JP2019017218A - 同期電動機を駆動するインバータの制御装置および制御方法 - Google Patents

同期電動機を駆動するインバータの制御装置および制御方法 Download PDF

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【課題】弱め界磁制御域においてインバータの直流電源電圧が変動しても、高精度、高応答かつ安定な同期電動機のトルク制御を可能にする。【解決手段】同期電動機を駆動するインバータの制御装置は、トルク指令、周波数指令およびインバータの直流電源電圧検出値からd軸電流指令およびq軸電流指令を生成する電流指令発生部と、同期電動機の電気定数および周波数指令に基づき、d軸電流指令とd軸電流検出値との差分をゼロにするためのd軸電圧指令およびq軸電流指令とq軸電流検出値との差分をゼロにするためのq軸電圧指令をそれぞれ演算する電流制御部と、d軸電圧指令およびq軸電圧指令から演算するインバータに対する出力電圧指令を直流電源電圧検出値に応じて設定される上限値以下に制限する電圧制限部とを備え、電流制御部は、直流ゲインが有限である周波数特性を有するPI制御を用いてd軸電圧指令を演算する。【選択図】図1

Description

本発明は、同期電動機を駆動するインバータの制御装置および制御方法に関し、特に、同期電動機の弱め界磁域におけるベクトル制御方式に関する。
同期電動機の弱め界磁域におけるベクトル制御方式について、主な従来技術としては、テーブル化したd軸電流指令値を用いd軸およびq軸の電流制御系で比例演算を行う方法(特許文献1)、電流制御部から出力されるd軸およびq軸の各電圧指令から求めた電動機端子電圧と該端子電圧の指令値との偏差を比例・積分演算してd軸電流指令とする方法(特許文献2)、および、電圧ベクトル演算部で求めた出力電圧と出力電圧指令との偏差の積分演算値をd軸電流指令値とする方法(特許文献3)がある。また、弱め界磁域から抜けるときには、積分電流制御系の積分項を零に収束させて積分電流制御を中止することにより弱め界磁域のベクトル制御を終了する方法がある(特許文献4)。
特開平8−182398号公報 特開2002−95300号公報 特開2006−20411号公報 特開2002−325498号公報
先に示した従来技術におけるベクトル制御方式には、以下の課題がある。
ア 特許文献1に記載の技術は、電流制御が比例演算方式であるため、電流指令通りの電流が発生せずトルク精度が劣化する。
イ 特許文献2に記載の技術は、d軸電流指令の発生が遅いことから、トルク応答が劣化する傾向がある。
ウ 特許文献3に記載の技術は、d軸電流指令が積分演算方式で積分値が蓄積されるため、特許文献4の技術を適用して積分項を零にすることができるが、電圧指令が電圧制限にかかる場合と、そうでない場合が繰り返されるような用途では、弱め界磁制御系がハンチングを起こす可能性があり、制御の安定性が低下する。
エ 特許文献1〜3に記載の技術は、インバータ直流電源の電圧変動の影響を考慮していないため、インバータ直流電源が電圧変動するような用途では、d軸電流指令とq軸電流指令が運転状態に対して最適でなくなるため、制御の安定性が低下する。
そこで、本発明は、弱め界磁制御域においてインバータの直流電源が電圧変動を起こしても、高精度、高応答かつ安定な同期電動機のトルク制御を実現するための制御方法およびその制御装置を提供する。
前記課題を解決するために、本発明に係るインバータの制御装置は、トルク指令、周波数指令およびインバータの直流電源電圧検出値からd軸電流指令およびq軸電流指令を生成する電流指令発生部と、同期電動機の電気定数および周波数指令に基づき、d軸電流指令とd軸電流検出値との差分をゼロにするためのd軸電圧指令およびq軸電流指令とq軸電流検出値との差分をゼロにするためのq軸電圧指令をそれぞれ演算する電流制御部と、d軸電圧指令およびq軸電圧指令から演算するインバータに対する出力電圧指令を直流電源電圧検出値に応じて設定される上限値以下に制限する電圧制限部とを備え、電流制御部は、直流ゲインが有限である周波数特性を有するPI制御を用いてd軸電圧指令を演算することを特徴とする。
