JP2021018340A - セラミック複合体、光源装置およびプロジェクター - Google Patents
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Abstract
【課題】放熱性に優れたセラミック複合体、光源装置およびプロジェクターを提供する。【解決手段】本発明のセラミック複合体は、賦活剤および蛍光体を含有する蛍光体相25と、透光性セラミックスとしてMgOを含有するマトリックス相26とを有し、無機材料で構成されるセラミック複合体であって、蛍光体相の含有量は、マトリックス相26と蛍光体相25とを含む相全体における体積比で20vol%以下であることを特徴とする。【選択図】図3
Description
本発明は、セラミック複合体、光源装置およびプロジェクターに関する。
光源から射出された励起光を蛍光体に照射した際に蛍光体から発せられる蛍光を利用した光源装置が提案されている。蛍光体に励起光が照射されると、励起光を吸収することによって蛍光体の温度が上昇する。ところが、蛍光体は温度上昇に伴って発光効率が低下し、蛍光発光量が低下するため、放熱性を向上させる必要がある。
従来、蛍光体の熱伝導率を高めることにより放熱性を向上させた蛍光体が提案されている。下記特許文献1、2には、アルミナからなるセラミックマトリックス中に、賦活剤がドープされたYAG蛍光体粒子を分散した蛍光体が開示されている。下記特許文献1の蛍光体では、蛍光体相の含有量がマトリックス相と蛍光体相とを含む相全体における体積比で、0.01vol%〜20vol%とされている。また、下記特許文献2の蛍光体では、蛍光体相の含有量がマトリックス相と蛍光体相とを含む相全体における体積比で、22vol%〜55vol%とされている。
上記特許文献1、2の蛍光体をプロジェクター用の光源装置として用いる場合、さらなる放熱性の向上が求められる。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様のセラミック複合体は、賦活剤および蛍光体を含有する蛍光体相と、透光性セラミックスとしてMgOを含有するマトリックス相とを有し、無機材料で構成されるセラミック複合体であって、前記蛍光体相の含有量は、前記マトリックス相と前記蛍光体相とを含む相全体における体積比で20vol%以下であることを特徴とする。
上記第1態様のセラミック複合体において、前記蛍光体相は、Y3Al5O12、Y3(Al,Ga)5O12、Lu3Al5O12、TbAl5O12、(Y,Gd)Al5O12の少なくともいずれか一つを含む構成としてもよい。
上記第1態様のセラミック複合体において、前記マトリックス相は、Al2O3、ZnO、TiO2、Y2O3、YAlO3、BeO、MgAl2O4の少なくともいずれか一つをさらに含む構成としてもよい。
上記第1態様のセラミック複合体において、前記蛍光体相に添加される賦活剤は、Ce、Euの少なくともいずれか一つを含む構成としてもよい。
本発明の第2態様に係る光源装置は、上記のセラミック複合体と、前記セラミック複合体を励起することで蛍光を生成させる励起光を射出する光源と、を備えることを特徴とする。
上記第2態様の光源装置において、前記セラミック複合体は、前記励起光の入射面と異なる射出面から前記蛍光を射出する構成としてもよい。
上記第2態様の光源装置において、前記セラミック複合体は、前記励起光の一部を前記射出面から透過光として射出し、前記透過光の光量に対する前記セラミック複合体から射出される蛍光量の比率は、30%〜50%である構成としてもよい。
上記第2態様の光源装置において、前記セラミック複合体の厚さは40μm以上である構成としてもよい。
上記第2態様の光源装置において、前記セラミック複合体は、前記励起光の入射位置が時間的に変化しない固定型蛍光体である構成としてもよい。
上記第2態様の光源装置において、前記セラミック複合体を支持する基板と、前記基板を所定の回転軸の周りに回転させる駆動装置と、を備える構成としてもよい。
本発明の第3態様のプロジェクターは、上記第2態様の光源装置と、前記光源装置から射出される光を画像情報に応じて変調して画像光を形成する光変調装置と、前記画像光を投射する投射光学装置と、を備えることを特徴とする。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示す図である。図2は光源装置の概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター1は、スクリーンSCR上に映像を表示する投射型画像表示装置である。プロジェクター1は、光源装置2と、色分離光学系3と、光変調装置4R,光変調装置4G,光変調装置4Bと、合成光学系5と、投射光学装置6とを備えている。
図1は、第1実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示す図である。図2は光源装置の概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター1は、スクリーンSCR上に映像を表示する投射型画像表示装置である。プロジェクター1は、光源装置2と、色分離光学系3と、光変調装置4R,光変調装置4G,光変調装置4Bと、合成光学系5と、投射光学装置6とを備えている。
光源装置2は、色分離光学系3に向けて白色の照明光WLを射出する。
色分離光学系3は、光源装置2から射出された照明光WLを赤色光LRと、緑色光LGと、青色光LBとに分離する。色分離光学系3は、第1のダイクロイックミラー7a及び第2のダイクロイックミラー7bと、第1の全反射ミラー8a、第2の全反射ミラー8b及び第3の全反射ミラー8cと、第1のリレーレンズ9a及び第2のリレーレンズ9bとを備えている。
