JP2021020357A - ガスバリア性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】ガスバリア性が良好で、かつ、印刷適性がより良好なガスバリア性フィルム。【解決手段】樹脂基材10と、樹脂基材10の少なくとも一方の面12に接して位置するガスバリア性皮膜20とを有し、ガスバリア性皮膜20は、水溶性樹脂及び水分散性樹脂の双方又はいずれか一方と、無機層状鉱物とを含み、下記測定方法で測定される黒色面積率が15%以下である、ガスバリア性フィルム1。<測定方法>ガスバリア性皮膜20の表面の650μm四方の任意の領域を光学顕微鏡で撮影して撮影画像を取得し、画像解析ソフトを用いて、前記撮影画像を256階調のモノクロ画像に変換し、前記モノクロ画像における輝度の最頻値から30を減じた値を閾値とし、前記閾値未満を黒、前記閾値以上を白として前記輝度を2値化し、前記領域の面積に対する黒である面積の割合を黒色面積率とする。【選択図】図1

Description

本発明は、ガスバリア性フィルムに関する。
食品、医薬品等の包装に用いられる包装材料には、内容物の変質や腐敗等を抑制し、それらの機能や性質を保持するために、水蒸気、酸素その他、内容物を変質させる気体の進入を遮断する性質(ガスバリア性)が要求される。
そのため、これら包装材料には、ガスバリア層を有するガスバリア性フィルムが用いられている。
従来、ガスバリア層は、フィルムや紙等の基材上に、スパッタリング法や蒸着法、ウェットコーティング法や印刷法等により設けられている。
ガスバリア層としては、金属蒸着膜、樹脂膜、複合膜等が用いられている(例えば、特許文献1〜5参照)。金属蒸着膜としては、アルミニウム等の金属からなるものが挙げられる。樹脂膜としては、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、水性ポリウレタン等の水溶性樹脂又は水分散性樹脂、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂からなるものが挙げられる。複合膜としては、前記水溶性樹脂又は水分散性樹脂と無機層状鉱物との複合膜等が挙げられる。
水溶性樹脂又は水分散性樹脂と無機層状鉱物との複合膜は、金属蒸着膜に比べて透明性に優れる。また、水溶性樹脂又は水分散性樹脂と無機層状鉱物との複合膜は、水溶性樹脂又は水分散性樹脂のみからなる皮膜に比べて、高湿度雰囲気下でのガスバリア性に優れる。
しかし、樹脂に無機層状鉱物を分散したコーティング剤からなる皮膜は、樹脂のみからなる皮膜に比べて柔軟性が減少したり、無機層状鉱物の凝集物が発生したりする。このため、樹脂に無機層状鉱物を分散したコーティング剤からなる皮膜を形成したガスバリア性フィルムは印刷適性に劣り、版からインキが皮膜上に転写しない印刷不良が発生する問題があった。
こうした問題に対し、例えば、特許文献6には、樹脂基材上に無機板状粒子及び水溶性又は水分散性ポリマーを主たる構成成分とした塗膜を形成したフィルムにおいて、塗膜表面の直径25〜100μmの範囲内のうねり数が1mm当り1〜150個であるガスバリア性フィルムが提案されている。特許文献6の発明では、印刷適性を有することが示されている。
特開2001−287294号公報 特開平11−165369号公報 特開平6−93133号公報 特開平9−150484号公報 特許第3764109号公報 特開平10−323928号公報
しかしながら、特許文献6のガスバリア性フィルムでは、高精細な階調印刷におけるハイライト部の色の再現が充分ではなく、印刷適性が満足できるものではなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ガスバリア性が良好で、かつ、印刷適性がより良好なガスバリア性フィルムを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]樹脂基材と、前記樹脂基材の少なくとも一方の面に接して位置するガスバリア性皮膜とを有し、
前記ガスバリア性皮膜は、水溶性樹脂及び水分散性樹脂の双方又はいずれか一方と、無機層状鉱物とを含み、
下記測定方法で測定される黒色面積率が15%以下である、ガスバリア性フィルム。
<測定方法>
前記ガスバリア性皮膜の表面の650μm四方の任意の領域を光学顕微鏡で撮影して撮影画像を取得し、画像解析ソフトを用いて、前記撮影画像を256階調のモノクロ画像に変換し、前記モノクロ画像における輝度の最頻値から30を減じた値を閾値とし、前記閾値未満を黒、前記閾値以上を白として前記輝度を2値化し、前記領域の面積に対する黒である面積の割合を黒色面積率とする。
[2]
下記測定方法で測定される面積が450μm以上の黒点の数が1mm当たり1個以下である、[1]に記載のガスバリア性フィルム。
<測定方法>
前記ガスバリア性皮膜の表面の650μm四方の任意の領域を光学顕微鏡で撮影して撮影画像を取得し、画像解析ソフトを用いて、前記撮影画像を256階調のモノクロ画像に変換し、前記モノクロ画像における輝度の最頻値から30を減じた値を閾値とし、前記閾値未満を黒、前記閾値以上を白として前記輝度を2値化し、黒である点を黒点とし、前記黒点の面積が450μm以上の数を測定する。
本発明のガスバリア性フィルムによれば、ガスバリア性と印刷適性とをより良好にできる。
加えて、本発明のガスバリア性フィルムによれば、高精細な階調印刷におけるハイライト部であっても、かすれや抜けのない印刷をガスバリア性フィルム上に施すことが可能である。
