以下、モータの一実施形態について説明する。
図1(a)に示す本実施形態のモータ1は、例えば、車両に搭載されるパワーシート装置において、シートの背もたれ部の角度を調整する機構の駆動源に用いられるものである。モータ1は、回転力を発生させるモータ部10と、モータ部10に連結されてモータ部10で発生された回転力を出力する出力部40と、出力部40の外周を覆うカバー60とを有する。
[モータ部の構成]
図1(a)及び図2に示すように、モータ部10の外郭であるヨークハウジング11は、導電性の金属よりなる。ヨークハウジング11は、有底筒状をなしている。ヨークハウジング11は、同ヨークハウジング11の底部と反対側の開口端部から外周側に延びるフランジ部11aを有する。
ヨークハウジング11の内周面には永久磁石12が固定されている。また、ヨークハウジング11の内側には、永久磁石12よりも内側となる位置に電機子13が配置されている。電機子13は、回転軸14と、回転軸14に一体回転可能に固定された電機子コア15と、電機子コア15に巻回されたコイル16と、回転軸14に一体回転可能に固定された整流子17とを備えている。回転軸14は、導電性の金属よりなる。回転軸14の基端部は、ヨークハウジング11の底部中央に設けられた図示しない軸受に軸支されている。また、回転軸14の先端部は、ヨークハウジング11の開口部から出力部40の内部に突出している。整流子17は、回転軸14において電機子コア15よりも出力部40側に位置している。コイル16は、整流子17に電気的に接続されている。
ヨークハウジング11の開口部には、ブラシ装置20が配置されている。ブラシ装置20は、絶縁性の樹脂材料よりなるブラシホルダ21を有する。ブラシホルダ21は、ヨークハウジング11の開口部を略閉塞するブラシ保持部22と、回転軸14の軸方向X1と直交する方向においてフランジ部11aよりも外周側に位置するコネクタ部23とを有する。ブラシ保持部22とコネクタ部23とは一体に形成されている。なお、「回転軸14の軸方向X1」は、回転軸14の回転軸線L1と平行な方向であり、以下、単に「軸方向X1」と記載する。
ブラシ保持部22は、軸方向X1から見てフランジ部11aの外形よりも一回り小さい外形を有する。回転軸14の先端側の部位は、ブラシ保持部22を軸方向X1に貫通するとともに、ブラシ保持部22に保持された図示しない軸受にて軸支されている。
ブラシ保持部22は、整流子17の外周面に摺接する複数の給電用のブラシ25を保持している。なお、図1(a)には、複数のブラシ25のうち1つのみを図示している。ブラシ装置20がヨークハウジング11の開口部に配置された状態においては、ブラシ保持部22にて保持されたブラシ25は、軸方向X1においてフランジ部11aよりも回転軸14の先端側に位置する。
コネクタ部23は、軸方向X1の一方側であって、出力部40と反対側、即ちヨークハウジング11の底部側に開口する有底筒状をなしている。コネクタ部23には、外部の電源装置に電気的に接続された外部コネクタ31が嵌入されることにより接続される。
ブラシホルダ21は、導電性の金属板材から形成された図示しない複数のターミナルを保持している。各ターミナルの一端部は、コネクタ部23の内側に露出している。また、複数のターミナルのうち給電用のターミナルには、対応するブラシ25が電気的に接続されている。従って、コネクタ部23に外部コネクタ31が嵌入されると、各ターミナルが当該外部コネクタ31に電気的に接続される。そして、コネクタ部23に接続された外部コネクタ31を介して外部の電源装置から供給される電流は、給電用のターミナル、ブラシ25及び整流子17を介してコイル16に供給される。
[出力部の構成]
図1(a)、図1(b)及び図2に示すように、出力部40は、ブラシ25が内側に配置されるハウジング41を有し電機子13の回転を出力する。ハウジング41は、内側に収容空間を有する収容部42と、収容部42の開口部を閉塞する蓋部43とを有する。収容部42及び蓋部43は、絶縁性の樹脂よりなる。
収容部42は、フランジ部11aに当接し軸方向X1に延びる筒状のブラシホルダ収容部44と、ブラシホルダ収容部44におけるヨークハウジング11と反対側の軸方向X1の端部に一体に設けられたギヤ収容部45とを有する。蓋部43は、ギヤ収容部45の開口部を閉塞するとともに、複数の螺子46にてギヤ収容部45に固定されている。
収容部42は、ブラシホルダ収容部44が軸方向X1からフランジ部11aに当接した状態で螺子47により同フランジ部11aと固定されることにより、ヨークハウジング11と固定されている。即ち、出力部40は、ブラシホルダ収容部44とフランジ部11aとが螺子47にて固定されることにより、モータ部10と一体化されている。ブラシホルダ収容部44の内部には、ブラシ保持部22におけるフランジ部11aよりもヨークハウジング11の外側に位置する部分が収容されている。そして、ブラシ25は、ブラシホルダ収容部44の内側に位置する。更に、ブラシホルダ収容部44の内部には、回転軸14の先端部が配置されている。また、コネクタ部23は、ハウジング41の外側に配置されるとともに、軸方向X1と直交する方向にブラシホルダ収容部44と隣り合っている。
ギヤ収容部45の内部には、電機子13の回転を減速する減速機構51が収容されている。減速機構51は、回転軸14と同軸上に配置されるウォーム軸52と、ウォーム軸52と噛み合う第1ギヤ53と、第1ギヤ53と噛み合う第2ギヤ54とを有する。