色分離光学系3は、光源装置2から射出された照明光WLを赤色光LRと、緑色光LGと、青色光LBとに分離する。色分離光学系3は、第1のダイクロイックミラー7a及び第2のダイクロイックミラー7bと、第1の全反射ミラー8a、第2の全反射ミラー8b及び第3の全反射ミラー8cと、第1のリレーレンズ9a及び第2のリレーレンズ9bとを備えている。
第1のダイクロイックミラー7aは、光源装置2からの照明光WLを赤色光LRと、その他の光(緑色光LG及び青色光LB)とに分離する。第1のダイクロイックミラー7aは、赤色光LRを透過すると共に、その他の光(緑色光LG及び青色光LB)を反射する。一方、第2のダイクロイックミラー7bは、緑色光LGを反射すると共に青色光LBを透過することによって、その他の光(緑色光LG及び青色光LB)を緑色光LGと青色光LBとに分離する。
第1の全反射ミラー8aは、赤色光LRの光路中に配置されて、第1のダイクロイックミラー7aを透過した赤色光LRを光変調装置4Rに向けて反射する。一方、第2の全反射ミラー8b及び第3の全反射ミラー8cは、青色光LBの光路中に配置されて、第2のダイクロイックミラー7bを透過した青色光LBを光変調装置4Bに導く。緑色光LGは、第2のダイクロイックミラー7bから光変調装置4Gに向けて反射される。
第1のリレーレンズ9a及び第2のリレーレンズ9bは、青色光LBの光路中における第2の全反射ミラー8bの光射出側に配置されている。第1のリレーレンズ9a及び第2のリレーレンズ9bは、青色光LBの光路長が赤色光LRや緑色光LGの光路長よりも長くなることに起因した青色光LBの光損失を補償する機能を有している。
光変調装置4Rは、赤色光LRを画像情報に応じて変調し、赤色光LRに対応した画像光を形成する。光変調装置4Gは、緑色光LGを画像情報に応じて変調し、緑色光LGに対応した画像光を形成する。光変調装置4Bは、青色光LBを画像情報に応じて変調し、青色光LBに対応した画像光を形成する。
光変調装置4R,光変調装置4G,光変調装置4Bには、例えば透過型の液晶パネルが用いられている。また、液晶パネルの入射側及び射出側各々には、偏光板(図示せず。)が配置されている。
また、光変調装置4R,光変調装置4G,光変調装置4Bの入射側には、それぞれフィールドレンズ10R,フィールドレンズ10G,フィールドレンズ10Bが配置されている。フィールドレンズ10R,フィールドレンズ10G,フィールドレンズ10Bは、光変調装置4R,光変調装置4G,光変調装置4Bそれぞれに入射する赤色光LR,緑色光LG,青色光LBそれぞれを平行化する。
合成光学系5には、光変調装置4R,光変調装置4G,光変調装置4Bからの画像光が入射する。合成光学系5は、各々が赤色光LR,緑色光LG,青色光LBに対応した画像光を合成し、この合成された画像光を投射光学装置6に向けて射出する。合成光学系5には、例えばクロスダイクロイックプリズムが用いられている。
投射光学装置6は、投射レンズ群からなり、合成光学系5により合成された画像光をスクリーンSCRに向けて拡大投射する。これにより、スクリーンSCR上には、拡大された映像が表示される。
(光源装置)
続いて、光源装置2の構成について説明する。
図2に示すように、光源装置2は、第1光源40と、コリメート光学系41と、ダイクロイックミラー42と、コリメート集光光学系43と、波長変換素子20と、第2光源44と、集光光学系45と、拡散板46と、コリメート光学系47と、を備えている。
続いて、光源装置2の構成について説明する。
図2に示すように、光源装置2は、第1光源40と、コリメート光学系41と、ダイクロイックミラー42と、コリメート集光光学系43と、波長変換素子20と、第2光源44と、集光光学系45と、拡散板46と、コリメート光学系47と、を備えている。
第1光源40は、レーザー光からなる青色の励起光Eを射出する複数の半導体レーザー40aで構成されている。励起光Eの発光強度のピークは、例えば445nmである。複数の半導体レーザー40aは、第1光源40の光軸axと直交する一つの平面内においてアレイ状に配置されている。なお、半導体レーザー40aとしては、445nm以外の波長、例えば455nmや460nmの青色光を射出するものを用いることもできる。第1光源40の光軸axは光源装置2の照明光軸100axと直交している。
コリメート光学系41は、第1レンズ41aと、第2レンズ41bと、を備えている。コリメート光学系41は、第1光源40から射出された光を略平行化する。第1レンズ41aおよび第2レンズ41bのそれぞれは、凸レンズで構成されている。
ダイクロイックミラー42は、コリメート光学系41からコリメート集光光学系43までの間の光路中に、第1光源40の光軸axと照明光軸100axとの各々に対して45°の角度で交差する向きに配置されている。ダイクロイックミラー42は、青色光成分からなる励起光Eを反射させ、赤色光成分および緑色光成分を含む黄色の蛍光Yを透過させる。
コリメート集光光学系43は、ダイクロイックミラー42を透過した励起光Eを集光させて波長変換素子20に入射させるとともに、波長変換素子20から射出された蛍光Yを略平行化する。コリメート集光光学系43は、第1レンズ43aと、第2レンズ43bと、を備える。第1レンズ43aおよび第2レンズ43bのそれぞれは凸レンズで構成されている。
第2光源44は、第1光源40と同一の波長帯を有する半導体レーザーから構成されている。第2光源44は、1つの半導体レーザーで構成されていてもよいし、複数の半導体レーザーで構成されていてもよい。また、第2光源44は、第1光源40の半導体レーザーとは波長帯が異なる半導体レーザーから構成されていてもよい。
集光光学系45は、第1レンズ45aと第2レンズ45bとを備えている。集光光学系45は、第2光源44から射出された青色光Bを拡散板46の拡散面または拡散板46の近傍に集光させる。第1レンズ45aと第2レンズ45bのそれぞれは、凸レンズで構成されている。
