JP2021013015A - エッチング処理方法及び基板処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エッチング対象膜に対する下地層の選択比を向上させる。【解決手段】シリコン含有絶縁層と、前記シリコン含有絶縁層の下層に配置された下地層と、前記シリコン含有絶縁層の上層に配置されたマスク層とを少なくとも有する積層膜が形成された基板を処理容器内に準備する工程と、フルオロカーボンガスと、希ガスとを少なくとも含む処理ガスを供給する工程と、前記処理ガスが供給された処理容器内にプラズマを発生させて前記積層膜をエッチングする工程と、を有し、前記希ガスは、Arガスよりイオン化エネルギーが高く、イオン化した一粒子のもつ運動量がイオン化したArガスの一粒子の運動量よりも低い第1のガスを含む、ことを特徴とするエッチング処理方法が提供される。【選択図】図3

Description

本開示は、エッチング処理方法及び基板処理装置に関する。
3D−NANDフラッシュメモリ等の三次元積層半導体メモリの製造には、プラズマを用いて積層膜に複数の穴を形成するエッチング工程がある。3D−NANDのデバイス構造を形成するエッチング工程の一例として、酸化シリコン層に穴をエッチング加工する際、基板のシリコン層、および中間に位置する金属層に対して、同時に且つ高選択的にエッチング加工する工程がある。このエッチング工程では、酸化シリコン層の中間に位置する金属層を露出する比較的浅い穴が形成されるとともに、金属層の下方にあるシリコン層を露出する深い穴が形成される。この時、酸化シリコン層に対する下地金属膜の選択比が高いプロセスを実行する必要がある。また、3D−NANDのデバイス構造以外においても、エッチング対象膜に対する下地層の選択比を高くして下地層のロスが少ないプロセスが求められている。
高選択比を確保するためには、デポ性の高いプロセス条件を用いて、タングステン層上に保護膜を形成することが手法の一つである。例えば、特許文献1は、酸化層をエッチングする際に、エッチングストップ層の表面に保護膜を形成することができるとともに、ホールの開口の閉塞を抑制することが可能なプラズマ処理方法を提案する。
特許文献2は、金属層選択比及びマスク選択比の両立を実現するために、フルオロカーボンガス又はハイドロフルオロカーボンガスと、酸素と、窒素と、COとを少なくとも含む処理ガスを供給し、処理ガスが供給された処理容器内にプラズマを発生させて積層膜をエッチングする方法を提案する。
特開2014−090022号公報 特開2019−036612号公報
本開示は、エッチング対象膜に対する下地層の選択比を向上させることが可能なエッチング処理方法を提供する。
本開示の一の態様によれば、シリコン含有絶縁層と、前記シリコン含有絶縁層の下層に配置された下地層と、前記シリコン含有絶縁層の上層に配置されたマスク層とを少なくとも有する積層膜が形成された基板を処理容器内に準備する工程と、フルオロカーボンガスと、希ガスとを少なくとも含む処理ガスを供給する工程と、前記処理ガスが供給された処理容器内にプラズマを発生させて前記積層膜をエッチングする工程と、を有し、前記希ガスは、Arガスよりイオン化エネルギーが高く、イオン化した一粒子のもつ運動量がイオン化したArガスの一粒子の運動量よりも低い第1のガスを含む、ことを特徴とするエッチング処理方法が提供される。
一の側面によれば、エッチング対象膜に対する下地層の選択比を向上させることができる。
3DNANDフラッシュメモリの積層膜を示す図。 一実施形態に係る基板処理装置の構成の一例を示す図。 一実施形態に係るエッチング処理方法におけるガス種の選択と効果を示す図。 各種の希ガスとプラズマ電子密度及びプラズマ電子温度との関係を示す図。 プラズマ電子温度とガスの解離度との関係を示す図。 解離度とホールの各面における堆積レートとの関係を示す図。 プラズマ電子温度とガスの解離との関係を示す図。 一実施形態に係る吸着係数と堆積するポリマーの一例を示す図。 一実施形態に係るエッチング処理方法で使用する希ガスの種類とタングステン層のロスとの関係を示す図。 一実施形態に係るAr/Heの割合とCFの発光強度との関係を示す図。 ガス種毎の圧力とスパッタリングイールドとの関係を示す図。 イオンがもつ運動量を説明するための図。 一実施形態に係るエッチング処理方法を示すフローチャート。 一実施形態に係るエッチング処理方法を説明するための図。
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
例えば、3DNANDの一工程であるMLC Multi−Level Contact(以下、「MLC」ともいう。)は、図1に示すように、電極として機能するタングステン層(W)130が異なる深さに段々に形成され、タングステン層(W)130上にある酸化シリコン層(SiO)140をエッチングする。この例では、タングステン層130と酸化シリコン層140は積層構造になり、積層膜を形成する。タングステン層130は、例えば60層から200層といった多数層の構造であり得る。
このとき、シリコン層(Si)110及び窒化シリコン層(SiN)120の上方にて異なる深さに位置するタングステン層130のそれぞれの深さまで一括で酸化シリコン層140をエッチングする。デバイス構造の世代が進むと更に積層数は増加し、それに伴いアスペクト比(Aspect Ratio(AR))も非常に高くなる事から、Depth Loadingもより顕著となり、エッチング時間の大幅な増加が予測される。
このため、長時間のエッチング時間において酸化シリコン層140に対するタングステン層130の選択比を高くする必要がある。特に複数のタングステン層130のうち浅い箇所に位置するタングステン層130では、タングステンが露出してからのオーバーエッチング時間が長くなる。このため、酸化シリコン層140に対するタングステン層130の高選択比が求められる。また、MLC以外の構造においても、エッチング対象膜に対する下地層が高選択比を有し、下地層のロスが少ないプロセスが望まれている。
そこで、本実施形態に係るエッチング処理方法では、フルオロカーボンガスと、希ガスとを少なくとも含む処理ガスを供給する。このとき、希ガスは、Arガスよりイオン化エネルギーが高く、イオン化した一粒子のもつ運動量がイオン化したArガスの一粒子の運動量よりも低い第1のガスを含む。そして、第1のガスが供給された処理容器内にプラズマを発生させて積層膜をエッチングする。
