本発明を実施するための形態を説明する。
図1は、本発明の農作業機用案内システムの一実施形態を示すブロック図である。本発明は、トラクタ1に装着して農作業を行う作業機の操作とトラクタ1の走行経路を案内するためのシステムである。
本発明は、GPSユニット11、慣性センサユニット12、方位センサ13、オフセット回動量センサ14、作業部回動量センサ15、制御部20、記録部21、操作・表示部26、オフセット回動アクチュエータ31、作業部回動アクチュエータ32を有している。また必要に応じて、ガイド装置25、データ(入)出力部22、記録メディア41、PC・情報端末42を用いてもよい。また、トラクタ1には、必要に応じて、GPSユニット5、ガイド装置6、自動操舵補助システム7を有していてもよい。
ユーザー201は、基本的には、トラクタ1の運転席にいて、操作・表示部26又はガイド装置25の案内によりトラクタ1のハンドル8等を操作する。なお、自動操舵補助システムを使用する場合は、ハンドル8を操作しなくてもよい場合がある。
GPSユニット11は、GPS(Global Positioning System)を用いたシステムでありGPS衛星301からのGPS信号を受信して、信号処理を行い現在の位置を特定するためのユニットである。GPSユニット11は作業機に設置することができる。ただし、トラクタ1にGPSユニット5を有している場合はそちらで代用してもよい。またGPS以外に現在の位置を特定するためのシステムを利用でき、QZSS(Quasi−Zenith Satellite System)、GLONASS(Global Navigation Satellite System)、Galileo等を利用してもよい。
慣性センサユニット12は、作業機が停止しているか動いているかの検出、作業機の位置がどの程度変化したかの検出、作業機の姿勢の変化の検出等を行うために使用するセンサである。例えば、ロール、ピッチ、ヨーの各軸における角速度と、x、y、zの3軸方向の加速度を検知可能なものを使用することができる。慣性センサユニット12は作業機に設置することができる。
方位センサ13は、方位を検出するセンサである。例えば、地磁気センサなどを用いることができる。方位センサ13は作業機に設置することができる。
オフセット回動量センサ14は、オフセット回動アクチュエータ31による変化を検知し、オフセット量や作業部の状態を検知できるセンサである。例えば、ポテンショメータを用いることができる。またこれ以外に、オフセット回動アクチュエータ31がシリンダの場合は、このシリンダのストロークを検知するストロークセンサを用いることもできる。オフセット回動量センサ14は作業機に設置する。
作業部回動量センサ15は、作業部回動アクチュエータ32による変化を検知し、作業部の状態やオフセット量を検知できるセンサである。ポテンショメータを用いることができる。またこれ以外に、作業部回動アクチュエータ32がシリンダの場合は、このシリンダのストロークを検知するストロークセンサを用いることもできる。また、前進作業状態か、格納状態か、後進作業状態かのみを検知するのであれば、リミットスイッチを用いることができる。
オフセット回動量センサ14と作業部回動量センサ15は、作業機の前進作業状態、格納状態、後進作業状態を検知し、基準位置から前進及び後進の作業位置(後述する前進畦形成基準位置や後進畦形成基準位置)までの距離を特定するためのセンサとすればよく、上記以外の組合せでも、必要に応じたセンサを用いて、必要に応じて組合せて用いてもよい。
制御部20は、GPSユニット11、慣性センサユニット12、方位センサ13、オフセット回動量センサ14、作業部回動量センサ15で検知した情報の信号を入力する。また、操作・表示部26からの操作による信号も入力する。そして、必要な情報を操作・表示部26やガイド装置25へ出力する。さらに、オフセット回動アクチュエータ31と作業部回動アクチュエータ32の制御も行う。また、トラクタ1にGPSユニット5を有している場合は必要に応じてGPSユニット5から検知した情報の信号を入力する。トラクタ1にガイド装置6を有している場合は必要に応じてガイド装置6へ必要な情報を出力する。制御部20は、制御のために必要な電子デバイス等で構成され、コントロールボックスとしてボックス内に格納して独立させることもできる。制御部20は、後述する制御を行うために作業機側に設定される。一方で、制御部20を操作・表示部26側に一体もしくは近傍に別体で設けて、GPSユニット11、慣性センサユニット12、方位センサ13、オフセット回動量センサ14、作業部回動量センサ15、オフセット回動アクチュエータ31、作業部回動アクチュエータ32と有線接続させることも可能である。
記録部21は、制御部20で必要な情報を記憶する。また、過去の制御に関する情報を記憶しておいて制御部20の制御に反映させてもよい。記録部21は制御部20と一体に構成することもできる。
データ(入)出力部22は、記録部21に記憶した情報を、外部の記録メディア41やPC・情報端末42へ出力するために有しており、制御部20や記録部21と一体に構成することもできる。これによりデータの保管や確認や、外部機器での出力が可能となる。
操作・表示部26は、トラクタ1の運転席近傍に配置可能であり、操作部と表示部を有している。そして、操作部の操作により、遠隔でオフセット回動アクチュエータ31や作業部回動アクチュエータ32等の作業機に有するアクチュエータの操作が可能となっている。また、トラクタ1の運転や操作・表示部26の操作の方法を案内するための表示部を有している。また、音声で案内するための音声出力部を有していてもよい。操作・表示部26からの操作情報に関する信号は制御部20へ送られ、また、運転や操作の案内の情報は制御部20から送られる。このとき、制御部20との情報のやりとりは、有線又は無線で行うようにすればよい。