拡散板46は、第2光源44から射出された青色光Bを拡散させ、波長変換素子20から射出された蛍光Yの配光分布に近い配光分布を有する青色光Bを生成する。拡散板46として、例えば光学ガラスからなる磨りガラスを用いることができる。
コリメート光学系47は、第1レンズ47aと第2レンズ47bとを備えている。コリメート光学系47は、拡散板46から射出された光を略平行化する。第1レンズ47aおよび第2レンズ47bのそれぞれは凸レンズで構成されている。
第2光源44から射出された青色光Bは、ダイクロイックミラー42で反射され、波長変換素子20から射出されてダイクロイックミラー42を透過した蛍光Yと、合成されて白色の照明光WLを生成する。照明光WLは、均一照明光学系80に入射する。
均一照明光学系80は、第1レンズアレイ81と、第2レンズアレイ82と、偏光変換素子83と、重畳レンズ84とを含む。
第1レンズアレイ81は、光源装置2からの照明光WLを複数の部分光束に分割するための複数の第1レンズ81aを有する。複数の第1レンズ81aは、照明光軸100axと直交する面内においてマトリクス状に配列されている。
第2レンズアレイ82は、第1レンズアレイ81の複数の第1レンズ81aに対応する複数の第2レンズ82aを有する。複数の第2レンズ82aは、照明光軸100axに直交する面内においてマトリクス状に配列されている。
第2レンズアレイ82は、重畳レンズ84とともに、第1レンズアレイ81の各第1レンズ81aの像を光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bの画像形成領域の近傍にそれぞれ結像する。
偏光変換素子83は、第2レンズアレイ82から射出された光を直線偏光に変換する。偏光変換素子83は、例えば、偏光分離膜及び位相差板(図示略)を備えている。
重畳レンズ84は、偏光変換素子83から射出された各部分光束を集光して光変調装置4R,光変調装置4G,および光変調装置4Bの画像形成領域の近傍にそれぞれ重畳する。
(波長変換素子)
次に、波長変換素子20の構成について説明する。
図3は、波長変換素子20の要部構成を示す断面図である。なお、図3は、図2の照明光軸100axを含む平面で波長変換素子20を切断した断面に相当する。
次に、波長変換素子20の構成について説明する。
図3は、波長変換素子20の要部構成を示す断面図である。なお、図3は、図2の照明光軸100axを含む平面で波長変換素子20を切断した断面に相当する。
図3に示すように、波長変換素子20は、基板51と、セラミック蛍光体52と、反射層53とを備えている。基板51は、例えばアルミニウムや銅等の放熱性に優れた金属材料で構成されている。反射層53は、基板51の第1面51aに設けられており、例えば銀等の金属膜から構成されている。本実施形態の波長変換素子20は、セラミック蛍光体52に対する励起光Eの入射位置を時間的に変化させない固定型波長変換素子である。
セラミック蛍光体52は、第1光源40から射出された励起光Eが入射する光入射面52aと、光入射面52aとは異なる光射出面52bと、を有する。
セラミック蛍光体52は、光入射面52aから入射した励起光Eにより生成された蛍光Yを光入射面52aから射出させる、反射型の波長変換層である。
セラミック蛍光体52は、光入射面52aから入射した励起光Eにより生成された蛍光Yを光入射面52aから射出させる、反射型の波長変換層である。
セラミック蛍光体52は、蛍光体相25とマトリックス相26とを有する。蛍光体相25は、賦活剤が添加された酸化物蛍光体を含有している。蛍光体相25は、複数の蛍光体粒子で構成されている。蛍光体相25は、例えば、賦活剤としてセリウム(Ce)が添加されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG(Y3Al5O12):Ce)を含んでいる。
YAG:Ceを例にとると、蛍光体粒子として、Y2O3、Al2O3、CeO3等の構成元素を含む原料粉末を混合して固相反応させた材料、共沈法、ソルゲル法等の湿式法により得られるY−Al−Oアモルファス粒子、噴霧乾燥法、火炎熱分解法、熱プラズマ法等の気相法により得られるYAG粒子等を用いることができる。
蛍光体相25を構成する酸化物蛍光体は、Y3Al5O12の他、Y3(Al,Ga)5O12,Lu3Al5O12,TbAl5O12の少なくともいずれか一つを含んでいてもよい。また、蛍光体相25は、賦活剤として、セリウム(Ce)に代えて、ユーロピウム(Eu)を含んでいてもよい。
マトリックス相26は、蛍光体相25を構成する複数の蛍光体粒子同士を結合するバインダーとして機能する。マトリックス相26は、透光性セラミックスとしてMgO(酸化マグネシウム)を含む材料で構成されている。マトリックス相26を構成する酸化マグネシウムの熱伝導率は約50W/m・Kであり、蛍光体相25を構成するYAGの熱伝導率は約12W/m・Kである。本実施形態において、マトリックス相26は、蛍光体相25よりも熱伝導率の高い透光性セラミックスを含有する。
マトリックス相26を構成する金属酸化物は、上記のMgOに加えて、Al2O3,ZnO,TiO2,Y2O3,YAlO3,BeO,MgAl2O4の少なくともいずれか一つを含んでいてもよい。
なお、Al2O3の熱伝導率は約30W/m・Kであり、ZnOの熱伝導率は約25W/m・Kであり、TiO2の熱伝導率は約43W/m・Kであり、Y2O3の熱伝導率は約27W/m・Kであり、YAlO3の熱伝導率は約12W/m・Kであり、BeOの熱伝導率は約250W/m・Kであり、MgAl2O4の熱伝導率は約14W/m・Kである。
本実施形態のセラミック蛍光体22において、蛍光体相25の含有量は、マトリックス相26と蛍光体相25とを含む相全体における体積比で20vol%以下である。以下、本明細書において、マトリックス相26と蛍光体相25とを含む相全体における体積比をYAG比と呼ぶ。