ウォーム軸52は、導電性の金属よりなる。ウォーム軸52の基端部は、収容部42の内部に配置された軸受55によって軸支されている。ウォーム軸52の先端部は、収容部42の内部に配置された軸受56によって軸支されている。軸受55は、導電性の金属よりなる。本実施形態では、軸受55は、円環状の滑り軸受である。軸受55は、同軸受55の内周面がウォーム軸52の外周面に摺動可能に接触することにより、ウォーム軸52と電気的に接続されている。
また、ウォーム軸52の基端部は、ブラシホルダ収容部44の内部に配置されたクラッチ等の連結部材57によって回転軸14の先端部と連結されている。電機子13の回転、即ち回転軸14の回転は、連結部材57を介してウォーム軸52に伝達される。回転軸14とウォーム軸52とは、連結部材57を介して電気的に接続されている。
第1ギヤ53は、ウォーム軸52と噛み合う略円板状の大径歯車53aと、大径歯車53aと一体に形成され同大径歯車53aよりも小径の略円板状をなす小径歯車53bとを有する。大径歯車53aと小径歯車53bとは同軸に形成されている。第2ギヤ54は、略円板状をなすとともに、小径歯車53bと噛み合っている。
第2ギヤ54の軸中心には、同第2ギヤ54と一体回転する出力軸58が設けられている。出力軸58の先端部は、収容部42の底部からハウジング41の外部に露出している。出力軸58の先端部は、シートの背もたれ部の角度を調整するための図示しない駆動機構に連結可能である。なお、図1(a)において、出力軸58の基端部は紙面奥側に位置し、出力軸58の先端部は紙面手前側に位置する。
図1(a)、図4及び図6に示すように、ハウジング41は、軸受55をハウジング41の外部に露出させる露出孔48を有する。図4は、図1(a)における4−4断面図である。本実施形態では、ハウジング41は2つの露出孔48を有する。2つの露出孔48は、ハウジング41において軸受55と同軸受55の径方向に重なる位置に形成されている。本実施形態では、2つの露出孔48は、収容部42において軸受55と出力軸58の軸方向X2に重なる位置に設けられている。なお、以下、「出力軸58の軸方向X2」を、単に「軸方向X2」と記載する。また、当該露出孔48は、収容部42において、軸方向X2と平行をなす軸受55の直径方向の両側に1つずつ設けられている。各露出孔48は、収容部42を貫通し収容部42の内外を連通する貫通孔である。
[カバーの構成]
図1(a)〜図1(d)及び図2に示すように、カバー60は、ハウジング41の外側面を覆いハウジング41の外側で軸方向X1と直交する方向にブラシ25と重なる部位を有する。カバー60には、導電性が付与されている。なお、図1(a)〜図1(d)、図2〜図5においては、カバー60の形状の理解を促すために、カバー60にドットを付している。
カバー60は樹脂製である。本実施形態では、カバー60は、金属めっきが可能な樹脂よりなる。カバー60の樹脂材料としては、例えば、ポリプロピレン、ABS樹脂等が挙げられるが、これ以外の樹脂材料であってもよい。
カバー60は、コネクタ部23を含めブラシホルダ収容部44の外周を囲む略筒状をなしている。カバー60は、回転軸14の回転軸線L1回りの周方向に2つに分割されている。本実施形態では、カバー60は、軸方向X2に2つに分割されている。即ち、カバー60は、軸方向X1と直交する方向であって軸方向X2と平行な方向の両側からブラシホルダ収容部44を挟む第1分割部71及び第2分割部81から構成されている。第1分割部71と第2分割部81とは、軸方向X1と平行に延び互いに重ね合わされる合わせ面71a,81aを有する。本実施形態では、軸方向X2において、出力軸58の先端側に位置する分割部を第1分割部71、出力軸58の基端側に位置する分割部を第2分割部81とする。
第1分割部71は、ハウジング41におけるブラシホルダ収容部44の外側面を被覆するハウジング被覆部72と、コネクタ部23の外側面を被覆するコネクタ被覆部73とを有する。ハウジング被覆部72とコネクタ被覆部73とは一体に形成されている。
また、第1分割部71は、2つの固定凸部74と、2つの固定爪75とを有する。2つの固定凸部74は、ハウジング被覆部72におけるコネクタ被覆部73と反対側の端部の外側面から、回転軸14の軸方向X1と直交し且つ軸方向X2と直交する方向に突出している。また、2つの固定凸部74は、軸方向X1に離れて並んでいる。2つの固定爪75のうち一方の固定爪75は、ハウジング被覆部72における2つの固定凸部74が設けられた側と反対側の端部の外側面から延出されている。他方の固定爪75は、コネクタ被覆部73におけるハウジング被覆部72と反対側の端部の外側面から延出されている。2つの固定爪75は、軸方向X1に互いにずれた位置に位置する。各固定爪75は、軸方向X2に沿って第2分割部81側に延びている。そして、各固定爪75の先端部は、合わせ面71aよりも第2分割部81側に位置する。各固定爪75における合わせ面71aよりも第2分割部81側に突出した部分には、固定孔76が形成されている。固定孔76は、回転軸14の軸方向X1と直交し且つ軸方向X2と直交する方向に固定爪75を貫通している。各固定爪75は、各々の基端部に対して各々の先端部が固定孔76の貫通方向にずれるように弾性変形可能である。なお、固定凸部74及び固定爪75は、第1分割部71と一体に形成されている。
第2分割部81は、ハウジング被覆部72と共にハウジング41におけるブラシホルダ収容部44の外側面を被覆するハウジング被覆部82と、コネクタ被覆部73と共にコネクタ部23の外側面を被覆するコネクタ被覆部83とを有する。ハウジング被覆部82とコネクタ被覆部83とは一体に形成されている。
