして認識され易い。そのため、包装体自体を袋等に入れずに持ち運んでも、周囲の人がポケットティッシュとして認識易く、周囲の人に吸収性物品であることを悟られ難くなる。
好ましい一態様によれば、前記包装状態における前記包装体の最大厚さは、5mm以上20mm以下であってよい。出願人が鋭意研究した結果、ポケットティッシュの厚みは、一般的に5mm以上20mm以下である。包装体の最大厚さが5mm以上20mm以下であることにより、ポケットティッシュとしてより認識され易い。よって、周囲の人に吸収性物品であることをより悟られ難くなる。
好ましい一態様によれば、前記吸収性物品の前記裏面シートには、使用時に前記吸収性物品を着用物品に接合するための粘着部が設けられており、前記包装体は、前記吸収性物品と前記包装シートの間に配置され、前記粘着部を覆う剥離シートを有してよい。本態様によれば、包装シートを介した吸収性物品の視認性を剥離シートによって低下させることができ、剥離シートによって吸収性物品の隠蔽性を高めることができる。よって、包装体の外側から吸収性物品が収容されていることを認識され難くなり、周囲の人に吸収性物品であることをより悟られ難くなる。
好ましい一態様によれば、前記包装シートは、前記吸収性物品を取り出す開口を形成するための開口形成部と、印刷が施された印刷部と、を有しており、前記包装状態における前記包装体は、前記長手方向及び前記短手方向を含む平面方向に延びる第1面と、前記第1面と対向して配置された第2面と、を有し、前記開口形成部は、前記第1面に設けられており、前記印刷部は、前記第2面に設けられた第2印刷部を有してよい。本態様によれば、包装シートを介した吸収性物品の視認性を印刷部によって低下させることができ、吸収性物品の隠蔽性を高めることができる。第2面は、開口形成部と反対側の面であり、開口形成部の配置に影響されることなく、第2印刷部を設けることができる。そのため、第2印刷部によって包装体のデザイン性を高め、ポケットティッシュのようなデザイン性を実現できる。
好ましい一態様によれば、前記印刷部は、前記第1面に設けられた第1印刷部を有し、前記第1印刷部のデザインと前記第2印刷部のデザインは、異なってよい。本態様によれば、第1印刷部のデザインと第2印刷部のデザインが異なるため、ポケットティッシュのような外観により近づき、周囲の人に吸収性物品であることをより悟られ難くなる。また、異なるデザインを含む印刷部によって包装体全体のデザイン性を高め、ポケットティッシュのようなデザイン性を実現できる。
好ましい一態様によれば、前記第2面の前記長手方向の中央には、前記第2印刷部が設けられており、前記第2面の前記長手方向の端部には、前記第2印刷部を有しない非印刷部が設けられており、前記非印刷部は、透明又は半透明であってよい。包装体の中央は、包装体において目立つ箇所であり、第2印刷部によって吸収性物品の隠蔽性を高めることができる。また、一般的に、ポケットティッシュの長手方向の端部は、透明又は半透明である。第2面の長手方向の端部に非印刷部を設けることにより、ポケットティッシュの外観を模すことができ、使用者がポケットティッシュとしてより認識し易くなる。
好ましい一態様によれば、前記第2印刷部の前記長手方向の長さは、前記第2面の前記長手方向の長さに対する85%以上であってよい。本態様によれば、一般的に、ポケットティッシュの印刷部は、第2面の前記長手方向の長さに対する85%以上である。当該構成によれば、内部に収容する吸収性物品を第2印刷部によって覆い、第2印刷部によって隠蔽しやすい。よって、ポケットティッシュとしてより認識され易くなる。
好ましい一態様によれば、前記包装状態における前記包装体の前記長手方向の両端部には、前記包装シート同士を接合するシール部が設けられており、前記第2面の前記長手方向の端部に設けられた前記非印刷部の長手方向の長さは、前記シール部の前記長手方向の長さよりも長く、前記包装状態における前記包装体の最大厚さよりも短くてよい。本態様によれば、非印刷部の長手方向の長さがシール部の長手方向の長さよりも長いため、透明又は半透明の領域をシール部に隣接して設けることができる。ポケットティッシュの外観の特徴の一つである透明又は半透明の領域を設けることにより、ポケットティッシュとしてより認識され易くなる。また、非印刷部の長手方向の長さが包装体の最大厚さよりも短い。この構成によれば、非印刷部の長手方向の長さが長すぎず、非印刷部を介して吸収性物品が包装体の外側から視認されることを抑制できる。