上記構成のセラミック蛍光体22は、例えば、以下の工程によって製造することができる。
YAG:Ceの原料粉体である所定量のAl2O3粉体、Y2O3粉体、およびCeO2粉体と所定量のエタノールとを混ぜ、ポット内でボールミーリングを行ってスラリーを生成する。スラリーを乾燥させ、造粒後に脱脂、焼結させてYAG:Ce粉体を得る。
YAG:Ceの原料粉体である所定量のAl2O3粉体、Y2O3粉体、およびCeO2粉体と所定量のエタノールとを混ぜ、ポット内でボールミーリングを行ってスラリーを生成する。スラリーを乾燥させ、造粒後に脱脂、焼結させてYAG:Ce粉体を得る。
上記工程で得られた所定量のYAG:Ce粉体と、MgO粉体と所定量のエタノールとを混ぜ、ポット内でボールミーリングを行ってスラリーを生成する。その後、スラリーを乾燥させて造粒し、成形、脱脂、焼結を順次行うことによって、YAG:Ce,YAGとMgO(酸化マグネシウム)とのコンポジット焼結体からなる本実施形態のセラミック蛍光体22を得ることができる。なお、焼結体の密度を上げるために、圧力を加えた状態で焼結する熱間等方圧加圧加工を加えてもよい。
以下、本実施形態の波長変換素子20の作用および効果について説明する。
本実施形態のセラミック蛍光体22は、Al2O3(熱伝導率:約30W/m・K)よりも熱伝導率の高いMgO(熱伝導率:約50W/m・K)を透光性セラミックとして用いるとともにYAG比を20vol%以下とされている。これにより、セラミック蛍光体22は熱伝導率が向上するため、セラミック蛍光体22から放熱基板21側に効率良く放熱することができる。これにより、波長変換素子20においては、セラミック蛍光体22の放熱性を向上させることで蛍光Yを生成する波長変換効率の低下を抑制できる。
本実施形態のセラミック蛍光体22は、Al2O3(熱伝導率:約30W/m・K)よりも熱伝導率の高いMgO(熱伝導率:約50W/m・K)を透光性セラミックとして用いるとともにYAG比を20vol%以下とされている。これにより、セラミック蛍光体22は熱伝導率が向上するため、セラミック蛍光体22から放熱基板21側に効率良く放熱することができる。これにより、波長変換素子20においては、セラミック蛍光体22の放熱性を向上させることで蛍光Yを生成する波長変換効率の低下を抑制できる。
したがって、本実施形態の光源装置2によれば、セラミック蛍光体22における放熱性を向上させることで、セラミック蛍光体22の波長変換効率の低下による蛍光量の減少を抑制できる。
また、本実施形態のプロジェクター1によれば、上記光源装置2を備えることによって品質の高い画像を表示することができる。
また、本実施形態のプロジェクター1によれば、上記光源装置2を備えることによって品質の高い画像を表示することができる。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について、図4を用いて説明する。
第2実施形態のプロジェクターの概略構成は第1実施形態と同様であり、光源装置における波長変換素子の構成が第1実施形態と異なる。そのため、以下では波長変換素子の構成を説明し、他の構成については説明を省略する。
以下、本発明の第2実施形態について、図4を用いて説明する。
第2実施形態のプロジェクターの概略構成は第1実施形態と同様であり、光源装置における波長変換素子の構成が第1実施形態と異なる。そのため、以下では波長変換素子の構成を説明し、他の構成については説明を省略する。
図4は本実施形態の波長変換素子の要部構成を示す断面図である。図4に示すように、本実施形態の波長変換素子120は、基板151と、セラミック蛍光体122と、反射層153と、モーター155とを備えている。本実施形態の波長変換素子120は、セラミック蛍光体122に対する励起光Eの入射位置を時間的に変化させる回転ホイール型波長変換素子である。
基板151は、アルミニウム、銅等の放熱性に優れた金属材料で構成されている。基板151は所定の回転軸Oの周りに回転可能とされている。回転軸Oは基板151の中心を通る。モーター155は、円板状の基板151を回転軸Oの周りに回転させる。
本実施形態のセラミック蛍光体122は、回転軸Oの周りに環状に形成されている。セラミック蛍光体122は、第1実施形態のセラミック蛍光体22を環状に整形することで構成される。反射層153は、基板151とセラミック蛍光体122との間に設けられている。基板151はセラミック蛍光体122で生じる熱を放熱する。
本実施形態の波長変換素子120では、励起光Eが回転した状態のセラミック蛍光体122に入射する。セラミック蛍光体122に励起光Eが入射した際には、セラミック蛍光体122において熱が発生する。本実施形態では、モーター155によってセラミック蛍光体122を回転させることにより、セラミック蛍光体122における励起光Eの入射位置を時間的に移動させている。これにより、セラミック蛍光体122の同じ位置に励起光Eが常時照射されることにより、セラミック蛍光体122の一部のみが局所的に加熱され、セラミック蛍光体122が劣化することが抑制される。
本実施形態の場合、セラミック蛍光体122を回転させることに加えて、セラミック蛍光体122が熱伝導率の高いMgOからなマトリックス相26を含んでいるため、放熱性をさらに高めることができる。
本実施形態の波長変換素子120においても、セラミック蛍光体122に当接する放熱基板121が非透光性部材で構成されている。これにより、波長変換素子120においては、セラミック蛍光体122で生成された蛍光Yが放熱基板121に漏れ出さすことなく、外部に効率良く取り出される。
本実施形態の波長変換素子120によれば、セラミック蛍光体122の放熱性を向上させることで蛍光Yを生成する波長変換効率の低下を抑制できる。したがって、本実施形態の光源装置によれば、セラミック蛍光体122における放熱性をより向上させることで、セラミック蛍光体122の波長変換効率の低下による蛍光量の減少を抑制できる。
