JP2021009995A - 積層型電子部品および積層型電子部品の製造方法 - Google Patents

積層型電子部品および積層型電子部品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021009995A
JP2021009995A JP2020089482A JP2020089482A JP2021009995A JP 2021009995 A JP2021009995 A JP 2021009995A JP 2020089482 A JP2020089482 A JP 2020089482A JP 2020089482 A JP2020089482 A JP 2020089482A JP 2021009995 A JP2021009995 A JP 2021009995A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rare earth
earth element
powder
amount
internal electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2020089482A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7283440B2 (ja
Inventor
英之 橋本
Hideyuki Hashimoto
英之 橋本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Murata Manufacturing Co Ltd filed Critical Murata Manufacturing Co Ltd
Priority to US16/909,153 priority Critical patent/US11424075B2/en
Priority to KR1020200076266A priority patent/KR102433617B1/ko
Priority to CN202010594478.7A priority patent/CN112151270B/zh
Publication of JP2021009995A publication Critical patent/JP2021009995A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7283440B2 publication Critical patent/JP7283440B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】高い信頼性を有する積層型電子部品を提供する。【解決手段】積層された複数の誘電体層と複数の内部電極層とを含む積層体を備え、複数の誘電体層はBa、第1および第2の希土類元素を含んで構成されるペロブスカイト型化合物を含む複数の結晶粒を有し、第1の希土類元素の正3価のイオン半径とBaの正2価のイオン半径との差は第2の希土類元素の正3価のイオン半径とBaの正2価のイオン半径との差に比べて小さく、複数の結晶粒の少なくとも一部は結晶粒の粒界に沿って位置する第1の領域と、結晶粒の中央部に位置する第2の領域とを有しており、第1の領域における第1の希土類元素の量と第2の希土類元素の量との和は、第2の領域における第1の希土類元素の量と第2の希土類元素の量との和よりも多い積層型電子部品が提供される。【選択図】図5

