JP2021019523A - 豆乳含有組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 豆乳由来の青臭さを軽減した豆乳含有組成物を提供すること。【解決手段】 フマル酸を含む、豆乳含有組成物。好適には、前記組成物中のフマル酸/大豆固形分の含有量の質量比が、0.005〜0.2である。好適には、前記組成物が、酸性組成物である。;また、フマル酸を添加することを特徴とする、豆乳含有組成物における豆乳由来の青臭さを軽減する方法。好適には、前記組成物中のフマル酸/大豆固形分の使用比が、0.005〜0.2である。【選択図】なし

Description

本技術は、豆乳含有組成物に関する。
近年、健康志向の高まりから、コレステロールを含まず、良質な植物性蛋白質を含む豆乳及びこれを含有する製品が注目されている。
さらに、大豆を原料とする豆乳は、飲料としてそのまま食することも可能であるが、種々の飲食品の原料として使用したりすることができる。
豆乳を使用した豆乳含有組成物として、例えば、豆乳類や豆乳含有飲食品などが挙げられる。
豆乳類は、日本農林規格(昭和五十六年十一月十六日 農林水産省告示第千八百号;最終改正:平成十七年十月五日 農林水産省告示第一五一一号)で、豆乳、調製豆乳、豆乳飲料に、大豆固形分及び大豆たんぱく質含有率に基づいて、分類されている。
また、豆乳含有飲食品として、例えば、豆乳含有のデザート(例えば、豆乳プリン、豆乳アイスクリーム、豆乳チーズなど)、豆乳含有の飲料(例えば、豆乳含有コーンスープ、上記豆乳類以外の豆乳含有飲料など)、豆乳含有小麦製品(例えば、豆乳含有パン、豆乳含有ドーナッツなど)などが知られている。
このように豆乳は、幅広く利用できると共に手軽に摂取できる利点がある。さらに、豆乳は大豆イソフラボンを含むため種々の効能も期待できる。
しかしながら、豆乳には豆乳由来の青臭さがあり、この豆乳由来の青臭さの主成分はn−ヘキサナールと考えられている(非特許文献1)。この豆乳由来の青臭さを軽減できれば、豆乳含有組成物の風味をより良好にすることができる。
例えば、非特許文献1では、大豆の青臭さの原因であるn−ヘキサナールを分解できるアルデヒドデヒドロゲナーゼのスクリーニングの研究が行われている。
また、例えば、特許文献1には、消費者の嗜好に合った、豆乳本来の好ましい風味を付与するために、この請求項1記載の一般式(1)で表されるメトキシピラジン誘導体からなることを特徴とする豆乳又は豆乳含有飲食品の香味改善剤が提案されている。
このように、豆乳由来の青臭さを軽減する技術が、日々検討されている。
特開2012−75355号公報
鈴木秀之・富山大輔, 大豆たん白質研究 Vol.11 (2008), p67-70
そこで、本技術は、豆乳由来の青臭さを軽減した豆乳含有組成物を提供することを主な目的とする。
本発明者は、豆乳含有組成物に、広く果汁飲料に用いられているクエン酸を配合して、豆乳由来の青臭さを軽減できるかどうか検討した。しかしながら、クエン酸では、豆乳由来の青臭さを軽減することができなかった。
本発明者は、鋭意検討した結果、豆乳含有組成物にフマル酸を用いることで、豆乳由来の青臭さを軽減することができた。フマル酸は、クエン酸と同様に低分子の有機酸であるが、フマル酸を用いることで豆乳由来の青臭さを低減できたことは、全くの意外であった。このようにして、本発明者は、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下のとおりである。
本発明は、フマル酸を含む、豆乳含有組成物を提供することができる。
また、本発明は、フマル酸を添加することを特徴とする、豆乳含有組成物における豆乳由来の青臭さを軽減する方法を提供することができる。
前記組成物中のフマル酸/大豆固形分の含有量の質量比が、0.005〜0.2であってもよい。
前記組成物が、酸性組成物であってもよい。
本技術は、豆乳由来の青臭さを軽減した豆乳含有組成物を提供することができる。
なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本技術中に記載された何れかの効果であってもよい。
以下、本技術を実施するための好適な実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術
の範囲が狭く解釈されることはない。また、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。また、各数値範囲の上限値と下限値は、所望により、任意に組み合わせることができる。
<1.本技術の豆乳含有組成物>
本技術でいう「豆乳含有組成物」とは、少なくとも豆乳を含有する組成物である。本技術において、「フマル酸」を用いることで、豆乳由来の青臭さを軽減することができる。
すなわち、本技術の豆乳含有組成物は、少なくとも豆乳及びフマル酸を含有するものである。本技術の豆乳含有組成物は、少なくとも豆乳及びフマル酸を原料として含有させて得ることができる。
本技術の豆乳含有組成物は、液状又は流動状が好適であり、より具体的には豆乳含有飲料が好適であり、さらに好適には豆乳含有の酸性飲料である。
〔1−1.豆乳〕
本技術で用いられる豆乳は、原料大豆(大豆や脱脂大豆など)から常法により得られる豆乳を用いることができる。当該豆乳の形態は、特に限定されず、液状、粉末状、流動状、又は固体状などの何れであってもよい。
また、本技術で用いられる豆乳は、広義の意味の「豆乳」であり、日本農林規格による「豆乳類」で定義される狭義の「豆乳」に限定されない。
