JP2021017830A - 真空ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】耐久性を向上可能にした真空ポンプを提供する。【解決手段】ガスを移送するためのポンプロータ部12を収容したポンプ部10と、電動機の回転をポンプロータ部12に伝達する伝達ロータ部33と、伝達ロータ部33を支持する軸受部材38と、軸受部材38を収容する収容部と、潤滑油37を貯留する油貯留部と、油貯留部から掻き上げられた潤滑油37を収容部へ流す第一流路と、を備え、軸受部材38を収容する収容部は、バッフルプレート36から流れ込む潤滑油37が滴下される滴下部39Aと、滴下部39Aから軸受部材38へ潤滑油37を流す第二流路39Bと、を備え、滴下部39A、バッフルプレート36、および、第二流路39Bの少なくとも一つが、潤滑油37に含まれる磁性粉末を磁力によって吸着する吸着体を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、潤滑油を用いる真空ポンプに関する。
ロータリーポンプやメカニカルブースターポンプなどに代表される真空ポンプは、真空ポンプの運転時に潤滑油を掻き上げることによって、軸受部材に潤滑油を供給する。例えば特許文献1では、伝達ロータ部に取り付けられた掻上げプレートによって潤滑油が掻き上げられて、掻き上げられた潤滑油がハウジングの内壁上部に当たる。内壁上部に当たった潤滑油は、内壁上部に設けられた凹部によって供給口まで導かれて、供給口から軸受部材に供給される。
ところで、真空ポンプの構成部品に付着していた鉄粉や、真空ポンプの運転時の摩耗によって生じた鉄粉などの磁性粉末は、上述した潤滑油のなかに混入し得る。潤滑油のなかに混入した小さい磁性粉末は、ハウジングが備える油貯留部において油中に沈むことなく、油貯留部の液中に浮遊する。液中に浮遊する小さい磁性粉末は、潤滑油とともに掻き上げられて、真空ポンプの内部を潤滑油と共に移動する。この際、磁性粉末が混入した潤滑油が軸受部材のなかに入り込むと、磁性粉末と軸受部材との擦れを招いて、軸受部材の劣化を加速してしまう。
本発明の目的は、耐久性を向上可能にした真空ポンプを提供することである。
本発明の目的は、耐久性を向上可能にした真空ポンプを提供することである。
上記課題を解決するための真空ポンプは、ガスを移送するためのポンプロータ部を収容したポンプ部と、電動機の回転を前記ポンプロータ部に伝達する伝達ロータ部と、前記伝達ロータ部を支持する軸受部材と、前記軸受部材を収容する収容部と、潤滑油を貯留する油貯留部と、前記油貯留部から掻き上げられた潤滑油を前記収容部へ流す第一流路と、を備える。前記収容部は、前記第一流路から流れ込む潤滑油が滴下される滴下部と、前記滴下部から前記軸受部材へ潤滑油を流す第二流路と、を備える。前記滴下部、前記第一流路、および、前記第二流路の少なくとも一つが、潤滑油に含まれる磁性粉末を磁力によって吸着する吸着体を備える。
上記構成によれば、滴下部、第一流路、および、第二流路の少なくとも一つに位置する吸着体は、潤滑油に混入した鉄粉などの磁性粉末を吸着する。そして、吸着体による磁性粉末の吸着は、潤滑油に混入した磁性粉末が潤滑油と共に循環すること、すなわち、軸受部材のなかに磁性粉末が入り込むことを抑制する。これにより、軸受部材の劣化を抑制すること、ひいては、真空ポンプの劣化を抑制することが可能となる。
上記真空ポンプにおいて、前記吸着体が、磁石とヨークとを備えてもよい。この構成によれば、磁石が出力する磁束をヨークによって所望の位置に集中させたり分散させたりすることが可能となる。それゆえに、磁性粉末を効率的に吸着させることが可能ともなる。