本発明によれば、弱め界磁制御域においてインバータの直流電源電圧が変動しても、高精度、高応答かつ安定な同期電動機のトルク制御を実現することができる。
図1は、本発明の実施例1に係る同期電動機駆動用インバータの制御装置の構成を示す図である。 図2は、実施例1の制御装置における電圧制限部の演算動作を示すベクトル図である。 図3は、実施例1の制御装置における電流制御部を説明する図である。 図4は、本発明の実施例2に係る同期電動機駆動用インバータの制御装置の構成を示す図である。 図5は、実施例2の制御装置における弱め界磁指令演算部を説明する図である。
以下、本発明の実施形態として、実施例1および2について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、各図で共通する構成要素には同一の符号をそれぞれ付し、それら重複する構成要素についての説明を省略する。
図1は、本発明の実施例1に係る同期電動機駆動用インバータの制御装置の構成を示す図である。
永久磁石同期電動機1(以下、「PMモータ1」と略記)は、インバータ2から交流電力の供給を受ける。
インバータ2は、直流電源21の直流電力を電圧指令Vu、VvおよびVwに比例した3相交流電圧に変換して出力する。
電流検出器3は、相交流電流IuおよびIwを検出する(なお、U相およびW相に限定されるものではなく、3相の内の任意の2相であればよい)。
直流電圧検出器4は、直流電源21の直流電圧値Edcを検出する。
速度・位相演算部5は、回転位相・速度検出器を用いる場合には、検出器信号の処理を行い、位置・速度検出器を用いない場合には、位置・速度推定を行うことにより、回転位相指令θcおよび周波数指令ω1を演算して出力する。
座標変換部6は、相交流電流Iu、Iwの検出値と回転位相指令θcに基づいてd軸およびq軸の電流検出値IdおよびIqを出力する。
d軸電流指令発生器7およびq軸電流指令発生器8は、トルク指令τ、周波数指令ω1および直流電圧検出値Edcからd軸およびq軸の電流指令IdおよびIqを出力する。
電流制御部9は、PMモータ1の電気定数および周波数指令ω1に基づいて、d軸電流指令Idとd軸電流検出値Idとの差分が零となるように、またq軸電流指令Iqとq軸電流検出値Iqとの差分が零となるように(すなわち、IdがIdに近づくように、またIqがIqに近づくように)、電圧指令Vd0およびVq0を演算して出力する。
ここで、電流制御部9は、図1の下部の点線枠に示すように、d軸電流指令演算部12、q軸電流指令演算部13および電圧ベクトル演算部14から構成される。この構成は、後述する実施例2の構成(図4の点線枠内)と同様である。
d軸電流指令演算部12は、d軸電流指令発生器7の出力である第1のd軸電流指令Idとd軸電流検出値Idとの差分に応じて第2のd軸電流指令Id**を出力する。
q軸電流指令演算部13は、q軸電流指令発生器8の出力である第1のq軸電流指令Iqとq軸電流検出値Iqとの差分に応じて第2のq軸電流指令Iq**を出力する。
電圧ベクトル演算部14は、PMモータの電気定数、第2の電流指令Id**とIq**および周波数指令ω1*に基づいて電圧指令Vd0およびVq0を演算する。
電圧制限部10は、電圧指令Vd0およびVq0に制限を設ける。詳細な動作態様については後述する。
座標変換部11は、電圧制限された電圧指令Vd1およびVq1と回転位相指令θcとから3相交流の電圧指令Vu、VvおよびVwを出力する。
次に、本発明の特徴の一つである電圧制限部10の動作態様について説明する。
