以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する耐水害住宅は、洪水等の発生により住宅内に水が流入することを防止する耐水害構造(図1から図8参照)と、基礎部を含めた住宅全体の浮上を防止する浮上防止構造(図9から図26参照)と、床下への水の流入を防止する床下流入防止構造(図27から図47参照)と、水による室外機の破損を防止する室外機用架台の支持構造(図48から図51参照)と、ドア用建具の周囲からの水の流入を防止するドア用建具の水密構造(図52から図59参照)と、勝手口用建具や連窓用建具等のような開閉機能付き建具の周囲からの水の流入を防止する開閉機能付き建具の水密構造(図60から図67参照)と、窓用建具の周囲からの水の流入を防止する窓用建具の水密構造(図68から図71参照)と、を備えたものである。
そこで、先ず、上記耐水害構造について詳細に説明する。この耐水害構造は、枠組壁工法に基づいて形成された壁に本発明を適用したものであり、図1に示すように、地盤Gから起立して形成されたコンクリート製の基礎部1と、この基礎部1上に固定された土台2と、上記基礎部1上又は土台2上に配置され壁の一部を構成する壁構成材4と、を備えている。上記(正面側の)基礎部1は、住宅として建築された場合に該住宅の居住空間の囲むように、他の基礎部である背面側の基礎部、左側面側の基礎部及び右側面側の基礎部(それぞれ符号は省略する。)とそれぞれ一体化されてなるものである。また、上記土台2は、図示しないボルト挿通穴が形成され、上記基礎部1内に下端側が埋設され該基礎部1の上面から起立し上記ボルト挿通穴に挿通されてなる図示しない固定ボルトに螺着された図示しないナットにより締結されることによって、該基礎部1の上面に固定されてなるものである。なお、この実施の形態では、上記基礎部1上であって、上記土台2の外側には、土台水切下地3が固定されている。
そして、上記壁構成材4は、上記土台2及び土台水切下地3上に支持・配置されるものであり、住宅の壁の全てを構成するものではなく、その一部を構成するものであって、本実施の形態においては、上記外断熱材5と、この外断熱材5の内側(居住空間側)に配置された構造用壁合板6と、この構造用壁合板6の内側に配置された下部内断熱材7と、この下部内断熱材7の内側に配置された石膏ボード8とから構成されている。そして、上記外断熱材5は、上記土台水切下地3と同じ幅に成形されたものであり、該土台水切下地3に支持されている。また、上記構造用壁合板6は、上記外断熱材5と上記下部内断熱材7とにより挟まれている。また、上記土台2上には、合板スペーサー9と、この合板スペーサー9と同じ肉厚とされた剛床合板10の端部側が固定されており、この剛床合板10の下方であって、上記土台2の背面側には、床断熱材11が配置されている。また、上記合板スペーサー9と剛床合板10の一部の上には、上記土台2の幅と同じ幅に成形された壁下枠12が配置されている。なお、上記外断熱材5の下方には、該外断熱材5と同じ肉厚に成形された下部外断熱材13が配置され、この下部外断熱材13の下面は、上記土台水切下地3の上面に当接されている。換言すれば、上記壁構成材4を構成する上記外断熱材5の外側面と、上記下部外断熱材13の外側面と、上記土台水切下地3の外側面とは、互いに面一とされている。また、上記下部内断熱材7は、後述する上部内断熱材17と同じ肉厚に成形されている。
そして、互いに面一とされた上記外断熱材5の外側面から基礎部1の外側面の上端側中途部には、防水透湿シート21が、上記基礎部1に塗布された高弾性防水塗料22により貼付されている。なお、上記高弾性防水塗料は、具体的には、特殊塗料高弾性防水被膜自己形成塗料である。この特殊塗料高弾性防水被膜自己形成塗料は、一般的な刷毛塗りによる簡易施工で厚塗りが可能な粘性度を持ち、硬化後、基材である上記基礎部1と密着し、塗料自身が防水被膜として機能する塗料である。そして、上記防水透湿シート21は、それぞれ本発明を構成する防水シートである。なお、図1中、上記防水透湿シート21と、高弾性防水塗料22は、分かり易いようにそれぞれ太線で示されている。また、これらの防水透湿シート21は、この耐水害住宅の(図示しない)正面、左側面、右側面及び背面に、それぞれ横方向(水平方向)に、互いに一部が重なり合った状態で貼付されている。また、これらの防水透湿シート21の上端位置は、二階建ての住宅であれば一階から二階まで、或いは一階と二階との間付近まで、または一階建ての住宅(平屋住宅)であれば、屋根した付近まで位置するなど、少なくとも人の背丈よりも上方に位置している。そして、こうしたそれぞれの防水透湿シート21の外側には、複数の外壁下地14が所定間隔を隔てて互いに平行に配置され、さらにこれらの外壁下地14の外側には外壁材(サイディング)15が固定されている。なお、これら外壁下地14及び外壁材15は、それぞれ住宅の壁を構成するものであるが、上記壁構成材4の構成要素ではない。そして、この実施の形態では、上記外壁材15の外側面には、多数の外壁タイル15aが貼付され、また、上記外壁下地14の下端には、土台水切金具16が固定されている。なお、上記外壁下地14は、図1中において、上下方向に一体とされた(一本の)ものを図示したが、後述するように、この外壁下地14は、下端側中途部が継ぎ足されているものであっても良い。また、上記外壁材15は、この耐水害住宅の(図示しない)正面、左側面、右側面及び背面において、それぞれ上下方向及び左右方向に並べて配置・固定されている。
以下、上述した耐水害住宅の耐水害構造の施工工程を、図面を参照しながら順を追って詳細に説明する。先ず、図2に示すように、成形された上記基礎部1の外側面であって、該基礎部1の上端よりもやや下方(基礎部1の上端よりも60〜90cm下方)にマスキングテープTを水平方向に貼付する。なお、こうしたマスキングテープTを貼付する際は、予め基礎部1の外側面であって、貼付されるマスキングテープTの上端又は下端位置に、図示しないマーキングを水平に施す。なお、こうしたマスキングテープTを貼付する作業を行う際には、既に、上記基礎部1上には、上記土台2、土台水切下地3、下部外断熱材13、合板スペーサー9、剛床合板10、床断熱材11が施工されている。
そして、上記マスキングテープTの貼付作業が終了すると、次いで、図3に示すように、以下に説明するプリセット型の壁パネル31を施工現場に搬入し、図4に示すように、この壁パネル31を、上記土台2上に固定する。上記壁パネル31は、上記外断熱材5、構造用壁合板6、上記下部内断熱材7と同じ肉厚とされた上部内断熱材17、上記壁下枠12及び上記複数の外壁下地14、上記外壁材15及び上記複数枚の防水透湿シート21から構成されている。なお、上記上部内断熱材17の下面と上記壁下枠12との間には、先に説明した下部内断熱材7が後に配置される配置用空間(符号は省略する。)が形成されている。また、上記それぞれの防水透湿シート21は、上記外断熱材5の外側面に対して図示しない複数の両面テープにより貼付されており、また、該防水透湿シート21のそれぞれ左端21Aは、外側に折り返されてなるとともに、この左端21Aが折り返された状態で該防水透湿シート21の下端側から上端側に巻回された巻回部21Bが形成されている。また、上記防水透湿シート21の外側面には、複数の上記外壁下地14が固定されている。なお、これらの外壁下地14の下端は、上記外断熱材5の下端よりも上方に位置しており、後述する防水透湿シート21の貼付工程が終了した後に、該外壁下地14の下端から継ぎ足されて図1に示す外壁下地14が固定される。また、この壁パネル31を構成する上記外壁材15の下方は固定されておらず、防水透湿シート21の貼付作業や上記外壁下地14の継ぎ足し作業が終了した後に、図示しない外装材が固定される。
そして、上述した壁パネル31の搬入が終了すると、次いで、図4に示すように、この壁パネル31を、上記下部外断熱材13、合板スペーサー9、剛床合板10の一部の上に載置し、上記配置用空間から上記壁下枠12、上記合板スペーサー9又は剛床合板10並びに土台2に図示しない複数の釘を打ち込むことにより、この壁パネル31を固定する。そして、こうした壁パネル31の固定作業が終了すると、次いで、上記マスキングテープTの上端辺りから上記基礎部1や土台水切下地3の外側面に、高弾性防水塗料22を塗布する。そして、この塗布作業が終了すると、次いで、上記巻回部21Bとして巻回された防水透湿シート21の下端側を下方に展開し、該防水透湿シート21を上記土台水切下地3や基礎部1の外側面に貼付する。なお、こうした防水透湿シート21の下端側の貼付作業は、上記壁パネル31を構成する全ての防水透湿シート21について行われる。そして、こうしたそれぞれの防水透湿シート21の下端側の貼付作業が終了すると、次いで、上記折り返された左端21Aの左隣に配置された防水透湿シート21の右端21Cから中途部に亘る幅(隣り合う防水透湿シート21同士が重ね合わされる重ね代)に高弾性防水塗料22を貼付し、次いで、図5に示す折り返された左端21Aを有する防水透湿シート21の左側の一部と上記隣の防水透湿シート21とが互いに重なり合うように展開し、上記高弾性防水塗料22により、互いに貼付する。すなわち、上記壁パネル31にそれぞれ隣り合った状態で配置されたそれぞれの防水防湿シート21の下端側を上記基礎部1等に高弾性防水塗料22を用いて貼付するとともに、それぞれの左端側と右端側とが一部重なり合うように該高弾性防水塗料22を用いて貼付する(図6参照)。なお、こうした防水透湿シート21の貼付作業が終了した後、上記マスキングテープTは取り除く。
そして、こうした防水透湿シート21の貼付作業が終了すると、次いで、上記各外壁下地14の下端に図1に示す外壁下地14を継ぎ足し、さらに、これらの外壁下地14の外側に上記外壁材15を固定する。また、上記上部内断熱材17の下面と上記壁下枠12との間に形成された上記配置空間内には、先に説明した下部内断熱材7を配置する。以上の工程により、図1に示す耐水害住宅の耐水害構造が完成する。
したがって、上述した実施の形態に係る耐水害住宅の耐水害構造や、こうした耐水害構造を備えた耐水害住宅によれば、少なくとも上記基礎部1と土台2等との間から居住空間内に水が侵入する事態を有効に防止することができ、特に、洪水や津波等により住宅に高い水圧が作用した場合であっても、その水圧により僅かな隙間から居住空間内に水が侵入することを効果的に防止することができる。
なお、図1を参照しながら説明した耐水害住宅の耐水害構造では、上記壁構成材4を構成する外断熱材5の外側面から上記基礎部1の外側面に亘って鉛直方向に貼付されたものであるが、本発明に係る耐水害住宅の耐水害構造は、図7に示す構造であっても良い。
この耐水害住宅の耐水害構造は、図7に示すように、防水透湿シート21は、その上端側から下端側中途部までは、上記構造用壁合板6と、外断熱材5及び下側外断熱材13との間に配置され、一部は上記下側外断熱材13と土台水切下地3との間を通って、該土台水切下地3の外側面に至り、そのまま該土台水切下地3の外側面から基礎部1の外側面に貼付されてなるものであり、該土台水切下地3の外側面から基礎部1の外側面と防水透湿シート21の裏面とは高弾性防水塗料22により貼付されてなるものである。したがって、この例において、(本発明を構成する)壁構成材4は、上記構造用壁合板6、上部内断熱材7及び下部内断熱材7、並びに石膏ボード8となる。
次に、上述した防水防湿シート21による耐水害住宅の角部の耐水害構造を説明する。なお、この角部とは、住宅の正面と右側面との間、右側面と背面との間、背面と左側面との間、左側面と正面との間に形成された部位を言い、ここでは、上記正面と右側面との間の角部に、上記防水防湿シート21を施工・貼付する工程を説明する。また、以下では、上記住宅の正面の最も右側に貼付される防水透湿シート21を一方の防水透湿シート21Xとし、右側面の最も左側(正面側)に貼付される防水透湿シート21を他方の防水透湿シート21Yとする。
そして、上記住宅の正面の最も右側に貼付される一方の防水透湿シート21Xは、図8に示すように、上記該住宅の右側面側に延出され、先に説明したように、その殆どは図示しない両面テープを介して外断熱材5に貼付され、下端側は上記高弾性防水塗料22により、上記延出部も含めて上記基礎部1及び土台水切下地3の外側面に貼付されている。また、上記他方の防水透湿シート21Yの左端は、上記角部に位置した状態で上記両面テープや高弾性防水塗料22により貼付されている。そして、この他方の防水透湿シート21Yの左端側の裏面は、上記一方の防水透湿シート21の延出部の外側面に貼付されている。言うまでもなく、上記他方の防水透湿シート21Yに延出部が形成され、この延出部が、上記一方の防水透湿シート21Xの外側面に上記高弾性防水塗料22により貼付されているものであっても良い。
したがって、上述した住宅の耐水害構造では、住宅の角部は、基礎部1の外側面の一部を含めて上記一方の防水透湿シート21X又は他方の防水透湿シート21Yにより必ず覆われてなるとともに、住宅の右側面の左側又は住宅の正面の右側は、該一方の防水透湿シート21Xと他方の防水透湿シート21Yとが一部互いに重ね合わされた状態で高弾性防水塗料により貼付されていることから、より一層高い防水効果を上げることができる。
なお、上述した各実施の形態に係る耐水害構造は、冒頭で説明したように枠組壁工法に基づいて形成された壁に本発明を適用したものであるが、本発明は、こうした枠組壁工法に基づいて形成された壁ばかりではなく、軸組壁工法に基づいて形成された壁に適用されたものであっても良い。また、木造だけに限らず、鉄骨造、鉄筋コンクリート造やプレハブ工法等に基づいて形成された壁に適用されるものであっても良い。
次に、上記住宅浮上防止構造について、図9から図26を参照しながら詳細に説明する。この上記住宅浮上防止構造は、図9に示すように、住宅(耐水害住宅)101が支持されている住宅用基礎部102の下方に位置する地盤(符号は省略する。)内に埋設されたスクリュー杭103と、上記住宅用基礎部102内に埋設された係合部材104と、上記スクリュー杭103と上記係合部材104とを連結するワイヤ105とを備え、上記住宅用基礎部102を含めた住宅101全体が水により浮上することが防止されているものである。
なお、上記住宅用基礎部102は、コンクリートにより成形されてなるものであり、上記ベース基礎部(ベタ基礎又は布基礎)102aと、このベース基礎部102aの側方に起立して形成されその上面に上記住宅101の土台106が載置・固定される起立部102bが形成されており、これらベース基礎部102a及び上記起立部102b内には、それぞれ鉄筋107が埋設されている。そして、上記ベース基礎部102aに埋設された上記鉄筋107は、それぞれ略水平方向に配筋された複数の鉄筋107a(以下、これらの鉄筋107aを特定の鉄筋107aと言う。)と、上記特定の鉄筋107aと直交する方向に配筋された複数の鉄筋107b(以下、これらの鉄筋107bを他の鉄筋107bと言う。)が、それぞれ図示しない結束材により結束されている。また、上記住宅用基礎部102の下方には砕石層108が所定の高さに亘って形成され、この砕石層108の上面には、図示しない防湿フィルムが配置されている。
そして、上記スクリュー杭103は、上記砕石層108となる砕石を施工する前段階において、図示しない杭打ち機等により地表から該スクリュー杭103に回転力を付与しながら所定深さに鉛直方向に打設されるものである。そして、このスクリュー杭103は、図9に示すように、全体が長尺に成形された棒状体であり、図10又は図11に示すように、内部は中空状とされ、その中途部から下端に亘って徐々に縮径されてなるとともに、先端は尖鋭状に成形されている。また、このスクリュー杭103の下端から上端側中途部の外周面には、螺旋状凸部103aが形成されている。また、このスクリュー杭103の上端側中途部から上端までの部位(上記管部)は、該スクリュー杭103の長さ方向に第1ないし第3の軸挿通穴103b,103c,103dが正面側及び背面側にそれぞれ形成されている。これら第1ないし第3の軸挿通穴103b,103c,103dは、上記スクリュー杭103の長さ方向に直線状に並んだ状態で穿設されている。そして、上記スクリュー杭103の上端側であって、上記螺旋状凸部103aが形成されていない部位の外周には、円筒状に成形された補強用管体109が溶接されている。この補強用管体109は、炭素鋼を素材とするものであり、図11に示すように、上記スクリュー杭103の正面側及び背面側にそれぞれ形成された上記第1ないし第3の軸挿通穴103b,103c,103dの形成位置に対応した箇所に、第1ないし第3の外側軸挿通穴109b,109c,109dがそれぞれ穿設されている。
