図1及び図2は、本発明を適用した乗用田植機の全体側面図及び全体平面図である。本乗用田植機は、前輪1,1及び後輪2,2を備えた走行機体3と、該走行機体3の後部に昇降リンク4を介して昇降自在に連結された植付作業機6と、該植付作業機6と後輪2との間に配置された整地作業機7と、圃場側にペースト状の肥料を散布する施肥装置8とを備えている。
前記走行機体3は、前側に配置されたボンネット9と、該ボンネット9の後方で各種操作具が配置された操縦部11とを備えている。また、該走行機体3の前部側には、測位衛星から前記走行機体3の位置情報を取得(受信)することができるGNSSユニット(GPSユニット,受信ユニット)12が設けられている(図1及び図2参照)。
前記操縦部11には、オペレータが着座する座席13と、該座席13の前方に配置された操向操作具であるステアリングハンドル14と、該ステアリングハンドル14の左右一方(左)側に配置された主変速レバー16と、該ステアリングハンドル14の左右他方(右)側に配置された副変速レバー17と、該副変速レバー17と並べて配置されてエンジンの回転数を操作するコントロールレバー18と、床面を形成するフロアステップ19とが設けられている。
該ステアリングハンドル14に連結されたステアリング軸側には、回転位置を検出することによってステアリングハンドル14の操作位置を検出するポテンショメータ等のセンサからなる操作位置検出センサ(操舵角センサ)20と、該ステアリングハンドル14の真下側に取付けられて該ステアリング軸を介してステアリングハンドル14を自動的に操作可能な操舵ユニット(自動操舵装置)21とが設けられている。詳しくは後述する。
上記主変速レバー16は、前後揺動操作によって走行変速を操作できる他、上端の把持部内側に前記植付作業機の昇降操作を操作する上昇スイッチと、下降スイッチとが上下に配置されている。
上記副変速レバー17は、前後揺動操作されることにより、圃場面等での作業走行に適した低速状態と、路上走行に適した高速状態とに切換えることができるように構成されており、各状態に応じて前記主変速レバー16によって変速操作可能な走行機体3の速度域が切換えられる。
前記GNSSユニット12は、前記操縦部11のボンネット9を左右方向に跨ぐように設けられた門型のフレーム部材22と、該フレーム部材22の上辺側に左右一対設けられた受信アンテナ(GNSSアンテナ)である受信装置23,23とを備えており、該受信装置23はコントロールエリアネットワーク(CAN)等を介して、後述する制御部50に接続され、該受信装置23によって取得された衛星測位システムによる位置情報、方位情報等を該制御部50に入力することができるように構成されている。
該受信装置23は、前記フレーム部材22によって走行機体3のボンネット上方側に配置されたことにより、衛星からの位置情報が取得し易くなる。また、該受信装置23が左右方向のフレーム部材22上に左右一対設けられたことにより、走行機体3の位置情報をより正確に取得することができる。
また、該GNSSユニット12は、前記制御部50に無線通信(Bluetooth(登録商標)等)を介してタブレット等の情報端末24が接続可能に構成されており、該情報端末24にはナビゲーションソフトがインストールされている。ちなみに、該情報端末24は、例えば前記操舵ユニット21側に設けたUSBソケットを介して、前記制御部50側に有線接続されるように構成しても良い。
該構成により、前記制御部50は、前記GNSSユニット12の受信装置23から取得された走行機体3の位置情報に基づいて、前記走行機体3を予め演算・設定された圃場面上の目標ラインに沿って走行するように前記ステアリングハンドル14の操作を自動的に制御する自動操舵制御が実行可能に構成されている。詳しくは後述する。
また、該制御部50は、走行機体3が作業走行する目標ライン(仮想線、仮想ライン)を自動的に算出するティーチング走行制御が実行可能に構成されており(図4参照)、作業走行を行う走行エリアや、該走行エリア内に設定された目標ライン、走行機体3の現在位置や走行状況等を、前記情報端末24によって確認することができるように構成されている。詳しくは後述する。