本技術で用いられる「豆乳」は、例えば、原料大豆を、水浸漬して磨砕するか又は水浸漬せずに含水状態にて磨砕することによって、呉(ご)を得る工程、次いでこの呉をろ過などして不溶性画分を除去する除去工程により、得ることができる。
これにより、大豆原料から熱水などにより蛋白質その他の成分を溶出させて、繊維質を除去して大豆豆乳液を得ることができる。当該熱水の温度は、好適には50〜100℃(より好適には80℃以上)である。また、豆乳を得る際のpH調整は、通常中性〜弱アルカリ性のpH7〜9程度(好適にはpH7〜8程度)が好適であり、得られる豆乳のpHが7〜8になるようにすることがより好適である。
前記呉から不溶性画分を除去した後に、得られた大豆豆乳液を加熱殺菌することが、好適である。この加熱殺菌した後に、次いで均質化を行ってもよい。
前記加熱殺菌は、常法の条件で行うことが可能であり、加熱殺菌条件として、例えば、130〜150℃で、1〜120秒程度(好適には2〜14秒、より好適には2〜10秒)が一般的であるが、これに限定されるものではない。
得られた大豆豆乳液は、そのままの状態で、本技術の「豆乳」として使用してもよい。また、得られた大豆豆乳液は、必要に応じて、乾燥や成分調製などの加工処理を行った後に、本技術の「豆乳」として使用してもよい。
前記原料大豆として、特に限定されないが、例えば、丸大豆、脱皮大豆、脱皮脱胚軸した大豆、酵素失活のために予め加熱した大豆などが挙げられ、これらからなる群から選択される1種又は2種以上を用いることができる。このうち、脱皮脱胚軸大豆、又は加熱大豆を用いることが、風味が良好な豆乳を得ることができるので、好適である。
本技術で用いられる豆乳の大豆固形分は、特に限定されないが、好ましくは2%以上、より好ましくは4%以上、さらに好ましくは6%以上、よりさらに好ましくは8%以上であり、上限は特に限定されないが、例えば、15%や13%などが挙げられる。
本技術で用いられる豆乳の大豆蛋白質含有量は、特に限定されないが、好ましくは1.8%以上、より好ましくは3.0%以上、さらに好ましくは3.8%以上であり、上限は特に限定されないが、8%や6%などが挙げられる。
本技術における豆乳の「大豆固形分」及び「大豆蛋白質含有量」は、日本農林規格(昭和五十六年十一月十六日 農林水産省告示第千八百号;最終改正:平成十七年十月五日 農林水産省告示第一五一一号)及びこの「豆乳類」に従って測定することができる。なお、「豆乳類の日本農林規格」には「大豆たん白質含有率の測定方法は、試料約5gを量りとり、ケルダール法により窒素の量を求め、これに6.25を乗じて得た値の試料重量に対する百分比を大豆たん白質含有率とするものとする。」とあり、これにより本技術では、豆乳の「大豆蛋白質含有量」を測定できる。
本技術の豆乳含有組成物中の大豆固形分は、原料の豆乳含有量×この豆乳の大豆固形分にて算出できる。また、本技術の豆乳含有組成物中の大豆蛋白質含有量は、原料の豆乳含有量×この豆乳の大豆たんぱく質含有率にて算出できる。
また、本技術で用いられる豆乳として、日本農林規格(昭和五十六年十一月十六日 農林水産省告示第千八百号;最終改正:平成十七年十月五日 農林水産省告示第一五一一号)の「豆乳類の日本農林規格」で定義される「豆乳類」を使用することができる。
本技術で用いられる豆乳は、日本農林規格による「豆乳類」を用いることが、コスト及び作業効率性の観点から、好適である。
日本農林規格(以下、「JAS規格」ともいう)による「豆乳類」は、豆乳、調製豆乳及び豆乳飲料に分類されており、これらからなる群から選択される1種又は2種以上を使用することができる。このJAS規格における狭義の「豆乳」を、以下、「無調整豆乳」ともいう。
前記「豆乳類」は、適宜、粉末状や流動状などの形態にして、本技術において使用してもよい。
JAS規格において、無調整豆乳は、大豆固形分は8%以上かつ大豆蛋白質含有量は3.8%以上であり、調製豆乳は、大豆固形分は6%以上かつ大豆蛋白質含有量は3.0%以上であり、豆乳飲料は、大豆固形分は2%又は4%以上かつ大豆蛋白質含有量は1.8%以上である。また、後述するような加熱殺菌条件で、加熱殺菌した豆乳類を用いることが好適である。なお、JAS規格の調製豆乳や豆乳飲料は、「調製豆乳の規格」や「豆乳飲料の規格」に記載の「原材料」を使用する。
本技術の豆乳類は、市販品を使用することが可能である。
豆乳の市販品として、例えば、おいしい無調整豆乳(キッコーマン社製)などが挙げられる。
調製豆乳の市販品として、例えば、調製豆乳(キッコーマン社製)などが挙げられる。
なお、本技術で用いられる豆乳には、任意成分を適宜配合することができる。当該任意成分として、例えば、植物油脂、糖類、食塩、炭酸カルシウム、ビタミン類(例えばビタミンC、ビタミンE)、風味原料(例えば、果汁、野菜汁、コーヒー、麦芽エキス、抹茶、ココア、牛乳、粉乳など)、香辛料などが挙げられる。
また、任意成分として、「豆乳類の日本農林規格」で記載されている「調製豆乳の規格」や「豆乳飲料の規格」に記載の「原材料」を使用してもよい。
これら任意成分からなる群から選択される1種又は2種以上を使用することができる。
〔1−2.フマル酸〕
本技術で用いる「フマル酸」は、有機酸の一種であり、フマル酸又はその塩は、酸味料及び/又はpH調整剤として飲食品や医薬品等に使用されている。
