JP2021013234A - モータ制御装置 - Google Patents

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Midori TAKAOKA
碧 高岡
岩路 善尚
Yoshitaka Iwaji
善尚 岩路
崇文 原
Takafumi Hara
崇文 原
滋久 青柳
Shigehisa Aoyanagi
滋久 青柳
重幸 野々村
Shigeyuki Nonomura
重幸 野々村
大和 松井
Yamato Matsui
大和 松井
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Abstract

【課題】電圧飽和状態から電圧未飽和状態へ切り替える場合にトルク変動が発生していた。【解決手段】トルク指令値τ*もしくは回転数Nが所定の値を越えない場合は、ステップS67に進み、不完全積分制御器(1次遅れ制御器)の時定数(=直流ゲインT0)は、電流制御部70の時定数TACR(電流制御部70の応答周波数ωACRの逆数)と同じ値もしくはそれよりも大きい値に設定する。これにより、電流追従性よりトルク変動抑制を優先する。また、トルク指令値τ*もしくは回転数Nが所定の値を越えている場合は、ステップS66に進み、不完全積分制御器(1次遅れ制御器)の時定数(=直流ゲインT0)は、電流制御部の時定数TACR(電流制御部70の応答周波数ωACRの逆数)と同じ値もしくはそれよりも小さい値に設定する。これにより、トルク変動抑制より電流追従性を優先する。【選択図】図6

Description

本発明は、モータ制御装置に関する。
モータ制御装置は、電流制御により電圧指令値を決定し、決定された電圧指令値に基づいてPWM制御を行ってモータを駆動している。電流制御では、dq軸電流指令値とdq軸電流の差を用い、比例積分制御によりこの差が0となるようなdq軸電圧指令値を演算する。高速域でモータを駆動する場合には、三相電圧指令とキャリア波振幅の比である変調率が高くなる過変調領域に移行し、dq軸電流の脈動増大などが原因で積分制御器が飽和する。この積分飽和により電圧指令値が発散し、電圧飽和状態となる。電圧飽和では積分制御器が正常に動作せず、電流制御系が不安定となり、適切にモータを制御できなくなる。また、過変調領域から変調率が低くなる正弦波領域に遷移する場合には、積分制御器の値が急変するため切替ショックと呼ばれるトルク変動が生じ、モータ製品の振動、騒音、部品故障の要因となる。よって、過変調領域での積分飽和を回避し、かつ正弦波領域へ遷移する際のトルク変動を抑制できる電流制御技術が望まれる。
特許文献1には、電圧指令が飽和したことを検出したときに、PI制御アンプの積分演算のために加算する前回値を、電圧飽和後の値を目標値とし積分時定数と同じ一次遅れに切り替えることが記載されている。
特開平11−137000号公報
従来では、電圧飽和状態から電圧未飽和状態へ切り替える場合にトルク変動が発生していた。
本発明によるモータ制御装置は、電流指令値と検出電流値との差に基づいて、比例積分制御を用いて電圧指令値を決定する電流制御部と、前記電圧指令値に基づいて三相電圧指令値を決定するPWM制御部と、を備えるモータ制御装置において、前記電流制御部は、電圧未飽和状態から電圧飽和状態への遷移時に前記比例積分制御を不完全積分制御に切り替えて前記電圧指令値を決定し、前記電圧飽和状態から前記電圧未飽和状態への遷移時に前記不完全積分制御を前記比例積分制御に切り替えて前記電圧指令値を決定し、前記不完全積分制御の時定数をモータの駆動条件に応じて可変に設定する。
本発明によれば、電圧飽和状態から電圧未飽和状態へ切り替える場合のトルク変動の発生を抑えることができる。