上記真空ポンプにおいて、前記吸着体は、潤滑油が流れる経路をラビリンス状に区画してもよい。この構成によれば、ラビリンス状の経路が区画される分だけ、潤滑油が流れる経路のなかで、磁力の作用する経路が長くなる。そして、磁性粉末が吸着体に吸着される機会が多くなる分だけ、上述した劣化の抑制効果が高められる。
上記真空ポンプにおいて、前記第二流路は、前記伝達ロータ部の周方向に沿う環状を有し、かつ、前記伝達ロータ部の軸方向において前記軸受部材と対向する出口部を備え、前記吸着体は、前記伝達ロータ部の周方向に沿って前記出口部のなかで並んでいてもよい。
上記真空ポンプによれば、軸受部材を通る潤滑油は、軸受部材に入る直前に、伝達ロータ部の周方向の全体にわたり並ぶ吸着体のいずれかと接触しやすい。そのため、軸受部材のなかに入り込み得る磁性粉末を、それが軸受部材のなかに入り込む前に、より高い確率で吸着することができる。
上記真空ポンプにおいて、前記油貯留部は、磁性ドレンプラグを備えてもよい。潤滑油の中に存在する磁性粉末は、油貯留部において、液中に浮遊したり液中に沈んだりする。上記真空ポンプによれば、油貯留部に備えられた磁性ドレンプラグが、潤滑油の中に沈んでいる磁性粉末を吸着し、その吸着分だけ、潤滑油と共に循環する磁性粉末の量を少なくする。結果として、吸着体が吸着し得る磁性粉末の量を少なくすること、ひいては、吸着体に吸着された磁性粉末を吸着体から取り除くためのメンテナンスに要する負荷を軽減することもできる。なお、ドレンプラグは重力方向において液中の最下点に位置することがオイルの全量を重力を利用しての排出する観点から望ましく、また、非運転時において磁性粉末が沈降し集結する位置ともなり、脱着可能で清掃も容易であり、吸着する位置として非常に有効である。
上記真空ポンプにおいて、前記第一流路が、バッフルプレートであってもよい。この真空ポンプによれば、油貯留部から掻き上げられた潤滑油が油貯留部へ戻ることを抑制することが可能となる。
上記真空ポンプにおいて、前記伝達ロータ部は、潤滑油を掻き上げるための掻き上げプレートをさらに備えてもよい。この真空ポンプによれば、伝達ロータ部の回転が潤滑油を掻き上げ可能にするため、潤滑油を掻き上げる他の動力源を必要とすることがない。そして、真空ポンプの構成の簡素化を図ることが可能ともなる。
以下、真空ポンプの一実施形態を図1および図2を参照して説明する。
図1が示すように、真空ポンプは、ポンプ部10、電動機の一例であるモーター20、および、伝達部30を備える。モーター20が出力する回転力は、伝達部30を通じてポンプ部10に伝わる。
図1が示すように、真空ポンプは、ポンプ部10、電動機の一例であるモーター20、および、伝達部30を備える。モーター20が出力する回転力は、伝達部30を通じてポンプ部10に伝わる。
ポンプ部10は、ハウジング11、ポンプロータ部12、吸気ポート13、および、排気ポート14を備える。ハウジング11は、ポンプロータ部12を収容する。ポンプロータ部12は、2体のスクリュウ軸である。2体のスクリュウ軸は、互いに噛み合うように、紙面奥行き方向に並んでいる。ポンプロータ部12は、伝達部30から伝わる回転力によって回転する。
ハウジング11の内部は、排気ポート14に接続されている。ポンプロータ部12の回転は、ハウジング11のなかの空気を排気ポート14に向けて移送する。ハウジング11の内部は、吸気ポート13に接続されている。ハウジング11は、排気ポート14への空気の移送を受けて、吸気ポート13から空気を吸い込む。
伝達部30は、ギアハウジング31を備える。ギアハウジング31は、同期ギア34、掻き上げプレート35、および、バッフルプレート36を収容する。
伝達部30は、軸受ハウジング32を備える。軸受ハウジング32は、軸受部材38を収容する収容部の一例である。ギアハウジング31と軸受ハウジング32とは、別体として構成されてもよいし、別体として構成されてもよい。伝達ロータ部33は、ギアハウジング31と軸受ハウジング32に回転可能に挿通されている。