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態について、図5を用いて説明する。
第3実施形態のプロジェクターの概略構成は第1実施形態と同様であり、光源装置の構成が第1実施形態と異なる。そのため、以下では光源装置の構成を説明し、他の構成については説明を省略する。
以下、本発明の第3実施形態について、図5を用いて説明する。
第3実施形態のプロジェクターの概略構成は第1実施形態と同様であり、光源装置の構成が第1実施形態と異なる。そのため、以下では光源装置の構成を説明し、他の構成については説明を省略する。
図5は本実施形態の光源装置2Aの概略構成を示す図である。
図5に示すように、光源装置2Aは、励起光源ユニット10と、アフォーカル光学系11と、ホモジナイザー光学系12と、集光光学系13と、波長変換素子220と、ピックアップ光学系30と、均一照明光学系80と、を備える。
図5に示すように、光源装置2Aは、励起光源ユニット10と、アフォーカル光学系11と、ホモジナイザー光学系12と、集光光学系13と、波長変換素子220と、ピックアップ光学系30と、均一照明光学系80と、を備える。
励起光源ユニット10は、レーザー光からなる青色の励起光Eを射出する複数の半導体レーザー10aと、複数のコリメーターレンズ10bとから構成される。複数の半導体レーザー10aは、照明光軸100axと直交する一つの平面内においてアレイ状に配置されている。コリメーターレンズ10bは、各半導体レーザー10aに対応するように、照明光軸100axと直交する一つの平面内においてアレイ状に配置されている。コリメーターレンズ10bは、対応する半導体レーザー10aから射出された励起光Eを平行光に変換する。
アフォーカル光学系11は、例えば凸レンズ11aと、凹レンズ11bと、を備えている。アフォーカル光学系11は、励起光源ユニット10から射出された平行光束からなる励起光Eの光束径を縮小する。
ホモジナイザー光学系12は、例えば第1マルチレンズアレイ12aと、第2マルチレンズアレイ12bと、を備えている。ホモジナイザー光学系12は、励起光の光強度分布を後述する波長変換素子220上で均一な状態、いわゆるトップハット分布にする。ホモジナイザー光学系12は、第1マルチレンズアレイ12aおよび第2マルチレンズアレイ12bの複数のレンズから射出された複数の小光束を、集光光学系13とともに、波長変換素子220上で互いに重畳させる。これにより、波長変換素子220上に照射する励起光Eの光強度分布を均一な状態とする。
集光光学系13は、例えば第1レンズ13aと、第2レンズ13bと、を備えている。本実施形態において、第1レンズ13aおよび第2レンズ13bは、それぞれ凸レンズから構成されている。集光光学系13は、ホモジナイザー光学系12から波長変換素子220までの光路中に配置され、励起光Eを集光させて波長変換素子220に入射させる。波長変換素子220の構成については後述する。
ピックアップ光学系30は、例えば第1コリメートレンズ31と、第2コリメートレンズ32と、を備えている。ピックアップ光学系30は、波長変換素子220から射出された光を略平行化する平行化光学系である。第1コリメートレンズ31および第2コリメートレンズ32は、それぞれ凸レンズから構成されている。ピックアップ光学系30で平行化された光は均一照明光学系80に入射する。
(波長変換素子)
次に、波長変換素子の構成について説明する。
図6は、波長変換素子220の要部構成を示す断面図である。なお、図6は、図5の照明光軸100axを含む平面で波長変換素子220を切断した断面に相当する。
次に、波長変換素子の構成について説明する。
図6は、波長変換素子220の要部構成を示す断面図である。なお、図6は、図5の照明光軸100axを含む平面で波長変換素子220を切断した断面に相当する。
図6に示すように、波長変換素子220は、放熱基板21と、セラミック蛍光体222と、ダイクロイック膜23と、接合部材24とを備えている。本実施形態の波長変換素子220は、セラミック蛍光体222に対する励起光Eの入射位置を時間的に変化させない固定型蛍光体である。
放熱基板21は、例えばアルミニウムや銅等の放熱性に優れた金属材料で構成されている。放熱基板21は、セラミック蛍光体222を支持する支持部材である。セラミック蛍光体222は、接合部材24を介して放熱基板21に固定されている。
本実施形態の放熱基板21は非透光性部材で構成されている。放熱基板21は、アルミニウム、銅等の放熱性に優れた金属材料で構成されている。
励起光Eは、放熱基板21に形成された貫通孔21bを介してセラミック蛍光体222に入射する。すなわち、放熱基板21は、セラミック蛍光体222の励起光Eが入射される入射領域とは異なる領域に当接して設けられ、セラミック蛍光体222で生じる熱を放熱する部材である。放熱基板21は、貫通孔21bの除いた部分でセラミック蛍光体222に当接している。本実施形態において、放熱基板21のセラミック蛍光体222に当接する部分は非透光性部材で構成されている。
励起光Eは、放熱基板21に形成された貫通孔21bを介してセラミック蛍光体222に入射する。すなわち、放熱基板21は、セラミック蛍光体222の励起光Eが入射される入射領域とは異なる領域に当接して設けられ、セラミック蛍光体222で生じる熱を放熱する部材である。放熱基板21は、貫通孔21bの除いた部分でセラミック蛍光体222に当接している。本実施形態において、放熱基板21のセラミック蛍光体222に当接する部分は非透光性部材で構成されている。
セラミック蛍光体222は、励起光源ユニット10から射出された励起光Eが入射する光入射面222aと、光入射面222aとは異なる光射出面222bと、を有する。