モータ駆動システムの構成図である。 変調率と電圧利用率の関係を示すグラフである。 (A)〜(E)本実施形態を適用しない場合における過変調領域から正弦波領域への変化を示すグラフである。 電流制御部の詳細を示す構成図である。 (A)〜(E)は、本実施形態を適用しない場合における過変調領域から正弦波領域へ切り替えた場合のトルク変動を示すグラフである。 電流制御部の処理動作を示すフローチャートである。 (A)〜(E)は、本実施形態における過変調領域から正弦波領域への変化を示すグラフである。 モータ制御装置を電動パワーステアリング装置に適用した例を示すシステム構成図である。 モータ制御装置を電動車両システムに適用した例を示すシステム構成図である。 モータ制御装置を鉄道車両システムに適用した例を示すシステム構成図である。
[第1の実施形態]
図1〜図7を参照して第1の実施形態を説明する。
図1は、第1の実施形態におけるモータ駆動システムの構成図である。図1に示すモータ制御装置120は、インバータ20、電流センサ30、位置・速度演算部50、電流座標変換部60、電流制御部70、電圧座標変換部80、PWM制御部90を有する。
交流モータ10には回転位置センサ40が取り付けられている。ここで、回転位置センサ40には、鉄心と巻線とから構成されるレゾルバがより好適であるが、GMRセンサ、ホール素子を用いたセンサを用いてもよい。
位置・速度演算部50は回転位置センサ40からの信号に基づいて交流モータ10の回転子位置θdおよび回転速度ωを出力する。電流座標変換部60は、電流センサ30から検出された三相交流電流Iu、Iv、Iwと、位置・速度演算部50より出力された回転子位置θdに基づいて、dq軸電流Id、Iqを出力する。電流制御部70は、回転速度ωを用いてdq軸電流指令値Id*、Iq*とdq軸電流Id、Iqとが一致するように比例積分制御によりdq軸電圧指令Vd*、Vq*を出力する。
電流制御部70は変調率Kh、電圧指令値V*(=√(Vd*2+Vq*2))、回転数N(∝回転速度ω)のいずれかを用いて、例えば変調率Kh≧1.15、あるいは電圧指令値V*≧Vdc/2、あるいは回転数N(∝回転速度ω)≧基底速度ωbaseの条件を満たせば電圧飽和と判定する。そして、電圧飽和の際は電流制御部70を不完全積分制御器(1次遅れ制御器)へ切り替えて電流制御を実施する。詳細は後述する。ここで、基底速度ωbaseとは弱めの界磁制御を適用する速度のことであり、変調率Khとは三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*とキャリア波振幅の比である。電流制御部70では、所望の速さでdq軸電流Id、Iqが電流指令値Id*、Iq*に追従するように応答周波数ωACRが設定されており、応答周波数ωACRは回転速度ωに比例して設定される。また、電流制御部70で用いる比例積分制御の比例ゲインKpd、Kqdおよび積分ゲインKId、KIqは、応答周波数ωACRに比例して設定される。
モータ制御装置120において、交流モータ10の回転速度ωを制御する場合には、回転速度ωと上位制御装置からの速度指令ω*とが一致するようにdq軸電流指令値Id*、Iq*を作成する。また、交流モータ10の実トルクτmを制御する場合には、実トルクτmと上位制御装置からのトルク指令値τ*とが一致するようにdq軸電流指令値Id*、Iq*を作成する。
電圧座標変換部80では、dq軸電圧指令Vd*、Vq*と回転子位置θdに基づいて三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*を出力する。PWM制御部90では、三相電圧指令Vu*、Vv*、Vw*およびキャリア周波数fcに基づいてパルス幅変調を行いゲート信号Gun、Gup、Gvn、Gvp、Gwn、Gwvを生成し、これをインバータ20に出力する。インバータ20は、ゲート信号Gun、Gup、Gvn、Gvp、Gwn、Gwvに基づいてスイッチング素子Tu1、Tu2、Tv1、Tv2、Tw1、Tw2をオンまたはオフ制御することで、パルス電圧Vu、Vv、Vwを交流モータ10に印加する。