ガイド装置25は、必要に応じて操作・表示部26に加えて、操作・表示部26に対して外付けするなどして設置される。例えば、操作・表示部26に加えて表示部を有するガイド装置25として用いることや、操作・表示部26の表示部の代わりにガイド装置25の表示部を用いること等である。この場合、ガイド装置25は、トラクタの運転や操作・表示部26の操作を案内するためのガイド機能を有する装置となる。
オフセット回動アクチュエータ31は、農作業を行う作業機の作業部のオフセットをするためのアクチュエータである。
作業部回動アクチュエータ32は、農作業を行う作業機の作業部を回動させて、前進作業方向や後進作業方向に回動させることを可能とするためのアクチュエータである。
オフセット回動アクチュエータ31と作業部回動アクチュエータ32は、作業機に設けられており、制御部20により制御される。アクチュエータは、例えば、電動油圧シリンダ、油圧シリンダ、モータ等があげられる。なお、これらのアクチュエータは、作業機を前進作業状態、格納状態、後進作業状態にするためのアクチュエータであればよく、これらの組合せに限定されなくてもよい。
GPSユニット5は、トラクタ1にGPSユニット5を有している場合に利用可能である。基本的な構成はGPSユニット11と同様であるが、GPSユニット5の場合は、トラクタ1での取り付け位置を確認して、それと基準位置との距離をふまえて制御を行う必要がある。
ガイド装置6は、トラクタ1にガイド装置6を有している場合に利用可能である。基本的な構成はガイド装置25と同様であるが、トラクタ1に自動操舵補助システム7を有している場合はそちらに操舵信号を送信してもよい。
自動操舵補助システム7は、トラクタ1に自動操舵補助システム7を有している場合に利用可能である。この場合、ガイド装置6から、操舵信号を受信して、それに基づき自動でトラクタ1の操舵を行うことを可能とする。
本発明は、少なくとも前進作業状態と後進作業状態に変更可能な作業機について、上述したセンサや必要に応じてトラクタ1からの情報等を用いて、現在位置を特定するための位置検知と、移動距離を検知する移動距離検知と、停止を検知するための停止検知と、方位を検知する方位検知と、作業機のトラクタに対する上下方向の姿勢を検知する姿勢検知と、作業機の少なくとも前進作業状態と後進作業状態を検知する作業状態検知を行い、これらの検知を用いて表示部26に操作の案内をする表示をさせることができる。
図2は、本発明の農作業機用案内システムに適用する作業機の一例を示す平面図である。この作業機は、畦を形成する畦塗り機50である。畦塗り機50は、前進作業状態、格納状態、後進作業状態に変更可能であり、図2は、格納状態を示す。
畦塗り機50は、装着部51の前側に有する取付部51a、取付部51bをトラクタの連結部材に取り付け、装着部51をトラクタ1の後部に装着する。装着部51と中間フレーム52は、水平方向に回動可能な支点52a(図3、4に記載)により連結され、中間フレーム52と作業部58は、水平方向に回動可能な支点52bにより連結されている。第1電動油圧シリンダ54は、装着部51と中間フレーム52の間に接続されている。第2電動油圧シリンダ55は、作業部58と中間フレーム52と連動するリンク機構53の間に接続されている。
作業部58は、作業方向前側から前処理部59、耕耘部56、ディスク部57を有している。前処理部59は必要に応じて取り付けられ、図2以外では図示を省略している。作業時は、トラクタ1から伝達された動力により前処理部59で旧畦の上面を削るなどの前処理をして、耕耘部56で旧畦の土を盛り上げ、ディスク部57の回転により畦形状に形成する。ディスク部57は、畦の法面を形成する本体ディスク部57aと、畦の上面を形成する上面ディスク部57cを有しており、本体ディスク部57aの外周部57bの下側が畦の下端部(裾)に相当する。
図2の状態から、第1電動油圧シリンダ54を伸ばすと前進作業状態となる(図3、8、16)。また、図2の状態から第2電動油圧シリンダ55を伸ばすと後進作業状態となる(図4、12、13)。ここで、オフセット回動アクチュエータ31は第1電動油圧シリンダ54、作業部回動アクチュエータ32は第2電動油圧シリンダ55に対応させることができる。
図2では、装着部51のフレーム部51cに、GPSユニット11、慣性センサユニット12、方位センサ13、制御部20を有している。さらに、オフセット回動量センサ14も装着部51のフレーム部51cに設けられ、装着部51に対する中間フレーム52の回動を検知することができる。また、作業部回動量センサ15は、作業部58側のフレーム部58aに取り付けられ、中間フレーム52に対する作業部58の回動を検知することができる。なお、装着部51は、前進作業状態、格納状態、後進作業状態に変更しても、トラクタ1に対する位置は変わらない部材である。
図3は、図2の作業機における前進状態の基準位置を説明するための図である。図3では、耕耘部56や前処理部59の図示は省略してある。ここでは、作業機の基準位置である作業機基準位置に対する、前進作業時の畦の形成位置の基準となる前進畦形成基準位置を決める例を示す。作業機基準位置は、前進、後進、格納の状態を変化させたときでも移動しない位置となる。図3では、中間フレーム52の装着部51に対する回動中心である支点52aを作業機基準位置Pとする。また、前進作業状態における本体ディスク部57aの外周部57bの中心位置を前進畦形成基準位置Qとする。そして、作業機基準位置Pから前進畦形成基準位置Qの横方向の距離をWf、作業機基準位置Pから前進畦形成基準位置Qの前後方向の距離をLfとする。さらに、GPSユニット11による検知位置Gとして、作業機基準位置Pから検知位置Gの横方向の距離をXs、前後方向の距離をYsとする。ここで、Gxを検知位置Gの横方向の座標(右側がプラス)、Gyを検知位置Gの前後方向の座標(トラクタ側がプラス)、Qxを前進畦形成基準位置Qの横方向の座標、Qyを前進畦形成基準位置Qの前後方向の座標として、検知位置Gが作業機基準位置Pよりもトラクタ側でかつ右側に位置しているとすれば、
