JP2021014676A - 印刷用塗工紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】高白色度、高不透明度でありながら、明度が低くなるおそれのない印刷用塗工紙及び印刷用塗工紙の製造方法を提供する。【解決手段】基紙2及び塗工層4を有する印刷用塗工紙1について、塗工層4に紫色顔料及び青色顔料、並びに蛍光増白剤を含有させる。また、JIS P 8149の不透明度が85%以上、JIS P 8150の明度が紫外線を含む測定において85%以上、JIS P 8150の色相が、紫外線を含む測定においてa*値0.5以上2.5未満、b*値−5以上−2未満となるようにする。また、塗工層4は、フィルム転写方式で形成する。【選択図】図1

Description

本発明は、オフセット印刷用塗工紙等として使用することができる印刷用塗工紙及びその製造方法に関するものである。
印刷用塗工紙は、印刷適性という観点から、白色度が高いこと、不透明度が高いこと等が要求される。そこで、特許文献1は、オフセット印刷用塗工紙について、脱墨パルプを50%以上の高配合とし、かつ塗工層に紫色顔料及び青色顔料、並びに重質炭酸カルシウムを含有させることを提案する。同文献は、これにより、「高白色、高不透明性の両方の物性を有する印刷用紙を得ることができる」とする。
しかしながら、脱墨パルプを50質量%以上の高配合にすると、印刷適性の1つである明度が低くなるとの問題が生じる。
また、同文献は、より好ましい印刷用紙として、基紙に青色染料、紫色染料、又は赤色染料を含有させることも提案する。しかしながら、染料は化学的に不安定である。したがって、この提案によると、経時劣化による退色の問題、すなわち明度等が変動する問題が生じる。
特許第5686984号公報
発明が解決しようとする主たる課題は、高白色度、高不透明度でありながら、明度が低くなるおそれのない印刷用塗工紙及び印刷用塗工紙の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討をした。結果、基紙がナチュラル色であっても、塗工層に紫色顔料及び青色顔料の両方、並びに蛍光増白剤を含有させてブルーイング(着色)することで、高白色度、高不透明度でありながら、明度が低くなるおそれがなく、好ましくは退色の問題が生じるおそれもない印刷用塗工紙が得られることを知見した。この知見に基づく上記課題を解決するための態様は、以下のとおりである。
(請求項1記載の態様)
基紙及び塗工層を有する塗工紙であり、
前記基紙のJIS P 8150の色相は、紫外線を含む測定において、a*値0.1以上0.7未満、b*値−0.2以上0.6未満であり、
前記塗工層は、紫色顔料及び青色顔料の両者、並びに蛍光増白剤を含有し、
前記塗工紙のJIS P 8149の不透明度は85%以上、JIS P 8150の明度は紫外線を含む測定において85%以上であり、
前記塗工紙のJIS P 8150の色相は、紫外線を含む測定においてa*値0.5以上2.5未満、b*値−5以上−2未満である、
ことを特徴とする印刷用塗工紙。
(請求項2記載の態様)
前記塗工層は、白色顔料を含有し、
この白色顔料100質量部に対する前記塗工層における紫色顔料及び青色顔料の合計含有量が、固形分換算で0.001〜0.005質量部であり、
前記白色顔料の70質量%以上は、炭酸カルシウムである、
請求項1に記載の印刷用塗工紙。
(請求項3記載の態様)
前記炭酸カルシウムが軽質炭酸カルシムである、
請求項2に記載の印刷用塗工紙。
(請求項4記載の態様)
前記蛍光増白剤の含有量は、10〜80mg/m2であり、
前記塗工層における蛍光増白剤は、前記白色顔料100質量部に対して0.05〜0.8質量部である、
請求項2又は請求項3に記載の印刷用塗工紙。
(請求項5記載の態様)
前記基紙の原料パルプとして脱墨パルプが絶乾基準で全原料パルプの30〜45質量%使用され、かつ前記基紙のJIS P 8251(525℃)に準拠して測定した灰分が3.0〜9.5%とされることで前記塗工紙の不透明度が85%以上とされている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷用塗工紙。
(請求項6記載の態様)
前記基紙のJIS P 8150の明度が紫外線を含む測定において75%以上とされて前記塗工紙の明度が85%以上とされている、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷用塗工紙。
(請求項7記載の態様)
前記紫色顔料及び前記青色顔料として粒子径0.2〜0.4μmの無機顔料が使用され、かつ前記紫色顔料及び前記青色顔料の合計含有量は、0.1〜1.4mg/m2である、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の印刷用塗工紙。
(請求項8記載の態様)
JIS P 8150の色相が、紫外線を含む測定において、a*値0.1以上0.7未満、b*値−0.2以上0.6未満の基紙の片面又は両面にフィルム転写方式で塗工層を形成して塗工紙を製造する方法であり、
前記塗工層に、紫色顔料及び青色顔料の両者、並びに蛍光増白剤を含有させて、
前記塗工紙のJIS P 8149の不透明度を85%以上、JIS P 8150の明度を紫外線を含む測定において85%以上とし、
前記塗工紙のJIS P 8150の色相を、紫外線を含む測定においてa*値0.5以上2.5未満、b*値−5以上−2未満とする、
ことを特徴とする印刷用塗工紙の製造方法。
本発明によると、高白色度、高不透明度でありながら、明度が低くなるおそれのない印刷用塗工紙及び印刷用塗工紙の製造方法となる。
本形態の印刷用塗工紙の断面図である。 紫色顔料及び青色顔料を含有させた場合の色相の変化を示す図である。
次に、本発明を実施するための形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施形態によって何ら限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない限り、種々の変更を加えることができる。
図1に示すように、本形態の印刷用塗工紙1は、基紙2及びこの基紙2の片面(図1の(1))又は両面(図1の(2))に形成された塗工層4を有する。ただし、これは一例であり、例えば、塗工層4の下に、つまり塗工層4と基紙2との間に、下塗り塗工層等の他の層が存在してもよい。参考までに、図1の(3)に基紙2の片面に下塗り塗工層3が形成されている形態を、図1の(4)に基紙2の両面に下塗り塗工層が形成されている形態を示している。
塗工層4は、紫色顔料及び青色顔料、並びに蛍光増白剤を含有する。以下、詳細に説明する。
(基紙)
基紙2は、原料パルプ及び填料を主な構成材料とする。
基紙2は、単層であっても、複数層であってもよい。
(原料パルプ)
原料パルプとしては、例えば、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、亜硫酸パルプ等の化学パルプ、砕木パルプ(GP)、リファイナー砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)、等を使用することができる。
化学パルプはリグニンが除去されているため、白色度が高い。その反面、製造した紙の不透明度が低くなるとの問題を有する。この問題は、特に、低坪量の塗工紙の場合に顕著なものとなる。
そこで、本形態においては、基紙2の原料パルプとして、脱墨パルプ(DIP)を使用することを必須とする。脱墨パルプの配合量は、絶乾基準で全原料パルプの、好ましくは30質量%以上45質量%以下、より好ましくは32質量%以上43質量%以下、特に好ましくは35質量%以上40質量%以下である。脱墨パルプの配合量が上記範囲を下回ると、不透明度が十分に高くならないおそれがある。他方、脱墨パルプの配合量が上記範囲を上回ると、色材等による調整によっても、白色度や明度が十分に高くならないおそれがある。