Description

この開示は、積層型電子部品および積層型電子部品の製造方法に関する。
近年、積層セラミックコンデンサなどの積層型電子部品は、車載機器など高い信頼性が要求される電子機器への適用が進められている。積層型電子部品の信頼性は、例えば、高温負荷試験において所定の値まで絶縁抵抗が低下するのに要する時間の長さ(以後、単に寿命と呼称することがある)で評価することができる。
積層型電子部品の一例として、特開2013−229551号公報(特許文献1)に記載された積層セラミックコンデンサが挙げられる。特許文献1に記載されている積層セラミックコンデンサは、BaTiOと希土類元素Reとを含む誘電体層を備えている。
特開2013−229551号公報
BaTiOを含む誘電体層を備える積層セラミックコンデンサの信頼性を向上させるためには、直流電圧が印加された場合の誘電体層中の酸素空孔の移動を抑える必要がある。信頼性向上のためには、BaTiOの結晶格子中のBaの正2価のイオンであるBa2+を、希土類元素Reの正3価のイオンであるRe3+により置換することが効果的であるとされている(以後、イオンの表記は上記に倣うことがある)。
上記のようにBa2+がRe3+で置換されると、正電荷が過剰になる。そのため、電気的中性条件を満たすように、相対的に負2価に帯電していると見なされるBa空孔が生成する。このBa空孔と、相対的に正2価に帯電していると見なすことができる酸素空孔とは安定な欠陥対を形成する。Ba空孔は直流電圧が印加された場合でも移動し難いため、Ba空孔に繋ぎ止められた酸素空孔の移動が抑えられる。
ここで、Ba2+のイオン半径とRe3+のイオン半径との差が小さいほど、誘電体層の焼結時にRe3+がBa2+を置換し易い。しかしながら、Re3+とBa2+との置換が進み過ぎると、Ba空孔が過剰に生成される。そのため、誘電体層の焼結時において、BaTiO粒子表面の活性が高くなり、BaTiO粒子同士のネッキングが生じ易くなる。
そのため、粒成長が生じ易くなり、焼成後の誘電体層の磁器構造が不均一になる。そして、誘電体層に直流電圧が印加された場合、その磁器構造の不均一に起因する局所的な電界の集中が生じる。その結果、信頼性が低下する虞がある。
一方、Ba2+のイオン半径とRe3+のイオン半径との差が大きいと、誘電体層の焼結時にRe3+がBa2+を置換し難い。その結果、Re3+が焼結後の誘電体層を構成する結晶粒の粒界に偏在する。この場合、上記のBa空孔が酸素空孔の移動を繋ぎ止める効果が不十分となり、信頼性の向上の効果が得られない虞がある。
また、結晶粒の粒界にRe3+が何らかの形で偏在している場合、誘電体層に直流電圧が印加されると、その偏在箇所に局所的な電界の集中が生じる。その結果、信頼性が低下する虞がある。
すなわち、誘電体層中におけるRe3+のイオン半径が、積層セラミックコンデンサの信頼性に影響を与えていると考えられる。しかしながら、特許文献1には、上記については何ら言及されていない。
この開示の目的は、高い信頼性を有する積層型電子部品およびその製造方法を提供することである。
この開示に従う積層型電子部品は、積層された複数の誘電体層と複数の内部電極層とを含む積層体を備える。複数の誘電体層は、Ba、第1の希土類元素および第2の希土類元素を含んで構成されるペロブスカイト型化合物を含む複数の結晶粒を有する。第1の希土類元素の正3価のイオン半径とBaの正2価のイオン半径との差は、第2の希土類元素の正3価のイオン半径とBaの正2価のイオン半径との差に比べて小さい。
複数の結晶粒の少なくとも一部は、結晶粒の粒界に沿って位置する第1の領域と、結晶粒の中央部に位置する第2の領域とを有する。第1の領域における第1の希土類元素の量と第2の希土類元素の量との和は、第2の領域における第1の希土類元素の量と第2の希土類元素の量との和よりも多い。
この開示に従う積層型電子部品の製造方法は、以下の工程を含む。1つの工程は、Baを含む第1のペロブスカイト型化合物粉末と第1の希土類元素の化合物とを含む第1の粉末を用いて、複数の焼結前誘電体層を得る工程である。別の工程は、焼結前誘電体層に、導電体粉末と、Baを含む第2のペロブスカイト型化合物粉末と第2の希土類元素の化合物とを含む第2の粉末とを含む内部電極層用ペーストを用いて、焼結前内部電極層を形成する工程である。さらに別の工程は、焼結前内部電極層が形成された焼結前誘電体層を含む複数の焼結前誘電体層を積層し、焼結前積層体を得る工程である。そして、さらに別の工程は、焼結前積層体を焼結させ、積層された複数の誘電体層と、複数の内部電極層とを含む積層体を得る工程である。
第2の希土類元素の正3価のイオン半径とBaの正2価のイオン半径との差は、第1の希土類元素の正3価のイオン半径とBaの正2価のイオン半径との差に比べて大きい。そして、積層体を得る工程は、第1の粉末と第2の粉末とを反応させ、複数の誘電体層が、Ba、第1の希土類元素および第2の希土類元素を含んで構成されるペロブスカイト型化合物を含む複数の結晶粒を有するように焼結前積層体を焼結させる工程を含む。
この開示に従う積層型電子部品は、高い信頼性を有することができる。また、この開示に従う積層型電子部品の製造方法によれば、高い信頼性を有する積層型電子部品を製造することができる。
この開示に従う積層型電子部品の一実施形態である積層セラミックコンデンサの一例を示す断面図である。 図1に示される積層セラミックコンデンサの誘電体層内の結晶粒の微細構造を調べるために準備した試料を説明するための断面図である。 図2の中央領域における、誘電体層の透過型電子顕微鏡(以後、TEMと略称することがある)観察像の模式図である。 図3に破線部で示された領域を拡大し、結晶粒Gの粒界GBを明示したTEM観察像の模式図である。 図4に示された領域における、エネルギー分散型X線分析(以後、EDXと略称することがある)による希土類元素のマッピング像の模式図である。 図5に示された領域における、結晶粒G内のGdおよびDyの分布の模式図である。 グリーン積層体を得る工程が示された断面図である。 グリーン積層体を加熱して、半焼結積層体となった状態が示された断面図である。 半焼結積層体をさらに加熱して、焼結した積層体を得る工程が示された断面図である。
この開示の特徴とするところを、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す積層型電子部品およびその製造方法の実施形態では、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さないことがある。
この開示に従う積層型電子部品の一実施形態である積層セラミックコンデンサについて、図1から図6を用いて説明する。
<積層セラミックコンデンサの構造>
図1は、積層セラミックコンデンサ100の断面図である。積層セラミックコンデンサ100は、積層体10を備えている。積層体10は、積層方向に相対する第1の主面および第2の主面と、積層方向に直交する幅方向に相対する第1の側面および第2の側面と、積層方向および幅方向に直交する長さ方向に相対する第1の端面13aおよび第2の端面13bとを有する。
積層体10は、積層された複数の誘電体層11と複数の内部電極層12とを含む。複数の誘電体層11は、外層部と内層部とを有する。外層部は、積層体10の第1の主面と第1の主面に最も近い内部電極層12との間、および第2の主面と第2の主面に最も近い内部電極層12との間に配置されている。内層部は、それら2つの外層部に挟まれた領域に配置されている。