図2は、変調率Khと電圧利用率の関係を示すグラフである。
本実施例では、PWM制御に3次調波重畳変調方式を用いる場合を想定し、変調率Kh が1.15以上を過変調領域とする。図2に示すように、変調率Kh が1.15未満は正弦波領域であり、交流モータ10の低・中速域に当たり、変調率Khに比例して電圧利用率が上昇する。そして、交流モータ10を駆動する際、変調率Khが1.15以上の過変調領域を活用することがある。過変調領域を活用することで、直流電圧Vdcの電圧利用率を向上することができ、交流モータ10を高速・高出力で制御することが可能となる。過変調領域では、交流モータ10に印加されるパルス電圧Vu、Vv、Vwの1周期当たりのパルス数が少なくなるため、電流の高調波成分が増大し、dq軸電流Id、Iqとdq軸電流指令値Id*、Iq*との差分が大きくなる。
図3(A)〜(E)は、本実施形態を適用しない場合における過変調領域から正弦波領域への変化を示すグラフである。図3(A)は、トルク指令値τ*に対する実トルクτmの変化を示す。図3(B)は、d軸電流指令値Id*に対するd軸電流Idを示す。図3(C)は、q軸電流指令値Iq* に対するq軸電流Iqを示す。図3(D)は、交流モータ10の回転速度Nを示す。図3(E)は、dq軸積分電圧指令値VdI、 VqIを示す。
図3の過変調領域αでは、図3(B)、図3(C)に示すように、dq軸電流Id、Iqとdq軸電流指令値Id*、Iq*の差分が大きくなる。そして、電流制御部70内の本実施形態を適用しない積分制御器が飽和するために、図3(E)に示すように、dq軸積分電圧指令値VdI、 VqIが発散し、電圧飽和状態となる。これにより、図3(A)に示すように、交流モータ10の実トルクτmがトルク指令値τ*に追従しなくなり、制御不安定となる。
また、図3の正弦波領域βでは、過変調領域αから正弦波領域βに移行する場合に、図3(E)に示すように、積分電圧指令値VdI、 VqIが急変することで、図3(A)に示すように、トルク変動(切替ショック)が発生する。よって、本実施形態を適用しない場合は、電圧飽和状態では電流制御が不安定となるため交流モータ10を適切に制御できなくなり、またトルク変動によりモータ製品の振動、騒音、故障の要因となる。このため、積分制御器の飽和を回避し、電圧飽和させない電流制御方式を適用する必要がある。
図4(A)、図4(B)は電流制御部70の詳細を示す構成図である。図4(A)は、d軸の積分制御を、図4(B)はq軸の積分制御を示す。電流制御部70は、図4(A)に示すd軸の積分制御、および図4(B)に示すq軸の積分制御の両者を実行する。
図4(A)に示すように、d軸の積分制御では、d軸電流指令値Id*とd軸電流Idとの差分が入力され、d軸電圧指令Vd*が出力される。1/sは積分制御器であり、Kpdは、比例ゲインであり、KIdは積分ゲインである。1/T0は、直流ゲインT0のフィードバック項である。電流制御部70の切り替えスイッチには、変調率Kh、回転数N、電圧指令値V*が入力される。スイッチBに切り替えた状態では、電流制御部70は積分制御器として電流制御を実施する。交流モータ10の低・中速域における比例積分制御に相当する。一方、スイッチAに切り替えた状態では、電流制御部70は不完全積分制御器(1次遅れ制御器)として電流制御を実施する。交流モータ10の高速域(電圧飽和領域)における不完全積分制御に相当する。
図4(B)に示すように、q軸の積分制御では、q軸電流指令値Iq*とq軸電流Iqとの差分が入力され、q軸電圧指令Vq*が出力される。1/sは積分制御器であり、Kpqは、比例ゲインであり、KIqは積分ゲインである。1/T0は、直流ゲインT0のフィードバック項である。電流制御部70の切り替えスイッチには、変調率Kh、回転数N、電圧指令値V*が入力される。スイッチB’に切り替えた状態では、電流制御部70は積分制御器として電流制御を実施する。交流モータ10の低・中速域における比例積分制御に相当する。一方、スイッチA’に切り替えた状態では、電流制御部70は不完全積分制御器(1次遅れ制御器)として電流制御を実施する。交流モータ10の高速域(電圧飽和領域)における不完全積分制御に相当する。