また、第2分割部81は、2つの固定凸部84と、2つの固定爪85とを有する。2つの固定爪85は、ハウジング被覆部82におけるコネクタ被覆部83と反対側の端部の外側面から延出されている。また、2つの固定爪85は、第1分割部71が有する2つの固定凸部74と軸方向X2に重なる位置に設けられており、軸方向X1に離れた2箇所に位置する。各固定爪85は、軸方向X2に沿って第1分割部71側に延びている。そして、各固定爪85の先端部は、合わせ面81aよりも第1分割部71側に位置する。各固定爪85における合わせ面81aよりも第1分割部71側に突出した部分には、固定孔86が形成されている。固定孔86は、回転軸14の軸方向X1と直交し且つ軸方向X2と直交する方向に固定爪85を貫通している。各固定爪85は、各々の基端部に対して各々の先端部が固定孔86の貫通方向にずれるように弾性変形可能である。2つの固定凸部84のうち一方の固定凸部84は、ハウジング被覆部82における2つの固定爪85が設けられた側と反対側の端部の外側面から、回転軸14の軸方向X1と直交し且つ軸方向X2と直交する方向に突出している。他方の固定凸部84は、コネクタ被覆部83におけるハウジング被覆部82と反対側の端部の外側面から、回転軸14の軸方向X1と直交し且つ軸方向X2と直交する方向に突出している。2つの固定凸部84は、第1分割部71が有する2つの固定爪75と軸方向X2に重なる位置に設けられており、軸方向X1に離れた2箇所に位置する。なお、固定凸部84及び固定爪85は、第2分割部81と一体に形成されている。
第1分割部71と第2分割部81とは、軸方向X1と直交する方向の両側であって軸方向X2の両側からブラシホルダ収容部44及びコネクタ部23を間に挟んで互いに固定されている。第1分割部71と第2分割部81とは、第1分割部71の固定爪75の固定孔76に第2分割部81の固定凸部84が嵌るとともに、第2分割部81の固定爪85の固定孔86に第1分割部71の固定凸部74が嵌ることにより互いに固定されている。なお、本実施形態では、固定爪75と固定凸部84、並びに、固定爪85と固定凸部74とは、スナップフィット係合により第1分割部71と第2分割部81とが軸方向X2に離れることを防止している。また、互いに固定された第1分割部71及び第2分割部81は、合わせ面71aと合わせ面81aとが当接することにより略筒状をなしている。
ハウジング被覆部72,82は、ブラシホルダ収容部44の外側面に沿った形状をなしている。ハウジング41に装着されたカバー60において、互いに組み付けられたハウジング被覆部72,82は、ブラシホルダ収容部44の外周を囲み軸方向X1に延びる略筒状をなしている。また、ハウジング被覆部72,82の内側にブラシ25が位置する。そして、ハウジング被覆部72,82は、ハウジング41の外側で軸方向X1と直交する方向にブラシ25と重なる部位を有する。ハウジング被覆部72,82の軸方向の両端部のうちモータ部10側の端部は、軸方向X1と直交する方向にフランジ部11aと重なる位置に位置する。また、ハウジング被覆部72,82の軸方向の両端部のうち出力部40側の端部は、軸方向X2にウォーム軸52の基端部と重なる位置に位置する。本実施形態では、ハウジング被覆部72,82における出力部40側の軸方向X1の端面は、軸方向X2から見て、ウォーム軸52の基端部を軸支する軸受55よりもウォーム軸52の先端側に位置する。
コネクタ被覆部73,83は、コネクタ部23の外側面に沿った形状をなしている。ハウジング41に装着されたカバー60において、互いに組み付けられたコネクタ被覆部73,83は、コネクタ部23を囲み軸方向X1に延びる略有底筒状をなしている。コネクタ被覆部73,83は、コネクタ部23の底部の外側面及びコネクタ部23の側壁部の外側面を被覆している。その一方で、コネクタ被覆部73,83は、コネクタ部23に外部コネクタ31を接続可能とするためにコネクタ部23の開口部を外部に露出させている。
なお、カバー60は、本実施形態では蓋部43の外側面を被覆しない。更に、本実施形態では、カバー60は、ハウジング41の外側面において、ウォーム軸52におけるねじ歯の部分及びねじ歯の部分より先端側の部分と軸方向X2に重なる部分、第1ギヤ53及び第2ギヤ54と軸方向X2に重なる部分を被覆しない。更に、カバー60は、出力軸58の先端面を被覆しない。
図1(a)〜図1(d)、図2及び図3に示すように、カバー60は、ヨークハウジング11と重なる位置にヨーク接触部61を有する。図3は、図1(a)における3−3断面図である。ヨーク接触部61は、ハウジング被覆部72におけるモータ部10側の軸方向X1の端部と、ハウジング被覆部82におけるモータ部10側の軸方向X1の端部とに1つずつ設けられている。ヨーク接触部61は、ハウジング被覆部72,82におけるモータ部10側の軸方向X1の端部からヨークハウジング11の底部側に突出した爪状をなしている。各ヨーク接触部61は、モータ1を軸方向X2から見て、ヨークハウジング11における軸方向X1に延びる筒状をなす部分の径方向の中央部と重なる位置に設けられている。
カバー60がハウジング41に装着される前の状態において、ハウジング被覆部72に設けられたヨーク接触部61は、同ヨーク接触部61の先端が同ヨーク接触部61の基端よりもハウジング被覆部72の内側に位置するように傾斜している。なお、図3には、ハウジング41に装着される前のカバー60の外形を二点鎖線で図示している。同様に、カバー60がハウジング41に装着される前の状態において、ハウジング被覆部82に設けられたヨーク接触部61は、同ヨーク接触部61の先端が同ヨーク接触部61の基端よりもハウジング被覆部82の内側に位置するように傾斜している。各ヨーク接触部61は、各々の基端に対して各々の先端が軸方向X2にずれるように弾性変形可能である。