複数の誘電体層11はそれぞれ、後述するように、Ba、第1の希土類元素Reおよび第2の希土類元素Reを含んで構成されるペロブスカイト型化合物を含む複数の結晶粒を有する。なお、希土類元素Reとは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuの計17元素の総称である。上記のペロブスカイト型化合物としては、例えばBaTiOの結晶格子中のBa2+の一部が、Re 3+およびRe 3+により置換されたペロブスカイト型化合物が挙げられる。Re 3+のイオン半径とBa2+のイオン半径との差は、Re 3+のイオン半径とBa2+のイオン半径との差に比べて小さい。
すなわち、第1の希土類元素Reと第2の希土類元素Reとは、相対的な関係にある。例えば、第1の希土類元素ReをGdとする。この場合、第2の希土類元素Reは、Gd3+のイオン半径よりBa2+のイオン半径との差が大きい、すなわちGd3+のイオン半径より小さいイオン半径を有する、例えばTb、Dy、HoまたはErとすることができる。また、第1の希土類元素ReをSmとすると、第2の希土類元素Reは、例えばEuまたはGdとすることができる。そして、第1の希土類元素ReをDyとすると、第2の希土類元素Reは、例えばHoまたはErとすることができる。
複数の内部電極層12は、第1の内部電極層12aと第2の内部電極層12bとを有する。第1の内部電極層12aは、誘電体層11を介して第2の内部電極層12bと互いに対向している対向電極部と、対向電極部から積層体10の第1の端面13aまでの引き出し電極部とを備えている。第2の内部電極層12bは、誘電体層11を介して第1の内部電極層12aと互いに対向している対向電極部と、対向電極部から積層体10の第2の端面13bまでの引き出し電極部とを備えている。
第1の内部電極層12aと第2の内部電極層12bとが誘電体層11を介して互いに対向することにより、1つのコンデンサが形成される。積層セラミックコンデンサ100は、複数個のコンデンサが後述する第1の外部電極14aおよび第2の外部電極14bを介して並列接続されたものと言える。
内部電極層12は、導電性材料を含む。内部電極層12を構成する導電性材料としては、Ni、Cu、AgおよびPdなどから選ばれる少なくとも一種の金属または当該金属を含む合金が挙げられる。内部電極層12は、後述するように共材と呼ばれる誘電体粒子をさらに含んでいてもよい。共材は、積層体10の焼成時において、内部電極層12の焼結収縮特性を誘電体層11の焼結収縮特性に近づけるために添加されるものであり、その効果が発現されるものである限り、その材質は特に制限されない。
積層セラミックコンデンサ100は、第1の外部電極14aと第2の外部電極14bとをさらに備えている。第1の外部電極14aは、第1の内部電極層12aと電気的に接続されるように積層体10の第1の端面13aに形成されている。第1の外部電極14aは、第1の端面13aから第1の主面および第2の主面ならびに第1の側面および第2の側面に延びている。第2の外部電極14bは、第2の内部電極層12bと電気的に接続されるように積層体10の第2の端面13bに形成されている。第2の外部電極14bは、第2の端面13bから第1の主面および第2の主面ならびに第1の側面および第2の側面に延びている。
第1の外部電極14aおよび第2の外部電極14bは、例えば、下地電極層と下地電極層上に配置されためっき層とを有する。下地電極層は、例えば、焼結体層、導電性樹脂層および金属薄膜層から選ばれる少なくとも1つを含む。
焼結体層は、ガラス粉末および金属粉末を含むペーストが焼き付けられたものであり、ガラス部と金属部とを含む。ガラス部を構成するガラスとしては、B−SiO−BaO系のガラスなどが挙げられる。金属部を構成する金属としては、Ni、CuおよびAgなどから選ばれる少なくとも一種または当該金属を含む合金が挙げられる。焼結体層は、異なる成分で複数層形成されていてもよい。また、焼結体層は、後述する製造方法において、積層体10と同時焼成されてもよく、積層体10が焼成された後に焼き付けられてもよい。
導電性樹脂層は、例えば金属微粒子のような導電性粒子と樹脂部とを含む。金属微粒子を構成する金属としては、Ni、CuおよびAgなどから選ばれる少なくとも一種または当該金属を含む合金が挙げられる。樹脂部を構成する樹脂としては、エポキシ系の熱硬化性樹脂などが挙げられる。導電性樹脂層は、異なる成分で複数層形成されていてもよい。
金属薄膜層は、例えば、スパッタリングまたは蒸着などの薄膜形成法により形成され、金属微粒子が堆積された厚さ1μm以下の層である。金属薄膜層を構成する金属としては、Ni、Cu、AgおよびAuなどから選ばれる少なくとも一種または当該金属を含む合金が挙げられる。金属薄膜層は、異なる成分で複数層形成されていてもよい。
めっき層を構成する金属としては、Ni、Cu、Ag、AuおよびSnなどから選ばれる少なくとも一種または当該金属を含む合金が挙げられる。めっき層は、異なる成分で複数層形成されていてもよい。めっき層は、好ましくは、Niめっき層およびSnめっき層の2層からなる。Niめっき層は、積層型電子部品を実装する際に、下地電極層がはんだによって侵食されることを防止することができる。Snめっき層は、Snを含むはんだに対する濡れ性がよい。そのため、積層型電子部品を実装する際に、実装性を向上させることができる。
なお、第1の外部電極14aおよび第2の外部電極14bは、それぞれ、積層体10上に直接設けられ、前述の対応する内部電極層と直接接続されるめっき層であってもよい。めっき層は、第1めっき層と、第1めっき層上に設けられた第2めっき層とを含むことが好ましい。
第1めっき層および第2めっき層を構成する金属としては、Cu、Ni、Sn、Au、Ag、PdおよびZnなどから選ばれる少なくとも一種または当該金属を含む合金が挙げられる。例えば、内部電極層12を構成する金属としてNiを用いた場合、第1めっき層としては、Niと接合性のよいCuを用いることが好ましい。内部電極層12を構成する金属としてSnやAuを用いた場合、第1めっき層を構成する金属としてはんだバリア性能を有する金属を用いることが好ましい。また、第2めっき層を構成する金属としてはんだ濡れ性のよいを有するNiを用いることが好ましい。
<誘電体層の微細構造>
この開示に係る積層セラミックコンデンサ100の誘電体層11は、Ba、第1の希土類元素Reおよび第2の希土類元素Reを含んで構成されるペロブスカイト型化合物を含む複数の結晶粒を有する。それらの結晶粒の微細構造を調べるため、TEM観察およびEDXによる元素マッピングを行なった。
この調査において、誘電体層11には、BaTiOをペロブスカイト型化合物の基本的な構造とし、当該ペロブスカイト型化合物がBa、GdおよびDyを含むようにした誘電体材料を用いた。Gd3+のイオン半径は1.053Åであり、Ba2+のイオン半径は1.42Åであり、Dy3+のイオン半径は1.027Åである。したがって、前述したように、希土類元素としてGdおよびDyを選択した場合、Gd3+、Dy3+およびBa2+のそれぞれのイオン半径の関係から、Gdが第1の希土類元素Reであり、Dyが第2の希土類元素Reである。