なお、色材とは、白色以外の有色の顔料又は染料をいう。また、脱墨パルプの質量には、脱墨パルプ自体の質量のほか、当該脱墨パルプに付着している分離不可能な填料等の質量をも含む。
脱墨パルプの原料としては、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、チラシ、雑誌等からなる選別古紙、これらの古紙が混在してなる無選別古紙、等を例示することができる。
(填料)
填料としては、例えば、重質炭酸カルシム、軽質炭酸カルシウム、クレー、シリカ、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、ホワイトカーボン、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、非晶質シリカ等の無機填料や、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン系樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂等の有機填料、等を使用することができる。
ただし、不透明度の向上という観点からは、重質炭酸カルシウム又は軽質炭酸カルシウムを使用するのが好ましい。また、白色度、明度及び不透明度の向上という観点からは、軽質炭酸カルシウムを使用するのが好ましい。さらに、軽質炭酸カルシウムとしては、軽質炭酸カルシウムにシリカやアルミニウム等の無機物質を被覆させていたものや、軽質炭酸カルシウムを凝集させた凝集体を使用するのが好ましい。もちろん、これらの軽質炭酸カルシウムは、適宜組み合わせて使用することもできる。
(色材)
基紙2には、紫色顔料や青色顔料を填料として内添させてもよい。
基紙2には、紫色染料、青色染料、黄色染料、緑色染料、赤色染料等を含有させてもよい。染料は繊維に染着するので、着色効率がよい。染料は変色する可能性があるが、基紙2に含有させるのであれば、基紙2上には少なくとも塗工層4が存在するため、見た目に及ぼす影響は少ない。
紫色顔料や青色顔料の内添は、基紙2がナチュラル色になるように行うのが好ましい。具体的は、基紙2のJIS P 8150の色相が紫外線を含む測定において、好ましくはa*値0.1以上0.7未満、b*値−0.2以上0.6未満、より好ましくはa*値0.2以上0.6未満、b*値を−0.1以上0.5未満、特に好ましくはa*値0.25以上0.55未満、b*値−0.05以上0.45未満である。このように調整することで、基紙2自体の白色度及び明度を向上させることができ、塗工層4を形成後の白色度及び明度を向上させることできる。
基紙2のJIS P 8150の明度は、紫外線を含む測定において、好ましくは75%以上、より好ましくは78%以上、特に好ましくは80%以上である。
(添加剤)
基紙2には、必要により、添加剤を内添することができる。
添加剤としては、例えば、凝結剤、消泡剤、蛍光増白剤、硫酸バンド、歩留り向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤、サイズ剤、染料等を例示することができる。
(下塗り塗工層)
前述したように、基紙2の片面又は両面には、下塗り塗工層(クリア塗工層)3を設けることができる。
下塗り塗工層3の原料としては、例えば、天然高分子系、合成高分子系等を使用することができる。
天然高分子系としては、例えば、コーン、小麦、タピオカ、ポテト等の生澱粉を各種製法で変性させた、酵素分解澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、カチオン化澱粉、尿素リン酸化澱粉、変性酸化澱粉やカルボキシメチル化セルロース(CMC)、カルボキシエチル化セルロース(CEC)、等の中から一種又は二種以上を選択して使用することができる。
合成高分子系としては、例えば、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリエチレングリコール(PEG)、等の中から一種又は二種以上を選択して使用することができる。
下塗り塗工層3には、例えば、消泡剤、蛍光増白剤、耐水化剤、サイズ剤等の添加剤を内添することができる。
下塗り塗工層3の塗工量は、片面あたり、好ましくは0.1〜1.0g/m2、より好ましくは0.2〜0.8g/m2、特に好ましくは0.3〜0.6g/m2である。
下塗り塗工層3の塗工量は、例えば、サイズプレスコータ、ゲートロールコータ、ロッドメタリングコータ、ビルブードコータ、ブレードコータ等のコータを使用して形成することができる。
下塗り塗工層3は、顔料や染料を配合して着色することも考えられる。ただし、下塗り塗工層3を着色すると基紙2の白色度や明度が下がるため、下塗り塗工層3は着色しない方が好ましい。
(塗工層)
塗工層4は、色材たる紫色顔料及び青色顔料、蛍光増白剤、並びに接着剤を主な構成材料とする。
塗工層4は、単層であっても、複数層であってもよい。
塗工層4が複数層である場合、紫色顔料及び青色顔料、並びに蛍光増白剤は、少なくともいずれか1層に含有させればよい。ただし、白色度や、明度、不透明度、印刷適性(裏抜け、鮮明度等)を高めるという観点からは、紫色顔料及び青色顔料、並びに蛍光増白剤を、少なくとも最外層に含有させるのが好ましい。
(紫色顔料及び青色顔料)
以下、紫色顔料及び青色顔料、並びに蛍光増白剤を使用する理由について説明する。
塗工紙を白く見せるために、紫色顔料及び青色顔料を加えて塗工紙全体としての反射光のバランスをとるブルーイング(着色)という技術が存在する。紫色顔料及び青色顔料は可視光中の長波長部分(約500〜700nm)の光、すなわち黄色部分の光を吸収するため、その余色である青味を目立たせる。しかるに、反射光量は吸収された光の分だけ減少するため、塗工紙の明度が下がり、灰色、あるいは黒色に近くなる。
そこで、本形態においては、紫色顔料及び青色顔料、並びに蛍光増白剤を使用する。この形態によると、蛍光増白剤が紫外線(波長は、約300〜400nm。)を可視光である青色光(波長は、約450nm。)に変えるものと考えられる。したがって、紫色顔料及び青色顔料を使用した場合においても、高い視感の明度を得ることができる。
また、色材たる紫色顔料及び青色顔料を含有させることで、塗工紙1の不透明度が向上し、インキの裏抜けが防止される。
紫色顔料及び青色顔料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれをも使用することができる。ただし、得られる塗工紙1が隠蔽性が優れたものとなり、また、耐光性等の物理化学安定性に優れたものとなることから、紫色顔料及び青色顔料としては無機顔料を使用するのが好ましい。
また、無機顔料としては、粒子径が0.2〜0.4μmのものを使用するのがより好ましい。基本的には粒子径が小さくなるほど隠蔽性が高くなると考えられるが、粒子径が小さくなり過ぎると逆に隠蔽性が低くなると考えられる。
なお、上記粒子径は、レーザー解析法にて測定した体積平均粒子径を意味する。レーザー解析法とは、サンプル10mgをメタノール溶液8mlに添加し、超音波分散機(出力:80W)で3分間分散させた分散溶液について、粒径分布測定装置(レーザー方式のマイクロトラック粒径分析計、日機装(株)製)にて解析する方法を意味する。
紫色顔料としては、例えば、砒酸コバルト、燐酸コバルト、コバルト・リチウム・燐酸化物、含水燐酸アンモニウムコバルト、ホウ酸コバルト等のコバルトバイオレット、紫群青、酸化鉄紫、マンガンバイオレット、ミネラルバイオレット等の無機顔料、インジゴイド系、キナクリドン系、オキサジン系、アントラキノン系、カルボニウム系、キサンテン系の有機顔料、等を使用することができる。市販化されている紫色顔料としては、例えば、SAバイオレットC12896(御国色素株式会社)等を使用することができる。