酸化シリコン層140をエッチングしてタングステン層130が露出した直後からタングステン層130上に保護膜が形成されるまでの間、タングステン層130は希ガスのイオンによりスパッタされる。しかしながら、本エッチング処理方法に使用される希ガスに含まれる第1のガスは、Arガスよりイオン化エネルギーが高く、イオン化した一粒子のもつ運動量がイオン化したArガスの一粒子の運動量よりも低いガスである。このため、スパッタリングイールドが低く、その分、タングステン層130のロスを小さくすることができる。また、高解離で吸着係数が低いプリカーサが生成され、露出したタングステン層130上に保護膜が形成されるため、更にタングステン層130のロスを小さくすることができる。
以下では、エッチング対象膜である酸化シリコン層140のエッチングレート(エッチング速度)を維持しつつ、下地層のタングステン層130との選択比を向上させる、本実施形態に係るエッチング処理方法及び基板処理装置について説明する。
なお、以下の一実施形態の説明では、エッチング処理方法に使用される希ガスに含まれる第1のガスとしてHeガスを例に挙げて説明するが、これに限られない。第1のガスは、Arガスよりイオン化エネルギーが高く、イオン化した一粒子のもつ運動量がイオン化したArガスの一粒子の持つ運動量よりも低いガスであればよい。
また、エッチング対象膜として酸化シリコン層140を例に挙げるが、エッチング対象膜はこれに限られず、シリコン含有絶縁層であればよい。シリコン含有絶縁層の他の例としては、窒化シリコン層、酸化シリコン層と窒化シリコン層との積層構造、有機含有酸化シリコンなどのLow−K膜層が挙げられる。
また、エッチング対象膜に対する下地層としてタングステン層130を例に挙げるが、下地層はこれに限られず、導電層であればよい。導電層の他の例としては、金属層又はシリコン層であってもよい。金属層としては、タングステンの他、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)が挙げられる。なお、シリコン層の一例としては、多結晶シリコン(Poly−Si)や非結晶シリコンなどの導電性を有するシリコン含有層が挙げられる。
また、MLC以外の構造に対するプロセスにおいて、エッチング対象膜に対する下地層が高選択比を有し、下地層のロスが少ないことが望まれている場合がある。その場合の構造においては、エッチング対象膜に対する下地層は、金属層又はシリコン層のような導電層に限定されない。例えば、Self−Aligned Contact(SAC)構造のようにエッチング対象膜がシリコン酸化膜であり、下地層がシリコン窒化膜の場合や、Via構造のようにエッチング対象膜が酸化シリコン層、Low−K膜層の少なくともいずれかであり、下地層が炭化シリコン層、炭化窒化シリコン層の少なくともいずれかである場合でも同様に下地層のロスが少ないことが望まれている。
[基板処理装置の構成]
先に、本実施形態に係るエッチング処理方法を実行する基板処理装置の構成の一例について、図2を参照して説明する。図2は、一実施形態に係る基板処理装置の構成の一例を示す図である。ここでは、基板処理装置1の一例として容量結合型プラズマエッチング装置を挙げる。
基板処理装置1は、例えばアルミニウム等の導電性材料からなる処理容器2と、処理容器2の内部にガスを供給するガス供給源11とを有する。処理容器2は電気的に接地されている。処理容器2の内部には下部電極21と、これに対向して平行に配置された上部電極22とを有する。下部電極21は、基板Wを載置する載置台としても機能する。
下部電極21には、第1整合器33を介して第1高周波電源32が接続され、第2整合器35を介して第2高周波電源34が接続される。第1高周波電源32は、例えば27MHz〜100MHzの周波数の第1高周波電力(プラズマ生成用の高周波電力HF)を下部電極21に印加する。第2高周波電源34は、第1高周波電源32の周波数よりも低い、例えば400kHz〜13MHzの第2高周波電力(イオン引き込み用の高周波電力LF)を下部電極21に印加する。
なお、第1高周波電源32は、第1整合器33を介して上部電極22に接続されてもよい。また、第1高周波電源32と第2高周波電源34は、第1高周波電力の出力値と第2高周波電力の出力値を同期もしくは非同期にて間欠的(パルス的)に未出力(0W)から最大値の間で可変しながら印加してもよい。
第1整合器33は、第1高周波電源32の内部(または出力)インピーダンスに負荷インピーダンスを整合させる。第2整合器35は、第2高周波電源34の内部(または出力)インピーダンスに負荷インピーダンスを整合させる。これにより、処理容器2の内部にプラズマが生成されているときには、第1高周波電源32及び第2高周波電源34の各々について、内部インピーダンスと負荷インピーダンスとが見かけ上一致するように機能する。
上部電極22は、その周縁部を被覆する絶縁物のシールドリング41を介して処理容器2の天井部に取り付けられている。上部電極22には、ガス供給源11から導入されたガスを導入するガス導入口45と、導入したガスを拡散する拡散室50が設けられている。ガス供給源11から出力されたガスは、ガス導入口45を介して拡散室50に供給され、ガス流路55を経て、孔28から処理空間Uに供給される。かかるようにして上部電極22は、ガスシャワーヘッドとしても機能する。
なお、上部電極22には、図示されない直流(DC)電源が接続されてもよい。直流(DC)電源は直流(DC)電圧を上部電極22に印加される。また、直流電源は第1高周波電源32と同期もしくは非同期にて直流電圧の出力値を間欠的(パルス的)に未出力(0W)から最大値の間で可変しながら印加してもよい。
処理容器2の底面には排気口60が形成されており、排気口60に接続された排気装置65によって処理容器2の内部が排気される。これによって、処理容器2の内部を所定の真空度に維持することができる。処理容器2の側壁には、ゲートバルブGが設けられている。ゲートバルブGは、処理容器2から基板Wの搬入及び搬出を行う際に搬出入口を開閉する。