Qx=Gx−Xs+Wf
Qy=Gy−Ys−Lf
となり、検知位置Gに対して前進畦形成基準位置Qを決定することができる。
図4は、図2の作業機における後進状態の基準位置を説明するための図である。図4では、耕耘部56や前処理部59の図示は省略してある。ここでは、作業機の基準位置に対する、後進作業時の畦の形成位置の基準となる後進畦形成基準位置を決める例を示す。図4では、検知位置Gと作業機基準位置Pは図3と同様である。また、後進作業状態における本体ディスク部57aの外周部57bの中心位置を後進畦形成基準位置Rとする。そして、作業機基準位置Pから後進畦形成基準位置Rの横方向の距離をWr、作業機基準位置Pから後進畦形成基準位置Rの前後方向の距離をLrとする。ここで、Rxを後進畦形成基準位置Rの横方向の座標、Ryを後進畦形成基準位置Rの前後方向の座標とすれば、
Rx=Gx−Xs−Wr
Ry=Gy−Ys−Lr
となり、検知位置Gに対して後進畦形成基準位置Rを決定することができる。
ここで、もし、トラクタ1に有するGPSユニット5を使用するならば、GPSユニット11による検知位置に対する作業機基準位置Pの横方向及び前後方向の距離を用いれば、GPSユニット11に代えてGPSユニット5による検知位置に対する、前進畦形成基準位置Qと後進畦形成基準位置Rを決定することができる。
図5は、本発明の農作業機用案内システムに適用する操作・表示部の一例を示す平面図である。
操作・表示部60は、操作部として、電源スイッチ61、散水スイッチ62、リターンスイッチ63、作業スイッチ64、格納スイッチ65、ガイド[1]スイッチ66、ガイド[2]スイッチ67、モードスイッチ68、メニュースイッチ69、上スイッチ70、下スイッチ71、決定スイッチ72、キャンセルスイッチ73、オフセット[大]スイッチ74、オフセット[小]スイッチ75、耕深[浅]スイッチ76、耕深[深]スイッチ77、散水量[増]スイッチ78、散水量[減]スイッチ79、一時停止/再開スイッチ80を有している。これらは押しボタンスイッチを採用できる。また、操作・表示部60は、表示部90を有している。
散水スイッチ62は、畦塗り機50に散水装置を有している場合の散水のON、OFFをするためのスイッチである。
リターンスイッチ63は、後進作業状態(図4、12、13)とするためのスイッチである。
作業スイッチ64は、前進作業状態(図3、8、16)とするためのスイッチである。
格納スイッチ65は、格納状態(図2、9〜11、15)とするためのスイッチである。
ガイド[1]スイッチ66は、後述するガイド[1]の案内制御を開始するためのスイッチである。
ガイド[2]スイッチ67は、後述するガイド[2]の案内制御を開始するためのスイッチである。
モードスイッチ68は、必要なモードを表示部90に表示するスイッチである。例えば、手動モードであれば押している間だけそのスイッチに対する応答をし、自動モードであれば、一回特定のスイッチを押すと最後までそのスイッチに対する応答をする等である。
メニュースイッチ69は、必要なメニューを表示部90に表示するスイッチである。
上スイッチ70及び下スイッチ71は、モードスイッチ68で表示したモードの選択や、メニュースイッチ69で表示したメニューの選択を行える。
決定スイッチ72は、表示している情報の決定をさせるためのスイッチであり、例えば、上スイッチ70又は下スイッチ71で選択した情報を決定することができる。
キャンセルスイッチ73は、表示している情報をキャンセルするためのスイッチであり、例えば、上スイッチ70又は下スイッチ71で選択した情報をキャンセルすることができる。
オフセット[大]スイッチ74は、作業部58のオフセット量を大きい方向へ調節するためのスイッチである。このスイッチを押すと、作業部58が外側すなわち畦側に移動する。これは前進及び後進作業状態で調節するようにできる。
オフセット[小]スイッチ75は、作業部58のオフセット量を小さい方向へ調節するためのスイッチである。このスイッチを押すと、作業部58が内側すなわち畦から離れる側に移動する。これは前進及び後進作業状態で調節するようにできる。
耕深[浅]スイッチ76及び耕深[深]スイッチ77は、耕耘部56の深さを調節する機能を有している場合、その深さを調節することができるスイッチである。耕深[浅]スイッチ76を押すと耕耘部56が上側に移動し耕深が浅くなり、耕深[深]スイッチ77を押すと耕耘部56が下側に移動し耕深が深くなる。この場合、ディスク部57が耕耘部56に対して上下に移動して耕深を調整する構成としてもよい。
散水量[増]スイッチ78及び散水量[減]スイッチ79は、散水装置を有している場合の散水量を調節するスイッチである。散水量[増]スイッチ78を押すと散水量が増え、散水量[減]スイッチ79を押すと散水量が減る。
一時停止/再開スイッチ80は、作動中の機能を一時停止又は再開するためのスイッチである。例えば、一回押すと一時停止、もう一度押すと再開するなどである。ガイド[1]やガイド[2]中に適用してもよい。
図6は、図5の操作・表示部における表示部90を拡大した図である。表示部90は、走行位置表示91、ガイド表示92、ガイド種類表示93、モード表示94、オフセット表示95、耕深表示96を表示することができる。表示部90は、液晶などの表示板で表示することができる。
走行位置表示91は、ユーザー201がトラクタ1のハンドル8を操作(操舵)して左右方向の走行位置の目標を合わせるための表示であり、上側が目標基準表示91aであり、下側が現在位置表示91bである。目標基準表示91aは、横に複数の四角の目印表示があり、中央の表示が目標となる位置を示している。図6では、横に11並んでいるので、左から6番目が中央となる。分かり易くするために、中央に行くほど四角の幅表示を広くしている。現在位置表示91bは、現在の目標に対する左右方向のずれが分かる表示であり、図では、三角の点灯部(図では黒塗り部)が現在の畦塗り機50の位置を示している。作業機基準位置Pを基準として、目標に対してそのずれを表示すればよい。図6では、ちょうど目標の基準に現在位置表示91bが合っているが、もし、現在位置表示91bが左側にあれば、ユーザー201は、トラクタ1を右側へ操作して、現在位置表示91bが中央に来るようにすればよい。