好ましい一態様によれば、前記開口形成部は、前記包装シートの前記長手方向に沿って延びる一端部と、前記包装状態において前記包装シートの前記一端部と重なる領域と、が仮接合された仮接合部を有し、前記包装シートの前記一端部は、前記包装状態において第1折り目を起点に前記包装体の内側に折り畳まれており、前記一端部と重なる領域に対する包装体の外側に配置されてよい。本態様によれば、内側に折り畳まれた包装シートの一端部が包装体の外側に位置し、包装シート同士が仮接合されているため、包装シートの一端部が折り返されていない構成と比較して、包装体の外側から異物が入り難い。また、包装シートの一端部が内側に折り畳まれており、当該折り畳まれた部分によって内部の隠蔽性を高め、包装体を開封する前の状態で開口形成部を介して内部が視認し難くなる。よって、包装体の外側から吸収性物品が収容されていることを認識され難くなり、周囲の人に吸収性物品であることをより悟られ難くなる。
好ましい一態様によれば、前記包装シートの前記一端部と重なる領域は、前記包装状態において第2折り目を起点に前記包装体の内側に折り畳まれており、前記第1折り目及び前記第2折り目は、前記短手方向及び前記長手方向のいずれか一方である一方向に沿っていずれも延びており、前記第2折り目は、前記一方向と直交する他方向において、前記第1折り目よりも外側に配置されてよい。本態様によれば、包装状態において、第2折り目は、第1折り目よりも外側に延出している。包装体の開封時に、使用者は、第2折り目の近傍を掴んで、第1折り目側と容易に分離できる。よって、開封作業を行いやすくなる。
好ましい一態様によれば、前記仮接合部は、前記他方向において前記第1折り目よりも内側に配置されてよい。本態様によれば、仮接合部が、第1折り目よりも内側に配置されているため、包装体の開封時に第1折り目部分を掴む際に、第1折り目よりも内側の部分を掴み易い。よって、より開封作業を行いやすくなる。
好ましい一態様によれば、前記包装シートの前記第1折り目は、前記一方向に対して傾斜してよい。本態様によれば、包装シートの第1折り目が長手方向に対して傾斜しているため、略長方形状の第1面に対して包装シートの第1折り目が目立ちやすくなる。よって、ポケットティッシュのような形状を実現しつつ、開封時の操作性を向上できる。
(2)実施形態に係る吸収性物品
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品の包装体1について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
図1及び図2は、包装シート20によって吸収性物品10を個別に包装した包装状態の吸収性物品の包装体1である。図1は、後述する第1面P1側から見た斜視図であり、図2は、後述する第2面P2側から見た斜視図である。図3は、図1に示すA−A断面図である。図4は、展開状態における吸収性物品の包装体1を肌対向面側T1から視認した状態を示した図であり、図5は、展開状態における吸収性物品の包装体を非肌対向面側T2から視認した状態を示した図である。図6は、吸収性物品の包装体1の折り畳み態様の一例を説明するための図である。
吸収性物品の包装体1は、吸収性物品10と、吸収性物品10を個別に包装する包装シート20と、を有する。吸収性物品の包装体1(以下、包装体とする)は、図1及び図2に示す包装状態において、長手方向L、短手方向S及び厚さ方向Tを有する。包装状態において、包装体1の長手方向Lの長さは、包装体1の短手方向Sの長さよりも長い。なお、本実施の形態の包装体は、長手方向Lに沿った折り目のみを基点として、短手方向Sに複数回折り畳まれており、展開状態において、包装体1の短手方向Sの長さは、包装体1の長手方向Lの長さよりも長い。しかし、変形例において、包装体は、長手方向Lに沿った折り目を基点に折り畳まれるとともに短手方向Sに沿った折り目を基点に折り畳まれていてもよいし、短手方向Sに沿った折り目のみを基点に複数回折り畳まれていてもよい。包装体1は、長手方向L及び短手方向Sを含む平面方向に延びる第1面P1と、第1面P1と対向して配置された第2面P2と、を有する。第1面P1と第2面P2の平面視の形状は、正方形状でなく、長方形状である。
吸収性物品10は、生理用ナプキン、パンティライナー、母乳パッド、大人用失禁パッド、使い捨ておむつ、糞便パッド又は汗取りシートのような吸収性物品であってよい。特に、吸収性物品は、使用者の下着のような着用物品の内側に取り付けられて使用される物品であってよく、生理用ナプキンであってよい。