基板処理装置1には、装置全体の動作を制御する制御部70が設けられている。制御部70は、CPU71、ROM72及びRAM73を有している。ROM72には、制御部70により実行される基本プログラム等が記憶されている。RAM73には、レシピが格納されている。レシピにはプロセス条件(エッチング条件)に対する基板処理装置1の制御情報が設定されている。制御情報には、プロセス時間、圧力(ガスの排気)、高周波電力や電圧、各種ガス流量、チャンバ内温度(例えば、基板の設定温度)等が含まれる。なお、レシピは、ハードディスクや半導体メモリに記憶されていてもよい。また、レシピは、CD−ROM、DVD等の可搬性のコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体に収容された状態で、記憶領域の所定位置にセットするようにしてもよい。
CPU71は、ROM72に格納された基本プログラムに基づき、基板処理装置1の全体の制御を行う。CPU71は、RAM73に格納されたレシピの手順に従い、所定の種類のガスを供給するように制御し、基板Wにエッチング処理方法等の所望の処理を制御する。
[処理ガスの適正化]
次に、基板処理装置1を用いて行うエッチング処理方法において、酸化シリコン層140のエッチングレートの維持と、下地層のタングステン層130との選択比の向上の両立を図ることが可能な処理ガスの適正化について説明する。本実施形態では、シリコン層110、タングステン層130、酸化シリコン層140、マスク層100が順に積層された積層膜が形成された基板Wを処理する(図8参照)。
本実施形態に係るエッチング処理方法では、処理ガスに、フルオロカーボンガスと希ガスとを少なくとも含む。そして、かかる処理ガスを供給する工程と、処理ガスが供給された処理空間Uにおいてプラズマを発生させて積層膜をエッチングする工程とを有する。
使用されるフルオロカーボンガスは、Cガス、Cガス、Cガス、Cガス、Cガスの少なくとも一つであってもよい。
Heガスのイオン化エネルギーは「2372.3(kJ/mol)」であり、Arガスのイオン化エネルギー「1520.6(kJ/mol)」よりも大きい。よって、使用する希ガスは、Arガスよりイオン化エネルギーが高く、イオン化した一粒子のもつ運動量がイオン化したArガスの一粒子のもつ運動量よりも低い第1のガスの一例として、Heガスを例に挙げて説明する。ただし、第1のガスはこれに限られず、例えばイオン化エネルギーが「2080.7(kJ/mol)」のNe(ネオン)ガス、Heガス及びNeガスの混合ガスを使用してもよい。第1のガスは、Arガスと、Heガス及びNeガスの少なくともいずれかとの混合ガスであってもよい。なお、第1のガスの「イオン化した一粒子のもつ運動量がイオン化したArガスの一粒子のもつ運動量よりも低い」という特徴点については、後述する。
処理ガスには、上記フルオロカーボンガス及び希ガスの他、Oガス、COガス、Nガス、Hガスが含まれてもよい。また、Cl、HBr、CF、CHF、NFなど、ハロゲン含有ガスが含まれてもよい。
[エッチング処理方法におけるガス種の選択と効果]
次に、本実施形態に係るエッチング処理方法におけるガス種の選択と効果について、図3を参照しながら説明する。図3は、一実施形態に係るエッチング処理方法におけるガス種の選択と効果を示す図である。
本実施形態に係るエッチング処理方法では、使用するフルオロカーボンガスをCガスとし、使用する希ガスをHeガスとする。比較例では、使用するフルオロカーボンガスをCガスとし、使用する希ガスをArガスとする。つまり、本実施形態に係るエッチング処理方法では、希ガスを比較例で使用するArガスからArガスよりも軽いHeガスに変える。Arガスは重い希ガス(Heavy Noble Gas)の一例であり、HeガスはArガスよりも軽いため、軽い希ガス(Light Noble Gas)の一例である。
図4は、各種の希ガスとプラズマ電子密度及びプラズマ電子温度との関係を示す図である。図4の横軸は、2.45GHzのマイクロ波パワーが導入されるマイクロ放射窓からの距離を示し、縦軸(右)はプラズマ電子密度(Ne)を示し、縦軸(左)はプラズマ電子温度(Te)を示す。図4のグラフは、ガス種をArガスからHeガスに変えると、プラズマ電子密度が下がり、プラズマ電子温度(Te)が上がることを示している。その理由について説明する。
Heガスのイオン化エネルギーは「2372.3kJ/mol」であり、Arガスのイオン化エネルギー「1520.6kJ/mol」よりも大きい。イオン化エネルギーは、原子又は分子から電子を引き離してイオン化するのに要するエネルギーのことであるから、Heガスでは、Arガスよりも電子軌道の最外殻から電子を引き出すエネルギーが高い。よって、HeガスはArガスよりも電離し難いため、Heガスの場合、Arガスよりもプラズマ電子密度が低くなる。プラズマ電子密度が低くなると、プラズマ中の一粒子当たりに与えられる温度は高くなる。その結果、図4に示すように、希ガスのガス種を、重い希ガスの一例であるArガスから軽い希ガスの一例であるHeガスに変えると、プラズマ電子密度が下がって、プラズマ電子温度が上がる。
プラズマ電子温度が上がると1つの電子が持つエネルギーが高くなるため、電子とガスが衝突したときにガスが解離しやすく、また高解離したラジカルや更に電離したイオンといったプリカーサが生成されやすい。生成されたプリカーサはポリマーの堆積に寄与する。ラジカル性のプリカーサはプラズマから基板Wに対して等方的に作用し、イオン性のプリカーサは異方的に作用する。また、エッチング対象膜上に堆積したプリカーサは高周波電力LFによって基板Wに引き込まれた希ガスのイオンとの相互作用によってエッチング対象膜のエッチングを促進するエッチャントとして寄与する。図5の横軸にプラズマ電子温度を示し、Cガスの解離度との関係を示す。プラズマ電子温度が低いとCガスの解離は促進されにくく、低解離のプリカーサ(Cラジカル、C イオン等)が多く、高解離のプリカーサ(CFラジカル、CF イオン等)は少ない。プラズマ電子温度が高くなるとCガスの解離が進み、高解離のCFラジカルが増え、低解離のプリカーサは減る。よって、重い希ガスから軽い希ガスにすると、プラズマ中では低解離のプリカーサが減り、高解離のプリカーサが増える。つまり、重い希ガスから軽い希ガスにすると、C等の吸着係数(吸着力)が高いプリカーサが減り、CF等の吸着係数が低いプリカーサが増える。ただし、図6及び図7に示すように、処理空間Uに生成されるプラズマ生成領域Pには高解離のプリカーサ及び低解離のプリカーサの両方が存在し、高解離のプリカーサ及び低解離のプリカーサの比率が変わる。エッチングに使用する希ガスをArガスからHeガスに変えることで、高解離で吸着係数の低いプリカーサを、低解離で吸着係数の高いプリカーサよりも相対的に多くすることができる。プラズマ生成領域Pに生成されたプリカーサは、シース領域Sを通じて基板Wに供給される。