本技術のフマル酸を豆乳含有組成物に用いると、豆乳由来の青臭さを軽減することができる。特に、豆乳含有組成物に酸性成分を配合した豆乳含有組成物の場合、本技術のフマル酸を用いることで、豆乳由来の青臭さが軽減できるので、風味の良好な豆乳含有組成物を得ることができる。
本技術で用いるフマル酸は、対イオンが存在する塩の形態でもよく、予めアルカリで中和してあるものであってもよく、さらに、製造工程中にアルカリを加えることにより中和された塩の形態とすることも可能である。
本技術において、取り扱いやすさ及び風味の観点から、また、豆乳由来の青臭さ軽減の観点から、フマル酸塩が好ましい。
前記フマル酸塩として、例えば、フマル酸アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム、カリウム等)、フマル酸アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム、マグネシウム等)等が挙げられるが、本技術の塩はこれに限定されるものではない。当該フマル酸塩として市販のものを使用することができる。
前記フマル酸塩として、例えば、フマル酸一ナトリウム、フマル酸二ナトリウム、フマル酸一カリウム、フマル酸二カリウム、フマル酸マグネシウム、及びフマル酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも1種又は2種以上であることが好ましい。
この中で、フマル酸ナトリウム塩が、コスト低減、作業性向上や豆乳由来の青臭さ軽減の観点から好ましく、より好ましくは、作業性向上や豆乳由来の青臭さ軽減の観点から、フマル酸一ナトリウム及び/又はフマル酸二ナトリウムである。
〔1−3.各成分の使用量及び質量比〕
<1−3−1.豆乳含有量>
本技術の豆乳含有組成物中の豆乳の含有量は、大豆固形分換算で、その下限値として、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、よりさらに好ましくは0.6質量%以上、より好ましくは0.7質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、より好ましくは0.9質量%以上である。また、その上限値として、好ましくは12質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは6質量%以下、よりさらに好ましくは5質量%以下、より好ましくは4.1質量%以下、より好ましくは3.1質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2.1質量%以下、より好ましくは1.8質量%以下、より好ましくは1.7質量%以下、より好ましくは1.6質量%以下である。
これにより、豆乳由来の青臭さをより良好に軽減することができる。本技術によれば、調製豆乳や豆乳飲料といった豆乳含有量が多い場合でも、豆乳由来の青臭さをより良好に軽減することができる。
前記豆乳の含有量の範囲として、大豆固形分換算で、好ましくは0.1〜12質量%、より好ましくは0.5〜2.0質量%、さらに好ましくは0.7〜1.8質量%、よりさらに好ましくは0.9〜1.6質量%である。これにより、豆乳由来の青臭さを軽減し、風味がより良好な豆乳含有組成物を提供することも可能となる。
<1−3−2.大豆蛋白質含有量>
本技術の豆乳含有組成物中の大豆蛋白質含有量は、その下限値として、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.15質量%以上、さらに好ましくは0.25質量%以上、よりさらに好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.35質量%以上、より好ましくは0.37質量%以上、より好ましくは0.39質量%以上である。また、その上限値として、好ましくは4質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2.5質量%以下、よりさらに好ましくは1.8質量%以下、より好ましくは1.4質量%以下、より好ましくは0.9質量%以下、より好ましくは0.7質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.45質量%以下、より好ましくは0.4質量%以下である。
これにより、豆乳由来の青臭さをより良好に軽減することができる。本技術によれば、調製豆乳や豆乳飲料といった豆乳含有量が多い場合でも、豆乳由来の青臭さをより良好に軽減することができる。
前記組成物中の大豆蛋白質含有量の範囲として、好ましくは0.20〜3.1質量%、より好ましくは0.30〜2.6質量%、さらに好ましくは0.39〜0.7質量%である。これにより、豆乳由来の青臭さを軽減し、風味がより良好な豆乳含有組成物を提供することも可能である。
<1−3−3.フマル酸含有量>
本技術の豆乳含有組成物中のフマル酸含有量は、フマル酸換算で、その下限値として、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.016質量%以上、よりさらに好ましくは0.025質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.04質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.06質量%以上、より好ましくは0.07質量%以上、より好ましくは0.08質量%以上である。また、その上限値として、好ましくは0.6質量%以下、より好ましくは0.4質量%以下、さらに好ましくは0.2質量%以下、よりさらに好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.095質量%以下、より好ましくは0.09質量%以下、より好ましくは0.085質量%以下である。