各ヨーク接触部61は、カバー60がハウジング41に装着されるときに、各ヨーク接触部61の先端側の部分がヨークハウジング11の外周面に押し付けられることになる。これにより、各ヨーク接触部61は、各ヨーク接触部61の先端が基端に対して外周側に移動するように弾性変形する。そのため、カバー60がハウジング41に装着された状態においては、各ヨーク接触部61は、各々の弾性力によりヨークハウジング11の外周面に押し付けられる。
図1(a)〜図1(d)、図4及び図5に示すように、カバー60は、ウォーム軸52を軸支する軸受55と重なる位置に軸受接触部62を有する。軸受接触部62は、ハウジング被覆部72における出力部40側の軸方向X1の端部と、ハウジング被覆部82における出力部40側の軸方向X1の端部とに1つずつ設けられている。
ハウジング被覆部72における出力部40側の軸方向X1の端部には、ハウジング被覆部72における出力部40側の軸方向X1の端から軸方向X1に延びる一対の分離溝63が設けられている。各分離溝63は、軸方向X2から見て、軸方向X1と直交する方向に離れている。また、各分離溝63は、ハウジング被覆部72を軸方向X2に貫通している。そして、一対の分離溝63の間の部分が軸受接触部62になっている。当該軸受接触部62は、ハウジング被覆部72において一対の分離溝63の間で板状をなす接触片62aと、接触片62aからハウジング被覆部72の内側に突出した挿入部62bとを有する。接触片62aと挿入部62bとは一体に形成されている。
接触片62aは、軸受55と軸方向X2に重なるとともに、ハウジング41に設けられた一方の露出孔48と軸方向X2に重なる。接触片62aは、カバー60がハウジング41に装着される前の状態において、同接触片62aの先端が同接触片62aの基端よりもハウジング被覆部72の内側に位置するように傾斜している。なお、図4には、ハウジング41に装着される前のカバー60の外形を二点鎖線で図示している。そして、接触片62aは、同接触片62aの基端に対して同接触片62aの先端が軸方向X2にずれるように弾性変形可能である。
挿入部62bは、接触片62aから軸方向X2に沿って延びる筒状をなしている。挿入部62bの長さ、即ち挿入部62bにおける接触片62aからの突出方向の高さは、接触片62aが重なる露出孔48の貫通方向の長さよりも若干長い。また、挿入部62bの外径は、同露出孔48の内径より小さい。
ハウジング被覆部72に設けられた軸受接触部62は、カバー60がハウジング41に装着されるときに、軸方向X2から一方の露出孔48に挿入部62bが挿入され、更に同露出孔48からハウジング41の外部に露出した軸受55に同挿入部62bが押し付けられる。このとき、当該軸受接触部62の接触片62aは、挿入部62bを介して受ける軸受55からの反力によって、同接触片62aの先端が同接触片62aの基端に対して外側に移動するように弾性変形する。そのため、カバー60がハウジング41に装着された状態においては、接触片62aの弾性力により挿入部62bが軸受55の外周面に押し付けられる。
ハウジング被覆部82に設けられた軸受接触部62は、ハウジング被覆部72に設けられた軸受接触部62と同様に、接触片62aと挿入部62bとを有する。なお、図1(c)及び図2に示すように、ハウジング被覆部82においては、軸受接触部62は、ハウジング被覆部82における出力部40側の軸方向X1の端部における角部に設けられているため、同軸受接触部62と隣り合う分離溝63は1つである。同軸受接触部62の接触片62aは、軸受55と軸方向X2に重なるとともに、ハウジング41に設けられた他方の露出孔48と軸方向X2に重なる。
図1(c)及び図4に示すように、ハウジング被覆部82に設けられた軸受接触部62は、カバー60がハウジング41に装着されるときに、軸方向X2から他方の露出孔48に挿入部62bが挿入され、更に同露出孔48からハウジング41の外部に露出した軸受55に同挿入部62bが押し付けられる。このとき、当該軸受接触部62の接触片62aは、挿入部62bを介して受ける軸受55からの反力によって、同接触片62aの先端が同接触片62aの基端に対して外側に移動するように弾性変形する。そのため、カバー60がハウジング41に装着された状態においては、接触片62aの弾性力により挿入部62bが軸受55の外周面に押し付けられる。
図1(a)〜図1(d)及び図2に示すように、カバー60は、カバー60に導電性を付与する導電部91を有する。本実施形態の導電部91は、カバー60の表面を覆う導電性の金属よりなる金属膜である。本実施形態では、導電部91は、カバー60の表面全体を覆っている。導電部91の材料としては、例えば、銅と錫の合金が用いられる。導電部91は、カバー60の表面全体、即ち、第1分割部71及び第2分割部81のそれぞれの表面全体に金属めっきを施すことにより形成されている。