吸収性物品10は、互いに直交する前後方向FR、幅方向W及び厚さ方向Tを有する。厚さ方向Tは、着用者の肌に対向して配置される肌対向面側T1と、肌対向面側T1と反対側の非肌対向面側T2と、を有してよい。本実施の形態の吸収性物品10の前後方向FRは、包装体1の短手方向Sに沿っており、吸収性物品10の幅方向Wは、包装体1の長手方向Lに沿っている。しかし、変形例において、吸収性物品10の幅方向Wが包装体1の短手方向Sに沿い、吸収性物品10の長手方向Lが包装体1の長手方向Lに沿ってよい。また、包装体1の厚さ方向Tは、吸収性物品10の厚さ方向Tに沿っている。
図4に示すように、吸収性物品10は、肌対向面側T1に配置された表面シート11と、非肌対向面側T2に配置された裏面シート12と、表面シート11と裏面シート12の間に配置された吸収コア13と、を少なくとも有してよい。吸収性物品10の厚さは、一定でなく、吸収コア13が配置された領域の厚さは、吸収コア13が配置されていない領域の厚さよりも厚くてよい。
図5に示すように、吸収性物品10は、中央域S2、前側域S1及び後側域S3を有する。中央域S2は、着用者の排泄口、例えば膣口に対向する領域である。吸収性物品10が着用物品に装着されたときに、中央域S2は着用物品の股下部に配置され、着用者の両足の間に配置される領域である。前側域S1は、中央域S2よりも前側に位置する。前側域S1の前端縁は、吸収性物品10の前端縁を規定する。後側域S3は、中央域S2よりも後方に位置する。後側域S3の後端縁は、吸収性物品10の後端縁を規定する。図4に示すように、中央域S2には、ウイング15が設けられてよい。ウイング15は、吸収コア13よりも幅方向Wの外側に延出し、使用時に着用物品の非肌対向面側T2に折り畳まれる。吸収性物品10は、後側域S3において、吸収コア13よりも幅方向の外側に延出したヒップフラップを有してもよい。ウイング及びヒップフラップは、吸収性物品10と包装シート20が共に折り畳まれる前に、前後方向FRに沿った補助折り目FLAを介して幅方向Wの内側に折り畳まれていてよい。すなわち、後述する載置状態では、ウイング15及びヒップフラップが補助折り目FLAを介して折り畳まれ、吸収性物品10よりも幅方向Wの外側に包装シート20が延出していることが好ましい。
吸収性物品10は、下着等の着用物品に取り付けられて使用されてよい。下着等の着用物品に取り付けられる吸収性物品10にあっては、裏面シート12の非肌面には、粘着部が設けられている。粘着部は、吸収性物品を着用物品に接合するための粘着剤が設けられた領域である。粘着部は、吸収コア13と重なる領域に配置された本体粘着部16(図5参照)と、ウイング15に設けられたウイング粘着部17(図4参照)と、を有してよい。粘着部は、使用前に包装シート20によって覆われていてもよいし、剥離シートによって覆われていてもよい。本体粘着部16は、本発明の「粘着部」を構成する。
包装体1は、剥離シートを有してよい。剥離シートは、吸収性物品の使用前に粘着部を覆う。剥離シートは、本体粘着部16を覆う本体剥離シート41と、ウイング粘着部17を覆うウイング剥離シート42と、を有してよい。本体粘着部16は、図5に示すように、吸収性物品10の非肌面と包装シート20の間に配置され、ウイング粘着部17は、図4に示すように、ウイング15が補助折り目FLAを基点に折り畳まれた状態で、一対のウイング15を跨ぎ、両方のウイング粘着部17を覆うように配置されている。本体剥離シート41は、本発明の「剥離シート」を構成する。
包装シート20は、吸収性物品10を個別に包んでよい。包装シート20は、展開状態において長方形状であってよく、包装状態において吸収性物品を内包する。次いで、図6等に基づいて、包装体1の折り畳み態様について説明する。図6(a)は、包装シート20上に吸収性物品10を載せた載置状態であり、当該載置状態において、吸収性物品10と包装シート20が共に折り畳まれることによって、吸収性物品10が包装シート20によって個別に包装される。なお、載置状態は、吸収性物品10と包装シート20が共に折り畳まれる直前の状態である。載置状態の前に、吸収性物品10は、補助折り目FLAを基点に折り畳まれてよい。載置状態において、包装シート20の幅方向Wの長さは、吸収性物品10の幅方向Wの長さよりも長い。よって、包装シート20によって吸収性物品10を個別に包装した包装状態において、包装シート20は、吸収性物品10よりも幅方向Wの外側に延出しており、吸収性物品10の外縁が露出していない。