そして、上記補強用管体109が固定された上記スクリュー杭103には、図12に示すように、上記補強用管体109に形成された第1ないし第3の外側軸挿通穴109b,109c,109dから該スクリュー杭103に形成された第1ないし第3の軸挿通穴103b,103c,103dに挿通・固定された第1ないし第3のワイヤ係止軸110,111,112が固定されている。なお、この実施の形態においては、上記ワイヤ係止軸110,111,112は、頭部110a,111a,112aと軸部110b,111b,112bを備えたボルトである。なお、上記ボルトの軸部110b,111b,112bは、上記頭部110a,111a,112aが位置する方向とは反対方向に露出し、これら露出した軸部110b,111b,112bには、それぞれナット113,114,115が螺着されている。
また、上記ベース基礎部102aに埋設された上記係合部材104は、図13に示すように、略角パイプ状に成形されてなるものである。すなわち、この係合部材104は、長方形状に成形された天板部141と、この天板部141と同じ形状に成形され該天板部141に対向してなる底板部142と、長方形状に成形された正面板部143と、この正面板部143と同一の形状に成形され上記正面板部143に対向してなる背面板部144とからなるものである。そして、上記天板部141の中央には上側ボルト挿通穴141aが形成され、上記底板部142の中央であって上記上側ボルト挿通穴141aの真下には、下側ボルト挿通穴142aが形成されている。これら上側ボルト挿通穴141a及び下側ボルト挿通穴142aは、それぞれ円形状に成形されたものであり、後述するワイヤ105の上端に基端が固定されたターミナルボルト117のボルト軸部117aが下側から挿通される部位である。また、上記天板部141には、2つの上側大径穴141b,141cが上記上側ボルト挿通穴141aの左右両側にそれぞれ形成されている。これら2つの上側大径穴141b,141cは、それぞれ後述するように、コンクリートがこの係合部材104内に流入する開口である。また、一方、上記正面板部143の上端側の左右両側には、正面側鉄筋挿通穴143a,143bがそれぞれ形成され、また、該正面板部143の中央には、上記コンクリートが流入する正面側大径穴143cが形成されている。また、上記背面板部144は、上記正面板部143と同一の形状に成形され、該背面板部144の上側の左右両側には、背面側鉄筋挿通穴144a,144bがそれぞれ形成され、また、該背面板部144の中央には、上記コンクリートが流入する背面側大径穴144cが形成されている。なお、上記正面側鉄筋挿通穴143a,143bと背面側鉄筋挿通穴144a,144bは、それぞれ図14に示す特定の鉄筋107aの一部が挿通される部位であり、換言すれば、鉄筋挿通用空間又は第1の鉄筋挿通用空間である。また、この係合部材104全体の内側に形成された空間は、図14に示す他の鉄筋107bが挿通される部位であり、換言すれば、鉄筋挿通用空間又は第2の鉄筋挿通用空間である。
また、上記ワイヤ105は、上記スクリュー杭103と上記係合部材104とを互いに連結するものであり、該ワイヤ105の上端には、図14に示すように、ターミナルボルト117の下端が固定されている。このターミナルボルト117は、略中央から上端に亘ってボルト軸部117aが形成され、このボルト軸部117aは、後述するナット118及び緩み止めナット119が螺着される部位である。また、このワイヤ105の下端には、図15に示すように、ループ状(無端状)に湾曲して折り曲げられ該ワイヤ105の端部が固定金具120により固定されることによって形成された無端状の係止部105aが形成されている。なお、この無端状の係止部105aは、後述するように、上記スクリュー杭103の上端側から内部に挿入され、第1のワイヤ係止軸110(軸部110b)に係合される部位である。
以下、上述した浮上防止構造を備えた耐水害住宅の施工方法について、その工程順に説明する。先ず、上記住宅101を建設する敷地であって該住宅101の下方に位置する地盤内に、上記ワイヤ105の下端が連結されたスクリュー杭103を所定の単位面積毎に複数本を埋設又は打設する。なお、このワイヤ105とスクリュー杭103とを連結させる作業は、上記スクリュー杭103の上端から、上記ループ状となされた係止部105aを該スクリュー杭103内に挿入し、次いで、上記第1ないし第3のワイヤ係止軸110,111,112(ボルトの軸部110b,111b,112b)を、第1ないし第3の外側軸挿通穴109b,109c,109d及び第1ないし第3の軸挿通穴103b,103c,103dに挿通するとともに、これらを上記係止部105a内に挿通させ、該ボルトの軸部110b,111b,112bを上記補強用管体109の外周面より外側に突出させ、この突出した軸部110b,111b,112bに、それぞれ上記ナット113,114,115を螺着させる。こうした作業により、図15に示すように、スクリュー杭103とワイヤ105とが連結される。
また、上記ワイヤ105が連結されたスクリュー杭103を地盤内に打設する際には、図示しない杭打ち機の先端に図16に示すアタッチメント151を取り付け、このアタッチメント151を回転させるとともに下方に押圧力を付与することによって行う。このアタッチメント151は、上端側が図示しない杭打ち機に接続される筒状体152と、この筒状体152の下端に上面が溶接された円盤体153と、この円盤体153の下面に上端が溶接された大径筒状体154と、この大径筒状体154の外周に溶接された外側筒状カバー155とを備えている。上記筒状体152は、上記ターミナルボルト117やワイヤ105の外径寸法よりも大径状に成形されたものである。また、上記円盤体153は、中央に上記ターミナルボルト117やワイヤ105の外径寸法よりも大径状に成形された挿通穴153aが形成されている。また、上記大径筒状体154は、上記補強用管体109の外径寸法よりもやや大径状となされた内部空間を有してなるとともに、該大径筒状体154の下端から上端側中途部には、一方の切欠き部154aと他方の切欠き部154bとが、互いに対向した状態でそれぞれ形成されている。これら一方の切欠き部154a及び他方の切欠き部154bの長さ方向は、スクリュー杭103の長さ方向と同じ方向とされている。そして、上記一方の切欠き154aは、上記ボルト111,112の頭部111a,112aが下側から挿入される部位であり、上記他方の切欠き154bは、上記ボルト111,112の軸部111b,112bに螺着されたナット114,115が下側から挿入される部位である。したがって、このアタッチメント151が、図16に示すように、スクリュー杭103に装着され、この状態で該アタッチメント151が上記杭打ち機の駆動により回転させられるとともに下方に押圧されると、上記スクリュー杭103は、一方の切欠き部154aとボルトの頭部111a,112aとが係合し、また、上記他方の切欠き部154bとナット114,115とが係合して、上記回転力が該スクリュー杭103に伝達され、また、上記円盤体153が下方に移動することに伴って該スクリュー杭103は下方に押圧される。なお、こうして打設されるそれぞれのスクリュー杭103の深さは、埋設されるスクリュー杭103の単位面積当たりの本数や該スクリュー杭103の太さ、或いは地盤の硬さ、更には水に対する住宅用基礎部102を含めた住宅101全体に作用する浮力等様々な要素にもよるが、およそ地盤面から下方に凡そ1mの深度に該スクリュー杭103の上端が位置する程度とすれば良い。
そして、上述した要領又は作業により、複数本のスクリュー杭103を地盤内に施工する作業が終了すると、上記アタッチメント151を取り除き、次いで、図17に示すように、上記地盤上に砕石を施工することにより上記砕石層108を形成し、次いでこの砕石層108上に、上記図示しない防湿フィルムを敷設する。なお、上記砕石層108を形成する際には、先に打設したスクリュー杭103の上端に係止されたワイヤ105の先端側は、該砕石層108上に露出させておくとともに、上記防湿フィルムには、所定個所に図示しない開口を設けておき、この開口から上記ワイヤ105の先端が外部に露出させておく(図17参照)。そして、上記防湿フィルム敷設作業が終了すると、次いで、上記ターミナルボルト117のボルト軸部117aを上記係合部材104に固定する。この固定作業は、先ず、上記ターミナルボルト117の先端側を、係合部材104を構成する底板部142に形成された下側ボルト挿通穴142aに挿通し、次いで、上記天板部141に形成された上側ボルト挿通穴141aに挿通し、該天板部141の上面よりも上方にボルト軸部117aを突出させ、該ボルト軸部117aに座金121を内嵌挿させるとともに、上記ナット118を螺着させ、このナット118を下方に螺進させる。こうしたナット118の螺進操作により、やがて上記ナット118は上記天板部141の上面に当接するとともにターミナルボルト117は上方に移動し、上記ワイヤ105が緊張した状態となり、この係合部材4を構成する底板部142の下面は上記除湿フィルムを間に介して上記砕石層108に圧接した状態となる(図18参照)。なお、上記ターミナルボルト117のボルト軸部117aには、上記ナット118が不用意に緩むことを防止するために、更に緩み止めナット119を螺着させる。
そして、上記ターミナルボルト117のボルト軸部117aに対するナット118及び緩み止めナット119を螺着させる作業が終了すると、次いで、上記除湿フィルム上において、先に説明した特定の鉄筋107aや他の鉄筋107bをそれぞれ複数配筋し、該特定の鉄筋107aと他の鉄筋107bとが交差する箇所には、針金等の図示しない結束材により互いを結束する。そして、こうした配筋作業においては、上記係合部材104が配置された個所に配筋される上記特定の鉄筋107aは、上記係合部材104の正面板部143に形成された上記正面側鉄筋挿通穴143a,143bと背面板部144に形成された背面側鉄筋挿通穴144a,144bに挿通し、また、該係合部材104全体の内側に形成された空間には、上記他の鉄筋107bを挿通する。こうした作業により、上記係合部材104と特定の鉄筋107aや他の鉄筋107bとの関係は、図19又は図20に示す状態となる。
そして、こうした配筋作業が終了すると次いで、所定の位置に複数の図示しない型枠を固定するとともに、これらの型枠内であって上記各鉄筋107が全て隠れるまでコンクリートを充填・打設し、この充填されたコンクリートが硬化した後に上記それぞれの型枠を取り外す。なお、こうしたコンクリートの打設により、上記係合部材104内には、上記上側大径穴141b,141c、正面側大径穴143c及び背面側大径穴144cのそれぞれから該コンクリートが流入・充填されることから、該係合部材104内においてもコンクリートで固められ、該係合部材104内に位置する鉄筋107a,107bが湿気等のより錆びる等の不都合を防止することができる。以上の一連の作業により、上記住宅用基礎部102の下方に位置する地盤内に埋設されたスクリュー杭103と、上記住宅用基礎部102を構成するベース基礎部(布基礎部)102a内に埋設された係合部材104と、上記スクリュー杭103と上記係合部材104とを連結するワイヤ105とを備えた浮上防止構造(図9参照)が完成し、次いで、上記住宅用基礎部102を構成する起立部102b上に土台106を載置固定する等、これまで採用されている工程により住宅101を建設する。
したがって、上述した浮上防止構造を備えた耐水害住宅によれば、洪水や津波等の発生により上記住宅用基礎部102を含めた住宅101に対して浮上する力(浮力)が作用した場合であっても、上記浮上防止装置により現状を維持することができ、濁流などにより住宅用基礎部102を含めた住宅101全体が流されるなどの事態を有効に防止することができる。
特に、この実施の形態に係る浮上防止構造を備えた耐水害住宅では、上述したように、上記係合部材104には、上記特定の鉄筋107aが複数本挿通される正面側鉄筋挿通穴143a,143bや背面側鉄筋挿通穴144a,144bが形成され、また、該係合部材104全体の内側には、他の鉄筋107bが挿通される空間が形成され、さらに該接続部104内にはコンクリートが充填されることから、上記住宅用基礎部102を含めた住宅101全体に浮力が生じ、更にこうした浮力に伴って上記住宅用基礎部102のベース基礎部102aに割れが生じた場合であっても、依然として該係合部材104は上記鉄筋107に係合して、初期の状態を保持することができる。また、この実施の形態に係る浮上防止構造を備えた耐水害住宅では、該浮上防止構造を備えた耐水害住宅を構成する連結材として、例えば、図示しない鋼管や鉄筋等を用いることなく、上記ワイヤ105により構成したことから、地震により、或いは該地震に伴う地盤の液状化現象により、地盤と住宅用基礎部102との間に多少のずれが生じた場合であっても、こうしたずれを有効に解消・吸収することができ、上記地震等によりベース基礎部102aに割れが生じ、この結果、該住宅用基礎部102を含めた住宅101全体に浮力が作用した場合に、上記係合部材104がベース基礎部102aから脱落し、住宅101が浮上する等の事態を有効に防止することができる。
なお、上述した実施の形態に係る浮上防止構造を備えた耐水害住宅では、本発明を構成する埋設体として、上記スクリュー杭103を図示して説明したが、上記埋設体は、少なくとも地盤内に埋設され、住宅用基礎部102を含めた住宅101全体に浮力が作用した場合に、地盤との間で抵抗する機能(アンカー機能)を有するものであれば何れの形状や構造に係るものであっても良い。また、上記係合部材を上述したように略角パイプ状に成形することなく、少なくとも地盤に埋設された埋設体との間で連結材を介して連結・接続される機能を有するものであれば、例えば、平板状その他の形状に成形されたものであっても良い。また、上記ワイヤ105は、その下端に無端状の係止部105aが形成されたものであるが、上記係止部105aに代えて、該ワイヤ105の下端に図示しないリング状の係止部材が固定されているものであっても良い。
次に、本発明の他の実施の形態に係る浮上防止構造を備えた耐水害住宅について、それぞれ図面を参照しながら具体的に詳細する。なお、冒頭で説明した実施の形態に係る浮上防止構造を備えた耐水害住宅と同じ構成については、同じ符号を用いる。
この浮上防止構造を備えた耐水害住宅171は、図21に示すように、住宅が支持されている上記住宅用基礎部102(ベース基礎部102a)が施工される敷地の下方に位置する地盤(符号は省略する。)内に埋設されるコンクリート製のブロックからなる埋設体173と、上記ベース基礎部102aの上面に配置される係合部材174と、上記埋設体173内に埋設された引抜抵抗部材176と、上記係合部材174と上記埋設体173とを、上記引抜抵抗部材176を介して連結する(異径)鉄筋175とを備えている。