なお、低解離から高解離への途中段階であるCラジカルやCイオンなどのプリカーサは低解離のプリカーサと高解離のプリカーサとの間の特性をもつ。また、図5においてCガスの解離パターンを示したが、Cガス以外のフルオロカーボンガスとして使用されるCガス、Cガス、Cガス、Cガスにおいてもプラズマ電子温度によって解離が促進される。使用されるガス種によっては、CFラジカル、CF イオンといったプリカーサが生成される。
このように低解離のプリカーサは吸着係数が高く、図7のシース領域SにおいてCの挙動である左から右に向かう矢印「←」に示すように、マスク層100の上面やホール開口の上部(側面)に付き易い。このため、低解離のプリカーサはマスク層100の上面や側面にて消費され、ポリマー105を形成し、酸化シリコン層140に形成されたホールHの底面や側面まで到達し難い。なお、マスク層100は、図8に示すように、酸化シリコン層140上にあり、有機膜であってもよいし、他の材質であってもよい。
これに対して、高解離のプリカーサは吸着係数が低く、図7のシース領域SにおいてCFの挙動である右から左に向かう矢印「→」に示すように、マスク層100の上面や側面に付き難い。これにより、高解離のプリカーサはマスク層100の上面や側面にて消費されず、ホールH内の下に向かう矢印「→」に示すように、酸化シリコン層140に形成されたホールHの側面や底面まで到達し易い。そのため、低解離のプリカーサと比べて、高解離のプリカーサの方が、酸化シリコン層140に形成されたホールの側面や底面にポリマー105を形成しやすい。
以上から、高解離で吸着係数が低いプリカーサは、マスク層100の上面や側面に付き難く、ホールHの側面や底面に付き易い。よって、図3に示すように、低解離で吸着係数が高いプリカーサを減らし、高解離で吸着係数が低いプリカーサを増やすことにより、ホールが閉塞し難く、ホール底に露出したタングステン層130にプリカーサを多く供給することできる。このためには、Cガスの解離を促進し、C、C等の低解離のラジカルを減らし、CF、CF等の高解離のラジカルを増やすようにプロセス条件を最適化することが重要である。
かかる理由から、本実施形態に係るエッチング処理方法では、希ガスにArガスよりも質量が小さいHeガスを用いる。これにより、吸着係数が高いプリカーサを減らし、吸着係数が低いプリカーサを増やすことができる。
図8の積層膜を用いて更に説明すると、例えばC、C等の低解離のプリカーサが多くなると、図8(a)に示すようにマスク層100の上面や開口(側面)にポリマー105が堆積し、閉塞し易い(A参照)。また、マスク層100の上面や側面にてプリカーサが消費されるため、ホールH底のタングステン層130上やホールHの奥の側面に到達するプリカーサが少なく、タングステン層130上にポリマー105の堆積がされ難い(B参照)。
プラズマ電子温度が高いほどCガスの解離が進み、吸着係数が高いプリカーサが減り、吸着係数が低いプリカーサが増える。この結果、図8(b)に示すように、マスク層100の上面や開口にポリマー105の堆積がされ難くなり、閉塞し難くなる(A'参照)。また、マスク層100の上面や側面にて消費されるプリカーサが少なくなり、ホールH底のタングステン層130上やホールHの奥の側面に到達するプリカーサが多くなり、タングステン層130上にポリマー105が多く堆積するようになる(B'参照)。
以上の結果、希ガスにArガスを使用する比較例と比べて、希ガスにHeガスを使用する本実施形態に係るエッチング処理方法では、エッチングされたホールHの開口上部が閉塞することを抑制し、ホールH底までCF系ラジカルが入り込み易くする。この結果、エッチャントを十分に供給することで酸化シリコン層140のエッチングレートを維持できる。加えて、酸化シリコン層140の下地層であるタングステン層130上に保護膜としてポリマー105を形成することで、酸化シリコン層140に対するタングステン層130の選択比の向上を図ることができる。
この結果、下地層のロスの抑制(下地層のダメージの低減)を図ることができる。更に、ホールHの開口上部の閉塞を抑制することで酸化シリコン層140のエッチング形状がボーイング形状になることなくより垂直にすることができる。また、閉塞を抑制しホールHの間口の開口寸法を確保することによって、ホールHの間口に入り込むプリカーサ量や希ガスのイオン量が増え、結果、ホールH底まで到達するプリカーサや希ガスのイオンが増えるため、エッチング対象膜のエッチングを促進することでスループットの向上につながり、また、保護膜としてのポリマー105がより効果的に形成される。
[実験結果]
図9は、一実施形態及び比較例に係るエッチング処理方法で使用する希ガスの種類とタングステン層130のロスとの関係を示す実験結果である。一実施形態及び比較例に係るエッチング処理方法では、高周波電力、処理容器内の圧力、希ガス以外の処理ガスは同一のプロセス条件で実験を行った。線Eは比較例に係るエッチング処理方法において希ガスにArガスを使用したときのタングステン層130のロスを示し、線Fは本実施形態に係るエッチング処理方法において希ガスにHeガスを使用したときのタングステン層130のロスを示す。図9の横軸はオーバエッチターゲット(Over Etch Target(%)を示し、縦軸は正規化されたタングステン層130のロス量を示す。オーバエッチターゲットは、酸化シリコン層140のエッチングを開始してからタングステン層130が露出するまでのエッチング時間を100%としたときに、タングステン層130が露出したあとのエッチング時間をパーセンテージで示したものである。例えば、横軸の100%は、タングステン層130が露出した後に行ったエッチング時間が、酸化シリコン層140をタングステン層130が露出するまでエッチングしたときのエッチング時間と同じであることを示す。