電圧制限部10は、極座標変換器101、上限リミッタ102および逆極座標変換器103から構成される。極座標変換器101は、dq軸の各電圧指令Vd0およびVq0を、極座標における振幅V1および位相δへ変換する。上限リミッタ102は、振幅V1に制限を与える。逆極座標変換器103は、上限リミッタ102の出力値V1Lと極座標変換器101が出力する位相δとからdq座標における電圧指令Vd1およびVq1へ変換する。詳細を以下に説明する。
極座標変換器101は、振幅V1と位相δとを、電流制御部9より入力した電圧指令Vd0およびVq0を用いて、式(1)によって求める。
Figure 2019017218
上限リミッタ102は、極座標変換器101が求めた振幅V1が、予め設定される制限値V1MAXを上限として出力を制限する機能を有する。この制限値V1MAXは、インバータ2の直流電源電圧Edcに応じて予め設定される。
振幅V1が予め設定される制限値V1MAXを超えていない場合、上限リミッタ102は、式(1)によって求めたV1をそのまま出力する(V1L=V1)。すなわち、続く逆極座標変換器103が出力する電圧指令Vd1およびVq1は、それぞれ、電流制御部9からの電圧指令Vd0およびVq0に等しい。
他方、振幅V1が予め設定される制限値V1MAXを超えている場合、上限リミッタ102は、V1をV1MAXに制限して出力する(V1L=V1MAX)。そして、この制限出力を受けた逆極座標変換器103は、電流制御部9からの電圧指令Vd0およびVq0とは異なる新たな電圧指令Vd1およびVq1を出力することになる。
図2は、電圧制限部10の演算動作を示すベクトル図である。図2において破線で描いた円は電圧を制限する範囲であり、電圧指令はこの円内に入るように制限される。すなわち、この円の半径の大きさが制限値V1MAXの大きさに等しい。
図2の左図は、式(1)により求めたV1が制限V1MAXを越えている(V1>V1MAX)場合を示している。この場合には、図2の右図に示すように、位相δは変えずに、振幅をV1からV1MAXにして、ベクトル(V1MAX,δ)のdq軸成分である電圧指令Vd1(=V1MAX・cosδ)およびVq1(=V1MAX・sinδ)が演算される。
電圧指令の振幅を制限することにより、モータの誘起電圧に対して、インバータからモータに印加する電圧が不足すると、負のd軸電流が発生する。この負のd軸電流をd軸電流指令に一致するように制御しようとして電流制御部(特に、d軸電流制御部)が動作するため、電流制御部において通常の比例・積分制御(以下、「PI制御」という)をすると、弱め界磁制御に必要なだけの負のd軸電流が流れない。
そこで、本発明の特徴の一つである、電流制御部のゲインを調整することにより、弱め界磁制御部を設けなくても弱め界磁制御を可能にする点を、実施例1に係る電流制御部9の動作態様において説明する。
電流制御部9は、前述のとおり、d軸電流指令Idとd軸電流検出値Idとの差分が零となるように、またq軸電流指令Iqとq軸電流検出値Iqとの差分が零となるように(すなわち、IdがId*に近づくように、またIqがIqに近づくように)、制御するが、本発明は、その制御態様に特徴がある。
すなわち、図3に示すように、本発明は、q軸電流制御には通常のPI制御を適用するが(図3の右下に示す特性)、d軸電流制御には、通常のPI制御とは異なり、直流ゲイン(ω=0)が有限である周波数特性を有する制御を適用する(図3の右上に示す特性)。
通常の電流制御では、定常誤差を零にするために、直流ゲインが無限大であるPI制御が適用され、d軸電流指令Idとd軸電流検出値Idとの差分が零となるように制御する。これにより、電圧制限にかかっても、弱め界磁制御に必要な負のd軸電流が不足する可能性がある。そこで、図3の右上に示すように、電流制御部9のd軸電流制御における直流ゲインを有限とし、定常偏差を残すようにする。そうすると、定常偏差は残るものの、その値は直流ゲインの値の調整により、適宜設定することができる。それによって、弱め界磁制御に必要なd軸電流を流すことが可能となる。