青色顔料としては、例えば、ウルトラマリン、アズライト、プロシアブルー(紺青)、群青、スマルト、コバルトブルー(アルミン酸コバルト)、セルリアンブルー(錫酸コバルト)、コバルトクロムブルー、コバルト・アルミ・珪素酸化物、コバルト・亜鉛・珪素酸化物、マンガンブルー、フタロシアニン、等を使用することができる。市販化されている青色顔料としては、例えば、EMT−ブルーDS−18(東洋インキ製造株式会社)等を使用することができる。
塗工層4における紫色顔料及び青色顔料の合計含有量は、好ましくは0.1〜1.4mg/m2、より好ましくは0.2〜0.6mg/m2、特に好ましくは0.3〜0.45mg/m2である。合計含有量が上記範囲を下回ると、顔料による光の吸収が不十分になり、高不透明度にならないおそれがある。他方、合計含有量が上記範囲を上回ると、色相が原点(図2参照)から大きく外れ、見た目の白さが失われるおそれがある。
塗工層3における紫色顔料及び青色顔料の合計含有量は、固形分換算で、後述する白色顔料100質量部に対して、好ましくは0.001〜0.005質量部、より好ましくは0.0015〜0.0035質量部、特に好ましくは0.002〜0.003質量部である。合計含有量が上記範囲を下回ると、塗工紙1の不透明度が不十分になり、また、目的とする色相にならないそれがある。他方、合計含有量が上記範囲を上回ると、塗工紙1の明度が不十分になるおそれがある。
なお、上記合計含有量は、以下の式で計算した値である。
紫色顔料及び青色顔料の合計含有量(mg/m2)=(全塗工量(g/m2)×紫色顔料及び青色顔料の合計質量部(質量部)/塗工液中の全固形分質量部(質量部))×1000
なお、上記質量部は、固形分換算した場合の値である。
(その他の顔料)
色材としては、必要により、紫色顔料及び青色顔料以外の顔料、例えば、赤色顔料、黄色顔料、緑色顔料等の顔料を含有させることもできる。なお、色材として黒色顔料を含有させるのは、好ましくない。黒色顔料を含有させると、塗工層4の明度が低下し、塗工紙1が目的の明度や印刷後の鮮明度を有しないものとなるおそれがある。
(蛍光増白剤)
塗工層4に蛍光増白剤を含有させることで、塗工層4が着色させ、かつ明度を向上させることができる。
蛍光増白剤としては、例えば、スチルベンゼン系、ベンズイミダゾール系、イミダゾール系、イミダゾロン系、ビラゾリン系、クマリン系、ナフタルイミド系、の蛍光増白剤等を使用することができる。市販化されている蛍光増白剤としては、例えば、カヤホールSIM(L)(日本化薬社製)等を使用することができる。
ただし、蛍光増白剤としては、好ましくは、スチルベンゼン系のスチルベンジルスルホン酸誘導体を、より好ましくは、スルホ基が4ケ誘導されているテトラ型のものを使用する。塗工紙1の抄造時には、通常、循環原料として抄造時の損紙等が配合される。したがって、蛍光増白剤としてテトラ型のものを使用することで、基紙2への余分な着色や明度の退色を抑えることができる。
塗工層4における蛍光増白剤の合計含有量は、好ましくは10〜80mg/m2、より好ましくは15〜70mg/m2、特に好ましくは20〜45mg/m2である。合計含有量が上記範囲を下回ると、目的とする塗工紙の明度と色相が得られないおそれがある。他方、合計含有量が上記範囲を上回ると、蛍光増白剤自身の色が現出してしまい、かえって明度が低下し、退色による影響も強くなるおそれがある。
塗工層4における蛍光増白剤の合計含有量は、後述する白色顔料100質量部に対して、好ましくは0.05〜0.8質量部、より好ましくは0.15〜0.6質量部、特に好ましくは0.2〜0.4質量部である。
なお、上記合計含有量は、以下の式で計算した値である。
蛍光増白剤の合計含有量(mg/m2)=(全塗工量(g/m2)×蛍光増白剤の合計質量部(質量部)/塗工液中の全固形分質量部(質量部))×1000
なお、上記質量部は、固形分換算した場合の値である。
(白色顔料)
塗工層4には、必要により、白色顔料を含有させる。
白色顔料は、無機顔料であっても、有機顔料であってもよい。
白色顔料としては、例えば、カオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイト、等を使用することができる。
ただし、白色度の向上という観点からは、重質炭酸カルシウム又は軽質炭酸カルシウムを使用するのが好ましく、軽質炭酸カルシウムを使用するのが特に好ましい。
軽質炭酸カルシウムの含有量は、白色顔料全量の、好ましくは70質量%以上、より好ましくは72質量%以上、特に好ましくは75質量%以上である。
(接着剤)
接着剤(バインダー)としては、例えば、スチレン・ブタジエン系接着剤、スチレン・アクリル系接着剤、エチレン・酢酸ビニル系接着剤、ブタジエン・メチルメタクリレート系接着剤、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系接着剤、ポリビニルアルコール、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白、酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、カルバミン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、等を使用することができる。
接着剤の配合量は、固形分換算で、前述した白色顔料100質量部に対して、好ましくは2〜15質量部、より好ましくは3〜12質量部、特に好ましくは5〜11質量部である。
(その他)
塗工層4には、必要により、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、等の各種補助剤を含有させることができる。
塗工層4は、例えば、サイズプレスコータ、ゲートロールコータ、ロッドメタリングコータ、ビルブードコータ、ブレードコータ等のコータを使用して形成することができる。ただし、塗工層4が単層である場合、特に塗工紙1が坪量60g/m2以下の微塗工紙である場合は、ゲートロールコータやロッドメタリングコータ等を使用するフィルム転写方式で塗工層4を形成するのが好ましい。微塗工紙である場合においてフィルム転写方式で形成すると、塗工量が片面あたり5.0〜8.0g/m2となるような低塗工量であっても、効率よく塗工することができる(操業性の向上)。また、塗工層4に白色顔料として軽質炭酸カルシウムを使用する場合は、重質炭酸カルシウムと比べ、粒子径の粒度分布がシャープであるため、塗工液のハイシェアの粘度が高くなり、流動性が悪化する傾向がある。しかるに、フィルム転写方式の塗工方式であると、5.0〜8.0g/m2のような塗工量でも塗工することができる。
塗工層4の塗工量は、片面あたり、好ましくは5.0〜8.0g/m2、より好ましくは5.2〜7.5g/m2、特に好ましくは5.5〜7.0g/m2である。塗工量が上記範囲を下回ると、塗工紙1全体に対する塗工層4の割合が小さく、目的の明度や色相が得られないおそれがある。他方、塗工量が上記範囲を上回ると、塗工紙1全体に対する基紙2の割合が小さく、目的の不透明度が得られないおそれがある。
(印刷用塗工紙)
(坪量)
塗工紙1の坪量は、好ましくは40〜60g/m2、より好ましくは42〜59g/m2、特に好ましくは45〜58g/m2である。微塗工紙の場合、特に坪量が60g/m2以下の場合は、本発明による効果がいかんなく発揮される。もっとも、坪量が40g/m2を下回ると、不透明度が不十分になるおそれがある。
(不透明度)
塗工紙1の不透明度は、JIS P 8149に準拠して測定した値である。