これにより、豆乳由来の青臭さをより良好に軽減することができる。
前記フマル酸含有量の範囲として、好ましくは0.001〜0.6質量%、より好ましくは0.025〜0.1質量%、さらに好ましくは0.03〜0.09質量%、よりさらに好ましくは0.04〜0.085質量%である。これにより、豆乳由来の青臭さを軽減しつつ、フマル酸の酸味を軽減できるので、風味が良好な豆乳含有組成物を提供することも可能となる。
なお、フマル酸などの有機酸はLC/MSによる有機酸分析にて測定することができる。
<1−3−4.フマル酸/大豆固形分の含有量の質量比>
本技術の豆乳含有組成物において、当該組成物中のフマル酸/大豆固形分(フマル酸換算/大豆固形分換算)の含有量の質量比は、その下限値として、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.01以上、さらに好ましくは0.04以上である。また、フマル酸/大豆固形分の質量比の上限値は、好ましくは6.0以下、より好ましくは3.0以下、さらに好ましくは1.0以下、よりさらに好ましくは0.8以下、より好ましくは0.3以下、より好ましくは0.1以下である。
これにより、豆乳由来の青臭さをより良好に軽減することができる。
前記フマル酸/大豆固形分の質量比の範囲として、好ましくは0.005〜6.0、より好ましくは0.01〜0.8、さらに好ましくは0.04〜0.1である。これにより、豆乳由来の青臭さを軽減し、風味が良好な豆乳含有組成物を提供することも可能となる。
<1−3−5.フマル酸/大豆蛋白質の含有量の質量比>
本技術の豆乳含有組成物において、当該組成物中のフマル酸/大豆蛋白質(フマル酸換算/大豆蛋白質)の含有量の質量比は、その下限値として、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以上、さらに好ましくは0.09以上である。また、その上限値として、好ましくは14.0以下、より好ましくは7.0以下、さらに好ましくは3.0以下、よりさらに好ましくは2.0以下、より好ましくは1.9以下、より好ましくは0.7以下、より好ましくは0.25以下である。
これにより、豆乳由来の青臭さをより良好に軽減することができる。
前記フマル酸/大豆蛋白質の質量比の範囲として、好ましくは0.01〜14.0、より好ましくは0.05〜1.9、さらに好ましくは0.09〜0.25である。これにより、豆乳由来の青臭さを軽減し、風味が良好な豆乳含有組成物を提供することも可能となる。
本技術の豆乳含有組成物は、pH(20℃)を、酸性にすることが、豆乳由来の青臭さを軽減できる観点、良好な風味の観点や保存安定性の観点から、好適である。
当該組成物のpHは、好ましくは6以下、さらに好ましくは2〜6、よりさらに好ましくは2〜5、より好ましくは2〜4である。このpH調整に用いる成分は特に限定されないが、例えば、果実由来物、pH調整剤等によって調整することができる。
本技術の豆乳含有組成物は、豆乳含有飲料が好適であり、この豆乳含有飲料とは、少なくとも豆乳を含有させた飲料(より好適には酸性飲料)であり、一般的な飲料に豆乳を含有させて得ることができる。
ここで、一般的な飲料として、例えば、清涼飲料水(アルコール分1%未満)及びアルコール飲料等が知られている。清涼飲料水のカテゴリーの幅は広く、清涼飲料水として、例えば、炭酸飲料、果汁飲料、野菜ジュース、スポーツ飲料、茶系飲料、コーヒー飲料、乳性飲料、発酵乳入り飲料、乳酸菌飲料などが知られている。また、アルコール飲料として、例えば、果汁入りアルコール飲料などが知られている。本技術の豆乳含有飲料では、これらからなる群から選択される1種又は2種以上であることが可能である。
また、酸性飲料は、通常、pHが7未満の飲料を意味する。
〔1−4.任意成分〕
本技術の豆乳含有組成物には、本技術の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて、飲食品や医薬品の成分として使用可能な任意成分を配合することができる。
この任意成分として、例えば、酸性成分、プロバイオティクス、甘味料、安定剤、香味成分、植物油脂、植物性乳、増粘多糖類、香味成分、油脂、蛋白質、アミノ酸、有機酸、ビタミン、無機塩類等が挙げられ、これらからなる群から選択される1種又は2種以上を用いることができる。
酸性成分は特に限定されないが、例えば、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸、酒石酸、グルコン酸、フィチン酸、リン酸、二酸化炭素及びこれらの塩等が挙げられ、これらからからなる群から選択される1種又は2種以上を用いることができる。このうち、クエン酸が、風味やコストの観点から、好適である。
当該酸性成分は酸味料及び/又はpH調整剤として用いられ、当該酸性成分により、本技術の組成物に酸味を付与したり、酸性領域にしたりすることができる。
また、これら酸性成分が含まれているものを利用してもよく、例えば、柑橘系等の果汁を用いてもよく、これにより果汁特有の風味も付与することができる。