セラミック蛍光体222は、光入射面222aから入射した励起光Eにより生成された蛍光Yを光射出面222bから射出させる、透過型の波長変換層である。
セラミック蛍光体222は、光入射面222aから入射した励起光Eにより生成された蛍光Yを光射出面222bから射出させる、透過型の波長変換層である。
ダイクロイック膜23は、セラミック蛍光体222の光入射面222aに設けられている。ダイクロイック膜23は、励起光Eを透過し、セラミック蛍光体222から射出される蛍光Yを反射する特性を有する。このようなダイクロイック膜23を設けることで、セラミック蛍光体222内で生成された蛍光Yが外部に射出されるのを防止できる。これにより、セラミック蛍光体222で生成した蛍光Yをセラミック蛍光体222から効率良く取り出すことができる。
セラミック蛍光体222は、上記セラミック蛍光体22,122と同様の構成を有する。すなわち、セラミック蛍光体222は、蛍光体相25とマトリックス相26とを有する。
本実施形態のセラミック蛍光体222は、励起光源ユニット10から射出された青色の励起光Eのうち、波長変換されずに光射出面222bから射出される励起光Eの一部である青色光(透過光)E1と、セラミック蛍光体222による励起光Eの波長変換によって生成される黄色の蛍光Yと、を合成した白色の照明光WL1を射出する。
ここで、セラミック蛍光体222から射出される照明光WL1のホワイトバランスは、青色光E1の光量と蛍光Yの光量との光量比で決まる。以下、本明細書において、この光量比をBY比と呼ぶ。
プロジェクターに用いる照明光WL1として実用的なホワイトバランスを得るための条件はBY比30%〜50%である。BY比は、少なくともセラミック蛍光体222における蛍光体相25の含有量に応じて決まる。なお、蛍光体相25の含有量はYAG比で規定される。
BY比はセラミック蛍光体222の厚さの影響を受けることが分かっている。例えば、一定のYAG比を有するセラミック蛍光体222の厚さを相対的に薄くするとセラミック蛍光体222を透過する青色光E1の光量を増やすことができる。しかしながら、セラミック蛍光体222の厚さが40μmよりも薄くなると、セラミック蛍光体222を製造することが難しくなる。そのため、製造の観点から、セラミック蛍光体222の厚さの下限値は40μmとするのが望ましい。
また、一定のYAG比を有するセラミック蛍光体222の厚さを相対的に厚くするとセラミック蛍光体222を透過する青色光E1の光量が減少してしまう。さらに、セラミック蛍光体222の厚さが300μmを超えると、セラミック蛍光体222内において蛍光Yの再吸収が発生するため、光射出面222bから取り出せる蛍光Yの光量が減少してしまう。そのため、蛍光Yの光利用効率の観点から、セラミック蛍光体222の厚さの上限値は300μmとするのが望ましい。
以上の観点に基づいて、本実施形態のセラミック蛍光体222の厚さは40μm以上300μm以下に設定される。
図7はYAG比とBY比との関係を示した図である。図7において、横軸はYAG比(単位は%)に相当し、縦軸はYAG比(単位はvol%)に相当する。図7において実線のグラフはセラミック蛍光体222の厚さが下限値(40μm)である場合のYAG比とBY比との関係を示している。また、図7において破線のグラフはセラミック蛍光体222の厚さが上限値(300μm)である場合のYAG比とBY比との関係を示している。
図7からは、セラミック蛍光体222の厚さによらず、YAG比が低くなるにつれてBY比が高くなることが確認できる。
まず、セラミック蛍光体222の厚さを下限値(40μm)とした場合について考える。
セラミック蛍光体222の厚さを40μmとする場合において、セラミック蛍光体222から射出される照明光WL1として所望のホワイトバランスを得るBY比30%を実現するためには、YAG比を20vol%以下とすることが好適であることが分かる。また、BY比50%を実現するためには、YAG比を7vol%以上とすることが好適であることが分かる。
セラミック蛍光体222の厚さを40μmとする場合において、セラミック蛍光体222から射出される照明光WL1として所望のホワイトバランスを得るBY比30%を実現するためには、YAG比を20vol%以下とすることが好適であることが分かる。また、BY比50%を実現するためには、YAG比を7vol%以上とすることが好適であることが分かる。
すなわち、本実施形態の波長変換素子220によれば、厚さ40μmの場合にYAG比を7vol%以上20vol%以下に設定することで、所望のホワイトバランスを持つ照明光WL1を生成して射出できる。
続いて、セラミック蛍光体222の厚さを上限値(300μm)とした場合について考える。
セラミック蛍光体222の厚さを300μmとする場合において、セラミック蛍光体222から射出される照明光WL1として所望のホワイトバランスを得るBY比50%を実現するためには、YAG比を0.75vol%以上とすることが好適であることが分かる。すなわち、本実施形態の波長変換素子220によれば、厚さ300μmの場合にYAG比を0.75vol%以上に設定することで、所望のホワイトバランスを持つ照明光WL1を生成して射出できる。
セラミック蛍光体222の厚さを300μmとする場合において、セラミック蛍光体222から射出される照明光WL1として所望のホワイトバランスを得るBY比50%を実現するためには、YAG比を0.75vol%以上とすることが好適であることが分かる。すなわち、本実施形態の波長変換素子220によれば、厚さ300μmの場合にYAG比を0.75vol%以上に設定することで、所望のホワイトバランスを持つ照明光WL1を生成して射出できる。
以上のように本実施形態の波長変換素子220によれば、セラミック蛍光体222の厚さを40μm以上300μm以下に設定するとともに、所望のホワイトバランスを得るようにYAG比を設定したセラミック蛍光体222を備えている。そのため、波長変換素子220は、所望のホワイトバランスを有し、光利用効率の高い照明光WL1を生成して射出することができる。
