JP2021021362A - エンジン及び飛行体 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型化が可能となるエンジンを提供する。【解決手段】少なくとも一実施形態に係るエンジン10は、放射状に配置された3以上のピストン105を含むピストン群41と、前記ピストン群41が存在する平面21に存在する複数の燃焼室131と、を備え前記ピストン群41は、前記放射状の内側に配置された一の前記ピストン105Aと、前記放射状の外側に、前記一の前記ピストン105Aと対向するように配置された他の前記ピストン105Bとを含む複数のピストン対43を含み、前記燃焼室131は、前記一の前記ピストン105Aと、前記他の前記ピストン105Bとの間に配置される。【選択図】図5

Description

本開示は、エンジン及び飛行体に関する。
例えばドローンとも呼ばれる無人航空機等のような飛行体において、搭載重量の増加や飛行可能時間の長時間化を図るために、動力源をレシプロエンジンとすることが考えられる。以下、レシプロエンジンのことを単にエンジンとも呼ぶ。
無人航空機等のような飛行体において動力源をエンジンとする場合、搭載重量の増加のためにエンジンの軽量化が望まれ、飛行可能時間の長時間化のためにエンジンの効率向上が望まれる。
これらの要求を満たすのに有利なエンジンとして、例えば対向ピストンエンジンを挙げることができる(例えば特許文献1参照)。
例えば特許文献1に記載の対向ピストンエンジンでは、1つの燃焼室を挟んで対向して配置されたピストンの対がピストンの軸線方向に2対配置された構成を有している。
米国特許出願公開第2013/0036999号明細書
例えば特許文献1に記載の対向ピストンエンジンでは、対向して配置されたピストンの対によって燃焼室が挟まれているので、1つの燃焼室に1つのピストンが配置されている通常のエンジンのようにシリンダヘッドに形成される燃焼室が存在しない。そのため、例えば特許文献1に記載の対向ピストンエンジンでは、上記通常のエンジンと比べて燃焼室の冷却損失を抑制できる。また、例えば特許文献1に記載の対向ピストンエンジンでは、一対のピストンが1つの燃焼室を共有するので、上記通常のエンジンと比べて軽量化し易い。
例えば無人航空機等のような飛行体において、エンジンの駆動力でプロペラを回転させることで揚力及び推力を得ようとする場合、エンジンの姿勢は、飛行体の上下方向に沿った方向にクランク軸が延在するような姿勢とすることが望ましい。このような場合、クランク軸の長さを抑制して、エンジンの上下方向の寸法を抑制することが望ましい。
ところで、近年、レシプロエンジンでは、高効率化のために燃焼室内における混合気や火炎伝播等の数値解析結果に基づいた設計が行われている。そのため、例えばエンジンの排気量を変更する場合、例えばエンジンのシリンダボアやピストンストロークを変更すると燃焼室内の混合気や火炎伝播等の状態が変化してエンジンの効率低下を招くおそれがある。そのため、エンジンの排気量を変更する場合には、シリンダボアやピストンストロークを変更せずに、気筒数を変更することが行われるようになってきている。
しかし、例えば特許文献1に記載の対向ピストンエンジンにおいて、排気量を増やすために、さらにピストン数を増やそうとすると、特許文献1に記載の対向ピストンエンジンをクランク軸の軸線方向に複数配置することとなる。そのため、例えば特許文献1に記載の対向ピストンエンジンにおいて、さらにピストン数を増やそうとすると、エンジンのクランク軸の軸線方向の寸法が増大してしまう。
上述の事情に鑑みて、本開示の少なくとも一実施形態は、小型化が可能となるエンジンを提供することを目的とする。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係るエンジンは、
放射状に配置された3以上のピストンを含むピストン群と、
前記ピストン群が存在する平面に存在する複数の燃焼室と、
を備え
前記ピストン群は、前記放射状の内側に配置された一の前記ピストンと、前記放射状の外側に、前記一の前記ピストンと対向するように配置された他の前記ピストンとを含む複数のピストン対を含み、
前記燃焼室は、前記一の前記ピストンと、前記他の前記ピストンとの間に配置される。
上記(1)の構成によれば、放射状に配置される複数のピストンにおいて隣り合うピストン同士の間隔を狭めることで、上記平面内におけるピストンの数を増やすことができる。これにより、上記平面と直交する方向にエンジンが大型化することを抑制できる。
また、上記(1)の構成によれば、上記平面と直交する方向にエンジンが大型化することを抑制しつつ、少なくともピストン数を6以上に増やすことができる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記放射状に配置された前記ピストン群の中心領域内に配置された主クランク軸と、
前記一の前記ピストンの各々と、前記主クランク軸とを接続する第1コンロッドと、
をさらに備える。
上記(2)の構成によれば、燃焼室内での混合気の爆発によって放射状に配置された3以上のピストンの各々が受けた力で主クランク軸を駆動できる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、前記中心領域は、前記一の前記ピストンの各々の往復動方向を延長した延長線の交点を含む領域に形成される。
上記(3)の構成によれば、主クランク軸を合理的な位置に配置できる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(2)又は(3)の構成において、前記他の前記ピストンの各々と、前記主クランク軸とを接続する第2コンロッド、をさらに備える。
上記(4)の構成によれば、燃焼室内での混合気の爆発によって少なくとも6以上のピストンの各々が受けた力で主クランク軸を駆動できる。
(5)幾つかの実施形態では、上記(2)又は(3)の構成において、
前記燃焼室を挟んで前記主クランク軸と対向して放射状に配置された3以上の副クランク軸と、
前記他の前記ピストンの各々と、前記副クランク軸の各々とを接続する第2コンロッドと、
をさらに備える。
上記(5)の構成によれば、3以上の副クランク軸を放射状に配置できる。
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)の構成において、前記副クランク軸の各々は、前記主クランク軸とは逆方向に回転する。
上記(6)の構成によるエンジンでは、上記(2)の構成を有するので、放射状の内側に配置されたピストンの各々が主クランク軸を駆動するように構成されている。また、上記(6)の構成によるエンジンでは、上記(5)の構成を有するので、放射状の外側に配置された他のピストンの各々が主クランク軸と対向して放射状に配置された3以上の副クランク軸のそれぞれを駆動するように構成されている。
上記(6)の構成によるエンジンを例えばドローンとも呼ばれる無人航空機等のような飛行体に搭載し、該エンジンの駆動力でプロペラを回転させることで揚力及び推力を得るように構成した場合について考える。この場合、主クランク軸によってプロペラを回転させることで、該プロペラの回転方向とは反対方向に飛行体を回転させようとするカウンタートルクが発生し、3以上の副クランク軸によってプロペラをそれぞれ回転させることで、該プロペラの回転方向とは反対方向に飛行体を回転させようとするカウンタートルクが発生する。
上記(6)の構成によれば、3以上の副クランク軸の各々が主クランク軸とは逆方向に回転するように構成されているので、主クランク軸の回転によって発生するカウンタートルクを副クランク軸の回転によって発生するカウンタートルクで減ずることができる。
(7)幾つかの実施形態では、上記(2)又は(3)の構成において、
前記燃焼室を挟んで前記主クランク軸と対向して放射状に配置された3以上の第1副クランク軸と、
前記燃焼室を挟んで前記主クランク軸と対向して放射状に配置され、前記第1副クランク軸とは異なる3以上の第2副クランク軸と、
前記他の前記ピストンの各々と、前記第1副クランク軸の各々とを接続する第3コンロッドと、
前記他の前記ピストンの各々と、前記第2副クランク軸の各々とを接続する第4コンロッドと、
をさらに備える。
上記(7)の構成によれば、放射状の外側に配置された他のピストンの各々によって第1副クランク軸及び第2副クランク軸の各々を駆動できる。
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)の構成において、前記第2副クランク軸の各々は、前記第1副クランク軸の各々とは逆方向に回転する。
上記(8)の構成によるエンジンを例えばドローンとも呼ばれる無人航空機等のような飛行体に搭載し、該エンジンの駆動力でプロペラを回転させることで揚力及び推力を得るように構成した場合について考える。上記(8)の構成によれば、第1副クランク軸の各々が第2副クランク軸の各々とは逆方向に回転するように構成されているので、第1副クランク軸の回転によって発生するカウンタートルクを第2副クランク軸の回転によって発生するカウンタートルクで減ずることができる。
(9)本発明の少なくとも一実施形態に係るエンジンは、
放射状に配置された3以上のピストンを含むピストン群と、
前記放射状に配置された前記3以上の前記ピストンによって共有される燃焼室と、