不透明度は、好ましくは85%以上、より好ましくは86%以上、特に好ましくは87%以上である。不透明度を上記範囲とするためには、例えば、基紙2の脱墨パルプ(DIP)や灰分の量を調節する、塗工層4の着色を調節する、等の方法によることができる。
基紙2の灰分は、不透明度のほか、明度、塗工紙のコシ等を考慮すると、JIS P 8251(525℃)に準拠して測定した値が、好ましくは.3.0〜9.5%、より好ましくは4.0〜9.3%、特に好ましくは5.0〜9.0%である。
(明度)
塗工紙1の明度は、JIS P 8150に準拠し、紫外線を含むようにして、測定した値である。
塗工紙1の明度は、好ましくは85%以上、より好ましくは86%以上、特に好ましくは87%以上である。明度を上記範囲とするためには、例えば、基紙2の脱墨パルプ(DIP)や灰分の量を調節する、塗工層4の着色を調節する、等の方法によることができる。
(色相)
塗工紙1の色相は、JIS P 8150に準拠し、紫外線を含むようにして測定した値である。
この色相において、a*値は、好ましくは0.5以上2.5未満、より好ましくは0.6以上2.0未満、特に好ましくは0.7以上1.8未満である。また、b*値は、好ましくは−5以上−2未満、より好ましくは−4.8以上−2.5未満、特に好ましくは−4.6以上−2.8未満である。色相(a*値及びb*値)が上記範囲であると、印刷用塗工紙1の表面が青白くなり、見た目の白さが際立つ。
色相(a*値及びb*値)は、紫色顔料及び青色顔料を添加することによって、制御することができる。
図2には、L***系色度座標を示している。同図のL*は、明度で白黒の度合いを表す。a*は、+(プラス)のとき赤味の度合いを、−(マイナス)のとき緑味の度合いをそれぞれ増す。b*は、+(プラス)のとき黄味の度合いを、−(マイナス)のとき青味の度合いをそれぞれ増す。紫色顔料及び青色顔料を添加していない場合が原点に位置すると、青色顔料を添加すると、b*は−(マイナス)、a*も−(マイナス)に向かって色相が変化する。また、紫色顔料を添加すると、b*は−(マイナス)、a*は+(プラス)に向かって色相が変化する。
次に、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない限り、種々の変更を加えることができる。
(実施例1)
原料パルプとして、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、及び脱墨パルプ(DIP)を使用し、パルプスラリーを得た。各原料パルプの配合割合は、下記表に示すとおりとした。パルプスラリーには、軽質炭酸カルシウム(タマパールTP121−6S(奥多摩工業社製)、タマパール\TAMAPEARLは、登録商標。)、凝結剤、歩留剤、紙力増強剤を内添した。
得られたパルプスラリーをギャップフォーマで抄紙して、基紙を得た。
得られた基紙上に、酸化澱粉を下塗り塗工した。塗工量は、両面で0.8g/m2とした。
一方、接着剤、色材、白色顔料、及び蛍光増白剤を混合して塗工液を得た。
接着剤としては、SBラテックス(PB2901(日本エイアンドエル社製))及び澱粉(RC#20(日本食品化工社製))を使用した。色材としては、紫色顔料(SAバイオレットBOX(御国色素社製))、及び青色顔料(SAブルー12422(御国色素社製社製))を使用した。白色顔料としては、重質炭酸カルシウム(カービタル90(イメリス ミネラルズ・ジャパン社製)、CARBITALは登録商標。)、及びクレー(KAOFINE(白石カルシウム社製))を使用した。蛍光増白剤としては、(ZDMV(L)(ブランコフォア社製))を使用した。これら各種材料の混合割合は、下記表に示すとおりとした。
得られた塗工液を使用して、基紙(下塗り塗工層)の両面に塗工層を形成した。この形成は、フィルム転写方式で行った。塗工層の塗工量は、下記表に示すとおりとした。
得られた塗工紙について、坪量、不透明度、明度、及び色相を調べた。結果は、下記表に示した。
続いて、得られた塗工紙にオフセット輪転印刷機で藍色、赤色、黄色のベタ印刷を行い、3色掛け合わせ部分について、マクベス反射濃度計RD−918(米国コルモーゲンコーポレーション社製)で、前記3色掛け合わせ部分を測定した。インキ濃度は2.0となるように印刷した。印刷後の塗工紙(印刷物)について、裏抜け及び鮮明度を官能評価した。結果は、下記表に示すとおりであった。なお、官能評価の評価基準は、以下のとおりとした。
(裏抜け)
室内蛍光灯下で印刷物を印刷面の裏側から透かして視観し、以下の4段階で評価した。
◎:裏移り(裏抜け)が全くない場合
〇:裏移りが僅かに認められるが、ほとんど目立たず実用上差し支えがない場合
△:裏移りが多少認められ、実用に供するにはやや難がある場合
×:裏移りがひどく実用性が全くない場合
(鮮明度)
任意の人数30人が、室内蛍光灯下で印刷物の印刷部分と白紙部分との境を視観し、5点評価(5:印刷物の印刷部分と白紙部分との境が鮮明に見え、白紙部分は澄んだ明るい白さ>1:印刷物の印刷部分と白紙部分との境がぼやけて見え、白紙部分は澱んだ暗い白さ)した。得られた評価値を平均し、以下の4段階に分類した。
◎:平均値が4.0以上の場合。印刷用紙として適しているといえる。
〇:平均値が3.5以上の場合。印刷用紙として用途上差し支えがないといえる。
△:平均値が3.0以上の場合。印刷用紙として実用に供するにはやや難があるといえる。
×:平均値が3.0未満の場合。印刷用紙としては適さないといえる。
Figure 2021014676
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(その他の実施例、及び比較例)
塗工紙の原料及び配合割合を下記表に示すとおりに変化させて、実施例1と同様の試験を行った。結果は、下記表に示した。
なお、黒色顔料としては、SAブラック5207(御国色素社製)を使用した。軽質炭酸カルシウムとしては、タマパールTP−121−7C(奥多摩工業社製、タマパール\TAMAPEARLは、登録商標。)を使用した。
(考察)
実施例と比較例1〜3との対比から、青色顔料、紫色顔料、及び蛍光増白剤が1つでも欠けると、不透明度、明度、又は官能評価が不十分になることが分かった。
また、実施例と比較例4、5との対比から、青色顔料、紫色顔料、及び蛍光増白剤を使用したとしても、不透明度、明度、及び色相を制御しないと、官能評価が不十分になることが分かった。
本発明は、オフセット印刷用塗工紙等として使用することができる印刷用塗工紙及びその製造方法として適用可能である。
1…塗工紙、2…基紙、3…下塗り塗工層、4…塗工層。
本発明は、オフセット印刷用塗工紙等として使用することができる印刷用塗工紙に関するものである。
印刷用塗工紙は、印刷適性という観点から、白色度が高いこと、不透明度が高いこと等が要求される。そこで、特許文献1は、オフセット印刷用塗工紙について、脱墨パルプを50%以上の高配合とし、かつ塗工層に紫色顔料及び青色顔料、並びに重質炭酸カルシウムを含有させることを提案する。同文献は、これにより、「高白色、高不透明性の両方の物性を有する印刷用紙を得ることができる」とする。
しかしながら、脱墨パルプを50質量%以上の高配合にすると、印刷適性の1つである明度が低くなるとの問題が生じる。
また、同文献は、より好ましい印刷用紙として、基紙に青色染料、紫色染料、又は赤色染料を含有させることも提案する。しかしながら、染料は化学的に不安定である。したがって、この提案によると、経時劣化による退色の問題、すなわち明度等が変動する問題が生じる。
特許第5686984号公報