TEM観察およびEDXマッピングのための試料作製について、図2を用いて説明する。図2は、積層セラミックコンデンサ100の誘電体層11内の結晶粒の微細構造を調べるために準備した試料を説明するための断面図である。
後述する製造方法により、積層セラミックコンデンサ100の積層体10を得た。積層体10の幅方向の中央部が残るように、積層体10を第1の側面側および第2の側面側から研磨して研磨体を得た。図2に示されるように、長さ方向の中央部近傍において内部電極層12と直交するような仮想線OLを想定した。そして、仮想線OLに沿って研磨体の静電容量の取得に係る誘電体層11と第1の内部電極層12aと第2の内部電極層12bとが積層された領域を積層方向に3等分し、上部領域、中央領域および下部領域の3つの領域に分けた。図2において、上部領域、中央領域および下部領域を破線で示している。
研磨体から上部領域、中央領域および下部領域を切り出し、薄膜化して、各領域からそれぞれ3つの薄膜試料を得た。3つの薄膜試料は、それぞれ、誘電体層11を含む。以上のようにして得られた積層体10の上部領域、中央領域および下部領域の3つの薄膜試料について、TEM観察およびTEMに付属しているEDXによる元素マッピングを行なった。
図3は、図2の中央領域における、誘電体層のTEM観察像の模式図である。図3の破線部で示された領域は、後述するEDXのマッピング分析箇所を表している。TEM観察像およびEDXのマッピング像は、上部領域および下部領域と中央領域とで有意な差が見られなかった。したがって、以下で説明する中央領域から得られた結果を、この開示に係る積層セラミックコンデンサ100の誘電体層11の微細構造と見なす。
誘電体層11は、約1.5μmの厚みを有しており、画像解析による等価円直径の平均値として求めた結晶粒の平均粒径は、約0.13μmである。なお、結晶粒Gの粒界GBは、TEM観察像から目視により決定した。
図4は、図3に破線部で示された領域を拡大し、結晶粒Gの粒界GBを明示したTEM観察像の模式図である。図5は、図4に示された領域における、EDXによる希土類元素のマッピング像の模式図である。図5では、希土類元素としてGdおよびDyが検出された領域が示されている。
複数の結晶粒Gは、結晶粒Gの粒界GBに沿って位置する第1の領域R1と、結晶粒Gの中央部に位置する第2の領域R2とに大別することができる。図5に示されるような希土類元素のマッピング像において、Tiの量を100atm%としたときのGdの量(atm%)とDyの量(atm%)との和を算出し、この和が2atm%以上である領域を第1の領域R1と定義し、2atm%未満の領域を第2の領域R2と定義する。第1の領域R1におけるGdの量(atm%)とDyの量(atm%)との和は、第2の領域R2におけるGdの量(atm%)とDyの量(atm%)との和よりも多い。第2の領域R2に含まれるGdの量およびDyの量は、それぞれ、バックグラウンドノイズを除くEDXの検出感度以下の量であることが好ましい。
すなわち、積層セラミックコンデンサ100の誘電体層11では、GdおよびDyが結晶粒Gの粒界GBのみに偏在しておらず、広く第1の領域R1に存在している。すなわち、Gd3+およびDy3+とBa2+との置換による、適度な量のBa空孔が生成していると推察される。したがって、上記の構造は、誘電体層11に直流電圧が印加された場合、このBa空孔により酸素空孔の移動を抑制することができる。
上記のGdとDyとの分布は、Ba2+のイオン半径に近いGd3+がまずBa2+を置換し、それにより生じたBa空孔をDy3+が埋めるようにして、GdおよびDyが結晶粒G中に固溶することにより促進されると考えられる。Ba空孔をDy3+が埋めると、電気的中性条件を満たすように、Ba空孔が新たに生成される。なお、Dyの量がGdの量に比べて少ない場合は、結晶粒GによってはGd3+によるBa2+の置換のみが生じ、1つの結晶粒Gの中に希土類元素としてGdしか存在しない場合もあり得る。また、1つの結晶粒Gの中に希土類元素としてDyしか存在しない場合もあり得る。
また、積層セラミックコンデンサ100の誘電体層11では、希土類元素が結晶粒Gの全体に亘って一様に固溶していない。すなわち、Gd3+およびDy3+とBa2+との置換が進み過ぎることによる、過剰なBa空孔の生成が抑制されていると推察される。したがって、上記の構造は、誘電体層の焼結時において、BaTiO粒子表面の、過剰な活性を抑制することができる。
そのため、BaTiO粒子同士の過剰なネッキングによる粒成長が抑制され、焼成後の誘電体層の磁器構造の不均一を抑制することができる。その結果、上記の構造は、誘電体層に直流電圧が印加された場合、その磁器構造の不均一に起因する局所的な電界の集中を抑制することができる。
以上で説明したように、積層セラミックコンデンサ100は、誘電体層11においてBa空孔が酸素空孔の移動を繋ぎ止める効果を十分得ることができ、かつRe3+の偏在による局所的な電界の集中を抑制することができる。そのため、積層セラミックコンデンサ100は、高い信頼性を有することができる。
さらに、第1の領域R1のうち、Gdの量とDyの量との和(atom%)が第2の領域よりも1.2倍以上大きい領域について、GdおよびDyの分布を調査した。図6は、図5に示された領域における、結晶粒G内のGdおよびDyの分布の模式図である。上記の構造における第1の領域R1は、図6に示されるように、第1の希土類元素ReであるGdの量が第2の希土類元素ReであるDyの量より多い第1の部分P1と、Dyの量がGdの量より多い第2の部分P2とを含むことが好ましい。
Gd3+は、前述したようにBa2+とのイオン半径の関係から結晶粒G内への固溶が進みやすい。一方、Dy3+は、結晶粒G内への固溶がGd3+に比べて進みにくい。すなわち、第1の領域R1が上記の2つの部分を含む場合、複数の結晶粒Gの粒界GB全体に沿ってBa2+のGd3+による置換が行なわれ、適度なBa空孔が生成された後、そのBa空孔の一部をDy3+が埋めていったと推察される。
そのため、第1の領域R1が第1の部分P1と第2の部分P2とに分かれている場合、結晶粒Gの粒界GB全体に沿ってBa空孔が生成されていると推察され、酸素空孔の移動を効果的に抑制することができる。また、BaTiO粒子表面の、過剰な活性も効果的に抑制することができる。
<積層セラミックコンデンサの製造方法>
次に、この開示に従う積層型電子部品の実施形態を示す積層セラミックコンデンサ100の製造方法について、製造工程順に説明する。積層セラミックコンデンサ100の製造方法は、以下の各工程を備える。
この積層セラミックコンデンサ100の製造方法は、BaTiO粉末の表面にGd化合物が付与された粉末(誘電体原料粉末)を用いて、複数のセラミックグリーンシートを得る工程を備える。ここで、BaTiO粉末の表面にGd化合物が付与された粉末(誘電体原料粉末)は、Baを含む第1のペロブスカイト型化合物粉末と第1の希土類元素Reの化合物とを含む第1の粉末に相当する。なお、「グリーン」という文言は、「焼結前」を表す表現であり、以後もその意味で用いられる。セラミックグリーンシート中には、誘電体原料粉末以外に、バインダー成分が含まれている。バインダー成分については、特に限定されない。