なお、酸化シリコン層140をエッチングしてタングステン層130が露出した直後からタングステン層130上に保護膜が形成されるまでの間、タングステン層130は希ガスのイオンによりスパッタされる。しかし、保護膜が形成されるまでの間は瞬時的であり、また過渡的に増加するため、その間のタングステン層130のスパッタリングレートを正確に計測することは容易ではない。そのため、図9中の線Eおよび線Fのy切片をスパッタリングによるタングステン層130のロス量とし、スパッタリングレートに比例するものと考える。
希ガスにArガスを使用したときにタングステン層130が露出したときのロス量を1とする。希ガスにArガスを使用すると、オーバエッチターゲットのパーセンテージが上がるほど、ロス量が大きくなった。例えば、オーバエッチターゲットが100%のとき、タングステン層130のロス量は、約40%増えた。
これに対して、希ガスにHeガスを使用したときのタングステン層130のスパッタリングによるロス量は、比較例のArガスを使用したときと比べて少なく、スパッタリングによるロス量が26%改善された。また、オーバエッチターゲットが100%のとき、タングステン層130のロス量は、若干増える程度であり、比較例のArガスを使用したときと比べてロスレートは82%改善された。この時、ロスレートとは、図9中の線Eおよび線Fの傾きを示す。
また、実験結果によれば、オーバエッチターゲットが100%の場合で比較した時、本実施形態に係るエッチング処理方法では、処理ガス中の希ガスをArガスからHeガスに変えることで、比較例と比べてタングステン層130上のポリマーの厚さを57%多く堆積させることができた。
また、オーバエッチターゲットが100%の処理を行った後、タングステン層130のロス量は、比較例と比べて34%低減させることができた。一方、酸化シリコン層140のエッチングレートは比較例と比べて7%低下するにとどまった。そのため、酸化シリコン層140に対するタングステン層130の選択比は、比較例と比べて50%改善できた。なお、有機膜のマスク層100のエッチングレートが比較例と比べて16%増加した。
以上の実験結果から、希ガスにHeガスを使用する本実施形態に係るエッチング処理方法では、酸化シリコン層140のエッチング速度の維持を図りつつ、酸化シリコン層140に対するタングステン層130の選択比の向上させることが可能であることがわかった。
次に、一実施形態に係るAr/Heガスの割合に対するプラズマ中に存在するCFラジカルの発光強度の実験結果について、図10を参照して説明する。図10は、一実施形態に係るAr/Heガスの割合とCFラジカルを示す波長の発光強度との関係を示す図である。
図10の横軸は、左から順にエッチング処理方法に使用する希ガスにArガスのみを使用した場合、ArガスとHeガスとの割合を約2:1にした場合、ArガスとHeガスとの割合を約1:2にした場合、Heガスのみを使用した場合を示す。いずれの場合も希ガスの総流量は同一に制御した。この条件でプラズマ中のCFラジカルを示す波長の発光強度を測定した。
測定の結果、図10の縦軸に示すCFラジカルを示す波長の発光強度は、Arガスに対するHeガスの割合を増やすほど大きくなった。以上から、本実施形態に係るエッチング処理方法に使用する希ガスは、反応ガスの高解離化を促進するためにはHeを使用することが好ましいことが分かった。また、Heガスの単ガスでなくても、Arガスの単ガスでなければよく、Arガスに対するHeガスの割合を制御することで、Cガスの解離度を制御し、吸着係数の高いプリカーサと吸着係数の低いプリカーサとの割合を制御できることがわかった。これにより、ホールの上面や側面(開口)に堆積するプリカーサの量と、ホール底や側面に堆積するプリカーサの量又はその割合を制御することができる。
例えば、図1に示す積層膜をエッチングする場合、ArガスとHeガスとの割合を以下のように制御してもよい。ただし、かかるエッチング処理方法は、ArガスとHeガスとを制御する一例であり、これに限らない。図1に示すように、タングステン層130が異なる深さに段違いに位置する場合、浅い領域に位置するタングステン層130を露出するエッチングの間は希ガスにArガスのみ又はArガスに対するHeガスの比が第1の割合で混合した混合ガスを使用してより高いエッチングレートでエッチングを行ってもよい。そして、深い領域に位置するタングステン層130を露出するエッチングの間は希ガスにArガスに対するHeガスの比が第1の割合より高い第2の割合で混合した混合ガス又はHeガスのみを使用してもよい。これによれば、浅い領域のエッチングはArガスのみ又はHeガスに対するArガスの割合が高い混合ガスを使用することで、Arガスに対するHeガスの割合が高い混合ガス又はHeガスのみを使用した場合よりも酸化シリコン層140のエッチングを促進できる。また、Arガスのみ又はHeガスに対するArガスの割合が高い混合ガスを使用することで、Arガスに対するHeガスの割合が高い混合ガス又はHeガスのみを使用した場合よりも、低解離で高吸着係数のプリカーサが生成され、マスク層100表面に厚く堆積したポリマー105が保護膜として作用し、酸化シリコン層140に対するマスク層100の選択比を上げることができる。また、タングステン層130が浅い領域に位置していると低解離で高吸着係数のプリカーサでも十分にタングステン層130表面に堆積し、保護膜としてポリマー105を形成することができる。一方、深い領域のエッチングは、Arガスに対するHeガスの割合が高い混合ガス又はHeガスのみを使用することで、Arガスのみ又はHeガスに対するArガスの割合が高い混合ガスを使用した場合よりもホールの開口を閉塞させずに、タングステン層130のロスを低減できる。すなわち、エッチングの深さに応じて希ガスとしてArガスとHeガスとの割合を制御することによって、酸化シリコン層140のエッチング速度、タングステン層130の選択比、およびマスク層100の選択比の両立が可能となる。