本発明の一実施形態に係るガスバリア性フィルムの断面図である。 本発明の一実施形態に係るガスバリア性皮膜の表面を光学顕微鏡で撮影した撮影画像の一例である。 画像解析をする際に用いたヒストグラムの一例である。 本発明の一実施形態に係るガスバリア性フィルムの網点抜け数を評価するために光学顕微鏡で撮影した撮影画像の一例である。
以下、本発明のガスバリア性フィルムの実施の形態について、図1に基づき説明する。なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであって、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
[ガスバリア性フィルム]
図1に示すように、本実施形態のガスバリア性フィルム1は、樹脂基材10とガスバリア性皮膜20とを有する。ガスバリア性皮膜20は、樹脂基材10の一方の面12に接して位置している。
ガスバリア性フィルム1の厚さTは、特に限定されないが、例えば、3.1μm〜205μmが好ましく、5.2μm〜122μmがより好ましく、10.3μm〜101μmがさらに好ましい。厚さTが上記下限値以上であると、ガスバリア性フィルム1の強度がより高められる。厚さTが上記上限値以下であると、ガスバリア性フィルム1の柔軟性が高められ、取り扱いが容易になる。
<樹脂基材>
樹脂基材10は、樹脂を含む。樹脂基材10を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、炭素数2〜10のオレフィンの重合体、プロピレン−エチレン共重合体等のオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等の脂肪族系ポリアミド、ポリメタキシリレンアジパミド等の芳香族ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体等のアクリル系樹脂;セロファン;ポリカーボネート、ポリイミド等のエンジニアリングプラスチック等が挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂基材10としては、単一の樹脂で構成された単層フィルム、複数の樹脂を用いた単層又は積層フィルム等が挙げられる。また、上記の樹脂を他の基材(金属、木材、紙、セラミックス等)に積層した積層基材を用いてもよい。
樹脂基材10は、単層でもよく、2層以上であってもよい。
樹脂基材10としては、ポリオレフィン系樹脂フィルム(特に、ポリプロピレンフィルム等)、ポリエステル系樹脂フィルム(特に、ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム)、ポリアミド系樹脂フィルム(特に、ナイロンフィルム)等が好ましい。
樹脂基材10は、未延伸フィルムであってもよく、一軸又は二軸延伸配向フィルムであってもよい。
樹脂基材10としては、ガスバリア性に優れる観点から、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)が特に好ましい。
OPPは、ホモポリマー、ランダムコポリマー及びブロックコポリマーから選ばれる少なくとも一種のポリマーがフィルム状に加工されたものであってもよい。ホモポリマーはプロピレン単体のみからなるポリプロピレンである。ランダムコポリマーは、主モノマーであるプロピレンと、プロピレンとは異なる少量のコモノマーがランダムに共重合し、均質な相をなすポリプロピレンである。ブロックコポリマーは、主モノマーであるプロピレンと上記コモノマーがブロック的に共重合したり、ゴム状に重合したりすることによって不均質な相を形成するポリプロピレンである。
樹脂基材10がOPPの場合、OPPは1層でもよく2層以上でもよい。
樹脂基材10は、コーティング剤から形成されたガスバリア性皮膜(以下、単に「皮膜」ともいう。)20が積層する面12(コーティング剤が塗布される面)に、コーティング剤に対する濡れ性と、皮膜20に対する接着強度とを向上させるために、薬品処理、溶剤処理、コロナ処理、低温プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理が施されていてもよい。
樹脂基材10は、コーティング剤から形成された皮膜20が積層する面12に、アンカーコート又はアンダーコート処理が施されてもよい。
樹脂基材10は、フィラー、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤等の添加剤を含有してもよい。これらの添加剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂基材10がアンチブロッキング剤(以下、「AB剤」ともいう。)を含有する場合、樹脂基材10の一方の面12には、AB剤に由来する凹凸が形成される。
樹脂基材10は、AB剤を含有することで樹脂基材10の原料となるフィルムの表面に凹凸を付与し、フィルム同士の密着を抑制できる。このため、フィルムを巻き取りやすくでき、フィルムの加工適性を向上できる。
一方で、樹脂基材10の一方の面12に凹凸が形成されると、皮膜20を形成した後の黒色面積率が増し、ガスバリア性フィルム1の印刷適性が低下するおそれが生じる。
樹脂基材10は2層以上の樹脂層からなっていてもよい。樹脂基材10の一方の面12に、AB剤に由来する凹凸を形成する場合、樹脂基材10は2層以上の樹脂層からなっており、最表面の樹脂層(一方の面12又は他方の面14を構成する樹脂層)中にAB剤を含有させることが好ましい。そうすることで、少量のAB剤の添加で樹脂基材10の一方の面12又は他方の面14に効率的に突起部を形成することができる。一方の面12及び他方の面14において、AB剤は露出していてもよいし、樹脂で覆われていてもよい。