伝達ロータ部33は、2体の伝達軸である。2体の伝達軸は、各スクリュウ軸と同一軸心上に位置する。一方の伝達軸は、モーター20の出力を受けて回転する。他方の伝達軸の回転は、同期ギア34を介して、一方の伝達軸と同期する。
潤滑油37は、ギアハウジング31の底部における内側に溜められている。真空ポンプの潤滑に余剰となる潤滑油37は、ギアハウジング31の底部に形成されたドレンポート31Dから排出される。ギアハウジング31の底部は、油貯留部の一例である。ドレンポート31Dは重力方向において液中の最下点に位置することがオイルの全量を重力を利用しての排出する観点から望ましい。
同期ギア34、および、掻き上げプレート35は、伝達ロータ部33に連結されている。伝達ロータ部33を構成する各伝達軸の回転は、同期ギア34の噛み合いを通じて同期する。各伝達軸の出力は、当該伝達軸と同一軸心上に位置するスクリュウ軸に伝わる。なお、伝達軸は、スクリュウ軸と別体に構成されてもよいし、スクリュウ軸と一体に構成されてもよい。
掻き上げプレート35は、伝達ロータ部33と一体となって回転する。掻き上げプレート35の回転は、ギアハウジング31の底部からギアハウジング31の内部における上方に向けて、潤滑油37を掻き上げる。
バッフルプレート36は、ギアハウジング31の上部における内側面に取り付けられている。バッフルプレート36は、モーター20から軸受ハウジング32に向けて徐々に下降する傾斜面を備える。バッフルプレート36が備える傾斜面は、潤滑油37の流路を構成する。バッフルプレート36は、ギアハウジング31の内部において掻き上げられた潤滑油37を、バッフルプレート36の傾斜面に沿って、軸受ハウジング32に向けて流す。バッフルプレート36は、第一流路の一例である。
軸受部材38は、例えば、各伝達軸に2つずつの転がり軸受けであって、伝達軸を挿通されている。軸受部材38は、伝達ロータ部33を構成する各伝達軸を回転可能に支持する。軸受ハウジング32は、潤滑油37の流路39を備える。
図2が示すように、流路39は、滴下部39A、第二流路39B、および、第三流路39Cを備える。滴下部39Aは、バッフルプレート36の下端に対する下方に位置する。滴下部39Aは、バッフルプレート36の下端から伝達ロータ部33の上方に向けた傾斜面を備える。滴下部39Aは、バッフルプレート36から重力滴下される潤滑油37を受け入れて、第二流路39Bに向けて流出させる。
第二流路39Bは、伝達ロータ部33の軸方向Dに延在する。第二流路39Bは、軸方向Dにおいて、軸受部材38に対するギアハウジング31側から、軸受部材38に対するポンプ部10側の手前まで延在する。
第二流路39Bは、出口部39BEを備える。出口部39BEは、伝達ロータ部33の周方向に沿う環状を有し、かつ、軸受部材38の軸方向Dに位置して軸受部材38と対向する。出口部39BEは、軸受部材38におけるポンプ部10側の端部38E1の全体を覆う。
第二流路39Bは、滴下部39Aから流入する潤滑油37を軸方向Dに沿って流し、その後、軸受部材38の端部38E1に向けて流し落とす。端部38E1に到達した潤滑油37は、軸受部材38の転がりや伝達ロータ部33の回転を通じて、軸受部材38における周方向の全体を流れる。
第三流路39Cは、伝達ロータ部33の周方向に沿う環状を有し、かつ、軸受部材38における軸方向Dとは反対側に位置して軸受部材38の全体と対向する。第三流路39Cは、軸受部材38におけるギアハウジング31側の端部38E2を覆う形状を有する。第三流路39Cは、軸受部材38を通じて流出する潤滑油37を、ギアハウジング31の底部に向けて流し落とす。