図1(a)〜図1(d)及び図3に示すように、導電部91は、ヨークハウジング11に接触するヨーク接地部92を有する。本実施形態では、各ヨーク接触部61の表面を覆う導電部91において、各ヨーク接触部61におけるヨークハウジング11と対向する側面を覆う部分がヨーク接地部92である。カバー60がハウジング41に装着された状態において、ヨーク接地部92は、ヨーク接触部61の弾性力によりヨークハウジング11の外周面に押し付けられる。そして、ヨーク接地部92は、ヨークハウジング11の外周面に接触することにより、ヨークハウジング11と電気的に接続される。導電部91は、このヨーク接地部92においてヨークハウジング11に電気的に接続される。即ち、カバー60は、当該ヨーク接地部92においてヨークハウジング11に接地される。
図1(a)〜図1(d)及び図4に示すように、導電部91は、軸受55に接触する軸受接地部93を有する。本実施形態では、導電部91において各軸受接触部62の挿入部62bの表面を覆う部分が軸受接地部93である。カバー60がハウジング41に装着された状態において、軸受接地部93は、接触片62aの弾性力により軸受55の外周面に押し付けられる。そして、軸受接地部93は、軸受55の外周面に接触することにより、軸受55と電気的に接続される。導電部91は、このヨーク接地部92において軸受55と電気的に接続される。軸受55はウォーム軸52と電気的に接続されているため、ウォーム軸52は軸受55を介して導電部91に電気的に接続される。更には、ウォーム軸52は、導電部91を介して、即ちカバー60を介してヨークハウジング11に電気的に接続される。
本実施形態の作用について説明する。
上記のように構成されたモータ1では、コネクタ部23に外部コネクタ31が接続されることにより、外部の電源装置からモータ1に給電可能になる。そして、外部コネクタ31を介して供給された電流は、図示しないターミナル及びブラシ25を介して電機子13に供給される。すると、電機子13が回転する。電機子13の回転、即ち回転軸14の回転は、連結部材57を介してウォーム軸52に伝達される。ウォーム軸52に伝達された回転は、ウォーム軸52、第1ギヤ53及び第2ギヤ54により減速されて出力軸58から外部に出力される。
電機子13の回転に伴って整流子17と摺接するブラシ25において、整流子17との摺接部分で発生した電磁ノイズは、ブラシ25の外周を囲む導電性が付与されたカバー60によってモータ1の外部に漏れることが抑制される。
本実施形態の効果について説明する。
(1)ハウジング41は、樹脂よりなるため、従来の金属製のハウジングに比べて重量が小さい。従って、ハウジング41によってモータ1の重量が増大されることを抑制できる。また、ハウジング41は、絶縁性の樹脂よりなるため、ハウジング41の内側に配置されるブラシ25等の電機子13に給電するための部品とハウジング41とは近接もしくは接触しても電気的に接続されない。従って、ハウジング41の内面と当該部品との間に、ハウジング41と当該部品とを絶縁するためのクリアランスを設けなくてもよい。よって、ハウジング41が大型化されることを抑制できる。その結果、ハウジング41の重量の増大が抑制されるため、モータ1の重量の増大を抑制できる。また、カバー60は樹脂よりなるため、カバー60を備えたことによるモータ1の重量の増大が抑制される。そして、カバー60には導電性が付与されているため、ブラシ25で発生する電磁ノイズがモータ1の外部に漏れることをカバー60によって抑制できる。これらのことから、モータ1の重量の増大を抑制するとともにブラシ25で発生する電磁ノイズがモータ1の外部に漏れることを抑制できる。
(2)カバー60は、カバー60に導電性を付与する導電部91を有する。そのため、導電部91によってカバー60に容易に導電性を付与することができる。
(3)導電部91は、カバー60の表面を覆う導電性の金属膜である。そのため、カバー60の表面に導電部91を容易に形成することができる。従って、カバー60の表面に設けられた導電性の金属膜である導電部91によって、カバー60に容易に導電性を付与することができる。
(4)導電部91は、ヨークハウジング11に接触するヨーク接地部92を有する。そのため、ヨーク接地部92がヨークハウジング11に接触することにより、導電部91とヨークハウジング11とを電気的に接続することができる。即ち、導電部91をヨークハウジング11に接地することができる。従って、ブラシ25で発生された電磁ノイズがモータ1の外部に漏れることを、当該導電部91を有するカバー60によってより効果的に抑制できる。
また、本実施形態では、ヨーク接地部92は、ヨーク接触部61の弾性力によりヨークハウジング11の外周面に押し付けられる。そのため、ヨーク接地部92は、ヨークハウジング11に安定して電気的に接続される。更に、ヨーク接触部61を含むカバー60は樹脂よりなるため、ヨーク接地部92をヨークハウジング11に押し付けるための弾性力を、簡単な構成で容易に発生させることができる。
(5)出力部40は、回転軸14の回転が伝達されるウォーム軸52を含みハウジング41の内側に配置される減速機構51と、ハウジング41の内側に配置されウォーム軸52を軸支する軸受55とを有する。回転軸14とウォーム軸52とは電気的に接続されている。軸受55は、導電性の金属よりなりウォーム軸52と電気的に接続されている。ハウジング41は、軸受55をハウジング41の外部に露出させる露出孔48を有する。そして、導電部91は、露出孔48から露出した軸受55に接触する軸受接地部93を有する。この構成によれば、軸受接地部93が露出孔48から軸受55に接触することにより、当該軸受55を介してウォーム軸52を導電部91に電気的に接続することができる。即ち、軸受55を介してウォーム軸52をカバー60に電気的に接続することができる。従って、ウォーム軸52から電磁ノイズが放射されることを抑制できる。更に、ウォーム軸52の軸方向と直交する方向にウォーム軸52と重なる部分をカバー60に設けなくとも、ウォーム軸52から放射される電磁ノイズがモータ1の外部に漏れることを抑制できる。