AB剤は、樹脂基材10又は皮膜20の表面に凹凸を生じさせて、樹脂基材10又は皮膜20のブロッキングの発生を抑制し、樹脂基材10又はガスバリア性フィルム1の加工適性を向上できる。
AB剤は、固体粒子であり、有機系粒子、無機系粒子等が挙げられる。有機系粒子としては、ポリメチルメタクリレート粒子、ポリスチレン粒子、ポリアミド粒子等が挙げられる。これら有機系粒子は、例えば、乳化重合や懸濁重合等により得られる。無機系粒子としては、シリカ粒子、ゼオライト、タルク、カオリナイト、長石等が挙げられる。これらのAB剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ガスバリア性フィルム1の外観、透明性、AB剤の脱落可能性、アンチブロッキング性能を考慮すると、AB剤の平均粒径は、例えば、0.1〜5μmが好ましい。
AB剤の平均粒径は、コールター法により測定される重量平均径である。
樹脂基材10がAB剤を含有する場合、AB剤の含有量は、例えば、樹脂基材10を構成する樹脂層で、一方の面12又は他方の面14を構成する樹脂層の樹脂100質量%に対して、0.05〜0.5質量%が好ましい。
AB剤の含有量は、具体的には、下記式(1)により求められる。
AB剤の含有量[質量%]={(i)/100}×{(ii)/100}×100・・・(1)
(1)式中、(i)は、樹脂にAB剤を添加して攪拌し、押出機内に投入して混練りし、溶融押出によりペレット状に形成されるマスターバッチ樹脂チップにおけるAB剤の濃度(質量%)を示す。
(1)式中、(ii)は、AB剤を含むマスターバッチ樹脂チップを、AB剤を含まない樹脂にブレンドするときの、一方の面12又は他方の面14を構成する樹脂層における樹脂ペレット総質量に対するAB剤を含むマスターバッチ樹脂チップの濃度(質量%)を示す。
AB剤の含有量が上記下限値以上であると、樹脂基材10の原料となるフィルムの加工適性を高めやすい。AB剤の含有量が上記上限値以下であると、ガスバリア性フィルム1の印刷適性が低下しにくい。
樹脂基材10の厚さT10は、特に限定されるものではなく、包装材料としての適性や他の皮膜20の積層適性を考慮しつつ、価格や用途によって適宜選択される。厚さT10は、実用的には、3μm〜200μmが好ましく、5μm〜120μmがより好ましく、6μm〜30μmがさらに好ましい。厚さT10が上記下限値以上であると、皮膜20の積層適性を高めやすい。厚さT10が上記上限値以下であると、樹脂基材10の柔軟性が高く取り扱いが容易である。加えて、厚さT10が上記上限値以下であると、価格面で有利である。
<ガスバリア性皮膜>
ガスバリア性皮膜20は、樹脂基材10の一方の面12に接して位置する。皮膜20は、ウェットコート法(湿式コーティング方法)により形成される皮膜として公知のものであってもよい。皮膜20と樹脂基材10との間には、複数の層が存在していてもよい。例えば、樹脂基材10と皮膜20との密着性を改善するための接着層や平坦化層や、ガスバリア性を改善するための蒸着層が存在していてもよい。
皮膜20は、ウェットコート法により樹脂基材10の一方の面12にコーティング剤からなる塗膜を形成し、この塗膜を乾燥することにより得られる。なお、塗膜は、湿潤膜であり、皮膜は、乾燥膜である。
皮膜20の厚さT20は、形成する目的に応じて設定されるが、例えば、0.1μm〜5μmが好ましく、0.2μm〜2μmがより好ましく、0.3μm〜1μmがさらに好ましい。厚さT20が上記下限値以上であると、充分なガスバリア性が得られやすい。厚さT20が上記上限値以下であると、均一な塗膜面を形成することが容易であり、また、乾燥負荷や製造コストを抑制できる。
皮膜20の厚さT20は、ガスバリア性フィルム1を厚さ方向に切断した切断面を、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより測定できる。
[ガスバリア性フィルムの黒色面積率]
本発明のガスバリア性フィルムは、黒色面積率が15%以下である。
本明細書における黒色面積率は、下記測定方法により測定できる。
<測定方法>
ガスバリア性フィルム1の皮膜20の表面の650μm四方の任意の領域を光学顕微鏡で撮影して撮影画像を取得する。撮影画像の一例を図2に示す。
図2は、皮膜20の表面を光学顕微鏡で撮影した撮影画像である。100は、通常部を表し、110は、黒色部を表す。黒色部110は、無機層状鉱物、異物、AB剤、樹脂の溶け残りそのものや、それらによって生じる凸部によって観察される。図2で白く見える箇所120は、樹脂基材10と皮膜20との間に存在する空隙によって、撮影時に反射した反射光である。図2に示すように、通常部100は灰色に、黒色部110は黒色に見える。通常部100の輝度は、後述する輝度の最頻値に相当する。
次に、画像解析ソフトを用いて、取得した撮影画像を256階調のモノクロ画像に変換する。変換したモノクロ画像における輝度の分布をプロットして、ヒストグラムを作成する。ヒストグラムの一例を図3に示す。
図3において、横軸は、256階調のモノクロ画像に変換した輝度を表す。モノクロ画像における輝度は、0〜255の整数である。縦軸は、輝度の頻度を表す。図3において、分布する輝度の最小値は30で、最大値は255である。輝度の最頻値は、モノクロ画像において最も多く分布する輝度の値である。図3におけるPが輝度の最頻値を表す。図3では、P=193である。