図4(A)、図4(B)に示すように、直流ゲインT0を用いた直流ゲインフィードバック項(1/T0)を配置し、電圧飽和状態ではスイッチをB→Aへ、およびB’→A’へ切り替えることで積分制御器(1/s)を不完全積分制御器(1次遅れ制御器、1/(1+T0s))に切替え、積分飽和を回避する。電流制御部70は、変調率Kh、回転数N、電圧指令値V*のいずれかに基づいて電圧飽和状態を判断し、スイッチをB→Aへ、およびB’→A’へ切り替えることで積分制御器(1/s)と不完全積分制御器(1次遅れ制御器、1/(1+T0s))を切り替える。また、電圧未飽和状態の場合、スイッチをA→Bへ、およびA’→B’へ切替えることで不完全積分制御器(1次遅れ制御器、1/(1+T0s))から積分制御器(1/s)に切替える。切り替えスイッチは、d軸およびq軸の各積分制御に配置されており、変調率Kh、回転数N、電圧指令値V*のいずれかの値より交流モータ10の運転状況を判断し、dq軸共にスイッチを切り替える。このとき、トルク指令値τ*や回転数Nなどの交流モータ10の駆動条件に応じて、 d軸のみスイッチを切り替える、もしくはq軸のみスイッチを切り替えてもよい。直流ゲインフィードバック項(1/T0)を配置することで、積分制御器の時定数(∝積分ゲインKId、KIq)と不完全積分制御器(1次遅れ制御器)の時定数(=T0)をそれぞれ個別に最適値を設定でき、正弦波領域への移行時に発生するトルク変動の抑制効果がある。
図5(A)〜(E)は、本実施形態を適用しない場合における過変調領域から正弦波領域へ切り替えた場合のトルク変動を示すグラフである。図5(A)は、トルク指令値τ*に対する実トルクτmの変化を示す。図5(B)は、d軸電流指令値Id*に対するd軸電流Idを示す。図5(C)は、q軸電流指令値Iq* に対するq軸電流Iqを示す。図5(D)は、交流モータ10の回転速度Nを示す。図5(E)は、dq軸積分電圧指令値VdI、 VqIを示す。
図4(A)、図4(B)に示す積分制御器の時定数(∝積分ゲインKId、KIq)と不完全積分制御器(1次遅れ制御器)の時定数(=T0)が同じである場合、図5(A)〜(E)に示すように、過変調領域から正弦波領域に切替える際にトルク変動が発生することがある。例えば、図5の正弦波領域βにおいて、図5(A)に示すように、実トルクτmがトルク指令値τ*に追従せず大きくなる。図5(B)、図5(C)に示すように、d軸電流Id 、q軸電流Iq がd軸電流指令値Id*、q軸電流指令値Iq* に追従せずトルク変動が発生する。
図6は、電流制御部70の処理動作を示すフローチャートである。
図6のステップS61で、電流制御部70は、変調率Kh、回転数N、電圧指令値V*のいずれかが所定の値を超えているかを判定する。所定の値を超えていると判定すれば、すなわち電圧飽和状態であると判定すればステップS62へ進む。所定の値を超えていないと判定すれば、すなわち電圧未飽和状態であると判定すればステップS63へ進む。
ステップS62では、スイッチをB→A、およびB’→A’へ切り替えることで電流制御部70を不完全積分制御器(1次遅れ制御器)へ切り替えて電流制御を実施する。その後、ステップS64へ進む。すなわち、電圧未飽和状態から電圧飽和状態への遷移時に比例積分制御を不完全積分制御に切り替えて電圧指令値を決定する。
ステップS63では、スイッチをA→B、およびA’→B’へ切り替えることで電流制御部70を積分制御器へ切り替えて電流制御を実施する。すなわち、電圧飽和状態から電圧未飽和状態への遷移時に不完全積分制御を比例積分制御に切り替えて電圧指令値を決定する。その後、本処理動作を終了する。