包装体1の折り目は、第1折り目FL1、第2折り目FL2、第3折り目FL3及び第4折り目FL4を有してよい。図6(a)に示すように、包装シート20は、吸収性物品10の幅方向W(包装体の長手方向L)に延びるシート端縁20E1、20E2を有する。シート端縁の一方である第1シート端縁20E1は、包装状態において外側に位置し、シート端縁の他方である第2シート端縁20E2は、包装状態において内側に位置する。第1折り目FL1は、第1シート端縁20E1側に設けられた折り目である。包装シート20の一端部20R1(図6(b)参照)は、第1シート端縁20E1を含む領域が第1折り目FL1を起点に包装体の内側に折り畳まれた部分である。包装シート20の一端部20R1は、開口形成部25を構成する。
第2折り目FL2は、包装状態において、包装シート20の一端部と重なる積層領域SR(図6(c)参照)が折り畳まれる折り目である。包装シート20の一端部と重なる積層領域SRは、第3折り目FL3と第2折り目FL2の間の領域である。積層領域SRは、第2折り目FL2によって内側に折り畳まれている。よって、積層領域SRを挟む第2折り目FL2と第3折り目FL3のうち、後から折り畳む第2折り目FL2が、積層領域SRを折り畳む折り目となる。積層領域SRは、開口形成部25を構成してよい。本実施の形態の開口形成部25は、包装シート20の一端部20R1と積層領域SRの間に設けられている。
第3折り目FL3は、第2折り目FL2よりも第2シート端縁20E2側に設けられた折り目である。包装シート20の他端部20R2(図6(b)参照)は、第2シート端縁20E2を含む領域が、第3折り目FL3を起点に包装体の内側に折り畳まれた部分である。包装シート20の他端部20R2は、包装状態において積層領域SRよりも内側に位置する。なお、変形例において、第3折り目FL3を有していなくてもよい。第4折り目FL4は、第2折り目FL2よりも第1シート端縁20E1側に位置する。第1折り目FL1、第2折り目FL2、第3折り目FL3及び第4折り目FL4は、吸収性物品10の幅方向W(包装体の長手方向L)に延びており、吸収性物品10の前後方向FR(包装体の短手方向S)に間隔を空けて配置されている。第1折り目FL1、第2折り目FL2、第3折り目FL3及び第4折り目FL4は、吸収性物品の肌面側同士が向き合うように折り畳むための折り目であってよい。
包装体1は、図6(a)に示す載置状態から、図6(b)に示すように、第1折り目FL1を基点に折り畳まれるとともに、第3折り目FL3を基点に折り畳まれる。なお、第1折り目FL1を基点に折り畳む工程は、第4折り目FL4を基点に折り畳む前までに行われていればよく、第1折り目FL1を基点に折り畳む工程に対する順序は問われない。
次いで、図6(c)に示すように、包装体1は、第3折り目FL3を基点に折り畳まれた部分を内側にして、第2折り目FL2を基点に折り畳まれる。これにより、積層領域SRが折り畳まれる。そして、図6(d)に示すように、包装体1は、第2折り目FL2を基点に折り畳まれた部分を内側にして、第4折り目FL4を基点に折り畳まれる。図6(e)に示すように、包装体1は、第4折り目FL4を基点に折り畳まれた後に、包装体1の長手方向Lの両端部において、包装シート20同士が接合されていてよい。包装シート20同士が接合されたシール部5は、例えば、熱溶着によって形成できる。このように包装体1を折り畳むことにより、図1及び図2に示すように、包装体1は、平面視にて長方形状になる。
このように折り畳まれた包装体の吸収性物品を使用する際は、包装シート20を開封し、吸収性物品10を取り出す。包装シート20は、吸収性物品10を取り出す開口を形成するための開口形成部25を有する。開口形成部25は、包装シート20同士が仮接合された仮接合部であってもよいし、包装シート20同士が積層された部分の非接合部分であってもよいし、ミシン目であってもよい。開口形成部25は、包装状態における包装体1の外側に位置する面に設けられてよい。本実施の形態の開口形成部25は、包装シート20の一端部20R1と、包装シート20の一端部と重なる積層領域SRと、が仮接合された仮接合部26によって構成されている。使用者は、開口形成部25を介して包装体1を展開し、吸収性物品10を取り出して、吸収性物品10を使用する。