ガイド表示92は、文字でユーザー201が行うべきガイドを表示する。例えば、「前進して下さい。」「停止して下さい。」などである。図6では、12文字表示となっているがこれに限定されない。
ガイド種類表示93は、「ガイド[1]」や「ガイド[2]」等の表示を行い、現在行っているガイドの種類を表示する。
モード表示94は、モードスイッチ68等で決定したモードを表示する。
オフセット表示95は、オフセット[大]スイッチ74やオフセット[小]スイッチ75で調節することができるオフセット量の現在の状態を表示する。図6では、上側が現在の状態、下側が調整できる範囲を示し、上側の横方向に複数並んだ長方形の点灯部(図では黒塗り部)の右端が現在のオフセット量を示している。これらにより、現在のオフセットの状態とその状態からできる調整の幅を知ることができる。
耕深表示96は、耕深[浅]スイッチ76及び耕深[深]スイッチ77で調節することができる耕耘部56の現在の深さを表示する。図6では、左側が現在の状態、右側が調整できる範囲を示し、縦方向に複数並んだ長方形の点灯部(図では黒塗り部)の下端が現在の耕深状態を示している。
図7は、本発明の農作業機用案内システムのガイド[1]の制御の一例を示すフローチャートである。図8は、本発明の農作業機用案内システムにおける前進作業終了時の例を示す図である。図9は、本発明の農作業機用案内システムにおける後進ガイド1終了時の例を示す図である。図10は、本発明の農作業機用案内システムにおける旋回ガイド2中の例を示す図である。図11は、本発明の農作業機用案内システムにおける旋回ガイド2終了時の例を示す図である。図12は、本発明の農作業機用案内システムにおけるガイド[1]終了時の例を示す図である。図13は、本発明の農作業機用案内システムにおける後進作業終了時の例を示す図である。この制御は基本的に制御部20で行う。ガイド[1]は、前進作業終了位置から後進作業の開始までを案内するものである。
トラクタ1に乗車したユーザー201は、旧畦101に沿って畦塗り機50の前進作業状態で新たな畦102を形成する。そして、圃場の端まで前進させると他辺となる旧畦111によりそれ以上前進できなくなり、通常はそこで前進作業は終了する。なお、本発明は、圃場の端までトラクタ1を前進させずに途中で前進作業を終了しても適用可能である。
制御スタート(S101)後、ユーザー201は、前進作業終了位置でトラクタ1の走行を停止させる(S102)。なお、前進作業時は操作・表示部60の電源をONした状態としておく。
前進作業終了時の状態が図8である。このとき、前進作業による畦はディスク部57の中心であるTの位置まで形成できている。なお、前進作業終了時における図3で説明したQに対応する位置がTである。また、耕耘部56による耕耘跡105は、畦102の内側に沿って前進作業が終了した耕耘部56の位置まで形成されている。
次に、トラクタ停止判定(S103)で、トラクタ1が停止しているか否かを判定する。この判定は、GPSユニット11を用いて時間当たりの位置の変化により、変化がなければ停止と判定することができる。また、慣性センサユニット12から、加速度から求められる速度により現在の速度が0であると判断すれば停止と判定できる。また、GPSユニット11と慣性センサユニット12を複合的に用いてより正確な判定を行うこともできる。この他に、トラクタ1から速度の情報が得られる場合は、その情報を用いて速度が0であると判断すれば停止と判定できる。
そして、トラクタ1が停止していると判定した場合は、スイッチ操作について判定し(S104)、入力判断1(S105)により、ガイド[1]スイッチ66の操作による入力がされた場合は作業機状態を判定する(S106)。作業機状態が前進作業状態であると判定された場合は、ガイド[1]を開始する(S107)。それ以外はS149へ行く。
作業機状態についての判定(S106)は、作業機状態が前進作業状態であるか否かを判定する。判定は、オフセット回動量センサ14及び作業部回動量センサ15の情報から装着部51に対する中間フレーム52の回動状態と、中間フレーム52に対する作業部58の回動状態が分かれば判定することができる。
ガイド[1]を開始する(S107)と、下降状態基準設定(S108)を行う。トラクタ1側の操作でトラクタ1に対して作業機を上下に動かすことが可能である。畦塗り機50等の作業機は、通常、下に下げて作業を行うので、前進作業終了時は下降状態となっている。この状態を下降状態基準として設定し記録部21に記憶するものである。下降状態基準設定は、慣性センサユニット12の角速度の情報から求められる畦塗り機50の角度又は慣性センサユニット12の加速度の情報から求められる畦塗り機50の上下方向の位置の一方または両方の情報から、下降状態の基準を設定することができる。この他に、トラクタ1から作業機(畦塗り機50)の上げ下げを行うロワリンク等の角度の情報が得られる場合は、その情報を用いて下降状態の基準を設定することができる。
次に、GPS位置情報記憶(S109)を行う。これは、GPSユニット11で特定される現在の位置を記録部21に記憶する。
次に、オフセット回動量・作業部回動量記憶(S110)を行う。これは、オフセット回動量センサ14や作業部回動量センサ15から検知する現在の回動量を記録部21に記憶する。
次に、作用点基準位置算出・記憶(S111)を行う。作用点基準位置は、図3で説明した前進畦形成基準位置Qが相当する。ここでは、S110の回動量から、WfとLf等を求めることができる。この情報を記録部21に記憶する。
