JP2021013950A - アルミニウム合金材の接合方法 - Google Patents

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Kazumasa Kaitoku
一正 海読
岩瀬 哲
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哲 岩瀬
真三樹 奥田
Masaki Okuda
真三樹 奥田
隆介 日置
Ryusuke Hioki
隆介 日置
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Abstract

【課題】7000系のアルミニウム合金材の被接合材をFDS方式で接合する際に、被接合材同士の間に軸方向の隙間が生じることを抑制して、組立精度と接合強度を高め、腐食の発生を防止できるアルミニウム合金材の接合方法を提供する。【解決手段】7000系のアルミニウム合金の上板21及び下板22を重ね合わせて重ね合わせ部を形成する。外周面にねじ山15を有するねじ部16の先端に尖った軸先端部17を備える軸部11と、軸部11の基端に接続された頭部13とを備えるリベット100を、重ね合わせ部に、軸部11の軸線まわりに回転させつつ軸先端部17から押し込む。軸部11を重ね合わせ部に貫通させて軸部11のねじ山15と上板21及び下板22とを係合させる。このリベット100の押し込み前に、上板21及び下板22に対してT1調質処理を施しておく。【選択図】図6

Description

本発明は、7000系アルミニウム合金材の接合方法に関する。
自動車等の構造部材の接合には、MIG溶接、レーザ溶接、スポット溶接などの溶融溶接に加えて、ボルトやSPR(Self-Pierce Riveting)などを用いた機械式締結法が用いられている。
このような機械式締結手段の一つとして、頭部と、外周面にねじ山が形成され先端に尖った軸先端部を有する軸部とを備えるリベットを回転させて被接合材に押し込む、いわゆるフロー・ドリル・スクリュー(FDS(登録商標):Flow Drilling Screw)方式の採用が検討されている(特許文献1)。このFDS方式は、リベット自体で被接合材に穿孔するため、下孔加工をする必要がなく、被接合材の片面からの加工が可能で施工性に優れる等の優れた特徴を有する。
一方、FDS方式においては、リベット取り付け時のネジ山形成に伴う材料変形が問題となることがあり、この変形を抑制するためにリベット先端の軸先端部とねじ山の径寸法を調整するなどの検討が行われている(特許文献2)。
特表2009−523965号公報 特開2018−4074号公報
近年の自動車等の構造部材においては、省燃費化への対応や、電気自動車化の加速に伴う軽量化の要求に応えるため、高強度材を採用するニーズが高まっている。構造部材用のアルミニウム合金は、5000系、6000系の材料に加えてさらに強度の高い7000系材料の適用が検討されるようになっている。
ところで、7000系アルミニウム合金のように剛性(硬度及び強度)が高い材料にFDS方式の接合を適用した場合、被接合材である上板と下板との間に軸方向の隙間が生じやすくなる。この隙間は、リベットの軸部のねじ込み時に、上板及び下板に形成されるねじ山がリベットのねじ山に係合したまま軸方向に押し込まれ、特に下板がリベットと共に軸方向に変位することが原因の一つと考えられる。つまり、ねじ込み時にリベットの周囲で材料が一部軟化(溶融)して軸方向の材料の流れが大きくなっても、その材料の流動に対して下板の軸方向への追従が追いつかないためと考えられる。
また、この軸方向の隙間は、先行技術文献2の径寸法の調整によっても確実に解消することは困難である。このように材料の重ね部において隙間が生じると、組立精度や接合強度が低下し、隙間に水分が侵入することにより材料が腐食するおそれが高くなる。
そこで本発明は、7000系のアルミニウム合金材の被接合材をFDS方式で接合する際に、被接合材同士の間に軸方向の隙間が生じることを抑制して、組立精度と接合強度を高め、腐食の発生を防止できるアルミニウム合金材の接合方法を提供することを目的とする。