上記埋設体173は、本実施の形態においては直方体状に成形されてなるものであって、地盤内に埋設されるものであり、特に、図21中二点鎖線で示す水位を有する地下水が存在する場合には、少なくとも下端がその地下水の水位よりも下方に埋設されるものである。換言すれば、上記埋設体173は、この浮上防止構造を備えた耐水害住宅171を施工する際に最初に施工されるものである。そして、この埋設体173内の下方側中途部には、上記引抜抵抗部材176が配置されている。この引抜抵抗部材176は、上記埋設体173の略中央よりも下方に埋設されたものであって、図23に示すように、鉛直方向に長さを有し周面にはネジが螺刻された軸状抵抗体176aと、この軸状抵抗体176aに螺着された上側ナット176b及び下側ナット176cと、これら上側ナット176bと下側ナット176cとの間に配置・固定された板状抵抗体176dとから構成されている。この板状抵抗体176dは、上記軸状抵抗体176aの長さ方向とは直交する方向に長さ及び幅を備えた板体であって、その中央には上記軸状抵抗体176aが挿通された挿通穴176eが形成されている。
また、上記(異径)鉄筋175は、本発明を構成する連結材であって、図22に示すように、その上端には、ターミナルボルト177の下端が固定されている。このターミナルボルト177は、略中央から上端に亘ってボルト軸部177aが形成され、このボルト軸部177aには、ナット178及び緩み止めナット179が螺着され、該ナット178の下方には座金180が挿通されている。また、上記係合部材174は、中央にボルト挿通穴174aが形成された方形状の板体であって、該ボルト挿通穴174a内には、上記ターミナルボルト177が挿通されている。一方、上記(異径)鉄筋175の下端には、図21又は図23に示すように、連結軸181が固定され、この連結軸181には上記軸状抵抗体176aの上端側が固定されている。
そして、上記構成からなる浮上防止構造を備えた耐水害住宅171が、上記住宅用基礎102から上記地盤内に施行された住宅の浮上防止構造は、図21に示すように、上記係合部材174が上記ベース基礎部102aの上面に配置され、この係合部材174は、上記ターミナルボルト177を介して上記(異径)鉄筋175に連結されてなるとともに、この(異径)鉄筋175の下端は上記連結軸181及び軸状抵抗体176aを介して、地盤内に埋設された埋設体173に連結されている。
なお、図21に示す浮上防止構造を備えた耐水害住宅171の施工方法について、その工程順に簡単に説明すると、先ず、上記地盤を掘削し、所定の枠体を用いてセメントを打設し、該セメントが硬化する前段階において、図示しないパイプ状のロッドを該セメント内に圧入する。この際、上記ロッドの内部には、予め該ロッドの下端側から上記(異径)鉄筋175の先端側を挿通する。この(異径)鉄筋175の下端には、上記連結軸181、軸状抵抗体176a及び板状抵抗体176dを固定・連結させて置き、該ロッドの他端(下面)には板状抵抗体176dの上面を当接させておく。こうした状態で上記ロッドを圧入し、その後にロッドを硬化する前のセメント内から上方に引き抜くことにより、上記板状抵抗体176dからワイヤ175の中途部は、上記埋設体173内に埋設される。なお、上記埋設体173の配置位置(地盤内における埋設位置)は、上記住宅用基礎102の下方に地下水が存在する場合には、その地下水の水位よりも、上記埋設体173の下面が下方となる位置とする。そして、上記埋設体173が硬化すると、上記地盤上に砕石を施工して砕石層108を形成し、次いでこの砕石層108上に、上記図示しない防湿フィルムを敷設する。なお、上記砕石層108を形成する際には、上記(異径)鉄筋175の先端側(上端側)は、該砕石層108上に露出させておくとともに、上記防湿フィルムには、所定個所に図示しない開口を設けておき、この開口から上記(異径)鉄筋175の先端が外部に露出させておく。そして、上記防湿フィルム敷設作業が終了すると、次いで、上記除湿フィルム上において、複数の鉄筋107を配筋し、こうした配筋作業が終了すると次いで、所定の位置に複数の図示しない型枠を固定するとともに、これらの型枠内であって上記各鉄筋107が全て隠れるまでコンクリートを充填・打設し、この充填されたコンクリートが硬化した後に上記それぞれの型枠を取り外す。なお、こうしたコンクリートを打設する前段階においては、予め上記地盤面からボイド管183(図21参照)を立設させ、このボイド管183内に上記(異径)鉄筋175の上端に固定されたターミナルボルト177を挿通しておき、その上で上記砕石層108を形成し、その後に、コンクリートを打設することにより上記住宅用基礎部102を形成する。なお、このように住宅用基礎部102が形成された際(コンクリートが硬化した際)において、該住宅用基礎部102の上面から突出したボイド管183の一部は切除する。そして、上記ボイド管183から突出したターミナルボルト177に上記係合部材174を挿通し、次いで上記座金180、ナット178及び緩み止めナット179を挿通又は図示しないトルクレンチを使用して螺着させる。トルクレンチの使用による上記ナット178の螺進操作により、上記係合部材174の下面は、上記住宅用基礎部102の上面に圧接される。以上の一連の作業により、上記住宅用基礎部102の下方に位置する地盤内に埋設された埋設体173と、上記住宅用基礎部102の上面に配置された係合部材174と、上記(異径)鉄筋175とを備えた浮上防止構造(図21参照)が完成する。
したがって、上述した他の実施の形態に係る浮上防止構造を備えた耐水害住宅171によれば、洪水や津波等の発生により上記住宅用基礎部102を含めた住宅101に対して浮上する力(浮力)が作用した場合であっても、上記浮上防止装置により現状を維持することができ、濁流などにより住宅用基礎部102を含めた住宅101全体が流されるなどの事態を有効に防止することができる。特に、この他の実施の形態に係る浮上防止構造を備えた耐水害住宅171では、上記埋設体173の埋設位置に地下水が存在する等して、地盤が極めて脆弱である場合であっても、該埋設体173と地盤との摩擦抵抗と該埋設体の自重とにより、極めて安定した浮上防止機能を発揮することができる。
なお、上記他の実施の形態に係る浮上防止構造を備えた耐水害住宅171のように、ブロック状に成形された埋設体173を地盤内に埋設する場合においては、図24に示すように、引抜抵抗部材191を、外周に螺旋状の摩擦抵抗部191bが形成された軸状抵抗体191aと、この軸状抵抗体191aの上端側に形成された板状抵抗体191bとを備えているものであっても良い。すなわち、この例では、図25に示すように、上記(異径)鉄筋175の下端に連結軸181が固定され、この連結軸181の下端にボルト軸193の上端が固定され、このボルト軸193の下端側に、連結ナット194が螺着されており、上記板状抵抗体191bはこの連結ナット194の外周に内周が溶接されてなるものである。また、この連結ナット194の下端には、上記軸状抵抗体191aが螺着されている。この軸状抵抗体191aは、上述した通り、外周に螺旋状の摩擦抵抗部191cが形成されており、上端にはボルト部191dが形成され、このボルト部191dの外周に上記連結ナット194が螺着されている。なお、この軸状抵抗体191aの下端は、図24に示すように、直線状とされているものばかりでは無く、例えばUの字状に折曲された抵抗部を設けたり、或いは、該軸状抵抗体191aの下端側の外周にネジを螺刻してボルト部とし、このボルト部に上記板状抵抗体191bと同様の板状抵抗体を固定したりしたものであっても良い。
こうした構成からなる浮上防止構造を備えた耐水害住宅によれば、より一層埋設体173と係合部材174とを連結する上記(異径)鉄筋175が、該埋設体173から脱落する危険性は有効に解消することができる。
また、冒頭で説明した実施の形態に係る浮上防止構造を備えた耐水害住宅では、本発明を構成する係合部材が、上記住宅用基礎部102内に埋設されたものであり、地盤(符号は省略する。)内に埋設された埋設体であるスクリュー杭103と該係合部材とを連結材であるワイヤ105により連結したものであるが、このようにスクリュー杭103を埋設体として使用した場合であっても、図26に示す更に他の実施の形態に係る浮上防止構造を備えた耐水害住宅のように、係合部材197が住宅用基礎部102の上面に配置され、この係合部材197とスクリュー杭103とがワイヤ105により連結されてなるものであっても良い。なお、上記住宅用基礎部102内には、先に説明したボイド(スリーブ)183が埋設され、上記ワイヤ105の上端側は、このボイド(スリーブ)183内に挿通されている。
次に、上記床下流入防止構造について、図面を参照しながら詳細に説明する。この床下流入防止構造は、床下換気装置を構成要素とするものであることから、以下、この床下換気装置の各例について、それぞれ図面を参照しながら具体的に詳細に説明し、次いで、この床下換気装置を備えた床下流入防止構造を備えた耐水害住宅について説明する。
この床下換気装置201は、図27又は図28に示すように、貯水槽支持部材202と、この貯水槽支持部材202に背面側に支持・固定されてなる貯水槽203と、浮遊弁204とから構成されている。上記貯水槽支持部材202は、合成樹脂により、図29に示すように、左右方向(水平方向)に長さを有してなるものであり、内部には空気や水が流通する流通空間Aが形成された枠体である。すなわち、この貯水槽支持部材202は、図27又は図28に示す長方形状の天板部221と、この天板部221の左側から垂下してなる左側板部222(図27参照)、上記天板部221の右側から垂下してなり上記左側板部222に対向してなる右側板部223(図28参照)と、上記天板部221に対向してなる底板部224とを備えており、これら天板部221、左側板部222、右側板部223及び上記底板部224により閉塞された空間は、上記空気又は水が流通する流通空間Aである。なお、上記天板部221、左側板部222、右側板部223及び上記底板部224のそれぞれの外側面は、後述する基礎部211に形成された床下換気孔211aを形成する4つの孔形成面に対向する対向面である。そして、上記左側板部222と右側板部223とは、その正面側から背面側にかけて互いに接近するように僅かに傾斜している。また、上記底板部224は、風雨によりこの貯水槽支持部材202内に雨水が侵入した場合であっても自然に外部に排水されることを目的に、その正面側から背面側にかけて該上記天板部221に接近するように僅かに傾斜している。そして、上記天板部221の上面には、図27又は図28に示されるように、該天板部121の長さ方向に長さを有する複数の第1の上側リブ221aと、これら第1の上側リブ221aと直交する方向に長さを有する第2の上側リブ221bとがそれぞれ形成され、また、上記底板部224の下面には、図28に示すように、該底板部224の長さ方向に長さを有する複数の第1の下側リブ224aと、これら第1の下側リブ225aと直交する方向に長さを有する第2の下側リブ224bとがそれぞれ形成されている。
また、この貯水槽支持部材202の正面には、上下方向(鉛直方向)に長さを有する複数のルーバー205が回動可能に支持されており、これらのルーバー205は、上下両端が上記天板部221及び底板部224の正面側に回動可能に支持されてなるものである。なお、この貯水槽支持部材202には、上記各ルーバー205を開閉操作する操作部及び該操作部の操作により全てのルーバー205が開閉される開閉機構が形成されているが、これらの説明は省略する。
また、上記貯水槽支持部材202の背面には、図30に示すように、上記天板部221の上面よりも上方に突出してなりやや肉厚とされた上フランジ部221cと、上記左側板部222の側面よりも側方に突出してなりやや肉厚とされた左フランジ部222cと、上記右側板部223の側面よりも側方に突出してなりやや肉厚とされた右フランジ部223cと、上記底板部224の下面よりも下方に突出してなりやや肉厚とされた下フランジ部224cがそれぞれ形成されている。なお、これら上フランジ部221c、左フランジ部222c、右フランジ部223c及び下フランジ部224cは、この貯水槽支持部材202の内側に形成された上記流通空間Aを囲むように連続した状態で形成されたものである。また、上記貯水槽支持部材202の背面の左右両側には、上記天板部221の上面及び上記第1の上側リブ221aの上端よりも上方に起立した突片226,227がそれぞれ起立してなり、各突片226,227の中央には円形状の挿通穴226a,227aがそれぞれ形成されている。また、上記貯水槽支持部材202に形成された上記上フランジ部221cには、上記貯水槽203を固定するための固定ネジ206(図31参照)が螺着されるネジ穴221dが全部で4つ等間隔に形成されている。
また、上記上フランジ部221c、左フランジ部222c、右フランジ部223c及び下フランジ部224cの背面には、上記流通空間Aを囲むように、無端状の挿入板部207が上フランジ部221c、左フランジ部222c、右フランジ部223c及び下フランジ部224cの背面から後方に突設されている。なお、この無端状の挿入板部207は、後述する貯水槽本体231の正面に形成され止水材であるコーキング材が充填される無端状の止水材充填部208内に挿入される部位であり、上記貯水槽本体231が、後述する要領・操作により、上記貯水槽支持部材202に装着・固定されたされた際に、上記止水材充填部208内に充填された止水材が、該止水材充填部208内から一部が周囲に強制的にはみ出すように構成されている。また、上記貯水槽支持部材202の背面には、図30に示すように、上記天板部221の下面から底板部224の上面に亘って3つの支柱209がそれぞれ平行に設けられている。また、上記貯水槽支持部材202に形成された上記下フランジ部224cの背面の左右両側であって、上記無端状の挿入板部207が形成された位置よりも下方には、図31に示すように、背面に開口を有する凹部224fがそれぞれ形成され、これらの凹部224f内には、後述する貯水槽本体231に設けられた円弧状の回動ガイド部210がそれぞれ回動可能に支持される固定軸224g(図28に示すネジの軸部)がそれぞれ水平方向に長さを有した状態で固定されている。
なお、上記貯水槽支持部材202は、住宅の基礎部をコンクリートにより成形する際において、該基礎部に成形される床下換気孔の形成位置に、該基礎部の正面と背面を成形する各型枠に図示しない複数の固定具を使用することによって位置決めし、その上でコンクリートが打設され、該コンクリートが硬化することにより、図38に示すように、基礎部と一体化(固定)されるものである。すなわち、図38に示すように、上記貯水槽支持部材202の左右両側や下方には、所定の鉄筋212が配筋され、予め設計された床下換気孔が形成される位置に、該貯水槽支持部材202が固定されるとともに、この貯水槽支持部材202の内側の流通空間Aが外部空間と床下空間との間で空気や水を流通させる空間(床下換気孔)となる。上記貯水槽支持部材202の背面の左右両側に形成された各突片226,227は、上記各型枠にこの貯水槽支持部材202を図示しない複数の固定具により固定する際に使用される部位であり、上記コンクリートが打設された際には、図31に示すように、これら各突片226,227はコンクリート内に埋設される。
次に、上記貯水槽203について説明する。この貯水槽203は、図28又は図32に示すように、貯水槽本体231と、この貯水槽本体231の上部に固定される蓋体232と、上記貯水槽本体231内に収容される上記浮遊弁204とを備えている。上記貯水槽本体231及び上記蓋体232は、それぞれ合成樹脂により成形されたものであり、上記貯水槽本体231は、図32に示すように、左右方向に長さを有する底板部234と、この底板部234の後端から起立してなる背面側板部235と、上記底板部234の左端から起立してなる左側板部236と、上記底板部234の右端から起立してなり上記左側板部236に対向してなる右側板部237と、中央に略長方形状に成形され後述する蓋体232に形成された無端状の止水部材251の外周が挿入される開口238aが形成された天板部238と、を備えている。したがって、この貯水槽本体231の正面は、該貯水槽本体231内に、上記貯水槽支持部材202に形成された流通空間Aを通過した空気又は水が流入する流入空間Bとされている。そして、上記底板部234の正面側の上面は、上記貯水槽支持部材202を構成する底板部224の後端の上面と略同じ位置とされているとともに、該底板部234は、後述するように、この貯水槽本体231内に流入した水が、上記貯水槽支持部材202の流通空間Aを通り、最終的には基礎部211の外側に自然に流出するように、該貯水槽本体231の正面側から背面側にかけて高さが高くなるように徐々に傾斜している。また、上記左側板部236と右側板部237とは下端から上端側に亘って徐々に離間するように僅かに傾斜している。