また、希ガスにArガスのみ又はArガスに対するHeガスの比が第1の割合で混合した混合ガスを使用したステップと、希ガスにArガスに対するHeガスの比が第1の割合より高い第2の割合で混合した混合ガス又はHeガスのみを使用したステップを、少なくとも1回以上繰り返しながらエッチングを行ってもよい。Arガスのみ又はHeガスに対するArガスの割合が高い混合ガスを使用したステップにおいて、低解離で高吸着係数のプリカーサが生成され、マスク層100表面にポリマー105が厚く堆積する。その後、Arガスに対するHeガスの割合が高い混合ガス又はHeガスのみを使用したステップにおいて、堆積したポリマー105が保護膜として作用し、酸化シリコン層140に対するマスク層100の選択比を上げてエッチングを行うことができる。すなわち、希ガスとしてArガスとHeガスとの割合が異なるステップを繰り返し制御することによって、酸化シリコン層140のエッチング速度、タングステン層130の選択比、およびマスク層100の選択比の両立が可能となる。このとき、Arガスのみ又はHeガスに対するArガスの割合が高い混合ガスを使用したステップでは、マスク層100の上面のみならず側面にもポリマー105が堆積するため、ホールの開口が閉塞しない程度に処理時間などを調整することが望ましい。
さらに、エッチングの深さに応じて希ガスとしてArガスとHeガスとの割合を制御することと、希ガスとしてArガスとHeガスとの割合が異なるステップを繰り返し制御することを組み合わせる。これによって、更に酸化シリコン層140のエッチング速度、タングステン層130の選択比、およびマスク層100の選択比の両立が可能となる。
なお、Krガスのイオン化エネルギーは「1350.8(kJ/mol)」であり、Xeガスのイオン化エネルギーは「1170.4(kJ/mol)」であり、Arガスのイオン化エネルギーである「1520.6(kJ/mol)」より小さい。また、Krガスの準安定準位エネルギーは「9.92(eV)」であり、Xeガスの準安定準位エネルギーは「8.32(eV)」であり、Arガスの準安定準位エネルギーである「11.55(eV)」より小さい。このため、希ガスのガス種を、Arガスに代わって、Krガス、Xeガスを使用すると、Arガスを使用したときと同様に、低解離で高吸着係数のプリカーサが生成され、マスク層100表面に厚く堆積したポリマー105が保護膜として作用し、酸化シリコン層140に対するマスク層100の選択比を上げることが期待できる。
[イオン化した粒子のもつ運動量]
以上、本実施形態に係るエッチング処理方法において、処理ガスに含まれる希ガスに含まれる第1のガスに、Arガスよりイオン化エネルギーが高いHeを使用した場合の作用、効果及び実験結果について説明した。
次に、第1のガスが、「Arガスよりイオン化エネルギーが高い」条件に加えて、「イオン化した一粒子のもつ運動量が、イオン化したArガスの一粒子のもつ運動量よりも低いガスである」条件を満たす必要がある理由について説明する。
タングステン層130は、ホールの底面に露出すると、入射したイオンによりスパッタされる。希ガスにArガスを使用した場合には、Arイオンによりタングステン層130の表面がスパッタリングされる。希ガスにHeガスを使用した場合には、Heイオンによりタングステン層130の表面がスパッタリングされる。
スパッタリングとは、加速された粒子が固体表面に衝突したときに運動量の交換によって固体を構成する原子が空間に放出される現象であり、物理的な反応である。スパッタリングイールドは、イオンを固体表面に衝突させたときに空間に放出される原子の個数である。すなわち、加速されたイオンを固体表面に衝突させたときの固体表面のスパッタリングレートは、加速されたイオンが持つ運動量に比例する。
図11は、ガス種毎の圧力とスパッタリングイールドとの関係を示す図である。図11の横軸は処理容器内の圧力を示し、縦軸はスパッタリングイールドを示す。図11の出典は、高周波希ガスプラズマのスパッタリング現象の研究/名古屋工業大学 増井寛二 [名古屋工業大学紀要50巻(1998)]である。
図11では、スパッタリングイールドは、直径が60mmのターゲットに各種のガスを衝突させたときにターゲットの重さの減少(Weight Loss)で示される。これによれば、13×10−3(mmHg)前後の圧力において、Heのスパッタリングイールドは、Arのスパッタリングイールドよりも低い。このため、イオン衝突による脱離は、Heガスを用いた方が少ない。よって、希ガスにHeガスを使用すると、Arガスを使用するよりもスパッタリングレートは下がる傾向になる。
図12にイオンがもつ運動量を説明するための図を示す。まず、プラズマ中のイオンの運動エネルギーKは、電荷量をq、プラズマ生成領域Pと基板Wとの間のシース領域Sにかかる電位をEとすると、式(1)で示される。mはイオンの質量、vはイオンの速度である。
Figure 2021013015
式(1)を変形すると式(2)となる。
Figure 2021013015
イオンの運動量P=mvと式(2)とから、式(3)が導かれる。
Figure 2021013015
Heイオンの一粒子当たりの質量は「4」であり、Arイオンの一粒子当たりの質量「18」よりも小さい。このため、式(3)から、Heイオンの一粒子当たりの運動量は、Arイオンの一粒子当たりの運動量よりも小さい。以上から、Heガスを使用すると、Arガスを使用するよりもタングステン層130の表面がスパッタされ難くなり、タングステン層130のスパッタリングレートが下がる方向に作用する。また、ホール底にタングステン層130が露出したときにタングステン層130の表面がスパッタされ、タングステン層130のスパッタリングレートが上がっても、その後、CF系ガスのプリカーサがタングステン層130の表面に堆積し、保護膜として作用する。このため、タングステン層130のロス量を抑制できたことがわかった。
これに対して、エッチングレートは、ラジカルの表面吸着とイオン衝突による脱離が相互に作用して決まる値である。この他、熱エネルギーによる脱離もイオン衝突による脱離とラジカルの表面吸着とが相互に作用するが、高周波電力HFによって基板Wに引き込まれるほどのイオンが存在する環境下では、イオン衝突による脱離に比べて寄与率が低いため、ここでは考慮しない。
エッチングレートを式(4)に示す。
Figure 2021013015
式(4)のkはイオン性脱離の反応確率、Eはイオン化エネルギー、Γionはイオン入射量であり、「kE・Γion」は「イオン衝突による脱離」を示す項である。式(4)のsは表面への吸着確率、Γradicalはラジカルの供給量であり、「s・Γradical」は「ラジカルの表面吸着」を示す項である。なお、nは、エッチング対象膜の材質を示す。