本発明は下記の構成からなる。
7000系のアルミニウム合金の板材を2枚以上重ね合わせて重ね合わせ部を形成し、前記重ね合わせ部に、外周面にねじ山を有するねじ部の先端に尖った軸先端部を備える軸部と、前記軸部の基端に接続された頭部とを備えるリベットを、前記軸部の軸線まわりに回転させつつ前記軸先端部から押し込み、前記軸部を前記重ね合わせ部に貫通させて前記軸部のねじ山と前記板材とを係合させるアルミニウム合金材の接合方法であって、
前記リベットの押し込み前に前記板材に対してT1調質処理を施すことを特徴とするアルミニウム合金材の接合方法。
本発明によれば、7000系のアルミニウム合金材の被接合材をFDS方式で接合する際に、被接合材同士の間に隙間が生じることを抑制して、組立精度と接合強度を高め、腐食の発生を防止することができる。
本発明の実施形態に係る接合方法に用いるリベットの側面図である。 (A)〜(E)はFDS方式により2枚の板材を接合する様子を段階的に示す工程説明図である。 板材同士の間に形成される隙間を説明する接合箇所の断面図である。 重ね合わせ部の形成工程を説明する接合箇所の断面図である。 T1調質処理工程を説明する接合箇所の断面図である。 FDS工程を説明する接合箇所の断面図である。 接合された板材同士の接合箇所の断面図である。 引張せん断強度検査のための試験片の平面図である。 十字引張強さ検査のための試験片の平面図である。 断面観察のための試験片の平面図である。 引張せん断強度検査の結果を示すグラフである。 十字引張強さ検査の結果を示すグラフである。 試験例4における接合箇所の断面写真である。 試験例4における接合箇所の要部を拡大した断面写真である。 試験例9における接合箇所の断面写真である。 試験例9における接合箇所の要部を拡大した断面写真である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(リベット)
まず、本実施形態に係る接合方法に用いるリベットについて説明する。
図1は実施形態に係る接合方法に用いるリベットの側面図である。
図1に示すように、リベット100は、鋼材で形成され、軸部11と、頭部13とを有する。軸部11は、外周面にねじ山15が形成されたねじ部16と、ねじ部16の先端側に形成された先細り形状で尖った軸先端部17とを備える。頭部13は、軸部11の軸先端部17と反対側の基端に接続され、軸部11の外径φdSよりも大きい外径φdTを有する。頭部13の軸部11側の面である裏面13aには、軸部11の外周に沿った環状の凹溝19が形成されている。また、頭部13の軸部11と反対側には、駆動装置の工具と係合されリベット100を回転駆動させるための係合穴18を有する小径部14が形成されている。
(FDS)
次に、リベット100を用いた板材を接合するフロー・ドリル・スクリュー(以下、FDSと記す)方式による接合方法の概要を説明する。
図2の(A)〜(E)はFDS方式により2枚の板材を接合する様子を段階的に示す工程説明図である。FDS方式による接合工程は、基本的には次の工程を有する。
図2の(A)に示すように、上板21と下板22との2枚の板材を板厚方向に重ね合わせる。そして、リベット100の軸先端部17を上板21に当接させた状態で、リベット100を回転駆動させる。
図2の(B)に示すように、リベット100を高速回転させながら、軸方向荷重を付与して上板21に押し当てる。これにより、上板21及び下板22を摩擦により加熱して軟化させながら、リベット100の軸先端部17を上板21と下板22に押し込む。
図2の(C)に示すように、リベット100の軸先端部17が上板21及び下板22に挿入されると、リベット100の軸部11の周囲において、軟化した上板21及び下板22が流動し、円筒形状の接合部位25を形成する。
図2の(D)に示すように、リベット100をねじ部16まで上板21及び下板22に押し込み、リベット100の回転を減速させ、荷重を低減させる。このリベット100の減速及び減荷重によって、上板21及び下板22の円筒形状の接合部位25に、ねじ部16に形成されたねじ山15によってスレッド(ねじ山)27を形成する。