滴下部39Aは、複数の吸着体41Aを備える。各吸着体41Aは、軸方向Dに延在する円柱状を有した磁石である。複数の吸着体41Aの位置は、滴下部39Aのなかで、バッフルプレート36から潤滑油37が滴下される部位を含む。複数の吸着体41Aは、滴下部39Aのなかで潤滑油37が流れる方向に並ぶ。複数の吸着体41Aは、潤滑油37が流れる経路をラビリンス状に区画する。ラビリンス状の経路は、例えば、潤滑油37の流れる経路を、軸方向Dに沿う経路と、軸方向Dとは反対方向に沿う経路と、を交互に有する。これにより、滴下部39Aにおける潤滑油37は、吸着体41Aに挟まれた経路を流れる。また、滴下部39Aにおける潤滑油37は、潤滑油37が単なる直線状の経路を流れる場合と比べて、吸着体41Aとの接触する機会を多くする。
第二流路39Bのなかで軸方向に延在する部分は、複数の吸着体41Bを備える。各吸着体41Bは、上下方向に延在する円柱状を有した磁石である。複数の吸着体41Bは、第二流路39Bのなかで軸方向Dに並ぶ。複数の吸着体41Bは、潤滑油37が流れる経路をラビリンス状に区画する。ここでも、第二流路39Bを流れる潤滑油37は、吸着体41Bに挟まれた経路を流れる。また、第二流路39Bにおける潤滑油37は、潤滑油37が単なる直線状の経路を流れる場合と比べて、吸着体41Bとの接触する機会を多くする。
第二流路39Bを構成する出口部39BEは、複数の吸着体41Cを備える。各吸着体41Cは、軸方向Dに延在する円柱状を有した磁石である。複数の吸着体41Cは、出口部39BEのなかで軸受部材38の周方向に並ぶ。出口部39BEに流入した潤滑油37は、軸受部材38に流入する前に、複数の吸着体41Cのいずれかに接触する。
[作用]
伝達ロータ部33や軸受部材38などの真空ポンプの構成部品には、構成部品の製造に際して、鉄粉などの磁性粉末が不可避的に付着する。また、伝達ロータ部33や軸受部材38などの可動部分には、真空ポンプの運転時の摩耗によって、鉄粉などの磁性粉末が付着する。こうした磁性粉末は、真空ポンプの内部を循環する潤滑油37のなかに混入し得る。潤滑油37のなかに混入した小さい磁性粉末は、ギアハウジング31の底部に溜まる油中に沈むことなく、潤滑油37の液中に浮遊する。液中に浮遊する小さい磁性粉末は、潤滑油37とともに掻き上げられて、バッフルプレート36から潤滑油37と共に流路39に入り込む。
伝達ロータ部33や軸受部材38などの真空ポンプの構成部品には、構成部品の製造に際して、鉄粉などの磁性粉末が不可避的に付着する。また、伝達ロータ部33や軸受部材38などの可動部分には、真空ポンプの運転時の摩耗によって、鉄粉などの磁性粉末が付着する。こうした磁性粉末は、真空ポンプの内部を循環する潤滑油37のなかに混入し得る。潤滑油37のなかに混入した小さい磁性粉末は、ギアハウジング31の底部に溜まる油中に沈むことなく、潤滑油37の液中に浮遊する。液中に浮遊する小さい磁性粉末は、潤滑油37とともに掻き上げられて、バッフルプレート36から潤滑油37と共に流路39に入り込む。
この際、滴下部39A、第二流路39B、および、第三流路39Cの各々に位置する吸着体41A,41B,41Cは、潤滑油37に混入した鉄粉などの磁性粉末を吸着する。そして、吸着体41A,41B,41Cによる磁性粉末の吸着は、潤滑油37に混入した磁性粉末が潤滑油37と共に循環すること、すなわち、軸受部材38の内部に磁性粉末が入り込むことを抑制する。
以上、上記実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)軸受部材38の内部に磁性粉末が入り込むことを吸着体41A,41B,41Cが抑制するため、軸受部材38の劣化を抑制すること、ひいては、真空ポンプの劣化を抑制することが可能となる。