式(4)中のk(イオン性脱離の反応確率)は、スパッタリングイールドに比例するものであり、スパッタリングイールドが高いとエッチングレートは上がる傾向になり、スパッタリングイールドが低いとエッチングレートは下がる傾向になる。このため、希ガスにHeガスを使用すると、Arガスを使用するよりもスパッタリングイールドが下がるためにエッチングレートは下がる傾向になる。
しかしながら、希ガスにHeガスを使用することによってフルオロカーボンガスが高解離し低吸着係数のプリカーサが生成される。これによって、ホールHの底部までエッチャントとなるラジカルが供給されることになるので、Γion(イオン入射量)が増加することとなる。これにより、希ガスにHeガスを使用してもエッチングレートが維持できたと考えられる。
以上に説明したように、タングステン層130のロスを抑制し、酸化シリコン層140との選択比を上げるためには、プリカーサをホール底のタングステン層130上に到着させることと、イオンの運動量を小さくすることが重要であることがわかった。そこで、本実施形態に係るエッチング処理方法では、処理ガスに含まれる希ガスをArガスからHeガスに変える。これにより、酸化シリコン層140のエッチングレートを維持しつつ、酸化シリコン層140に対するタングステン層130の選択比の向上を図ることができる。
[エッチング処理方法]
次に、一実施形態に係るエッチング処理方法について、図13及び図14を参照しながら説明する。図13は、一実施形態に係るエッチング処理方法を示すフローチャートである。図14は、一実施形態に係るエッチング処理方法を説明するための図である。本エッチング処理方法は、図2の基板処理装置1にて実行され、図2の制御部70により制御される。
本処理が開始されると、まず、シリコン層110、タングステン層130、酸化シリコン層140、マスク層100の順に積層された積層膜が形成された基板Wを処理容器2内に搬入し、下部電極(載置台)21に載置する(ステップS1)。
次に、Cガスなどのフルオロカーボンガス(Cガス)とHeガスを含む処理ガスを処理容器2内に供給する(ステップS2)。次に、第1高周波電源32及び第2高周波電源34から高周波電力HF、LFを印加し、プラズマを生成する(ステップS3)。次に、積層膜をエッチングし(ステップS4)、本処理を終了する。
実施形態に係るエッチング処理方法によれば、積層膜をエッチングしている間、図14(a)に示すように、処理ガス中のCガスなどのフルオロカーボンガスが高解離する。そして、CF、CFラジカルやCF 、CF イオンなどのプリカーサ(図中ではCF、CF と示す)とHeイオンにより酸化シリコン層140がエッチングされる。
その際、酸化シリコン層140の凹部の底部にプリカーサが堆積するが、同時にHeイオンとの相互作用で酸化シリコン層140のエッチングにエッチャントとして消費し、SiF、COのような揮発性ガスに変化するため、堆積物としてポリマーは形成されない。
図14(b)に示すように、酸化シリコン層140のエッチングが完了し、タングステン層130が露出すると、プリカーサはエッチャントとして消費されなくなるため、ポリマーとして堆積し始める。しかし、酸化シリコン層140のエッチングが完了した直後は、露出したタングステン層130表面にポリマーが堆積しておらず、タングステン層130の表面は主にHeイオンによりスパッタされ、タングステン層130のロスが発生する(記号G参照)。
その後、図14(c)に示すように、処理を継続すると、プリカーサがタングステン層130の表面にポリマーとして堆積し、保護膜として作用するため(記号I参照)、タングステン層130のエッチングレートは下がる。
以上により、本実施形態に係るエッチング処理方法によれば、エッチング対象膜に対する下地層の選択比を向上させることができる。
[希ガスの準安定準位エネルギー]
本実施形態に係るエッチング処理方法に使用する第1のガスの準安定状態の電位は、Arガスの準安定状態の電位よりも高いことが好ましい。例えば、Heガスの準安定準位エネルギーは「19.82(eV)」であり、Arガスの準安定準位エネルギー「11.55(eV)」よりも高い。準安定準位エネルギーが「16.62(eV)」のNeガスや、Heガス及びNeガスの混合ガスもArガスの準安定準位エネルギーよりも大きい。エッチング処理時、希ガスは、プラズマとの相互作用により準安定状態に励起される。通常の原子や分子が励起された場合、光などのエネルギーを放射して再び基底状態へ自然に遷移する平均時間(自然放出寿命)はマイクロ秒オーダー、あるいはそれ以下である。準安定状態の自然放出寿命は1秒のオーダーであるため、プラズマ生成空間にはエネルギーが高い準安定状態の希ガスが大量に存在できる。準安定状態の希ガスは、衝突によりエネルギーを放出して基底状態へ遷移する。
したがって、Arガスの準安定準位エネルギーよりも大きい準安定準位エネルギーをもつHeガス及びNeガスでは、エネルギーが高い準安定状態の希ガスが大量に存在することとなる。これにより、プラズマ生成空間や基板Wへの輸送空間であるシース領域SにおいてこれらのガスがCガスなどのフルオロカーボンガスと衝突することにより、フルオロカーボンガスの解離度を高解離に制御できる。
これにより、一実施形態に係るエッチング処理方法では、Heガスを使用することで、Arガスを使用した場合よりも吸着係数が高いポリマーが減り、吸着係数が低いポリマーが増える。このため、エッチングするホールの開口の閉塞を抑制しつつ、下地層にポリマーを多く供給して、エッチング対象膜に対する下地層の選択比を向上させることができる。
今回開示された一実施形態に係るエッチング処理方法及び基板処理装置は、すべての点において例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形及び改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
本開示の基板処理装置は、Capacitively Coupled Plasma(CCP)、Inductively Coupled Plasma(ICP)、Radial Line Slot Antenna(RLSA)、Electron Cyclotron Resonance Plasma(ECR)、Helicon Wave Plasma(HWP)のいずれのタイプの装置でも適用可能である。