上記の誘電体原料粉末は、例えばBaTiO粉末の表面にGdの有機化合物を付与し、仮焼して有機成分を燃焼させることにより、Gdが酸化物の状態でBaTiO粉末の表面に付与された状態となるようにして作製することができる。ただし、これに限らず、誘電体原料粉末は、有機化合物を含む状態でもよいし、または酸化物と有機化合物とを含む状態でもよい。また、誘電体原料粉末において上記BaTiO粉末は、BaTiO固溶体粉末であってもよい。誘電体原料粉末には、添加物としてGd以外の成分が含まれていてもよい。
BaTiO粉末は、例えば、BaCO粉末とTiO粉末との混合物を仮焼することによって得ることができる。あるいは、既に蓚酸法または水熱合成法など既知の方法により作成されているBaTiO粉末が用いられてもよい。
この積層セラミックコンデンサ100の製造方法は、セラミックグリーンシートに、内部電極層パターンを印刷する工程を備える。内部電極層用ペーストは、例えば、Ni粉末と、BaTiO粉末の表面にDy化合物が付与された粉末(共材)と、バインダー成分とを含む。バインダー成分については、特に限定されない。ここで、セラミックグリーンシートに、内部電極層用パターンを印刷する工程は、焼結前誘電体層に、内部電極層用ペーストを用いて、焼結前内部電極層を形成する工程に相当する。
また、Ni粉末と、BaTiO粉末の表面にDy化合物が付与された粉末(共材)は、導電体粉末と、Baを含む第2のペロブスカイト型化合物粉末と第2の希土類元素Reの化合物とを含む第2の粉末とに相当する。
ここで、Gd3+のイオン半径とBa2+のイオン半径との差は、Dy3+のイオン半径とBa2+のイオン半径との差に比べて小さい。すなわち、第1の希土類元素Reと第2の希土類元素Reとは、Re 3+のイオン半径とBa2+のイオン半径との差がRe 3+のイオン半径とBa2+のイオン半径との差に比べて小さいという相対的な関係により選択される。
上記の共材は、例えばBaTiO粉末の表面にDyの有機化合物を付与し、仮焼して有機成分を燃焼させることにより、Dyが酸化物の状態でBaTiO粉末の表面に付与された状態となるようにして作製することができる。ただし、これに限らず、共材は、有機化合物を含む状態でもよいし、または酸化物と有機化合物とを含む状態でもよい。また、共材において上記BaTiO粉末は、BaTiO固溶体粉末であってもよい。
セラミックグリーンシートに用いられるBaTiO固溶体粉末と内部電極層用ペーストに用いられるBaTiO固溶体粉末とは、同じものであっても、異なるものであってもよい。この粉末には、添加物としてDy以外の成分が含まれていてもよい。
この積層セラミックコンデンサ100の製造方法は、内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積層し、グリーン積層体を得る工程を備える。ここで、該工程は、焼結前内部電極層が形成された焼結前誘電体層を含む複数の焼結前誘電体層を積層し、焼結前積層体を得る工程に相当する。
この積層セラミックコンデンサ100の製造方法は、グリーン積層体を焼結させ、積層された複数の誘電体層と、複数の内部電極層とを含む積層体を得る工程を備える。
この積層体を得る工程は、Ba、GdおよびDyを含んで構成されるペロブスカイト型化合物を含む複数の結晶粒を有するようにグリーン積層体を焼結させる工程を含む。この焼結工程において、BaTiO粉末の表面にGd化合物が付与された粉末と、BaTiO粉末の表面にDy化合物が付与された粉末とを反応させ、誘電体層を構成する焼結体とする。ここで、BaTiO粉末の表面にGd化合物が付与された粉末は第1の粉末に相当し、BaTiO粉末の表面にDy化合物が付与された粉末は第2の粉末に相当する。
上記のグリーン積層体を得る工程からグリーン積層体を焼結させる工程までを、図7から図9を用いて詳細に説明する。
図7から図9は、この開示に従う積層型電子部品の一実施形態である積層セラミックコンデンサ100が備える積層体10を製造する工程の要部を示す断面図である。図7は、グリーン積層体10gを得る工程が示された断面図である。グリーン積層体10gは、セラミックグリーンシート11gと第1の内部電極層パターン12agと第2の内部電極層パターン12bgとを積層することにより得られる。
セラミックグリーンシート11gには、BaTiO粉末1aの表面にGd化合物1bが付与された粉末1が含まれる。走査型電子顕微鏡(SEM)観察像の画像解析によるBaTiO粉末1aの平均粒径は、約100nmである。粉末1には、添加物としてGd以外の成分が含まれていてもよい。また、セラミックグリーンシート11gには、粉末1以外に不図示のバインダー成分が含まれている。
第1の内部電極層パターン12agおよび第2の内部電極層パターン12bgには、Ni粉末2と、BaTiO粉末3aの表面にDy化合物3bが付与された粉末3が含まれる。SEM観察像の画像解析によるBaTiO粉末3aの平均粒径は、約10nmである。粉末3には、添加物としてDy以外の成分が含まれていてもよい。また、第1の内部電極層パターン12agおよび第2の内部電極層パターン12bgには、Ni粉末2および粉末3以外に不図示のバインダー成分が含まれている。
図8は、グリーン積層体10gを各内部電極パターンが焼結する温度まで加熱して、半焼結積層体10pとなった状態が示された断面図である。半焼結積層体10pには、半焼結誘電体層11pと、第1の半焼結内部電極層12apおよび第2の半焼結内部電極層12bpとが含まれる。この状態において、BaTiO粉末1aの表面に付与されたGd化合物1bのGdは、BaTiO粉末1aの表面から内部に固溶している。
すなわち、BaTiO粉末1aは、その一部がGd固溶領域1cとなり、粉末1pとなる。半焼結誘電体層11pには、この粉末1pが含まれる。なお、この時点では、バインダー成分は分解され、半焼結誘電体層11pにはほとんど残存していない。
第1の半焼結内部電極層12apおよび第2の半焼結内部電極層12bpには、Ni半焼結体2pと、粉末3が含まれる。ここで、粉末3は、Ni粉末2が焼結してNi半焼結体2pとなるにつれて、Ni半焼結体2pから排除され、半焼結誘電体層11pとの界面近傍に移動する。
図9は、半焼結積層体10pを粉末1pが焼結する温度までさらに加熱して、焼結した積層体10を得る工程が示された断面図である。積層体10には、誘電体層11と、第1の内部電極層12aおよび第2の内部電極層12bとが含まれる。この状態において、誘電体層11内の複数の結晶粒Gは、図5に示されるように、結晶粒Gの粒界GBに沿って位置する第1の領域R1と、結晶粒Gの中央部に位置する第2の領域R2とを含む。第1の領域R1におけるGdの量とDyの量との和は、第2の領域R2におけるGdの量とDyの量との和よりも多くなっている。
また、第1の領域R1は、図6に示されるように、第1の希土類元素ReであるGdの量が第2の希土類元素ReであるDyの量より多い第1の部分P1と、Dyの量がGdの量より多い第2の部分P2とを含む。
以上の製造方法により得られた積層セラミックコンデンサ100は、誘電体層11においてBa空孔が酸素空孔の移動を繋ぎ止める効果を十分得ることができ、かつRe3+の偏在による局所的な電界の集中を抑制することができる。そのため、積層セラミックコンデンサ100は、高い信頼性を有することができる。
以下、実施例および比較例を示してこの開示に係る発明をさらに具体的に説明するが、この開示に係る発明はこれらの例によって限定されない。
<比較例1>