を備える。
上記(9)の構成によれば、燃焼室を3以上のピストンで共有できるので、燃焼室の冷却損失を抑制できる。
(10)幾つかの実施形態では、上記(9)の構成において、
前記3以上の前記ピストンよりも前記放射状の外側に配置された3以上のクランク軸と、
前記3以上の前記ピストンの各々と、前記3以上の前記クランク軸の各々とを接続するコンロッドと、
をさらに備える。
上記(10)の構成によれば、3以上のクランク軸を放射状に配置できる。
(11)幾つかの実施形態では、上記(9)又は(10)の構成において、前記3以上のクランク軸の少なくとも一のクランク軸は、他のクランク軸とは逆方向に回転する。
上記(11)の構成によるエンジンを例えばドローンとも呼ばれる無人航空機等のような飛行体に搭載し、該エンジンの駆動力でプロペラを回転させることで揚力及び推力を得るように構成した場合について考える。上記(11)の構成によれば、3以上のクランク軸の少なくとも一のクランク軸が他のクランク軸とは逆方向に回転するように構成されているので、該他のクランク軸の回転によって発生するカウンタートルクを該少なくとも一のクランク軸の回転によって発生するカウンタートルクで減ずることができる。
(12)幾つかの実施形態では、上記(11)の構成において、
前記ピストン群は、放射状に配置された4以上の偶数個のピストンを含み、
前記燃焼室は、前記放射状に配置された前記4以上の偶数個の前記ピストンによって共有され、
前記4以上の偶数個の前記ピストンよりも前記放射状の外側に配置された4以上の偶数本のクランク軸と、
前記4以上の偶数個の前記ピストンの各々と、前記4以上の偶数本の前記クランク軸の各々とを接続するコンロッドと、
をさらに備え、
前記4以上の偶数本の前記クランク軸の半数の前記クランク軸は、他の半数のクランク軸とは逆方向に回転する。
上記(12)の構成によるエンジンを例えばドローンとも呼ばれる無人航空機等のような飛行体に搭載し、該エンジンの駆動力でプロペラを回転させることで揚力及び推力を得るように構成した場合について考える。上記(12)の構成によれば、4以上の偶数本の前記クランク軸の半数の前記クランク軸が他の半数のクランク軸とは逆方向に回転するように構成されているので、上記半数のクランク軸の回転によって発生するカウンタートルクを上記他の半数のクランク軸の回転によって発生するカウンタートルクで減ずることができる。
(13)幾つかの実施形態では、上記(9)の構成において、
前記3以上の前記ピストンよりも前記放射状の外側に配置された3以上の第1クランク軸と、
前記3以上の前記ピストンよりも前記放射状の外側に配置され、前記第1クランク軸とは異なる3以上の第2クランク軸と、
前記3以上の前記ピストンの各々と、前記第1クランク軸の各々とを接続する第3コンロッドと、
前記3以上の前記ピストンの各々と、前記第2クランク軸の各々とを接続する第4コンロッドと、
をさらに備える。
上記(13)の構成によれば、上記3以上のピストンの各々によって第1クランク軸及び第2クランク軸の各々を駆動できる。
(14)幾つかの実施形態では、上記(13)の構成において、前記第2クランク軸の各々は、前記第1クランク軸の各々とは逆方向に回転する。
上記(14)の構成によるエンジンを例えばドローンとも呼ばれる無人航空機等のような飛行体に搭載し、該エンジンの駆動力でプロペラを回転させることで揚力及び推力を得るように構成した場合について考える。上記(14)の構成によれば、第1クランク軸の各々が第2クランク軸の各々とは逆方向に回転するように構成されているので、第1クランク軸の回転によって発生するカウンタートルクを第2クランク軸の回転によって発生するカウンタートルクで減ずることができる。
(15)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(14)の何れかの構成において、前記ピストン群と、前記ピストン群が存在する平面に存在する前記燃焼室とを含む1列のピストンアセンブリが前記平面と直交する方向に2列以上配置されている。
上記(15)の構成によれば、さらにピストンの数を増やすことができる。
(16)本発明の少なくとも一実施形態に係る飛行体は、
飛行体本体と、
少なくとも1基の上記(1)乃至(15)の何れかの構成のエンジンと、
前記エンジンによって駆動されるプロペラと、
を備える。
上記(16)の構成によれば、エンジンの上下方向の寸法を抑制できるので、該エンジンの駆動力でプロペラを回転させることで揚力及び推力を得るように構成した飛行体にとってエンジンレイアウトが合理的となる。
(17)幾つかの実施形態では、上記(16)の構成において、
少なくとも2基の前記エンジンを備え、
前記少なくとも2基の前記エンジンの各々の回転速度を制御する制御装置と、
を備える。
上記(17)の構成によれば、少なくとも2基のエンジンの各々の回転速度を制御することで、飛行中の飛行体の姿勢及び進行方向を変更できる。
(18)幾つかの実施形態では、上記(16)の構成において、前記飛行体本体に対する前記エンジンの姿勢を変更するための姿勢変更装置をさらに備える。
上記(18)の構成によれば、姿勢変更装置によって飛行体本体に対するエンジンの姿勢を変更することで、飛行中の飛行体の姿勢及び進行方向を変更できる。
(19)幾つかの実施形態では、上記(16)の構成において、
上記(8)の構成のエンジンを備え、
前記プロペラは、
前記第1副クランク軸によって駆動される第1プロペラと、
前記第2副クランク軸によって駆動される第2プロペラと、
を含む。
上記(19)の構成によれば、上記(8)の構成のエンジンを備えるので、第1副クランク軸の回転によって発生するカウンタートルクを第2副クランク軸の回転によって発生するカウンタートルクで減ずることができる。これにより、飛行体の安定性が良好となる。また、上記(19)の構成によれば、第1プロペラ及び第2プロペラを飛行体本体の平面視において広い範囲に配置できるので、飛行体の安定性が良好となる。
(20)幾つかの実施形態では、上記(16)の構成において、
上記(15)の構成のエンジンを備え、
前記2列以上の前記ピストンアセンブリのうちの第1ピストンアセンブリにおける前記ピストンは、前記平面と直交する方向から見たときに、前記第1ピストンアセンブリとは異なる第2ピストンアセンブリにおいて前記放射状に配置されていて周方向に隣り合う2つの前記ピストンの間に配置される。
上記(20)の構成によれば、エンジンの重量バランスが悪化することを抑制できるので、飛行体の安定性が良好となる。
(21)幾つかの実施形態では、上記(16)の構成において、
前記エンジンは、複数基設けられ、
前記飛行体本体の平面視において前記飛行体本体から放射状に延在する複数の腕部
をさらに備え、
前記複数基のエンジンのうちの少なくとも一部は、前記腕部の各々に取り付けられている。
上記(21)の構成によれば、複数のプロペラを飛行体本体の平面視において広い範囲に配置できるので、飛行体の安定性が良好となる。
(22)幾つかの実施形態では、上記(16)の構成において、
上記(14)の構成のエンジンを備え、
前記プロペラは、
前記第1クランク軸によって駆動される第1プロペラと、
前記第2クランク軸によって駆動される第2プロペラと、
を含む。
上記(22)の構成によれば、上記(14)の構成のエンジンを備えるので、第1クランク軸の回転によって発生するカウンタートルクを第2クランク軸の回転によって発生するカウンタートルクで減ずることができる。これにより、飛行体の安定性が良好となる。また、上記(22)の構成によれば、第1プロペラ及び第2プロペラを飛行体本体の平面視において広い範囲に配置できるので、飛行体の安定性が良好となる。
(23)本発明の少なくとも一実施形態に係る飛行体は、
飛行体本体と、
上記(5)の構成のエンジンと、
前記エンジンによって駆動されるプロペラと、
を備え、
前記エンジンは、前記平面と直交する方向に2基配置され、
前記プロペラは、
前記2基の前記エンジンのうちの一の前記エンジンにおける前記副クランク軸の各々によって駆動される第1プロペラと、
前記2基の前記エンジンのうちの他の前記エンジンにおける前記副クランク軸の各々によって駆動される第2プロペラと、
を含み、
前記一の前記エンジンにおける前記副クランク軸の各々は、前記他の前記エンジンにおける前記副クランク軸の各々とは逆方向に回転する。
上記(23)の構成によれば、上記(5)の構成のエンジンを備えるので、一のエンジンにおける副クランク軸の回転によって発生するカウンタートルクを他のエンジンにおける副クランク軸の回転によって発生するカウンタートルクで減ずることができる。これにより、飛行体の安定性が良好となる。また、上記(23)の構成によれば、第1プロペラ及び第2プロペラを飛行体本体の平面視において広い範囲に配置できるので、飛行体の安定性が良好となる。
(24)本発明の少なくとも一実施形態に係る飛行体は、
飛行体本体と、
上記(10)の構成のエンジンと、
前記エンジンによって駆動されるプロペラと、
を備え、
前記エンジンは、前記クランク軸の延在方向に2基配置され、
前記プロペラは、
前記2基の前記エンジンのうちの一の前記エンジンにおける前記クランク軸の各々によって駆動される第1プロペラと、
前記2基の前記エンジンのうちの他の前記エンジンにおける前記クランク軸の各々によって駆動される第2プロペラと、