(1)軸受部材38の内部に磁性粉末が入り込むことを吸着体41A,41B,41Cが抑制するため、軸受部材38の劣化を抑制すること、ひいては、真空ポンプの劣化を抑制することが可能となる。
(2)吸着体41A,41Bがラビリンス状の経路を区画する分だけ、潤滑油37が流れる経路のなかで、磁力の作用する経路が長くなる。そして、磁性粉末が吸着体41A,41Bに吸着される機会が多くなる分だけ、上記(1)に準じた劣化の抑制効果が高められる。
(3)吸着体41Cが出口部39BEの周方向に並ぶため、軸受部材38を通る潤滑油37は、軸受部材38を通る直前に、複数の吸着体41Cのいずれかと接触しやすい。そのため、軸受部材38の内部に入り込み得る磁性粉末を、それが軸受部材38の内部に入り込む前に、より高い確率で吸着することができる。
(4)掻き上げプレート35に掻き上げられた潤滑油37は、バッフルプレート36に受け止められて滴下部39Aに向けて滴下される。そのため、掻き上げられた潤滑油37が滴下部39Aに至らずにギアハウジング31の底部へ戻ることを抑制することが可能となる。
(5)伝達ロータ部33の回転が潤滑油37を掻き上げ可能にするため、潤滑油37を掻き上げる他の動力源を必要とすることがない。そして、真空ポンプの構成を簡素化することが可能ともなる。
(6)バッフルプレート36から流れ出る潤滑油37は、吸着体41Aに滴下されて小さな液滴に変わる。小さな液滴に含まれる磁性粉末は、磁性粉末の周囲に位置する潤滑油37が少ない分だけ、潤滑油37のなかから取り出されやすい。それゆえに、潤滑油37が吸着体41Aに滴下される構成であれば、潤滑油37のなかに含まれる磁性粉末を効果的に吸着させることが可能ともなる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。
・潤滑油37を軸受ハウジング32に流す構成は、掻き上げプレート35による掻き上げに限らず、例えば、汲み上げポンプによる潤滑油37の汲み上げであってもよい。この際、掻き上げプレート35、および、バッフルプレート36をギアハウジング31の内部から割愛することが可能である。
・潤滑油37を軸受ハウジング32に流す構成は、掻き上げプレート35による掻き上げに限らず、例えば、汲み上げポンプによる潤滑油37の汲み上げであってもよい。この際、掻き上げプレート35、および、バッフルプレート36をギアハウジング31の内部から割愛することが可能である。
・吸着体41A,41B,41Cは、磁石と、当該磁石に磁気的に接続されるヨークとから構成されてもよい。ヨークを備える構成によれば、磁石が出力する磁束をヨークによって所望の位置に集中させたり分散させたりすることが可能となる。そして、磁性粉末を効率的に吸着させることが可能ともなる。
・吸着体41A,41B,41Cは、潤滑油37の流路を区画する壁面に固定されず、流路に充填された粒子体に変更することも可能である。この際、吸着体41A,41B,41Cと共に、上記変更例に記載のヨークを粒子体として充填することも可能である。すなわち、磁性粉末を吸着するためのラビリンス状の経路を粒子状の吸着体41A,41B,41Cによって構成し、液相の潤滑油37のなかから固相の磁性粉末を分離する充填体、言わばクロマトグラフィーのカラムを、真空ポンプが備えてもよい。吸着体41A,41B,41Cが充填された充填体は、真空ポンプの筐体と別体であってもよいし、一体であってもよい。また、潤滑油37は、吸着体41A,41B,41Cのなかを、重力による陽圧を受けて通過してもよいし、重力よりも高い陽圧を受けて通過する構成であってもよい。これにより、潤滑油37に吸着体41A,41B,41Cのなかを円滑に通過させること、および、磁性粉末の吸着確率を高めることが可能ともなる。また、真空ポンプのメンテナンスに際しては、粒子体を交換するのみで足りるため、真空ポンプが設置された環境での清掃工程の負荷が軽減されるため、真空ポンプの使用効率を向上させることも可能となる。