発明が解決しようとする主たる課題は、高白色度、高不透明度でありながら、明度が低くなるおそれのない印刷用塗工紙を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討をした。結果、基紙がナチュラル色であっても、塗工層に紫色顔料及び青色顔料の両方、並びに蛍光増白剤を含有させてブルーイング(着色)することで、高白色度、高不透明度でありながら、明度が低くなるおそれがなく、好ましくは退色の問題が生じるおそれもない印刷用塗工紙が得られることを知見した。この知見に基づく上記課題を解決するための参考となる態様は、以下のとおりである。
(請求項1記載の参考態様)
基紙及び塗工層を有する塗工紙であり、
前記基紙のJIS P 8150の色相は、紫外線を含む測定において、a*値0.1以上0.7未満、b*値−0.2以上0.6未満であり、
前記塗工層は、紫色顔料及び青色顔料の両者、並びに蛍光増白剤を含有し、
前記塗工紙のJIS P 8149の不透明度は85%以上、JIS P 8150の明度は紫外線を含む測定において85%以上であり、
前記塗工紙のJIS P 8150の色相は、紫外線を含む測定においてa*値0.5以上2.5未満、b*値−5以上−2未満である、
ことを特徴とする印刷用塗工紙。
(請求項2記載の参考態様)
前記塗工層は、白色顔料を含有し、
この白色顔料100質量部に対する前記塗工層における紫色顔料及び青色顔料の合計含有量が、固形分換算で0.001〜0.005質量部であり、
前記白色顔料の70質量%以上は、炭酸カルシウムである、
請求項1に記載の印刷用塗工紙。
(請求項3記載の参考態様)
前記炭酸カルシウムが軽質炭酸カルシムである、
請求項2に記載の印刷用塗工紙。
(請求項4記載の参考態様)
前記蛍光増白剤の含有量は、10〜80mg/m2であり、
前記塗工層における蛍光増白剤は、前記白色顔料100質量部に対して0.05〜0.8質量部である、
請求項2又は請求項3に記載の印刷用塗工紙。
(請求項5記載の参考態様)
前記基紙の原料パルプとして脱墨パルプが絶乾基準で全原料パルプの30〜45質量%使用され、かつ前記基紙のJIS P 8251(525℃)に準拠して測定した灰分が3.0〜9.5%とされることで前記塗工紙の不透明度が85%以上とされている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷用塗工紙。
(請求項6記載の参考態様)
前記基紙のJIS P 8150の明度が紫外線を含む測定において75%以上とされて前記塗工紙の明度が85%以上とされている、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷用塗工紙。
(請求項7記載の参考態様)
前記紫色顔料及び前記青色顔料として粒子径0.2〜0.4μmの無機顔料が使用され、かつ前記紫色顔料及び前記青色顔料の合計含有量は、0.1〜1.4mg/m2である、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の印刷用塗工紙。
(請求項8記載の参考態様)
JIS P 8150の色相が、紫外線を含む測定において、a*値0.1以上0.7未満、b*値−0.2以上0.6未満の基紙の片面又は両面にフィルム転写方式で塗工層を形成して塗工紙を製造する方法であり、
前記塗工層に、紫色顔料及び青色顔料の両者、並びに蛍光増白剤を含有させて、
前記塗工紙のJIS P 8149の不透明度を85%以上、JIS P 8150の明度を紫外線を含む測定において85%以上とし、
前記塗工紙のJIS P 8150の色相を、紫外線を含む測定においてa*値0.5以上2.5未満、b*値−5以上−2未満とする、
ことを特徴とする印刷用塗工紙の製造方法。
本発明によると、高白色度、高不透明度でありながら、明度が低くなるおそれのない印刷用塗工紙となる。
本形態の印刷用塗工紙の断面図である。 紫色顔料及び青色顔料を含有させた場合の色相の変化を示す図である。
次に、本発明を実施するための形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施形態によって何ら限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない限り、種々の変更を加えることができる。
図1に示すように、本形態の印刷用塗工紙1は、基紙2及びこの基紙2の片面(図1の(1))又は両面(図1の(2))に形成された塗工層4を有する。ただし、これは一例であり、例えば、塗工層4の下に、つまり塗工層4と基紙2との間に、下塗り塗工層等の他の層が存在してもよい。参考までに、図1の(3)に基紙2の片面に下塗り塗工層3が形成されている形態を、図1の(4)に基紙2の両面に下塗り塗工層が形成されている形態を示している。
塗工層4は、紫色顔料及び青色顔料、並びに蛍光増白剤を含有する。以下、詳細に説明する。
(基紙)
基紙2は、原料パルプ及び填料を主な構成材料とする。
基紙2は、単層であっても、複数層であってもよい。
(原料パルプ)
原料パルプとしては、例えば、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、亜硫酸パルプ等の化学パルプ、砕木パルプ(GP)、リファイナー砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)、等を使用することができる。
化学パルプはリグニンが除去されているため、白色度が高い。その反面、製造した紙の不透明度が低くなるとの問題を有する。この問題は、特に、低坪量の塗工紙の場合に顕著なものとなる。
そこで、本形態においては、基紙2の原料パルプとして、脱墨パルプ(DIP)を使用することを必須とする。脱墨パルプの配合量は、絶乾基準で全原料パルプの、好ましくは30質量%以上45質量%以下、より好ましくは32質量%以上43質量%以下、特に好ましくは35質量%以上40質量%以下である。脱墨パルプの配合量が上記範囲を下回ると、不透明度が十分に高くならないおそれがある。他方、脱墨パルプの配合量が上記範囲を上回ると、色材等による調整によっても、白色度や明度が十分に高くならないおそれがある。
なお、色材とは、白色以外の有色の顔料又は染料をいう。また、脱墨パルプの質量には、脱墨パルプ自体の質量のほか、当該脱墨パルプに付着している分離不可能な填料等の質量をも含む。
脱墨パルプの原料としては、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、チラシ、雑誌等からなる選別古紙、これらの古紙が混在してなる無選別古紙、等を例示することができる。
(填料)
填料としては、例えば、重質炭酸カルシム、軽質炭酸カルシウム、クレー、シリカ、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、ホワイトカーボン、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、非晶質シリカ等の無機填料や、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン系樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂等の有機填料、等を使用することができる。
ただし、不透明度の向上という観点からは、重質炭酸カルシウム又は軽質炭酸カルシウムを使用するのが好ましい。また、白色度、明度及び不透明度の向上という観点からは、軽質炭酸カルシウムを使用するのが好ましい。さらに、軽質炭酸カルシウムとしては、軽質炭酸カルシウムにシリカやアルミニウム等の無機物質を被覆させていたものや、軽質炭酸カルシウムを凝集させた凝集体を使用するのが好ましい。もちろん、これらの軽質炭酸カルシウムは、適宜組み合わせて使用することもできる。
(色材)
基紙2には、紫色顔料や青色顔料を填料として内添させてもよい。