を含み、
前記一の前記エンジンにおける前記クランク軸の各々は、前記他の前記エンジンにおける前記クランク軸の各々とは逆方向に回転する。
上記(24)の構成によれば、上記(10)の構成のエンジンを備えるので、一のエンジンにおけるクランク軸の回転によって発生するカウンタートルクを他のエンジンにおけるクランク軸の回転によって発生するカウンタートルクで減ずることができる。これにより、飛行体の安定性が良好となる。また、上記(24)の構成によれば、第1プロペラ及び第2プロペラを飛行体本体の平面視において広い範囲に配置できるので、飛行体の安定性が良好となる。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、小型化が可能となるエンジンを提供することができる。
一実施形態に係るエンジンを搭載した飛行体の構成を説明するための模式的な側面図である。 図1で示す飛行体の模式的な上面図である。 他の実施形態に係るエンジンを搭載した飛行体の構成を説明するための模式的な側面図である。 図3で示す飛行体の模式的な上面図である。 一実施形態に係るエンジンの構成を模式的に示す図である。 他の実施形態に係るエンジンの構成を模式的に示す図である。 さらに他の実施形態に係るエンジンの構成を模式的に示す図である。 さらに他の実施形態に係るエンジンの構成を模式的に示す図である。 図5のXI矢視図である。 図5のXI矢視図である。 図6、7、8に示す幾つかの実施形態における変形例を示す図である。 1列のピストンアセンブリが2列配置されている場合のエンジンの構成を模式的に示した図である。 1列のピストンアセンブリが2列配置されている場合に、各列の副クランク軸を別々に設けた場合のエンジンの構成を模式的に示した図である。 幾つかの実施形態に係るコンロッドの構成の一例を模式的に示した図である。 幾つかの実施形態に係る飛行体における、エンジンの配置の他の例を示す図である。 幾つかの実施形態に係るエンジンを搭載する飛行体の姿勢制御に関する構成について説明するための模式的な図である。 幾つかの実施形態に係るエンジンを搭載する飛行体の姿勢制御に関する構成について説明するための模式的な図である。 幾つかの実施形態に係るエンジンを搭載する飛行体の姿勢制御に関する他の構成について説明するための構成を示す図である。 図6に示したエンジンを1列目及び2列目のピストンアセンブリとしたエンジンを搭載した飛行体の模式的な側面図である。 図7に示したエンジン又は図8に示したエンジンを1列目及び2列目のピストンアセンブリとしたエンジンを搭載した飛行体の模式的な側面図である。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
(飛行体1の全体構成)
図1は、一実施形態に係るエンジンを搭載した飛行体の構成を説明するための模式的な側面図である。図2は、図1で示す飛行体の模式的な上面図である。図3は、他の実施形態に係るエンジンを搭載した飛行体の構成を説明するための模式的な側面図である。図4は、図3で示す飛行体の模式的な上面図である。
幾つかの実施形態に係る飛行体1は、飛行体本体(機体)3と、レシプロエンジン10と、プロペラ5とを備えている。
幾つかの実施形態に係る飛行体1は、ドローンとも呼ばれる無人航空機等のような飛行体である。幾つかの実施形態に係る飛行体1は、機体3に搭載された搬送物を搬送する用途に用いられてもよい。また、幾つかの実施形態に係る飛行体1における搬送物には人が含まれていてもよい。なお、機体3のことを飛行体本体3とも呼ぶ。
幾つかの実施形態に係る飛行体1では、機体3の上方にレシプロエンジン10が配置されている。以下の説明では、レシプロエンジン10のことを単にエンジン10とも呼ぶ。なお、幾つかの実施形態に係る飛行体1では、機体3の下方や側方にレシプロエンジン10が配置されていてもよい。以下の説明では、機体3の上方にレシプロエンジン10が配置されている場合について主に説明する。
幾つかの実施形態に係る飛行体1では、エンジン10の駆動力でプロペラ5を回転させることで揚力及び推力を得るように構成されている。幾つかの実施形態に係るエンジン10の詳細については、後で説明する。
幾つかの実施形態に係る飛行体1は、図1、2に示すように1つのプロペラ5を有していてもよく、図3、4に示すように複数のプロペラ5を有していてもよい。
幾つかの実施形態に係る飛行体1では、プロペラ5が取り付けられたロータ7は、後述するようにエンジン10のクランク軸の出力軸115、135に対して減速機を介さずに接続されていてもよく、減速機を介して接続されていてもよい。
(エンジン10について)
幾つかの実施形態に係る飛行体1では、搭載重量の増加や飛行可能時間の長時間化を図るために、動力源をレシプロエンジン10としている。幾つかの実施形態に係る飛行体1を含む飛行体では、一般的に、搭載重量の増加のためにエンジンの軽量化が望まれ、飛行可能時間の長時間化のためにエンジンの効率向上が望まれる。また、幾つかの実施形態に係る飛行体1のように、機体3の上方や下方にエンジン10を配置する場合には、上下方向の寸法を小さくすることが望ましい。
これらの要求を満たすために、幾つかの実施形態に係るエンジン10は、以下で説明する構成を有している。
図5は、一実施形態に係るエンジン10Aの構成を模式的に示す図である。図6は、他の実施形態に係るエンジン10Bの構成を模式的に示す図である。図7は、さらに他の実施形態に係るエンジン10Cの構成を模式的に示す図である。図8は、さらに他の実施形態に係るエンジン10Dの構成を模式的に示す図である。
(エンジン10A)
図5に示した一実施形態のエンジン10Aは、放射状に配置された複数のシリンダ101と、複数のピストン105と、1つのクランク軸110と、複数のコンロッド120とを有する。図5に示した一実施形態のエンジン10Aでは、シリンダ101の数は、例えば3であるが、4以上であってもよい。
図5に示した一実施形態のエンジン10Aでは、複数のシリンダ101のそれぞれにおいて、1対のピストン105が互いにシリンダ101の軸線AXcy方向に沿って反対方向に移動するように構成されている。図5に示した一実施形態のエンジン10Aでは、複数のシリンダ101のそれぞれにおいて、1対のピストン105で挟まれたシリンダ101内の空間が燃焼室131とされる。すなわち、図5に示した一実施形態のエンジン10Aでは、複数のシリンダ101のそれぞれにおいて、1対のピストン105とシリンダ101とによって燃焼室131が形成されている。図5に示した一実施形態のエンジン10Aでは、燃焼室131を1対のピストン105で共有している。
以下の説明において、図5に示した一実施形態のエンジン10Aにおける、1つのシリンダ101と、該1つのシリンダ101内に配置された1対のピストンを含む構成をシリンダユニット107とも呼ぶ。また、以下の説明において、図5に示した一実施形態のエンジン10Aにおけるクランク軸110を主クランク軸110Aとも呼ぶ。
図9は、図5のXI矢視図であり、一実施形態に係るエンジン10Aのシリンダユニット107において1対のピストン105が上死点に位置しているときのシリンダユニット107の各部の状態を模式的に示している。図10は、図5のXI矢視図であり、一実施形態に係るエンジン10Aのシリンダユニット107において1対のピストン105が下死点に位置しているときのシリンダユニット107の各部の状態を模式的に示している。なお、便宜上、図9、10では、シリンダ101の記載を省略している。
図9、10に示すように、図5に示した一実施形態のエンジン10Aでは、クランク軸110の出力軸115の中心を通る軸線AXcrを中心とする径方向内側のピストン105(以下、内側ピストン105Aとも呼ぶ)は、コンロッド120(以下、第1コンロッド121又は内側コンロッド121とも呼ぶ)によってクランク軸110の第1クランクピン111に連結されている。
図9、10に示すように、図5に示した一実施形態のエンジン10Aでは、軸線AXcrを中心とする径方向外側のピストン105(以下、外側ピストン105Bとも呼ぶ)は、コンロッド120(以下、第2コンロッド123又は外側コンロッド123とも呼ぶ)によってクランク軸110の第2クランクピン113に連結されている。
図9、10に示す外側コンロッド123は、例えば外側ピストン105Bに対して一端がピストンピン109(図5参照)に連結された第1連結部123aと、一端が第2クランクピン113に連結された第2連結部123bとを有する。そして、外側コンロッド123は、第1連結部123aの他端と第2連結部123bの他端とが接続されている。
図9、10に示すように、外側コンロッド123は、第2連結部123bが外側ピストン105Bの側方において、すなわち図9、10において不図示のシリンダ101の外側において、外側ピストン105Bを挟んで1対設けられていてもよい。
クランク軸110において、第1クランクピン111と第2クランクピン113とは、位相が180度ずれて配置されている。したがって、クランク軸110が軸線AXcrを中心に回転すると、1対のピストン105が互いにシリンダ101の軸線AXcy方向に沿って反対方向に移動する。
図5に示した一実施形態のエンジン10Aでは、3つの内側ピストン105Aと3つの外側ピストン105Bとが1つのクランク軸110を駆動するように構成されている。
(エンジン10B)