そして、上記底板部234の上面には、図32に示すように、上端で浮遊弁204を支持する複数の支持用凸部としての凸条234a,234bがそれぞれ平行に形成されている。これら凸条234a,234bは、図36に示すように、上記底板部234の正面端よりもやや後方にその正面端を有してなるとともに、それぞれの高さは後方にしたがって徐々に低くされており、上記底板部234全体の傾斜角度と相俟って、該凸条234a,234bの上端は水平とされている。また、図33に示すように、上記底板部234の正面側中途部であって、上記凸条234a,234bの正面側端部から僅かに正面側の上面から上記天板部238の下面には、後述するように、水位の変化により昇降する上記浮遊弁204の正面をガイドするとともに、水位の低下に伴って上記浮遊弁204が、貯水槽203内から上記貯水槽支持部材202の内部を通って外部空間に排出されることを防止する左右のガイド板部(ガイド部材)241,242が互いに平行に設けられている。
また、上記貯水槽本体231の正面には、図33に示すように、上記底板部234の正面端から垂下した下フランジ部234cと、上記左側板部236の正面端から側方に突出した左フランジ部236cと、上記右側板部237の正面端から側方に突出した右フランジ部237cと、上記天板部238(後述する水平フランジ部238f)の正面端から上方に突出した上フランジ部238cとがそれぞれ形成され、これら下フランジ部234c、左フランジ部236c、右フランジ部237c及び上フランジ部238cとは、それぞれ上記流入空間B全体を囲むように連続した状態で成形されている。なお、上記上フランジ部238cは、上記下フランジ部234c、左フランジ部236c、右フランジ部237cの幅よりも長尺に成形され、該上フランジ部238cの上端側中途部には、前記貯水槽支持部材202を構成する上フランジ部221cに形成されたネジ穴221dにそれぞれ対応した位置に、上記各固定ネジ206が螺着される貯水槽側ネジ穴238dが全部で4つ等間隔に形成されている。
また、上記連続した下フランジ部234c、左フランジ部236c、右フランジ部237c及び上フランジ部238cの正面であって、上記流入空間Bに近接した位置には、止水材である図示しないコーキング材が充填される無端状の止水材充填部208が、上記各フランジ部(符号は省略する。)の正面よりも上記貯水槽支持部材202の背面側に突出した状態で形成されている。この止水材充填部208は、正面側に開口を有する凹条に成形されてなるものである。また、上記下フランジ部234cの下方の左右両側の正面には、前記それぞれの凹部225f内に挿入されるとともに、上記左右の固定軸224gに係合する円弧状の回動ガイド部210がそれぞれ形成されている。これら左右の円弧状の回動ガイド部210は、上記止水材充填部208が位置する部位よりもやや下方に形成されており、それらの先端は、図31又は図36に示すように、該止水材充填部208の正面よりもやや上記貯水槽支持部材202側に突出している。なお、上記各回動ガイド部210は、それぞれ背面側に上記固定軸224gが挿通される開口(符号は省略する。)が形成されている。
また、上記貯水槽本体231を構成する上記天板部238は、図34に示すように、全体の平面形状が略長方形状に成形され、内側には上記底板部234の面積よりもやや広い面積を有する本体側開口(符号は省略する。)が形成されている。また、この天板部238は、上記背面側板部235、左側板部236及び右側板部237の上端位置よりも側方(水平方向)に延出された水平フランジ部238fを備えている。そして、この水平フランジ部238fには、後述する蓋体232をこの貯水槽本体231に載置・固定する固定ネジ259(図27参照)が螺着されるネジ穴238gが全部で10個形成されている。
次に、上記貯水槽本体231に上記固定ネジ259により固定される蓋体232について説明する。この蓋体232は、図27又は図37に示すように、下面が上記貯水槽本体231に形成された上記水平フランジ部238fに載置され略長方形状に成形された天板部245と、図32に示すように、この天板部245の左端からやや垂下し上記貯水槽本体231に形成された水平フランジ部238fの端部に内側面が接触又は対向する左垂下部246と、天板部245の右端からやや垂下し上記水平フランジ部238fの端部に内側面が接触又は対向する右垂下部247と、天板部245の後端からやや垂下し上記水平フランジ部238fの端部に内側面が接触又は対向する図示しない後垂下部を備えている。また、図32に示すように、上記天板部245の内側には、長方形状の開閉用開口Cが形成されている。この開閉用開口Cは、上記水位の変化により昇降する上記浮遊弁204の面積よりも小さな面積とされた空間である。また、この実施の形態では、上記天板部245の下面には、内周面により上記開閉用開口Cのやや下方の空間を囲むとともに、外周面は、上記貯水槽本体231の天板部238に形成された本体側開口を形成する内側端部に嵌合されるゴム製の無端状の止水部材251が固定されている。
なお、この蓋体232を構成する上記天板部245には、図37に示すように、上記貯水槽本体231の天板部238に形成されたそれぞれのネジ穴238gに対応した位置に、ネジ挿通穴245gが形成されている。また、この蓋体232の天板部245の上面には、該天板部245の上面から起立してなるとともに、正面側から背面側に長さを有し、上記開閉用開口C上を跨ぐ複数の蓋側リブ245hが形成されている。また、上記浮遊弁204は、平面形状が長方形状に成形された板体であり、発泡スチレン等のように、水の比重よりも低い比重となされた素材により成形されたものである。
そして、上述した床下換気装置201を構成する上記貯水槽支持部材202は、先にも説明した通り、住宅の基礎部211をコンクリートにより成形する際において、該基礎部211に成形される床下換気孔211aの形成位置に、該基礎部211の正面と背面を成形する各型枠に図示しない複数の固定具を使用することによって位置決めし、その上でコンクリートが打設され、該コンクリートが硬化することにより、図38に示すように、基礎部211と一体化(固定)されるものである。また、上記基礎部211内であって上記貯水槽支持部材202の下方は左右両側には鉄筋212が配筋されている。そこで、以下、上記基礎部211に固定された貯水槽支持部材202に、上記貯水槽203を取り付け固定する方法について、その工程順に説明する。
図39は、上記基礎部211に貯水槽支持部材202が固定された状態と、貯水槽203の正面を上向きにした状態を示すものであり、この上向きとされた貯水槽203を構成する止水材充填部208内に止水材である図示しないコーキング材を充填する。このコーキング材は、上記止水材充填部108からはみ出る位に充填することが望ましい。そして、こうした止水材の充填作業が終了すると、次いで、図40に示すように、上記貯水槽本体231の正面の下端側両側に形成された上記円弧状の回動ガイド部210を、それぞれ上記貯水槽支持部材202の背面側に形成された凹部224f内に挿入するとともに、該各円弧状の回動ガイド部210を上記左右の固定軸224gに係合させ、該左右の固定軸224gを中心に、上記貯水槽203全体を回転させ(図40中、反時計回り方向に回転させ)、上記貯水槽本体231の正面に形成された下フランジ部234c、左フランジ部236c、右フランジ部237c及び上フランジ部238cの正面を、それぞれ上記貯水槽支持部材202の背面に形成された上フランジ部221c、左フランジ部222c、右フランジ部223c、下フランジ部224cの背面に当接させる。こうした貯水槽203の回転操作により、該貯水槽203を貯水槽支持部材202に対して正確な位置に移動させることができるとともに、こうした操作により、上記貯水槽支持部材202に形成された無端状の挿入板部207は、上記止水材充填部208内に挿入され、この結果、該止水材充填部208内に充填された止水材は該止水材充填部208内からはみ出される。また、このように貯水槽203を回転させることにより、該貯水槽203に形成された上フランジ部238cの正面は、上記貯水槽支持部材202を構成する上フランジ部221cに対向することとなる。そこで、上記上フランジ部238cの形成された4つのネジ穴238dから固定ネジ206をそれぞれ挿入するとともに、該上フランジ部221cに形成された各ネジ穴221dにそれぞれの固定ネジ206を螺着することにより、貯水槽支持部材202に対する貯水槽203の固定作業が終了する。そして、こうした貯水槽支持部材202に対して貯水槽203が固定されることにより、該貯水槽支持部材202の内側に形成された流通空間Aと、該貯水槽203の正面に形成された流入空間Bとは互いに連通した状態となる。
以下、上述した実施の形態に係る床下換気装置201が配置された床下流入防止構造を備えた耐水害住宅の作用効果を説明する。こうして基礎部211に配置・固定された床下換気装置201は、通常時においては、上記浮遊弁204は上記貯水槽本体231の底板234上に位置し、床下空間と外部空間とは、上記流通空間A及び上記流入空間B並びに及び貯水槽203の蓋体232に形成された開閉用開口Cを介して連通していることから、これらの構成により空気が流通する。一方、洪水等により水嵩が増し、上記貯水槽支持部材202に形成された流通空間Aを水が通過し、この水が、上記流入空間Bから貯水槽本体231内に流入すると、それまで底板部234上に載置されていた浮遊弁204は、水に浮かび水位の上昇に伴って徐々に上昇する(図42参照)。この際、この浮遊弁204は、上記左側板部236や右側板部237等の内側面にガイドされるとともに、上記左右のガイド板部241,242によりガイドされる結果、該浮遊弁204は上昇途中において傾斜する等して完全に上記開閉用開口209が閉塞されない事態が防止されている。そして、上記水位の上昇により、やがて該浮遊弁204の上面は、図43に示すように、上記止水部材251の下面に当接し、この結果上記開閉用開口Cは閉塞される。したがって、上記基礎部211の外側である外部空間の水嵩が増した場合であっても、床下空間に水が侵入することがない。なお、洪水等が治まり、上記貯水槽本体231内の水位が低下することにより、それまで上昇していた浮遊弁204は、再び上記初期位置に復帰する。
また、上記実施の形態に係る床下換気装置201では、貯水槽203を構成する底板部234の上面には、2つの支持用凸部としての凸条234a,234bが形成され、上記浮遊弁204は、これらの凸条234a,234bの上端で支持されていることから、上記貯水槽本体231内に流入した水は、先ず上記各凸条234a,234bの両側であって該浮遊弁204の下側に流入するように構成されていることから、勢い良く又は急激に貯水槽本体231内に水が流入した場合であっても、上記浮遊弁204により、必ず上記開閉用開口Cはその下側から閉塞される。
なお、上記床下換気装置201では、上記固定軸部224gを貯水槽支持部材202の背面側に形成する一方、上記貯水槽203の正面側に、上記各固定軸部224gに係合し支持される円弧状の回動ガイド部210が形成され、該貯水槽支持部材202を貯水槽203に固定する際には、先ず、上記各固定軸部224gに上記回動ガイド部210をそれぞれ係止させ、その上で、上記各固定軸224gを中心に該貯水槽203全体を回動操作することにより、貯水槽支持部材202の所定位置に貯水槽203を位置させることができるようにしたものであるところ、この発明は、上記各固定軸が上記貯水槽203に形成されてなる一方、上記貯水槽支持部材202に上記各固定軸に支持・係合され、上部に固定軸が挿通される開口が形成された円弧状の回動ガイド部が設けられたものであっても良い。また、上記床下換気装置201では、上記無端状の挿入板部207が貯水槽支持部材202の背面に形成され、上記コーキング材が充填される無端状の止水材充填部208が貯水槽203の正面に形成されているものを説明したが、止水材充填部が貯水槽支持部材202の背面に形成され、上記無端状の挿入板部が貯水槽203の正面に形成されたものであっても良い。
また、上記床下換気装置201では、上記貯水槽支持部材202は、住宅の基礎部211をコンクリートにより成形する際に該基礎部211に成形される床下換気孔の形成位置に位置決めされ、該基礎部211と一体化(固定)されるものであるが、上記貯水槽支持部材は、少なくとも貯水槽を支持するものであれば、上記基礎部211が成形された後に、該基礎部211に固定されるものであっても良い。例えば、図44又は図45に示す床下換気装置271が配置された床下流入防止構造を備えた耐水害住宅のように、正面形状が長方形状に成形され内側は、流通空間Aである床下換気孔211aが形成された基礎部211の内側面に固定される貯水槽支持部材272と、この貯水槽支持部材272に支持・固定される貯水槽273と、この貯水槽273内に収容された浮遊弁274を備えてなるものである。そして、上記貯水槽支持部材272は、上記床下換気孔211aを形成する4つの孔形成面211c,211d,211e,211fの内で下方に形成された孔形成面211fと略面一の上面を有する支持板部275と、この支持板部275の先端から折曲され正面は上記基礎部211の内側面に止水用ゴム板277を挟んで固定される固定板部276とから構成されている。上記支持部材275は、上記貯水槽273を上面で支持する部位であり、ボルト278の軸部が挿通される挿通穴275aが形成されている。また、上記固定板部276には、ボルト285の軸部が挿通される複数のボルト挿通穴276aが形成されている。また、上記止水用ゴム板277は、図44に示すように、中央に上記床下換気孔211aの正面形状や後述する貯水槽273の正面に形成された流入開口Bと同じ形状の開口277aが形成された板体である。そして、この止水用ゴム板277には、上記ボルト285の軸部が挿通される複数のボルト挿通穴277bが形成されている。なお、上記貯水槽支持部材272を基礎部211に固定する方法は、上記基礎部211の内側面の所定位置に、複数のアンカーナット286(図45参照)を打設し、これらのアンカーナット286に上記ボルト挿通穴276a及び開口277aに挿通したボルト285の軸部を螺着させる。
また、上記貯水槽273は、方形状に成形された底板部279と、この底板部279の左端から起立してなる左側板部280と、上記底板部279の右端から起立してなる右側板部281と、上記底板部279の後端から起立してなる背面側板部282と、上記底板部279に対向してなる天板部283とを備え、正面には、上記底板部279、背面側板部282、左側板部280、右側板部281及び天板部283により囲まれ、上記床下換気孔211aから流入した空気又は水が、この貯水槽273内に流入する流入空間B(図45参照)形成されている。また、この貯水槽273の正面には、上記流入空間Bを囲んでなるとともに、基端は上記底板部279、左側板部280、右側板部281及び天板部283の正面端とされてなる正面側フランジ部273aが形成され、この正面側フランジ部273aには、ボルト285の軸部が挿通される挿通穴273bが形成されている。
また、この貯水槽273の底板部279には、該底板部279の左端と右端及び後端のそれぞれから側方又は後方に延出された下側フランジ部273dが形成され、この下側フランジ部273dには、これらを、上記貯水槽支持部材272を構成する支持板部275に固定するボルト278の軸部が挿通される挿通穴273eが形成されている。また、上記天板部283には、開閉用開口Cが形成されている。また、上記浮遊弁274は、発泡スチレン等のように比重が1以下の素材により平面形状が長方形状に成形された板体であり、上記開閉用開口Cの面積よりも広い面積を有するものである。なお、この浮遊弁274の長さは、上記止水用ゴム板277に形成された開口277aの長さよりも長尺となされている。したがって、後述する水位が低下した際に、この浮遊弁274が水に流れて外部に排出されない。