また、本実施形態では、軸受接地部93は、軸受接触部62の弾性力により軸受55の外周面に押し付けられる。そのため、軸受接地部93は、軸受55に安定して電気的に接続される。更に、軸受接触部62を含むカバー60は樹脂よりなるため、軸受接地部93をヨークハウジング11に押し付けるための弾性力を、簡単な構成で容易に発生させることができる。
(6)カバー60は、回転軸14の回転軸線L1回りの周方向に2つに分割されている。そのため、ハウジング41が複雑な形状であっても、ハウジング41に対してカバーを容易に組み付けることができる。また、本実施形態では、カバー60は、軸方向X2の両側からハウジング41に装着可能である。そのため、カバー60をハウジング41に装着する際に、ヨーク接地部92を容易にヨークハウジング11の外周面に接触させることができるとともに、軸受接地部93を容易に露出孔48に挿入することができる。
(7)導電部91は、カバー60の表面全体を覆っている。そのため、カバー60の全体で、ブラシ25で発生する電磁ノイズがモータ1の外部に漏れることを抑制できる。従って、ブラシ25で発生する電磁ノイズがモータ1の外部に漏れることをより抑制できる。
(8)カバー60は、コネクタ部23を含めてブラシホルダ収容部44の外周を回転軸14の回転軸線L1回りに180°囲んでいる。更に、カバー60の表面に形成された導電部91は、コネクタ部23を含めてブラシホルダ収容部44の外周を回転軸14の回転軸線L1回りに180°囲んでいる。従って、周方向の何れの部位においても、ブラシ25で発生する電磁ノイズがモータ1の外部に漏れることを抑制できる。更に、コネクタ部23から放射される電磁ノイズがモータ1の外部に漏れることをカバー60によって抑制できる。
(9)一般的に、モータの外部に電磁ノイズが漏れることを抑制するためには、電磁ノイズが発生することを抑制する雑防素子をモータの内部に追加する方法もある。しかしながら、雑防素子をモータの内部に追加すると、モータの組付け工数が増大したり、モータの製造コストが増大されたりするおそれがある。また、小型のモータにおいては、雑防素子を配置するスペースを確保することが困難な場合もある。これに対し、本実施形態のモータ1では、ブラシ25で発生する電磁ノイズがモータ1の外部に漏れることは、導電性が付与されたカバー60によって抑制される。即ち、モータ1の内部に雑防素子を追加することなく、ブラシ25で発生する電磁ノイズがモータ1の外部に漏れることを抑制している。そのため、モータ1の組付け工数が増大したり、モータ1の製造コストが増大したりすることを抑制しつつ、ブラシ25で発生する電磁ノイズがモータ1の外部に漏れることを抑制できる。また、モータの内部に雑防素子を配置することが困難な小型のモータであっても、カバー60を装着することによりブラシ25で発生する電磁ノイズがモータ1の外部に漏れることを抑制できる。
(10)カバー60は、ハウジング41の外側から同ハウジング41に装着されるものである。そのため、EMC(Electromagnetic Compatibility)対策が要求される場合にのみ、カバー60をモータ1に備えることができる。即ち、EMC対策の要求が低い場合には、カバー60を備えないモータとすることが可能である。また、既存のモータに対して、ハウジング41にカバー60を後付けすることが可能である。従って、低コストで、ブラシ25で発生する電磁ノイズがモータ1の外部に漏れることを抑制できる。
(11)従来のようにハウジングが金属製である場合、ハウジングの内面に絶縁処理を施すことにより、ハウジングの内側に配置されるブラシ等の電機子に給電するための部品とハウジングとを絶縁する場合がある。しかしながら、本実施形態のハウジング41は、絶縁性の樹脂材料よりなるため、ブラシ25等の電機子13に給電するための部品とハウジング41とを絶縁するためにハウジング41の内面に絶縁処理を施さなくてもよい。従って、モータ1の生産性の低下が抑制されるとともに、モータ1の製造コストを低減できる。
(12)第1分割部71と第2分割部81とは、固定爪75と固定凸部84とがスナップフィット係合するとともに、固定爪85と固定凸部74とがスナップフィット係合することにより互いに固定されている。従って、螺子等の部品や固定のための工具を使用しなくとも、カバー60をハウジング41に装着することができる。よって、カバー60をハウジング41に容易に装着することができる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、カバー60は、回転軸14の回転軸線L1回りの周方向に2つに分割されている。しかしながら、カバー60は、回転軸線L1回りの周方向に3つ以上に分割されてもよい。また、カバー60は、軸方向X2に3つ以上に分割されてもよい。また、カバー60は、軸方向X1に複数に分割されてもよい。
また、図7及び図6に示すように、カバーは分割されなくてもよい。図7及び図6では、上記実施形態と同一の構成もしくは対応する構成に同一の符号を付している。カバー60Aは、分割されておらず1つの部品からなる。カバー60Aは、上記実施形態のカバー60と同様に樹脂製であるとともに、上記実施形態と同様の導電部91を有することにより導電性が付与されている。カバー60Aは、ハウジング41の外側面を被覆するハウジング被覆部102と、コネクタ部23の外側面を被覆するコネクタ被覆部103とを有する。