プロバイオティクスは特に限定されないが、プロバイオティクスとして、例えば、乳酸菌、ビフィドバクテリウム属細菌、酢酸菌、及び枯草菌等が挙げられ、これらからなる群から選択される1種又は2種以上を用いることができる。このうち、乳酸菌及び/又はビフィドバクテリウム属細菌(例えば、B.ロンガム、B.インファンティス、B.ブレーベ等)が好ましい。プロバイオティクスは、生菌体、死菌体、これらを用いた培養物の何れでもよいが、プロバイオティクス効果の観点から生菌体が好ましい。また、菌体、細菌培養物又は発酵乳を配合させることで、プロバイオティクス効果を期待することも可能である。
甘味料は特に限定されないが、甘味料として、例えば、異性化糖(いわゆる果糖ブドウ糖液)、砂糖(いわゆるショ糖)、ブドウ糖、果糖、乳糖、マルトース、パラチノース、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ラフィノース等の糖類;ソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチュロース等の糖アルコール;グルチルリチン、ステビオサイド、レバウディオサイド、甜茶抽出物、甘茶抽出物等の天然甘味料;サッカリン、アステルパーム等の人工甘味料等が挙げられ、これらからなる群から選択される1種又は2種以上を用いることができる。
安定剤は特に限定されないが、安定剤として、例えば、ハイメトキシルペクチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び大豆多糖類等が挙げられ、これらからなる群から選択される1種又は2種以上を用いることができる。なお、大豆多糖類は大豆から得られた多糖類で、主成分はヘミセルロースである。市販品でもよく、市販品として、例えば、ハイメトキシルペクチン(SM−666、三栄源エフ・エフ・アイ社製)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(セロゲンFZ(製品名)、第一工業製薬社製)、大豆多糖類(SM−1200、三栄源エフ・エフ・アイ社製)等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
香味成分は特に限定されないが、飲料の味付け及び香り付け目的のため使用可能な成分を用いることができ、香味成分として、例えば、コーヒー、茶類(例えば、紅茶、緑茶、ほうじ茶、番茶、煎茶、ウーロン茶等)及びこれらのエキス;果汁類(例えば、柑橘系(レモン、オレンジ等)、リンゴ、ブドウ、イチゴ、パイナップル、バナナ、ナシ、モモ、ウメ、ブルーベリー、メロン、グアバ、マンゴー、アセロラ、パパイヤ等);野菜汁類(例えば、トマト、ニンジン等)、これらの粉末又はフレーバー等が挙げられ、これらからなる群から選択される1種又は2種以上を用いることができる。
<2.本技術の豆乳含有組成物の製造方法>
本技術の豆乳含有組成物の製造方法は、特に限定されず、公知の豆乳含有組成物の製造方法を利用して行うことができる。本技術の豆乳含有組成物の製造方法は、フマル酸を配合する工程を含むことを特徴とする。
本技術の豆乳含有組成物の製造方法において、上述した<1.本技術の豆乳含有組成物>と共通する構成については説明を省略する。
本技術の豆乳含有組成物の製造方法における原料及びその使用量は、上述した<1.本技術の豆乳含有組成物>の豆乳、フマル酸や任意成分などを原料として使用することができ、また、各含有量や各質量比になるように使用量を適宜調整することができる。
本技術の豆乳含有組成物の製造方法において、本技術の組成物に含まれる各成分の添加は、豆乳含有組成物の製造工程中の何れの工程でもよく、特に限定されず、例えば、調製工程での添加が挙げられ、また、各成分は上述したような含有量、質量比等になるように適宜調整することができる。
本技術の豆乳含有組成物の製造工程として、例えば、豆乳(好適にはJASによる豆乳類)及びフマル酸等の原料を混合して原料液を調製する工程、該原料液を加熱殺菌又は除菌(膜処理等)する工程、該殺菌又は除菌した原料液を容器に充填する工程等が挙げられるが、本技術においてこれに限定されない。
なお、豆乳の大豆固形分や大豆蛋白質含有量の上限は、特に限定されず、粉末状豆乳を使用して調整してもよい。
本技術において、フマル酸の添加工程は、豆乳含有組成物の製造工程中であれば特に限定されず、何れの工程でもよい。例えば、調製工程で添加してもよいし、加熱殺菌工程後に添加してもよいし、容器充填工程前に添加してもよい。また、フマル酸の添加工程は、添加後に加熱殺菌工程を行うことも可能である。
本技術において、原料液調製工程において、フマル酸を配合する前に、予め豆乳類及び安定剤などを原料として混合して前処理原料液を調製することが好適であり、これにより当該前処理原料液の蛋白質が安定化されるので、他の成分を混合しやすい利点がある。当該前処理原料液とフマル酸とを混合した後に、加熱殺菌などを行うことが、良好な風味や外観を得る観点から、好適である。
また、豆乳含有組成物を酸性に調整して、豆乳含有組成物を得る場合、何れかの工程において、酸性成分などの含有液を適宜混合して、組成物を酸性に調整してもよい。このとき、前処理原料液と酸性成分などを混合させることが、良好な風味や外観を得る観点から、好適である。
本技術において、均質化処理することが好適である。当該均質化処理は、常法により行うことができる。例えば、ホモジナイザーを用い、60〜90℃の条件下、5〜25MPaの圧力で均質化する方法を例示することができるが、これに限定されない。