以上のように、弱め界磁域においてはトルク制御を優先させるために、q軸電流制御においては、通常のPI制御によりトルク電流の差分を零に制御する。これに対し、d軸電流制御においては、偏差は残るものの、直流ゲインが有限であるため弱め界磁制御に必要なだけの負のd軸電流が流れることにより、弱め界磁制御部を設けることなしに、弱め界磁制御を行うことができる。したがって、弱め界磁制御部での演算時間が生じないため、高応答な制御が実現できる。
次に、本発明の別の特徴である、d軸電流指令発生器7およびq軸電流指令発生器8について説明する。インバータ2に直流電力を供給する直流電源21の電圧は、直流電圧検出器4により検出され、その検出値Edcとインバータ2の出力電圧V1との関係は、式(2)で表わされる。
Figure 2019017218
したがって、直流電源21の電圧Edcが変動すると、インバータ2の出力電圧V1は変化するため、PMモータ1を最適に運転するためには、運転時における直流電源21の電圧Edcの変動を考慮して、d軸電流とq軸電流を供給する必要がある。
そこで、直流電源21の電圧Edcの変動を考慮して運転状態に最適なd軸電流とq軸電流を得るために、d軸電流指令発生器7およびq軸電流指令発生器8は、例えば電磁場解析によりPMモータの出力トルクに対して最適なd軸電流とq軸電流を求め、それにより得られたd軸電流とq軸電流を、PMモータ1のトルクおよび回転周波数並びに直流電源21の電圧を変数とする関数として予め用意する。
d軸電流指令発生器7およびq軸電流指令発生器8は、このようにして予め用意した関数により、トルク指令τ、周波数指令ω1および直流電源電圧検出値Edcに対するd軸電流およびq軸電流を求め、両者をd軸電流指令およびq軸電流指令とする。このように、インバータに直流電力を供給する直流電源電圧の変動を考慮したことにより、PMモータの運転状態において最適なd軸電流とq軸電流を与えることが可能となる。よって、高精度なトルク制御を実現できる。
上述のように、本発明の実施例1によれば、永久磁石同期電動機(PMモータ)の弱め界磁制御域において、インバータに直流電力を供給する直流電源の電圧が変動しても、高精度、高応答かつ安定なトルク制御を実現することができる。
先の実施例1は、d軸の電流制御において、直流ゲインが有限な周波数特性を有する比例・積分制御(PI制御)を適用することにより、弱め界磁制御部を設けること無しに、弱め界磁制御を実現するものである。この時、d軸の電流制御において定常偏差が残るため、d軸電流Idとd軸電流指令Idとは一致せず、電流指令通りに電流を発生させることができない。そのため、トルク精度の要求が厳しい用途ではトルク精度が不足する可能性がある。
これに対して、特許文献3に記載された電流制御を行えば、d軸の電流制御の定常偏差は無く、電流指令通りに電流を発生させることができるので、トルク精度は劣化しない。しかし、弱め界磁制御においては、積分演算方式で積分値が蓄積されるため、ハンチングを起こす可能性がある。
また他方で、特許文献4に示されているように、積分制御系の積分項を零に収束させて積分制御を中止する手段を適用することが考えられる。しかし、電圧指令の振幅が電圧制限値に近い場合には、電圧指令の振幅が電圧制限値に制限されたり制限されなかったりするため、制御系が安定化しない怖れがある。
そこで、電圧制限の有無に関わらず、一つの手段によって弱め界磁制御を連続的に行う方が制御系は安定化する。本発明の実施例2は、次に説明するように、弱め界磁制御を連続的に行う弱め界磁指令演算部を設け、この弱め界磁制御のゲインを調整することを特徴とする。
図4は、本発明の実施例2に係る同期電動機駆動用インバータの制御装置の構成を示す図である。
実施例2は、フィードバック制御方式による弱め界磁指令演算部において、比例・積分制御の直流ゲインを有限とする方式を採用したことを特徴とする。