図2の(E)に示すように、リベット100を回転させながら、リベット100の頭部13の裏面13aが上板21に当接するまで軸方向へ移動させ、上板21及び下板22に押し込む。これにより、リベット100の頭部13に形成された凹溝19に、上板21の材料が塑性流動によって入り込み、リベット100が上板21及び下板22にかしめられる。これにより、重ね合わせた上板21及び下板22がリベット100によって接合される。
上記のFDS方式によれば、リベット100自体が被接合材である上板21及び下板22に穿孔するため、被接合材に下孔加工をする必要がなく、しかも、被接合材の片面から加工することが可能であるので、施工性を高められる。
ところで、7000系アルミニウム合金のように剛性(硬度及び強度)が高い材料にFDS方式の接合を適用すると、図3に示すように、上板21と下板22との間に軸方向の隙間Gが生じやすくなる。この隙間Gの発生は、前述したようにリベット100の軸部11のねじ込み時に、下板22に形成されるスレッド(ねじ山)27がリベット100のねじ山15に係合したまま軸方向(図3中矢印A方向)に押し込まれて共に軸方向に変位することが原因の一つと考えられる。このように被接合材の重ね合わせ部に隙間Gが生じると、組み立て精度や接合強度が低下し、また、隙間Gに水分が侵入することにより材料が腐食するおそれが高くなる。
このため、本実施形態では、7000系のアルミニウム合金からなる板材を、以下のFDS方式に基づく以下の接合手順によって、隙間Gの発生を極力抑えつつ接合させる。
<アルミニウム合金材の接合方法の手順>
図4〜図7は、2枚の板材の接合手順を説明する接合箇所の断面図である。
(重ね合わせ部の形成工程)
図4に示すように、7000系のアルミニウム合金からなる上板21及び下板22を重ね合わせて、重ね合わせ部23を形成する。この重ね合わせ部23において、リベット100を押し込んで貫通させる目標位置を軸線Cで示す。また、図4には、図1に示すリベット100の軸部11の外径φdSに相当する軸部相当径をφD0、リベット100の頭部13の外径φdTに相当する頭部相当径をφD1として、軸線Cを中心に示してある。
(T1調質処理工程)
図5に示すように、重ね合わせ部23の軸線Cを中心とするリベット100の押し込み位置にT1調質処理を施す。これにより、上板21及び下板22に、T1調質処理が施された調質部Tを設ける。図5には、調質部Tの範囲を調質範囲φWとして示している。
T1調質処理は、具体的には、上板21及び下板22におけるリベット100の押し込み位置を、熱源Hによって局所的に加熱し、この高温加工から冷却したのちに自然時効させる。T1調質処理に用いる熱源Hとしては、例えば、インダクションヒータやレーザ等を用いることができる。
T1調質処理された調質範囲φWは、軸線Cを中心とする少なくとも軸部相当径φD0の内側全範囲に形成されていればよく、さらに軸部相当径φD0の1.1〜1.5倍の径内、軸線Cを中心とする頭部相当径φD1の内側全範囲としてもよい。
(FDS工程)
図6に示すように、上板21及び下板22の重ね合わせ部23にT1調質処理を施した調質部Tの目標位置である軸線Cにリベット100を位置決めし、リベット100の軸部11の軸先端部17を当接させる。
その後、前述したように、リベット100を、高速回転(例えば、最大9000rpm)させながら、軸方向荷重(例えば、最大3000N)を付与して上板21に押し当て、上板21及び下板22の調質部Tを加熱して軟化させる(図2(B)参照)。そして、リベット100の軸先端部17を上板21及び下板22に押し込んで上板21及び下板22に円筒形状の接合部位25を形成する(図2(C)参照)。その後、リベット100の回転を減速させるとともに、軸方向荷重を低減させ、上板21及び下板22の円筒形状の接合部位25に、リベット100の軸部11のねじ山15によってスレッド(ねじ山)27を形成する(図2(D)参照)。
図7に示すように、上記のFDS工程によって、リベット100は、その軸部11が上板21及び下板22に挿し込まれて頭部13が上板21に当接し、頭部13に形成された凹溝19に上板21の材料が塑性流動によって入り込む。これにより、リベット100が上板21及び下板22にかしめられ、上板21と下板22との重ね合わせ部23がリベット100によって接合される。