次に、作業機方位・作業軌跡・作業方向記憶(S112)を行う。作業機方位は、方位センサ13により畦塗り機50の方位を検知したものを記録部21に記憶する。作業軌跡は、GPSユニット11により検出した前進作業時の軌跡を記録部21に記憶する。なお、慣性センサユニット12により、前後左右の加速度から求められる位置の変化の情報を加味して正解性を向上させてもよい。また、作業方向は、求められた作業軌跡から作業してきた方向を求めて記録部21に記憶する。これは、畦塗り機50が進行方向に対して傾いたまま作業を行う場合もあり、方位センサ13による畦塗り機50の方向と作業により軌跡の方向が異なることを考慮したものである。
次に、作業機持上げ・移動格納状態操作指示情報出力(S113)を行う。ここで、畦塗り機50を上に上げるように表示部90のガイド表示92に表示する。例えば、「作業機を上げて下さい」等である。また、畦塗り機50を格納状態とするように表示部90のガイド表示92に表示する。例えば、「作業機を格納状態として下さい」等である。ユーザー201は、この情報をもとに、トラクタ1を操作して畦塗り機50を上にあげ、操作・表示部60の格納スイッチ65を操作して(押して)、畦塗り機50を格納状態とする。
次に、作業機姿勢について判定する(S114)。この判定は、慣性センサユニット12の角速度の情報から求められる畦塗り機50の角度又は慣性センサユニット12の加速度の情報から求められる畦塗り機50の上下方向の位置の一方または両方の情報から、作業機姿勢が上側であるか下側であるかを判定することができる。この他に、トラクタ1から作業機(畦塗り機50)の上げ下げを行うロワリンク等の角度の情報が得られる場合は、その情報を用いて作業機姿勢が上側であるか下側であるかを判定することができる。
そして、作業機姿勢が上昇した状態(上側)であればS115へ行き作業機状態について判定する。下降した状態(下側)であればS113へ行き畦塗り機50を上に上げるように表示部90のガイド表示92に表示する。
作業機状態についての判定(S115)は、作業機状態が格納状態であるか否かを判定する。判定は、オフセット回動量センサ14及び作業部回動量センサ15の情報から装着部51に対する中間フレーム52の回動状態と、中間フレーム52に対する作業部58の回動状態が分かれば判定することができる。
そして、作業機状態が格納状態であれば、S116へ行き後進ガイド1を開始する。その他の状態であればS113へ行き畦塗り機50を格納状態とするように表示部90のガイド表示92に表示する。
後進ガイド1を開始すると(S116)、まず、後進距離Aを設定する(S117)。後進距離Aは、図8の前進作業終了状態であると、トラクタ1は前進で旋回することができないため一端後進を行う。一方、後進しすぎると、耕耘跡105に畦側のトラクタ1の後ろタイヤ2aが入ってしまい正確な操作に支障をきたす。このため、耕耘跡105手前で止まりかつ旋回ができるための後進距離Aを設定する。この距離は、トラクタ1の情報に基づき、トラクタ1の後ろタイヤ2aと畦塗り機50の耕耘部56の距離が推定できるので、予め設定しておくことができる。なおトラクタ1のタイヤ2a、2bはクローラでもよい。
次に、後進指示情報出力を行う(S118)。ここで、トラクタ1を後進するように表示部90のガイド表示92に表示する。例えば、「トラクタをバックさせて下さい」等である。ユーザー201は、この情報をもとに、トラクタ1をバックさせる。
次に、後進距離の判定を行う(S119)。この後進距離の判定は、GPSユニット11で位置の変化を検知して行うことができる。また、慣性センサユニット12を用いて前後方向の加速度からより正確な移動距離を算出することもできる。また、これらを合わせて使用してもよい。
そして、後進距離がAに達すれば、S120へ行き停止指示情報出力を行う。後進距離がA未満であれば、S118へ行きトラクタ1を後進するように表示部90のガイド表示92に表示する。
停止指示情報出力(S120)では、トラクタ1を停止させるように表示部90のガイド表示92に表示する。例えば、「トラクタを停止させて下さい」等である。ユーザー201は、この情報をもとに、トラクタ1を停止させる。
次に、トラクタ停止判定(S121)を行う。ここでは、トラクタ1が停止しているか否かを判定する。この判定はS103と同様である。
そして、トラクタ1が停止していると判定すれば、S122へ行き後進ガイド1を終了する。トラクタ1が停止していないと判定すればS120へ行き、トラクタ1を停止させるように表示部90のガイド表示92に表示する。
後進ガイド1が終了した状態が図9である。
後進ガイド1が終了したら(S122)、旋回ガイド1を開始する(S123)。
次に、操舵案内情報出力を行う(S124)。操舵案内情報出力は、表示部90の走行位置表示91により、旋回する方向を示す。すなわち、左に旋回するなら現在位置表示91bが右側になり、ユーザー201はトラクタ1のハンドル8を左に切るようにする。
次に、前進指示情報出力を行う(S125)。ここで、トラクタ1を前進させるように表示部90のガイド表示92に表示する。例えば、「トラクタを前進させて下さい」等である。ユーザー201は上記走行位置表示91を見ながらハンドル8を切りながらトラクタ1を前進させる。
次に、トラクタ旋回角度を判定する(S126)。ここでは、方位センサ13によりトラクタ旋回角度を判定できる。
そして、旋回角度が180°以上と判定すれば、S127へ行き、旋回ガイド1を終了する。旋回角度が180°未満と判定すれば、S124へ戻り、表示部90の走行位置表示91により旋回する方向を示すと共に、トラクタ1を前進させるように表示部90のガイド表示92に表示する。
旋回ガイド1が終了したら(S127)、旋回ガイド2を開始する(S128)。
旋回ガイド2の途中の状態が図10である。