したがって、上述した床下換気装置271が配置された床下流入防止構造を備えた耐水害住宅による場合であっても、上記床下換気装置201が配置された床下流入防止構造を備えた耐水害住宅と同じように、上記床下換気孔211aから貯水槽273内に水が流入し、その水位の上昇により浮上した上記浮遊弁274により、上記開閉用開口Cが下側から閉塞され、この結果、床下空間内への水の侵入(床下浸水)を防止することができる。特に、上述した床下換気装置271によれば、既設の住宅に形成された基礎部211に固定することができる。
さらに、本発明に係る床下流入防止構造を備えた耐水害住宅は、上記床下換気装置201,271を用いたものとは異なり、図46又は図47に示す床下換気装置291を用いたものであっても良い。この床下換気装置291は、床下換気孔211aが形成された既設の基礎部211に固定される貯水槽支持部材292と、この貯水槽支持部材292に支持固定される貯水槽293と、この貯水槽293内に収容される浮遊弁294とから構成されている。上記貯水槽支持部材292は、上記基礎部211の内側面に間に図示しないコーキング材又は止水板等を介して固定される平板部292aと、この平板部292aの中央に形成された開口(符号は省略する。)と、この平板部292aの正面に形成された前方管部292bと、上記平板部292aの背面に形成された後方管部292cとを備えている。上記前方管部292bと後方管部292cとは互いに連通してなるとともに、該前方管部292bの外形形状は、上記床下換気孔211aの形状と略同じ形状に成形され、該前方管部292bは、該床下換気孔211a内に上記基礎部211の内側から挿入される部位である。換言すれば、上記貯水槽支持部材292を構成する前方管部292bの各外側面は、上記基礎部211の床下換気孔211aを形成する4つの孔形成面に対向する対向面である。なお、この前方管部292bの対向面と床下換気孔211aを形成する4つの孔形成面との間は、該床下換気孔211a内に挿入された際、これらの間には図示しないコーキング材が充填される部位である。また、上記後方管部292cは、後述する貯水槽293の正面側に形成された流入空間B内に挿入され、該貯水槽293を支持する部位である。そして、上記平板部295には、該貯水槽支持部材292を上記基礎部211の内側面に固定するボルト(符号は省略する。)が挿通される複数のボルト挿通穴292dが、上記前方管部292bや後方管部292cの上下両側及び左右両側に形成されている。これらのボルトは、上記各ボルト挿通穴292dの形成個所に対応した位置に、基礎部211の内側面に打設されたアンカーナット(符号は省略する。)に螺着されるものである。すなわち、上記貯水槽支持部材292全体は、上記アンカーナットに螺着される上記ボルトにより上記基礎部211に固定される。
そして、上記貯水槽293は、方形状に成形された底板部293aと、この底板部293aの後端から起立してなる背面側板部293bと、上記底板部293aの左端から起立してなる左側板部293cと、上記底板部293aの右端から起立してなる右側板部293dと、上記底板部293aに対向してなる天板部293eとを備え、正面には、上記底板部293a、背面側板部293b、左側板部293c、右側板部293d及び天板部293eにより囲まれ、上記床下換気孔211aから流入した空気又は水が、この貯水槽293内に流入する流入空間Bが形成されている。なお、この流入空間Bは、上記後方管部292cが嵌入される空間である。また、この貯水槽293では、該貯水槽293の正面に、上記流入空間Bの入り口を周囲から囲むようにフランジ部293fが形成されている。このフランジ部293fは、上記平板部292aの背面にその正面全体が当接する部位であり、該フランジ部293fには、上記ボルトが挿通される挿通穴293gが形成されている。また、上記天板部293eには、開閉用開口Cが形成されている。また、上記浮遊弁294は、発泡スチレン等のように比重が1以下の素材により平面形状が長方形状に成形された板体であり、上記開閉用開口Cの面積よりも広い面積を有する。
そして、上記床下換気装置291を用いた床下流入防止構造を備えた耐水害住宅による場合であっても、上記床下換気装置201,281を用いた床下流入防止構造を備えた耐水害住宅と同じように、上記流通空間Aである床下換気孔211aから流入し上記流入空間Bから貯水槽293内に水が流入すると、その水位の上昇により浮上した上記浮遊弁294により、上記開閉用開口Cが下側から閉塞され、この結果、床下空間内への水の侵入(床下浸水)を防止することができる。
そして、上述した各床下流入防止構造を備えた耐水害住宅によれば、台風や集中豪雨等により洪水が発生し、上記基礎部211の外側(外部空間)における水位が上昇して、上記基礎部211に形成された床下換気孔211aやその内側から水が流入した場合であっても、この水は上記浮遊弁204,274,294により上記開閉用開口Cが下側から閉塞され、該住宅の床下空間に侵入することが防止され、床下浸水となることを有効に防止することができる。また、こうした洪水等が発生しない通常時においては、上記床下空間と外部空間とは、上記流通空間A、流入空間B並びに上記開閉用開口Cをそれぞれ介して、空気が流通することから、上記床下換気孔211aによる換気機能や除湿機能が減殺されることなく、これらの機能を有効に発揮することができる。特に、上記開閉用開口Cが設けられた貯水槽203,283,293は、何れも上記基礎部211の内側面からやや離間した部位(住宅の床下)に位置してなることから、上記開閉用開口Cの面積をどのように設計するかは、上記床下換気孔211aの形状や大きさには一切影響されることなく自由に設計することができ、より一層床下換気孔211aによる換気機能や除湿機能が減殺されることがない。
次に、上記室外機用架台の支持構造について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この室外機用架台の支持構造は、以下に説明する室外機用架台301を備えてなるものである。そこで、以下、この室外機用架台301について図面を参照しながら詳細に説明する。
この室外機用架台301は、図示しない室外機を支持・固定するものであり、洪水等の予想される被害高さにも因るが、その上端の高さは地表から、例えば0.5〜5.0mとするのが好ましい。また、この室外機用架台301は、図48に示すように、左右方向に長さを有する長方形状の枠体302と、図49に示すように、この枠体302の正面の左側に形成された左前角部に上端が固定された左前支柱303と、図50又は図51に示すように、上記枠体302の正面の右側に形成された右前角部に上端が固定された右前支柱304と、図上記枠体302の背面の左側に形成された左後角部に上端が固定された左後支柱305と、上記枠体302の背面の右側に形成された右後角部302dに上端が固定された右後支柱306と、を備えている。
そして、上記枠体302は、図48に示すように、それぞれL字状に成形された金属板であって正面に位置する正面側トップバー321と、この正面側トップバー321と同一形状に成形され該正面側トップバー321と平行となされた背面側トップバー322と、前端は上記正面側トップバー321の左端に固定され後端は上記背面側トップバー322に固定された左側トップバー323と、この左側トップバー323と同一形状に成形され該左側トップバー323と平行となされ右側トップバー324とから構成されている。そして、上記正面側トップバー321の左側中途部と右側中途部には、それぞれ該正面側トップバー321の長さ方向と同じ方向に長さを有する第1の長孔321aと第2の長孔321bとがそれぞれ形成されている。また、上記背面側トップバー322の左側中途部と右側中途部には、それぞれ該背面側トップバー322の長さ方向と同じ方向に長さを有する第3の長孔322aと第4の長孔322bとがそれぞれ形成されている。
そして、上記枠体302上には、図48又は図49に示すように、左ホールド部材308と、この左ホールド部材308と平行に固定される右ホールド部材309とがそれぞれ配置されている。これら左ホールド部材308と右ホールド部材309とは、それぞれ後述する室外機の脚部を支持・固定するものであり、上記左側トップバー323や右側トップバー324の長さよりもやや長尺に成形されている。そして、上記左ホールド部材308は、天板部381と、この天板部381の左端から折曲された左側板部382と、正面側板部383と、この正面板部383と対向する背面側板部384(図51参照)と、上記正面側板部383の下端から折曲され下面は上記正面側トップバー321の上面に載置される図示しない正面側底板部と、上記背面側板部384の下端から折曲され下面は上記背面側トップバー322の上面に載置される背面側底板部386と、を備えている。そして、図48に示すように、上記天板部381の正面側中途部には第5の長孔381aが形成され、該天板部381の背面側中途部には、第6の長孔381bが形成されている。すなわち、上記第5の長孔381aと上記第1の長孔321aとは互いに直交する方向に長さを有し、また、第6の長孔381bと上記第2の長孔321bとは互いに直交方向に長さを有している。
また、上記右ホールド部材309は、図48に示す天板部391と、この天板部391の右端から折曲された右側板部392と、正面側板部393と、この正面板部393と対向する背面側板部394と、上記正面側板部393の下端から折曲され下面は上記正面側トップバー321の上面に載置される図示しない正面側底板部と、上記背面側板部394の下端から折曲され下面は上記背面側トップバー322の上面に載置される背面側底板部396(図51参照)と、を備えている。そして、上記天板部391の正面側中途部には、第7の長孔391aが形成され、該天板部391の背面側中途部には、第8の長孔391bが形成されている。すなわち、上記第7の長孔391aと上記第3の長孔322aとは互いに直交する方向に長さを有し、また、第8の長孔391bと上記第4の長孔322bとは互いに直交する方向に長さを有している。なお、上記正面側トップバー321及び背面側トップバー322は、それぞれ本発明を構成する支持部である。したがって、上記支持部である上記正面側トップバー321及び背面側トップバー322は、住宅の壁面に向かって左右方向に移動可能とされてなるとともに、上記第5の長孔381a、第6の長孔381b、第7の長孔391a及び第8の長孔391bにより、該正面側トップバー321及び背面側トップバー322に支持される室外機の固定位置は、この耐水害住宅に向いて左右両側及びこの室外機用架台301の正面側及び背面側の任意の位置にて固定することができる。
また、上記左前支柱303は、図49に示すように、上記枠体302の正面の左側に形成された左前角部に上端が固定され垂直方向に長さを有する左垂直部303aと、この左垂直部303aの上端側中途部から下方に亘って徐々に後方(住宅の壁面方向)に接近するように傾斜してなる左傾斜部303bと、この左傾斜部303bの下端から後方に折曲され上記左側トップバー323と平行となされた図示しない左下水平部とを備えている。また、図50に示すように、上記右前支柱304は、上記枠体302の正面の右側に形成された右前角部に上端が固定され垂直方向に長さを有する右垂直部304aと、この右垂直部304aの上端側中途部から下方に亘って徐々に後方(住宅の壁面方向)に接近するように傾斜してなる右傾斜部304bと、この右傾斜部304bの下端から後方に折曲され上記右側トップバー324と平行となされた右下水平部304cとを備えている。そして、図49に示すように、上記左前支柱303と右前支柱304とは、それぞれ図示しないボルトとナットにより、第1ないし第3のフロントバー311,312,313により互いに連結されている。なお、上記第1のフロントバー311は、左端が上記左前支柱303に形成された左傾斜部303bの上端に固定され、右端は上記右前支柱304に形成された右傾斜部304bの上端に固定されたものであり、上記第2のフロントバー312は、左端が上記左傾斜部303bの中途部に固定され、右端は上記右傾斜部304bの中途部に固定されたものである。また、上記第3のフロントバー313は、左端が上記左傾斜部303bの下端に固定され、右端は上記右傾斜部304bの下端に固定されたものである。
また、上記左後支柱305と右後支柱306とは、図51に示すように、それぞれ平面形状がL字状に成形されてなるものであり、この室外機用架台301が固定される耐水害住宅の壁面に対向する対向板部305a,306aと、この対向板部305a,306aの左端又は右端から起立し互いに対向してなる起立板部305b,306bとから構成されている。なお、上記各起立板部305b,306bには、ボルトの軸部が挿通される複数のボルト挿通穴(符号は省略する。)が穿設されている。なお、上記左後支柱305を構成する起立板部305bの下端側には、上記左前支柱303に形成された図示しない左下水平部の先端が図示しないボルト及びナットにより固定され、また、上記右後支柱306を構成する起立板部306bの下端側には、上記右前支柱304に形成された右下水平部304cの先端が図示しないボルト及びナットにより固定されている。また、上記左後支柱305と右後支柱306とは、それぞれの両端が上記対向板部305a,306aの背面に図示しないボルト及びナットにより固定され、中途部において互いに交差してなるクロスバー315,316により連結されている。
また、上記左後支柱305の起立板部305bの下端側は、後述する工程又は作業により、図示しないボルトとナットにより、この室外機用架台301を耐水害住宅の基礎部に連結・固定する左ブラケット318が固定される部位であり、上記右後支柱306の起立板部306bの下端側は、後述する工程又は作業により、図示しないボルトとナットにより、この室外機用架台301を住宅の基礎部に連結・固定する右ブラケット319が固定される部位である。これら左ブラケット318及び右ブラケット319は、それぞれ上記左後支柱305の起立板部305b又は右後支柱306の起立板部306bに固定される架台側固定板部318a,319aと、この架台側固定板部318a,319aの後端から右側又は左側に折曲され背面は住宅の基礎部に固定される基礎側固定板部318b,319bとから構成されている。なお、上記架台側固定板部318a,319a及び基礎側固定板部318b,319bのそれぞれには、上記左後支柱305の起立板部305b又は右後支柱306の起立板部306bと左ブラケット318又は右ブラケット319とを固定し、又は該左ブラケット318又は右ブラケット319と住宅の基礎部とを固定する図示しないボルトの軸部が挿通される挿通穴(符号は省略する。)が穿設されている。すなわち、上記実施の形態に係る室外機用架台301は、上記左ブラケット318及び右ブラケット319によりこの耐水害住宅の基礎部に支持・固定されている。
したがって、上記室外機用架台301による室外機用架台の支持構造によれば、洪水や津波等が発生した場合には、室外機が水没することを防止することができるばかりではなく、その濁流によって、室外機自体が架台等と共に流されてしまい、以後全く使用することができないと言う事態を有効に防止することができ、さらには、寒冷地等における積雪により、雪に埋まってしまうことを防止することができ、更に、該寒冷地における地盤の凍結により地表が膨出して架台全体が傾倒する自体を防止することができる。なお、この室外機用架台は、上記耐水害住宅の基礎部に固定されたものであって、該耐水害住宅の外壁に固定したものではないことから、室外機の駆動に伴う微振動が室内に響き、これが不快音となる事態も防止することができる。
次に、ドア用建具の水密構造について、図面を参照しながら詳細に説明する。このドア用建具の水密構造は、以下に説明するドア用建具に適用されてなるものである。そこで、以下、このドア用建具ついて、図面を参照しながら詳細に説明する。