ステップS64では、交流モータ10の回転数Nが所定の値を越えているかを判定する。回転数Nが所定の値を越えていなければ、ステップS65へ進む。回転数Nが所定の値を越えていればステップS66へ進む。
ステップS65では、トルク指令値τ*が所定の値を超えているかを判定する。トルク指令値τ*が所定の値を超えていればステップS66へ進む。トルク指令値τ*が所定の値を超えていなければステップS67へ進む。
不完全積分制御器(1次遅れ制御器)の直流ゲインT0は、電流追従性、トルク変動抑制、電流制御器の応答性を考慮し、以下のように設定する。
すなわち、トルク指令値τ*および回転数Nの両方がそれぞれ所定の値を越えない場合は、ステップS67に進み、不完全積分制御器(1次遅れ制御器)の時定数(=直流ゲインT0)は、電流制御部70の時定数TACR(電流制御部70の応答周波数ωACRの逆数)と同じ値もしくはそれよりも大きい値に設定する。これにより、電流追従性よりトルク変動抑制を優先する。
また、トルク指令値τ*もしくは回転数Nが所定の値を越えている場合は、ステップS66に進み、不完全積分制御器(1次遅れ制御器)の時定数(=直流ゲインT0)は、電流制御部の時定数TACR(電流制御部70の応答周波数ωACRの逆数)と同じ値もしくはそれよりも小さい値に設定する。これにより、トルク変動抑制より電流追従性を優先する。
直流ゲインT0の設定値は、トルク指令値τ*もしくは回転数Nに対応付けて予めルックアップテーブルなどに記憶しておき、これに基づいて設定する。また、採用する交流モータ10に合わせてトルク指令値τ*や回転数と直流ゲインT0 (∝時定数)の関係を数式化し、これに基づいて設定しても良い。
なお、積分制御器から不完全積分制御器(1次遅れ制御器)への切替しきい値、不完全積分制御器(1次遅れ制御器)から積分制御器への切替しきい値にヒステリシス幅を設けることでそれぞれの領域を遷移する際のチャタリングを防止することができる。
図7(A)〜(E)は、本実施形態における過変調領域から正弦波領域への変化を示すグラフである。図7(A)は、トルク指令値τ*に対する実トルクτmの変化を示す。図7(B)は、d軸電流指令値Id*に対するd軸電流Idを示す。図7(C)は、q軸電流指令値Iq* に対するq軸電流Iqを示す。図7(D)は、交流モータ10の回転速度Nを示す。図7(E)は、dq軸積分電圧指令値VdI、 VqIを示す。
図7(E)に示すように、過変調領域αで不完全積分制御(1次遅れ制御)を用いることでdq軸積分電圧指令値VdI、 VqIの値が安定し、積分飽和が回避できていることが確認できる。これにより、図7(A)に示すように、交流モータ10の実トルクτmはトルク指令値τ*に対して差があるもののトルク指令値τ*に追従しており、制御可能となっている。また、過変調領域αから正弦波領域βに移行した際、トルク変動(切替ショック)が抑制できている。よって、本実施形態によれば、過変調領域で積分飽和を回避でき、その結果、交流モータ10を高出力で、かつ安定に駆動することができる。
[第2の実施形態]
図8は、モータ制御装置120を電動パワーステアリング装置に適用した例を示すシステム構成図である。
図8に示すように、電動パワーステアリング装置は、第1の実施形態で説明したモータ制御装置120を搭載し、モータ制御装置120により交流モータ10を駆動する。交流モータ10へのトルク指令τ*は、ハンドル(ステアリング)200の操舵アシスト量として操作量指令器203にて作成される。このとき、アシスト量は操舵検出器201により操舵角や操舵トルクが検出され、車両速度や路面状態などの状態量を加味して操作量指令器203によりトルク指令τ*が算出される。モータ制御装置120は入力指令としてトルク指令τ*を受け、実トルクτmがトルク指令τ*に追従するように制御する。交流モータ10のロータに直結された出力軸から出力される実トルクτmはウォーム、ホイールや遊星ギヤなどの減速機構あるいは油圧機構を用いたトルク伝達機構202を介し、ラック204にトルクを伝達する。このラック204に伝達されたトルクにより、運転者のハンドル200の操舵力(操作力)が電動力にて軽減され、車輪205、206の操舵角が操作される。