次に、輝度の最頻値から30を減じた値を閾値とし、閾値未満を黒、閾値以上を白としてモノクロ画像における輝度を2値化する。650μm四方の領域の面積に対する黒である面積の割合を黒色面積率とする。黒色面積率は、任意の3箇所の領域において求められる値の算術平均値とする。
図3のモノクロ画像において、白と黒の境となる閾値は、輝度の最頻値から30を減じた値(P−30)である。図3では、閾値は、163である。すなわち、図3では、輝度が163未満を「黒」、輝度が163以上を「白」として、黒色面積率を算出する。
光学顕微鏡としては、オリンパス株式会社製の光学顕微鏡「OLS−4000」が好ましい。画像解析ソフトとしては、パブリックドメインの「ImageJ」が好ましい。
画像取得条件について説明する。
(画像取得条件)
サンプル準備として、黒色面積を求めたいガスバリア性フィルム1の皮膜20の表面を上にし、ガスバリア性フィルム1の他方の面14を下にして、黒色の両面テープ(例えば、寺岡製作所、7694 0.095 黒 HF)を使用してスライドガラス上にガスバリア性フィルム1を貼り付ける。その後、光学顕微鏡(オリンパス社製、OLS−4000)を使用して、倍率20倍の対物レンズ(MPlan Apo N)を使用し、皮膜20の表面の任意の3箇所から範囲650μm×650μmの画像を取得する。画像を取得するときの光量は任意であるが、256階調で画像輝度の最頻値が80〜200の範囲に収まるように光量を調整することが好ましい。
画像解析条件は下記の通りとする。
(画像解析条件)
・カラー情報破棄:8bit。
・2値化の閾値:輝度の最頻値から30を減じた値。
・面積測定:Analyze Particle Size0−Infinity、Include Holesにチェック。
上記の画像解析条件のもと、皮膜20の表面の任意の3箇所から取得した撮影画像についてそれぞれ%Area値を算出し、これらの%Area値の算術平均値を黒色面積率とする。
ガスバリア性皮膜の表面の輝度を2値化処理して黒色に見える箇所を電子顕微鏡で観察すると、突起物が存在する。すなわち、黒色面積率が小さいほど、ガスバリア性皮膜に存在する突起物が少ないことを意味する。
一方、塗膜欠陥やインキ抜け(印刷抜け)がある箇所を電子顕微鏡で観察すると、塗膜欠陥やインキ抜けの中心には、塗膜欠陥やインキ抜けの原因と思われる突起物が存在する。すなわち、黒色面積率が小さいほど、塗膜欠陥やインキ抜けが少なく、ガスバリア性フィルムのガスバリア性を良好にしやすく、かつ、印刷適性が良好であることを意味する。
以上の観点から、ガスバリア性フィルム1の黒色面積率は15%以下である。黒色面積率が15%超の場合、高精細な網点印刷において、肉眼で確認可能な印刷抜けが生じ、印刷不良となる。
印刷適性をより良好にする観点から、ガスバリア性フィルム1の黒色面積率は11%以下が好ましく、7%以下がより好ましい。
ガスバリア性フィルム1の黒色面積率は、後述する無機層状鉱物の種類、平均粒径、厚さ、含有量、及びそれらの組合せにより調整できる。
[ガスバリア性フィルムの黒点の数]
ガスバリア性フィルム1は、面積が450μm以上の黒点の数が1mm当たり1個以下であることが好ましい。
本明細書における450μm以上の面積の黒点の数は、下記測定方法により測定できる。
<測定方法>
前記黒色面積率の測定方法と同様の方法で、ガスバリア性フィルム1の皮膜20の表面の650μm四方の任意の領域を光学顕微鏡で撮影して撮影画像を取得する。
次に、前記黒色面積率の測定方法と同様の方法で、取得した画像を256階調のモノクロ画像に変換する。
その後、前記黒色面積率の測定方法と同様の方法で、モノクロ画像における輝度を2値化する。
2値化した画像において、黒である点を黒点とする。黒点の面積を、画像解析ソフトを用いて計算する。得られた画像において、黒点1つ1つの面積を計算し、450μm以上の面積の黒点の数を計数する。
黒点の数は、皮膜20の表面の任意の10箇所から取得した撮影画像について、面積が450μm以上の数を計数し、1mm当たりに換算した値を合計する。この合計値を10で除した値を1mm当たりの面積が450μm以上の黒点の数とする。
画像取得条件、画像解析条件は、前記黒色面積率の測定方法と同様である。
面積が450μm以上の黒点の数は、1mm当たり1個以下が好ましく、1mm当たり0.8個以下がより好ましく、1mm当たり0.5個以下がさらに好ましい。面積が450μm以上の黒点の数が1mm当たり1個以下であると、高精細なハイライト部の網点印刷をした場合に、光学顕微鏡によって観察しても印刷抜けがなく、ガスバリア性フィルム1の印刷適性をより良好にできる。
ガスバリア性フィルム1の面積が450μm以上の黒点の数は、後述する無機層状鉱物の種類、平均粒径、厚さ、含有量、及びそれらの組合せにより調整できる。
[ガスバリア性フィルムの製造方法]
ガスバリア性フィルム1は、樹脂基材10の一方の面12にガスバリア性皮膜20を形成することにより製造できる。
樹脂基材10としては、市販品を用いてもよいし、公知の方法により製造したものを用いてもよい。
本発明のガスバリア性フィルムの製造方法は、例えば、皮膜形成工程を有する。
皮膜形成工程としては、例えば、樹脂基材10の少なくとも一方の面12にコーティング剤をウェットコート法により塗布して塗膜を形成し、その塗膜を乾燥(水性媒体を除去)することにより皮膜20を形成する工程が挙げられる。