図6に示した他の実施形態のエンジン10Bは、放射状に配置された複数のシリンダ101と、複数のピストン105と、1つの主クランク軸110Aと、複数の副クランク軸130と、複数のコンロッド120とを有する。図6に示した他の実施形態のエンジン10Aでは、シリンダ101の数は、例えば3であるが、4以上であってもよい。
以下の説明では、図5に示した一実施形態のエンジン10Aと同様の構成については、同じ符号を付し、詳細の説明を省略する。
図6に示した他の実施形態のエンジン10Bでは、複数のシリンダ101のそれぞれにおいて、1対のピストン105が互いにシリンダ101の軸線AXcy方向に沿って反対方向に移動するように構成されている。図6に示した他の実施形態のエンジン10Bでは、複数のシリンダ101のそれぞれにおいて、1対のピストン105で挟まれたシリンダ101内の空間が燃焼室131とされる。すなわち、図6に示した他の実施形態のエンジン10Bでは、複数のシリンダ101のそれぞれにおいて、1対のピストン105とシリンダ101とによって燃焼室131が形成されている。図6に示した他の実施形態のエンジン10Bでは、燃焼室131を1対のピストン105で共有している。
図6に示した他の実施形態のエンジン10Bでは、複数のシリンダ101毎に、シリンダ101よりも主クランク軸110Aの軸線AXcrを中心とする径方向外側に副クランク軸130が設けられている。
図6に示した他の実施形態のエンジン10Bでは、外側ピストン105Bは、コンロッド120(以下、第2コンロッド125又は外側コンロッド125とも呼ぶ)によって、副クランク軸130に連結されている。副クランク軸130のそれぞれは、主クランク軸110Aと同じ方向に延在している。
図6に示した他の実施形態のエンジン10Bでは、3つの内側ピストン105Aが1つの主クランク軸110Aを駆動するように構成されている。図6に示した他の実施形態のエンジン10Bでは、3つの外側ピストン105Bのそれぞれは、外側コンロッド125を介して連結されている3つの副クランク軸130の何れか1つを駆動する。これにより、3つの副クランク軸130がそれぞれ駆動される。
(エンジン10C、10D)
図7に示したさらに他の実施形態のエンジン10C、及び、図8に示したさらに他の実施形態のエンジン10Dは、放射状に配置されたシリンダ部151を有し各シリンダ部151が中心側の一端で互いに接続されているシリンダ101Aと、複数のピストン105Cと、複数のクランク軸130Aと、複数のコンロッド120とを有する。図7に示したさらに他の実施形態のエンジン10Cでは、ピストン105Cの数は、例えば3であり、図8に示したさらに他の実施形態のエンジン10Dでは、ピストン105Cの数は、例えば4である。しかし、ピストン105Cの数、すなわち、放射状に配置されたシリンダ部151の数は5以上であってもよい。
以下の説明では、図5、6に示した幾つかの実施形態に係るエンジン10A、10Bと同様の構成については、同じ符号を付し、詳細の説明を省略する。
図7、8に示したさらに他の実施形態のエンジン10C、10Dでは、放射状に配置された複数のピストン105Cのそれぞれは、放射状に配置されたシリンダ部151のそれぞれの軸線AXcy方向に沿って移動するように構成されている。図7、8に示したさらに他の実施形態のエンジン10C、10Dでは、複数のピストン105Cで挟まれたシリンダ101内の空間が燃焼室131とされる。すなわち、図7、8に示したさらに他の実施形態のエンジン10C、10Dでは、複数のピストン105Cとシリンダ101Aとによって燃焼室131が形成されている。図7、8に示したさらに他の実施形態のエンジン10C、10Dでは、燃焼室131を複数のピストン105Cで共有している。
図7、8に示したさらに他の実施形態のエンジン10C、10Dでは、複数のピストン105Cのそれぞれは、それぞれの軸線AXcy方向に沿って同期して移動するように構成されている。すなわち、図7、8に示したさらに他の実施形態のエンジン10C、10Dでは、複数のピストン105Cのそれぞれは、燃焼室131の中心131aに向かって移動するときは、全てのピストン105Cが燃焼室131の中心131aに向かって移動し、燃焼室131の中心131aから離れる方向に移動するときは、全てのピストン105Cが燃焼室131の中心131aから離れる方向に移動するように構成されている。
なお、以下の説明では、上述した各エンジン10A〜10Dを特に区別する必要がない場合には、符号の後に付したアルファベットの記載を省略し、単にエンジン10と呼ぶこととする。
以下、幾つか実施形態に係るエンジン10において、各クランク軸の回転方向がどのように決定されるかについて説明する。
幾つか実施形態に係るエンジン10において、各クランク軸の回転方向は、主に以下の3つの要因によって決定される。
一つ目は、セルモータの回転方向である。
幾つか実施形態に係るエンジン10の始動時には不図示のセルモータで任意の方向にクランク軸を回転させるが、一旦回転を始めると、エンジン燃焼によってピストンが押し下げられる力は、慣性によってクランクの回転方向に合わせた方向に発生するため、そのまま回転が持続することとなる。
二つ目は点火タイミングである。
クランク角度は不図示のセンサによって常に監視しており、クランク角度に対して適切な点火タイミングを取ることで、回転方向が決定される。すなわち、上死点を少し過ぎた位置で燃焼圧が最大となるよう点火することで、爆発力が一方の回転方向に加わることとなり、回転方向が決定される。実際には、点火タイミングと燃焼圧最大点の間には時間差があるため、点火タイミング自体は上死点よりも少し前の時刻となる。
三つ目は、バルブタイミングである。
例えば4ストロークエンジンの場合、吸気・圧縮・爆発・排気の工程の順に合わせて吸・排気バルブが開閉する。吸・排気バルブの開閉動作はクランク軸に連結して行われているため、エンジンが連続燃焼を続けるための回転方向は、バルブタイミングと連動した一定方向となる。
このように構成される、幾つかの実施形態に係るエンジン10は、図5〜図8に示すように、放射状に配置された3以上のピストン105を含むピストン群41と、ピストン群41が存在する平面に存在する1以上の燃焼室131とを備える。
すなわち、図5、6に示す幾つかの実施形態のエンジン10A、10Bは、放射状に配置された3つの内側ピストン105Aを含む複数のピストン105を備える。図5、6に示す幾つかの実施形態のエンジン10A、10Bは、放射状に配置された3つの内側ピストン105Aが存在する平面に存在し、放射状に配置された3つの内側ピストン105Aの各々が外側ピストン105Bと共有する燃焼室131を3つ備える。
換言すると、図5、6に示す幾つかの実施形態のエンジン10A、10Bにおいて、ピストン群11は、放射状の内側に配置された一のピストン(内側ピストン105A)と、放射状の外側に、内側ピストン105Aと対向するように配置された他の前記ピストン(外側ピストン105B)とを含む複数のピストン対43を含む。図5、6に示す幾つかの実施形態のエンジン10A、10Bにおいて、燃焼室131は、内側ピストン105Aと、外側ピストン105Bとの間に配置される。
また、図7、8に示す幾つかの実施形態のエンジン10C、10Dは、放射状に配置された3以上のピストン105Cを含むピストン群41と、ピストン群41が存在する平面に存在し、放射状に配置された3以上のピストン105Cによって共有される燃焼室131とを備える。
このように構成される、幾つかの実施形態に係るエンジン10は、図5〜図8に示すように、各ピストン105は、シリンダ101の延在方向に沿って放射状に往復動するように構成されている。
これにより、放射状に配置される複数のピストン105において隣り合うピストン105同士の間隔を狭めることで、上記平面内におけるピストン105の数を増やすことができる。これにより、上記平面と直交する方向にエンジンが大型化することを抑制できる。
なお、図7、8に示す幾つかの実施形態のエンジン10C、10Dは、3以上のピストン105Cよりも放射状の外側に配置された3以上のクランク軸130Aと、3以上のピストン105Cの各々と、3以上のクランク軸130Aの各々とを接続するコンロッド120とを備える。
したがって、図6、7、8に示す幾つかの実施形態のエンジン10B、10C、10Dによれば、3以上の副クランク軸130又は3以上のクランク軸130Aを放射状に配置できる。
なお、上記平面は、図5〜図8において紙面と平行な平面21である。
図7、8に示す幾つかの実施形態のエンジン10C、10Dでは、3以上のクランク軸130Aの少なくとも一のクランク軸130Aは、他のクランク軸130Aとは逆方向に回転してもよい。
図7、8に示す幾つかの実施形態のエンジン10C、10Dを例えば飛行体1に搭載し、該エンジン10C、10Dの駆動力でプロペラ5を回転させることで揚力及び推力を得るように構成した場合について考える。3以上のクランク軸130Aの少なくとも一のクランク軸130Aが他のクランク軸130Aとは逆方向に回転するように構成されていれば、該他のクランク軸130Aの回転によって発生するカウンタートルクを該少なくとも一のクランク軸130Aの回転によって発生するカウンタートルクで減ずることができる。これにより、飛行体1の安定性が良好となる。