このドア用建具401は、図52又は図53に示すように、上記玄関に配置される枠体402と、この枠体402には、複数の蝶番403を介して回動可能に連結されたドア本体404と、を備えたものである。
上記枠体402は、図示しない住宅に平行に固定された上枠421と、この上枠421の下方であって該上枠421に平行に固定された下枠422と、上端側の右側は上記上枠421の左端に固定され下端側の右側は上記下枠422の左端に固定され、垂直方向に長さを有する左枠423と、上端側の左側は上記上枠421の右端に固定され下端側の左側は上記下枠422の右端に固定され、上記左枠423に平行に固定された右枠424とから構成されている。すなわち、このドア用建具401は、上記上枠421、下枠422、左枠423及び右枠424からなる上記枠体402を備えてなるとともに、該枠体402の内側には開口(符号は省略する。)が形成され、この開口は、上記複数の蝶番403を介して該枠体402に連結されたドア本体404により開閉されるように構成されている。上記上枠421、下枠422、左枠423及び右枠424は、それぞれアルミニウム又は硬質塩化ビニル系樹脂を素材としてなるものであって、図54又は図55に示すように、それぞれ中空状に成形されている。
そして、上記上枠421は、図54中上側に示すように、略直方体状に成形されてなるものであり、下面は上記ドア本体404の上面に対向する対向面421aとされ、この対向面421aの室内側(図54中右側)には、該対向面421aから垂下してなる対向板部421bが形成されている。この対向板部421bは、上記ドア本体404の上端側背面に対向してなる部位である。そして、この対向板部421bの正面であって上記対向面421aよりもやや下方には、水密材嵌合用凹溝421cが形成されている。この水密材嵌合用凹溝421cは、上記対向板部421bの正面(室外側に位置する面)から室外側に起立した一方の起立板部421dと、該対向板部421bの正面から室外側に起立し上記一方の起立板部421dと対称形状に成形された他方の起立板部421eと、上記一方の起立板部421dの先端から上記上枠421から離間する方向に形成された一方の折曲板部421fと、上記他方の起立板部421eの先端から上記一方の折曲板部421fの先端に接近する方向に形成された他方の折曲板部421gと、を有し、上記一方の起立板部421dと他方の起立板部421eとの間の間隔よりも上記一方の折曲板部421fの先端と他方の折曲板部421gの先端との間隔が狭いものとされている。なお、上記水密材嵌合用凹溝421c内には、液状のシーリング材406が充填されている。
また、上記下枠422は、図54中下側に示すように、略直方体状に成形されてなるものであり、上面は上記ドア本体404の下面に対向する対向面422aが形成され、この対向面422aの室内側(図54中右側)には、該対向面422aから上方に起立してなる対向板部422bが形成されている。この対向板部422bは、上記ドア本体404の下端側背面に対向してなる部位である。そして、この対向板部422bの正面であって上記対向面422aよりもやや上方には、水密材嵌合用凹溝422cが形成されている。この水密材嵌合用凹溝422cは、上記対向板部422bの正面(室外側に位置する面)から室外側に起立した一方の起立板部422dと、該対向板部422bの正面から室外側に起立し上記一方の起立板部422dと対称形状に成形された他方の起立板部422eと、上記一方の起立板部422dの先端から上記下枠422から離間する方向に形成された一方の折曲板部422fと、上記他方の起立板部422eの先端から上記一方の折曲板部422fの先端に接近する方向に形成された他方の折曲板部422gと、を有し、上記一方の起立板部422dと他方の起立板部422eとの間の間隔よりも上記一方の折曲板部422fの先端と他方の折曲板部422gの先端との間隔が狭いものとされている。なお、上記水密材嵌合用凹溝422c内には、液状のシーリング材406が充填されている。
また、上記左枠423は、図55中右側に示すように、略直方体状に成形されてなるものであり、右側面は上記ドア本体404の左側面に対向する対向面423aが形成され、この対向面423aの室内側(図55中下側)には、該対向面423aから右側に起立してなる対向板部423bが形成されている。この対向板部423bは、上記ドア本体404の左端側背面に対向してなる部位である。そして、この対向板部423bの正面であって上記対向面423aよりもやや右側には、水密材嵌合用凹溝423cが形成されている。この水密材嵌合用凹溝423cは、上記対向板部423bの正面(室外側に位置する面)の右側から正面側に起立した一方の起立板部423dと、該対向板部423bの正面から室外側に起立し上記一方の起立板部423dと対称形状に成形された他方の起立板部423eと、上記一方の起立板部423dの先端から上記左枠423から離間する方向に形成された一方の折曲板部423fと、上記他方の起立板部423eの先端から上記一方の折曲板部423fの先端に接近する方向に形成された他方の折曲板部423gと、を有し、上記一方の起立板部423dと他方の起立板部423eとの間の間隔よりも上記一方の折曲板部423fの先端と他方の折曲板部423gの先端との間隔が狭いものとされている。なお、上記水密材嵌合用凹溝423c内には、液状のシーリング材406が充填されている。
また、上記右枠424は、図55中左側に示すように、略直方体状に成形されてなるものであり、左側面は上記ドア本体404の右側面に対向する対向面424aが形成され、この対向面424aの室内側(図55中下側)には、該対向面424aから左側に起立してなる対向板部424bが形成されている。この対向板部424bは、上記ドア本体404の右端側背面に対向してなる部位である。そして、この対向板部424bの正面であって上記対向面424aよりもやや左側には、水密材嵌合用凹溝424cが形成されている。この水密材嵌合用凹溝424cは、上記対向板部424bの正面(室外側に位置する面)の左側から正面側に起立した一方の起立板部424dと、該対向板部424bの正面から室外側に起立し上記一方の起立板部424dと対称形状に成形された他方の起立板部424eと、上記一方の起立板部424dの先端から上記右枠424から離間する方向に形成された一方の折曲板部424fと、上記他方の起立板部424eの先端から上記一方の折曲板部424fの先端に接近する方向に形成された他方の折曲板部424gと、を有し、上記一方の起立板部424dと他方の起立板部424eとの間の間隔よりも上記一方の折曲板部424fの先端と他方の折曲板部424gの先端との間隔が狭いものとされている。なお、上記水密材嵌合用凹溝424c内には、液状のシーリング材406が充填されている。なお、上記上枠421に形成された水密材嵌合用凹溝421c内、上記下枠422に形成された水密材嵌合用凹溝422c内、上記左枠423に形成された水密材嵌合用凹溝423c内及び上記右枠424に形成された水密材嵌合用凹溝424cは、それぞれ連通している。
そして、上記連通した上記水密材嵌合用凹溝421c,422c,423c,424c内には、図54又は図55に示すように、単一の水密材405が装着されている。すなわち、上記水密材嵌合用凹溝421c,422c,423c,424c内には、単一の水密材405の一部が装着されている。そして、この水密材405は、ゴム又は可撓性を有する合成樹脂により一体成形されてなるものであり、その両端は互い溶着されている。そして、この水密材405は、図56において上記右枠424に形成された部位を拡大して示すように、上記水密材嵌合用凹溝424cの幅よりもやや長尺な幅寸法に成形された底板部451と、この底板部451の下面に形成された脚部452と、上記底板部451の一側から室外方向に起立してなる一方の側板部453と、上記底板部451の他側から起立してなる他方の側板部454と、上記一方の側板部453の中途部から傾斜し先端は上記他方の側板部454の中途部に連続してなる仕切り板部455と、上記他方の側板部454の中途部(上記仕切り板部455の先端位置よりもやや室外側の部位)から徐々に上記対向面424aに接近するように傾斜してなる圧接板部456と、基端は上記傾斜した仕切り板部455の外側面に連続し先端は、上記圧接板部456の先端側中途部の裏面に連続してなる上側板部457と、から構成されている。そして、上記脚部452は、上記底板部451の中央に基端を有し、上記一方の折曲板部424fの先端と他方の折曲板部424gの先端との間に挿入される挿入板部452aと、この挿入板部452aの先端に形成され上記水密材嵌合用凹溝424c内に圧入されるとともに上記対向板部424bの幅方向に幅を有する圧入板部452bと、から構成されている。
なお、上記水密材405を構成する上記底板部451と、上記一方の側板部453と、上記他方の側板部454と、上記仕切り板部455とによって囲まれた部位は、第1の中空部Xであり、上記仕切り板部455と、上記圧接板部456と、上記上側板部457とによって囲まれた部位は、第2の中空部Yである。そして、これら第1及び第2の中空部X,Yの内部は、上述したように、上記水密材405の両端は互いに溶着されていることから、それぞれ密閉空間とされている。また、上記圧接板部456は、後述するように、ドア本体404により上記枠体402の開口が閉塞される際においては、該ドア本体404の背面の外周側又は角部近傍が最初に接触・当接する部位であり、上記上側板部(側板部)457は、枠体402の開口が閉塞されて行く過程において、略くの字状に折曲される部位である。
また、上記ドア本体404は、図52又は図53に示すように、上下方向に長さを有するとともに上記枠体402に形成された開口を閉塞するものであって、その正面の左側中途部には、第1の把手(ドアノブ)407(図52参照)が固定され、またその背面には、第2の把手(ドアノブ)408が固定され、これら第1及び第2の把手407,408の上側には第1の錠409が、また下側には第2の錠410がそれぞれ固定されている。また、上記各蝶番403は、図55に示すように、上記右枠424の対向面424aに複数の皿ネジ412により固定された方形状の枠側羽根板431と、この枠側羽根板431の基端に固定された下側円筒部432(図52参照)と、この下側円筒部432の内部に下側が挿入固定され該下側円筒部432から上方に突出してなる固定軸433と、上記ドア本体404の右側面に複数の皿ネジ412により固定された方形状のドア側羽根板434(図55参照)と、このドア側羽根板434の基端に固定され上記固定軸433が下側から内部に挿通され下端は上記下側円筒部432の上面に支持された上側円筒管部435と、から構成されている。したがって、上記ドア本体404は、上記第1又は第2の把手407,408を把持し、上記固定軸433を中心に回動操作することができ、上記枠体402の内側に形成された開口は、上記ドア本体404により閉塞される。
そして、この耐水害住宅に配置された上記ドア用建具401によれば、上記開口が開放されている状態から上記ドア本体404を回動操作し、上記開口を閉塞する際においては、先ず、このドア本体404の背面側の周囲であって上記各蝶番403に近い部位から、徐々に上記水密材405を構成する圧接板部456に接触・当接するとともに、さらにドア本体404を回動操作することにより、上記圧接板部456を含めて水密材405全体の圧縮が開始される。この際、上記ドア本体404は、先ず傾斜した上記圧接板部456の基端側に当接し、その当接した部位から変形が開始され、その後に該圧接板部456が徐々に上記仕切り板部455に近づくように変形させられ、上記第2の中空部Yは徐々に圧縮される。こうした第2の中空部Yの圧縮過程では、該第2の中空部Yの内部は密閉されているとともに、上記圧接板部456は図56に示すように傾斜していることから、上記上側板部457は、図56に示す状態から徐々にその中央部付近で略くの字状に折曲され、上記第2の中空部Yは、その断面形状が略菱形状に変形されながら圧縮される。そして、さらに上記水密材405が圧縮されると、上記第2の中空部Y及び第1の中空部Xの双方が圧縮され、やがて上記ドア本体404により、上記開口が完全に閉塞されると、図54又は図55に示すように、該ドア本体404の背面の一部と上記枠体402に形成された全ての対向板部421b,422b,423b,424bとの間に上記水密材405が圧縮された状態で位置し、且つ、この圧縮された水密材405は、上記第1及び第2の中空部X,Yの各弾性力により、上記圧接板部456の正面がドア本体404の裏面を押圧した状態とされる。
したがって、図54又は図55に示す状態(ドア本体404により枠体402の開口が完全に閉塞された状態)において、洪水や津波等の発生により、この耐水害住宅の外側における水位が上昇して、玄関の高さを超えた場合においては、上記枠体402を構成する下枠422に配置された上記水密材405や、上記左枠423及び右枠424に配置された上記水密材405により、該下枠422や左枠423及び右枠424とドア本体404との間の僅かな隙間から耐水害住宅内に水が流入することはない。図57は、室外側の水Wの水位が、上記下枠422よりも上方に至った際における水Wの侵入状態を示すものである。この図57からも明らかなように、上記下枠422の対向面422aとドア本体404の下面との間に水は侵入するものの、その水Wは上記水密材405により完全に止水される。そして、こうした図57に示す状態からさらに水位が上昇し或いは濁流等により、大きな水圧がこのドア用建具401に作用した場合であっても、上記水密材405を構成する上側板部457がその水圧により変形することはなく、依然として僅かな隙間から住宅内に水が流入することなくその水密性を維持することができる。さらに、このドア用建具401によるドア用建具の水密構造を備えた耐水害住宅によれば、上記水密材405が圧入された水密材嵌合用凹溝421c,422c,423c,424c内にはそれぞれシーリング材406が充填されていることから、上記ドア本体404が長期間に亘って繰り返し開閉操作されたり、上記水密材405が劣化したりする場合であっても、上記水圧によって、該水密材嵌合用凹溝421c,422c,423c,424c内を水が通過する危険性も有効に解消することができる。
なお、上記ドア用建具401においては、水密材嵌合用凹溝421c,422c,423c,424c内にはそれぞれシーリング材406が充填されたものを説明したが、例えば、図58に示す構成とし、上記シーリング材406を構成要素としないものであっても良い。
このドア用建具(符号は省略する。)を、例えば上記下枠422を拡大して示す図58を参照しながら説明する。このドア用建具は、上記水密材405を構成する底板部451の幅を、上記対向板部422bの幅方向に沿って上記対向面422aに先端が当接するまで延長する(以下、この延長された部位を延長板部451aと言う。)とともに、この延長板部451aの室内側の面と対向板部422bとの間には、上記水密材嵌合用凹溝422cの高さに略等しい水密板471が配置されたものである。上記水密板471は、発泡樹脂からなり可撓性及び弾性を有してなる板体であり、一方の面には上記起立板部422bの正面に接着される接着剤が塗布され、他方の面には上記延長板部451aの室内側の面に接着される接着剤が塗布されてなるものである。言うまでもなく、上記構成は上記下枠422以外に、上記枠体402を構成する上枠421、左枠423及び右枠424にも同じ構成とされている。
したがって、上述した構成に係るドア用建具の水密構造を備えた耐水害住宅によれば、図59に示すように、上記下枠422の対向面422aとドア本体404の下面との間に水は侵入するものの、その水Wは上記水密材405により完全に止水される。特に、上記高い水圧が生じた場合であっても、上記延長板部451aと上記水密板471とにより、上記水密材嵌合用凹溝422d内に水Wが流入する危険性はない。したがって、こうした構成に係るドア用建具の水密構造を備えた耐水害住宅によれば、上述したシーリング材406が水密材嵌合用凹溝(符号は省略する。)内に充填されていなくても、水Wが該水密材嵌合用凹溝を通過して(上記水密材405の脚部452の下から水が回り込んで)室内側に漏出することがなく、上記シーリング材406を水密材嵌合用凹溝内に充填する作業も不要となる。