上板21と下板22との重ね合わせ部23には、リベット100を貫通させた後、上板21及び下板22に対して人工時効処理を施すことが好ましい。その場合、上板21と下板22のT1処理による軟化が回復し、高い材料強度が得られて接合強度が向上する。
このようにしてリベット100で接合された上板21と下板22とは、リベット100の軸部11と接合する接合部位25における隙間Gの発生が抑制される。この抑制作用は、高温度域における軸部近傍の各調質材料の機械的特性差が影響したものと考えられる。即ち、軸部近傍−母材間で拘束力に差があり、T1と比較して拘束力の高くなるT5、T7は、局所的な塑性流動が起こりやすく、この結果、板隙が大きくなったものと考えられる。
以上、説明したように、本実施形態に係るアルミニウム合金材の接合方法によれば、リベット100の押し込み前に上板21及び下板22にT1調質処理を施すことにより、リベット100の押し込み後に、上板21及び下板22同士の重ね合わせ部23において、板厚方向の隙間Gが生じることを抑制できる。これにより、上板21及び下板22同士の接合強度が向上し、しかも、隙間Gに水分が浸入することによる腐食を抑制できる。
また、T1調質処理を被接合材の一部の領域だけに施すことで済むため、被接合材の全体を加熱してT1調質処理を施す場合と比較して、炉などの大がかりな設備を用いることなく、板材同士の接合に要するコストを低減できる。一方、接合箇所が多数存在する場合には、板材の全体をT1調質処理することが好ましい。その場合には、各接合箇所を効率よく順次に接合でき、施工性を向上できる。
なお、接合に用いるリベット100の材料としては、好ましくは鋼材からなるが、用途に応じて、真鍮、セラミック等を適用でき、接合条件によっては、アルミニウム、マグネシウム等を適用することもできる。
また、リベット100の表面には、めっきや電食防止用の絶縁層等のコーティング層が形成されていてもよい。さらに、リベット100は、ねじ部16と軸先端部17とが一体部品として形成されているが、例えば、軸部11のねじ部16と軸先端部17とを硬さの異なる2部品により製造した後、互いに接合させた構成にしてもよい。
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
例えば、上記実施形態では、2枚の板材である上板21と下板22とを重ね合わせて接合する場合を例示したが、接合する板材は2枚に限らず、3枚以上であってもよい。
材質や板厚の異なる2枚の板材の組を9種類用意し、各組の板材をFDS方式による接合方法により接合した(試験例1〜9)。そして、接合された各接合構造体に対して、引張せん断強度(TSS)検査、十字引張強さ(CTS)試験及び断面観察を行った。なお、試験例1〜7では、引張せん断強度(TSS)試験及び十字引張強さ(CTS)試験を各3回ずつ行い、試験例8,9では、断面観察のみを行った。
(1)評価方法
(1−1)引張せん断強度(TSS)試験
図8に示すように、幅W1、長さL2の2枚の板材P1,P2の端部同士を、長さL1の領域を重ね合わせてリベットRで接合し、各板材P1,P2を長手方向へ引っ張り、その強度を測定するとともに破損形態を観察した。
(1−2)十字引張強さ(CTS)試験
図9に示すように、幅W2で長さL3の2枚の板材P1,P2の中心部分を十字状に重ね合わせてリベットRで接合し、各板材P1,P2を互いに離間する厚さ方向であるリベットRの軸方向へ引っ張り、その強度を測定するとともに破断形態を観察した。
(1−3)断面観察
図10に示すように、幅W3で長さL4の2枚の板材P1,P2を重ね合わせて中心部分をリベットRで接合し、その後、接合箇所をリベットRの軸方向に沿って切断して切断面を観察した。
(2)板材の材質
(試験例1)
板厚2.0mmの5000系のアルミニウム合金材の加工硬化後に安定化処理(H34調質処理)を施した板材(試験片1)
(試験例2)
板厚2.0mmの5000系のアルミニウム合金材を焼きなまし(O調質処理)を施した板材(試験片2)
(試験例3)