本実施の形態の包装体1は、周囲の人にポケットティッシュのように認識させることで、吸収性物品であることを悟られ難くなるように構成されている。次いで、包装体1におけるポケットティッシュのように認識できる構成について、説明する。出願人が鋭意研究した結果、使用者は、包装体1の寸法によって当該包装体を生理用ナプキン等の吸収性物品として認識したり、ポケットティッシュとして認識したりすることがわかった。より詳細には、表1に示すように、包装体1の長手方向Lの長さ及び短手方向Sの長さが異なる63個のサンプルを用いて、包装体1がポケットティッシュに見えるか否かを検証した。包装体の長手方向の長さ及び短手方向の長さは、包装状態における長さである。10人に同じサンプルを見せて、ポケットティッシュに見えるか否かを質問し、ポケットティッシュに見えると答えた人数を表1に示している。63個のサンプルの包装シートは、いずれも厚み40μmのポリエチレン(PE)フィルムを用い、全面に白色の印刷を施した。
表1に示すように、包装体は、長手方向Lの長さが110mm以上130mm以下であって、短手方向Sの長さが70mm以上85mm以下であることが好ましい。当該包装体は、ポケットティッシュとして認識され易い。そのため、包装体自体を袋等に入れずに持ち運んでも、周囲の人がポケットティッシュとして認識易く、周囲の人に吸収性物品であることを悟られ難くなる。包装体自体がポケットティッシュとして認識されるため、包装体を更に袋等に収容する作業を省くことができる。より好適には、包装体1は、長手方向Lの長さが120mm以上130mm以下であって、短手方向Sの長さが70mm以上80mm以下であってよい。また、包装状態における包装体1の最大厚さは、5mm以上20mm以下であってよい。包装体の最大厚さが5mm以上20mm以下であることにより、ポケットティッシュとしてより認識され易い。よって、周囲の人に吸収性物品であることをより悟られ難くなる。より好適には、包装状態における包装体1の最大厚さは、10mm以上であってよい。出願人が種々検証したところ、ポケットティッシュの厚さは、10mm程度又はそれ以上であることが多く、包装体1の最大厚さは、10mm以上であることによって、使用者がポケットティッシュとしてより認識し易い。包装体の長手方向Lの長さは、包装体1の短手方向Sの長さと異なってよく、包装体1の短手方向Sの長さよりも25mm以上長くてよい。
また、出願人が鋭意研究した結果、使用者は、包装状態における包装体1の長手方向Lと短手方向Sの長さの比率によって、当該包装体を生理用ナプキン等の吸収性物品として認識したり、ポケットティッシュとして認識したりすることがわかった。より詳細には、包装状態における包装体の長手方向Lの長さ:包装状態における包装体の短手方向Sの長さが9:14〜9:17の関係にあると、ポケットティッシュとして認識され易いことがわかった。加えて、最も理想的な比率としては包装状態における包装体の長手方向Lの長さ:包装状態における包装体の短手方向Sの長さが3:5であることがわかった。
包装体1は、包装シート20と吸収性物品10の間に設けられた本体剥離シート41を有してよい。例えば、包装体1の外形がポケットティッシュであると使用者が認識しても、包装シート20を介して吸収性物品10が透けて見えることによって、周囲の人が吸収性物品10として認識するおそれがある。しかし、包装シート20を介した吸収性物品10の視認性を本体剥離シート41によって低下させることができ、本体剥離シート41によって吸収性物品10の隠蔽性を高めることができる。包装体の外側から吸収性物品10が収容されていることを認識され難くなり、周囲の人に吸収性物品10であることをより悟られ難くなる。
包装シート20は、印刷部22を有してよい。包装シート20を介した吸収性物品10の視認性を印刷部22によって低下させることができ、吸収性物品10の隠蔽性を高めることができる。印刷部22は、第2面P2に印刷された第2印刷部222を有してよい。第2面P2は、開口形成部25が設けられた第1面P1と反対側の面であり、開口形成部25の配置に影響されることなく、第2印刷部222を設けることができる。第2印刷部222によって包装体1のデザイン性を高め、ポケットティッシュのようなデザイン性を実現できる。
印刷部22は、第1面P1に設けられた第1印刷部221を有してよい。第1印刷部221によって、開口形成部25を有する第1面P1のデザイン性を高めることができる。第1印刷部221のデザインと第2印刷部222のデザインは、異なってよい。デザインが異なる構成は、絵柄及び図柄の種類が異なる構成のみならず、色が異なる構成、絵柄及び図柄の大きさが異なる構成も含むものである。一般的な生理用ナプキンを包装する包装シート20は、単一のデザインまたは一定のデザインの繰り返しであり、第1面P1と第2面P2で近似するデザインである。一方、ポケットティッシュでは、第1面P1のデザインと第2面P2のデザインが異なっているものが多い。第1印刷部221のデザインと第2印刷部222のデザインが異なることにより、ポケットティッシュのような外観により近づき、周囲の人に吸収性物品10であることをより悟られ難くなる。また、異なるデザインを含む印刷部22によって包装体1全体のデザイン性を高め、ポケットティッシュのようなデザイン性を実現できる。