本実施形態によれば、電動パワーステアリング装置のトルクを安定して出力することができる。
[第3の実施形態]
図9は、モータ制御装置120を電動車両システム300に適用した例を示すシステム構成図である。
図9に示すように、電動車両システム300は、第1の実施形態で説明したモータ制御装置120を搭載し、交流モータ10を駆動源とする。電動車両システム300のフロント部には前輪車軸305が軸支されており、その両端には前輪307、308が備えられている。電動車両システム300のリア部には後輪車軸306が軸支されており、その両端には後輪309、310が備えられている。前輪車軸305には動力分配機構であるデファレンシャルギア304が備えられており、エンジン302から変速機303を介して伝達された回転動力を前輪車軸305に伝達する。エンジン302と交流モータ10は機械的に連結されており、交流モータ10の回転動力がエンジン302に、エンジン302の回転動力が交流モータ10にそれぞれ伝達できる。交流モータ10はモータ制御装置120によって駆動制御され、上位の制御装置から入力指令としてトルク指令τ*を受け、実トルクτmがトルク指令τ*に追従するように制御される。すなわち、交流モータ10は、モータ制御装置120によって制御されて電動機として動作する一方、エンジン302の回転駆動力を受けてロータが回転することによって、三相交流電力を発生する発電機としても動作する。
本実施形態によれば、電動車両システム300を全運転領域で安定したトルク出力を得ることができる。
なお、本実施形態ではハイブリッド自動車である場合について説明したが、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車などの場合においても同様な効果が得られる。また、交流モータ10を1台以上搭載しても良い。
[第4の実施形態]
図10は、モータ制御装置120を鉄道車両システム400に適用した例を示すシステム構成図である。
図10に示すように、鉄道車両システム400には台車401、402が搭載されており、台車401、402には各々交流モータ10、車輪403、404、405、406が備えられている。交流モータ10はモータ制御装置120により駆動制御され、上位の制御装置から入力指令としてトルク指令τ*を受け、交流モータ10の実トルクτmがトルク指令τ*に追従するように制御される。
本実施形態によれば、鉄道車両システム400を全運転領域で安定したトルク出力を得ることができる。
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)モータ制御装置120は、電流指令値Id*、Iq*と検出電流値Id、Iqとの差に基づいて、比例積分制御を用いて電圧指令値Vd*、Vq*を決定する電流制御部70と、電圧指令値Vd*、Vq*に基づいて三相電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*を決定するPWM制御部90と、を備え、電流制御部70は、電圧未飽和状態から電圧飽和状態への遷移時に比例積分制御を不完全積分制御に切り替えて電圧指令値Vd*、Vq*を決定し、電圧飽和状態から電圧未飽和状態への遷移時に不完全積分制御を比例積分制御に切り替えて電圧指令値Vd*、Vq*を決定し、不完全積分制御の時定数TACRをモータの駆動条件に応じて可変に設定する。これにより、電圧飽和状態から電圧未飽和状態へ切り替える場合のトルク変動の発生を抑えることができる。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限り、本発明の技術思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