図8に示すエンジン10Dでは、ピストン群41は、放射状に配置された4つのピストン105Cを含む。図8に示すエンジン10Dでは、燃焼室131は、放射状に配置された4つのピストン105Cによって共有されている。図8に示すエンジン10Dは、4つのピストン105Cよりも放射状の外側に配置された4本のクランク軸130Aと、4つのピストン105Cの各々と、4本のクランク軸130Aの各々とを接続するコンロッド120とを備える。図8において複数のクランク軸130Aについて、複数のクランク軸130Aについて、時計方向に沿って図示上側のクランク軸130Aから順に第1クランク軸1301、第2クランク軸1302、第3クランク軸1303、第4クランク軸1304と呼ぶこととする。
図8に示すエンジン10Dでは、4本のクランク軸130Aの半数のクランク軸130Aは、他の半数のクランク軸130Aとは逆方向に回転する。
具体的には、図8に示すエンジン10Dでは、例えば、平面視において第1クランク軸1301と第3クランク軸1303とが時計方向に回転し、第2クランク軸1302と第4クランク軸1304とが反時計方向に回転する。
図8に示すエンジン10Dを例えば飛行体1に搭載し、該エンジン10Dの駆動力でプロペラ5を回転させることで揚力及び推力を得るように構成した場合について考える。図8に示すエンジン10Dによれば、4本のクランク軸130Aの半数のクランク軸130Aが他の半数のクランク軸130Aとは逆方向に回転するように構成されているので、上記半数のクランク軸130Aの回転によって発生するカウンタートルクを上記他の半数のクランク軸130Aの回転によって発生するカウンタートルクで減ずることができる。これにより、飛行体1の安定性が良好となる。
なお、図8に示すエンジン10Dにおいて、例えば、平面視において第1クランク軸1301と第2クランク軸1302とが時計方向に回転し、第3クランク軸1303と第4クランク軸1304とが反時計方向に回転することでカウンタートルクを相殺するようにしてもよい。
すなわち、偶数本のクランク軸130Aのうち、平面視において時計方向に回転するクランク軸130Aの本数と、反時計方向に回転するクランク軸130Aの本数とが同数であれば、カウンタートルクを効率的に減ずることができる。
具体的には、次の特徴を有するエンジン10であれば、カウンタートルクを効率的に減ずることができる。
該エンジン10では、ピストン群41は、放射状に配置された4以上の偶数個のピストン105Cを含み、燃焼室131は、放射状に配置された4以上の偶数個のピストン105Cによって共有されているとよい。該エンジン10では、4以上の偶数個のピストン105Cよりも放射状の外側に配置された4以上の偶数本のクランク軸130Aと、4以上の偶数個のピストン105Cの各々と、4以上の偶数本のクランク軸130Aの各々とを接続するコンロッド120とを備えているとよい。そして、該エンジン10では、4以上の偶数本のクランク軸130Aの半数のクランク軸130Aは、他の半数のクランク軸130Aとは逆方向に回転するように構成されているとよい。
図5、6に示す幾つかの実施形態では、複数のピストン105は、放射状に配置された3以上のピストン105の各々に対向して配置された3以上の対向ピストン(外側ピストン105B)を含む。
すなわち、図5、6に示す幾つかの実施形態では、複数のピストン105は、放射状に配置された3つの内側ピストン105Aの各々に対向して配置された3つの対向ピストン、すなわち外側ピストン105Bを含む。
これにより、上記平面21と直交する方向にエンジン10が大型化することを抑制しつつ、少なくともピストン数を6以上に増やすことができる。
図5、6に示す幾つかの実施形態のエンジン10A、10Bは、放射状に3以上配置された燃焼室131で囲まれる領域内に配置された主クランク軸110Aを備える。図5、6に示す幾つかの実施形態では、放射状に配置された3以上のピストン105(内側ピストン105A)の各々は、主クランク軸110Aに対して第1コンロッド121を介して接続されている。
換言すると、図5、6に示す幾つかの実施形態のエンジン10A、10Bは、放射状に配置されたピストン群41の中心領域45内に配置された主クランク軸110Aと、内側ピストン105Aの各々と、主クランク軸110Aとを接続する第1コンロッド121とを備える。
これにより、燃焼室131内での混合気の爆発によって放射状に配置された3以上のピストン105の各々が受けた力で主クランク軸110Aを駆動できる。また、主クランク軸110Aが中心領域45内に配置することで、主クランク軸110Aを合理的な位置に配置できる。
なお、上記中心領域45は、内側ピストン105Aの各々の往復動方向を延長した延長線の交点P、すなわち、各シリンダ101の軸線AXcyの交点を含む領域に形成される。
なお、上記交点Pは、クランク軸110の出力軸115の中心を通る軸線AXcr上の点でもある。
図6に示す他の実施形態では、3以上の対向ピストン(外側ピストン105B)の各々は、主クランク軸110Aに対して第2コンロッド123を介して接続されている。
これにより、燃焼室131内での混合気の爆発によって少なくとも6以上のピストン105の各々が受けた力で主クランク軸110Aを駆動できる。
図6に示す他の実施形態では、燃焼室131を挟んで主クランク軸110Aと対向して放射状に配置され、3以上の対向ピストン(外側ピストン105B)の各々と第2コンロッド125を介して接続された3以上の副クランク軸130を備える。
これにより、3以上の副クランク軸130を放射状に配置できる。そのため、図3、4に示すように、プロペラ5を機体3の中心よりも側方へ向かう外側に容易に配置できる。
図6に示す他の実施形態では、図6における矢印a及び矢印bで示すように、3以上の副クランク軸130は、主クランク軸110Aとは逆方向に回転するように構成されている。
図6に示す他の実施形態に係るエンジン10Bでは、放射状に配置された3以上の内側ピストン105Aの各々が主クランク軸110Aを駆動するように構成されている。また、図6に示す他の実施形態に係るエンジン10Bでは、3以上の対向ピストン(外側ピストン105B)の各々が放射状に配置された3以上の副クランク軸130のそれぞれを駆動するように構成されている。
図6に示す他の実施形態に係るエンジン10Bを例えば図3、4に示すように飛行体1に搭載し、該エンジン10Bの駆動力でプロペラ5を回転させることで揚力及び推力を得るように構成した場合について考える。この場合、主クランク軸110Aによってプロペラ5を回転させることで、該プロペラ5の回転方向とは反対方向に飛行体1を回転させようとするカウンタートルクが発生し、3以上の副クランク軸130によってプロペラ5をそれぞれ回転させることで、該プロペラ5の回転方向とは反対方向に飛行体1を回転させようとするカウンタートルクが発生する。
これにより、3以上の副クランク軸130が主クランク軸110Aとは逆方向に回転するように構成されているので、主クランク軸110Aの回転によって発生するカウンタートルクを副クランク軸130の回転によって発生するカウンタートルクで減ずることができる。
図11は、図6、7、8に示す幾つかの実施形態における変形例を示す図である。
例えば図6に示したエンジン10Bについての変形例に係るエンジン10は、燃焼室131を挟んで主クランク軸110Aと対向して放射状に配置された3以上の第1副クランク軸137を備えていてもよい。そして、変形例に係るエンジン10は、燃焼室131を挟んで主クランク軸110Aと対向して放射状に配置され、第1副クランク軸137とは異なる3以上の第2副クランク軸139を備えていてもよい。変形例に係るエンジン10は、外側ピストン105Bの各々と、第1副クランク軸137の各々とを接続する第3コンロッド127を備えていてもよい。変形例に係るエンジン10は、外側ピストン105Bの各々と、第2副クランク軸139の各々とを接続する第4コンロッド129を備えていてもよい。
これにより、放射状の外側に配置された外側ピストン105Bの各々によって第1副クランク軸137の各々及び第2副クランク軸139の各々を駆動できる。
なお、図7、8に示す幾つかの実施形態に係るエンジン10C、10Dについての変形例に係るエンジン10では、クランク軸130Aに代えて、上記第1副クランク軸137に相当する第1クランク軸137A、及び、上記第2副クランク軸139に相当する第2クランク軸139Aを備えていてもよい。そして、変形例に係るエンジン10は、3以上のピストン105Cの各々と、第1クランク軸137Aの各々とを接続する第3コンロッド127と、3以上のピストン105Cの各々と、第2クランク軸139Aの各々とを接続する第4コンロッド126とを備えていてもよい。
例えば図6に示したエンジン10Bについての変形例に係るエンジン10であれば、図11において矢印c及び矢印dで示すように、第1副クランク軸137の各々の回転方向とは逆に第2副クランク軸139の各々を回転させるように構成することで、第1副クランク軸137の回転によって発生するカウンタートルクと第2副クランク軸139による回転によって発生するカウンタートルクとを相殺できる。
なお、第1副クランク軸137の回転方向と第2副クランク軸139とが同じであってもよい。