なお、上記ドア用建具の水密構造を備えた耐水害住宅は、上記水密材嵌合用凹溝421c,422c,423c,424c内に単一の水密材405が装着されているものを説明したが、本発明は、上記水密材嵌合用凹溝421c,422c,423c,424cのそれぞれに1つの水密材(符号は省略する。)が装着され、これらの各水密材は、互いに端部において互いに接着され、上記第1の中空部X及び第2の中空部Yが密閉空間とされたものであっても良い。また、上記ドア用建具の水密構造を備えた耐水害住宅は、玄関のドアに本発明を適用したものであるが、本発明は玄関に限定されるものではなく、住宅の勝手口その他のドア用建材に適用されたものであっても良い。
次に、開閉機能付き建具の水密構造を備えた耐水害住宅について、図面を参照しながら詳細に説明する。この開閉機能付き建具の水密構造は、以下に説明する開閉機能付き建具に適用されてなるものである。そこで、以下、この開閉機能付き建具として、先ず、勝手口用建具ついて、図面を参照しながら詳細に説明する。
この勝手口用建具501は、上記耐水害住宅の図示しない住宅の勝手口に施工されるものであり、該勝手口用建具501を室内側から表した図60に示すように、勝手口に配置される枠体502と、この枠体502に複数の蝶番503(図62参照)を介して回動可能に連結された勝手口用のドア本体504と、を備えたものである。
上記枠体502は、図示しない耐水害住宅に平行に固定された上枠521と、この上枠521の下方であって該上枠521に平行に固定された下枠522と、上端側の右側は上記上枠521の左端に固定され下端側の右側は上記下枠522の左端に固定され、垂直方向に長さを有する左枠523と、上端側の左側は上記上枠521の右端に固定され下端側の左側は上記下枠522の右端に固定され、上記左枠523に平行に固定された右枠524とから構成されている。すなわち、この勝手口用建具501は、上記上枠521、下枠522、左枠523及び右枠524からなる上記枠体502を備えてなるとともに、該枠体502の内側には開口(符号は省略する。)が形成され、この開口は、上記複数の蝶番503を介して該枠体502に連結されたドア本体504により開閉されるように構成されている。上記上枠521、下枠522、左枠523及び右枠524は、それぞれアルミニウム又は硬質塩化ビニル系樹脂を素材としてなるものであって、図61又は図62に示すように、それぞれ中空状に成形されている。
そして、上記上枠521は、図61中上側に示すように、中空状であり且つ外形形状が略直方体状に成形されてなるものであり、下面は上記ドア本体504(を構成するドア側上枠541)の上面に対向する対向面521aとされ、この対向面521aの室内側(図61中右側)には、該対向面521aから垂下してなる対向板部521bが形成されている。この対向板部521bは、上記ドア本体504(を構成するドア側上枠541)の上側正面(室内側の面)に対向してなる部位である。そして、この対向板部521bの背面(室外側の面)であって上記対向面521aよりもやや下方には、水密材嵌合用凹溝521cが形成されている。なお、上記対向板部521bは、上記対向面521aの室内側から下方に向かって垂下し内部は中空状に成形された垂下中空部(符号は省略する。)に形成されたものであって、この垂下中空部は、この上枠521の室内側に形成された正面から垂下してなる正面上板部521dと、この正面上板部521dに対向してなる上記対向板部521bと、上記正面上板部521dと対向板部521bとの間をそれぞれ下端で閉塞する底板部521eとから構成されている。そして、上記水密材嵌合用凹溝521cは、後述するドア本体504を構成するドア側上枠541の正面の上端側に対向する位置に形成されており、この水密材嵌合用凹溝521cには、後述する水密材505が装着されている。
また、上記下枠522は、図61中下側に示すように、中空状であり且つ外形形状が略直方体状に成形されてなるものであり、上面は上記ドア本体504(を構成するドア側下枠542)の下面に対向する対向面522aとされ、この対向面522aの室内側(図61中右側)には、該対向面522aから起立してなる対向板部522bが形成されている。この対向板部522bは、上記ドア本体504(を構成するドア側下枠542)の下側正面に対向してなる部位である。そして、この対向板部522bの背面であって上記対向面522aよりもやや上方には、水密材嵌合用凹溝522cが形成されている。なお、上記対向板部522bは、上記対向面522aの室内側から上方に向かって起立し内部は中空状に成形された起立中空部(符号は省略する。)に形成されたものであって、この起立中空部は、この下枠522の室内側に形成された正面から起立してなる正面下板部522dと、この正面下板部522dに対向してなる上記対向板部522bと、上記正面下板部522dと対向板部522bとの間をそれぞれの上端で閉塞する天板部522eとから構成されている。そして、上記水密材嵌合用凹溝522cは、後述するドア本体504を構成するドア側下枠542の正面(室内側の面)の下端側に対向する位置に形成されており、この水密材嵌合用凹溝522cには、後述する水密材505が装着されている。
また、上記左枠523は、図62中左側に示すように、中空状であり且つ外形形状が略直方体状に成形されてなるものであり、上面は上記ドア本体504(を構成するドア側左枠543)の右側面に対向する対向面523aとされ、この対向面523aの室内側(図62中下側)には、該対向面523aから右側に起立してなる対向板部523bが形成されている。この対向板部523bは、上記ドア本体504(を構成するドア側左枠543)の左側正面に対向してなる部位である。そして、この対向板部523bの背面であって上記対向面523aよりもやや右側には、水密材嵌合用凹溝523cが形成されている。なお、上記対向板部523bは、上記対向面523aの室内側から右側に向かって起立し内部は中空状に成形された起立中空部(符号は省略する。)に形成されたものであって、この起立中空部は、この左枠523の室内側に形成された正面から右側に起立してなる正面左板部523dと、この正面左板部523dに対向してなる上記対向板部523bと、上記正面左板部523dと対向板部523bとの間をそれぞれの右端で閉塞する右側板部523eとから構成されている。そして、上記水密材嵌合用凹溝523cは、後述するドア本体504を構成するドア側左枠543の正面の左端側に対向する位置に形成されており、この水密材嵌合用凹溝523cには、後述する水密材505が装着されている。
また、上記右枠524は、図62中右側に示すように、中空状であり且つ外形形状が略直方体状に成形されてなるものであり、左面は上記ドア本体504(を構成するドア側右枠544)の右側面に対向する対向面524aとされ、この対向面524aの室内側(図62中下側)には、該対向面524aから左側に起立してなる対向板部524bが形成されている。この対向板部524bは、上記ドア本体504(を構成するドア側右枠544)の右側正面に対向してなる部位である。そして、この対向板部524bの背面であって上記対向面524aよりもやや左側には、水密材嵌合用凹溝524cが形成されている。なお、上記対向板部524bは、上記対向面524aの室内側から左側に向かって起立し内部は中空状に成形された起立中空部(符号は省略する。)に形成されたものであって、この起立中空部は、この右枠524の室内側に形成された正面から左側に起立してなる正面右板部524dと、この正面右板部524dに対向してなる上記対向板部524bと、上記正面右板部524dと対向板部524bとの間をそれぞれの左端で閉塞する左側板部524eとから構成されている。そして、上記水密材嵌合用凹溝524cは、後述するドア本体504を構成するドア側右枠544の正面の左端側に対向する位置に形成されており、この水密材嵌合用凹溝524cには、後述する水密材505が装着されている。
以下、上記それぞれ水密材嵌合用凹溝521c,522c,523c,524cの構成と、上記水密材505の構成について、図63を参照しながら説明する。なお、この図63は、上記左枠523に形成にされた上記水密材嵌合用凹溝523cに上記水密材505が装着された状態を拡大して示すものである。上記水密材嵌合用凹溝523c(上記水密材嵌合用凹溝521c,522c,524cも同様)は、室外側に開口を有する凹溝であって、この左枠523を含めた枠体502の内側に形成された開口側に形成され、一部は上記右側板部523eに連続してなり室外側に起立してなる一方の起立板部523fと、この一方の起立板部523fに対向してなり、先端側中途部は上記対向板部523bの背面(室外側の面)よりもやや室外側に起立してなり上記一方の起立板部523fと対称形状に成形された他方の起立板部523gと、上記一方の起立板部523fの先端から上記対向面523a側に折曲された一方の折曲板部523hと、上記他方の起立板部523gの先端から上記一方の折曲板部523hの先端に接近する方向に折曲された他方の折曲板部523iと、を有し、上記一方の起立板部523fと他方の起立板部523gとの間の間隔よりも上記一方の折曲板部523hの先端と他方の折曲板部523iの先端との間隔が狭いものとされている。そして、上記それぞれ水密材嵌合用凹溝521c,522c,524cは、上記左枠523に形成にされた上記水密材嵌合用凹溝523cと同じ形状として、上記上枠521、下枠522、右枠524にそれぞれ成形されている。また、上記上枠521、下枠522、左枠523及び右枠524がそれぞれ連結され枠体502として組み立てられた際には、上記それぞれの水密材嵌合用凹溝521c,522c,523c,524cは、互いに連通した状態とされている。なお、上記水密材嵌合用凹溝521c,522c,523c,524c内には、やや液状とされたシーリング材506が充填されている。
そして、上記互いに連通した水密材嵌合用凹溝521c,522c,523c,524cには、単一の水密材505が装着されている。すなわち、上記水密材嵌合用凹溝521c,522c,523c,524c内には、単一の水密材505の一部が装着されている。この水密材505は、ゴム又は可撓性を有する合成樹脂又は発泡樹脂により一体成形されてなるものであり、その両端は溶着されている。そして、この水密材505は、図63に示すように、上記水密材嵌合用凹溝523c(水密材嵌合用凹溝521c,522c,524c)を構成する一方及び他方の折曲板部523h,523iの室外側の面に下面が当接し、該互いに対向する一方及び他方の折曲板部523h,523iの先端により形成された開口を閉塞する底板部551と、この底板部551の室内側の面とは反対方向の面と基端が一体化され上記一方の起立板部523fと他方の起立板部523gとにより形成された水密材嵌合用凹溝523c内に圧入された脚部552と、上記底板部551の一側に基端を有し全体形状が逆くの字状に成形された一方の側板部553と、上記底板部551の他側に基端を有し全体形状がくの字状に成形され先端は上記一方の側板部553の先端側中途部に連続してなる他方の側板部554と、から構成されている。そして、上記一方の側板部553と他方の側板部554とにより、中空部Xが形成されている。なお、上記底板部551及び脚部552の素材は、上記一方及び他方の側板部553,554よりもやや硬質の素材により成形され、また、上記中空部X内は、上述したように、この水密材505の両端が溶着されていることから、密閉状態とされている。
また、上記勝手口用のドア本体504は、図61又は図62に示すように、上記枠体502の内側に形成された開口が該ドア本体504により閉塞された際において、上記上枠521の下方に位置するドア側上枠541と、上記下枠522の上方に位置するドア側下枠542と、上記左枠523の右側に位置するドア側左枠543と、上記右枠524の左側に位置するドア側右枠544と、これらドア側上枠541、ドア側下枠542、ドア側左枠543及びドア側右枠544の内側に固定され互いに対向してなる内側ガラス板507及び外側ガラス板508と、を備えている。そして、上記ドア側右枠544の正面(室内側の面)には、このドア本体504の開閉操作を室内側から行う際に把持・操作される一方の把手(ハンドル)509が回動自在に配置され、該ドア側右枠544の背面(室外側の面)には、図62に示すように、このドア本体504の開閉操作を室外側から行う際に把持・回動される他方の把手(ハンドル)510が回動自在に配置されている。なお、上記一方及び他方の把手509,510の上側には、図60に示すように、第1の錠511aが、また下側には第2の錠511bがそれぞれ固定されている。また、上記各蝶番503は、図62に示すように、上記左枠523の室外側の面に複数の皿ネジ542により固定された方形状の枠側羽根板531と、この枠側羽根板531の基端に固定された図示しない下側円筒部と、この下側円筒部の内部に下側が挿入固定され該下側円筒部から上方に突出してなる固定軸533と、上記ドア本体504を構成するドア側左枠543に複数のネジ513により固定された方形状のドア側羽根板534と、このドア側羽根板534の基端に固定され上記固定軸533が下側から内部に挿通され下端は上記下側円筒部の上面に支持された上側円筒管部535と、から構成されている。したがって、上記ドア本体504は、上記第1又は第2の把手509,510を把持し、上記固定軸533を中心に回動操作することができ、上記枠体502の内側に形成された開口は、上記ドア本体504により閉塞される。
なお、この勝手口用建具501では、上記枠体502に形成された開口が上記ドア本体504により閉塞された際において、それぞれ圧縮される単一のドア側水密材515が該ドア本体504に装着されている。すなわち、図61に示すように、上記ドア側上枠541の上部には、上記枠体502を構成する上枠521の背面(室外側の面)に対向し、ドア側水密材嵌合用凹溝541bが形成されたドア側対向板部541aが形成され、上記ドア側下枠542の下部には、上記枠体502を構成する下枠522の背面(室外側の面)に対向し、ドア側水密材嵌合用凹溝542bが形成されたドア側対向板部542aが形成され、また、図62に示すように、上記ドア側左枠543の室外側には、上記枠体502を構成する左枠523の正面(室内側の面)に対向し、ドア側水密材嵌合用凹溝543bが形成されたドア側対向板部543aが形成され、上記ドア側右枠544の室外側には、上記枠体502を構成する右枠524の正面(室内側の面)に対向し、ドア側水密材嵌合用凹溝544bが形成されたドア側対向板部544aが形成されている。そして、上記ドア側水密材嵌合用凹溝541b,542b,543b,544bは互いに連通しており、この連通したドア側水密材嵌合用凹溝(符号は省略する。)内には、上記ドア側水密材515が装着されている。なお、このドア側水密材515の両端は互いに溶着されている。
したがって、上述した勝手口用建具501(開閉機能付き建具)の水密構造によれば、図61又は図62に示す状態(ドア本体504により枠体502の開口が完全に閉塞された状態)において、洪水や津波等の発生により、住宅の外側における水位が上昇した場合であっても、上記枠体502とドア本体504との間の僅かな隙間から住宅内に水が流入することはない。図64は、室外側の水Wの水位が、上記下枠522よりも上方に至った際における水Wの侵入状態を示すものである。この図64からも明らかなように、上記下枠522の対向面522aとドア本体504の下面との間に水は侵入するものの、その水Wは上記水密材505により完全に止水される。特に、こうした図64に示す状態からさらに水位が上昇し或いは濁流等により、大きな水圧がこのドア用建具501に作用した場合であっても、上記水密材505を構成する中空部Xは圧縮され、該中空部Xを構成する一方及び他方の側板部553,554は、上記ドア本体504を構成するドア側下枠542の室内側の面に圧接されていることから、依然として僅かな上記隙間から住宅内に水が流入することなくその水密性を十分維持することができる。特に、この勝手口用建具501を備えた水密構造を備えた耐水害住宅によれば、上記水密材505が圧入された水密材嵌合用凹溝521c,522c,523c,524c内にはそれぞれシーリング材506が充填されていることから、上記ドア本体504が長期間に亘って開閉操作されたり、上記水密材505が劣化したりする場合であっても、上記水圧によって、(上記脚部552の下側を水Wが回り込んで)該水密材嵌合用凹溝521c,522c,523c,524c内を水が通過する危険性も有効に解消することができる。