印刷部22は、包装シート20の全体に設けられていてもよいし、一部の領域に設けられていてもよい。包装シート20には、印刷が施されていない非印刷部23が設けられていてよい。非印刷部23は、包装状態において吸収性物品10と重ならない領域に設けられてよい。印刷部22は、包装状態において、包装体1の短手方向Sに連続して配置され、包装体1の長手方向Lの中央に配置されていてよい。
図2に示すように、第2面P2の長手方向Lの中央には、第2印刷部222が設けられており、第2面P2の長手方向Lの端部には、非印刷部23が設けられてよい。非印刷部23は、第2印刷部222の長手方向の両側に配置されてよい。非印刷部23は、包装体1の長手方向Lの端部において、短手方向Sに連続して配置されてよい。非印刷部23は、透明又は半透明であってよい。包装体1の中央は、包装体1において目立つ箇所であり、第2印刷部222によって吸収性物品10の隠蔽性を高めることができる。また、一般的に、ポケットティッシュの長手方向Lの端部は、透明又は半透明である。第2面P2の長手方向Lの端部に非印刷部23を設けることにより、ポケットティッシュの外観を模して、使用者がポケットティッシュとしてより認識し易くなる。
第2印刷部222の長手方向Lの長さは、第2面P2の長手方向Lの長さに対する85%以上であってよい。一般的に、ポケットティッシュの印刷部22は、第2面P2の長手方向Lの長さに対する85%以上である。第2印刷部222の長手方向Lの長さが第2面P2の長手方向Lの長さに対する85%以上であることにより、ポケットティッシュとしてより認識され易くなる。また、当該構成によれば、内部に収容する吸収性物品10を第2印刷部222によって覆い、第2印刷部222によって吸収性物品10を隠蔽しやすい。よって、同様に、第1印刷部221の長手方向Lの長さは、第1面P1の長手方向Lの長さに対する85%以上であってよい。内部に収容する吸収性物品10を第1印刷部221によって覆い、第1印刷部221によって吸収性物品10を隠蔽しやすい。
第1印刷部221の長手方向Lの長さ、及び第2印刷部222の長手方向Lの長さは、100mm以上110mm以下であってよい。包装体1の長手方向Lと吸収性物品10の幅方向Wが沿った形態にあっては、包装状態又は載置状態(ウイング15を折り畳んだ状態)における吸収性物品10の幅方向W(長手方向L)の長さは、一般的に90mm以上95mm以下である。包装体の第1印刷部221の長手方向Lの長さ、及び第2印刷部222の長手方向Lの長さが100mm以上であることにより、折り畳み時等に包装シート20に対する吸収性物品10の幅方向Wの位置がずれた場合であっても、印刷部22が設けられた領域内に吸収性物品10を収めやすくなる。また、包装体の第1印刷部221の長手方向Lの長さ、及び第2印刷部222の長手方向Lの長さが110mm以下であることにより、印刷部よりも長手方向Lの外側に非印刷部23を設けることができる。
第2面P2の長手方向Lの端部に設けられた非印刷部23の長手方向Lの長さは、シール部5の長手方向Lの長さよりも長く、包装状態における包装体1の最大厚さよりも短くてよい。第2面P2の長手方向Lの端部に設けられた非印刷部23の長手方向Lの長さは、左右の非印刷部23のそれぞれの長さであり、シール部5の長手方向Lの長さは、左右のシール部5のそれぞれの長さである。非印刷部23の長手方向Lの長さがシール部5の長手方向Lの長さよりも長いため、透明又は半透明の領域をシール部5に隣接して設けることができる。ポケットティッシュの外観の特徴の一つである透明又は半透明の領域を設けることにより、ポケットティッシュとしてより認識され易くなる。また、非印刷部23の長手方向Lの長さが包装体の最大厚さよりも短い。この構成によれば、非印刷部23の長手方向の長さが長すぎず、非印刷部23を介して吸収性物品10が包装体1の外側から視認されることを抑制できる。