ちなみに、前記GNSSユニット12には、RTK基地局からの補正情報(基地局の座標データ)を取得する補正信号受信装置26が設けられており、前記受信装置23(GNSSアンテナ)によって取得された位置情報と組み合わせることで誤差を補正して測位精度を向上させることができるように構成されている。
前記植付作業機6は、左右方向に延設されて主フレームをなす横フレーム31と、該横フレーム31の真後側近傍から前方に向かって上方傾斜されて背面側に苗が載置される苗載台32と、該苗載台32の下端側からマット苗を掻取って圃場に植付ける植付部33と、上記苗載台32の下方に配置されて圃場面に接地される前後方向のフロート34とを備え、昇降シリンダによって走行機体3の後部側に昇降作動可能に構成されている。
左右方向に複数並べて配置された上記フロート34のうち、中央に配置されたセンターフロート34Aは、圃場面からの土圧を感知する感知体として機能する。これにより、該センターフロート34Aが圃場面と接地した際に受けた圃場の状態(土圧)に応じて、前記植付作業機6の昇降位置(植付作業する植付高さ)を制御することができる。
次に、図3に基づき、前記操舵ユニットと、前記制御部による自動操舵制御について説明する。図3(A)は、操舵ユニットの設置状況を示した要部斜視図であり、図3(B)は、操作パネルを示した正面図である。
前記操舵ユニット21は、前記ステアリング軸を回転駆動させるギヤ機構(図示しない)と、該ギヤ機構側に噛み合う出力ギヤを有するモータ等のアクチュエータであるステアリングモータ36と、前記自動操舵制御の実行を操作する操作パネル37と、報知ブザー38や各種ランプ等の報知表示部39等からなる報知手段と、前記制御部50とを備え、前記ステアリング軸側に着脱可能に取付けられるように構成されている。
前記操作パネル37は、左右方向のパネル状に形成されて前記ステアリングハンドル14の真下側に配置されており、左右一方側(図示する例では左側)には、前記制御部50による自動操舵制御の実行と停止を操作する自動操舵スイッチ41が設けられている。該自動操舵スイッチ41は、前記自動操舵制御の開始を操作する自動操舵開始スイッチ41Aと、該自動操舵制御の停止を操作する自動操舵停止スイッチ41Bとが上下に並べて配置されている。
また、該操作パネル37の中央側には、前記ティーチング走行制御による始点(A点)を設定する始点(A点)登録スイッチ42と、終点(B点)を設定する終点(B点)登録スイッチ43とが左右に並べて配置されている。詳しくは後述する。
また、各スイッチ41,42,43の近傍(図示する例では上側)には、作業者に作業車両の各種状況を報知する報知ランプ(報知表示部39)が配置されている(図3(B)参照)。具体的には、前記自動操舵開始スイッチの上側には、前記自動操舵制御が実行中の場合に点灯する自動操舵ランプ39Aが設けられ、前記始点登録スイッチと終点登録スイッチの上側には、始点と終点の設定状況を報知する始点(A点)報知ランプ39Bと終点(B点)報知ランプ39Cとが配置されている。
なお、該始点報知ランプ39Bと終点報知ランプ39Cは、作業走行を行う走行エリアZ内において前記始点(A点)と、前記終点(B点)が設定可能な状態で且つ各点が設定されていない場合には点滅し、各点の設定作業が終了した場合には点灯するように構成されている。
さらに、該操作パネル37は、左右他方側(図示する例では右側)には、前記報知表示部39として各種報知ランプが設けられている。具体的には、作業走行中の作業車両が所定の規定速度を超えていることを報知する速度超過ランプ39Dと、作業車両の走行速度を増速操作可能な状態であることを報知する増速許容ランプ39Eと、作業車両が前記目標ライン上を走行していることを報知する目標ラインランプ39Fとが設けられている。
ちなみに、該操作パネル37に配置されるスイッチ操作具や報知ランプは上記のものに限られない。例えば、前記自動操舵制御の実行時に目標ライン上を走行するように前記ステアリングハンドルを制御する際の追従性(応答性)を調整する追従性調整スイッチと、追従性のランクを表示する追従性表示ランプとを設けても良い。