コーティング剤の塗布方法としては、公知のウェットコート法を用いることができる。ウェットコート法としては、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法等が挙げられる。
コーティング剤からなる塗膜を乾燥する方法としては、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等の公知の乾燥方法を用いることができる。塗膜の乾燥温度は、例えば、50〜200℃が好ましい。乾燥時間は、塗膜の厚さ、乾燥温度等によっても異なるが、例えば、1秒間〜5分間が好ましい。
<コーティング剤>
以下、皮膜20を形成するコーティング剤に含まれる成分について説明する。本実施形態のコーティング剤は、水溶性樹脂及び水分散性樹脂の双方又はいずれか一方と、無機層状鉱物とを主成分として含む。
(水溶性樹脂又は水分散性樹脂)
「水溶性樹脂」とは、水に溶解可能な樹脂を指す。ここでいう溶解とは、溶質である樹脂が溶媒である水に分子鎖レベルで分散して均一系をなしている状態を指す。より詳しくは、樹脂の高分子鎖の分子鎖間の分子間力に比べ、水分子との分子間力が強くなり樹脂の高分子鎖の絡み合いが解かれ、水に均一に分散している状態を指す。
「水分散性樹脂」とは、樹脂からなる粒子同士が水中で凝集又は沈降せず、懸濁している樹脂を指す。
本明細書において、樹脂は高分子からなる。高分子とは、質量平均分子量が10000以上の化合物のことをいう。質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準物質としてポリスチレンを用いて求めることができる。
水溶性樹脂又は水分散性樹脂の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール及びその誘導体等のポリビニルアルコール樹脂;ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸又はそのエステル、塩類及びそれらの共重合体、ポリヒドロキシエチルメタクリレート及びその共重合体等のビニル系重合体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;酸化でんぷん、エーテル化でんぷん、デキストリン等のでんぷん類;スルホイソフタル酸等の極性基を含有する共重合ポリエステル;ウレタン系高分子又は、これらの各種重合体のカルボキシル基等が変性した官能基変性重合体等が挙げられる。
水溶性樹脂又は水分散性樹脂は、皮膜凝集強度を考慮すると、重合度が200以上であることが好ましい。
コーティング剤に含まれる水溶性樹脂又は水分散性樹脂は1種でもよく2種以上でもよい。
水溶性樹脂又は水分散性樹脂は、少なくとも、ポリビニルアルコール系重合体及びその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリビニルアルコール樹脂を含むことが好ましく、ケン化度が95%以上かつ重合度が300以上のポリビニルアルコール樹脂を含むことがより好ましい。ポリビニルアルコール樹脂の重合度は、300〜2400が好ましく、450〜2000がより好ましい。
ポリビニルアルコール樹脂は、ケン化度や重合度が高い程、吸湿膨潤性が低くなる。ポリビニルアルコール樹脂のケン化度が95%以上であると、充分なガスバリア性が得られやすい。ポリビニルアルコール樹脂の重合度が300以上であると、ガスバリア性及び皮膜凝集強度に優れやすい。ポリビニルアルコール樹脂の重合度が2400以下であると、コーティング剤の粘度の上昇を抑制し、他の成分と均一に混合しやすく、ガスバリア性や密着強度の低下といった不具合を抑制しやすい。
ポリビニルアルコール樹脂のケン化度及び重合度は、JIS K 6726:1994に記載の方法により測定できる。
コーティング剤に含まれる水溶性樹脂及び水分散性樹脂の双方又はいずれか一方(以下、「樹脂(A)」ともいう。)の含有量は、コーティング剤の固形分の質量に対して、25〜80質量%が好ましく、30〜75質量%がより好ましく、35〜70質量%がさらに好ましい。樹脂(A)の含有量が上記下限値以上であると、無機層状鉱物を分散しやすい。樹脂(A)の含有量が上記上限値以下であると、無機層状鉱物を多く配合でき、ガスバリア性をより高められる。
(無機層状鉱物)
本実施形態のコーティング剤は、さらに無機層状鉱物を含む。
「無機層状鉱物」とは、極薄(例えば、厚さ10〜500nm)の単位結晶層が重なって1つの層状粒子を形成している無機化合物を指す。コーティング剤から形成された皮膜20が無機層状鉱物を含むことで、ガスが透過する経路を長くする迷路効果を発揮し、高湿度雰囲気下でも良好なガスバリア性が得られやすい。
無機層状鉱物としては、水中で膨潤及びへき開の双方又は一方の性質を有する化合物が好ましく、これらの化合物の中でも、水への膨潤性を有する粘土化合物が特に好ましい。より具体的には、無機層状鉱物は、極薄の単位結晶層間に水を配位し、吸収及び膨潤の双方又は一方の性質を有する粘土化合物が好ましい。かかる粘土化合物は、一般には、Si4+がO2−に対して配位して四面体構造を構成する層と、Al3+、Mg2+、Fe2+、Fe3+等が、O2−及びOHに対して配位して八面体構造を構成する層とが、1対1あるいは2対1で結合し、積み重なって層状構造を形成する化合物である。この粘土化合物は、天然の化合物であっても、合成された化合物であってもよい。