10 交流モータ
20 インバータ
30 電流センサ
40 回転位置センサ
50 位置・速度演算部
60 電流座標変換部
70 電流制御部
80 電圧座標変換部
90 PWM制御部
120 モータ制御装置
200 ハンドル
201 操舵検出器
202 トルク伝達機構
203 操作量指令器
204 ラック
205、206 車輪
300 電動車両システム
302 エンジン
303 変速機
304 デファレンシャルギア
305 前輪車軸
306 後輪車軸
307、308 前輪
309、310 後輪
400 鉄道車両システム
401、402 台車
403、404、405、406 車輪
Kh 変調率
Id* d軸電流指令値
Iq* q軸電流指令値
Id d軸電流
Iq q軸電流
Iu、Iv、 Iw 三相交流電流
Kpd、Kpq 比例ゲイン
KId、KIq 積分ゲイン
Vd* d軸電圧指令
Vq* q軸電圧指令
Vu*、Vv*、Vw* 三相電圧指令
T0 直流ゲイン
1/ T0 直流ゲインのフィードバック項
θd 回転子位置
ω 回転速度
τm 実トルク
τ* トルク指令
Gun、Gup、Gvn、Gvp、Gwn、Gwv ゲート信号
Vu、Vv、Vw パルス電圧

Claims (8)

  1. 電流指令値と検出電流値との差に基づいて、比例積分制御を用いて電圧指令値を決定する電流制御部と、
    前記電圧指令値に基づいて三相電圧指令値を決定するPWM制御部と、を備えるモータ制御装置において、
    前記電流制御部は、電圧未飽和状態から電圧飽和状態への遷移時に前記比例積分制御を不完全積分制御に切り替えて前記電圧指令値を決定し、
    前記電圧飽和状態から前記電圧未飽和状態への遷移時に前記不完全積分制御を前記比例積分制御に切り替えて前記電圧指令値を決定し、
    前記不完全積分制御の時定数をモータの駆動条件に応じて可変に設定するモータ制御装置。
  2. 請求項1に記載のモータ制御装置において、
    前記電流制御部は、前記比例積分制御と前記不完全積分制御の切替えを、前記モータの駆動条件に応じて、d軸のみ、q軸のみ、またはdq軸共に行うモータ制御装置。
  3. 請求項1に記載のモータ制御装置において、
    前記電流制御部は、前記モータへのトルク指令値およびもしくは前記モータの回転数の両方がそれぞれ所定の値を越えない場合は、前記不完全積分制御の時定数を、前記電流制御部の時定数と同じ値もしくはそれよりも大きい値に設定するモータ制御装置。
  4. 請求項1に記載のモータ制御装置において、
    前記電流制御部は、前記モータへのトルク指令値もしくは前記モータの回転数が所定の値を越えている場合は、前記不完全積分制御の時定数を、前記電流制御部の時定数と同じ値もしくはそれよりも小さい値に設定するモータ制御装置。
  5. 請求項1に記載のモータ制御装置において、
    前記電流制御部は、前記不完全積分制御として、一次遅れ制御を用いるモータ制御装置。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれかの一項に記載のモータ制御装置において、
    電動パワーステアリングの操作力をアシストする前記モータをトルク指令に基づいて駆動するモータ制御装置。
  7. 請求項1から請求項5までのいずれかの一項に記載のモータ制御装置において、
    電動車両システムの駆動源として前記モータをトルク指令に基づいて駆動するモータ制御装置。
  8. 請求項1から請求項5までのいずれかの一項に記載のモータ制御装置において、
    鉄道車両システムの駆動源として前記モータをトルク指令に基づいて駆動するモータ制御装置。
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