本技術において、加熱殺菌又は除菌することが好適である。常法の加熱殺菌又は除菌により行うことができる。加熱殺菌の場合、通常は120〜150℃で1〜120秒間、飲料風味の観点からより好ましくは120〜140℃で1〜3秒間程度であり、UHT殺菌(Ultra-High Temperature pasteurization)を行ってもよい。また、除菌はフィルターや珪藻土などを用いて行ってもよい。
本技術において、充填する場合は、常法により行うことができ、本技術の組成物に使用する組成物容器として、例えば、紙パック、PET容器、缶、ビン等が挙げられるが、これに限定されないが、組成物の状態(例えば、飲料や流動食など)によって適宜容器を選択してもよい。
上記製造方法により、豆乳由来の青臭さが軽減された本技術の豆乳含有組成物を得ることができる。本技術の豆乳含有組成物の形態は特に限定されないが、流動状又は液状の何れでもよい。本技術の豆乳含有組成物は、医薬用、飲食用など幅広い用途に使用することができる。本技術の豆乳含有飲食用組成物として、特に限定されないが、上述した豆乳類及び豆乳含有飲食品の例などからなる群から選択される1種又は2種以上が挙げられる。
また、一般的に加熱処理により豆乳由来の青臭さが強まる傾向にあるが、本技術は加熱殺菌後の組成物であっても、豆乳由来の青臭さを軽減することができる。これにより、本技術は、加熱殺菌済みの豆乳含有組成物としても提供することができる。
<3.本技術のフマル酸の用途(飲食品用等)>
また、本技術のフマル酸は、豆乳含有組成物(より好適には豆乳入り飲料)に対して、豆乳由来の青臭さを軽減することが可能であり、豆乳量を増加させても豆乳由来の青臭さを軽減した組成物を提供することも可能である。当該組成物として、例えば、飲食品、流動食等が挙げられるが、これに限定されない。さらに、本技術のフマル酸を、豆乳含有組成物に用いることで、豆乳由来の青臭さが軽減され、風味の良好な組成物を得やすいので、好適である。
よって、本技術のフマル酸は、豆乳由来の青臭さ軽減剤の有効成分として含有させることができ、また、当該豆乳由来の青臭さ軽減剤を製造するために使用することができる。また、本技術は、豆乳由来の青臭さ軽減のためのフマル酸又はその使用を提供することもできる。また、本技術は、フマル酸を配合することによって、豆乳由来の青臭さを軽減する方法を提供することも可能である。本技術は、豆乳由来の青臭さを軽減できるので、豆乳含有組成物に対して適用することが好適である。
本技術の豆乳使用量、フマル酸使用量、フマル酸/大豆固形分の質量使用比などの使用量や使用比は、上述した<1.本技術の豆乳含有組成物>及び<2.本技術の豆乳含有組成物の製造方法>の各構成の含有量及び各質量比などを適用できる。
本技術は、医薬用、機能性表示食品用、飲食品用、飼料(例えばペット)用等の用途にも使用することができ、飲むときに液状又は流動状にすることができる形態(例えば錠剤、粉末等)も含むことが可能である。
本技術は、適用対象であるヒト若しくはヒト以外の動物(例えば、ペット、家畜等)に使用してもよく、また治療目的使用であっても、非治療目的であってもよい。「非治療目的」とは、医療行為、すなわち、治療による人体への処置行為を含まない概念である。
前記飲食品は、液状、ペースト状、固体、粉末等の形態を問わず、錠菓、流動食、飼料(ペット用を含む)等のほか、例えば、小麦粉製品、即席食品、農産加工品、水産加工品、畜産加工品、乳・乳製品、油脂類、基礎調味料、複合調味料・食品類、冷凍食品、菓子類、飲料、これら以外の市販品等が挙げられる。また、本技術で定義される飲食品は、保健用途が表示された飲食品として提供・販売されることも可能である。
前記乳・乳製品としては、例えば、加工乳、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料類、チーズ、アイスクリーム類、調製粉乳類、クリーム、その他の乳製品等が挙げられる。
前記飲料としては、例えば、炭酸飲料、天然果汁、果汁飲料、果汁入り清涼飲料、果肉飲料、果粒入り果実飲料、野菜系飲料、豆乳、豆乳飲料、コーヒー飲料、お茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、スポーツ飲料、栄養飲料、アルコール飲料、その他の嗜好飲料等が挙げられる。
また、本技術は、以下の構成を採用することも可能である。
〔1〕フマル酸を含む、豆乳含有組成物。
〔2〕前記組成物中のフマル酸/大豆固形分の含有量の質量比が、0.005〜6.0である、前記〔1〕記載の豆乳含有組成物。
〔3〕前記組成物が、酸性組成物であり、好適には当該酸性はpH7未満である、前記〔1〕又は〔2〕記載の豆乳含有組成物。
〔4〕前記組成物中のフマル酸含有量が、0.001質量%以上である、前記〔1〕〜〔3〕の何れか記載の豆乳含有組成物。
〔5〕前記組成物中の大豆固形分の含有量が、12質量%以下である、前記〔1〕〜〔4〕の何れか記載の豆乳含有組成物。
〔6〕前記組成物中のフマル酸/大豆蛋白質の含有量の質量比が、0.01〜14.0である、前記〔1〕〜〔5〕の何れか記載の豆乳含有組成物。
〔7〕前記組成物が、JAS規定の豆乳類であり、好適には、調製豆乳及び豆乳飲料からなる群から選択される1種又は2種である、前記〔1〕〜〔6〕の何れか記載の豆乳含有組成物。
〔8〕前記〔1〕〜〔7〕の何れか記載の豆乳含有組成物の製造方法。
〔9〕豆乳及びフマル酸を混合して原料液を調製する工程を含む、豆乳含有組成物の製造方法。好適には、フマル酸と混合する前に、豆乳及び乳化剤を混合して乳化状態とする前処理工程を行う。使用する豆乳及び/又はフマル酸は、液状、粉末状又は流動状の何れかが好適である。