板厚2.0mmの6000系のアルミニウム合金材を溶体化処理後、自然時効(T4調質処理)させた板材(試験片3)
(試験例4)
板厚2.0mmの7000系のアルミニウム合金材にT1調質処理を施した板材(試験片4)
(試験例5)
板厚2.0mmの7000系のアルミニウム合金材を高温加工から冷却後、人工時効処理(T5調質処理)を施した板材(試験片5)
(試験例6)
板厚2.0mmの7000系のアルミニウム合金材を溶体化処理後、安定化処理(T7調質処理)を施した板材(試験片6)
(試験例7)
板厚2.0mmの6000系のアルミニウム合金材を溶体化処理後、自然時効(T4調質処理)させた板材(試験片3)、及び板厚3.0mmの7000系のアルミニウム合金材を溶体化処理後、安定化処理(T7調質処理)を施した板材(試験片6)
(試験例8)
板厚2.4mmの7000系のアルミニウム合金材にT1調質処理を施した板材(試験片7)
(試験例9)
板厚2.4mmの7000系のアルミニウム合金材に溶体化処理後、安定化処理(T7調質処理)を施した板材(試験片8)
各試験例1〜9で用いた各種板材の材質の諸元を表1に示す。
(3)検査結果
各検査の結果を表2、表3、及び図11〜図16に示す。表2は試験例1〜3の検査結果、表3は試験例4〜7の検査結果を示している。
(3−1)引張せん断強度(TSS)及び十字引張強さ(CTS)
図11及び図12に示すように、5000系のアルミニウム合金材からなる板材P1,P2を接合した試験例1,2、及び6000系のアルミニウム合金材からなる板材P1,P2を接合した試験例3と、剛性(硬度及び強度)が高い7000系のアルミニウム合金材からなる板材P1,P2を接合した試験例4〜6とを比較すると、試験例4〜6の引張せん断強度及び十字引張強さ(CTS)は、試験例1〜3のいずれの強度よりも高かった。
また、一方の板材P1が6000系のアルミニウム合金材からなる板材であっても、他方の板材P2が7000系のアルミニウム合金材からなる厚さが厚い板材を接合した試験例7についても、引張せん断強度及び十字引張強さ(CTS)が高かった。
(3−2)破断形態
引張せん断強度(TSS)及び十字引張強さ(CTS)の検査による破断の形態を評価した結果を表2,表3に示す。なお、破断形態としては、以下の下板抜け、上板破断、鋲破断、鋲抜けが認められた。
下板抜け…下板から鋲が抜けた形態
上板破断…上板が破断した形態
鋲破断…リベットが破断した形態
鋲抜け…リベットが上板又は下板から抜け出した形態
(3−2−1)引張せん断強度(TSS)検査による破断
試験例1,4,6については、下板抜け、上板破断も生じたが、鋲破断が多かった。
試験例2については、上板破断が生じた。
試験例3,5については、全て鋲破断が生じた。
試験例7については、鋲破断も生じたが、下板抜けが多かった。
(3−2−2)十字引張強さ(CTS)検査による破断
試験例1〜7について、全て鋲抜けが生じた。
(3−2)断面観察
リベットの押し込み前に板材に対してT1調質処理を施した試験例4,8では、板材P1,P2同士にほとんど隙間が形成されなかった。これに対して、板材P1,P2に対してT1調質処理を施さず、他の調質処理(H34,O,T4,T5,T7)を施した試験例1〜3、5〜7、9では、板材P1,P2同士の間に隙間Gが形成された。
図13及び図14は、試験例4の断面写真を示す。図13及び図14に示すように、リベットRの押し込み前に板材P1,P2に対してT1調質処理を施した試験例4の断面をみると、板材P1,P2同士の間にほとんど隙間が形成されていない。
図15及び図16は、試験例9の断面写真を示す。図15及び図16に示すように、リベットRの押し込み前に板材P1,P2に対してT7調質処理を施した試験例9の断面をみると、板材P1,P2同士の間に隙間Gが形成されている。