また、図7、8に示す幾つかの実施形態に係るエンジン10C、10Dについての変形例に係るエンジン10であれば、図11において矢印c及び矢印dで示すように、第1クランク軸137Aの各々の回転方向とは逆に第2クランク軸139Aの各々を回転させるように構成することで、第1クランク軸137Aの回転によって発生するカウンタートルクと第2クランク軸139Aによる回転によって発生するカウンタートルクとを相殺できる。
なお、第1クランク軸137Aの回転方向と第2クランク軸139Aとが同じであってもよい。
図7、8に示す幾つかの実施形態では、燃焼室131は、放射状に配置された3以上のピストン105Cで共有されている。
これにより、燃焼室131を3以上のピストン105で共有できるので、燃焼室131の冷却損失を抑制できる。
なお、一つの上記平面21に存在する、放射状に配置された3以上のピストン105と、1以上の燃焼室131とを含む、図5〜8に示したエンジン10A〜10Dのそれぞれを1列のピストンアセンブリ15とも呼ぶ。
そして、1列のピストンアセンブリ15が上記平面21と直交する方向に2列以上配置されていてもよい。
すなわち、ピストン群41と、ピストン群41が存在する平面21に存在する1以上の燃焼室131とを含む1列のピストンアセンブリ15が平面21と直交する方向に2列以上配置されていてもよい。
これにより、さらにピストン105の数を増やすことができる。
なお、平面21と直交する方向に2列以上配置されるピストンアセンブリ15のそれぞれは、図5〜8に示したエンジン10A〜10Dのいずれであってもよい。また、平面21と直交する方向に2列以上配置されるピストンアセンブリ15のそれぞれが同じ構成のエンジン10であってもよく、異なる構成のエンジン10であってもよい。すなわち、例えば平面21と直交する方向に2列配置されるピストンアセンブリ15のそれぞれが図5に示したエンジン10Aであってもよい。また、例えば平面21と直交する方向に2列配置されるピストンアセンブリ15の一方が図5に示したエンジン10Aであり、他方が図6に示したエンジン10Bや図7に示したエンジン10Cであってもよい。
図12は、1列のピストンアセンブリ15が上記平面21と直交する方向に2列配置されている場合のエンジン10の構成を模式的に示した図である。なお、図12では、1列目のピストンアセンブリ15と2列目のピストンアセンブリ15とを区別し易くするために、1列目のピストンアセンブリ15、すなわち、紙面奥側のピストンアセンブリ15を破線で示し、2列目のピストンアセンブリ15、すなわち、紙面手前側のピストンアセンブリ15を実線で示している。
例えば、図12に示すように、軸線AXcr方向から見たときに、1列目のピストンアセンブリ15における隣り合う2つのシリンダユニット107の間に、2列目のピストンアセンブリ15のシリンダユニット107が配置されるようにしてもよい。これにより、例えばこのエンジン10を飛行体1に搭載したときに、エンジン10の重量バランスが良好となる。また、このエンジン10が空冷エンジンである場合には、各シリンダユニット107が均等に冷却され易くなる。
なお、軸線AXcr方向から見たときに、1列目のピストンアセンブリ15におけるシリンダユニット107と、2列目のピストンアセンブリ15のシリンダユニット107とが重なるように配置してもよい。
なお、図12に示すように、1列のピストンアセンブリ15が上記平面21と直交する方向に2列配置されている場合、下方に配置された1列目のピストンアセンブリ15におけるクランク軸110又は主クランク軸110Aと、上方に配置された2列目のピストンアセンブリ15におけるクランク軸110又は主クランク軸110Aとを別々に設けてもよく、同一のクランク軸で構成してもよい。
図12に示すように、1列のピストンアセンブリ15が上記平面21と直交する方向に2列配置されている場合、下方に配置された1列目のピストンアセンブリ15における副クランク軸130と、上方に配置された2列目のピストンアセンブリ15における副クランク軸130とを別々に設けてもよい。図13は、1列のピストンアセンブリ15が上述したように2列配置されている場合に、各列の副クランク軸130又はクランク軸130Aを別々に設けた場合のエンジン10の構成を模式的に示した図である。
この場合、図13において矢印e及び矢印fで示すように、1列目のピストンアセンブリ15における副クランク軸130Cと、2列目のピストンアセンブリ15における副クランク軸130Dとで回転方向が異なるように構成することで、各副クランク軸130C、130Dの回転によって発生するカウンタートルクを相殺できる。
なお、図13において二点鎖線で示すように、1列目のピストンアセンブリ15における副クランク軸130Cと、2列目のピストンアセンブリ15における副クランク軸130Dとを結合部191で結合するか、1列目のピストンアセンブリ15における副クランク軸と、2列目のピストンアセンブリ15における副クランク軸とを同一のクランク軸で構成してもよい。この場合には、1列目のピストンアセンブリ15における副クランク軸の出力軸135と、2列目のピストンアセンブリ15における副クランク軸の出力軸135とは、同じ方向に回転する。
以下、図14を参照して、ピストン105とクランク軸110又は主クランク軸110Aとを連結するコンロッド120の構成の一例について説明する。図14は、幾つかの実施形態に係るコンロッド120の構成の一例を模式的に示した図である。
図14に示したコンロッド120Aは、マスターロッド210と、サブロッド220とを含んでいる。マスターロッド210は、基端部211と先端部213とを有する。
図14に示したコンロッド120Aは、上述した内側コンロッド121として用いられる場合、基端部211がクランク軸110又は主クランク軸110Aの第1クランクピン111と連結される。図14に示したコンロッド120Aは、上述した外側コンロッド123として用いられる場合、基端部211がクランク軸110又は主クランク軸110Aの第2クランクピン113と連結される。
図14に示したコンロッド120Aは、内側コンロッド121として用いられる場合、先端部213が内側ピストン105Aとピストンピン109を介して連結される。図14に示したコンロッド120Aは、外側コンロッド123として用いられる場合、先端部213が図9、10で示した第1連結部123aを有し、第1連結部123aがピストンピン109を介して外側ピストン105Bと連結される。
図14に示したコンロッド120Aでは、サブロッド220は、基端部221と先端部223とを有する。基端部221は、マスターロッド210の基端部211に配置されたピン215と連結される。
図14に示したコンロッド120Aは、内側コンロッド121として用いられる場合、先端部223が内側ピストン105Aとピストンピン109を介して連結される。図14に示したコンロッド120Aは、外側コンロッド123として用いられる場合、先端部223が図9、10で示した第1連結部123aを有し、第1連結部123aがピストンピン109を介して外側ピストン105Bと連結される。
このように、図14に示したコンロッド120Aでは、マスターロッド210に対してサブロッド220がピン215を中心として揺動可能に構成されている。これにより、周方向に複数配置されたピストン105の数が増えても、コンロッド120Aの数をクランク軸110、110Aの延在方向に沿って増やすことなく、ピストン105の動きをクランク軸110、110Aに伝達できる。したがって、クランク軸110の延在方向に沿ったエンジン10の寸法が大きくなることを抑制できる。
図15は、幾つかの実施形態に係る飛行体1における、エンジン10の配置の他の例を示す図である。例えば図15に示すように、平面視において機体3の中心よりも外側に延在する腕部9を周方向に間隔を空けて複数設け、各腕部9の先端近傍に図7、8で示すようなエンジン10C、10Dを取り付けてもよく、他の実施形態に係るエンジン10を取り付けてもよい。なお、飛行体1に設けるエンジン10は、各腕部9に取り付けたエンジン10だけであってもよく、上述したように機体3の上方に配置したエンジン10とともに設けてもよい。この場合に、機体3の上方に配置するエンジン10に代えて、電動機を設け、この電動機によってプロペラ5を駆動するようにしてもよい。
すなわち、図15に示した飛行体1では、エンジン10は、複数基設けられている。図15に示した飛行体1は、飛行体本体3の平面視において飛行体本体3から放射状に延在する複数の腕部9を備えている。図15に示した飛行体1では、複数基のエンジン10のうちの少なくとも一部は、腕部9の各々に取り付けられている。
これにより、複数のプロペラ5を飛行体本体3の平面視において広い範囲に配置できるので、飛行体1の安定性が良好となる。
(姿勢制御について)
図16及び図17は、幾つかの実施形態に係るエンジン10を搭載する飛行体1の姿勢制御に関する構成について説明するための模式的な図である。
幾つかの実施形態では、機体3とエンジン10との間に、姿勢変更装置50を設けてもよい。姿勢変更装置50は、機体3に対するエンジン10の姿勢を変更するための不図示のアクチュエータを有している。この姿勢変更装置50によって、例えば図17に示すように、機体3に対してエンジン10を傾けることで、飛行中の飛行体1の姿勢及び進行方向を変更できる。
図18は、幾つかの実施形態に係るエンジン10を搭載する飛行体1の姿勢制御に関する他の構成について説明するための構成を示す図である。