基紙2には、紫色染料、青色染料、黄色染料、緑色染料、赤色染料等を含有させてもよい。染料は繊維に染着するので、着色効率がよい。染料は変色する可能性があるが、基紙2に含有させるのであれば、基紙2上には少なくとも塗工層4が存在するため、見た目に及ぼす影響は少ない。
紫色顔料や青色顔料の内添は、基紙2がナチュラル色になるように行うのが好ましい。具体的は、基紙2のJIS P 8150の色相が紫外線を含む測定において、好ましくはa*値0.1以上0.7未満、b*値−0.2以上0.6未満、より好ましくはa*値0.2以上0.6未満、b*値を−0.1以上0.5未満、特に好ましくはa*値0.25以上0.55未満、b*値−0.05以上0.45未満である。このように調整することで、基紙2自体の白色度及び明度を向上させることができ、塗工層4を形成後の白色度及び明度を向上させることできる。
基紙2のJIS P 8150の明度は、紫外線を含む測定において、好ましくは75%以上、より好ましくは78%以上、特に好ましくは80%以上である。
(添加剤)
基紙2には、必要により、添加剤を内添することができる。
添加剤としては、例えば、凝結剤、消泡剤、蛍光増白剤、硫酸バンド、歩留り向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤、サイズ剤、染料等を例示することができる。
(下塗り塗工層)
前述したように、基紙2の片面又は両面には、下塗り塗工層(クリア塗工層)3を設けることができる。
下塗り塗工層3の原料としては、例えば、天然高分子系、合成高分子系等を使用することができる。
天然高分子系としては、例えば、コーン、小麦、タピオカ、ポテト等の生澱粉を各種製法で変性させた、酵素分解澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、カチオン化澱粉、尿素リン酸化澱粉、変性酸化澱粉やカルボキシメチル化セルロース(CMC)、カルボキシエチル化セルロース(CEC)、等の中から一種又は二種以上を選択して使用することができる。
合成高分子系としては、例えば、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリエチレングリコール(PEG)、等の中から一種又は二種以上を選択して使用することができる。
下塗り塗工層3には、例えば、消泡剤、蛍光増白剤、耐水化剤、サイズ剤等の添加剤を内添することができる。
下塗り塗工層3の塗工量は、片面あたり、好ましくは0.1〜1.0g/m2、より好ましくは0.2〜0.8g/m2、特に好ましくは0.3〜0.6g/m2である。
下塗り塗工層3の塗工量は、例えば、サイズプレスコータ、ゲートロールコータ、ロッドメタリングコータ、ビルブードコータ、ブレードコータ等のコータを使用して形成することができる。
下塗り塗工層3は、顔料や染料を配合して着色することも考えられる。ただし、下塗り塗工層3を着色すると基紙2の白色度や明度が下がるため、下塗り塗工層3は着色しない方が好ましい。
(塗工層)
塗工層4は、色材たる紫色顔料及び青色顔料、蛍光増白剤、並びに接着剤を主な構成材料とする。
塗工層4は、単層であっても、複数層であってもよい。
塗工層4が複数層である場合、紫色顔料及び青色顔料、並びに蛍光増白剤は、少なくともいずれか1層に含有させればよい。ただし、白色度や、明度、不透明度、印刷適性(裏抜け、鮮明度等)を高めるという観点からは、紫色顔料及び青色顔料、並びに蛍光増白剤を、少なくとも最外層に含有させるのが好ましい。
(紫色顔料及び青色顔料)
以下、紫色顔料及び青色顔料、並びに蛍光増白剤を使用する理由について説明する。
塗工紙を白く見せるために、紫色顔料及び青色顔料を加えて塗工紙全体としての反射光のバランスをとるブルーイング(着色)という技術が存在する。紫色顔料及び青色顔料は可視光中の長波長部分(約500〜700nm)の光、すなわち黄色部分の光を吸収するため、その余色である青味を目立たせる。しかるに、反射光量は吸収された光の分だけ減少するため、塗工紙の明度が下がり、灰色、あるいは黒色に近くなる。
そこで、本形態においては、紫色顔料及び青色顔料、並びに蛍光増白剤を使用する。この形態によると、蛍光増白剤が紫外線(波長は、約300〜400nm。)を可視光である青色光(波長は、約450nm。)に変えるものと考えられる。したがって、紫色顔料及び青色顔料を使用した場合においても、高い視感の明度を得ることができる。
また、色材たる紫色顔料及び青色顔料を含有させることで、塗工紙1の不透明度が向上し、インキの裏抜けが防止される。
紫色顔料及び青色顔料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれをも使用することができる。ただし、得られる塗工紙1が隠蔽性が優れたものとなり、また、耐光性等の物理化学安定性に優れたものとなることから、紫色顔料及び青色顔料としては無機顔料を使用するのが好ましい。
また、無機顔料としては、粒子径が0.2〜0.4μmのものを使用するのがより好ましい。基本的には粒子径が小さくなるほど隠蔽性が高くなると考えられるが、粒子径が小さくなり過ぎると逆に隠蔽性が低くなると考えられる。
なお、上記粒子径は、レーザー解析法にて測定した体積平均粒子径を意味する。レーザー解析法とは、サンプル10mgをメタノール溶液8mlに添加し、超音波分散機(出力:80W)で3分間分散させた分散溶液について、粒径分布測定装置(レーザー方式のマイクロトラック粒径分析計、日機装(株)製)にて解析する方法を意味する。
紫色顔料としては、例えば、砒酸コバルト、燐酸コバルト、コバルト・リチウム・燐酸化物、含水燐酸アンモニウムコバルト、ホウ酸コバルト等のコバルトバイオレット、紫群青、酸化鉄紫、マンガンバイオレット、ミネラルバイオレット等の無機顔料、インジゴイド系、キナクリドン系、オキサジン系、アントラキノン系、カルボニウム系、キサンテン系の有機顔料、等を使用することができる。市販化されている紫色顔料としては、例えば、SAバイオレットC12896(御国色素株式会社)等を使用することができる。
青色顔料としては、例えば、ウルトラマリン、アズライト、プロシアブルー(紺青)、群青、スマルト、コバルトブルー(アルミン酸コバルト)、セルリアンブルー(錫酸コバルト)、コバルトクロムブルー、コバルト・アルミ・珪素酸化物、コバルト・亜鉛・珪素酸化物、マンガンブルー、フタロシアニン、等を使用することができる。市販化されている青色顔料としては、例えば、EMT−ブルーDS−18(東洋インキ製造株式会社)等を使用することができる。
塗工層4における紫色顔料及び青色顔料の合計含有量は、好ましくは0.1〜1.4mg/m2、より好ましくは0.2〜0.6mg/m2、特に好ましくは0.3〜0.45mg/m2である。合計含有量が上記範囲を下回ると、顔料による光の吸収が不十分になり、高不透明度にならないおそれがある。他方、合計含有量が上記範囲を上回ると、色相が原点(図2参照)から大きく外れ、見た目の白さが失われるおそれがある。
塗工層3における紫色顔料及び青色顔料の合計含有量は、固形分換算で、後述する白色顔料100質量部に対して、好ましくは0.001〜0.005質量部、より好ましくは0.0015〜0.0035質量部、特に好ましくは0.002〜0.003質量部である。合計含有量が上記範囲を下回ると、塗工紙1の不透明度が不十分になり、また、目的とする色相にならないそれがある。他方、合計含有量が上記範囲を上回ると、塗工紙1の明度が不十分になるおそれがある。
なお、上記合計含有量は、以下の式で計算した値である。
紫色顔料及び青色顔料の合計含有量(mg/m2)=(全塗工量(g/m2)×紫色顔料及び青色顔料の合計質量部(質量部)/塗工液中の全固形分質量部(質量部))×1000
なお、上記質量部は、固形分換算した場合の値である。
(その他の顔料)