旋回ガイド2を開始したら、前進走行案内経路・前進距離B+αを算出する(S129)。距離Bは、記憶したTの位置から旋回後に前進させる目標位置までの前後方向の距離である。この距離は、その後の制御にふさわしい距離が設定される。例えば2〜5m等である。また、αは、トラクタ1と畦塗り機50を180°旋回した位置Uから記憶したTまでの前後方向の距離である。また、前進走行案内経路は、前進距離B+αの前進終了時に畦の裾から平行にNの距離になるように案内するための経路である。これは、後進作業の開始へ向けた位置として前進作業時よりも作業機基準位置PがMだけ畦102から離れた位置になるようにするものである。ここでNは、例えば、Wf+100〜300mm程度、即ちMが100〜300mm程度とすることができる。
次に、操舵案内情報出力を行う(S130)。操舵案内情報出力は、表示部90の走行位置表示91により、上述した前進走行案内経路による旋回する方向を示す。すなわち、左から右に旋回するなら現在位置表示91bが左側になり、ユーザー201はトラクタ1のハンドル8を右に切るようにする。
次に、前進指示情報出力を行う(S131)。ここで、トラクタ1を前進させるように表示部90のガイド表示92に表示する。例えば、「トラクタを前進させて下さい」等である。ユーザー201は上記走行位置表示91に従ってハンドル8を切りながらトラクタ1を前進させる。
次に、前進距離の判定を行う(S132)。この前進距離の判定は、GPSユニット11で位置の変化を検知して行うことができる。また、慣性センサユニット12を用いて前後方向の加速度からより正確な移動距離を算出することもできる。また、これらを合わせて使用してもよい。
そして、前進距離がB+αに達すれば、S133へ行き停止指示情報出力を行う。前進距離がB+α未満であれば、S130へ戻り、表示部90の走行位置表示91によりハンドル8を操作する方向を示すと共に、トラクタ1を前進させるように表示部90のガイド表示92に表示する。
次に、トラクタ停止判定(S134)を行う。ここでは、トラクタ1が停止しているか否かを判定する。この判定はS103と同様である。
そして、トラクタ1が停止していると判定すれば、S135へ行き旋回ガイド2を終了する。トラクタ1が停止していないと判定すればS133へ戻り、トラクタ1を停止させるように表示部90のガイド表示92に表示する。
旋回ガイド2が終了した状態が図11である。
旋回ガイド2が終了したら(S135)、後進作業状態操作指示情報出力を行う(S136)。
後進作業状態操作指示情報出力(S136)は、畦塗り機50を後進作業状態とするように表示部90のガイド表示92に表示する。例えば、「作業機を後進作業状態として下さい」等である。ユーザー201は、この情報をもとに、操作・表示部60のリターンスイッチ63を操作して(押して)、畦塗り機50を後進作業状態とする。
次に、作業機状態についての判定をする(S137)。ここでは作業機状態が後進作業状態であるか否かを判定する。判定は、オフセット回動量センサ14及び作業部回動量センサ15の情報から装着部51に対する中間フレーム52の回動状態と、中間フレーム52に対する作業部58の回動状態が分かれば判定することができる。
そして、作業機状態が後進作業状態であれば、S138へ行き後進ガイド2を開始する。その他の状態であればS136へ戻り畦塗り機50を後進作業状態とするように表示部90のガイド表示92に表示する。
後進ガイド2を開始すると(S138)、後進走行案内経路・後進距離B−Dを算出する(S139)。距離Dは、記憶したTの位置から手前側に戻った一定距離である。これは前進作業による畦102に重ねて作業をして塗り残しがないように設定される距離であり、距離Dは例えば、0.5〜1.5m、更に好ましくは1〜1.5mなどである。
次に、操舵案内情報出力を行う(S140)。操舵案内情報出力は、表示部90の走行位置表示91により、ハンドルを切る方向を示す。このとき後進距離B−Dの後進終了時の後進作業開始地点Vで畦塗り機50の作業部58が畦102に沿う位置になるように案内される。そして、好ましくは、後進作業開始地点Vで角度Cが付くように方向を示す。角度Cは、畦塗り機50による作業時の反力を考慮して畦102に対して入射角をつけるもので、例えば2〜10°程度とする。
次に、後進指示情報出力を行う(S141)。ここで、トラクタ1を後進させるように表示部90のガイド表示92に表示する。例えば、「トラクタを後進させて下さい」等である。ユーザー201は上記走行位置表示91によりハンドル8を切りながらトラクタ1を後進させる。
次に、後進距離の判定を行う(S142)。この後進距離の判定は、S119と同様である。
そして、後進距離がB−Dに達すれば、S143へ行き停止指示情報出力を行う。後進距離がB−D未満であれば、S140へ戻り、表示部90の走行位置表示91によりハンドル操作する方向を示すと共に、トラクタ1を後進するように表示部90のガイド表示92に表示する。
停止指示情報出力(S143)は、S120と同様である。
次に、トラクタ停止判定(S144)を行う。ここでは、トラクタ1が停止しているか否かを判定する。この判定はS103と同様である。
そして、トラクタ1が停止していると判定すれば、S145へ行き後進ガイド2を終了する。トラクタ1が停止していないと判定すればS143へ戻り、トラクタ1を停止させるように表示部90のガイド表示92に表示する。
後進ガイド2が終了したら(S145)、作業機下降操作指示情報出力を行う(S146)。
作業機下降操作指示情報出力(S146)は、畦塗り機50を下に下げるように表示部90のガイド表示92に表示する。例えば、「作業機を下げて下さい」等である。ユーザー201は、この情報をもとに、トラクタ1を操作して畦塗り機50を下降させる。
次に、作業機姿勢について判定する(S147)。この判定は、慣性センサユニット12の角速度の情報から求められる畦塗り機50の角度又は慣性センサユニット12の加速度の情報から求められる畦塗り機50の上下方向の位置の一方または両方の情報から、作業機姿勢が上側の作業姿勢以外であるか下側の作業姿勢であるかを判定することができる。この他に、トラクタ1から作業機(畦塗り機50)の上げ下げを行うロワリンク等の角度の情報が得られる場合は、その情報を用いて作業機姿勢が上側の作業姿勢以外であるか下側の作業姿勢であるかを判定することができる。