幾つかの実施形態に係るエンジン10を搭載する飛行体1は、少なくとも2基のエンジン10と、これら少なくとも2基のエンジン10の各々の回転速度を制御する制御装置60とを備えていてもよい。なお、図18では、飛行体1が3基のエンジン10を備えた例を示している。このように、複数のエンジン10の各々の回転速度を制御装置60で制御することで、飛行中の飛行体1の姿勢及び進行方向を変更できる。
また、例えばプロペラ5が取り付けられたロータ7がエンジン10のクランク軸の出力軸115、135に対して減速比を任意に変更可能な減速機を介して接続されている場合、次のようにしてもよい。すなわち、この場合には、複数のエンジン10の各々の回転速度を制御することに代えて、又は、複数のエンジン10の各々の回転速度を制御するとともに、減速機の減速比を変更することで個々のプロペラ5の回転速度を変更してもよい。
なお、上述した幾つかの実施形態に係るエンジン10を備えることで、飛行体1の性能向上を図ることができる。すなわち、上述した幾つかの実施形態に係るエンジン10を備える飛行体1は、上述した幾つかの実施形態に係る何れかのエンジン10と、該エンジン10によって駆動されるプロペラ5とを備えているので、エンジンの上下方向の寸法を抑制できる。したがって、該エンジン10の駆動力でプロペラ5を回転させることで揚力及び推力を得るように構成した飛行体1にとってエンジンレイアウトが合理的となる。上述した幾つかの実施形態に係るエンジン10を備える飛行体1は、エンジン10の軽量化による搭載重量の増加や飛行体1全体での軽量化が実現可能である。また、上述した幾つかの実施形態に係るエンジン10を備える飛行体1は、エンジン10の高効率化や上述した飛行体1全体での軽量化により、飛行可能時間の長時間化が実現可能である。上述した幾つかの実施形態に係るエンジン10を備える飛行体1は、エンジン10の小型化による飛行体1全体での小型化、軽量化が実現可能である。
例えば、図11に示す構成を有するエンジン10と、該エンジン10の第1副クランク軸137又は第1クランク軸137Aによって駆動される第1プロペラ5Aと、第2副クランク軸139又は第2クランク軸139Aによって駆動される第2プロペラ5Bとを備える飛行体1では、次の作用効果を奏する。
図11に示す構成を有するエンジン10は、外側ピストン105Bによって互いに逆方向に回転駆動される第1副クランク軸137又は第1クランク軸137Aと、第2副クランク軸139又は第2クランク軸139Aとを備えている。これにより、第1副クランク軸137又は第1クランク軸137Aの回転によって発生するカウンタートルクを第2副クランク軸139又は第2クランク軸139Aの回転によって発生するカウンタートルクで減ずることができる。したがって、飛行体1の安定性が良好となる。また、第1プロペラ5A及び第2プロペラ5Bを飛行体本体3の平面視において広い範囲に配置できるので、飛行体1の安定性が良好となる。
例えば、図12に示すエンジン10において、実線で示したピストンアセンブリ15を第1ピストンアセンブリ15Aと称することとし、破線で示したピストンアセンブリ15を第2ピストンアセンブリ15Bと称することとする。例えば、図12に示すエンジン10では、第1ピストンアセンブリ15Aにおけるピストン105は、平面21と直交する方向から見たときに、第2ピストンアセンブリ15Bにおいて放射状に配置されていて周方向に隣り合う2つのピストン105の間に配置されている。
該エンジン10を搭載する飛行体1では、エンジン10の重量バランスが悪化することを抑制できるので、飛行体1の安定性が良好となる。
例えば、図13に示すように、図6に示したエンジン10Bを1列目及び2列目のピストンアセンブリ15としたエンジン10を搭載した飛行体1について考える。図19は、図6に示したエンジン10Bを1列目及び2列目のピストンアセンブリ15としたエンジン10Eを搭載した飛行体1の模式的な側面図である。
該エンジン10Eにおいて、図13に示すように、1列目のピストンアセンブリ15における副クランク軸130Cの各々によって第1プロペラ5Aが駆動され、2列目のピストンアセンブリ15における副クランク軸130Dの各々によって第2プロペラ5Bが駆動されるものとする。そして、1列目のピストンアセンブリ15における副クランク軸130Cの各々は、2列目のピストンアセンブリ15における副クランク軸130Dの各々とは逆方向に回転するものとする。
該エンジン10Eを搭載した飛行体1では、1列目のピストンアセンブリ15における副クランク軸130Cの回転によって発生するカウンタートルクを2列目のピストンアセンブリ15における副クランク軸130Dの回転によって発生するカウンタートルクで減ずることができる。これにより、飛行体1の安定性が良好となる。また、該飛行体1では、第1プロペラ5A及び第2プロペラ5Bを飛行体本体3の平面視において広い範囲に配置できるので、飛行体1の安定性が良好となる。
また、例えば、図13に示すように、図7に示したエンジン10C又は図8に示したエンジン10Dを1列目及び2列目のピストンアセンブリ15としたエンジン10を搭載した飛行体1について考える。図20は、図7に示したエンジン10C又は図8に示したエンジン10Dを1列目及び2列目のピストンアセンブリ15としたエンジン10Fを搭載した飛行体1の模式的な側面図である。
該エンジン10Fにおいて、図13に示すように、1列目のピストンアセンブリ15におけるクランク軸130Aの各々によって第1プロペラ5Aが駆動され、2列目のピストンアセンブリ15におけるクランク軸130Aの各々によって第2プロペラ5Bが駆動されるものとする。そして、1列目のピストンアセンブリ15におけるクランク軸130Aの各々は、2列目のピストンアセンブリ15におけるクランク軸130Aの各々とは逆方向に回転するものとする。
該エンジン10Fを搭載した飛行体1では、1列目のピストンアセンブリ15におけるクランク軸130Aの回転によって発生するカウンタートルクを2列目のピストンアセンブリ15におけるクランク軸130Aの回転によって発生するカウンタートルクで減ずることができる。これにより、飛行体1の安定性が良好となる。また、該飛行体1では、第1プロペラ5A及び第2プロペラ5Bを飛行体本体3の平面視において広い範囲に配置できるので、飛行体1の安定性が良好となる。
なお、飛行体1は、上述した幾つかの実施形態に係るエンジン10を2基以上備えていてもよい。この場合には、必ずしも同じ実施形態のエンジン10を備える必要はなく、異なる実施形態に係るエンジン10を備えるようにしてもよい。
一例として、上述した図19における飛行体1のエンジン10に代えて、図6に示したエンジン10Bを2基備えていてもよい。このような飛行体1は、以下の特徴を備えている。
すなわち、この飛行体1は、飛行体本体(機体)3と、図6に示したエンジン10Bと、このエンジン10Bによって駆動されるプロペラ5とを備えている。この飛行体1では、図6に示したエンジン10Bは、平面21(図6参照)と直交する方向に2基配置されている。この飛行体1では、プロペラ5は、2基のエンジン10Bのうちの一のエンジン10Bにおける副クランク軸130の各々によって駆動される第1プロペラ5A(図19参照)と、2基のエンジン10Bのうちの他のエンジン10Bにおける副クランク軸130の各々によって駆動される第2プロペラ5B(図19参照)とを含む。そして、この飛行体1では、上記一のエンジン10Bにおける副クランク軸130の各々は、上記他のエンジン10Bにおける副クランク軸130の各々とは逆方向に回転する。
この飛行体1によれば、図6に示したエンジン10Bのエンジンを備えるので、一のエンジン10Bにおける副クランク軸130の回転によって発生するカウンタートルクを他のエンジン10Bにおける副クランク軸130の回転によって発生するカウンタートルクで減ずることができる。これにより、飛行体1の安定性が良好となる。また、この飛行体1によれば、第1プロペラ5A及び第2プロペラ5Bを飛行体本体3の平面視において広い範囲に配置できるので、飛行体1の安定性が良好となる。
他の一例として、上述した図20における飛行体1のエンジン10に代えて、図7に示したエンジン10C又は図8に示したエンジン10Dを2基備えていてもよい。このような飛行体1は、以下の特徴を備えている。
すなわち、この飛行体1は、飛行体本体(機体)3と、図7に示したエンジン10C又は図8に示したエンジン10Dと、このエンジン10C又はエンジン10Dによって駆動されるプロペラ5とを備えている。この飛行体1では、エンジン10C又はエンジン10Dは、クランク軸1303Aの延在方向に2基配置されている。この飛行体1では、プロペラ5は、2基のエンジン10のうちの一のエンジン10におけるクランク軸130Aの各々によって駆動される第1プロペラ5A(図20参照)と、2基のエンジン10のうちの他のエンジン10におけるクランク軸130Aの各々によって駆動される第2プロペラ5Bと含む。そして、この飛行体1では、上記一のエンジン10におけるクランク軸130Aの各々は、上記他のエンジン10におけるクランク軸130Aの各々とは逆方向に回転する。