次に、図4乃至6に基づき、前記ティーチング走行制御によって設定される作業走行経路について説明する。図4は、ティーチング走行制御により算出される仮想線のモデル図であり、図5は、制御部による誘導ブザー制御の実行例を示したモデル図であり、図6(A)及び(B)は、自動操舵制御による速度規制の実行例を示したモデル図である。
前記制御部50による前記ティーチング走行制御は、図4に示されるように、前記走行機体3が作業走行を行う走行エリアZの情報を取得するとともに、前記始点登録スイッチ42及び終点登録スイッチ43により前記始点(A点)と前記終点(B点)とを登録して該始点と終点とを結ぶ基準線(L0)を設定することにより、前記走行エリアZ内で走行機体が走行すべき経路である目標ラインである仮想線(L1,L2,・・・)を自動的に算出することができるように構成されている。
これにより、前記自動操舵制御は、前記ティーチング走行制御によって算出された複数の仮想線Lの中から最も近い仮想線L(目標ライン)を検出し、検出された目標ライン上を前記走行機体3が走行するように前記ステアリングハンドル14の操作を自動的に制御するように構成されている。すなわち、前記走行機体3を前記ティーチング走行制御によって予め算出された目標ライン(仮想線)上をスムーズに走行させることができる。
このとき、該自動操舵制御は、前記自動操舵制御の実行中に、作業者によるステアリング(旋回)操作が検出された場合には、前記操舵ユニット21によるステアリングハンドル14の自動操舵を一時的に規制し、旋回終了後に、該操舵ユニット21によるステアリングハンドル14の自動操舵を再開する制御(以下、枕地旋回時の自動操舵規制制御)が実行されるように構成されている(図4乃至6参照)。詳しくは後述する。
また、前記自動操舵制御は、図5に示されるように、前記走行機体3が作業者によって旋回完了位置よりも手前に設定された所定の任意位置まで旋回操作された場合には、該走行機体3から最も近い仮想線である目標ラインが切換えられたことを前記報知ブザーで報知するとともに、該走行機体3が目標ラインよりも所定以上離れた位置を走行していること(非適正状態)が検出された場合には、その旨を前記報知ブザー38によって作業者に報知する誘導ブザー制御が実行されるように構成されている。
このとき、前記制御部50は、前記走行機体3の位置座標から最も近い仮想線である目標ラインに対して、幅(左右)方向のズレ(以下、ズレ幅D)と、該目標ラインに対する前記走行機体3の進行方向の角度のズレ(以下、ズレ角θ)を検出することにより、走行機体3が目標ライン上からどれだけ離れているか、走行機体3が目標ライン上を真っすぐ走行しているか否かを判定できるように構成されている(図5及び図6参照)。
これにより、前記誘導ブザー制御は、前記走行機体3が前記目標ライン上から所定の範囲内に収まった状態(適正状態)で走行されていることが検出された場合には、前記報知ブザー38による断続的な報知音を1回鳴らし、前記走行機体が前記目標ライン上からやや外れていることが検出された場合には、前記報知ブザー38による断続的な報知音を2回鳴らし、前記走行機体3が前記目標ライン上から大きく外れていることが検出された場合には、前記報知ブザー38による断続的な報知音を3回鳴らすように構成されている(図5に示すパターン1参照)。
また、前記誘導ブザー制御は、前記走行機体3の目標ラインからのずれを、前記報知ブザー38による報知音(断続音)の回数ではなく、報知ブザー38による報知音の周期(長さ)によって作業者に報知する構成であっても良い。具体的には、該誘導ブザー制御は、前記走行機体3が前記目標ライン上に沿って走行されていることが検出された場合には、前記報知ブザー38による長周期の報知音を鳴らし、前記走行機体3が前記目標ライン上からやや外れていることが検出された場合には、前記報知ブザー38による中周期の報知音を鳴らし、前記走行機体3が前記目標ライン上から大きく外れていることが検出された場合には、前記報知ブザー38による短周期の報知音を鳴らすように構成しても良い(図5に示すパターン2)。
ちなみに、該誘導ブザー制御において、前記走行機体3が目標ライン上に沿っているか否かは、前記ズレ幅Dと、予め設定された複数段階(本実施例では2段階)の設定幅d1(Dtole)<d2とを比較することにより判断される。