図4において、1〜14、21および101〜103は、図1に示す実施例1に係る同期電動機駆動用インバータの制御装置の構成及び機能と同様である。ただし、d軸電流指令演算部12は、第1のd軸電流指令Idおよび後述する弱め界磁指令演算部15の出力である弱め界磁電流指令ΔIdの加算値と、d軸電流検出値Idとの差分に応じて第2のd軸電流指令Id**を出力する点において、実施例1のd軸電流指令演算部12と入力態様が相違する。
弱め界磁指令演算部15は、弱め界磁域における出力電圧指令V1 refと出力電圧値V1cとの差分から弱め界磁電流指令ΔIdを演算する。
出力電圧演算部16は、電圧指令Vd0およびVq0からインバータ2の出力電圧値V1cを演算する。
次に、実施例2が特徴とする、弱め界磁指令演算部15を用いたベクトル制御方式における電圧制御および位相制御の基本動作について説明する。
出力電圧演算部16は、d軸およびq軸の電圧指令Vd0およびVq0を用いて、式(3)に基づいて出力電圧値V1cを算出する。
Figure 2019017218
弱め界磁指令演算部15は、出力電圧演算部16の出力電圧値V1cが、弱め界磁域における出力電圧指令V1 refに一致するように、比例・積分演算により弱め界磁電流指令ΔIdを演算する。更に、弱め界磁電流指令ΔIdとd軸電流指令発生器7が出力する第1のd軸電流指令Idとの加算により、d軸電流指令とする。
電圧ベクトル演算部14は、第2のd軸およびq軸の電流指令Id**およびIq**並びにモータ定数を用いて、式(4)に基づいてd軸およびq軸の電圧指令Vd0およびVq0を演算する。
Figure 2019017218
ここで、R1は抵抗の設定値、Ldはd軸インダクタンスの設定値、Lqはq軸インダクタンスの設定値、Keは誘起電圧定数の設定値である。
また、速度・位相演算部5は、実施例1と同様に、回転位相・速度検出器を用いる場合には、検出器信号の処理を行い、位置・速度検出器を用いない場合には、位置・速度推定を行うことにより、回転位相指令θcと周波数指令ω1を演算して出力する。
次に、図5を用いて、本発明の実施例2の特徴である、フィードバック制御方式による弱め界磁指令演算部15について説明する。図5は、実施例2における弱め界磁指令演算部15を説明する図である。
弱め界磁指令演算部15は、比例・積分演算器151およびリミッタ演算器152から構成される。比例・積分演算器151は、直流ゲインが有限な周波数特性を持つ。図5の下部に示すゲインと周波数ωとの関係は、比例・積分演算器151への入力信号の周波数に対するゲインの特性である。リミッタ演算器152は、図示の特性のように、入力信号が正の場合には出力しないように制限する。
すなわち、弱め界磁指令演算部15は、弱め界磁域における出力電圧指令V1 refと出力電圧値V1cとの差分に対して、直流ゲインが有限な周波数特性を持つ比例・積分演算器151により比例・積分演算を行い、その演算値をリミッタ演算器152を介することで上記差分が負になる場合(V1c>V1 ref)にのみ、弱め界磁電流指令ΔIdとして出力する。
図5に示すように、実施例2においては、弱め界磁制御に対して、通常のPI制御とは異なり、直流ゲイン(ω=0)が有限である周波数特性を有する制御を適用する。
通常のPI制御では、定常誤差を零にするために、直流ゲインが無限大であるPI制御が適用される。しかし、電圧制限にかかると、前述したハンチングが生じる可能性がある。そこで、実施例2では、弱め界磁制御における直流ゲインを有限とし、定常偏差を残すようにする。ただし、定常偏差は残るものの、その値は、直流ゲイン(ω=0)の値の調整によって、適宜設定することができる。したがって、弱め界磁制御においては偏差が残るものの、直流ゲインを有限とすることでハンチングが抑制され、制御系を安定化することができる。
以上のように、実施例2によれば、同期電動機の制御装置による弱め界磁制御において、高精度・高応答なトルク制御が得られる。また、弱め界磁指令演算部15を用いることによって、電圧制限の実行および解除が繰り返されたとしても(すなわち、上述したハンチング発生の懸念)、制御系を安定化することができる。更に、電流指令通りに電流を発生させることができるので、高精度なトルク制御を実現できる。