1 基板処理装置
2 処理容器
11 ガス供給源
21 下部電極(載置台)
22 上部電極
32 第1高周波電源
34 第2高周波電源
70 制御部
100 マスク層
110 シリコン層
130 タングステン層
140 酸化シリコン層
H ホール
W 基板

Claims (16)

  1. シリコン含有絶縁層と、前記シリコン含有絶縁層の下層に配置された下地層と、前記シリコン含有絶縁層の上層に配置されたマスク層とを少なくとも有する積層膜が形成された基板を処理容器内に準備する工程と、
    フルオロカーボンガスと、希ガスとを少なくとも含む処理ガスを供給する工程と、
    前記処理ガスが供給された処理容器内にプラズマを発生させて前記積層膜をエッチングする工程と、を有し、
    前記希ガスは、Arガスよりイオン化エネルギーが高く、イオン化した一粒子のもつ運動量がイオン化したArガスの一粒子の運動量よりも低い第1のガスを含む、ことを特徴とするエッチング処理方法。
  2. 前記希ガスは、第2のガスを含み、前記希ガスに含まれる前記第1のガスと前記第2のガスとの割合を制御する工程を含み、
    前記第2のガスは、Arガス、又はArガスよりイオン化エネルギーが低いガスの少なくとも一つを含む、
    請求項1に記載のエッチング処理方法。
  3. シリコン含有絶縁層と、前記シリコン含有絶縁層の下層に配置された下地層と、前記シリコン含有絶縁層の上層に配置されたマスク層とを少なくとも有する積層膜が形成された基板を処理容器内に準備する工程と、
    フルオロカーボンガスと、希ガスとを少なくとも含む処理ガスを供給する工程と、
    前記処理ガスが供給された処理容器内にプラズマを発生させて前記積層膜をエッチングする工程と、
    前記希ガスは、第1のガス、又は第2のガスの少なくとも一つを含み、前記希ガスに含まれる前記第1のガスと前記第2のガスの割合を制御する工程と、を有し、
    前記第1のガスは、Arガスよりイオン化エネルギーが高く、イオン化した一粒子のもつ運動量がイオン化したArガスの一粒子の運動量よりも低いガスであり、
    前記第2のガスは、Arガス、又はArガスよりイオン化エネルギーが低いガスである、
    ことを特徴とするエッチング処理方法。
  4. 前記第1のガスの準安定状態の電位は、Arガスの準安定状態の電位よりも高い、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のエッチング処理方法。
  5. 前記第1のガスは、Heガス又はNeガスの少なくとも一つを含む、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載のエッチング処理方法。
  6. 前記Arガスよりイオン化エネルギーが低いガスは、Krガス又はXeガスである、
    請求項2又は3に記載のエッチング処理方法。
  7. 前記希ガスに含まれる前記第1のガスと前記第2のガスの割合を制御する工程は、エッチングされた前記積層膜の深さに応じて、前記希ガスに含まれる前記第2のガスに対する前記第1のガスの割合が調整される、
    請求項2又は3に記載のエッチング処理方法。
  8. 前記希ガスに含まれる前記第1のガスと前記第2のガスの割合を制御する工程は、前記希ガスとして前記第2のガスのみ又は前記第2のガスに対する前記第1のガスの比が第1の割合で混合した混合ガスを使用したステップと、前記希ガスとして前記第2のガスに対する前記第1のガスの比が第1の割合より高い第2の割合で混合した混合ガス又は前記第1のガスのみを使用したステップとを、少なくとも1回以上繰り返す、
    請求項2又は3に記載のエッチング処理方法。
  9. 前記フルオロカーボンガスは、Cガス、Cガス、Cガス、Cガス、Cガスの少なくとも一つである、
    請求項1〜8のいずれか一項に記載のエッチング処理方法。
  10. 前記シリコン含有絶縁層は、酸化シリコン層で形成される、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載のエッチング処理方法。
  11. 前記下地層は、導電層である、
    請求項1〜10のいずれか一項に記載のエッチング処理方法。
  12. 前記導電層は、金属層又はシリコン層で形成される、
    請求項11に記載のエッチング処理方法。
  13. 前記金属層は、タングステンで形成される、
    請求項12に記載のエッチング処理方法。
  14. 前記シリコン含有絶縁層は、酸化シリコン層で形成され、
    前記下地層は、窒化シリコン層で形成される、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載のエッチング処理方法。
  15. 前記シリコン含有絶縁層は、酸化シリコン層、Low−K膜層の少なくともいずれかで形成され、
    前記下地層は、炭化シリコン層、炭化窒化シリコン層の少なくともいずれかで形成される、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載のエッチング処理方法。
  16. 処理容器と、
    シリコン含有絶縁層と、前記シリコン含有絶縁層の下層に配置された下地層と、前記シリコン含有絶縁層の上層に配置されたマスク層とを少なくとも有する積層膜が形成された基板を載置する載置台と、
    制御部と、を有する基板処理装置であって、
    前記制御部は、
    前記基板を処理容器内に準備する工程と、
    フルオロカーボンガスと、希ガスとを少なくとも含む処理ガスを供給する工程と、
    前記処理ガスが供給された処理容器内にプラズマを発生させて前記積層膜をエッチングする工程と、を制御し、
    前記希ガスは、Arガスよりイオン化エネルギーが高く、イオン化した一粒子のもつ運動量がイオン化したArガスの一粒子の運動量よりも低い第1のガスを含む、
    基板処理装置。
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