具体的には、前記制御部50は、前記受信装置23に基づいて検出された前記ズレ幅Dが、d1(Dtole)内に収まっていれば、前記走行機体3が略目標ライン上を走行しているもの(適正状態)と判断し、d1≦ズレ幅D≦d2の場合には、前記走行機体3が目標ライン上からやや外れているもの(非適正状態)と判断し、前記ズレ幅Dがd2よりも大きい場合には、前記走行機体3が目標ライン上から大きく外れているもの(非適正状態)と判断するように構成されている。なお、該誘導ブザー制御は、図5に示すパターン1とパターン2を同時に実行するように構成しても良い。
また、前記自動操舵制御は、図6に示されるように、前記走行機体3が前記目標ラインに対して、前記ズレ幅Dと前記ズレ角θが予め設定された所定の値(Dtole,θtole)以上であること(非適正状態)が検出された場合には、前記主変速レバー16による該走行機体3の増速操作が規制される他、走行機体が予め設定した所定速度(Vtole)を超過している場合にはその旨を作業者に報知するように構成されている(図6(A)参照)。
このとき、前記制御部50は、前記走行機体3が目標ラインに対してのズレ幅Dと、ズレ角θが所定の範囲内に収まり、走行機体3が目標ライン上に沿って走行できていることが検出された場合には、前記走行機体3の増速作動が許容されるように構成されている(図6(B)参照)。
上述の図4乃至6に示されたモデル図は、タブレット型の前記情報端末にリアルタイムで表示することができるように構成しても良い。
次に、図7乃至11に基づいて、前記制御部による自動操舵制御について説明する。図7は、制御部のブロック図である。前記制御部50の出力側には、前記ステアリングモータ36と、前記報知ブザー38と、上述の各種報知ランプ39A〜39F等からなる前記報知表示部39とが接続されている。
その一方で、前記制御部50の入力側には、前記始点登録スイッチ42と、前記終点登録スイッチ43と、前記自動操舵スイッチ41と、前記主変速レバー16と、前記副変速レバー17と、前記ステアリングハンドル14による操舵角を検出する前記操舵角センサ20と、前記走行機体3の車速を検出する車速センサ44と、前記走行機体3の走行距離をカウントする回転センサ46とが接続されている。
また、該制御部50の入力側には、前記GNSSユニット12が接続されており、該GNSSユニット12には、前記作業車両の位置データと、方位データとを取得する前記受信装置23(GNSSアンテナ)と、タブレット等の前記情報端末24と、RTK基地局からの情報を受信する前記補正信号受信装置26とが接続されている。
次に、図8に基づいて、前記ティーチング走行制御について説明する。図8は、ティーチング走行制御を示したフロー図である。前記ティーチング走行制御の処理フローが開始されると、ステップS1に進む。ステップS1では、走行エリアZ内において前記始点登録スイッチ42の押操作が検出された地点を始点(A点)として登録し、前記終点登録スイッチ43の押操作が検出された地点を終点(B点)として登録し、ステップS2に進む。
ステップS2では、登録された始点(A点)と終点(B点)を基に、前記基準線(基準ライン)L0を演算し、ステップS3に進む。
ステップS3では、前記基準線L0と、前記受信装置23から受信された走行エリアZとに基づいて、該走行エリアZ内における次工程以降の目標ラインである前記仮想線(L1,L2,L3,・・・)を演算し、その後、リターンする。
すなわち、該構成のティーチング走行制御によれば、前記始点登録スイッチ42と、終点登録スイッチ43とによって、走行エリアZ内において一本の基準線L0を設定することによって、走行エリアZ内を走行する際の次工程以降の目印となる目標ラインとして複数の仮想線(L1,L2・・・)を自動的に演算、設定することができる(図5等参照)。
次に、図9に基づいて、前記自動操舵制御のメインフローについて説明する。図9は、自動操舵制御を示したフロー図である。前記自動意操舵制御の処理フローが開始されると、ステップS11に進む。ステップS11では、前記ティーチング走行制御によって算出された複数の仮想線の中から、前記受信装置23により取得された走行機体3の現在位置から最も近い仮想線Lを検出して目標ラインとして設定し、ステップS12に進む。