・ドレンポート31Dは、潤滑油37の中の磁性粉末を吸着する磁性ドレンプラグを備えてもよい。潤滑油37の中に存在する磁性粉末は、潤滑油37の液中に浮遊したり液中に沈んだりする。磁性ドレンプラグは、潤滑油37の中に沈んでいる磁性粉末を吸着し、その吸着分だけ、潤滑油37と共に循環する磁性粉末の量を少なくする。そのため、吸着体41A,41B,41Cが吸着し得る磁性粉末の量を少なくすること、ひいては、吸着体41A,41B,41Cに吸着された磁性粉末を吸着体41A,41B,41Cから取り除くためのメンテナンスに要する負荷を軽減することもできる。また、ドレンポート31Dは、非運転時において磁性粉末が沈降し集結する位置ともなり、脱着可能で清掃も容易であり、吸着する位置として非常に有効である。
・バッフルプレート36は、流路39と同じく、磁性粉末を吸着する吸着体を備えてもよい。また、流路39は、吸着体41A,41B,41Cのいずれかを割愛された構成とすることも可能である。要は、バッフルプレート36、滴下部39A、第二流路39B、および、第三流路39Cの少なくとも一つが、潤滑油37に含まれる磁性粉末を磁力によって吸着する吸着体を備える構成であればよい。
・真空ポンプは、ロータリーポンプやメカニカルブースターポンプの他にドライポンプを含んでもよい。
・真空ポンプは、ロータリーポンプやメカニカルブースターポンプの他にドライポンプを含んでもよい。
D…軸方向、10…ポンプ部、11…ハウジング、12…ポンプロータ部、13…吸気ポート、14…排気ポート、20…モーター、30…伝達部、31…ギアハウジング、31D…ドレンポート、32…軸受ハウジング、33…伝達ロータ部、34…同期ギア、35…掻き上げプレート、36…バッフルプレート、37…潤滑油、38…軸受部材、38E1,38E2…端部、39…流路、39A…滴下部、39B…第二流路、39BE…出口部、39C…第三流路、41A,41B,41C…吸着体。
Claims (7)
- ガスを移送するためのポンプロータ部を収容したポンプ部と、
電動機の回転を前記ポンプロータ部に伝達する伝達ロータ部と、
前記伝達ロータ部を支持する軸受部材と、
前記軸受部材を収容する収容部と、
潤滑油を貯留する油貯留部と、
前記油貯留部から掻き上げられた潤滑油を前記収容部へ流す第一流路と、を備え、
前記収容部は、前記第一流路から流れ込む潤滑油が滴下される滴下部と、前記滴下部から前記軸受部材へ潤滑油を流す第二流路と、を備え、
前記滴下部、前記第一流路、および、前記第二流路の少なくとも一つが、潤滑油に含まれる磁性粉末を磁力によって吸着する吸着体を備える
真空ポンプ。 - 前記吸着体が、磁石とヨークとを備える
請求項1に記載の真空ポンプ。 - 前記吸着体は、潤滑油が流れる経路をラビリンス状に区画する
請求項1または2に記載の真空ポンプ。 - 前記第二流路は、前記伝達ロータ部の周方向に沿う環状を有し、かつ、前記伝達ロータ部の軸方向において前記軸受部材と対向する出口部を備え、
前記吸着体は、前記伝達ロータ部の周方向に沿って前記出口部に並んでいる
請求項1から3のいずれか一項に記載の真空ポンプ。 - 前記油貯留部は、磁性ドレンプラグを備える
請求項1から4のいずれか一項に記載の真空ポンプ。 - 前記第一流路が、バッフルプレートである
請求項1から5のいずれか一項に記載の真空ポンプ。 - 前記伝達ロータ部は、潤滑油を掻き上げるための掻き上げプレートをさらに備える
請求項1から6のいずれか一項に記載の真空ポンプ。
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