〔10〕前記〔1〕〜〔7〕の何れか記載の豆乳含有組成物になるように調製する、前記〔9〕記載の製造方法。
〔11〕フマル酸を添加することを特徴とする、豆乳含有組成物における豆乳由来の青臭さを軽減する方法。青臭さを抑制して軽減してもよい。
〔12〕豆乳由来の青臭さを軽減する、フマル酸の使用。
前記方法又は使用において、フマル酸/大豆固形分の使用比が、大豆固形分1に対して、0.005〜6.0であることが好適である。
前記方法又は使用において、pH7未満にすることが好適である。
前記方法又は使用において、フマル酸使用量が、0.001質量以上であることが好適である。
前記方法又は使用において、大豆固形分の使用量が、12質量%以下であることが好適である。
前記方法又は使用において、フマル酸/大豆蛋白質の使用比が、0.01〜14.0であることが好適である。
前記方法又は使用において、使用する豆乳原料は、JAS規格の豆乳類の何れかであることが好適である。
前記方法又は使用において、豆乳含有組成物が、調製豆乳、豆乳飲料、又は豆乳含有飲料であることが好適である。なお、豆乳含有飲料は、豆乳飲料の定義よりも豆乳濃度(具体的には、大豆固形分及び/又は大豆蛋白質含有量)が低濃度であることが好適である。
以下、試験例、比較例や実施例等に基づいて本技術をさらに詳細に説明する。なお、以下に説明する試験例や実施例等は、本技術の代表的な試験例や実施例等の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
〔試験例1〜10及び比較例1(フマル酸含有量試験)〕
下記表1及び2に示す試験例1〜10の配合組成を用いて、豆乳含有酸性飲料を10種類(試験例1〜10)製造した。具体的には、試験例1の配合組成1において、豆乳、糖類、安定剤及び水を混合して蛋白質が安定化した混合物を得、次いで酸味料(クエン酸等)、フマル酸一ナトリウム、その他原料を順次混合し、当該表1及び表2の組成になるように混合物(pH2.5〜4.0(20℃))を調製した。この調製混合物を、60℃・20MPaで均質化し、さらに加熱殺菌(120〜140℃で1〜3秒間程度のUHT殺菌)した後、室温まで冷却して、豆乳含有酸性飲料1(pH2.5〜4.0(20℃))を得た。表1及び2に示す配合組成に従って、順次、試験例2〜10の各配合組成を用いて各豆乳含有の酸性飲料2〜10を得た。
また、フマル酸無添加以外はこれと同様にして基準液1(比較例)を作製した。
試験例の原料に使用した豆乳(以下、「原豆乳」ともいう。)は、加熱殺菌(145℃、5秒間)済みの無調整豆乳(大豆固形分:10.2%/大豆蛋白質含有量:4.4%)を用いた。当該無調整豆乳は、JASの豆乳の定義に従いつつ、熱水は80℃以上及びpHは7〜8の条件にて得ることができる。
また、原豆乳含有量×大豆固形分(10.2%)にて、豆乳含有組成物中の大豆固形分を算出した。また、原豆乳含有量×大豆蛋白質含有量(4.4%)にて、豆乳含有組成物中の大豆蛋白質含有量を算出した。
また、試験例では、フマル酸含有量と、フマル酸一ナトリウム分子量:138.07g/mol、フマル酸分子量:116.07g/molとに基づき、豆乳含有組成物中のフマル酸換算(%)を算出した。
<フマル酸含有量試験における評価方法>
豆乳由来の青臭さの原因とされるn−ヘキサナールの濃度濃薄を振り分けた各試料液を日常的に確認し、豆乳の青臭さの判断基準について摺合せを行っている開発担当のうち10名を評価パネラーとして選出した。
フマル酸含有量試験における官能評価の際は、当該パネラー10名が下記の<フマル酸含有量試験における評価項目:豆乳由来の青臭さ>に従って、豆乳由来の青臭さの評価を行った。この豆乳由来の青臭さの評価結果を表2に示す。
なお、試験例1〜10の豆乳含有酸性飲料について、「不快な酸味を感じるか否か」についての官能評価も行った結果、パネラー全員が、「不快な酸味を感じない」と回答した。
<フマル酸含有量試験における評価項目:豆乳由来の青臭さ>
評価基準:大豆固形分0.918%、フマル酸0%の基準液1(比較例1)を作製し、これを基準品として試験例1〜10の各サンプルと比較する。
<評価点>
1点:基準品と比較して、豆乳由来の青臭さを弱く感じる
2点:基準品と比較して、豆乳由来の青臭さをやや弱く感じる
3点:豆乳の青臭さが、基準品と変わらない(豆乳由来の青臭さがある)
4点:基準品と比較して、豆乳由来の青臭さをやや強く感じる
5点:基準品と比較して、豆乳由来の青臭さを強く感じる
〔試験例11〜20及び比較例2〜11:豆乳含有量試験〕
下記表3及び4に示す試験例11〜20の配合組成を用いて、豆乳含有酸性飲料(pH3.1〜4.3(20℃))を10種類(試験例11〜20)製造した。
試験例11〜20の配合組成からフマル酸を0%にした以外は、各試験例11〜20と同様にして基準液2〜11(比較例2〜11の各豆乳含有酸性飲料(pH3〜4.3(20℃)))を製造し、それぞれ基準品2〜11とした。基準品2〜11を、対応する試験例11〜20の各サンプル品と比較した。
原料及び製造手順については、上述した〔試験例1〜10及び比較例1:フマル酸含有量試験〕の原料及び製造方法と同様である。
<豆乳含有量試験における評価方法>
豆乳由来の青臭さの原因とされるn−ヘキサナールの濃度濃薄を振り分けた各試料液を日常的に確認し、豆乳の青臭さの判断基準について摺合せを行っている開発担当のうち8名を評価パネラーとして選出した。当該パネラー8名が豆乳由来の青臭さの評価を行った。この豆乳由来の青臭さの評価結果を表4に示す。