以上より、試験例4で示される剛性(硬度及び強度)が高い7000系のアルミニウム合金の板材を複数枚重ね合わせてFDS方式によって接合する場合に、リベットの押し込み前に板材に対してT1調質処理を施すことで、リベットの押し込み後の隙間の形成を抑制する効果を確認できた。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 7000系のアルミニウム合金の板材を2枚以上重ね合わせて重ね合わせ部を形成し、前記重ね合わせ部に、外周面にねじ山を有するねじ部の先端に尖った軸先端部を備える軸部と、前記軸部の基端に接続された頭部とを備えるリベットを、前記軸部の軸線まわりに回転させつつ前記軸先端部から押し込み、前記軸部を前記重ね合わせ部に貫通させて前記軸部のねじ山と前記板材とを係合させるアルミニウム合金材の接合方法であって、
前記リベットの押し込み前に前記板材に対してT1調質処理を施すことを特徴とするアルミニウム合金材の接合方法。
この構成のアルミニウム合金材の接合方法によれば、リベットの押し込み前に板材に対してT1調質処理を施すことにより、リベットの押し込み後に板材同士の重ね合わせ部に隙間が生じることを抑制できる。これにより、板材同士の接合強度を向上させることができ、しかも、隙間に水分が浸入することによる腐食を抑制できる。
(2) 前記板材の前記リベットを貫通させる領域にのみ選択的に前記T1調質処理を施す(1)に記載のアルミニウム合金材の接合方法。
この構成のアルミニウム合金材の接合方法によれば、全体を加熱してT1調質処理を施す場合と比較し、炉などの大がかりな設備を用いることなく、例えば、インダクションヒータやレーザ等を熱源として用いて局所的に加熱することができる。これにより、板材同士の接合に要するコストを低減できる。
(3) 前記リベットを前記重ね合わせ部に貫通させた後に、前記板材に人工時効処理を施す(1)又は(2)に記載のアルミニウム合金材の接合方法。
この構成のアルミニウム合金材の接合方法によれば、T1調質処理を施した接合箇所の硬度を回復させて、接合強度を高めることができる。
(4) 前記リベットは鋼材からなる(1)〜(3)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金材の接合方法。
この構成のアルミニウム合金材の接合方法によれば、鋼材からなるリベットによってアルミニウム合金材を高強度に接合させることができる。
(5) 前記リベットの頭部には前記軸部の外周に沿った環状の凹溝が形成され、前記凹溝に前記板材が塑性流動してかしめられる(1)〜(4)のいずれか1つに記載のアルミニウム合金材の接合方法。
この構成のアルミニウム合金材の接合方法によれば、板材がリベットの頭部の凹溝に塑性流動することにより、より良好にかしめることができ、接合強度がより高められる。
11 軸部
13 頭部
15 ねじ山
16 ねじ部
17 軸先端部
19 凹溝
21 上板(板材)
22 下板(板材)
23 重ね合わせ部
100 リベット

Claims (5)

  1. 7000系のアルミニウム合金の板材を2枚以上重ね合わせて重ね合わせ部を形成し、前記重ね合わせ部に、外周面にねじ山を有するねじ部の先端に尖った軸先端部を備える軸部と、前記軸部の基端に接続された頭部とを備えるリベットを、前記軸部の軸線まわりに回転させつつ前記軸先端部から押し込み、前記軸部を前記重ね合わせ部に貫通させて前記軸部のねじ山と前記板材とを係合させるアルミニウム合金材の接合方法であって、
    前記リベットの押し込み前に前記板材に対してT1調質処理を施すことを特徴とするアルミニウム合金材の接合方法。
  2. 前記板材の前記リベットを貫通させる領域にのみ選択的に前記T1調質処理を施す請求項1に記載のアルミニウム合金材の接合方法。
  3. 前記リベットを前記重ね合わせ部に貫通させた後に、前記板材に人工時効処理を施す請求項1又は2に記載のアルミニウム合金材の接合方法。
  4. 前記リベットは鋼材からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルミニウム合金材の接合方法。
  5. 前記リベットの頭部には前記軸部の外周に沿った環状の凹溝が形成され、前記凹溝に前記板材が塑性流動してかしめられる請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金材の接合方法。
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