また、本実施形態の波長変換素子220においては、セラミック蛍光体222に当接する放熱基板21が非透光性部材で構成されている。これにより、波長変換素子220においては、セラミック蛍光体222で生成された蛍光Yが放熱基板21に漏れ出さすことなく、外部に効率良く取り出される。
放熱基板21は貫通孔21bの除いた部分でセラミック蛍光体222に当接するため、放熱基板21とセラミック蛍光体222との接触面積は小さくなる。そのため、セラミック蛍光体222の熱が放熱基板21側に伝わり難くなるおそれがある。これに対し、本実施形態の波長変換素子220によれば、蛍光体相25よりも熱伝導率の高い透光性セラミックスとしてMgOを含有するマトリックス相26を備えることでセラミック蛍光体222の熱伝導率が向上するので、セラミック蛍光体222から放熱基板21側に効率良く放熱することができる。
したがって、本実施形態の光源装置2Aによれば、セラミック蛍光体222における放熱性を維持しつつ、セラミック蛍光体222で生成した蛍光Yの利用効率を向上させることができる。
また、本実施形態の光源装置2Aを備えたプロジェクターにおいても品質の高い画像を表示することができる。また、本実施形態の波長変換素子220は、セラミック蛍光体222の光入射面222aに透光性部材が設けられていない。そのため、光入射面222a上に形成される励起光Eの照射スポットが小さくなるので、セラミック蛍光体222から射出される蛍光Yの拡がりを抑制することができる。よって、本実施形態のプロジェクターによれば、エテンデューを小さくすることで波長変換素子220から射出される照明光WL1を効率良く利用できる。
なお、本実施形態においては、放熱基板21の全体を非透光性部材(金属)で構成する場合を例に挙げたが、放熱基板21は少なくともセラミック蛍光体222に当接する部分が非透光性部材で構成されていれば蛍光Yの光漏れを防止できる。そのため、放熱基板21はセラミック蛍光体222に当接する部分以外は透光性部材で構成されていてもよい。
(第4実施形態)
以下、本発明の第4実施形態について、図8を用いて説明する。
第4実施形態のプロジェクターの概略構成は第3実施形態と同様であり、光源装置における波長変換素子の構成が第3実施形態と異なる。そのため、以下では波長変換素子の構成を説明し、他の構成については説明を省略する。
以下、本発明の第4実施形態について、図8を用いて説明する。
第4実施形態のプロジェクターの概略構成は第3実施形態と同様であり、光源装置における波長変換素子の構成が第3実施形態と異なる。そのため、以下では波長変換素子の構成を説明し、他の構成については説明を省略する。
図8は本実施形態の波長変換素子の要部構成を示す断面図である。図8に示すように、本実施形態の波長変換素子320は、放熱基板121と、セラミック蛍光体322と、ダイクロイック膜123と、接合部材124と、モーター(駆動装置)155とを備えている。本実施形態の波長変換素子320は、セラミック蛍光体222に対する励起光Eの入射位置を時間的に変化させる回転ホイール型波長変換素子である。
本実施形態の放熱基板121は非透光性部材で構成された円板である。放熱基板121は、アルミニウム、銅等の放熱性に優れた金属材料で構成されている。放熱基板121は所定の回転軸Oの周りに回転可能とされている。回転軸Oは放熱基板121の中心を通る。モーター155は、円板状の放熱基板121を回転軸Oの周りに回転させる。
本実施形態のセラミック蛍光体322は、回転軸Oの周りに環状に形成されている。セラミック蛍光体322は、第3実施形態のセラミック蛍光体222を環状に整形することで構成される。
セラミック蛍光体322の光入射面322aにダイクロイック膜123が設けられている。環状のセラミック蛍光体322は、光入射面322aの径方向内側端部322a1が接合部材124を介して放熱基板121に固定されている。すなわち、回転軸Oに沿う方向から平面視した際、セラミック蛍光体322は放熱基板121よりも径方向外側に張り出した状態に設けられている。励起光Eは、セラミック蛍光体322における放熱基板121の径方向外側に張り出した部分に入射する。本実施形態において、放熱基板121は、セラミック蛍光体322における励起光Eの入射領域とは異なる領域に当接し、セラミック蛍光体322で生じる熱を放熱する。
本実施形態の波長変換素子320では、励起光Eが回転した状態のセラミック蛍光体322に入射する。セラミック蛍光体322に励起光Eが入射した際には、セラミック蛍光体322において熱が発生する。本実施形態では、モーター155によってセラミック蛍光体322を回転させることにより、セラミック蛍光体322における励起光Eの入射位置を時間的に移動させている。これにより、セラミック蛍光体322の同じ位置に励起光Eが常時照射されることにより、セラミック蛍光体322の一部のみが局所的に加熱され、セラミック蛍光体322が劣化することが抑制される。
本実施形態の場合、セラミック蛍光体322が熱伝導率の高いMgOからなるマトリックス相26を含むのに加え、セラミック蛍光体322を回転させることで放熱性をさらに高めることができる。
本実施形態の波長変換素子320においても、セラミック蛍光体322に当接する放熱基板121が非透光性部材で構成されている。これにより、波長変換素子320においては、セラミック蛍光体322で生成された蛍光Yが放熱基板121に漏れ出さすことなく、外部に効率良く取り出される。
本実施形態の波長変換素子320によれば、熱伝導率の高いセラミック蛍光体322を備えるため、セラミック蛍光体322から放熱基板121側に効率良く放熱することができる。