以下の手順で積層セラミックコンデンサを作製した。まず、誘電体シートおよび内部電極用の導電性ペーストを準備した。誘電体シートおよび内部電極用の導電性ペーストは、有機バインダーおよび溶剤を含む。誘電体シートは、誘電体原料粉末を用いて作製した。誘電体原料粉末は、BaTiO粉末および表1に示される第1の希土類元素Reの化合物を含む。該化合物として酸化物を用いた。第1の希土類元素Reの化合物の使用量は、BaTiO粉末に含まれるTiの量を100atm%としたときの第1の希土類元素Reの化合物に含まれるReの量(atm%)が表1の「添加量」の欄に示される量となる量である。
誘電体シート上に、所定のパターンで内部電極用の導電性ペーストを印刷することによって内部電極パターンを形成した。内部電極パターンが印刷されていない外層用の誘電体シートを所定枚数積層し、その上に内部電極パターンが印刷された誘電体シートを順次積層し、その上に外層用の誘電体シートを所定枚数積層し、積層シートを作製した。積層シートを静水圧プレスにより積層方向にプレスして積層ブロックを作製した。積層ブロックを所定のサイズにカットし、積層チップを切り出した。このとき、バレル研磨により積層チップの角部および稜線部に丸みをつけた。積層チップを焼結して積層体を作製した。焼結温度は、誘電体や内部電極の材料にもよるが、900〜1300℃であることが好ましい。本比較例でも焼結温度はこの範囲内とした。積層チップの両端面に外部電極用の導電性ペーストを塗布し、焼き付けることによって外部電極の焼き付け層を形成した。焼き付け温度は、700〜900℃であることが好ましい。本比較例でも焼き付け温度はこの範囲内とした。焼き付け層の表面にめっきを施した。
<比較例2〜6、実施例1〜9>
第1の希土類元素Reおよび第1の希土類元素Reの種類を表1に示されるとおりとし、Tiの量を100atm%としたときの第1の希土類元素Reおよび第1の希土類元素Reの量(atm%)が表1の「添加量」の欄に示される量となるように第1の希土類元素Reの化合物および第2の希土類元素Reの化合物を用いたこと以外は比較例1と同様にして積層セラミックコンデンサを作製した。第1の希土類元素Reの化合物および第2の希土類元素Reの化合物としてはいずれも酸化物を用いた。
[測定・評価]
(1)誘電体層の微細構造の測定
上述の手順で積層セラミックコンデンサから試料を作製し、中央領域について、TEM観察およびTEMに付属のEDXによる元素マッピングを行なった。視野中の結晶粒の中から10個の結晶粒を選択し、特定結晶粒に該当する結晶粒の数を求めた。結果を表1に示す。特定結晶粒とは、希土類元素のマッピング像において、Tiの量を100atm%としたときの第1の希土類元素の量(atm%)と第2の希土類元素の量(atm%)との和が2atm%以上である第1の領域R1と、当該和が2atm%未満である第2の領域R2とを有する結晶粒を意味する。
(2)比誘電率の測定
積層セラミックコンデンサを150℃のオーブン中に60分間放置し、その後そのオーブンから取り出した24時間後に静電容量を測定した(測定電圧=0.5V、測定周波数1kHz、n=30の平均値)。その後、積層セラミックコンデンサを1/2LT断面、1/2WT断面で研磨し、そこからL方向有効電極長さ、W方向有効電極長さを求めた(それぞれn=5の平均値)。この(L方向有効電極長さ)×(W方向有効電極長さ)を有効電極とした。また、1/2LT断面中央部をSEM観察し、誘電体素子厚を求めた(任意の100箇所分の平均値)。さらに有効素子数を用いて、積層セラミックコンデンサの比誘電率を算出した。結果を表1に示す。
(3)信頼性の評価
150℃で積層セラミックコンデンサに6Vを印加する高温負荷加速試験(HALT)での平均故障時間(MTTF)を測定した。結果を表1に示す。IRが10以下となったときを故障と判定した。
Figure 2021009995
<実施例10〜24>
第1の希土類元素Reおよび第2の希土類元素Reの種類を表1に示されるとおりとし、Tiの量を100atm%としたときの第1の希土類元素Reおよび第2の希土類元素Reの量(atm%)が表2の「添加量」の欄に示される量となるように第1の希土類元素Reの化合物および第2の希土類元素Reの化合物を用いたこと以外は比較例1と同様にして積層セラミックコンデンサを作製した。
[測定・評価]
(1)誘電体層の微細構造の測定
上述の手順で積層セラミックコンデンサから試料を作製し、中央領域について、TEM観察およびTEMに付属のEDXによる元素マッピングを行なった。視野中の結晶粒の中から10個の結晶粒を選択し、特定結晶粒に該当する結晶粒の数を求めた。結果を表2に示す。特定結晶粒とは、希土類元素のマッピング像において、Tiの量を100atm%としたときの第1の希土類元素の量(atm%)と第2の希土類元素の量(atm%)との和が2atm%以上である第1の領域R1と、当該和が2atm%未満である第2の領域R2とを有する結晶粒を意味する。
また、第1の領域R1のうち、第1の希土類元素Reの量と第2の希土類元素Reの量との和(atom%)が第2の領域R2よりも1.2倍以上大きい領域について、第1の希土類元素Reの量が第2の希土類元素Reの量より多い第1の部分P1、および、第2の希土類元素Reの量が第1の希土類元素Reの量より多い第2の部分P2の面積値を求めた。結果を表2の「P1/P2」の欄に示す。ここに記載の第1の部分P1および第2の部分P2の面積値は、第1の領域R1の全体の面積を100としたときの値である。
(2)比誘電率の測定
上記と同様にして、積層セラミックコンデンサの比誘電率を測定した。結果を表2に示す。
(3)信頼性の評価
上記と同様にして、MTTFを測定した。結果を表2に示す。
Figure 2021009995
この明細書に開示された実施形態は、例示的なものであって、この開示に係る発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。すなわち、この開示に係る発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、上記の範囲内において、種々の応用、変形を加えることができる。
例えば、積層体を構成する誘電体層および内部電極層の層数、誘電体層および内部電極層の材質などに関し、この発明の範囲内において種々の応用、変形を加えることができる。また、積層型電子部品として積層セラミックコンデンサを例示したが、この開示に係る発明はそれに限らず、多層基板の内部に形成されたコンデンサ要素などにも適用することができる。
100 積層セラミックコンデンサ、10 積層体、10g グリーン積層体、10p 半焼結積層体、11 誘電体層、11g セラミックグリーンシート、11p 半焼結誘電体層、1a BaTiO粉末、1b Gd化合物、1c Gd固溶領域、1 粉末、1p 粉末、2 Ni粉末、2p Ni半焼結体、3a BaTiO粉末、3b Dy化合物、3 粉末、12 内部電極層、12a 第1の内部電極層、12ag 第1の内部電極層パターン、12ap 第1の半焼結内部電極層、12b 第2の内部電極層、12bg 第2の内部電極層パターン、12bp 第2の半焼結内部電極層、13a 第1の端面、13b 第2の端面、14a 第1の外部電極、14b 第2の外部電極、OL 仮想線、Re 第1の希土類元素、Re 第2の希土類元素、G 結晶粒、GB 粒界、R1 第1の領域、R2 第2の領域、P1 第1の部分、P2 第2の部分。