ステップS12では、前記枕地旋回時の自動操舵規制制御のサブルーチンが実行されることによって、前記操舵ユニット21による自動操舵が許容される自動操舵ON許容か、該操舵ユニットによる自動操舵を規制する自動操舵ON規制の何れかのフラグをセットし、ステップS13に進む。詳しくは後述する。
ステップS13では、自動操舵ON許容のフラグがセットされているか否かが確認され、前記自動操舵ON許容のフラグがセットされていることが検出された場合には、ステップS14に進む。なお、該ステップS13において、自動操舵ON規制のフラグがセットされた状態であった場合には、その後、リターンする。
ステップS14では、前記受信装置23によって前記走行機体3が目標ライン近くに設定された前記任意位置に到達したか否かが検出され、前記走行機体3が任意位置に到達したことが検出された場合には、ステップS15に進む。
ステップS15では、前記誘導ブザー制御(誘導ブザー吹鳴制御)のサブルーチンが実行されることによって、作業者に走行機体3が目標ライン上を走行しているのか或いは該目標ラインからどの程度離れているのかが報知され、その後、ステップS16に進む(図6参照)。
なお、ステップS14において、前記走行機体3が任意位置に到達していないことが検出された場合には、そのままステップS16に進む。
ステップS16では、前記自動操舵スイッチ41(自動操舵開始スイッチ41A)により、自動操舵制御が実行可能な自動操舵ON状態に切換えられた状態か否かが確認され、自動操舵ON状態に切換えられていることが検出された場合には、ステップS17に進む。なお、ステップS16において、自動操作ON状態に切換えられていることが検出されなかった場合には、その後、リターンする。
ステップS17では、前記走行機体3と最も近い仮想線(目標ライン)Lとの間で左右方向のズレである前記ズレ幅Dが、予め設定された許容ズレ幅Dtole内に収まっているか否かが確認され、前記ズレ幅D≦前記許容ズレ幅Dtoleであることが検出された場合には、ステップS18に進む。
ステップS18では、前記走行機体3の進行方向と最も近い仮想線(目標ライン)Lとの間の角度のズレである前記ズレ角θが、予め設定された許容ズレ角θtole内に収まっているか否かが確認され、前記ズレ角θ≦前記許容ズレ角θtoleであることが検出された場合には、ステップS19に進む。
ステップS19では、前記報知表示部39や報知ブザー38によって、前記走行機体3の速度アップが許容される状態であることを作業者に報知し、その後、リターンする。
すなわち、前記自動操舵制御の実行中に、前記走行機体3が前記目標ライン上を所定の範囲内で走行していること(適正状態)が検出された場合には、前記走行機体3の増速操作が許容され、その旨が作業者に報知される。
ステップS17において、前記ズレ幅D≧前記許容ズレ幅Dtoleであることが検出された場合、又は、ステップS18において、前記ズレ角θ≧前記許容ズレ角θtoleであることが検出された場合には、何れも、ステップS20に進む。
ステップS20では、検出された前記ズレ幅Dと、前記ズレ角θに基づいて、前記走行機体3を目標ライン上に戻すために必要なステアリングハンドル14の操作量である修正操舵角θsを演算する。その後、得られた修正操舵角θsの分だけ前記ステアリングハンドル14が自動的に操作されるように前記ステアリングモータ36を駆動させ、その後、ステップS21に進む。
ステップS21では、前記車速センサ44によって検出された前記走行機体3の車速Vが前記操舵ユニット21による自動操舵中に許容される予め設定された所定の車速Vtoleを超えているか否かが確認され、検出された車速V≧前記所定の車速Vtoleであることが検出された場合には、ステップS22に進む。
ステップS22では、前記走行機体3が自動操舵中に許容されている速度を超過している旨が作業者に報知(警報)され、その後、リターンする。
なお、ステップS21において、検出された車速V≦前記所定の車速Vtoleが検出された場合には、その後、リターンする。