ハウジング被覆部102は、ハウジング41におけるブラシホルダ収容部44の外周を囲む筒状をなす側壁部102aと、側壁部102aにおけるモータ部10側の軸方向X1の端部に一体に設けられた板状の底部102bとを有する。側壁部102aは、軸方向X1に沿って延びている。底部102bには、底部102bを軸方向X1に貫通した挿通孔102cが設けられている。挿通孔102cの直径は、ヨークハウジング11における筒状の部分の外径と略等しい。
コネクタ被覆部103は、コネクタ部23の外周面に沿った略筒状をなしている。コネクタ被覆部103は、ハウジング被覆部102に一体に形成されている。また、カバー60Aにおいて、ハウジング被覆部102とコネクタ被覆部103との接続部分には、ハウジング被覆部102の内部空間とコネクタ被覆部103の内部空間とを連通する挿入凹部104が形成されている。挿入凹部104は、カバー60Aにおける出力部40側、即ちモータ部10と反対側の軸方向X1の端部から軸方向X1に凹設されている。即ち、挿入凹部104は、ハウジング被覆部102におけるコネクタ被覆部103が一体に形成された部分を切り欠くように設けられている。挿入凹部104は、出力部40側に開口している。
また、カバー60Aは、モータ部10側の軸方向X1の端部にヨーク接触部61及びヨーク接地部92を有する。
カバー60Aは、一体化されたモータ部10及び出力部40に対してヨークハウジング11の底部側から外挿されることにより、ハウジング41に装着される。具体的には、カバー60Aは、ハウジング被覆部102の開口部側から同ハウジング被覆部102の内側にヨークハウジング11を挿入しつつ、軸方向X1に沿って出力部40側に移動される。そして、カバー60Aは、ヨークハウジング11を挿通孔102cに挿入しつつ更に出力部40側に移動される。その後、出力部40側にカバー60Aが更に移動されることにより、ハウジング被覆部102にブラシホルダ収容部44が軸方向X1から挿入されるとともに、コネクタ被覆部103にコネクタ部23が軸方向X1から挿入される。このとき、ブラシホルダ21におけるブラシ保持部22とコネクタ部23との接続部分は、挿入凹部104に軸方向X1から挿入される。そして、底部102bの内側面が螺子47に軸方向X1から当接することによりハウジング41に対するカバー60Aの軸方向X1の位置決めがなされる。
このようにしても、上記実施形態の(1)〜(4),(7)〜(11)と同様の効果を得ることができる。更に、カバー60Aが1部品であるため、部品点数の増大を抑制することができる。また、モータ部10側からカバー60Aを外挿するだけで、ハウジング41に対して容易にカバー60Aを装着することができる。
・上記実施形態では、第1分割部71と第2分割部81とは、固定爪75と固定凸部84とをスナップフィット係合させるとともに、固定爪85と固定凸部74とをスナップフィット係合させることにより互いに固定されている。しかしながら、第1分割部71と第2分割部81とを固定する方法はこれに限らない。例えば、第1分割部71と第2分割部81とは、第1分割部71及び第2分割部81の何れか一方に設けられたかしめ孔と、何れか他方に設けられたかしめ凸部とによって互いに固定されてもよい。この場合、かしめ孔を貫通したかしめ凸部の先端部が熱かしめ等によってかしめられることにより、第1分割部71と第2分割部81とが互いに固定される。また例えば、第1分割部71と第2分割部81とは、接着や溶着により互いに固定されるものであってもよい。また例えば、第1分割部71と第2分割部81とは、螺子等の固定用の別部品により互いに固定されるものであってもよい。
また、カバー60は、ハウジング41側に設けられた固定用のハウジング側係合部に係合されるカバー側係合部を有するものであってもよい。ハウジング側係合部とカバー側係合部とは、例えば、スナップフィット係合により係合するものであってもよい。また例えば、ハウジング側係合部とカバー側係合部とは、熱かしめ等により互いに固定されるものであってもよい。また、カバー60は、螺子等の固定用の部品によりハウジング41に固定されてもよい。
・第1分割部71と第2分割部81とは、第1分割部71と第2分割部81との相対回動を許容するヒンジにより連結されていてもよい。このようにすると、カバー60がハウジング41に装着されていない状態においても、カバー60を構成する第1分割部71と第2分割部81とが連結されているため、部品の取り扱いが容易になる。
・上記実施形態では、カバー60は、2つの軸受接触部62を有するとともに、各軸受接触部62には軸受接地部93が設けられている。軸受接地部93の数及び形状は上記実施形態のものに限らない。軸受接地部93は、露出孔48から露出した軸受55に接触することにより軸受55と電気的に接続されるものであればよい。例えば、1つもしくは3つ以上の軸受接地部93がカバー60に設けられてもよい。また、上記実施形態では、軸受接地部93は、軸受接触部62の弾性力により軸受55に押し付けられている。しかしながら、軸受接地部93は、軸受55に押し付けられずに当接するのみであってもよい。また、カバー60は、必ずしも軸受接地部93を備えなくてもよい。この場合、カバー60は、軸受接触部62及び露出孔48を備えなくてもよい。