Claims (3)

  1. 積層された複数の誘電体層と複数の内部電極層とを含む積層体を備え、
    前記複数の誘電体層は、Ba、第1の希土類元素および第2の希土類元素を含んで構成されるペロブスカイト型化合物を含む複数の結晶粒を有し、
    前記第1の希土類元素の正3価のイオン半径とBaの正2価のイオン半径との差は、前記第2の希土類元素の正3価のイオン半径とBaの正2価のイオン半径との差に比べて小さく、
    前記複数の結晶粒の少なくとも一部は、結晶粒の粒界に沿って位置する第1の領域と、前記結晶粒の中央部に位置する第2の領域とを有しており、
    前記第1の領域における前記第1の希土類元素の量と前記第2の希土類元素の量との和は、前記第2の領域における前記第1の希土類元素の量と前記第2の希土類元素の量との和よりも多い、積層型電子部品。
  2. 前記第1の領域は、前記第1の希土類元素の量が前記第2の希土類元素の量より多い第1の部分と、前記第2の希土類元素の量が前記第1の希土類元素の量より多い第2の部分とを含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
  3. Baを含む第1のペロブスカイト型化合物粉末と第1の希土類元素の化合物とを含む第1の粉末を用いて、複数の焼結前誘電体層を得る工程と、
    前記焼結前誘電体層に、導電体粉末と、Baを含む第2のペロブスカイト型化合物粉末と第2の希土類元素の化合物とを含む第2の粉末とを含む内部電極層用ペーストを用いて、焼結前内部電極層を形成する工程と、
    前記焼結前内部電極層が形成された焼結前誘電体層を含む前記複数の焼結前誘電体層を積層し、焼結前積層体を得る工程と、
    前記焼結前積層体を焼結させ、積層された複数の誘電体層と、複数の内部電極層とを含む積層体を得る工程とを備え、
    前記第2の希土類元素の正3価のイオン半径とBaの正2価のイオン半径との差は、前記第1の希土類元素の正3価のイオン半径とBaの正2価のイオン半径との差に比べて大きく、
    前記積層体を得る工程は、前記第1の粉末と前記第2の粉末とを反応させ、前記複数の誘電体層が、Ba、前記第1の希土類元素および前記第2の希土類元素を含んで構成されるペロブスカイト型化合物を含む複数の結晶粒を有するように前記焼結前積層体を焼結させる工程を含む、積層型電子部品の製造方法。
JP2020089482A 2019-06-28 2020-05-22 積層型電子部品および積層型電子部品の製造方法 Active JP7283440B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US16/909,153 US11424075B2 (en) 2019-06-28 2020-06-23 Multilayer electronic component and method for manufacturing multilayer electronic component
KR1020200076266A KR102433617B1 (ko) 2019-06-28 2020-06-23 적층형 전자부품 및 적층형 전자부품의 제조 방법
CN202010594478.7A CN112151270B (zh) 2019-06-28 2020-06-24 层叠型电子部件以及层叠型电子部件的制造方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019121519 2019-06-28
JP2019121519 2019-06-28