そして、作業機姿勢が下降した作業姿勢の状態であればS148へ行きガイド[1]が終了する。上昇した作業姿勢以外の状態であればS146へ戻り畦塗り機50を下に下げるように表示部90のガイド表示92に表示する。
ガイド[1]終了時の状態が図12である。
次に、後進作業開始位置・トラクタ走行軌跡記憶(S149)を行い制御が終了(S150)する。後進作業開始位置は、現在の位置Vを記録部21に記憶する。また、ガイド[1]における今までの走行記録も記録部21に記憶する。この走行記録は、GPSユニット11による軌跡、又は、これに慣性センサユニット12による位置の変化の情報を加味して補完した軌跡の記録とすることができる。
この図12の状態から、ユーザー201は、トラクタ1をバックさせながら、旧畦111に達するまで畦塗り機50の後進作業を行うことができる。
後進作業終了時の状態が図13である。案内された後進開始位置から後進作業を行うことにより、前進作業による畦102に続けて後進作業による畦103を圃場の角付近まで形成することができる。ここで、後進作業終了位置はWとなる。
図14は、本発明の農作業機用案内システムのガイド[2]の制御の一例を示すフローチャートである。図15は、本発明の農作業機用案内システムにおける旋回指示開始から後進ガイド3開始までの例を示す図である。図16は、本発明の農作業機用案内システムにおけるガイド[2]の終了時の例を示す図である。
制御がスタート時(S201)は、操作・表示部60の電源はONとしたままとなっている。そして、トラクタ1に乗車したユーザー201は、畦塗り機50により後進作業を行い図13で示したような、後進作業終了位置でトラクタ1の走行を停止させる(S202)。
次に、トラクタ停止判定(S203)で、トラクタ1が停止しているか否かを判定する。この判定方法は、S103と同様である。
そして、トラクタ1が停止していると判定した場合は、スイッチ操作について判定し(S204)、入力判断2(S205)により、ガイド[2]スイッチ67の操作による入力がされた場合は作業機状態を判定する(S206)。作業機状態が後進作業状態であると判定された場合は、ガイド[2]を開始する(S207)。作業機状態がそれ以外の状態である場合はS240へ行く。
作業機状態についての判定(S206)は、作業機状態が後進作業状態であるか否かを判定する。判定は、S137と同様である。
ガイド[2]を開始する(S207)と、GPS位置情報記憶(S208)を行う。ここでの方法は、S109と同様である。
次に、オフセット回動量・作業部回動量記憶(S209)を行う。ここでの方法は、S110と同様である。
次に、作用点基準位置算出・記憶(S210)を行う。ここでの作用点基準位置は、図4で説明した前進畦形成基準位置Rであり、ここでは、S209の回動量から、WrとLr等を求めることができる。この情報を記録部21に記憶する。
次に、作業機方位・作業軌跡・作業方向記憶(S211)を行う。ここでの方法は、S112に準じて行うことができる。ここで、作業軌跡は後進作業時の軌跡を記憶する。
次に、作業機持上げ・移動格納状態操作指示情報出力(S212)を行う。ここの方法は、S113と基本的に同様である。
次に、作業機姿勢について判定する(S213)。この判定は、S114と同様である。
そして、作業機姿勢が上昇した状態であればS214へ行き作業機状態について判定する。下降した状態であればS212へ戻り畦塗り機50を上に上げるように表示部90のガイド表示92に表示する。
作業機状態についての判定(S214)は、S115と同様である。
そして、作業機状態が格納状態であれば、S215へ行き旋回指示を開始する。その他の状態であればS212へ戻り畦塗り機50を格納状態とするように表示部90のガイド表示92に表示する。
旋回指示を開始する時の状態が図15の右の図である。
旋回指示を開始すると(S215)、操舵指示情報出力(S216)および前進指示情報出力(S217)を行う。操舵指示情報出力は、次の作業面の旧畦111に対してトラクタ1の車体を平行にし、タイヤ外端をあぜ裾位置111aに合わせて停止するようにハンドル8を操作することの指示を表示するものである。ここで、表示部90の走行位置表示91は使用せず、ガイド表示92でこのための表示を行う。これは、旧畦111の形状が必ずしも特定できないことを考慮したものである。また、前進指示情報出力は、トラクタ1を前進させることをガイド表示92に表示させる。これらの操舵指示情報出力と前進指示情報出力は、ユーザー201の操作の順番に表示させてもよいし、一定間隔で繰り返し表示させてもよい。ユーザー201は、これらの情報をもとに、目標の位置までトラクタ1を操作する。
次に、ユーザー201は次の作業面に沿う位置でトラクタ走行を停止させる(S218)。この状態が図15の左の図である。
次に、トラクタ停止判定(S219)で、トラクタ1が停止しているか否かを判定する。この判定方法は、S103と同様である。
そして、トラクタ1が停止していると判定した場合は、停止位置確認指示情報出力を行う(S220)。これは、表示部90のガイド表示92でトラクタ1が停止し、この位置でいいかの確認をする表示を行う。例えば、「トラクタが停止しました。この停止位置でいいですか。」等である。
次に、『決定』スイッチ操作指示情報出力を行う(S221)。これは、表示部90のガイド表示92で、この停止位置でいいかの確認のためのスイッチ操作を行うことを指示する表示を行うものである。例えば、「この位置でよければ「決定」ボタンを押して下さい。」等である。ユーザー201は、この位置でよければ、操作・表示部60の決定スイッチ72を押す。
次に、スイッチ操作について判定し(S222)、入力判断3(S223)により、決定スイッチ72の操作による入力がされた場合はGPS位置情報記憶を行う(S224)。