したがって、本実施形態の波長変換素子320を用いた光源装置においても、セラミック蛍光体322における放熱性を維持しつつ、セラミック蛍光体322で生成した蛍光Yの利用効率を向上させることができる。よって、この光源装置を用いることで、エテンデューを小さくするとともに、品質の高い画像を表示可能なプロジェクターを提供できる、といった第3実施形態と同様の効果が得られる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態のセラミック蛍光体22,122,222,322においては、蛍光体相25は酸化物蛍光体を含み、マトリックス相26は金属酸化物を含んでいた。この構成に代えて、蛍光体相25は窒化物蛍光体を含み、マトリックス相26は金属窒化物を含んでいてもよい。窒化物蛍光体として、例えばα−SiAlON,β−SiAlON等のサイアロン蛍光体を用いることができる。金属窒化物としては、例えばAlN等を用いることができる。AlNの熱伝導率は約255W/m・Kである。このように、蛍光体相25が窒化物蛍光体を含み、マトリックス相26が金属酸化物を含む場合、各相において無用な酸化反応等が生じることなく、セラミック蛍光体を安定して製造することができる。
例えば、上記実施形態のセラミック蛍光体22,122,222,322においては、蛍光体相25は酸化物蛍光体を含み、マトリックス相26は金属酸化物を含んでいた。この構成に代えて、蛍光体相25は窒化物蛍光体を含み、マトリックス相26は金属窒化物を含んでいてもよい。窒化物蛍光体として、例えばα−SiAlON,β−SiAlON等のサイアロン蛍光体を用いることができる。金属窒化物としては、例えばAlN等を用いることができる。AlNの熱伝導率は約255W/m・Kである。このように、蛍光体相25が窒化物蛍光体を含み、マトリックス相26が金属酸化物を含む場合、各相において無用な酸化反応等が生じることなく、セラミック蛍光体を安定して製造することができる。
その他、セラミック蛍光体、波長変換素子、光源装置およびプロジェクターの各構成要素の形状、数、配置、材料、製造方法等の具体的な記載については、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。上記実施形態では、本発明に係る光源装置を、液晶ライトバルブを用いたプロジェクターに搭載した例を示したが、これに限定されない。例えば本発明に係る光源装置を、光変調装置としてデジタルマイクロミラーデバイスを用いたプロジェクターに搭載してもよい。
上記実施形態では、本発明による光源装置をプロジェクターに搭載した例を示したが、これに限られない。本発明による光源装置は、照明器具や自動車のヘッドライト等にも適用することができる。
1…プロジェクター、2,2A…光源装置、3…YAlO、4B,4G,4R…光変調装置、6…投射光学装置、2O4…MgAl、25…蛍光体相、26…マトリックス相、3Al5…Lu、51,151…基板、155…モーター(駆動装置)、5O12…TbAl、E…励起光、E1…青色光(透過光)、O…回転軸、Y…蛍光。
Claims (11)
- 賦活剤および蛍光体を含有する蛍光体相と、透光性セラミックスとしてMgOを含有するマトリックス相とを有し、無機材料で構成されるセラミック複合体であって、
前記蛍光体相の含有量は、前記マトリックス相と前記蛍光体相とを含む相全体における体積比で20vol%以下である
ことを特徴とするセラミック複合体。 - 前記蛍光体相は、Y3Al5O12、Y3(Al,Ga)5O12、Lu3Al5O12、TbAl5O12、(Y,Gd)Al5O12の少なくともいずれか一つを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のセラミック複合体。 - 前記マトリックス相は、Al2O3、ZnO、TiO2、Y2O3、YAlO3、BeO、MgAl2O4の少なくともいずれか一つをさらに含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミック複合体。 - 前記蛍光体相に添加される賦活剤は、Ce、Euの少なくともいずれか一つを含む
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のセラミック複合体。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のセラミック複合体と、
前記セラミック複合体を励起することで蛍光を生成させる励起光を射出する光源と、を備える
ことを特徴とする光源装置。 - 前記セラミック複合体は、前記励起光の入射面と異なる射出面から前記蛍光を射出する
ことを特徴とする請求項5に記載の光源装置。 - 前記セラミック複合体は、前記励起光の一部を前記射出面から透過光として射出し、
前記透過光の光量に対する前記セラミック複合体から射出される蛍光量の比率は、30%〜50%である
ことを特徴とする請求項6に記載の光源装置。 - 前記セラミック複合体の厚さは40μm以上である
ことを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の光源装置。 - 前記セラミック複合体は、前記励起光の入射位置が時間的に変化しない固定型蛍光体である
ことを特徴とする請求項5から請求項8のいずれか一項に記載の光源装置。 - 前記セラミック複合体を支持する基板と、
前記基板を所定の回転軸の周りに回転させる駆動装置と、を備える
ことを特徴とする請求項5から請求項8のいずれか一項に記載の光源装置。 - 請求項5から請求項10のいずれか一項に記載の光源装置と、
前記光源装置から射出される光を画像情報に応じて変調して画像光を形成する光変調装置と、
前記画像光を投射する投射光学装置と、を備える
ことを特徴とするプロジェクター。
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