・上記実施形態では、カバー60は、2つのヨーク接触部61を有するとともに、各ヨーク接触部61にはヨーク接地部92が設けられている。ヨーク接地部92の数及び形状は上記実施形態のものに限らない。ヨーク接地部92は、ヨークハウジング11に接触することによりヨークハウジング11に電気的に接続されるものであればよい。例えば、1つもしくは3つ以上のヨーク接地部92がカバー60に設けられてもよい。また例えば、ヨーク接地部92は、フランジ部11aに接触するものであってもよい。また、上記実施形態では、ヨーク接触部61は、ヨーク接触部61の弾性力によりヨークハウジング11に押し付けられている。しかしながら、ヨーク接地部92は、ヨークハウジング11に押し付けられずに当接するのみであってもよい。また、カバー60は、必ずしもヨーク接地部92を備えなくてもよい。この場合、カバー60は、ヨーク接触部61を備えなくてもよい。
・上記実施形態では、導電性の金属膜である導電部91は、カバー60の表面に金属めっきを施すことにより形成されている。しかしながら、当該導電部91を形成する方法はこれに限らない。例えば、導電部91は、カバー60の表面に導電性の金属を塗布することにより形成されてもよい。塗布の方法としては、例えば、刷毛塗布、吹付塗装、浸漬塗装等が挙げられる。
・上記実施形態では、導電性の金属膜である導電部91は、銅と錫の合金よりなる。しかしながら、導電部91の材料は、これに限らない。導電部91の材料は、カバー60の表面をコーティング可能な導電性の材料、即ち、カバー60の表面に膜状に固着することが可能な導電性の材料であればよい。例えば、当該導電部91は、錫以外の金属と銅との合金よりなるものであってもよい。また例えば、当該導電部91は、銅よりなるものであってもよい。また、導電部91は、導電性エラストマ等の導電性樹脂よりなるものであってもよい。
・上記実施形態では、導電部91は、カバー60の表面全体を覆っている。しかしながら、導電部91は、必ずしもカバー60の表面全体を覆っていなくてもよく、少なくともカバー60の表面の一部を覆うものであればよい。この場合、導電部91は、ヨーク接地部92及び軸受接地部93を含め、カバー60の表面の何れの部位に設けられた部分も連続して一体に形成されていることが好ましい。
例えば、導電部91は、カバー60の表面上で軸方向X1と直交する方向にブラシ25と重なる部分を有することが好ましい。また例えば、導電部91は、カバー60の外表面のみを覆うものであってもよい。また例えば、導電部91は、カバー60の内面のみを覆うものであってもよい。また例えば、導電部91は、ハウジング被覆部72,82の表面のみを覆うものであってもよい。
また、導電部91は、部分的にカバー60の表面が露出する孔を有するものであってもよい。例えば、導電部91は、カバー60の表面上で規則的にもしくは不規則に並んだ複数の円孔を有するものであってもよい。また例えば、導電部91は、カバー60の表面の少なくとも一部に、格子状に設けられたものであってもよい。
・上記実施形態では、カバー60は、導電部91により導電性が付与されている。しかしながら、カバー60は、導電性の樹脂よりなることにより導電性が付与されたものであってもよい。この場合、めっきや塗布等の工程を行わなくとも、カバー60に導電性が付与される。このようなカバー60にも、ヨークハウジング11に接触してカバー60をヨークハウジング11に接地するヨーク接地部、及び、露出孔48から軸受55に接触して軸受55をカバー60に接地する軸受接地部を設けることができる。例えば、カバー60は、導電性エラストマ等の弾性を有する材料よりなるものであってもよい。この場合、カバー60は、弾性変形されながらハウジング41に装着可能である。
・上記実施形態では、カバー60は、ブラシホルダ収容部44の外側面及びコネクタ部23の外側面を覆う。しかしながら、ハウジング41の外側面におけるカバー60が覆う範囲は、これに限らない。カバー60は、ハウジング41の外側面を覆いハウジング41の外側で軸方向X1と直交する方向にブラシ25と重なる部位を有するものであればよい。そして、カバー60は、ハウジング41の外側面全体を覆うように設けられてもよいし、ハウジング41の外側面を部分的に覆うように設けられてもよい。例えば、カバー60は、コネクタ被覆部73,83を備えない構成であってもよい。また例えば、カバー60は、ギヤ収容部45の外側面を覆う部分を更に有するものであってもよい。
・上記実施形態では、回転軸14とウォーム軸52とは連結部材57を介して連結されている。しかしながら、回転軸14とウォーム軸52とは、直接連結されてもよい。また、回転軸14とウォーム軸52とは一体に形成されていてもよい。
・上記実施形態では、減速機構51は、第1ギヤ53及び第2ギヤ54の2つの減速ギヤを有する。しかしながら、減速機構51の構成はこれに限らない。減速機構51は、回転軸14の回転を減速可能な構成であればよい。例えば、減速機構51は、ウォーム軸52と、当該ウォーム軸52と噛み合う減速ギヤを1つのみ備えた構成であってもよい。また例えば、減速機構51は、ウォーム軸52の回転が伝達される減速ギヤを3つ以上備えた構成であってもよい。
・上記実施形態では、出力部40は、減速機構51を有する。しかしながら、出力部40は、必ずしも減速機構51を備えなくてもよい。即ち、出力部40は、回転軸14の回転を直接出力する構成であってもよい。
・モータ1は、車両に搭載されるパワーシート装置以外の装置の駆動源に用いられてもよい。例えば、モータ1は、車両のウインドガラスを電動で昇降するパワーウインド装置の駆動源に用いられてもよい。また例えば、モータ1は、車両の天井部に設けられた開口部を開閉する開閉体を電動で作動させるサンルーフ装置の駆動源に用いられてもよい。