上記によれば、前記操舵ユニット21を介して、前記走行機体3が目標ライン上を走行するように前記ステアリングハンドル14のステアリング操作が実行されている場合には、走行機体の車速が前記所定の車速Vtoleを超えると作業者に対して警告を行うように構成されている。すなわち、前記操舵ユニット21を介した自動操舵が行われている最中に増速操作されることがなくなるため、安全性が向上する。
次に、図10に基づいて、前記誘導ブザー制御について説明する。図10は、誘導ブザー制御を示したフロー図である。前記誘導ブザー制御のサブルーチンが実行されると、ステップS31に進む。ステップS31では、前記受信装置23によって取得された走行機体3の位置情報(座標データ)と、最も近い仮想線L(目標ライン)との間のズレ幅Dが前記d2よりも大きいか否かが確認され、ズレ幅D≧d2であることが検出された場合には、ステップS32に進む。
ステップS32では、前記報知ブザーによって、断続音からなる報知音を3回鳴らす(図5パターン1)か、短周期の報知音を鳴らす(図5パターン2)ことにより、作業者に走行機体が最も近い仮想線L(目標ライン)から大きく外れていることを報知し、その後、リターンする。
ステップS31において、ズレ幅D≦d2であることが検出された場合には、ステップS33に進む。
ステップS33では、前記受信装置23によって取得された走行機体3の位置情報(座標データ)と、最も近い仮想線L(目標ライン)との間のズレ幅Dが前記d1よりも大きいか否かが確認され、ズレ幅D≧d1であることが検出された場合には、ステップS34に進む。
ステップS34では、前記報知ブザーによって、断続音からなる報知音を2回鳴らす(図5パターン1)か、中周期の報知音を鳴らす(図5パターン2)ことにより、作業者に走行機体が最も近い仮想線L(目標ライン)からやや外れていることを報知し、その後、リターンする。
ステップS33において、ズレ幅D≦d1であることが検出された場合には、ステップS35に進む。
ステップS35では、前記報知ブザーによって、断続音からなる報知音を1回鳴らす(図5パターン1)か、長周期の報知音を鳴らす(図5パターン2)ことにより、作業者に走行機体が略仮想線L(目標ライン)上に沿って走行していることを作業者に報知し、その後、リターンする。
該構成によれば、前記報知ブザー38を鳴らすパターンを変えるという簡易な構成によって、前記走行機体3が目標ライン上に略乗っている適正状態であるか否か、該走行機体3がどの程度目標ラインから離れているのかの情報を効率的且つスムーズに作業者に知らせることができる。
次に、図11に基づいて、前記枕地旋回時の自動操舵規制制御について説明する。図11は、枕地旋回時の自動操舵規制制御を示したフロー図である。前記枕地旋回時の自動操舵規制制御のサブルーチンが実行されると、ステップS41に進む。ステップS41では、前記操舵角センサ20により、前記ステアリングハンドル14による所定角θ0以上のステアリング操作があったか否かが確認され、所定角θ0以上のステアリング操作、言い換えると、圃場端側での旋回操作が検出された場合には、ステップS42に進む。
ステップS42では、前記制御部50は、前記ステアリングハンドル14による旋回操作が検出された場所を、旋回開始位置として設定するとともに、旋回フラグをセットする。さらに、前記報知ブザーによる報知音によって作業者に圃場端により旋回走行が開始されたことを報知し、その後、リターンする。
ステップS41において、前記ステアリングハンドル14による所定角θ0以上のステアリング操作(旋回操作)が検出されなかった場合には、ステップS43に進む。ステップS43では、旋回フラグがセットされているかリセットされているかが確認され、旋回フラグがセットされていることが検出された場合には、ステップS44に進む。なお、ステップS43において、旋回フラグがリセットされていることが検出された場合には、その後、リターンする。
ステップS44では、前記受信装置23によって、前記走行機体3と最も近い仮想線(目標ライン)が隣接する仮想線に切換ったか否かが確認され、前記目標ラインとなる仮想線Lが切換ったことが検出されなかった場合には、ステップS45に進み、ステップS45では、自動操舵ON規制のフラグがセットされ、その後、リターンする。