無機層状鉱物の代表的なものとしては、フィロケイ酸塩鉱物等の含水ケイ酸塩が挙げられ、例えば、ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等のカオリナイト族粘土鉱物;アンチゴライト、クリソタイル等のアンチゴライト族粘土鉱物;モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等のスメクタイト族粘土鉱物;バーミキュライト等のバーミキュライト族粘土鉱物;水膨潤性合成雲母、白雲母、金雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等の雲母又はマイカ族粘土鉱物;等が挙げられる。これらの無機層状鉱物は、1種単独で、又は2種以上が組み合わせられて用いられる。
これらの無機層状鉱物の中でも、モンモリロナイト等のスメクタイト族粘土鉱物、水膨潤性合成雲母等のマイカ族粘土鉱物が特に好ましい。
無機層状鉱物の大きさは、平均粒径が10μm以下で、かつ、厚さが500nm以下であることが好ましい。平均粒径、厚さがそれぞれ上記上限値以下であると、コーティング剤から形成される皮膜20の中で無機層状鉱物が均一に整列しやすくなり、ガスバリア性、皮膜凝集強度が高いものとなる。
無機層状鉱物の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布計により測定できる。
無機層状鉱物の厚さは、原子間力顕微鏡(AFM)により測定できる。
無機層状鉱物は、少なくとも、水膨潤性合成雲母を含むことが好ましい。水膨潤性合成雲母の平均粒径は、例えば、1〜10μmが好ましく、3〜8μmがより好ましい。水膨潤性合成雲母の平均粒径が上記下限値以上であると、ガスバリア性を向上しやすい。水膨潤性合成雲母の平均粒径が上記上限値以下であると、皮膜20の中で均一に整列しやすい。
水膨潤性合成雲母の厚さは、例えば、10〜100nmが好ましく、10〜80nmがより好ましい。水膨潤性合成雲母の厚さが上記下限値以上であると、ガスバリア性を向上しやすい。水膨潤性合成雲母の厚さが上記上限値以下であると、皮膜20の中で均一に整列しやすい。
水膨潤性合成雲母は、樹脂(A)との相溶性が高く、天然系の雲母に比べて不純物が少ない。そのため、無機層状鉱物として水膨潤性合成雲母を用いると、不純物に由来するガスバリア性の低下や皮膜凝集強度の低下を抑制しやすい。
また、水膨潤性合成雲母は、結晶構造内にフッ素原子を有することから、コーティング剤から形成される皮膜20のガスバリア性の湿度依存性を低く抑えることにも寄与する。
加えて、水膨潤性合成雲母は、他の水膨潤性の無機層状鉱物に比べて、高いアスペクト比を有することから、迷路効果がより効果的に働き、コーティング剤から形成される皮膜20のガスバリア性が特に高く発現するのに寄与する。
水膨潤性合成雲母の含有量は、例えば、無機層状鉱物の総質量に対し、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、100質量%であってもよい。
コーティング剤中の無機層状鉱物の含有量は、コーティング剤の固形分の質量に対して、3〜70質量%が好ましく、4〜55質量%がより好ましく、5〜40質量%がさらに好ましい。無機層状鉱物の含有量が上記下限値以上であると、高湿度環境下でのガスバリア性を効果的に発揮しやすい。無機層状鉱物の含有量が上記上限値以下であると、皮膜20の凝集強度を維持しやすい。加えて、無機層状鉱物の含有量が上記上限値以下であると、光学顕微鏡で皮膜20を観察した際に、無機層状鉱物からなる黒色部が減少し、印刷適性をより高められる。
皮膜20を形成するコーティング剤中、樹脂(A)と無機層状鉱物との合計の含有量(固形分)は、コーティング剤の固形分の質量に対して、85質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。この合計の含有量の上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。
(他の成分)
本実施形態のコーティング剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、樹脂(A)、無機層状鉱物以外の成分(他の成分)を含有してもよい。
他の成分としては、例えば、硬化剤、酸化防止剤、耐候剤、熱安定剤、滑剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、着色剤、フィラー、界面活性剤等の添加剤が挙げられる。
コーティング剤は、23℃における粘度が10〜80mPa・sが好ましく、10〜50mPa・sがより好ましい。
コーティング剤の粘度は、E型粘度計により測定される値である。
本実施形態のコーティング剤は、樹脂(A)と、無機層状鉱物と、水や有機溶剤等の溶媒と、必要に応じて添加剤とを混合することにより調製できる。各成分の混合順序は特に限定されない。
本発明のガスバリア性フィルムは、必要に応じて、印刷層、アンカーコート層、オーバーコート層、遮光層、接着剤層、ヒートシール可能な熱融着層、その他の機能層等をさらに有していてもよい。
本発明のガスバリア性フィルムがヒートシール可能な熱融着層を有する場合、この熱融着層は、ガスバリア性フィルムの少なくとも一方の最表層に配置される。ガスバリア性フィルムが熱融着層を有することにより、ガスバリア性フィルムが、熱シールによって密封可能なもの(例えば、包装体や蓋体)となる。