なお、試験例11〜20の豆乳含有酸性飲料について、「不快な酸味を感じるか否か」についての官能評価も行った結果、パネラー全員が、「不快な酸味を感じない」と回答した。
<豆乳含有量試験における評価項目:豆乳由来の青臭さ>
評価基準:フマル酸の添加の有無以外は同じ配合組成の試験品(フマル酸添加)及び基準品(フマル酸無添加)を用いた。
基準品を比較例として、基準品と同じ豆乳含有量の試験品における豆乳由来の青臭さについて、評価を行った。具体的には、対応する原豆乳量の濃度ごとに、試験例11vs比較例2、試験例12vs比較例3、試験例13vs比較例4、試験例14vs比較例5、試験例15vs比較例6、試験例16vs比較例7、試験例17vs比較例8、試験例18vs比較例9、試験例19vs比較例10、試験例20vs比較例11で、試験品と基準品とを対比した。
<評価点>
1点:基準品と比較して、豆乳由来の青臭さを弱く感じる
2点:基準品と比較して、豆乳由来の青臭さをやや弱く感じる
3点:豆乳の青臭さが、基準品と変わらない(豆乳由来の青臭さがある)
4点:基準品と比較して、豆乳由来の青臭さをやや強く感じる
5点:基準品と比較して、豆乳由来の青臭さを強く感じる
<考察>
表2及び4の結果、フマル酸を使用し、フマル酸を含む豆乳含有組成物にすることで、豆乳由来の青臭さを軽減することができた。さらに、以下のような各含有量や質量比にすることによって、豆乳由来の青臭さをより良好に軽減することができた。
<フマル酸換算/大豆固形分の含有量の質量比>
表2及び4の結果、試験例1〜20の豆乳含有酸性飲料において、フマル酸換算/大豆固形分の含有量の質量比は、0.009以上のときに、豆乳由来の青臭さが良好に軽減できた。さらに、フマル酸換算/大豆固形分の含有量の質量比は、0.014以上、さらに0.02以上、さらに0.027以上、さらに0.041以上のときに、豆乳由来の青臭さがより良好に軽減できた(試験例20、試験例17、試験例15、試験例13)。特に豆乳由来の青臭さが軽減されたのは、フマル酸換算/大豆固形分の含有量の質量比が、0.045〜0.092のときであった(試験例5〜試験例10)。
<フマル酸換算/大豆蛋白質の含有量の質量比>
表2及び4の結果、試験例1〜20の豆乳含有酸性飲料において、フマル酸換算/大豆蛋白質の含有量の質量比は、0.02以上のときに、豆乳由来の青臭さが良好に軽減できた。さらに、フマル酸換算/大豆蛋白質の含有量の質量比は、0.03以上、さらに0.047以上、さらに0.063以上、さらに0.076以上、さらに0.095以上のときに、豆乳由来の青臭さがより良好に軽減できた(試験例20、試験例17、試験例15、試験例14、試験例13)。特に豆乳由来の青臭さが軽減されたのは、フマル酸換算/大豆蛋白質の含有量の質量比が、0.10〜0.22のときであった(試験例5〜試験例10)。
<フマル酸の含有量(フマル酸換算)>
表2の結果、試験例1〜10の豆乳含有酸性飲料において、フマル酸換算で0.008〜0.085質量%のときに、豆乳由来の青臭さが良好に軽減できた。さらに、フマル酸換算で0.016質量%(より0.025質量%)以上のとき、豆乳由来の青臭さがより良好に軽減された。特に豆乳由来の青臭さが軽減されたのは、フマル酸含有量0.042〜0.085質量%のときであった(試験例5〜12)。
<豆乳の含有量(大豆固形分換算)>
表2及び4の結果、試験例1〜20の豆乳含有酸性飲料において、大豆固形分換算で0.9%以上のときに、豆乳由来の青臭さが良好に軽減できた。大豆固形分換算で、4.1%以下、さらに3.1%以下、さらに2.1%以下になるにつれて、豆乳由来の青臭さが良好に軽減できた。このように、JAS規格の豆乳飲料のような、大豆固形分換算4.0%以上又は2.0%以上(豆乳飲料)であっても豆乳由来の青臭さが軽減でき、不快な酸味もない豆乳含有酸性飲料を提供できる。また、大豆固形分換算で0.9%以上の豆乳が含まれる組成物を、豆乳由来の青臭さを軽減して、摂取することができる。特に豆乳由来の青臭さが軽減されたのは、大豆固形分換算で0.91〜1.6%のときであった(試験例10〜12)。
<大豆蛋白質含有量>
表2及び表4の結果、試験例1〜20の豆乳含有酸性飲料において、大豆蛋白質含有量0.39%以上のときに、豆乳由来の青臭さが良好に軽減できた。大豆蛋白質含有量で、1.8%以下、さらに1.4%以下、さらに0.9%以下になるにつれて、豆乳由来の青臭さが良好に軽減できた。このように、JAS規格の豆乳飲料のような、大豆蛋白質含有量1.8%以上(豆乳飲料)であっても豆乳由来の青臭さが良好に軽減でき、不快な酸味もない豆乳含有酸性飲料を提供できる。また、大豆蛋白質含有量0.3%以上の豆乳が含まれる組成物を、豆乳由来の青臭さを良好に軽減して、摂取することができる。特に豆乳由来の青臭さが軽減されたのは、大豆蛋白質含有量0.39〜0.66%のときであった(試験例10〜12)。

Claims (4)

  1. フマル酸を含む、豆乳含有組成物。
  2. 前記組成物中のフマル酸/大豆固形分の含有量の質量比が、0.005〜0.2である、請求項1記載の豆乳含有組成物。
  3. 前記組成物が、酸性組成物である、請求項1又は2記載の豆乳含有組成物。
  4. フマル酸を添加することを特徴とする、豆乳含有組成物における豆乳由来の青臭さを軽減する方法。
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