包装シート20の一端部20R1は、包装状態において第1折り目FL1を起点に包装体1の内側に折り畳まれており、積層領域SRに対する包装体1の外側に配置され、仮接合部26を介して積層領域SRに仮接合されてよい。包装シート20の一端部20R1が包装体の外側に位置し、包装シート20同士が仮接合されているため、包装シート20の一端部が折り返されていない構成と比較して、包装体の外側から異物が入り難い。また、包装シート20の一端部20R1が内側に折り畳まれており、当該折り畳まれた部分によって内部の隠蔽性を高め、包装体1を開封する前の状態で開口形成部25を介して内部が視認し難くなる。よって、包装体1の外側から吸収性物品10が収容されていることを認識され難くなり、周囲の人に吸収性物品10であることをより悟られ難くなる。
包装シート20の一端部20R1と重なる積層領域SRは、包装状態において第2折り目FL2を起点に包装体1の内側に折り畳まれてよい。第1折り目FL1及び第2折り目FL2は、長手方向Lに沿っていずれも延びており、第2折り目FL2は、短手方向Sにおいて、第1折り目FL1よりも外側に配置されてよい。図1に示すように、包装状態において、第2折り目FL2は、第1折り目FL1よりも外側に延出している。包装体1の開封時に、使用者は、第2折り目FL2の近傍を掴んで、第1折り目FL1側と容易に分離できる。よって、開封作業を行いやすくなる。包装シート20の一端部と積層領域SRは、仮接合部26を介して接合され、仮接合部26は、短手方向Sにおいて第1折り目FL1よりも内側に配置されてよい。仮接合部26が第1折り目FL1よりも内側に配置されているため、包装体の開封時に第1折り目部分を掴む際に、第1折り目FL1よりも内側の部分を掴み易い。よって、開封作業をより行いやすくなる。
包装シート20の第1折り目FL1は、長手方向Lに対して傾斜してよい。第1折り目FL1は、包装状態において包装体の外面に配置されており、開封時に使用者が掴む部分である。包装シート20の第1折り目FL1が長手方向に対して傾斜しているため、略長方形状の第1面P1に対して包装シート20の第1折り目FL1が目立ちやすくなる。よって、ポケットティッシュのような形状を実現しつつ、開封時の操作性を向上できる。
なお、変形例にかかる包装体において、第1折り目FL1と第2折り目FL2が短手方向Sに沿っていてもよい。当該変形例においては、第2折り目FL2は、長手方向Lにおいて第1折り目FL1よりも外側に配置されてよい。当該構成によっても、使用者は、第2折り目FL2の近傍を掴んで、第1折り目FL1側の部分と第2折り目FL2の部分と容易に分離できる。よって、開封作業を行いやすくなる。また、当該変形例において、仮接合部は、長手方向において、第1折り目FL1よりも内側に配置されてよい。当該構成によっても、包装体の開封時に第1折り目部分を掴み易く、より開封作業を行いやすくなる。また、当該変形例において、包装シート20の第1折り目FL1は、短手方向Sに対して傾斜してよい。略長方形状の第1面に対して包装シート20の第1折り目が目立ちやすくなり、開封時の操作性を向上できる。
吸収性物品10の隠蔽性を高める機能をより発揮できる包装シート20としては、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルムを例示できる。また、包装体の開封時の開封音を抑制するために、包装シート20の材質は、柔らかいものが好ましい。剥離シートを備えずに包装シートによって粘着部を覆う包装体にあっては、包装シートに剥離コーティングを行うことが好ましい。
次いで、変形例に係る包装体について説明する。図7は、変形例に係る包装体の折り畳み態様を示した図である。なお、以下の変形例の説明において、上述の実施形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。図7(a)は、変形例1に係る包装体1Aを示している。変形例1に係る包装体1Aは、第2折り目FL2を基点に折り畳まれた後に、第1折り目FL1を基点に折り畳まれている。包装シート20の一端部20R1は、第1折り目FL1を基点に折り畳まれており、包装状態において包装体の外側に配置されている。第1折り目FL1及び第2折り目FL2は、吸収性物品10の幅方向W及び包装体1Aの長手方向Lに沿っている。変形例1に係る包装体1Aは、第3折り目FL3及び第4折り目FL4を有していない。包装シート20の一端部20R1(第1シート端縁20E1と第1折り目FL1の間の領域)には、長手方向Lに延びるミシン目27が設けられてよい。ミシン目27を介して包装シート20を分裂させることにより、ミシン目27による開封口を設けることができる。一般的に、ミシン目を有するポケットティッシュは多い。包装体1Aにミシン目27を設けることにより、包装体1Aをよりポケットティッシュの外観に近づけることができる。なお、ミシン目27による開封口は、実施形態における開口形成部25による開封口と合わせて設けられていてもよいし、開口形成部25による開封口に代えて設けられていてもよい。開口形成部25による開封口に代えてミシン目27による開封口を設けることにより、使用前に吸収性物品を密封状態に維持しやすく、包装体1Aの内部に異物が入り難くでき、衛生面をより向上できる。