この飛行体1によれば、図7に示したエンジン10C又は図8に示したエンジン10Dを備えるので、一のエンジン10におけるクランク軸130Aの回転によって発生するカウンタートルクを他のエンジン10におけるクランク軸130Aの回転によって発生するカウンタートルクで減ずることができる。これにより、飛行体1の安定性が良好となる。また、この飛行体1によれば、第1プロペラ5A及び第2プロペラ5Bを飛行体本体3の平面視において広い範囲に配置できるので、飛行体1の安定性が良好となる。
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。例えば、エンジン10の他に電動機などの他の動力源によって一部のプロペラ5が駆動されるように飛行体1を構成してもよい。
1 飛行体
3 飛行体本体(機体)
5 プロペラ
10、10A、10B、10C、10D レシプロエンジン(エンジン)
15 ピストンアセンブリ
21 平面
41 ピストン群
43 ピストン対
45 中心領域
50 姿勢変更装置
101、101A シリンダ
105 ピストン
105A 内側ピストン
105B 外側ピストン(対向ピストン)
107 シリンダユニット
110 クランク軸
110A 主クランク軸
120 コンロッド
121 第1コンロッド(内側コンロッド)
123 第2コンロッド(外側コンロッド)
125 第2コンロッド(外側コンロッド)
127 第3コンロッド
129 第4コンロッド
130 副クランク軸
130A クランク軸
131 燃焼室
137 第1副クランク軸
139 第2副クランク軸

Claims (24)

  1. 放射状に配置された3以上のピストンを含むピストン群と、
    前記ピストン群が存在する平面に存在する複数の燃焼室と、
    を備え
    前記ピストン群は、前記放射状の内側に配置された一の前記ピストンと、前記放射状の外側に、前記一の前記ピストンと対向するように配置された他の前記ピストンとを含む複数のピストン対を含み、
    前記燃焼室は、前記一の前記ピストンと、前記他の前記ピストンとの間に配置される、
    エンジン。
  2. 前記放射状に配置された前記ピストン群の中心領域内に配置された主クランク軸と、
    前記一の前記ピストンの各々と、前記主クランク軸とを接続する第1コンロッドと、
    をさらに備える、
    請求項1に記載のエンジン。
  3. 前記中心領域は、前記一の前記ピストンの各々の往復動方向を延長した延長線の交点を含む領域に形成される、請求項2に記載のエンジン。
  4. 前記他の前記ピストンの各々と、前記主クランク軸とを接続する第2コンロッド、
    をさらに備える、
    請求項2又は3に記載のエンジン。
  5. 前記燃焼室を挟んで前記主クランク軸と対向して放射状に配置された3以上の副クランク軸と、
    前記他の前記ピストンの各々と、前記副クランク軸の各々とを接続する第2コンロッドと、
    をさらに備える
    請求項2又は3に記載のエンジン。
  6. 前記副クランク軸の各々は、前記主クランク軸とは逆方向に回転する
    請求項5に記載のエンジン。
  7. 前記燃焼室を挟んで前記主クランク軸と対向して放射状に配置された3以上の第1副クランク軸と、
    前記燃焼室を挟んで前記主クランク軸と対向して放射状に配置され、前記第1副クランク軸とは異なる3以上の第2副クランク軸と、
    前記他の前記ピストンの各々と、前記第1副クランク軸の各々とを接続する第3コンロッドと、
    前記他の前記ピストンの各々と、前記第2副クランク軸の各々とを接続する第4コンロッドと、
    をさらに備える
    請求項2又は3に記載のエンジン。
  8. 前記第2副クランク軸の各々は、前記第1副クランク軸の各々とは逆方向に回転する
    請求項7に記載のエンジン。
  9. 放射状に配置された3以上のピストンを含むピストン群と、
    前記放射状に配置された前記3以上の前記ピストンによって共有される燃焼室と、
    を備える
    エンジン。
  10. 前記3以上の前記ピストンよりも前記放射状の外側に配置された3以上のクランク軸と、
    前記3以上の前記ピストンの各々と、前記3以上の前記クランク軸の各々とを接続するコンロッドと、
    をさらに備える
    請求項9に記載のエンジン。
  11. 前記3以上のクランク軸の少なくとも一のクランク軸は、他のクランク軸とは逆方向に回転する
    請求項9又は10に記載のエンジン。
  12. 前記ピストン群は、放射状に配置された4以上の偶数個のピストンを含み、
    前記燃焼室は、前記放射状に配置された前記4以上の偶数個の前記ピストンによって共有され、
    前記4以上の偶数個の前記ピストンよりも前記放射状の外側に配置された4以上の偶数本のクランク軸と、
    前記4以上の偶数個の前記ピストンの各々と、前記4以上の偶数本の前記クランク軸の各々とを接続するコンロッドと、
    をさらに備え、
    前記4以上の偶数本の前記クランク軸の半数の前記クランク軸は、他の半数のクランク軸とは逆方向に回転する
    請求項11に記載のエンジン。
  13. 前記3以上の前記ピストンよりも前記放射状の外側に配置された3以上の第1クランク軸と、
    前記3以上の前記ピストンよりも前記放射状の外側に配置され、前記第1クランク軸とは異なる3以上の第2クランク軸と、
    前記3以上の前記ピストンの各々と、前記第1クランク軸の各々とを接続する第3コンロッドと、
    前記3以上の前記ピストンの各々と、前記第2クランク軸の各々とを接続する第4コンロッドと、
    をさらに備える
    請求項9に記載のエンジン。
  14. 前記第2クランク軸の各々は、前記第1クランク軸の各々とは逆方向に回転する
    請求項13に記載のエンジン。
  15. 前記ピストン群と、前記ピストン群が存在する平面に存在する前記燃焼室とを含む1列のピストンアセンブリが前記平面と直交する方向に2列以上配置されている
    請求項1乃至14の何れか一項に記載のエンジン。
  16. 飛行体本体と、
    少なくとも1基の請求項1乃至15の何れか一項に記載のエンジンと、
    前記エンジンによって駆動されるプロペラと、
    を備える
    飛行体。
  17. 少なくとも2基の前記エンジンを備え、
    前記少なくとも2基の前記エンジンの各々の回転速度を制御する制御装置と、
    を備える
    請求項16に記載の飛行体。
  18. 前記飛行体本体に対する前記エンジンの姿勢を変更するための姿勢変更装置
    をさらに備える
    請求項16に記載の飛行体。
  19. 請求項8に記載のエンジンを備え、
    前記プロペラは、
    前記第1副クランク軸によって駆動される第1プロペラと、
    前記第2副クランク軸によって駆動される第2プロペラと、
    を含む
    請求項16に記載の飛行体。
  20. 請求項15に記載のエンジンを備え、
    前記2列以上の前記ピストンアセンブリのうちの第1ピストンアセンブリにおける前記ピストンは、前記平面と直交する方向から見たときに、前記第1ピストンアセンブリとは異なる第2ピストンアセンブリにおいて前記放射状に配置されていて周方向に隣り合う2つの前記ピストンの間に配置される
    請求項16に記載の飛行体。
  21. 前記エンジンは、複数基設けられ、
    前記飛行体本体の平面視において前記飛行体本体から放射状に延在する複数の腕部
    をさらに備え、
    前記複数基のエンジンのうちの少なくとも一部は、前記腕部の各々に取り付けられている
    請求項16に記載の飛行体。
  22. 請求項14に記載のエンジンを備え、
    前記プロペラは、
    前記第1クランク軸によって駆動される第1プロペラと、
    前記第2クランク軸によって駆動される第2プロペラと、
    を含む
    請求項16に記載の飛行体。
  23. 飛行体本体と、
    請求項5に記載のエンジンと、
    前記エンジンによって駆動されるプロペラと、
    を備え、
    前記エンジンは、前記平面と直交する方向に2基配置され、
    前記プロペラは、
    前記2基の前記エンジンのうちの一の前記エンジンにおける前記副クランク軸の各々によって駆動される第1プロペラと、
    前記2基の前記エンジンのうちの他の前記エンジンにおける前記副クランク軸の各々によって駆動される第2プロペラと、
    を含み、
    前記一の前記エンジンにおける前記副クランク軸の各々は、前記他の前記エンジンにおける前記副クランク軸の各々とは逆方向に回転する
    飛行体。
  24. 飛行体本体と、
    請求項10に記載のエンジンと、
    前記エンジンによって駆動されるプロペラと、
    を備え、
    前記エンジンは、前記クランク軸の延在方向に2基配置され、
    前記プロペラは、
    前記2基の前記エンジンのうちの一の前記エンジンにおける前記クランク軸の各々によって駆動される第1プロペラと、
    前記2基の前記エンジンのうちの他の前記エンジンにおける前記クランク軸の各々によって駆動される第2プロペラと、
    を含み、
    前記一の前記エンジンにおける前記クランク軸の各々は、前記他の前記エンジンにおける前記クランク軸の各々とは逆方向に回転する
    飛行体。
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