ステップS44において、前記目標ラインとなる仮想線Lが切換ったことが検出された場合には、ステップS46に進み、ステップS46では、自動操舵ON許容のフラグがセットされるとともに、前記報知ブザー38によって前記目標ラインが隣接する仮想線Lに切換ったことが作業者に報知され、その後、ステップS47に進む。
ステップS47では、前記操舵角センサ20や受信装置23等によって、前記走行機体3が旋回開始位置から所定角θ2以上旋回走行されたか否かが確認され、前記走行機体3が旋回開始位置から所定角θ2以上旋回したことが検出された場合には、ステップS48に進む。
このとき、旋回開始位置から所定角θ2以上旋回されたことを検出することによって、前記走行機体3が圃場端側の旋回開始位置から略180°旋回されて、圃場端側での折返しが完了したことを検出している(図5参照)。
ステップS48では、旋回フラグをリセットするとともに、前記報知ブザー38によって旋回走行が終了したことを作業者に報知し、その後、リターンする。なお、ステップS47において、前記走行機体3が旋回開始位置から所定角θ2以上旋回したことが検出されなかった場合には、その後、リターンする。
該構成によれば、走行機体が目標ラインの端部側(圃場端、枕地側)で旋回操作された場合には、前記操舵ユニット21を介した自動操舵が規制され、前記走行機体から最も近い仮想線である目標ラインが、異なる仮想線Lに切換ったことが検出された場合には、前記操舵ユニット21による自動操舵の規制を解除し、その旨を作業者に報知するように構成されている。
次に、図12乃至14に基づいて、前記枕地旋回時の自動操舵規制制御の別実施例について、上述の例と異なる点について説明する。図12は、枕地旋回時の自動操舵規制制御の第2実施例を示したフロー図である。
図12に示されるように、ステップ44−2では、前記受信装置23と操舵角センサ20によって、前記走行機体3が旋回開始位置から所定角度θ1以上、具体的に説明すると、前記走行機体3が旋回開始位置から90°以上旋回されたか否かが確認され、走行機体3が旋回開始位置から90°以上旋回されたことが検出された場合には、ステップS46に進み、自動操舵ON許容のフラグがセットされるように構成されている(図5及び図12参照)。
すなわち、枕地で旋回操作された場合に、前記操舵ユニット21による自動操舵の規制を開始するとともに、前記操舵角センサ20等によって走行機体3が旋回開始位置から90°旋回されたことが検出された場合に、前記操舵ユニットによる自動操舵の規制が解除されるように構成されている。
図13は、枕地旋回時の自動操舵規制制御の第3実施例を示したフロー図である。図13に示されるように、ステップS44−3では、前記受信装置23によって、前記走行機体3が旋回開始位置から所定距離以上走行されたか否かが確認され、前記走行機体3が旋回開始位置から所定距離以上走行したことが検出された場合には、ステップS46に進み、自動操舵ON許容のフラグがセットされるように構成されている。
すなわち、枕地で旋回操作された場合に、前記操舵ユニット21による自動操舵の規制を開始するとともに、前記回転センサ46等によって走行機体3が旋回開始位置から所定距離以上走行されたことが検出された場合には、前記操舵ユニットによる自動操舵の規制が解除し、その旨を作業者に報知するように構成されている。
図14は、枕地旋回時の自動操舵規制制御の第4実施例を示したフロー図である。図14に示されるように、ステップS44−4では、前記受信装置23によって、前記走行機体3の旋回操作が検出されて旋回フラグがセットされてから、走行機体の進行方向のベクトル成分に、次工程の目標ライン上を走行する際の進行方向の成分が現れたことが検出された場合には、ステップS46に進み、自動操舵ON許容のフラグがセットされるように構成されている。
すなわち、枕地で旋回操作された場合に、前記操舵ユニット21による自動操舵の規制を開始するとともに、前記受信装置23等によって検出される走行機体3の方位情報によって次工程の仮想線L方向のベクトル成分が検出された場合には、前記操舵ユニットによる自動操舵の規制が解除し、その旨を作業者に報知するように構成されている。