なお、上記勝手口用建具501では、上記それぞれの水密材嵌合用凹溝521c,522c,523c,524c内にはそれぞれシーリング材506が充填されたものを説明したが、例えば、図65に示す構成とし、上記シーリング材506を構成要素としないものであっても良い。
図65は、この勝手口用建具(符号は省略する。)を構成する上記下枠522の近傍を拡大して示すものである。そして、この勝手口用建具では、上記水密材505を構成する底板部551の幅を、上記対向板部522bの幅方向に沿って上記対向面522a側に延長する(以下、この延長された部位を延長板部551aと言う。)とともに、この延長板部551aの下面と対向板部522bとの間には、水密材嵌合用凹溝522cの高さ(対向板部522bの室外側の面から起立した高さ)に略等しい水密板571が配置されたものである。上記水密板571は、発泡樹脂からなり可撓性及び弾性を有してなる板体であり、一方の面には上記起立板部522bの室外側の面に接着される接着剤が塗布され、他方の面には上記延長板部551aの下面(室内側の面)に接着される接着剤が塗布されてなるものである。言うまでもなく、上記構成は上記下枠522以外に、上記枠体502を構成する上枠521、左枠523及び右枠524にも同じ構成とされている。
したがって、上述した構成に係る勝手口用建具の水密構造によれば、図66に示すように、上記下枠522の対向面522aとドア本体504(を構成するドア側下枠542)の下面との間に水は侵入するものの、その水Wは上記水密材505により完全に止水される。特に、上記高い水圧が生じた場合であっても、上記延長板部551aと上記水密板571とにより、上記水密材嵌合用凹溝522c内に水Wが流入する危険性はない。したがって、こうした構成に係る水密構造によれば、上述したシーリング材506が水密材嵌合用凹溝(符号は省略する。)内に充填されていなくても、水Wが該水密材嵌合用凹溝を通過して(上記水密材505の脚部552の下から水が回り込んで)室内側に漏出することがなく、上記シーリング材506を水密材嵌合用凹溝内に充填する作業も不要となる。
なお、上記勝手口用建具501の水密構造は、上記開閉機能付き建具の水密構造を勝手口用建具に適用したものであるが、本発明を構成する開閉機能付き建具の水密構造は、上記勝手口用建具501のように、人が出入りする際に通る開口が開閉体であるドア本体504により開閉される建具ばかりではなく、こうした構成と同じ構成が採用された連窓用建具に採用されたものであっても良い。すなわち、この連窓用建具575は、図67に示すように、枠体576と、この枠体576の左側に回動自在に配置された開閉窓本体(開閉体)577と、上記枠体576の右側に固定された固定窓本体578と、を備えたものである。
上記枠体576は、上枠579と、下枠580と、左枠581と、右枠582と、上記開閉窓本体577と固定窓本体578との間に配置された仕切り枠583、とから構成されている。したがって、この連窓用建具575は、上記仕切り枠583の左側に形成された左側開口(符号は省略する。)は、上記開閉窓本体577により開閉自在となされ、該仕切り枠583の右側に形成された右側開口(符号は省略する。)は、上記固定窓本体578により閉塞されている。また、上記開閉窓本体577は、先に、勝手口用建具501において説明したドア本体504と同じように、窓側上枠584と、窓側下枠585と、窓側左枠586と、窓側右枠587と、を備え、これら窓側上枠584、窓側下枠585、窓側左枠586及び窓側右枠587により形成された開口(符号は省略する。)は、内側ガラス板588及び図示しない外側ガラス板により閉塞されている。なお、上記窓側右枠587の室内側には、上記開閉窓本体577を開閉操作する際に把持される把手587aが配置され、この把手587aの上方には、2つの錠587b,587cが配置されている。また、上記固定窓本体578は、内側ガラス板589及びこの内側ガラス板589に対向してなる図示しない外側ガラス板から構成されている。
そして、上記枠体576を構成する上枠579、下枠580、左枠581及び仕切り枠583には、先に勝手口用建具501の枠体502を構成する上枠521、下枠522、左枠523及び右枠524にそれぞれ形成された対向面、対向板部、水密材嵌合用凹溝並びに該水密材嵌合用凹溝に装着された各水密材(図61又は図62参照)を備えている。なお、これらの構成は、上記勝手口用建具501と同様であることから説明を省略する。また、この連窓用建具575においても、図65又は図66に示す延長板部551aを備えた底板部551や、上記水密板571が配置された構造を備えたものであっても良い。
したがって、上記連窓用建具575の水密構造であっても、上記勝手口用建具501と同じように、極めて高い水密性を有するものとなり、また、上記延長板部551aを備えた底板部551や、上記水密板571が配置された構造を備えたものにあっては、それぞれの水密材嵌合用凹溝内にシーリング材を充填する必要性はなく、より安定した水密性を確保することができる。
上述した勝手口用建具501や連窓用建具の説明からも明らかなように、開閉機能付き建具の水密構造を備えた耐水害住宅によれば、集中豪雨等による洪水等が発生し、上記開閉体(ドア本体504又は開閉窓本体577)を備えた建具に対して高い水圧が作用した場合であっても、漏水を招くことがなく、より水密性の高い開閉機能付き建具及びこの開閉機能付き建具を備えた住宅を提供することができる。
なお、上記勝手口用建具501や連窓用建具は、上記水密材嵌合用凹溝521c,522c,523c,524c内に単一の水密材505が装着されているものを説明したが、上記水密材嵌合用凹溝521c,522c,523c,524cのそれぞれに1つの水密材(符号は省略する。)が装着され、これらの各水密材は、互いに端部において互いに接着され、上記中空部Xが密閉空間とされたものであっても良い。
次に、窓用建具の水密構造を備えた耐水害住宅の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
この窓用建具601は、室内側から示す図68に示すように、住宅の窓部分に配置される枠体602と、この枠体602に囲まれた開口を閉塞する3枚のガラス板603,604,605(図69、図70又は図71参照)を備えたものである。
上記枠体602は、図示しない住宅に平行に固定された上枠621と、この上枠621の下方であって該上枠621に平行に固定された下枠622と、上端側の右側は上記上枠621の左端に固定され下端側の右側は上記下枠622の左端に固定され、垂直方向に長さを有する左枠623と、上端側の左側は上記上枠621の右端に固定され下端側の左側は上記下枠622の右端に固定され、上記左枠623に平行に固定された右枠624とから構成されている。すなわち、この窓用建具601は、上記上枠621、下枠622、左枠623及び右枠624からなる上記枠体602を備えてなるとともに、該枠体602の内側には開口(符号は省略する。)が形成され、この開口は、上記3枚のガラス板603,604,605により閉塞されている。なお、図69、図70又は図71に示すように、上記ガラス板603は、最も室内側に固定されたガラス板であり、このガラス板605は、最も室外側に固定されたガラス板であり、上記ガラス板604は、上記特定のガラス板603とガラス板605との間に所定間隔隔てて固定されたガラス板である。なお、上記特定のガラス板603及びガラス板604,605は、それぞれフロートガラス板であり、該ガラス板605とガラス板604との間、該ガラス板604と特定のガラス板603との間には、それぞれスペーサ606が配置されている。
そして、上記上枠621は、図69中上側に示すように、中空状であり且つ外形形状が略直方体状に成形されてなるものであり、上記各ガラス板603,604,605(以下、これらをガラス板群と言うことがある。)の上面に対向する対向面621aが形成され、この対向面621aの形成位置よりも室内側には、対向板部621bを構成要素とし、上記ガラス板群を挟持する中空状の室内側ガラス挟持部621cが下向きに形成され、室外側には、上記ガラス板群を挟持する室外側ガラス挟持部621dがやや下向きに形成されている。そして、上記室内側ガラス挟持部621cは、上記対向面621aから垂下した上記対向板部621bと、この対向板部621bの下方に形成された凸部621eと、上記対向板部621bに対向してなり室内側に露出した垂下板部621fと、底板部621gとから構成されている。そして、上記対向板部621bの室外側の面には、該対向板部621bと上記特定のガラス板603とにより一部が挟まれ圧縮され変形されて薄肉となされた水密板607が貼付されている。この水密板607は、発泡樹脂を素材により略テープ状に成形されてなるものであり、室内側及び室外側の各面には、図示しない接着剤が塗布されている。また、この水密板607の上端は、上記対向面621aに当接し、その下端は上記凸部621dの上面に当接している。
また、上記下枠622は、図69中下側に示すように、中空状であり且つ外形形状が略直方体状に成形されてなるものであり、上記各ガラス板群のそれぞれ上面に対向する対向面622aが形成され、この対向面622aの形成位置よりも室内側には、対向板部622bを構成要素とし、上記ガラス板群を挟持する中空状の室内側ガラス挟持部622cが上向きに形成され、室外側には、上記ガラス板群を挟持する室外側ガラス挟持部622dがやや上向きに形成されている。そして、上記室内側ガラス挟持部622cは、上記対向面622aから上方に起立した上記対向板部622bと、この対向板部622bの上方に形成された凸部622eと、上記対向板部622bに対向してなり室内側に露出した起立板部622fと、天板部622gとから構成されている。そして、上記対向板部622bの室外側の面には、該対向板部622bと上記特定のガラス板603とにより一部が挟まれ圧縮され変形されて薄肉となされた水密板607が貼付されている。この水密板607は、発泡樹脂を素材により略テープ状に成形されてなるものであり、室内側及び室外側の各面には、図示しない接着剤が塗布されている。また、この水密板607の下端は、上記対向面622aに当接し、その上端は上記凸部622dの上面に当接している。
また、上記左枠623は、図70中左側に示すように、中空状であり且つ外形形状が略直方体状に成形されてなるものであり、上記各ガラス板群のそれぞれ左側面に対向する対向面623aが形成され、この対向面623aの形成位置よりも室内側には、対向板部623bを構成要素とし、上記ガラス板群を挟持する中空状の室内側ガラス挟持部623cが右向きに形成され、室外側には、上記ガラス板群を挟持する室外側ガラス挟持部623dがやや右向きに形成されている。そして、上記室内側ガラス挟持部623cは、上記対向面623aから右側に起立した上記対向板部623bと、この対向板部623bの右側に形成された凸部623eと、上記対向板部623bに対向してなり室内側に露出した起立板部623fと、右側板部623gとから構成されている。そして、上記対向板部623bの室外側の面には、該対向板部623bと上記特定のガラス板603とにより一部が挟まれ圧縮され変形されて薄肉となされた水密板607が貼付されている。この水密板607は、発泡樹脂を素材により略テープ状に成形されてなるものであり、室内側及び室外側の各面には、図示しない接着剤が塗布されている。また、この水密板607の左端は、上記対向面623aに当接し、その右端は上記凸部623dの左側面に当接している。
また、上記右枠624は、図70中右側に示すように、中空状であり且つ外形形状が略直方体状に成形されてなるものであり、上記各ガラス板群のそれぞれ右側面に対向する対向面624aが形成され、この対向面624aの形成位置よりも室内側には、対向板部624bを構成要素とし、上記ガラス板群を挟持する中空状の室内側ガラス挟持部624cが左向きに形成され、室外側には、上記ガラス板群を挟持する室外側ガラス挟持部624dがやや左向きに形成されている。そして、上記室内側ガラス挟持部624cは、上記対向面624aから左側に起立した上記対向板部624bと、この対向板部624の左側に形成された凸部624eと、上記対向板部624bに対向してなり室内側に露出した起立板部624fと、左側板部624gとから構成されている。そして、上記対向板部624bの室外側の面には、該対向板部624bと上記特定のガラス板603とにより一部が挟まれ圧縮され変形されて薄肉となされた水密板607が貼付されている。この水密板607は、発泡樹脂を素材により略テープ状に成形されてなるものであり、室内側及び室外側の各面には、図示しない接着剤が塗布されている。また、この水密板607の右端は、上記対向面624aに当接し、その左端は上記凸部624dの右側面に当接している。
したがって、上述した窓用建具601の水密構造によれば、室外側の水Wの水位が、上記下枠622よりも上方に至った際における水Wの侵入状態を示す図71に示すように、上記下枠622の対向面622aとガラス群の下方に水は侵入するものの、その水Wは上記水密板607により完全に止水される。特に、こうした図71に示す状態からさらに水位が上昇し或いは濁流等により、大きな水圧がこのドア用建具601に作用した場合であっても、上記水密板607は、上記特定のガラス板603と起立板部622bとに強固に挟持され肉厚が一部薄肉とされていることから、依然として僅かな上記隙間からこの耐水害住宅内に水が流入することなくその水密性を十分維持することができる。特に、この窓用建具601では、上記水密板607の一端は、上記対向面623aに当接し、その他端は上記凸部623dの左側面に当接していることから、相当な水圧が作用した場合であっても、上記凸部623dと特定のガラス板603との間に水が侵入し、その結果、室内側に水が侵入することがない。
上述した窓用建具601の説明からも明らかなように、本発明を構成する窓用建具の水密構造によれば、集中豪雨等による洪水等が発生し、上記特定のガラス板を備えた建具501に対して高い水圧が作用した場合であっても、漏水を招くことがなく、より水密性の高い耐水害住宅を提供することができる。
以上のように、本発明に係る耐水害住宅によれば、台風による大雨や集中豪雨等により洪水が発生したり、地震により津波等が発生したりした場合であっても、上記防水透湿シートにより、少なくとも基礎部と土台との間から居住空間内に水が侵入する事態を有効に防止することができ、特に、洪水や津波等により住宅に高い水圧が作用した場合であっても、その水圧により僅かな隙間から居住空間内に水が侵入することを効果的に防止することができる。また、上記浮上防止構造により、基礎部を含めた住宅全体が水により浮上することを防止することができ、また、上記床下流入防止構造により、床下への水の流入を防止することができ、また、上記室外機用架台の支持構造により、水による室外機の破損を防止することができる。また、上記ドア用建具の水密構造により、ドア用建具の周囲からの水の流入を防止することができ、また、上記開閉機能付き建具の水密構造により、勝手口用建具や連窓用建具等のような開閉機能付き建具の周囲からの水の流入を防止することができ、また、上記窓用建具の水密構造により、窓用建具の周囲からの水の流入を防止することができる。