色材としては、必要により、紫色顔料及び青色顔料以外の顔料、例えば、赤色顔料、黄色顔料、緑色顔料等の顔料を含有させることもできる。なお、色材として黒色顔料を含有させるのは、好ましくない。黒色顔料を含有させると、塗工層4の明度が低下し、塗工紙1が目的の明度や印刷後の鮮明度を有しないものとなるおそれがある。
(蛍光増白剤)
塗工層4に蛍光増白剤を含有させることで、塗工層4が着色させ、かつ明度を向上させることができる。
蛍光増白剤としては、例えば、スチルベンゼン系、ベンズイミダゾール系、イミダゾール系、イミダゾロン系、ビラゾリン系、クマリン系、ナフタルイミド系、の蛍光増白剤等を使用することができる。市販化されている蛍光増白剤としては、例えば、カヤホールSIM(L)(日本化薬社製)等を使用することができる。
ただし、蛍光増白剤としては、好ましくは、スチルベンゼン系のスチルベンジルスルホン酸誘導体を、より好ましくは、スルホ基が4ケ誘導されているテトラ型のものを使用する。塗工紙1の抄造時には、通常、循環原料として抄造時の損紙等が配合される。したがって、蛍光増白剤としてテトラ型のものを使用することで、基紙2への余分な着色や明度の退色を抑えることができる。
塗工層4における蛍光増白剤の合計含有量は、好ましくは10〜80mg/m2、より好ましくは15〜70mg/m2、特に好ましくは20〜45mg/m2である。合計含有量が上記範囲を下回ると、目的とする塗工紙の明度と色相が得られないおそれがある。他方、合計含有量が上記範囲を上回ると、蛍光増白剤自身の色が現出してしまい、かえって明度が低下し、退色による影響も強くなるおそれがある。
塗工層4における蛍光増白剤の合計含有量は、後述する白色顔料100質量部に対して、好ましくは0.05〜0.8質量部、より好ましくは0.15〜0.6質量部、特に好ましくは0.2〜0.4質量部である。
なお、上記合計含有量は、以下の式で計算した値である。
蛍光増白剤の合計含有量(mg/m2)=(全塗工量(g/m2)×蛍光増白剤の合計質量部(質量部)/塗工液中の全固形分質量部(質量部))×1000
なお、上記質量部は、固形分換算した場合の値である。
(白色顔料)
塗工層4には、必要により、白色顔料を含有させる。
白色顔料は、無機顔料であっても、有機顔料であってもよい。
白色顔料としては、例えば、カオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイト、等を使用することができる。
ただし、白色度の向上という観点からは、重質炭酸カルシウム又は軽質炭酸カルシウムを使用するのが好ましく、軽質炭酸カルシウムを使用するのが特に好ましい。
軽質炭酸カルシウムの含有量は、白色顔料全量の、好ましくは70質量%以上、より好ましくは72質量%以上、特に好ましくは75質量%以上である。
(接着剤)
接着剤(バインダー)としては、例えば、スチレン・ブタジエン系接着剤、スチレン・アクリル系接着剤、エチレン・酢酸ビニル系接着剤、ブタジエン・メチルメタクリレート系接着剤、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系接着剤、ポリビニルアルコール、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白、酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、カルバミン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、等を使用することができる。
接着剤の配合量は、固形分換算で、前述した白色顔料100質量部に対して、好ましくは2〜15質量部、より好ましくは3〜12質量部、特に好ましくは5〜11質量部である。
(その他)
塗工層4には、必要により、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、等の各種補助剤を含有させることができる。
塗工層4は、例えば、サイズプレスコータ、ゲートロールコータ、ロッドメタリングコータ、ビルブードコータ、ブレードコータ等のコータを使用して形成することができる。ただし、塗工層4が単層である場合、特に塗工紙1が坪量60g/m2以下の微塗工紙である場合は、ゲートロールコータやロッドメタリングコータ等を使用するフィルム転写方式で塗工層4を形成するのが好ましい。微塗工紙である場合においてフィルム転写方式で形成すると、塗工量が片面あたり5.0〜8.0g/m2となるような低塗工量であっても、効率よく塗工することができる(操業性の向上)。また、塗工層4に白色顔料として軽質炭酸カルシウムを使用する場合は、重質炭酸カルシウムと比べ、粒子径の粒度分布がシャープであるため、塗工液のハイシェアの粘度が高くなり、流動性が悪化する傾向がある。しかるに、フィルム転写方式の塗工方式であると、5.0〜8.0g/m2のような塗工量でも塗工することができる。
塗工層4の塗工量は、片面あたり、好ましくは5.0〜8.0g/m2、より好ましくは5.2〜7.5g/m2、特に好ましくは5.5〜7.0g/m2である。塗工量が上記範囲を下回ると、塗工紙1全体に対する塗工層4の割合が小さく、目的の明度や色相が得られないおそれがある。他方、塗工量が上記範囲を上回ると、塗工紙1全体に対する基紙2の割合が小さく、目的の不透明度が得られないおそれがある。
(印刷用塗工紙)
(坪量)
塗工紙1の坪量は、好ましくは40〜60g/m2、より好ましくは42〜59g/m2、特に好ましくは45〜58g/m2である。微塗工紙の場合、特に坪量が60g/m2以下の場合は、本発明による効果がいかんなく発揮される。もっとも、坪量が40g/m2を下回ると、不透明度が不十分になるおそれがある。
(不透明度)
塗工紙1の不透明度は、JIS P 8149に準拠して測定した値である。
不透明度は、好ましくは85%以上、より好ましくは86%以上、特に好ましくは87%以上である。不透明度を上記範囲とするためには、例えば、基紙2の脱墨パルプ(DIP)や灰分の量を調節する、塗工層4の着色を調節する、等の方法によることができる。
基紙2の灰分は、不透明度のほか、明度、塗工紙のコシ等を考慮すると、JIS P 8251(525℃)に準拠して測定した値が、好ましくは.3.0〜9.5%、より好ましくは4.0〜9.3%、特に好ましくは5.0〜9.0%である。
(明度)
塗工紙1の明度は、JIS P 8150に準拠し、紫外線を含むようにして、測定した値である。
塗工紙1の明度は、好ましくは85%以上、より好ましくは86%以上、特に好ましくは87%以上である。明度を上記範囲とするためには、例えば、基紙2の脱墨パルプ(DIP)や灰分の量を調節する、塗工層4の着色を調節する、等の方法によることができる。
(色相)
塗工紙1の色相は、JIS P 8150に準拠し、紫外線を含むようにして測定した値である。
この色相において、a*値は、好ましくは0.5以上2.5未満、より好ましくは0.6以上2.0未満、特に好ましくは0.7以上1.8未満である。また、b*値は、好ましくは−5以上−2未満、より好ましくは−4.8以上−2.5未満、特に好ましくは−4.6以上−2.8未満である。色相(a*値及びb*値)が上記範囲であると、印刷用塗工紙1の表面が青白くなり、見た目の白さが際立つ。
色相(a*値及びb*値)は、紫色顔料及び青色顔料を添加することによって、制御することができる。
図2には、L***系色度座標を示している。同図のL*は、明度で白黒の度合いを表す。a*は、+(プラス)のとき赤味の度合いを、−(マイナス)のとき緑味の度合いをそれぞれ増す。b*は、+(プラス)のとき黄味の度合いを、−(マイナス)のとき青味の度合いをそれぞれ増す。紫色顔料及び青色顔料を添加していない場合が原点に位置すると、青色顔料を添加すると、b*は−(マイナス)、a*も−(マイナス)に向かって色相が変化する。また、紫色顔料を添加すると、b*は−(マイナス)、a*は+(プラス)に向かって色相が変化する。