熱融着層は、例えば、樹脂基材の片面又は両面に本実施形態のコーティング剤により皮膜を形成して得られた積層体に、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系等の公知の接着剤を用いて、公知のドライラミネート法、エクストルージョンラミネート法等により積層することができる。
印刷層の形成方法は、皮膜上に印刷できればよく、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷等、各種の印刷方式を採用できる。グラビア印刷は、印刷画像の光学濃度の高いシャドウ部における印刷インキの着肉量を多くすることができる。このため、シャドウ部の光学濃度の高い力強い印刷表現が可能である。加えて、グラビア印刷は、印刷インキの材料的な制約が少ないため再現可能な色域が広いこと、低粘度の印刷インキを使用するため印刷面がなめらかで高級感のある仕上がりが得られること、版の耐久力が高く高速で大量に印刷できる等の点から好ましく用いられる。
製版方式としては、レーザー腐食法、電子彫刻法が挙げられ、インキセルの面積、深さを変えることで繊細な濃淡を表現することができる。例えば、代表的な電子彫刻機であるヘリオでは、インキセルの面積と深さとを示す網点比率を1%〜100%まで変えることで濃淡を表現できる。濃度感の欲しいシャドウ部は綱点比率が100%のもの、中間部は綱点比率が中間のもの、明るさの欲しいハイライト部は綱点比率が低くなる。高精細な階調表現においては、網点比率が低いハイライト部において印刷抜けがないことが求められる。
<作用効果>
本発明のガスバリア性フィルムは、樹脂基材の少なくとも一方の面に、樹脂(A)と無機層状鉱物とを主成分として含むコーティング剤から形成された皮膜が積層している。このため、ガスバリア性フィルムは、ガスバリア性が良好である。
本発明のガスバリア性フィルムは、上記皮膜の表面の黒色面積率が15%以下である。このため、ガスバリア性フィルムは、ガスバリア性が良好であり、かつ、皮膜上への印刷適性がより良好である。その結果、ガスバリア性フィルムに高精細な印刷を施すことができる。
本実施形態のガスバリア性フィルム1は、樹脂基材10の一方の面12に接して位置するガスバリア性皮膜20を有する。
しかし、ガスバリア性フィルムは、樹脂基材の両方の面にガスバリア性皮膜を有していてもよい。
容易かつ安価にガスバリア性フィルムを製造する観点から、ガスバリア性フィルムは、樹脂基材の一方の面にガスバリア性皮膜を有することが好ましい。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の各例で用いた材料を以下に示す。
[使用材料]
<樹脂基材>
α1:二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:VPH2011、厚さ20μm、A.J.Plast社製)。
α2:二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:TIV、厚さ18μm、Max Speciality Films Limited社製)。
α3:二軸延伸ポリエステルフィルム(商品名:P60、厚さ12μm、東レ株式会社製)。
α4:二軸延伸ナイロンフィルム(商品名:エンブレム(登録商標)ON、厚さ15μm、ユニチカ株式会社製)。
<樹脂(A)>
A1:ケン化度98〜99%、重合度500のポリビニルアルコール(商品名:ポバール5−98、株式会社クラレ製、あらかじめ水中で80℃90分加熱して10%水溶液を作成して使用)。
A2:カルボキシメチルセルロース(CMC)。
A3:水分散性ポリウレタン樹脂(商品名:タケラック(登録商標)WPB341、三井化学株式会社製)。
A4:水分散性ポリウレタン樹脂(商品名:ハイドラン(登録商標)HW−350、DIC株式会社製)。
<無機層状鉱物>
B1:水膨潤性合成雲母(商品名:ソマシフ(登録商標)MEB−3、片倉コープアグリ株式会社製)。
B2:ナトリウムヘクトライト(商品名:NHT−ゾルB2、トピー工業株式会社製)。
B3:水膨潤性合成雲母(商品名:NTS−5、トピー工業株式会社製)。
B4:精製モンモリロナイト(商品名:クニピア(登録商標)−F、クニミネ工業株式会社製)。
[コーティング剤の調製]
表1〜2に示す種類と固形分の配合比率とになるように、水中で樹脂(A)と無機層状鉱物とを配合した。その後、全水性媒体中の10質量%がイソプロパノールであり、固形分濃度が4質量%となるように、イオン交換水とイソプロパノールで希釈した。これによって各例のコーティング剤をそれぞれ調製した。表中、コーティング剤の欄は、上述した使用材料の種類を表し、数値は配合比率を表す。配合比率は、全固形分に対する各成分の固形分での比率(質量%)であり、以下においても同様である。実施例14、15は、2種類の樹脂(A)を使用したことを表す。表中の「0」は、その成分が含まれていないことを表す。
[中間層の形成]
水中で、タケラック(登録商標)WPB341と、タケネート(登録商標)WD−725(三井化学株式会社製)とを固形分の配合比率で90/10となるように混合し、接着層を設けるための接着剤を調製した。
その後、グラビアコート法によって樹脂基材の一方の面に上記接着剤を塗工し、厚さ0.3μmの接着層を形成した(実施例16)。
樹脂基材α3の一方の面に、蒸着機を用いて酸化アルミニウムを蒸着し、厚さ0.02μmの中間層を形成した(実施例17)。
樹脂基材α3の一方の面に、蒸着機を用いて酸化珪素を蒸着し、厚さ0.02μmの中間層を形成した(実施例18)。
[実施例1〜18、比較例1〜6]