図7(b)は、変形例2に係る包装体1Bを示している。変形例2に係る包装体1Bは、第5折り目FL5及び第6折り目FL6を基点に折り畳まれた後に、第2折り目FL2を基点に折り畳まれ、次いで第1折り目FL1を基点に折り畳まれている。第5折り目FL5及び第6折り目FL6は、吸収性物品10の幅方向W及び包装体の短手方向Sに沿っており、第1折り目FL1及び第2折り目FL2は、吸収性物品10の前後方向FR及び包装体の長手方向Lに沿っている。包装シート20の一端部20R1(第1シート端縁20E1と第1折り目FL1の間の領域)には、長手方向Lに延びるミシン目27が設けられてよい。変形例2の包装体1Bは、包装状態において吸収性物品10の外側に包装シート20が複数層に重ねられている。ミシン目27は、複数層の包装シート20を貫通して設けられてよい。具体的には、第5折り目及び第6折り目FL6を基点に折り畳まれた状態で、包装シート20の一端部20R1は、2層又は3層に積層されている。この積層された包装シート20に貫通するミシン目27であってよい。ミシン目27の深さがより深いため、包装体1Bよりポケットティッシュの外観に近づけることができる。
図7(c)は、変形例3に係る包装体1Cを示している。変形例3に係る包装体1Cは、包装シート20と吸収性物品10が共に折り畳まれる前に、吸収性物品10が補助折り目FLAを基点に折り畳まれている。補助折り目FLAは、吸収性物品10の幅方向W及び包装体の長手方向Lに沿っている。補助折り目FLAを基点に折り畳まれた吸収性物品10が包装シート20に載置された載置状態において、包装シート20は、第2折り目FL2を基点に折り畳まれた後に、第1折り目FL1を基点に折り畳まれている。第1折り目FL1及び第2折り目FL2は、吸収性物品10の前後方向FR及び包装体の短手方向Sに沿っている。
図7(d)は、変形例4に係る包装体1Dを示している。変形例4に係る包装体1Dは、包装シート20と吸収性物品10が共に折り畳まれる前に、吸収性物品10が補助折り目FLAを基点に折り畳まれている。補助折り目FLAは、吸収性物品10の幅方向W及び包装体の長手方向Lに沿っている。補助折り目を基点に折り畳まれた吸収性物品10が包装シート20に載置された載置状態において、包装シート20は、第1折り目FL1を基点に折り畳まれている。第1折り目FL1は、吸収性物品10の幅方向W及び包装体の長手方向Lに沿っている。
本明細書における「厚さ」の測定は、包装状態における包装体の長手方向の中央かつ短手方向の中央で測定できる。または、厚さは、包装体の側面視にて、最大厚みを有する部分で測定してもよい。「厚さ」を測定する機器は、測定圧3g/cm2、直径10mmの測定端子を有する厚み計(株式会社 尾崎製作所社製 Peacockダイヤルシックネスゲージ)を用いることができる。複数の包装体がパッケージに収容された形態にあっては、同じパッケージから5つの包装体を取り出し、その状態にて20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において12時間放置したサンプルを用いる。5つの包装体の厚さを測定し、その平均値を包装体の「厚さ」とする。
また、包装体の長手方向の長さ及び短手方向の長さの測定は、複数の包装体がパッケージに収容された形態にあっては、同じパッケージから5つの包装体を取り出し、その状態にて20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において12時間放置したサンプルを用いる。5つの包装体の長手方向の両端縁間の距離を測定し、その平均値を包装体の「長手方向の長さ」とする。5つの包装体の短手方向の両端縁間の距離を測定し、その平均値を包装体の「短手方向の長さ」とする。
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。