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021009995A true JP2021009995A (ja) 2021-01-28
JP7283440B2 JP7283440B2 (ja) 2023-05-30

Family

ID=74200094

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020089482A Active JP7283440B2 (ja) 2019-06-28 2020-05-22 積層型電子部品および積層型電子部品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7283440B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11469046B2 (en) * 2020-03-24 2022-10-11 Murata Manufacturing Co., Ltd. Multilayer ceramic electronic component
WO2022270270A1 (ja) * 2021-06-23 2022-12-29 株式会社村田製作所 積層セラミックコンデンサ

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003142331A (ja) * 2001-11-08 2003-05-16 Murata Mfg Co Ltd 積層セラミック電子部品
JP2003277139A (ja) * 2002-01-15 2003-10-02 Tdk Corp 誘電体磁器組成物および電子部品
JP2005029423A (ja) * 2003-07-14 2005-02-03 Tdk Corp 誘電体磁器組成物および電子部品
JP2008109120A (ja) * 2006-09-27 2008-05-08 Kyocera Corp 積層セラミックコンデンサおよびその製法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003142331A (ja) * 2001-11-08 2003-05-16 Murata Mfg Co Ltd 積層セラミック電子部品
JP2003277139A (ja) * 2002-01-15 2003-10-02 Tdk Corp 誘電体磁器組成物および電子部品
JP2005029423A (ja) * 2003-07-14 2005-02-03 Tdk Corp 誘電体磁器組成物および電子部品
JP2008109120A (ja) * 2006-09-27 2008-05-08 Kyocera Corp 積層セラミックコンデンサおよびその製法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11469046B2 (en) * 2020-03-24 2022-10-11 Murata Manufacturing Co., Ltd. Multilayer ceramic electronic component
WO2022270270A1 (ja) * 2021-06-23 2022-12-29 株式会社村田製作所 積層セラミックコンデンサ

Also Published As

Publication number Publication date
JP7283440B2 (ja) 2023-05-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101607536B1 (ko) 적층 세라믹 콘덴서 및 적층 세라믹 콘덴서의 제조방법
KR102603410B1 (ko) 적층형 전자부품 및 적층형 전자부품의 제조 방법
JP7172897B2 (ja) 積層型電子部品
JP2020155523A (ja) 積層セラミックコンデンサ
JP7283440B2 (ja) 積層型電子部品および積層型電子部品の製造方法
KR102433617B1 (ko) 적층형 전자부품 및 적층형 전자부품의 제조 방법
JP2021185638A (ja) 積層セラミックコンデンサ
CN113451049B (zh) 层叠陶瓷电子部件
KR102496771B1 (ko) 적층형 전자부품
JP2021009994A (ja) 積層型電子部品および積層型電子部品の製造方法
CN112151268B (zh) 层叠型电子零件
JP7215459B2 (ja) 積層型電子部品
WO2022210642A1 (ja) 積層セラミックコンデンサ
JP2021034631A (ja) 積層型電子部品および積層型電子部品の製造方法
JP2020150035A (ja) 積層セラミックコンデンサ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211203

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221116

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221122

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230120

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230418

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230501

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7283440

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150