次に、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない限り、種々の変更を加えることができる。
(実施例1)
原料パルプとして、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、及び脱墨パルプ(DIP)を使用し、パルプスラリーを得た。各原料パルプの配合割合は、下記表に示すとおりとした。パルプスラリーには、軽質炭酸カルシウム(タマパールTP121−6S(奥多摩工業社製)、タマパール\TAMAPEARLは、登録商標。)、凝結剤、歩留剤、紙力増強剤を内添した。
得られたパルプスラリーをギャップフォーマで抄紙して、基紙を得た。
得られた基紙上に、酸化澱粉を下塗り塗工した。塗工量は、両面で0.8g/m2とした。
一方、接着剤、色材、白色顔料、及び蛍光増白剤を混合して塗工液を得た。
接着剤としては、SBラテックス(PB2901(日本エイアンドエル社製))及び澱粉(RC#20(日本食品化工社製))を使用した。色材としては、紫色顔料(SAバイオレットBOX(御国色素社製))、及び青色顔料(SAブルー12422(御国色素社製社製))を使用した。白色顔料としては、重質炭酸カルシウム(カービタル90(イメリス ミネラルズ・ジャパン社製)、CARBITALは登録商標。)、及びクレー(KAOFINE(白石カルシウム社製))を使用した。蛍光増白剤としては、(ZDMV(L)(ブランコフォア社製))を使用した。これら各種材料の混合割合は、下記表に示すとおりとした。
得られた塗工液を使用して、基紙(下塗り塗工層)の両面に塗工層を形成した。この形成は、フィルム転写方式で行った。塗工層の塗工量は、下記表に示すとおりとした。
得られた塗工紙について、坪量、不透明度、明度、及び色相を調べた。結果は、下記表に示した。
続いて、得られた塗工紙にオフセット輪転印刷機で藍色、赤色、黄色のベタ印刷を行い、3色掛け合わせ部分について、マクベス反射濃度計RD−918(米国コルモーゲンコーポレーション社製)で、前記3色掛け合わせ部分を測定した。インキ濃度は2.0となるように印刷した。印刷後の塗工紙(印刷物)について、裏抜け及び鮮明度を官能評価した。結果は、下記表に示すとおりであった。なお、官能評価の評価基準は、以下のとおりとした。
(裏抜け)
室内蛍光灯下で印刷物を印刷面の裏側から透かして視観し、以下の4段階で評価した。
◎:裏移り(裏抜け)が全くない場合
〇:裏移りが僅かに認められるが、ほとんど目立たず実用上差し支えがない場合
△:裏移りが多少認められ、実用に供するにはやや難がある場合
×:裏移りがひどく実用性が全くない場合
(鮮明度)
任意の人数30人が、室内蛍光灯下で印刷物の印刷部分と白紙部分との境を視観し、5点評価(5:印刷物の印刷部分と白紙部分との境が鮮明に見え、白紙部分は澄んだ明るい白さ>1:印刷物の印刷部分と白紙部分との境がぼやけて見え、白紙部分は澱んだ暗い白さ)した。得られた評価値を平均し、以下の4段階に分類した。
◎:平均値が4.0以上の場合。印刷用紙として適しているといえる。
〇:平均値が3.5以上の場合。印刷用紙として用途上差し支えがないといえる。
△:平均値が3.0以上の場合。印刷用紙として実用に供するにはやや難があるといえる。
×:平均値が3.0未満の場合。印刷用紙としては適さないといえる。
Figure 2021014676
Figure 2021014676
Figure 2021014676
Figure 2021014676
Figure 2021014676
(その他の実施例、及び比較例)
塗工紙の原料及び配合割合を下記表に示すとおりに変化させて、実施例1と同様の試験を行った。結果は、下記表に示した。
なお、黒色顔料としては、SAブラック5207(御国色素社製)を使用した。軽質炭酸カルシウムとしては、タマパールTP−121−7C(奥多摩工業社製、タマパール\TAMAPEARLは、登録商標。)を使用した。
(考察)
実施例と比較例1〜3との対比から、青色顔料、紫色顔料、及び蛍光増白剤が1つでも欠けると、不透明度、明度、又は官能評価が不十分になることが分かった。
また、実施例と比較例4、5との対比から、青色顔料、紫色顔料、及び蛍光増白剤を使用したとしても、不透明度、明度、及び色相を制御しないと、官能評価が不十分になることが分かった。
本発明は、オフセット印刷用塗工紙等として使用することができる印刷用塗工紙として適用可能である。
1…塗工紙、2…基紙、3…下塗り塗工層、4…塗工層。

Claims (8)

  1. 基紙及び塗工層を有する塗工紙であり、
    前記基紙のJIS P 8150の色相は、紫外線を含む測定において、a*値0.1以上0.7未満、b*値−0.2以上0.6未満であり、
    前記塗工層は、紫色顔料及び青色顔料の両者、並びに蛍光増白剤を含有し、
    前記塗工紙のJIS P 8149の不透明度は85%以上、JIS P 8150の明度は紫外線を含む測定において85%以上であり、
    前記塗工紙のJIS P 8150の色相は、紫外線を含む測定においてa*値0.5以上2.5未満、b*値−5以上−2未満である、
    ことを特徴とする印刷用塗工紙。
  2. 前記塗工層は、白色顔料を含有し、
    この白色顔料100質量部に対する前記塗工層における紫色顔料及び青色顔料の合計含有量が、固形分換算で0.001〜0.005質量部であり、
    前記白色顔料の70質量%以上は、炭酸カルシウムである、
    請求項1に記載の印刷用塗工紙。
  3. 前記炭酸カルシウムが軽質炭酸カルシムである、
    請求項2に記載の印刷用塗工紙。
  4. 前記蛍光増白剤の含有量は、10〜80mg/m2であり、
    前記塗工層における蛍光増白剤は、前記白色顔料100質量部に対して0.05〜0.8質量部である、
    請求項2又は請求項3に記載の印刷用塗工紙。
  5. 前記基紙の原料パルプとして脱墨パルプが絶乾基準で全原料パルプの30〜45質量%使用され、かつ前記基紙のJIS P 8251(525℃)に準拠して測定した灰分が3.0〜9.5%とされることで前記塗工紙の不透明度が85%以上とされている、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷用塗工紙。
  6. 前記基紙のJIS P 8150の明度が紫外線を含む測定において75%以上とされて前記塗工紙の明度が85%以上とされている、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷用塗工紙。
  7. 前記紫色顔料及び前記青色顔料として粒子径0.2〜0.4μmの無機顔料が使用され、かつ前記紫色顔料及び前記青色顔料の合計含有量は、0.1〜1.4mg/m2である、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の印刷用塗工紙。
  8. JIS P 8150の色相が、紫外線を含む測定において、a*値0.1以上0.7未満、b*値−0.2以上0.6未満の基紙の片面又は両面にフィルム転写方式で塗工層を形成して塗工紙を製造する方法であり、
    前記塗工層に、紫色顔料及び青色顔料の両者、並びに蛍光増白剤を含有させて、
    前記塗工紙のJIS P 8149の不透明度を85%以上、JIS P 8150の明度を紫外線を含む測定において85%以上とし、
    前記塗工紙のJIS P 8150の色相を、紫外線を含む測定においてa*値0.5以上2.5未満、b*値−5以上−2未満とする、
    ことを特徴とする印刷用塗工紙の製造方法。
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