ここで、トルク制御運転時において高トルクが要求されると、トルクに見合った大きな電流を流す必要がある。連続した時間で高トルクが要求される場合、PMモータでは、通電電流による発熱により、時間と共にPMモータ内部の巻線抵抗値R1が増大する。すると、電圧ベクトル演算部で演算する抵抗設定値と実抵抗値が一致しなくなるため(式(4)参照)、モータに必要な電圧を供給することができなくなる。その結果、トルク発生に必要な電流が流れず、トルク不足に陥ることが懸念される。
そこで、本発明の実施例1および2ように、電圧ベクトル演算部14の上流側に電流指令演算部12および13を配置することにより、PMモータ電流を電流指令に一致させるように出力電圧が制御される。これにより、PMモータ定数の変動などの影響を受けることなく、低速度域からトルク不足を生じない同期電動機の制御装置を提供できる。
なお、本発明は、以上の実施形態(実施例1および2)に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前述した実施形態(実施例1および2)は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。使用する関数については、テーブルであってもよい。また、各実施形態(実施例1および2)の構成の一部について、他の構成の追加・置き換えをすることも可能である。
更に、関数を用いて電流指令を求める方法は、モータ定数の磁気飽和による変動なども考慮できるので、埋込磁石形PMモータの制御に適するものである。
最後に、本発明に係る同期電動機駆動用インバータの制御装置は、その適用範囲として、鉄道車両、産業用として、圧縮機、スピンドルモータ、冷暖房装置、コンベア、昇降機、押し出し器および工作機械など多岐にわたるものである。
1…永久磁石同期電動機(PMモータ)、2…インバータ、3…電流検出器、
4…直流電圧検出器、5…速度・位相演算部、6…座標変換部、
7…d軸電流指令発生器、8…q軸電流指令発生器、9…電流制御部、
10…電圧制限部、11…座標変換部、12…d軸電流指令演算部、
13…q軸電流指令演算部、14…電圧ベクトル演算部、15…弱め界磁指令演算部、
16…出力電圧演算部、21…直流電源、101…極座標変換器、
102…上限リミッタ、103…逆極座標変換器、151…比例・積分演算器、
152…リミッタ演算器

Claims (6)

  1. 同期電動機を駆動するインバータの制御装置であって、
    トルク指令、周波数指令および前記インバータの直流電源電圧検出値からd軸電流指令およびq軸電流指令を生成する電流指令発生部と、
    前記同期電動機の電気定数および前記周波数指令に基づき、前記d軸電流指令とd軸電流検出値との差分をゼロにするためのd軸電圧指令および前記q軸電流指令とq軸電流検出値との差分をゼロにするためのq軸電圧指令をそれぞれ演算する電流制御部と、
    前記d軸電圧指令および前記q軸電圧指令から演算する前記インバータに対する出力電圧指令を前記直流電源電圧検出値に応じて設定される上限値以下に制限する電圧制限部と
    を備え、
    前記電流制御部は、直流ゲインが有限である周波数特性を有する比例・積分制御を用いて前記d軸電圧指令を演算する
    ことを特徴とするインバータの制御装置。
  2. 同期電動機を駆動するインバータの制御装置であって、
    トルク指令、周波数指令および前記インバータの直流電源電圧検出値からd軸電流指令およびq軸電流指令を生成する電流指令発生部と、
    前記同期電動機の電気定数および前記周波数指令に基づき、前記d軸電流指令および弱め界磁電流指令の加算値とd軸電流検出値との差分をゼロにするためのd軸電圧指令および前記q軸電流指令とq軸電流検出値との差分をゼロにするためのq軸電圧指令をそれぞれ演算する電流制御部と、