グラビア印刷機を用いて、表1〜2に示す種類の樹脂基材のコロナ処理面、又は中間層の樹脂基材層とは反対の面に、表1〜2に示す組成のコーティング剤をグラビアコート法により塗布した。コーティング剤を塗布した塗工体を、90℃のオーブンを10秒間通過させて乾燥して皮膜を形成し、実施例1〜18、比較例1〜6のガスバリア性フィルムを得た。
得られたガスバリア性フィルムの断面を走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、SU8020)で観察し、形成された皮膜の厚さを測定したところ、いずれの例においても皮膜の厚さは0.6μmであった。
印刷適性の評価をするため、以下の型式のグラビア版を用意した。
グラビア彫刻方式:ヘリオ電子彫刻。
線数:175線/インチ。
セル深度:25〜30μm。
スタイラス角度:130°。
網点:コンプレスト(△0)。
網点比率:1%〜100%まで変化する階調版。
グラビア印刷機を用いて、前記グラビア版を使用して実施例1〜18、比較例1〜6のガスバリア性フィルムの皮膜側に、インキであるリオアルファ墨色(東洋インキ株式会社製)を塗布し、50℃のオーブンを10秒間通過させて乾燥して各例の印刷物を得た。
<評価>
(1)黒色面積率
上述した測定方法にて、ガスバリア性フィルムそれぞれの黒色面積率を測定した。それぞれのガスバリア性フィルムについて、撮影画像3点の平均値を黒色面積率とした。測定結果を表1〜2に示す。
(2)面積が450μm以上の黒点の数
上述した測定方法にて、ガスバリア性フィルムそれぞれの面積が450μm以上の黒点の数を測定した。それぞれのガスバリア性フィルムについて、撮影画像10点の1mm当たりの平均値を黒点の数とした。測定結果を表1〜2に示す。
(3)ガスバリア性(酸素ガスバリア性、OTR)
各例のガスバリア性フィルムについて、酸素透過度測定装置(商品名:OXTRAN−2/20、MOCON社製)を用いて、30℃、70%RHの雰囲気下、酸素透過度(cm/(m・day・MPa))を測定した。測定結果を表1〜2に示す。
(4)印刷適性
各例の印刷物のうち、網点比率20%部分を肉眼で観察し、印刷抜けの有無を確認した。さらに、肉眼で印刷抜けを確認できなかった印刷物の網点比率20%部分を光学顕微鏡で観察し、網点抜けの数を計数した。結果を表1〜2に示す。
ここで、網点抜け数を評価するために光学顕微鏡で撮影した撮影画像の一例を図4に示す。図4で、200で示した箇所は網点が塗られている箇所を示し、210で示した箇所は網点抜け部を示す。網点抜けの数は、網点抜け部の数である。
表中、網点抜け数は1mm当たりの網点抜けの数を表す。表中、「−」は、網点抜けの数を計数しなかったことを表す。表中、肉眼評価の「○」は、印刷抜けが無かったことを表し、肉眼評価の「×」は、印刷抜けが有ったことを表す。印刷抜けが無く、網点抜けの数が少ないほど印刷適性が良好である。
<結果>
表1〜2に記載の結果から、実施例1〜18のガスバリア性フィルムは、黒色面積率が15%以下だったため、皮膜の上に印刷層を設けても、肉眼で印刷抜けやかすれのない、きれいな印刷ができていた。
それに対して、比較例1〜3は、黒色面積率が15%超だったため、皮膜の上に印刷層を設けた際に、肉眼で印刷抜けやかすれが確認された。
さらに、実施例1〜2、5〜18は、面積が450μm以上の黒点の数が1mm当たり1個以下だったため、皮膜の上に印刷層を設けた際に、光学顕微鏡で観察しても印刷抜けが無かった。
比較例4〜6は、樹脂(A)又は無機層状鉱物のいずれかの成分が含まれていないため、ガスバリア性又は印刷適性が劣っていた。
本発明のガスバリア性フィルムは、ガスバリア性が良好で、かつ、印刷適性がより良好であり、皮膜の上に高精細な印刷を施すことが可能である。そのため、内容物の保存安定性を高め、高精細な階調印刷において印刷抜けのない包装を提供することができる。
1 ガスバリア性フィルム
10 樹脂基材
20 ガスバリア性皮膜

Claims (2)

  1. 樹脂基材と、前記樹脂基材の少なくとも一方の面に接して位置するガスバリア性皮膜とを有し、
    前記ガスバリア性皮膜は、水溶性樹脂及び水分散性樹脂の双方又はいずれか一方と、無機層状鉱物とを含み、
    下記測定方法で測定される黒色面積率が15%以下である、ガスバリア性フィルム。
    <測定方法>
    前記ガスバリア性皮膜の表面の650μm四方の任意の領域を光学顕微鏡で撮影して撮影画像を取得し、画像解析ソフトを用いて、前記撮影画像を256階調のモノクロ画像に変換し、前記モノクロ画像における輝度の最頻値から30を減じた値を閾値とし、前記閾値未満を黒、前記閾値以上を白として前記輝度を2値化し、前記領域の面積に対する黒である面積の割合を黒色面積率とする。
  2. 下記測定方法で測定される面積が450μm以上の黒点の数が1mm当たり1個以下である、請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
    <測定方法>
    前記ガスバリア性皮膜の表面の650μm四方の任意の領域を光学顕微鏡で撮影して撮影画像を取得し、画像解析ソフトを用いて、前記撮影画像を256階調のモノクロ画像に変換し、前記モノクロ画像における輝度の最頻値から30を減じた値を閾値とし、前記閾値未満を黒、前記閾値以上を白として前記輝度を2値化し、黒である点を黒点とし、前記黒点の面積が450μm以上の数を測定する。
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