GPS位置情報記憶(S224)は、ここでの方法は、S109と同様である。
次に、作業機方位記憶(S225)を行う。ここでの作業機方位の検知と記憶はS112の作業機方位の検知と記憶と同様である。
次に、あぜ裾想定ラインの算出・記憶を行う(S226)。この裾想定ラインの一つは、図15の旧畦111における裾111aが相当する。この決定は、まず、図3で説明した作業機基準位置Pによりトラクタ1の中心を特定する。そして、予めトラクタ1の中心からタイヤ2aの外端までの距離を操作・表示部60等から記録部21に記憶させておき、この情報と方位センサ13の方位と今の位置情報をもとに、トラクタ1のタイヤ2aの外端で畦塗り機50の前後方向に沿ったラインがあぜ裾想定ラインとなる。そして、これを記録部21に記憶しておく。一方、裾想定ラインのもう一つは、ガイド[1]で案内された位置から行った後進作業の畦103における裾103aが相当する。これは、後進作業時において、図4で説明した後進畦形成基準位置Rの軌跡を算出できれば、裾103aを特定することができる。
次に、後進走行案内経路・後進距離E算出を行う(S227)。後進距離Eは、上記で算出した裾111aのあぜ裾想定ラインと、裾103aのあぜ裾想定ラインの交点Xをもとに、畦塗り機50を現在の位置(図15の左側)からそのまま後進させた場合の前進畦作業開始位置(図16)までの距離を算出することができる。また、後進して適切な前進畦作業開始位置となるように後進走行案内経路も算出する。
次に、後進ガイド3を開始する(S228)。
次に、前進作業状態操作指示情報出力を行う(S229)。これは、畦塗り機50を前進作業状態とするように表示部90のガイド表示92に表示する。例えば、「作業機を前進作業状態として下さい」等である。ユーザー201は、この情報をもとに、操作・表示部60の作業スイッチ64を操作して(押して)、畦塗り機50を前進作業状態とする。
次に、作業機状態についての判定をする(S230)。ここでは作業機状態が前進作業状態であるか否かを判定する。判定は、S106と同様である。
そして、作業機状態が前進作業状態であれば、S231へ行き操舵案内情報出力を行う。その他の状態であればS228へ戻り畦塗り機50を前進作業状態とするように表示部90のガイド表示92に表示する。
操舵案内情報出力(S231)は、表示部90の走行位置表示91により、ハンドル8を切る方向を示す。このとき後進距離E(図示せず)の後進終了時の前進作業開始位置Yで畦塗り機50の作業部58が畦111に沿う位置になるように案内される。また、前進作業開始位置Yでトラクタ1の先端側が旧畦111へ傾く角度が付くようにしてもよい。これは、作業部58からの反力で、トラクタ1が旧畦111から離れるのを防止するためである。このときの角度は、例えば0〜5°、さらに好ましくは1〜3°とすることができる。
次に、後進指示情報出力を行う(S232)。これは、S141と同様である。
次に、後進距離の判定を行う(S233)。この後進距離の判定方法は、S119と同様である。
そして、後進距離がEに達すれば、S234へ行き停止指示情報出力を行う。後進距離がE未満であれば、S231へ戻り、表示部90の走行位置表示91によりハンドル操作する方向を示すと共に、トラクタ1を後進するように表示部90のガイド表示92に表示する。
停止指示情報出力(S234)は、S120と同様である。
次に、トラクタ停止判定(S235)を行う。ここでは、トラクタ1が停止しているか否かを判定する。この判定方法はS103と同様である。
そして、トラクタ1が停止していると判定すれば、S236へ行き後進ガイド3を終了する。トラクタ1が停止していないと判定すればS234へ戻り、トラクタ1を停止させるように表示部90のガイド表示92に表示する。
後進ガイド3が終了したら(S236)、作業機下降操作指示情報出力を行う(S237)。
作業機下降操作指示情報出力(S237)は、S146と同様である。
次に、作業機姿勢について判定する(S238)。この判定方法はS147と同様である。
そして、作業機姿勢が下降した作業姿勢の状態であればS239へ行きガイド[2]が終了する。下降した作業姿勢以外の状態であればS237へ戻り畦塗り機50を下に下げるように表示部90のガイド表示92に表示する。
図16は、ガイド[2]が終了したときの状態である。
次に、前進作業開始位置・トラクタ走行軌跡記憶(S240)を行い制御が終了(S241)する。前進作業開始位置Yを記録部21に記憶する。また、ガイド[2]における今までの走行記録も記録部21に記憶する。この走行記録の特定方法は、S149と同様である。
図16の状態から、ユーザー201は、トラクタ1を前進させながら、旧畦111に沿って畦塗り機50の前進作業を行うことができる。
図7〜16は、操作・表示部60を用いた案内について説明したが、トラクタ1にガイド装置6を有している場合は、そちらに出力してもよい。また、トラクタ1に自動操舵補助システム7を有している場合は、案内に応じた自動操舵としてもよい。このときは、走行位置表示91に応じてハンドル8を自動操舵することができる。なお、図8〜13、15、16においてトラクタ1の走行経路跡は、後ろタイヤ2a、2bの間の中心の軌跡を一点鎖線で示しており、走行経路の算出は、図3で示した作業機基準位置Pで計算するが、後ろタイヤ2a、2bの間の中心で計算してもよい。
以上のように、本発明の実施形態について説明したが、本発明は畦塗り機に限らず、トラクタに装着して農作業を行う作業機について、前進作業状態と後進作業状態に変更可能な作業機に適用することができる。例えば溝掘り機等である。なお、格納状態に変更できる場合は、上述した制御のように移動時等に格納状態を利用することが好ましい。また、上述した実施形態の一部構成を他の実施形態の一部の構成に置き換えて適用することや、必要に応じて他の構成と組み合わせて利用してもよい。