    前記d軸電圧指令および前記q軸電圧指令から演算する前記インバータに対する出力電圧指令を前記直流電源電圧検出値に応じて設定される上限値以下に制限する電圧制限部と、
    前記弱め界磁電流指令を弱め界磁域における出力電圧指令と前記d軸電圧指令および前記q軸電圧指令から算出する前記インバータの出力電圧との差分から演算する弱め界磁指令演算部と
    を備え、
    前記弱め界磁指令演算部は、直流ゲインが有限である周波数特性を有する比例・積分演算器を用いて前記弱め界磁電流指令を演算する
    ことを特徴とするインバータの制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のインバータの制御装置であって、
    前記電流指令発生部は、d軸電流およびq軸電流を与える関数またはテーブルとして、前記同期電動機のトルクおよび回転周波数並びに前記インバータの直流電源電圧を変数とする関数またはテーブルを用意し、当該関数またはテーブルから前記トルク指令、前記周波数指令および前記インバータの直流電源電圧検出値に対する前記d軸電流指令および前記q軸電流指令を生成する
    ことを特徴とするインバータの制御装置。
  4. 同期電動機を駆動するインバータの制御方法であって、
    トルク指令、周波数指令および前記インバータの直流電源電圧検出値から、d軸電流指令を生成する第1のステップおよびq軸電流指令を生成する第2のステップと、
    前記同期電動機の電気定数および前記周波数指令に基づき、前記d軸電流指令とd軸電流検出値との差分をゼロにするためのd軸電圧指令を演算する第3のステップおよび前記q軸電流指令とq軸電流検出値との差分をゼロにするためのq軸電圧指令を演算する第4のステップと、
    前記d軸電圧指令および前記q軸電圧指令から演算する前記インバータに対する出力電圧指令を前記直流電源電圧検出値に応じて設定される上限値以下に制限する第5のステップと
    を有し、
    前記第3のステップでは、直流ゲインが有限である周波数特性を有するPI制御を用いる
    ことを特徴とするインバータの制御方法。
  5. 同期電動機を駆動するインバータの制御方法であって、
    トルク指令、周波数指令および前記インバータの直流電源電圧検出値から、d軸電流指令を生成する第1のステップおよびq軸電流指令を生成する第2のステップと、
    前記同期電動機の電気定数および前記周波数指令に基づき、前記d軸電流指令および弱め界磁電流指令の加算値とd軸電流検出値との差分をゼロにするためのd軸電圧指令を演算する第3のステップおよび前記q軸電流指令とq軸電流検出値との差分をゼロにするためのq軸電圧指令を演算する第4のステップと、
    前記弱め界磁電流指令を弱め界磁域における出力電圧指令と前記d軸電圧指令および前記q軸電圧指令から算出する前記インバータの出力電圧との差分から演算する第5のステップと
    前記d軸電圧指令および前記q軸電圧指令から演算する前記インバータに対する出力電圧指令を前記直流電源電圧検出値に応じて設定される上限値以下に制限する第6のステップと、
    を備え、
    前記第5のステップでは、直流ゲインが有限である周波数特性を有する比例・積分演算を用いる
    ことを特徴とするインバータの制御方法。
  6. 請求項4または請求項5に記載のインバータの制御方法であって、
    前記第1のステップおよび前記第2のステップでは、d軸電流およびq軸電流を与える関数またはテーブルとして、前記同期電動機のトルクおよび回転周波数並びに前記インバータの直流電源電圧を変数とする関数またはテーブルを用意し、当該関数またはテーブルから前記トルク指令、前記周波数指令および前記インバータの直流電源電圧検出値に対する前記d軸電流指令および前記q軸電流指令を生成する
    ことを特徴とするインバータの制御方法。
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